説明

情報記録媒体

【課題】記録層へ可視情報を記録する際に、かすれが生じたり、ICチップが埋設されている部分の表面基材や裏面基材が削られたりすることを防ぐことができる情報記録媒体を提供する。
【解決手段】情報記録媒体1は、ホールが設けられたコア基材5と、固有の識別情報を格納しホールに埋設されるRFIDインレット8と、コア基材5の一方の面上に設けられる表面基材4と、コア基材5の他方の面上に設けられる裏面基材6と、表面基材5上に設けられ可視情報を記録可能な記録層3とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録媒体、特に、ICチップを備える情報記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、利用状況に応じて券面情報を書き換えるポイントカードや有効期限の表示を更新する交通券のカードといった一時的に記録層に可視情報を記録する情報記録媒体が提案されている(特許文献1参照)。この情報記録媒体としては、ロイコ化合物や、有機低分子/高分子を用いたものが知られている。一般的にロイコ化合物を用いた場合では、透明もしくは白の背景色から、主に青もしくは黒へ変化するものが用いられている。また、有機低分子/高分子を用いた場合では、透明から白色へ変化するものが用いられている。このように記録層に可視情報を記録する際には、記録装置により記録層に熱が加えられる。通常は、記録装置としてプリンタが用いられ、プリンタのサーマルヘッドにより情報記録媒体の記録層に熱が加えられる。
【0003】
この情報記録媒体としては、可視情報を記録層に記録するとともに、磁気記録層やICチップを内蔵し、クレジットカードサイズのものが提案されている。カードサイズは形態性・利便性・ハンドリングの観点から相対的に硬めの媒体が用いられてきた。最近ではICチップを使用して非接触で通信を行なうRFIDタグを設けた情報記録媒体も提案されている。
【0004】
RFIDタグを設けた情報記録媒体は、クレジットカードより小さいものから、大きいものまで多岐に亘り、例えばA5サイズやA4サイズのものが知られている。サイズが大きい情報記録媒体は、記録する可視情報(文字、図柄、コード等)の情報量が多い場合に用いられる。また、繰り返し可視情報を記録層に記録する際に、情報記録媒体が折れたり、しわになったりすることにより、記録層への可視情報の記録に支障をきたさない情報記録媒体が提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平2−188293号公報
【特許文献2】特開2004−226488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
情報記録媒体を構成する際、通常は記録層、表面基材、裏面基材でICチップを挟み込む構成とするのが一般的である。しかしながら、この情報記録媒体では、ICチップの厚みによって情報記録媒体の表面上又は裏面上に部分的に凹凸が発生し、プリンタで印字することにより記録層に可視情報を記録する際に、かすれが生じて印字品質が低下したり、ICチップが埋設されている部分の表面基材や裏面基材が削られたりするという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、記録層へ可視情報を記録する際に、かすれが生じたり、ICチップが埋設されている部分の表面基材や裏面基材が削られたりすることを防ぐことができる情報記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、ホールが設けられたコア基材と、固有の識別情報を格納し前記ホールに埋設されるICチップと、前記コア基材の一方の面上に設けられる表面基材と、前記コア基材の他方の面上に設けられる裏面基材と、前記表面基材上又は前記裏面基材上に設けられ可視情報を記録可能な記録層とを有することを特徴とする情報記録媒体である。
本発明では、コア基材のホール内にICチップを埋設するようにしたので、情報記録媒体の表面や裏面にICチップの厚みに起因する凹凸が生じなくなり、プリンタで記録層へ可視情報を記録する際に、かすれが生じたり、ICチップが埋設されている部分の表面基材や裏面基材が削られたりすることを防ぐことができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、前記コア基材は、ポリオレフィン系の樹脂シートで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体である。
本発明では、コア基材を、柔軟性のあるポリオレフィン系の樹脂シートで形成するようにしたので、プリンタで記録層へ可視情報を記録する際に、コア基材が割れたり、プリンタを通過しなかったりすることを防ぐことができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、前記表面基材及び前記裏面基材は、ポリエチレンテレフタレートにより形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報記録媒体である。
本発明では、表面基材及び裏面基材を、耐熱性のあるポリエチレンテレフタレートにより形成するようにしたので、プリンタで記録層へ可視情報を加熱記録する際に、表面基材と裏面基材とに挟まれたコア基材が熱により変形等することを防ぐことができる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、前記コア基材の厚みは、前記ICチップの厚みの0.9倍以上であって3.0倍以下であることを特徴とする請求項1から3までのいずれかの項に記載の情報記録媒体である。
本発明では、コア基材の厚みをICチップの厚みの0.9倍以上としたので、コア基材の表面上又は裏面上に、ICチップの厚みによる凹凸が現れることを防ぐことができ、プリンタで記録層へ可視情報を記録する際に、かすれが生じたり、ICチップが埋設されている部分の表面基材や裏面基材が削られたりすることを防ぐことができる。
また、本発明では、コア基材の厚みをICチップの厚みの3.0倍以下としたので、コア基材に設けられているホールの影響で表面基材又は裏面基材が凹むことにより、プリンタで記録層へ可視情報を記録できなくなることを防ぐことができる。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、前記表面基材と前記コア基材間、及び、前記裏面基材と前記コア基材間がそれぞれ接着層で貼り合わされていることを特徴とする請求項1から4までのいずれかの項に記載の情報記録媒体である。
本発明では、表面基材とコア基材間、及び、裏面基材とコア基材間をそれぞれ接着層で貼り合わせるようにしたので、表面基材とコア基材間、及び、裏面基材とコア基材間をそれぞれ加熱成形によって張り合わせる場合に比べて、情報記録媒体の製造工程を簡略化することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、記録層へ可視情報を記録する際に、かすれが生じたり、ICチップが埋設されている部分の表面基材や裏面基材が削られたりすることを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態による情報記録媒体1の構成を示す断面図である。情報記録媒体1は、ホールが設けられたコア基材5と、ホールに埋設されるRFIDインレットと、コア基材5の一方の面上に設けられる表面基材4と、コア基材5の他方の面上に設けられる裏面基材6と、表面基材4上に設けられ可視情報を記録可能な記録層3とを有する。また、記録層3上には、保護層2が設けられている。コア基材5の厚みはt1である。
裏面基材6とコア基材5とは、接着層7aで貼り合わされている。また、裏面基材6と表面基材4とは、接着層7bで貼り合わされている。
【0014】
図2は、本発明の実施形態によるRFIDインレット8の具体的な構成を示す断面図である。RFIDインレット8は、樹脂シート81上に、アルミニウムや銅などの金属からなるアンテナ82が設けられている。アンテナ82の一部領域上には、各ICチップ83に固有の識別情報を格納するICチップが備え付けられている。ICチップ83の厚みはt2である。
【0015】
図1に戻り、保護層2は記録層3を保護するためのものであって、例えばアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エポキシ系樹脂、フェノキシ系樹脂等、あるいは紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂等を単独または複合して使用可能である。
また必要に応じ、感熱記録適性を疎外しない範囲でフィラー類やワックス類を滑り性、耐熱性、焼き付き防止等の効果を付与するために添加しても良い。塗布厚は0.1〜10μm、好ましくは1〜5μmであるが、これに限定することなく、必要に応じ設けることができる。保護層2を設ける方法としては、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、ロールコーティング法、マイクログラビアコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スピンコート法等が使用可能である。
【0016】
記録層3はサーマルヘッドやレーザーあるいはホットスタンプ等を用いて可視情報(文字、図柄、コード等)を感熱記録するための層であり、温度に依存して色調が変化する材料から構成される。記録層3は、一回記録のみの感熱記録材料でも多数回記録可能な感熱記録材料でもよく、用途によって使い分けることができる。これらの材料は一般的にロイコ染料及び顕色剤と呼ばれる。
【0017】
ロイコ染料としてはトリフェニルメタンフタリド系、トリアリルメタン系、フルオラン系、フェノチジアン系、リオフェルオラン系、キサンテン系、インドフタリル系、スピロピラン系、アザフタリド系、クロメノピラゾール系、メチン系、ローダミンアニリノラクタム系、ローダミンラクタム系、キナゾリン系、ジアザキサンテン系、ビスラクトン系等の材料が使用可能である。
【0018】
具体的な化合物としては、例えば3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名クリスタルバイオレツトラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロルフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロルフルオラン、3−ジメチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンズフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロルフルオラン、3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−{N−(3'−トリフルオルメチルフェニル)アミノ}−6−ジエチルアミノフルオラン、2−{3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9−(o−クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム}、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリクロロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−N−メチル−N−アミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)フルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブル−、6'−クロロ−8'−メトキシ−ベンゾインドリノ−ピリロスピラン、6'−ブロモ−3'−メトキシ−ベンゾインドリノ−ピリロスピラン、3−(2'−ヒドロキシ−4'−ジメチルアミノフェニル)−3−(2'−メトキシ−5'−クロルフェニル)フタリド、3−(2'−ヒドロキシ−4'−ジメチルアミノフェニル)−3−(2'−メトキシ−5'−ニトロフェニル)フタリド、3−(2'−ヒドロキシ−4'−ジエチルアミノフェニル)−3−(2'−メトキシ−5'−メチルフェニル)フタリド、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2',4'−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(2'−メトキシ−4'−ジメチルアミノフェニル)−3−(2'−ヒドロキシ−4'−クロル−5'−メチルフェニル)フタリド、3−モルホリノ−7−(N−プロピル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(N−ベンジル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−(ジ−p−クロルフェニル)メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピペリジノフルオラン、2−クロロ−3−(N−メチルトルイジノ)−7−(pーn−ブチルアニリノ)フルオラン、3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5、6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4’−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4’、5’−ベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2',4'−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}−6−ジメチルアミノフタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−p−ジメチルアミノフェニル1−フェニルエチレン−2−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−p−ジメチルアミノフェニル1−p−クロロフェニルエチレン−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4'−ジメチルアミノ−2'−メトキシ)−3−(1''−p−ジメチルアミノフェニル1''−p−クロロフェニル1'',3''−ブタジエン−4''−イル)ベンゾフタリド、3−(4'−ジメチルアミノ−2'−ベンジルオキシ)−3−(1''−p−ジメチルアミノフェニル1''−フェニル1'',3''−ブタジエン−4''−イル)ベンゾフタリド、3−ジメチルアミノ−6−ジメチルアミノ−フルオレン−9−スピロ−3'−(6'−ジメチルアミノ)フタリド、3,3−ビス{2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル}−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−ビス{1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル}−5,6−ジクロロ−4,7−ジブロモフタリド、ビス(p−ジメチルアミノスチリル)−1−ナフタレンスルホニルメタン、3(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオランスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、3−ジエチルアミノ−6−クロル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4’,5’−ベンゾフルオラン、3−N−メチル−N−イソブチル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−イソアミル−6−メチル−7−アニリノフルオラン等が使用可能である。
【0019】
また、顕色剤としては例えばフェノール性化合物、チオフェノール性化合物、チオ尿素誘導体、有機酸及びその金属塩等を用いることができ、その具体例としては以下に示すようなものが挙げられる。4、4'−イソプロピリデンビスフェノール、3、4'−イソプロピリデンビスフェノール、4、4'−イソプロピリデンビス(o−メチルフェノール)、4、4'−セカンダリーブチリデンビスフェノール、4、4'−イソプロピリデンビス(o−ターシャリーブチルフェノール)、4、4'−シクロヘキシリデンジフェノール、4、4'−イソプロピリデンビス(2−クロロフェノール)、2、2'−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、2、2'−メチレンビス(4−エチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、4、4'−ブチリデンビス(6−ターシャリーブチル−2−メチル)フェノール、1、1、3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ターシャリブチルフェニル)ブタン、1、1、3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4、4'−チオビス(6−ターシャリーブチル−2−メチル)フェノール、4、4'−ジフェノールスルホン、4、2'−ジフェノールスルホン、4−イソプロポキシ−4'−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ベンジロキシ−4'−ヒドロキシジフェニルスルホン、4、4'−ジフェノールスルホキシド、P−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、P−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、プロトカテキユ酸ベンジル、没食子酸ステアリル、没食子酸ラウリル、没食子酸オクチル、1、7−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3、5−ジオキサヘプタン、1、5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサペンタン、1、3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−プロパン、2、2'−メチレンビス(4−エチル−6−ターシャリブチルフェノール)、1、3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−2−ヒドロキシプロパン、N、N'−ジフェニルチオ尿素、N、N'−ジ(m−クロロフェニル)チオ尿素、サリチルアニリド、5−クロロ−サリチルアニリド、サリチル−o−クロロアニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、チオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、2−アセチルオキシ−3−ナフトエ酸の亜鉛塩、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ヒドロキシナフトエ酸の亜鉛、アルミニウム、カルシウム等の金属塩、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルエステル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジルエステル、4−{β−(p−メトキシフェノキシ)エトキシ}サリチル酸、1、3−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、1、4−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、2、4'−ジフェノールスルホン、3、3'−ジアリル−4、4'−ジフェノールスルホン、α、α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−α−メチルトルエンチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールS、4、4'−チオビス(2−メチルフェノール)、3,4−ヒドロキシ−4’−メチル−ジフェニルスルホン、4、4'−チオビス(2−クロロフェノール)等が使用可能である。
塗布厚は1〜30μm、好ましくは10〜20μmであるが、これに限定することなく、必要に応じ設けることができる。記録層3を設ける方法としては、保護層2と同様の方法を使用することができる。
【0020】
表面基材4は、ある程度の耐熱性と強度を有するものが使用可能であり、1〜2000μm、好ましくは50〜1000μm程度の厚さのポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネート、フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、セロファン等のフィルムが使用可能である。
【0021】
ホール付きコア基材5は、RFIDインレット8の特にICチップの厚みを緩衝するものである。コア基材5の厚みt1は、ICチップ83の厚みt2の0.9倍以上であって3.0倍以下のものが用いられる。より好ましくは、コア基材5の厚みt1は、ICチップ83の厚みt2の0.9倍以上であって2.0倍以下のものが用いられる。
コア基材5としては、ポリオレフィン系の樹脂シートや、ポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネート、フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、セロファン等のフィルムが使用可能である。
なお、ポリオレフィン系の樹脂シートは柔軟性を有するため、コア基材5をポリオレフィン系の樹脂シートで形成することにより、情報記録媒体1の固さを適度に調節することができ、可視情報を記録層3に記録する際のサーマルヘッドの当たりが良くなるため、印字品質を良好にすることができる。
【0022】
裏面基材6としては、ある程度の耐熱性と強度を有するものが使用可能であり、1〜2000μm、好ましくは50〜1000μm程度の厚さのポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネート、フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、セロファン、ポリオレフィン等のフィルムが使用可能である。
表面基材4及び裏面基材6をポリエチレンテレフタレートにより形成することにより、プリンタで記録層3へ可視情報を加熱記録する際に、表面基材4と裏面基材6とに挟まれたコア基材5が熱により変形等することを防ぐことができる。
なお、裏面基材6に、印刷等により模様を付加してもよい。
【0023】
接着層7は、各構成部材を一体化するための接着層であり印刷法、コーティング法等により、膜厚0.1から200μm程度に設けることができる。接着層7に使用される樹脂としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂等、通常接着層として用いられるもので良く、感熱接着層、感圧接着層等が用いられ特に限定されるものではない。
【0024】
RFIDインレット8は、図2に示すような構成をしており、アンテナ82は共振周波数が125KHzや13.65MHz、900MHz、2.45GHz等に合う長さにアルミニウム、銅、銀、金等の金属薄層で形成されたループ状またはダイポール形のアンテナパターンとして作製してある。ここで、ICチップ83とアンテナの接合方法は異方導電性フィルムや異方導電性ペーストなどの公知の接続用材料を用いて熱圧着することで行なうことができる。
【0025】
ICチップ83は集積回路として形成されるものであり、制御部、変復調部を有すると共にメモリー領域を有するものであって、メモリー領域には固有の識別データなどID情報(識別情報)が格納してある。またメモリー領域に格納されているID情報は制御部によって呼び出されてアンテナ82から発信することができるようにしてあり、アンテナ82から発信されたID情報をリーダー/ライターとして形成されるスキャナーで受信して読み取ることができるようにしてある。
【0026】
このID情報の発信・受信は、電源を有しない非接触ICカードの場合と同じ原理で行なわれる。すなわち、スキャナーからは微弱な電波で呼び出しが行なわれるようになっており、この電波で誘導電磁界が形成されている。そして誘導電磁界内にアンテナ82が位置する程度に、スキャナーをアンテナ82に近接させると、アンテナに電磁誘導で起電力が発生する。ICチップ83ではこの起電力を電源として、メモリー領域に格納されているID情報を制御部で呼び出してアンテナ82から送信することができ、このように発信されたID情報をスキャナーで受信して読み取ることができる。
【実施例】
【0027】
(実施例1)
図1に示す情報記録媒体1おいて、厚み125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる表面基材4に可逆性記録塗料をバーコート法にて10μm塗布し記録層3を形成した。この記録層3上に保護層塗料をバーコート法にて5μm塗布し保護層2を形成した。
他方、厚み135μmのホール付きのコア基材5(ICチップ83の厚みに対して、0.9倍相当の厚み)を用意し、このホール内にRFIDインレット8(ICチップ83の厚みは150μm)を設け、188μm厚のポリエチレンテレフタレートである裏面基材6を接着層7で一体化し情報記録媒体1を製造した。
【0028】
使用した塗料は以下の通りである。
<記録層塗料>
・2−(2−クロロフェニルアミノ)−6−ジエチルアミノフルオラン(ロイコ化合物) ・・・ 20重量部
・ビスフェノール酢酸−ラウリルアミン塩(顕減色剤) ・・・ 40重量部
・メタクリル樹脂(バインダー樹脂) ・・・ 30重量部
・N−ステアリルステアリン酸アマイド(増感剤) ・・・ 40重量部
・トルエン ・・・ 500重量部
【0029】
<保護層塗料>
・アクリル系樹脂(三菱レイヨン社製 BR−80) ・・・ 50重量部
・炭酸カルシウム(白石工業株式会社製 白艶華O、平均粒子径0.03μm)
・・・ 1.5重量部
・トルエン ・・・ 100重量部
・メチルエチルケトン ・・・ 100重量部
【0030】
<接着層層塗料>
・ポリエステル樹脂(富士写真フィルム株式会社製 スタフィックスSOC−30M) ・・・ 50重量部
・メチルエチルケトン ・・・ 50重量部
・トルエン ・・・ 50重量部
【0031】
<コアおよび裏面基材>
・オレフィンシート(オカモト株式会社製 コンビニフィルム)
【0032】
(実施例2)
実施例2は、厚み300μmのホール付きのコア基材5(ICチップ83の厚みに対して、2.0倍相当の厚み)を用意し、このホール内にRFIDインレット8(ICチップ83の厚みは150μm)を設け、100μm厚の発泡ポリエチレンテレフタレートである裏面基材6を用意した。
なお、表面基材4、記録層3、保護層2は実施例1で使用したものを用い、それぞれ接着層で一体化し情報記録媒体1を製造した。
【0033】
(比較例1)
比較例1は、厚み75μmのホール付きのコア基材5(ICチップ83の厚みに対して、0.5倍相当の厚み)を用意し、このホール内にRFIDインレット8(ICチップ83の厚みは150μm)を設け、188μm厚のポリエチレンテレフタレートである裏面基材6を用意した。
なお、表面基材4、記録層3、保護層2は実施例1で使用したものを用い、それぞれ接着層で一体化し情報記録媒体1を製造した。
【0034】
(比較例2)
比較例2は、厚み750μmのホール付きのコア基材5(ICチップ83の厚みに対して、5倍相当の厚み)を用意し、このホール内にRFIDインレット8(ICチップ83の厚みは150μm)を設け、75μm厚の発泡ポリエチレンテレフタレートである裏面基材6を用意した。
なお、表面基材4、記録層3、保護層2は実施例1で使用したものを用い、それぞれ接着層で一体化し情報記録媒体1を製造した。
【0035】
以上の実施例1、実施例2、比較例1、比較例2における情報記録媒体1について、プリンタ(三和ニューテック(株)製リライタブルプリンタ「SRP−3101」)により連続100枚の印字テストを行ない、印字品質、耐久性、プリンタ適性の各特性に関して評価を行った。この内容を表1に示した。
【0036】
【表1】

【0037】
印字品質としては、プリンタで可視情報を記録層3に印字する際に、印字した文字等にかすれが生じたか否かに基づいて評価を行なった。○は印字した文字等にかすれが生じなかったことを示し、×は印字した文字等にかすれが生じたことを示している。
また、耐久性としては、ICチップ83が埋設されている部分の表面基材4や裏面基材6に削れが生じたか否かに基づいて評価を行なった。○は削れが生じなかったことを示し、×は削れが生じたことを示している。
また、プリンタ適正としては、プリンタで情報記録媒体1に印字を行なう際に、情報記録媒体1がプリンタ内を支障なく通過したか否かに基づいて評価を行なった。○は情報記録媒体1がプリンタ内を支障なく通過したことを示し、×は情報記録媒体1がプリンタ内を通過しなかったことを示しており、△は多少の支障が生じたもののプリンタ内を通過したことを示している。
【0038】
表1から、比較例1はホール付きのコア基材5の厚みが薄いため、ICチップ83の部分の厚みが厚く凸形状を示した。そのため、プリンタによる印字の際に、ICチップ83の部分が擦れることにより削れて記録層3が剥離してしまった。
更に、比較例2はホール付きのコア基材5の厚みが厚いため、ICチップ83の部分が凹形状を示した。そのため、プリンタによる印字の際に、ICチップ83の部分が凹み、印字できなかった。また、比較例2では、情報記録媒体1の総厚が厚く、プリンタによる印字途中で止まる不具合も発生した。
一方、実施例1及び実施例2では、ICチップ83の部分の厚みが他の部分とほぼ同一であり、印字品質、耐久性、プリンタ適性共に良好な結果であった。
【0039】
上述したように、本発明の実施形態による情報記録媒体1によれば、コア基材5の厚みt1をICチップ83の厚みt2の0.9倍以上としたので、コア基材5の表面上又は裏面上に、ICチップの厚みによる凹凸が現れることを防ぐことができ、プリンタで記録層3へ可視情報を記録する際に、かすれが生じたり、ICチップ83が埋設されている部分の表面基材4や裏面基材6が削られたりすることを防ぐことができる。
また、コア基材5の厚みt1をICチップ83の厚みt2の3.0倍以下としたので、コア基材5に設けられているホールの影響で表面基材4又は裏面基材6が凹むことにより、プリンタで記録層3へ可視情報を記録できなくなることを防ぐことができる。
なお、上述した情報記録媒体1は、電子カンバン、工程指示書、表示カード、RFIDタグの表示体としてプリンタで印字表示、タグリーダライタでタグ情報の書き換えを行なう際などに用いられる。
【0040】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態による情報記録媒体1の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態によるRFIDインレット8の具体的な構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1・・・情報記録媒体、2・・・保護層、3・・・記録層、4・・・記録層、5・・・コア基材、6・・・裏面基材、7a、7b・・・接着層、8・・・RFIDインレット、81・・・樹脂シート、82・・・アンテナ、83・・・ICチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホールが設けられたコア基材と、
固有の識別情報を格納し前記ホールに埋設されるICチップと、
前記コア基材の一方の面上に設けられる表面基材と、
前記コア基材の他方の面上に設けられる裏面基材と、
前記表面基材上又は前記裏面基材上に設けられ可視情報を記録可能な記録層と、
を有することを特徴とする情報記録媒体。
【請求項2】
前記コア基材は、ポリオレフィン系の樹脂シートで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。
【請求項3】
前記表面基材及び前記裏面基材は、ポリエチレンテレフタレートにより形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報記録媒体。
【請求項4】
前記コア基材の厚みは、前記ICチップの厚みの0.9倍以上であって3.0倍以下であることを特徴とする請求項1から3までのいずれかの項に記載の情報記録媒体。
【請求項5】
前記表面基材と前記コア基材間、及び、前記裏面基材と前記コア基材間がそれぞれ接着層で貼り合わされていることを特徴とする請求項1から4までのいずれかの項に記載の情報記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−83804(P2008−83804A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−260788(P2006−260788)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】