説明

情報端末、その制御方法およびその制御プログラム

【課題】情報端末において、キーボードのタッチ感を与えつつ、ポインティング情報とキー情報の入力を受け付ける情報端末の小型化を図る。
【解決手段】情報端末では、操作エリア20に対してタッチ操作がなされると、電極シート200の静電容量が変化する。当該変化の量に基づいて、キーボード入力モードとポインティング入力モードとが切替えられる。電極シート200の静電容量の変化量が第1の値を超える場合には、キーボード入力モードに設定され、キー情報が生成される。当該変化量が第1の値以下であり第2の値を超える場合には、ポインティング入力モードに設定され、ポインティング情報が生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報端末に関し、特に、ポインティング情報とキー情報の入力を受け付ける情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、情報端末において、複数のキーを配列されたキーボードによるキー情報の入力と、ポインティングデバイスによるポインティング情報の入力とを受け付けるものが多く存在している。このような情報端末は、キーボードとポインティングデバイスとを有する。たとえば、ノート型のパーソナルコンピュータ(以下、「PC」)においては、キーボードと、ポインティングデバイスとしてタッチパッドとが備えられる。
【0003】
このような情報端末において、市場からのニーズによりますます小型化が進む中、キーボードやタッチパッドについても小型化が求められる。しかしながら、これらについては、操作性の問題から、小型化には限度がある。
【0004】
なお、従来から、情報端末におけるタッチパッドに関し、種々技術が開示されている。
たとえば、特許文献1(特開2008−065730号公報)には、タッチパッドとして感度の高い静電容量方式のセンサを用いることにより、2次元座標の入力に加えて、空間上にある被検出体の位置を3次元座標として入力することができる携帯通信端末装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献2(特開2008−257374号公報)には、表示装置に仮想キーの配置を表示し、タッチパッドに対して、スライド操作がなされた場合には選択される仮想キーを変更する操作として認識し、当該タッチパッドに対する押下力を上げる操作がなされた場合には選択されている仮想キーに対して決定操作がなされたと認識する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−065730号公報
【特許文献2】特開2008−257374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1は、タッチパッドに対する入力情報の処理に特徴を有するものの、当該タッチパッドに対する入力情報の取扱いは、キーボードとの関係を考慮されたものではなかった。また、特許文献2は、表示装置に表示された仮想キーに対する選択操作や決定操作に関するものであるものの、表示装置に表示された仮想キーからタッチパッドに対する操作によって入力するキーを決定することは、通常のキーボードにおいて配列されたキーを入力する操作に対して、格段に煩雑なものであった。この点から、特許文献2であっても、タッチパッドに対する入力情報を、キーボードとの関係を考慮して取扱うものとは言えなかった。また、特許文献2では、仮想キーに対する入力情報としてタッチパッドに対する入力情報が受け付けられるため、ユーザは、キー入力をするのに際してキーをタッチする感覚を得ることができず、この点に関する操作性の向上が望まれていた。
【0008】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、情報端末において、ユーザにキーボードのタッチ感を与えつつ、ポインティング情報とキー情報の入力を受け付ける情報端末の小型化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従った情報端末は、導体が接近したことに基づいて静電容量が変化するシート状電極と、シート状電極上に積層され、1つ以上のキーを含むキー操作部と、シート状電極が所定の状態にあるときからの、シート状電極の静電容量が変化した位置と変化量を検出するための検出手段と、検出手段の検出出力に基づいて、シート状電極において導体が接近した位置を示す情報であるポインティング情報と、キー操作部のキーが操作されたことを示す情報であるキー情報とを生成するための、入力情報生成手段とを備え、入力情報生成手段は、検出手段によって検出された変化量が、予め定められた第1の閾値以上である場合には、キー情報を生成し、検出手段によって検出された変化量が、第1の閾値未満である場合には、ポインティング情報を生成する。
【0010】
また、本発明の情報端末では、入力情報生成手段は、第1の閾値より小さい第2の閾値以上であって第1の閾値未満である場合に、ポインティング情報を生成することが好ましい。
【0011】
また、本発明の情報端末は、シート状電極上の1つ以上のキーの位置を記憶する記憶手段をさらに備え、入力情報生成手段は、シート状電極において静電容量が変化した位置と、記憶手段に記憶されたキーの位置とに基づいて、キー情報を生成することが好ましい。
【0012】
また、本発明の情報端末では、キー操作部は、キーをシート状電極に対して積層の方向に離間して支持するための支持体を含み、支持体は、キーが所定の大きさ以上の力でシート状電極に向けて押下されることにより、キーを当該押下された方向に移動させるように変形することが好ましい。
【0013】
また、本発明の情報端末では、検出手段によって検出された変化量が、第1の閾値以上であることを報知する報知手段をさらに備えることが好ましい。
【0014】
また、本発明の情報端末では、入力情報生成手段は、各キーごとに、キー情報を生成し、報知手段は、各キーに対応して設けられた1以上の報知部を含み、キー情報が生成されたキーに対応して設けられた報知部に、第1の閾値以上であることを報知させることが好ましい。
【0015】
また、本発明の情報端末は、アプリケーションを実行する実行部をさらに備え、入力情報生成手段は、キー情報およびポインティング情報をアプリケーションに対する入力情報として出力することが好ましい。
【0016】
本発明に従った情報端末の制御方法は、導体が接近したことに基づいて静電容量が変化するシート状電極と、シート状電極の静電容量を検出する検出器と、1つ以上のキーを含みシート状電極上に積層されたキー操作部と、プロセッサとを備える情報端末を制御するための制御方法であって、検出器が、シート状電極が所定の状態にあるときからの、シート状電極の静電容量が変化した位置と変化量を検出するステップと、検出器によって検出された変化量が予め定められた第1の閾値以上である場合に、プロセッサが、検出器によって検出された、シート状電極の静電容量が変化した位置に基づいて、キー操作部のキーが操作されたことを示す情報であるキー情報を生成するステップと、検出器によって検出された変化量が第1の閾値未満である場合に、プロセッサが、検出器によって検出された、シート状電極の静電容量が変化した位置に基づいて、シート状電極において導体が接近した位置を示す情報であるポインティング情報を生成するステップとを備える。
【0017】
本発明に従った情報端末の制御プログラムは、導体が接近したことに基づいて静電容量が変化するシート状電極と、1つ以上のキーを含みシート状電極上に積層されたキー操作部と、プロセッサとを備える情報端末においてプロセッサによって実行される情報端末を制御するためのプログラムであって、プロセッサに、シート状電極が所定の状態にあるときからの、シート状電極の静電容量が変化した位置と変化量を取得するステップと、シート状電極の静電容量の変化量が予め定められた第1の閾値以上である場合に、シート状電極の静電容量が変化した位置に基づいて、キー操作部のキーが操作された情報であるキー情報を生成するステップと、シート状電極の静電容量の変化量が第1の閾値未満である場合に、シート状電極の静電容量が変化した位置に基づいて、シート状電極において導体が接近した位置を示す情報であるポインティング情報を生成するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0018】
上記構成によれば、情報端末は、シート状電極における静電容量の変化に基づいて、キー情報とポインティング情報を生成できる。なお、これらの情報のどちらを生成するかは、静電容量の変化量に基づいて決定される。また、情報端末では、シート電極上にキー操作部が積層されている。これにより、情報端末は、ユーザに、キー操作部のキーを操作することによりキー情報を入力させることができ、キー情報を生成するのに際して、ユーザにキーをタッチする感覚を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の携帯である情報端末の外観を示す図である。
【図2】図1の情報端末の第2の筺体の内部構造を説明するための図である。
【図3】図2のキー操作部の拡大図である。
【図4】図1の情報端末の電極シートの構成を説明するための図である。
【図5】図1の情報端末の電極シートの構成を説明するための図である。
【図6】図1の情報端末のハードウェア構成を模式的に示す図である。
【図7】図1の情報端末がポインティング入力モードにおいて入力される情報を説明するための図である。
【図8】図1の情報端末がキーボード入力モードにおいて入力される情報を説明するための図である。
【図9】図1の情報端末において実行される入力情報生成処理のフローチャートである。
【図10】図1の情報端末の複数のモードについての情報をまとめて示す図である。
【図11】図9の処理内容を説明するための図である。
【図12】図1の情報端末の変形例(1)における、情報の入力態様を説明するための図である。
【図13】図1の情報端末の変形例(2)における、閾値の変更態様を説明するための図である。
【図14】図1の情報端末の変形例(3)における、第2の筐体の内部構造を説明するための図である。
【図15】図1の情報端末の変形例(3)におけるハードウェア構成を模式的に示す図である。
【図16】図1の情報端末の変形例(3)の複数のモードについての情報をまとめて示す図である。
【図17】図1の情報端末の変形例(3)における電極シートの構造の一例を模式的に示す図である。
【図18】図1の情報端末の変形例(4)の複数のモードについての情報をまとめて示す図である。
【図19】図1の情報端末の変形例(5)における、第2の筐体の構造を説明するための図である。
【図20】図1の情報端末の変形例(5)におけるハードウェア構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の情報端末の実施の形態について説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号が付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0021】
[1.情報端末の概略構成]
図1は、情報端末100の外観を示す図である。
【0022】
情報端末100は、第1の筺体1と第2の筺体2を含む。第1の筺体1と第2の筺体2は、所定の軸(図示略)によって、互いに折り畳み可能に連結されている。情報端末100は、必ずしも折り畳み可能に構成された複数の筺体を含む必要はない。単一の筺体から構成されていてもよい。
【0023】
第1の筺体1は、表示部30を含む。表示部30は、たとえば、液晶表示装置によって構成される。表示部30には、ウェブページ等のネットワーク上の文書や、情報端末100内に格納されるアドレス帳や、情報端末100において実行されるメーラによるメール作成画面、文書作成アプリケーションによる編集画面、描画アプリケーションによる画像作成画面、画像データや映像データの閲覧アプリケーションにおける閲覧画面等の種々の情報を表示することができる。
【0024】
第2の筺体2は、操作エリア20が設けられ、当該操作エリア20内には、キー群21A、レフトキー21B、ライトキー21Cが設けられている。キー群21Aは、19個の操作ボタンを含む。レフトキー21Bおよびライトキー21Cは、それぞれ操作ボタンである。操作エリア20は、後述する電極シート200が内蔵される領域である。
【0025】
[2.情報端末の内部構造]
図2は、情報端末100の第2の筺体2の内部構造を説明するための図である。
【0026】
第2の筺体2では、電極シート200上にキー操作部500が積層されている。
キー操作部500は、複数のキー501〜505を含む。キー501〜505は、それぞれ、キー群21Aに含まれる操作ボタン、または、レフトキー21Bもしくはライトキー21Cを構成する操作ボタンに対応する。キー操作部500の各キー501〜505は、第2の筺体2表面において突出している。ただし、キー操作部500の各キー501〜505は、その表面を第2の筺体2の他の部分と面一で、つまり段差なく構成されていても良い。なお、情報端末100おいて、キーの数は、5以上に限定されるものではなく、5以下であっても良い。
【0027】
情報端末100では、導体であるユーザの指がキー操作部500の表面に近づくことにおり、電極シート200における静電容量が初期状態に対して変化する。そして、当該指がキー操作部500の表面上で移動することにより、電極シート200において、静電容量が初期状態に対して変化する位置が移動する。そして、情報端末100では、静電容量の変化する位置が移動することに従って、ポインティング情報が生成される。ポインティング情報とは、操作された位置の情報である。本実施の形態では、電極シート200が操作された位置の情報である。ポインティング情報は、たとえば、アプリケーションに対してカーソルを移動させる情報等に利用される。
【0028】
なお、初期状態とは、たとえば、操作エリア20にユーザの指等の導体が近接していない状態を言う。より具体的には、情報端末100の構成要素以外に、電極シート200における各電極の静電容量を変更させるような導体が、当該静電容量の検出値に実質的に影響を与える位置には配置されていない状態を言う。
【0029】
本明細書では、導体としてユーザの指を示すが、本発明の情報端末についての導体はこれに限定されない。導体として機能するペン状の部材であっても良い。この場合、ユーザは、当該部材を操作エリア20に近づけたり、操作エリア20上で移動させることにより、情報端末100を操作する。
【0030】
また、情報端末100では、各キー501〜505が図の下方向に所定の力以上の力で押下されることにより、その底面が電極シート200に当接する。これにより、導体である指が電極シート200に近づき、電極シート200の静電容量の変化量が大きくなる。静電容量の変化量が大きくなったことに基づいて、情報端末100において生成される情報が、各キーの入力情報(キー情報)とされる。
【0031】
[3.キー入力機構の構成]
図3(A)および図3(B)は、キー操作部500の、キー501に対応した部分の拡大図である。
【0032】
図3(A)を参照して、キー501は、本体501Aと支持部501Bを含む。本体501Aは、支持部501Bによって、電極シート200に対して上記積層方向に離間するように支持されている。支持部501Bは、可塑性材料(たとえば、ポリウレタン樹脂などの合成樹脂、ゴム等)からなる。
【0033】
図3(B)は、図3(A)のキーが、電極シート200に向けて押下された状態を示す図である。図3(B)を参照して、図3(A)に示された状態からキー501が積層方向下向きに押下されると、図3(B)に示されるように、支持部501Bが撓み、本体501Aの底面が電極シート200に当接する。
【0034】
本実施の形態では、キー501の本体501Aが支持部501Bによって支持され、所定の大きさの力、つまり、支持部501Bを撓ませることができる大きさの力で、本体501Aが押下されることによって、ユーザの指を電極シート200に近づけ、これにより電極シート200を構成するX電極およびY電極の一部の静電容量を変化させることができる。このような構成により、ユーザに、キー操作を行なう際に、キーのタッチ感を与えることができる。
【0035】
また、上記所定の大きさの力でキーが押下されて、初めて、ユーザの指を、支持部501Bが撓んだ分だけ電極シート200に近づけることができる。情報端末100では、支持部501Bが撓まない状態(図3(A))でユーザの指がキー501の表面にある場合、X電極およびY電極の静電容量の変化量は、Y1以上Y2未満の値となる。一方、支持部501Bを撓ませた状態(図3(B))でユーザの指がキー501表面にある場合には、X電極およびY電極の静電容量の変化量は、Y2以上の値となる。つまり、情報端末100では、キー501を押下する力の大きさに対応して、X電極およびY電極の静電容量が変化するように構成されている。より具体的には、キー501が押下された場合、当該キー501が操作されたことを示すキー情報が生成できる程度に、当該キー501に対応するX電極とY電極の静電容量が変化するように構成されている。これにより、情報端末100は、ユーザがキー操作を行なうことにより、ユーザにキーのタッチ感を与え、かつ、操作されたキーに対応するキー情報を生成することができるように、構成されている。
【0036】
キー操作部500には、キー群21Aやレフトキー21B、ライトキー21Cとして示されたように、キー501と同様の構成を有する複数のキー(その一部がキー501〜505として示される)が設けられている。なお、キー操作部500に設けられるキーの数は、図1等に示されたものに限定されない。また、設けられるキーの数は、複数である必要はなく、単数であっても良い。
【0037】
[4.電極シートの構成]
図4(A)は、電極シート200の詳細な構成を示す図である。電極シート200では、ノイズ保護シート201、絶縁体であるガラス202、そして、電極層203が、順に積層されている。電極層203は、所定の電圧が印加される。情報端末100では、電極層203の静電容量を検出する検出器205が設けられている。検出器205は、入力情報検出部210に含まれる。図4(A)に示されるように、電極シート200の表面にユーザの指Fが近づくと、電極層203における静電容量が変化する。その変化量を、検出器205で検出することにより、電極シート200において、キー入力部400が積層される平面上のどの位置に指Fが近づけられたか(操作位置)が特定される。
【0038】
具体的には、電極層203は、当該電極層203のX方向の操作位置を特定するためのX電極層2031と、Y方向の操作位置を特定するためのY電極層2032とが積層されて構成される。図5(A)にX電極層2031の構成を、図5(B)にY電極層2032の構成を、それぞれ模式的に示す。
【0039】
図5(A)を参照して、X電極層2031では、電極層203のX方向に、複数のX電極2031A,2031B,…2031X,…2031Nが配列されている。
【0040】
図5(B)を参照して、Y電極層2032では、電極層203のY方向に、複数のY電極2032A,2032B,…2032Y,…2032Mが配列されている。
【0041】
情報端末100の初期状態では、X電極2031A,2031B,…2031X,…2031NとY電極2032A,2032B,…2032Y,…2032Mには、それぞれ、所定の電圧が印加されている。そして、電極層203に対する指Fの操作位置が、X方向ではX電極2031X上であり、Y方向ではY電極2032Y上である場合、X電極2031XとY電極2032Yの電位が変化する。情報端末100では、検出器205は、X電極2031A,2031B,…2031X,…2031Nのそれぞれについて、Y電極2032A,2032B,…2032Y,…2032Mのそれぞれとの電位差を検出する。そして、電位差に変化が生じたX電極とY電極の組を特定する。このようなX電極とY電極の組の特定は、後述する入力情報検出部210の、検出器205の検出出力を処理するユニットによってなされる。
【0042】
なお、X電極2031A,2031B,…2031X,…2031NのそれぞれをX方向の位置に変換するための情報、および、Y電極2032A,2032B,…2032Y,…2032MのそれぞれをY方向の位置に変換するための情報は、後述する第2変換情報記憶部62に記憶されている。
【0043】
また、電極シート200の電極層203では、操作される力の大きさ、つまり、操作エリア20に対するタッチ操作によって上記積層方向に加えられる力の大きさによって、静電容量が変化する。
【0044】
本実施の形態では、静電容量の変化量が一定の値を超える場合であって特定の値以下の場合には、電極シート200における操作位置に応じたポインティング情報が生成される。
【0045】
ポインティング情報とは、電極シート200のどの位置が操作されたかを特定する情報である。一方、静電容量の変化量が特定の値を超えた場合に、キー操作部500のキーを押下するキー入力操作であるとして、キー情報を生成し、上記ポインティング情報は生成されない。上記のように特定されるX方向の位置とY方向の位置を、キー操作部500に含まれる各キーを特定(操作)する情報に変換するための情報は、後述する第1変換情報記憶部61に記憶されている。
【0046】
[5.情報端末のハードウェア構成]
図6は、情報端末100のハードウェア構成を模式的に示す図である。
【0047】
図6を参照して、情報端末100は、当該情報端末100の動作を全体的に制御する制御部50、データの送受信を行なうためのアンテナ81、アンテナ81によるデータの送受信の際の信号の処理等を行なう通信制御部80、フラッシュメモリ等の記憶装置からなる記憶部60、表示部30、表示部30における表示内容を制御する表示制御部31、音声の入力を受け付けるマイク52、音声を出力するスピーカ51、スピーカ51から出力させる音声を制御する音声出力制御部51A、マイク52に入力された音声を処理して制御部50へ送る音声入力制御部52A、ならびに、カメラ91を含む。制御部50は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置を含む。また、制御部50には、タイマ50Aが内蔵されている。
【0048】
また、情報端末100は、上記したように、電極シート200に対する操作位置に対応したX電極とY電極の組を特定する制御ユニットを含む。当該制御ユニットは、検出器205の検出出力に基づいて上記組を特定する処理を実行するプロセッサを含み、検出器205とともに入力情報検出部210を構成する。
【0049】
記憶部60は、第1変換情報記憶部61、第2変換情報記憶部62、データ記憶部63、および、プログラム記憶部64を含む。
【0050】
第1変換情報記憶部61は、入力情報検出部210によって特定されたX電極とY電極の組をキー操作部500上のキーを特定する情報へと変換するための情報を記憶する。
【0051】
第2変換情報記憶部62は、入力情報検出部210によって特定されたX電極とY電極の組を電極シート200上における操作位置(座標情報)へと変換するための情報を記憶する。
【0052】
制御部50は、その機能として、実行部50Bと情報生成部50Cとを含む。実行部50Bは、プログラム記憶部64に記憶されたプログラムに従ってアプリケーションを実行する。情報生成部50Cは、キー情報およびポインティング情報を生成し、これらの情報を実行部50Bにアプリケーションに対する入力情報として出力する。実行部50Bおよび情報生成部50Cは、制御部50がプログラム記憶部64に記憶されるプログラムを実行することによって実現されても良いし、専用のLSI(Large Scale Integration)等によってハードウェア的に実現されても良い。
【0053】
また、本実施の形態において、制御部50が実行するプログラムは、プログラム記憶部64に記憶されているものに限らず、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)メモリカードのような情報端末100に対して着脱可能に構成された記録媒体に記憶されたものであっても良い。また、プログラム記憶部64に記憶されるプログラムは、予めプログラム記憶部64に記憶されていても良いし、通信制御部80を介してダウンロードされたものであっても良い。
【0054】
[6.情報端末において入力される情報]
図7は、操作エリア20に対してユーザが指Fを近づけて(タッチさせて)操作したときの、操作内容と情報端末100に入力される関係の一例を模式的に示す図である。
【0055】
図7の例は、指Fが、矢印A71,A72,A73,A74の順に、上記所定の大きさより小さい力で操作エリア20上(操作エリア20に直接触れて、または、電極シート200において一定の値を超える静電容量の変化量を検出できる範囲内の距離だけ操作エリア20に対して離間した距離で)を移動した場合を示す。
【0056】
この場合、操作エリア20内のキー入力は検出されない。いかなるキーも、図3(B)を参照して説明したような、その本体が電極シート200に当接するのに必要な力で押下されていないからである。つまり、指Fが、電極シート200に特定の値以上の静電容量の変化を与えるまで近接していないからである。
【0057】
この場合、指Fの移動による電極シート200での静電容量の変化量の履歴が、入力情報検出部210によって検出される。そして、制御部50は、当該履歴と第2変換情報記憶部62に記憶された情報とを利用して、操作エリア20に対して操作がなされた位置の履歴であるポインティング情報を生成する。
【0058】
制御部50が、たとえば描画アプリケーションを実行している場合、生成されたポインティング情報がアプリケーションに送られることにより、当該アプリケーションは、矢印A71〜A74の軌跡に対応した線画AR1を構成する情報を生成し、当該線画AR1を、表示部30に表示させる。なお、図7中のPT1は、ポインティングデバイス情報の最新の入力位置を示すポインタである。
【0059】
図8は、ユーザが操作エリア20内のキーを所定の大きさ以上の力で押下したときの、操作内容と情報端末100に入力される情報の関係を模式的に示す図である。
【0060】
図8(A)および図8(B)に示した例では、ユーザの指が、上記所定の大きさ以上の力で矢印A81方向にキー503を押下し、矢印A82方向に移動し、そして、上記所定の大きさ以上の力で矢印A83方向にキー505を押下している。キー503を押下する指が指F1で示され、キー505を押下する指が指F2で示されている。
【0061】
キー503が上記のように押下されることにより、キー503の本体503Aが電極シート200に当接する。これにより、指F1が、電極シート200のキー503に対応する位置(の電極の組)の静電容量を特定の値以上変化させる位置まで、電極シート200に近づく。
【0062】
また、キー505が上記のように押下されることにより、キー505の本体505Aが電極シート200に当接する。これにより、指F1が、電極シート200のキー505に対応する位置(の電極の組)の静電容量を特定の値以上変化させる位置まで、電極シート200に近づく。
【0063】
図8(C)には、表示部30における表示画面の一例が示されている。当該表示画面は、情報端末100において文書作成アプリケーションが実行されているときの、文書の編集画面の一例である。当該編集画面では、入力された文字列と、カーソル30Aが表示されている。
【0064】
情報端末100では、キー503が押下されたことにより、電極シート200の当該キーに対応する位置の静電容量が特定の値以上変化する。このことに基づいて、制御部50は、第1変換情報記憶部61に記憶された情報を参照し、キー503が操作されたことを示すキー情報を生成する。当該情報が、実行中のアプリケーションに送られると、アプリケーションは、当該情報を文字情報等の文書編集用の情報に変換する。変換されることによって生成された情報に基づいて、表示部30に表示される編集画面が適宜更新される。たとえば、変換されることによって生成された情報が文字情報である場合には、当該文字情報に対応する文字が追加されるように、上記編集画面が更新される。
【0065】
情報端末100では、キー505が押下されたことによっても、同様にキー情報が生成され、当該情報は、実行中のアプリケーションにおいて適宜利用される。
【0066】
[7.入力情報生成処理]
上記したように、情報端末100は、操作エリア20内のキーを押下されることにより当該キーに対応したキー情報を生成し、操作エリア20上をユーザの指が移動するように操作されることにより、ポインティング情報を生成する。これらの情報を生成する際に制御部50が実行する処理(入力情報生成処理)について、当該処理のフローチャートである図9を参照して説明する。
【0067】
図9を参照して、入力情報生成処理では、制御部50は、まずステップS10において、静電容量値を読み込み、ステップS20へ処理を進める。ここで、静電容量値とは、たとえば、図5を参照して説明した各X電極および各Y電極の静電容量値である。
【0068】
ステップS20では、制御部50は、各X電極および各Y電極について、ステップS10で読み込んだ静電容量値と初期状態の静電容量値との差を求め、各電極いついての差がY1を超えているか否かを判断し、すべての電極についてY1を超えていないと判断するとステップS10へ処理を戻し、少なくとも1つの電極についての差がY1を超えていると判断するとステップS30へ処理を進める。Y1とは、上記した「一定の値」である。
【0069】
ステップS30では、制御部50は、ステップS20で算出した各電極についての差がY2を超えているか否かを判断し、超えていると判断するとステップS40へ処理を進め、Y2以下であると判断するとステップS70へ処理を進める。なお、Y2は、Y1より大きい値であり、上記した「特定の値」である。
【0070】
ステップS40では、制御部50は、キーボード入力モードに設定して、ステップS50へ処理を進める。キーボード入力モードとは、キー情報を生成するモードである。
【0071】
ステップS50では、制御部50は、上記したようにキー情報を生成し、第1変換情報記憶部61に記憶された変換用の情報を用いて当該キー情報を文字情報(文字コード)等の情報を生成して、ステップS60へ処理を進める。
【0072】
ステップS60では、制御部50は、ステップS50で生成した文字情報等の情報を、表示部30における表示内容等の、実行中のアプリケーションの制御に反映させて、ステップS10へ処理を戻す。
【0073】
一方、ステップS70では、制御部50は、ポインティング入力モードに設定して、ステップS80へ処理を進める。ポインティング入力モードとは、ポインティング情報を生成するモードである。
【0074】
ステップS80では、制御部50は、上記したようにポインティング情報を生成し、第2変換情報記憶部62に記憶された変換用の情報を用いて電極シート200(操作エリア20)において操作された位置の情報を生成し、ステップS90へ処理を進める。ここで、操作された位置とは、操作された1点である場合もあれば、操作された複数の点が連続した軌跡である場合もある。
【0075】
ステップS90では、制御部50は、ステップS80で生成した位置の情報を、実行中のアプリケーションの制御に反映させて、ステップS10へ処理を戻す。
【0076】
図10は、以上説明した入力情報生成処理におけるモードの切替態様をまとめて示す図である。図10では、各モードについての、静電容量の変化量の範囲と、電極シート200に対する操作に基づいて生成された情報のアプリケーションにおける利用態様(ソフト処理)と、情報端末100におけるキー入力のイメージとが示されている。
【0077】
図10を参照して、入力情報生成処理では、操作エリア20に対して押下された力の大きさが、電極シート200の静電容量の変化量をY1を超えかつY2以下とするような大きさである場合(Y1〜Y2)には、ポインティング入力モードに入る。このモードでは、生成されるポインティング情報は、情報端末100において実行中のアプリケーションにおいて、カーソルやポインタの表示位置を移動させるために利用される。
【0078】
また、上記力の大きさが、上記静電容量の変化量をY2を超えるような大きさである場合には、キーボード入力モードに入る。このモードでは、生成されるキー情報は、情報端末100において実行中のアプリケーションにおいて、キー入力情報として利用される。
【0079】
そして、上記力の大きさが、上記静電容量の変化量がY1未満であるような大きさである場合には、アプリケーションに対してなんらの情報も入力されない。
【0080】
このようなモードの切り替えについて、図11を参照してより具体的に説明する。
図11は、操作エリア20に対する複数回の操作についての、電極シートの静電容量の変化量が示されている。具体的には、図11には、a〜eで示された5回の操作についての静電容量の変化量が示されている。なお、図11の横軸は、時間変化である。つまり、図11は、a,b,c,d,eの順に、操作がなされたことを意味している。
【0081】
a,b,dの操作による静電容量の変化量は、Y1を超えているがY2以下である。したがって、制御部50は、これらの各操作によってポインティング入力モードに設定され、ポインティング情報を生成する。具体的には、各操作による静電容量の変化量に応じて、ポインティング情報として、操作位置の情報が生成される。変化量を操作位置に変換するための情報は、第2変換情報記憶部62に記憶されている。
【0082】
c,eの操作による静電容量の変化量は、Y2を超えている。したがって、制御部50は、これらの各操作によってキーボード入力モードに設定され、キー情報を生成する。具体的には、各操作によって電極シート200において静電容量がY2を超えて変化したX電極とY電極を特定し、これらの組に対応するキー操作部500中のキーを特定する。このようにキーを特定するための情報は、第1変換情報記憶部61に記憶されている。
【0083】
なお、制御部50は、基本的にポインティング入力モードで動作し、Y2を超える変化量が検出されると、割り込み処理として、キーボード入力モードで動作するように構成されても良い。そして、制御部50は、Y2を超える変化量の操作に基づくキー情報を生成した後、ステップS10に処理を戻し、ポインティング入力モードに戻る。
【0084】
静電容量の変化量がY1以下である場合には、制御部50は、キー情報もポインティング情報も生成しない。
【0085】
なお、本実施の形態では、静電容量の変化量がY1以下であってもポインティング情報が生成されても良い。つまり、情報端末100では、少なくとも閾値Y2が定められていれば良い。ただし、閾値Y1を定め、静電容量の変化量が当該Y1以下である場合にはポインティング情報を生成しないように構成されることにより、ノイズに起因してポインティング情報が生成される事態を確実に回避できる。
【0086】
[8.変形例(1)]
以上説明した本実施の形態では、基準値(閾値)Y1およびY2を用い、電極シート200の静電容量の変化量に基づいて、キーボード入力モードとポインティング入力モードと切替えていた。このようにモードが切替えられることにより、ユーザは、操作エリア20に対する同じ位置をタッチする場合でも、当該タッチする力の大きさを加減するという容易な態様で、キーボード入力モードとポインティング入力モードとの間で、設定を切替えることができる。これにより、キー操作部をポインティング情報の入力するのデバイスに積層して端末の小型化を図りつつ、ユーザにとって容易な操作態様の変更によって入力モードを切替えることができる。
【0087】
なお、モード切替えに関する変形例を、以下に列挙する。
1つ目の変形例として、制御部50は、レフトキー21B(またはライトキー21C)に対するキー操作、つまり、当該キーが所定の大きさの力以上の力で押下することを検出したことに応じて、モードを切り替える。具体的には、たとえば制御部50は、デフォルトで、入力モードをポインティングモードとし、レフトキー21B(またはライトキー21C)に対するキー操作がなされたことを条件として、入力モードをキーボード入力モードとする。そして、制御部50は、レフトキー21B(またはライトキー21C)が操作されるまで当該モードを継続させ、当該キーが操作されたことを条件として、ポインティング入力モードに戻す。
【0088】
2つ目の変形例として、電極シート200(操作エリア20)に対する操作位置の数の変化に基づいてモードを切り替える例が挙げられる。この例では、制御部50は、操作エリア20に対する操作位置の数が変化したことを検出したことに応じて、モードを切り替える。たとえば、制御部50は、図12(A)に示されるように、ユーザが、操作エリア20内で、単一の指F1で操作位置を移動させている期間中、当該移動の軌跡に応じた、上記位置指定情報を生成する(ポインティング入力モード)。そして、図12(B)に示されるように、さらに指F2が操作エリア20にタッチしたことに応じて、つまり、電極シート200に対する操作位置の数が1から2に変化したことに応じて、制御部50は、キーボード入力モードへと移行する。なお、制御部50は、たとえば、静電容量の変化量が特定の値を超えた、X電極とY電極の組の数に基づいて、電極シート200(操作エリア20)に対する操作位置の数を検出する。
【0089】
[9.変形例(2)]
本実施の形態では、モード切替のための、静電容量の変化量についての閾値Y1,Y2は、たとえばデータ記憶部63に記憶されている。
【0090】
なお、情報端末100において、これらの閾値は、変更されても良い。当該閾値の変更は、たとえばユーザが情報端末100に変更するための情報を入力することにより、実現される。
【0091】
上記閾値の変更、特に、ポインティング情報を生成するか否かの閾値(図11の閾値Y1)の変更について、図13(A)および図13(B)を参照して説明する。なお、図13(A)および図13(B)において、点P1〜点P10は、操作エリア20に対する操作によるX電極(またはY電極)の静電容量の変化量である。
【0092】
図13(A)を参照して、点P1〜点P5に示すように静電容量の変化量が検出された場合、閾値がY11として示されるように、検出される変化量との間に大きく差がある場合、ノイズを拾いやすいという問題が生じる場合がある。このような場合、閾値はY12へと変更されることが好ましい。なお、制御部50は、検出される静電容量の変化量と閾値Y11(図11の閾値Y1)との差を検出し、これらの間で所定の条件が成立した場合に、閾値を上げるように変更することを勧める情報を報知することができる。所定の条件とは、たとえば、上記変化量が、連続して所定回数以上、閾値Y11に対して所定の値以上高い値をとったことが挙げられる。
【0093】
また、図13(B)に点P6〜点P10として示すように、検出された変化量が、閾値Y13に近く、閾値Y13を超えたり超えなかったりする状態が続くような場合、閾値Y13は、閾値Y14へとその値を下げるように変更されることが好ましい。これにより、変更前の閾値Y13より値が低い点P7については、ポインティング情報の生成に利用されず、当該変化量を生じさせた操作が無駄となる。閾値Y14へと変更されることにより、操作エリア20に対する操作が無駄になる事態を回避できる。なお、この場合は、ユーザが自発的に閾値を変更することが予測される。つまり、ユーザが、操作エリア20に対して操作をしたにも関わらず、当該操作に対応するポインティング情報の生成がなされない(表示部30においてにポインタの位置が変更されない、等)場合、ユーザは、閾値を変更する。
【0094】
[10.変形例(3)]
情報端末100の変形例として、情報端末100が、各キーに対応して、各キーに対応したキー情報が生成されたことを報知する手段を備える例を説明する。図14(図14(A)および図14(B))は、本変形例の情報端末100の第2の筐体の内部構造を説明するための図である。なお、本変形例についての図14(A)および図14(B)は、それぞれ図2(A)および図2(B)に対応した図となっている。
【0095】
図14を参照して、本変形例では、電極シート200の下(キー操作部500が配置される側と反対側)に、LED(light-emitting diode)パネル800が設けられている。LEDパネル800は、キー操作部500に備えられた各キー(キー501〜505を含む)に対応して設けられたLED(図14(A)中のLED801〜805を含む)を備える。なお、本変形例では、キーおよびLEDの数は、5以上に限定されるものではなく、これらの数は、それぞれ5以下の場合もある。
【0096】
本変形例でも、各キーが、上記したY2以上の静電容量の変化をもたらす力で押下された場合には、当該キーに対応するキー情報が生成される。
【0097】
そして、本変形例では、さらに、そのように押下されたキーに対応して設けられたLEDが点灯するように構成される。図14(B)では、操作エリア20内の「Key8」と記載されたキーがそのような力で当該図中の矢印の向きに押下された状態が示されている。そして、当該力で押下されたことにより、「Key8」と記載されたキーに対応して設けられた(当該キーの下方に設けられた)LEDが点灯した様子が示されている。
【0098】
図15は、本変形例の情報端末100のハードウェア構成を模式的に示す図である。
図15を参照して、図6に示されたハードウェア構成と対比して、本変形例の情報端末100は、LED801〜805を含む、LEDパネルに設けられたLEDと、それらを駆動するためのLED駆動回路800Aをさらに備える。
【0099】
図16に、本変形例の情報端末100で実行される入力情報生成処理におけるモードの切替態様をまとめて示す。なお、本変形例の図16は、図10に対応する図である。
【0100】
図16を参照して、本変形例でも、上記実施の形態と同様に、「ポインティング入力モード」と示されるように、操作エリア20のキーを押下した力の大きさが電極シート200の静電容量の変化量をY1を超えかつY2以下とするような大きさである場合(Y1〜Y2)には、ポインティング入力モードに入る。また、「未入力」として示されるように、上記静電容量の変化量がY1未満であるような大きさである場合には、アプリケーションに対してなんらの情報も入力されない。そして、これらの場合には、LEDパネル800において、当該キーに対応して設けられたLEDは消灯している。
【0101】
一方、図16において「キーボード入力モード」として示されるように、上記力の大きさが上記静電容量の変化量をY2を超えるような大きさである場合には、キーボード入力モードに入り、そして、制御部50は、LED駆動回路800Aに対して、押下されたキーに対応して設けられたLEDを点灯させるよう指示する。これに応じて、LED駆動回路800Aは、対応するLEDを点灯させる。なお、このような指示がなされなければ、すべてのLEDは、消灯している。
【0102】
このように、本変形例では、或るキーがキーボード入力モードに入る程度に押下された場合、当該キーに対応して設けられたLEDが点灯する。これにより、ユーザは、自己が行なった操作が、キーボード入力モードに入る程度のものであるか否かを、容易に認識することができる。
【0103】
なお、本変形例では、LEDが点灯したことを、電極シート200を介して視認できるように構成されることが好ましい。これにより、電極シート200が、LEDの発する光を透過する材質で構成されるか、または、各LEDに対向する部分に穴が設けられることが好ましい。図17では、後者に従う電極シート200の構造が模式的に示されている。具体的には、電極シート200において、LED801に対向する部分に穴2000が設けられている。
【0104】
[11.変形例(4)]
上記した変形例(3)では、各キーに対応して設けられたLEDは、対応するキーがキー情報を生成する程度に押下された場合にのみ、点灯していた。
【0105】
本変形例の情報端末100では、各キーに対応して設けられたLEDは、対応するキーが、ポインティング情報が生成される程度に押下された場合には第1の色で点灯し、そして、キー情報が生成される程度に押下された場合には第2の色で点灯する。このようなLEDの点灯態様を、図18を参照して詳細に説明する。
【0106】
図18を参照して、本変形例でも、上記実施の形態と同様に、「ポインティング入力モード」と示されるように、操作エリア20のキーを押下した力の大きさが電極シート200の静電容量の変化量をY1を超えかつY2以下とするような大きさである場合(Y1〜Y2)には、ポインティング入力モードに入る。そして、この場合(ポインティング情報が生成される場合)、制御部50は、LED駆動回路800Aに対して、押下されたキーに対応して設けられたLEDを第1の色で点灯させるよう指示する。これに応じて、LED駆動回路800Aは、対応するLEDを第1の色で点灯させる。
【0107】
図18において「未入力」として示されるように、上記静電容量の変化量がY1未満であるような大きさである場合には、アプリケーションに対してなんらの情報も入力されない。そして、この場合には、LEDパネル800において、当該キーに対応して設けられたLEDは消灯している。
【0108】
また、図18において「キーボード入力モード」として示されるように、上記力の大きさが上記静電容量の変化量をY2を超えるような大きさである場合には、キーボード入力モードに入る。そして、この場合(キー情報が生成される場合)、制御部50は、LED駆動回路800Aに対して、押下されたキーに対応して設けられたLEDを第2の色で点灯させるよう指示する。これに応じて、LED駆動回路800Aは、対応するLEDを第2の色で点灯させる。
【0109】
なお、本変形例では、キーが押下される力の大きさに応じて、当該キーに対応して設けられたLEDの点灯色を切替えているが、点灯色を切替える代わりに、点灯態様を切替えても良い。たとえば、ポインティング情報が生成される場合には、対応するLEDを第1の照度で点灯させ、キー情報が生成される場合には、対応するLEDを第1の照度よりも明るい第2の照度で点灯させる。
【0110】
[12.変形例(5)]
上記した変形例(3)では、各キーに対応してLEDが設けられた例が示された。なお、情報端末100では、いずれかのキーがキー情報を生成される程度に押下されることを報知するために、LEDが設けられても良い。本変形例の情報端末100の第2の筐体2を図19に示す。
【0111】
図19を参照して、本変形例では、第2の筐体2には、LED901が設けられている。図19は、操作エリア20内の「Key8」と記載されたキーが、キー情報を生成される程度の力で押下され、これに応じて、LED901が点灯している状態が示されている。
【0112】
図20に、本変形例の情報端末100のハードウェア構成を模式的に示す。本変形例では、図6に示した情報端末100に加えて、LED901と、当該LED901を駆動するLED駆動回路900が備えられている。
【0113】
なお、本変形例において、LED901は、いずれかのキーが、キー情報を生成される程度に押下されたときにのみ点灯しても良い。
【0114】
また、LED901は、いずれかのキーが、ポインティング情報を生成される程度(静電容量の変化量がY1〜Y2)に押下された場合には第1の態様で、そして、キー情報が生成される程度(静電容量の変化量がY2を超える)に押下された場合には第1の態様とは異なる第2の態様で、点灯しても良い。
【0115】
[その他の変形例等]
本発明は、情報端末にプログラムを供給することによって達成される場合にも適用できることはいうまでもない。そして、本発明を達成するためのソフトウェアによって表されるプログラムを格納した記録媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU(Micro-Processing Unit))が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、本発明の効果を享受することが可能となる。
【0116】
この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態およびその変形例の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0117】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施の形態およびその変形例の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施の形態およびその変形例の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0118】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施の形態およびその変形例の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0119】
記録媒体としては、CD−ROM(Compact Disc - Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk - Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、メモリカード、FD(Flexible Disk)、ハードディスク、磁気テープ、カセットテープ、MO(Magnetic Optical Disc)、MD(Mini Disc)、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを除く)、光カード、マスクROM、EPROM、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの、不揮発的にプログラムを格納する媒体が挙げられる。
【0120】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0121】
1 第1の筺体、2 第2の筺体、20 操作エリア、21A キー群、21B レフトキー、21C ライトキー、30 表示部、30A カーソル、31 表示制御部、50 制御部、50A タイマ、60 記憶部、61 第1変換情報記憶部、62 第2変換情報記憶部、63 データ記憶部、64 プログラム記憶部、80 通信制御部、81 アンテナ、100 情報端末、200 電極シート、201 ノイズ保護シート、202 ガラス、203 電極、210 入力情報検出部、500 キー操作部、501〜505 キー、501B 支持部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体が接近したことに基づいて静電容量が変化するシート状電極と、
前記シート状電極上に積層され、1つ以上のキーを含むキー操作部と、
前記シート状電極が所定の状態にあるときからの、前記シート状電極の静電容量が変化した位置と変化量を検出するための検出手段と、
前記検出手段の検出出力に基づいて、前記シート状電極において導体が接近した位置を示す情報であるポインティング情報と、前記キー操作部のキーが操作されたことを示す情報であるキー情報とを生成するための、入力情報生成手段とを備え、
前記入力情報生成手段は、
前記検出手段によって検出された変化量が、予め定められた第1の閾値以上である場合には、前記キー情報を生成し、
前記検出手段によって検出された変化量が、前記第1の閾値未満である場合には、前記ポインティング情報を生成する、情報端末。
【請求項2】
前記入力情報生成手段は、前記第1の閾値より小さい第2の閾値以上であって前記第1の閾値未満である場合に、前記ポインティング情報を生成する、請求項1に記載の情報端末。
【請求項3】
前記シート状電極上の前記1つ以上のキーの位置を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記入力情報生成手段は、前記シート状電極において静電容量が変化した位置と、前記記憶手段に記憶された前記キーの位置とに基づいて、前記キー情報を生成する、請求項1または請求項2に記載の情報端末。
【請求項4】
前記キー操作部は、前記キーを前記シート状電極に対して前記積層の方向に離間して支持するための支持体を含み、
前記支持体は、前記キーが所定の大きさ以上の力で前記シート状電極に向けて押下されることにより、前記キーを当該押下された方向に移動させるように変形する、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の情報端末。
【請求項5】
前記検出手段によって検出された変化量が、前記第1の閾値以上であることを報知する報知手段をさらに備える、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の情報端末。
【請求項6】
前記入力情報生成手段は、各前記キーごとに、前記キー情報を生成し、
前記報知手段は、
各前記キーに対応して設けられた1以上の報知部を含み、
前記キー情報が生成された前記キーに対応して設けられた前記報知部に、前記第1の閾値以上であることを報知させる、請求項5に記載の情報端末。
【請求項7】
アプリケーションを実行する実行部をさらに備え、
前記入力情報生成手段は、前記キー情報および前記ポインティング情報を前記アプリケーションに対する入力情報として出力する、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の情報端末。
【請求項8】
導体が接近したことに基づいて静電容量が変化するシート状電極と、前記シート状電極の静電容量を検出する検出器と、1つ以上のキーを含み前記シート状電極上に積層されたキー操作部と、プロセッサとを備える情報端末を制御するための制御方法であって、
前記検出器が、前記シート状電極が所定の状態にあるときからの、前記シート状電極の静電容量が変化した位置と変化量を検出するステップと、
前記検出器によって検出された前記変化量が予め定められた第1の閾値以上である場合に、前記プロセッサが、前記検出器によって検出された、前記シート状電極の静電容量が変化した位置に基づいて、前記キー操作部のキーが操作されたことを示す情報であるキー情報を生成するステップと、
前記検出器によって検出された前記変化量が前記第1の閾値未満である場合に、前記プロセッサが、前記検出器によって検出された、前記シート状電極の静電容量が変化した位置に基づいて、前記シート状電極において導体が接近した位置を示す情報であるポインティング情報を生成するステップとを備える、情報端末の制御方法。
【請求項9】
導体が接近したことに基づいて静電容量が変化するシート状電極と、1つ以上のキーを含み前記シート状電極上に積層されたキー操作部と、プロセッサとを備える情報端末において前記プロセッサによって実行される前記情報端末を制御するためのプログラムであって、
前記プロセッサに、
前記シート状電極が所定の状態にあるときからの、前記シート状電極の静電容量が変化した位置と変化量を取得するステップと、
前記シート状電極の静電容量の変化量が予め定められた第1の閾値以上である場合に、前記シート状電極の静電容量が変化した位置に基づいて、前記キー操作部のキーが操作された情報であるキー情報を生成するステップと、
前記シート状電極の静電容量の変化量が前記第1の閾値未満である場合に、前記シート状電極の静電容量が変化した位置に基づいて、前記シート状電極において導体が接近した位置を示す情報であるポインティング情報を生成するステップとを実行させる、情報端末の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−84002(P2012−84002A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230536(P2010−230536)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】