説明

情報制御システム及び情報制御方法

【課題】携帯端末の電力消費を抑え、情報を長時間取得することができる、情報制御システムを提供する。
【解決手段】位置情報取得機能を有する車載機1と、位置情報取得機能を有する携帯端末2と、を備え、車載機1で取得した位置情報と携帯端末2で取得した位置情報とが一致するときは、携帯端末2の位置情報取得機能を停止させる、情報制御システム10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報制御システム及び情報制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のサブシステムの統合システムのための制御システムとして、例えば、車内サブシステムの制御対象機器であるナビゲーション装置と、モバイルサブシステムの制御対象機器である携帯型電子機器を用いて、ユーザの正確な移動経路を同定する手法が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−310680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記のように、車載機と携帯端末を同時に用いて位置情報を同定する手法においては、長時間使用すると携帯端末の電力消費が大きくなってしまい、情報を取得することが困難になるという課題があった。
【0005】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、携帯端末の電力消費を抑え、情報を長時間取得することができる、情報制御システム及び情報制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の情報制御システムは、位置情報取得機能を有する車載機と、位置情報取得機能を有する携帯端末と、を備え、車載機で取得した位置情報と携帯端末で取得した位置情報とが一致するときは、携帯端末の位置情報取得機能を停止させる構成を有する。
【0007】
上記情報制御システムにおいては、車載機で取得した位置情報と携帯端末で取得した位置情報が一致するときは、携帯端末の位置情報取得機能を停止させる。このように、車載機と携帯端末で取得する位置情報が重複するときは、車載機のみにより位置情報を取得することにより、携帯端末の電力消費を抑え、情報を長時間取得することが可能となる。
【0008】
本発明の情報制御システムは、携帯端末の位置情報取得機能を停止させたら、車載機により取得した位置情報を携帯端末に提供することが好ましい。位置情報取得機能が停止した携帯端末は、通話機能などの通常の機能を確保できなくなることから、車載機で取得した位置情報を携帯端末に提供することによって、携帯端末としての通常の機能を確保することが可能となる。
【0009】
また、本発明の情報制御システムは、車載機の位置情報取得機能が停止したときは、携帯端末の位置情報取得機能を開始させることが好ましい。車載機の位置情報取得機能が停止すると、位置情報を取得することができなくなるため、携帯端末の位置情報取得機能を開始させることにより、位置情報を取得することができ、携帯端末の通話機能などの通常の機能を確保することができる。
【0010】
また、上記課題を解決するため、本発明の情報制御方法は、車載機及び携帯端末を用いて位置情報を取得し、車載機で取得した位置情報と携帯端末で取得した位置情報とが一致するか否かを判定するステップと、位置情報が互いに一致するときには携帯端末による位置情報の取得を停止させるステップとを備える。上記ステップを備えることにより、車載機と携帯端末で重複した位置情報の取得を回避することができ、携帯端末の電力消費を抑え、情報を長時間取得することが可能となる。
【0011】
本発明の情報制御方法は、車載機が位置情報を取得しないときは、携帯端末による位置情報の取得を開始させるステップ、をさらに備えることが好ましい。車載機が位置情報を取得しないと、位置情報を取得することができなくなるため、携帯端末の位置情報取得機能を開始させることにより、携帯端末の通話機能などの通常の機能を確保することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、携帯端末の電力消費を抑え、情報を長時間取得することができる、情報制御システム及び情報制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る情報制御システムの構成概要図である。
【図2】本発明の実施形態における乗車時の情報制御システムを示す構成概要図である。
【図3】携帯端末により取得する位置情報と車載機により取得する位置情報の一致する状態を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態における降車時の情報制御システムを示す構成概要図である。
【図5】本発明の実施形態における乗車時の情報制御方法の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態における降車時の情報制御方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る情報制御システム10の構成概要図である。図1のとおり、情報制御システム10は、車載機1及び携帯端末2を備えて構成されている。情報制御システム10において、車載機1により取得する位置情報等の行動履歴は車載機1からセンター3へ送信され、携帯端末2により取得する位置情報等の行動履歴は携帯端末2からセンター3へ送信される。
【0016】
車載機1は、車両の位置情報等の行動履歴を取得する機能を有し、車両用ナビゲーション装置、位置情報取得装置、通信装置、記憶装置、地図DB等を備える。車両用ナビゲーション装置は、車両の目的地までの経路案内を行うものであり、操作者によって操作される操作部、目的地設定や経路検索などを行う演算処理部、地図情報などを表示する画像表示部などを備え、例えば画面入出力機能を有する。
【0017】
位置情報取得装置は、車両の位置を取得するものであり、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号を受信するGPS受信機、車両の回転角速度を検出するジャイロスコープ、車両の走行距離を検出する距離センサなどを備えるが、それ以外ででもよい。記憶装置は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などにより構成され、各種情報を記憶する機能を有する。また、地図DBは、地図情報を記憶する機能を有する。
【0018】
通信装置は、外部との接続を可能とする通信機能を有し、例えば、無線装置を用いて自車の走行履歴情報をセンター3へ送信し、センター3から送信された各種情報を受信することができる。車載機1は、通信装置を用いて、行動履歴やアクセサリーイベントをセンター3へ送信できる(送信A)。
【0019】
携帯端末2は、保有者の位置情報等の行動履歴を取得する機能を有し、位置情報取得装置、通信装置、記憶装置等を備える。位置情報取得装置は、保有者の位置を取得するものであり、GPS衛星からの信号を受信するGPS受信機などを備える。記憶装置は、ROM及びRAMなどにより構成され、各種情報を記憶する機能を有する。
【0020】
通信装置は、外部との接続を可能とする通信機能を有し、例えば、無線装置を用いて保有者の行動履歴情報をセンター3へ送信し、センター3から送信された各種情報を受信することができる。携帯端末2は、通信装置を用いて、行動履歴をセンター3へ送信できる(送信B)。携帯端末2としては、例えば携帯電話が用いられる。
【0021】
センター3は、各種ユーザから取得した情報を管理する情報管理センターであり、センター3には、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)、ROM及びRAMなどにより各種情報を記憶する記憶装置、通信装置などから構成されたサーバを備える。センター3においては、取得した情報をフィルタリングし、判定処理する。例えば、センター3は、車載機1からの送信A及び携帯端末2からの送信Bをもとに車載機1及び携帯端末2の位置情報を判定し、後述のとおり、位置情報取得停止(開始)イベントを携帯端末2へ送信することができる(送信C)。
【0022】
図2は、本発明の実施形態における乗車時の情報制御システム10を示す構成概要図である。車両4に乗車する前は、携帯端末2により位置情報が取得されている。
【0023】
携帯端末2の保有者が車載機1を搭載する車両4に乗車し、車両4のアクセサリースイッチがオンの状態にされると、車載機1の位置情報取得機能が作動し、位置情報を取得する。また、車載機1からセンター3へアクセサリーオンのイベントが送信される(送信A)。
【0024】
送信Aを受信したセンター3は、携帯端末2に位置情報取得を要求し、その要求に基づいて、携帯端末2はセンター3へ位置情報を送信する(送信B)。
【0025】
送信Bを受信したセンター3は、車載機1が取得した位置情報と携帯端末2が取得した位置情報を比較する。ここで、車載機1が取得した位置情報と携帯端末2が取得した位置情報が一致しているか否かは、例えば、図3のように判断することができる。
【0026】
図3は、携帯端末2により取得する位置情報と車載機1により取得する位置情報の一致する状態を示す説明図である。車載機1の位置履歴が1aの位置にあり、携帯端末2の位置履歴が2aの位置にある場合には、車載機1と携帯端末2の位置情報が一致していない。しかし、車載機1の位置履歴と携帯端末2の位置履歴が例えば車両4のアクセサリースイッチがオンになるときには、車載機1の位置履歴が1bの位置にあり、携帯端末2の位置履歴が2bの位置になり、両者の位置が重なっているので、車載機1と携帯端末2の位置情報は重複し、一致する。
【0027】
センター3が、車載機1が取得した位置情報と携帯端末2が取得した位置情報が一致していると判断した場合には、携帯端末2に位置情報取得の停止命令が送信される(送信C)。停止命令を受信した携帯端末2は、位置情報の取得を停止し、位置履歴情報(行動履歴)をセンター3へ転送する(送信B)。一方、車載機1は位置情報を取得する。このように、携帯端末2と車載機1の位置情報取得のシームレスな切り替えによって、携帯端末2の電力消費を抑えながら、保有者に特別な操作をさせることなく、行動履歴をシームレスに取得することができる。
【0028】
図4は、本発明の実施形態における降車時の情報制御システム10を示す構成概要図である。車両4から降車する前は、車載機1により位置情報が取得されている。また、その位置情報は携帯端末2に転送されていてもよい。
【0029】
携帯端末2の保有者が車両4から降車する際に、車両4のアクセサリースイッチがオフの状態になるときに、車両4の車載機1からセンター3へアクセサリーオフのイベントが送信される(送信A)。また、このアクセサリーオフのイベントは携帯端末2に送信されてもよく、このイベントを受信した携帯端末2は位置情報を取得してもよい。
【0030】
送信Aを受信したセンター3は、車載機1に位置情報取得を要求し、その要求に基づいて、車載機1はセンター3へ位置情報を送信する(送信A)。
【0031】
送信Aを受信したセンター3は、車載機1が取得した位置情報と携帯端末2の位置情報を比較する。車載機1が取得した位置情報と携帯端末2の位置情報が一致しているか否かは、上述の図3のように判断すればよい。
【0032】
センター3が、車載機1が取得した位置情報と携帯端末2が取得した位置情報が一致していないと判断した場合には、携帯端末2に位置情報取得の開始命令を送信することができる(送信C)。開始命令を受信した携帯端末2は、位置情報を取得する。一方、車載機1は位置履歴情報(行動履歴)をセンター3へ転送し(送信A)、位置情報取得を停止する。このように、携帯端末2と車載機1の位置情報取得のシームレスな切り替えによって、携帯端末2と車載機1の位置情報が一致しなくなるときにおいても、保有者に特別な操作をさせることなく、行動履歴をシームレスに取得することができる。
【0033】
図5は、本発明の実施形態における乗車時の情報制御方法の一例を示すフローチャートである。S2は、車両4に乗車する前であり、携帯端末2で位置情報が取得されている。次にS4においては、アクセサリースイッチがオンの状態になっているか否か判定される。オンの状態と判断されるとS6へ進み、オンの状態と判断されない場合はS2へ戻り、携帯端末2で位置情報の取得を続ける。
【0034】
S6においては、車載機1から通信装置を利用してセンター3経由で携帯端末2にアクセサリーオンのイベントが送信される。あるいは、近接通信装置を介して携帯端末2に送信してもよい。S8においては、認証済みの携帯端末を探索する。認証は事前に各機器をセンター3へ登録する形でもよいし、近接通信装置を用いて車載機1と携帯端末との間でペアリングを取る形でもよい。もし携帯端末2が認証済みの携帯端末でない場合は、引き続き携帯端末2により位置情報の取得を続ける。
【0035】
携帯端末2が認証済みの携帯端末である場合、S10において車載機1と携帯端末2の位置情報が比較される。車載機1においては、アクセサリースイッチがオンの状態になると、位置情報を取得することができ、例えば、携帯端末2と車載機1の両方の位置情報が一定範囲に含まれる場合、同じ位置にあると判定される。あるいは、近接通信によって通信可能であるという判断によって同じ位置か否かを判定してもよいし、有線接続による通信可能なことを条件に判定してもよい。また、車載機1による位置情報は、前回降車時の位置情報を利用してもよいし、センター3に蓄積された履歴を利用してもよいし、短期間のみ位置情報を取得してもよい。
【0036】
車載機1と携帯端末2の位置情報が一致する場合には、S12において、携帯端末2に位置情報取得の停止命令を送信する。位置情報取得の停止命令を受け取った携帯端末2は、S14において位置情報の取得を停止し、センター3あるいは車載機1に対して行動履歴を送信する。その後、S16において車載機1が位置情報取得を開始する。また、S18において、車載機1が取得した位置情報は、位置情報取得を停止した携帯端末2に送信される。
【0037】
図6は、本発明の実施形態における降車時の情報制御方法の一例を示すフローチャートである。S20においては、車両4から降車する前であり、車載機1で位置情報が取得されている。次にS22において、アクセサリースイッチがオフの状態か否か判定される。オフの状態になると判断されるとS24へ進み、オフの状態と判断されない場合はS20へ戻り、車載機1で位置情報の取得を続ける。
【0038】
S24においては、アクセサリースイッチがオフになることによって電源がオフになる前に、車載機1から通信装置を利用してセンター3経由で携帯端末2にアクセサリーオフのイベントが送信される。あるいは、近接通信装置を介して携帯端末2に送信してもよい。
【0039】
S26においては、認証済みの携帯端末を探索する。認証は事前に各機器をセンター3へ登録する形でもよいし、近接通信装置を用いて車載機1と携帯端末との間でペアリングを取る形でもよい。もし携帯端末2が認証済みの携帯端末でない場合は、引き続き車載機1により位置情報の取得を続けることもできる。
【0040】
携帯端末2が認証済みの携帯端末である場合、S28において、携帯端末2に位置情報取得の開始命令を送信する。S30においては、車載機1は位置情報の取得を停止し、センター3に対して行動履歴を送信し、あるいは、車載機1に内蔵された行動履歴蓄積部に対して行動履歴を保存する。また、位置情報取得の開始命令を受け取った携帯端末2は、位置情報取得を開始する(S32)。
【0041】
なお、上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。例えば、携帯端末2の保有者は車両4の運転者だけでなく、同乗者であってもよい。
【0042】
また、情報制御システム10は、位置情報等の行動履歴やアクセサリーオン、アクセサリーオフのイベントなどをセンター3に経由しなくてもよく、車載機1と携帯端末2が直接情報を送受信してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1・・・車載機、1a、1b・・・車載機の位置履歴、2・・・携帯端末、2a、2b・・・携帯端末の位置履歴、3・・・センター、4・・・車両、10・・・情報制御システム。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報取得機能を有する車載機と、
位置情報取得機能を有する携帯端末と、を備え、
前記車載機で取得した位置情報と前記携帯端末で取得した位置情報とが一致するときは、
前記携帯端末の前記位置情報取得機能を停止させること、
を特徴とする情報制御システム。
【請求項2】
前記携帯端末の前記位置情報取得機能を停止させたら、前記車載機により取得した位置情報を前記携帯端末に提供する、請求項1記載の情報制御システム。
【請求項3】
前記車載機の前記位置情報取得機能が停止したときは、前記携帯端末の前記位置情報取得機能を開始させる、請求項1又は2記載の情報制御システム。
【請求項4】
車載機及び携帯端末を用いて位置情報を取得する情報制御方法において、
前記車載機で取得した位置情報と前記携帯端末で取得した位置情報とが一致するか否かを判定するステップと、
前記位置情報が互いに一致するときには、前記携帯端末による前記位置情報の取得を停止させるステップと、
を備えることを特徴とする情報制御方法。
【請求項5】
前記車載機が位置情報を取得しないときは、前記携帯端末による前記位置情報の取得を開始させるステップ、をさらに備える請求項4記載の情報制御方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−172151(P2011−172151A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36089(P2010−36089)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】