説明

情報処理装置及び診断方法

【課題】予備系のインタフェースを動作させることによる影響を低減しつつ、予備系のインタフェースの診断を行うこと
【解決手段】運用系インタフェース部と、待機系インタフェース部と、外部装置をインタフェース部のいずれかと接続する第1の切り替え部と、内部処理部をインタフェース部のいずれかと接続する第2の切り替え部と、制御部を備え、制御部は、運用系インタフェース部における情報の処理状況が予め定めた条件を満たす場合、第1の切り替え部に、外部装置から入力された情報を運用系インタフェース部と待機系インタフェース部に出力させ、かつ比較対象情報として格納させ、第2の切り替え部に、待機系インタフェース部によって処理された後に出力された情報を折り返して待機系インタフェース部に入力させ、第1の切り替え部に、待機系インタフェース部より出力された情報と、比較対象情報とを比較することにより診断を実行させる情報処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ATM(Asynchronous Transfer Mode:非同期転送モード)装置には、ATM伝送路の終端となる伝送路終端部を、運用系と待機系の冗長構成としているものがある。この場合、運用系の伝送路終端部が上位装置とATMセルの送受信を行っている。つまり、伝送路終端部は、上位装置に対するインタフェースとして機能する。そして、運用系の伝送路終端部に異常が発生した場合、直ちに待機系の伝送路終端部での運用に切り替えて、待機系の伝送路終端部が上位装置とATMセルの送受信を開始する。このようにして、ATM装置は、運用系の伝送路終端部に故障等の異常が発生しても、ATMセルの送受信の継続を可能として、運用が中断しないようにしている。
【0003】
しかしながら、待機系の伝送路終端部での運用に切り替えたときに、待機系の伝送路終端部が既に異常となっていた場合、ATM装置は、上位装置とのATMセルの送受信が正常に行えないため、運用が中断してしまうことがあった。
【0004】
ここで、特許文献1には、現用系の多重化回路の入力端子に供給中の信号を待機予備系における折り返し試験用の信号として、待機予備系の多重化回路の対応の入力端子に供給する構成が開示されている。これによって、試験パターン発生回路が不要となり、障害検出部を含めた多重化装置全体が簡易・安価にしている。
【0005】
また、特許文献2には、回路規模の増大を招くことなく予備系の診断を適確に行うことができる信号処理システムが開示されている。この信号処理システムは、動作信号処理系に入力される低次群信号を待機信号処理系に分岐供給する低次群信号選択盤と、低次群信号選択盤に入力される低次群信号を所定の時間遅延させるメモリと、信号処理系で処理して得られた高次群信号を、その信号処理系の入力信号として折り返す高次群インタフェースと、折り返された高次群信号を処理して得られた低次群信号とメモリにて遅延された低次群信号とを比較する比較器を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平02−025129号公報
【特許文献2】特開平05−284133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1、2に開示の技術を適用して、予備系のインタフェースにも信号を供給して、予備系のインタフェースの障害検出又は診断を行う場合、運用系のインタフェースのみならず、予備系のインタフェースも動作させることになる。そのため、消費電力が増加してしまうという問題がある。また、予備系のインタフェースの回路劣化を招いてしまうという問題がある。
【0008】
しかし、特許文献1、2は、予備系のインタフェースにも信号を供給して、予備系のインタフェースの診断を行う場合において、予備系のインタフェースを動作させることによる影響を低減するための具体的な技術を開示したものではない。
【0009】
本発明の目的は、上述した課題を解決するために、予備系のインタフェースを動作させることによる影響を低減しつつ、予備系のインタフェースの診断を行うことができる情報処理装置及び診断方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様にかかる情報処理装置は、運用系インタフェース部と、前記運用系インタフェース部と代替して使用される待機系インタフェース部と、外部装置を前記運用系インタフェース部及び前記待機系インタフェース部のいずれかと選択的に接続するための第1の切り替え部と、内部処理部を前記運用系インタフェース部及び前記待機系インタフェース部のいずれかと選択的に接続するための第2の切り替え部と、前記第1の切り替え部と第2の切り替え部を制御する制御部とを備えた情報処理装置であって、前記制御部は、前記運用系インタフェース部における情報の処理状況が予め定めた条件を満たす場合に、前記待機系インタフェース部の診断を行う診断モードと決定し、さらに、当該診断モードと決定した場合に当該制御部は、前記第1の切り替え部に対して、前記外部装置から入力された情報を前記運用系インタフェース部とともに前記待機系インタフェース部に対しても出力し、かつ比較対象情報として格納する第1の処理を実行させ、前記第2の切り替え部に対して、前記第1の処理によって前記待機系インタフェース部に入力され、当該待機系インタフェース部によって処理された後に出力された情報を折り返して待機系インタフェース部に対して入力する第2の処理を実行させ、前記第1の切り替え部に対して、前記第2の処理によって前記待機系インタフェース部に対して入力され、当該待機系インタフェース部より出力された情報と、前記第1の処理において格納された比較対象情報とを比較することにより診断を実行させるものである。
【0011】
本発明の第2の態様にかかる診断方法は、運用系インタフェース部と、前記運用系インタフェース部と代替して使用される待機系インタフェース部と、外部装置を前記運用系インタフェース部及び前記待機系インタフェース部のいずれかと選択的に接続するための第1の切り替え部と、内部処理部を前記運用系インタフェース部及び前記待機系インタフェース部のいずれかと選択的に接続するための第2の切り替え部と、を備えた情報処理装置における前記待機系インタフェース部の診断方法であって、前記運用系インタフェース部における情報の処理状況が予め定めた条件を満たすか否かを判定することにより、前記待機系インタフェース部の診断を行う診断モードに移行するか否かを決定する判定ステップと、前記判定ステップにおいて、当該診断モードに移行すると決定した場合に、前記待機系インタフェース部の診断を実行する診断実行ステップとを備えた診断方法であって、前記診断実行ステップは、前記第1の切り替え部が、前記外部装置から入力された情報を前記運用系インタフェース部とともに前記待機系インタフェース部に対しても出力し、かつ比較対象情報として格納する第1のステップと、前記第2の切り替え部が、前記第1のステップによって前記待機系インタフェース部に入力され、当該待機系インタフェース部によって処理された後に出力された情報を折り返して待機系インタフェース部に対して入力する第2のステップと、前記第1の切り替え部が、前記第2のステップによって前記待機系インタフェース部に対して入力され、当該待機系インタフェース部より出力された情報と、前記第1のステップにおいて格納された比較対象情報とを比較することにより診断を実行する第3のステップと、を備えたものである。
【0012】
本発明の第3の態様にかかる診断プログラムは、運用系インタフェース部と、前記運用系インタフェース部と代替して使用される待機系インタフェース部と、外部装置を前記運用系インタフェース部及び前記待機系インタフェース部のいずれかと選択的に接続するための第1の切り替え部と、内部処理部を前記運用系インタフェース部及び前記待機系インタフェース部のいずれかと選択的に接続するための第2の切り替え部と、を備えた情報処理装置における前記待機系インタフェース部の診断プログラムであって、前記運用系インタフェース部における情報の処理状況が予め定めた条件を満たす場合に、前記待機系インタフェース部の診断を行う診断モードと決定するステップと、さらに、当該診断モードと決定した場合に、前記第1の切り替え部に対して、前記外部装置から入力された情報を前記運用系インタフェース部とともに前記待機系インタフェース部に対しても出力し、かつ比較対象情報として格納する第1の処理を実行させ、前記第2の切り替え部に対して、前記第1の処理によって前記待機系インタフェース部に入力され、当該待機系インタフェース部によって処理された後に出力された情報を折り返して待機系インタフェース部に対して入力する第2の処理を実行させ、前記第1の切り替え部に対して、前記第2の処理によって前記待機系インタフェース部に対して入力され、当該待機系インタフェース部より出力された情報と、前記第1の処理において格納された比較対象情報とを比較することにより診断を実行させるステップと、を情報処理装置に実行させるものである。
【発明の効果】
【0013】
上述した本発明の各態様により、予備系のインタフェースを動作させることによる影響を低減しつつ、予備系のインタフェースの診断を行うことができる情報処理装置及び診断方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる情報処理装置及びその周辺装置の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかるATM装置及びその周辺装置の構成図である。
【図3】運用系運用モード時における運用系待機系選択回路及びATMセル折り返し回路の状態例を示す図である。
【図4】待機系運用モード時における運用系待機系選択回路及びATMセル折り返し回路の状態例を示す図である。
【図5】診断モード時における運用系待機系選択回路及びATMセル折り返し回路の状態例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1にかかるATM装置の運用系待機系切り替え処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態1.
まず、図1を参照して、本発明の実施の形態1にかかるATM装置の概要となる情報処理装置について説明する。図1は、本発明の実施の形態1にかかる情報処理装置及びその周辺装置の構成図である。
【0016】
情報処理装置7は、運用系インタフェース部71、待機系インタフェース部72、第1の切り替え部73、第2の切り替え部74、制御部75、内部処理部76を備える。情報処理装置7は、伝送路によって外部装置8と接続される。
【0017】
運用系インタフェース部71は、外部装置8と、内部処理部76間のインタフェースとして機能する。
待機系インタフェース部72は、運用系インタフェース部71と代替して使用され、外部装置8と、内部処理部76間のインタフェースとして機能する。
第1の切り替え部73は、外部装置8を運用系インタフェース部71及び待機系インタフェース部72のいずれかと選択的に接続する。
第2の切り替え部74は、内部処理部76を運用系インタフェース部71及び待機系インタフェース部72のいずれかと選択的に接続する。
制御部75は、第1の切り替え部73と第2の切り替え部74を制御する。
内部処理部76は、第2の切り替え部74から入力された情報に応じた処理を実行する。
【0018】
続いて、本発明の実施の形態1にかかる情報処理装置の動作について説明する。
制御部75は、運用系インタフェース部71における情報の処理状況が予め定めた条件を満たすか否かを判定する。そして、運用系インタフェース部71における情報の処理状況が予め定めた条件を満たす場合に、待機系インタフェース部72の診断を行う診断モードと決定する。
【0019】
そして、制御部75は、診断モードと決定した場合に、第1の切り替え部73に対して、外部装置8から入力された情報を運用系インタフェース部71とともに待機系インタフェース部72に対しても出力し、かつ比較対象情報として格納する第1の処理を実行させる。
【0020】
次に、制御部75は、第2の切り替え部74に対して、第1の処理によって待機系インタフェース部72に入力され、待機系インタフェース部72によって処理された後に出力された情報を折り返して待機系インタフェース部72に対して入力する第2の処理を実行させる。
【0021】
次に、制御部75は、第1の切り替え部73に対して、第2の処理によって待機系インタフェース部72に対して入力され、待機系インタフェース部72より出力された情報と、第1の処理において格納された比較対象情報とを比較することにより診断を実行させる。
【0022】
続いて、図2を参照して、本発明の実施の形態1にかかるATM装置について説明する。図2は、本発明の実施の形態1にかかるATM装置及びその周辺装置の構成図である。
【0023】
ATM装置1は、運用系待機系切り替え部10、伝送路終端部群20、ATMスイッチ30、制御部40及び各機能部50を備える。運用系待機系切り替え部10は、運用系待機系選択回路11、12及びATMセル比較回路13を有する。伝送路終端部群20は、運用系伝送路終端部21及び待機系伝送路終端部22を冗長構成として有する。ATMスイッチ30は、運用系待機系選択回路31及びATMセル折り返し回路32を有する。また、ATM装置1は、伝送路によって上位装置2と接続される。
【0024】
ATM装置1は、上位装置2との間で、ATMセルを送受信することで運用を行う装置である。ATM装置1は、例えば、基地局装置である。
上位装置2は、ATM装置1との間で、ATMセルを送受信することで、ATM装置1を管理・制御する装置である。上位装置2は、運用系伝送路終端部21及び待機系伝送路終端部22のいずれかによって、ATM装置1と通信を行う。上位装置2は、例えば、基地局制御装置(RNC:Radio Network Controller)である。
【0025】
運用系待機系切り替え部10は、上位装置2を、運用系伝送路終端部21及び待機系伝送路終端部22のいずれかと選択的に接続する。つまり、運用系伝送路終端部21及び待機系伝送路終端部22のいずれかを選択して、選択した伝送路終端部と、上位装置2との間で、ATMセルの送受信を可能とする。なお、上位装置2から運用系待機系切り替え部10が受信したATMセルは、運用系待機系選択回路12及びATMセル比較回路13に入力される。運用系待機系切り替え部10は、第1の切り替え部73として機能する。
【0026】
運用系待機系選択回路11は、運用系伝送路終端部21及び待機系伝送路終端部22のいずれかを選択して、選択した伝送路終端部から出力されたATMセルを、上位装置2に出力する。また、運用系待機系選択回路11は、運用系伝送路終端部21及び待機系伝送路終端部22のいずれかを、上位装置2にATMセルを出力する伝送路終端部とは排他的に選択して、選択した伝送路終端部から出力されたATMセルを、上位装置2に出力する。
【0027】
運用系待機系選択回路12は、上位装置2から受信したATMセルを、運用系伝送路終端部21及び待機系伝送路終端部22のいずれかに選択的に出力する。また、運用系待機系選択回路12は、待機系伝送路終端部22の診断を行う診断モードの場合、上位装置2にから受信したATMセルを、運用系伝送路終端部21とともに待機系伝送路終端部22に対しても出力する。
【0028】
ATMセル比較回路13は、上位装置2から受信したATMセルを自身に格納する。ATMセル比較回路13は、例えば、レジスタやメモリ等の記憶装置を有することで、ATMセルを格納可能とする。ここで格納されるATMセルは、比較対象情報に相当する。また、ATMセル比較回路13は、診断モードの場合、後述するように、自身に格納したATMセルが待機系伝送路終端部22を経由して運用系待機系選択回路11から入力されたとき、この入力されたATMセルと自身に格納したATMセルとを比較する。ATMセル比較回路13は、このATMセルの比較によって、待機系伝送路終端部22の診断を行う。
伝送路終端部群20は、上位装置2との間で、ATMセルを送受信するインタフェースとして機能する。
【0029】
運用系伝送路終端部21及び待機系伝送路終端部22は、運用系待機系切り替え部10から出力されたATMセルをATMスイッチ30に出力する。また、運用系伝送路終端部21及び待機系伝送路終端部22は、ATMスイッチ30から出力されたATMセルを運用系待機系切り替え部10出力する。伝送路終端部21、22は、ATMセルを、上位装置2との間で送受信するための形式と、各機能部で処理可能な形式とに相互に変換する伝送路終端処理を行うインタフェースとして機能する。待機系伝送路終端部22は、運用系伝送路終端部21に異常が発生した場合等に、運用系伝送路終端部21と代替して使用される。運用系伝送路終端部21は、運用系インタフェース部71として機能する。待機系伝送路終端部22は、待機系インタフェース部72として機能する。
【0030】
ATMスイッチ30は、運用系伝送路終端部21及び待機系伝送路終端部22のいずれかを選択して、選択した伝送路終端部から出力されたATMセルを、各機能部50にルーティングする。具体的には、ATMスイッチ30は、ATMセルに含まれるヘッダ情報に応じた各機能部50に含まれる特定の機能部にATMセルを出力する。ATMスイッチ30は、第2の切り替え部74として機能する。
【0031】
運用系待機系選択回路31は、各機能部50を、運用系伝送路終端部21及び待機系伝送路終端部22のいずれかと選択的に接続する。つまり、運用系伝送路終端部21及び待機系伝送路終端部22のいずれかを選択して、選択した伝送路終端部と、各機能部50との間で、ATMセルの送受信を可能とする。
【0032】
ATMセル折り返し回路32は、運用系伝送路終端部21及び待機系伝送路終端部22のいずれかを選択して、選択した伝送路終端部から出力されたAMTセルを折り返して、その伝送路終端部に出力する。なお、ATMセル折り返し回路32は、運用系伝送路終端部21及び待機系伝送路終端部22のいずれかを、運用系待機系選択回路31が選択した伝送路終端部とは排他的に選択する。したがって、ATMセル折り返し回路32が選択した伝送路終端部から出力されたATMセルは、各機能部50にルーティングされない。
【0033】
制御部40は、運用系待機系切り替え部10及びATMスイッチ30を制御する。具体的には、制御部40は、運用系待機系選択回路11、12、31及びATMセル折り返し回路32における選択状態を制御する。制御部40は、運用系伝送路終端部21で運用する運用系運用モードとする場合、運用系伝送路終端部21を介して、上位装置2と各機能部50とがATMセルを導通可能となるように、運用系待機系切り替え部10及びATMスイッチ30を制御する。また、制御部40は、運用系伝送路終端部21に代替して待機系伝送路終端部22で運用する待機系運用モードとする場合、待機系伝送路終端部22を介して、上位装置2と各機能部50とがATMセルを導通可能となるように、運用系待機系切り替え部10及びATMスイッチ30を制御する。
【0034】
また、制御部40は、運用系伝送路終端部21におけるATMセルの処理状況が予め定めた条件を満たす場合に、待機系伝送路終端部22の診断を行う診断モードとして動作すると決定する。そして、制御部40は、診断モードの場合、運用系運用モードの制御に加えて、上位装置2から受信したATMセルを待機系伝送路終端部22にも出力するように、運用系待機系切り替え部10を制御する。
【0035】
各機能部50は、ATMスイッチ30から出力されたATMセルに応じた処理を実行する。各機能部50は、例えば、呼処理の制御・管理を行う呼処理機能部や、音声データ等のユーザデータを処理するユーザデータ処理機能部等を含む。各機能部50は、内部処理部76として機能する。
【0036】
ここで、運用系伝送路終端部21、待機系伝送路終端部22及び制御部40は、例えば、それぞれがCPU(Central Processing Unit)やメモリ等の回路を含み、上述及び後述する処理の一部又は全部をCPUに行わせるプログラムを実行するものである。
【0037】
続いて、図3乃至5を参照して、本発明の実施の形態1にかかる運用系待機系切り替え部10及びATMスイッチ30の動作について説明する。
【0038】
まず、図3を参照して、運用系運用モード時における運用系待機系選択回路11、12、31及びATMセル折り返し回路32の状態について説明する。図3は、運用系運用モード時における運用系待機系選択回路11、12、31及びATMセル折り返し回路32の状態例を示す図である。
【0039】
この場合、運用系待機系選択回路11、12は、上位装置2と、伝送路終端部群20の運用系伝送路終端部21とを接続する。また、運用系待機系選択回路31は、各機能部50と、運用系伝送路終端部21とを接続する。これによって、上位装置2は、運用系伝送路終端部21を介して、各機能部50とATMセルの送受信を行なうことができる。
また、ATM折り返し回路32は、待機系伝送路終端部22の出力と、待機系伝送路終端部23の入力とを接続する。ATMセル折り返し回路32は、待機系伝送路終端部22から出力されるATMセルを折り返して、待機系伝送路終端部22に出力することができる。
【0040】
制御部40は、運用系運用モードとして動作する場合に、運用系による運用を要求する信号を運用系待機系切り替え部10及びATMスイッチ30に入力する。運用系待機系切り替え部10及びATMスイッチ30は、この信号の入力に応じて、運用系待機系選択回路11、12、31及びATMセル折り返し回路32を、図3に示す選択状態とする。このようにして、運用系待機系選択回路11、12、31及びATMセル折り返し回路32が互いに連動して、図3に示す選択状態となる。
【0041】
続いて、図3に示す運用系運用モードにおける動作について説明する。
運用系待機系切り替え部10が上位装置2からATMセルを受信した場合、運用系待機系切り替え部10の運用系待機系選択回路12は、上位装置2から受信したATMセルを運用系伝送路終端部21に入力する。運用系伝送路終端部21は、運用系待機系切り替え部10から入力されたATMセルに対して、伝送路終端処理を実行する。そして、運用系伝送路終端部21は、伝送路終端処理後のATMセルをATMスイッチ30に入力する。ATMスイッチ30に運用系伝送路終端部21からATMセルが入力された場合、ATMスイッチ30の運用系待機系選択回路31は、運用系伝送路終端部21から入力されたATMセルを各機能部50に出力する。
【0042】
ATMスイッチ30に各機能部50からATMセルが入力された場合、ATMスイッチ30の運用系待機系選択回路31は、各機能部50から入力されたATMセルを運用系伝送路終端部21に出力する。運用系伝送路終端部21は、ATMスイッチ30から入力されたATMセルに対して、伝送路終端処理を実行する。そして、運用系伝送路終端部21は、伝送路終端処理後のATMセルを運用系待機系切り替え部10に入力する。運用系待機系切り替え部10に運用系伝送路終端部21からATMセルが入力された場合、運用系待機系切り替え部10の運用系待機系選択回路11は、運用系伝送路終端部21から入力されたATMセルを上位装置2に送信する。
【0043】
続いて、図4を参照して、待機系運用モード時における運用系待機系選択回路11、12、31及びATMセル折り返し回路32の状態について説明する。図4は、待機系運用モード時における運用系待機系選択回路11、12、31及びATMセル折り返し回路32の状態例を示す図である。
【0044】
この場合、運用系待機系選択回路11、12は、上位装置2と、伝送路終端部群20の待機系伝送路終端部22とを接続する。また、運用系待機系選択回路31は、各機能部50と、待機系伝送路終端部22とを接続する。これによって、上位装置2は、待機系伝送路終端部22を介して、各機能部50とATMセルの送受信を行なうことができる。
また、ATM折り返し回路32は、運用系伝送路終端部21の出力と、運用系伝送路終端部21の出力とを接続する。ATMセル折り返し回路32は、ATMセル折り返し回路32は、運用系伝送路終端部21から出力されるATMセルを折り返して、運用系伝送路終端部21に出力することができる。
【0045】
制御部40は、待機系運用モードとして動作する場合に、待機系による運用を要求する信号を運用系待機系切り替え部10及びATMスイッチ30に入力する。運用系待機系切り替え部10及びATMスイッチ30は、この信号の入力に応じて、運用系待機系選択回路11、12、31及びATMセル折り返し回路32を、図4に示す選択状態とする。このようにして、運用系待機系選択回路11、12、31及びATMセル折り返し回路32が互いに連動して、図4に示す選択状態となる。
【0046】
続いて、図4に示す待機系運用モードにおける動作について説明する。
運用系待機系切り替え部10が上位装置2からATMセルを受信した場合、運用系待機系切り替え部10の運用系待機系選択回路12は、上位装置2から受信したATMセルを待機系伝送路終端部22に入力する。待機系伝送路終端部22は、運用系待機系切り替え部10から入力されたATMセルに対して、伝送路終端処理を実行する。そして、待機系伝送路終端部22は、伝送路終端処理後のATMセルをATMスイッチ30に入力する。ATMスイッチ30に待機系伝送路終端部22からATMセルが入力された場合、ATMスイッチ30の運用系待機系選択回路31は、待機系伝送路終端部22から入力されたATMセルを各機能部50に出力する。
【0047】
ATMスイッチ30に各機能部50からATMセルが入力された場合、ATMスイッチ30の運用系待機系選択回路31は、各機能部50から入力されたATMセルを待機系伝送路終端部22に出力する。待機系伝送路終端部22は、ATMスイッチ30から入力されたATMセルに対して、伝送路終端処理を実行する。そして、待機系伝送路終端部22は、伝送路終端処理後のATMセルを運用系待機系切り替え部10に入力する。運用系待機系切り替え部10に待機系伝送路終端部22からATMセルが入力された場合、運用系待機系切り替え部10の運用系待機系選択回路11は、待機系伝送路終端部22から入力されたATMセルを上位装置2に送信する。
【0048】
続いて、図5を参照して、診断モード時における運用系待機系選択回路11、12、31及びATMセル折り返し回路32の状態について説明する。図5は、診断モード時における運用系待機系選択回路11、12、31及びATMセル折り返し回路32の状態例を示す図である。
【0049】
この場合、運用系待機系選択回路11は、上位装置2と、伝送路終端部群20の運用系伝送路終端部21とを接続する。また、運用系待機系選択回路12は、上位装置2と、伝送路終端部群20の運用系伝送路終端部21及び待機系伝送路終端部22とを相互に接続する。また、運用系待機系選択回路31は、各機能部50と、運用系伝送路終端部21とを接続する。これによって、上位装置2は、運用系伝送路終端部21を介して、各機能部50とATMセルの送受信を行なうことができる。また、上位装置2から受信したATMセルは、待機系伝送路終端部22にも入力されるようになる。
【0050】
また、ATM折り返し回路32は、待機系伝送路終端部22の出力と、待機系伝送路終端部22の入力とを接続する。これによって、ATMセル折り返し回路32は、待機系伝送路終端部22から出力されるATMセルを折り返して、待機系伝送路終端部22に出力することができる。
【0051】
制御部40は、運用系運用モードとして動作しているときに、運用系伝送路終端部21において、ATMセルに対して伝送路終端処理をする負荷量が、予め定められた負荷量よりも低い場合に、待機系伝送路終端部22を診断する診断モードとして動作すると決定する。その理由として、運用系伝送路終端部21において、ATMセルに対して伝送路終端処理をする負荷量が低い場合は、後述するように、ATMセルを待機系伝送路終端部22に入力しても、待機系伝送路終端部22においてATMセルを伝送路終端処理する負荷量を低減することができるため、消費電力及び待機系伝送路終端部22における回路劣化を低減することができるからである。
【0052】
ここで、診断モードでは、上位装置2から受信したATMセルが待機系伝送路終端部22にも入力されることとなるため、上位装置2から受信したATMセルのみについて伝送路終端処理をする負荷量に基づいて、診断モードとして動作するか否かを判断することで、より正確に消費電力及び待機系伝送路終端部22における回路劣化を低減することができる。なお、予め定める負荷量は、所望の消費電力及び回路劣化を低減できる量を任意に決定してよい。
【0053】
ここで、診断モードとして動作すると決定する方法について説明する。
第1の例としては、まず、運用系伝送路終端部21が、伝送路終端処理をするATMセルの情報量を検出するようにする。そして、運用系伝送路終端部21が検出した情報量が、予め定めた情報量よりも少ない場合には、ATMセルを伝送路終端処理するための負荷量が低いことになる。そのため、この場合、運用系伝送路終端部21は、待機系伝送路終端部22の診断を要求する診断要求情報を制御部40に出力する。そして、制御部40は、運用系伝送路終端部21からの診断要求情報に応じて、診断モードとして動作すると決定する。
【0054】
次に、第2の例としては、運用系伝送路終端部21が、伝送路終端処理をするCPUを有する場合、そのCPUの使用率を検出するようにする。そして、運用系伝送路終端部21が検出した使用率が、予め定めた使用率よりも低い場合には、ATMセルを伝送路終端処理するための負荷量が低いことになる。そのため、この場合、運用系伝送路終端部21は、待機系伝送路終端部22の診断を要求する診断要求情報を制御部40に出力する。そして、制御部40は、運用系伝送路終端部21からの診断要求情報に応じて、診断モードとして動作すると決定する。
【0055】
次に、第3の例としては、事前に、運用系伝送路終端部21においてATMセルを伝送路終端処理する負荷量を調査しておく。そして、運用系伝送路終端部21がATMセルを処理する負荷量が、予め定めた負荷量よりも低くなる時間を示す低負荷時間情報を、制御部40が有するメモリ等の記憶装置に格納しておく。そして、制御部40は、低負荷時間情報が示す時間の間、診断モードとして動作すると決定する。
【0056】
制御部40は、診断モードとして動作する場合に、待機系伝送路終端部22の診断を要求する信号を運用系待機系切り替え部10及びATMスイッチ30に入力する。運用系待機系切り替え部10及びATMスイッチ30は、この信号の入力に応じて、運用系待機系選択回路11、12、31及びATMセル折り返し回路32を、図5に示す選択状態とする。このようにして、運用系待機系選択回路11、12、31及びATMセル折り返し回路32が互いに連動して、図5に示す選択状態となる。ここで、図5に示す診断モードにおける状態は、図3に示す運用系運用モードにおける状態と、運用系待機系選択回路12の状態が異なるのみであるため、診断を要求する信号を運用系待機系切り替え部10のみに出力するようにしてもよい。
【0057】
また、制御部40は、診断モードを終了して、再び、運用系運用モードとして動作する場合、運用系による運用を要求する信号を運用系待機系切り替え部10及びATMスイッチ30に入力する。ここで、制御部40は、運用系伝送路終端部21において、ATMセルに対して伝送路終端処理をする負荷量が、予め定められた負荷量以上となった場合、又は、診断モードとして所定の時間動作した場合に、再び、運用系運用モードとして動作すると判断する。例えば、運用系伝送路終端部21においてATMセルに対して伝送路終端処理をする負荷量が、予め定められた負荷量以上となった場合に、運用系伝送路終端部21から、診断解除要求情報を制御部40に入力するようにすることで、又は、低負荷時間情報を参照することで判断する。
【0058】
続いて、図5に示す診断モードにおける動作について説明する。
運用系待機系切り替え部10が上位装置2からATMセルを受信した場合、運用系待機系切り替え部10の運用系待機系選択回路12は、上位装置2から受信したATMセルを運用系伝送路終端部21及び待機系伝送路終端部22に入力する。なお、運用系伝送路終端部21を経由するATMセルの入出力動作については、図3における説明と同様であるため、説明を省略する。
【0059】
また、上位装置2から受信して運用系伝送路終端部21及び待機系伝送路終端部22に入力されたATMセルは、ATMセル比較回路13にも入力される。つまり、同一のATMセルが、運用系伝送路終端部21、待機系伝送路終端部22及びATMセル比較回路13に入力される。ATMセル比較回路13は、上位装置2から受信して入力されたATMセルを自身に格納する。ATMセル比較回路13は、例えば、ATMセル比較回路13が有するレジスタやメモリ等の記憶装置にATMセルを格納する。
【0060】
待機系伝送路終端部22は、運用系待機系選択回路12から入力されたATMセルに対して、伝送路終端処理を実行する。そして、待機系伝送路終端部22は、伝送路終端処理後のATMセルをATMスイッチ30に入力する。ATMスイッチ30に待機系伝送路終端部22からATMセルが入力された場合、ATMスイッチ30のATMセル折り返し回路32は、待機系伝送路終端部22から入力されたATMセルを折り返して、そのまま待機系伝送路終端部22に出力する。
【0061】
待機系伝送路終端部22は、ATMスイッチ30から入力されたATMセルに対して、伝送路終端処理を実行する。そして、待機系伝送路終端部22は、伝送路終端処理後のATMセルを運用系待機系切り替え部10に入力する。運用系待機系切り替え部10に待機系伝送路終端部22からATMセルが入力された場合、運用系待機系切り替え部10の運用系待機系選択回路11は、待機系伝送路終端部22から入力されたATMセルをATMセル比較回路13に入力する。
【0062】
ATMセル比較回路13は、運用系待機系選択回路11から入力されたATMセルと、自身に格納したATMセルとを比較する。ここで、ATMセル比較回路13は、自身に格納したATMセルが、ATMセル折り返し回路32によって折り返されて運用系待機系選択回路11から入力された場合に、そのATMセルを比較する。例えば、ATMセル比較回路13内に遅延回路を設けることによって、同一のATMセルを比較可能とする。また、ATMセル比較回路13は、制御部40の待機系伝送路終端部22の診断を要求する信号が入力されている場合のみに、ATMセルの比較を行うようにすることで、運用系運用モード及び待機系運用モード時に異常を検出しないようにする。
【0063】
そして、ATMセル比較回路13は、比較したATMセルの内容が一致する場合、待機系伝送路終端部22に異常がないと判定する。それに対して、比較したATMセルの内容が一致しない場合、待機系伝送路終端部22が異常と判定する。ATMセルの内容が一致しないということは、待機系伝送路終端部22における伝送路終端処理が正常に行われていないと考えられるからである。
【0064】
以上、図3乃至5の場合について説明したが、図4の待機系運用モードから、運用系伝送路終端部21を診断する診断モードとして動作するようにもできる。この場合、図4に示す状態において、運用系待機系選択回路12が、上位装置2と、伝送路終端部群20の運用系伝送路終端部21及び待機系伝送路終端部22とを相互に接続した状態となる。つまり、この状態における動作は、図4に示す待機系運用モードにおける動作に加えて、運用系伝送路終端部21を診断する動作が行われる。運用系伝送路終端部21を診断する動作は、図5を参照して説明した動作が、運用系伝送路終端部21に対して行われる以外は、同様であるため省略する。
【0065】
続いて、図6を参照して、本発明の実施の形態1にかかるATM装置の運用系待機系切り替え処理について説明する。図6は、本発明の実施の形態1にかかるATM装置の運用系待機系切り替え処理を示すフローチャートである。
【0066】
まず、上位装置2と、ATM装置1の各機能部50とが運用系伝送路終端部21を介して、ATMセルを送受信する運用系運用モードとして動作しているものとする(S101)。ここで、待機系伝送路終端部22の診断をする診断モードとして動作した場合、上位装置2から受信したATMセルをATMセル折り返し回路32によって折り返して、ATMセル比較回路13で待機系伝送路終端部22によって処理されたATMセルの状態を確認する(S102)。そして、ATMセル比較回路13において、ATMセルが不一致として異常を検出した場合、待機系伝送路終端部22が故障していると診断する(S103)。
【0067】
ここで、運用系待機系切り替え処理が行われた場合(S104)、上位装置2と、ATM装置1の各機能部50とが待機系伝送路終端部22を介して、ATMセルを送受信する待機系運用モードとして動作する(S105)。ここで、運用系伝送路終端部21の診断をする診断モードとして動作した場合、上位装置2から受信したATMセルをATMセル折り返し回路32によって折り返して、ATMセル比較回路13で運用系伝送路終端部21によって処理されたATMセルの状態を確認する(S106)。そして、ATMセル比較回路13において、ATMセルが不一致として異常を検出した場合、運用系伝送路終端部21が故障していると診断する(S107)。
【0068】
以上に説明したように、本実施の形態1によれば、運用系伝送路終端部21におけるATMセルの処理状況が予め定めた条件を満たす場合に、待機系伝送路終端部22の診断を行う診断モードと決定している。そして、診断モードと決定した場合に、制御部40は、運用系待機系切り替え部10に対して、上位装置2から入力された情報を運用系伝送路終端部21とともに待機系伝送路終端部22に対しても出力し、かつ比較対象情報として格納する第1の処理を実行させている。また、制御部40は、ATMスイッチ30に対して、第1の処理によって待機系伝送路終端部22に入力され、待機系伝送路終端部22によって処理された後に出力されたATMセルを折り返して待機系伝送路終端部22に対して入力する第2の処理を実行させている。また、制御部40は、運用系待機系切り替え部10に対して、第2の処理によって待機系伝送路終端部22に対して入力され、待機系伝送路終端部22より出力されたATMセルと、第1の処理において格納された比較対象情報とを比較することにより診断を実行させている。つまり、運用系伝送路終端部21におけるATMセルの処理状況が予め定めた条件を満たす場合に、待機系伝送路終端部22の診断を行うようにしている。
【0069】
これによれば、常時、待機系伝送路終端部22にATMセルを出力して、待機系伝送路終端部22の診断を行わないようにすることができる。つまり、常時、待機系伝送路終端部22を動作させることなく、その診断を可能としている。そのため、ATM装置1における消費電力を低減することができ、待機系伝送路終端部22の回路劣化を低減することができる。つまり、予備系のインタフェースを動作させることによる影響を低減しつつ、予備系のインタフェースの診断を行うことができる。
【0070】
また、上位装置2から受信したATMセルを、そのまま診断のための診断情報として使用することができる。そのため、ため、診断情報を生成する回路を備えることなく、待機系伝送路終端部22の診断ができる。
また、上位装置2から受信したATMセルを、ATMセル折り返し回路22によって折り返しているので、各機能部50にATMセルが入力されることなく、待機系伝送路終端部22の診断を行うことができる。そのため、運用に影響を及ぼすことなく、待機系伝送路終端部22の診断を行うことできる。
【0071】
本発明の実施の形態2.
続いて、本発明の実施の形態2にかかるATM装置について説明する。
本発明の実施の形態2にかかるATM装置及びその周辺装置の構成は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0072】
本発明の実施の形態2にかかる制御部40は、待機系伝送路終端部22の診断を行う診断モードとして動作するか否かの判断において、運用系伝送路終端部21が上位装置2から入力されたATMセルの異常を検出する割合が、予め定められた割合よりも高い場合に、診断モードとして動作すると決定する点が実施の形態1と異なる。つまり、運用系伝送路終端部21におけるATMセルの導通状態が不安定な場合に、待機系伝送路終端部22の診断を行う。
【0073】
続いて、診断モードとして動作すると決定する方法について説明する。
ここで、ATMセルには、ATMセルヘッダと、ATMペイロードが含まれる。ATMセルヘッダには、HEC(Header Error Control)という誤り検出符号が含まれている。HECによって、ATMセルヘッダの誤りを検出することができる。
【0074】
運用系伝送路終端部21は、運用系待機系切り替え部10からATMセルが入力された場合に、そのATMセルヘッダに含まれるHECに基づいて、ATMセルヘッダに誤りがあるか否かを判定する。そして、運用系伝送路終端部21は、ATMセルヘッダに誤りがある場合、ATMセルを破棄する。例えば、伝送路の品質が劣化している場合や、運用系伝送路終端部21が故障している場合等に、ATMセルヘッダに誤りが発生する。
【0075】
また、運用系伝送路終端部21は、ATMセルヘッダの誤りを検出する割合が、予め定めた割合よりも高いか否かを判定する。ここで、予め定める割合は、伝送路終端部21が故障していると考えられる割合を任意に定めてよい。また、ATMセルヘッダの誤りを検出する割合を判定する方法は、例えば、予め定めた期間の間に、ATMセルヘッダの誤りを検出する回数等のように任意に定めてよい。
【0076】
運用系伝送路終端部21は、ATMセルヘッダの誤りを検出する割合が、予め定めた割合よりも高い場合、運用系伝送路終端部21が故障していると判定して、診断要求情報を制御部40に出力する。制御部40は、運用系伝送路終端部21からの診断要求情報に応じて、診断モードとして動作すると決定する。そして、制御部40は、診断モードとして動作する場合に、待機系伝送路終端部22の診断を要求する信号を運用系待機系切り替え部10及びATMスイッチ30に入力する。
【0077】
運用系待機系切り替え部10は、診断モードとしての動作で、ATMセル比較回路13において、ATMセルを比較した結果が一致している場合、その旨を通知する比較結果一致信号を制御部40に出力する。この場合、待機系伝送路終端部22は、正常に動作していることになる。そのため、制御部40は、運用待機系切り替え部10からの比較結果一致信号の入力に応じて、待機系による運用を要求する信号を運用系待機系切り替え部10及びATMスイッチ30に入力する。以降、運用系伝送路終端部21に代替して、待機系伝送路終端部22で運用が行われる。
【0078】
以上に説明したように、本実施の形態2によれば、上位装置2から入力されたATMセルに含まれる誤り検出符号に基づいて、ATMセルの誤りを検出する割合が、予め定めた割合よりも高い場合に、待機系伝送路終端部22の診断を行うようにしている。これによれば、常時、待機系伝送路終端部22にATMセルを出力して、待機系伝送路終端部22の診断を行わないようにすることができる。つまり、常時、待機系伝送路終端部22を動作させることなく、その診断を可能としている。そのため、ATM装置1における消費電力を低減することができ、待機系伝送路終端部22の回路劣化を低減することができる。つまり、予備系のインタフェースを動作させることによる影響を低減しつつ、予備系のインタフェースの診断を行うことができる。
【0079】
また、本実施の形態2では、さらに、待機系伝送路終端部22の異常を検出しなかった場合に、待機系運用モードとして動作して、上位装置2を待機系伝送路終端部22に接続するとともに、各機能部50を待機系伝送路終端部22に接続するようにしている。これによれば、運用系伝送路終端部21における動作が不安定となったため、待機系伝送路終端部22での運用に切り替えた場合に、待機系伝送路終端部22が故障等によって既に動作できなくなっており、ATM装置1が上位装置1とATMセルの導通ができなくなるという事態を防ぐことができる。
【0080】
また、そのような場合に、待機系伝送路終端部22から運用系伝送路終端部21での運用に切り戻すといった機能を追加する必要もなくなる。また、ATM装置1が、そのような機能を有していたとしても、待機系伝送路終端部22から運用系伝送路終端部21での運用に切り戻すまでの間、ATM装置1が上位装置1とATMセルの導通ができなくなるという問題があるが、そのような問題も回避することができる。
【0081】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本発明の実施の形態1と、実施の形態2とを組み合わせて実施してもよい。つまり、運用系伝送路終端部21におけるATMセルの処理状況が予め定めた条件を満たす場合に、待機系伝送路終端部22の診断を行うようにするとともに、上位装置2から入力されたATMセルの誤りを検出する割合が、予め定めた割合よりも高い場合にも、待機系伝送路終端部22の診断を行うようにしてもよい。
【0082】
上述した運用系伝送路終端部21、待機系伝送路終端部22及び制御部40におけるプログラムは様々な種類の記憶媒体に格納することが可能であり、通信媒体を介して伝達されることが可能である。ここで、記憶媒体には、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、ROM(Read Only Memory)カートリッジ、バッテリバックアップ付きRAM(Random Access Memory)、メモリカートリッジ、フラッシュメモリカートリッジ、不揮発性RAMカートリッジを含む。また、通信媒体には、電話回線等の有線通信媒体、マイクロ波回線等の無線通信媒体を含む。また、上述のプログラムは、インターネットを介して伝達することも可能である。
【0083】
また、情報処理装置が有するCPU又はMPU(Micro Processing Unit)が上述の実施の形態の機能を実現するプログラムを実行することにより、上述の実施の形態の機能が実現されるだけではなく、このプログラムの指示に基づき、CPU又はMPU上で稼動しているOS(Operating System)もしくはアプリケーションソフトと共同して上述の実施の形態の機能が実現される場合も、発明の実施の形態に含まれる。
【0084】
さらに、このプログラムの処理の全てもしくは一部が情報処理装置に挿入された機能拡張ボードや情報処理装置に接続された機能拡張ユニットにより行われて上述の実施の形態の機能が実現される場合も、発明の実施の形態に含まれる。
【0085】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0086】
(付記1)
運用系インタフェース部と、前記運用系インタフェース部と代替して使用される待機系インタフェース部と、外部装置を前記運用系インタフェース部及び前記待機系インタフェース部のいずれかと選択的に接続するための第1の切り替え部と、内部処理部を前記運用系インタフェース部及び前記待機系インタフェース部のいずれかと選択的に接続するための第2の切り替え部と、前記第1の切り替え部と第2の切り替え部を制御する制御部とを備えた情報処理装置であって、
前記制御部は、前記運用系インタフェース部における情報の処理状況が予め定めた条件を満たす場合に、前記待機系インタフェース部の診断を行う診断モードと決定し、
さらに、当該診断モードと決定した場合に当該制御部は、
前記第1の切り替え部に対して、前記外部装置から入力された情報を前記運用系インタフェース部とともに前記待機系インタフェース部に対しても出力し、かつ比較対象情報として格納する第1の処理を実行させ、
前記第2の切り替え部に対して、前記第1の処理によって前記待機系インタフェース部に入力され、当該待機系インタフェース部によって処理された後に出力された情報を折り返して待機系インタフェース部に対して入力する第2の処理を実行させ、
前記第1の切り替え部に対して、前記第2の処理によって前記待機系インタフェース部に対して入力され、当該待機系インタフェース部より出力された情報と、前記第1の処理において格納された比較対象情報とを比較することにより診断を実行させる情報処理装置。
(付記2)
前記情報処理装置は、基地局装置である付記1に記載の情報処理装置。
(付記3)
前記外部装置は、基地局制御装置である付記1又は2に記載の情報処理装置。
【符号の説明】
【0087】
1 ATM装置
2 上位装置
7 情報処理装置
8 ATM装置
10 運用系待機系切り替え部
11、12 運用系待機系選択回路
13 ATMセル比較回路
20 伝送路終端部群
21 運用系伝送路終端部
22 待機系伝送路終端部
30 ATMスイッチ
31 運用系待機系選択回路
32 ATMセル折り返し回路
40、75 制御部
50 各機能部
71 運用系インタフェース部
72 待機系インタフェース部
73 第1の切り替え部
74 第2の切り替え部
76 内部処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運用系インタフェース部と、前記運用系インタフェース部と代替して使用される待機系インタフェース部と、外部装置を前記運用系インタフェース部及び前記待機系インタフェース部のいずれかと選択的に接続するための第1の切り替え部と、内部処理部を前記運用系インタフェース部及び前記待機系インタフェース部のいずれかと選択的に接続するための第2の切り替え部と、前記第1の切り替え部と第2の切り替え部を制御する制御部とを備えた情報処理装置であって、
前記制御部は、前記運用系インタフェース部における情報の処理状況が予め定めた条件を満たす場合に、前記待機系インタフェース部の診断を行う診断モードと決定し、
さらに、当該診断モードと決定した場合に当該制御部は、
前記第1の切り替え部に対して、前記外部装置から入力された情報を前記運用系インタフェース部とともに前記待機系インタフェース部に対しても出力し、かつ比較対象情報として格納する第1の処理を実行させ、
前記第2の切り替え部に対して、前記第1の処理によって前記待機系インタフェース部に入力され、当該待機系インタフェース部によって処理された後に出力された情報を折り返して待機系インタフェース部に対して入力する第2の処理を実行させ、
前記第1の切り替え部に対して、前記第2の処理によって前記待機系インタフェース部に対して入力され、当該待機系インタフェース部より出力された情報と、前記第1の処理において格納された比較対象情報とを比較することにより診断を実行させる情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記運用系インタフェース部において前記情報を処理する負荷量が、予め定めた負荷量よりも低い場合に、前記待機系インタフェース部の診断を行う診断モードと決定する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記運用系インタフェース部は、前記負荷量として前記情報を処理する情報量を検出し、検出した情報量が、予め定めた情報量よりも少ない場合に、診断要求情報を前記制御部に入力し、
前記制御部は、前記運用系インタフェース部から前記診断要求情報が入力された場合に、前記待機系インタフェース部の診断を行う診断モードと決定する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記運用系インタフェース部は、さらに前記情報を処理するCPU(Central Processing Unit)を備え、前記負荷量として前記CPUの使用率を検出し、検出した使用率が、予め定めた使用率よりも低い場合に、診断要求情報を前記制御部に入力し、
前記制御部は、前記運用系インタフェース部から前記診断要求情報が入力された場合に、前記待機系インタフェース部の診断を行う診断モードと決定する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記情報処理装置は、前記運用系インタフェース部が情報を処理する負荷量が、前記予め定めた負荷量よりも低くなる時間を示す低負荷時間情報を格納する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記低負荷時間情報が示す時間の間、前記待機系インタフェース部の診断を行う診断モードと決定する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記外部装置から入力された情報は、誤り検出符号を含み、
前記制御部は、前記運用系インタフェース部が、前記外部装置から入力された情報に含まれる誤り検出符号に基づいて、当該情報の誤りを検出する割合が、予め定めた割合よりも高い場合に、前記待機系インタフェース部の診断を行う診断モードと決定する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記待機系インタフェース部の診断において異常を検出しなかった場合に、前記外部装置を前記待機系インタフェース部と接続するとともに、前記内部処理部を前記待機系インタフェース部と接続する請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記外部装置から入力された情報は、ATM(Asynchronous Transfer Mode)セルであり、
前記誤り検出符号は、前記ATMセルのヘッダ情報に含まれる誤り検出符号である請求項6又は7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
運用系インタフェース部と、前記運用系インタフェース部と代替して使用される待機系インタフェース部と、外部装置を前記運用系インタフェース部及び前記待機系インタフェース部のいずれかと選択的に接続するための第1の切り替え部と、内部処理部を前記運用系インタフェース部及び前記待機系インタフェース部のいずれかと選択的に接続するための第2の切り替え部と、を備えた情報処理装置における前記待機系インタフェース部の診断方法であって、
前記運用系インタフェース部における情報の処理状況が予め定めた条件を満たすか否かを判定することにより、前記待機系インタフェース部の診断を行う診断モードに移行するか否かを決定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて、当該診断モードに移行すると決定した場合に、前記待機系インタフェース部の診断を実行する診断実行ステップとを備えた診断方法であって、
前記診断実行ステップは、
前記第1の切り替え部が、前記外部装置から入力された情報を前記運用系インタフェース部とともに前記待機系インタフェース部に対しても出力し、かつ比較対象情報として格納する第1のステップと、
前記第2の切り替え部が、前記第1のステップによって前記待機系インタフェース部に入力され、当該待機系インタフェース部によって処理された後に出力された情報を折り返して待機系インタフェース部に対して入力する第2のステップと、
前記第1の切り替え部が、前記第2のステップによって前記待機系インタフェース部に対して入力され、当該待機系インタフェース部より出力された情報と、前記第1のステップにおいて格納された比較対象情報とを比較することにより診断を実行する第3のステップと、
を備えた診断方法。
【請求項10】
運用系インタフェース部と、前記運用系インタフェース部と代替して使用される待機系インタフェース部と、外部装置を前記運用系インタフェース部及び前記待機系インタフェース部のいずれかと選択的に接続するための第1の切り替え部と、内部処理部を前記運用系インタフェース部及び前記待機系インタフェース部のいずれかと選択的に接続するための第2の切り替え部と、を備えた情報処理装置における前記待機系インタフェース部の診断プログラムであって、
前記運用系インタフェース部における情報の処理状況が予め定めた条件を満たす場合に、前記待機系インタフェース部の診断を行う診断モードと決定するステップと、
さらに、当該診断モードと決定した場合に、
前記第1の切り替え部に対して、前記外部装置から入力された情報を前記運用系インタフェース部とともに前記待機系インタフェース部に対しても出力し、かつ比較対象情報として格納する第1の処理を実行させ、
前記第2の切り替え部に対して、前記第1の処理によって前記待機系インタフェース部に入力され、当該待機系インタフェース部によって処理された後に出力された情報を折り返して待機系インタフェース部に対して入力する第2の処理を実行させ、
前記第1の切り替え部に対して、前記第2の処理によって前記待機系インタフェース部に対して入力され、当該待機系インタフェース部より出力された情報と、前記第1の処理において格納された比較対象情報とを比較することにより診断を実行させるステップと、
を情報処理装置に実行させる診断プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−182161(P2011−182161A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43986(P2010−43986)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】