説明

情報提示装置、情報提示方法、情報提示プログラムおよび情報提示プログラムを格納した記録媒体

【課題】例えば、使用者が方向感覚を掴むことができるような目標物を提示することができる情報提示装置、情報提示方法、情報提示プログラムおよび情報提示プログラムを格納した記録媒体を提供する。
【解決手段】端末部10から現在地と進行方向の情報をサーバ部20へ送信し、サーバ部20の目標物情報検索部22で現在地Xと進行方向Yの情報に基づいてランドマーク検索エリアZ内の進行方向と、進行方向Yの左右方向のランドマークと地形を検索して、それらの表示するための画像および表示位置の指示情報と、ランドマークと地形を表示する際の位置関係を示す情報と、を目標物情報として端末部10へ送信し、端末部10では、目標物情報に基づいて制御部14が表示用画像蓄積部13から表示するアイコン等の画像情報を読み出して表示部16へ表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、利用者が自転車などで移動する際などに、ランドマークなどの目標物を提示して方向感覚を掴むことができるようにする情報提示装置、情報提示方法、情報提示プログラムおよび情報提示プログラムを格納した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車などを用いて散策を行う場合、道路標識(案内標識)が整備されている主要道や、道幅が広く見通しがよく交通量の多い道路を走行するだけでなく、ビルに囲まれた市街地や、住宅街などを走行することも多い。そのような場所では、目印となるようなものが視界から遮られたり、道が不規則に曲がりくねったりしていて特に方向感覚を失い易いという問題がある。そのため、ランドマークなどの目印や目標となるものを検索して提示する装置などがあると方向感覚を掴み易くなる。
【0003】
例えば、ランドマークを報知する装置として特許文献1に記載のランドマーク報知装置が提案されている。特許文献1に記載のランドマーク報知装置は、経路情報から目的地および車両の現在位置の周辺領域を、ランドマークを検索するための検索範囲として設定して、車両の進行方向の判定結果に基づいて、見た目要素Vd、意味要素Sdおよび位置要素Ldを算出し、検索範囲内のランドマークの重要度Idを、見た目要素Vd、意味要素Sdおよび位置要素Ldに基づいて算出して算出された重要度の値が最も大きいランドマークを提示するランドマークに選択する。そして、提示装置13が、先に選択したランドマークを地図とともに提示部19に提示させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−240193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたランドマーク報知装置は、基本的に経路探索・誘導の際に、経路を間違わないように誘導するために、予め設定された経路上に存在するランドマークを重要度に基づき選択し提示するものであるので、経路を設定せずに散策する場合では、ランドマークの表示が行われない。また、経路を誘導するという目的から経路上に視認できるランドマークが表示されるため、例えば現在地からは見えないが方向感覚を掴むことができるようなランドマーク(例えば、自宅や駅などの地図上の目印となるような構造物や、海や山などの地形上の目印となるもの)は表示されない。
【0006】
そこで、本発明は、例えば、使用者が方向感覚を掴むことができるような目標物を提示することができる情報提示装置、情報提示方法、情報提示プログラムおよび情報提示プログラムを格納した記録媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の情報提示装置は、使用者の現在地を取得する現在地取得手段と、前記使用者の進行方向を算出する進行方向算出手段と、を備え、前記使用者の進行方向に存在する目標物を提示する情報提示装置であって、前記目標物の位置情報が格納されている目標物情報格納手段と、前記進行方向における所定の範囲を複数の区分に分割し、それぞれの区分について前記目標物を前記目標物情報格納手段から検索する目標物検索手段と、前記現在地及び前記進行方向に基づいて、前記目標物検索手段が検索した前記目標物を提示する提示手段と、を備えていることを特徴としている。
【0008】
請求項9に記載の情報提示方法は、使用者の現在地を取得する現在地取得ステップと、前記使用者の進行方向を算出する進行方向算出ステップと、を備え、前記使用者の進行方向に存在する目標物を提示する情報提示方法であって、前記進行方向における所定の範囲を複数の区分に分割し、それぞれの区分について前記目標物を前記目標物の位置情報が格納されている目標物情報格納手段から検索する目標物検索ステップと、前記現在地及び前記進行方向に基づいて、前記目標物検索ステップで検索した前記目標物を提示する提示ステップと、を備えていることを特徴としている。
【0009】
請求項10に記載の情報提示プログラムは、使用者の現在地を取得する現在地取得手段と、前記使用者の進行方向を算出する進行方向算出手段と、してコンピュータを機能させて、前記使用者の進行方向に存在する目標物を提示する情報提示プログラムであって、前記目標物の位置情報が格納されている目標物情報格納手段と、前記進行方向における所定の範囲を複数の区分に分割し、それぞれの区分について前記目標物を前記目標物情報格納手段から検索する目標物検索手段と、前記現在地及び前記進行方向に基づいて、前記目標物検索手段が検索した前記目標物を提示する提示手段と、して前記コンピュータを機能させることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施例にかかるナビゲーション装置のブロック図である。
【図2】図1に示されたナビゲーション装置の端末部の動作を示したフローチャートである。
【図3】図1に示されたナビゲーション装置のサーバ部の動作を示したフローチャートである。
【図4】具体的な動作例の説明に用いる現在地と各ランドマークおよび地形の位置関係を示した説明図(地図)である。
【図5】図4に対して、進行方向とランドマーク検索エリアとを追加した説明図である。
【図6】図1に示された端末部の表示部の表示例を示した図である。
【図7】本発明の第2の実施例にかかるナビゲーション装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態にかかる情報提示装置を説明する。本発明の一実施形態にかかる情報提示装置は、目標物検索手段が、進行方向における所定の範囲を複数の区分に分割し、それぞれの区分について目標物を目標物情報格納手段から検索して、提示手段が、現在地及び進行方向に基づいて、目標物検索手段が検索した目標物を提示するので、進行方向における、例えば左右や、左右と中央など複数の区分の目標物を提示することができるために、見通しの悪い道路を走行していても使用者が方向感覚を掴むことができるような目標物を提示することができる。
【0012】
また、目標物検索手段には、現在地を中心として目標物を検索する範囲が予め設定されていてもよい。このようにすることにより、進行方向のみでなく方向感覚を掴むためのある程度の範囲における目標物を提示することができる。
【0013】
また、目標物検索手段が、目標物を現在地に近いものから優先的に検索してもよい。このようにすることにより、進行する際により早く見つかり目標にし易いものを目標物とすることができる。
【0014】
また、目標物が、構造物と、山、河川などの自然物である地形と、のうち少なくともいずれかであってもよい。このようにすることにより、目標物として、有名施設などの構造物または山、河川などの地形、或いは両方を提示することで方向感覚を確実に掴むことができる。
【0015】
また、提示手段が、目標物を表示する表示手段として構成され、表示手段が、地形と構造物とを同時に表示した際には、地形と構造物との位置関係を考慮した表示を行ってもよい。このようにすることにより、例えば、検索された構造物が川などの地形の手前にあるのか奥にあるのかが明確に表示されるため、より方向感覚を掴み易くすることができる。
【0016】
また、目標物を示す画像情報が予め格納されている表示用画像格納手段をさらに備え、表示手段が、目標物を示す画像情報を表示用画像格納手段から読み出して表示してもよい。このようにすることにより、目標物に合った画像情報を読み出して表示するだけでよいために表示手段に目標物を表示するための処理を簡素化することができる。
【0017】
また、進行方向算出手段が使用者の進行方向の変化を検出した場合は、目標物検索手段が、進行方向の変化を検出する直前に提示手段が提示している目標物を優先的に検索してもよい。このようにすることにより、道路を曲がったなどで進行方向が変わった場合において、直前に表示している目標物を優先的に検索して提示することで、方向転換した場合に、表示されている目標物が全て変化してしまい却って方向感覚が掴みにくくなることを少なくできる。
【0018】
また、天候情報を取得する天候情報取得手段と、進行方向の天候情報を算出する天候算出手段と、をさらに備え、提示手段が、目標物に加えて、天候算出手段が算出した進行方向の天候情報も提示してもよい。このようにすることにより、進行方向における天候も把握することができ、進行時の参考することができる。
【0019】
また、本発明の一実施形態にかかる情報提示方法は、目標物検索ステップで、進行方向における所定の範囲を複数の区分に分割し、それぞれの区分について目標物を目標物情報格納手段から検索して、提示ステップで、現在地及び進行方向に基づいて、目標物検索ステップにおいて検索した目標物を提示するので、進行方向における、例えば左右や、左右と中央など複数の区分の目標物を提示することができるために、見通しの悪い道路を走行していても使用者が方向感覚を掴むことができるような目標物を提示することができる。
【0020】
また、本発明の一実施形態にかかる情報提示プログラムは、目標物検索手段が、進行方向における所定の範囲を複数の区分に分割し、それぞれの区分について目標物を目標物情報格納手段から検索して、提示手段が、現在地及び進行方向に基づいて、目標物検索手段が検索した目標物を提示するので、進行方向における、例えば左右や、左右と中央など複数の区分の目標物を提示することができるために、見通しの悪い道路を走行していても使用者が方向感覚を掴むことができるような目標物を提示することができる。
【0021】
また、上述した情報提示プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよい。このようにすることにより、当該プログラムを機器に組み込む以外に単体でも流通させることができ、バージョンアップ等も容易に行える。
【実施例1】
【0022】
本発明の第1の実施例にかかる情報提示装置としてのナビゲーション装置1を図1乃至図6を参照して説明する。ナビゲーション装置1は図1に示すように、端末部10と、サーバ部20と、から構成されている。端末部10は例えば自転車のハンドルなどに取り付けられ、当該自転車の現在地と進行方向の情報をサーバ部20へ送信したり、サーバ部20から送信されてきた目標物情報を表示する。サーバ部20は、事業所などに設置されたコンピュータなどで構成され、端末部10から送信された現在地や進行方向の情報から目標物情報を逐次算出して端末部10へ逐次送信する。勿論、端末部10は自転車に取り付ける端末に限らず、歩行者用の携帯端末などで構成してもよい。
【0023】
また、図1に記載のナビゲーション装置1の構成は、一例でありこれに限られるものではない。図1は、ナビゲーション装置1が備える各構成部を端末部10とサーバ部20とに分けて備えてもよいことを示しており、例えば、サーバ部20を構成する一部を、端末部10が備えることとしてもよいし、逆に端末部10を構成する一部をサーバ部20が備えることとしてもよい。
【0024】
端末部10は、GPS受信部11と、現在地・進行方向算出部12と、表示用画像蓄積部13と、制御部14と、通信部15と、表示部16と、スピーカ17と、を備えている。
【0025】
GPS受信部11は、複数のGPS(Global Positioning System)衛星から、緯度及び経度情報や時間情報等の測位用データを含む電波を定期的に受信して現在地・進行方向算出部12に出力する。なお、現在地を検出する手段としてはGPSに限らず、自立センサ(角速度センサ)などを用いてもよい。
【0026】
現在地取得手段、進行方向算出手段としての現在地・進行方向算出部12は、GPS受信部11が受信した測位用データから、現在地の座標(緯度、経度)を算出し、その現在地の座標と前に受信した測位用データによる現在地の座標との差分から進行方向を算出して、現在地の座標および進行方向を制御部14へ出力する。
【0027】
表示用画像格納手段としての表示用画像蓄積部13は、表示部16に表示するランドマークのアイコン等の画像情報等を蓄積している。
【0028】
制御部14は、端末部10の全体制御を司り、現在地・進行方向算出部12から入力された現在地の座標と進行方向の情報を通信部15へ出力したり、通信部15が受信した目標物情報に基づいて表示用画像蓄積部13から必要な画像情報を読み出して表示情報を生成して表示部16へ出力する。
【0029】
通信部15は、サーバ部20の通信部21と無線通信を行う。通信部15は、現在地・進行方向算出部12から入力された現在地の座標と進行方向の情報を送信するとともに、サーバ部20から送信される目標物情報を受信して制御部14へ出力する。
【0030】
提示手段、表示手段としての表示部16は、例えば液晶ディスプレイなどで構成され、進行方向におけるランドマークや地形などの目標物情報を表示する。
【0031】
報知手段としてのスピーカ17は、進行方向におけるランドマーク情報等を音声ガイドなどで使用者に知らせる。
【0032】
サーバ部20は、通信部21と、目標物情報検索部22と、ランドマーク情報蓄積部23と、地図情報格納部24と、を備えている。
【0033】
通信部21は、端末部10の通信部15と無線通信を行う。端末部10から送信される現在地の座標と進行方向の情報を目標物情報検索部22に出力するとともに、目標物情報検索部22で算出された目標物情報を端末部10へ出力する。
【0034】
目標物検索手段としての目標物情報検索部22は、通信部21を介して送信されてきた現在地の座標と進行方向の情報と、ランドマーク情報蓄積部23に蓄積されているランドマークの情報と、地図情報格納部24に格納されている地形の情報と、に基づいて表示すべき目標物としてのランドマーク(構造物)と、地形を検索して、通信部21を介して端末部10に送信する。
【0035】
目標物情報格納手段としてのランドマーク情報蓄積部23は、例えば、駅やビルなどの主に地図上で点状に示される構造物であるランドマークの座標位置情報および当該ランドマークを示すアイコン等の画像情報や当該アイコンの名称やIDなどのアイコン情報などが蓄積されている。ランドマークは、予め駅や有名な施設等が登録されているとともに、端末部10の使用者の自宅や最寄り駅等の使用者が必要とするランドマークを後から追加することができる。
【0036】
目標物情報格納手段としての地図情報格納部34は、地図情報が格納されるとともに、例えば、山や川、海などの自然物である地形の座標位置情報および当該地形を示すアイコン等の画像情報や当該アイコンの名称やIDなどのアイコン情報などが蓄積されている。また、地形には、上述した自然物に加えて、鉄道線路や主要幹線道路等の主に地図上で線状に示される構造物も含める。
【0037】
次に、上述した構成のナビゲーション装置1の動作を図2および図3を参照して説明する。図2は、端末部10の動作を示したフローチャートである。図2に示したフローチャートは制御部14で実行される。
【0038】
まず、ステップS11において、端末部10を搭載した自転車で走行を開始してステップS12に進む。
【0039】
次に、現在地取得ステップ、進行方向算出ステップとしてのステップS12において、現在地、進行方向の情報をサーバ部20に送信してステップS13に進む。本ステップでは、現在地・進行方向算出部12が算出した現在地と進行方向の情報を通信部15に出力して、通信部15にサーバ部20に対して送信させる。なお、現在地、進行方向の情報は一定間隔でなく、進行方向が変化した際や現在地がある程度移動した際のみ送信するようにしてもよい。そのようにすることで、通信量を削減することができる。
【0040】
次に、ステップS13において、サーバ部20から目標物情報を受信したか否かを判断し、受信した場合(Yの場合)はステップS14に進み、受信しない場合(Nの場合)はステップS12に戻る。
【0041】
次に、提示ステップとしてのステップS14において、サーバ部20から受信した目標物情報に基づいて、表示用画像蓄積部13から当該目標物情報に指定されたアイコン等の画像情報を読み出して表示部16に表示してステップS15に進む。
【0042】
次に、ステップS15において、走行終了か否かを判断し、終了の場合(Yの場合)は本フローチャートを終了し、終了でない場合(Nの場合)はステップS12に戻る。
【0043】
図3は、サーバ部20の動作を示したフローチャートである。図3に示したフローチャートは目標物情報検索部22で実行される。
【0044】
まず、ステップS21において、端末部10より現在地および進行方向の情報を受信したか否かを判断し、受信した場合はステップS22に進み、受信しない場合は本ステップで待機する。
【0045】
次に、目標物検索ステップとしてのステップS22において、目標物情報を検索してステップS23に進む。本ステップでは、ステップS21で受信した現在地および進行方向の情報から現在地を中心とする所定範囲かつ、進行方向の右、中央、左の各方向のランドマークと地形をそれぞれ1つずつランドマーク情報蓄積部23と地図情報格納部24から検索する。即ち、進行方向における所定の範囲を複数の区分に分割し、それぞれの区分について目標物を検索している。
【0046】
次に、ステップS23において、ステップS22で検索された目標物情報を端末部10に送信してステップS24に進む。本ステップでは、ステップS22で検索されたランドマークと地形に関して、例えば、中央に高層ビルのアイコン、左に自宅を示すアイコン、右に山を示すアイコンなど、どの位置(区分)にどういう画像を用いるかを示す表示用画像を指定する情報と、ランドマークを示す画像と地形を示す画像との位置関係を示す情報を目標物情報として送信する。
【0047】
次に、ステップS24において、走行終了か否かを判断し、終了の場合(Yの場合)は本フローチャートを終了し、終了でない場合(Nの場合)はステップS21に戻る。
【0048】
ここで、上述したナビゲーション装置1の具体的な動作例を図4ないし図6を参照して説明する。図4は、具体的な動作例の説明に用いる現在地Xと各ランドマークL0〜L5および地形T0〜T3の位置関係を示した図(地図)である。図5は、図4に対して、進行方向Yと、ランドマーク検索エリアZと、を追加した図、図6は、端末部10の表示部16の表示例を示した図である。
【0049】
図4に示したように、現在地Xの周囲には、比較的低層の構造物であるランドマークL0、L1、L4と、高層ビルなどの高層構造物であるランドマークL2、L5と、電波塔やタワーなどの構造物であるランドマークL3と、山地には山T0、T1と、平野には河川T2と、海洋T3と、がそれぞれ位置している。
【0050】
ここで、図5に示すように、現在地を中心として所定の範囲の円であるランドマーク検索エリアZが設定され、このエリアに位置するランドマークや地形が目標物情報検索部22の検索範囲となって端末部10の表示部16に表示する対象となる。そして、進行方向が矢印Yで示す方向(以降、進行方向Yとする)とすると、その進行方向Yを中心として左右45度の範囲を3等分して、ランドマーク検索エリアZの範囲内おける前記3等分されてそれぞれ30度の扇状となった3つの区分のうち、進行方向Yが含まれる中央の区分c(以降、中央区分cとする)、中央区分cに対して左側に位置する区分l(以降、左区分lとする)、中央区分cに対して右側に位置する区分r(以降、右区分rとする)それぞれからランドマークを1つずつ検索する。なお、1つの区分にランドマークが複数ある場合は、現在地に近いランドマークから優先的に検索する。また、地形情報についても同様に中央区分c、左区分l、右区分rそれぞれについて地形を検索する。
【0051】
図6に図5の進行方向Yにおける表示例を示す。図6の場合は、ランドマークとして、中央区分cからはランドマークL3、左区分lからはランドマークL0、右区分rからはランドマークL4が選択されて表示されている。
【0052】
また、地形としては、河川T2がランドマークL0、L4より奥で、ランドマークL3より手前に流れていることが判別できるように表示されている。即ち、地形とランドマークとの位置関係、つまり現在地から見て地形とランドマークとの前後関係を考慮した表示を行っている。図6の場合は河川T2が中央区分c、左区分l、右区分rに跨って流れているので、地形に関しては3つの区分で表示する画像が同じであるが、例えば進行方向Yが現在の方向から180度反対方向に向かう場合は、右区分rに山T0、左区分lに海洋T3が表示され、各区分で異なる地形が表示される。なお、ランドマークと地形については位置関係を考慮した表示を行うが、単純に前後関係の配置のみが反映され、実際の距離に基づいた拡大縮小などの処理は行わない。つまり、表示用画像蓄積部13に蓄積されているアイコン等がそのまま表示されている。
【0053】
また、図6の表示を行うための画像情報は予め端末部10の表示用画像蓄積部13に格納されており、サーバ部20からの目標物情報では、どの画像情報を使用するか指定する情報と、どの位置に表示するか(中央区分c、左区分l、右区分rのうちどの区分か、および、地形との位置関係)を指定する情報が含まれ、それらの情報に応じた画像情報を、制御部14が表示用画像蓄積部13から読み出して表示部16に表示させている。したがって、画像情報を直接送信しないので、通信量を少なくすることができる。
【0054】
また、図6においては、進行方向の天候に関する情報も表示している。この天候に関する情報も、サーバ部20が図示しない気象や天候情報を配信しているサーバ等から取得して、目標物情報に「晴れ」「曇り」「雨」といった情報を含めて、端末部10では各天候に合った画像を表示用画像蓄積部13から読み出して表示部16に表示させる。即ち、目標物情報検索部22が天候情報取得手段、天候算出手段として機能する。この天候に関する情報も、中央区分c、左区分l、右区分rの区分ごとに変化させてもよい。
【0055】
なお、上述した実施例において、検索範囲にランドマーク情報蓄積部23にランドマークが蓄積されてなく、表示すべきランドマークが検索されなかった区分は、表示部16の当該区分に相当する位置には何も表示されない。地形の場合も同様である(平野扱いとなる)。そのため、検索対象のランドマークが極端に少ない場合は、ランドマーク検索エリアZを拡大するように変更してもよい。
【0056】
また、上述した実施例において、ランドマークは現在地から近い順に優先的に検索するが、自宅に関しては、中央区分c、左区分l、右区分rの角度の範囲内であれば、ランドマーク検索エリアZの範囲外であっても、最優先で表示されるようにしてもよい。これは、自宅は散策の起点となるもので、方向感覚をつかむのに非常に重要であるほか、帰路で自宅方向へ向かう際に特に役立つためである。
【0057】
本実施形態によれば、端末部10から現在地と進行方向の情報をサーバ部20へ送信し、サーバ部20の目標物情報検索部22で現在地Xと進行方向Yの情報に基づいてランドマーク検索エリアZ内の進行方向である中央区分cと、進行方向Yの左右方向である左区分l、右区分rのランドマークと地形を検索して、それらの表示するための画像の指定情報と、指定された画像をどの区分に表示するかを指定する情報と、ランドマークと地形を表示する際の位置関係を示す情報と、を目標物情報として端末部10へ送信し、端末部10では、目標物情報に基づいて制御部14が表示用画像蓄積部13から表示するアイコン等の画像情報を読み出して表示部16へ表示させるので、進行方向Yへ進行する際の目標とすることができるような範囲における、左右と中央の複数の区分のランドマークと地形を表示することができるために、見通しの悪い道路を走行していても使用者が方向感覚を掴むことができるような目標物の情報を提示することができる。
【0058】
また、目標物を現在地Xに近いものから優先的に検索するので、進行する際により見つけ易く目標にし易いものを目標物とすることができる。
【0059】
また、地形とランドマークとの位置関係を考慮した表示を行っているので、例えば、ランドマークに示される構造物が川などの地形の手前にあるのか奥にあるのかが明確に表示されるため、より方向感覚を掴み易くすることができる。
【0060】
また、上述した実施例において、端末部10の表示部16に表示する画像はアイコン等を並べるのみの簡素な画像表示としているので、画像情報のデータ量も少なく、距離に応じた拡大縮小処理も行わないことから表示に関する処理の負荷も少なくすることができる。なお、ランドマークは画像だけでなく、施設名(駅名など)の文字情報を付加してもよいし、文字情報だけにしてもよい。また、地形についても、富士山や利根川など山や河川の名称或いは東海道線や国道1号線など線路や道路の名称を付加してもよい。
【実施例2】
【0061】
次に、本発明の第2の実施例にかかるナビゲーション装置1´を図7を参照して説明する。なお、前述した第1の実施例と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0062】
本実施例では、端末部10とサーバ部20に分かれていたものを一つに纏めた点が第1の実施例と異なる。即ち、図1から通信部15、21を削除し、制御部14に目的地情報検索部22が接続される。
【0063】
本実施例によれば、全ての機能を内蔵しているので、外部との通信部は自身の現在地を算出するためのGPS受信部11のみとなる。そのために、外部との通信状況に左右されずにランドマークなどの表示が可能となる。
【0064】
なお、上述した実施例において、使用者(自転車)が方向転換した場合には、方向転換する直前に各区分に表示されているランドマークが優先的に検索されるようにしてもよい。例えば、図5で進行方向Yから右方向に方向転換した場合は、中央区分cや左区分lから検索されるランドマークとしてランドマークL4が優先的に検索されるようにする。このとき、ランドマークL4がランドマークを検索する区分外になった場合は、ランドマークL4の表示を、左区分lのランドマークとして短時間維持してから新しいランドマークを表示するようにしてもよい。勿論地形も同様に行ってよい。このようにすることによって、方向転換した場合に、表示されているランドマークが全て変化してしまい却って方向感覚が掴みにくくなることを少なくできる。
【0065】
また、上述した実施例では進行方向における所定の範囲を3つに分割していたが、2つ(左右)以上であればよい。また、分割方法も等分ではなく任意に変更してもよい。
【0066】
また、ランドマーク情報蓄積部23に蓄積されるランドマークは、サーバ部20側で逐次更新してもよい。そのため、端末部10の表示用画像蓄積部13に目標物情報として指定される画像が存在しない場合は、画像を指定する代わりにアイコン等の画像情報そのものを送信する。制御部14では、その画像情報を表示部16に表示させるとともに、表示用画像蓄積部13に蓄積させて次回以降当該画像が指定された場合は読み出せるようにする。
【0067】
また、上述したナビゲーション装置1または1´の現在地・進行方向算出部12と、表示用画像蓄積部13と、制御部14と、通信部15と、目的物情報検索部22と、ランドマーク情報蓄積部23と、地図情報格納部24と、をコンピュータで動作するプログラムとして構成することで、本発明を情報提示プログラムとして構成することができる。なお、上述した第1の実施例に示したように端末部10とサーバ部20とに分かれて構成する場合は、勿論2つのコンピュータにそれぞれの機能(端末部10、サーバ部20)を実現するようなプログラムとすればよい。
【0068】
前述した実施例によれば、以下のナビゲーション装置1、情報表示方法および情報表示プログラムが得られる。
【0069】
(付記1)使用者の現在地Xを取得する現在地・進行方向算出部12と、使用者の進行方向Yを算出する現在地・進行方向算出部12と、を備え、使用者の進行方向Yに存在するランドマーク、地形を提示するナビゲーション装置1であって、
ランドマーク、地形の位置情報が格納されているランドマーク情報蓄積部23、地図情報格納部24と、
進行方向Yにおける所定の範囲を複数の区分に分割し、それぞれの区分についてランドマーク、地形をランドマーク情報蓄積部23、地図情報格納部24から検索する目標物情報検索部22と、
現在地X及び前記進行方向Yに基づいて、目標物情報検索部22が検索したランドマーク、地形を表示する表示部16と、
を備えていることを特徴とするナビゲーション装置1。
【0070】
(付記2)使用者の現在地を取得するステップS12と、使用者の進行方向を算出するステップS12と、を備え、使用者の進行方向に存在するランドマーク、地形を提示する情報提示方法であって、
進行方向における所定の範囲を複数の区分に分割し、それぞれの区分についてランドマーク、地形をランドマーク、地形の位置情報が格納されているランドマーク情報蓄積部23、地図情報格納部24から検索するステップS22と、
現在地X及び前記進行方向Yに基づいて、ステップS22で検索したランドマーク、地形を表示するステップS14と、
を備えていることを特徴とする情報提示装方法。
【0071】
(付記3)使用者の現在地Xを取得する現在地・進行方向算出部12と、使用者の進行方向Yを算出する現在地・進行方向算出部12と、してコンピュータを機能させて、使用者の進行方向Yに存在するランドマーク、地形を提示する情報提示プログラムであって、
ランドマーク、地形の位置情報が格納されているランドマーク情報蓄積部23、地図情報格納部24と、
進行方向Yにおける所定の範囲を複数の区分に分割し、それぞれの区分についてランドマーク、地形をランドマーク情報蓄積部23、地図情報格納部24から検索する目標物情報検索部22と、
現在地X及び前記進行方向Yに基づいて、目標物情報検索部22が検索したランドマーク、地形を表示する表示部16と、
してコンピュータを機能させることを特徴とする情報提示プログラム。
【0072】
これらのナビゲーション装置1、情報提示方法および情報提示プログラムによれば、進行方向における、例えば左右や、左右と中央など複数の区分の目標物の情報を提示することができるために、見通しの悪い道路を走行していても使用者が方向感覚を掴むことができるような目標物の情報を提示することができる。
【0073】
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0074】
1、1´ ナビゲーション装置(情報提示装置)
11 GPS受信部
12 現在地・進行方向算出部(現在地取得手段、進行方向算出手段)
13 表示用画像蓄積部(表示用画像格納手段)
16 表示部(提示手段、表示手段)
22 目標物検索部(目標物検索手段)
23 ランドマーク情報蓄積部(目標物情報格納手段)
24 地図情報格納部(目標物情報格納手段)
S12 現在地・進行方向送信(現在地取得ステップ、進行方向算出ステップ)
S14 目標物情報表示(提示ステップ)
S22 目標物情報検索(目標物検索ステップ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の現在地を取得する現在地取得手段と、前記使用者の進行方向を算出する進行方向算出手段と、を備え、前記使用者の進行方向に存在する目標物を提示する情報提示装置であって、
前記目標物の位置情報が格納されている目標物情報格納手段と、
前記進行方向における所定の範囲を複数の区分に分割し、それぞれの区分について前記目標物を前記目標物情報格納手段から検索する目標物検索手段と、
前記現在地及び前記進行方向に基づいて、前記目標物検索手段が検索した前記目標物を提示する提示手段と、
を備えていることを特徴とする情報提示装置。
【請求項2】
前記目標物検索手段には、前記現在地を中心として前記目標物を検索する範囲が予め設定されていることを特徴とする請求項1に記載の情報提示装置。
【請求項3】
前記目標物検索手段が、前記目標物を前記現在地に近いものから優先的に検索することを特徴とする請求項1または2に記載の情報提示装置。
【請求項4】
前記目標物が、構造物と、山、河川などの自然物である地形と、のうち少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の情報提示装置。
【請求項5】
前記提示手段が、前記目標物を表示する表示手段として構成され、
前記表示手段が、前記地形と前記構造物とを同時に表示した際には、前記地形と前記構造物との位置関係を考慮した表示を行うことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の情報提示装置。
【請求項6】
前記目標物を示す画像情報が予め格納されている表示用画像格納手段をさらに備え、
前記表示手段が、前記目標物を示す画像情報を前記表示用画像格納手段から読み出して表示することを特徴とする請求項5に記載の情報提示装置。
【請求項7】
前記進行方向算出手段が前記使用者の進行方向の変化を検出した場合は、前記目標物検索手段が、前記進行方向の変化を検出する直前に前記提示手段が提示している前記目標物を優先的に検索することを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一項に記載の情報提示装置。
【請求項8】
天候情報を取得する天候情報取得手段と、
前記進行方向の天候情報を算出する天候算出手段と、をさらに備え、
前記提示手段が、前記目標物に加えて、前記天候算出手段が算出した前記進行方向の天候情報も提示すること特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか一項に記載の情報提示装置。
【請求項9】
使用者の現在地を取得する現在地取得ステップと、前記使用者の進行方向を算出する進行方向算出ステップと、を備え、前記使用者の進行方向に存在する目標物を提示する情報提示方法であって、
前記進行方向における所定の範囲を複数の区分に分割し、それぞれの区分について前記目標物を前記目標物の位置情報が格納されている目標物情報格納手段から検索する目標物検索ステップと、
前記現在地及び前記進行方向に基づいて、前記目標物検索ステップで検索した前記目標物を提示する提示ステップと、
を備えていることを特徴とする情報提示方法。
【請求項10】
使用者の現在地を取得する現在地取得手段と、前記使用者の進行方向を算出する進行方向算出手段と、してコンピュータを機能させて、前記使用者の進行方向に存在する目標物を提示する情報提示プログラムであって、
前記目標物の位置情報が格納されている目標物情報格納手段と、
前記進行方向における所定の範囲を複数の区分に分割し、それぞれの区分について前記目標物を前記目標物情報格納手段から検索する目標物検索手段と、
前記現在地及び前記進行方向に基づいて、前記目標物検索手段が検索した前記目標物を提示する提示手段と、
して前記コンピュータを機能させることを特徴とする情報提示プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の情報提示プログラムを格納したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−207924(P2012−207924A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71396(P2011−71396)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】