説明

情報提供システム、情報検索装置および車載装置

【課題】ユーザによる入力操作の低減を図りつつ、ユーザの嗜好に応じた情報を提供すること。
【解決手段】操作履歴取得部43aが、車載装置のユーザによる操作の履歴を取得し、嗜好判定部43bが、操作履歴取得部43aによって取得された操作の履歴に基づいて、ユーザの嗜好を判定する。そして、情報収集部43cが、嗜好判定部43bによって判定されたユーザの嗜好に基づいて、外部ソースから情報を収集し、情報送信部43dが、情報収集部43cによって収集された情報をユーザの車載装置へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ユーザの要求に応じた情報を提供する情報提供システムおよび車載装置や携帯端末装置などの情報検索装置に関し、特に、ユーザによる入力操作を低減することができる情報提供システムおよび情報検索装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの普及により各種のサーバ装置から様々な情報が提供されるようになってきている。そして、このように提供される情報量は増大の一途を辿っており、従来であればすぐに入手できなかった情報であっても、インターネットからすぐに取得することが可能となってきており、利便性が高い。
【0003】
そのため、様々な機器でインターネットから情報を取得することができるようになってきている。このことは、カーナビゲーション装置などの車載装置においても同様であり、インターネットに接続して、様々な情報を入手する車載装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
かかる車載装置では、運転中のドライバーが文字入力を行うことが困難であることから、音声認識機能を有しており、かかる機能によって、インターネットからの情報取得を可能としている。
【0005】
特に、かかる車載装置では、ユーザの会話からユーザの興味特定に使用するキーワードを抽出し、さらに、ユーザの精神状態を検出して、これらの情報に応じた情報をウェブサイトなどから検索し、収集する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−294790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の車載装置では、必ずしもユーザの嗜好に応じた情報を検索し収集することができない。すなわち、従来の車載装置では、乗員間の会話内容や精神状態によって異なる情報を取得してしまうことになる。
【0008】
そのため、ユーザは、所望の情報を取得しようとした場合、音声情報や文字情報の入力操作を行う必要があるが、インターネット上に存在する情報は莫大な量であることから、所望の情報を入手することは容易ではない。すなわち、ユーザは、莫大な情報から所望の情報を取得するために、煩雑な絞り込みの作業を行う必要がある。
【0009】
しかし、ドライバーは運転操作に注意を向ける必要があり、情報の絞り込みのために操作を行なったり、その操作に基づく装置の動作に対して更に適切な操作を行なうと言った複雑な操作を行なうことは困難である。また、近年では、車載に用いられる装置に限らず、直感的に情報を検索することのできる装置が求められている。
【0010】
本発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、ユーザによる入力操作の低減を図りつつ、ユーザの嗜好に応じた情報を提供することができる情報提供システム、情報検索装置および車載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、情報検索装置のユーザへ情報を提供する情報提供システムであって、前記情報検索装置のユーザによる操作の履歴を取得する操作履歴取得部と、前記操作履歴取得部によって取得された前記操作の履歴に基づいて、前記ユーザの嗜好を判定する嗜好判定部と、前記嗜好判定部によって判定された前記ユーザの嗜好に基づいて、外部ソースから情報を収集する情報収集部と、前記情報収集部によって収集された情報を前記ユーザの情報検索装置へ送信する情報送信部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザによる入力操作の低減を図りつつ、ユーザの嗜好に応じた情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る情報提供手法の概要を示す図である。
【図2】図2は、本実施例に係る情報提供システムおよび車載装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、音声認識サーバの構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、情報解析サーバの構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、操作履歴情報の一例を示す図である。
【図6】図6は、嗜好解析辞書情報の一例を示す図である。
【図7】図7は、ユーザ嗜好情報の一例を示す図である。
【図8】図8は、車載装置が実行する処理手順の概要を示すフローチャートである。
【図9】図9は、音声認識サーバが実行する処理手順の概要を示すフローチャートである。
【図10】図10は、情報解析サーバが実行する処理手順の概要を示すフローチャートである。
【図11】図11は、本実施例に係る情報提供システムおよび携帯端末装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る情報提供システム、情報検索装置および車載装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る情報提供手法の概要について図1を用いて説明した後に、本発明に係る情報提供システム、情報検索装置および車載装置についての実施例を図2〜図11を用いて説明することとする。ここで、本願の実施例として、車載装置を実施の形態の一例として記載するが、本願に記載された情報提供手法を適用できる情報検索装置としては、車載装置に限定されず、情報を検索し、検索された情報を提供する機能を有する可搬型の携帯端末装置(PND、携帯電話、携帯型表示端末など)であってもよい。
【0015】
まず、本発明の一実施形態に係る情報提供手法の概要について図1を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る情報提供手法の概要を示す図である。同図に示すように、本実施形態に係る情報提供手法では、車載装置(情報検索装置の一例)のユーザによる操作履歴に基づき、かかるユーザの嗜好を解析し、ユーザの嗜好に応じた情報を提供する。
【0016】
具体的には、同図に示したように、本実施形態に係る情報提供手法では、まず、車載装置からユーザの操作情報を送信する(同図の(1)参照)。ここで操作情報とは、ユーザによる車載装置に対する操作に関する情報であり、具体的には、外部ソースから情報を取得するためにユーザが車載装置に対して行った入力操作の情報である。
【0017】
なお、外部ソースには、例えば、ウェブサーバ、データベースサーバ、およびファイル転送サーバなどの各種サーバなどが含まれるが、これに限らない。すなわち、外部サーバは、車載装置10が処理できる情報を提供する装置であればよく、どのような装置であってもよい。
【0018】
情報解析サーバは、各車載装置から送信されるユーザの操作情報を収集して操作履歴情報を更新する(同図の(2)参照)。なお、情報解析サーバは、ユーザ単位で操作履歴情報を更新する。
【0019】
次に、情報解析サーバは、操作履歴情報に含まれるユーザの操作情報から各ユーザの嗜好を判定する。例えば、ユーザAの操作情報として、ラーメン屋のウェブページへのアクセス操作(操作A1)、ラーメン屋のランキングを提示するウェブページへのアクセス操作(操作A2)があるとする。この場合、情報解析サーバは、操作A1と操作A2とから、ユーザAの嗜好が「ラーメン」であると判定する。
【0020】
また、例えば、ユーザBの操作情報として、ロック音楽に属する楽曲のダウンロード操作(操作B1)や、ロック音楽の情報を提供するウェブサイトへのアクセス操作(操作B2)がある場合、情報解析サーバは、操作B1と操作B2とから、ユーザBの嗜好が「ロック音楽」であると判定する。
【0021】
そして、情報解析サーバは、ユーザの嗜好を判定した結果を、ユーザ嗜好情報に追加する(同図の(3)参照)。例えば、情報解析サーバは、ユーザAがラーメン好きであり、また、ユーザBがロック音楽好きであると判定した場合、ユーザAの嗜好として「ラーメン」が好きであることを示す嗜好情報(図1に示す嗜好D)をユーザ嗜好情報に追加する。また、情報解析サーバは、ユーザBの嗜好として「ロック音楽」が好きであることを示す嗜好情報(図1に示す嗜好B)をユーザ嗜好情報に追加する。
【0022】
次に、情報解析サーバは、ユーザ嗜好情報に基づいて情報を外部ソースから検索して収集する(同図の(4)参照)。例えば、ラーメン好きであることを示す嗜好情報(図1に示す嗜好D)がユーザ嗜好情報に含まれている場合、情報解析サーバは、外部ソースを検索してラーメンに関する情報を収集する。
【0023】
ここで、嗜好情報と検索先の外部ソースとの関係を予め設定しておくことにより、全ての外部ソースを検索することに比べて、検索時間や検索処理にかかる負荷を低減することができる。例えば、嗜好Dと第1ウェブサイトと第2ウェブサイトとを関連づけて設定した場合、情報解析サーバは、ラーメン好きであることを示す嗜好情報の場合には、第1ウェブサイトと第2ウェブサイトからラーメンに関する情報を検索して取得する。
【0024】
なお、情報解析サーバは、すでに収集している情報を外部ソースから新たに取得することはしない。また、情報解析サーバは、取得後一定期間経過した情報は消去する。これにより、情報取得のための処理負荷を軽減し、外部ソースから取得した情報が際限なく増加することを防止している。
【0025】
このように収集された情報は、情報解析サーバによって、各ユーザの車載装置へ送信される。例えば、情報解析サーバは、ユーザ嗜好情報を参照し、ユーザAの車載装置に対し、ユーザの嗜好として嗜好A、嗜好Dなどに応じた情報を送信する(同図の(5)参照)。
【0026】
車載装置は、情報解析サーバから送信された情報をユーザに提示する(同図の(6)参照)。ユーザへの提示方法は、情報解析サーバから取得した情報の種類に応じた提示方法となる。例えば、情報解析サーバから送信された情報が動画コンテンツである場合には、表示部とスピーカから情報を出力する。また、例えば、情報解析サーバから送信された情報が音楽コンテンツである場合には、スピーカから出力する。
【0027】
なお、情報解析サーバは、送信すべきコンテンツが複数ある場合には、コンテンツを送信せずに、コンテンツのリストの情報を車載装置へ送信する。かかる処理により、情報解析サーバは、送信すべきコンテンツが多数ある場合であっても、車載装置のユーザによって選択されたコンテンツのみを送信するため、情報の送受信処理にかかる負荷を低減できる。
【0028】
ここで、情報解析サーバは、以上の処理を繰り返し行うが、すでに送信した情報は車載装置へ再度送らない。これにより、車載装置のユーザは、嗜好に合致する情報のうち、最新の情報のみを取得することができる。
【0029】
したがって、車載装置は、情報解析サーバから情報が送信された場合に、かかる情報をユーザへ提示することで、ユーザは、嗜好にあった情報を迅速に取得することができる。例えば、ユーザAがラーメン好きである場合、情報解析サーバからラーメンに関する最新の情報を取得することができる。
【0030】
なお、ユーザの嗜好の解析は、車載装置毎に行うようにしてもよく、また、一つの車載装置に複数のユーザがある場合には、ユーザ毎に行うようにしてもよい。一つの車載装置に複数のユーザがある場合には、例えば、車載装置内などにユーザを識別するユーザ識別手段を設けることによって、ユーザの識別が可能となる。
【0031】
以下では、図1を用いて説明した情報提供手法を適用した情報提供システムおよび車載装置についての実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0032】
まず、本実施例に係る情報提供システムおよび車載装置の構成について図2を用いて説明する。図2は、本実施例に係る情報提供システムおよび車載装置の構成を示す図である。ここで、本実施例には、車載装置を実施の形態の一例として記載するが、車載装置に限定されず、情報を検索し、検索された情報を提供する機能を有する可搬型の携帯端末装置(PND、携帯電話、携帯型表示端末など)であってもよい。
【0033】
図2に示すように、情報提供システムSは、複数の車載装置101〜10nと、複数の携帯端末装置201〜20nと、音声認識サーバ30と、情報解析サーバ40とを含んでいる。そして、車載装置101〜10nは、それぞれ携帯端末装置201〜20nを介して、音声認識サーバ30や情報解析サーバ40と通信可能に接続される。
【0034】
具体的には、車載装置101〜10nと携帯端末装置201〜20nとは無線通信によって通信可能となっており、音声認識サーバ30や情報解析サーバ40は、インターネット22に接続されている。そして、携帯端末装置201〜20nは、無線基地局21を介してインターネット22に接続される。
【0035】
本実施例に係る情報提供システムSは、かかる構成により、車載装置101〜10nは、携帯端末装置201〜20nによって、音声認識サーバ30や情報解析サーバ40と通信可能であるが、各装置の接続形態はこれに限らない。
【0036】
例えば、車載装置101〜10nが無線基地局21を介して、音声認識サーバ30や情報解析サーバ40と通信する構成であってもよい。この場合、車載装置101〜10nには、無線基地局21と通信するための無線通信I/Fを設ける必要がある。また、音声認識サーバ30や情報解析サーバ40は、インターネット22ではなく電話通信網などの他のネットワークに接続されるようにしてもよい。
【0037】
また、ここでは、コンテンツなどの情報を提供するソースの一例として、ウェブサーバ501〜50nがインターネット22に接続されていることとして説明するが、情報を提供することができるものであれよい。例えば、データベースサーバやファイル転送サーバなどのサーバであってもよい。
【0038】
まず、車載装置101〜10nの構成について説明する。車載装置101〜10nは同様の構成である。ここでは、車載装置101〜10nのうち任意又は全ての車載装置を車載装置10とする。また、携帯端末装置201〜20nのうち任意又は全ての携帯端末装置を携帯端末装置20とする。
【0039】
なお、車載装置10は、カーナビゲーション機能やカーオーディオ機能などの機能を有しているが、図2では、車載装置10の特徴を説明するために必要な構成要素を主に示しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0040】
図2に示すように、車載装置10は、近距離通信部11と、マイク12と、表示操作部13と、スピーカ14と、制御部15とを備えている。
【0041】
近距離通信部11は、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)などの近距離無線通信を用いて携帯端末装置20との通信リンクをそれぞれ確立するとともに、確立した各通信リンクを用いて車載装置10と携帯端末装置20との間の通信処理を行う。
【0042】
ここで、ブルートゥース(登録商標)とは、2.4GHzの周波数帯を用いて半径数10m程度の無線通信を行う近距離無線通信規格であり、近年では、携帯電話やパーソナルコンピュータなどの電子機器に広く適用されている。なお、ブルートゥース(登録商標)に代えて、Wi−Fi(ワイファイ:登録商標)、ZigBee(ジグビー:登録商標)といった他の無線通信規格を用いることとしてもよい。また、車載装置10と携帯端末装置20との間の通信を有線通信で行うこととしてもよい。
【0043】
マイク12は、車載装置10のユーザによって発せられた音声を入力する。また、表示操作部13は、文字情報や画像情報を表示する表示部と、音声入力の開始操作やリストの選択操作を受け付ける操作部とを備えている。
【0044】
たとえば、表示操作部13の表示部には、ウェブページや画像コンテンツなどの各種情報を表示するディスプレイを備えており、また、操作部には、音声入力の開始操作を行う「音声入力開始ボタン」やコンテンツリストからコンテンツを選択する「選択ボタン」などを備えている。
【0045】
なお、表示操作部13に備えるディスプレイや各種操作を行う構成部品を限定する必要はない。したがって、指やポインティングデバイスなどの押圧感知により入力を受け付け、かつ表示出力も兼ねるタッチパネル式の液晶ディスプレイを用いることとしてもよい。
【0046】
スピーカ14は、音楽コンテンツなどの音声データを再生するための音声出力機器である。ここでは、スピーカ14を車載装置10に備えるように構成したが、別体であるように構成してもよい。
【0047】
制御部15は、車載装置10の全体制御を行う制御部である。制御部15は、音声取得部15aと、テキスト取得部15bと、情報処理部15cと、ユーザ識別部15dとをさらに備えている。
【0048】
なお、図2には、制御部15の機能的な構成を示しているが、この制御部15は、物理的にはCPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とを有する情報処理装置を備えている。そして、CPUがROMから各種プログラムを読出し、RAMを作業領域として使用して実行することにより、音声取得部15a、テキスト取得部15b、情報処理部15c、ユーザ識別部15d等として機能する。
【0049】
音声取得部15aは、マイク12から出力されたユーザの音声を取得して、携帯端末装置20を介して音声認識サーバ30へ受け渡す処理を行う処理部である。
【0050】
具体的には、音声取得部15aは、例えば、ドライバーや同乗者によって「音声入力開始ボタン」が押下された場合に、マイク12から出力される音声を取得する。そして、音声取得部15aは、マイク12から取得した音声の情報をデジタル化して、携帯端末装置20を介して音声認識サーバ30へ送信する。
【0051】
テキスト取得部15bは、音声認識サーバ30による音声認識結果を取得する。この音声認識結果は、音声取得部15aによって送信された音声データに対する音声認識結果であり、テキストデータにより音声認識サーバ30から送信される。
【0052】
情報処理部15cは、音声認識サーバ30による音声認識結果に応じた処理を行う。例えば、情報処理部15cは、ユーザが音声により行った操作指示をテキストデータとして音声認識サーバ30から取得し、操作指示に応じた処理を行う。
【0053】
例えば、ユーザが音声により行った操作指示が外部ソースからの情報を取得するための操作指示である場合、情報処理部15cは、操作指示により指定された情報を外部ソースから取得して表示操作部13の表示部やスピーカ14から出力する。例えば、情報処理部15cは、動画コンテンツ、音楽コンテンツ、およびウェブページなどの情報を操作指示に応じて取得して表示操作部13の表示部やスピーカ14から出力する。
【0054】
また、情報処理部15cは、後述するように情報解析サーバ40から送信される情報を取得し、取得した情報を表示操作部13の表示部やスピーカ14から出力する。なお、情報処理部15cは、表示操作部13やスピーカ14と共に情報提供部として機能する。
【0055】
また、情報処理部15cは、ユーザが行った操作指示などの操作情報を情報解析サーバ40へ送信する。情報処理部15cは、操作情報を情報解析サーバ40へ送信する際に、後述するユーザ識別部15dによって識別されたユーザの情報も送信する。
【0056】
なお、情報処理部15cは、操作情報を操作の都度送信するのではなく、ユーザの操作情報を所定のタイミング、例えば所定時間毎や装置の電源OFF操作(送信完了後に装置の電源をOFFする)あるいはON操作(操作内容は電源OFF時も保持できるメモリに保存)のタイミングで、一括して送信する。
【0057】
ユーザ識別部15dは、車載装置10のユーザを識別する処理を実行する。具体的には、ユーザ識別部15dは、例えば、指紋識別、音声識別、IDカードによる識別などによってユーザの識別を行う。これらの識別方法は公知であるため、ここでは説明を省略する。
【0058】
なお、ユーザの識別は、ユーザ識別部15dに識別データを記憶させておき、ユーザ識別部15dだけでユーザの識別を行うものとするが、例えば、識別データを情報解析サーバ40に記憶させておき、情報解析サーバ40によりユーザの識別を行ってもよい。この場合、例えば、ユーザ識別部15dから情報解析サーバ40へ指紋情報、音声情報、或いはIDカード情報などを送信し、情報解析サーバ40において車載装置10から送信された情報と識別データとを比較してユーザの識別を行う。
【0059】
つづいて、音声認識サーバ30の構成について図3を参照して説明する。図3に示すように、音声認識サーバ30は、通信I/F31と、記憶部32と、制御部33とを備えている。また、記憶部32は、辞書情報32aを記憶する。
【0060】
通信I/F31は、インターネット22を介して、他の装置とデータの送受信を行うための通信デバイスで構成されている。たとえば、通信I/F31は、車載装置10からインターネット22を介して送信される音声データを取得する。また、通信I/F31は、車載装置10へインターネット22を介して音声認識結果を送信する。
【0061】
記憶部32は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。この記憶部32は、辞書情報32aを記憶する。
【0062】
制御部33は、音声認識サーバ30の全体制御を行う制御部である。制御部33は、音声データ取得部33aと、音声認識処理部33bと、音声認識結果送信部33cとをさらに備えている。
【0063】
なお、図3には、制御部33の機能的な構成を示しているが、この制御部33は、物理的にはCPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とを有する情報処理装置を備えている。そして、CPUがROMから各種プログラムを読出し、RAMを作業領域として使用して実行することにより、音声データ取得部33a、音声認識処理部33b、音声認識結果送信部33c等として機能する。
【0064】
音声データ取得部33aは、車載装置10から音声データを受信したならば、受信した音声データを音声認識処理部33bへ送信する。
【0065】
音声認識処理部33bは、音声データ取得部33aから受信した音声データに対して音声認識処理を行う。具体的には、音声認識処理部33bは、辞書情報32aを参照して、音声データ取得部33aから受信した音声データをテキストデータに変換する処理を行う。
【0066】
音声認識結果送信部33cは、音声認識処理部33bによる音声認識が終了すると、音声認識結果であるテキストデータを車載装置10へ送信する。
【0067】
つづいて、情報解析サーバ40の構成について図4を参照して説明する。図4に示すように、情報解析サーバ40は、通信I/F41と、記憶部42と、制御部43とを備えている。また、記憶部42は、操作履歴情報42aと、嗜好解析辞書情報42bと、ユーザ嗜好情報42cと、収集情報42dとを記憶する。
【0068】
通信I/F41は、インターネット22を介して、他の装置とデータの送受信を行うための通信デバイスで構成されている。たとえば、通信I/F41は、車載装置10からインターネット22を介して送信される操作情報を取得する。また、通信I/F41は、ウェブサーバ501〜50nなどから情報解析サーバ40が取得したコンテンツなどの情報を、インターネット22を介して車載装置10へ送信する。
【0069】
記憶部42は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。操作履歴情報42aは、車載装置101〜10nのそれぞれのユーザの操作情報の履歴を含む情報である。ここでは、車載装置101,102のユーザは、それぞれユーザA,Bであるとする。
【0070】
図5には、操作履歴情報42aの一例が示されている。同図に示す例では、ユーザAの操作情報である操作A1〜操作Anまでの情報が履歴として含まれ、また、ユーザBの操作情報である操作B1〜操作Bnまでの情報が履歴として含まれている。なお、説明を分かり易くするために、ここでは、ユーザA,Bの履歴のみ例示している。
【0071】
嗜好解析辞書情報42bは、ユーザの嗜好を判定するための情報であり、操作指示に含まれるキーワードと嗜好要素とを関連づける情報である。嗜好要素とは、ユーザの嗜好を判定するための要素であり、重み付け量が関連づけられている。
【0072】
図6には、嗜好解析辞書情報42bの一例が示されている。同図に示す例では、キーワードAは、嗜好要素a、嗜好要素c、および嗜好要素dと関連づけられており、嗜好要素aの重み付け量は「15」、嗜好要素cの重み付け量は「5」、嗜好要素dの重み付け量は「5」である。
【0073】
また、キーワードBは、嗜好要素a、嗜好要素b、および嗜好要素eと関連づけられており、嗜好要素aの重み付け量は「25」、嗜好要素bの重み付け量は「10」、嗜好要素eの重み付け量は「5」である。
【0074】
ユーザ嗜好情報42cには、操作履歴情報42aと嗜好解析辞書情報42bとに基づいて判定されたユーザ毎の嗜好の情報が含まれる。
【0075】
図7には、ユーザ嗜好情報42cの一例が示されている。同図に示す例では、ユーザAの嗜好は、嗜好Aおよび嗜好Dであり、ユーザBの嗜好は、嗜好A、嗜好Bおよび嗜好Eであることを示している。
【0076】
収集情報42dは、ユーザの嗜好A,嗜好B,嗜好C,・・・毎に、外部ソースから収集された情報である。この収集情報42dは制御部43によって繰り返し更新される情報であり、車載装置10のユーザの嗜好に応じて制御部43によって車載装置10へ送信される。
【0077】
制御部43は、情報解析サーバ40の全体制御を行う制御部である。制御部43は、操作履歴取得部43aと、嗜好判定部43bと、情報収集部43cと、情報送信部43dとをさらに備えている。
【0078】
なお、図4には、制御部43の機能的な構成を示しているが、この制御部43は、物理的にはCPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とを有する情報処理装置を備えている。そして、CPUがROMから各種プログラムを読出し、RAMを作業領域として使用して実行することにより、操作履歴取得部43a、嗜好判定部43b、情報収集部43c、情報送信部43d等として機能する。
【0079】
操作履歴取得部43aは、車載装置101〜10nのそれぞれのユーザの操作情報の履歴を取得し、操作履歴情報42aに追加する。各車載装置101〜10nから送信されてくる情報は、操作情報とユーザの識別情報であり、操作履歴取得部43aは、ユーザの識別情報に基づいて、ユーザを特定し、特定したユーザの操作履歴に受信した操作情報を追加する。
【0080】
嗜好判定部43bは、記憶部42に記憶されている操作履歴取得部43aに基づいて、各車載装置101〜10nのユーザの嗜好を判定する。嗜好判定部43bによって判定されるユーザの嗜好は、予め設定された複数の嗜好A,嗜好B,嗜好C,・・・の中から選択される。
【0081】
例えば、操作履歴情報42aが図5に示す状態であり、嗜好解析辞書情報42bが図6に示す状態であるとした場合、嗜好判定部43bは、例えば、次のように、ユーザAの嗜好を判定する。
【0082】
まず、嗜好判定部43bは、操作履歴情報42aに含まれるユーザAの操作情報A1〜Anを読み出し、各操作情報A1〜Anに含まれるキーワードを抽出する。そして嗜好判定部43bは、抽出したキーワードに対応する嗜好要素と重み付け量を嗜好解析辞書情報42bから読み出して、合計していく。
【0083】
例えば、ユーザAの操作情報A1にキーワードAが含まれ、操作情報A2にキーワードBが含まれているとする。この場合、これらのキーワードについて、嗜好要素と重み付け量の合計は、嗜好要素aが重み付け量「40」、嗜好要素bが重み付け量「10」、嗜好要素cが重み付け量「5」、嗜好要素dが重み付け量「5」、嗜好要素eが重み付け量「5」である。
【0084】
嗜好判定部43bは、このように嗜好要素の重み付け量を合計していき、所定以上の重み付け量の嗜好要素がある場合、その嗜好要素に対応する嗜好がユーザの嗜好であると判定する。例えば、嗜好要素aがポップ音楽に関する嗜好要素であり、所定以上の重み付け量がある場合、嗜好解析辞書情報42bは、ユーザの嗜好として、ポップ音楽好きを示す嗜好Aがあると判定する。
【0085】
嗜好判定部43bは、上記の手順により、各ユーザの操作情報の履歴に基づいて、ユーザの嗜好を判定していき、ユーザ嗜好情報42cを更新する。例えば、図7に示すユーザ嗜好情報42cでは、上述したように、ユーザAの嗜好は、嗜好Aおよび嗜好Dであり、ユーザBの嗜好は、嗜好A、嗜好Bおよび嗜好Eであることを示している。
【0086】
情報収集部43cは、このように嗜好判定部43bによって判定したユーザの嗜好に基づいて、外部ソースから情報を収集する。具体的には、情報収集部43cは、ユーザ嗜好情報42cを参照し、ユーザ嗜好情報42cに含まれる嗜好に関する情報を外部ソースから収集する。
【0087】
例えば、ユーザ嗜好情報42cが図6に示す状態である場合、情報収集部43cは、嗜好A、嗜好B、嗜好D、嗜好Eに関する情報を外部ソースから収集する。なお、ユーザAの嗜好として嗜好Aが含まれ、ユーザBの嗜好にも嗜好Aが含まれているが、同一嗜好Aであるため、情報収集部43cは、嗜好Aに関する情報は重複して収集しない。
【0088】
すなわち、情報収集部43cは、ユーザ単位で嗜好に関する情報を収集するのではなく、嗜好単位で嗜好に関する情報を収集する。これにより同一嗜好に関して重複して情報を収集することがなく、情報収集処理の負荷を軽減することができる。
【0089】
また、嗜好判定部43bによって判定されるユーザの嗜好は、予め設定された複数の嗜好の中から選択されるものであるため、情報収集部43cによる情報収集対象の嗜好が際限なく増加することがなく、これによっても情報収集処理の負荷を軽減することができる。
【0090】
情報収集部43cによる情報収集処理は繰り返し行われ、情報収集部43cによって収集された情報は、収集情報42dに追加される。
【0091】
情報送信部43dは、情報収集部43cによって収集されて記憶部42に記憶された収集情報42dを車載装置10へ送信する。具体的には、情報送信部43dは、ユーザ嗜好情報42cからユーザ毎にユーザの嗜好に応じた情報を記憶部42の収集情報42dから抽出してユーザの車載装置10へそれぞれ送信する。
【0092】
例えば、ユーザ嗜好情報42cが図7に示す状態である場合、情報送信部43dは、嗜好Aおよび嗜好Dに関する情報を収集情報42dから抽出し、ユーザAの車載装置10へ送信する。また、情報送信部43dは、嗜好A,嗜好Bおよび嗜好Eに関する情報を収集情報42dから抽出し、ユーザBの車載装置10へ送信する。
【0093】
また、情報送信部43dは、予め設定された複数の嗜好A,嗜好B,嗜好C,嗜好D,・・・のうち嗜好判定部43bによってユーザの嗜好として判定された嗜好のすべてに関する情報が情報収集部43cによって収集された場合に、ユーザの嗜好に応じた情報を車載装置10へ送信する。
【0094】
例えば、ユーザ嗜好情報42cが図7に示す状態であり、ユーザAの嗜好とユーザBの嗜好だけがユーザ嗜好情報42cに含まれているとする。この場合、情報送信部43dは、嗜好A,嗜好B,嗜好D,嗜好Eのすべてに関して情報収集部43cによる収集が完了した場合に、ユーザA,Bの嗜好に応じた情報をユーザA,Bの車載装置10へそれぞれ送信する。
【0095】
また、情報収集部43cはユーザの嗜好に応じた情報を外部ソースから繰り返し収集するため、外部ソースによって新たな情報が提供された場合、過去に収集されていない新たな情報が情報収集部43cにより収集される。情報送信部43dは、このように過去に収集されていない新たな情報がある場合に、かかる新たな情報を車載装置10へ送信する。
【0096】
次に、本実施例に係る車載装置10の具体的動作について図8を用いて説明する。図8は、車載装置10の制御部15が実行する処理手順の概要を示すフローチャートである。
【0097】
この処理は、車載装置10が起動中に繰り返し、他の処理と共に実行される。また、これらの処理は制御部15を構成するマイクロコンピュータ(CPU)がプログラムに基づき処理を行なって実行(実現)されるが、図2に示した機能ブロックとの関係を分かりやすくする為、便宜的に各機能ブロックが実行すると言う表現を用いて説明する。
【0098】
図8に示すように、車載装置10では、制御部15が、音声操作が開始されたか否かを判定する(ステップS20)。制御部15は、音声入力の開始操作を行う「音声入力開始ボタン」がユーザにより押下された場合に、音声操作が開始されたと判定する。
【0099】
この処理において、音声操作が開始されたと判定されると(ステップS20,Yes)、ユーザ識別部15dが、ユーザの識別を行う(ステップS21)。
【0100】
ユーザの識別が終了すると、音声取得部15aは、録音処理を行う(ステップS22)。具体的には、音声取得部15aは、マイク12から入力されたユーザの音声の録音を開始する。その後、音声取得部15aは、録音が終了すると、録音した音声を所定のフォーマットの音声データに変換し、この音声データを音声認識サーバ30へ送信する(ステップS23)。
【0101】
つづいて、テキスト取得部15bが、音声認識サーバ30から車載装置10へ送信される音声認識結果を受信する(ステップS24)。この音声認識結果は、ステップS23において送信された音声データに対して音声認識サーバ30が行った音声認識結果である。
【0102】
テキスト取得部15bによって受信された音声認識結果は、情報処理部15cによって処理される。具体的には、情報処理部15cは、音声認識結果に応じた処理を実行する(ステップS25)。例えば、音声認識結果がウェブサーバ50から所定の音楽コンテンツを取得することを示す操作指示である場合、情報処理部15cは、ウェブサーバ50から所定の音楽コンテンツを取得して再生する。
【0103】
ステップS20において、音声操作が開始されていないと判定されると(ステップS20,No)、情報処理部15cは、情報解析サーバ40から情報を受信したか否かを判定する(ステップS26)。
【0104】
この処理において、情報解析サーバ40から情報を受信したと判定すると(ステップS26,Yes)、情報処理部15cは、情報解析サーバ40から受信した情報が複数あるか否かを判定する(ステップS27)。例えば、情報解析サーバ40から複数の音楽コンテンツのリストを受信した場合に、情報解析サーバ40から受信した情報が複数あると判定し、コンテンツ自体を受信した場合は受信した情報は1つと判定する。
【0105】
なお、本実施例において、情報解析サーバ40は、該当情報が複数ある場合は、ユーザに選択させるために各情報の概略(楽曲状や見出等)をリスト化した情報(以下リストを称する)を送信し、該当情報が1つの場合には当該情報自体(コンテンツ自体、例えば楽曲データ自体)を送信する。
【0106】
情報解析サーバ40から受信した情報がリストであると判定すると(ステップS27,Yes)、情報処理部15cは、受信したリストを表示する(ステップS28)。例えば、情報解析サーバ40から音楽コンテンツのリストを受信した場合、このリストを表示操作部13の表示部に表示する。
【0107】
一方、情報解析サーバ40から受信した情報がリストでないと判定すると(ステップS27,No)、情報処理部15cは、情報をユーザに提示する(ステップS29)。例えば、情報処理部15cは、情報解析サーバ40から音楽コンテンツを受信した場合、音楽コンテンツに応じた音をスピーカ14から出力する。また、情報解析サーバ40から動画コンテンツを受信した場合、動画コンテンツに応じた画像を表示操作部13の表示部に表示する。
【0108】
また、ステップS26において、情報解析サーバ40から情報を受信していないと判定すると(ステップS26,No)、情報処理部15cは、ステップS28で表示したリストから情報がユーザにより選択されたか否かを判定する(ステップS30)。
【0109】
この処理において、ユーザによりリストから情報が選択されたと判定した場合(ステップS30,Yes)、情報処理部15cは、選択された情報をユーザに提示する(ステップS31)。例えば、選択された情報が音楽コンテンツであるとき、情報処理部15cは、選択された音楽コンテンツを情報解析サーバ40から取得して、スピーカ14から出力する。
【0110】
一方、ユーザによりリストから情報が選択されていないと判定した場合(ステップS30,No)、情報処理部15cは、操作情報の送信契機となったか否かを判定する(ステップS32)。例えば、操作情報が所定量以上となった場合や、所定期間が経過した場合に、情報処理部15cは、操作情報の送信契機となったと判定する。
【0111】
操作情報の送信契機となったと判定すると(ステップS32,Yes)、情報処理部15cは、操作情報を情報解析サーバ40へ送信する(ステップS33)。
【0112】
ステップS25,S28,S29,S31,S33の処理が終了した場合、又は、ステップS32において操作情報の送信契機となっていないと判定された場合(ステップS32,No)、制御部15は、処理を終了する。
【0113】
次に、本実施例に係る音声認識サーバ30の具体的動作について図9を用いて説明する。図9は、音声認識サーバ30の制御部33が実行する処理手順の概要を示すフローチャートである。この処理は、音声認識サーバ30の音声データ取得部33aが車載装置10から音声データを受信した場合に開始される処理である。また、これらの処理は制御部33を構成するマイクロコンピュータ(CPU)がプログラムに基づき処理を行なって実行(実現)されるが、図3に示した機能ブロックとの関係を分かりやすくする為、便宜的に各機能ブロックが実行すると言う表現を用いて説明する。
【0114】
図9に示すように、音声認識サーバ30では、音声認識処理部33bが、音声データ取得部33aによって取得された音声データの音声認識処理を実行する(ステップS40)。この音声認識処理によって、音声データがテキストデータに変換される。
【0115】
つづいて、音声認識結果送信部33cは、音声認識処理部33bによって変換されたテキストデータを車載装置10へ送信する(ステップS41)。
【0116】
このように、音声認識サーバ30は、車載装置10から音声データが送信されてくる毎に、音声認識処理を行って、音声認識結果であるテキストデータを車載装置10へ送信する。
【0117】
次に、本実施例に係る情報解析サーバ40の具体的動作について図10を用いて説明する。図10は、情報解析サーバ40の制御部43が実行する処理手順の概要を示すフローチャートである。この処理は、情報解析サーバ40が起動中に繰り返し、他の処理と共に実行する。また、これらの処理は制御部43を構成するマイクロコンピュータ(CPU)がプログラムに基づき処理を行なって実行(実現)されるが、図4に示した機能ブロックとの関係を分かりやすくする為、便宜的に各機能ブロックが実行すると言う表現を用いて説明する。
【0118】
図10に示すように、情報解析サーバ40では、操作履歴取得部43aが、車載装置10から操作情報を受信したか否かを判定する(ステップS50)。この処理において、操作情報を受信したと判定すると(ステップS50,Yes)、操作履歴取得部43aは、受信した操作情報を操作履歴情報42aに追加して、操作履歴情報42aを更新する(ステップS51)。
【0119】
つづいて、嗜好判定部43bは、ステップS51において更新した操作履歴情報42aに基づいて、ユーザの嗜好を判定する(ステップS52)。そして、このように新たに判定したユーザの嗜好により、嗜好判定部43bは、ユーザ嗜好情報42cを更新する(ステップS53)。
【0120】
また、ステップS50において、車載装置10から操作情報を受信していないと判定すると(ステップS50,No)、情報収集部43cは、情報収集の契機となったか否かを判定する(ステップS54)。
【0121】
この処理において、情報収集の契機となったと判定すると(ステップS54,Yes)、情報収集部43cは、ユーザ嗜好情報42cに基づいて、外部ソースから情報を収集する(ステップS55)。そして、情報収集部43cは、外部ソースから収集した情報を収集情報42dに追加して、収集情報42dを更新する(ステップS56)。なお、外部ソースからの情報収集は、1ユーザの嗜好情報に基づき行なうのではなく、情報解析サーバ40が受け持つ全ユーザの嗜好情報に基づき行なう。これは、1ユーザ毎に情報収集を行なうと、同じ嗜好に対して何度も同じ情報収集を行なうことになって、非常に効率の悪い処理となるためである。
【0122】
情報収集の契機となっていないと判定されると(ステップS54,No)、情報送信部43dは、収集情報の送信契機になったか否かを判定する(ステップS57)。この処理において、収集情報の送信契機になったと判定すると(ステップS57,Yes)、情報送信部43dは、収集情報42dに新たな情報があるか否かを判定する(ステップS58)。
【0123】
収集情報42dに新たな情報があると判定すると(ステップS58,Yes)、情報送信部43dは、収集情報42dから新たな情報を読み出して、車載装置10へ送信する(ステップS59)。
【0124】
ステップS53,S56,S59の処理が終了した場合、又は、ステップS57において収集情報の送信契機となっていないと判定された場合(ステップS57,No)、ステップS58において新たな情報がないと判定された場合(ステップS58,No)、制御部43は、処理を終了する。
【0125】
このように、本実施例に係る情報提供システムでは、操作履歴取得部43aが、車載装置10のユーザによる操作の履歴を取得し、嗜好判定部43bが、操作履歴取得部43aによって取得した操作の履歴に基づいて、ユーザの嗜好を判定する。
【0126】
また、情報収集部43cが、嗜好判定部43bによって判定したユーザの嗜好に基づいて、外部ソースから情報を収集し、情報送信部43dが、情報収集部43cによって収集された情報をユーザの車載装置10へ送信する。
【0127】
したがって、このように嗜好が判定された車載装置10のユーザは、自己の嗜好に適合した情報を自動的に取得することが可能となる。すなわち、ユーザによる入力操作の低減を図りつつ、ユーザの嗜好に応じた情報を提供することができる。
【0128】
なお、上述においては、情報解析サーバ40は、情報収集部43cによって収集した情報が複数ある場合には、これらの情報のリストを車載装置10へ送信することとしたが、情報収集部43cによって収集した情報を車載装置10へ送信するようにしてもよい。この場合、車載装置10の情報処理部15cは、情報解析サーバ40から送信される情報を順次再生することで、車載装置10のユーザに対して新たな情報を自動的に提示することができる。
【0129】
また、上述においては、キーワードと嗜好要素とを関連づけた嗜好解析辞書情報42bに基づいて、ユーザの嗜好を判定したが、その他の方法でユーザの嗜好を判定するようにしてもよい。
【0130】
また、操作履歴情報42aには、操作情報の履歴を記憶することとしたが、操作を行った場合の位置、時間帯、目的地の情報などを操作情報毎に関連づけるようにしてもよい。
【0131】
この場合、例えば、情報処理部15cは、車載装置10の図示しない現在位置情報取得部、時刻計時部、経路案内部などから位置、時間帯、目的地の情報などを取得し、情報解析サーバ40へ操作情報と共に送信する。これにより、操作時の位置、時間帯、目的地などに応じたユーザの嗜好を判定して、より適切な情報をユーザに提供することができる。
【0132】
また、上述においては、音声認識サーバ30および情報解析サーバ40を車載装置10外に配置したが、これらの機能のいずれか又は全部を車載装置10に設けるようにしてもよい。これにより、車載装置10と外部装置との間の通信負担を軽減することができる。
【0133】
また、上述においては、操作情報として、ウェブサーバやデータベースサーバなどの外部ソースからの情報取得の操作を例に挙げて説明したが、車載装置10内のソースに対する操作指示を操作情報に含むようにしてもよい。
【0134】
例えば、外部サーバから情報を取得する操作指示に加え、車載装置10のナビゲーション機能やカーオーディオ機能に対する操作指示を、操作情報として情報解析サーバ40へ送信する。これにより、好みの音楽や好みの地域などの情報をより広く収集することができ、嗜好判定部43cによる嗜好判定の精度を向上させることができる。
【0135】
また、車載装置10のナビゲーション機能に対する操作指示を、ユーザの嗜好の絞り込みのために用いるようにしてもよい。例えば、頻繁に通過する地域を把握することができ、情報送信部43dがこの地域に関する情報を優先して送信したり、この地域のみの情報を送信したりする。このようにすれば、ユーザによりこの好ましい情報を提供することができる場合があり、ユーザは設定によりこのようにすることができるようにしてもよい。
【0136】
なお、情報解析サーバ40は、ユーザ毎に嗜好を判定するようにしたが、ユーザ単位に嗜好を判定するのではなく、車両単位で嗜好を判断してもよい。この場合、車載装置10の情報処理部15cは、車両IDなどを操作情報と共に情報解析サーバ40へ送信する。
【0137】
また、上述においては、車載装置10が携帯端末装置20を介して音声認識サーバ30および情報解析サーバ40と通信するようにしたが、車載装置10に代えて携帯端末装置20に置き換えることも可能である。図11は、車載装置10を携帯端末装置20に置き換えた場合のブロック図であり、携帯端末装置20は、近距離通信部11が通信I/F23に置き換わった以外は、上述の車載装置10と同様にマイク24、表示操作部25、スピーカ26と、制御部27を備える。
【0138】
また、制御部27は、音声取得部27a、テキスト取得部27b、情報処理部27c、ユーザ識別部27dを備えている。図11は近距離通信部11が通信I/F23に置き換わった以外は、図2と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。このようにすることで、車両を運転中の携帯端末装置20を持ったユーザに対し情報を提供することができる。この場合も、車載装置10と同様に、音声認識サーバ30および情報解析サーバ40の機能のいずれか又は全部を携帯端末装置20に設けるようにしてもよい。
【0139】
以上、本発明の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0140】
以上のように、本発明に係る情報提供システムおよび車載装置は、車載装置を用いて外部ソースから情報の取得操作が行われる場合に有用であり、特に、ユーザによる入力操作を低減したい場合に適している。
【符号の説明】
【0141】
S 情報提供システム
10 車載装置
30 音声認識サーバ
40 情報解析サーバ
15 制御部
15a 音声取得部
15b テキスト取得部
15c 情報処理部
15d ユーザ識別部
42 記憶部
42a 操作履歴情報
42b 嗜好解析辞書情報
42c ユーザ嗜好情報
42d 収集情報
43 制御部
43a 操作履歴取得部
43b 嗜好判定部
43c 情報収集部
43d 情報送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報検索装置のユーザへ情報を提供する情報提供システムであって、
前記情報検索装置のユーザによる操作の履歴を取得する操作履歴取得部と、
前記操作履歴取得部によって取得された前記操作の履歴に基づいて、前記ユーザの嗜好を判定する嗜好判定部と、
前記嗜好判定部によって判定された前記ユーザの嗜好に基づいて、外部ソースから情報を収集する情報収集部と、
前記情報収集部によって収集された情報を前記ユーザの情報検索装置へ送信する情報送信部と
を備えたことを特徴とする情報提供システム。
【請求項2】
前記情報収集部は、
前記外部ソースからの情報の収集を繰り返し行い、
前記情報送信部は、
前記情報収集部によって収集された情報が過去に収集されていない新たな情報である場合に、前記ユーザの情報検索装置へ前記新たな情報を送信することを特徴とする請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記情報送信部は、
送信すべき前記情報が複数ある場合に、前記新たな情報のリストを前記情報検索装置へ送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記操作履歴取得部は、
前記ユーザ毎の操作の履歴を取得し、
前記嗜好判定部は、
前記ユーザ毎の嗜好を判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報提供システム。
【請求項5】
前記嗜好判定部は、
前記ユーザの嗜好として判定する嗜好を、予め設定された複数の嗜好の中から選択し、
前記情報収集部は、
前記予め設定された嗜好単位で前記情報を収集することを特徴とする請求項4に記載の情報提供システム。
【請求項6】
前記情報送信部は、
前記予め設定された前記複数の嗜好のうち前記ユーザの嗜好として判定された嗜好のすべてに関して前記情報収集部による前記情報の収集が終了した場合に、前記情報検索装置へ前記情報を送信することを特徴とする請求項5に記載の情報提供システム。
【請求項7】
前記情報検索装置は、
前記操作を行うユーザが複数ある場合には、前記複数のユーザの操作の履歴をまとめて送信する送信部をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の情報提供システム。
【請求項8】
外部ソースから取得した情報をユーザへ提供する情報検索装置であって、
前記情報検索装置のユーザによる操作の履歴を取得する操作履歴取得部と、
前記操作履歴取得部によって取得された前記操作の履歴に基づいて、前記ユーザの嗜好を判定する嗜好判定部と、
前記嗜好判定部によって判定された前記ユーザの嗜好に基づいて、外部ソースから情報を収集する情報収集部と、
前記情報収集部によって収集された情報を前記ユーザに提示する情報提供部と
を備えたことを特徴とする情報検索装置。
【請求項9】
外部ソースから取得した情報をユーザへ提供する車載装置であって、
前記車載装置のユーザによる操作の履歴を取得する操作履歴取得部と、
前記操作履歴取得部によって取得された前記操作の履歴に基づいて、前記ユーザの嗜好を判定する嗜好判定部と、
前記嗜好判定部によって判定された前記ユーザの嗜好に基づいて、外部ソースから情報を収集する情報収集部と、
前記情報収集部によって収集された情報を前記ユーザに提示する情報提供部と
を備えたことを特徴とする車載装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−123493(P2012−123493A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272060(P2010−272060)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】