説明

情報機器

【課題】表示画面上でのポインティング操作のみにより高速に文字の入力を行うことができ、このためキーボードを用いないで文字の入力を行ったり、入力したい語句の漢字が分からない場合であってもその入力を行ったりすることができる。
【解決手段】操作入力部3として入力ペン102及びタッチパネルなどを用いた、表示部5の2次元の表示画面103上で指定位置の座標を変化させる等の操作により、初期時点で一覧表示されている候補文字列のリストが表示画面103上をシフトして、目的とする候補文字列が表示画面103上に現れるまで、一覧表示される候補文字列のリストの内容が連続的に変化するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字入力装置及び文字入力プログラムを記憶した記録媒体に関し、特に文章を構成する、語意を持ち少なくとも1つの文字からなる文字列を、このような文字列を検索対象として格納した文字列辞書からなめらかにかつ高速で検索する検索機能を実現するものに関する。
【0002】
本発明は、例えば、キーボードの代わりに感圧タブレットなどのポインティングデバイスを有する携帯型端末装置やワードプロセッサーなどにおいて、書類や電子メールなどの作成の際にポインティングデバイスを用いて通常の文章の入力を行うための構成、また、その操作を行う上で通常の文章の入力が必要である情報機器において、キーボードによる入力が困難となる障害をもつ人がポインティングデバイスを用いて文の入力を行うための構成及びプログラムを対象とする。
【背景技術】
【0003】
従来から文書作成装置としては、図23に示すようなワードプロセッサー(以下、ワープロと略記する。)10が一般的に広く普及しており、このようなワープロ10は、人が指で押圧操作し易いようその大きさに対応させたサイズの複数のキー11aからなるキーボード11を有しており、このキーボード11を用いて文の入力処理を行うことができるようになっている。なお、図23中、12はフロッピー(登録商標)ディスクの挿入スロット、13は液晶表示パネルである。
【0004】
近年、このようなワープロの文入力機能を備えた電子手帳などの携帯型端末装置が実用化されている。ところで、このような携帯型端末装置で文の入力を行う代表的な手法としては、例えば、以下のような手法が挙げられる。
【0005】
第1の手法は、図23に示す通常のワープロ10のキーボード11に比べて非常に小さい、例えば手のひらの大きさ程度の小さなキーボードを用いて文の入力を行う手法である。
【0006】
第2の手法は、上記携帯用端末装置の表示画面上に小さなキーボードの表示を行い、該表示画面上のキーが表示された部分が押圧されたことを感圧式シートなどにより検出するようにすることにより、表示されたキーボードを用いて文の入力処理を行う手法である。
【0007】
第3の手法は、上記携帯用端末装置に感圧式シートなどを利用した筆跡検出部を設け、感圧シート上に形成された筆跡を検出して文字のパターン認識を行うようにし、このような文字パターンの認識を利用して文の入力処理を行う手法である。
【0008】
ところが、上述した携帯用端末装置における文入力手法では、以下のような課題がある。
【0009】
まず、小さなキーボードを用いる第1の手法では、キーボードが、人が指でキーを操作するにはあまりに小さなものとなってしまい、キー操作のし辛いものとなる。また、キーボードに不慣れな人は、キー操作の際キートップの文字を探さなければならず、そのうえ、日本語の場合、文字入力の後に、適切な漢字に変換を行う操作が必要であり、入力操作が非常に煩わしいという問題がある。
【0010】
また、携帯用端末装置の表示画面上に小さなキーボードを表示する第2の手法において
も、上記第1の手法と同様なキー操作上の問題を有する。
【0011】
さらに、感圧シートなどを用いて筆跡から入力文字のパターン認識を行う第3の手法では、漢字がわからない場合などは、漢字の読みを一度平仮名で手書き入力し、それを漢字に変換しなければならず、パターン認識による漢字文字の入力を必ずしも効率よく行うことができず、また、手書き文字の認識率の問題、つまり該認識率が低い場合は、手書き入力のやり直しを頻繁にしなければならず、認識率を高いものとするには、手書き文字のパターン認識を行う構成をいろいろと工夫する必要があり、コストアップなどにつながるという問題がある。
【0012】
しかも、上記第1ないし第3のいずれの手法も、手の不自由な障害者にとっては、文字の入力操作が極めて困難なものとなり得ることは言うまでもない。
【0013】
さらにはこのような障害者にとっては、上述した携帯用端末装置に限らず、通常のキーボードを備えた据置型の情報機器であっても、キーボードを用いて文字の入力を行うことは非常に煩わしい作業となる。
【0014】
一方、ゲーム機等では、十字パッド,トラックボール,ジョイスティック等のポインティングデバイスと選択ボタンを用いて文字の入力を行うことができるようにしたものがあるが、その文字の入力手法は、例えば表示画面に表示された、ひらがなの「あ」から「ん」までを所定の配列で配置した表の上で、例えば十字パッドと選択ボタンとによりひらがなを1つづつ指定し、そのゲームにおけるキャラクタの名前を入力したり、簡単な指令文を入力するというものである。
【0015】
従って、このようなゲーム機における文字の入力手法は、通常の書類や電子メール等の作成を対象としたものではなく、この文字の入力手法を用いて書類等の作成を行うのは、非常に効率が悪く実用的なものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記のような従来の問題点を解決するためになされたもので、表示画面上でのポインティング操作のみにより高速に文字の入力を行うことができ、このためキーボードを用いないで文字の入力を行ったり、入力したい語句の漢字が分からない場合であってもその入力を行ったりすることができる文字入力装置及び文字入力プログラムを記憶した記録媒体を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の情報機器は、操作入力部の操作に基づいて文書作成を行う文書作成機能を有する情報機器であって、登録語を格納する格納手段と、前記操作入力部の操作に基づいて、前記登録語に含まれる候補文字列の優先順位を決定し、該優先順位により入力する文字の候補を表示する候補文字表示手段と、候補のカテゴリを指定するカテゴリ指定手段と、を備え、前記候補文字表示手段は、指定された前記カテゴリに応じた優先順位にて表示することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の情報機器は、操作入力部の操作に基づいて文書作成を行う文書作成機能を有する情報機器であって、登録語を格納する格納手段と、前記操作入力部の操作に基づいて、前記登録語に含まれる候補文字列の優先順位を決定し、該優先順位により入力する文字の候補を表示する候補文字表示手段と、候補のカテゴリを指定するカテゴリ指定手段と、を備え、前記候補文字表示手段は、指定された前記カテゴリに応じて優先順位を変更して、候補文字を表示することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の情報機器は、入力された文字の次に入力される文字の候補を順次表示しながら文字入力する情報機器であって、入力された文字の次に入力される文字の候補を表示する候補文字表示手段と、前記文字の候補のカテゴリを選択するカテゴリ選択手段と、を備え、前記候補文字表示手段は、前記カテゴリ選択手段によって選択されたカテゴリに応じた順位付けにより文字の候補を表示することを特徴とする。
【0020】
以下、本発明の作用について説明する。
【0021】
この発明においては、文字列辞書内に格納されている全文字列の中から文字列を、その抽出優先順位と抽出閾値との大小関係に基づいて候補文字列として抽出する候補文字列抽出部を、操作入力部での操作により発生した閾値変更指令信号に基づいて文字列の抽出閾値を連続的に変更する抽出閾値変更手段を有するものとしたから、操作入力部での操作により、文字列辞書から抽出される候補文字列の数を連続的に変更することができる。
【0022】
また、表示手段の表示画面上に、抽出された候補文字列を一覧表示させる表示制御手段を、該抽出閾値の変動に伴って該候補文字列の数が増減する際、表示画面上の、該操作入力部の位置指定部材による指定位置の両側の領域では、該候補文字列のリストが該指定位置を中心として互いに逆方向にシフトするよう、該表示手段を制御する構成としたので、目的の候補文字列を表示画面上に素早く表示させることができる。
【0023】
これにより、操作入力部材としてマウスやタブレットなどを用いた、2次元の表示画面上で指定位置の座標を変化させる等の操作により、初期時点で一覧表示されている候補文字列のリストが表示画面上をシフトして、目的とする候補文字列が表示画面上に現れるまで、一覧表示される候補文字列の内容が連続的に変化することとなる。このため、動的に変化する候補文字列の一覧表示リストの中から、適切なものを、操作入力部の選択操作により選択することにより、文字列としての語,文節,あるいは文を逐次入力することができる。この場合、キーボードによる文字の入力とは異なり、入力操作における言語依存性はなく、また日本語における漢字や英語等におけるスペルが分からない場合でも文を正しく入力することができる。
【0024】
1つの実施形態においては、前記文字列辞書,候補文字列抽出部,表示手段,及び表示制御手段を、通信情報の表示及び処理を行う情報機器の本体に搭載するとともに、前記操作入力部を、該情報機器本体とは分離され、該情報機器本体を遠隔操作するためのリモートコントロール装置に搭載したので、操作入力部での位置指定操作及び選択操作をリモートコントロール装置側で行うと、これにより発生した位置指定信号及び選択指令信号が情報機器本体側に伝達されることとなり、候補文字列の抽出及び選択を遠隔操作により行うことができる。
【0025】
1つの実施形態においては、前記表示手段の表示画面上に、該選択された文字列を表示するための選択文字列表示領域、及び該文字列選択の対象となる候補文字列を一定数だけ一覧表示するための候補文字列表示領域が設定されているので、候補文字列及び選択された文字列が表示画面上の所定の領域に表示されることとなり、表示画面上で候補文字列と選択された文字列とを識別し易くなる。
【0026】
1つの実施形態においては、前記候補文字列抽出部を、前記文字列辞書における各文字列の抽出優先順位を前記抽出閾値と比較し、その抽出優先順位が該抽出閾値より大きい文字列を該文字列辞書から抽出する第1の処理と、操作入力部での操作信号により発生した閾値変更指令信号に基づいて該抽出閾値を変更する第2の処理とが繰り返し行われるよう構成したので、表示画面上に一覧表示された候補文字列の中に目的とする候補文字列がな
い場合は、操作入力部での操作により、一覧表示される候補文字列の内容を抽出優先順位に従って連続的に変化させて、目的の文字列が候補文字列として表示画面上に現れるようにすることができる。これにより、目的の文字列の検索を効率よく素早く行うことができる。
【0027】
1つの実施形態においては、前記選択手段を、前記設定されている抽出閾値よりその抽出優先順位が大きい文字列であって前記表示画面上に一覧表示されている複数の候補文字列の中から、操作入力部での操作により発生した選択指令信号に基づいて所定の候補文字列を選択する構成としたので、表示画面上に目的とする文字列が候補文字列として表示された時は、これを操作入力部により選択可能となる。従って、操作入力部の操作により、選択した文字列をつないで所要の文の入力を行うことができる。
【0028】
1つの実施形態においては、前記文字列辞書を、各文字列をその抽出優先順位及びその品詞情報とともに記憶した構成とし、前後に配置される文字列間でそれぞれの持つ品詞により決まる接続関係を含む文法情報を格納した文法辞書を備え、候補文字列抽出部を、該文字列辞書から読み出した品詞情報及び該文法辞書に格納されている文法情報に基づいて、最後に選択された文字列の次にくる可能性のある文字列を対象として、候補文字列の抽出を行う構成としたので、文入力操作の途中にて、次に表示画面上に一覧表示する候補文字列のリストが、文法による知識に基づいて決定されることとなる。たとえば、最後に選択された文字列が用言の連体形を意味するものである場合には、候補文字列としては、体言が優先的に表示されることとなり、目的とする文字列を高速に検索することが可能となる。
【0029】
1つの実施形態においては、前記候補文字列抽出部を、前記文字列辞書内の各文字列の出現頻度を前記選択手段からの選択確定信号に基づいて更新する出現頻度更新手段を備え、前記文字列辞書からは文字列を、その出現頻度が大きいほどその抽出優先順位が高いとみなして優先的に候補文字列として抽出する構成としたので、表示画面上に一覧表示される候補文字列のリストを、的中率,つまり目的とする文字列を含む可能性の高いものとでき、目的の文字列を高速に検索することが可能となる。
【0030】
1つの実施形態においては、前記文字列辞書及び候補文字列抽出部を、据え置きされる文字入力装置本体部に搭載するとともに、前記操作入力部,表示手段,及び表示制御手段を、該文字入力装置本体とは分離された携帯可能な携帯端末部に搭載したので、文字列辞書から候補文字列のリストを抽出する負荷の重い処理機能は、処理能力の高い据え置きされる装置本体部が持つこととなる。例えば、入力を行う携帯端末部に十分な処理能力がない場合など、有線あるいは無線によるデータ通信などを用いて表示機能と処理機能とを切り離すことにより、操作入力部や表示手段を搭載した携帯端末部の可搬性を損なわないようにすることができる。
【0031】
1つの実施形態においては、前記文字列辞書を、前記各文字列とともに各文字列の持つ意味情報を格納した、言語辞典としての辞書情報を付加したものとし、前記表示手段を、前記操作入力部からの意味表示指令信号により、該表示画面上に意味表示用窓が形成されるよう構成し、該表示制御手段を、該意味表示指令信号に基づいて、対応する文字列の意味情報を、該表示画面上に形成された意味表示用窓内に表示する構成としたので、文入力操作の途中にて、選択した文字列の意味、あるいは選択の対象である一覧表示された候補文字列の意味を確認することができる。
【0032】
1つの実施形態においては、文字列入力の対象となる言語を、日本語あるいは中国語とし、前記文字列辞書では、複数の文字列を、それぞれの読みの発音に基づいて順序付けして格納し、かつ発音が同音である文字列については、これを構成する一文字目の文字の画
数により順序付けして格納したので、例えば候補文字列として表示画面上に表示される同音の文字列の数が表示画面上に表示可能な数より多い場合、候補文字列が、出現確率の高いものより順に、一文字目の画数に基づいて表示画面上に上下や左右に並べて表示されることとなる。このため、同音の語が表示可能な数より多い場合でも、50音の次に画数という2番目の順序付けの要素に基づいて、ユーザが高速に目的とする文字列を検索できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1による文字入力装置を説明するための図であり、図1Aはその外観図、図1Bは、該文字入力装置の構成を機能ブロックに分けて示す図である。また、図2は該文字入力装置の詳細な構成を示すブロック図である。
【0034】
図において、100は本実施形態1の文字入力装置で、文字列の入力処理及び文字列の表示を行う装置本体101と、該装置本体101にケーブル102aを介して接続され、文字列の入力などの操作に用いる入力ペン102とを有している。また、上記装置本体101には、液晶などによる画像表示を行うための表示部5が搭載され、該表示部5の表示画面103は、入力ペン102を用いて情報入力を行うための透明なタッチパネル(タブレット)と一体に構成されている。上記装置本体101には、フロッピー(登録商標)ディスクの挿入スロット104や入力ペン102を保持するペンホルダ部102bが形成されており、また装置本体101の側面には電源スイッチ105が配設されている。
【0035】
また、本実施形態1の文字入力装置100は、少なくとも1つの文字からなる所定の意味を表す文字列が所定の格納順序に従って多数格納されている文字列辞書1と、該文字列入力の対象となる言語(ここでは英語)における、前後に配置される文字列間でそれぞれの持つ品詞により決まる接続関係を含む文法情報を格納した文法辞書2と、操作者の操作に応じて種々の指令信号を発生する操作入力部3とを備え、該文字列辞書1内の文字列を該指令信号及び文法情報に基づいて選択して文字列の入力を行う構成となっている。
【0036】
この文字入力装置100は、該選択された文字列、及び文字列選択の対象となる候補文字列を表示するための表示画面103を有する表示手段52と、該操作入力部3での操作により発生した選択指令信号に基づいて、該一覧表示された複数の候補文字列の中から所定のものを選択するとともに、該操作入力部3での操作により発生した操作信号に基づいて、該文字列辞書1内に格納されている全文字列の中から文字列を抽出する候補文字列抽出部4と、該表示画面103上に、該候補文字列抽出部4により抽出された候補文字列が一覧表示され、該選択された文字列が表示されるよう該表示手段52を制御する表示制御手段51とを備えている。
【0037】
ここで、上記表示部5は、上記表示手段52としての液晶ディスプレイ及びその表示制御手段51から構成されている。また、上記候補文字列抽出部4は、該操作入力部3での操作により発生した閾値変更指令信号Ctに基づいて、文字列の抽出閾値を連続的に変更する抽出閾値変更手段42と、該文字列辞書内に格納されている全文字列の中から文字列を、その抽出優先順位と該抽出閾値との関係及び文法情報に基づいて該候補文字列として抽出する抽出手段41と、該操作入力部3での操作により発生した選択指令信号Csに基づいて、該一覧表示された複数の候補文字列の中から所定のものを選択する文字列選択手段44と、文字列辞書1内の各文字列の出現頻度を、文字列選択手段44からの選択確定信号Ckに基づいて更新する出現頻度更新手段43とを有している。
【0038】
この文字入力装置100では、該操作入力部3は、該表示画面103に対応する2次元
座標上で位置指定を行うための位置指定部材として上記入力ペン102と、該表示画面103と一体に形成されたタッチパネルとを有しており、該入力ペン102のタッチパネル上での操作により該閾値変更指令信号Ctが発生するよう構成されている。さらに、該表示制御手段52は、該抽出閾値の変動に伴って該候補文字列の数が増減する際、該表示画面103上の、該位置指定部材による指定位置の上下両側の領域では、該候補文字列のリストが該指定位置を中心として互いに逆方向にシフトするよう、該表示手段52を制御する構成となっている。ここで、各上記各手段41〜44,51はCPU(中央演算処理装置)及び周辺装置内に構築されており、また、上記各辞書1,2はハードディスクなどの記憶装置内に構築されている。
【0039】
以下、本実施形態1の文字入力装置100についてさらに詳しく説明する。
【0040】
上記文字列辞書1は、図3に示すように、語,文節,文など、一般の文章に出現する文字列を、例えば統計による出現頻度や品詞情報などとともに格納したデータベースからなり、各文字列はアルファベット順に格納されている。この実施形態1では、文字列辞書1には、文字列である語のつづりと品詞情報が格納されている。つまり、文字列辞書1には、約5万7千の文字列が登録語(以下、単に語ともいう。)として記憶されており、さらに各登録語についてそれぞれの品詞情報、即ち、動詞、形容詞、名詞などの区分、および、動詞については現在形、過去形、過去分詞などの区分、名詞については、単数形、複数形などの区分などと共に記憶されている。
【0041】
また、それぞれの登録語は、一般の文章に出現する確率の低いものから32段階に分類され、各登録語の出現頻度は、1から32までの整数値として登録されている。さらに各登録語は、アルファベット順に数えて何番目の語であるかを示す数値(通し番号)が順番に割り当てられている。
【0042】
上記表示手段(液晶ディスプレイ)52の表示画面103は、図4に示すように15行×30文字に相当する表示スペースがあり、その上側4行分の表示領域は入力途中の文章が表示される選択文字列表示領域52a、下側11行分の表示領域は、文字列辞書1から候補文字列抽出部4により抽出された10個の登録語が一覧表示される候補文字列表示領域52bとなっている。この候補文字列表示領域52bには、出現頻度がその時点での抽出閾値以上の値である登録語が文字列辞書1から抽出されて表示可能となるようになっている。なお、抽出された候補文字列が、表示可能な文字列の数(10個)より多い場合は、候補文字列表示領域52b内にて表示画面をスクロールすることにより、表示画面103上に現れていない候補文字列を見ることができる。
【0043】
また、この実施形態では、ポインテイングデバイス,つまり入力ペン102によって指定されている候補文字列表示領域52bにおける位置が、左方向に移動すると、この上記抽出閾値が上昇し、その結果として、抽出される候補文字列の登録番号の間隔は大きくり、表示可能となる候補文字列の数が減る。一方、入力ペン102によって指定されている候補文字列表示領域52bにおける位置が右方向に移動すると、上記抽出閾値が下降し、その結果として、抽出される候補文字列の登録番号の間隔は狭くなり、表示可能となる候補文字列の数が増える。そして、この抽出閾値が1にセットされた時にはすべての登録語が格納順に候補文字列表示領域52bに表示可能となる。
【0044】
また、指定位置が候補文字列表示領域52b上で右に移動し、候補文字列の抽出間隔が狭くなる時には、該指定位置を中心に出現確率の低い語が徐々に表示されるようになり、この際、指定位置から最寄りの語は、徐々に候補文字列表示領域52bの中心に移動するようになっている。このような候補文字列の表示動作により、限られた2次元領域である表示画面103上での候補文字列の一覧表示リストが遷移する様子を見ながら、すべての
登録語を検索することが可能となる。
【0045】
また、この実施形態では、指定位置より最寄りの候補文字列は反転表示されており、タッチパネルが入力ペン102による押圧を検知しなくなった時には、その反転表示されていた候補文字列が選択され、選択文字列表示領域52aに表示されている入力途中の文字列からなる文章に追加されるようになっている。
【0046】
次に動作について説明する。
【0047】
ここでは、”I will take a day off tomorrow.”という文の入力を例に挙げて、この
文字入力装置100の操作及び動作について説明する。
【0048】
まず、最初の”I”を選択する様子を、図4〜図12を用いて説明する。
【0049】
電源スイッチ105の操作により、この文字入力装置100の電源が投入されると、その候補文字列抽出部4は、文法辞書2を参照することにより文頭に来る可能性のある品詞として、冠詞、代名詞、名詞、助動詞、疑問詞などを選出し、それらの品詞、および、出現頻度が初期設定の抽出閾値より高い文字列を対象として、文字列辞書1内に格納されているすべての文字列(つまり上記登録語)の中から所定の文字列を抽出する。この際、文字列は出現頻度順に、表示画面103の候補文字列表示領域52bに表示可能な数(10個)だけ候補文字列として抽出され、表示制御手段52により、図4に示すように表示画面103の候補文字列表示領域52bに表示される。この時、選択文字列表示領域52aには、文字列の入力位置を示すカーソル103aのみが表示されている。なお、図4では、参考のため、各文字列についての品詞情報および出現頻度も示しているが、実際の表示画面103上には、登録語のみが表示される。
【0050】
この状態で、ユーザは、タッチパネル,つまり表示画面103上を入力ペン102で押圧することにより、候補文字列表示領域52b内での座標指定を行い、登録語の”I”が反転表示となるように入力ペン102を移動した後、入力ペン102を表示画面103から離すことにより、登録語の”I”が選択され、図5に示されるように、表示画面103の選択文字列表示領域52a内に”I”という文節が表示される。なお、このように一つの文節の選択が行われると、候補文字列表示領域52bには、文法的に次に来る可能性が高く、出現頻度の高い10の候補が候補文字列表示領域52b内に表示される。この場合、主語を形成する要素がそろっているため、候補文字列抽出部4は、文法辞書2を参照することにより、次に来る可能性のある品詞として、助動詞、動詞については出現頻度にある値を加算した状態で、出現頻度による候補文字列の抽出を行う。
【0051】
同様に、ユーザは、次の単語”will”を選択するため、タッチパネル、つまり表示画面103上を入力ペン102で押圧することにより、候補文字列表示領域52b内での座標指定を行い、登録語の”will”が反転表示となるように入力ペン102を移動した後、入力ペン102を表示画面103から離すことにより、登録語の”will”が選択され、図6に示されるように、表示画面103の選択文字列表示領域52a内に”Iwill”という文が表示される。この場合、助動詞が選択されたため、候補文字列抽出部4は、文法辞書2を参照することにより、次に来る可能性のある品詞として、動詞の原形については出現頻度にある値を加算した状態で、出現頻度による候補文字列の抽出を行い、10の候補を候補文字列表示領域52b内に表示する。
【0052】
引き続いて、ユーザは、次の単語“take”を選択するため、タッチパネル、つまり表示画面103上を入カペン102で押圧することにより、候補文字列表示領域52b内での座標指定を行い、登録語の”take”が反転表示となるように入カペン102を移動した後
、入カペン102を表示画面103から離すことにより、登録語の”take”が選択され、図7に示されるように、表示画面103の選択文字列表示領域52a内に”Iwill take"
という文が表示される。この場合、動詞が選択されたため、候補文字列抽出部4は文法辞書2を参照することにより、”take”に接続しうる前置詞、および、次に来る可能性のある品詞として、冠詞、名詞などについては出現頻度にある値を加算した状態で、出現頻度による侯補文字列の抽出を行い、10の侯補を侯補文字列表示領域52b内に表示する。
【0053】
引き続いて、ユーザは、次の単語”a”を選択するため、タッチパネル、つまり表示画面103上を入カペン102で押圧することにより、侯補文字列表示領域52b内での座標指定を行い、登録語の”a”が反転表示となるように入カペン102を移動した後、入カペン102を表示画面103から離すことにより、登録語の”a”が選択され、図8Aに示されるように、表示画面103の選択文字列表示領域52a内に”Iwill take a”
という文が表示される。この場合、不定冠詞が選択されたため、侯補文字列抽出部4は文法辞書2を参照することにより、”a”に接続しうる品詞として、形容詞、名詞などについては出現頻度にある値を加算した状態で、出現頻度による侯補文字列の抽出を行い、10の侯補を侯補文字列表示領域52b内に表示する。
【0054】
引き続いて、ユーザは、次の単語“day”を選択しなければならない。図8Aの状態で
、ユーザはタッチパネル、つまり表示画面103上を入カペン102で押圧することにより、侯補文字列表示領域52b内での座標指定を行い、登録語の”cat”と”dog”との間が拡大表示されるよう、即ち、登録語の”cat”と”dog”との問で抽出間隔が狭くなるよう、入カペン102を移動させると、登録言語の一覧表示内容が図8Bに示すように変化する、図9には、この変化後の登録語の一覧表示の内容を示している。
【0055】
即ち、この実施形態1では、ユーザは、入カペン102により、候補文字列表示領域52bの左端近くであって、”cat”と”dog”の表示部分の間となる位置を指定し、常に入カペン102が上下方向における”cat”と”dog”の表示部分の間を指定するように保ち、かつ、入カペン102を押圧したままで右方向に移動させる。このような入力操作により、抽出閾値がその変更手段42により段階的に小さい値に変更され、指定位置を中心に出現確率の低い語が徐々に表示されるようになる。この結果、例えば、出現頻度が23の登録語までが侯補文字列として表示されるようになり、図9の候補文字列の一覧表示は、目的の登録語である”day”を含む表示となる。
【0056】
引き続いて、ユーザは、次の単語”day”を選択するため、タッチパネル、つまり表示
画面103上を入カペン102で押圧することにより、侯補文字列表示領域52b内での座標指定を行い、登録言語の”day”が反転表示となるように入カペン102を移動した
後、入カペン102を表示画面103から離すことにより、登録語の”day”が選択され
、図10に示されるように、表示画面103の選択文字列表示領域52a内に”Iwill take a day”という文が表示される。この場合、名詞が選択されたため、候補文字列抽出部4は文法辞書2を参照することにより、”day”に接続しうる品詞として、前置詞や不定
詞などについては出現頻度にある値を加算した状態で、出現頻度による侯補文字列の抽出を行い、10の候補を候補文字列表示領域52b内に表示する。
【0057】
引き続いてユーザは、次の単語”off”を選択するため、タッチパネル、つまり表示画
面103上を入カペン102で押圧することにより、侯補文字列表示領域52b内での座
標指定を行い、登録語の”off”が反転表示となるように入カペン102を移動した後、
入カペン102を表示画面103から離すことにより、登録語の”off”が選択され、図
11に示されるように、表示画面103の選択文字列表示領域52a内に”Iwill take aday off”という文が表示される。この場合、”off”が選択されたため、侯補文字列抽
出部4は文法辞書2を参照することにより、”dayoff”で成句であると認識し、接続しう
る品詞として、前置詞、時間を表す名詞などについては出現頻度にある値を加算した状態で、出現頻度による候補文字列の抽出を行い、10の候補を候補文字列表示領域52b内に表示する。
【0058】
引き続いて、ユーザは、次の単語”tomorrow”を選択するため、タッチパネル、つまり表示画面103上を入カペン102で押圧することにより、侯補文字列表示領域52b内での座標指定を行い、登録語の”tomorrow”が反転表示となるように入力ペン102を移動した後、入カペン102を表示画面103から離すことにより、登録語の”tomorrow”が選択され、図12に示されるように、表示画面103の選択文字列表示領域52a内に”Iwill take a day off tomorrow”という文が表示される。この場合、時間を表す名詞
が選択されたため、侯補文字列抽出部4は文法辞書2を参照することにより、”tomorrow”に接続しうる品詞として、より短い時間を表す名詞などについては出現頻度にある値を加算した状態で、出現頻度による侯補文字列の抽出を行い、10の候補を候補文字列表示領域52b内に表示する。
【0059】
この時点において本実施例1では、候補文字列抽出部4が文法辞書2を参照して、句の完成を判断したため、辞書の最後尾に、”.”を高い出現頻度として用意しており、図1
2に示したように、侯禰文字列表示領域52b内の10の候補の最後尾に”.”を表示し
ている。ユーザは同様の手続きにより、ピリオドを選択し、文を完成することができる。この時、侯補文字列表示領域52bは、図4と同じ初期の登録語の表示となる。
【0060】
これらの動作において、入力ペン102の移動量に対応する表示画面上での文字列の上下スクロールの量や、出現頻度の段階の数などは、実験の上最適と思われる値を採用すれば良い。
【0061】
このように本実施形態の文字入力装置では、入力ペン102を用いて、入力ペン102とタブレット103による2次元の表示画面上の指定位置を変化させることによって、動的に変化する語,文節,文を構成する文字列の一覧表示リストの中から、適切なものを候補文字列として選択して文の入力を行うため、キーボードによる文字の入力とは異なり、入力操作における言語依存性がない。
【0062】
また、表示画面103上に所定のアルゴリズムにより、選択された文字列の次の入力候補として確率の高い文字列群を抽出して一括表示し、目的とする文字列がない時には、その後、表示画面103上での文字列の一覧表示リストが、前記目的の文字列を含むものにより近付くよう順次抽出アルゴリズムのパラメータ(抽出閾値)を変化させる操作を繰り返すため、高速に目的とする文字列を検索することができる。
【0063】
また、表示画面103上に目的とする文字列が候補文字列として表示された時は、入力操作によりこの文字列を選択可能であるため、選択した文字列をつないで文の入力を行うことができる。
【0064】
また、文入力の途中にて、次に一覧表示する登録語のリストの抽出を文法知識に基づいて行うので、登録語の抽出を高速化することができる。
【0065】
また、一覧表示する登録語のリストの抽出を、統計による各登録語の出現頻度を参酌して行うので、一覧表示される登録語のリストに目的の登録語が含まれる的中率が高く、このため登録語の検索は、高速化されたものとなる。
【0066】
また、出現頻度更新手段43により、候補文字列の抽出に用いる出現頻度に、ユーザによる選択回数などの履歴を統計的に反映していくので、文字入力装置100が各文字列の
出現頻度に関する学習を行うこととなって検索効率が向上し、これにより高速に目的とする登録語を検索することが可能となる。
【0067】
なお、上記実施形態1では、文字列辞書には各文字列の意味内容については格納していないが、この文字列辞書に言語辞典としての辞書情報を付加し、例えばマウスにおけるダブルクリックといったユーザの操作により、入力ペン102の場合には連続的な2回の押圧操作により、表示画面103の例えば候補文字列表示領域52bの右側部分に意味表示用窓(図示せず)が一時的に作成され、そこに指定した登録語の意味が表示されるようにしてもよい。
【0068】
具体的には、上記入力ペン102の連続的な2回の押圧操作により操作入力部3からは意味表示指令信号が出力され、これを受けた表示手段は、その表示画面103の候補文字列表示領域52bの右側部分に意味表示用窓を一時的に形成する。また、このとき表示制御手段51は、操作入力部3からの意味表示指令信号を受け、これに基づいて、対応する文字列の意味情報が上記表示画面103の意味表示用窓内に表示されるよう上記表示手段を制御する。
【0069】
このような構成では、文章作成中に使用しようとしている登録語(文字列)の意味を確認することもできる。
【0070】
また、上記実施形態1では、記号の入力については言及していないが、例えば、”!”
に対しては、”exclamation”のようにつづりを割り当てたり、文字列辞書の最後に付加
するなどにより、文字列辞書1内に格納するようにしても良い。
【0071】
さらに、図1B及び図2に点線で示すように、文頭の言葉と、これに続く定式化された文章とを対応させて格納した例文辞書1bを備え、抽出手段41を、文頭にくる選択された文字列が例文辞書1b内の登録語のいずれかであるときには、その後に、これに対応する定式化された文章を抽出する構成とし、これらの文章を候補文字列表示領域52bに優先的に一覧表示するようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態1では、入力ペン102をタッチパネル(表示画面)103から離すことにより、候補文字列表示領域52bにおける文字列を確定し、選択文字列表示領域52aに表示されている文字列への追加がなされていたが、候補文字列表示領域52bにおいて文字列辞書1からの文字列の選択を行い、選択文字列表示領域52aに表示されている文字列へ追加する機能を、タッチパネル(表示画面)103上にボタンとして配置することにより、候補文字列表示領域52bへの入力ペン102による複数回の押下を可能にし、タッチパネル(表示画面)103上での入力ペン102の上下方向の移動を候補文字列表示領域52bに表示されている候補の上下方向へのスクロールに対応させ、左右方向への移動を、上記実施形態1同様、抽出閾値の増減に対応させても良い。
(実施形態2)
図13は本発明の実施形態2による文字入力装置を説明するための図であり、図13Aは、その全体構成を示す概念図、図13Bは該文字入力装置を機能ブロックに分けて示す図であり、図中、図1と同一符号は、実施形態1のものと同一または相当部分を示している。
【0073】
図において、200は本実施形態2の文字入力装置であり、据え置きされる文字入力装置本体部200bと、該文字入力装置本体部200bとは分離された携帯可能な携帯端末部200aとから構成されている。
【0074】
上記文字入力装置本体部200bには、上記実施形態1の文字入力装置100と同一構
成の文字列辞書1,文法辞書2,及び候補文字列抽出部4が搭載されており、上記携帯端末部200aには、上記実施形態1の文字入力装置100と同一構成の操作入力部3,表示部5が搭載されている。また、該文字入力装置本体部200b及び携帯端末部200aは、それぞれ無線回線Lによりデータの送受信を行う送受信部201b,201aとアンテナ202a,202bとを有している。なお、該送受信部201b及び201aは、有線回線によりデータの送受信を行う構成のものでもよい。
【0075】
そして、この文字入力装置200では、携帯端末部200aの操作入力部3における位置指定部材(つまり入力ペン)102の操作により発生した操作信号が、送受信部201aにより、携帯端末部200a内の表示画面103上での指定位置を示す指定位置データとして該無線回線Lを介して上記文字入力装置本体部200bに送信される。すると、上記文字入力装置本体部200bでは、この位置指定データが送受信部201bで受信され、候補文字列抽出部4内の抽出手段41及び抽出閾値変更手段42(図2参照)に供給される。
【0076】
また、上記操作入力部3での操作により発生した選択指令信号が携帯端末部200aから無線回線Lを介して文字入力装置本体部200bに送信されると、該文字入力装置本体部200bではこの選択指令信号が送受信部201bで受信され、候補文字列抽出部4内の文字列選択手段44(図2参照)に供給される。
【0077】
さらに、文字入力装置本体部200b内にて候補文字列抽出部4により抽出された候補文字列に関する抽出候補文字列データが、該無線回線Lを介して該携帯端末部200aに送出されると、該携帯端末部200aではこの抽出候補文字列データが送受信部201aで受信され、表示部5の表示制御手段51(図2参照)に供給される。
【0078】
また、該候補文字列抽出部4の選択手段41により選択された文字列に関する選択文字列データが、該無線回線Lを介して携帯端末部200aに送出されると、該携帯端末部200aではこの選択文字列データが送受信部201aで受信され、表示部5の表示制御手段51(図2参照)に供給される。
【0079】
なお、文字入力操作及びこれに伴う動作は、上記実施形態1と同様である。
【0080】
このような構成の実施形態2の文字入力装置200では、上記実施形態1の効果に加えて、文字列辞書1から一覧表意する候補文字列のリストを抽出する負荷の重い処理を行う回路部分と、入力及び表示を行う回路部分とを、無線回路Lというネットワークを用いて切り離し、入力及び表示を行う回路部分のみを携帯端末部200aに搭載したので、表示及び入力を行う携帯端末部200aの可搬性を損なわないようにすることができる効果がある。
(実施形態3)
図14は本発明の実施形態3による文字入力装置を搭載した情報機器として、ネットワークテレビジョンシステム(以下、ネットワークテレビと略記する。)を説明するための図であり、図14Aは、その全体構成を示す概念図、図14Bは該ネットワークテレビを機能ブロックに分けて示す図、図14Cは該ネットワークテレビのメール作成機能部の構成を説明するブロック図である。
【0081】
図において、300は本実施形態3の多機能のネットワークテレビ(以下、情報機器ともいう。)であり、情報機器本体300bと、これを赤外線を用いて遠隔操作するためのリモートコントロール装置(以下、リモコンと略記する。)300aとから構成されている。
【0082】
上記リモコン300aには、電源スイッチ303や操作ボタン(マウスのボタンに相当する)301及び十字パッド302を含み、これらの操作により所定の指令信号を発生する操作入力部3aが搭載されており、該操作入力部3aで発生した指令信号が送信部301aにより情報機器本体300bに送信されるようになっている。
【0083】
上記情報機器本体300bには、テレビジョン信号を受信して画像表示するテレビ機能部310と、ビデオテープの記録再生を行うビデオ機能部320と、電話回線50に接続された、インターネットへのアクセスを行うためのインターネットアクセス機能部330と、電子メール用の文書を作成するためのメール作成機能部340と、各機能部を制御信号により選択する機能選択部350と、各機能部からの表示用信号に基づいて画像表示を行う表示手段360とが搭載されており、リモコン300aからの指令信号がその受信部301bにより受信され、この受信部301bから機能選択部350を介して各機能部310,320,330,340に供給されるようになっている。
【0084】
また、この情報機器300は、メール作成機能部340で作成された電子メールを、インターネットアクセス機能部330から電話回線50を通して発送したり、外部からの電子メールを電話回線50を介してインターネットアクセス機能部330に受け取ったりできるよう構成されている。なお、306は上記表示装置360としての表示画面である。
【0085】
そして、本実施形態3の情報機器であるネットワークテレビ300は、上記実施形態1の文字入力装置100の機能が内蔵されたものとなっている。
【0086】
つまり、上記メール作成機能部340には、図14Cに示すように上記実施形態1の文字入力装置100における文字列辞書1,文法辞書2,及び候補文字列抽出部4が搭載されており、実施形態1の表示部5に相当する機能が上記表示装置360に搭載されている。また、上記リモコン300aには、上記実施形態1における操作入力部3に相当する機能を有する操作入力部3aが搭載されており、つまり、操作用のボタンスイッチ301及び十字パッド302を用いて、表示画面306上で位置指示マーク306aを移動させるための位置指定信号を発生可能な構成となっている。
【0087】
そして、このネットワークテレビ300では、リモコン300aのボタンスイッチ301及び十字パッド302の操作により発生した位置指定信号及び所定の操作信号が該リモコンの送信部301aから該情報機器本体300bに送信されると、該情報機器本体300bに搭載された表示装置360の表示画面306上での位置指定が該送信された位置指定信号に基づいて行われ、かつ上記候補文字列抽出部による候補文字列の抽出及び選択が該送信された所定の操作信号に基づいて行われるようになっている。
【0088】
このような構成のネットワークテレビ300では、電源を投入すると、図14Aに示すように、表示画面306上には各種機能の選択メニューが表示される。ユーザは、この選択メニューをみて、リモコン300aの十字パッド302を操作して、位置指示マーク306aを表示画面306上の所望の機能の表示部分に移動し、ボタンスイッチ301を押圧操作することにより、所望の機能部分を動作させることができる。つまり、リモコンの操作により発生した操作信号がその送信部301aから情報機器本体300bの受信部301bに送信され、該受信部301bからの信号により機能選択部350が上記各機能部310,320,330,340のいずれかを選択する。
【0089】
例えば、テレビ機能部310を選択した場合には、この情報機器300は通常のテレビジョンとして動作し、上記リモコン300aを用いてチャネルの選択やボリュームの調整などを行うことができる。また、ビデオ機能部320を選択した場合は、この情報機器300は、これに搭載されているビデオデッキに相当する回路部分が動作することとなり、
上記リモコン300aを用いて、通常のビデオデッキに対する操作,つまり再生,記録,巻き戻し,早送り,一時停止などの操作を行うことができる。さらに、インターネットアクセス機能部330を選択した場合には、この情報機器300により、通常のパーソナルコンピュータ(以下、パソコンと略記する。)と同様にインターネットへのアクセスを行うことが可能となる。
【0090】
そして、メール作成機能部340を選択した場合には、この情報機器300は実施形態1の文字入力装置として機能することとなり、この情報機器300により文書の作成が可能となる。
【0091】
この場合の文字入力の操作及び動作は実施形態1の文字入力装置100とほぼ同様であるが、実施形態1の文字入力装置100では、入力ペン102とタッチパネル103を用いて文字列の入力を行うようになっているのに対し、本実施形態3では、リモコン300aのボタンスイッチ301と十字パッド302を用いて文字列の入力を行うようになっている。
【0092】
簡単に説明すると、例えば、図8Aに示すように、表示画面306上の候補文字列表示領域52bに候補文字列が一覧表示された状態で登録語の”day”を検索する場合は、ま
ず、十字パッド302を用いて、登録語の”cat”と”dog”との間の領域に位置指示マーク306aを移動させ、この時点でボタンスイッチ301のいずれかを押圧した状態で、十字パッド302の右片部を押圧操作する。これにより、実施形態1の文字入力装置100にて入力ペン102をタッチパネル103に当接したままで右方向に移動させた場合と同様にして、登録語の”cat”と”dog”との間で登録語の抽出間隔を狭めて、登録語の”cat”と”dog”との間に新たに登録語を表示させることができる(図8B参照)。
【0093】
また、この実施形態3のネットワークテレビ300では、候補文字列表示領域52bに表示された登録語の選択は、以下のようにリモコン300aを操作して行う。例えば、図4に示すように、表示画面306上の候補文字列表示領域52bに候補文字列が一覧表示された状態で登録語の"I"の表示部分上に位置指示マーク306aを移動させ、この状態でボタンスイッチ301を押さえつつ十字パッド302の右側片を押圧操作すると、図5に示すように、登録語の"I"が選択され、この登録語の"I"の後に続く登録語が複数一覧表示される。そしてさらに、登録語の"will"の表示部分上に位置指示マーク306aを移動させ、この状態でボタンスイッチ301を押さえつつ十字パッド302の右側片を押圧操作すると、図6に示すように、登録語の"will"が選択される。
【0094】
つまり、この実施形態3では、ボタンスイッチ301を押圧した状態での十字パッド302の操作が、実施形態1における入力ペン102をタッチパネルに当接させた状態での移動操作に相当する。また、ボタンスイッチ301の押圧及び押圧解除が、実施形態1での入力ペン102のタッチパネルへの接触及び接触解除に相当する。このようにリモコン300aを操作することにより、本実施形態3のネットワークテレビ300においても、文の入力処理を行うことができる。
【0095】
なお、十字パッド302の上側片、下側片の押圧操作により、表示される候補の上下方向へのスクロールを行い、右側片、左側片の押圧操作により、候補文字列表示領域52bの中心付近の候補を中心に登録語の抽出間隔を拡大/縮小を行うように処理を行い、ボタンスイッチ301を押すことにより候補文字列表示領域52bの中央の候補を選択するようにしても、同様に文の入力を行うことができる。
【0096】
このような構成の実施形態3では、上記実施形態1の効果に加えて、ネットワークテレビ300に文字入力装置を搭載し、しかもこの際、操作入力部3aを該テレビのリモコン
300aに内蔵したので、ネットワークテレビ300での電子メールで通信される文書の作成を、リモコン300aを用いて簡単にかつ素早く行うことができる効果がある。
(実施形態4)
図15は本発明の実施形態4による携帯情報通信装置を説明するための図であり、図15Aはその外観を示す図、図15Bは該携帯情報通信装置を機能ブロックに分けて示す図である。図16はこの携帯情報通信装置の詳細な構成を示すブロック図である。
【0097】
図において、400は本実施形態4の携帯情報通信装置であり、この携帯情報通信装置400は、携帯電話に簡易型文字入力機能を搭載したものであり、この簡易型文字入力機能は、実施形態1の文字入力装置100における文字入力機能を簡略化したものである。
【0098】
すなわち、この携帯情報通信装置400は、通常の携帯電話としての動作を行う携帯電話機能部410aと文字列の入力処理及び表示を行う文字入力機能部410bとを搭載した装置本体400aを有しており、該装置本体400aにはその操作面を保護するカバー部材400bが開閉自在に取りつけられている。なお、402は他の情報機器との接続用ソケット、403は送受信用アンテナ、404は電話ダイヤルボタン、405は電話操作用ボタンスイッチである。
【0099】
そして装置本体400aは、上記文字入力機能部410bの操作入力部3を構成する、文字列の入力などの操作に用いる入力ペン102を有しており、この入力ペン102は、該装置本体400aにケーブル102aを介して接続され、該装置本体400aに形成されたペンホルダ部401に収容できるようになっている。
【0100】
具体的には、上記装置本体400aには、上記文字入力機能部410bの表示部5を構成する液晶などによる画像表示を行う液晶パネル(表示手段)452及びこれを制御する表示制御手段451が搭載され、この液晶パネルの表示画面103は、入力ペン102を用いた情報入力を行うための透明なタッチパネル(タブレット)と一体に構成されている。なお、このタッチパネルは上記操作入力部3を構成している。
【0101】
そして、上記文字入力機能部410bは、1つの文節からなる所定の意味を表す文字列が所定の格納順序に従って多数格納されている文字列辞書1aと、該操作入力部3での操作により発生した選択指令信号に基づいて、該一覧表示された複数の候補文字列の中から所定のものを選択するとともに、該操作入力部3での操作により発生した操作信号に基づいて、該文字列辞書1a内に格納されている全文字列の中から文字列を抽出する候補文字列抽出部4aとを有している。
【0102】
ここで、上記文字列辞書1aに格納されている各登録語(文字列)には、〔買い物〕,〔遊び〕,〔帰る〕,〔伝言〕,〔仕事〕,〔迎え〕,〔宿泊〕,〔外食〕の8個のカテゴリに対応した出現頻度P1〜P8が設定されており、上記文字列辞書1aには、図17に示すように、各登録語とともに上記出現頻度P1〜P8が格納されている。また、上記表示制御手段451は、該表示画面103上に、該候補文字列抽出部4aにより抽出された候補文字列が一覧表示され、該候補文字列抽出部4aにより選択された文字列が表示されるよう該表示手段452を制御する構成となっている。上記表示手段である液晶ディスプレイ452の表示画面103には、上記文字入力機能部410bが動作するモードでは、図18Aに示すように入力途中の文章が表示される選択文字列表示領域452aと、文字列辞書1aから候補文字列抽出部4aにより抽出された登録語が一覧表示される候補文字列表示領域452bとが設定されるようになっている。
【0103】
また、上記候補文字列抽出部4aは、該操作入力部3での操作により発生した閾値変更指令信号に基づいて、文字列の抽出閾値を連続的に変更する抽出閾値変更手段42と、該
文字列辞書内に格納されている全文字列の中から文字列を、その抽出優先順位と該抽出閾値との大小関係に基づいて該候補文字列として抽出する抽出手段41と、該操作入力部3での操作により発生した選択指令信号に基づいて、該一覧表示された複数の候補文字列の中から所定のものを選択する文字列選択手段44と、操作入力部3での操作により発生したカテゴリ指定信号に基づいて、文字列辞書1a内における各出現頻度P1〜P8を切換え指定するカテゴリ指定手段45とを有している。
【0104】
ここで、各上記各手段41,42,44,45,451はCPU(中央演算処理装置)および、周辺装置内に構築されており、また、上記各辞書1aはROMなどの記憶装置内に構築されている。
【0105】
上記文字入力機能部410bのその他の構成は、実施形態1の文字入力装置100と同一となっている。
【0106】
次に動作について説明する。
【0107】
ここでは、「私は今晩夕食を食べて帰る」という文の入力を例に挙げて、この携帯情報通信装置400での文入力の操作及び動作について説明する。
【0108】
まず、最初の「私は」という文節を選択する様子を、図18〜図20を用いて説明する。
【0109】
この携帯情報通信装置400の電源が投入され、文字入力機能部410bが動作するモードが選択されると、まず候補文字列表示領域452bにはカテゴリ選択画面が表示される。つまり、図18Aに示すように、〔買い物〕,〔遊び〕,〔帰る〕,〔伝言〕,〔仕事〕,〔迎え〕,〔宿泊〕,〔外食〕の8個のカテゴリが横2列に表示される。この状態で、ユーザが表示画面103上の〔外食〕の表示部分を入力ペン102で押圧することにより、外食に関連する登録語の出現頻度が高くなっている出現頻度P8がカテゴリ指定手段45により指定される。この場合、文字列辞書1aからは、出現頻度P8に基づいて文字列が抽出されることとなる。
【0110】
また、上記のようにカテゴリの選択を行うと、候補文字列表示領域452bには、文字列のうち5W1Hのいずれに関連するものを選択するかを決めるためのメニューが、図18Bのように表示される。
【0111】
ここで、〔Who〕は主語を抽出する場合、〔When〕は時を示す語を抽出する場合、〔Where〕は場所を示す語を抽出する場合、〔Why〕は理由を示す語を抽出する場合、〔How〕は状態や様子などを示す語を抽出する場合、〔What(o)〕は目的語を抽出する場合、〔What(v)〕は動作や行動などを示す登録語を抽出する場合、〔R〕はカテゴリ選択画面に戻す場合にそれぞれ操作されるものである。
【0112】
図18Bに示す表示状態で、ユーザが表示画面103上の〔Who〕の表示部分を入力ペン102で押圧することにより、図19Aに示すように、主語として抽出されるべき登録語である「あなたは」,・・・,「A氏は」,・・・,「B氏は」,・・・,「私は」とともに、疑問文を作成するための「(誰が)」が、候補文字列表示領域452bに表示される。
【0113】
このとき、目的とする登録語が〔私は〕である場合は、ユーザが表示画面103上の〔私は〕の表示部分を入力ペン102で押圧すると、登録語の〔私は〕が主語として選択され、図19Bに示すように、選択文字列表示領域452aに登録語の「私は」が表示され
、さらにユーザが表示画面103上の〔When〕の表示部分を入力ペン102で押圧すると、時を示す語として抽出されるべき登録語である「明日」,「今日」,「今晩」,・・・,「明朝」,・・・とともに、疑問文を作成するための「(いつ)」が、候補文字列表示領域452bに表示される。
【0114】
ただし、ユーザが表示画面103上の〔Who〕の表示部分を入力ペン102で押圧した時点で、候補文字列表示領域452bに目的とする登録語が表示されていない場合、また、ユーザが表示画面103上の〔When〕の表示部分を入力ペン102で押圧した時点で、候補文字列表示領域452bに目的とする登録語が表示されていない場合、実施形態1の文字入力装置100と同様な入力ペン102の操作により文字列辞書1aから抽出される登録語の範囲を拡大して目的の登録語を候補文字列表示領域452bに表示させることができる。
【0115】
すなわち、入力ペン102により、候補文字列表示領域452bの左端近くであって、目的とする登録語が存在する、所定の上下に隣接して表示されている登録語の表示部分の間となる位置を指定し、常に入力ペン102が上下方向における、該隣接する2つの登録語の表示部分の間を指定するように保ち、かつ、入力ペン102を押圧したままで右方向に移動させる。このような入力操作により、抽出閾値がその変更手段42により段階的に小さい値に変更され、指定位置を中心に出現確率の低い語が徐々に表示されるようになる。これにより目的の登録語を候補文字列表示領域452b内に表示させることができる。
【0116】
その後、このような操作を繰り返し行うことにより、「私は今晩夕食を食べて」と入力した後、〔What(v)〕の表示部分を入力ペン102で押圧すると、動作を示す語として抽出されるべき登録語である「行こう」,「行ってください」,・・・,「帰る」,・・・,「来てください」,・・・とともに、疑問文を作成するための「(どうするのか)」が、候補文字列表示領域452bに表示される(図20A参照)。
【0117】
この状態で、ユーザが表示画面103上の〔帰る〕の表示部分を入力ペン102で押圧すると、図19Bに示すように、登録語の「帰る」が動詞として選択され、選択文字列表示領域452aには、「私は今晩夕食を食べて帰る」と表示される。
【0118】
このようにして作成したメッセージは、図21に示すように、本携帯情報通信装置400の携帯電話機能部410aにより、ポケットベルなどの受信専用の携帯小型通信機器460に送信すると、ポケットベル460の表示画面461には、上記メッセージ「私は今晩夕食を食べて帰る」が表示される。また、作成したメッセージは、通常の電話器に送信してその録音装置に記憶させるようにすることもできる。
【0119】
あるいは、図22に示す様に、本携帯情報通信装置400にケーブル接続用ソケット402を設け、この通信装置400を専用の接続ケーブル470を介して、既存のワードプロセッサー10などに接続可能な構成とすることにより、作成したメッセージをフロッピー(登録商標)ディスクに保存することができる。
【0120】
なお、本発明の実施形態は上述したものに限るものではなく、例えば、以下のような変形例も考えられる。
(1)上記各実施形態では、文字入力装置として、文字入力の対象となる言語が日本語であるものについて示したが、本発明の文字入力装置はあらゆる言語に応用することが可能である。
【0121】
例えば、実施形態1の構成の文字入力装置を、文字入力の対象となる言語が英語であるものとする場合は、文字列辞書をアルファベット順に文字列を格納したものとし、文法辞
書には、例えば助動詞の後には動詞の原形がくるという文法情報を持たせ、候補文字列抽出部では、文字列辞書の品詞情報に基づいて、助動詞の後の文字列としては、動詞の原形のみを抽出するようにすればよい。
【0122】
また、この場合、候補文字列抽出部は、動詞の原形についてはその出現頻度に一定値を加算して文字列辞書からの抽出を行うようにしてもよく、また、冠詞や前置詞の後に登録語が抽出される場合には、形容詞や名詞についてはその出現頻度に一定値を加算して文字列辞書からの抽出を行うようにしてもよい。
【0123】
さらに、文字列辞書として、日本語の文字列を格納したものと、英語の文字列を格納したものの両方を備え、かつ日本語と英語との間で文字列の入力モードを切り換える手段を備えることにより、複数の言語を対象とする文字列の入力を可能とすることができる。
(2)上記実施形態の文字列辞書を、各文字列に対する出現頻度を、手紙文,論文,小説などの作成される文書のジャンル別に有するものとし、文字列辞書からの文字列の抽出の際、入力を行なっている文の意味に関連するジャンルと同じジャンルに対応する出現頻度に基づいて文字列の抽出を行うようにすることにより、さらに、効率の良い文字列の抽出,検索が可能となる。
(3)上記実施形態では、文字列辞書からの文字列の抽出,表示を、出現頻度や文法情報を参照して行うものを示したが、出現頻度や文法の知識以外に入力途中の文の文脈を参照する機構を設け、文字列の抽出,表示を文脈を参照して行うようにしてもよい。
【0124】
例えば、「映画を」の次には、候補文字列として、「見る」,「楽しむ」,「観賞する」などを優先的に表示するようにする。この場合、「観賞する」と同音の文字列である「干渉する」や「緩衝する」などが「観賞する」に優先して表示されることはなく、効率よく文字列の抽出を行って文入力を素早く行うことができる。
【0125】
また、本発明の文字入力装置は、コンピュータにおいて構築することができる。したがって、本発明は、この文字入力装置をコンピュータにおいて構築するためのプログラムを記憶した記録媒体をも含む。
【産業上の利用可能性】
【0126】
以上の説明した様に、本発明の文字入力装置によれば、操作入力部としてマウスやタブレットなどを用いた、2次元の表示画面上で指定位置の座標を変化させる等の操作により、初期時点で一覧表示されている候補文字列のリストが表示画面上をシフトして、目的とする候補文字列が表示画面上に現れるまで、一覧表示される候補文字列のリストが連続的に変化するようにしたので、動的に変化する候補文字列の一覧表示リストの中から適切なものを、操作入力部の操作により選択することにより、文字列としての語,文節,あるいは文を逐次入力することができる。このため、キーボードによる文字の入力とは異なり、入力操作における言語依存性はなく、また日本語における漢字や英語等におけるスペルが分からない場合でも文を正しく入力することができる効果がある。
【0127】
また、1つの実施形態によれば、前記文字列辞書,候補文字列抽出部,表示手段,及び表示制御手段を情報機器の本体に搭載し、前記操作入力部を、該情報機器本体を遠隔操作するためのリモートコントロール装置に搭載したので、例えば、ネットワークテレビなど情報機器では、インターネットに対するアクセスで必要となる電子メール用の文書を、リモコンの操作により簡単に作成することができる効果がある。
【0128】
また、1つの実施形態によれば、前記表示手段の表示画面を、選択された文字列を表示するための選択文字列表示領域と、該文字列選択の対象となる候補文字列を一覧表示するための候補文字列表示領域とに区分したので、表示画面上で候補文字列と選択された文字
列とを識別し易くなるという効果がある。
【0129】
また、1つの実施形態によれば、前記候補文字列抽出部では、その抽出優先順位が該抽出閾値より大きい文字列を該文字列辞書から抽出する第1の処理と、操作入力部での操作信号により発生した閾値変更指令信号に基づいて該抽出閾値を変更する第2の処理とが繰り返し行われるようにしたので、表示画面上に一覧表示された候補文字列の中に目的とする候補文字列がない場合は、操作入力部での操作により、目的の文字列の検索を効率よく素早く行うことができる効果がある。
【0130】
また、1つの実施形態によれば、前記表示画面上に一覧表示されている複数の候補文字列の中から操作入力部での操作により所定の候補文字列を選択するようにしたので、表示画面上に目的とする文字列が候補文字列として表示された時は、これを操作入力部により選択できる。従って、操作入力部の操作により、選択した文字列をつないで所要の文の入力を行うことができる。
【0131】
また、1つの実施形態によれば、文字列辞書から読み出した品詞情報及び文法辞書に格納されている文法情報に基づいて、最後に選択された文字列の次にくる可能性のある文字列を対象として、候補文字列の抽出を行うようにしたので、文入力操作の途中にて、次に表示画面上に一覧表示する候補文字列のリストが、文法による知識に基づいて決定されることとなり、目的とする文字列を高速に検索することが可能となる。
【0132】
また、1つの実施形態によれば、文字列辞書内の各文字列の出現頻度を出現回数などに応じて更新し、文字列辞書からは文字列を、その出現頻度が大きいほどその抽出優先順位が高いとみなして優先的に候補文字列として抽出するようにしたので、表示画面上に一覧表示される候補文字列のリストを、的中率,つまり目的とする文字列を含む可能性の高いものとでき、目的の文字列を高速に検索することが可能となる。
【0133】
また、1つの実施形態によれば、文字列辞書からの候補文字列のリストを抽出する負荷の重い処理機能を、処理能力の高い据え置きされる装置本体部に持たせたので、操作入力部や表示手段を搭載した携帯端末部の可搬性を損なわないようにすることができる効果がある。
【0134】
また、1つの実施形態によれば、前記文字列辞書を、前記各文字列とともに各文字列の持つ意味情報を格納した、言語辞典としての辞書情報を付加したものとし、操作入力部の操作により、所望の文字列の意味情報を、表示画面上に形成された意味表示用窓内に表示するようにしたので、文入力操作の途中にて、選択した文字列の意味、あるいは選択の対象である一覧表示された候補文字列の意味を確認することができる効果がある。
【0135】
また、1つの実施形態によれば、文字列入力の対象となる言語を、日本語あるいは中国語とし、前記文字列辞書では、複数の文字列を、それぞれの読みの発音に基づいて順序付けして格納し、かつ発音が同音である文字列については、これを構成する一文字目の文字の画数により順序付けして格納したので、同音の語が表示可能な数より多い場合でも、50音の次に画数という2番目の順序付けの要素に基づいて、ユーザが高速に目的とする文字列を検索することが可能となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1A】図1Aは、本発明の実施形態1による汎用型文字入力装置の外観を示す。
【図1B】図1Bは、該汎用型文字入力装置の構成を機能ブロックに分けて示している。
【図2】図2は、上記実施形態1の汎用型文字入力装置の詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、上記実施形態1の汎用型文字入力装置に搭載されている文字列辞書における文字列及びこれに関する情報の格納状態の一部を示している。
【図4】図4は、上記実施形態1の汎用型文字入力装置における入力操作及び動作の説明図であり、表示画面の候補文字列表示領域に表示される候補文字列の初期状態の表示例を示している。
【図5】図5は、上記実施形態1の汎用型文字入力装置における入力操作及び動作の説明図であり、”I”と文字列を入力したときの表示画面の状態を示している。
【図6】図6は、上記実施形態1の汎用型文字入力装置における入力操作及び動作の説明図であり、”I will”と文字列を入力したときの表示画面の状態を示している。
【図7】図7は、上記実施形態1の汎用型文字入力装置における入力操作及び動作の説明図であり、”I will take”と文字列を入力したときの表示画面の状態を示している。
【図8A】図8Aは、上記実施形態1の汎用型文字入力装置において、”I will take a”と文字列を入力したときの表示画面の状態を示す。
【図8B】図8Bは、選択される文字列の対象となる候補文字列の範囲を拡大する処理を示している。
【図9】図9は、上記実施形態1の汎用型文字入力装置における入力操作及び動作の説明図であり、図8Bにおける拡大処理を行った後の表示状態を示している。
【図10】図10は、上記実施形態1の汎用型文字入力装置における入力操作及び動作の説明図であり、”I will take a day”と文字列を入力したときの表示画面の状態を示している。
【図11】図11は、上記実施形態1の汎用型文字入力装置における入力操作及び動作の説明図であり、”I will take a day off”と文字列を入力したときの表示画面の状態を示している。
【図12】図12は、上記実施形態1の汎用型文字入力装置における入力操作及び動作の説明図であり、”I will take a day offtomorrow”と文字列を入力したときの表示画面の状態を示している。
【図13A】図13Aは、本発明の実施形態2による処理機能を分離した文字入力装置の全体構成を示す概念図である。
【図13B】図13Bは、該文字入力装置を機能ブロックに分けて示している。
【図14A】図14Aは、本発明の実施形態3による文字入力装置を搭載したネットワークテレビの全体構成を示す概念図である。
【図14B】図14Bは、該ネットワークテレビを機能ブロックに分けて示す。
【図14C】図14Cは、該ネットワークテレビのメール作成機能部の構成を説明するためのブロック図である。
【図15A】図15Aは、本発明の実施形態4による携帯情報通信装置の外観を示す。
【図15B】図15Bは、該携帯情報通信装置を機能ブロックに分けて示している。
【図16】図16は、上記実施形態4の携帯情報通信装置の詳細な構成を示すブロック図である。
【図17】図17は、上記実施形態4の携帯情報通信装置に搭載されている文字列辞書における文字列及びこれに関する情報の格納状態を示している。
【図18A】図18Aは、上記実施形態4の携帯情報通信装置における表示画面の候補文字列表示領域に表示されたカテゴリ選択メニューを示す。
【図18B】図18Bは、カテゴリ選択後に候補文字列表示領域に表示される、5W1Hのいずれに属する文字列を表示させるかを指定するための初期画面を示している。
【図19A】図19Aは、上記実施形態4の携帯情報通信装置において、5W1Hの〔Who〕を指定した時に候補文字列表示領域に一覧表示される候補文字列を示す。
【図19B】図19Bは、文字列「私は」を選択した後、5W1Hの〔When〕を指定した時に候補文字列表示領域に一覧表示される候補文字列を示している。
【図20A】図20Aは、上記実施形態4の携帯情報通信装置において、「私は今晩夕食を食べて」と選択した後、5W1Hの〔What(v)〕を指定した時に、候補文字列表示領域に一覧表示される候補文字列を示す。
【図20B】図20Bは、その後、「帰る」を選択した後の表示画面の表示状態を示している。
【図21】図21は、上記実施形態4の携帯情報通信装置で作成した文書を受信専用の小型携帯通信装置(ポケットベル)に送信する様子を示している。
【図22】図22は、上記実施形態4の携帯情報通信装置で作成した文書をフロッピディスクに保存する方法について示している。
【図23】図23は、従来の一般的な文書入力装置を説明するための外観を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信手段と、
入力指示された文字列を表示する文字列表示手段と、
表示された文字列の次に入力指示する文字列の候補である候補文字列を文字列辞書から抽出し、表示する候補文字列表示手段と
を備え、
前記通信手段は、外部より表示画面上の位置を指示する位置指示信号を受信し、
前記文字列表示手段が表示した文字列の次に入力指示される文字列は、前記位置指示信号によって前記候補文字列のいずれかが指示されることにより選択され、
前記候補文字列表示手段は、前記候補文字列から文字列が選択され、入力指示がされたことに応じて、次に入力される文字列の候補である更なる候補文字列を抽出、表示し、
更に次に入力指示される文字列は、前記位置指示信号によって前記更なる候補文字列のいずれかが指示されることにより選択される、
情報表示装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−3957(P2009−3957A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209377(P2008−209377)
【出願日】平成20年8月15日(2008.8.15)
【分割の表示】特願2008−31066(P2008−31066)の分割
【原出願日】平成9年9月24日(1997.9.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】