情報処理装置及びプログラム
【課題】シート材搬送装置の動作を模擬し、搬送されるシート材の設計値との差を容易に視認できる情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、シート材搬送装置の模擬動作における基準トリガを定義する基準トリガ情報、シート材搬送装置の搬送路上の複数の位置を定義する位置情報、及び、基準トリガの発生を基準とした、位置情報が定義する各位置にシート材が到達する模擬動作における時刻の設計値を定義する時刻情報を格納する定義情報格部550と、基準トリガの発生を検知する検知部530と、基準トリガの発生時刻及び時刻情報に基づき、模擬動作における時刻と位置情報が定義する各位置との設計値の関係である第1の関係を求め、模擬動作の結果から、模擬動作における時刻とシート材の搬送路上の位置との第2の関係を求め、第1の関係と第2の関係の差分を示すグラフを作成して表示するグラフ作成部560と、を備えている。
【解決手段】情報処理装置は、シート材搬送装置の模擬動作における基準トリガを定義する基準トリガ情報、シート材搬送装置の搬送路上の複数の位置を定義する位置情報、及び、基準トリガの発生を基準とした、位置情報が定義する各位置にシート材が到達する模擬動作における時刻の設計値を定義する時刻情報を格納する定義情報格部550と、基準トリガの発生を検知する検知部530と、基準トリガの発生時刻及び時刻情報に基づき、模擬動作における時刻と位置情報が定義する各位置との設計値の関係である第1の関係を求め、模擬動作の結果から、模擬動作における時刻とシート材の搬送路上の位置との第2の関係を求め、第1の関係と第2の関係の差分を示すグラフを作成して表示するグラフ作成部560と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材搬送装置の動作を模擬し、模擬結果をグラフ表示する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート材搬送装置の制御ソフトウェアの動作を検証するためにシミュレータを使用することが行われている。特許文献1においては、ローラのニップ部等、搬送機構の構成要素に、検証のための基準位置を設定し、基準位置との相対位置が許容範囲内であるか否かを判定している。また、特許文献2においては、搬送路上のシート材の位置を算出し、時刻と位置の関係をグラフ表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−176419号公報
【特許文献2】特開2006−168902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シート材搬送装置の制御においては、シート材の搬送速度、シート材停止位置、搬送路上の目標位置にシート材が到達するタイミング等が要求仕様として設定される。これらの要求仕様を達成するために、制御ソフトウェアにおいては様々な制御を行う。このとき、シート材の挙動が、要求仕様の許容範囲内であるか否かを検証するだけでなく、そこに至る過程の制御の正当性も検証する必要がある。
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、搬送機構の構成要素に何らかの変化が発生した場合にのみ評価を行うため、評価タイミングにおいてシート材の位置が許容範囲内に有れば、制御ソフトウェアの動作が正当であると判断される。たとえば、制御ソフトウェアに何らかの問題があり、搬送される筈のシート材が処理の途中で停止していたとしても、評価タイミングにおいてシート材の位置が許容範囲内に有れば正常と検出される。
【0006】
また、シート材搬送装置において、シート材の搬送開始から搬送終了まで一定速度で搬送制御を行う事は稀である。つまり、シート材の搬送制御においては、シート材を一旦停止させた後に搬送を再開したり、所定のタイミングでシート材を加減速したり、搬送方向を反転させたりするなど、様々な制御を行っている。よって、シート材の搬送が設計通りであるかを判断するためには、シート材の搬送に伴う位置の変化と、設計上の位置の変化とを比較検証する必要がある。特許文献2に記載の構成では、シート材の移動状態はわかるものの、煩雑な搬送制御がなされている場合には、シート材が設計上の想定通りに搬送されているか否かを判断することは困難である。つまり、シート材の搬送状態を細かく判断して制御の正当性を検証することは困難である。
【0007】
本発明は、シート材搬送装置の動作を模擬し、搬送されるシート材の設計値との差を容易に視認できる情報処理装置及び当該情報処理装置としてコンピュータを機能させるプログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によると、情報処理装置は、シート材搬送装置の制御部の動作を模擬するCPUシミュレータと、CPUシミュレータから出力される信号に応じて、シート材搬送装置のシート材の搬送部の動作を模擬する搬送部シミュレータと、CPUシミュレータおよび搬送部シミュレータによるシート材の搬送の模擬動作における基準トリガを定義する基準トリガ情報、シート材搬送装置の搬送路上の複数の位置を定義する位置情報、及び、基準トリガの発生を基準とした、位置情報が定義する各位置にシート材が到達する模擬動作における時刻の設計値を定義する時刻情報を格納する定義情報格納手段と、基準トリガの発生を検知する検知手段と、基準トリガの発生時刻及び時刻情報に基づき、模擬動作における時刻と位置情報が定義する各位置との設計値の関係である第1の関係を求め、模擬動作の結果から、模擬動作における時刻とシート材の搬送路上の位置との第2の関係を求め、第1の関係と第2の関係の差分を示すグラフを作成して表示するグラフ作成手段と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様によると、情報処理装置は、シート材搬送装置の制御部の動作を模擬するCPUシミュレータと、CPUシミュレータから出力される信号に応じて、シート材搬送装置のシート材の搬送部の動作を模擬する搬送部シミュレータと、シート材について、第1の基準点および第2の基準点を定義する情報を格納する定義情報格納手段と、CPUシミュレータおよび搬送部シミュレータによるシート材の搬送の模擬動作から、模擬動作における時刻と第1の基準点の位置との第1の関係と、模擬動作における時刻と第2の基準点の位置との第2の関係を求め、第1の関係と第2の関係の差分を示すグラフを作成して表示するグラフ作成手段と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の一態様によると、プログラムは、コンピュータを上記情報処理装置として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
搬送路上の位置と時刻との関係について、設計値と模擬結果の差分が視認できる様にグラフ表示することにより、制御ソフトウェアの潜在的な問題の発見、誤動作発生時の原因特定が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施形態における情報処理装置のブロック図。
【図2】一実施形態における情報処理装置のハードウェア構成を示す図。
【図3】一実施形態における情報処理装置のシミュレーション対象である画像形成装置のブロック図。
【図4】一実施形態における画像形成装置のエンジン部の構成図。
【図5】一実施形態における定義情報格納部に格納される情報を示す図。
【図6】一実施形態におけるグラフ描画処理のフローチャート。
【図7】一実施形態においてグラフ作成部が描画するグラフ。
【図8】一実施形態におけるグラフ描画処理のフローチャート。
【図9】一実施形態においてグラフ作成部が描画するグラフ。
【図10】一実施形態における情報処理装置のブロック図。
【図11】一実施形態におけるグラフ描画処理のフローチャート。
【図12】一実施形態においてグラフ作成部が描画するグラフ。
【図13】一実施形態における情報処理装置のブロック図。
【図14】一実施形態におけるグラフ描画処理のフローチャート。
【図15】一実施形態においてグラフ作成部が描画するグラフ。
【図16】シート材の間隔及び長さを示す図。
【図17】一実施形態における情報処理装置のブロック図。
【図18】一実施形態における定義情報格納部に格納される情報を示す図。
【図19】一実施形態におけるグラフ描画処理のフローチャート。
【図20】一実施形態においてグラフ作成部が描画するグラフ。
【図21】一実施形態においてグラフ作成部が描画するグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明において、シミュレーション、つまり模擬動作において進行する時刻又は時間を模擬時刻又は模擬時間と呼ぶものとする。例えば、搬送速度100mm/秒での搬送動作を模擬する場合において、シート材の100mmの移動を模擬した場合、模擬動作に実際に要した時間、つまり、実際に経過した時間に拘わらず模擬時間は1秒進行することになる。さらに、以下の説明において、特に明記しない場合や、文脈から実時間を指していることが明らかな場合を除き、模擬時刻又は模擬時間を単に時刻又は時間と表記する。
【0014】
(第一実施形態)本実施形態の情報処理装置は、例えば、図2に示すコンピュータシステム201においてプログラムを実行することで実現され得る。図2の本体部202は、ホスト計算機であり、ハードディスク208には、情報処理装置の各機能を実現するためのプログラムや、シミュレーション対象装置に関する情報を含む各種データが格納される。中央処理部(CPU)206は、プログラム及び各種データを主記憶部207にロードして実行することで、コンピュータシステム201は情報処理装置として動作する。なお、表示装置203は、本体部202からの指示により画面表示を行う。また、キーボード204は、このコンピュータシステム201にユーザの指示や文字情報を入力するためのものである。さらに、マウス205は、表示装置203上の任意の位置を指定することによりその位置に表示されていたアイコン等に応じた指示を入力するためのものである。
【0015】
次に、本実施形態において情報処理装置がシミュレーションするシート材搬送装置である画像形成装置の概略について説明する。図3は、画像形成装置301のブロック図である。コントローラ部401は、ホストコンピュータ400、エンジン制御部402と相互に通信が可能となっている。コントローラ部401は、ホストコンピュータ400から画像情報と印刷命令を受け取とると、受け取った画像情報を解析してビデオ信号に変換し、エンジン制御部402のビデオインタフェース部410に印刷開始コマンド及びビデオ信号をシート材毎に送出する。エンジン制御部402は、エンジン部403を制御する制御ソフトウェアを実行するCPU411を有し、エンジン部403のモータ、クラッチ、ソレノイドといった各種アクチュエータを制御する。なお、エンジン部403は、シート材の搬送部を含み、シート材への印刷を行う各部材を有するものである。
【0016】
続いて、図4を用いてエンジン部403における印刷動作について説明する。エンジン制御部402は、印刷コマンドを受信すると、ピックアップローラ302及び給送のためのローラ303を回転させ、シート材をカセット323から送り出す。センサ304がシート材を検出すると、エンジン制御部402はローラ305及び306を回転させてシート材をレジストレーションのためのローラ308まで搬送する。センサ307がシート材を検出すると、エンジン制御部402は所定時刻後に各ローラを停止させる。その後、エンジン制御部402は、コントローラ部401に、ビデオ信号の出力の基準タイミングとなる/TOP信号を出力する。コントローラ部401は、/TOP信号に同期して、ビデオ信号を出力し、印刷が続く場合には、印刷開始コマンドを出力する。
【0017】
その後、エンジン制御部402は、ローラ308、ローラ305及び306を回転させ、回転している感光体309の位置にシート材を搬送し、シート材に画像を形成する。さらに、エンジン制御部402はシート材の搬送を継続し、ローラ310は、シート材に形成された画像を加熱及び加圧してシート材に定着させる。その後、ローラ311及び314によりシート材をトレイ315へ排出する。なお、ローラ311の下流にもシート材を検知するためのセンサ312が設けられている。
【0018】
続いて、本実施形態における情報処理装置500について図1を用いて説明する。図1においてCPUシミュレータ501は、図3の画像形成装置301のエンジン制御部402の動作を模擬するものであり、搬送部シミュレータ510は、エンジン部403の搬送部によるシート材の搬送動作を模擬するものである。CPUシミュレータ501は、検証対象である画像形成装置301の制御ソフトウェアを実行し、印刷開始に伴い、搬送部シミュレータ510に制御信号を出力する。搬送部シミュレータ510の位置算出部514は、制御信号に基づきシート材の搬送路上の位置情報を算出し、位置情報保持部513は、この位置情報を保持する。また、搬送部シミュレータ510は、図4の各センサ304、307及び312の状態を模擬し、これらの出力値が変化したとき、その値をCPUシミュレータ501に通知する。
【0019】
本実施形態においては、搬送されるシート材の搬送状態の設計値との差を容易に視認できる様にするために、時刻とシート材の位置の関係をグラフ化して表示する。このとき、設計値のグラフと模擬結果のグラフの両方を表示する。このため、定義情報格納部550と、検知部530と、グラフ作成部560とを設ける。
【0020】
まず、定義情報格納部550に格納される各情報について説明する。基準トリガ情報551は、設計値のグラフ表示において基準とする基準トリガを定義する情報である。基準トリガとしては、CPUシミュレータ501が出力する制御信号や、シート材の位置や、模擬動作開始後の経過時間を使用する。位置情報553は、模擬対象の画像形成装置301のシート材の搬送路上の所定位置を定義する情報であり、時刻を計測する計測位置として使用される。時刻情報554は、基準トリガ551が発生したときを基準とした、位置情報553が示す各計測位置へのシート材の模擬動作における到達時刻を示している。図5に、定義情報格納部550が保持する情報例を示す。図5(a)において基準トリガは、ピックアップローラ302の駆動信号変化であり、図5(b)においては、TOP信号の変化である。位置情報553には、図4の複数の部材の位置が計測位置として設定されている。なお、位置は、カセット323と搬送路との接点を基準、つまり、位置0としている。また、時刻情報554には、基準トリガの発生を基準とした、各計測位置にシート材が到達する設計上の時刻が設定されている。なお、これら情報は、ユーザが予め作成して情報処理装置に設定しておく。
【0021】
検知部530の基準トリガ検知部531は、CPU501からの制御信号又は搬送部シミュレータ510からの位置情報から、基準トリガ情報551が指定する基準トリガの発生を検知する。また、計測位置到達検知部533は、搬送部シミュレータ510が算出するシート材の位置情報から、位置情報553が指定する各計測位置にシート材が達したか否かを検知する。検知部530は、基準トリガの発生又はシート材の各計測位置への到達を検出すると、グラフ作成部560にその旨を通知する。
【0022】
グラフ作成部560は、基準トリガ発生時の模擬時刻と、シート材が各計測位置に到達したときの時刻をCPUシミュレータ501から取得する。そして、模擬結果と設計値を示すグラフをそれぞれ作成して表示部561に表示する。ここで、模擬結果のグラフは、位置情報553が示す各計測位置と、各計測位置に到達したときの模擬時刻から作成する。また、設計値のグラフは、基準トリガの発生時の模擬時刻と、各計測位置についての時刻情報554から作成する。
【0023】
以下に、情報処理装置500におけるグラフ作成処理について、図6を用いて詳細に説明する。処理の開始により、検知部530は、基準トリガと、各計測位置へのシート材の到達を監視する。S1において、検知部530が基準トリガ又は各計測位置へのシート材の到達を検知すると、S2において、グラフ作成部560は、そのときの模擬時刻をCPUシミュレータ501から取得する。グラフ作成部560は、S3において、S1で検知したものが基準トリガであるか否かを判定し、基準トリガである場合には、S4において設計値のグラフを描画する。一方、S1において検知したものが計測位置への到達である場合には、S5において模擬結果のグラフを描画する。グラフ作成部560は、S6においてシート材が総ての計測位置を通過したか否かを判定し、総ての計測位置を通過するまで、検知部530及びグラフ作成部560は、S1からS5の処理を繰り返す。シート材が総ての計測位置を通過し、シート材の搬送に関する模擬動作が終了すると、グラフ作成部は、S7において模擬結果と設計値との差分に色付けを加える。
【0024】
以下、定義情報格納部550には、図5(b)の情報が設定されているものとして具体的に説明する。まず、搬送処理の模擬動作の開始により、S1において、シート材の先端部のセンサ304への到達を検出すると、グラフ作成部560は、S2において、模擬時刻をCPUシミュレータ501から取得する。このときの時刻が10500(ミリ秒)であるものとすると、図7に示す模擬時刻と位置との関係を示すグラフにおいて、グラフ作成部560は、S5において、時刻10500(ミリ秒)とセンサ304の位置との交点に、例えば、黒丸を描画する。なお、図7において縦軸は、部材の名前で表示しているが、搬送路上の位置、つまり、図5の位置情報を示すものである。続いて、時刻11500(ミリ秒)において、シート材の先端部のセンサ307への到達を検出したものとする。この場合、グラフ作成部560は、S5において、図7の時刻11500(ミリ秒)とセンサ307の位置との交点に、例えば、黒丸を描画し、各黒丸を結ぶ線も描画する。
【0025】
続いて、検知部560が、S1において、TOP信号の0から1への変化を検知し、このときの時刻が12500(ミリ秒)であるものとする。図5(b)に示す様に、設計値においては、センサ307には、基準トリガより300(ミリ秒)だけ速く到達するため、センサ307に到達する時刻の設計値は12200(ミリ秒)となる。したがって、グラフ作成部560は、S4において、図7の時刻12200(ミリ秒)とセンサ307の位置との交点に、例えば、黒の四角を描画する。同様に、グラフ作成部560は、S4において、位置情報553が示す他の総ての計測位置について、時刻の設計値を求めてその位置に黒の四角を描画し、さらに、図7に示す様に各黒の四角を結ぶ点線を描画する。なお、図7において、符号600は、基準トリガの検出時刻を示している。以後、総ての計測位置をシート材が通過するまで、上記処理を行うことで、図7に示す様に、模擬結果のグラフを完成させる。最後に、グラフ作成部560は、図7に示す様に、差分に色付けを行う。
【0026】
以上、搬送路上の位置と到達時刻の設計値における関係(第1の関係)と、模擬結果における搬送路の位置と到達時刻の関係(第2の関係)との差分をグラフで表示することができ、設計値からの差分の視認性が向上する。また、模擬結果と設計値の両方をグラフで描画するため、設計値との比較が簡便になり、ソフトウェアのバグの発見、誤動作原因の特定が容易になる。
【0027】
(第二実施形態)第一実施形態においては、模擬結果と設計値の両方をグラフで描画していた。本実施形態では、模擬結果の設計値に対する差分のみを表示する。以下、第一実施形態との相違点を中心に説明する。本実施形態における情報処理装置の構成は図1に示す第一実施形態と同じである。
【0028】
以下、図8を用いて本実施形態におけるグラフ作成処理について説明する。処理の開始により、検知部530は、S11において基準トリガ及び各計測位置へのシート材の到達を監視する。S11において、検知部530が基準トリガ又は各計測位置へのシート材の到達を検知すると、S12において、グラフ作成部560は、そのときの模擬時刻をCPUシミュレータ501から取得して保存する。S13において、グラフ作成部560は、シート材が、総ての計測位置を通過したか否かを判定し、総ての計測位置を通過するまで、検知部530及びグラフ作成部560はS11及びS12の処理を繰り返す。シート材が、総ての計測位置を通過すると、S14において、グラフ作成部560は、各計測位置について、設計値と模擬結果の時刻差を算出し、S15においてグラフを描画する。
【0029】
以下、定義情報格納部550には、図5(b)の情報が設定されているものとして具体的に説明する。例えば、センサ304への到達時刻が10500(ミリ秒)であり、センサ307への到達時刻が11500(ミリ秒)であり、基準トリガの検出時刻が12500(ミリ秒)であるものとする。設計値に対する時刻差は、
基準トリガ検出時刻+時刻情報が示す設計時刻−計測位置到達時刻
で計算され、センサ304における時刻差は+200(ミリ秒)となり、センサ307における時刻差は+700(ミリ秒)となる。なお、時刻差が正の値は、設計時刻より早くその位置に到達していることを示している。
【0030】
グラフ作成部560は、総ての計測位置について設計値との時刻差を求め、例えば、図9に示すグラフを描画する。なお、図9においても、時刻差が正の値は設計値より早く計測位置に到達していることを示し、負の値を設計値より遅れて計測位置に到達していることを示している。
【0031】
なお、図8に示すフローチャートは、各時刻のデータを記憶しておき、模擬動作終了後に一括して描画するものであったが、第一実施形態と同様に、模擬動作を行いつつグラフを描画することもできる。
【0032】
以上、模擬結果と設計値との時刻の差分をグラフ表示することで、時刻の差分の視認性が向上する。また、本実施形態においては、時刻の差分を表示するため、差分の発生箇所及びその値を素早く確認でき、ソフトウェアのバグの発見、誤動作原因の特定が容易になる。
【0033】
(第三実施形態)第一実施形態及び第二実施形態においては、計測位置に到達した時刻やその差分を表示していた。本実施形態においては、所定の時刻におけるシート材の位置と設計値の位置の差分を表示する。以下、第一実施形態との相違点を中心に説明する。図10は、本実施形態における情報処理装置のブロック図である。なお、図10において、CPUシミュレータ501及び搬送部シミュレータ510は、第一実施形態と同様であるため、その説明は省略する。本実施形態において定義情報格納部550に格納される各情報は、図1に示す第一実施形態と同様である。しかしながら、本実施形態において、時刻情報554が、計測時刻を示している。したがって、本実施形態において検知部530は、第一実施形態における計測位置到達検知部533に代えて、計測時刻検知部534を設けている。計測時刻検知部534は、基準トリガの検出後において、時刻情報554で定義される各計測時刻に達したことを検知する。
【0034】
以下に、本実施形態におけるグラフ作成処理について、図11を用いて詳細に説明する。処理の開始により、検知部530は、S21において基準トリガを監視する。検知部530が基準トリガを検知すると、S22において、グラフ作成部560は、そのときの模擬時刻をCPUシミュレータ501から取得する。検知部530は、S23において計測時刻になるまで待機し、計測時刻となるとその旨をグラフ作成部560に通知する。グラフ作成部は、計測時刻の通知を受けると、S24において、そのときのシート材の位置情報を取得し、S25において設計値との差を算出し、S26において算出した差分をグラフに描画する。グラフ作成部560は、総ての計測位置をシート材が通過したか否かをS27にて判定し、総ての計測位置を通過するまでS23からS26の処理を繰り返す。
【0035】
続いて、定義情報格納部550には、図5(a)の情報が設定されているものとして具体的に説明する。検知部530は、S21で基準トリガであるピックアップローラ302の駆動信号の0から1への変化を検知してグラフ作成部560に通知する。グラフ作成部560は、基準トリガ検出の通知により、S22においてCPUシミュレータ501から時刻情報を取得する。例えば、取得した時刻が10000(ミリ秒)であるものとする。続いて、検知部530の計測時刻検知部534は、模擬時刻を監視し、図5(a)に示す様に、センサ304へのシート材先端の到達時刻である500(ミリ秒)に達した場合、その旨をグラフ作成部560に通知する。グラフ作成部560は、検知部530から通知された場合、S24において、その時のシート材の先端の位置を搬送部シミュレータ510から取得する。例えば、このときのシート材先端の位置が、55(mm)であるとすると、設計値が50(mm)であるため、その差は+5(mm)となる。以後、同様に、各計測時刻でのシート材の位置を求め、各位置の設計値からの差分を求めることで、グラフ作成部560は、例えば、図12に示すグラフを作成する。なお、図12の横軸は模擬時刻であるが、図12においては、その時刻に設計上到達すべき位置に対応する部材で表示している。
【0036】
以上、本実施形態においては、差分の発生時刻や、その量の確認が簡便になり、ソフトウェアのバグの発見、誤動作原因の特定が容易になる。
【0037】
(第四実施形態)第三実施形態では、基準トリガの発生以後の各計測時刻における位置の差を取得するものであった。本実施形態では、基準トリガ発生前においても位置の差を取得することを可能にする。以下、第三実施形態との相違点を中心に説明する。図13は、本実施形態における情報処理装置のブロック図であり、図10に示す第三実施形態における情報処理装置に、ログ保存部580を設けたものである。
【0038】
ログ保存部580のログ取得頻度定義情報581は、ログの取得頻度を示す情報であり、CPUシミュレータ501の最小時刻単位以上の任意の値が設定される。ログ保存部580は、模擬時刻を監視し、ログの取得頻度毎に、シート材の位置情報を搬送部シミュレータ510から反復して取得し、取得したシート材の位置情報と、そのときの模擬時刻を関連付けてログ情報582として保存する。
【0039】
グラフ作成部560は、基準トリガの検出の通知を受けると、基準トリガ以前に計測時刻が存在するか否かを時刻情報554により判定する。存在する場合には、ログ保存部580が保存するログ情報582に基づき、基準トリガ以前の計測時刻における位置を取得して、グラフに描画する。
【0040】
以下に、本実施形態におけるグラフ作成処理について、図14を用いて詳細に説明する。処理の開始により、検知部530は、S31において基準トリガを監視する。検知部530が基準トリガを検知していない場合、ログ保存部580は、S37においてログ取得頻度定義情報581が定義する取得頻度によるログ取得タイミングであるか否かを判定する。ログ取得タイミングではない場合、処理はS31に戻り、ログ取得タイミングである場合、ログ保存部580は、S38において模擬時刻及びシート材の位置をログ情報582として保存する。
【0041】
S31において、検知部530が基準トリガを検知すると、S32において、グラフ作成部560は、そのときの模擬時刻及びシート材の位置をCPUシミュレータ501及び搬送部シミュレータ510から取得する。グラフ作成部560は、S33において、基準トリガ発生時の模擬時刻に基づき各計測位置における到達時刻を求め設計値のグラフを作成する。その後、検知部530は、S34において計測時刻になるまで待機し、計測時刻となるとその旨をグラフ作成部560に通知する。グラフ作成部は、計測時刻の通知を受けると、S35において、そのときのシート材の位置を取得して模擬結果のグラフを描画する。グラフ作成部560は、総ての計測位置をシート材が通過したか否かをS36にて判定し、総ての計測位置を通過するまでS34及びS35の処理を繰り返す。
【0042】
続いて、定義情報格納部550には、図5(b)の情報が設定されているものとして具体的に説明する。図5(b)の設定において、基準トリガは、/TOP信号の変化であるため、この変化を検出するまでログ保存部は、ログ取得頻度、例えば、1(ミリ秒)毎に、時刻とシート材の位置をログ情報582として保存する。その後、検知部530が基準トリガを検出すると、グラフ作成部560は、設計値のグラフを作成する。例えば、基準トリガの検出時刻が12500(ミリ秒)であり、そのときのシート材の位置が165(mm)とすると、図15の点線で示す設計値のグラフが得られる。なお、符号601は、基準トリガ検出時刻におけるシート材の位置を表している。
【0043】
S34において、グラフ作成部560は、既に経過した計測時刻が存在するか否かを判定する。図5(b)に示す様に、基準トリガ以前に、センサ304及び307に対応する計測時刻が存在している。したがって、S35において、グラフ作成部560は、センサ304及び307の計測時刻における位置情報をログ情報582から判定する。具体的には、センサ307の設計時刻は、基準トリガより1800(ミリ秒)早いため、12500−1800=10700(ミリ秒)におけるシート材の位置をログ情報582から判定してグラフを描画する。同様に、センサ304の設計時刻は、基準トリガより300(ミリ秒)早いため、12500−300=12200(ミリ秒)におけるシート材の位置をログ情報582から判定してグラフを描画する。その後は、計測時刻に到達する度に第三実施形態と同様に、計測時刻におけるシート材の位置を描画することで、例えば、図15の実線で示す模擬結果のグラフを描画する。
【0044】
以上、本実施形態においては基準トリガの発生以前においても計測時刻を設定することができる。つまり、任意の基準トリガを使用して位置の差分を判定することができる。
【0045】
(第五実施形態)第一から第四実施形態に置いては、シート材の先端位置のみを使用していた。しかしながら、搬送制御の評価においては、シート材の先端から後端までの長さや、シート材の間隔などの評価を行わなければならない場合がある。
【0046】
図16(a)において、シート材の長さは、そのシート材の先端と後端の位置の差分であるが、シート材に撓みが発生していると、シート材の先端と後端の差分はシート材本来の長さより短くなる。したがって、本来のシート材の長さと、先端と後端の差分の比較により撓みの大きさを求めることができる。また、図16(b)に示す様に、先行するシート材の後端と、後続するシート材の先端との差が、シート材の間隔であり、この値と設計値とを比較することで、設計値からの間隔の変動を判定することができる。本実施形態は、シート材の撓みや、間隔の差分をグラフ表示することで、設計値との差を視認させるものである。
【0047】
図17は、本実施形態における情報処理装置のブロック図である。図18において、CPUシミュレータ501と、搬送部シミュレータ510は、第一実施形態と同様であるため、その説明は省略する。本実施形態において、定義情報格納部590の基準点情報591は、シート材の長さ又は間隔を算出するための基準点である、第1基準点及び第2基準点を示す情報である。また、基準点差設計値情報593は、第1基準点と第2基準点との差分の設計値、つまり、シート材の長さ又は間隔の設計値を示す情報である。さらに、描画頻度情報594は、グラフの描画間隔を示し、CPUシミュレータの最小時刻単位以上の任意の値が設定される。定義情報格納部590のこれら情報は、予めユーザが作成して情報処理装置に設定しておく。
【0048】
図18は、定義情報格納部590に格納される情報の例である。図18(a)において、第1基準点は、X枚目(Xは、自然数)のシート材の先端であり、第2基準点は、第1基準点と同一のシート材であるX枚目のシート材の後端であり、シート材の長さを検証する場合のデータである。なお、補正値は、基準点を所定量移行させる必要がある場合に、その所定量を設定する。図18(a)において、長さの設計値は200(mm)であり、描画間隔として1(ミリ秒)が設定されている。一方、図18(b)において、第1基準点は、X枚目(Xは、自然数)のシート材の後端であり、第2基準点は、次の、つまりX+1枚目のシート材の先端であり、シート材の間隔について検証する場合のデータである。図18(b)において、間隔の設計値は20(mm)であり、描画間隔として1(ミリ秒)が設定されている。
【0049】
以下、本実施形態におけるグラフ作成処理について、図19を用いて詳細に説明する。処理の開始により、グラフ作成部560は、描画頻度情報594に基づき、描画タイミングになるまでS41において待機する。描画タイミングになると、グラフ作成部560は、S42においてグラフを描画する。具体的には、描画タイミングにおける模擬時刻に対する第1基準点と、第2基準点の搬送路上の位置を搬送部シミュレータ510から取得し、時刻と第1基準点及び第2基準点の位置をグラフにプロットする。グラフ作成部560は、S43において、シート材の搬送模擬動作が終了するまで、描画タイミングにおいて第1基準点及び第2基準点の位置をグラフにプロットして、例えば、図20に示すグラフを作成する。図20において、実線は、第1基準点の搬送状態を示しており、点線は第2基準点の搬送状態を示している。
【0050】
図20は、第1基準点及び第2基準点の搬送状態をそれぞれ示すものであったが、グラフ作成部560は、その差分も合わせて表示しても良い。具体的には、まず、第1基準点のグラフを、基準点差設計値情報593が示す値だけ、搬送路上流方向、つまり、図20の下方向に移動させる。このとき、例えば、第1の基準点と第2の基準点がそれぞれ理想的に搬送されているものとすると、両グラフは一致する。つまり、両グラフは重なる。しかしながら、いずれかの基準点が理想的に搬送されていない場合には、移動させた第1基準点のグラフと、第2基準点のグラフとの差は設計値からの差分を表している。なお、第2の基準点のグラフを、図20の上側に移動させる形態であっても良い。また、上記実施形態では、第1基準点のグラフを下方に設計値だけ移動させるとした。しかしながら、明らかであるが、その方向はグラフの描き方に依存するものである。よって、移動させる方向は、第1の基準点と第2の基準点が共に理想的に搬送されているとしたときに、設計値だけ移動させることで両グラフが重なる方向となる。さらに、図21に示す様に、任意の位置における第1基準点と第2基準点との差の、設計値との差分をグラフにする形態であっても良い。
【0051】
なお、描画間隔を時刻ではなく、例えば、第1基準点又は第2基準点が所定量移動する度に行う形態であっても良い。
【0052】
以上、本実施形態においては、あるシート材の撓みや、シート材の間隔の設計値からの差をグラフ表示でき、これにより、位置の差の設計値からのずれについての視認性が向上する。
【0053】
なお、上述した実施形態の内、模擬動作を行いつつグラフを描画していく形態は、各時刻のデータを記憶しておき、模擬動作終了後に一括して描画する形態とすることがきる。同様に、模擬動作終了後に一括して描画する形態は、模擬動作を行いつつグラフを描画していく形態とすることができる。また、各実施形態共、第一実施形態と同様に、設計値との差分に色付けして表示することができ、視認性を向上させることができる。さらに、各実施形態においては、一枚のシート材の搬送を行うものであったが、シート材の枚数には制限がない。つまり、例えば、検知部530が、どのシート材についてのものであるかを判定することで、任意の枚数のシート材についてグラフを作成することが可能である。
【0054】
さらに、各実施形態について、模擬結果と設計値のグラフを共に表示して差分を視認させることも、その差分のみを表示することもできる。また、模擬結果と設計値のグラフを共に表示する場合において、模擬結果が設計値の上側にある場合と、下側にある場合において異なる色付けを行う形態とすることもできる。また、総てのログ情報を読み込むことで、模擬動作終了後に、上記各実施形態で述べたグラフを、ユーザからの指示により作成する形態とすることもできる。
【0055】
以上、基準トリガに基づき搬送路上の位置と、その位置への設計上の到達時刻との第1の関係を求め、CPUシミュレータ501および搬送部シミュレータ510による模擬動作から搬送路上の位置と時刻との第2の関係を取得する。そして、第1の関係と第2の関係との差分を視認できる様に、グラフ表示することで、制御ソフトウェアの潜在的な問題の発見、誤動作発生時の原因特定が容易になる。
【0056】
また、搬送動作を模擬するシート材について、第1の基準点および第2の基準点を定義し、CPUシミュレータ501および搬送部シミュレータ510による模擬動作から両基準点の位置と時刻との関係である第1の関係及び第2の関係を求める。そして、第1の関係と第2の関係との差分を視認できる様に、グラフ表示することで、制御ソフトウェアの潜在的な問題の発見、誤動作発生時の原因特定が容易になる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材搬送装置の動作を模擬し、模擬結果をグラフ表示する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート材搬送装置の制御ソフトウェアの動作を検証するためにシミュレータを使用することが行われている。特許文献1においては、ローラのニップ部等、搬送機構の構成要素に、検証のための基準位置を設定し、基準位置との相対位置が許容範囲内であるか否かを判定している。また、特許文献2においては、搬送路上のシート材の位置を算出し、時刻と位置の関係をグラフ表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−176419号公報
【特許文献2】特開2006−168902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シート材搬送装置の制御においては、シート材の搬送速度、シート材停止位置、搬送路上の目標位置にシート材が到達するタイミング等が要求仕様として設定される。これらの要求仕様を達成するために、制御ソフトウェアにおいては様々な制御を行う。このとき、シート材の挙動が、要求仕様の許容範囲内であるか否かを検証するだけでなく、そこに至る過程の制御の正当性も検証する必要がある。
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、搬送機構の構成要素に何らかの変化が発生した場合にのみ評価を行うため、評価タイミングにおいてシート材の位置が許容範囲内に有れば、制御ソフトウェアの動作が正当であると判断される。たとえば、制御ソフトウェアに何らかの問題があり、搬送される筈のシート材が処理の途中で停止していたとしても、評価タイミングにおいてシート材の位置が許容範囲内に有れば正常と検出される。
【0006】
また、シート材搬送装置において、シート材の搬送開始から搬送終了まで一定速度で搬送制御を行う事は稀である。つまり、シート材の搬送制御においては、シート材を一旦停止させた後に搬送を再開したり、所定のタイミングでシート材を加減速したり、搬送方向を反転させたりするなど、様々な制御を行っている。よって、シート材の搬送が設計通りであるかを判断するためには、シート材の搬送に伴う位置の変化と、設計上の位置の変化とを比較検証する必要がある。特許文献2に記載の構成では、シート材の移動状態はわかるものの、煩雑な搬送制御がなされている場合には、シート材が設計上の想定通りに搬送されているか否かを判断することは困難である。つまり、シート材の搬送状態を細かく判断して制御の正当性を検証することは困難である。
【0007】
本発明は、シート材搬送装置の動作を模擬し、搬送されるシート材の設計値との差を容易に視認できる情報処理装置及び当該情報処理装置としてコンピュータを機能させるプログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によると、情報処理装置は、シート材搬送装置の制御部の動作を模擬するCPUシミュレータと、CPUシミュレータから出力される信号に応じて、シート材搬送装置のシート材の搬送部の動作を模擬する搬送部シミュレータと、CPUシミュレータおよび搬送部シミュレータによるシート材の搬送の模擬動作における基準トリガを定義する基準トリガ情報、シート材搬送装置の搬送路上の複数の位置を定義する位置情報、及び、基準トリガの発生を基準とした、位置情報が定義する各位置にシート材が到達する模擬動作における時刻の設計値を定義する時刻情報を格納する定義情報格納手段と、基準トリガの発生を検知する検知手段と、基準トリガの発生時刻及び時刻情報に基づき、模擬動作における時刻と位置情報が定義する各位置との設計値の関係である第1の関係を求め、模擬動作の結果から、模擬動作における時刻とシート材の搬送路上の位置との第2の関係を求め、第1の関係と第2の関係の差分を示すグラフを作成して表示するグラフ作成手段と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様によると、情報処理装置は、シート材搬送装置の制御部の動作を模擬するCPUシミュレータと、CPUシミュレータから出力される信号に応じて、シート材搬送装置のシート材の搬送部の動作を模擬する搬送部シミュレータと、シート材について、第1の基準点および第2の基準点を定義する情報を格納する定義情報格納手段と、CPUシミュレータおよび搬送部シミュレータによるシート材の搬送の模擬動作から、模擬動作における時刻と第1の基準点の位置との第1の関係と、模擬動作における時刻と第2の基準点の位置との第2の関係を求め、第1の関係と第2の関係の差分を示すグラフを作成して表示するグラフ作成手段と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の一態様によると、プログラムは、コンピュータを上記情報処理装置として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
搬送路上の位置と時刻との関係について、設計値と模擬結果の差分が視認できる様にグラフ表示することにより、制御ソフトウェアの潜在的な問題の発見、誤動作発生時の原因特定が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施形態における情報処理装置のブロック図。
【図2】一実施形態における情報処理装置のハードウェア構成を示す図。
【図3】一実施形態における情報処理装置のシミュレーション対象である画像形成装置のブロック図。
【図4】一実施形態における画像形成装置のエンジン部の構成図。
【図5】一実施形態における定義情報格納部に格納される情報を示す図。
【図6】一実施形態におけるグラフ描画処理のフローチャート。
【図7】一実施形態においてグラフ作成部が描画するグラフ。
【図8】一実施形態におけるグラフ描画処理のフローチャート。
【図9】一実施形態においてグラフ作成部が描画するグラフ。
【図10】一実施形態における情報処理装置のブロック図。
【図11】一実施形態におけるグラフ描画処理のフローチャート。
【図12】一実施形態においてグラフ作成部が描画するグラフ。
【図13】一実施形態における情報処理装置のブロック図。
【図14】一実施形態におけるグラフ描画処理のフローチャート。
【図15】一実施形態においてグラフ作成部が描画するグラフ。
【図16】シート材の間隔及び長さを示す図。
【図17】一実施形態における情報処理装置のブロック図。
【図18】一実施形態における定義情報格納部に格納される情報を示す図。
【図19】一実施形態におけるグラフ描画処理のフローチャート。
【図20】一実施形態においてグラフ作成部が描画するグラフ。
【図21】一実施形態においてグラフ作成部が描画するグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明において、シミュレーション、つまり模擬動作において進行する時刻又は時間を模擬時刻又は模擬時間と呼ぶものとする。例えば、搬送速度100mm/秒での搬送動作を模擬する場合において、シート材の100mmの移動を模擬した場合、模擬動作に実際に要した時間、つまり、実際に経過した時間に拘わらず模擬時間は1秒進行することになる。さらに、以下の説明において、特に明記しない場合や、文脈から実時間を指していることが明らかな場合を除き、模擬時刻又は模擬時間を単に時刻又は時間と表記する。
【0014】
(第一実施形態)本実施形態の情報処理装置は、例えば、図2に示すコンピュータシステム201においてプログラムを実行することで実現され得る。図2の本体部202は、ホスト計算機であり、ハードディスク208には、情報処理装置の各機能を実現するためのプログラムや、シミュレーション対象装置に関する情報を含む各種データが格納される。中央処理部(CPU)206は、プログラム及び各種データを主記憶部207にロードして実行することで、コンピュータシステム201は情報処理装置として動作する。なお、表示装置203は、本体部202からの指示により画面表示を行う。また、キーボード204は、このコンピュータシステム201にユーザの指示や文字情報を入力するためのものである。さらに、マウス205は、表示装置203上の任意の位置を指定することによりその位置に表示されていたアイコン等に応じた指示を入力するためのものである。
【0015】
次に、本実施形態において情報処理装置がシミュレーションするシート材搬送装置である画像形成装置の概略について説明する。図3は、画像形成装置301のブロック図である。コントローラ部401は、ホストコンピュータ400、エンジン制御部402と相互に通信が可能となっている。コントローラ部401は、ホストコンピュータ400から画像情報と印刷命令を受け取とると、受け取った画像情報を解析してビデオ信号に変換し、エンジン制御部402のビデオインタフェース部410に印刷開始コマンド及びビデオ信号をシート材毎に送出する。エンジン制御部402は、エンジン部403を制御する制御ソフトウェアを実行するCPU411を有し、エンジン部403のモータ、クラッチ、ソレノイドといった各種アクチュエータを制御する。なお、エンジン部403は、シート材の搬送部を含み、シート材への印刷を行う各部材を有するものである。
【0016】
続いて、図4を用いてエンジン部403における印刷動作について説明する。エンジン制御部402は、印刷コマンドを受信すると、ピックアップローラ302及び給送のためのローラ303を回転させ、シート材をカセット323から送り出す。センサ304がシート材を検出すると、エンジン制御部402はローラ305及び306を回転させてシート材をレジストレーションのためのローラ308まで搬送する。センサ307がシート材を検出すると、エンジン制御部402は所定時刻後に各ローラを停止させる。その後、エンジン制御部402は、コントローラ部401に、ビデオ信号の出力の基準タイミングとなる/TOP信号を出力する。コントローラ部401は、/TOP信号に同期して、ビデオ信号を出力し、印刷が続く場合には、印刷開始コマンドを出力する。
【0017】
その後、エンジン制御部402は、ローラ308、ローラ305及び306を回転させ、回転している感光体309の位置にシート材を搬送し、シート材に画像を形成する。さらに、エンジン制御部402はシート材の搬送を継続し、ローラ310は、シート材に形成された画像を加熱及び加圧してシート材に定着させる。その後、ローラ311及び314によりシート材をトレイ315へ排出する。なお、ローラ311の下流にもシート材を検知するためのセンサ312が設けられている。
【0018】
続いて、本実施形態における情報処理装置500について図1を用いて説明する。図1においてCPUシミュレータ501は、図3の画像形成装置301のエンジン制御部402の動作を模擬するものであり、搬送部シミュレータ510は、エンジン部403の搬送部によるシート材の搬送動作を模擬するものである。CPUシミュレータ501は、検証対象である画像形成装置301の制御ソフトウェアを実行し、印刷開始に伴い、搬送部シミュレータ510に制御信号を出力する。搬送部シミュレータ510の位置算出部514は、制御信号に基づきシート材の搬送路上の位置情報を算出し、位置情報保持部513は、この位置情報を保持する。また、搬送部シミュレータ510は、図4の各センサ304、307及び312の状態を模擬し、これらの出力値が変化したとき、その値をCPUシミュレータ501に通知する。
【0019】
本実施形態においては、搬送されるシート材の搬送状態の設計値との差を容易に視認できる様にするために、時刻とシート材の位置の関係をグラフ化して表示する。このとき、設計値のグラフと模擬結果のグラフの両方を表示する。このため、定義情報格納部550と、検知部530と、グラフ作成部560とを設ける。
【0020】
まず、定義情報格納部550に格納される各情報について説明する。基準トリガ情報551は、設計値のグラフ表示において基準とする基準トリガを定義する情報である。基準トリガとしては、CPUシミュレータ501が出力する制御信号や、シート材の位置や、模擬動作開始後の経過時間を使用する。位置情報553は、模擬対象の画像形成装置301のシート材の搬送路上の所定位置を定義する情報であり、時刻を計測する計測位置として使用される。時刻情報554は、基準トリガ551が発生したときを基準とした、位置情報553が示す各計測位置へのシート材の模擬動作における到達時刻を示している。図5に、定義情報格納部550が保持する情報例を示す。図5(a)において基準トリガは、ピックアップローラ302の駆動信号変化であり、図5(b)においては、TOP信号の変化である。位置情報553には、図4の複数の部材の位置が計測位置として設定されている。なお、位置は、カセット323と搬送路との接点を基準、つまり、位置0としている。また、時刻情報554には、基準トリガの発生を基準とした、各計測位置にシート材が到達する設計上の時刻が設定されている。なお、これら情報は、ユーザが予め作成して情報処理装置に設定しておく。
【0021】
検知部530の基準トリガ検知部531は、CPU501からの制御信号又は搬送部シミュレータ510からの位置情報から、基準トリガ情報551が指定する基準トリガの発生を検知する。また、計測位置到達検知部533は、搬送部シミュレータ510が算出するシート材の位置情報から、位置情報553が指定する各計測位置にシート材が達したか否かを検知する。検知部530は、基準トリガの発生又はシート材の各計測位置への到達を検出すると、グラフ作成部560にその旨を通知する。
【0022】
グラフ作成部560は、基準トリガ発生時の模擬時刻と、シート材が各計測位置に到達したときの時刻をCPUシミュレータ501から取得する。そして、模擬結果と設計値を示すグラフをそれぞれ作成して表示部561に表示する。ここで、模擬結果のグラフは、位置情報553が示す各計測位置と、各計測位置に到達したときの模擬時刻から作成する。また、設計値のグラフは、基準トリガの発生時の模擬時刻と、各計測位置についての時刻情報554から作成する。
【0023】
以下に、情報処理装置500におけるグラフ作成処理について、図6を用いて詳細に説明する。処理の開始により、検知部530は、基準トリガと、各計測位置へのシート材の到達を監視する。S1において、検知部530が基準トリガ又は各計測位置へのシート材の到達を検知すると、S2において、グラフ作成部560は、そのときの模擬時刻をCPUシミュレータ501から取得する。グラフ作成部560は、S3において、S1で検知したものが基準トリガであるか否かを判定し、基準トリガである場合には、S4において設計値のグラフを描画する。一方、S1において検知したものが計測位置への到達である場合には、S5において模擬結果のグラフを描画する。グラフ作成部560は、S6においてシート材が総ての計測位置を通過したか否かを判定し、総ての計測位置を通過するまで、検知部530及びグラフ作成部560は、S1からS5の処理を繰り返す。シート材が総ての計測位置を通過し、シート材の搬送に関する模擬動作が終了すると、グラフ作成部は、S7において模擬結果と設計値との差分に色付けを加える。
【0024】
以下、定義情報格納部550には、図5(b)の情報が設定されているものとして具体的に説明する。まず、搬送処理の模擬動作の開始により、S1において、シート材の先端部のセンサ304への到達を検出すると、グラフ作成部560は、S2において、模擬時刻をCPUシミュレータ501から取得する。このときの時刻が10500(ミリ秒)であるものとすると、図7に示す模擬時刻と位置との関係を示すグラフにおいて、グラフ作成部560は、S5において、時刻10500(ミリ秒)とセンサ304の位置との交点に、例えば、黒丸を描画する。なお、図7において縦軸は、部材の名前で表示しているが、搬送路上の位置、つまり、図5の位置情報を示すものである。続いて、時刻11500(ミリ秒)において、シート材の先端部のセンサ307への到達を検出したものとする。この場合、グラフ作成部560は、S5において、図7の時刻11500(ミリ秒)とセンサ307の位置との交点に、例えば、黒丸を描画し、各黒丸を結ぶ線も描画する。
【0025】
続いて、検知部560が、S1において、TOP信号の0から1への変化を検知し、このときの時刻が12500(ミリ秒)であるものとする。図5(b)に示す様に、設計値においては、センサ307には、基準トリガより300(ミリ秒)だけ速く到達するため、センサ307に到達する時刻の設計値は12200(ミリ秒)となる。したがって、グラフ作成部560は、S4において、図7の時刻12200(ミリ秒)とセンサ307の位置との交点に、例えば、黒の四角を描画する。同様に、グラフ作成部560は、S4において、位置情報553が示す他の総ての計測位置について、時刻の設計値を求めてその位置に黒の四角を描画し、さらに、図7に示す様に各黒の四角を結ぶ点線を描画する。なお、図7において、符号600は、基準トリガの検出時刻を示している。以後、総ての計測位置をシート材が通過するまで、上記処理を行うことで、図7に示す様に、模擬結果のグラフを完成させる。最後に、グラフ作成部560は、図7に示す様に、差分に色付けを行う。
【0026】
以上、搬送路上の位置と到達時刻の設計値における関係(第1の関係)と、模擬結果における搬送路の位置と到達時刻の関係(第2の関係)との差分をグラフで表示することができ、設計値からの差分の視認性が向上する。また、模擬結果と設計値の両方をグラフで描画するため、設計値との比較が簡便になり、ソフトウェアのバグの発見、誤動作原因の特定が容易になる。
【0027】
(第二実施形態)第一実施形態においては、模擬結果と設計値の両方をグラフで描画していた。本実施形態では、模擬結果の設計値に対する差分のみを表示する。以下、第一実施形態との相違点を中心に説明する。本実施形態における情報処理装置の構成は図1に示す第一実施形態と同じである。
【0028】
以下、図8を用いて本実施形態におけるグラフ作成処理について説明する。処理の開始により、検知部530は、S11において基準トリガ及び各計測位置へのシート材の到達を監視する。S11において、検知部530が基準トリガ又は各計測位置へのシート材の到達を検知すると、S12において、グラフ作成部560は、そのときの模擬時刻をCPUシミュレータ501から取得して保存する。S13において、グラフ作成部560は、シート材が、総ての計測位置を通過したか否かを判定し、総ての計測位置を通過するまで、検知部530及びグラフ作成部560はS11及びS12の処理を繰り返す。シート材が、総ての計測位置を通過すると、S14において、グラフ作成部560は、各計測位置について、設計値と模擬結果の時刻差を算出し、S15においてグラフを描画する。
【0029】
以下、定義情報格納部550には、図5(b)の情報が設定されているものとして具体的に説明する。例えば、センサ304への到達時刻が10500(ミリ秒)であり、センサ307への到達時刻が11500(ミリ秒)であり、基準トリガの検出時刻が12500(ミリ秒)であるものとする。設計値に対する時刻差は、
基準トリガ検出時刻+時刻情報が示す設計時刻−計測位置到達時刻
で計算され、センサ304における時刻差は+200(ミリ秒)となり、センサ307における時刻差は+700(ミリ秒)となる。なお、時刻差が正の値は、設計時刻より早くその位置に到達していることを示している。
【0030】
グラフ作成部560は、総ての計測位置について設計値との時刻差を求め、例えば、図9に示すグラフを描画する。なお、図9においても、時刻差が正の値は設計値より早く計測位置に到達していることを示し、負の値を設計値より遅れて計測位置に到達していることを示している。
【0031】
なお、図8に示すフローチャートは、各時刻のデータを記憶しておき、模擬動作終了後に一括して描画するものであったが、第一実施形態と同様に、模擬動作を行いつつグラフを描画することもできる。
【0032】
以上、模擬結果と設計値との時刻の差分をグラフ表示することで、時刻の差分の視認性が向上する。また、本実施形態においては、時刻の差分を表示するため、差分の発生箇所及びその値を素早く確認でき、ソフトウェアのバグの発見、誤動作原因の特定が容易になる。
【0033】
(第三実施形態)第一実施形態及び第二実施形態においては、計測位置に到達した時刻やその差分を表示していた。本実施形態においては、所定の時刻におけるシート材の位置と設計値の位置の差分を表示する。以下、第一実施形態との相違点を中心に説明する。図10は、本実施形態における情報処理装置のブロック図である。なお、図10において、CPUシミュレータ501及び搬送部シミュレータ510は、第一実施形態と同様であるため、その説明は省略する。本実施形態において定義情報格納部550に格納される各情報は、図1に示す第一実施形態と同様である。しかしながら、本実施形態において、時刻情報554が、計測時刻を示している。したがって、本実施形態において検知部530は、第一実施形態における計測位置到達検知部533に代えて、計測時刻検知部534を設けている。計測時刻検知部534は、基準トリガの検出後において、時刻情報554で定義される各計測時刻に達したことを検知する。
【0034】
以下に、本実施形態におけるグラフ作成処理について、図11を用いて詳細に説明する。処理の開始により、検知部530は、S21において基準トリガを監視する。検知部530が基準トリガを検知すると、S22において、グラフ作成部560は、そのときの模擬時刻をCPUシミュレータ501から取得する。検知部530は、S23において計測時刻になるまで待機し、計測時刻となるとその旨をグラフ作成部560に通知する。グラフ作成部は、計測時刻の通知を受けると、S24において、そのときのシート材の位置情報を取得し、S25において設計値との差を算出し、S26において算出した差分をグラフに描画する。グラフ作成部560は、総ての計測位置をシート材が通過したか否かをS27にて判定し、総ての計測位置を通過するまでS23からS26の処理を繰り返す。
【0035】
続いて、定義情報格納部550には、図5(a)の情報が設定されているものとして具体的に説明する。検知部530は、S21で基準トリガであるピックアップローラ302の駆動信号の0から1への変化を検知してグラフ作成部560に通知する。グラフ作成部560は、基準トリガ検出の通知により、S22においてCPUシミュレータ501から時刻情報を取得する。例えば、取得した時刻が10000(ミリ秒)であるものとする。続いて、検知部530の計測時刻検知部534は、模擬時刻を監視し、図5(a)に示す様に、センサ304へのシート材先端の到達時刻である500(ミリ秒)に達した場合、その旨をグラフ作成部560に通知する。グラフ作成部560は、検知部530から通知された場合、S24において、その時のシート材の先端の位置を搬送部シミュレータ510から取得する。例えば、このときのシート材先端の位置が、55(mm)であるとすると、設計値が50(mm)であるため、その差は+5(mm)となる。以後、同様に、各計測時刻でのシート材の位置を求め、各位置の設計値からの差分を求めることで、グラフ作成部560は、例えば、図12に示すグラフを作成する。なお、図12の横軸は模擬時刻であるが、図12においては、その時刻に設計上到達すべき位置に対応する部材で表示している。
【0036】
以上、本実施形態においては、差分の発生時刻や、その量の確認が簡便になり、ソフトウェアのバグの発見、誤動作原因の特定が容易になる。
【0037】
(第四実施形態)第三実施形態では、基準トリガの発生以後の各計測時刻における位置の差を取得するものであった。本実施形態では、基準トリガ発生前においても位置の差を取得することを可能にする。以下、第三実施形態との相違点を中心に説明する。図13は、本実施形態における情報処理装置のブロック図であり、図10に示す第三実施形態における情報処理装置に、ログ保存部580を設けたものである。
【0038】
ログ保存部580のログ取得頻度定義情報581は、ログの取得頻度を示す情報であり、CPUシミュレータ501の最小時刻単位以上の任意の値が設定される。ログ保存部580は、模擬時刻を監視し、ログの取得頻度毎に、シート材の位置情報を搬送部シミュレータ510から反復して取得し、取得したシート材の位置情報と、そのときの模擬時刻を関連付けてログ情報582として保存する。
【0039】
グラフ作成部560は、基準トリガの検出の通知を受けると、基準トリガ以前に計測時刻が存在するか否かを時刻情報554により判定する。存在する場合には、ログ保存部580が保存するログ情報582に基づき、基準トリガ以前の計測時刻における位置を取得して、グラフに描画する。
【0040】
以下に、本実施形態におけるグラフ作成処理について、図14を用いて詳細に説明する。処理の開始により、検知部530は、S31において基準トリガを監視する。検知部530が基準トリガを検知していない場合、ログ保存部580は、S37においてログ取得頻度定義情報581が定義する取得頻度によるログ取得タイミングであるか否かを判定する。ログ取得タイミングではない場合、処理はS31に戻り、ログ取得タイミングである場合、ログ保存部580は、S38において模擬時刻及びシート材の位置をログ情報582として保存する。
【0041】
S31において、検知部530が基準トリガを検知すると、S32において、グラフ作成部560は、そのときの模擬時刻及びシート材の位置をCPUシミュレータ501及び搬送部シミュレータ510から取得する。グラフ作成部560は、S33において、基準トリガ発生時の模擬時刻に基づき各計測位置における到達時刻を求め設計値のグラフを作成する。その後、検知部530は、S34において計測時刻になるまで待機し、計測時刻となるとその旨をグラフ作成部560に通知する。グラフ作成部は、計測時刻の通知を受けると、S35において、そのときのシート材の位置を取得して模擬結果のグラフを描画する。グラフ作成部560は、総ての計測位置をシート材が通過したか否かをS36にて判定し、総ての計測位置を通過するまでS34及びS35の処理を繰り返す。
【0042】
続いて、定義情報格納部550には、図5(b)の情報が設定されているものとして具体的に説明する。図5(b)の設定において、基準トリガは、/TOP信号の変化であるため、この変化を検出するまでログ保存部は、ログ取得頻度、例えば、1(ミリ秒)毎に、時刻とシート材の位置をログ情報582として保存する。その後、検知部530が基準トリガを検出すると、グラフ作成部560は、設計値のグラフを作成する。例えば、基準トリガの検出時刻が12500(ミリ秒)であり、そのときのシート材の位置が165(mm)とすると、図15の点線で示す設計値のグラフが得られる。なお、符号601は、基準トリガ検出時刻におけるシート材の位置を表している。
【0043】
S34において、グラフ作成部560は、既に経過した計測時刻が存在するか否かを判定する。図5(b)に示す様に、基準トリガ以前に、センサ304及び307に対応する計測時刻が存在している。したがって、S35において、グラフ作成部560は、センサ304及び307の計測時刻における位置情報をログ情報582から判定する。具体的には、センサ307の設計時刻は、基準トリガより1800(ミリ秒)早いため、12500−1800=10700(ミリ秒)におけるシート材の位置をログ情報582から判定してグラフを描画する。同様に、センサ304の設計時刻は、基準トリガより300(ミリ秒)早いため、12500−300=12200(ミリ秒)におけるシート材の位置をログ情報582から判定してグラフを描画する。その後は、計測時刻に到達する度に第三実施形態と同様に、計測時刻におけるシート材の位置を描画することで、例えば、図15の実線で示す模擬結果のグラフを描画する。
【0044】
以上、本実施形態においては基準トリガの発生以前においても計測時刻を設定することができる。つまり、任意の基準トリガを使用して位置の差分を判定することができる。
【0045】
(第五実施形態)第一から第四実施形態に置いては、シート材の先端位置のみを使用していた。しかしながら、搬送制御の評価においては、シート材の先端から後端までの長さや、シート材の間隔などの評価を行わなければならない場合がある。
【0046】
図16(a)において、シート材の長さは、そのシート材の先端と後端の位置の差分であるが、シート材に撓みが発生していると、シート材の先端と後端の差分はシート材本来の長さより短くなる。したがって、本来のシート材の長さと、先端と後端の差分の比較により撓みの大きさを求めることができる。また、図16(b)に示す様に、先行するシート材の後端と、後続するシート材の先端との差が、シート材の間隔であり、この値と設計値とを比較することで、設計値からの間隔の変動を判定することができる。本実施形態は、シート材の撓みや、間隔の差分をグラフ表示することで、設計値との差を視認させるものである。
【0047】
図17は、本実施形態における情報処理装置のブロック図である。図18において、CPUシミュレータ501と、搬送部シミュレータ510は、第一実施形態と同様であるため、その説明は省略する。本実施形態において、定義情報格納部590の基準点情報591は、シート材の長さ又は間隔を算出するための基準点である、第1基準点及び第2基準点を示す情報である。また、基準点差設計値情報593は、第1基準点と第2基準点との差分の設計値、つまり、シート材の長さ又は間隔の設計値を示す情報である。さらに、描画頻度情報594は、グラフの描画間隔を示し、CPUシミュレータの最小時刻単位以上の任意の値が設定される。定義情報格納部590のこれら情報は、予めユーザが作成して情報処理装置に設定しておく。
【0048】
図18は、定義情報格納部590に格納される情報の例である。図18(a)において、第1基準点は、X枚目(Xは、自然数)のシート材の先端であり、第2基準点は、第1基準点と同一のシート材であるX枚目のシート材の後端であり、シート材の長さを検証する場合のデータである。なお、補正値は、基準点を所定量移行させる必要がある場合に、その所定量を設定する。図18(a)において、長さの設計値は200(mm)であり、描画間隔として1(ミリ秒)が設定されている。一方、図18(b)において、第1基準点は、X枚目(Xは、自然数)のシート材の後端であり、第2基準点は、次の、つまりX+1枚目のシート材の先端であり、シート材の間隔について検証する場合のデータである。図18(b)において、間隔の設計値は20(mm)であり、描画間隔として1(ミリ秒)が設定されている。
【0049】
以下、本実施形態におけるグラフ作成処理について、図19を用いて詳細に説明する。処理の開始により、グラフ作成部560は、描画頻度情報594に基づき、描画タイミングになるまでS41において待機する。描画タイミングになると、グラフ作成部560は、S42においてグラフを描画する。具体的には、描画タイミングにおける模擬時刻に対する第1基準点と、第2基準点の搬送路上の位置を搬送部シミュレータ510から取得し、時刻と第1基準点及び第2基準点の位置をグラフにプロットする。グラフ作成部560は、S43において、シート材の搬送模擬動作が終了するまで、描画タイミングにおいて第1基準点及び第2基準点の位置をグラフにプロットして、例えば、図20に示すグラフを作成する。図20において、実線は、第1基準点の搬送状態を示しており、点線は第2基準点の搬送状態を示している。
【0050】
図20は、第1基準点及び第2基準点の搬送状態をそれぞれ示すものであったが、グラフ作成部560は、その差分も合わせて表示しても良い。具体的には、まず、第1基準点のグラフを、基準点差設計値情報593が示す値だけ、搬送路上流方向、つまり、図20の下方向に移動させる。このとき、例えば、第1の基準点と第2の基準点がそれぞれ理想的に搬送されているものとすると、両グラフは一致する。つまり、両グラフは重なる。しかしながら、いずれかの基準点が理想的に搬送されていない場合には、移動させた第1基準点のグラフと、第2基準点のグラフとの差は設計値からの差分を表している。なお、第2の基準点のグラフを、図20の上側に移動させる形態であっても良い。また、上記実施形態では、第1基準点のグラフを下方に設計値だけ移動させるとした。しかしながら、明らかであるが、その方向はグラフの描き方に依存するものである。よって、移動させる方向は、第1の基準点と第2の基準点が共に理想的に搬送されているとしたときに、設計値だけ移動させることで両グラフが重なる方向となる。さらに、図21に示す様に、任意の位置における第1基準点と第2基準点との差の、設計値との差分をグラフにする形態であっても良い。
【0051】
なお、描画間隔を時刻ではなく、例えば、第1基準点又は第2基準点が所定量移動する度に行う形態であっても良い。
【0052】
以上、本実施形態においては、あるシート材の撓みや、シート材の間隔の設計値からの差をグラフ表示でき、これにより、位置の差の設計値からのずれについての視認性が向上する。
【0053】
なお、上述した実施形態の内、模擬動作を行いつつグラフを描画していく形態は、各時刻のデータを記憶しておき、模擬動作終了後に一括して描画する形態とすることがきる。同様に、模擬動作終了後に一括して描画する形態は、模擬動作を行いつつグラフを描画していく形態とすることができる。また、各実施形態共、第一実施形態と同様に、設計値との差分に色付けして表示することができ、視認性を向上させることができる。さらに、各実施形態においては、一枚のシート材の搬送を行うものであったが、シート材の枚数には制限がない。つまり、例えば、検知部530が、どのシート材についてのものであるかを判定することで、任意の枚数のシート材についてグラフを作成することが可能である。
【0054】
さらに、各実施形態について、模擬結果と設計値のグラフを共に表示して差分を視認させることも、その差分のみを表示することもできる。また、模擬結果と設計値のグラフを共に表示する場合において、模擬結果が設計値の上側にある場合と、下側にある場合において異なる色付けを行う形態とすることもできる。また、総てのログ情報を読み込むことで、模擬動作終了後に、上記各実施形態で述べたグラフを、ユーザからの指示により作成する形態とすることもできる。
【0055】
以上、基準トリガに基づき搬送路上の位置と、その位置への設計上の到達時刻との第1の関係を求め、CPUシミュレータ501および搬送部シミュレータ510による模擬動作から搬送路上の位置と時刻との第2の関係を取得する。そして、第1の関係と第2の関係との差分を視認できる様に、グラフ表示することで、制御ソフトウェアの潜在的な問題の発見、誤動作発生時の原因特定が容易になる。
【0056】
また、搬送動作を模擬するシート材について、第1の基準点および第2の基準点を定義し、CPUシミュレータ501および搬送部シミュレータ510による模擬動作から両基準点の位置と時刻との関係である第1の関係及び第2の関係を求める。そして、第1の関係と第2の関係との差分を視認できる様に、グラフ表示することで、制御ソフトウェアの潜在的な問題の発見、誤動作発生時の原因特定が容易になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材搬送装置の制御部の動作を模擬するCPUシミュレータと、
前記CPUシミュレータから出力される信号に応じて、前記シート材搬送装置のシート材の搬送部の動作を模擬する搬送部シミュレータと、
前記CPUシミュレータおよび前記搬送部シミュレータによる前記シート材の搬送の模擬動作における基準トリガを定義する基準トリガ情報、前記シート材搬送装置の搬送路上の複数の位置を定義する位置情報、及び、前記基準トリガの発生を基準とした、前記位置情報が定義する各位置に前記シート材が到達する前記模擬動作における時刻の設計値を定義する時刻情報を格納する定義情報格納手段と、
前記基準トリガの発生を検知する検知手段と、
前記基準トリガの発生時刻及び前記時刻情報に基づき、前記模擬動作における時刻と前記位置情報が定義する各位置との設計値の関係である第1の関係を求め、前記模擬動作の結果から、前記模擬動作における時刻と前記シート材の前記搬送路上の位置との第2の関係を求め、前記第1の関係と前記第2の関係の差分を示すグラフを作成して表示するグラフ作成手段と、
を備えていることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記グラフ作成手段は、前記第1の関係のグラフと、前記第2の関係のグラフを共に表示することで、前記第1の関係と前記第2の関係の差分をグラフ表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記グラフ作成手段は、前記第1の関係のグラフと、前記2の関係のグラフの差分をグラフ表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記検知手段は、前記位置情報が定義する各位置への前記シート材の到達を検知し、
前記第2の関係は、前記位置情報が定義する各位置に前記シート材が到達した前記模擬動作における時刻から求めたものである、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記グラフ作成手段は、前記位置情報が定義する各位置における前記第1の関係が示す時刻と、前記第2の関係が示す時刻の差をグラフ表示する、
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記検知手段は、前記基準トリガを検知した後、前記時刻情報が定義する各時刻を検知し、
前記第2の関係は、前記検知手段が検知した各時刻における前記模擬動作での前記シート材の位置から求めたものである、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記基準トリガの発生前に、前記模擬動作における前記シート材の位置を反復して取得し、前記取得した位置とその時刻とを関連付けて保存するログ保存手段を更に備えており、
前記グラフ作成手段は、前記時刻情報が定義する各時刻のうち、前記基準トリガの発生前の時刻での前記模擬動作における前記シート材の位置を、前記ログ保存手段から取得して前記第2の関係に含める、
ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記グラフ作成手段は、前記時刻情報が定義する各時刻における前記第1の関係が示す位置と、前記第2の関係が示す位置との差分をグラフ表示する、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記基準トリガは、前記模擬動作を開始してからの前記模擬動作における経過時間、前記CPUシミュレータが出力する所定の信号、又は、前記搬送部シミュレータの模擬動作における前記シート材の所定の位置への到達である、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
シート材搬送装置の制御部の動作を模擬するCPUシミュレータと、
前記CPUシミュレータから出力される信号に応じて、前記シート材搬送装置のシート材の搬送部の動作を模擬する搬送部シミュレータと、
前記シート材について、第1の基準点および第2の基準点を定義する情報を格納する定義情報格納手段と、
前記CPUシミュレータおよび前記搬送部シミュレータによる前記シート材の搬送の模擬動作から、前記模擬動作における時刻と前記第1の基準点の位置との第1の関係と、前記模擬動作における時刻と前記第2の基準点の位置との第2の関係を求め、前記第1の関係と前記第2の関係の差分を示すグラフを作成して表示するグラフ作成手段と、
を備えていることを特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
前記グラフ作成手段は、前記第1の関係のグラフと、前記第2の関係のグラフを共に表示することで、前記第1の関係と前記第2の関係の差分をグラフ表示する、
ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記定義情報格納手段は、前記第1の基準点および前記第2の基準点との差の設計値を保持しており、
前記グラフ作成手段は、前記第1の関係のグラフと前記第2の関係のグラフが共に理想的な場合に前記第1の関係のグラフと前記第2の関係のグラフが重なる方向に、前記第1の関係のグラフ又は前記第2の関係のグラフを前記設計値だけ移動させて表示する、
ことを特徴とする請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記グラフ作成手段は、前記第1の関係のグラフと、前記第2の関係のグラフの差分をグラフ表示する、
ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記第1の基準点および前記第2の基準点は同一のシート材に対して定義されている、
ことを特徴とする請求項10から13のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記第2の基準点は、前記第1の基準点が定義されているシート材の次に搬送されるシート材に対して定義されている、
ことを特徴とする請求項10から13のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載の情報処理装置としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
シート材搬送装置の制御部の動作を模擬するCPUシミュレータと、
前記CPUシミュレータから出力される信号に応じて、前記シート材搬送装置のシート材の搬送部の動作を模擬する搬送部シミュレータと、
前記CPUシミュレータおよび前記搬送部シミュレータによる前記シート材の搬送の模擬動作における基準トリガを定義する基準トリガ情報、前記シート材搬送装置の搬送路上の複数の位置を定義する位置情報、及び、前記基準トリガの発生を基準とした、前記位置情報が定義する各位置に前記シート材が到達する前記模擬動作における時刻の設計値を定義する時刻情報を格納する定義情報格納手段と、
前記基準トリガの発生を検知する検知手段と、
前記基準トリガの発生時刻及び前記時刻情報に基づき、前記模擬動作における時刻と前記位置情報が定義する各位置との設計値の関係である第1の関係を求め、前記模擬動作の結果から、前記模擬動作における時刻と前記シート材の前記搬送路上の位置との第2の関係を求め、前記第1の関係と前記第2の関係の差分を示すグラフを作成して表示するグラフ作成手段と、
を備えていることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記グラフ作成手段は、前記第1の関係のグラフと、前記第2の関係のグラフを共に表示することで、前記第1の関係と前記第2の関係の差分をグラフ表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記グラフ作成手段は、前記第1の関係のグラフと、前記2の関係のグラフの差分をグラフ表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記検知手段は、前記位置情報が定義する各位置への前記シート材の到達を検知し、
前記第2の関係は、前記位置情報が定義する各位置に前記シート材が到達した前記模擬動作における時刻から求めたものである、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記グラフ作成手段は、前記位置情報が定義する各位置における前記第1の関係が示す時刻と、前記第2の関係が示す時刻の差をグラフ表示する、
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記検知手段は、前記基準トリガを検知した後、前記時刻情報が定義する各時刻を検知し、
前記第2の関係は、前記検知手段が検知した各時刻における前記模擬動作での前記シート材の位置から求めたものである、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記基準トリガの発生前に、前記模擬動作における前記シート材の位置を反復して取得し、前記取得した位置とその時刻とを関連付けて保存するログ保存手段を更に備えており、
前記グラフ作成手段は、前記時刻情報が定義する各時刻のうち、前記基準トリガの発生前の時刻での前記模擬動作における前記シート材の位置を、前記ログ保存手段から取得して前記第2の関係に含める、
ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記グラフ作成手段は、前記時刻情報が定義する各時刻における前記第1の関係が示す位置と、前記第2の関係が示す位置との差分をグラフ表示する、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記基準トリガは、前記模擬動作を開始してからの前記模擬動作における経過時間、前記CPUシミュレータが出力する所定の信号、又は、前記搬送部シミュレータの模擬動作における前記シート材の所定の位置への到達である、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
シート材搬送装置の制御部の動作を模擬するCPUシミュレータと、
前記CPUシミュレータから出力される信号に応じて、前記シート材搬送装置のシート材の搬送部の動作を模擬する搬送部シミュレータと、
前記シート材について、第1の基準点および第2の基準点を定義する情報を格納する定義情報格納手段と、
前記CPUシミュレータおよび前記搬送部シミュレータによる前記シート材の搬送の模擬動作から、前記模擬動作における時刻と前記第1の基準点の位置との第1の関係と、前記模擬動作における時刻と前記第2の基準点の位置との第2の関係を求め、前記第1の関係と前記第2の関係の差分を示すグラフを作成して表示するグラフ作成手段と、
を備えていることを特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
前記グラフ作成手段は、前記第1の関係のグラフと、前記第2の関係のグラフを共に表示することで、前記第1の関係と前記第2の関係の差分をグラフ表示する、
ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記定義情報格納手段は、前記第1の基準点および前記第2の基準点との差の設計値を保持しており、
前記グラフ作成手段は、前記第1の関係のグラフと前記第2の関係のグラフが共に理想的な場合に前記第1の関係のグラフと前記第2の関係のグラフが重なる方向に、前記第1の関係のグラフ又は前記第2の関係のグラフを前記設計値だけ移動させて表示する、
ことを特徴とする請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記グラフ作成手段は、前記第1の関係のグラフと、前記第2の関係のグラフの差分をグラフ表示する、
ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記第1の基準点および前記第2の基準点は同一のシート材に対して定義されている、
ことを特徴とする請求項10から13のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記第2の基準点は、前記第1の基準点が定義されているシート材の次に搬送されるシート材に対して定義されている、
ことを特徴とする請求項10から13のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載の情報処理装置としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−37546(P2013−37546A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173274(P2011−173274)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]