説明

情報処理装置及び情報処理方法

【課題】シェーマ画像を選択する際の医師の負担を軽減させる。
【解決手段】複数のシェーマ画像とシェーマ画像固有の特性情報とを予め対応付けて記憶させておく。対象医用画像の付帯情報を取得し、対象医用画像の付帯情報とシェーマ画像の特性情報とを比較し、比較結果に基づいて対象医用画像に類似するシェーマ画像を抽出する。具体的には、まず、部位に基づいてシェーマ画像を抽出し(ステップS22)、さらに、患者方向(ステップS25)、画像方向(ステップS28)、画像位置(ステップS33)、画像面積(ステップS37)に基づいてシェーマ画像を抽出する。そして、対象医用画像と抽出された各シェーマ画像との距離を算出し(ステップS42)、対象医用画像との距離が小さい順にシェーマ画像の候補に対して順番を付与する(ステップS43)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの医療機関において情報の電子化が図られており、患者を撮影した画像やカルテ(診察記録)、読影レポート等が電子化されている。診断対象となる画像についてカルテや読影レポートを作成する際には、撮影部位を模式化したシェーマ画像を用いて患部を示す場合が多い。シェーマ画像は、部位や方向毎に多数用意されており、医師が患者の病状や読影結果を記録するにあたって最も適したシェーマ画像を選択している。
【0003】
例えば、電子カルテにシェーマ図を添付する際に、医師が入力した部位名称に基づいてシェーマ図を選択する診療支援装置が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−312202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、予め多数用意されているシェーマ画像の中から人の目で最も適した画像を選び出さなくてはならないため、カルテや読影レポートを作成する際の医師の負担が大きかった。
【0005】
本発明は、上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、シェーマ画像を選択する際の医師の負担を軽減させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の情報処理装置は、複数のシェーマ画像と当該シェーマ画像固有の特性情報とが予め対応付けられて記憶されている記憶手段と、対象医用画像の付帯情報を取得し、当該取得された対象医用画像の付帯情報と前記記憶手段に記憶されているシェーマ画像の特性情報とを比較し、当該比較結果に基づいて前記対象医用画像に類似するシェーマ画像を抽出する制御手段と、を備える。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、前記シェーマ画像の特性情報及び前記対象医用画像の付帯情報は、部位、患者方向、画像方向、画像位置又は画像面積を示す情報を含む。
【0008】
請求項3に記載の情報処理方法は、複数のシェーマ画像と当該シェーマ画像固有の特性情報とを予め対応付けて記憶手段に記憶させておき、対象医用画像の付帯情報を取得し、当該取得された対象医用画像の付帯情報と前記記憶手段に記憶されているシェーマ画像の特性情報とを比較し、当該比較結果に基づいて前記対象医用画像に類似するシェーマ画像を抽出する。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の情報処理方法において、前記シェーマ画像の特性情報及び前記対象医用画像の付帯情報は、部位、患者方向、画像方向、画像位置又は画像面積を示す情報を含む。
【発明の効果】
【0010】
請求項1、3に記載の発明によれば、複数のシェーマ画像の中から対象医用画像に類似するシェーマ画像を抽出するので、シェーマ画像を選択する際の医師の負担を軽減させることができる。
【0011】
請求項2、4に記載の発明によれば、部位、患者方向、画像方向、画像位置又は画像面積を示す情報に基づいて、対象医用画像に類似するシェーマ画像を抽出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明に係る情報処理装置の一実施形態について説明する。
【0013】
[医用画像システムのシステム構成]
図1に、医用画像システム100のシステム構成を示す。図1に示すように、医用画像システム100は、RIS(Radiological Information System:放射線情報システム)10と、モダリティ20と、情報処理装置としての画像サーバ30と、読影端末40と、電子カルテ端末50とが通信ネットワークNを介して接続され、それぞれがデータ通信可能に接続されている。
【0014】
RIS10は、制御部、記憶部、操作部、表示部、通信部等を有するコンピュータにより構成され、放射線科部門内における診療予約、診断結果のレポート、実績管理、材料在庫管理等の情報管理を行う。RIS10は、オペレータによる検査オーダの登録を受け付け、その登録された検査オーダに基づいて検査オーダ情報を生成し、モダリティ20に送信する。検査オーダ情報とは、撮影や診断の検査オーダの内容を示すデータである。
【0015】
モダリティ20は、CR(Computed Radiography)装置、CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等の画像生成装置であり、RIS10から送信された検査オーダ情報に基づいて患者を撮影し、医用画像の画像データを生成する。また、モダリティ20は、撮影して得られた医用画像に、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則った付帯情報を付帯させてDICOMデータ361(図2参照)を生成し、画像サーバ30に送信する。
【0016】
付帯情報は、患者情報、部位、患者方向、画像方向、画像位置、画素間隔、画像サイズ、モダリティ20の種別やステーション名等を含む。患者情報は、患者の氏名、患者ID、性別等の患者毎に設定されたデータをいう。部位は、撮影の対象となる部位をいい、必要に応じて側性を含む。患者方向とは、画像を正面から見たときの画像の右方向及び下方向がそれぞれ患者の左・右・前・後・頭・足のいずれの方向に当たるかを示す情報をいう。画像方向とは、患者の右方向をX軸、患者の前方向をY軸、患者の頭方向をZ軸とする座標系における画像の右方向及び下方向に対応するベクトルをいう。なお、画像方向として方向余弦を用いてもよい。画像位置とは、画像の左上の頂点の位置を示す座標をいう。画素間隔とは、画像の横方向・縦方向のそれぞれについて1画素が何mmに相当するかを示す情報をいう。画像サイズとは、画像の横方向・縦方向のそれぞれの画素数を示す情報をいう。画素間隔及び画像サイズは、これらの情報に基づいて画像面積を算出することができるので、画像面積を示す情報に相当する。ステーション名とは、各施設で定義されたモダリティ20の名前をいい、撮影元を示す情報である。
【0017】
画像サーバ30は、モダリティ20からDICOMデータ361を受信し、当該DICOMデータ361を保存・管理する。画像サーバ30は、読影端末40からの要求に応じて、DICOMデータ361やシェーマ画像362(図2参照)を読影端末40に送信する。
【0018】
読影端末40は、DICOMデータ361に基づいて、医用画像の表示や、医用画像に関する各種情報を表示する装置である。読影端末40は、DICOMデータ361を取得するための取得要求を画像サーバ30に送信する。読影医等のユーザは、読影端末40において医用画像の読影を行う。また、読影端末40は、対象医用画像に類似するシェーマ画像362の候補を取得するための取得要求を画像サーバ30に送信する。対象医用画像とは、読影や診断の対象となる医用画像をいう。
【0019】
電子カルテ端末50は、電子カルテを作成する電子カルテ機能を有し、併せて参照医の診察に供するために、医用画像、読影レポートの表示を行う。
【0020】
[画像サーバの機能的構成]
図2に、画像サーバ30の機能的構成を示す。図2に示すように、画像サーバ30は、制御部31、操作部32、表示部33、通信部34、ROM(Read Only Memory)35、記憶部36等を備え、各部はバス37により接続されている。
【0021】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、画像サーバ30の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、操作部32から入力される操作信号又は通信部34により受信される指示信号に応じて、ROM35に記憶されている各種処理プログラムを読み出し、RAM内に形成されたワークエリアに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0022】
操作部32は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスとを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部31に出力する。
【0023】
表示部33は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成され、制御部31から入力される表示データに基づいて各種画面を表示する。
【0024】
通信部34は、LAN(Local Area Network)アダプタ、ルータ、TA(Terminal Adapter)等を備え、通信ネットワークNを介して接続されたモダリティ20、読影端末40等の外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0025】
ROM35は、不揮発性の半導体メモリ等により構成され、制御プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやファイル等を記憶している。
【0026】
記憶部36は、ハードディスク等の記憶装置であり、DICOMデータ361、シェーマ画像362、特性情報テーブル363、正規化テーブル364等のデータを記憶する。
【0027】
DICOMデータ361は、モダリティ20から受信したものであり、医用画像及び付帯情報(DICOMタグ)を含む。
【0028】
シェーマ画像362は、カルテや読影レポートに添付するための画像であり、部位や方向毎に予め複数用意されている。図3に、肺のシェーマ画像362の例を示す。
【0029】
特性情報テーブル363は、複数のシェーマ画像362とシェーマ画像固有の特性情報とが予め対応付けられているテーブルである。図4に、特性情報テーブル363のデータ構成を示す。図4に示すように、特性情報テーブル363は、シェーマ画像362のそれぞれについて、シェーマ画像362のファイル名、部位、患者方向、画像方向、画像位置、画素間隔、画像サイズが対応付けられている。図4に示す例では、ファイル名が「シェーマfile1」のシェーマ画像362の部位は「肺」であり、画像の右方向は「患者の右方向」であり、画像の下方向は「患者の足方向」である。また、画像の右方向を示すベクトルは(1,0,0)であり、画像の下方向を示すベクトルは(0,0,−1)である。また、画像の左上の頂点の位置を示す画像位置は(80,−300,0)である。また、横方向・縦方向の画素間隔はそれぞれ(1.0,1.0)であり、横方向・縦方向の画像サイズはそれぞれ(512,512)である。シェーマ画像362の画像方向及び画像位置は、図5に示すように、特定の部位(例えば首)を原点として患者の右方向をX軸、患者の前方向をY軸、患者の頭方向をZ軸とし、患者の身長を「1」として正規化した座標系(以下、正規化人体座標系という。)で示される。例えば、身長180cmの患者の場合には、1800mmを「1」とするように距離単位が設定される。
【0030】
正規化テーブル364は、対象医用画像とシェーマ画像362のマッチング精度を高めるために、対象医用画像を正規化人体座標系に変換するためのパラメータを定義したテーブルである。図6に、正規化テーブル364のデータ構成を示す。図6に示すように、正規化テーブル364は、各モダリティ20のステーション名及びモダリティ種別に対して、X,Y,Zの各値を一次変換する際の座標軸毎の係数及び定数が対応付けられている。例えば、対象医用画像の画像位置が(x1,y1,z1)の場合には、正規化後の画像位置は(係数X×x1+定数X,係数Y×y1+定数Y,係数Z×z1+定数Z)となる。これにより、モダリティ毎に異なっていた座標系の取り方が統一される。例えば、Mars1から送信された医用画像の画像位置が(-62.356404958678,-308.35640495868,95.1)の場合には、正規化後の画像位置は(84.8,-334.2,72.1)となる。正規化テーブル364は、例えば、身長180cmの患者の場合について予め定められているが、身長が異なる患者に対しては適宜補正することで対応可能である。
【0031】
制御部31は、通信部34を介して読影端末40からDICOMデータ361の取得要求を受信した場合に、要求されたDICOMデータ361を記憶部36から読み出し、通信部34を介して読影端末40に送信させる。
【0032】
また、制御部31は、通信部34を介して読影端末40から対象医用画像に類似するシェーマ画像362の候補の取得要求を受信した場合に、対象医用画像の付帯情報を取得し、取得された対象医用画像の付帯情報と記憶部36の特性情報テーブル363に記憶されているシェーマ画像362の特性情報とを比較し、比較結果に基づいて対象医用画像に類似するシェーマ画像362を抽出する。
【0033】
具体的には、制御部31は、読影対象のDICOMデータ361から対象医用画像の部位を取得し、特性情報テーブル363を参照して、対象医用画像の部位と同じ部位のシェーマ画像362を抽出する。
【0034】
制御部31は、読影対象のDICOMデータ361から対象医用画像の患者方向を取得し、特性情報テーブル363を参照して、部位に基づいて抽出されたシェーマ画像362の候補のうち、対象医用画像の患者方向とのなす角が45°以内の患者方向のシェーマ画像362を抽出する。
【0035】
制御部31は、読影対象のDICOMデータ361から対象医用画像の画像方向を取得し、特性情報テーブル363を参照して、患者方向に基づいて抽出されたシェーマ画像362の候補のうち、対象医用画像の画像方向とのなす角が45°以内の画像方向のシェーマ画像362を抽出する。具体的には、対象医用画像とシェーマ画像362の画像方向からそれぞれ各画像平面に対する法線ベクトルを求め、それらのなす角をθとする。そして、法線ベクトル同士の内積を各ベクトルの長さでそれぞれ割ってcosθを求め、その絶対値がcos45°以上のシェーマ画像362を候補として抽出する。
【0036】
制御部31は、読影対象のDICOMデータ361から対象医用画像のステーション名及び画像位置を取得し、正規化テーブル364を参照してステーション名に対応する係数及び定数を取得し、取得した係数及び定数を用いて対象医用画像の画像位置を正規化する。そして、制御部31は、特性情報テーブル363を参照して、画像方向に基づいて抽出されたシェーマ画像362の候補のうち、正規化された対象医用画像の画像位置からの距離が予め定められた値以下の画像位置のシェーマ画像362を抽出する。
【0037】
制御部31は、読影対象のDICOMデータ361から対象医用画像の画素間隔及び画像サイズを取得し、画像面積を算出する。具体的には、(横方向の画素間隔×横方向の画像サイズ)×(縦方向の画素間隔×縦方向の画像サイズ)により画像面積を算出する。そして、制御部31は、特性情報テーブル363の画素間隔及び画像サイズを参照して、画像位置に基づいて抽出されたシェーマ画像362の画像面積をそれぞれ算出し、対象医用画像の画像面積との差が予め定められた範囲内の画像面積のシェーマ画像362を抽出する。
【0038】
本実施の形態では、部位、患者方向、画像方向、画像位置、画像面積を判断基準として、順にシェーマ画像362の候補を絞り込んでいく場合について説明するが、これらの判断基準の優先順位は任意に変更可能である。また、部位、患者方向、画像方向、画像位置、画像面積に基づく各判断において、シェーマ画像362の候補の数が予め定められた数(K個)以下になった場合には、シェーマ画像362の候補の抽出を終了し、優先順位の低い判断基準に基づくシェーマ画像362の抽出は行わないこととする。
【0039】
なお、各判断に必要な情報が対象医用画像の付帯情報に含まれていない場合には、その判断基準に基づくシェーマ画像362の抽出は省略する。例えば、付帯情報に患者方向、画像方向の両方が含まれている場合もあるが、いずれか一方のみが含まれている場合もある。一般的に、モダリティ20がCRの場合には付帯情報に患者方向が含まれており、モダリティ20がCTやMRIの場合には付帯情報に画像方向が含まれている。
【0040】
制御部31は、読影対象のDICOMデータ361から対象医用画像のステーション名、画像位置、画像方向、画素間隔、画像サイズを取得し、画像位置、画像方向、画素間隔、画像サイズに基づいて、対象医用画像の4つの頂点の位置を算出する。具体的には、対象医用画像の左上の頂点の座標は、画像位置と同一である。また、(横方向の画素間隔×横方向の画像サイズ)により横方向の実際の長さを求め、(縦方向の画素間隔×縦方向の画像サイズ)により縦方向の実際の長さを求め、画像位置から画像方向の2方向(横方向・縦方向)にそれぞれ横方向の長さ、縦方向の長さだけ移動した位置を対象医用画像の右上の頂点の座標、左下の頂点の座標として求める。対象医用画像の右下の頂点の座標は、既に求められている3つの頂点の座標から算出する。そして、制御部31は、正規化テーブル364を参照してステーション名に対応する係数及び定数を取得し、取得した係数及び定数を用いて対象医用画像の4つの頂点の位置を正規化する。同様に、制御部31は、特性情報テーブル363の画像位置、画像方向、画素間隔、画像サイズを参照して、上述した判断基準によって抽出された各シェーマ画像362の4つの頂点位置を算出する。そして、制御部31は、正規化された対象医用画像の頂点位置とシェーマ画像362の頂点位置に基づいて、両画像の距離を算出する。
【0041】
ここで、シェーマ画像362と正規化された対象医用画像の距離の算出方法を説明する。
シェーマ画像362と正規化された対象医用画像が交差している場合には、両画像の距離を0とする。例えば、図7に示すように、シェーマ画像362の4つの頂点P1,P2,P3,P4からそれぞれ正規化された対象医用画像へ垂直に下ろした4つのベクトルV1,V2,V3,V4のうち、各ベクトルの内積が負になる組み合わせが存在する場合には、両画像は交差していると判定し、シェーマ画像362と正規化された対象医用画像の距離は0とする。
【0042】
シェーマ画像362と正規化された対象医用画像が交差していない場合には、図8に示すように、シェーマ画像362の4つの頂点P1,P2,P3,P4からそれぞれ正規化された対象医用画像へ垂直に下ろした4つのベクトルV1,V2,V3,V4のうち、最短のベクトルの長さをシェーマ画像362と正規化された対象医用画像の距離とする。ただし、シェーマ画像362の4つの頂点からそれぞれ正規化された対象医用画像へ垂直に下ろした4つのベクトルの終点が全て正規化された対象医用画像の範囲外である場合には、シェーマ画像362の4つの頂点と正規化された対象医用画像の4つの頂点のそれぞれの組み合わせの距離のうち最短のものを近似的に両画像の距離とする。
【0043】
制御部31は、抽出されたシェーマ画像362の候補に対して、正規化された対象医用画像との距離が小さい順に順番を付与し、この順番を示す情報(以下、順番情報という。)をシェーマ画像362の候補とともに通信部34を介して読影端末40に送信させる。
【0044】
[読影端末の機能的構成]
図9に、読影端末40の機能的構成を示す。図9に示すように、読影端末40は、制御部41、操作部42、表示部43、通信部44、ROM45、記憶部46等を備え、各部はバス47により接続されている。
【0045】
制御部41は、CPU、RAM等から構成され、読影端末40の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、操作部42から入力される操作信号又は通信部44により受信される指示信号に応じて、ROM45に記憶されている各種処理プログラムを読み出し、RAM内に形成されたワークエリアに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0046】
操作部42は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスとを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部41に出力する。
【0047】
表示部43は、LCDにより構成され、制御部41から入力される表示データに基づいて各種画面を表示する。
【0048】
通信部44は、LANアダプタ、ルータ、TA等を備え、通信ネットワークNを介して接続された画像サーバ30等の外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0049】
ROM45は、不揮発性の半導体メモリ等により構成され、制御プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやファイル等を記憶している。
【0050】
記憶部46は、ハードディスク等の記憶装置であり、各種データを記憶する。
【0051】
[医用画像システムの動作]
次に、図10を参照して、読影端末40において読影が行われる際の画像サーバ30及び読影端末40の動作を説明する。
まず、読影端末40において、読影医の操作部42からの操作によって、画像サーバ30の記憶部36に記憶されているDICOMデータ361のうち読影対象となる医用画像のDICOMデータ361が選択され(ステップS1)、制御部41により、選択されたDICOMデータ361の取得要求が通信部44を介して画像サーバ30に送信される(ステップS2)。
【0052】
画像サーバ30では、通信部34により、読影端末40から送信されたDICOMデータ361の取得要求が受信される。そして、制御部31により、読影端末40において選択されたDICOMデータ361が記憶部36から読み出され、通信部34を介して読影端末40に送信される(ステップS3)。
【0053】
読影端末40では、通信部44により、画像サーバ30から送信されたDICOMデータ361が受信され、制御部31により、DICOMデータ361に基づいて表示部43に対象医用画像が表示される(ステップS4)。そして、読影医により対象医用画像の読影が開始される(ステップS5)。
【0054】
次に、読影端末40において、読影医の操作部42からの操作によってシェーマ画像362の添付が指示されると、画像サーバ30の記憶部36に記憶されているシェーマ画像362のうち対象医用画像に類似するシェーマ画像362の候補の取得要求が通信部44を介して画像サーバ30に送信される(ステップS6)。
【0055】
画像サーバ30では、通信部34により、読影端末40から送信されたシェーマ画像362の候補の取得要求が受信され、制御部31により、シェーマ画像候補抽出処理が行われる(ステップS7)。
【0056】
ここで、図11を参照して、シェーマ画像候補抽出処理について説明する。シェーマ画像候補抽出処理は、制御部31のCPUとROM35に記憶されているプログラムとの協働により実現される。
【0057】
まず、制御部31により、読影対象のDICOMデータ361から対象医用画像の部位が取得される(ステップS21)。そして、制御部31により、特性情報テーブル363が参照され、対象医用画像の部位と同じ部位のシェーマ画像362が候補として抽出される(ステップS22)。ここで、制御部31により、シェーマ画像362の候補の数がK個以下であるか否かが判断される(ステップS23)。
【0058】
部位に基づいて抽出されたシェーマ画像362の候補の数がK個より多い場合には(ステップS23;NO)、制御部31により、読影対象のDICOMデータ361から対象医用画像の患者方向が取得される(ステップS24)。そして、制御部31により、特性情報テーブル363が参照され、部位に基づいて抽出されたシェーマ画像362の候補のうち、対象医用画像の患者方向とのなす角が45°以内の患者方向のシェーマ画像362が候補として抽出される(ステップS25)。ここで、制御部31により、シェーマ画像362の候補の数がK個以下であるか否かが判断される(ステップS26)。
【0059】
患者方向に基づいて抽出されたシェーマ画像362の候補の数がK個より多い場合には(ステップS26;NO)、制御部31により、読影対象のDICOMデータ361から対象医用画像の画像方向が取得される(ステップS27)。そして、制御部31により、特性情報テーブル363が参照され、患者方向に基づいて抽出されたシェーマ画像362の候補のうち、対象医用画像の画像方向とのなす角が45°以内の画像方向のシェーマ画像362が候補として抽出される(ステップS28)。具体的には、対象医用画像とシェーマ画像362の画像方向からそれぞれ求めた各画像平面に対する法線ベクトル同士の内積を、各ベクトルの長さでそれぞれ割って求めたcosθの絶対値がcos45°以上のシェーマ画像362が候補として抽出される。ここで、制御部31により、シェーマ画像362の候補の数がK個以下であるか否かが判断される(ステップS29)。
【0060】
画像方向に基づいて抽出されたシェーマ画像362の候補の数がK個より多い場合には(ステップS29;NO)、制御部31により、読影対象のDICOMデータ361から対象医用画像のステーション名及び画像位置が取得される(ステップS30)。そして、制御部31により、正規化テーブル364からステーション名に対応する係数及び定数が取得され(ステップS31)、取得された係数及び定数を用いて対象医用画像の画像位置が正規化される(ステップS32)。次に、制御部31により、特性情報テーブル363が参照され、画像方向に基づいて抽出されたシェーマ画像362の候補のうち、正規化された対象医用画像の画像位置からの距離が予め定められた値以下の画像位置のシェーマ画像362が候補として抽出される(ステップS33)。ここで、制御部31により、シェーマ画像362の候補の数がK個以下であるか否かが判断される(ステップS34)。
【0061】
画像位置に基づいて抽出されたシェーマ画像362の候補の数がK個より多い場合には(ステップS34;NO)、制御部31により、読影対象のDICOMデータ361から対象医用画像の画素間隔及び画像サイズが取得され(ステップS35)、対象医用画像の画像面積が算出される(ステップS36)。具体的には、(横方向の画素間隔×横方向の画像サイズ)×(縦方向の画素間隔×縦方向の画像サイズ)により画像面積が算出される。そして、制御部31により、特性情報テーブル363の画素間隔及び画像サイズが参照され、画像位置に基づいて抽出されたシェーマ画像362の画像面積がそれぞれ算出され、対象医用画像の画像面積との差が予め定められた範囲内の画像面積のシェーマ画像362が候補として抽出される(ステップS37)。
【0062】
ステップS23、ステップS26、ステップS29又はステップS34においてシェーマ画像362の候補の数がK個以下の場合(ステップS23;YES、ステップS26;YES、ステップS29;YES、ステップS34;YES)、又は、ステップS37の後、制御部31により、読影対象のDICOMデータ361から対象医用画像のステーション名、画像位置、画像方向、画素間隔、画像サイズが取得され(ステップS38)、画像位置、画像方向、画素間隔、画像サイズに基づいて、対象医用画像の4つの頂点の位置が算出される(ステップS39)。そして、制御部31により、正規化テーブル364からステーション名に対応する係数及び定数が取得され(ステップS40)、取得された係数及び定数を用いて対象医用画像の4つの頂点の位置が正規化される(ステップS41)。
【0063】
次に、制御部31により、抽出されたシェーマ画像362の候補について、特性情報テーブル363の画像位置、画像方向、画素間隔、画像サイズが参照され、シェーマ画像362の4つの頂点位置が算出される。そして、制御部31により、正規化された対象医用画像の頂点位置と各シェーマ画像362の頂点位置に基づいて、正規化された対象医用画像と各シェーマ画像362の距離が算出され(ステップS42)、抽出されたシェーマ画像362の候補に対して、正規化された対象医用画像との距離が小さいものから順に順番が付与される(ステップS43)。
【0064】
次に、図10に示すように、制御部31により、シェーマ画像候補抽出処理において抽出されたシェーマ画像362の候補及び順番情報が通信部34を介して読影端末40に送信される(ステップS8)。
【0065】
読影端末40では、通信部44により、画像サーバ30から送信されたシェーマ画像362の候補及び順番情報が受信され、制御部31により、複数のシェーマ画像362が対象医用画像との距離が小さい順に並べられて表示部43に表示される(ステップS9)。
【0066】
次に、読影医の操作部42からの操作によって、表示部43に表示されているシェーマ画像362の中から、読影レポートに添付するためのシェーマ画像362が選択され(ステップS10)、選択されたシェーマ画像362が読影レポートに添付される(ステップS11)。
【0067】
以上説明したように、画像サーバ30によれば、複数のシェーマ画像362の中から対象医用画像に類似するシェーマ画像362を抽出するので、抽出されたシェーマ画像362の候補の中から使用するシェーマ画像362を選択すればよい。したがって、シェーマ画像362を選択する際の医師の負担を軽減させることができる。
【0068】
また、シェーマ画像362の特性情報及び対象医用画像の付帯情報に含まれる部位、患者方向、画像方向、画像位置又は画像面積を示す情報に基づいて、対象医用画像に類似するシェーマ画像362を抽出することができる。
【0069】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る情報処理装置の例であり、これに限定されるものではない。装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0070】
例えば、上記実施の形態では、シェーマ画像362の画像面積を算出する際に用いる特性情報として、特性情報テーブル363に画素間隔及び画像サイズが格納されていることとしたが、これらの情報に代えて画像面積が格納されていてもよい。また、上記実施の形態では、シェーマ画像362の頂点を算出する際に用いる特性情報として、特性情報テーブル363に画像位置、画像方向、画素間隔及び画像サイズが格納されていることとしたが、これらの情報に代えて4つの頂点の位置が格納されていてもよい。
【0071】
また、上記実施の形態では、画像サーバ30が対象医用画像に類似するシェーマ画像362を抽出する場合について説明したが、画像サーバ30以外の他の装置がシェーマ画像362を保存・管理している場合には、当該他の装置がシェーマ画像362の抽出を行えばよい。例えば、電子カルテ端末50にシェーマ画像362と特性情報とが対応付けられて記憶されている場合には、読影端末40から読影中の対象医用画像の付帯情報を電子カルテ端末50に送信し、電子カルテ端末50において読影端末40から受信した付帯情報とシェーマ画像362の特性情報とに基づいて対象医用画像に類似するシェーマ画像362を抽出し、読影端末40に送信すればよい。
【0072】
以上の説明では、各処理を実行するためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な媒体としてROM35,45を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】医用画像システムのシステム構成図である。
【図2】画像サーバの機能的構成を示すブロック図である。
【図3】肺のシェーマ画像の例である。
【図4】特性情報テーブルのデータ構成例である。
【図5】正規化人体座標系を説明するための図である。
【図6】正規化テーブルのデータ構成例である。
【図7】シェーマ画像と対象医用画像が交差している場合の距離の算出方法を説明するための図である。
【図8】シェーマ画像と対象医用画像が交差していない場合の距離の算出方法を説明するための図である。
【図9】読影端末の機能的構成を示すブロック図である。
【図10】読影端末において読影が行われる際の画像サーバ及び読影端末の動作を示すラダーチャートである。
【図11】画像サーバにおいて実行されるシェーマ画像候補抽出処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
10 RIS
20 モダリティ
30 画像サーバ
31 制御部
32 操作部
33 表示部
34 通信部
35 ROM
36 記憶部
361 DICOMデータ
362 シェーマ画像
363 特性情報テーブル
364 正規化テーブル
37 バス
40 読影端末
41 制御部
42 操作部
43 表示部
44 通信部
45 ROM
46 記憶部
47 バス
50 電子カルテ端末
100 医用画像システム
N 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシェーマ画像と当該シェーマ画像固有の特性情報とが予め対応付けられて記憶されている記憶手段と、
対象医用画像の付帯情報を取得し、当該取得された対象医用画像の付帯情報と前記記憶手段に記憶されているシェーマ画像の特性情報とを比較し、当該比較結果に基づいて前記対象医用画像に類似するシェーマ画像を抽出する制御手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記シェーマ画像の特性情報及び前記対象医用画像の付帯情報は、部位、患者方向、画像方向、画像位置又は画像面積を示す情報を含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
複数のシェーマ画像と当該シェーマ画像固有の特性情報とを予め対応付けて記憶手段に記憶させておき、
対象医用画像の付帯情報を取得し、
当該取得された対象医用画像の付帯情報と前記記憶手段に記憶されているシェーマ画像の特性情報とを比較し、
当該比較結果に基づいて前記対象医用画像に類似するシェーマ画像を抽出する情報処理方法。
【請求項4】
前記シェーマ画像の特性情報及び前記対象医用画像の付帯情報は、部位、患者方向、画像方向、画像位置又は画像面積を示す情報を含む、
請求項3に記載の情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−151651(P2009−151651A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−330390(P2007−330390)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】