説明

情報通信装置、および通信性能切り替えプログラム

【課題】無線通信において、省電力化とスループットの確保とを両立する。
【解決手段】間欠動作による無線通信を行う情報通信装置1において、情報通信装置1の制御部12は、低スループット通信を実現する通信性能を設定する制御と、低スループット通信と比べると高いスループットを示すが消費電力が大きい高スループット通信を実現する通信性能を設定する制御と、前記情報通信装置の設置環境および無線通信の通信環境の少なくともいずれかに基づいて、高スループット通信が必要か否かを判定する制御と、を実行し、高スループット通信が必要と判定したときは、高スループット通信に変更する制御を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線端末、つまりノードから構成されるセンサネットワーク(WSN(Wireless Sensor Networks))における無線通信の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
センサネットワークを構成するノードは、主に、電池で駆動する。よって、ノードを長時間駆動して通信を行う場合には、省電力通信を実行する。省電力通信の代表的な方法としては、受信側ノードが間欠動作する方法がある。IEEE(登録商標)802.15.4eという通信規格では、受信側ノードの間欠動作についてCSL(Coordinated Sampled Listening)が提示されている。
【0003】
CSLとは、端的にいえば、送信側ノードが受信側ノードの間欠受信タイミングに同期してフレームを送信する省電力通信方法である。CSLの詳細については、例えば、特許文献1に開示されているが、以下、図1を参照して、CSLによる受信側ノードの間欠動作の概要を説明する。
【0004】
図1は、送信側ノードおよび受信側ノードのシーケンス動作を示す図である。
受信側ノードは、一定間隔をおいて、送信側ノードから送信される信号を受信できるように所定期間(符号101)だけ出力電力を高めて起動状態になり、受信待機する(間欠受信)。なお、受信待機する期間を「受信待機期間」と称する場合がある。また、出力電力を抑えて休止状態になり、送信側ノードから送信される信号を受信できない期間を「スリープ期間」と称する場合がある。
【0005】
送信側ノードは、Wakeupフレームを一定期間(符号102)に亘って受信側ノードに連続送信する。Wakeupフレームには、当該Wakeupフレームの送信後、データフレームを送信する期間である、「データフレーム送信期間」を示す情報が含まれる。なお、説明の便宜上、単に「フレーム」と称するときは「データフレーム」を意味するものとする。
【0006】
受信側ノードは、受信待機期間中にWakeupフレームを受信できた場合、受信したWakeupフレームからデータフレーム送信期間を読み取り、その期間が開始するまでは休止状態になる(短期間スリープ:符号103)。
【0007】
送信側ノードは、データフレーム送信期間中にデータフレームを送信する(符号104)。一方、受信側ノードは、短期間スリープ後のデータフレーム送信期間中は受信待機し、データフレームを受信する(符号105)。受信側ノードは、データフレーム送信期間後は、休止状態になる。
以上が、CSLによる受信側ノードの間欠動作の概要である。
【0008】
前記した省電力通信は、一般的に、間欠動作を行う受信側ノードが休止状態のときは、通信を行うことはできないので、フレームのスループットが低下し、通信が遅延するという問題が生じる。
【0009】
このような問題を解決するために、CSLでは、「フレーム連続送信機能」という機能がある。これは、送信側ノードが受信側ノードに対し、ある程度まとまった量を持つフレームを連続送信することを可能にする機能である。フレームには、フレームの連続送信の有無を示すフレームペンディングビットが含まれている。フレームペンディングビットがONであるときは、フレームの連続送信が開始することを受信側ノードに知らせる。フレームペンディングビットがOFFであるときは、フレームの連続送信が終了することを受信側ノードに知らせる。受信側ノードは、フレームペンディングビットがONであるフレームを受信すると、休止状態にならず、受信待機を継続する。フレーム連続送信機能により、低スループットを許容する通常時は間欠動作により消費電力を抑え、高スループットが要求される必要時にはフレームを連続送信し、適応的に遅延を抑えた無線通信がとりあえず実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1657852号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、フレーム連続送信機能を持つCSLにも、以下の問題が生じる。
まず、送信するフレームが生成するタイミングによっては、フレーム連続送信機能に求めるスループットを確保できない場合がある。例えば、送信するフレームがバースト的に、つまり短期間に集中して生成した場合は、フレームの連続送信により効果的に遅延を抑えることができる。しかし、送信するフレームがランダムなタイミングで生成した場合は、概してフレームが連続する割合が小さいため、フレームの連続送信を行っても効果的に遅延を抑えることができない。
【0012】
また、たとえ送信するフレームがバースト的に生成した場合であっても、受信側ノードはスリープ期間を短くすることしかできず、結局は間欠受信を行う。このため、バースト的に生成したフレームの送信時に求めるスループットを確保できない。
【0013】
そこで、このような事情を鑑みて、本発明では、無線通信において、省電力化とスループットの確保とを両立することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するため、本発明は、
間欠動作による無線通信を行う情報通信装置において、
前記情報通信装置の制御部は、
低スループット通信を実現する通信性能を設定する制御と、
前記低スループット通信と比べると高いスループットを示すが消費電力が大きい高スループット通信を実現する通信性能を設定する制御と、
前記情報通信装置の設置環境および無線通信の通信環境の少なくともいずれかに基づいて、前記高スループット通信が必要か否かを判定する制御と、を実行する
ことを特徴とする。
詳細は、後記する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、無線通信において、省電力化とスループットの確保とを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】送信側ノードおよび受信側ノードのシーケンス動作を示す図である。
【図2】本実施形態における情報通信装置の構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)について、適宜図面を参照しながら説明する。
【0018】
図2は、本実施形態における情報通信装置の構成を示した図である。本実施形態の情報通信装置1は、例えば、IEEE802.15.4eの通信規格に従う無線通信を行うセンサネットワークを構成するノードである。情報通信装置1は、通信部11、制御部12、環境センサ13、および記憶部14といったハードウェアの構成を備える。また、情報通信装置1は、高スループット通信設定部141、低スループット通信設定部142および切り替え判定部143といったソフトウェアの構成を備える。
【0019】
通信部11は、アンテナを介してセンサネットワークの他のノードとフレームを送受信するインターフェースである。
制御部12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、後記する情報通信装置1が行う処理を実行する。
【0020】
環境センサ13は、当該環境センサ13を備えるノードが設置される位置を含む所定の領域内の設置環境を特徴付ける環境特徴量を検出するセンサである。例えば、環境センサ13が土砂崩れを検知するセンサとして実装するときには、環境特徴量とは、例えば、周囲の湿度となり、環境センサ13は湿度センサとなる。湿度センサは、例えば、空気中の水分を吸収したり放出したりすると誘電率が変化する高分子膜を一対の電極板で挟んで構成する。このような湿度センサは、誘電率の変化をコンデンサの静電容量の変化として測定することで、周囲の湿度を求めることができる。
なお、土砂崩れを検出する際に湿度を求めることは、湿度が高ければ、降雨量が相当量大きくなり、地盤が緩むという考えに基づく。
【0021】
記憶部13は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)などである。記憶部13は、前記した高スループット通信設定部141、低スループット通信設定部142および切り替え判定部143をプログラムとして記憶している他、CSLによる通信、間欠動作による、またはよらない通信、キャリアセンスなどを実行するためのプログラムも記憶している。
【0022】
高スループット通信設定部141は、所定値よりも大きいスループット値を実現する無線通信である高スループット通信に要する通信性能を設定する。この性能については後記する。前記所定値は、例えば、記憶部14が記憶している。また、前記所定値は、例えば、低スループット通信設定部142が実現するスループット値よりも大きいスループット値を実現するための閾値である。
【0023】
低スループット通信設定部142は、所定値よりも小さいスループット値を実現する無線通信である低スループット通信に要する通信性能を設定する。この性能については後記する。前記所定値は、例えば、記憶部14が記憶している。また、前記所定値は、例えば、高スループット通信設定部141が実現するスループット値よりも小さいスループット値を実現するための閾値である。
【0024】
切り替え判定部143は、所定の条件を用いて、情報通信装置1が高スループット通信を実行すべきか、低スループット通信を実行すべきか判定する。例えば、切り替え判定部143は、情報通信装置1において行われる無線通信を監視して、その無線通信のトラフィック量の推定値を求める。トラフィック量の推定値は、一般的には、環境センサ13が検出する環境特徴量に依存する。例えば、前記湿度センサが高い湿度を検出すると、情報通信装置1は土砂崩れの可能性を示す緊急情報を周囲に迅速に通知することになるため、その通知に伴う無線通信のトラフィック量は大きくなると推定される。
切り替え判定部143は、前記所定の条件にこの推定値を用いることにより、推定値に応じて高スループット通信を実行すべきか低スループット通信を実行すべきか判定する。推定値が基準値を超えれば、高スループット通信を実行すべきと判定し、そうでなければ低スループット通信を実行すべきと判定する。前記基準値は、例えば、記憶部14が記憶している。
【0025】
高スループット通信設定部141および低スループット通信設定部142が設定するそれぞれの性能は、例えば、以下のように定めることができる。
(1)高スループット通信設定部141では、CSLによる間欠受信ではなく、例えば、常時受信する無線通信を設定する。また、低スループット通信設定部142では、CSLによる間欠受信をする無線通信を設定する。このような設定により、情報通信装置1は、トラフィック量が大きいときは、常時受信待機して、スループットの確保を優先する。また、トラフィック量が小さいときは、特にスループットを確保する必要も無いので間欠的に受信待機して、省電力化を優先する。
【0026】
(2)高スループット通信設定部141では、CSLによる間欠受信の受信間隔を短くするように設定する。また、低スループット通信設定部142では、CSLによる間欠受信の受信間隔を、高スループット通信設定部141が設定する受信間隔よりは長くするように設定する。このような設定により、情報通信装置1は、トラフィック量が大きいときは、受信できる機会を増やして、スループットの確保を優先する。また、トラフィック量が小さいときは、特にスループットを確保する必要も無いので受信できる機会を抑えて、省電力化を優先する。
【0027】
(3)高スループット通信設定部141では、CSLによらない間欠受信の受信間隔を短くする、または間欠受信を行わないように設定する。また、低スループット通信設定部142では、CSLによらない間欠受信の受信間隔を、高スループット通信設定部141が設定するものよりは長くするように設定する。このような設定により、情報通信装置1は、トラフィック量が大きいときは、受信できる機会を増やして、スループットの確保を優先する。また、トラフィック量が小さいときは、特にスループットを確保する必要も無いので受信できる機会を抑えて、省電力化を優先する。
なお、上記(1)〜(3)の設定の一部または全部を適宜組み合わせてもよい。
【0028】
切り替え判定部143により、高スループット通信を実行すべきであるか否かという判定の基準は、例えば、以下のように定めることができる。
(1)一定期間におけるデータフレーム受信期間(推定値)が、所定の閾値以上となった場合、切り替え判定部143は、高スループット通信を実行すべきであると判定する。「データフレーム受信期間」とは、データフレームの受信に要する処理を実行していた期間(前記一定期間に対する割合)をいい、キャリアセンスの期間も含めてもよいし、含めなくてもよい。前記した一定期間、データフレーム受信期間、および閾値は、例えば、記憶部14が記憶している。
【0029】
(2)一定期間におけるデータフレーム受信回数(推定値)が、所定の閾値以上となった場合、切り替え判定部143は、高スループット通信を実行すべきであると判定する。「データフレーム受信回数」とは、データフレームの受信に要する処理を実行した回数をいい、一般的には、送信側から送信されるデータフレームの送信回数に等しい。前記した一定期間、データフレーム受信回数、および閾値は、例えば、記憶部14が記憶している。
【0030】
(3)CSLによる通信を行っている場合、一定期間に受信したデータフレームのうち、フレームペンディングビットがONであるデータフレームの数(推定値)が、所定の閾値以上となった場合、切り替え判定部143は、高スループット通信を実行すべきであると判定する。前記した一定期間、フレームペンディングビットがONであるデータフレームの数、および閾値は、例えば、記憶部14が記憶している。
【0031】
(4)環境センサ13が検出した環境特徴量(推定値)が、所定の閾値以上となった場合、切り替え判定部143は、高スループット通信を実行すべきであると判定する。前記した閾値は、例えば、記憶部14が記憶している。
なお、上記(1)〜(4)の判定の一部または全部を適宜組み合わせてもよい。
【0032】
一方、切り替え判定部143により、低スループット通信を実行すべきであるか否かという判定は、例えば、以下のように定めることができる。
(1)一定期間におけるデータフレーム受信期間(推定値)が、所定の閾値以下となった場合、切り替え判定部143は、高スループット通信を実行すべきであると判定する。前記した一定期間、データフレーム受信期間、および閾値は、例えば、記憶部14が記憶している。
【0033】
(2)一定期間におけるデータフレーム受信回数(推定値)が、所定の閾値以下となった場合、切り替え判定部143は、低スループット通信を実行すべきであると判定する。前記した一定期間、データフレーム受信回数、および閾値は、例えば、記憶部14が記憶している。
【0034】
(3)CSLによる通信を行っている場合、一定期間に受信したデータフレームのうち、フレームペンディングビットがONであるデータフレームの数(推定値)が、所定の閾値以下となった場合、切り替え判定部143は、低スループット通信を実行すべきであると判定する。前記した一定期間、フレームペンディングビットがONであるデータフレームの数、および閾値は、例えば、記憶部14が記憶している。
【0035】
(4)環境センサ13が検出した環境特徴量(推定値)が、所定の閾値以下となった場合、切り替え判定部143は、低スループット通信を実行すべきであると判定する。前記した閾値は、例えば、記憶部14が記憶している。
【0036】
(5)高スループット通信を開始して一定期間が経過した場合、切り替え判定部143は、種々の推定値がどのような値を示しても、低スループット通信を実行すべきであると判定する。前記した一定期間は、例えば、記憶部14が記憶している。
なお、上記(1)〜(5)の判定の一部または全部を適宜組み合わせてもよい。
【0037】
環境センサ13は、例えば、以下のように実装する。
(1)土砂崩れを検知するセンサ:
具体的には、前記した湿度センサでもよいし、振動センサ、気圧センサや加速度センサでもよい。
土砂崩れが起こる可能性が高い場合、緊急事態に備えて高スループット通信を行うセンサネットワークを備える必要がある。また、既に述べたとおり、CSLによる間欠受信は、フレーム連続送信機能があるため、バースト的に生成するフレームの遅延を抑えることができる。しかし、土砂崩れが起こる可能性が高いときに行われる通信(例:アラート通知の通信)は、まだフレームがバースト的に生成するものではないため、CSLを有効に活用できない。
本実施形態では、高スループット通信および低スループット通信を切り替えるので、土砂崩れが起こる可能性が高い場合に相応しい通信を適応的に実行することができる。CSLを用いるか否かという点も適応的に実行することができる。
【0038】
(2)火災の発生を検知するセンサ:
具体的には、温度センサ、音センサ、熱センサ、煙探知器である。
【0039】
(3)地震の発生を検知するセンサ:
具体的には、初期微動検知センサ、加速度センサ、振動センサである。
【0040】
(4)防犯センサ:
具体的には、赤外線センサ、防犯カメラ、ガラス割れ検知センサである。防犯センサが検出した値が閾値以上であった場合、外部侵入者がいる可能性が高いとみなし、切り替え判定部143は、高スループット通信を実行すべきであると判定する。その結果、防犯情報を高スループットで送信することが可能となる。
【0041】
本実施形態の情報通信装置1の処理は、制御部12が記憶部14に記憶されているプログラムを実行し、ソフトウェアとハードウェアとが協働することで実現される。この処理は、制御部12が主体となって、主に、以下の手順で進行する。
【0042】
すなわち、まず、制御部12は、通信部11に高スループット通信または低スループット通信を実行させている。
次に、制御部12は、切り替え判定部143により、例えば、無線通信のトラフィック量の推定値を求め、高スループット通信を実行すべきか低スループット通信を実行すべきか判定する。
制御部12は、高スループット通信を実行すべきと判定したときは、高スループット通信設定部141が設定した性能に従った高スループット通信を通信部11に実行させる。一方、低スループット通信を実行すべきと判定したときは、低スループット通信設定部142が設定した性能に従った低スループット通信を通信部11に実行させる。
前記したこれらの処理は、例えば、一定周期ごとに実行される。
【0043】
ある対象ノードが、低スループット通信としてCSLによる間欠受信を行っている場合において、制御部12がトラフィックの推定値に基づいて、常時受信を行う高スループット通信に切り替えるとき、周囲のノードに対し、間欠受信を中止する旨を示す信号を送信する。その信号を受信した周囲のノードは、例えば、任意のタイミングで対象ノードにデータフレームを送信する。また、対象ノードは、周囲のノードに対し、間欠受信を中止する旨を示す信号を送信する前に、間欠受信の中止の是非を問う旨を示す信号を送信して諮詢してもよい。もし、周囲のノードから、間欠受信を中止してもよい旨を示す信号を受信できれば、そのときに常時受信を行う高スループット通信に切り替える。
【0044】
なお、周囲のノードとは、例えば、センサネットワークとしてマルチホップネットワークを構築した場合の1ホップ範囲内にあるノードをいう。ノードは、親局であっても子局であってもよい。
【0045】
≪まとめ≫
本実施形態によれば、高スループット通信が必要であるか否かを判定して適応的に通信方式を変更しているので、無線通信において、省電力化とスループットの確保とを両立することができる。
【0046】
≪その他≫
前記実施形態は、本発明を実施するために好適のものであるが、その実施形式はこれらに限定されるものでなく、本発明の要旨を変更しない範囲内において種々変形することが可能である。
【0047】
例えば、本実施形態では、高スループット通信設定部141および低スループット通信設定部142という2つのプログラムを備えるように構成した。しかし、例えば、1つの通信設定部を備えるようにし、その通信設定部が、高スループット通信用のモードおよび低スループット通信用のモードを持つようにし、両モードを使い分けるように設計してもよい。ここで、高スループット通信用のモードは、高スループット通信設定部141に機能的に相当する。また、低スループット通信用のモードは、低スループット通信設定部142に機能的に相当する。
【0048】
また、本実施形態では、主に、CSLによる通信について説明した。しかし、例えば、本発明による通信性能の切り替えを、IEEE802.15.4eの省電力通信方式として提案されているRIT(Receiver Initiated Transmission)にも適用することができる。RITを用いる場合には、省電力通信を行うために送信側のノードおよび受信側のノードの双方の通信方式をRIT用に変更する必要がある。そこで、切り替え判定部143の判定により、通信性能を切り替えて、RITによる通信に変更する前に、周囲のノードにその変更を通知するように処理してもよい。ただし、そのような通知をせずにRITによる通信に変更したとしても、その変更後の無線通信でのフレームの送受信を通じて、周囲のノードは、結果的には、その変更を知ることができる。
【0049】
また、本実施形態では、高スループット通信設定部141および低スループット通信設定部142を持ち、スループットの程度を2段階で設定できるようにした。しかし、これを3段階以上に設定できるように設計変更することもできる。例えば、高スループット通信設定部141および低スループット通信設定部142と同等の機能を持つスループット通信設定部を1以上備えるようにソフトウェアを構成してもよい。
【0050】
また、本実施形態で説明した種々の技術を適宜組み合わせた技術を実現することもできる。
また、本実施形態で説明したソフトウェア構成をハードウェアとして実現することもできる。
【0051】
その他、ハードウェア、ソフトウェア等の具体的な構成について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 情報通信装置
11 通信部
12 制御部
13 環境センサ
14 記憶部
141 高スループット通信設定部
142 低スループット通信設定部
143 切り替え判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間欠動作による無線通信を行う情報通信装置において、
前記情報通信装置の制御部は、
低スループット通信を実現する通信性能を設定する制御と、
前記低スループット通信と比べると高いスループットを示すが消費電力が大きい高スループット通信を実現する通信性能を設定する制御と、
前記情報通信装置の設置環境および無線通信の通信環境の少なくともいずれかに基づいて、前記高スループット通信が必要か否かを判定する制御と、を実行する
ことを特徴とする情報通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記高スループット通信が必要と判定したときは、前記高スループット通信に変更する制御を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記高スループット通信に変更する旨を、無線通信を行う他の情報通信装置に通知する制御を実行する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報通信装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記高スループット通信が必要と判定したときは、前記高スループット通信に変更してもよいか否かを示す旨を、無線通信を行う他の情報通信装置に通知する制御と、
前記他の情報通信装置から前記高スループット通信に変更してもよいことを示す確認を受信すると、前記高スループット通信に変更する制御を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報通信装置。
【請求項5】
前記低スループット通信は、間欠受信を行う通信である
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報通信装置。
【請求項6】
前記高スループット通信は、前記低スループット通信が行う間欠受信の間隔よりも短い間隔で間欠受信を行う通信である
ことを特徴とする請求項5に記載の情報通信装置。
【請求項7】
前記高スループット通信は、常時受信を行う通信である
ことを特徴とする請求項5に記載の情報通信装置。
【請求項8】
前記制御部は、
一定期間におけるデータフレーム受信期間が閾値以上であるとき、前記高スループット通信が必要と判定する制御を実行する
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の情報通信装置。
【請求項9】
前記制御部は、
一定期間におけるデータフレーム受信回数が閾値以上であるとき、前記高スループット通信が必要と判定する制御を実行する
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の情報通信装置。
【請求項10】
前記制御部は、
フレーム連続送信機能により他の情報通信装置から受信したデータフレームの個数が閾値以上であるとき、前記高スループット通信が必要と判定する制御を実行する
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の情報通信装置。
【請求項11】
前記情報通信装置が設置される位置を含む所定の領域内の設置環境を特徴付ける環境特徴量を検出する環境センサを有し、
前記制御部は、
前記環境特徴量が閾値以上であるとき、前記高スループット通信が必要と判定する制御を実行する
ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の情報通信装置。
【請求項12】
前記環境センサは、土砂崩れを検知するセンサ、火災の発生を検知するセンサ、地震の発生を検知するセンサ、または防犯センサの少なくともいずれか一つである
ことを特徴とする請求項11に記載の情報通信装置。
【請求項13】
前記制御部は、
前記高スループット通信に変更した後、一定期間が経過すると、前記低スループット通信に変更する制御を実行する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報通信装置。
【請求項14】
前記制御部は、
前記高スループット通信に変更した後、無線通信の通信環境に基づいて、前記高スループット通信が必要か否かを判定し、前記高スループット通信が必要でないと判定したときは、前記低スループット通信に変更する制御を実行する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報通信装置。
【請求項15】
間欠動作による無線通信を行う情報通信装置をコンピュータとして機能させる通信性能切り替えプログラムにおいて、
前記情報通信装置の制御部に、
低スループット通信を実現する通信性能を設定する処理と、
前記低スループット通信と比べると高いスループットを示すが消費電力が大きい高スループット通信を実現する通信性能を設定する処理と、
前記情報通信装置の設置環境および無線通信の通信環境の少なくともいずれかに基づいて、前記高スループット通信が必要か否かを判定する処理と、を実行させる
ことを特徴とする通信性能切り替えプログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−209716(P2012−209716A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73217(P2011−73217)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】