情報表示用パネル
【課題】駆動回路基板のコネクタに対し抜き差しすることで機械的および電気的接続をとる情報表示用パネルにおいて、抜き差しの耐久性を向上させることができ、表示の書き換えに支障が生じないとともに、本のように表示部パネルを捲ることができる情報表示用パネルを提供する。
【解決手段】(1)表示部パネルの引き出し電極部を有する端部に対し、引き出し電極部の引き出し電極に対応して接続用基板に設けた表示媒体駆動回路との接続電極を接続し、引き出し電極と表示媒体駆動回路との接続電極との電気的な導通をとるよう構成するとともに、(2)表示媒体駆動回路との接続電極を、引き出し電極と接続した端部とは反対側の端部まで設けて接続用端子部を形成し、接続用端子部を駆動回路基板のコネクタに接続した状態で表示部パネルを駆動回路基板に対し折り曲げが可能となるように、接続用基板に少なくとも1箇所折り曲げ部を設けるよう構成した。
【解決手段】(1)表示部パネルの引き出し電極部を有する端部に対し、引き出し電極部の引き出し電極に対応して接続用基板に設けた表示媒体駆動回路との接続電極を接続し、引き出し電極と表示媒体駆動回路との接続電極との電気的な導通をとるよう構成するとともに、(2)表示媒体駆動回路との接続電極を、引き出し電極と接続した端部とは反対側の端部まで設けて接続用端子部を形成し、接続用端子部を駆動回路基板のコネクタに接続した状態で表示部パネルを駆動回路基板に対し折り曲げが可能となるように、接続用基板に少なくとも1箇所折り曲げ部を設けるよう構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一方が透明な2枚の基板間の空間に表示媒体を封入し、表示媒体を駆動させて画像等の情報を表示する表示部パネルを有する情報表示用パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置(LCD)に代わる情報表示装置として、帯電粒子気体中移動方式(例えば電子粉流体方式)、帯電粒子液体中移動方式(電気泳動方式)、エレクトロクロミック方式、コレステリック液晶方式、サーマル方式、2色粒子回転方式等の技術を用いた情報表示装置が提案されている。
【0003】
これらの技術は、従来のLCDと比較すると、通常の印刷物に近い広い視野角が得られたり、消費電力が小さかったり、メモリー機能を有していたりする等のメリットがあることから、次世代の安価な情報表示装置に使用可能な技術として考えられており、携帯端末用情報表示、電子ペーパー等への展開が期待されている。
【0004】
これらのうち、帯電粒子移動方式やコレステリック液晶方式は表示メモリー性(bistable性)に優れていることから、特に電子ペーパー用途への期待が高い。このうち帯電粒子移動方式の情報表示用パネルとしては、少なくとも一方が透明な2枚の基板間の空間に少なくとも1種類以上の粒子からなる光学的反射率と帯電性とを有する表示媒体を少なくとも1種類以上封入し、表示媒体に電界を付与することによって表示媒体を駆動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】国際公開第2005/062112号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した表示媒体(液晶や帯電粒子など)を駆動させて表示を行う情報表示用パネルでは、駆動用ドライバーとして高価なICを実装する必要があるが、従来の情報表示用パネルでは、ディスプレイ部に例えばTCP(Tape Career Package)形式で駆動用ドライバーを実装する構造を用いていたため、画像等の情報を表示するディスプレイ部に劣化、不良等の不具合が生じた場合には、高価なICごと破棄せざるを得なかった。そのため、高価なICを実装した駆動用ドライバーを再利用することができず、無駄が生じていた。
【0007】
上記高価なICごと破棄する無駄をなくすために、ディスプレイ部となる表示部パネルの引き出し電極部を有する端部を、駆動回路基板のコネクタに対し抜き差し自在に構成することも考えられる。しかし、ディスプレイ部となる表示部パネルの引き出し電極部を有する端部において、引き出し電極はディスプレイ部の電極と同様にフォトリソやエッチングによってパターニングして形成させるため、この場合、導電膜が薄くて機械的強度が弱いため、ディスプレイ部となる表示部パネルの抜き差し時に導電膜が損傷し、電気的接続が取れなくなり、表示の書き換えに支障をきたす問題があった。また、ディスプレイ部となる表示部パネルを本のように捲ろうとすると、ディスプレイ部となる表示部パネルを破損しやすい問題もあった。
【0008】
本発明の目的は上述した問題点を解消して、駆動回路基板のコネクタに対し抜き差しすることで機械的および電気的接続をとる表示部パネルにおいて、抜き差しの耐久性を向上させることができ、表示の書き換えに支障が生じないとともに、本のように表示部パネルを捲ることができる情報表示用パネルを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の情報表示用パネルは、少なくとも一方が透明な2枚の基板間の空間に表示媒体を封入し、表示媒体を駆動させて画像等の情報を表示する表示部パネルを有する情報表示用パネルにおいて、(1)表示部パネルの引き出し電極部を有する端部に対し、引き出し電極部の引き出し電極に対応して接続用基板に設けた表示媒体駆動回路との接続電極を接続し、引き出し電極と表示媒体駆動回路との接続電極との電気的な導通をとるよう構成するとともに、(2)表示媒体駆動回路との接続電極を、引き出し電極と接続した端部とは反対側の端部まで設けて接続用端子部を形成し、接続用端子部を駆動回路基板のコネクタに接続した状態で表示部パネルを駆動回路基板に対し折り曲げが可能となるように、接続用基板に少なくとも1箇所折り曲げ部を設けるよう構成したことを特徴とするものである。
【0010】
本発明の情報表示用パネルの好適例としては、表示部パネルの引き出し電極部を有する端部と接続用基板に設けた表示媒体駆動回路との接続電極との間に、異方導電性フィルム(ACF)を配置し、表示部パネルの引き出し電極部を有する端部と接続用基板に設けた表示媒体駆動回路との接続電極とを接続するとともに、引き出し電極と表示媒体駆動回路との接続電極との導通をとるよう構成したこと、接続用基板を、ポリイミド樹脂基板またはガラス繊維補強されたエポキシ樹脂基板としたこと、接続用基板に設ける表示媒体駆動回路との接続電極を、金属電極として構成したこと、金属電極を、銅めっき膜または銅箔から構成したこと、折り曲げ部を、接続用基板に接続した表示部パネルの端部に平行に、接続用基板の表裏両面に切り込みを形成すること、がある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、(1)表示部パネルの引き出し電極部を有する端部に対し、引き出し電極部の引き出し電極に対応して接続用基板に設けた表示媒体駆動回路との接続電極を接続し、引き出し電極と表示媒体駆動回路との接続電極との電気的な導通をとるよう構成したことで、駆動回路基板のコネクタに対し抜き差しすることで機械的および電気的接続をとる表示部パネルにおいて、抜き差しの耐久性を向上させることができ、表示の書き換えに支障が生じない情報表示用パネルを得ることができる。また、(2)表示媒体駆動回路との接続電極を、引き出し電極と接続した端部とは反対側の端部まで設けて接続用端子部を形成し、接続用端子部を駆動回路基板のコネクタに接続した状態で表示部パネルを駆動回路基板に対し折り曲げが可能となるように、接続用基板に少なくとも1箇所折り曲げ部を設けるよう構成したことで、本のように表示部パネルを捲ることができる情報表示用パネルを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
まず、本発明の情報表示用パネルに用いる表示部パネルの基本的な構成の一例として帯電粒子移動方式の表示部パネルについて説明する。この表示部パネルでは、対向する2枚の基板間の空間に封入した帯電粒子を含んで構成された表示媒体に電界が付与される。付与された電界方向にそって、表示媒体が電界による力やクーロン力などによって引き寄せられ、表示媒体が電界方向の変化によって移動することにより、画像等の情報表示がなされる。従って、表示媒体が、均一に移動し、かつ、繰り返し表示を書き換える時あるいは表示情報を継続して表示する時の安定性を維持できるように、表示部パネルを設計する必要がある。ここで、表示媒体を構成する粒子にかかる力は、粒子同士のクーロン力により引き付けあう力の他に、電極や基板との電気鏡像力、分子間力、液架橋力、重力などが考えられる。
【0013】
本発明の対象となる表示部パネル構成を図1(a)、(b)〜図4(a)、(b)および図5〜図8に基づき説明する。
【0014】
図1(a)、(b)に示す例では、光学的反射率と帯電性とを有する帯電粒子を含む少なくとも1種以上の粒子から構成される、互いに光学的反射率および帯電特性が異なる表示媒体を少なくとも2種以上(ここでは白色表示媒体用粒子3Waの粒子群からなる白色表示媒体3Wと黒色表示媒体用粒子3Baの粒子群からなる黒色表示媒体3Bを示す)基板間に封入し、隔壁4で形成された各セルにおいて、基板1に設けた電極5(個別電極)と基板2に設けた電極6(個別電極)との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1および基板2と垂直に移動させる。そして、図1(a)に示すように白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色ドット表示を行うか、あるいは、図1(b)に示すように黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色ドット表示を行っている。なお、図1(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。
【0015】
図2(a)、(b)に示す例では、光学的反射率と帯電性とを有する帯電粒子を含む少なくとも1種以上の粒子から構成される、互いに光学的反射率および帯電特性が異なる表示媒体を少なくとも2種以上(ここでは白色表示媒体用粒子3Waの粒子群からなる白色表示媒体3Wと黒色表示媒体用粒子3Baの粒子群からなる黒色表示媒体3Bを示す)基板間に封入し、隔壁4で形成された各セルにおいて、基板1に設けた電極5(ライン電極)と基板2に設けた電極6(ライン電極)との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1および基板2と垂直に移動させる。そして、図2(a)に示すように白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色ドット表示を行うか、あるいは、図2(b)に示すように黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色ドット表示を行っている。なお、図2(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。
【0016】
図3(a)、(b)に示す例では、3個のセルで表示単位(1ドット)を構成するカラー表示の例を示している。図3(a)、(b)に示す例では、表示媒体としてはすべてのセル21−1〜21−3に白色表示媒体3Wと黒色表示媒体3Bとを充填し、第1のセル21−1の観察者側に赤色カラーフィルター22Rを設け、第2のセル21−2の観察者側に緑色カラーフィルター22Gを設け、第3のセル21−3の観察者側に青色カラーフィルター22BLを設け、第1のセル21−1、第2のセル21−2および第3のセル21−3の3個のセルで表示単位(1ドット)を構成している。本例では、図3(a)に示すように、観察者側に、すべての第1のセル21−1〜第3のセル21−3において白色表示媒体3Wを移動することで、観察者に対し白色ドット表示を行うか、あるいは、図3(b)に示すように、観察者側に、すべての第1のセル21−1〜第3のセル21−3において黒色表示媒体3Bを移動することで、観察者に対し黒色ドット表示を行っている。なお、図3(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。各セル内の表示媒体の移動のさせ方で多色カラードット表示が行える。
【0017】
図4(a)、(b)に示す例では、光学的反射率と帯電性とを有する帯電粒子を含む少なくとも1種以上の粒子から構成される表示媒体を1種(ここでは白色表示媒体用粒子3Waの粒子群からなる白色表示媒体3Wを示す)基板間に封入し、隔壁4で形成された各セルにおいて、基板1に設けた電極5と電極6との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1および基板2と平行方向に移動させる。そして、図4(a)に示すように、白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色ドット表示を行うか、あるいは、図4(b)に示すように、黒色板7の色を観察者に視認させて黒色ドット表示を行っている。なお、図4(a)、(b)に示す例では、手前にある隔壁は省略している。
【0018】
電子泳動ディスプレイでドットマトリックス表示を行う場合はアクティブ駆動が必須となり、裏面側をTFT(Thin Film Transistor)基板にする必要がある。これを図示したのが図5、図6である、個別電極5、6で対電極を構成している。この場合、基板1、2間の空間に、表示媒体として白色表示媒体3Wと黒色表示媒体3Bとを絶縁液体8とともに内部に封入したマイクロカプセル9を配置している。本例では、白色表示媒体3Wを正(+)に帯電する粒子とし、黒色表示媒体3Bを負(−)に帯電する粒子とした場合の一例として説明する。まず、電極付基板1および電極付基板2に対して交互に0(Volt)、V(Volt)を印加して前に表示した画像等の情報を消去し、表示面全体を黒表示にしておく。このとき、電極付基板1にはV(Volt)が印加され、TFT画素電極には0(Volt)が印加されている。次に、電極付基板1を0(Volt)にしておいて、白に反転したい画素にのみ電極付基板2に向けたTFT画素電極に70(Volt)を印加することで、当該画素のみを白反転することができる。
【0019】
逆に、電極付基板1および電極付基板2に対して交互に0(Volt)、V(Volt)を印加して前に表示した画像等の情報を消去し、表示面全体を白表示にしておく。このとき、電極付基板1には0(Volt)が印加され、TFT画素電極にはV(Volt)が印加されている。次に、電極付基板1を70(Volt)印加にしておいて、黒に反転したい画素にのみ電極付基板2に設けたTFT画素電極に0(Volt)を印加することで、当該画素のみを黒反転することができる。なお、図5、図6において、基板間ギャップ確保用部材は省略している。また、隔壁を設けない構成を示したが、各マイクロカプセルに隔壁を設けてもかまわない。
【0020】
図7(a)〜(c)に示す例は、電極付基板1、電極付基板2間の空間に、ネマティック液晶にカイラル剤を20〜40%添加したコレステリック液晶を封入し、電圧を印加することで、コレステリック液晶の配向状態を変化させて画像等の情報を表示するものである。
【0021】
まず、基準となる図7(a)のプレーナ状態の場合は、コレステリック液晶の螺旋のピッチに対応した波長の光を選択的に反射する。このプレーナ状態に、電極付基板1および電極付基板2に低電圧のパルスを印加することで、図7(b)のフォーカルコニック状態に遷移する。このフォーカルコニック状態は光を透過するため、電極付基板2の表面に設けた光吸収層により透過した光が吸収されるために黒表示となる。次に、電極付基板1および電極付基板2に高電圧パルスを印加することで、図7(c)のホメオトロピック状態を経て図7(a)のプレーナ状態に戻る。このような動作を各画素毎に行うことで画像等の情報表示を行う。なお、コレステリック液晶の螺旋ピッチは添加するカイラル剤の種類や量によってコントロールすることができ、選択的に反射する光を赤色、緑色、青色にして、縦方向に3枚重ねることでフルカラー表示も可能である。
【0022】
図8に示す例は、電極付基板2の透明電極上に多孔質の酸化チタン(TiO2)薄膜が形成され、その多孔質の酸化チタンの表面23にビオローゲン誘導体のようなRedox系色素24を吸着してある。一方の電極付基板1の透明電極上にはSbをドープした酸化スズ薄膜25を形成し、その上にイオン透過可能な酸化チタンの粒子を層状に形成する。これら2枚の電極付基板の間に電解質を封入する。両電極間に電流を流し、Redox系色素24を酸化状態で発色させることにより色表示を行い、還元状態で消色状態では透明になるため、電極付1の上に形成した酸化チタン薄膜26が反射層になり、白表示を行う。この場合には、Redox系色素24を選択することで、発色の波長を変えることが可能であり、カラー表示も可能である。
【0023】
上述したように、本発明の技術は:
(1)少なくとも一方が透明な2枚の電極付基板間の気体中空間に、光学的反射率を有する帯電粒子を含む少なくとも1種類以上の粒子からなる粒子群で構成した表示媒体を少なくとも1種類以上封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する気体中粒子移動方式表示部パネル;
(2)少なくとも一方が透明な2枚の電極付基板間の空間に、光学的反射率および極性が異なる2種類の帯電粒子を含んで構成した表示媒体を絶縁液体と共に封入したマイクロカプセルを配置し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する電気泳動方式(液体中粒子移動方式)表示部パネル;
(3)少なくとも一方が透明な2枚の電極付基板間の空間にコレステリック液晶を封入し、基板間に印加する電圧を制御することにより、画像等の情報を表示するコレステリック液晶方式表示部パネル;
(4)少なくとも一方が透明な2枚の電極付基板間の空間に酸化状態と還元状態とで透明性が変化するエレクトロクロミック材料を充填し、電極間に電流を流して、電気化学反応により酸化状態、還元状態を変化させることにより、画像等の情報を表示するエレクトロクロミック方式表示部パネル;
(5)その他、バイステイブル(bistable)性(メモリー性)を有する、MEMS方式表示部パネル、銀の電解による析出表示部パネル、溶解反応を利用した方式の表示部パネルほか、従来の液晶方式を用いた表示部パネルにも適用できる。
【0024】
本発明の情報表示用パネルの特徴となる部分は、上述した構成の表示部パネルを用いた情報表示用パネルにおいて、(1)表示部パネルの引き出し電極部を有する端部に対し、引き出し電極部の引き出し電極に対応して接続用基板に設けた表示媒体駆動回路との接続電極を接続し、引き出し電極と表示媒体駆動回路との接続電極との電気的な導通をとるよう構成するとともに(第1の特徴)、(2)表示媒体駆動回路との接続電極を、引き出し電極と接続した端部とは反対側の端部まで設けて接続用端子部を形成し、接続用端子部を駆動回路基板のコネクタに接続した状態で表示部パネルを駆動回路基板に対し折り曲げが可能となるように、接続用基板に少なくとも1箇所折り曲げ部を設けるよう構成したこと(第2の特徴)にある。以下、各特徴部分を順に説明する。
【0025】
<第1の特徴について>
図9(a)、(b)および図10(a)〜(c)はそれぞれ本発明の情報表示用パネルの第1の特徴の一例を説明するための図である。本発明の情報表示用パネルを得るためには、まず、図9(a)に示す表示部パネル31、および、図9(b)に示す接続用基板41を準備する。
【0026】
表示部パネル31は、上述したように2枚の基板から構成され、実際に画像等の情報を表示するディスプレイ部32とその周囲の額縁部33とを備えている。ディスプレイ部32において、互いに直交する複数のライン電極(図示せず)が設けられており、外部の装置との接続用に、額縁部33を介して表示部パネル31の一端まで、各ライン電極を延長する引き出し電極34を設け、引き出し電極部35を形成している。図9(a)に示す例では、横方向のライン電極については、上半分を左側の引き出し電極34−1に、下半分を右側の引き出し電極34−2に分担させて、それぞれの引き出し電極部35−1、35−2を形成している。また、縦方向のライン電極については、引き出し電極34−3により端部まで延長させ、引き出し電極部35−3を形成している。引き出し電極部35−1、35−2と引き出し電極部35−3とは、表示部パネル31の端部において、2つの基板のそれぞれに設けてもよいし、いずれか一方を導電粒子等を用いて他方と同じ基板に引き出し、いずれか一方の同じ基板上に設けてもよい。なお、引き出し電極34−1〜34−3は、ディスプレイ部32の電極と同じ例えばITOにより形成されている。
【0027】
接続用基板41は、表示部パネル31と同じ幅を有している。そして、引き出し電極部35−1〜35−3の引き出し電極34−1〜34−3に対応して、一方の端部から他方の端部まで、表示媒体駆動回路との接続電極42−1〜42−3を設けるとともに、駆動回路基板のコネクタに接続するための接続用端子部43−1〜43−3を形成している。接続用基板41としては、ガラエポ基板(ガラス繊維補強されたエポキシ樹脂基板)、ポリイミド基板などから構成されたフレキシブル・プリント基板(FPC)など、強度の高い基板とすることが好ましい。基板41としては、その他にも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル、ポリカーボネート、塩化ビニルなどの種々のプラスチックも使用できる。
【0028】
接続用基板に設ける接続用電極のうち、表示媒体駆動回路との接続を行う電極(表示媒体駆動回路との接続電極42)部分は導電性が良い金属で構成した金属電極として構成する。電極材料としては、銅、アルミニウム、ニッケル、クロムなどの金属や、金、銀、白金、パラジウムなどの貴金属、およびこれらの合金を使用することができる。このうち、耐曲げ強度に優れ、安価な良導電性材料である銅を用いることが好ましい。
電極の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、メッキ法、CVD(化学蒸着)法、ペースト塗布法等で薄膜状にパターニング形成する方法、金属箔をラミネート(例えば圧延銅箔など)した後パターニングする方法が用いられる。このうち、厚さ制御が容易でパターニング形成後の耐強度にも優れるメッキ法、金属箔ラミネート法を用いることが好ましい。
この表示媒体駆動回路との接続電極42は、接続時、接続解除時に摩擦が繰り返され摩耗損失しやすいので厚さを0.01〜50μm、好ましくは0.1〜20μmとするのがよい。0.01μmより薄いと摩耗による電極損失のために導通不良が短期間に発生する不具合があり、50μmより厚いと電極形成に長時間を要し、低コストで製造できなくなる不具合がある。
表示媒体駆動回路との接続電極42の位置は、後述するように、表示部パネル31と接続用基板41とを重ね合わせることで、図10(a)〜(c)に示すような本発明の情報表示用パネルを得ることができる。ここで、図10(a)は情報表示用パネルの正面図を示し、図10(b)は図10(a)に示す情報表示用パネルの側面図を示し、図10(c)は図10(a)において丸印で囲んだ部分の詳細な図を示している。
【0029】
図10(a)〜(c)に示す本発明の情報表示用パネルは、図9(a)に示すように表示部パネル31の引き出し電極部35−1〜35−3を有する端部に対し、引き出し電極部35−1〜35−3に対応して表示媒体駆動回路との接続電極42−1〜42−3を設けた接続用基板41を接続し、引き出し電極34−1〜34−3と表示媒体駆動回路との接続電極42−1〜42−3との電気的な導通をとるようにして得ることができる。具体的には、図10(a)〜(c)に示すように、表示部パネル31の引き出し電極部35−1〜35−3を有する端部と接続用基板41との間に、異方導電性フィルム(ACF)51を配置し、表示部パネル31の引き出し電極部35−1〜35−3を有する端部と接続用基板41とを機械的に接続するとともに、引き出し電極34−1〜34−3と表示媒体駆動回路との接続電極42−1〜42−3との電気的な導通を取るよう構成している。
また、機械的接続と電気的な導通とをとる方法として、ACFの他にも、異方性導電ペースト(ACP)を用いる方法、Non-Conductive Film(NCF)を用いる方法、Non-Conductive Paste(NCP)を用いる方法などが適用できる。
【0030】
上述した本発明の情報表示用パネルでは、表示部パネル31の引き出し電極34−1〜34−3を、ACF51などを用いて、強度の高いFPC31上の表示媒体駆動回路との接続電極42−1〜42−3に電気的に接続し、FPC41上の表示媒体駆動回路との接続電極42−1〜42−3の接続用端子部43−1〜43−3を駆動回路基板のコネクタに差し込むことで、導電膜の損傷を避けることができる。例えば、ポリイミド基板に銅箔がラミネートされた基板をパターニングして中継用のFPCとし、表示部パネル側のITO電極からなる接続部はACFなどで接着してしまい、FPCの反対側で駆動回路基板のコネクタに抜き差しする構造とすることで、表示部パネル上のITO電極からなる導電膜あるいは蒸着された金属導電膜を直接抜き差しする場合に比べて、大幅な強度の向上が図れるため、抜き差し回数の大幅な向上が見込まれる。
【0031】
また、上述した本発明の情報表示用パネルの説明では、ドライバーICについて触れなかったが、ドライバーICは、駆動回路基板上にあっても、情報表示用パネル上にあってもかまわない。ドライバーICが駆動回路基板上にある場合は、接続する電極の線の数が多くなるが、情報表示用パネル上にドライバーを実装する必要がないので表示部パネルの構造が簡単で、価格も安価にできる。ドライバーICが情報表示用パネル上にある場合は、ドライバーICの駆動回路基板側の電極線の数だけ接続すればよいので、抜き差し時に接続する線の数が少なくてすむが、情報表示用パネルにICを実装するので価格が高くなる。
【0032】
<第2の特徴について>
図11および図12(a)、(b)はそれぞれ本発明の情報表示用パネルの第2の特徴の一例を説明するための図である。図11は情報表示用パネルの全体を示す図であり、図12(a)、(b)はそれぞれ本発明の情報表示用パネルを構成する接続用基板の概念を示す正面図および側面図である。
【0033】
図11および図12(a)、(b)に示す例において、表示部パネル31の引き出し電極部35における引き出し電極34に対応して、引き出し電極34側の一方の端部から駆動回路基板のコネクタ側の他方の端部まで、接続用基板41上において表示媒体駆動回路との接続電極61を設けるとともに、接続用基板41の他方の端部に、駆動回路基板のコネクタに接続するために用いられる接続用端子部62を形成している。そして、接続用端子部62を駆動回路基板のコネクタに接続した状態で、表示部パネル31を駆動用回路基板に対し折り曲げが可能となるように、接続用基板41に少なくとも1箇所、本例では2箇所、折り曲げ部63−1、63−2を設けている。各折り曲げ部63−1、63−2は、接続用基板41に接続した表示部パネル31の端部に平行に、接続用基板41の表裏両面のそれぞれに切り込み64a、64bを形成することで構成されている。
【0034】
上述した例によれば、接続用基板41に折り曲げ可能な折り曲げ部63−1、63−2を設けることで、表示部パネル31と駆動回路基板の接続部付近とから曲げられるようになり、本のページのように表示部パネル31を捲ることが可能となる。
【0035】
図13〜図15はそれぞれ本発明の情報表示用パネルを折り曲げた状態の一例を示す図である。図13に示す例では、折り曲げ部が折り曲げ部63−1の1段のみの場合を示しており、表示部パネル31と接続用基板41とが同一平面にある状態から、表示部パネル31が左右それぞれに90°折り曲がった状態を示している。図15に示す例では、折り曲げ部が折り曲げ部63−1、63−2の2段の場合を示しており、表示部パネル31と接続用基板41とが同一平面にある状態から、表示部パネル31が左右それぞれに90°折り曲がった状態を示している。図15に示す例では、折り曲げ部が折り曲げ部63−1、63−2の2段の場合を示しており、表示部パネル31と接続用基板41とが同一平面にある状態から、表示部パネル31が左右それぞれに180°折り曲がった状態を示している。
【0036】
以下、本発明の情報表示用パネルを構成する各部材について説明する。
【0037】
表示部パネルの基板としては、少なくとも一方の基板はパネル外側から表示媒体が確認できる透明基板であり、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。もう一方の基板となる背面基板は透明でも不透明でもかまわない。基板材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルサルフィン(PES)、アクリル等の 有機高分子系基板や、ガラスシート、石英シート、金属シート等を用い、表示面側にはこのうち透明なものを用いる。基板の厚みは、2〜2000μmが好ましく、さらに5〜1000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、2000μmより厚いと、薄型の表示部パネルとする場合に不都合がある。
【0038】
画素電極の形成材料としては、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等の金属類や酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化インジウム、導電性酸化錫、アンチモン錫酸化物(ATO)、導電性酸化亜鉛等の導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子類が例示され、適宜選択して用いられる。電極の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状にパターニング形成する方法、金属箔をラミネートする方法(例えば圧延銅箔など)や、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布してパターニング形成する方法が用いられる。視認側(表示面側)基板に設ける画素電極は透明である必要があるが、背面側基板に設ける画素電極は透明である必要がない。いずれの場合もパターン形成可能である導電性である上記材料を好適に用いることができる。なお、画素電極厚みは、導電性や光透過性を鑑みて決定され、0.01〜10μm、好ましくは0.05〜5μmである。背面側基板に設ける電極の材質や厚みについては光透過性を鑑みる必要はない。なお、この場合の外部電圧入力は、直流あるいは交流を重畳しても良い。
【0039】
必要に応じて基板に設ける隔壁については、その形状は表示にかかわる表示媒体の種類や、配置する電極の形状、配置により適宜最適設定され、一概には限定されないが、隔壁の幅は2〜100μm、好ましくは3〜50μmに、隔壁の高さは10〜500μm、好ましくは10〜200μmに調整される。帯電粒子移動方式の表示部パネルに設ける隔壁の高さは10〜100μm、好ましくは10〜50μmである。
また、隔壁を形成するにあたり、対向する両基板1、2の各々にリブを形成した後に接合する両リブ法、片側の基板上にのみリブを形成する片リブ法が考えられる。この発明では、いずれの方法も用いられる。
これらのリブからなる隔壁により形成されるセルは、図16に示すごとく、基板平面方向からみて四角状、三角状、ライン状、円形状、六角状が例示され、配置としては格子状やハニカム状や網目状が例示される。表示面側から見える隔壁断面部分に相当する部分(セルの枠部の面積)はできるだけ小さくした方が良く、表示状態の鮮明さが増す。
ここで、隔壁の形成方法を例示すると、金型転写法、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、フォトリソ法、アディティブ法が挙げられる。いずれの方法もこの発明の情報表示装置に搭載する情報表示用パネルに好適に用いることができるが、これらのうち、レジストフィルムを用いるフォトリソ法や金型転写法が好適に用いられる。
【0040】
次に、本発明の情報表示用パネルの表示部パネルを帯電粒子移動方式として構成する場合の表示媒体について説明する。この場合の表示媒体は、光学的反射率と帯電性とを有する粒子(表示用粒子ともいう)を含むものであり、そのまま表示用粒子だけで構成して表示媒体としたり、その他の粒子と合わせて構成して表示媒体としたりして用いられる。
粒子には、その主成分となる樹脂に、必要に応じて、荷電制御剤、着色剤、無機添加剤等を含ますことができる。以下に、樹脂、荷電制御剤、着色剤、その他添加剤を例示する。
【0041】
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、2種以上混合することもできる。特に、基板との付着力を制御する観点から、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が好適である。
【0042】
荷電制御剤としては、特に制限はないが、負荷電制御剤としては例えば、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、4級アンモニウム塩系化合物、カリックスアレン化合物、含ホウ素化合物(ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられる。正荷電制御剤としては例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。その他、超微粒子シリカ、超微粒子酸化チタン、超微粒子アルミナ等の金属酸化物、ピリジン等の含窒素環状化合物及びその誘導体や塩、各種有機顔料、フッ素、塩素、窒素等を含んだ樹脂等も荷電制御剤として用いることもできる。
【0043】
着色剤としては、以下に例示するような、有機または無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。
【0044】
黒色着色剤としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等がある。
青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等がある。
赤色着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等がある。
【0045】
黄色着色剤としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファーストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12等がある。
緑色着色剤としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、C.I.ピグメントグリーン7、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。
橙色着色剤としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31等がある。
紫色着色剤としては、マンガン紫、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等がある。
白色着色剤としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
【0046】
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等がある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等がある。
【0047】
無機系添加剤の例としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、鉛白、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナホワイト、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムオレンジ、チタンイエロー、紺青、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン、コバルトバイオレット、酸化鉄、カーボンブラック、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅粉、アルミニウム粉などが挙げられる。
これらの顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。このうち特に黒色顔料としてカーボンブラックが、白色顔料として酸化チタンが好ましい。上記着色剤を配合して所望の色の表示用粒子を作製できる。
【0048】
また、表示用粒子(以下、粒子ともいう)は平均粒子径d(0.5)が、1〜50μmの範囲であり、均一で揃っていることが好ましい。平均粒子径d(0.5)がこの範囲より大きいと表示上の鮮明さに欠け、この範囲より小さいと粒子同士の凝集力が大きくなりすぎるために表示媒体としての移動に支障をきたすようになる。
【0049】
さらに、各表示用粒子の粒子径分布に関して、下記式に示される粒子径分布Spanを5未満、好ましくは3未満とする。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを5以下の範囲に納めることにより、各表示用粒子のサイズが揃い、均一な表示媒体としての移動が可能となる。
【0050】
さらにまた、複数の表示媒体を使用する場合には、使用した表示媒体を構成する表示用粒子の内、最大の平均粒子径d(0.5)を示す表示用粒子のd(0.5)に対する、最小の平均粒子径d(0.5)を示す表示用粒子のd(0.5)の比を10以下とすることが肝要である。たとえ粒子径分布Spanを小さくしたとしても、互いに帯電特性の異なる表示用粒子が互いに反対方向に動くので、互いの表示用粒子サイズが近く、互いの表示用粒子が当量ずつ反対方向に容易に移動できるようにするのが好適であり、それがこの範囲となる。
【0051】
なお、上記の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。
ここで、粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mie理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行なうことができる。
【0052】
さらに、表示用粒子を含んで構成する表示媒体を気体中空間で駆動させる方式とする場合には、表示部パネル基板間の表示媒体を取り巻く空隙部分の気体の管理が重要であり、表示安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の気体の湿度について、25℃における相対湿度を60%RH以下、好ましくは50%RH以下とすることが重要である。
この空隙部分とは、図1(a),(b)〜図4(a),(b)、図5〜図8において、対向する基板1、基板2に挟まれる部分から、電極5、6(電極を基板の内側に設けた場合)、表示媒体3の占有部分、隔壁4の占有部分(隔壁を設けた場合)、表示部パネルのシール部分を除いた、いわゆる表示媒体が接する気体部分を指すものとする。
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるように表示部パネルに封入することが必要であり、例えば、表示媒体の充填、表示部パネルの組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに、外からの湿度侵入を防ぐシール材、シール方法を施すことが肝要である。
【0053】
本発明の情報表示用パネルの表示部パネルにおける基板と基板との間隔は、表示媒体が駆動できて、コントラストを維持できればよいが、通常2〜500μm、好ましくは5〜200μmに調整される。
表示部パネルを帯電粒子気体中空間移動方式とする場合は、基板と基板との間隔は10〜100μm、好ましくは10〜50μmの範囲で調整される。さらに、基板間の気体中空間における表示媒体の体積占有率は5〜70%が好ましく、さらに好ましくは5〜60%である。70%を超える場合には表示媒体の移動に支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
【実施例】
【0054】
以下、本発明の実施例および比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0055】
<比較例1>
ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)基板上にパターニングされたITOを電極として、表示部パネルを作製した。基板には厚さ125μmのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)の表面に、ストライプ状にITO膜がパターニングされた透明基板を用いた。この基板上に高さ50μm、幅30μmの隔壁を形成し、隔壁で囲まれたセル内に表示媒体として帯電粒子を封入し、ストライプ状にITO膜がパターニングされたもう一方の電極フィルムを貼り合わせることで、表示部パネルを作製した。このとき対向する2枚の基材フィルムにパターニングされたITO電極は、互いに直行する方向に貼りあわせることで、マトリクス状に表示が行えるように構成した。
【0056】
上述した構成の表示部パネルに、駆動回路基板のコネクタとの接続用FPCをACFを用いて接続した。接続用FPCとしては、ポリイミド上に3μmの厚さでめっきされた銅電極を用いた。この接続用FPCは片面配線のみのものを用いた。この接続用FPCは特に折り曲げのための機能を有していないものを使用した。この接続用FPCを用いて、表示部パネルと駆動回路基板のコネクタとを接続した状態で、駆動回路基板を手に持ち、表示部パネルを折り返す動作を行った。その結果、表示部パネルの先端と駆動回路基板との角度が30°までは、表示部パネルがたわむことで、表示部パネル、コネクタとも破損しなかった。折り曲げた角度が30°を超えると、接続用FPCを接続する駆動回路基板のコネクタが破損した。コネクタを補強して、再度曲げたところ、折り曲げた角度が30°を超えたころで、表示部パネルそのものが破損した。
【0057】
<実施例1>
比較例1と同じ表示部パネルに、駆動回路基板のコネクタとの接続用FPCをACFを用いて接続した。接続用FPCとしては、ポリイミド上に3μmの厚さでめっきされた銅電極を用いた。この接続用FPCは片面配線のみのものを用いた。この接続用FPCとしては、折り曲げ用に1箇所、切り込みの入った構造を持つFPCを使用した。
【0058】
この接続用FPCを用いて、表示部パネルと駆動回路基板のコネクタとを接続した状態で、駆動回路基板を手に持ち、表示部パネルを折り返す動作を行った。その結果、表示部パネルの先端と駆動回路基板との角度が90°までは、接続用FPCに設けられた折り曲げ部が曲がることで、表示部パネルを変形することなく、スムーズに折り曲げることが出来た。折り曲げた角度が120°までは、表示部パネルがたわむことで、損傷無く曲げることが出来た。折り曲げた角度が120°を超えると、接続用FPCを接続する駆動回路基板のコネクタが破損し、コネクタを補強して、再度曲げたところ、折り曲げた角度が120°を超えたころで、今度は表示部パネルそのものが破損した。
【0059】
<実施例2>
比較例1と同じ表示部パネルに、駆動回路基板のコネクタとの接続用FPCをACFを用いて接続した。接続用FPCとしては、ポリイミド上に3μmの厚さでめっきされた銅電極を用いた。この接続用FPCは片面配線のみのものを用いた。この接続用FPCとしては、折り曲げ用に2箇所、切り込みの入った構造を持つFPCを使用した。
【0060】
この接続用FPCを用いて、表示部パネルと駆動回路基板のコネクタとを接続した状態で、駆動回路基板を手に持ち、表示部パネルを折り返す動作を行った。その結果、表示部パネルの先端と駆動回路基板との角度が180°までは、接続用FPCに設けられた折り曲げ部が曲がることで、表示部パネルを変形することなく、スムーズに折り曲げることが出来た。
【0061】
<比較例2>
厚さ100μmのステンレス基板上に、前面に絶縁膜を形成しその上にアルミニウムをスパッタリングする事で配線用金属電極を作製し、半導体層としてアモルファスシリコンをCVD法により作製することでTFT付き基板を得た。また厚さ125μmのポリカーボネート樹脂(PC)の表面全面にITO膜が作製された基板を準備し、この2枚の基板の間にメモリー性を有するコレステリック液晶を封入して、TFT付き表示部パネルを形成した。
【0062】
上述した構成の表示部パネルに、駆動回路基板のコネクタとの接続用FPCをACFを用いて接続した。接続用FPCとしては、ポリイミド上に3μmの厚さでめっきされた銅電極を用いた。この接続用FPCは片面配線のみのものを用いた。この接続用FPCは特に折り曲げのための機能を有していないものを使用した。この接続用FPCを用いて、表示部パネルと駆動回路基板のコネクタとを接続した状態で、駆動回路基板を手に持ち、表示部パネルを折り返す動作を行った。その結果、表示部パネルがわずかしか曲がらないため、折り曲げ角度15°までは破損しなかったが、15°を超えたところで接続用FPCと表示部パネルとの接合部が破損した。
【0063】
<実施例3>
比較例2と同じ表示部パネルに、駆動回路基板のコネクタとの接続用FPCをACFを用いて接続した。接続用FPCとしては、ポリイミド上に3μmの厚さでめっきされた銅電極を用いた。この接続用FPCは片面配線のみのものを用いた。この接続用FPCとしては、折り曲げ用に1箇所、切り込みの入った構造を持つFPCを使用した。
【0064】
この接続用FPCを用いて、表示部パネルと駆動回路基板のコネクタとを接続した状態で、駆動回路基板を手に持ち、表示部パネルを折り返す動作を行った。その結果、表示部パネルの先端と駆動回路基板との折り曲げ角度110°までは破損しなかった。110°を超えたところで、接続用FPCを接続する駆動回路基板のコネクタが破損し、コネクタを補強し再度曲げたところ、折り曲げ角度110°を超えたところで、接続用FPCと表示部パネルの接合部が破損した。
【0065】
<実施例4>
比較例2と同じ表示部パネルに、駆動回路基板のコネクタとの接続用FPCをACFを用いて接続した。接続用FPCとしては、ポリイミド上に3μmの厚さでめっきされた銅電極を用いた。この接続用FPCは片面配線のみのものを用いた。この接続用FPCとしては、折り曲げ用に2箇所、切り込みの入った構造を持つFPCを使用した。
【0066】
この接続用FPCを用いて、表示部パネルと駆動回路基板のコネクタとを接続した状態で、駆動回路基板を手に持ち、表示部パネルを折り返す動作を行った。その結果、表示部パネルの先端と駆動回路基板との角度が180°までは、接続用FPCに設けられた折り曲げ部が曲がることで、表示部パネルを変形することなく、スムーズに折り曲げることが出来た。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の情報表示用パネルは、ノートパソコン、電子手帳、PDA(Personal DigitalAssistants )と呼ばれる携帯型情報機器、携帯電話、ハンディターミナル等のモバイル機器の表示部、電子書籍、電子新聞、電子マニュアル(電子取扱説明書)等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板やホワイトボード等の掲示板、電子卓上計算機、家電製品、自動車用品等の表示部、ポイントカード、ICカード等のカード表示部、電子広告、情報ボード、電子POP(Point Of Presence 、Point Of Purchase advertising )、電子値札、電子棚札、電子楽譜、RF−ID機器の表示部のほか、POS端末、カーナビゲーション装置、時計など様々な電子機器の表示部に好適に用いられる。
なお、本発明の情報表示用パネルは、パネル自体にスイッチング素子を用いない単純マトリックス駆動型ディスプレイ部やスタティック駆動型ディスプレイの他、TFTスイッチング素子を用いたアクティブマトリックス駆動型ディスプレイ部を有する情報表示用パネルとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】(a)、(b)は本発明の表示部パネルの原理的構成の一例を示す図である。
【図2】(a)、(b)は本発明の表示部パネルの原理的構成の他の例を示す図である。
【図3】(a)、(b)は本発明の表示部パネルの原理的構成のさらに他の例を示す図である。
【図4】(a)、(b)は本発明の表示部パネルの原理的構成のさらに他の例を示す図である。
【図5】本発明の表示部パネルの原理的構成のさらに他の例を示す図である。
【図6】本発明の表示部パネルの原理的構成のさらに他の例を示す図である。
【図7】(a)〜(c)はそれぞれ本発明の表示部パネルとしてコレステリック液晶を用いた例を示す図である。
【図8】本発明の表示部パネルとしてRedox系色素を用いた例を示す図である。
【図9】(a)、(b)はそれぞれ本発明の表示部パネルの第1の特徴の一例を説明するための図である。
【図10】(a)〜(c)はそれぞれ本発明の表示部パネルの第1の特徴の他の例を説明するための図である。
【図11】本発明の情報表示用パネルの第2の特徴の一例を説明するための図である。
【図12】(a)、(b)はそれぞれ本発明の表示部パネルの第2の特徴の他の例を説明するための図である。
【図13】本発明の表示部パネルの第2の特徴の一例を説明するための図である。
【図14】本発明の表示部パネルの第2の特徴の他の例を説明するための図である。
【図15】本発明の表示部パネルの第2の特徴のさらに他のを説明するための図である。
【図16】本発明の情報表示用パネルの表示部パネルで隔壁を用いる場合の隔壁の形状の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
1、2 基板
3 表示媒体(粒子群)
3W 白色表示媒体
3B 黒色表示媒体
3Wa 白色表示用粒子
3Ba 黒色表示用粒子
4 隔壁
5、6 電極
7 黒色板
8 絶縁液体
9 マイクロカプセル
21−1〜21−3 セル
22R 赤色カラーフィルター
22G 緑色カラーフィルター
22B 青色カラーフィルター
23 酸化チタンの表面
24 Redox系色素
25 Sbをドープした酸化スズ薄膜
26 酸化チタン薄膜
31 表示部パネル
32 ディスプレイ部
33 額縁部
34、34−1〜34−3 引き出し電極
35、35−1〜35−3 引き出し電極部
41 接続用基板
42−1〜42−3 表示媒体駆動回路との接続電極
43−1〜43−3 接続用端部
51 異方導電性フィルム
61 表示媒体駆動回路との接続電極
62 接続用端子部
63−1、63−2 折り曲げ部
64a、64b 切り込み
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一方が透明な2枚の基板間の空間に表示媒体を封入し、表示媒体を駆動させて画像等の情報を表示する表示部パネルを有する情報表示用パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置(LCD)に代わる情報表示装置として、帯電粒子気体中移動方式(例えば電子粉流体方式)、帯電粒子液体中移動方式(電気泳動方式)、エレクトロクロミック方式、コレステリック液晶方式、サーマル方式、2色粒子回転方式等の技術を用いた情報表示装置が提案されている。
【0003】
これらの技術は、従来のLCDと比較すると、通常の印刷物に近い広い視野角が得られたり、消費電力が小さかったり、メモリー機能を有していたりする等のメリットがあることから、次世代の安価な情報表示装置に使用可能な技術として考えられており、携帯端末用情報表示、電子ペーパー等への展開が期待されている。
【0004】
これらのうち、帯電粒子移動方式やコレステリック液晶方式は表示メモリー性(bistable性)に優れていることから、特に電子ペーパー用途への期待が高い。このうち帯電粒子移動方式の情報表示用パネルとしては、少なくとも一方が透明な2枚の基板間の空間に少なくとも1種類以上の粒子からなる光学的反射率と帯電性とを有する表示媒体を少なくとも1種類以上封入し、表示媒体に電界を付与することによって表示媒体を駆動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】国際公開第2005/062112号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した表示媒体(液晶や帯電粒子など)を駆動させて表示を行う情報表示用パネルでは、駆動用ドライバーとして高価なICを実装する必要があるが、従来の情報表示用パネルでは、ディスプレイ部に例えばTCP(Tape Career Package)形式で駆動用ドライバーを実装する構造を用いていたため、画像等の情報を表示するディスプレイ部に劣化、不良等の不具合が生じた場合には、高価なICごと破棄せざるを得なかった。そのため、高価なICを実装した駆動用ドライバーを再利用することができず、無駄が生じていた。
【0007】
上記高価なICごと破棄する無駄をなくすために、ディスプレイ部となる表示部パネルの引き出し電極部を有する端部を、駆動回路基板のコネクタに対し抜き差し自在に構成することも考えられる。しかし、ディスプレイ部となる表示部パネルの引き出し電極部を有する端部において、引き出し電極はディスプレイ部の電極と同様にフォトリソやエッチングによってパターニングして形成させるため、この場合、導電膜が薄くて機械的強度が弱いため、ディスプレイ部となる表示部パネルの抜き差し時に導電膜が損傷し、電気的接続が取れなくなり、表示の書き換えに支障をきたす問題があった。また、ディスプレイ部となる表示部パネルを本のように捲ろうとすると、ディスプレイ部となる表示部パネルを破損しやすい問題もあった。
【0008】
本発明の目的は上述した問題点を解消して、駆動回路基板のコネクタに対し抜き差しすることで機械的および電気的接続をとる表示部パネルにおいて、抜き差しの耐久性を向上させることができ、表示の書き換えに支障が生じないとともに、本のように表示部パネルを捲ることができる情報表示用パネルを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の情報表示用パネルは、少なくとも一方が透明な2枚の基板間の空間に表示媒体を封入し、表示媒体を駆動させて画像等の情報を表示する表示部パネルを有する情報表示用パネルにおいて、(1)表示部パネルの引き出し電極部を有する端部に対し、引き出し電極部の引き出し電極に対応して接続用基板に設けた表示媒体駆動回路との接続電極を接続し、引き出し電極と表示媒体駆動回路との接続電極との電気的な導通をとるよう構成するとともに、(2)表示媒体駆動回路との接続電極を、引き出し電極と接続した端部とは反対側の端部まで設けて接続用端子部を形成し、接続用端子部を駆動回路基板のコネクタに接続した状態で表示部パネルを駆動回路基板に対し折り曲げが可能となるように、接続用基板に少なくとも1箇所折り曲げ部を設けるよう構成したことを特徴とするものである。
【0010】
本発明の情報表示用パネルの好適例としては、表示部パネルの引き出し電極部を有する端部と接続用基板に設けた表示媒体駆動回路との接続電極との間に、異方導電性フィルム(ACF)を配置し、表示部パネルの引き出し電極部を有する端部と接続用基板に設けた表示媒体駆動回路との接続電極とを接続するとともに、引き出し電極と表示媒体駆動回路との接続電極との導通をとるよう構成したこと、接続用基板を、ポリイミド樹脂基板またはガラス繊維補強されたエポキシ樹脂基板としたこと、接続用基板に設ける表示媒体駆動回路との接続電極を、金属電極として構成したこと、金属電極を、銅めっき膜または銅箔から構成したこと、折り曲げ部を、接続用基板に接続した表示部パネルの端部に平行に、接続用基板の表裏両面に切り込みを形成すること、がある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、(1)表示部パネルの引き出し電極部を有する端部に対し、引き出し電極部の引き出し電極に対応して接続用基板に設けた表示媒体駆動回路との接続電極を接続し、引き出し電極と表示媒体駆動回路との接続電極との電気的な導通をとるよう構成したことで、駆動回路基板のコネクタに対し抜き差しすることで機械的および電気的接続をとる表示部パネルにおいて、抜き差しの耐久性を向上させることができ、表示の書き換えに支障が生じない情報表示用パネルを得ることができる。また、(2)表示媒体駆動回路との接続電極を、引き出し電極と接続した端部とは反対側の端部まで設けて接続用端子部を形成し、接続用端子部を駆動回路基板のコネクタに接続した状態で表示部パネルを駆動回路基板に対し折り曲げが可能となるように、接続用基板に少なくとも1箇所折り曲げ部を設けるよう構成したことで、本のように表示部パネルを捲ることができる情報表示用パネルを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
まず、本発明の情報表示用パネルに用いる表示部パネルの基本的な構成の一例として帯電粒子移動方式の表示部パネルについて説明する。この表示部パネルでは、対向する2枚の基板間の空間に封入した帯電粒子を含んで構成された表示媒体に電界が付与される。付与された電界方向にそって、表示媒体が電界による力やクーロン力などによって引き寄せられ、表示媒体が電界方向の変化によって移動することにより、画像等の情報表示がなされる。従って、表示媒体が、均一に移動し、かつ、繰り返し表示を書き換える時あるいは表示情報を継続して表示する時の安定性を維持できるように、表示部パネルを設計する必要がある。ここで、表示媒体を構成する粒子にかかる力は、粒子同士のクーロン力により引き付けあう力の他に、電極や基板との電気鏡像力、分子間力、液架橋力、重力などが考えられる。
【0013】
本発明の対象となる表示部パネル構成を図1(a)、(b)〜図4(a)、(b)および図5〜図8に基づき説明する。
【0014】
図1(a)、(b)に示す例では、光学的反射率と帯電性とを有する帯電粒子を含む少なくとも1種以上の粒子から構成される、互いに光学的反射率および帯電特性が異なる表示媒体を少なくとも2種以上(ここでは白色表示媒体用粒子3Waの粒子群からなる白色表示媒体3Wと黒色表示媒体用粒子3Baの粒子群からなる黒色表示媒体3Bを示す)基板間に封入し、隔壁4で形成された各セルにおいて、基板1に設けた電極5(個別電極)と基板2に設けた電極6(個別電極)との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1および基板2と垂直に移動させる。そして、図1(a)に示すように白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色ドット表示を行うか、あるいは、図1(b)に示すように黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色ドット表示を行っている。なお、図1(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。
【0015】
図2(a)、(b)に示す例では、光学的反射率と帯電性とを有する帯電粒子を含む少なくとも1種以上の粒子から構成される、互いに光学的反射率および帯電特性が異なる表示媒体を少なくとも2種以上(ここでは白色表示媒体用粒子3Waの粒子群からなる白色表示媒体3Wと黒色表示媒体用粒子3Baの粒子群からなる黒色表示媒体3Bを示す)基板間に封入し、隔壁4で形成された各セルにおいて、基板1に設けた電極5(ライン電極)と基板2に設けた電極6(ライン電極)との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1および基板2と垂直に移動させる。そして、図2(a)に示すように白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色ドット表示を行うか、あるいは、図2(b)に示すように黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色ドット表示を行っている。なお、図2(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。
【0016】
図3(a)、(b)に示す例では、3個のセルで表示単位(1ドット)を構成するカラー表示の例を示している。図3(a)、(b)に示す例では、表示媒体としてはすべてのセル21−1〜21−3に白色表示媒体3Wと黒色表示媒体3Bとを充填し、第1のセル21−1の観察者側に赤色カラーフィルター22Rを設け、第2のセル21−2の観察者側に緑色カラーフィルター22Gを設け、第3のセル21−3の観察者側に青色カラーフィルター22BLを設け、第1のセル21−1、第2のセル21−2および第3のセル21−3の3個のセルで表示単位(1ドット)を構成している。本例では、図3(a)に示すように、観察者側に、すべての第1のセル21−1〜第3のセル21−3において白色表示媒体3Wを移動することで、観察者に対し白色ドット表示を行うか、あるいは、図3(b)に示すように、観察者側に、すべての第1のセル21−1〜第3のセル21−3において黒色表示媒体3Bを移動することで、観察者に対し黒色ドット表示を行っている。なお、図3(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。各セル内の表示媒体の移動のさせ方で多色カラードット表示が行える。
【0017】
図4(a)、(b)に示す例では、光学的反射率と帯電性とを有する帯電粒子を含む少なくとも1種以上の粒子から構成される表示媒体を1種(ここでは白色表示媒体用粒子3Waの粒子群からなる白色表示媒体3Wを示す)基板間に封入し、隔壁4で形成された各セルにおいて、基板1に設けた電極5と電極6との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1および基板2と平行方向に移動させる。そして、図4(a)に示すように、白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色ドット表示を行うか、あるいは、図4(b)に示すように、黒色板7の色を観察者に視認させて黒色ドット表示を行っている。なお、図4(a)、(b)に示す例では、手前にある隔壁は省略している。
【0018】
電子泳動ディスプレイでドットマトリックス表示を行う場合はアクティブ駆動が必須となり、裏面側をTFT(Thin Film Transistor)基板にする必要がある。これを図示したのが図5、図6である、個別電極5、6で対電極を構成している。この場合、基板1、2間の空間に、表示媒体として白色表示媒体3Wと黒色表示媒体3Bとを絶縁液体8とともに内部に封入したマイクロカプセル9を配置している。本例では、白色表示媒体3Wを正(+)に帯電する粒子とし、黒色表示媒体3Bを負(−)に帯電する粒子とした場合の一例として説明する。まず、電極付基板1および電極付基板2に対して交互に0(Volt)、V(Volt)を印加して前に表示した画像等の情報を消去し、表示面全体を黒表示にしておく。このとき、電極付基板1にはV(Volt)が印加され、TFT画素電極には0(Volt)が印加されている。次に、電極付基板1を0(Volt)にしておいて、白に反転したい画素にのみ電極付基板2に向けたTFT画素電極に70(Volt)を印加することで、当該画素のみを白反転することができる。
【0019】
逆に、電極付基板1および電極付基板2に対して交互に0(Volt)、V(Volt)を印加して前に表示した画像等の情報を消去し、表示面全体を白表示にしておく。このとき、電極付基板1には0(Volt)が印加され、TFT画素電極にはV(Volt)が印加されている。次に、電極付基板1を70(Volt)印加にしておいて、黒に反転したい画素にのみ電極付基板2に設けたTFT画素電極に0(Volt)を印加することで、当該画素のみを黒反転することができる。なお、図5、図6において、基板間ギャップ確保用部材は省略している。また、隔壁を設けない構成を示したが、各マイクロカプセルに隔壁を設けてもかまわない。
【0020】
図7(a)〜(c)に示す例は、電極付基板1、電極付基板2間の空間に、ネマティック液晶にカイラル剤を20〜40%添加したコレステリック液晶を封入し、電圧を印加することで、コレステリック液晶の配向状態を変化させて画像等の情報を表示するものである。
【0021】
まず、基準となる図7(a)のプレーナ状態の場合は、コレステリック液晶の螺旋のピッチに対応した波長の光を選択的に反射する。このプレーナ状態に、電極付基板1および電極付基板2に低電圧のパルスを印加することで、図7(b)のフォーカルコニック状態に遷移する。このフォーカルコニック状態は光を透過するため、電極付基板2の表面に設けた光吸収層により透過した光が吸収されるために黒表示となる。次に、電極付基板1および電極付基板2に高電圧パルスを印加することで、図7(c)のホメオトロピック状態を経て図7(a)のプレーナ状態に戻る。このような動作を各画素毎に行うことで画像等の情報表示を行う。なお、コレステリック液晶の螺旋ピッチは添加するカイラル剤の種類や量によってコントロールすることができ、選択的に反射する光を赤色、緑色、青色にして、縦方向に3枚重ねることでフルカラー表示も可能である。
【0022】
図8に示す例は、電極付基板2の透明電極上に多孔質の酸化チタン(TiO2)薄膜が形成され、その多孔質の酸化チタンの表面23にビオローゲン誘導体のようなRedox系色素24を吸着してある。一方の電極付基板1の透明電極上にはSbをドープした酸化スズ薄膜25を形成し、その上にイオン透過可能な酸化チタンの粒子を層状に形成する。これら2枚の電極付基板の間に電解質を封入する。両電極間に電流を流し、Redox系色素24を酸化状態で発色させることにより色表示を行い、還元状態で消色状態では透明になるため、電極付1の上に形成した酸化チタン薄膜26が反射層になり、白表示を行う。この場合には、Redox系色素24を選択することで、発色の波長を変えることが可能であり、カラー表示も可能である。
【0023】
上述したように、本発明の技術は:
(1)少なくとも一方が透明な2枚の電極付基板間の気体中空間に、光学的反射率を有する帯電粒子を含む少なくとも1種類以上の粒子からなる粒子群で構成した表示媒体を少なくとも1種類以上封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する気体中粒子移動方式表示部パネル;
(2)少なくとも一方が透明な2枚の電極付基板間の空間に、光学的反射率および極性が異なる2種類の帯電粒子を含んで構成した表示媒体を絶縁液体と共に封入したマイクロカプセルを配置し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する電気泳動方式(液体中粒子移動方式)表示部パネル;
(3)少なくとも一方が透明な2枚の電極付基板間の空間にコレステリック液晶を封入し、基板間に印加する電圧を制御することにより、画像等の情報を表示するコレステリック液晶方式表示部パネル;
(4)少なくとも一方が透明な2枚の電極付基板間の空間に酸化状態と還元状態とで透明性が変化するエレクトロクロミック材料を充填し、電極間に電流を流して、電気化学反応により酸化状態、還元状態を変化させることにより、画像等の情報を表示するエレクトロクロミック方式表示部パネル;
(5)その他、バイステイブル(bistable)性(メモリー性)を有する、MEMS方式表示部パネル、銀の電解による析出表示部パネル、溶解反応を利用した方式の表示部パネルほか、従来の液晶方式を用いた表示部パネルにも適用できる。
【0024】
本発明の情報表示用パネルの特徴となる部分は、上述した構成の表示部パネルを用いた情報表示用パネルにおいて、(1)表示部パネルの引き出し電極部を有する端部に対し、引き出し電極部の引き出し電極に対応して接続用基板に設けた表示媒体駆動回路との接続電極を接続し、引き出し電極と表示媒体駆動回路との接続電極との電気的な導通をとるよう構成するとともに(第1の特徴)、(2)表示媒体駆動回路との接続電極を、引き出し電極と接続した端部とは反対側の端部まで設けて接続用端子部を形成し、接続用端子部を駆動回路基板のコネクタに接続した状態で表示部パネルを駆動回路基板に対し折り曲げが可能となるように、接続用基板に少なくとも1箇所折り曲げ部を設けるよう構成したこと(第2の特徴)にある。以下、各特徴部分を順に説明する。
【0025】
<第1の特徴について>
図9(a)、(b)および図10(a)〜(c)はそれぞれ本発明の情報表示用パネルの第1の特徴の一例を説明するための図である。本発明の情報表示用パネルを得るためには、まず、図9(a)に示す表示部パネル31、および、図9(b)に示す接続用基板41を準備する。
【0026】
表示部パネル31は、上述したように2枚の基板から構成され、実際に画像等の情報を表示するディスプレイ部32とその周囲の額縁部33とを備えている。ディスプレイ部32において、互いに直交する複数のライン電極(図示せず)が設けられており、外部の装置との接続用に、額縁部33を介して表示部パネル31の一端まで、各ライン電極を延長する引き出し電極34を設け、引き出し電極部35を形成している。図9(a)に示す例では、横方向のライン電極については、上半分を左側の引き出し電極34−1に、下半分を右側の引き出し電極34−2に分担させて、それぞれの引き出し電極部35−1、35−2を形成している。また、縦方向のライン電極については、引き出し電極34−3により端部まで延長させ、引き出し電極部35−3を形成している。引き出し電極部35−1、35−2と引き出し電極部35−3とは、表示部パネル31の端部において、2つの基板のそれぞれに設けてもよいし、いずれか一方を導電粒子等を用いて他方と同じ基板に引き出し、いずれか一方の同じ基板上に設けてもよい。なお、引き出し電極34−1〜34−3は、ディスプレイ部32の電極と同じ例えばITOにより形成されている。
【0027】
接続用基板41は、表示部パネル31と同じ幅を有している。そして、引き出し電極部35−1〜35−3の引き出し電極34−1〜34−3に対応して、一方の端部から他方の端部まで、表示媒体駆動回路との接続電極42−1〜42−3を設けるとともに、駆動回路基板のコネクタに接続するための接続用端子部43−1〜43−3を形成している。接続用基板41としては、ガラエポ基板(ガラス繊維補強されたエポキシ樹脂基板)、ポリイミド基板などから構成されたフレキシブル・プリント基板(FPC)など、強度の高い基板とすることが好ましい。基板41としては、その他にも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル、ポリカーボネート、塩化ビニルなどの種々のプラスチックも使用できる。
【0028】
接続用基板に設ける接続用電極のうち、表示媒体駆動回路との接続を行う電極(表示媒体駆動回路との接続電極42)部分は導電性が良い金属で構成した金属電極として構成する。電極材料としては、銅、アルミニウム、ニッケル、クロムなどの金属や、金、銀、白金、パラジウムなどの貴金属、およびこれらの合金を使用することができる。このうち、耐曲げ強度に優れ、安価な良導電性材料である銅を用いることが好ましい。
電極の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、メッキ法、CVD(化学蒸着)法、ペースト塗布法等で薄膜状にパターニング形成する方法、金属箔をラミネート(例えば圧延銅箔など)した後パターニングする方法が用いられる。このうち、厚さ制御が容易でパターニング形成後の耐強度にも優れるメッキ法、金属箔ラミネート法を用いることが好ましい。
この表示媒体駆動回路との接続電極42は、接続時、接続解除時に摩擦が繰り返され摩耗損失しやすいので厚さを0.01〜50μm、好ましくは0.1〜20μmとするのがよい。0.01μmより薄いと摩耗による電極損失のために導通不良が短期間に発生する不具合があり、50μmより厚いと電極形成に長時間を要し、低コストで製造できなくなる不具合がある。
表示媒体駆動回路との接続電極42の位置は、後述するように、表示部パネル31と接続用基板41とを重ね合わせることで、図10(a)〜(c)に示すような本発明の情報表示用パネルを得ることができる。ここで、図10(a)は情報表示用パネルの正面図を示し、図10(b)は図10(a)に示す情報表示用パネルの側面図を示し、図10(c)は図10(a)において丸印で囲んだ部分の詳細な図を示している。
【0029】
図10(a)〜(c)に示す本発明の情報表示用パネルは、図9(a)に示すように表示部パネル31の引き出し電極部35−1〜35−3を有する端部に対し、引き出し電極部35−1〜35−3に対応して表示媒体駆動回路との接続電極42−1〜42−3を設けた接続用基板41を接続し、引き出し電極34−1〜34−3と表示媒体駆動回路との接続電極42−1〜42−3との電気的な導通をとるようにして得ることができる。具体的には、図10(a)〜(c)に示すように、表示部パネル31の引き出し電極部35−1〜35−3を有する端部と接続用基板41との間に、異方導電性フィルム(ACF)51を配置し、表示部パネル31の引き出し電極部35−1〜35−3を有する端部と接続用基板41とを機械的に接続するとともに、引き出し電極34−1〜34−3と表示媒体駆動回路との接続電極42−1〜42−3との電気的な導通を取るよう構成している。
また、機械的接続と電気的な導通とをとる方法として、ACFの他にも、異方性導電ペースト(ACP)を用いる方法、Non-Conductive Film(NCF)を用いる方法、Non-Conductive Paste(NCP)を用いる方法などが適用できる。
【0030】
上述した本発明の情報表示用パネルでは、表示部パネル31の引き出し電極34−1〜34−3を、ACF51などを用いて、強度の高いFPC31上の表示媒体駆動回路との接続電極42−1〜42−3に電気的に接続し、FPC41上の表示媒体駆動回路との接続電極42−1〜42−3の接続用端子部43−1〜43−3を駆動回路基板のコネクタに差し込むことで、導電膜の損傷を避けることができる。例えば、ポリイミド基板に銅箔がラミネートされた基板をパターニングして中継用のFPCとし、表示部パネル側のITO電極からなる接続部はACFなどで接着してしまい、FPCの反対側で駆動回路基板のコネクタに抜き差しする構造とすることで、表示部パネル上のITO電極からなる導電膜あるいは蒸着された金属導電膜を直接抜き差しする場合に比べて、大幅な強度の向上が図れるため、抜き差し回数の大幅な向上が見込まれる。
【0031】
また、上述した本発明の情報表示用パネルの説明では、ドライバーICについて触れなかったが、ドライバーICは、駆動回路基板上にあっても、情報表示用パネル上にあってもかまわない。ドライバーICが駆動回路基板上にある場合は、接続する電極の線の数が多くなるが、情報表示用パネル上にドライバーを実装する必要がないので表示部パネルの構造が簡単で、価格も安価にできる。ドライバーICが情報表示用パネル上にある場合は、ドライバーICの駆動回路基板側の電極線の数だけ接続すればよいので、抜き差し時に接続する線の数が少なくてすむが、情報表示用パネルにICを実装するので価格が高くなる。
【0032】
<第2の特徴について>
図11および図12(a)、(b)はそれぞれ本発明の情報表示用パネルの第2の特徴の一例を説明するための図である。図11は情報表示用パネルの全体を示す図であり、図12(a)、(b)はそれぞれ本発明の情報表示用パネルを構成する接続用基板の概念を示す正面図および側面図である。
【0033】
図11および図12(a)、(b)に示す例において、表示部パネル31の引き出し電極部35における引き出し電極34に対応して、引き出し電極34側の一方の端部から駆動回路基板のコネクタ側の他方の端部まで、接続用基板41上において表示媒体駆動回路との接続電極61を設けるとともに、接続用基板41の他方の端部に、駆動回路基板のコネクタに接続するために用いられる接続用端子部62を形成している。そして、接続用端子部62を駆動回路基板のコネクタに接続した状態で、表示部パネル31を駆動用回路基板に対し折り曲げが可能となるように、接続用基板41に少なくとも1箇所、本例では2箇所、折り曲げ部63−1、63−2を設けている。各折り曲げ部63−1、63−2は、接続用基板41に接続した表示部パネル31の端部に平行に、接続用基板41の表裏両面のそれぞれに切り込み64a、64bを形成することで構成されている。
【0034】
上述した例によれば、接続用基板41に折り曲げ可能な折り曲げ部63−1、63−2を設けることで、表示部パネル31と駆動回路基板の接続部付近とから曲げられるようになり、本のページのように表示部パネル31を捲ることが可能となる。
【0035】
図13〜図15はそれぞれ本発明の情報表示用パネルを折り曲げた状態の一例を示す図である。図13に示す例では、折り曲げ部が折り曲げ部63−1の1段のみの場合を示しており、表示部パネル31と接続用基板41とが同一平面にある状態から、表示部パネル31が左右それぞれに90°折り曲がった状態を示している。図15に示す例では、折り曲げ部が折り曲げ部63−1、63−2の2段の場合を示しており、表示部パネル31と接続用基板41とが同一平面にある状態から、表示部パネル31が左右それぞれに90°折り曲がった状態を示している。図15に示す例では、折り曲げ部が折り曲げ部63−1、63−2の2段の場合を示しており、表示部パネル31と接続用基板41とが同一平面にある状態から、表示部パネル31が左右それぞれに180°折り曲がった状態を示している。
【0036】
以下、本発明の情報表示用パネルを構成する各部材について説明する。
【0037】
表示部パネルの基板としては、少なくとも一方の基板はパネル外側から表示媒体が確認できる透明基板であり、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。もう一方の基板となる背面基板は透明でも不透明でもかまわない。基板材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルサルフィン(PES)、アクリル等の 有機高分子系基板や、ガラスシート、石英シート、金属シート等を用い、表示面側にはこのうち透明なものを用いる。基板の厚みは、2〜2000μmが好ましく、さらに5〜1000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、2000μmより厚いと、薄型の表示部パネルとする場合に不都合がある。
【0038】
画素電極の形成材料としては、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等の金属類や酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化インジウム、導電性酸化錫、アンチモン錫酸化物(ATO)、導電性酸化亜鉛等の導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子類が例示され、適宜選択して用いられる。電極の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状にパターニング形成する方法、金属箔をラミネートする方法(例えば圧延銅箔など)や、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布してパターニング形成する方法が用いられる。視認側(表示面側)基板に設ける画素電極は透明である必要があるが、背面側基板に設ける画素電極は透明である必要がない。いずれの場合もパターン形成可能である導電性である上記材料を好適に用いることができる。なお、画素電極厚みは、導電性や光透過性を鑑みて決定され、0.01〜10μm、好ましくは0.05〜5μmである。背面側基板に設ける電極の材質や厚みについては光透過性を鑑みる必要はない。なお、この場合の外部電圧入力は、直流あるいは交流を重畳しても良い。
【0039】
必要に応じて基板に設ける隔壁については、その形状は表示にかかわる表示媒体の種類や、配置する電極の形状、配置により適宜最適設定され、一概には限定されないが、隔壁の幅は2〜100μm、好ましくは3〜50μmに、隔壁の高さは10〜500μm、好ましくは10〜200μmに調整される。帯電粒子移動方式の表示部パネルに設ける隔壁の高さは10〜100μm、好ましくは10〜50μmである。
また、隔壁を形成するにあたり、対向する両基板1、2の各々にリブを形成した後に接合する両リブ法、片側の基板上にのみリブを形成する片リブ法が考えられる。この発明では、いずれの方法も用いられる。
これらのリブからなる隔壁により形成されるセルは、図16に示すごとく、基板平面方向からみて四角状、三角状、ライン状、円形状、六角状が例示され、配置としては格子状やハニカム状や網目状が例示される。表示面側から見える隔壁断面部分に相当する部分(セルの枠部の面積)はできるだけ小さくした方が良く、表示状態の鮮明さが増す。
ここで、隔壁の形成方法を例示すると、金型転写法、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、フォトリソ法、アディティブ法が挙げられる。いずれの方法もこの発明の情報表示装置に搭載する情報表示用パネルに好適に用いることができるが、これらのうち、レジストフィルムを用いるフォトリソ法や金型転写法が好適に用いられる。
【0040】
次に、本発明の情報表示用パネルの表示部パネルを帯電粒子移動方式として構成する場合の表示媒体について説明する。この場合の表示媒体は、光学的反射率と帯電性とを有する粒子(表示用粒子ともいう)を含むものであり、そのまま表示用粒子だけで構成して表示媒体としたり、その他の粒子と合わせて構成して表示媒体としたりして用いられる。
粒子には、その主成分となる樹脂に、必要に応じて、荷電制御剤、着色剤、無機添加剤等を含ますことができる。以下に、樹脂、荷電制御剤、着色剤、その他添加剤を例示する。
【0041】
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、2種以上混合することもできる。特に、基板との付着力を制御する観点から、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が好適である。
【0042】
荷電制御剤としては、特に制限はないが、負荷電制御剤としては例えば、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、4級アンモニウム塩系化合物、カリックスアレン化合物、含ホウ素化合物(ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられる。正荷電制御剤としては例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。その他、超微粒子シリカ、超微粒子酸化チタン、超微粒子アルミナ等の金属酸化物、ピリジン等の含窒素環状化合物及びその誘導体や塩、各種有機顔料、フッ素、塩素、窒素等を含んだ樹脂等も荷電制御剤として用いることもできる。
【0043】
着色剤としては、以下に例示するような、有機または無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。
【0044】
黒色着色剤としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等がある。
青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等がある。
赤色着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等がある。
【0045】
黄色着色剤としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファーストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12等がある。
緑色着色剤としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、C.I.ピグメントグリーン7、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。
橙色着色剤としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31等がある。
紫色着色剤としては、マンガン紫、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等がある。
白色着色剤としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
【0046】
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等がある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等がある。
【0047】
無機系添加剤の例としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、鉛白、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナホワイト、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムオレンジ、チタンイエロー、紺青、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン、コバルトバイオレット、酸化鉄、カーボンブラック、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅粉、アルミニウム粉などが挙げられる。
これらの顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。このうち特に黒色顔料としてカーボンブラックが、白色顔料として酸化チタンが好ましい。上記着色剤を配合して所望の色の表示用粒子を作製できる。
【0048】
また、表示用粒子(以下、粒子ともいう)は平均粒子径d(0.5)が、1〜50μmの範囲であり、均一で揃っていることが好ましい。平均粒子径d(0.5)がこの範囲より大きいと表示上の鮮明さに欠け、この範囲より小さいと粒子同士の凝集力が大きくなりすぎるために表示媒体としての移動に支障をきたすようになる。
【0049】
さらに、各表示用粒子の粒子径分布に関して、下記式に示される粒子径分布Spanを5未満、好ましくは3未満とする。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを5以下の範囲に納めることにより、各表示用粒子のサイズが揃い、均一な表示媒体としての移動が可能となる。
【0050】
さらにまた、複数の表示媒体を使用する場合には、使用した表示媒体を構成する表示用粒子の内、最大の平均粒子径d(0.5)を示す表示用粒子のd(0.5)に対する、最小の平均粒子径d(0.5)を示す表示用粒子のd(0.5)の比を10以下とすることが肝要である。たとえ粒子径分布Spanを小さくしたとしても、互いに帯電特性の異なる表示用粒子が互いに反対方向に動くので、互いの表示用粒子サイズが近く、互いの表示用粒子が当量ずつ反対方向に容易に移動できるようにするのが好適であり、それがこの範囲となる。
【0051】
なお、上記の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。
ここで、粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mie理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行なうことができる。
【0052】
さらに、表示用粒子を含んで構成する表示媒体を気体中空間で駆動させる方式とする場合には、表示部パネル基板間の表示媒体を取り巻く空隙部分の気体の管理が重要であり、表示安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の気体の湿度について、25℃における相対湿度を60%RH以下、好ましくは50%RH以下とすることが重要である。
この空隙部分とは、図1(a),(b)〜図4(a),(b)、図5〜図8において、対向する基板1、基板2に挟まれる部分から、電極5、6(電極を基板の内側に設けた場合)、表示媒体3の占有部分、隔壁4の占有部分(隔壁を設けた場合)、表示部パネルのシール部分を除いた、いわゆる表示媒体が接する気体部分を指すものとする。
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるように表示部パネルに封入することが必要であり、例えば、表示媒体の充填、表示部パネルの組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに、外からの湿度侵入を防ぐシール材、シール方法を施すことが肝要である。
【0053】
本発明の情報表示用パネルの表示部パネルにおける基板と基板との間隔は、表示媒体が駆動できて、コントラストを維持できればよいが、通常2〜500μm、好ましくは5〜200μmに調整される。
表示部パネルを帯電粒子気体中空間移動方式とする場合は、基板と基板との間隔は10〜100μm、好ましくは10〜50μmの範囲で調整される。さらに、基板間の気体中空間における表示媒体の体積占有率は5〜70%が好ましく、さらに好ましくは5〜60%である。70%を超える場合には表示媒体の移動に支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
【実施例】
【0054】
以下、本発明の実施例および比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0055】
<比較例1>
ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)基板上にパターニングされたITOを電極として、表示部パネルを作製した。基板には厚さ125μmのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)の表面に、ストライプ状にITO膜がパターニングされた透明基板を用いた。この基板上に高さ50μm、幅30μmの隔壁を形成し、隔壁で囲まれたセル内に表示媒体として帯電粒子を封入し、ストライプ状にITO膜がパターニングされたもう一方の電極フィルムを貼り合わせることで、表示部パネルを作製した。このとき対向する2枚の基材フィルムにパターニングされたITO電極は、互いに直行する方向に貼りあわせることで、マトリクス状に表示が行えるように構成した。
【0056】
上述した構成の表示部パネルに、駆動回路基板のコネクタとの接続用FPCをACFを用いて接続した。接続用FPCとしては、ポリイミド上に3μmの厚さでめっきされた銅電極を用いた。この接続用FPCは片面配線のみのものを用いた。この接続用FPCは特に折り曲げのための機能を有していないものを使用した。この接続用FPCを用いて、表示部パネルと駆動回路基板のコネクタとを接続した状態で、駆動回路基板を手に持ち、表示部パネルを折り返す動作を行った。その結果、表示部パネルの先端と駆動回路基板との角度が30°までは、表示部パネルがたわむことで、表示部パネル、コネクタとも破損しなかった。折り曲げた角度が30°を超えると、接続用FPCを接続する駆動回路基板のコネクタが破損した。コネクタを補強して、再度曲げたところ、折り曲げた角度が30°を超えたころで、表示部パネルそのものが破損した。
【0057】
<実施例1>
比較例1と同じ表示部パネルに、駆動回路基板のコネクタとの接続用FPCをACFを用いて接続した。接続用FPCとしては、ポリイミド上に3μmの厚さでめっきされた銅電極を用いた。この接続用FPCは片面配線のみのものを用いた。この接続用FPCとしては、折り曲げ用に1箇所、切り込みの入った構造を持つFPCを使用した。
【0058】
この接続用FPCを用いて、表示部パネルと駆動回路基板のコネクタとを接続した状態で、駆動回路基板を手に持ち、表示部パネルを折り返す動作を行った。その結果、表示部パネルの先端と駆動回路基板との角度が90°までは、接続用FPCに設けられた折り曲げ部が曲がることで、表示部パネルを変形することなく、スムーズに折り曲げることが出来た。折り曲げた角度が120°までは、表示部パネルがたわむことで、損傷無く曲げることが出来た。折り曲げた角度が120°を超えると、接続用FPCを接続する駆動回路基板のコネクタが破損し、コネクタを補強して、再度曲げたところ、折り曲げた角度が120°を超えたころで、今度は表示部パネルそのものが破損した。
【0059】
<実施例2>
比較例1と同じ表示部パネルに、駆動回路基板のコネクタとの接続用FPCをACFを用いて接続した。接続用FPCとしては、ポリイミド上に3μmの厚さでめっきされた銅電極を用いた。この接続用FPCは片面配線のみのものを用いた。この接続用FPCとしては、折り曲げ用に2箇所、切り込みの入った構造を持つFPCを使用した。
【0060】
この接続用FPCを用いて、表示部パネルと駆動回路基板のコネクタとを接続した状態で、駆動回路基板を手に持ち、表示部パネルを折り返す動作を行った。その結果、表示部パネルの先端と駆動回路基板との角度が180°までは、接続用FPCに設けられた折り曲げ部が曲がることで、表示部パネルを変形することなく、スムーズに折り曲げることが出来た。
【0061】
<比較例2>
厚さ100μmのステンレス基板上に、前面に絶縁膜を形成しその上にアルミニウムをスパッタリングする事で配線用金属電極を作製し、半導体層としてアモルファスシリコンをCVD法により作製することでTFT付き基板を得た。また厚さ125μmのポリカーボネート樹脂(PC)の表面全面にITO膜が作製された基板を準備し、この2枚の基板の間にメモリー性を有するコレステリック液晶を封入して、TFT付き表示部パネルを形成した。
【0062】
上述した構成の表示部パネルに、駆動回路基板のコネクタとの接続用FPCをACFを用いて接続した。接続用FPCとしては、ポリイミド上に3μmの厚さでめっきされた銅電極を用いた。この接続用FPCは片面配線のみのものを用いた。この接続用FPCは特に折り曲げのための機能を有していないものを使用した。この接続用FPCを用いて、表示部パネルと駆動回路基板のコネクタとを接続した状態で、駆動回路基板を手に持ち、表示部パネルを折り返す動作を行った。その結果、表示部パネルがわずかしか曲がらないため、折り曲げ角度15°までは破損しなかったが、15°を超えたところで接続用FPCと表示部パネルとの接合部が破損した。
【0063】
<実施例3>
比較例2と同じ表示部パネルに、駆動回路基板のコネクタとの接続用FPCをACFを用いて接続した。接続用FPCとしては、ポリイミド上に3μmの厚さでめっきされた銅電極を用いた。この接続用FPCは片面配線のみのものを用いた。この接続用FPCとしては、折り曲げ用に1箇所、切り込みの入った構造を持つFPCを使用した。
【0064】
この接続用FPCを用いて、表示部パネルと駆動回路基板のコネクタとを接続した状態で、駆動回路基板を手に持ち、表示部パネルを折り返す動作を行った。その結果、表示部パネルの先端と駆動回路基板との折り曲げ角度110°までは破損しなかった。110°を超えたところで、接続用FPCを接続する駆動回路基板のコネクタが破損し、コネクタを補強し再度曲げたところ、折り曲げ角度110°を超えたところで、接続用FPCと表示部パネルの接合部が破損した。
【0065】
<実施例4>
比較例2と同じ表示部パネルに、駆動回路基板のコネクタとの接続用FPCをACFを用いて接続した。接続用FPCとしては、ポリイミド上に3μmの厚さでめっきされた銅電極を用いた。この接続用FPCは片面配線のみのものを用いた。この接続用FPCとしては、折り曲げ用に2箇所、切り込みの入った構造を持つFPCを使用した。
【0066】
この接続用FPCを用いて、表示部パネルと駆動回路基板のコネクタとを接続した状態で、駆動回路基板を手に持ち、表示部パネルを折り返す動作を行った。その結果、表示部パネルの先端と駆動回路基板との角度が180°までは、接続用FPCに設けられた折り曲げ部が曲がることで、表示部パネルを変形することなく、スムーズに折り曲げることが出来た。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の情報表示用パネルは、ノートパソコン、電子手帳、PDA(Personal DigitalAssistants )と呼ばれる携帯型情報機器、携帯電話、ハンディターミナル等のモバイル機器の表示部、電子書籍、電子新聞、電子マニュアル(電子取扱説明書)等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板やホワイトボード等の掲示板、電子卓上計算機、家電製品、自動車用品等の表示部、ポイントカード、ICカード等のカード表示部、電子広告、情報ボード、電子POP(Point Of Presence 、Point Of Purchase advertising )、電子値札、電子棚札、電子楽譜、RF−ID機器の表示部のほか、POS端末、カーナビゲーション装置、時計など様々な電子機器の表示部に好適に用いられる。
なお、本発明の情報表示用パネルは、パネル自体にスイッチング素子を用いない単純マトリックス駆動型ディスプレイ部やスタティック駆動型ディスプレイの他、TFTスイッチング素子を用いたアクティブマトリックス駆動型ディスプレイ部を有する情報表示用パネルとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】(a)、(b)は本発明の表示部パネルの原理的構成の一例を示す図である。
【図2】(a)、(b)は本発明の表示部パネルの原理的構成の他の例を示す図である。
【図3】(a)、(b)は本発明の表示部パネルの原理的構成のさらに他の例を示す図である。
【図4】(a)、(b)は本発明の表示部パネルの原理的構成のさらに他の例を示す図である。
【図5】本発明の表示部パネルの原理的構成のさらに他の例を示す図である。
【図6】本発明の表示部パネルの原理的構成のさらに他の例を示す図である。
【図7】(a)〜(c)はそれぞれ本発明の表示部パネルとしてコレステリック液晶を用いた例を示す図である。
【図8】本発明の表示部パネルとしてRedox系色素を用いた例を示す図である。
【図9】(a)、(b)はそれぞれ本発明の表示部パネルの第1の特徴の一例を説明するための図である。
【図10】(a)〜(c)はそれぞれ本発明の表示部パネルの第1の特徴の他の例を説明するための図である。
【図11】本発明の情報表示用パネルの第2の特徴の一例を説明するための図である。
【図12】(a)、(b)はそれぞれ本発明の表示部パネルの第2の特徴の他の例を説明するための図である。
【図13】本発明の表示部パネルの第2の特徴の一例を説明するための図である。
【図14】本発明の表示部パネルの第2の特徴の他の例を説明するための図である。
【図15】本発明の表示部パネルの第2の特徴のさらに他のを説明するための図である。
【図16】本発明の情報表示用パネルの表示部パネルで隔壁を用いる場合の隔壁の形状の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
1、2 基板
3 表示媒体(粒子群)
3W 白色表示媒体
3B 黒色表示媒体
3Wa 白色表示用粒子
3Ba 黒色表示用粒子
4 隔壁
5、6 電極
7 黒色板
8 絶縁液体
9 マイクロカプセル
21−1〜21−3 セル
22R 赤色カラーフィルター
22G 緑色カラーフィルター
22B 青色カラーフィルター
23 酸化チタンの表面
24 Redox系色素
25 Sbをドープした酸化スズ薄膜
26 酸化チタン薄膜
31 表示部パネル
32 ディスプレイ部
33 額縁部
34、34−1〜34−3 引き出し電極
35、35−1〜35−3 引き出し電極部
41 接続用基板
42−1〜42−3 表示媒体駆動回路との接続電極
43−1〜43−3 接続用端部
51 異方導電性フィルム
61 表示媒体駆動回路との接続電極
62 接続用端子部
63−1、63−2 折り曲げ部
64a、64b 切り込み
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が透明な2枚の基板間の空間に表示媒体を封入し、表示媒体を駆動させて画像等の情報を表示する表示部パネルを有する情報表示用パネルにおいて、(1)表示部パネルの引き出し電極部を有する端部に対し、引き出し電極部の引き出し電極に対応して接続用基板に設けた表示媒体駆動回路との接続電極を接続し、引き出し電極と表示媒体駆動回路との接続電極との電気的な導通をとるよう構成するとともに、(2)表示媒体駆動回路との接続電極を、引き出し電極と接続した端部とは反対側の端部まで設けて接続用端子部を形成し、接続用端子部を駆動回路基板のコネクタに接続した状態で表示部パネルを駆動回路基板に対し折り曲げが可能となるように、接続用基板に少なくとも1箇所折り曲げ部を設けるよう構成したことを特徴とする情報表示用パネル。
【請求項2】
表示部パネルの引き出し電極部を有する端部と接続用基板に設けた表示媒体駆動回路との接続電極との間に、異方導電性フィルム(ACF)を配置し、表示部パネルの引き出し電極部を有する端部と接続用基板に設けた表示媒体駆動回路との接続電極とを接続するとともに、引き出し電極と表示媒体駆動回路との接続電極との導通をとるよう構成したことを特徴とする請求項1に記載の情報表示用パネル。
【請求項3】
接続用基板を、ポリイミド樹脂基板またはガラス繊維補強されたエポキシ樹脂基板としたことを特徴とする請求項1または2に記載の情報表示用パネル。
【請求項4】
接続用基板に設ける表示媒体駆動回路との接続電極を、金属電極として構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報表示用パネル。
【請求項5】
前記金属電極を、銅めっき膜または銅箔から構成したことを特徴とする請求項4に記載の情報表示用パネル。
【請求項6】
折り曲げ部を、接続用基板に接続した表示部パネルの端部に平行に、接続用基板の表裏両面に切り込みを形成することで構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報表示用パネル。
【請求項1】
少なくとも一方が透明な2枚の基板間の空間に表示媒体を封入し、表示媒体を駆動させて画像等の情報を表示する表示部パネルを有する情報表示用パネルにおいて、(1)表示部パネルの引き出し電極部を有する端部に対し、引き出し電極部の引き出し電極に対応して接続用基板に設けた表示媒体駆動回路との接続電極を接続し、引き出し電極と表示媒体駆動回路との接続電極との電気的な導通をとるよう構成するとともに、(2)表示媒体駆動回路との接続電極を、引き出し電極と接続した端部とは反対側の端部まで設けて接続用端子部を形成し、接続用端子部を駆動回路基板のコネクタに接続した状態で表示部パネルを駆動回路基板に対し折り曲げが可能となるように、接続用基板に少なくとも1箇所折り曲げ部を設けるよう構成したことを特徴とする情報表示用パネル。
【請求項2】
表示部パネルの引き出し電極部を有する端部と接続用基板に設けた表示媒体駆動回路との接続電極との間に、異方導電性フィルム(ACF)を配置し、表示部パネルの引き出し電極部を有する端部と接続用基板に設けた表示媒体駆動回路との接続電極とを接続するとともに、引き出し電極と表示媒体駆動回路との接続電極との導通をとるよう構成したことを特徴とする請求項1に記載の情報表示用パネル。
【請求項3】
接続用基板を、ポリイミド樹脂基板またはガラス繊維補強されたエポキシ樹脂基板としたことを特徴とする請求項1または2に記載の情報表示用パネル。
【請求項4】
接続用基板に設ける表示媒体駆動回路との接続電極を、金属電極として構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報表示用パネル。
【請求項5】
前記金属電極を、銅めっき膜または銅箔から構成したことを特徴とする請求項4に記載の情報表示用パネル。
【請求項6】
折り曲げ部を、接続用基板に接続した表示部パネルの端部に平行に、接続用基板の表裏両面に切り込みを形成することで構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報表示用パネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−69610(P2009−69610A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−239392(P2007−239392)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
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