説明

情報管理装置

【課題】三次元仮想空間を活用してビジネスを行う場合に、アバターの有する固有の静的情報および行動履歴などの動的情報を収集して、それらの情報を分析してマーケティングに利用可能とする。
【解決手段】メタバースにおいて存在する各種のアバターの情報を管理する情報管理装置であって、アバター自体が保有する静的情報を取得する静的情報取得手段107と、アバターの行動を基にした動的情報を取得する動的情報取得手段108と、取得された静的情報および動的情報をアバターと関連付けて記憶するプライベートオブジェクトDB25とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元仮想空間でのアバターの行動履歴や行動予定を収集し、分析する装置およびその解析データをマーケティングに利用する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、コンピュータグラフィック技術を基盤とする仮想現実(バーチャルリアリティ)は、さまざまな分野で用いられ始めた。特に、複数のユーザがネットワーク上に構築した三次元仮想空間(メタバースという)を共有するサイトが出始めた。メタバース世界では、ユーザの分身であるアバターが登場し、様々な活動が行われている。単に、ゲーム感覚でメタバースに入るのではなく、メタバース内でビジネスを行うための活動が行われ始めた。
【0003】
メタバース内で行われるビジネスとしては、例えば、建築物内案内、鑑賞、不動産物件案内、住宅プレゼンテーション、衣服シミュレーション、被服試着、模擬実験、バーチャル博物館、語学教育、バーチャル展示会、分解組立のシミュレーション、商品の模擬体験、オンライン商品購入、広告システム、避難仮想体験など多岐にわたっている。この中には、すでに実用化されているものも存在する。
【0004】
さて、商品の開発を行うにあたり、消費者のニーズを知ることは大変重要な要素であることは言うまでもない。このために、消費者にアンケートを行ったり、また、展示会等でユーザの関心や興味を探ったりという方法が従来から行われてきた。しかし、その手間や時間、そしてそれに必要な経費は相当なものになる。特に、展示会を開催するとなると、会場手配から展示会当日の対応まで含めると会場使用料、人件費など大変高額になる。
【0005】
そこで、特許文献1や特許文献2のようにメタバース内にバーチャル展示会を開くものが提案された。前者によれば、展示会場に展示された多数の展示物の中からユーザが興味あるものを効果的に探し出し、その検索に連動してプレゼンテーションの説明を聞くことができるという便利なものである。そして、バーチャル展示会への参加者が何に興味を持ったのかという展示物の探索や展示物指定の操作に関する情報をログとして記録し、情報を得ることが紹介されている。
【0006】
また、特許文献3によれば、仮想空間内で広告を貼ったり装飾をしたりした場合に、どのような属性のアバターが、どれだけの回数、どれだけの時間、見てどのような発言をしたのかという情報を取得してマーケティング情報として活用することが紹介されている。具体的には、サッカーゲームの映像を見ながら男性と女性が選手のどこを見ているのかという視線情報を収集して、男性向け広告と女性向け広告をより効果的にするマーケティング情報として活用することが紹介されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1や特許文献2の方法では、展示品全体としてどの商品にどのくらい関心が持たれたのかという順位付けは明らかになるが、それ以上の情報を解析して得ることはできない。また、特許文献3の方法では具体的な商品の開発や販売方法のための情報には直接結びつかない。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、三次元仮想空間を活用してビジネスを行う場合に、アバターの有する固有の静的情報および行動履歴などの動的情報を収集して、それらの情報を分析してマーケティングに利用可能とする情報管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に係わる情報管理装置は、アバター自体が保有する静的情報を取得する静的情報取得手段と、上記アバターの行動を基にした動的情報を取得する動的情報取得手段と、上記取得された静的情報と動的情報をアバターと関連づけて記憶するアバター情報記憶手段とを具備する情報管理装置を提供することにある。
【0010】
本発明によれば、アバターの固有の情報と行動履歴とを関連づけて情報を解析することができるので、アバターを将来の顧客として見た場合、アバター固有の静的情報別の行動履歴または、行動履歴別のアバター固有の静的情報を区分して分類することができる。この分類を解析することによってどのような商品を開発するか、または、商品の販売方法を決定する上で、いわゆるマーケティングをする上で非常に有効な情報解析を行うことができる。また、三次元仮想空間という手段を用いることにより、世界の各国や遠隔地のユーザの嗜好や興味を簡単に且つ安価に知ることができるという利点を持つ。
【0011】
また本発明の請求項2に係わる情報管理装置は、アバターの過去および将来の行動スケジュールという半動的情報を取得する半動的情報取得手段を具備するようにしたものである。本発明によれば、アバターの行動スケジュールを分析することによって、特定のアバター向けの商品販売戦略を考えたり、広告や宣伝を行うことによって、より精度の高いマーケティングを行うことが可能となる。
【0012】
さらに、本発明の請求項3に係わる情報管理装置は、取得した静的情報および動的情報の中の特定の語句をキーとして検索する検索手段を具備するように構成した情報管理装置を提供することにある。本発明によれば、マーケティングする者がある条件を満たすターゲットアバターを見つけることが簡単にできるようになり、様々な用途にこの情報を利用することが可能となる。
【0013】
また本発明の請求項4に係わる情報管理装置は、アバターの過去および将来の行動スケジュールという半動的情報を取得する半動的情報取得手段を具備するようにしたものである。本発明によれば、アバターの行動スケジュールを分析することによって、特定のアバター向けの商品販売戦略を考えたり、広告や宣伝を行うことによって、より精度の高いマーケティングを行うことが可能となる。
【0014】
さらに、本発明の請求項5に係わる情報管理装置は、訪問アバターのアドレス情報を取得するアドレス情報取得手段を具備する情報管理装置を提供することにある。本発明によれば、アバターのアドレス情報を取得できるので、主催者サイドからアバターに関連情報を送信するなどコミュニケーションを行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、アバターの固有の情報と行動履歴とを関連づけて情報を解析することができるので、アバターを将来の顧客として見た場合、アバター固有の静的情報別の行動履歴または、行動履歴別のアバター固有の静的情報を区分して分類することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本実施の形態を実施するための全体のシステム構成図である。
【図2】図2は、本実施の形態に用いられる三次元仮想空間オフィスを説明する図である。
【図3】図3は、三次元仮想空間オフィスの一場面を示す図である。
【図4】図4は、プライベートオブジェクトDBの構成を示す図である。
【図5】図5は、コーポレートアバターのIDカードを示す図である。
【図6】図6は、仮想オフィスでのコミュニケーションを説明するための図である。
【図7】図7は、メタバースアドレス帳を示す図である。
【図8】図8は、本実施の形態のメッセージ欄の拡大図である。
【図9】図9は、本実施の形態のコーポレートアバターを登録するフローチャートである。
【図10】図10は、アバターAの行動記録(予定)を示す図である。
【図11】図11は、X社の仮想展示会場を説明するための図である。
【図12】図12は、静的情報、動的情報を取得し記憶する制御ブロック図である。
【図13】図13は、第3記憶手段に取り込まれる動的情報の一覧を示す図である。
【図14】図14は、招待状作成フローチャートである。
【図15】図15は、作成された招待状を説明するための図である。
【図16】図16は、X展示会場の滞在時間のグラフである。
【図17】図17は、アバターAの展示物アクセス時間のグラフである。
【図18】図18は、X展示場の展示物別アクセス時間を表すグラフである。
【図19】図19は、アバターの静的、動的、半動的データを検索する検索画面の一例を示す図である。
【図20】図20は、検索結果一覧表を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる情報管理装置の一実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態を実施するための全体のシステム構成図を示している。全体のシステムは、パブリック三次元仮想空間プロバイダーサイト1、プライベート三次元仮想空間プロバイダーサイト2、クライアントサイト3およびユーザサイト4から構成されている。
【0019】
パブリック三次元仮想空間プロバイダーサイト1は、三次元仮想空間を不特定多数のまたは契約ユーザに提供するためのプロバイダーが運営するサイトである。例えば、米国のLinden Lab社が運営するセカンドライフ(同社の登録商標)などがこれに該当する。このパブリック三次元仮想空間プロバイダーサイト1は、パブリック三次元仮想空間管理サーバ11、ユーザ接続管理サーバ12、ユーザ認証サーバ13、ログ管理サーバ14からなる。
【0020】
パブリック三次元仮想空間管理サーバ11は、外部にパブリックオブジェクトDB(データベース)15とパブリック仮想空間DB(データベース)16がそれぞれ接続されている。そして、上記2つのDBのデータを用いてパブリック三次元仮想空間管理サーバ11内部に三次元仮想空間17を構築する。
【0021】
ユーザ接続管理サーバ12は、パブリック三次元仮想空間でユーザが所望の活動ができるようにユーザPCとの接続を管理する。
【0022】
ユーザのユーザ認証サーバ13は、ユーザのID、パスワード等から認証を行い、パブリック三次元仮想空間へのアクセスを許可する。
【0023】
ログ管理サーバ14は、ユーザのパブリック三次元仮想空間内での活動の記録を取るように構成されている。
【0024】
次に、プライベート三次元仮想空間プロバイダーサイト2について説明する。このプライベート三次元仮想空間プロバイダーサイト2は、プライベート三次元仮想空間を契約クライアント企業に提供するためのプロバイダーが運営するサイトである。
【0025】
クライアント企業は、契約によりプライベート三次元仮想空間をイントラバース、CRM、SCM等の空間として利用することができる。
【0026】
このプライベート三次元仮想空間プロバイダーサイト2は、プライベート三次元仮想空間管理サーバ21、ユーザ接続管理サーバ22、ユーザ認証サーバ23、ログ管理サーバ24からなる。
【0027】
プライベート三次元仮想空間管理サーバ21は、外部にプライベートオブジェクトDB(データベース)25とプライベート仮想空間DB(データベース)26がそれぞれ接続されている。上記2つのDBのデータを用いてプライベート三次元仮想空間管理サーバ21内部に三次元仮想空間27を構築する。
【0028】
ユーザ接続管理サーバ22は、プライベート三次元仮想空間でユーザが所望の活動ができるようにユーザPCとの接続を管理する。
【0029】
ユーザには、クライアント企業の内部ユーザと、クライアント企業と取引をする立場のユーザ(個人や企業)がある。
【0030】
ユーザのユーザ認証サーバ23は、ユーザのID、パスワード等から認証を行い、パブリック三次元仮想空間へのアクセスを許可する。
【0031】
ログ管理サーバ24は、ユーザのパブリック三次元仮想空間内での活動の記録を取るように構成されている。
【0032】
次にクライアントサイト3について説明する。
【0033】
クライアントサイト3は、企業のイントラネットを基本構成としており、基幹系のERPサーバ31、情報系の文書管理サーバ32、メール、スケジューラやワークフローを含むグループウエアサーバ33、多機能プリンタのような複合機(MFP)34および企業内のユーザのための多数のパソコン(PC)35で構成されており、それらはLAN36に接続されている。このLAN36は上記インターネット5に接続されている。
【0034】
次に、ユーザサイト4について説明する。
【0035】
このユーザサイト4は、パブリック三次元仮想空間プロバイダー、またはプライベート三次元仮想空間プロバイダーにとっての不特定多数のユーザであり、その契約ユーザの複数のパソコン(PC)41および複合機42等より構成されている。このパソコン41は、インターネット5に接続されている。
【0036】
次に、図2を用いて本実施の形態に用いられる三次元仮想空間オフィス50について説明する。
【0037】
三次元仮想空間オフィス50は、上記プライベート三次元仮想空間プロバイダーサイト2のプライベート三次元仮想空間管理サーバ21の内部にある三次元仮想空間に27に形成されており、クライアント企業の内部のユーザや、クライアント企業と取引をする立場のユーザのアバターが仕事をするための三次元仮想空間オフィス50を構成する。
【0038】
三次元仮想空間オフィス50のユーザのパソコン(PC)51は、三次元仮想空間クライアントサイト3のLAN36に接続されている。三次元仮想空間クライアントサイト3には、実世界のクライアント(図示せず)と同様に、基幹系のERPサーバ31、情報系の文書管理サーバ32、メール、スケジューラやワークフローを含むグループウエアサーバ33、多機能プリンタのような複合機(MFP)34および企業内のユーザのための多数のパソコン(PC)35で構成されており、それらはLAN36に接続されている。このLAN36は上記インターネット5に接続されている。
【0039】
三次元仮想空間オフィス50と三次元仮想空間クライアントサイト3は全て仮想である。
【0040】
図3は、本実施の形態のプライベート三次元仮想空間プロバイダーサイト2のプライベート三次元仮想空間管理サーバ21内部にある三次元仮想空間27内の仮想オフィス(または仮想展示場)60の一場面を示している。
【0041】
符号61、62(62a、62b)、63(63a〜63e)は、コーポレートアバターを示している。その他符号が付けられていないが、人物像を表したものはいずれもコーポレートアバターである。このコーポレートアバターはプライベート三次元仮想空間管理サーバ21に接続されているプライベートオブジェクトDB25に必要な情報が登録されている。
【0042】
仮想オフィス60は、リアル世界の実際のオフィスを仮想世界にそっくりに再現したものである。この仮想オフィス60の情報は、図4に示すように、プライベートオブジェクトDB25の中の第1記憶手段25Aに保管されている。会社の中の組織毎に仮想オフィス情報を登録することができる。会社の組織をツリー上に図式化して表示することによって瞬時に行きたい組織にジャンプすることができる。このような組織ツリー情報もあわせてこの第1記憶手段25Aに持たせることができる。仮想展示場の場合にも同様に展示場情報を予め登録しておくことによって、メタバース内の特定の島の中に仮想展示場を設定することができる。
【0043】
コーポレートアバターの登録方法であるが、ユーザサイト4のパソコン41からインターネットを経由してプライベート三次元仮想空間プロバイダーサイト2へ入る。ユーザ接続管理サーバ22の下で本サイト2へ入るための手続きが管理される。例えば、本サイト加入のための規約の提示とそれへの同意という作業、ユーザ登録のためのID付与とパスワードの登録をユーザ認証サーバ23との間でやり取りする管理、また、コーポレートアバターとして必要な情報の登録受付を行うように管理する。
【0044】
コーポレートアバターとして登録する静的情報としては、実世界(リアル世界とも言う)での氏名、所属(会社名も含む)、役職、電話番号、FAX番号、メールアドレスである。これらは個人情報として管理されるべきものであり、プライベートオブジェクトDB25の中の第2記憶手段25Bに保管される。必要があればコーポレートアバター名をつけることも可能である。もし、コーポレートアバター名をつけたならば上記個人情報とセットにして上記第2記憶手段25Bに保管する。
【0045】
コーポレートアバターの登録に際し、上述したセカンドライフなどで行われているように自分の好みのアバターや外観、服装などをアイテム記憶手段25Cに保管されている所定のアイテムの中から選択することができる。ただし、コーポレートアバターに関しては、遊び感覚ではないので、男性が女装をするとか、実在の人物とあまりにもかけ離れた風貌をすることは許されない。従って、より現実的な風貌に近づけるために、もう少し詳細な個人情報を入力させることもできる。例えば、年齢、性別、体型(痩せ型、肥満型、中肉型)、身長、皮膚色などである。これを入力することにより、コーポレートアバターの自動作成を行うことが可能である。
【0046】
図4に示すように、プライベート三次元仮想空間管理サーバ21の中のコーポレートアバター自動作成手段21A(図1参照)を起動させて上記入力された個人情報を基に最も適切と考えられるアイテムを上記アイテム記憶手段25Cの中から選択してコーポレートアバターの外観を形成する。勿論ユーザによって微調整が可能である。例えば体型痩せ型でも複数の選択が可能な場合には、ユーザにその許容範囲内の代替アイテムを選択することができる。服装に関しては、自動的に設定されるよりはユーザに選択させた方が良い。会社の制服が義務付けられている場合には、選択の余地が無いが、そうでなければ上記アイテム記憶手段25Cの中の服装を選択できる。コーポレートアバターの場合には、通常ビジネスカジュアルにふさわしいアイテムが保管されている。本実施例の具体的な登録手順については、図9のフローチャートを用いて詳しく説明する。
【0047】
さらに、図5に示すようにコーポレートアバター61は自己のIDカード64を身に付けるようになっている。このIDカード64には、通常のオフィスと同様に氏名、所属が表示されている。また、自己の顔写真を登録することが義務付けられている場合には、上記IDカード64にはその顔写真65が張られている。これは静的情報表示手段70(図1参照)によって上記の情報がコーポレートアバターに付属しているIDカード64の位置に転送され、画面に静的情報として表示されるように構成されている。
【0048】
図3のように、ある組織の全体を表示しているような場合には、コーポレートアバター61〜63は小さく表示されており、上記IDカード64の内容を見て判読することは難しい。そのような場合には、画面を拡大する操作を行えば見ることができる。図3の左下にサイズ拡大縮小ボタン66があるのでそれを操作すればよい。また、コーポレートアバター63aを右クリックするとそのコーポレートアバター63aのIDカード64の情報だけをその近傍に拡大表示(情報67)することができる。この例は、氏名と所属だけであるが、さきの顔写真も表示させることもできる。これ以外の情報は、個人情報として保護されているので、他人の一方的な要求で出すことは禁じられている。
【0049】
なお、コーポレートアバターのIDカード64に代えて、コーポレートアバターの上記情報をタグ情報として持たせ、上述したようにコーポレートアバターを右クリックしたときにそのタグ情報が図3の符号67のように表示させるようにすることもできる。
【0050】
コーポレートアバター同士は、どちらか一方が他のコーポレートアバターを左クリックすることで会話モードに入ることができる。つまり、相手のコーポレートアバターとリアルタイムの会話を行うことができる。会話の前に相手がどのような人物かを上述した方法で事前確認することは当然である。これが会話モード選択手段になっている。または、図3に示すように、会話したいコーポレートアバターにカーソル71を当て、画面の左下にある会話ボタン72を押すことによって会話モードに入ることもできる。これも会話モード選択手段である。
【0051】
そして、会話モードに入ると、音声かキーボードによって相手と会話をするが、リアルタイムに相手と会話ができるように音声または文字情報を通信手段によって双方向に送るようにしている。この通信手段73はユーザ接続管理サーバ22内に設けられている(図1参照)。
【0052】
ここで、コーポレートアバターとのリアルタイム会話が可能かどうかをどのようにして判断するかについて説明する。自己コーポレートアバター61は、自分の分身であるコーポレートアバターである。実施例では、例えばコーポレートアバターを赤い色に設定する。図3の画面に示されている仮想オフィス60内には、62a、62bのように白く色付けされたコーポレートアバターと、63a〜63eのように黄色に色付けされたコーポレートアバターとが混在している。例えば、プライベート三次元仮想空間管理サーバ21の色彩付け手段69が、各コーポレートアバターの表示色を上記のように設定して画面に表示する。白く色付けされたコーポレートアバターは、今実世界でパソコンから一定時間はなれており、会話モードに入れないか、他人との会話ができない状況にあって、会話モードを遮断している場合を示している。もともと、外出していたり、会社に出勤していなかったりした場合にはこの仮想オフィス60にはコーポレートアバターが出現していない。間違って、白色のコーポレートアバター62a、62bを左クリックした場合には、「現在会話ができる状態ではありません」という表示を、コーポレートアバターの近傍に表示させるようにしている。
【0053】
上記のようにコーポレートアバターが現時点でどのような状況にあるのかを管理しているのが動的情報管理手段21B(図1参照)である。つまり、三次元仮想空間内に入って活動している活動状態、仮想空内に入っているが、一定時間(任意に設定できる時間)席を外している休息状態、仮想空間内にいるがコミュニケーションができない、または、拒否している会話拒絶状態を入力された情報および自動判別によってコーポレートアバター毎に最新の状態を管理している。
【0054】
また、コーポレートアバターがどの島、区域、町、会場を訪問したか、会社内でいつ誰とどのような会話をしたのか、いつどこの会議に参加したのか等、社内での動的情報が所定の様式で記録される。また、別の例としては、ある会場内に設置されているどの展示物を見たのか(クリックしたのか)というロケーション情報を時間情報とともに動的情報としてログ保管される。動的情報管理手段21Bは、例えば、プライベートオブジェクトDB25の中の第3記憶手段25Dに、コーポレートアバターの動的情報を記録する。
【0055】
黄色の色彩を施されたコーポレートアバター63a〜63eは、パソコンを操作して仮想世界に入っている状態を示しているので、リアルタイム会話が可能であることを示している。
【0056】
説明順序が後になったが、仮想オフィスに入って仕事をする場合には、画面の一部に設けられた「HOME」(図示していない)ボタンを押すことでコーポレートアバターは自分の席にジャンプして着席することができるようになっている。つまり、リアル世界のオフィスレイアウトがほとんどそっくりに仮想世界の中に仮想オフィスとして形成されている。図2の仮想オフィス50や図6の仮想オフィス68に示すとおりである。各コーポレートアバターは、自分の座席を予め登録時に指定することができる。この操作は説明を省略した。
【0057】
図3に示す仮想オフィス60は、図7に示すように会社名X社の中の一組織を示している。X社の中には、当然X社のコーポレートアバターだけが入ることが可能である。リアル世界の会社入場と同様に仮想オフィス60への入場は入り口または受付においてユーザ認証サーバ23に登録されているデータ(IDとパスワード)との照合によって許可、不許可が判定される。このように仮想オフィス60といえどもセキュリティ管理がリアル世界同様に実施されている。
【0058】
図6に示すコーポレートアバターも同様に色彩が施されており、自己コーポレートアバター61は赤色を施され、会話状態にないコーポレートアバター62a,62bは白色を施され、会話が可能なコーポレートアバター63a,63bは黄色の色彩が施されている。このような色彩付け手段69はプライベート三次元仮想空間管理サーバ21に設けられている(図1参照)。
【0059】
上記仮想オフィス60を示す表示画面には、メタバースアドレス帳(三次元仮想空間アドレス帳)を呼び出すメタバースアドレス帳ボタン74が左下に設けられている。
【0060】
このメタバースアドレス帳ボタン74を選択し、マウスボタンでクリックすると図7に示すようなメタバースアドレス帳のメタバースアドレス一覧表75が表示される。このメタバースアドレス一覧表75の構成は、アクティブ欄76、英文氏名77、日本語氏名78、所属会社・部署名79、MV(メタバース)アドレス80、電子鞄有無80−2より構成されている。このメタバースアドレス一覧表75は、図1に示すプライベート三次元仮想空間管理サーバ21の中のMVアドレス記憶手段81(第3記憶手段)に保存されている。また、図7には図示していないが、上記MVアドレス記憶手段81のメタバースアドレス一覧表75には現実世界で利用されるe‐Mailアドレス、コーポレートアバター名、FAX番号、電話番号等も一緒に記憶されている。どの情報をメタバースアドレス一覧表75の画面に表示するかは、予め、または、随時ユーザが設定することができる。
【0061】
上記アクティブ欄76に表示される顔マーク82は、上述した動的情報管理手段21Bの中に有している情報(アクティブ、休み、不参加など)の中の「アクティブ」に対応して表示されるよう構成されている。その他の英文氏名77〜電子鞄有無80−2は、静的情報が記憶されている第2記憶手段25Bに基づき表示されるよう構成されている。
【0062】
上記MVアドレス記憶手段81はプライベート三次元仮想空間プロバイダーサイト2に契約して加入している全てのユーザのアドレス情報が記憶されている。三次元仮想空間クライアントサイト3には、ユーザの個人別MVアドレス帳をグループウエアサーバ33の中のアドレス情報記憶手段(図示せず)に記憶しても良いし、クライアントのパソコン35のハードディスクに保存するようにしても良い。
【0063】
同様に、パブリック三次元仮想空間プロバイダーサイト1においてもMVアドレス情報をパブリック三次元仮想空間管理サーバ11の記憶手段に保管している。
【0064】
このように各種のメタバース(三次元仮想空間)プロバイダーサイトのMVアドレス情報を共有することにより、三次元仮想空間間のコミュニケーションが実現でき、三次元仮想空間から現実世界のメールアドレスを指定することでコミュニケーションを行うことができ、さらには、現実世界からMVアドレスを指定することで三次元仮想空間と現実世界とのコミュニケーションを行うことが可能となる。
【0065】
上記アクティブ欄76は、コーポレートアバターが仮想オフィス60に入って活動している場合には、図示しているように顔マーク82が表示されている。仮想空間の仮想オフィス60に入っていないか、活動状態にない場合、例えば休止中や不参加の場合には、この顔マーク82は表示されない。ユーザは、コーポレートアバターとコミュニケーションをしたい場合には、このMVアドレス帳からそのアバターを選択することでコミュニケーションを行うことができる。特に、リアルタイムコミュニケーションを行いたい場合には、上記顔マーク82の付いているコーポレートアバターを選択することで可能となる。顔マーク82が付いていない場合には、画面60,68の下部にもうけられているメッセージ欄83にメッセージを書き、通信ボタン84を押すことによって、通常行われているe−Mailのようにメッセージを送り、そのメッセージを相手のメールサーバーに残しておくことができる。
【0066】
リアルタイムコミュニケーションを行う場合について、さらに説明を行う。図6は、仮想オフィスでのコミュニケーションを説明するための図である。
【0067】
図6において、自己コーポレートアバター61と仮想オフィス68の前の席にいる同僚のコーポレートアバター63aとのリアルタイムコミュニケーションを行う場合について説明する。コーポレートアバター63aからリアルタイムコミュニケーションが持ちかけられた。そうすると、画面上のコーポレートアバター63aの近傍に吹き出し85で示すようにメッセージが表示される。これに対して、自己コーポレートアバター61が返事を返すと、その近傍に吹き出し86に示すようにメッセージが表示される。以下何度もこのやり取りを繰り返していくことになる。現在まで5回のやり取りが行われていたとすると、双方のコーポレートアバター61、63aの最新の会話内容が吹き出し85,86に表示されるようになっている。さらに、この会話のやり取りが何回目であるかを上記吹き出し85,86の会話メッセージの冒頭にその順番を数字85a,86aで示している。図では、自己コーポレートアバター61が4番目のメッセージを出し、それに対してコーポレートアバター63aが5番目のメッセージを出していることを示している。これによって、次の6番目の番は自分であることが分かる。
【0068】
なお、この画面の吹き出し85,86ではそれぞれのコーポレートアバターの最新メッセージを表示したが、画面の下部に設けられたメッセージ欄83は、図8に拡大して示すようにやり取りしたメッセージの全てを見ることができるように構成されている。このメッセージ欄83の上辺はマウスによって上方に引き上げて拡大され、より多くのメッセージ情報を見ることができる。図では、直近の3つの最新メッセージ(3),(4),(5)の3つが表示されているが、さらに上方に拡大すれば1番目のメッセージから全てを見ることができる。最新のメッセージはメッセージ欄83の最下部に表示され、第6番目のメッセージが作成された場合には、その下に表示される。メッセージは、左から誰からのメッセージであるかを示す「FROM」87の次に相手のコーポレートアバター名が表示される。ここではコーポレートアバター63aの名前88が表示される。その右には、何番目のメッセージであるかという番号89が表示され、さらにその右にはメッセージ90が表示される。メッセージが長い場合には数段に渡って表示される。
【0069】
会話が終了した時に、この会話情報を全て記録として保存したい時には、通信ボタン84の右にある保存ボタン91を押すことによってログ管理サーバ24のコミュニケーション記録手段24aに保存される。
【0070】
ところで、会話が上述のように画面の会話しているコーポレートアバターの近傍に表示される説明をしたが、会話内容を他のコーポレートアバターに知られたくない場合がある。そのような場合には、図3、図6の会話ボタン72を押した場合に、機密指定をするか否かを選択することができる。機密指定を選択した場合には、コーポレートアバターの近傍の会話吹き出し85,86を全く表示させないか吹き出しを出しても会話内容を表示させないか任意に予め設定できる。しかしながら、画面の下部のメッセージ欄83にはメッセージが表示されることは言うまでも無い。
【0071】
コーポレートアバターの登録方法の手順について図9のフローチャートを基に説明する。
【0072】
プライベート三次元仮想空間プロバイダーサイト2へ接続された後、コーポレートアバターの登録画面(図示せず)からコーポレートアバター(CA)の登録を行う(ステップS173)。最初のデータの入力では、コーポレートアバター(CA)に関する静的情報が入力される(ステップS174)。例えば、コーポレートアバター(CA)に関する次の情報入力を行う。入力するコーポレートアバター(CA)の静的情報としては、実世界(リアル世界とも言う)での氏名、所属(会社名も含む)、役職、電話番号、FAX番号、メールアドレス、メタバースアドレス(もし他の三次元仮想空間サイトのものを所有している場合)、性別、年齢、体型、身長、皮膚色である。例えば、X会社の社員が男性、50歳、中肉中背、身長170cm、黄色と入力したとする。次に、男女判定、年齢判定、体型判定、身長判定、皮膚色等の判定を行い、これらの判定が完了できた否かを判断する(ステップS175)。もし、上記判定に必要な情報が入力されていないことなどにより判定が完了できなかった場合(ステップS175:No)、入力画面にその欠けている情報を入力するようなメッセージが出される。一旦入力すれば、年齢等は年1回の定期的な更新によって年齢がアップされるので、改めて入力する必要は無い。このほか、髪型、口髭有無、眼鏡有無、身体的その他の特徴などを入力させるようにして、より現実的な外観を作り出すようにすることもできる。そうすれば、仮想オフィス内において、実世界と同様に外観から話したいコーポレートアバターを簡単に探し出すことができる。
【0073】
判定が完了できた場合(ステップS175:Yes)、入力された情報を基にして、当該アバターの自動選択が実行される(ステップS176)。アバターの外観を構成するオブジェクトは図1のプライベートオブジェクトDB25に記録保管されている。この中から上記情報にふさわしい外観オブジェクトを自動選択し、当該アバターの外観を形成する。次に、その他の選択が必要かどうかが判断される(ステップS177)。でき上がったアバターの外観が自己の外観に近く、満足できるものであれば、完了ボタンの押下等の指示に応じてその他の選択は不要と判断され(ステップS177:No)、CAアバターの設定が完了する(ステップS179)。
【0074】
もし、外観を見てあまりにもかけ離れているとか、更なる調整が必要であるとか、衣服などで自分の好みのものを着せたいというような希望がある場合には、調整の指示等に応じてその他の選択が必要と判断され(ステップS177:Yes)、アバター外観の調整が実行される(ステップS178)。ここで、会社内のビジネス関連の服装を自由に選択し変更することができる。仮想オフィスであるので、ビジネス用に用意された衣服等が用意されている。ここで、外観の調整が完了すると、CAアバターの設定が完了する(ステップS179)。設定されたコーポレートアバターの外観情報は上記プライベートオブジェクトDB25の中に新規登録される。
【0075】
後日、ユーザが自分のID、パスワードを使って本サイトにログインした時には、この登録されているコーポレートアバターの外観で登場することになる。
【0076】
次に、アバターの行動記録(予定)を登録する機能について説明する。図10は、アバターAの行動記録(予定)を示す図である。アバター行動記録(予定)表138には、年月日欄139、時間欄140(FROM141、TO142)、ロケーション欄143がそれぞれ設けられている。説明のために、本日は2009年10月1日とする。表の上4行は過去の行動予定として登録されていたものである。例えば、2009年9月27日の午後3時から4時25分まで仮想空間のロケーションZに行く予定であった。実際その時間にその場所に行ったかどうかは、アバターAの動的情報のログを見ないとわからない。
【0077】
なお、アバターAの行動記録(予定)の中のロケーションX,Y,Z,Tはいずれも会社Xが管理する町やイベント会場であったりするので、同一の第4記憶手段25Eに保管管理することができるのである。このような、将来の行動予定を知ることにより、過去の行動ログ、つまり動的情報との関係でどのような案内をすればよいかという戦略を立てることができる。個別アバター向けのワンツーワンマーケティングが可能となる。
【0078】
(第1の実施例)
本実施の形態の第1の実施例について、図11および図12を用いて説明する。図11は、X社の仮想展示会場を説明するための図である。図12は、静的情報、動的情報を取得し記憶する制御ブロック図である。三次元仮想空間内に設けられた仮想展示場100には、展示場入口のゲート(入口ゲート101)が設けられている。この入口ゲート101の傍に展示会場への受付カウンター102があり、ここで来場者の受付を行う。受付カウンター102には、主催者側の受付アバター103がおり、訪問してきた訪問アバター104の受付処理を行う。訪問アバター104は、受付アバター103に対して自己紹介を行うが、仮想空間で使用することができる仮想空間名刺105を手渡す。仮想空間名刺105には、アバター名、氏名、会社名、所属、役職、電話番号、e−mailアドレス、MV(メタバース)アドレスなどが静的情報として記録されている。したがって、この仮想空間名刺105を受付アバター103に渡すことにより、上記の静的情報が自動的に受付で取り込まれる。
【0079】
図12の入出力制御装置106は、静的情報取得手段107、動的情報取得手段108、半動的情報取得手段109を制御している。また、この入出力制御装置106は、アバター情報記憶手段としてのプライベートオブジェクトDB25の中のアバター情報を外部に送信するための送信手段110を制御している。つまり、訪問アバター104の仮想空間名刺105を渡すことは、上記訪問アバター104の属するプライベートオブジェクトDB(アバター情報記憶手段)25にある第2記憶手段25Bの中の静的情報を取り出し、送信手段110でその情報を送信することを意味している。
【0080】
逆に、受付アバター103が仮想空間名刺105を受け取るということは、上記送信手段110で送信された静的情報を、静的情報取得手段107を通じて受信することを意味する。ところで、この静的情報の中には上述したように当該アバターのアドレス情報が含まれている。したがって、このアドレス情報の取得手段が上述した静的情報取得手段と同じことになる。しかしながら、このアドレス情報を静的情報取得手段とは別に取得する必要がある場合には、別途アドレス情報取得手段を設けなければならない。特に、メタバース内での活動は、通常はMV(メタバース)アドレスを中心に利用されるのであるため、リアル世界のe−mailアドレスは、特別な工夫と努力をしなければ取得が難しい。そのために、図11の受付カウンター102にて、訪問アバターに対してリアル世界のe−mailアドレスを教えてもらうことができるか確認をし、了解の下にその情報を取得することになる。
【0081】
取得された静的情報は主制御部111により、プライベートオブジェクトDB25の中の第3記憶手段25Dに記憶される。さらに、受付では、マーケティングを行うために、訪問アバターの更なる静的情報の提出を求める。図示していないが、受付アバター103よりアンケート用紙が提示される。アンケート用紙には、例えば性別、年齢、体型、身長、皮膚色、国籍、髪型、口髭有無、眼鏡有無、好きな色、好きなペット、趣味などである。もちろんすべてに回答する必要はないが、可能な限り協力を要請する。このアンケートには画面でポップアップ表示され、必要事項が入力されると、上記図12の静的情報取得手段107によってその情報が取り込まれ、第3記憶手段25Dに訪問アバターの情報として記録される。
【0082】
さて、仮想展示場100では、入口ゲート101をくぐると通路112に沿って展示物113〜123が陳列されている。展示物をクリックするとその展示アイテムの説明が文字または音声で行われる。説明途中で訪問アバターが興味を持たなくなった場合には、その展示アイテムから離れることにより、その説明は見えなくなるか聞こえなくなる。その時点でアイテムの見学は終了とみなされる。アイテムの前から去る代わりに、画面の制御パネルの中断(図示せず)アクションを操作してもよい。
【0083】
訪問アバター124が展示物115の前で説明を聞いているところである。アバター125は、展示物119の説明を、アバター126は展示物120の説明をそれぞれ聞いている。アバター127は、展示物120から展示物122へ移動しているところである。訪問アバター128は展示会の見学を完了し、出口ゲート129を通過して、会場外に出るところである。出口ゲート129を通過した時点で訪問アバター128の展示会場の訪問時間のカウントは完了する。
【0084】
訪問アバターが受付を開始した時点から会場内の滞在時間のカウンターが開始される。これは、図12の動的情報取得手段108によって取り込まれ、出口ゲート129通過で時間計算は終了し、主制御部111により、第3記憶手段25Dに動的情報として記憶される。
【0085】
図13は、第3記憶手段に取り込まれる動的情報の一覧を示している。動的情報一覧表130は、左より、それぞれアバター名欄131、時間FROM132,TO133、ロケーション欄134、チェックアイテム欄135、備考欄136が設けられている。第1行目を説明すると、アバターAは、2009年10月1日の午後12時55分から59分の4分間にX展示場の受付カウンター102で受付処理をした。そして、最初の展示物113を30分という長い時間をかけて説明を聞いたり、物を見たりした。次に、展示物114を8分間見学したが、展示物115は見ずに通過した。展示物116は、1分という非常に短い時間見ただけであったが、展示物117は7分間の見学を行った。最後は展示物118を見たが、展示物119から123は通過し、13時56分に会場を出た。以上のような動的情報のログが第3記憶手段25Dに記録されているのである。さらに、図13に示すように、アバターAは受付において、アンケートに答えて図示するような静的情報を残した。この性別、年齢等の静的情報137はアバターAの情報として上記静的情報および動的情報と関連づけて第3記憶手段25Dに記憶されている。
【0086】
このように、訪問アバターごとに、静的情報と展示会場内での動的情報が関連つけられてプライベートオブジェクトDB25に記憶されている。
【0087】
なお、図11に示す画面の左部分、および下部に設けられているアクションボタンは図3、図6、図8において説明したものと同様なので説明は省略する。展示会場に登場する訪問アバターも図3のコーポレートアバターも同様の操作で会話等が可能であることは言うまでもない。
【0088】
以上、展示会場Xにおける受付カウンター102において、アバターの静的情報を取得することについて説明してきたが、図3の会社X社の入口に設けられた受付において外部のアバターが企業を訪問してきたときに受付者によって訪問アバターの静的情報を仮想空間名刺105を受け取ることで前述したと同様に取得することができることは言うまでもない。
【0089】
(第2の実施例)
次に、本実施の形態の第2の実施例について説明する。この実施例は、訪問アバターの半動的情報としての行動予定情報を活用するものである。図10おいて説明したように、本日(2009年10月1日)以降のアバターAの行動予定として10月10日にロケーションX(展示会場Xのこと)を訪問予定であることが情報として記録されている。展示会主催のX社は、図示しない入力画面より、招待状作成プログラムを選択すると、展示会場、訪問日などを表示させ、例えば展示会場X、2009年10月10日を選択するとそれに該当する訪問予定アバターリストが表示される。この画面から招待状作成ボタンを押す。これを図14の招待状作成フローチャートで説明する。招待状作成画面から招待状作成プログラムを選択する(ステップS164)。そうすると、展示会場、訪問予定日一覧表が表示される(ステップS165)。この一覧表から特定の展示会場、訪問日を選択する(ステップ166)。選択せずに終了する場合には(ステップS165:No)、処理を終了する。選択された場合は(ステップS165:Yes)、ステップS168を実行する。ステップS168では、例えば展示会場X、訪問予定日2009年10月10日を選択すると訪問予定者リスト一覧が表示される。この次に招待状作成するか否か判定され(ステップS169)、作成する場合は(ステップS169:Yes)、訪問アバターごとの招待状が作成される(ステップS170)。作成しない場合には(ステップS169:No)処理を終了する。図15には作成された招待状を示している。招待状171はアバターA宛のものである。以下同様にその他の訪問アバター宛の招待状が作成され、送信ボタン172を押すことによってアバターAのe−mailまたはMV(メタバース)アドレスに招待状を送信する(図14のステップS172)。アバターAの上記e−mailまたはMV(メタバース)アドレスはアバターAの静的情報として保管されているので、それを呼び出して利用すればよい。
【0090】
(活用例1)
本実施の形態の活用例の1つ(活用例1)について説明する。この活用例は、上述した展示会場を訪れたアバターの静的情報、動的情報、さらには半動的情報を基にアバターの顧客としてのニーズを統計的に解析するものである。そのいくつかの例を紹介する。
【0091】
図16は、展示会場を訪問してきたアバターA〜Eの5人について、展示会場の滞在時間を図示したものである。横軸はアバター名、縦軸は滞在時間の合計をそれぞれ示している。これによると、アバターAが、一番滞在時間が長く、アバターCが一番短いことがわかる。
【0092】
では、その一番関心の高かったアバターAは展示されていた展示アイテムのどれに関心を示したかを見てみる。検索の方法については、後述する。
【0093】
図17には、アバターAの展示物アクセス時間を示している。展示物113には30分もの長い時間をかけて説明を聞いている。展示物115、119〜122にはほとんど関心を示さなかった。このデータは、図13のアバターAの動的情報を第3記憶手段25Dから主制御部111で取り出すことによって入出力制御装置106を経由して送信手段110で画面に表示することができる。グラフ表示は、予め用意されている複数のグラフ形式の中から選択することで、棒グラフ、円グラフ、折れ線グラフなど自由に表示できる。エクセルのグラフ表示と同様に考えればよい。実はこのデータは、図13のアバターAの動的情報をグラフ化したものと同じである。
【0094】
図18は、X展示場の展示物別アクセス時間を表すグラフである。横軸は、展示物のアイテム番号を、縦軸はアクセス時間の合計をそれぞれ示している。これによると、展示された展示物のどれに一番関心があり、またどれに関心が低いかを知ることができる。
【0095】
これらの統計的なデータに基づくデータやグラフは一例を示したが、保管されているデータの語句を検索キーとして様々なデータを取り出すことができる。以下その検索について説明する。
【0096】
(活用例2)
図19は、本実施の形態の他の活用例(活用例2)である、アバターの静的、動的、半動的データを検索する検索画面の一例を示す図である。
【0097】
検索画面144には、検索式が作成できるようになっており、便宜上4つの検索項目を選択できるようになっている。第1の検索項目選択欄145の左端のボタン146をクリックすると記憶手段に保管されているすべての項目の一覧が表示される(図示せず)。その中から、例えば性別項目を選択すると図示するようにポップアップで男か女かを選択できる画面が現れる。ここで、男をラジオボタンで選択すると、語句入力欄に男が入力される。予め語句が判明している場合には、直接キーボードを使って語句を入力しても良い。その右の欄には演算子を入力できる演算子欄147がある。
【0098】
ANDがプリセットされているが、その他の演算子を選択する場合には、左端のボタン148をクリックするとOR、NOT等他の演算子が表示されるのでその中から選ぶことができる。2番目の検索項目選択欄149では、役職という項目を選択したので画面には役職の詳細150が表示された。この中から管理職をラジオボタンで選択すると、入力欄に管理職という語句が入力される。以下同様に3番目の入力欄151に身長170−200(cm)が入力され、4番目の入力欄152に月曜日がそれぞれ入力された。右上の検索式確認ボタン153を押すと、検索式欄154に上記入力した4つの項目の検索式が表示される。4つの入力項目のAND条件ということが分かる。確認が終わると、検索ボタン155を押す。そうすると図12の検索入出力手段156を入出力制御装置106が制御し、主制御部111を経て検索エンジン157を起動する。検索エンジン157は、プライベートオブジェクトDB25の中の第2記憶手段25B,第3記憶手段25D,第4記憶手段25Eを検索する。第2〜第4記憶手段にそれぞれ記憶されているデータは、例えばアバターと1対1の対応関係にあるMV(メタバース)アドレスを共通のキーとして連結させている。もちろん、ほかに1対1の対応関係にあるキーとなりえるデータがあればそれを利用することもできる。該当するデータを入出力制御装置106から検索入出力手段156に送り、検索画面144の検索結果欄158に検索式と件数を表示する。図では、5件の該当データがあったことを示している。この5件の内容を見る場合には、その右に設けられた一覧表示ボタン159を押す。そうすると、図20に示すように検索結果一覧表160が画面に表示される。上記の検索条件に当てはまるものとして5件の詳細情報が表示される。これによって月曜日の展示日に訪れた男性の管理職で身長が170−200cmの人の注目アイテムや訪問時間などを知ることができる。この出力項目選択は出力項目選択ボタン161を押すことで、予め決められている出力項目の中から必要なものを選択することができるように構成されている。元の検索画面に戻る場合には、戻るボタン162を押せばよい。検索画面144で、検索を終了または中止する場合には、中止ボタン163を押すことで検索画面を閉じる。
【0099】
(活用例3)
第3の活用例は、図13のような動的情報から、一緒に行動していた複数のアバターを検索および分析するものである。図13に示すように、第3記憶手段25Dは、各アバターが存在したロケーション、および、そのロケーションに存在した時間を記憶している。このような動的情報を参照し、例えば指定された開始時刻から終了時刻までの間に、指定されたロケーションに同時に存在したアバターを抽出できる。より具体的には、開始時刻(FROM)から終了時刻(TO)までの期間が重複し、かつ、ロケーションが同一であるアバターを抽出することができる。このようにして抽出したアバターの情報は、より精度の高いマーケティングに利用できる。
【符号の説明】
【0100】
1 パブリック三次元仮想空間プロバイダーサイト
2 プライベート三次元仮想空間プロバイダーサイト
3 クライアントサイト
4 ユーザサイト
21 プライベート三次元仮想空間管理サーバ
22 ユーザ接続管理サーバ
23 ユーザ認証サーバ
24 ログ管理サーバ
25 プライベートオブジェクトDB(アバター情報記憶手段)
25A 第1記憶手段
25B 第2記憶手段
25D 第3記憶手段
25E 第4記憶手段
26 プライベート仮想空間DB
27 三次元仮想空間
50、60 三次元仮想空間オフィス
61 自己コーポレートアバター
102 受付カウンター
104 訪問アバター
107 静的情報取得手段
108 動的情報取得手段
109 半動的情報取得手段
144 検索画面
156 検索入出力手段
157 検索エンジン
158 検索結果欄
160 検索結果一覧表
【先行技術文献】
【特許文献】
【0101】
【特許文献1】特開2004−234054号公報
【特許文献2】特開2006−155230号公報
【特許文献3】特開2005−100053号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタバースに存在するアバターの情報を管理する情報管理装置であって、
前記アバターが保有する静的情報を取得する静的情報取得手段と、
前記アバターの行動に基づく動的情報を取得する動的情報取得手段と、
前記静的情報および前記動的情報をアバターと関連付けて記憶するアバター情報記憶手段と、
を備えることを特徴とする情報管理装置。
【請求項2】
さらに、前記アバターの過去および将来の行動スケジュールを含む半動的情報を取得する半動的情報取得手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報管理装置。
【請求項3】
前記動的情報は、前記アバターが行動した期間と、前記アバターが行動した場所とを含み、
さらに、前記アバター情報記憶手段に記憶された前記動的情報に基づいて、同一の前記場所に関連付けられ、かつ、重複する前記期間に関連付けられた前記アバターを前記アバター情報記憶手段から抽出する抽出手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報管理装置。
【請求項4】
メタバース内の特定の島に設けられたサイトの受付に訪問したアバターが保有する静的情報を取得する静的情報取得手段と、
前記サイト内を行動する前記アバターの動的情報を取得する動的情報取得手段と、
前記静的情報および前記動的情報を前記アバターと関連付けて記憶するアバター情報記憶手段と、
前記静的情報または前記動的情報に含まれる特定語句をキーとして検索する検索手段と、
前記検索手段による検索結果を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする情報管理装置。
【請求項5】
さらに、前記アバターの過去および将来の行動スケジュールを含む半動的情報を取得する半動的情報取得手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の情報管理装置。
【請求項6】
さらに、前記サイトの受付に訪問した前記アバターから、当該アバターのアドレス情報を取得するアドレス情報取得手段を備えることを特徴とする請求項4または5に記載の情報管理装置。
【請求項7】
前記動的情報は、前記アバターが行動した期間と、前記アバターが行動した場所とを含み、
さらに、前記アバター情報記憶手段に記憶された前記動的情報に基づいて、同一の前記場所に関連付けられ、かつ、重複する前記期間に関連付けられた前記アバターを前記アバター情報記憶手段から抽出する抽出手段を備えることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1つに記載の情報管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−216073(P2011−216073A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283672(P2010−283672)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】