説明

感光性平版印刷版の製造方法及び使用方法

【課題】 本発明の目的は、作業性が高く、また耐刷性、汚れ回復性に優れた印刷版及び点質の優れた印刷物を与える感光性平版印刷版の製造方法及び使用方法を提供することにある。
【解決手段】 支持体上に(A)波長700nm〜1200nmの範囲に吸収をもつ色材及び(B)ラジカル発生剤を含有する画像形成層を有し、波長700nm〜1200nmの範囲に発光波長を有するレーザー光によって露光される感光性平版印刷版の製造方法であって、少なくとも塗布工程、乾燥工程、断裁工程、検査・選別工程を有し、該塗布工程、該乾燥工程、該断裁工程、該検査・選別工程の何れかの工程が、発光波長極大が250nm〜450nmにある発光ダイオードの光を吸収して、青色、緑色及び赤に各々発色する蛍光体を有する光源灯下に行われることを特徴とする感光性平版印刷版の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザーを用いたコンピュータートゥプレートシステム(以下CTPという)に好適な感光性平版印刷版の製造方法及び使用方法に関し、特に赤外線レーザーにより露光される感光性平版印刷版の製造方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフセット印刷用の印刷版の作製技術において、画像のデジタルデータに基づきレーザー光源で平版印刷版原版に直接画像露光を行い、画像記録するCTPシステムが数多く開発され、実用化が進んでいる。特に、近赤外領域に発光波長を有する固体レーザー、半導体レーザーの高出力化に伴い、近赤外光により記録するCTPシステム、いわゆるサーマルCTPシステムが、普及している。
【0003】
サーマルCTPに用いられる平版印刷版原版(CTP用版材)としては、赤外線吸収剤、酸発生剤、レゾール樹脂、ノボラック樹脂を画像記録層の構成成分として有する例がUS5340699号に記載されている。このCTP用版材は、レーザー露光部において、赤外線吸収剤と酸発生剤の相互作用により、画像用に酸が発生し、露光に続く加熱処理により、レゾール樹脂の酸架橋反応が進行する。未露光部は、アルカリ水溶液への溶解性が高く、アルカリ現像処理によって溶解除去されるのに対し、架橋の進んだ露光部は、アルカリ水溶液への溶解性を失っており、画像様に画像記録層が残存し、画像を形成する。
【0004】
又、赤外線吸収剤、ラジカル発生剤、ラジカル重合性化合物、バインダーポリマーを含む画像記録層を設けてなるネガ型画像形成材料において、赤外線レーザで画像露光した後、該材料を60〜120℃の温度範囲で1〜20秒間加熱し、露光後の加熱処理を行う例が知られており、前記ラジカル発生剤として、例えばトリハロメチル基を有するトリアジン化合物を用いることが知られている(特許文献1参照。)。
【0005】
一方、印刷版作製のための製版作業の効率化の観点より、高感度化が求められており、特表2002−537419号公報においては、特定構造のポリカルボン酸を画像記録層に含有せしめることで、材料の保存期間を短期化することなく、高感度化を達成する技術が示されている。
【0006】
さらに赤外線吸収剤として特定のシアニン色素を用いることにより、重合の効率を高め、加熱処理を行わずに耐刷力を高める技術が知られている(特許文献2および3参照)。
【0007】
しかしながら、これらの印刷版材料を製造し、製版作業を行うに際してはセーフライト下で作業を行う必要があり作業性が悪く、又これを従来の蛍光灯白色灯下で行うと(特許文献4参照)耐刷力が不充分な場合もしくは汚れ回復性が悪い場合がある、印刷物の点質が不充分な場合があるなどの問題点があった。
【特許文献1】特開2001−175006号公報
【特許文献2】特開2002−278057号公報
【特許文献3】特開2003−5363号公報
【特許文献4】特開2001−194800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、作業性が高く、また耐刷性、汚れ回復性に優れた印刷版及び点質の優れた印刷物を与える感光性平版印刷版の製造方法及び使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、以下の手段により達成される。
【0010】
(請求項1)
支持体上に(A)波長700nm〜1200nmの範囲に吸収をもつ色材及び(B)ラジカル発生剤を含有する画像形成層を有し、波長700nm〜1200nmの範囲に発光波長を有するレーザー光によって露光される感光性平版印刷版の製造方法であって、少なくとも塗布工程、乾燥工程、断裁工程、検査・選別工程を有し、該塗布工程、該乾燥工程、該断裁工程、該検査・選別工程の何れかの工程が、発光波長極大が250nm〜450nmにある発光ダイオードの光を吸収して、青色、緑色及び赤に各々発色する蛍光体を有する光源灯下に行われることを特徴とする感光性平版印刷版の製造方法。
【0011】
(請求項2)
前記(B)ラジカル発生剤がポリハロゲン化合物であることを特徴とする請求項1に記載の感光性平版印刷版の製造方法。
【0012】
(請求項3)
支持体上に(A)波長700nm〜1200nmの範囲に吸収をもつ色材及び(B)ラジカル発生剤を含有する画像形成層を有し、波長700nm〜1200nmの範囲に発光波長を有するレーザー光によって露光される感光性平版印刷版の使用方法であって、少なくとも露光工程、現像工程、印刷工程を有し、該露光工程、該現像工程、該印刷工程の何れかの工程が、発光波長極大が250nm〜450nmにある発光ダイオードの光を吸収して、青色、緑色及び赤に各々発色する蛍光体を有する光源灯下に行われることを特徴とする感光性平版印刷版の使用方法。
【0013】
(請求項4)
前記(B)ラジカル発生剤がポリハロゲン化合物であることを特徴とする請求項3に記載の感光性平版印刷版の使用方法。
【0014】
(請求項5)
請求項1または2に記載の感光性平版印刷版の製造方法により製造された感光性平版印刷版を請求項3または4に記載の感光性平版印刷版の使用方法により使用することを特徴とする感光性平版印刷版の使用方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明の構成により、作業性が高く、また耐刷性、汚れ回復性に優れた印刷版及び点質の優れた印刷物を与える感光性平版印刷版の製造方法及び使用方法がを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、支持体上に(A)波長700nm〜1200nmの範囲に吸収をもつ色材及び(B)ラジカル発生剤を含有する画像形成層を有し、波長700nm〜1200nmの範囲に発光波長を有するレーザー光によって露光される感光性平版印刷版の製造方法であって、少なくとも塗布工程、乾燥工程、断裁工程、検査・選別工程を有し、該塗布工程、該乾燥工程、該断裁工程、該検査・選別工程の何れかの工程が、発光波長極大が250nm〜450nmにある発光ダイオードの光を吸収して、青色、緑色及び赤に各々発色する蛍光体を有する光源灯下に行われることを特徴とする。
【0017】
又、支持体上に(A)波長700nm〜1200nmの範囲に吸収をもつ色材及び(B)ラジカル発生剤を含有する画像形成層を有し、波長700nm〜1200nmの範囲に発光波長を有するレーザー光によって露光される感光性平版印刷版の使用方法であって、少なくとも露光工程、現像工程、印刷工程を有し、該露光工程、該現像工程、該印刷工程の何れかの工程が、発光波長極大が250nm〜450nmにある発光ダイオードの光を吸収して、青色、緑色及び赤に各々発色する蛍光体を有する光源灯下に行われることを特徴とする。
【0018】
感光性平版印刷版の製造工程は、印刷版用の支持体の作製過程から始まるが、本発明の課題は、感光性物質を取り扱う作業環境の改善も伴うものであり、支持体に感光性組成物を塗布する工程以降に関するものである。
【0019】
感光性平版印刷版の製造工程の内、塗布工程以降の工程としては、塗布工程、乾燥工程、裁断工程、検査・選別工程が挙げられる。
【0020】
印刷版によっては、これにマット加工工程、エージング工程、包装工程等が加わる場合がある。
【0021】
また、印刷版の使用工程としては、露光工程、現像工程、印刷工程が挙げられる。
【0022】
なお、本発明において、塗布工程、乾燥工程、裁断工程、検査・選別工程、包装工程、露光工程、現像工程、印刷工程とは、各工程そのもののみではなく、その工程の前段としてその工程に入るべく準備あるいは待機している状態及び、その工程が終了後、次の工程に移るまでに一時的にその工程内に保持されている状態の如く、通常その工程の一連の作業として認識されるものを含むものであり、いわばその工程及びその周辺の作業空間を意味する。
【0023】
乾燥工程を例にとって説明すると、通常乾燥工程そのものは乾燥機内で行われる。画像形成層用の感光性組成物が塗布された帯状の支持体は、乾燥機に入る前に、塗布機から乾燥機までの間をローラ等によって搬送される。
【0024】
乾燥機内は通常灯りの無い暗室となっているので、この場合には、塗布された画像形成層層が、安全灯によって感光してしまうという問題はもともと生じない。
【0025】
一方、乾燥機そのものは、自動運転となっている場合もあるが、運転状況を確認或いは調製するため、作業員が乾燥機に係わる計器を確認し或いは作動させたりする場合、乾燥工程周辺の作業空間が本発明に用いられる光源灯下であれば、特に色の識別の点で、赤色等に比べて作業性が高く、また後述のように印刷適性に優れた印刷版が得られる。
【0026】
本発明の感光性平版印刷版の製造方法は、塗布工程、乾燥工程、裁断工程、検査・選別工程のうち、少なくとも一つの工程が、発光波長極大が250nm〜450nmにある発光ダイオードの光を吸収して、青色、緑色及び赤に各々発色する蛍光体を有する光源灯下に行われることを特徴とするものであるが、これらの工程全てについて上記光源灯下で行うことが最も好ましい。
【0027】
本発明の上記した製造方法及び使用方法に用いられる光源の発光波長は可視域全体にある。
【0028】
本発明に係る光源下で、感光性平版印刷版の製造あるいは感光性平版印刷版を使用するに際し、通常10lx〜5000lxで、より好ましくは30lx〜1000lxの範囲で照明することが好ましい。
【0029】
本発明の製造方法、使用方法において、光源は、感光性平版印刷版から概ね、0.5m〜10m程度離れた位置に設置することが作業上好ましい。
【0030】
特に検版作業を目視で行う際には、この光源下で行うと蛍光灯での白色灯下に比して特に作業がやり易い。
【0031】
本発明に係る、光波長極大が250nm〜450nmにある発光ダイオードの光を吸収して、青色、緑色及び赤に各々発色する蛍光体を有する光源としては、例えば405nmの青紫色のLEDを用い、この波長に対して青色、緑色及び赤に各々発色する蛍光体を組み合わせて一つのチップとして構成することにより得られる。
【0032】
光波長極大が250nm〜450nmにある発光ダイオードとしては、セレン化亜鉛、窒化ガリウムなどが挙げられる。
【0033】
又、青色、緑色及び赤に各々発色する蛍光体としては、例えば、ZnS:Ag,Al、(SrCaBaMg)5(PO43Cl:Eu、BaMgAl1017:Eu、CaWO4、(以上青)、ZnS:Cu,Al、LaPO4:Ce,Tb、Zn2SiO4:Mn、Gd22S:Tb(以上緑)、Y22S:Eu、Y23:Eu、(Y,Gd)BO3:Eu(以上赤)などが挙げられ、これらを組み合わせ用いることで、白色光が得られる。
【0034】
次に本発明の製造方法及び使用方法に用いられる感光性平版印刷版について説明する。
【0035】
本発明に係る画像形成層は、(A)波長700nm〜1200nmの範囲に吸収をもつ色材及び(B)ラジカル発生剤を含有し、ネガ型、ポジ型どちらの画像形成層もとりうる。
【0036】
((A)波長700nm〜1300nmの範囲に吸収を有する色材)
本発明に係る(A)波長700nm〜1300nmの範囲に吸収を有する色材は(以下(A)と略記する場合もある)、波長700nm〜1300nmの範囲に光吸収を有し、この吸収により熱を発生する化合物である。
【0037】
本発明に係る波長700nmから1300nmの範囲に吸収をもつ色材としては、特に限定は無いが、US5340699号、特開2001−175006号公報、特表2002−537419号公報、特開2002−341519号公報、特開2003−76010号公報、特開2002−278057号公報、特開2003−5363号公報、特開2001−125260号公報、特開2002−23360号公報、特開2002−40638号公報、特開2002−62642号公報、特開2002−2787057号公報等に記載のある、赤外線吸収剤、光熱変換剤、近赤外染料、顔料を用いることができる。
【0038】
好ましくは、シアニン色素、スクアリリウム色素、オキソノール色素、ピリリウム色素、チオピリリウム色素、ポリメチン色素、油溶性フタロシアニン色素、トリアリールアミン色素、チアゾリウム色素、オキサゾリウム色素、ポリアニリン色素、ポリピロール色素、ポリチオフェン色素を用いることができる。
【0039】
その他、カーボンブラック、チタンブラック、酸化鉄粉、コロイド銀等の顔料類も好ましく用いる事ができる。吸光係数、光熱変換効率、価格等の観点から、染料類として特に好ましいのは、シアニン色素であり、顔料類として特に好ましいのは、カーボンブラックである。
【0040】
上記シアニン色素の好ましい具体例としては、例えば、特開2001−133969号公報の段落番号[0017]〜[0019]、特開2002−23360号公報の段落番号[0012]〜[0038]、特開2002−40638号公報の段落番号[0012]〜[0023]に記載されたものを挙げることができる。
【0041】
波長700nm〜1300nmの範囲に吸収をもつ色材の、画像形成層中の添加量は、色材の吸光係数により異なるが、露光波長における平版印刷版材料の反射濃度が、0.3〜3.0の範囲となる量を添加することが好ましい。
【0042】
更に好ましくは、該濃度が0.5から2.0の範囲となる添加量とすることである。例えば、上記の好ましい具体例に挙げたシアニン色素の場合は、該濃度とするために、10〜100mg/m2程度となる量を画像形成層中に添加する。
【0043】
((B)ラジカル発生剤)
(B)ラジカル発生剤(以下(B)と略記する場合がある)は、(A)が露光光を吸収して発生する熱により、ラジカルを発生し得るものである。
【0044】
(B)ラジカル発生剤は、(A)が露光光を吸収して発生する熱により、ポジ型の場合は主に酸として機能し、露光された部分の画像形成層の現像液に対する溶解性を高め、露光された部分の画像形成層を支持体から除去され得るように作用し、ネガ型の場合は、例えば重合を開始あるいは促進させるように機能し、露光された部分の画像形成層を硬化させることにより、露光された部分の画像形成層を支持体から除去されないように作用する。
【0045】
(B)ラジカル発生剤としては、ポリハロゲン化合物、ヨードニウム塩、スルホニウム塩などが挙げられるが、特にポリハロゲン化合物を含む場合に本発明の効果を大きい。
【0046】
本発明に係る感熱画像形成層としては、(A)及びポリハロゲン化合物を含むポジ型の感熱画像形成層または、(A)、ポリハロゲン化合物及び重合開始剤を含む重合型のネガ型感熱画像形成層の場合が特に本発明の効果が大きく好ましい。
【0047】
ポジ型の画像形成層としては、例えば酸により分解可能な物質を含む画像形成層が、またネガ型の画像形成層としては重合成分を含む画像形成層が好ましく用いられる。
【0048】
上記の酸により分解可能な物質を含むポジ型の画像形成層としては、例えば特開平9−171254号に記載のレーザー露光により酸を発生する光酸発生剤と発生した酸により分解し、現像液への溶解性が増大する酸分解化合物および赤外線吸収剤からなる画像形成層が挙げられる。この場合、光酸発生剤は、本発明に係る(B)ラジカル発生剤に相当する。
【0049】
この光酸発生剤としては、各種の公知化合物及び混合物が挙げられる。
【0050】
例えば、ジアゾニウム、ホスホニウム、スルホニウム、及びヨードニウムのBF4-、PF6-、SbF6-、SiF62-、ClO4-などの塩、有機ハロゲン化合物、オルトキノン−ジアジドスルホニルクロリド、及び有機金属/有機ハロゲン化合物も活性光線の照射の際に酸を形成又は分離する活性光線感光性成分であり、光酸発生剤として使用することができる。
【0051】
遊離基形成性の光開始剤として知られる有機ハロゲン化合物は、ハロゲン化水素酸を形成する化合物で、光酸発生剤として使用することができる。
【0052】
前記のハロゲン化水素酸を形成する化合物の例としては、米国特許第3,515,552号、同3,536,489号及び同3,779,778号及び西ドイツ国特許第2,243,621号に記載されているものが挙げられ、又、例えば、西ドイツ国特許第2,610,842号に記載の光分解により酸を発生させる化合物も、使用することができる。また、特開昭50−36209号に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドを用いることができる。
【0053】
光酸発生剤((B)ラジカル発生剤)としては、ポリハロゲン化合物が本発明の効果が大きく特に好ましい。
【0054】
ここでいうポリハロゲン化合物は、トリハロゲンメチル基、ジハロゲンメチル基又はジハロゲンメチレン基を有する化合物であり、特に下記一般式(1)で表されるハロゲン化合物及び上記基がオキサジアゾール環に置換した化合物が好ましく用いられる。この中でもさらに、下記一般式(2)で表されるハロゲン化合物が特に好ましく用いられる。
【0055】
一般式(1) R1−CY2−(C=O)−R2
式中、R1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、イミノスルホニル基またはシアノ基を表す。R2は一価の置換基を表す。R1とR2が結合して環を形成してもかまわない。Yはハロゲン原子を表す。
【0056】
一般式(2) CY3−(C=O)−X−R3
式中、R3は、一価の置換基を表す。Xは、−O−、−NR4−を表す。R4は、水素原子、アルキル基を表す。R3とR4が結合して環を形成してもかまわない。Yはハロゲン原子を表す。これらの中でも特にポリハロゲンアセチルアミド基を有するものが好ましく用いられる。
【0057】
一般式(1)で表される構造の具体的として、下記BR1からBR70の化合物が挙げられる。又、ポリハロゲンメチル基がオキサジアゾール環に置換した化合物も好ましく用いられ、この例をH−1〜H−14に挙げる。さらに、特開平5−34904号公報、堂−45875号公報、同8−240909号公報に記載のオキサジアゾール化合物も好ましく用いられる。
【0058】
尚、これらの化合物はハロゲン原子を臭素から塩素に置き換えた化合物も本発明においては好適に用いることができる。本発明に好ましく用いられる、ポリハロゲン化合物の具体例を以下に挙げる。
【0059】
【化1】

【0060】
【化2】

【0061】
【化3】

【0062】
【化4】

【0063】
【化5】

【0064】
【化6】

【0065】
【化7】

【0066】
【化8】

【0067】
【化9】

【0068】
光酸発生剤の含有量は、その化学的性質及び画像形成層の組成あるいは物性によって広範囲に変えることができるが、画像形成層の固形分の全質量に対して、約0.1〜約20質量%の範囲が適当であり、好ましくは0.2〜10質量%の範囲である。
【0069】
酸分解化合物としては、具体的には特開昭48−89003号、同51−120714号、同53−133429号、同55−12995号、同55−126236号、同56−17345号等に記載されているC−O−C結合を有する化合物、特開昭60−37549号、同60−121446号に記載されているSi−O−C結合を有する化合物、特開昭60−3625号、同60−10247号に記載されているその他の酸分解化合物。さらにまた特願昭61−16687号に記載されているSi−N結合を有する化合物、特願昭61−94603号に記載されている炭酸エステル、特願昭60−251744号に記載されているオルト炭酸エステル、特願昭61−125473号に記載されているオルトチタン酸エステル、特願昭61−125474号に記載されているオルトケイ酸エステル、特願昭61−155481号に記載されているアセタール及びケタール、特願昭61−87769号に記載されているC−S結合を有する化合物などが挙げられるが、これらのうち、前記特開昭53−133429号、同56−17345号、同60−121446号、同60−37549号及び特願昭60−251744号、同61−155481号に記載されているC−O−C結合を有する化合物、Si−O−C結合を有する化合物、オルト炭酸エステル、アセタール類、ケタール類及びシリルエーテル類が好ましい。
【0070】
酸分解化合物の含有量は、画像形成層を形成する組成物の全固形分に対し、5〜70質量%が好ましく、特に好ましくは10〜50質量%である。酸分解化合物は1種を用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0071】
上記ポジ型の画像形成層は、必要に応じ結着剤を適宜含んでもよい。
【0072】
ネガ型画像形成層に用いられる(B)は、上記のように例えば重合を開始あるいは、促進させるように機能し、露光された部分の画像形成層を硬化させることにより、露光された部分の画像形成層を支持体から除去されないように作用する。
【0073】
この場合、ネガ型の画像形成層は、重合可能な不飽和基含有化合物を含有し、(B)は、重合可能な不飽和基含有化合物の重合を開始、あるいは促進する作用するが、さらに単に光のみでラジカルを発生し重合を開始する重合開始剤を含んでもよい。
【0074】
これらの、熱によりラジカルを発生する(B)を含む重合開始剤の例としては以下のものが挙げられるが、上記ポジ型と同様にポリハロゲン化合物を用いるのが好ましい。
【0075】
(重合開始剤)
例えばJ.コーサー(J.Kosar)著「ライト・センシテイブ・システムズ」第5章に記載されるようなカルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾ並びにジアゾ化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素などが挙げられる。更に具体的な化合物は英国特許1,459,563号に開示されている。
【0076】
即ち、重合開始剤としては、次のようなものを使用することができる。
【0077】
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイン−i−プロピルエーテル、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン等のベンゾイン誘導体;ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;2−クロロチオキサントン、2−i−プロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;2−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン等のアントラキノン誘導体;N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン等のアクリドン誘導体;α,α−ジエトキシアセトフェノン、ベンジル、フルオレノン、キサントン、ウラニル化合物の他、特公昭59−1281号公報、同61−9621号公報ならびに特開昭60−60104号公報記載のトリアジン誘導体;特開昭59−1504号公報、同61−243807号公報記載の有機過酸化物;特公昭43−23684号公報、同44−6413号公報、同44−6413号公報、同47−1604号公報ならびに米国特許3,567,453号記載のジアゾニウム化合物;米国特許2,848,328号、同2,852,379号ならびに同2,940,853号記載の有機アジド化合物;特公昭36−22062号公報、同37−13109号公報、同38−18015号公報ならびに同45−9610号公報記載のo−キノンジアジド類;特公昭55−39162号公報、特開昭59−14023号公報ならびに「マクロモレキュルス(Macromolecules)」10巻,1307頁(1977年)記載の各種オニウム化合物;特開昭59−142205号公報記載のアゾ化合物;特開平1−54440号公報、ヨーロッパ特許109,851号、同126,712号ならびに「ジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス(J.Imag.Sci.)」30巻,174頁(1986年)記載の金属アレン錯体;特願平4−56831号公報及び同4−89535号公報記載の(オキソ)スルホニウム有機硼素錯体;特開昭59−152396号公報、開昭61−151197号公報記載のチタノセン類;「コーディネーション・ケミストリー・レビュー(CoordinationChemistryReview)」84巻,85〜277頁(1988年)ならびに特開平2−182701号公報記載のルテニウム等の遷移金属を含有する遷移金属錯体;特開平3−209477号公報記載の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;四臭化炭素、特開昭59−107344号公報記載の有機ハロゲン化合物等。
【0078】
さらに、重合開始剤の例としては、特表2002−537419号公報記載のラジカルを生成可能な化合物、特開2001−175006号公報、特開2002−278057号公報、特開2003−5363号公報記載の重合開始剤等を用いることができる他、特開2003−76010号公報記載の、一分子中にカチオン部を二個以上有するオニウム塩、特開2001−133966号公報のN−ニトロソアミン系化合物、特開2001−343742の熱によりラジカルを発生する化合物、特開2002−6482号公報の熱により酸又はラジカルを発生する化合物、特開2002−116539号公報のボレート化合物、特開2002−148790号公報の熱により酸又はラジカルを発生する化合物、特開2002−207293号公報の重合性の不飽和基を有する光又は熱重合開始剤、特開2002−268217号公報の2価以上のアニオンを対イオンとして有するオニウム塩、特開2002−328465号公報の特定構造スルホニルスルホン化合物、特開2002−341519号公報の熱によりラジカルを発生する化合物、等の化合物も使用できる。
【0079】
重合開始剤の画像形成層中への添加量は特に制限はないが、好ましくは、画像形成層の構成成分中、0.1〜20質量%の範囲が好ましい。さらに、好ましくは0.8〜15質量%である。
【0080】
(重合可能な不飽和基含有化合物)
重合可能な不飽和基含有化合物は分子内に、重合可能な不飽和基、を有する化合物であり、一般的なラジカル重合性のモノマー類、紫外線硬化樹脂に一般的に用いられる分子内に付加重合可能なエチレン性二重結合を複数有する多官能モノマー類や、多官能オリゴマー類を用いることができる。
【0081】
これらの重合可能なエチレン性二重結合含有化合物に特に限定は無いが、好ましいものとして、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、グリセロールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシヘキサノリドアクリレート、1,3−ジオキサンアルコールのε−カプロラクトン付加物のアクリレート、1,3−ジオキソランアクリレート等の単官能アクリル酸エステル類、或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングルコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ハイドロキノンジアクリレート、レゾルシンジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートのジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレートのε−カプロラクトン付加物、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルのジアクリレート等の2官能アクリル酸エステル類、或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのε−カプロラクトン付加物、ピロガロールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ヒドロキシピバリルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート等の多官能アクリル酸エステル酸、或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル等を挙げることができる。
【0082】
また、プレポリマーも上記同様に使用することができる。プレポリマーは、1種又は2種以上を併用してもよいし、上述の単量体及び/又はオリゴマーと混合して用いてもよい。
【0083】
プレポリマーとしては、例えばアジピン酸、トリメリット酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、ハイミック酸、マロン酸、こはく酸、グルタール酸、イタコン酸、ピロメリット酸、フマル酸、グルタール酸、ピメリン酸、セバシン酸、ドデカン酸、テトラヒドロフタル酸等の多塩基酸と、エチレングリコール、プロピレングルコール、ジエチレングリコール、プロピレンオキサイド、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール等の多価のアルコールの結合で得られるポリエステルに(メタ)アクリル酸を導入したポリエステルアクリレート類、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸、フェノールノボラック・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸のようにエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したエポキシアクリレート類、例えば、エチレングリコール・アジピン酸・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルフタリルメタクリレート・キシレンジイソシアネート、1,2−ポリブタジエングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパン・プロピレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレートのように、ウレタン樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したウレタンアクリレート、例えば、ポリシロキサンアクリレート、ポリシロキサン・ジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート等のシリコーン樹脂アクリレート類、その他、油変性アルキッド樹脂に(メタ)アクリロイル基を導入したアルキッド変性アクリレート類、スピラン樹脂アクリレート類等のプレポリマーが挙げられる。
【0084】
この画像形成層には、ホスファゼンモノマー、トリエチレングリコール、イソシアヌール酸EO(エチレンオキシド)変性ジアクリレート、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、アルキレングリコールタイプアクリル酸変性、ウレタン変性アクリレート等の単量体及び該単量体から形成される構成単位を有する付加重合性のオリゴマー及びプレポリマーを含有することができる。
【0085】
更に、併用可能な化合物として、少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を含有するリン酸エステル化合物が挙げられる。該化合物は、リン酸の水酸基の少なくとも一部がエステル化された化合物である。
【0086】
その他に、特開昭58−212994号公報、同61−6649号公報、同62−46688号公報、同62−48589号公報、同62−173295号公報、同62−187092号公報、同63−67189号公報、特開平1−244891号公報等に記載の化合物などを挙げることができ、更に「11290の化学商品」化学工業日報社、286頁〜294頁に記載の化合物、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」高分子刊行会、11頁〜65頁に記載の化合物なども本発明においては好適に用いることができる。これらの中で、分子内に2以上のアクリル基又はメタクリル基を有する化合物が本発明においては好ましく、更に分子量が10,000以下、より好ましくは5,000以下のものが好ましい。
【0087】
また分子内に三級アミノ基を含有する付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体もを好ましく用いることができる。構造上の限定は特に無いが、水酸基を有する三級アミン化合物を、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸クロリド、アクリル酸クロリド等で変性したものが好ましく用いられる。具体的には、特開平1−165613号公報、特開平1−203413号公報記載の重合可能な化合物等が好ましく用いられる。
【0088】
さらに本発明では、分子内に三級アミノ基を含有する多価アルコール、ジイソシアネート化合物、および分子内にヒドロキシル基と付加重合可能なエチレン性二重結合を含有する化合物の反応生成物も好ましく用いられる。特に、3級アミノ基及びアミド結合を有する化合物が好ましく用いられる。
【0089】
ここでいう、分子内に三級アミノ基を含有する多価アルコールとしては、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−tert.−ブチルジエタノールアミン、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)アニリン、N,N,N’,N’−テトラ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、p−トリルジエタノールアミン、N,N,N’,N’−テトラ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリン、アリルジエタノールアミン、3−(ジメチルアミノ)−1,2−プロパンジオール、3−ジエチルアミノ−1,2−プロパンジオ−ル、N,N−ジ(n−プロピル)アミノ−2,3−プロパンジオール、N,N−ジ(iso−プロピル)アミノ−2,3−プロパンジオール、3−(N−メチル−N−ベンジルアミノ)−1,2−プロパンジオール等が挙げられるが、これに限定されない。
【0090】
ジイソシアネート化合物としては、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサン−1,6−ジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、オクタン−1,8−ジイソシアネート、1,3−ジイソシアナートメチル−シクロヘキサノン、2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,2−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,5−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアナートメチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−イソシアナート−1−メチルエチル)ベンゼン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
分子内にヒドロキシル基と付加重合可能なエチレン性二重結合を含有する化合物としては、例えば2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピレン−1,3−ジメタクリレート、2−ヒドロキシプロピレン−1−メタクリレート−3−アクリレート等が挙げられる。
【0092】
これらの反応は、通常のジオール化合物、ジイソシアネート化合物、ヒドロキシル基含有アクリレート化合物の反応で、ウレタンアクリレートを合成する方法と同様に行うことが出来る。
【0093】
これらの分子内に三級アミノ基を含有する多価アルコール、ジイソシアネート化合物、および分子内にヒドロキシル基と付加重合可能なエチレン性二重結合を含有する化合物の反応生成物において具体例を以下に示す。
M−1:トリエタノールアミン(1モル)、ヘキサン−1,6−ジイソシアネート(3モル)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(3モル)の反応生成物
M−2:トリエタノールアミン(1モル)、イソホロンジイソシアネート(3モル)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(3モル)の反応生成物
M−3:N−n−ブチルジエタノールアミン(1モル)、1,3−ビス(1−イソシアナート−1−メチルエチル)ベンゼン(2モル)、2−ヒドロキシプロピレン−1−メタクリレート−3−アクリレート(2モル)の反応生成物
M−4:N−n−ブチルジエタノールアミン(1モル)、1,3−ジ(イソシアナートメチル)ベンゼン(2モル)、2−ヒドロキシプロピレン−1−メタクリレート−3−アクリレート(2モル)の反応生成物
M−5:N−メチルジエタノールアミン(1モル)、トリレン−2,4−ジイソシアネート(2モル)、2−ヒドロキシプロピレン−1,3−ジメタクリレート(2モル)の反応生成物
M−6:トリエタノールアミン(1モル)、1,3−ビス(1−イソシアナート−1−メチルエチル)ベンゼン(3モル)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(3モル)の反応生成物
M−7:エチレンジアミンテトラエタノール(1モル)、1,3−ビス(1−イソシアナート−1−メチルエチル)ベンゼン(4モル)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(4モル)の反応生成物
この他にも、特開平1−105238号公報、特開平2−127404号公報記載の、アクリレートまたはアルキルアクリレートが用いることが出来る。
【0094】
重合可能な不飽和基含有化合物の添加量は、画像形成層層に対して、5〜80質量%が好ましく15〜60質量%であることがより好ましい。
【0095】
上記の重合成分を含む画像形成層は、アルカリ可溶性高分子化合物を含むことが好ましい。
【0096】
アルカリ可溶性高分子化合物は、酸価を有する高分子化合物であり、具体的には以下の様な各種の構造を有する共重合体を好適に使用することが出来る。
【0097】
上記共重合体として、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、その他の天然樹脂等が使用出来る。これらを2種以上併用してもかまわない。
【0098】
これらのうちカルボキシ基、水酸基を有するポリマーが好ましく用いられ、特にカルボキシ基を有するポリマーが好ましく用いられる。
【0099】
これらのうちアクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましく用いられる。さらに、共重合組成として、(a)カルボキシル基含有モノマー、(b)メタクリル酸アルキルエステル、またはアクリル酸アルキルエステルの共重合体であることが好ましい。
【0100】
カルボキシル基含有モノマーの具体例としては、α,β−不飽和カルボン酸類、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。その他、フタル酸と2−ヒドロキシメタクリレートのハーフエステル等のカルボン酸も好ましい。
【0101】
メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル等の無置換アルキルエステルの他、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル等の環状アルキルエステルや、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート等の置換アルキルエステルも挙げられる。
【0102】
さらに、他の共重合モノマーとして、下記(1)〜(14)に記載のモノマー等を用いたものも使用できる。
【0103】
1)芳香族水酸基を有するモノマー、例えばo−(又はp−,m−)ヒドロキシスチレン、o−(又はp−,m−)ヒドロキシフェニルアクリレート等。
【0104】
2)脂肪族水酸基を有するモノマー、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチルビニルエーテル等。
【0105】
3)アミノスルホニル基を有するモノマー、例えばm−(又はp−)アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−(又はp−)アミノスルホニルフェニルアクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等。
【0106】
4)スルホンアミド基を有するモノマー、例えばN−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド等。
【0107】
5)アクリルアミド又はメタクリルアミド類、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(4−ニトロフェニル)アクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド等。
【0108】
6)弗化アルキル基を含有するモノマー、例えばトリフルオロエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロプロピルメタクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、N−ブチル−N−(2−アクリロキシエチル)ヘプタデカフルオロオクチルスルホンアミド等。
【0109】
7)ビニルエーテル類、例えば、エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等。
【0110】
8)ビニルエステル類、例えばビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等。
【0111】
9)スチレン類、例えばスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等。
【0112】
10)ビニルケトン類、例えばメチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等。
【0113】
11)オレフィン類、例えばエチレン、プロピレン、i−ブチレン、ブタジエン、イソプレン等。
【0114】
12)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン等。
【0115】
13)シアノ基を有するモノマー、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−ペンテンニトリル、2−メチル−3−ブテンニトリル、2−シアノエチルアクリレート、o−(又はm−,p−)シアノスチレン等。
【0116】
14)アミノ基を有するモノマー、例えばN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリブタジエンウレタンアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−i−プロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等。
【0117】
さらに、これらのモノマーと共重合し得る他のモノマーを共重合してもよい。
【0118】
又、上記ビニル系共重合体の分子内に存在するカルボキシル基に、分子内に(メタ)アクリロイル基とエポキシ基を有する化合物を付加反応させる事によって得られる、不飽和結合含有ビニル系共重合体も好ましく用いられる。
【0119】
分子内に不飽和結合とエポキシ基を共に含有する化合物としては、具体的にはグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、特開平11−271969号に記載のあるエポキシ基含有不飽和化合物等が挙げられる。
【0120】
これらのアルカリ可溶性高分子化合物の中でも、酸価が30〜200の化合物が好ましく、このうち特に質量平均分子量が15,000〜500,000であるものが、さらに好ましい。
【0121】
これらのうち重合可能な不飽和基を有するものが好ましく、特に重合可能な不飽和基を有する単位の割合が、高分子化合物全体の繰り返し単位に対して、5〜50%であるものが好ましい。
【0122】
重合性不飽和基を有するアルカリ可溶性高分子化合物は、公知の方法を制限無く使用できる。
【0123】
例えば、カルボキシル基にグリシジル基を反応させる方法、水酸基にイソシアネート基を反応させる方法等を挙げることができる。
【0124】
(高分子結合材)
上記重合型の画像形成層は、さらに高分子結合材を含有することができる。
【0125】
高分子結合材としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、その他の天然樹脂等が使用出来る。また、これらを2種以上併用してもかまわない。
【0126】
(重合禁止剤)
上記重合型の画像形成層は、重合禁止剤を必要に応じ含有することができる。
【0127】
重合禁止剤としては、例えば塩基定数(pKb)が7〜14であるピペリジン骨格を有するヒンダードアミン化合物等が挙がられる。
【0128】
重合禁止剤の添加量は、重合可能な不飽和基含有化合物に対して、約0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜10質量%が特に好ましく、さらに0.1〜5質量%が好ましい。
【0129】
画像形成層には、上記した重合禁止剤の他に、他の重合禁止剤を添加してもよい。他の重合禁止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート等があげられる。
【0130】
また、画像形成層には着色剤も使用することができ、着色剤としては、市販のものを含め従来公知のものが好適に使用できる。例えば、改訂新版「顔料便覧」,日本顔料技術協会編(誠文堂新光社)、カラーインデックス便覧等に述べられているものが挙げられる。
【0131】
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、赤色顔料、褐色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料等が挙げられる。具体的には、無機顔料(二酸化チタン、カーボンブラック、グラファイト、酸化亜鉛、プルシアンブルー、硫化カドミウム、酸化鉄、ならびに鉛、亜鉛、バリウム及びカルシウムのクロム酸塩等)及び有機顔料(アゾ系、チオインジゴ系、アントラキノン系、アントアンスロン系、トリフェンジオキサジン系の顔料、バット染料顔料、フタロシアニン顔料及びその誘導体、キナクリドン顔料等)が挙げられる。
【0132】
これらの中でも、使用する露光レーザーに対応した分光増感色素の吸収波長域に実質的に吸収を持たない顔料を選択して使用することが好ましく、この場合、使用するレーザー波長での積分球を用いた顔料の反射吸収が0.05以下であることが好ましい。又、顔料の添加量としては、上記組成物の固形分に対し0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.2〜5質量%である。
【0133】
画像形成層の上側には、保護層を設けることが好ましい。該保護層(酸素遮断層)は、後述の現像液(一般にはアルカリ水溶液)への溶解性が高いことが好ましく、具体的には、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンを主成分とする層を挙げることができる。ポリビニルアルコールは酸素の透過を抑制する効果を有し、またポリビニルピロリドンは隣接する画像形成層との接着性を確保する効果を有する。
【0134】
上記2種のポリマーの他に、必要に応じ、ポリサッカライド、ポリエチレングリコール、ゼラチン、膠、カゼイン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチル澱粉、アラビアゴム、サクローズオクタアセテート、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアミン、ポリエチレンオキシド、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、水溶性ポリアミド等の水溶性ポリマーを併用することもできる。
【0135】
(支持体)
本発明に係る支持体は画像形成層を担持可能な板状体またはフィルム体であり、画像形成層が設けられる側に親水性表面を有するのが好ましい。
【0136】
本発明の支持体として、例えばアルミニウム、ステンレス、クロム、ニッケル等の金属板、また、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のプラスチックフィルムに前述の金属薄膜をラミネートまたは蒸着したもの等が挙げられる。
【0137】
また、ポリエステルフィルム、塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム等の表面に親水化処理を施したもの等が使用できるが、アルミニウム支持体が好ましく使用される。アルミニウム支持体の場合、純アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられる。
【0138】
支持体のアルミニウム合金としては、種々のものが使用でき、例えば、珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、ナトリウム、鉄等の金属とアルミニウムの合金が用いられる。又アルミニウム支持体は、保水性付与のため、表面を粗面化したものが用いられる。
【0139】
粗面化(砂目立て処理)するに先立って表面の圧延油を除去するために脱脂処理を施すことが好ましい。脱脂処理としては、トリクレン、シンナー等の溶剤を用いる脱脂処理、ケシロン、トリエタノール等のエマルジョンを用いたエマルジョン脱脂処理等が用いられる。又、脱脂処理には、苛性ソーダ等のアルカリの水溶液を用いることもできる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、上記脱脂処理のみでは除去できない汚れや酸化皮膜も除去することができる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、支持体の表面にはスマットが生成するので、この場合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、或いはそれらの混酸に浸漬しデスマット処理を施すことが好ましい。粗面化の方法としては、例えば、機械的方法、電解によりエッチングする方法が挙げられる。
【0140】
用いられる機械的粗面化法は特に限定されるものではないが、ブラシ研磨法、ホーニング研磨法が好ましい。
【0141】
電気化学的粗面化法も特に限定されるものではないが、酸性電解液中で電気化学的に粗面化を行う方法が好ましい。
【0142】
上記の電気化学的粗面化法で粗面化した後、表面のアルミニウム屑等を取り除くため、酸又はアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でもアルカリの水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/m2が好ましい。又、アルカリの水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸或いはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
【0143】
機械的粗面化処理法、電気化学的粗面化法はそれぞれ単独で用いて粗面化してもよいし、又、機械的粗面化処理法に次いで電気化学的粗面化法を行って粗面化してもよい。
【0144】
粗面化処理の次には、陽極酸化処理を行うことができる。本発明において用いることができる陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行うことにより、支持体上には酸化皮膜が形成される。
【0145】
陽極酸化処理された支持体は、必要に応じ封孔処理を施してもよい。これら封孔処理は、熱水処理、沸騰水処理、水蒸気処理、珪酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム処理等公知の方法を用いて行うことができる。
【0146】
更に、これらの処理を行った後に、水溶性の樹脂、例えばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えばホウ酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等を下塗りしたものも好適である。更に、特開平5−304358号公報に開示されているようなラジカルによって付加反応を起し得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理基板も好適に用いられる。
【0147】
(保護層)
本発明に係る画像形成層の上側には、保護層を設けてもよい。
【0148】
保護層(酸素遮断層)は、後述する現像液(一般にはアルカリ水溶液)への溶解性が高いことが好ましい。
【0149】
保護層を構成する素材として好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、膠、カゼイン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチル澱粉、アラビアゴム、サクローズオクタアセテート、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアミン、ポリエチレンオキシド、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、水溶性ポリアミド、ポリビニルピロリドン共重合体等が挙げられる。これらの化合物を単独又は2種以上併用し保護層塗布組成物とし用いることができる。特に好ましい化合物としてはポリビニルアルコールが挙げられる。
【0150】
保護層塗布組成物を調製するには、上記の素材を適当な溶剤に溶解して塗布液とすることができ、この塗布液を本発明に係る画像形成層上に塗布し、乾燥して保護層を形成することができる。保護層の厚みは0.1〜5.0μmが好ましく、特に好ましくは0.5〜3.0μmである。保護層には、更に必要に応じて界面活性剤、マット剤等を含有することができる。
【0151】
保護層の塗布方法としては、画像形成層の塗布において挙げる公知の塗布方法を好適に用いることができる。保護層の乾燥温度は、画像形成層の乾燥温度よりも低い方が好ましく、好ましくは画像形成層乾燥温度との差が10℃以上、より好ましくは20℃以上であり、上限はせいぜい50℃程度である。
【0152】
また、保護層の乾燥温度が、画像形成層が含有するバインダーのガラス転移温度(Tg)より低いことが好ましい。保護層の乾燥温度と、画像形成層が含有するバインダーのガラス転移温度(Tg)の差は20℃以上であることが好ましく、より好ましくは40℃以上であり、上限はせいぜい60℃程度である。
【0153】
本発明に用いられる感光性平版印刷板の塗布工程では、上述した、画像形成層の各成分及び各種添加剤を適当な溶媒に溶解し、これを支持体に塗布する。
【0154】
溶媒の種類は、上述の各成分に対して十分な溶解度を持ち、良好な塗膜性を与える限り特に制限されない。
【0155】
このような溶媒としては、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のプロピレングリコール系溶媒、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル等のエステル系溶媒、ヘプタノール、ヘキサノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール等のアルコール系溶媒、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の高極性溶媒の他に、酢酸、これらの混合溶媒、これらに芳香族炭化水素を添加した混合溶媒などが挙げられる。
【0156】
溶媒の使用割合は、感光性組成物の総量に対し、通常1〜20(質量比)倍の範囲である。
【0157】
塗布工程においては、従来公知の方法、例えば、回転塗布、ワイヤーバー塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ロール塗布、ブレード塗布、カーテン塗布などによって行われる。
【0158】
塗布量は、乾燥膜厚として、通常0.3〜7μm、好ましくは0.5〜5μm、更に好ましくは1〜3μmの範囲である。
【0159】
次に、塗布後の乾燥工程では、通常30〜170℃、好ましくは40〜150℃の範囲で乾燥が行われ、残留溶媒を通常画像形成層中の10質量%以下にする。
【0160】
乾燥工程の後には、必要に応じてエージング工程を行う。エージング工程は一定の条件の下で印刷版を加熱下に保持するものであるが、エージング工程を経ることにより、現像ラチチュードを広くすることができる。
【0161】
エージング工程の前か後に、感光性平版印刷版を所定の大きさに裁断する裁断工程がある。
【0162】
裁断工程では、種々の用途に併せて、所定の大きさの感光性平版印刷版に裁断するものである。
【0163】
但し、この裁断工程の後でも、別の工程を経た後に最終的に寸法合わせや、端部処理を目的として、感光性平版印刷版の一部を取り除く工程を有してもよい。
【0164】
次に、検査・選別工程は、最終製品としての感光性平版印刷版が商品としての価値があるかどうかを判断する。
【0165】
検査・選別工程で商品価値がないものと判断された感光性平版印刷版は、リサイクル或いは廃棄され、出荷されない。検査・選別工程は、作業員の目視によるもの、カメラから得られた情報をコンピュータ処理するもの、あるいはこれらの併用によって行われる。検査・選別工程では、画像形成層表面の傷や塗布むら等を検査する。
【0166】
商品としての最終的な選別においてこの検査・選別工程は必要なものであるが、場合によっては、裁断工程以前の工程の間で表面欠陥等を検査し選別する工程が設ける。
【0167】
検査・選別工程によって商品として出荷されることになった感光性平版印刷版は、出荷するための形態に整えられる。
【0168】
感光性平版印刷版の種類によっては、横型あるいは縦型の載置台に複数枚の感光性平版印刷版を載置する。この場合は載置した状態で使用者に供給され、露光装置の感光性平版印刷版供給用載置台としてセットされる。
【0169】
また、使用者側で露光装置の感光性平版印刷版供給用載置台に感光性平版印刷版を載置する場合には、供給者は、使用者までの搬送のために、段ボール箱等の包装外箱を用いて包装する(包装工程)。載置台に載置された、あるいは包装された感光性平版印刷版は、出荷され、最終的には使用者に供給される。
【0170】
次に感光性平版印刷版を用いて製版し、印刷する工程としては、露光工程、現像工程、印刷工程がある。
【0171】
(製版方法)
本発明に係る感光性平版印刷版は、波長700nm〜1200nmの範囲に発光波長を有するレーザー光によって露光される。
【0172】
波長700nm〜1200nmの範囲に発光波長を有するレーザー光のレーザー光源としては、YAGレーザー、半導体レーザー等を好適に用いることできる。
【0173】
レーザー露光の場合、光をビーム状に絞り画像データに応じた走査露光が可能であり、露光面積を微小サイズに絞ることが容易であり、高解像度の画像形成が可能となる。
【0174】
レーザーの走査方法としては、円筒外面走査、円筒内面走査、平面走査などがある。円筒外面走査では、記録材料を外面に巻き付けたドラムを回転させながらレーザー露光を行い、ドラムの回転を主走査としレーザー光の移動を副走査とする。円筒内面走査では、ドラムの内面に記録材料を固定し、レーザービームを内側から照射し、光学系の一部又は全部を回転させることにより円周方向に主走査を行い、光学系の一部又は全部をドラムの軸に平行に直線移動させることにより軸方向に副走査を行う。平面走査では、ポリゴンミラーやガルバノミラーとfθレンズ等を組み合わせてレーザー光の主走査を行い、記録媒体の移動により副走査を行う。円筒外面走査及び円筒内面走査の方が光学系の精度を高め易く、高密度記録には適している。
【0175】
(自動現像機)
本発明の使用方法では、自動現像機を用いて感光性平版印刷版材料を現像処理する方法が、本発明の効果が有効であり、好ましい態様である。
【0176】
自動現像機は、好ましくは現像浴に自動的に補充液を必要量補充する機構が付与されており、好ましくは一定量を超える現像液は、排出する機構が付与されており、好ましくは現像浴に自動的に水を必要量補充する機構が付与されており、好ましくは、通版を検知する機構が付与されており、好ましくは通版の検知をもとに版の処理面積を推定する機構が付与されており、好ましくは通版の検知および/または処理面積の推定をもとに補充しようとする補充液および/または水の補充量および/または補充タイミングを制御する機構が付与されており、好ましくは現像液の温度を制御する機構が付与されており、好ましくは現像液のpHおよび/または電導度を検知する機構が付与されており、好ましくは現像液のpHおよび/または電導度をもとに補充しようとする補充液および/または水の補充量および/または補充タイミングを制御する機構が付与されている。
【0177】
自動現像機は、現像工程の前に前処理液に版を浸漬させる前処理部を有してもよい。この前処理部は、好ましくは版面に前処理液をスプレーする機構が付与されており、好ましくは前処理液の温度を25℃〜55℃の任意の温度に制御する機構が付与されており、好ましくは版面をローラー状のブラシにより擦る機構が付与されている。またこの前処理液としては、水などが用いられる。
【0178】
(後処理)
現像処理された版は水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を主成分とするフィニッシャーや保護ガム液で後処理を施された後、印刷に供せられる。
【0179】
これらの後処理は、一般に現像部と後処理部とからなる自動現像機を用いて行われる。
【0180】
後処理液は、スプレーノズルから吹き付ける方法、処理液が満たされた処理槽中を浸漬搬送する方法が用いられる。また、現像後一定量の少量の水洗水を版面に供給して水洗し、その廃液を現像液原液の希釈水として再利用する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じてそれぞれの補充液を補充しながら処理することができる。また、実質的に未使用の後処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。このような処理によって得られた平版印刷版は、オフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0181】
保護層を有する感光性平版印刷版材料の場合には、現像前水洗水で処理する工程を含む製版方法が好ましい態様である。
【0182】
(印刷)
感光性平版印刷版材料は、製版され後処理された後、印刷に供せられる。
【0183】
印刷は、一般的な平版印刷機を用いて行うことができる。
【0184】
露光工程の前には、供給された感光性平版印刷版を露光装置の感光性平版印刷版供給用載置台に感光性平版印刷版を載置するが、感光性平版印刷版が包装されているものであれば、包装箱を開封して感光性平版印刷版を取り出し、載置する。
【0185】
露光装置から現像装置、印刷装置へは、自動搬送機により印刷版が搬送され、印刷物ができるまで一貫して自動化されている場合もあれば、各工程が独立していて、作業員が次の工程に印刷版を移送する場合もある。作業員が印刷版を直接取り扱う場合はもちろん、搬送が自動化されている場合であっても、運転状況を確認或いは調製するため、作業員が露光装置、現像装置、印刷装置に係わる計器を確認し或いは作動させたりする場合、各工程周辺の作業空間が本発明の発光ダイオード灯下であれば、赤色等に比べて作業性が高い。
【実施例】
【0186】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。尚、実施例における「部」は、特に断りない限り「質量部」を表す。
【0187】
(実施例1)
《高分子結合材:アクリル系共重合体1の合成》
窒素気流下の三ツ口フラスコに、メタクリル酸30部、メタクリル酸メチル50部、メタクリル酸エチル20部、イソプロピルアルコール500部及びα、α′−アゾビスイソブチロニトリル3部を入れ、窒素気流中80℃のオイルバスで6時間反応させた。
【0188】
その後、イソプロピルアルコールの沸点で1時間還流を行った後、トリエチルアンモニウムクロライド3部及びグリシジルメタクリレート25部を加えて3時間反応させ、アクリル系共重合体1を得た。
【0189】
GPCを用いて測定した重量平均分子量は約35,000、DSC(示差熱分析法)を用いて測定したガラス転移温度(Tg)は約85℃であった。
【0190】
[支持体の作製]厚さ0.30mm、幅1030mmのJISA1050アルミニウム板を用いて以下のように連続的に処理を行った。
【0191】
(a)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃でスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を0.3g/m2溶解した。その後スプレーによる水洗を行った。
【0192】
(b)温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後スプレーで水洗した。
【0193】
(c)60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。
【0194】
電解溶液は、アルミニウムイオン0.5質量%、酢酸0.007質量%含む。温度21℃であった。交流電源は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが2msecの正弦波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。
【0195】
電流密度は実効値で、50A/dm2で、通電量は900C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0196】
(d)温度60℃の燐酸濃度20質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)で、10秒間デスマット処理を行い、その後スプレーによる水洗を行った。
【0197】
(e)既存の二段給電電解処理法の陽極酸化装置(第一および第二電解部長各6m、第一給電部長3m、第二給電部長3m、第一及び第二給電電極長各2.4m)を使って電解部の硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、温度38℃で陽極酸化処理を行った。
【0198】
その後スプレーによる水洗を行った。この時、陽極酸化装置においては、電源からの電流は、第一給電部に設けられた第一給電電極に流れ、電解液を介して板状アルミニウムに流れ、第一電解部で板状アルミニウムの表面に酸化皮膜を生成させ、第一給電部に設けられた電解電極を通り、電源に戻る。
【0199】
一方、電源からの電流は、第二給電部に設けられた第二給電電極に流れ、同様に電解液を介して板状アルミニウムに流れ、第二電解部で板状アルミニウムの表面に酸化皮膜を生成させるが、電源から第一給電部に給電される電気量と電源から第二給電部に給電される電気量は同じであり、第二給電部における酸化皮膜面での給電電流密度は、約25A/dm2であった。第二給電部では、1.35g/m2の酸化皮膜面から給電することになった。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
【0200】
更に、スプレー水洗後、0.4質量%のポリビニルホスホン酸溶液中(Clariant社製PVPA30を希釈して使用)に30秒浸漬し、親水化処理した。温度は85℃であった。その後スプレー水洗し、赤外線ヒーターで乾燥した。
【0201】
この時、表面の中心線平均粗さ(Ra)は0.55μmであった。
【0202】
(感光性平版印刷版の作製)
上記支持体上に、下記組成の光重合性画像形成層塗工液を乾燥時1.5g/m2になるようワイヤーバーで塗布し、95℃で1.5分間乾燥し光重合性画像形成層塗布試料を得た。
【0203】
さらに、光重合性画像形成層塗布試料上に、下記組成の酸素遮断層塗工液を乾燥時1.8g/m2になるようワイヤーバーで塗布し、75℃で1.5分間乾燥して、画像形成層上に酸素遮断層を有する感光性平版印刷版試料を作製した。
【0204】
セーフライトは、FLR40S−/M−XNational製蛍光灯にEncapSuliteR−10フィルターを使用し、照度30lux下で作製した。
【0205】
試料を作製した以降は、表に示す発光光源のもとで作業を行った。照度は300luxであった。
【0206】
照度はデジタル照度計T−1M(コニカミノルタセンシング社製)を使用した。
【0207】
(画像形成層塗工液)
エチレン性二重結合含有単量体(B−1) 27.0部
エチレン性二重結合含有単量体(NKエステル4G:新中村化学工業社製)
14.0部
色素(D−1) 3.0部
光重合開始剤(Fe−1) 4.0部
ポリハロゲン化合物(BR22) 4.0部
アクリル系共重合体1 41.0部
フタロシアニン顔料(MHI454:御国色素社製) 6.0部
2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(スミライザーGS:住友3M社製) 0.5部
弗素系界面活性剤(FC−4430;住友3M社製) 0.5部
メチルエチルケトン 80部
シクロヘキサノン 820部
(酸素遮断層塗工液)
ポリビニルアルコール(GL−05:日本合成化学社製) 89部
ポリビニルピロリドン(PVP K−30:アイエスピー・ジャパン社製)10部
界面活性剤(サーフィノール465:日信化学工業社製) 0.5部
水 900部
【0208】
【化10】

【0209】
〈露光・現像処理〉
得られた感光性平版印刷版試料に、版面エネルギーが150mJ/cm2となる条件で、水冷式40W赤外線半導体レーザーを搭載したCreo社製Trendsetter3244VFSにて2400dpi(dpiは、1インチ即ち2.54cm当たりのドット数で示す解像度)の条件で露光した。
【0210】
露光後、感光性平版印刷版をプレヒート部の熱源の電源をoffとし、プレヒートせず通過させるだけとし、現像前に酸素遮断層を除去する前水洗部、下記組成の現像液を充填した現像部、版面に付着した現像液を取り除く水洗部、画線部保護のためのガム液(GW−3:三菱化学社製を2倍希釈したもの)処理部を備えたCTP自動現像機(PHW23−V:Technigraph社製)で現像処理を行い平版印刷版を得た。
【0211】
(現像液D−1組成)
A珪酸ナトリウム 8.0部
ニューコールB−13SN(日本乳化剤社製) 2.0部
プロノン#204(日本油脂社製) 1.0部
エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム2水和塩 0.1部
水酸化カリウム pH=12.9となる添加量
〈印刷〉
作製した平版印刷版を、印刷機(三菱重工業社製:DAIYA1F−1)で、コート紙、印刷インキ(東洋インク社製:トーヨーキングハイエコーM紅)及び湿し水(東京インク社製:H液SG−51,濃度1.5%)を用いて印刷を行い、以下の各特性を評価した。
【0212】
《耐刷性》
平版印刷版を用いて1,000枚連続印刷後、クリーナーで版面を拭き、ハイライト部の点細り、シャドウ部のインキ絡みの発生する印刷枚数を耐刷力の指標とした
。耐刷力1回は1,000枚連続印刷後、クリーナーで拭く作業を指す。この数値は多いほど好ましい。クリーナーは、ウルトラプレートクリーナー(大日精化社製品)を使用した。
【0213】
《汚れ回復》
1,000枚連続印刷後、印刷版をクリーナーで拭き、15分後に印刷を再開し、非画線部の地汚れがなくなる枚数とした。少ないほど良好である。
【0214】
《点質》
100倍ルーペで50%付近のドットを観察して5段階評価した。
「5」フリンジが観察されず非常に滑らかな点質
「4」たまにフリンジが観察されるが滑らかな点質
「3」フリンジがよく観察されるが、実用上問題ない点質
「2」フリンジが目立ち、実用上問題となることがある
「1」フリンジが多く、点が不揃いで実用上問題
結果を表1に示す。
【0215】
【表1】

【0216】
表1から、本発明の使用方法では、耐刷性、汚れ回復性に優れかつ網点品質の良好な印刷物が得られることが分かる。
【0217】
実施例2
感光性平版印刷版の作製と現像液は下記内容で行い、それ以外は実施例1と同様に行った。
【0218】
《支持体の作製》
実施例1の支持体作製において、陽極酸化後、ポリビニルホスホン酸の処理に換えて、30℃の熱水で20秒間、熱水封孔処理を行い、感光性平版印刷版用支持体であるアルミニウム板を作製した。
【0219】
《酸分解化合物の合成》
1,1−ジメトキシシクロヘキサン(0.5モル)、フェニルセロソルブ(1.0モル)及びp−トルエンスルホン酸80mgを撹拌しながら100℃で1時間反応させ、その後150℃まで徐々に温度を上げ、更に150℃で4時間反応させた。反応により生成するメタノールはこの間に留去した。
【0220】
冷却後、テトラヒドロフラン500ml及び無水炭酸カリウム2.5gを加えて撹拌し濾過した。濾液から溶媒を減圧留去し、更に150℃、高真空下で低沸点成分を留去し、粘調な油状の下記酸分解化合物Aを得た。
【0221】
【化11】

【0222】
前記アルミニウム板の支持体上に下記組成の画像形成層塗布液を乾燥後の膜厚が2g/m2になるように回転塗布機を用いて塗布し100℃で2分間乾燥して感光性平版印刷版を得た。
【0223】
画像形成層塗布液の組成
バインダーA 60部
酸分解化合物A 20部
ポリハロゲン化合物(2−トリクロロメチル−5−〔β−(2−ベンゾフリル)ビニル〕−1,3,4−オキサジアゾール) 5部
赤外線吸収色素(IR17) 2部
プロピレングルコールモノメチルエーテル 1000部
現像液:SDR−1(コニカ(株)製)を水で容積比6倍に希釈した。
【0224】
【化12】

【0225】
【化13】

【0226】
結果を表2に示す。
【0227】
【表2】

【0228】
表2から、本発明の使用方法では、耐刷性、汚れ回復性に優れかつ網点品質の良好な印刷物が得られることが分かる。
【0229】
実施例3
感光性平版印刷版の作製と現像液は下記内容で行い、それ以外は実施例1と同様に行った。
【0230】
実施例1の支持体作製において、陽極酸化後、ポリビニルホスホン酸の処理に換えて、珪酸ナトリウム2.5質量%水溶液で30℃で10秒処理し感光性平版印刷版用支持体であるアルミニウム板を作製した。
【0231】
前記アルミニウム板の支持体上に下記下塗り液を塗布し、塗膜を80℃で15秒間乾燥し基板を得た。乾燥後の塗膜の被覆量は15mg/m2であった。
【0232】
(下塗り液)
下記化合物 0.3部
メタノール 100部
水 1部
【0233】
【化14】

【0234】
〈基板1の作製〉
上記のように処理された支持体の裏面に下記のバックコート塗布液−1を、乾燥後の塗布量が30mg/m2となるようにバーコーターで塗布し、100℃で1分間乾燥することにより、バックコート層を設けて、基板1を作製した。
【0235】
(バックコート塗布液−1)
ゾル−ゲル反応液:
テトラエチルシリケート 50部
水 86.4部
メタノール 10.8部
リン酸(85%) 0.08部
上記成分を混合、攪拌すると約35分で発熱した。40分間攪拌して反応させた後、更に下記の希釈液と混合し、バックコート塗布液−1を調製した。
【0236】
希釈液:
ピロガロール−アセトン縮合樹脂 3.5部
マレイン酸ジブチル 5.0部
メガファックF−177(大日本インキ化学工業(株)製フッ素系界面活性剤)
0.8部
メタノール 800部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 270部
[画像形成層の塗設]
上記の基板1に以下の下部画像形成層用塗布液を塗布量0.75g/m2になるよう塗布したのち、TABAI社製、PERFECT OVENPH200にてWindControlを7に設定して140℃で50秒間乾燥し、その後、上部画像形成層用塗布液を塗布量が0.3g/m2になるよう塗布したのち、120℃で1分間乾燥し、感光性平版印刷版を得た。
【0237】
〔下部画像形成層用塗布液〕
N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/アクリロニトリル/メタクリル酸メチル(モル比36/34/30、重量平均分子量50000)2.133部
3−メトキシ−4−ジアゾフェニルアミンヘキサフルオロホスフェート
0.030部
シアニン染料A(下記構造) 0.109部
4,4’−ビズヒドロキシフェニルスルホン 0.063部
無水テトラヒドロフタル酸 0.190部
p−トルエンスルホン酸 0.008部
エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシナフタレンスルホン酸に変えたもの
0.05部
フッ素系界面活性剤(メガファックF176大日本インキ工業(株)社製)
0.035部
メチルエチルケトン 26.6部
1−メトキシ−2−プロパノール 13.6部
γ−ブチロラクトン 13.8部
【0238】
【化15】

【0239】
〔上部画像形成層用塗布液〕
m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均分子量4500、未反応クレゾール0.8質量%含有) 0.237部
シアニン染料A(上記構造) 0.047部
ステアリン酸ドデシル 0.060部
3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミンヘキサフルオロホスフェート
0.030部
フッ素系界面活性剤(メガファックF176、大日本インキ化学工業(株)製)
0.110部
フッ素系界面活性剤(メガファックMCF312(30%)、大日本インキ工業(株)社製) 0.120部
メチルエチルケトン 15.1部
1−メトキシ−2−プロパノール 10.0部
[製版・印刷]
以上のように作製した本発明に係る感光性平版印刷版1をCreo社製Trendsetterにて、露光エネルギー(140mJ/cm2)で、175線、2400dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)の網点の画像描き込みを行った。
【0240】
次に、像様露光を行った平版印刷版に、富士写真フイルム(株)製の現像液DT−1及び現像補充液DT−1Rを用いて現像をおこなった。
【0241】
結果を表3に示す。
【0242】
【表3】

【0243】
表3から、本発明の使用方法では、耐刷性、汚れ回復性に優れかつ網点品質の良好な印刷物が得られることが分かる。
【0244】
実施例4
感光性平版印刷版の作製と現像液は下記内容で行い、それ以外は実施例1と同様に行った。
【0245】
下記の感光液を、実施例1と同様に作製したアルミ板上にワイヤーバーで塗布し、85℃にて2分間乾燥させ、膜厚20mg/dm2の感光性平版印刷版を得た。
【0246】
(感光液)
m−クレゾール/p−クレゾール/フェノールノボラック樹脂(SK−188、住友デュレス社製) 0.5部
サイメル300(メトキシメチルメラミン系、メトキシ化率90%以上、三井サイアナミッド社製) 0.1部
赤外線吸収色素CY−10(日本化薬社製) 0.025部
2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン 0.015部
シクロヘキサノン 5.7部
2−メルカプトベンズチアゾール 0.024部
この感光性平版印刷版を回転ドラム上に取り付け黄色灯下で半導体レーザー(アプライドテクノ社製、830nm)をレンズで25μmビーム径に絞ったレーザー光(40mW)により走査露光を行なった。
【0247】
次いで100℃にて3分間、後加熱を行ない更に現像液SDR−1(コニカ社製、ポジ型平版用)を6倍希釈し25℃、30秒間現像を行なった。
【0248】
結果を表4に示す。
【0249】
【表4】

【0250】
表4から、本発明の使用方法では、耐刷性、汚れ回復性に優れかつ網点品質の良好な印刷物が得られることが分かる。
【0251】
実施例5
感光性平版印刷版の作製と現像液は下記内容で行い、それ以外は実施例1と同様に行った。
【0252】
実施例1の支持体作製において、陽極酸化後、ポリビニルホスホン酸の処理に換えて、珪酸ナトリウム2.5質量%水溶液で30℃で10秒処理し感光性平版印刷版用支持体であるアルミニウム板を作製した。
【0253】
[中間層の形成]
下記の手順により液状組成物(ゾル液)を調整した。
【0254】
(ゾル液組成)
メタノール 130部
水 20部
85質量%リン酸 16部
テトラエトキシシラン 50部
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 60部
上記の各化合物を混合し、撹拌した。
【0255】
約5分で発熱が認められた。60分間反応させた後、内容物を別の容器へ移し、メタノール3000gを加えることにより、ゾル液を得た。
【0256】
このゾル液をメタノール/エチレングリコール=9/1(質量比)で希釈して、前記の支持体上に、支持体上のSiの量が3mg/m2となるように塗布し、100℃にて1分間乾燥させ、基板を得た。
【0257】
[画像形成層層の形成]
上述の様に作製された基盤板の表面に下記組成の画像形成層塗布液を塗布し、115℃で1分乾燥し、1.4g/m2の画像形成層を形成し感光性平版印刷版を得た。
【0258】
(画像形成層塗布液)
付加重合性化合物(ペンタエリスリトールテトラアクリレート) 1.5部
バインダー(アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合モル比:83/17)酸価1.55m当量/g、重合平均分子量12.5万) 2.0部
光熱変換剤(DX−1) 0.1部
重合開始剤(S−33) 0.15部
フッ素系ノニオン界面活性剤(メガファックF−177P大日本インキ化学工業(株)製) 0.02部
ビクトリアピュアブルーBOHの対アニオンを1−ナフタレンスルホン酸アニオンにした染料 0.04部
メチルエチルケトン 10部
メタノール 7部
2−メトキシ−1−プロパノール 10部
【0259】
【化16】

【0260】
【化17】

【0261】
[露光、現像]
得られた感光性平版印刷版を出力500mW、波長830nm、ビーム径17μm(l/e2)の半導体レーザを用いて主走査速度5m/秒にて露光した後、下記組成のD−1現像液及びリンス液FR−3(1:7)を仕込んだ自動現像機(富士写真フィルム(株)製:PSプロセッサー900VR)を用いて現像した。
【0262】
(D−1現像液)
水酸化カリウム 3部
炭酸水素ナトリウム 1部
炭酸カリウム 2部
亜硫酸ナトリウム 1部
ポリエチレングリコールモノナフチルエーテル 150部
ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩 50部
エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩 8部
水 785部
結果を表5に示す。
【0263】
実施例1〜5までの、感光性平版印刷版を作製した後の作業効率について、検版作業はいずれも従来の蛍光灯白色灯下の場合に比較して作業が行い易く短時間で行うことができ、又その他の作業は蛍光灯白色灯下の場合とほぼ同等であった。
【0264】
【表5】

【0265】
表5から、本発明の使用方法では、耐刷性、汚れ回復性に優れかつ網点品質の良好な印刷物が得られることが分かる。
【0266】
実施例6
感光性平版印刷版の作製及びその後の製版作業は表6に示す発光光源のもとで実施例1と同様に行い、照度は100luxであった。

【0267】
結果を表6に示す。感光性平版印刷版の作製作業及びその後の製版作業効率について、検版作業は従来の蛍光灯白色灯下の場合に比較して作業が行い易く短時間で行うことができ、又その他の作業は蛍光灯白色灯下の場合とほぼ同等であった。
【0268】
【表6】

【0269】
表6から、本発明の使用方法では、耐刷性、汚れ回復性に優れかつ網点品質の良好な印刷物が得られることが分かる。
【0270】
実施例7
感光性平版印刷版の作製は表7に示す発光光源のもとで実施例2と同様に行い、照度は100luxであった。露光以降は、セーフライトFLR40S−/M−XNational製蛍光灯にEncapSuliteR−10フィルターを使用し、照度100lux下で作業を行った。
【0271】
結果を表7に示す。感光性平版印刷版を作製する作業効率は、蛍光灯白色灯下の場合とほぼ同等であった。
【0272】
【表7】

【0273】
表7から、本発明の製造方法では、耐刷性、汚れ回復性に優れかつ網点品質の良好な印刷物が得られることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に(A)波長700nm〜1200nmの範囲に吸収をもつ色材及び(B)ラジカル発生剤を含有する画像形成層を有し、波長700nm〜1200nmの範囲に発光波長を有するレーザー光によって露光される感光性平版印刷版の製造方法であって、少なくとも塗布工程、乾燥工程、断裁工程、検査・選別工程を有し、該塗布工程、該乾燥工程、該断裁工程、該検査・選別工程の何れかの工程が、発光波長極大が250nm〜450nmにある発光ダイオードの光を吸収して、青色、緑色及び赤に各々発色する蛍光体を有する光源灯下に行われることを特徴とする感光性平版印刷版の製造方法。
【請求項2】
前記(B)ラジカル発生剤がポリハロゲン化合物であることを特徴とする請求項1に記載の感光性平版印刷版の製造方法。
【請求項3】
支持体上に(A)波長700nm〜1200nmの範囲に吸収をもつ色材及び(B)ラジカル発生剤を含有する画像形成層を有し、波長700nm〜1200nmの範囲に発光波長を有するレーザー光によって露光される感光性平版印刷版の使用方法であって、少なくとも露光工程、現像工程、印刷工程を有し、該露光工程、該現像工程、該印刷工程の何れかの工程が、発光波長極大が250nm〜450nmにある発光ダイオードの光を吸収して、青色、緑色及び赤に各々発色する蛍光体を有する光源灯下に行われることを特徴とする感光性平版印刷版の使用方法。
【請求項4】
前記(B)ラジカル発生剤がポリハロゲン化合物であることを特徴とする請求項3に記載の感光性平版印刷版の使用方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載の感光性平版印刷版の製造方法により製造された感光性平版印刷版を請求項3または4に記載の感光性平版印刷版の使用方法により使用することを特徴とする感光性平版印刷版の使用方法。

【公開番号】特開2006−47896(P2006−47896A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−231979(P2004−231979)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】