説明

情報通信システム、および情報通信方法

【課題】操作性を悪化させることなく、情報の通信に掛かる電力消費を最小限に抑える。
【解決手段】デジタルカメラ10で撮影が実行されると、イネーブル信号が送信される。イネーブル信号が受信されると、携帯電話11では、近距離無線用通信回路69、GPS用通信回路71、および測位回路75が起動され、GPS用通信回路71、および測位回路75により位置データが取得される。位置データの取得後、GPS用通信回路71、および測位回路75の動作が停止される。デジタルカメラ10と携帯電話11との近距離無線通信が確立され、位置データが通信される。位置データの通信後、近距離無線通信が切断され、近距離無線用通信回路46、69の動作が停止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報機器間で情報を通信する情報通信システム、および情報通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、デジタルカメラや携帯電話などの情報機器の急速な普及に伴い、個々の情報機器で得られた情報を情報機器間で通信する機会が増えてきている。従来、このような情報通信の例として、以下に挙げる技術が提案されている(特許文献1〜4参照)。
【0003】
特許文献1に記載の発明では、デジタルカメラと携帯電話を有線接続し、デジタルカメラで得られた位置データを携帯電話に送信している。そして、携帯電話でサーバにアクセスし、位置データに基づいた現在地情報およびリクエスト情報を送信し、サーバから現在地に関する情報を取得している。
【0004】
特許文献2に記載の発明は、携帯電話、ハンディGPS、およびデジタルカメラの間で、情報として位置データを通信する位置検出システムについて開示している。この位置検出システムでは、自らがアクセスしている基地局の位置を携帯電話で検出し、これにより得られた基地局位置データをハンディGPSに無線送信する。そして、基地局位置データに基づいて、ハンディGPSで詳細な現在位置を示すデータを検出し、検出したデータをデジタルカメラに無線送信している。各機器間の無線通信は、移動体通信網と接続するための電波を発生するアンテナや直交変調回路、および無線通信回路を用いて行っている。
【0005】
特許文献3には、カーナビゲーション装置やGPS(Global Positioning System)機能付きの携帯電話、デジタルカメラにそれぞれ無線I/Fを設け、無線I/Fを介して、カーナビゲーション装置や携帯電話で得られた位置データと、デジタルカメラで得られた画像データとを通信する情報処理システムが記載されている。一実施形態として、デジタルカメラでレリーズボタンを押下して撮影を行ったときに、無線I/Fを介して携帯電話に位置データを要求する信号を送信し、要求信号に応じて携帯電話から送信された位置データを受信して、撮影により得られた画像データに関連付けて記憶する態様が例示されている。
【0006】
特許文献4は、Bluetoothなどに代表される近距離無線通信を用いて、デジタルカメラで得られた画像データをGPS機能付きの携帯電話に送信する画像記憶システムを提案している。携帯電話で得られた位置データと画像データとを関連付けて、携帯電話からインターネット上のデータベースに送信している。
【特許文献1】特開2001−211364号公報
【特許文献2】特開2001−238247号公報
【特許文献3】特開2001−358978号公報
【特許文献4】特開2002−366565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
情報機器間で情報を通信する場合、究極的には、情報を通信している間だけ通信が確立されていればよい。しかしながら、特許文献1〜4に記載の発明は、情報を与える側の情報機器は、情報を受け取る側の情報機器からの情報を要求する信号を常に検出する必要がある。つまり、情報の通信に関わる回路を常時待ち受け状態にしておかなければならない。このため、待ち受けに掛かる電力消費が嵩み、情報機器のランニングコストの増大を招くという問題があった。特に、情報の通信を頻繁に行わないシステムにおいては、待ち受けに掛かる電力消費は無視できない問題である。
【0008】
この問題を解決する方法として、情報を通信する機能を起動・停止する操作をユーザーに行わせることが考えられるが、ユーザーに煩雑な操作を強いることになり、使い勝手が悪くなるという新たな問題が生じる。
【0009】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、操作性を悪化させることなく、情報の通信に掛かる電力消費を最小限に抑えることができる情報通信システム、および情報通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、複数の情報機器間で情報を通信する情報通信システムであって、前記情報機器は、前記情報を通信する第一通信手段と、常時、または間欠的に通信が確立されており、前記情報の取得を指示する操作に応じて、前記第一通信手段を起動して通信を確立するためのイネーブル信号を通信する第二通信手段とを有し、前記第一通信手段は、前記情報の通信後、通信を切断して動作を停止することを特徴とする。
【0011】
前記情報機器は、前記第一通信手段の通信が確立されてからの第一経過時間を計時する第一計時手段を有し、前記第一通信手段は、前記第一経過時間が予め設定された第一閾値を超えた場合、通信を切断して動作を停止することが好ましい。
【0012】
前記イネーブル信号は無線信号であり、前記第二通信手段は、前記無線信号を通信する無線通信手段からなることが好ましい。この場合、前記情報機器は、前記第二通信手段を介して移動体通信網に接続されていることが好ましい。また、前記情報機器は、前記第二通信手段を介して無線LANネットワークに接続されていることが好ましい。
【0013】
前記イネーブル信号は音声信号であり、前記第二通信手段は、前記音声信号を出力する音声出力手段、および前記音声信号を収録する音声収録手段からなることが好ましい。
【0014】
あるいは、前記イネーブル信号はOFDM変調されたデータが重畳された音声信号であり、前記第二通信手段は、前記データを前記OFDM変調して前記音声信号に重畳する変調手段、前記音声信号を出力する音声出力手段、前記音声信号を収録する音声収録手段、および前記音声信号から前記データを復調する復調手段からなることが好ましい。
【0015】
上記の場合、前記音声収録手段は間欠的に動作しており、前記音声出力手段は、少なくとも前記音声収録手段が動作を停止している期間よりも長い期間、前記音声信号を出力することが好ましい。
【0016】
前記情報機器は、前記情報として現在の位置データを取得する位置データ取得手段を有することが好ましい。この場合、前記位置データ取得手段は、前記イネーブル信号の通信を契機に起動されることが好ましい。また、前記位置データ取得手段は、前記位置データの取得後、動作を停止することが好ましい。
【0017】
前記情報機器は、前記情報として画像データを取得する画像データ取得手段を有することが好ましい。この場合、前記画像データ取得手段のシャッタレリーズに伴う操作を、前記イネーブル信号の通信の契機とすることが好ましい。また、前記画像データ取得手段のシャッタレリーズに伴う操作音を、前記イネーブル信号として用いることが好ましい。
【0018】
前記情報として現在の位置データを取得する位置データ取得手段を有する第一の情報機器と、前記情報として画像データを取得する画像データ取得手段を有する第二の情報機器とを備え、前記第二の情報機器は、前記第一通信手段を介して、前記第一の情報機器から位置データを取得し、画像データに位置データが関連付けて記憶される記憶手段を有することが好ましい。
【0019】
上記の場合、前記第二の情報機器は、位置データが関連付けて記憶されていない当該画像データの位置データを、当該画像データ以外の画像データに関連付けて記憶された位置データを元に付加する位置データ付加手段を有することが好ましい。
【0020】
前記位置データ付加手段は、当該画像データを取得した日時と前後する日時に取得された当該画像データ以外の画像データに関連付けて記憶された位置データを、当該画像データの位置データとして付加することが好ましい。
【0021】
また、前記位置データ付加手段は、当該画像データを取得した日時と前後する日時に取得された当該画像データ以外の画像データに関連付けて記憶された位置データから算出した位置データを、当該画像データの位置データとして付加することが好ましい。
【0022】
前記位置データ付加手段は、当該画像データを取得した際に、前記第二通信手段で前記イネーブル信号の通信を行っていない場合、前記付加を行わないことが好ましい。
【0023】
前記位置データ付加手段は、当該画像データを取得した日時と、その日時と前後する日時に取得された当該画像データ以外の画像データの日時との差分が予め設定された第二閾値以上であった場合、前記付加を行わないことが好ましい。
【0024】
前記位置データ付加手段は、当該画像データを取得した日時と前後する日時に取得された当該画像データ以外の画像データを取得した日付が、当該画像データを取得した日付と異なる場合、前記付加を行わないことが好ましい。
【0025】
上記の場合、前記記憶手段には、前記位置データ付加手段で位置データを付加した旨を表す識別符号が、当該画像データに関連付けて記憶されることが好ましい。
【0026】
前記第二の情報機器は、前記位置データを取得してからの第二経過時間を計時する第二計時手段を有し、前記第二通信手段は、前記第二経過時間が予め設定された第三閾値以下であった場合、前記イネーブル信号の通信を行わないことが好ましい。
【0027】
前記画像データ取得手段は、連写撮影を行う機能を有し、前記第二通信手段は、前記連写撮影の一枚目のみ前記イネーブル信号の通信を行い、二枚目以降は行わないことが好ましい。
【0028】
請求項25に記載の発明は、複数の情報機器間で情報を通信する情報通信方法であって、前記情報の取得を指示する操作に応じて、常時、または間欠的に通信が確立された第二通信手段を用いて、第一通信手段を起動して通信を確立するためのイネーブル信号を通信するイネーブル信号通信ステップと、前記第一通信手段を用いて前記情報を通信する情報通信ステップと、前記情報の通信後、前記第一通信手段の通信を切断して動作を停止する通信切断ステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明の情報通信システム、および情報通信方法によれば、情報を通信する第一通信手段の通信を確立するためのイネーブル信号を、常時、または間欠的に通信が確立された第二通信手段で通信し、所定時間経過後、第一通信手段の動作を停止して通信を切断するので、操作性を悪化させることなく、情報の通信に掛かる電力消費を最小限に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1において、本発明の第一の実施形態に係る情報通信システム2は、情報機器としてのデジタルカメラ10と携帯電話11とを備える。情報通信システム2では、位置データを取得する機能をもたないデジタルカメラ10に、GPS機能付きの携帯電話11で得られた位置データ(経緯度、高度などの数値データ)を無線送信する。そして、デジタルカメラ10で撮影して得られた画像データに位置データを関連付けて記憶する。
【0031】
デジタルカメラ10と携帯電話11は、例えば、Bluetooth(IEEE802.15.1)などの近距離無線通信技術を用いて、電波(以下、近距離無線用電波という)12により位置データの通信を行う。デジタルカメラ10は、無線LAN通信機能を備え、電波(以下、無線LAN用電波という)13を介して、無線LANネットワーク14と接続している。なお、無線LANは、例えば、IEEE802.11シリーズに準拠した公衆無線LANが用いられており、街頭に設置されたアクセスポイントによって、無線LANネットワーク14との接続が媒介される。
【0032】
携帯電話11は、基地局(図示せず)との間で電波(以下、回線接続用電波という)15を無線通信し、移動体通信網16と接続している。また、携帯電話11は、GPS衛星17と電波(以下、GPS用電波という)18を通信することにより、位置データを取得する。なお、位置データを取得する方法としては、GPSに限らず、基地局を利用したPHSに代表される位置データサービスを用いてもよい。
【0033】
無線LANネットワーク14と移動体通信網16との間には、ゲートウェイ19が設けられている。ゲートウェイ19は、無線LANネットワーク14と移動体通信網16とのプロトコル変換を行い、無線LANネットワーク14と移動体通信網16間のデータ通信を中継する。
【0034】
デジタルカメラ10は、無線LAN用電波13を用いて、デジタルカメラ10と携帯電話11の近距離無線通信を確立するためのイネーブル信号を通信する。デジタルカメラ10から発せられたイネーブル信号は、無線LANネットワーク14を介してゲートウェイ19に送信され、ゲートウェイ19でプロトコル変換された後、移動体通信網16を経て、回線接続用電波15として携帯電話11で受信される。
【0035】
デジタルカメラ10の電気的構成を示す図2において、CPU30は、バス31を介して各部に接続され、デジタルカメラ10全体の動作を統括的に制御する。ROM32には、デジタルカメラ10を動作させるための各種プログラムやデータが記憶されている。CPU30は、これらのプログラムやデータをROM32から作業用メモリであるRAM33に読み出して展開し、読み出したプログラムを逐次処理する。
【0036】
CPU30には、操作部34が接続されている。操作部34は、撮影を実行させるためのレリーズボタンや、シャッタスピード、絞り値、ズーム倍率、位置データの取得有無などを設定するための各種設定ボタンで構成される。CPU30は、操作部34からの操作入力信号を受けて、これに応じた動作を各部に実行させる。
【0037】
撮像部35は、周知の撮像光学系やCCDなどの撮像素子、相関二重サンプリング回路、増幅器、およびA/D変換器からなるアナログ信号処理回路などを備える。撮像部35は、撮像光学系で被写体像を取り込んで、CCDで被写体像を光電変換して撮像信号を出力する。そして、アナログ信号処理回路で、撮像信号に対して相関二重サンプリング、増幅、A/D変換の各種アナログ信号処理を施し、デジタルの画像データを出力する。撮像部35から出力された画像データは、画像メモリ36に一旦格納される。
【0038】
画像信号処理回路37は、画像メモリ36から画像データを読み出して、階調変換、ホワイトバランス補正、γ補正処理などの各種画像信号処理を施した後、画像データを再度画像メモリ36に格納する。画像メモリ36に格納された画像データは、YC変換処理回路(図示せず)に読み出され、YC変換処理回路にて、輝度信号Yと色差信号Cr、Cbとに変換される。
【0039】
圧縮・伸張処理回路38は、YC変換された画像データに対して、所定の圧縮形式(例えばJPEG形式)で画像圧縮を施す。圧縮された画像データは、メディアコントローラ39を経由してメモリカード40に記録される。また、メモリカード40に記録された画像データは、メディアコントローラ39を経て画像メモリ36に一旦格納され、圧縮・伸張処理回路38に読み出されて、圧縮される前の画像データに伸張される。
【0040】
スピーカー41は、レリーズボタンを押下した際のシャッタレリーズ音などの各種操作音を出力する。各種操作音のデータは、ROM32に記憶されており、CPU30は、このデータをROM32から読み出して、音声信号処理回路43に出力する。マイクロホン42は、動画撮影時に周囲の音声を収録する。
【0041】
スピーカー41、およびマイクロホン42には、音声信号処理回路43が接続されている。音声信号処理回路43は、CPU30から出力された各種操作音のデータをD/A変換してスピーカー41に出力するとともに、マイクロホン42で収録された音声をA/D変換してデジタルの音声信号とし、CPU30に出力する。CPU30に出力された音声信号は、動画撮影で得られた画像データとともにメモリカード40に記録される。
【0042】
LCD44は、LCDドライバ45の制御の下に、画像信号処理回路37、YC変換処理回路を経た画像データをスルー画像として表示するとともに、圧縮・伸張処理回路38で伸張された画像データを再生表示する。
【0043】
近距離無線用通信回路46、および無線LAN用通信回路47は、近距離無線用電波12、および無線LAN用電波13による通信を実現するためのものであり、変・復調回路、増幅器、帯域通過濾波回路(バンドパスフィルタ)などの周知の無線通信回路で構成される。各通信回路46、47には、近距離無線用電波12、および無線LAN用電波13を通信するための近距離無線用アンテナ48、および無線LAN用アンテナ49が接続されている。
【0044】
近距離無線用通信回路46は、普段は動作を停止しており、操作部34のレリーズボタンが押下されて撮影が実行され、イネーブル信号が送信された後に起動する。但し、操作部34で位置データの取得が設定されていない場合は、レリーズボタンが押下されても起動しない。
【0045】
近距離無線用通信回路46は、起動後、携帯電話11と通信するための通信要求信号を出力する。また、近距離無線用通信回路46は、携帯電話11との通信が確立された後、位置データを要求する位置データ要求信号を出力する。
【0046】
近距離無線用通信回路46は、携帯電話11との通信が確立されてから所定時間(第一閾値に相当)経過後、携帯電話11との通信を切断するための通信切断信号を出力する。近距離無線用通信回路46は、携帯電話11との通信を切断した後、動作を停止する。通信切断信号を出力する契機となる所定時間は、通信の確立後、携帯電話11に位置データ要求信号を送信して、携帯電話11から位置データを受信するのに十分な時間が設定されている。携帯電話11との通信が確立されてからの経過時間(第一経過時間に相当)は、CPU30の内蔵クロック回路30aの出力を元に計時される(専用のタイマーを設けても可)。
【0047】
近距離無線用通信回路46は、携帯電話11から受信した近距離無線用電波12を元の位置データに復調し、復調した位置データをCPU30に出力する。CPU30に出力された位置データは、メディアコントローラ39の制御の下に、画像データに関連付けてメモリカード40に記録される。
【0048】
無線LAN用通信回路47は、通常は低消費電力モードで動作しており、レリーズボタンが押下されて撮影が実行されたときに、無線LAN用電波13の受信待ち受け状態となる。無線LAN用通信回路47は、無線LAN用電波13を受信して無線LANネットワーク14との通信が確立された後、イネーブル信号を出力する。イネーブル信号には、携帯電話11の近距離無線用通信回路69、およびGPS用通信回路71を起動するための制御コマンドや、近距離無線通信を確立する携帯電話11を特定するための情報(携帯電話11の電話番号など)が含まれている。無線LAN用通信回路47は、イネーブル信号を出力した後、再び低消費電力モードに戻る。
【0049】
携帯電話11の電気的構成を示す図3において、CPU60は、携帯電話11全体の動作を統括的に制御する。ROM61には、携帯電話11を動作させるための各種プログラムやデータが記憶されている。CPU60は、これらのプログラムやデータをROM61から作業用メモリであるRAM62に読み出して展開し、読み出したプログラムを逐次処理する。
【0050】
CPU60には、操作部63が接続されている。操作部63は、通話ボタンや電源/通話停止ボタン、ダイヤルキー、十字キーなどから構成される。CPU60は、操作部63からの操作入力信号を受けて、これに応じた動作を各部に実行させる。
【0051】
スピーカー64は、通話時の音声を出力する。マイクロホン65は、通話時の音声を収録する。スピーカー64、およびマイクロホン65には、音声信号処理回路66が接続されている。音声信号処理回路66は、回線接続用通信回路70で復調され、CPU60から出力されたデジタルの音声信号をD/A変換してスピーカー64に出力するとともに、マイクロホン65で収録された音声をA/D変換してデジタルの音声信号とし、CPU60に出力する。LCD67は、LCDドライバ68の制御の下に、各種操作画面や設定画面を表示する。
【0052】
近距離無線用通信回路69、回線接続用通信回路70、およびGPS用通信回路71は、近距離無線用電波12、回線接続用電波15、およびGPS用電波18による通信を実現するためのものであり、近距離無線用通信回路46、および無線LAN用通信回路47と同様に、周知の無線通信回路で構成される。各通信回路69〜71には、近距離無線用電波12、回線接続用電波15、およびGPS用電波18を通信するための近距離無線用アンテナ72、回線接続用アンテナ73、およびGPS用アンテナ74が接続されている。
【0053】
近距離無線用通信回路69は、近距離無線用通信回路46と同様に、普段は動作を停止しており、デジタルカメラ10からのイネーブル信号を受信したときに起動する。近距離無線用通信回路69は、デジタルカメラ10からの通信要求信号を受けて、デジタルカメラ10との通信を許可する通信許可信号を出力する。また、近距離無線用通信回路69は、デジタルカメラ10からの通信切断信号を受信したとき、デジタルカメラ10との通信を切断し、動作を停止する。
【0054】
近距離無線用通信回路69は、測位回路75で検出され、CPU60に出力された位置データを近距離無線用電波12に変調し、近距離無線用アンテナ72に出力する。
【0055】
回線接続用通信回路70は、常時動作しており、基地局との回線接続用電波15の通信を行っている。回線接続用通信回路70は、他の電話との通話を要求する通話要求信号、および音声信号処理回路66からの音声信号などを回線接続用電波15に変調するとともに、基地局から受信した回線接続用電波15を元の通話要求信号、音声信号、およびイネーブル信号に復調し、復調したこれらの信号をCPU60に出力する。
【0056】
GPS用通信回路71には、測位回路75が接続されている。GPS用通信回路71、および測位回路75は、近距離無線用通信回路46、69と同様に、普段は動作を停止しており、デジタルカメラ10からのイネーブル信号を受信したときに起動する。測位回路75は、GPS用電波18に基づいて、携帯電話11の現在位置を表す経緯度(および高度)を測位し、測位した結果、すなわち位置データをCPU60に出力する。GPS用通信回路71、および測位回路75は、位置データを取得した後、動作を停止する。
【0057】
次に、上記構成を有する情報通信システム2の動作について、図4のフローチャートを参照して説明する。なお、ここでは、既にデジタルカメラ10および携帯電話11の電源が投入され、デジタルカメラ10が無線LAN用電波13、携帯電話11が回線接続用電波15のそれぞれの受信範囲内にあり、且つデジタルカメラ10および携帯電話11が近距離無線用電波12の通信範囲内にあることを前提として説明する。
【0058】
まず、デジタルカメラ10のレリーズボタンが押下されて撮影が実行されると、無線LAN用通信回路47が低消費電力モードから、無線LAN用電波13の受信待ち受け状態となる。無線LAN用アンテナ49で無線LAN用電波13が受信されると、デジタルカメラ10と無線LANネットワーク14との通信が確立され、これにより相互間でデータの遣り取りが可能となる。
【0059】
無線LANネットワーク14との通信が確立された後、無線LAN用通信回路47からイネーブル信号が出力され、無線LAN用アンテナ46を介して送信される。無線LAN用アンテナ46から送信されたイネーブル信号は、無線LANネットワーク14を経て、ゲートウェイ19でプロトコル変換される。
【0060】
ゲートウェイ19でプロトコル変換されたイネーブル信号は、移動体通信網16に受け渡される。そして、イネーブル信号で指定された電話番号の携帯電話11と移動体通信網16との間で回線交換方式によって通信が開始され、携帯電話11にイネーブル信号が送信される。または、パケット通信方式を用いて、携帯電話11へのページング(呼び出し)、およびイネーブル信号の送信が行われる。
【0061】
回線接続用アンテナ73を介してイネーブル信号が受信されると、携帯電話11では、近距離無線用通信回路69、GPS用通信回路71、および測位回路75が起動される。そして、GPS用通信回路71、および測位回路75により位置データが取得される。取得された位置データは、CPU60に出力される。位置データの取得後、GPS用通信回路71、および測位回路75の動作が停止される。
【0062】
一方、デジタルカメラ10では、イネーブル信号の送信後、無線LAN用通信回路47が再び低消費電力モードに戻されて無線LANネットワーク14との通信が切断され、近距離無線用通信回路46が起動される。そして、近距離無線用通信回路46から通信要求信号が出力され、近距離無線用アンテナ48を介して送信される。
【0063】
携帯電話11では、近距離無線用通信回路69がイネーブル信号により起動されて通信要求信号の受信待ち受け状態となっている。近距離無線用アンテナ72を介して通信要求信号が受信されると、通信要求信号を送信したデジタルカメラ10がイネーブル信号を送信したものと同一であるか否かを照合する認証処理などが行われた後、近距離無線用通信回路69から通信許可信号が出力され、近距離無線用アンテナ72を介して送信される。
【0064】
近距離無線用アンテナ48を介して通信許可信号が受信されると、デジタルカメラ10と携帯電話11との通信が確立され、これにより相互間でデータの遣り取りが可能となる。また、このとき、クロック回路30aの出力を元に、通信が確立されてからの経過時間の計時が開始される。
【0065】
携帯電話11との通信が確立された後、近距離無線用通信回路46から位置データ要求信号が出力され、近距離無線用アンテナ48を介して送信される。近距離無線用アンテナ72を介して位置データ要求信号が受信されると、CPU60の位置データが近距離無線用通信回路69に出力され、近距離無線用アンテナ72を介して送信される。
【0066】
近距離無線用アンテナ48を介して位置データが受信されると、デジタルカメラ10では、メディアコントローラ39の制御の下に、受信された位置データが撮影で得られた画像データに関連付けられてメモリカード40に記録される。
【0067】
携帯電話11との通信が確立されてから所定時間経過後、近距離無線用通信回路46から通信切断信号が出力され、近距離無線用アンテナ48を介して送信される。通信切断信号の送信後、近距離無線用通信回路46の動作が停止される。また、携帯電話11では、近距離無線用アンテナ72を介して通信切断信号が受信されると、近距離無線用通信回路69の動作が停止される。これら一連の処理は、次回の撮影時も繰り返し実行される。
【0068】
以上説明したように、無線LANネットワーク14および移動体通信網16を介して、デジタルカメラ10から携帯電話11にイネーブル信号を送信し、位置データを取得する際だけに近距離無線用通信回路46、69、GPS用通信回路71、および測位回路75を起動するので、ユーザーが煩雑な操作を行うことなく、位置データを自動的に取得することができる。そのうえ、これらの回路を常時動作させる場合と比べて、電力消費を抑えることができる。また、携帯電話11と常時通信している移動体通信網16を用いるので、既存の通信経路を有効活用することができる。
【0069】
なお、デジタルカメラ10が無線LAN用電波13、携帯電話11が回線接続用電波15のそれぞれの受信範囲内にあり、且つデジタルカメラ10および携帯電話11が近距離無線用電波12の通信範囲内にあることを前提として説明したが、電波状況や各機器の動作状態によっては、必ずしもこのようにならない場合がある。つまり、無線LAN用電波13が受信されず、無線LANネットワーク14との通信が確立されない場合や、移動体通信網16から携帯電話11にイネーブル信号が送信されず、近距離無線用通信回路69などが起動されない場合、デジタルカメラ10からの通信要求信号が携帯電話11で受信されず、デジタルカメラ10と携帯電話11との通信が確立されない場合などが考えられる。
【0070】
これらの場合は、それぞれの処理の契機となる信号の送受信を所定回数試行し、それでも不調な場合は、近距離無線用通信回路46、59、GPS用通信回路71、および測位回路75の動作を停止させる以外の処理を省略して、位置データの取得を諦める。
【0071】
上記実施形態では、デジタルカメラ10と携帯電話11との近距離無線通信が確立されてから所定時間経過後、通信切断信号を通信して近距離無線用通信回路46、69の動作を停止させているが、位置データの取得後、直ちに通信切断信号を通信して、近距離無線用通信回路46、69の動作を停止させてもよい。また、デジタルカメラ10または携帯電話11の電源がオフされたときには、電源がオフされた側の機器から通信切断信号を送信して、近距離無線用通信回路46、69の動作を停止させる。さらに、デジタルカメラ10のクロック回路30aではなく、携帯電話11のCPU60のクロック回路を用いて、経過時間を計時してもよい。
【0072】
なお、無線LAN用通信回路47を常時無線LAN用電波13の受信待ち受け状態としてもよい。また、無線LAN用通信回路47の受信待ち受け状態への復帰と同時に、近距離無線用通信回路46を起動させてもよい。さらに、デジタルカメラ10と携帯電話11の通信を確立した後に、位置データの取得を行ってもよい。要するに、本発明の主旨を逸脱しなければ、上記一連の処理の順序は如何様にも変更することが可能である。
【0073】
図5において、本発明の第二の実施形態に係る情報通信システム80は、デジタルカメラ81と携帯電話82とのイネーブル信号の遣り取りに、音声信号を用いる。すなわち、デジタルカメラ81から特定の周波数特性を有する音声83を一定音量で出力し、これを携帯電話82で収録する。なお、デジタルカメラ81、および携帯電話82の構成は、デジタルカメラ81に無線LAN用通信回路47、および無線LAN用アンテナ49が設けられていない他は、図2に示すデジタルカメラ10、および図3に示す携帯電話11の構成と同一であるので、以下の説明では、図2、図3で付した符号を流用する。
【0074】
この場合、音声83の周波数特性のデータをROM32、61にそれぞれ予め記憶させておく。そして、図6のフローチャートに示すように、デジタルカメラ81のレリーズボタンが押下されて撮影が実行された際に、ROM32に記憶された音声83をCPU30に読み出し、音声信号処理回路43、およびスピーカー41を介して出力する。この音声83を携帯電話82のマイクロホン65で収録し、音声信号処理回路66でデジタルの音声信号に変換して、CPU60に出力する。
【0075】
次いで、音声信号がROM61に記憶された周波数特性の音声83であるか否かをCPU60で判定する。音声83と判定した場合は、第一の実施形態と同様に、近距離無線用通信回路69、GPS用通信回路71、および測位回路75を起動して、以下の処理を行う。なお、近距離無線用通信回路69、GPS用通信回路71、および測位回路75を起動して、近距離無線通信を確立して位置データの通信を行っている間は、マイクロホン65の動作を停止して音声83の収録を行わない。位置データの通信が終了して、近距離無線通信が切断されたら、再びマイクロホン65を起動させて音声83の収録を再開する。
【0076】
このように、デジタルカメラおよび携帯電話に標準装備されているスピーカー41およびマイクロホン65を用いてイネーブル信号の遣り取りを行うので、無線LANネットワーク14との通信に関わる部品を設ける必要があった第一の実施形態と比べて、部品コストを削減することができる。
【0077】
本発明の第三の実施形態に係る情報通信システム90(符号のみで図示せず)は、周知の音響OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing;直交周波数分割多重)技術を用いて、デジタルカメラ91と携帯電話92とのイネーブル信号の遣り取りに、イネーブル信号を表すテキストデータやビットデータを重畳した音声信号を用いる。この場合、図7および図8に示すように、デジタルカメラ91と携帯電話92にOFDM回路93、94をそれぞれ設ける。なお、デジタルカメラ91、および携帯電話92の構成は、デジタルカメラ91に無線LAN用通信回路47、および無線LAN用アンテナ49が設けられておらず、OFDM回路93、94が設けられている他は、図2に示すデジタルカメラ10、および図3に示す携帯電話11の構成と同一であるので、図2、図3で付した符号を流用して以下の説明を行う。
【0078】
OFDM回路93は、特定の周波数特性を有する音声(例えば、第二の実施形態の音声83)の高周波成分をカットし、低周波成分のみを取り出す。そして、カットした高周波成分の帯域において、イネーブル信号を表すテキストデータやビットデータをOFDM変調し、変調により生成された各サブキャリアの強度を、カットした高周波成分の強度と一致するように調整する。最後に、強度を調整したサブキャリアと、最初に取り出した低周波成分とを合成する。これにより、聞いただけでは普通の音声と変わらないが、イネーブル信号を表すテキストデータやビットデータが重畳された音声信号が生成される。
【0079】
一方、OFDM回路94は、OFDM回路93とは逆の手順で、音声信号からイネーブル信号を表すテキストデータやビットデータを復調する。すなわち、音声信号の高周波成分のみを取り出し、高周波成分に重畳された各サブキャリアを調整前の強度に戻して分離し、分離したサブキャリアを元のテキストデータやビットデータにOFDM復調する。なお、第三の実施形態では、OFDM回路93、94で各処理を行う他は、図6のフローチャートに示す第二の実施形態の処理手順と同様であるので、図示および説明は省略する。
【0080】
第二、第三の実施形態では、図9に示すように、マイクロホン65を常時動作させる必要はなく、一定の動作停止期間を置いて間欠的に動作させればよい。この場合、音声を出力している期間を、少なくとも動作停止期間よりも長く設定し、マイクロホン65の動作期間で必ず音声が収録されるようにする。このようにすれば、マイクロホン65の動作に掛かる電力消費が抑えられ、さらなる省電力化を促進することができる。
【0081】
なお、音声としては、レリーズボタンを押下した際のシャッタレリーズ音を代用してもよい。あるいは、シャッタレリーズ音とは別の音声(例えば、ビープ音)を用意し、その音声を出力した後に正規のシャッタレリーズ音を出力してもよい。また、予め用意された音声ではなく、ユーザーが独自に設定した音声や、デジタルカメラで動画撮影した際に収録した音声を用いてもよい。このようにすれば、他のデジタルカメラとの差別化を図ることができ、近距離無線通信を確立する際の認証処理が容易になる。
【0082】
第一〜第三の実施形態以外の態様としては、以下の態様が考えられる。すなわち、デジタルカメラ、および携帯電話の電源オンと同時に、近距離無線用通信回路46、69を起動させて近距離無線通信を確立し、近距離無線用通信回路46、69を待ち受け状態で動作させておく。そして、レリーズボタンが押下されて撮影が実行されたときに、位置データ要求信号を遣り取りし、GPS用通信回路71、および測位回路75を起動させて位置データを取得させ、位置データの通信を行う。位置データの通信後は、再び近距離無線用通信回路46、69を待ち受け状態に移行させる。なお、レリーズボタンが半押しで焦点調整などの撮影準備処理を行い、全押しで撮影を実行する二段階押し式であった場合は、半押しで位置データ要求信号の遣り取り、全押しで位置データの通信を行うようにする。
【0083】
ここで、前述の電波状況や各機器の動作状態に起因する通信障害や、スピーカー41、もしくはマイクロホン65が故障して音声を拾えないなど、何らかの理由によって、携帯電話からデジタルカメラに位置データを取得することができないおそれがある。この問題に対処するために、図10に示すデジタルカメラ100のように、位置データが関連付けて記憶されていない画像データ(以下、画像データNと略す)の位置データを付加する位置データ付加回路101を設けてもよい。なお、デジタルカメラ100は、位置データ付加回路101が設けられている他は、図2に示すデジタルカメラ10の構成と同一であるので、同一の部品には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0084】
位置データ付加回路101は、画像データN以外の画像データ(以下、画像データYと略す)に関連付けて記憶された位置データを元に、画像データNに付加する位置データを生成する。なお、以下の説明では、位置データの他に、撮影日時、位置データを取得する設定の有無が画像データに関連付けて記録されているものとする。
【0085】
この場合、例えば、図11のフローチャートに示すように、まず、メモリカード40に記録された画像データの中から画像データNを検索する。そして、検索した画像データNを撮影したときに、操作部34で位置データを取得する設定がなされていたか否かを判定する。位置データを取得する設定がなされていなかった場合は、処理をリターンする。
【0086】
位置データを取得する設定がなされていた場合は、画像データNと撮影日時が前後する画像データYをメモリカード40から検索する。そして、検索した画像データYの撮影日時と画像データNの撮影日時との差分を求め、求めた差分と予め設定された閾値(第二閾値に相当)とを比較する。差分が閾値以上であった場合は、画像データYとは別の場所で撮影した可能性が高いので、位置データを付加することができない旨のフラグを画像データNと関連付けて記録し、処理をリターンする。
【0087】
差分が閾値以下であった場合は、撮影日時が近いほうの画像データYに関連付けられた位置データを、画像データNの位置データとして付加する。このとき、画像データYの位置データを付加した旨のフラグを画像データNと関連付けて記録し、処理をリターンする。これら一連の処理は、メモリカード40内に画像データNが無くなるまで続けられる。なお、操作部34を操作することにより、閾値をユーザーが設定することができるようにしてもよい。
【0088】
あるいは、図12のフローチャートに示すように、画像データNと撮影日時が前後する画像データYを検索した後、それらの位置データから画像データNに付加する位置データを算出してもよい。
【0089】
位置データの算出方法としては、例えば、撮影日時が前後する画像データYの位置データの経緯度の座標を直線で結び、その直線の中間点の経緯度の座標を算出する。もしくは、撮影日時が前後する画像データY同士の撮影日時の差分ΔT1、および画像データNと画像データYの撮影日時の差分ΔT2を求め、ΔT1に対するΔT2の比率に基づいて、経緯度の座標を算出する。具体例としては、画像データYの撮影日時が12時と22時、画像データNの撮影日時が16時であった場合、ΔT1=10、ΔT2=4、6であるので、画像データYの位置データの経緯度の座標を結んだ直線の4:6にあたる地点の経緯度の座標を算出する。なお、このとき、撮影日時が前後する画像データY同士の撮影日時や位置データの差分(位置データで表される地点の距離の長短)なども加味する。
【0090】
撮影日時が前後する画像データYの撮影日付と、画像データNの撮影日付とが異なる場合は、画像データYとは別の場所で撮影した可能性が高いので、位置データを付加することができない旨のフラグを画像データNと関連付けて記録し、処理をリターンする。日付が同じであった場合は、算出した位置データを、画像データNの位置データとして付加する。このように、位置データが関連付けられていない画像データに対しても、簡易的に位置データを付加することができ、デジタルカメラと携帯電話間の通信障害による影響を最小限に止めることができる。
【0091】
また、一箇所で複数回続けて撮影する場合や、比較的近い場所を徒歩で移動しながら撮影を行う場合などは、一定期間は位置データが殆ど変わらない。このことを考慮して、図13に示すフローチャートのような処理を行ってもよい。すなわち、位置データを取得してからの経過時間(第二経過時間に相当)を、例えば、クロック回路30aの出力を元に計時する(専用のタイマーを設けても可)。そして、所定時間(第三閾値に相当、例えば、30分)経過するまでは、撮影が行われても位置データの取得は行わず、その間は、前回取得した位置データを記録する。また、位置データを取得した際には、近距離無線用通信回路46の動作を停止させ、所定時間経過後、起動させる。この場合、デジタルカメラの電源をオフしたときも、経過時間の計時は続けられるように、クロック回路30aや専用のタイマーに電力を供給しておく。このようにすれば、撮影の都度位置データを取得する場合に比べて、電力消費をさらに抑えることができる。
【0092】
さらに、デジタルカメラに連写撮影機能がある場合、連写撮影では、位置データが変わらないので、図14のフローチャートに示すように、連写一枚目の撮影時のみ位置データを取得し、二枚目以降は位置データの取得は行わず、一枚目に取得した位置データを記録する。この場合も、図13に示す例と同様に、省電力化の効果が得られる。
【0093】
上記実施形態では、デジタルカメラと携帯電話との間で位置データを通信する例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、携帯電話に代えて、カーナビゲーション装置で得られた位置データをデジタルカメラに送信する態様や、上記実施形態とは逆に、デジタルカメラで得られた画像データを携帯電話に送信する態様など、様々な応用例に対して本発明を適用することが可能である。したがって、情報機器は上記実施形態で挙げたデジタルカメラ、携帯電話に限らず、通信する情報も画像データ、位置データに限定されない。また、通信の形態も第一〜第三の実施形態で挙げた例に限らず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】情報通信システムのハードウェア構成を示す概略図である。
【図2】デジタルカメラの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】携帯電話の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】情報通信システムの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】イネーブル信号として音声信号を用いる場合の情報通信システムのハードウェア構成を示す概略図である。
【図6】図5に示す情報通信システムの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】イネーブル信号としてOFDM変調されたデータが重畳された音声信号を用いる場合のデジタルカメラの電気的構成を示すブロック図である。
【図8】イネーブル信号としてOFDM変調されたデータが重畳された音声信号を用いる場合の携帯電話の電気的構成を示すブロック図である。
【図9】マイクロホンの動作期間と音声出力期間との関係を示す説明図である。
【図10】位置データ付加回路を設けたデジタルカメラの電気的構成を示すブロック図である。
【図11】図10に示すデジタルカメラで位置データを付加する処理手順を示すフローチャートである。
【図12】図10に示すデジタルカメラで位置データを付加する別の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】所定時間経過するまでは位置データの取得を行わない例の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】連写撮影を行った場合の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
2、80、90 情報通信システム
10、81、91、100 デジタルカメラ
11、82、92 携帯電話
12 近距離無線用電波
13 無線LAN用電波
14 無線LANネットワーク
15 回線接続用電波
16 移動体通信網
30 CPU
30a クロック回路
41 スピーカー
46 近距離無線用通信回路
47 無線LAN用通信回路
48 近距離無線用アンテナ
49 無線LAN用アンテナ
60 CPU
65 マイクロホン
69 近距離無線用通信回路
70 回線接続用通信回路
71 GPS用通信回路
72 近距離無線用アンテナ
73 回線接続用アンテナ
74 GPS用アンテナ
75 測位回路
83 音声
93、94 OFDM回路
101 位置データ付加回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の情報機器間で情報を通信する情報通信システムであって、
前記情報機器は、前記情報を通信する第一通信手段と、
常時、または間欠的に通信が確立されており、前記情報の取得を指示する操作に応じて、前記第一通信手段を起動して通信を確立するためのイネーブル信号を通信する第二通信手段とを有し、
前記第一通信手段は、前記情報の通信後、通信を切断して動作を停止することを特徴とする情報通信システム。
【請求項2】
前記情報機器は、前記第一通信手段の通信が確立されてからの第一経過時間を計時する第一計時手段を有し、
前記第一通信手段は、前記第一経過時間が予め設定された第一閾値を超えた場合、通信を切断して動作を停止することを特徴とする情報通信システム。
【請求項3】
前記イネーブル信号は無線信号であり、前記第二通信手段は、前記無線信号を通信する無線通信手段からなることを特徴とする請求項1または2に記載の情報通信システム。
【請求項4】
前記情報機器は、前記第二通信手段を介して移動体通信網に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の情報通信システム。
【請求項5】
前記情報機器は、前記第二通信手段を介して無線LANネットワークに接続されていることを特徴とする請求項3または4に記載の情報通信システム。
【請求項6】
前記イネーブル信号は音声信号であり、前記第二通信手段は、前記音声信号を出力する音声出力手段、および前記音声信号を収録する音声収録手段からなることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の情報通信システム。
【請求項7】
前記イネーブル信号はOFDM変調されたデータが重畳された音声信号であり、前記第二通信手段は、前記データを前記OFDM変調して前記音声信号に重畳する変調手段、前記音声信号を出力する音声出力手段、前記音声信号を収録する音声収録手段、および前記音声信号から前記データを復調する復調手段からなることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の情報通信システム。
【請求項8】
前記音声収録手段は間欠的に動作しており、
前記音声出力手段は、少なくとも前記音声収録手段が動作を停止している期間よりも長い期間、前記音声信号を出力することを特徴とする請求項6または7に記載の情報通信システム。
【請求項9】
前記情報機器は、前記情報として現在の位置データを取得する位置データ取得手段を有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の情報通信システム。
【請求項10】
前記位置データ取得手段は、前記イネーブル信号の通信を契機に起動されることを特徴とする請求項9に記載の情報通信システム。
【請求項11】
前記位置データ取得手段は、前記位置データの取得後、動作を停止することを特徴とする請求項9または10に記載の情報通信システム。
【請求項12】
前記情報機器は、前記情報として画像データを取得する画像データ取得手段を有することを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の情報通信システム。
【請求項13】
前記画像データ取得手段のシャッタレリーズに伴う操作を、前記イネーブル信号の通信の契機とすることを特徴とする請求項12に記載の情報通信システム。
【請求項14】
前記画像データ取得手段のシャッタレリーズに伴う操作音を、前記イネーブル信号として用いることを特徴とする請求項12または13に記載の情報通信システム。
【請求項15】
前記情報として現在の位置データを取得する位置データ取得手段を有する第一の情報機器と、
前記情報として画像データを取得する画像データ取得手段を有する第二の情報機器とを備え、
前記第二の情報機器は、前記第一通信手段を介して、前記第一の情報機器から位置データを取得し、
画像データに位置データが関連付けて記憶される記憶手段を有することを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載の情報通信システム。
【請求項16】
前記第二の情報機器は、位置データが関連付けて記憶されていない当該画像データの位置データを、当該画像データ以外の画像データに関連付けて記憶された位置データを元に付加する位置データ付加手段を有することを特徴とする請求項15に記載の情報通信システム。
【請求項17】
前記位置データ付加手段は、当該画像データを取得した日時と前後する日時に取得された当該画像データ以外の画像データに関連付けて記憶された位置データを、当該画像データの位置データとして付加することを特徴とする請求項16に記載の情報通信システム。
【請求項18】
前記位置データ付加手段は、当該画像データを取得した日時と前後する日時に取得された当該画像データ以外の画像データに関連付けて記憶された位置データから算出した位置データを、当該画像データの位置データとして付加することを特徴とする請求項16または17に記載の情報通信システム。
【請求項19】
前記位置データ付加手段は、当該画像データを取得した際に、前記第二通信手段で前記イネーブル信号の通信を行っていない場合、前記付加を行わないことを特徴とする請求項16ないし18のいずれかに記載の情報通信システム。
【請求項20】
前記位置データ付加手段は、当該画像データを取得した日時と、その日時と前後する日時に取得された当該画像データ以外の画像データの日時との差分が予め設定された第二閾値以上であった場合、前記付加を行わないことを特徴とする請求項17ないし19のいずれかに記載の情報通信システム。
【請求項21】
前記位置データ付加手段は、当該画像データを取得した日時と前後する日時に取得された当該画像データ以外の画像データを取得した日付が、当該画像データを取得した日付と異なる場合、前記付加を行わないことを特徴とする請求項17ないし20のいずれかに記載の情報通信システム。
【請求項22】
前記記憶手段には、前記位置データ付加手段で位置データを付加した旨を表す識別符号が、当該画像データに関連付けて記憶されることを特徴とする請求項16ないし21のいずれかに記載の情報通信システム。
【請求項23】
前記第二の情報機器は、前記位置データを取得してからの第二経過時間を計時する第二計時手段を有し、
前記第二通信手段は、前記第二経過時間が予め設定された第三閾値以下であった場合、前記イネーブル信号の通信を行わないことを特徴とする請求項15ないし22のいずれかに記載の情報通信システム。
【請求項24】
前記画像データ取得手段は、連写撮影を行う機能を有し、
前記第二通信手段は、前記連写撮影の一枚目のみ前記イネーブル信号の通信を行い、二枚目以降は行わないことを特徴とする請求項15ないし23のいずれかに記載の情報通信システム。
【請求項25】
複数の情報機器間で情報を通信する情報通信方法であって、
前記情報の取得を指示する操作に応じて、常時、または間欠的に通信が確立された第二通信手段を用いて、第一通信手段を起動して通信を確立するためのイネーブル信号を通信するイネーブル信号通信ステップと、
前記第一通信手段を用いて前記情報を通信する情報通信ステップと、
前記情報の通信後、前記第一通信手段の通信を切断して動作を停止する通信切断ステップとを備えることを特徴とする情報通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−252212(P2008−252212A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87589(P2007−87589)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】