説明

情報表示装置

【課題】視認性が良く、的確な情報を伝達できる情報表示装置を提供すること。
【解決手段】赤色LED、緑色LED、および青色LEDとで画素としての1ドットを構成し、該1ドットを基板上にマトリクス状に配置したLEDユニットを備える表示部と、前記LEDの発光状態を制御する制御部とを備え、前記1ドットに配置された赤色、緑色および青色の各LEDは、いずれも縦横には直線上に並ばないように配置され、かつ、LEDユニットにおいては、同色のLEDは縦横に直線上に並ぶように配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路情報などを表示する情報表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高速道路や一般道路の道路近傍において注意喚起情報や各種の道路情報等を表示する情報表示装置が知られている。このような情報表示装置の表示部には、複数色のLED(発光ダイオード)で1ドット(画素)を構成するとともに、これをマトリクス状に多数配置し、各LEDを発光させて文字や数字、図柄、およびそれらの組み合わせにより、道路情報等を表示するものが従来からある。
【0003】
通常、この種の情報表示装置においては、赤色LED(R)、緑色LED(G)、および青色LED(B)と1ドットを構成し、この赤色LED(R)、緑色LED(G)、および青色LED(B)の点灯状態を制御して、フルカラー表示を可能としている(赤と緑を同時点灯して橙色を発光、3色を同時に点灯して白色を発光、など)。
【0004】
また、この1ドットをマトリクス状に配置し、各LEDの点灯を制御することによって、様々な文字や数字、図柄、およびそれらの組み合わせ(文字等)をマルチカラー表示するようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この従来の情報表示装置においては、1ドットにおける各LEDは、通常L字型に配置されている(図5参照)。
【0006】
しかしながら、上記のような配置だと、例えば、前述のように赤色LED(R)と緑色LED(G)とを同時に点灯させて橙色を発光させる場合、表示される文字等の線幅は、横線と縦線とで大きく異なってしまう。それゆえ、道路の通行者からすれば、非常に見えづらい(読みづらい)という欠点がある。
【0007】
図5を参照すれば、この場合、横線は、Xの線幅、すなわち赤色LED(R)の上端と緑色LED(G)の下端との両端間の線幅に見えるのに対し、縦線は、Yの線幅、すなわち赤色LED(R)および緑色LED(G)の横幅寸法の線幅に見える。したがって、この場合、横線に比して縦線が見えにくく、また文字等の表示としてもバランスが悪くなるので、非常に視認性が悪い。
【0008】
特に道路近傍の情報表示装置においては、高速で通過する車両の運転者等に天候・災害情報や、事故情報、渋滞情報、その他様々な交通情報を的確に伝えられるよう、明確な表示が求められる。そのため、文字や数字等を表示する際に、はっきりとした横線、縦線を使った視認性の高い文字、数字等表示が採用されることが多い。それにもかかわらず、上記従来のLEDの配置を利用したのでは、横線と縦線との線幅が違いすぎるので、車両の運転者等に見えづらく、正しい情報を伝達できない可能性がある。
【0009】
本発明は、上記の問題点を克服するためになされたものであり、情報表示装置における表示文字等の横線と縦線との線幅の差を小さくすることによって視認性を高め、車両の運転者等、道路の通行者に対して的確に情報を伝達しうる情報表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明の情報表示装置は、赤色LED、緑色LED、および青色LEDとで画素としての1ドットを構成し、該1ドットを基板上にマトリクス状に配置したLEDユニットを備える表示部と、前記LEDの発光状態を制御する制御部とを備え、前記1ドットの赤色、緑色および青色の各LEDは、いずれも縦横には直線上に並ばないように配置され、かつ、LEDユニットにおいては、同色のLEDは縦横に直線上に並ぶように配置されていることを特徴とする。
【0011】
この情報表示装置によれば、1ドットの赤色、緑色および青色の各LEDは、いずれも縦横に直線上には並ばないように配置されており、文字等を表示する際に、横線と縦線との線幅の差が小さくなるので、視認性が向上する。したがって、車両の運転者等、道路の通行者に正確な情報を伝達することが可能となる。
【0012】
また、本発明の情報表示装置においては、1ドットにおける赤色LED、緑色LED、および青色LEDが、正三角形の頂点の位置に配置されるよう構成するのが好ましい。
【0013】
このようにすれば、各LED間の間隔が等距離となるので、各1ドットの発光色の制御が容易となる。
【0014】
さらに、基板の外表面を黒色とするのが好ましく、つや消しの黒色とするのがより好ましい。
【0015】
このようにすれば、LEDの発光色とのコントラストが向上し、また太陽光など外部から入射する光の反射を抑制できるので、視認性がより良くなる。尚、上記黒色とするのは、成形材料によるものでもよいし、塗装などにより基板の表面に加工する方法によるものでもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、1ドットの赤色、緑色および青色の各LEDは、いずれも縦横に直線上には並ばないように配置されており、表示部で表示される文字等の横線と縦線との線幅の差が小さくなるので、視認性が向上する。それゆえ、車両の運転者等、道路の通行者に対して、非常に見やすい情報表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る情報表示装置の最良の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る情報表示装置の実施形態を示す正面図であり、図2は、その側面図である。図3は、LEDユニットの正面図であり、図4は、図3におけるAの部分を拡大して、LEDの配置を示した図である。また、図5は、従来のLEDの配置を示した図である。
【0019】
図1および図2に示すとおり、この実施形態における道路表示装置1は、道路近傍に立設された支柱Pに取り付けられている。この道路標示装置1は、表示部3を備えた表示体本体2と、表示部3に備えたLED(71R、71G、71B)の点灯を制御する制御部4と、各LEDに電力を供給する太陽電池5とにより構成されている。
【0020】
表示体本体2は、前面が開口し背面が閉塞した本体部21と、本体部21の前面開口部を覆う蓋体22とからなり、その内部に表示部3が収容されている。本体部21および蓋体22は、例えばアルミニウム合金により構成されている。
【0021】
本体部21の背面は、支柱Pに取り付け可能に構成されている。蓋体22は本体部21にヒンジを介して回動可能に取り付けられており、該ヒンジを中心に回動することによって本体部21の前面開口部を開閉することが可能となっている。
【0022】
また、蓋体22の正面には、表示部3が外部から視認可能なように開口した窓部221が形成され、この窓部221には、透光性を有する合成樹脂により形成された窓板がはめ込まれている。
【0023】
この実施形態において、表示部3は、LEDユニット31を縦に4枚連設して構成されている。各LEDユニット31は、基板6上に多数のLEDを縦横にマトリクス状に配置したものである。より具体的には、図3に示すとおり、赤色LED71R、緑色LED71G、および青色LED71Bを各1つずつ備えて1ドット71を構成し、これを基板6上にマトリクス状に配置してLEDユニット31を構成している。また、この実施形態においては、各LEDユニット31は、縦横共24×24ドットの構成を採用している。
【0024】
制御部4は、各LEDの点灯を制御するものであり、点灯を制御するためのプログラムの設定や選択等を行うコントローラ41と、太陽電池5で生起された電力を蓄えるための蓄電池42とを備えている。この制御部4は、本体部21の背面側に対向するようにして支柱Pに取り付けられており、表示部3に電気通信的に接続されている。より具体的には、制御部4は、基板6の背面側に実装されている電子部品に電気通信的に接続されており、これによって、各LEDに電力や信号などを供給できるようにしている。
【0025】
太陽電池5は、太陽光を利用して電力を生起するものであり、生起された電力は、制御部4の蓄電池42に蓄えられ、各LEDに供給される。
【0026】
以上のような構成により、表示部3の各LEDの点灯が制御され、様々な文字、数字等を表示部3においてカラー表示することができる。
【0027】
次に、図4は、図3のAの部分を拡大した図であり、LEDユニット31の各ドット内における赤色LED71R、緑色LED71G、および青色LED71Bの配置を示している。
【0028】
この実施形態においては、赤色LED71R、緑色LED71G、および青色LED71Bは、それぞれ正三角形の頂点の位置にその中心が位置するように配置され、これにより1ドットを構成している。また、各ドットにおいて、緑色LED71Gの中心と青色LED71Bとを結ぶ直線が、水平線Lと角度θ=約15度の角度をなすような配置としている。
【0029】
このように各LEDを配置することにより、例えば赤色LED71Rと緑色LED71Gとを同時に点灯して橙色の発光をさせ、文字等を表示する場合、横線は図4におけるMの線幅、すなわち赤色LED71Rの上端と緑色LED71Gの下端との間の線幅で発光しているように見え、縦線は、Nの線幅、すなわち緑色LED71Gの左端と赤色LED71Rの右端との間の線幅で発光しているように見える。
【0030】
したがって、既述の従来のLED配置(図5)の場合にくらべ、横線と縦線との線幅の差が小さくなり、視認性の良い文字、数字等の表示が可能となっている。
【0031】
このことは、赤色LED71Rと緑色LED71Gとを同時に点灯する場合のみならず、赤色LED71Rと青色LED71Bとを同時に点灯する場合や、緑色LED71Gと青色LED71Bとを同時に点灯する場合などにおいても同様であり、同じく従来のLED配置に比して表示部3において表示される文字等の視認性が向上する。
【0032】
尚、この実施形態においては、基板6につや消し黒色の基板を使用している。これにより、表示部3に入射する太陽光などの光が基板6表面で反射するのを抑制することができる。
【0033】
また、この実施形態においては、基板6上に配置されたLEDには全てチップLEDを用いている。チップLEDは縦横、および縦寸法が砲弾型のLEDに比べて小さいので、表示部を前面から見た場合、基板6の見える面積が大きくなる。しかも、砲弾型LEDを使用する場合のようにLEDのレンズに太陽光等が反射するようなこともない。それゆえ、つや消し黒色の基板6を使用したことと相俟って、背景(基板6)とLEDの発光とのコントラストが際立ち、非常に視認性の良い表示が可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る情報表示装置の1実施形態を示す正面図である。
【図2】本発明に係る情報表示装置の1実施形態を示す側面図である。
【図3】本発明に係る情報表示装置におけるLEDユニットの1実施形態を示す正面図である。
【図4】図3におけるAの部分を拡大した図である。
【図5】従来のLEDの配置を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1 情報表示装置
2 表示体本体
21 本体部
22 蓋体
3 表示部
4 制御部
6 基板
71 1ドット
71R 赤色LED
71G 緑色LED
71B 青色LED




【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤色LED、緑色LED、および青色LEDとで画素としての1ドットを構成し、該1ドットを基板上にマトリクス状に配置したLEDユニットを備える表示部と、前記LEDの発光状態を制御する制御部とを備え、前記1ドットに配置された赤色、緑色および青色の各LEDは、いずれも縦横には直線上に並ばないように配置され、かつ、LEDユニットにおいては、同色のLEDは縦横に直線上に並ぶように配置されていることを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
1ドットにおける赤色LED、緑色LED、および青色LEDが、正三角形の頂点の位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の情報表示装置。
【請求項3】
基板の外表面が黒色であることを特徴とする請求項1又は2記載の情報表示装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−60882(P2010−60882A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226888(P2008−226888)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】