説明

感光性樹脂組成物、並びにこれを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法

【課題】感度、解像度、密着性、レジスト形状及び硬化後の剥離特性がいずれも良好である感光性樹脂組成物、並びにこれを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法の提供。
【解決手段】(A)バインダーポリマー、(B)光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物であって、(B)光重合性化合物が、ノボラック型エポキシ樹脂に不飽和カルボン酸反応させて得られる化合物である感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、並びにこれを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板のレジストパターンを形成する材料として、感光性樹脂組成物が広く用いられている。感光性樹脂組成物は、支持フィルムと該支持フィルム上に形成された感光性樹脂組成物を用いて形成される層(以下、「感光性樹脂層」という。)とを備える感光性エレメントとして用いられることが多い。
【0003】
プリント配線板のレジストパターンは、例えば以下のようにして形成される。まず、感光性エレメントの感光性樹脂層を基板上に積層(ラミネート)する。次に、支持フィルムを剥離除去した後、感光性樹脂層の所定部分に活性光線を照射してその所定部分を露光させ、硬化させる。その後、その所定部分以外の部分(未露光・未硬化部分)を基板上から除去(現像)することにより、基板上に、感光性樹脂組成物の硬化物からなるレジストパターンが形成される。
【0004】
上記露光の方法としては、従来、水銀灯を光源としてフォトマスクを介して露光する方法が知られているが、近年、DLP(Digital Light Processing:デジタル ライト プロセッシング)と呼ばれる露光方法も提案されている(例えば、非特許文献1参照)。DLPは、露光パターンのデジタルデータを感光性樹脂層に直接描画する方法(以下、「直接描画露光法」という。)である。
【0005】
直接描画露光法は、高精度なパターン形成を可能とするため、高密度パッケージ基板の作製等に導入されつつある。ただし、直接描画露光法は、従来の方法と比べて多くの露光時間を要する傾向があるため、生産効率の点では望ましくない。露光時間を短縮して生産効率を高めるためには、感光性樹脂組成物の感度を向上させる必要がある。
【0006】
また、近年のパッケージ基板の高密度化に伴い、良好なレジスト形状(レジストパターンの断面形状)を形成する感光性樹脂組成物に対する要求が高まっている。具体的には、レジスト形状が台形又は逆台形である場合やレジストの裾引きがある場合には、形成される回路に短路や断線が生じることがあるため望ましくなく、レジスト形状は矩形であることが望ましい。
【0007】
さらに、レジストパターン形成用の感光性樹脂組成物は、硬化後の剥離特性に優れたものであることが望まれる。すなわち、硬化物(レジスト)の剥離時間が短く、剥離片のサイズが小さいものが望まれている。このように剥離時間を短縮化することによりレジストパターンの形成効率が向上し、剥離片のサイズを小さくすることにより、レジストの剥離残りが少なくなりレジストパターン形成の歩留りが向上する。
【0008】
その他、レジストパターン形成用の感光性樹脂組成物に求められる特性としては、解像度(未露光部分の除去精度)や基板への密着性(露光部分の耐現像液性)が挙げられる。
【0009】
ここで、特許文献1には、直接描画露光法にも対応し得る良好な感度を有する感光性樹脂組成物として、特定のバインダーポリマーや増感色素などを用いる感光性樹脂組成物が開示されている。
【0010】
特許文献2〜4には、密着性(耐現像液性)を良好にするため、多官能アクリレート化合物を導入して架橋点を多くした感光性樹脂組成物が開示されている。
【0011】
特許文献5には、露光部分と未露光部分とのコントラスト(イメージング性)を良好にするため、カテコール、ヒドロキノン等の重合禁止剤を用いた感光性樹脂組成物が開示されている。
【0012】
特許文献6には、解像度を良好にするため、特定のバインダーポリマーやピラゾリン化合物などを用いる感光性樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005−122123号公報
【特許文献2】特開2003−215799号公報
【特許文献3】特開2003−215797号公報
【特許文献4】特開2003−202667号公報
【特許文献5】特開2000−162767号公報
【特許文献6】特開2007−101941号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】「エレクトロニクス実装技術」、2002年6月号、p.74〜79
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許文献1の感光性樹脂組成物は、感度や剥離特性の点では良好であるものの、解像度及び密着性の点では必ずしも十分ではない。
【0016】
特許文献2〜4の感光性樹脂組成物は、良好な密着性を有する反面、剥離特性の点で十分ではなく、硬化物が基板から剥離除去されにくい傾向がある。
【0017】
特許文献5の感光性樹脂組成物は、解像度、密着性及びイメージング性の点では良好であるものの、感度の点では十分でなく、直接描画露光法を用いる場合に多くの露光時間を要する。
【0018】
特許文献6の感光性樹脂組成物は、解像度の点では良好であるものの、レジスト形状や硬化後の剥離特性の点では必ずしも十分ではない。
【0019】
このように、従来の感光性樹脂組成物は、いずれも、レジストパターン形成用の感光性樹脂組成物に求められる特性を十分に満たすものではなかった。
【0020】
そこで、本発明は、感度、解像度、密着性、レジスト形状及び硬化後の剥離特性がいずれも良好である感光性樹脂組成物、並びにこれを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、特定構造の光重合性化合物を用いることにより、上記特性のいずれをも満たす感光性樹脂組成物を得ることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0022】
すなわち、本発明は、(A)バインダーポリマー、(B)光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物であって、(B)光重合性化合物が、下記一般式(1)で表される化合物を含む感光性樹脂組成物である。このような構成を備えることにより、本発明の感光性樹脂組成物は、感度、解像度、密着性、レジスト形状及び硬化後の剥離特性がいずれも良好なものとなる。
【0023】
【化1】

【0024】
上記一般式(1)中、R1はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Xはそれぞれ独立に2価の有機基を示し、Yはそれぞれ独立に1価の有機基を示し、mは0〜4の整数を示し、nは0〜10の整数を示す。
【0025】
上記一般式(1)で表される化合物の中でも、下記一般式(1−1)で表される化合物のように芳香環上に結合位置が存在するものが好ましい。下記一般式(1−1)中の記号は上記一般式(1)と同様のものを意味する。
【0026】
【化2】

【0027】
本発明の上記効果をより向上させる観点から、上記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(2)で表される化合物を含むことが好ましい。
【化3】

【0028】
上記一般式(2)中、R1はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Xはそれぞれ独立に2価の有機基を示し、R2はそれぞれ独立に水素原子、フェニル基、又は炭素原子数1〜10のアルキル基若しくはシクロアルキル基を示し、nは0〜10の整数を示す。
【0029】
上記一般式(2)で表される化合物の中でも、下記一般式(2−1)で表される化合物のように芳香環上に結合位置が存在するものが好ましい。下記一般式(2−1)中の記号は上記一般式(2)と同様のものを意味する。
【0030】
【化4】

【0031】
上記(C)光重合開始剤は、感度及び密着性を向上させる観点から、ヘキサアリールビイミダゾール誘導体を含むことが好ましい。
【0032】
上記感光性樹脂組成物は、感度、解像度及び密着性を向上させる観点から、(D)増感色素を含有することが好ましい。
【0033】
上記感光性樹脂組成物は、感度を向上させる観点から、(E)アミン系化合物を含有することが好ましい。
【0034】
また、本発明は、支持フィルムと、該支持フィルム上に形成された上記感光性樹脂組成物を用いて形成される感光性樹脂層と、を備える、感光性エレメントに関する。
【0035】
また、本発明は、上記感光性樹脂組成物を用いて形成される感光性樹脂層を基板上に積層する積層工程と、上記感光性樹脂層の所定部分に活性光線を照射して上記所定部分を露光させ、硬化させる露光工程と、上記感光性樹脂層の上記所定部分以外の部分を上記基板上から除去することにより、上記基板上に、上記感光性樹脂組成物の硬化物からなるレジストパターンを形成する現像工程と、を有するレジストパターンの形成方法に関する。
【0036】
上記露光工程においては、所定のパターンのレーザー光線を上記感光性樹脂層に直接照射することにより、上記所定部分を露光させ硬化させることが好ましい。このような直接描画露光法によれば、高精度なパターン形成が可能となる。
【0037】
さらに、本発明は、上記方法によりレジストパターンが形成された基板をエッチング又はめっきすることを含む、プリント配線板の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、感度、解像度、密着性、レジスト形状及び硬化後の剥離特性がいずれも良好である感光性樹脂組成物、並びにこれを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の感光性エレメントの一実施形態を示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。また、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
【0041】
(感光性樹脂組成物)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(A)バインダーポリマー(以下、「(A)成分」ともいう。)、(B)光重合性化合物(以下、「(B)成分」ともいう。)及び(C)光重合開始剤(以下、「(C)成分」ともいう。)を含有する。
【0042】
<(B)成分:光重合性化合物>
(B)成分である光重合性化合物は、下記一般式(1)で表される化合物を含む。
【化5】

【0043】
上記一般式(1)中、R1はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Xはそれぞれ独立に2価の有機基を示し、Yはそれぞれ独立に1価の有機基を示し、mは0〜4の整数を示し、nは0〜10の整数を示す。
【0044】
Yが示す1価の有機基としては、特に制限はなく、炭素原子数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基等や、ヒドロキシル基であってもよい。
【0045】
上記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(2)で表される化合物を含むことが好ましい。
【化6】

【0046】
上記一般式(2)中、R1はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Xはそれぞれ独立に2価の有機基を示し、R2はそれぞれ独立に水素原子、フェニル基、又は炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基若しくはシクロアルキル基を示し、nは0〜10の整数を示す。
【0047】
上記一般式(2)で表される化合物は、下記一般式(3)で表される化合物をも含み得る。
【化7】

【0048】
上記一般式(3)で表される化合物においては、上記一般式(2)のR2同士が結合して脂環構造を形成している。上記一般式(3)中、Zは炭素原子数2〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。
【0049】
上記一般式(1)、(2)又は(3)中のXが示す2価の有機基としては、特に制限はなく、フェニレン鎖や、直鎖状又は分岐状の(ポリ)アルキレン鎖、シクロアルキレン鎖又は(ポリ)オキシアルキレン鎖や、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はアセタール結合を有するものなどが挙げられる。
【0050】
(ポリ)アルキレン鎖としては、メチレン鎖、エチレン鎖、トリメチレン鎖、テトラメチレン鎖、ペンタメチレン鎖、ヘキサメチレン鎖、ヘプタメチレン鎖、オクタメチレン鎖、ノナメチレン鎖、デカメチレン鎖が挙げられる。シクロアルキレン鎖としては、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の構造を有するものが挙げられる。
【0051】
(ポリ)オキシアルキレン鎖としては、(ポリ)オキシエチレン鎖及び(ポリ)オキシプロピレン鎖((ポリ)オキシ−n−プロピレン鎖又は(ポリ)オキシイソプロピレン鎖)のいずれをも有するものが好ましい。また、(ポリ)オキシ−n−ブチレン鎖、(ポリ)オキシイソブチレン鎖、(ポリ)オキシ−n−ペンチレン鎖、(ポリ)オキシヘキシレン鎖や、これらの構造異性体等である炭素原子数4〜10程度の(ポリ)オキシアルキレン鎖が挙げられる。(ポリ)オキシエチレン鎖及び(ポリ)オキシプロピレン鎖は、それぞれ連続してブロック的に存在しても、ランダムに存在してもよい。(ポリ)オキシイソプロピレン鎖においては、プロピレン基の2級炭素が酸素原子に結合していてもよく、1級炭素が酸素原子に結合していてもよい。
【0052】
エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はアセタール結合を有する化合物を得る方法としては、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールA型フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールF型フェノールノボラック型エポキシ化合物等のフェノール性OH基に、ビニルエーテル基、イソシアネート基又はエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルを付加させる方法が挙げられる。また、上記フェノール性OH基に酸無水物を付加させた後に生じるカルボン酸に、ビニルエーテル基又はエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルを付加させる方法が挙げられる。さらに、上記フェノール性OH基をエポキシ変性した構造に対し、(メタ)アクリル酸又はOH基を有する(メタ)アクリル酸エステルを付加させる方法や、上記エポキシ変性した構造に対し、OH基を有する(メタ)アクリル酸エステルと酸無水物の付加反応により生じたカルボン酸を付加させる方法が挙げられる。
【0053】
上記方法により得られる上記一般式(1)、(2)又は(3)で表される化合物における[CH2=C(R1)COO−X−]で表される有機基としては、下記式(a)〜(o)で表される有機基が挙げられる。
【0054】
【化8】

【0055】
【化9】

【0056】
【化10】

【0057】
上記一般式(1)で表される化合物の分子量は、感度、解像度及び耐めっき性の観点から、300〜4000であることが好ましく、400から3500であることがより好ましく、500〜2800であることが特に好ましい。
【0058】
上記一般式(1)で表される化合物の含有量は、(A)成分(バインダーポリマー)及び(B)成分(光重合性化合物)の総量100質量部に対して1〜15質量部とすることが好ましく、5〜15質量部とすることがより好ましい。この含有量が1質量部未満であると、十分な感度及び解像度が得られにくくなる傾向があり、15質量部を超えると、フィルムを形成しにくくなる傾向があり、良好なレジスト形状が得られにくくなる傾向がある。
【0059】
本実施形態の感光性樹脂組成物においては、(B)成分(光重合性化合物)として、分子内に一つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性不飽和化合物(以下「(B’)成分」という。)と、分子内に二つ以上の重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性不飽和化合物(以下「(B’’)成分」という。)とを組み合わせて用いることが、本発明の効果をより確実に得られる観点から好ましい。
【0060】
上記(B’)成分(分子内に一つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性不飽和化合物)としては、下記一般式(4)で表されるフタル酸系化合物が挙げられる。
【0061】
【化11】

【0062】
上記一般式(4)中、R3は水素原子又はメチル基を示し、R4は水素原子、メチル基又はハロゲン化メチル基を示し、Qはハロゲン原子、水酸基又は炭素原子数1〜6のアルキル基を示し、kは0〜4の整数を示す。なお、kが2以上の整数である場合、複数存在するQはそれぞれ同一でも異なるものでもよい。
【0063】
上記一般式(4)で表されるフタル酸系化合物としては、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β’−(メタ)アクリロルオキシアルキル−o−フタレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。上記γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレートは、「FA−MECH」(日立化成工業(株)製、商品名)として商業的に入手可能である。
【0064】
その他、(B’)成分(分子内に一つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性不飽和化合物)としては、ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等も挙げられる。
【0065】
ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレートとしては、ノニルフェノキシテトラエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシペンタエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシヘキサエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシヘプタエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシオクタエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシノナエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシデカエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシウンデカエチレンオキシアクリレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0066】
こらら(B’)成分の中でも、レジストの剥離時間を短縮できる観点から、上記一般式(4)で表されるフタル酸化合物又はノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレートを用いることが好ましく、解像度及び密着性を向上させる観点から、上記一般式(4)で表されるフタル酸系化合物を用いることが特に好ましい。
【0067】
(B’)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して1〜15質量部とすることが好ましく、2〜10質量部とすることがより好ましい。この含有量が15質量部を超えると解像度及び密着性が低下する傾向がある。
【0068】
一方、上記(B’’)成分(分子内に二つ以上の重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性不飽和化合物)としては、上記一般式(1)で表される化合物のほか、下記一般式(5)で表されるビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
【化12】

【0069】
上記一般式(5)中、R5はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、AO、BO、OD及びOGはそれぞれ独立に炭素原子数1〜6のオキシアルキレン基を示し、p、q、r及びsはそれぞれ独立に0〜20の整数を示し、p、q、r及びsの合計は0〜40の整数である。
【0070】
上記一般式(5)で表されるビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物としては、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。
【0071】
上記2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。
【0072】
これらのうち、2,2−ビス(4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル)プロパン(EO2.6mol)は、「BPE−100」(新中村化学工業(株)製、商品名)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、「BPE−500」(新中村化学工業(株)製、商品名)又は「FA−321M」(日立化成工業(株)製、商品名)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパンは、「BPE−1300」(新中村化学工業(株)製、商品名)として商業的に入手可能である。
【0073】
硬化物の可とう性、解像度及び密着性の観点から、上記一般式(5)で表される化合物としては、p、q、r及びsの合計が4〜40の整数となる化合物を含有することが好ましい。上記合計は4〜20の整数であることがより好ましく、8〜15の整数であることが更に好ましい。
【0074】
上記一般式(5)で表される化合物として、p、q、r及びsの合計が4〜40の整数となる化合物を含有する場合、その含有量は、(A)成分(バインダーポリマー)及び(B)成分(光重合性化合物)の総量100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましく、5〜15質量部であることがより好ましい。
【0075】
上記一般式(5)で表される化合物のうち、p、q、r及びsの合計が4〜40の整数となる化合物としては、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。
【0076】
解像度、密着性及び剥離性を向上させる観点からは、上記一般式(5)で表される化合物として、p、q、r及びsの合計が1〜3の整数となる化合物を含有することが好ましい。このような化合物を含有する場合、その含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して1〜15質量部とすることが好ましく、5〜15質量部とすることがより好ましい。この含有量が20質量部を超えるとレジストパターンに欠けが生じやすくなる傾向がある。
【0077】
上記一般式(5)で表される化合物のうち、p、q、r及びsの合計が1〜3の整数となる化合物としては、2,2−ビス(4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル)プロパンが挙げられる。
【0078】
その他、(B’’)成分(分子内に二つ以上の重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性不飽和化合物)としては、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマーなども挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0079】
上記多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜14でありプロピレン基の数が2〜14であるポリエチレン・ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートや、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO,PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0080】
これらのうち、EO変性トリメチロールプロパントリメタクリレートは、「TMPT21」(日立化成工業(株)製、商品名)として、商業的に入手可能である。なお、「EO変性」とは、オキシエチレン基のブロック構造を有する化合物(ポリオキシエチレン化された化合物)であることを意味し、「PO変性」とは、オキシプロピレン基のブロック構造を有する化合物(ポリオキシプロピレン化された化合物)であることを意味する。
【0081】
上記分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物としては、β位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーとジイソシアネート化合物(イソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等)との付加反応物や、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0082】
これらのうち、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートは、「UA−11」(新中村化学工業(株)製、商品名)として商業的に入手可能であり、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートは、「UA−13」(新中村化学工業(株)製、製品名)として商業的に入手可能である。
【0083】
これら(B’’)成分の中でも、感度、解像度及び密着性を向上させる観点から、上記一般式(5)で表されるビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物を用いることが好ましい。また、感光性樹脂組成物の硬化物(硬化膜)の可とう性を向上させる観点からは、上記多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物のうち、分子内に(ポリ)オキシエチレン鎖及び(ポリ)オキシプロピレン鎖を有するポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
【0084】
上記のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、分子内の(ポリ)オキシアルキレン鎖として、(ポリ)オキシエチレン鎖及び(ポリ)オキシプロピレン鎖((ポリ)オキシ−n−プロピレン鎖又は(ポリ)オキシイソプロピレン鎖)のいずれをも有するものであれば特に制限はない。また、上記ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、さらに、(ポリ)オキシ−n−ブチレン鎖、(ポリ)オキシイソブチレン鎖、(ポリ)オキシ−n−ペンチレン鎖、(ポリ)オキシヘキシレン鎖や、これらの構造異性体等である炭素原子数4〜6程度の(ポリ)オキシアルキレン鎖を有していてもよい。
【0085】
ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの分子内において、(ポリ)オキシエチレン鎖及び(ポリ)オキシプロピレン鎖は、それぞれ連続してブロック的に存在しても、ランダムに存在してもよい。また、(ポリ)オキシイソプロピレン鎖において、プロピレン基の2級炭素が酸素原子に結合していてもよく、1級炭素が酸素原子に結合していてもよい。
【0086】
このようなポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、下記一般式(6a)、(6b)又は(6c)で表される化合物が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0087】
【化13】

【0088】
【化14】

【0089】
【化15】

【0090】
上記式(6a)、(6b)及び(6c)中、R6はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基を示す。Eはエチレン基を示し、Pはプロピレン基を示す。EOはオキシエチレン基を示し、POはオキシプロピレン基を示す。m1、m2、m3及びm4はオキシエチレン基からなる構成単位の繰り返し数を示し、n1、n2、n3及びn4はオキシプロピレン基からなる構成単位の繰り返し数を示し、それぞれ独立に1〜30の整数を示す。炭素原子数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
【0091】
上記一般式(6a)、(6b)又は(6c)で表される化合物において、(ポリ)オキシエチレン鎖の構成単位(EO:オキシエチレン基)の繰り返し数の総数(m1+m2、m3又はm4)は1〜30の整数であり、好ましくは1〜10の整数であり、より好ましくは4〜9の整数であり、特に好ましくは5〜8の整数である。この繰り返し数の総数が30を超えると、十分なテント信頼性及びレジスト形状が得られにくくなる傾向がある。
【0092】
(ポリ)オキシプロピレン鎖の構成単位(PO:オキシプロピレン基)の繰り返し数の総数(n1、n2+n3又はn4)は1〜30の整数であり、好ましくは5〜20の整数であり、より好ましくは8〜16の整数であり、特に好ましくは10〜14の整数である。この繰り返し数の総数が30を超えると、十分な解像度が得られにくくなり、スラッジが発生しやすくなる傾向がある。
【0093】
上記一般式(6a)で表される化合物としては、R6=メチル基、m1+m2=6(平均値)、n1=12(平均値)であるビニル化合物(日立化成工業(株)製、商品名FA−023M)等が挙げられる。上記一般式(6b)で表される化合物としては、R6=メチル基、m3=6(平均値)、n2+n3=12(平均値)であるビニル化合物(日立化成工業(株)製、商品名FA−024M)等が挙げられる。上記一般式(6c)で表される化合物としては、R6=水素原子、m4=1(平均値)、n4=9(平均値)であるビニル化合物(新中村化学工業(株)製、サンプル名NKエステルHEMA−9P)等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0094】
(B’)成分(分子内に一つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性不飽和化合物)と、(B’’)成分(分子内に二つ以上の重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性不飽和化合物)とを組み合わせて用いる場合、その含有割合は、感度、解像度、密着性、剥離性及びレジスト形状の観点から、(B’)/(B’’)が、5〜30/95〜70であることが好ましく、10〜25/90〜75であることがより好ましい。
【0095】
(B)成分(光重合性化合物)の含有量は、(A)成分(バインダーポリマー)及び(B)成分の総量100質量部に対して30〜70質量部とすることが好ましく、35〜65質量部とすることがより好ましく、40〜60質量部とすることが特に好ましい。この含有量が30質量部未満であると、十分な感度及び解像度が得られにくくなる傾向があり、70質量部を超えると、フィルムを形成しにくくなる傾向があり、良好なレジスト形状が得られにくくなる傾向がある。
【0096】
<(A)成分:バインダーポリマー>
(A)成分であるバインダーポリマーとしては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも、アルカリ現像性及び可とう性の見地から、アクリル系樹脂が好ましい。
【0097】
アクリル系樹脂は、例えば、重合性単量体(モノマー)をラジカル重合させることにより製造することができる。重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のα−位又は芳香族環において置換されている重合可能なスチレン誘導体;ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド;アクリロニトリル;ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエーテル類;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル等の(メタ)アクリル酸エステル;2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のアクリレート;(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸等のアクリル酸;マレイン酸;マレイン酸無水物;マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル;フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸等の酸などが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0098】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、下記一般式(7)で表される化合物が挙げられる。
【0099】
【化16】


上記一般式(7)中、R7は水素原子又はメチル基を示し、R8は炭素原子数1〜12のアルキル基を示す。
【0100】
上記一般式(7)中のR8で示される炭素原子数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基及びこれらの構造異性体が挙げられる。より感度及び剥離特性を向上させる観点から、上記アルキル基は、炭素原子数4以下のものであることが好ましい。なお、上記アルキル基は、水酸基、エポキシ基、ハロゲン基等で置換されていてもよい。
【0101】
上記一般式(7)で表される化合物(モノマー)としては、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸プロピルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ノニルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル、(メタ)アクリル酸ウンデシルエステル、(メタ)アクリル酸ドデシルエステル等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0102】
アルカリ現像性の見地から、(A)バインダーポリマーは、カルボキシル基を有するものであることが好ましい。このようなバインダーポリマーは、例えば、カルボキシル基を有する重合性単量体とその他の重合性単量体とをラジカル重合させることにより製造することができる。上記カルボキシル基を有する重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸が好ましく、メタクリル酸がより好ましい。
【0103】
(A)バインダーポリマーのカルボキシル基含有量(使用する全重合性単量体に対するカルボキシル基を有する重合性単量体の割合)は、アルカリ現像性とアルカリ耐性のバランスの見地から、12〜50質量%であることが好ましく、12〜40質量%であることがより好ましく、15〜30質量%であることが更に好ましく、15〜25質量%であることが特に好ましい。このカルボキシル基含有率が12質量%未満だとアルカリ現像性が十分に得られなくなる傾向があり、50質量%を超えるとアルカリ耐性が十分に得られなくなる傾向がある。
【0104】
また、密着性及び剥離特性の見地から、(A)バインダーポリマーは、スチレン又はスチレン誘導体を重合性単量体として含有することが好ましい。上記スチレン又はスチレン誘導体を共重合成分とした場合のその含有量(使用する全重合性単量体に対するスチレン又はスチレン誘導体の割合)は、密着性及び剥離特性を共に良好にする見地から、10〜70質量%であることが好ましく、20〜65質量%であることがより好ましく、30〜50質量%であることが特に好ましい。
【0105】
また、解像度、密着性、レジスト形状及び剥離特性をいずれも良好にする見地から、(A)バインダーポリマーは、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル又は(メタ)アクリル酸t−ブチルエステルを重合性単量体として含有することが好ましい。
【0106】
上記(メタ)アクリル酸ベンジルエステル又は(メタ)アクリル酸t−ブチルエステルを共重合成分とした場合のその含有量(使用する全重合性単量体に対する(メタ)アクリル酸ベンジルエステル又は(メタ)アクリル酸t−ブチルエステルの割合)は、解像度、密着性、レジスト形状及び剥離特性をいずれも良好にする見地から、10〜50質量%であることが好ましく、15〜45質量%であることがより好ましく、20〜40質量%であることが特に好ましい。
【0107】
(A)バインダーポリマーとしては、1種類のバインダーポリマーを単独で用いてもよく、2種類以上のバインダーポリマーを組み合わせて用いてもよい。2種類以上のバインダーポリマーを組み合わせて用いる場合、その2種類以上のバインダーポリマーは、共重合成分(繰り返し単位)が相異なるものであっても、重量平均分子量が相異なるものであっても、分散度が相異なるものであってもよい。特開平11−327137号公報に記載のマルチモード分子量分布を有するポリマーを使用することもできる。
【0108】
(A)バインダーポリマーの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる(標準ポリスチレンを用いた検量線による換算)。
【0109】
この測定法によれば、(A)バインダーポリマーの重量平均分子量(Mw)は、通常5000〜300000とされ、10000〜200000であることが好ましく、15000〜80000であることがより好ましく、20000〜70000であることが更に好ましく、25000〜60000であることが特に好ましい。Mwが5000未満では耐現像液性が十分に得られなくなる傾向があり、300000を超えると現像時間が長くなる傾向がある。
【0110】
(A)バインダーポリマーの分散度(Mw/Mn)は1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがより好ましい。分散度が3.0を超えると密着性及び解像度が十分に得られなくなる傾向がある。
【0111】
(A)バインダーポリマーの酸価は、100〜300mgKOH/gであることが好ましく、110〜250mgKOH/gであることがより好ましく、120〜230mgKOH/gであることが更に好ましく、140〜220mgKOH/gであることが特に好ましく、150〜210mgKOH/gであることが最も好ましい。この酸価が30mgKOH/g未満では現像時間が長くなる傾向があり、300mgKOH/gを超えると光硬化したレジストの耐現像液性が十分に得られなくなる傾向がある。なお、現像工程として溶剤現像を行う場合は、カルボキシル基を有する重合性単量体を少量に調製することが好ましい。
【0112】
(A)バインダーポリマーは必要に応じて感光性を有する特性基をその分子内に有していてもよい。
【0113】
(A)バインダーポリマーの含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部を基準にして、30〜70質量部とすることが好ましく、35〜65質量部とすることがより好ましく、40〜60質量部とするのが更に好ましい。この含有量が30質量部未満では十分に良好なレジスト形状が得られなくなる傾向があり、70質量部を超えると十分に良好な感度や解像性が得られなくなる傾向がある。
【0114】
<(C)光重合開始剤>
(C)成分である光重合開始剤としては、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1などの芳香族ケトン;アルキルアントラキノンなどのキノン類;ベンゾインアルキルエーテルなどのベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、アルキルベンゾインなどのベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタールなどのベンジル誘導体;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体などの2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタンなどのアクリジン誘導体などが挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0115】
これらの中でも、密着性及び感度の見地から、(C)光重合開始剤は、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体(ヘキサアリールビイミダゾール誘導体)を含むことが好ましい。2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は同一で対称な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。
【0116】
ヘキサアリールビイミダゾール誘導体のうち、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’、5,5’−テトラフェニルビスイミダゾールは、「BCIM」(Hampford社製、商品名)として、商業的に入手可能である。
【0117】
(C)光重合開始剤の含有量としては、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部を基準にして、0.1〜10質量部とすることが好ましく、2〜6質量部とすることがより好ましく、3.5〜5質量部とするのが特に好ましい。この含有量が0.1質量部未満では十分に良好な感度や解像度が得られなくなる傾向があり、10質量部を超えると十分に良好なレジスト形状が得られなくなる傾向がある。
【0118】
<(D)成分:増感色素>
さらに、感度及びレジスト形状を向上させる観点から、本実施形態の感光性樹脂組成物は、(D)成分として増感色素を含むことが好ましい。(D)増感色素としては、ピラゾリン類、アントラセン類、クマリン類、キサントン類、オキサゾール類、ベンゾオキサゾール類、チアゾール類、ベンゾチアゾール類、トリアゾール類、スチルベン類、トリアジン類、チオフェン類、ナフタルイミド類、三級アミン類等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0119】
(D)増感色素は、用いる活性光線の吸収波長を有効に利用できるものであることが好ましい。例えば、405nmの青紫色レーザダイオードを光源として露光する場合には、極大吸収波長(吸収極大を示す波長)が370nm〜420nmである化合物を増感色素として用いることが好ましく、特に、405nmでのモル吸光係数が大きく、少量の含有量で解像度及び密着性を向上できる観点から、ピラゾリン類を用いることが好ましい。
【0120】
このような増感色素を用いることにより、直接描画露光法の露光光に対して、十分高い感度を有することが可能となる。増感色素の極大吸収波長が370nm未満であると、直接描画露光光に対する感度が十分でなくなる傾向があり、420nm以上であると、イエロー光環境下でも安定性が十分でなくなる傾向がある。
【0121】
(D)増感色素の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して0.01〜10質量部とすることが好ましく、0.05〜5質量部とすることがより好ましく、0.1〜2質量部とするのが更に好ましい。この配合量が0.01質量部未満では十分に良好な感度や解像度が得られなくなる傾向があり、10質量部を超えると十分に良好なレジスト形状が得られなくなる傾向がある。
【0122】
<(E)成分:アミン系化合物>
さらに、感度を向上させる観点から、本実施形態の感光性樹脂組成物は、(E)成分としてアミン系化合物を含むことが好ましい。(E)アミン系化合物としては、ビス[4−(ジメチルアミノ)フェニル]メタン、ビス[4−(ジエチルアミノ)フェニル]メタン、ロイコクリスタルバイオレットなどが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0123】
(E)アミン系化合物の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して0.01〜10質量部とすることが好ましく、0.05〜5質量部とすることがより好ましく、0.1〜2質量部とするのが更に好ましい。この配合量が0.01質量部未満では十分に良好な感度が得られなくなる傾向があり、10質量部を超えるとパターン形成後、異物として析出しやすくなる傾向がある。
【0124】
<その他の成分>
さらに、本実施形態の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、分子内に少なくとも1つのカチオン重合可能な環状エーテル基を有する光重合性化合物(オキセタン化合物等);カチオン重合開始剤;マラカイトグリーン等の染料;トリブロモフェニルスルホン、ロイコクリスタルバイオレット等の光発色剤;熱発色防止剤;p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤;顔料、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤などを含有してもよい。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。これらの含有量は、(A)成分(バインダーポリマー)及び(B)成分(光重合性化合物)の総量100質量部に対して、それぞれ0.01〜20質量部程度とすることが好ましい。
【0125】
(感光性樹脂組成物の溶液)
本実施形態の感光性樹脂組成物を有機溶剤に溶解して、固形分30〜60質量%程度の溶液(塗布液)として用いることができる。有機溶剤としては、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル、又はこれらの混合溶剤が挙げられる。
【0126】
上記塗布液を、金属板などの表面上に塗布し、乾燥させることにより、本実施形態の感光性樹脂組成物を用いて形成される感光性樹脂層を形成することができる。金属板としては、銅、銅系合金、ニッケル、クロム、鉄、ステンレス等の鉄系合金、好ましくは銅、銅系合金、鉄系合金などが挙げられる。
【0127】
感光性樹脂層の厚みは、その用途により異なるが、乾燥後の厚みで1〜100μm程度であることが好ましい。感光性樹脂層の金属板とは反対側の表面を、保護フィルムで被覆してもよい。保護フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体フィルムなどが挙げられる。
【0128】
(感光性エレメント)
図1に、本発明の感光性エレメントの一実施形態を示す。上記感光性樹脂組成物の溶液を、支持フィルム2上に塗布し、乾燥させることにより、支持フィルム2上に上記感光性樹脂組成物を用いて形成される感光性樹脂層3を形成することができる。次いで、感光性樹脂層3の支持フィルム2とは反対側の表面を保護フィルム4で被覆することにより、支持フィルム2と、該支持フィルム2上に積層された感光性樹脂層3と、該感光性樹脂層3上に積層された保護フィルム4とを備える、本実施形態の感光性エレメント1が得られる。保護フィルム4は必ずしも備えなくてもよい。
【0129】
支持フィルム2としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを用いることができる。支持フィルム2(重合体フィルム)の厚みは、1〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましく、5〜30μmであることが更に好ましい。この厚みが1μm未満であると、支持フィルム2を剥離する際に支持フィルム2が破れやすくなる傾向があり、100μmを超えると解像度が十分に得られにくくなる傾向がある。
【0130】
保護フィルム4としては、感光性樹脂層3に対する接着力が、支持フィルム2の感光性樹脂層3に対する接着力よりも小さいものが好ましく、また、低フィッシュアイのフィルムが好ましい。ここで、「フィッシュアイ」とは、材料を熱溶融し、混練、押し出し、2軸延伸、キャスティング法等によりフィルムを製造する際に、材料の異物、未溶解物、酸化劣化物等がフィルム中に取り込まれたものを意味する。すなわち、「低フィッシュアイ」とは、フィルム中の上記異物等が少ないことを意味する。
【0131】
具体的に、保護フィルム4としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを用いることができる。市販のものとしては、王子製紙社製アルファンMA‐410、E−200C、信越フィルム社製等のポリプロピレンフィルム、帝人社製PS−25等のPSシリーズなどのポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられる。なお、保護フィルム4は支持フィルム2と同一のものでもよい。
【0132】
保護フィルム4の厚みは1〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましく、5〜30μmであることが更に好ましく、15〜30μmであることが特に好ましい。この厚みが1μm未満であると、感光性樹脂層3及び保護フィルム4を基板上に積層(ラミネート)する際、保護フィルム4が破れやすくなる傾向があり、100μmを超えると廉価性の点で十分でなくなる傾向がある。
【0133】
感光性樹脂組成物の溶液の支持フィルム2上への塗布は、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ等の公知の方法により行うことができる。
【0134】
上記溶液の乾燥は、70〜150℃にて、5〜30分間程度行うことが好ましい。乾燥後、感光性樹脂層中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止する観点から、2質量%以下とすることが好ましい。
【0135】
感光性エレメント1における感光性樹脂層3の厚みは、用途により異なるが、乾燥後の厚みで1〜100μmであることが好ましく、1〜50μmであることがより好ましく、5〜40μmであることが更に好ましい。この厚みが1μm未満であると、工業的に塗工しにくくなる傾向があり、100μmを超えると、密着性及び解像度が十分に得られにくくなる傾向がある。
【0136】
上記感光性樹脂層の紫外線に対する透過率は、波長405nmの紫外線に対して5〜75%であることが好ましく、10〜65%であることがより好ましく、15〜55%であることが特に好ましい。この透過率が5%未満であると、十分な密着性が得られにくくなる傾向があり、75%を超えると、十分な解像度が得られにくくなる傾向がある。上記透過率は、UV分光計により測定することができる。UV分光計としては、日立製作所製228A型Wビーム分光光度計が挙げられる。
【0137】
感光性エレメント1は、更にクッション層、接着層、光吸収層、ガスバリア層等の中間層等を有していてもよい。
【0138】
得られた感光性エレメント1は、シート状で又は巻芯にロール状に巻き取って保管することができる。ロール状に巻き取る場合、支持フィルム2が外側になるように巻き取ることが好ましい。巻芯としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等のプラスチックなどが挙げられる。このようにして得られたロール状の感光性エレメントロールの端面には、端面保護の見地から端面セパレータを設置することが好ましく、耐エッジフュージョンの見地から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。梱包方法としては、透湿性の小さいブラックシートに包んで包装することが好ましい。
【0139】
(レジストパターンの形成方法)
上記感光性樹脂組成物を用いて、レジストパターンを形成することができる。本実施形態に係るレジストパターンの形成方法は、(i)上記感光性樹脂組成物を用いて形成される感光性樹脂層を基板上に積層する積層工程と、(ii)感光性樹脂層の所定部分に活性光線を照射してその所定部分を露光させ、硬化させる露光工程と、(iii)感光性樹脂層の上記所定部分以外の部分を基板上から除去することにより、基板上に、感光性樹脂組成物の硬化物からなるレジストパターンを形成する現像工程と、を有する。
【0140】
(i)積層工程
まず、感光性樹脂組成物を用いて形成される感光性樹脂層を基板上に積層する。基板としては、絶縁層と該絶縁層上に形成された導体層とを備えた基板(回路形成用基板)を用いることができる。
【0141】
感光性樹脂層の基板上への積層は、例えば、上記感光性エレメント1の保護フィルム4を除去した後、感光性エレメント1の感光性樹脂層3を加熱しながら上記基板に圧着することにより行われる。これにより、基板と感光性樹脂層3と支持フィルム2とからなり、これらが順に積層された積層体が得られる。
【0142】
この積層作業は、密着性及び追従性の見地から、減圧下で行うことが好ましい。圧着の際の感光性樹脂層及び/又は基板の加熱は、70〜130℃の温度で行うことが好ましく、0.1〜1.0MPa程度(1〜10kgf/cm2程度)の圧力で圧着することが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。なお、感光性樹脂層を70〜130℃に加熱すれば、予め基板を予熱処理することは必要ではないが、積層性をさらに向上させるために、基板の予熱処理を行うこともできる。
【0143】
(ii)露光工程
次に、基板上の感光性樹脂層の所定部分に活性光線を照射してその所定部分を露光させ、硬化させる。この際、感光性樹脂層3上に存在する支持フィルム2が活性光線に対して透過性である場合には、支持フィルム2を通して活性光線を照射することができるが、支持フィルム2が遮光性である場合には、支持フィルム2を除去した後に感光性樹脂層に活性光線を照射する。
【0144】
露光方法としては、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線を画像上に照射する方法(マスク露光法)が挙げられる。また、レーザ直接描画露光法やDLP(Digital Light Processing)露光法などの直接描画法により活性光線を画像状に照射する方法を採用してもよい。
【0145】
活性光線の光源としては、公知の光源を用いることができ、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、アルゴンレーザ等のガスレーザ、YAGレーザ等の固体レーザ、半導体レーザ等の紫外線、可視光などを有効に放射するものが用いられる。
【0146】
活性光線の波長(露光波長)としては、本発明の効果をより確実に得る観点から、350〜420nmの範囲内とすることが好ましく、390〜420nmの範囲内とすることが好ましい。
【0147】
(iii)現像工程
さらに、感光性樹脂層の上記所定部分以外の部分を基板上から除去することにより、基板上に、感光性樹脂組成物の硬化物からなるレジストパターンを形成する。感光性樹脂層上に支持フィルムが存在している場合には、支持フィルムを除去してから、上記所定部分(露光部分)以外の部分(未露光部分)の除去(現像)を行う。現像方法には、ウェット現像とドライ現像とがあるが、ウェット現像が広く用いられている。
【0148】
ウェット現像による場合、感光性樹脂組成物に対応した現像液を用いて、公知の現像方法により現像する。現像方法としては、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング、スクラッピング、揺動浸漬等を用いた方法が挙げられ、解像度向上の観点からは、高圧スプレー方式が最も適している。これら2種以上の方法を組み合わせて現像を行ってもよい。
【0149】
現像液としては、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤系現像液等が挙げられる。
【0150】
アルカリ性水溶液は、現像液として用いられる場合、安全且つ安定であり、操作性が良好である。アルカリ性水溶液の塩基としては、リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等の水酸化アルカリ;リチウム、ナトリウム、カリウム又はアンモニウムの炭酸塩又は重炭酸塩等の炭酸アルカリ;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩;ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩などが用いられる。
【0151】
アルカリ性水溶液としては、0.1〜5質量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%水酸化ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%四ホウ酸ナトリウムの希薄溶液等が好ましい。アルカリ性水溶液のpHは9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光性樹脂層のアルカリ現像性に合わせて調節される。アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。
【0152】
水系現像液は、例えば、水又はアルカリ性水溶液と1種以上の有機溶剤とからなる現像液である。ここで、アルカリ性水溶液の塩基としては、先に述べた物質以外に、例えば、ホウ砂やメタケイ酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ジアミノプロパノール−2、モルホリン等が挙げられる。水系現像液のpHは、現像が十分に行われる範囲でできるだけ小さくすることが好ましく、pH8〜12とすることが好ましく、pH9〜10とすることがより好ましい。
【0153】
水系現像液に用いる有機溶剤としては、アセトン、酢酸エチル、炭素原子数1〜4のアルコキシ基をもつアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。水系現像液における有機溶剤の濃度は、通常、2〜90質量%とすることが好ましく、その温度は、アルカリ現像性に合わせて調整することができる。水系現像液中には、界面活性剤、消泡剤等を少量混入することもできる。
【0154】
有機溶剤系現像液としては、1,1,1−トリクロロエタン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトン等の有機溶剤が挙げられる。これらの有機溶剤には、引火防止のため、1〜20質量%の範囲で水を添加することが好ましい。
【0155】
未露光部分を除去した後、必要に応じて60〜250℃程度の加熱又は0.2〜10J/cm2程度の露光を行うことにより、レジストパターンを更に硬化してもよい。
【0156】
(プリント配線板の製造方法)
上記方法によりレジストパターンが形成された基板をエッチング又はめっきすることにより、プリント配線板を製造することができる。基板のエッチング又はめっきは、形成されたレジストパターンをマスクとして、基板の導体層等に対して行われる。
【0157】
エッチングを行う場合のエッチング液としては、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液、過酸化水素エッチング液が挙げられ、これらの中では、エッチファクタが良好な点から塩化第二鉄溶液を用いることが好ましい。
【0158】
めっきを行う場合のめっき方法としては、硫酸銅めっき、ピロリン酸銅めっき等の銅めっき、ハイスローはんだめっき等のはんだめっき、ワット浴(硫酸ニッケル−塩化ニッケル)めっき、スルファミン酸ニッケル等のニッケルめっき、ハード金メッキ、ソフト金メッキ等の金メッキなどが挙げられる。
【0159】
エッチング又はめっき終了後、レジストパターンは、例えば、現像に用いたアルカリ性水溶液より更に強アルカリ性の水溶液により剥離することができる。この強アルカリ性の水溶液としては、例えば、1〜10質量%水酸化ナトリウム水溶液、1〜10質量%水酸化カリウム水溶液等が用いられる。なかでも、1〜10質量%水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液を用いることが好ましく、1〜5質量%水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液を用いることがより好ましい。
【0160】
レジストパターンの剥離方式としては、浸漬方式、スプレー方式等が挙げられ、これらは単独で用いても併用してもよい。また、レジストパターンが形成されたプリント配線板は、多層プリント配線板でもよく、小径スルーホールを有していてもよい。
【実施例】
【0161】
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0162】
[バインダーポリマー(A−1)]
溶液aの調製
表1に示す重合性単量体(共重合単量体、モノマー)からなる混合液に、ラジカル反応開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル9.0gを溶解して、「溶液a」を調製した。
【0163】
【表1】

【0164】
溶液bの調製
有機溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテル60g及びトルエン40gの混合液(質量比3:2)100gに、ラジカル反応開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル1.2gを溶解して、「溶液b」を調製した。
【0165】
ラジカル重合反応
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロート及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、有機溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテル270g及びトルエン180gの混合液(質量比3:2)450gを投入した。フラスコ内に窒素ガスを吹き込みながら、上記混合液を撹拌しつつ加熱して80℃まで昇温させた。
【0166】
フラスコ内の上記混合液に、上記溶液aを4時間かけて滴下した後、フラスコ内の溶液を撹拌しながら80℃にて2時間保温した。次いで、フラスコ内の溶液に、上記溶液bを10分間かけて滴下した後、フラスコ内の溶液を撹拌しながら80℃にて3時間保温した。さらに、フラスコ内の溶液を30分間かけて90℃まで昇温させ、90℃にて2時間保温した後冷却することにより、バインダーポリマー(A−1)の溶液を得た。
【0167】
バインダーポリマー(A−1)の不揮発分(固形分)は47.8質量%であり、重量平均分子量は30000であり、酸価は196mgKOH/gであった。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することにより導出した。GPCの条件は、以下に示すとおりである。
GPC条件
ポンプ :日立 L−6000型((株)日立製作所製)
カラム :以下の計3本
Gelpack GL−R420
Gelpack GL−R430
Gelpack GL−R440(以上、日立化成工業(株)製、商品名)
溶離液 :テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流量 :2.05mL/分
検出器 :日立 L−3300型RI((株)日立製作所製)
【0168】
[バインダーポリマー(A−2)]
表2に示す重合性単量体からなる混合液に、ラジカル反応開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル9.0gを溶解した溶液を調製し、この溶液を上記溶液aの代わりに用いたほかは、バインダーポリマー(A−1)の溶液を得るのと同様にして、バインダーポリマー(A−2)の溶液を得た。バインダーポリマー(A−2)の不揮発分(固形分)は40.0質量%であり、重量平均分子量は30000であり、酸価は196mgKOH/gであった。
【0169】
【表2】

【0170】
[光重合性化合物(B−1)]
窒素ガス導入管を備えた三つ口フラスコに、ジャパンケムテック(株)製ビスフェノールA型フェノールノボラック型エポキシ化合物50g(0.036mol)、メタクリル酸31.0g(0.36mol)、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩0.5g、及び溶媒としてTHF100gを投入し、これらを室温で一晩撹拌し反応させた。反応液を炭酸ナトリウムで中和した後、反応液中の有機溶剤可溶物を酢酸エチルで抽出した。抽出液中の溶剤をエバポレーターで留去した後、酢酸エチル/ヘキサン混合溶剤を用いて再結晶を行い、下記式(B−1)で表される光重合性化合物(B−1)を得た。
【0171】
【化17】

【0172】
[感光性樹脂組成物の溶液]
以下の表3に示す成分を、表3に示す質量比で混合することにより、実施例1〜5及び比較例1の感光性樹脂組成物の溶液を調製した。なお、表3に示す(A)成分(バインダーポリマー)の質量比は、不揮発分(固形分)についての質量比である。
【0173】
【表3】

【0174】
上記表3に示す各成分の詳細については、以下のとおりである。
(B)成分:光重合性化合物
(B’’)成分:分子内に二つ以上の重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性不飽和化合物
・BPE−100(新中村化学工業(株)製、商品名):
2,2−ビス(4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル)プロパン(EO2.6mol):ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物
・FA−321M(日立化成工業(株)製、商品名):
2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン:
ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物
・TMPT21(日立化成工業(株)製、商品名):
EO変性トリメチロールプロパントリメタアクリレート(エチレンオキサイド平均21mol付加物):多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物
・FA−024M(日立化成工業(株)製、商品名):
上記一般式(6b)において、R6=メチル基、m3=6(平均値)、n2+n3=12(平均値)である化合物:ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート
(B’)成分:分子内に一つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性不飽和化合物
・FA−MECH(日立化成工業(株)製、商品名):
γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート:フタル酸系化合物
【0175】
(C)成分:光重合開始剤
・BCIM(Hampford社製、商品名):
2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’、5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール:ヘキサアリールビイミダゾール誘導体
【0176】
(D)成分:増感色素
・ニッカフローMC(日本化学工業(株)製、商品名):
1−フェニル−3−(4−t−ブチルスチリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)ピラゾリン
吸収極大を示す波長[λn]=387.2nm
・DBA(川崎化成工業(株)製、商品名):9,10−ジブトキシアントラセン
吸収極大を示す波長[λn]=368nm,388nm,410nm
・(D−1):1−フェニル−3−(4−イソプロピルスチリル)−5−(4−イソプロピルフェニル)ピラゾリン
吸収極大を示す波長[λn]=386.2nm
・(D−2):J205(日本蒸溜工業(株)製、商品名)
下記式(5)で表されるトリフェニルアミン誘導体
吸収極大を示す波長[λn]=410nm
【0177】
【化18】

【0178】
(E)成分:アミン系化合物(水素供与体)
・LCV:ロイコクリスタルバイオレット(山田化学(株)製、商品名)
【0179】
染料:マラカイトグリーン(大阪有機化学工業(株)製、商品名)
【0180】
[感光性エレメント]
上記実施例1〜5及び比較例1の感光性樹脂組成物の溶液を、それぞれ厚さ16μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人(株)製、製品名「HTF−01」)上に均一に塗布し、70℃及び110℃の熱風対流式乾燥器で乾燥して、乾燥後の膜厚が40μmである感光性樹脂層を形成した。この感光性樹脂層上に保護フィルム(タマポリ(株)製、製品名「NF−15」)をロール加圧にて積層することにより、ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持フィルム)と、その上に形成された各感光性樹脂層と、その上に形成された保護フィルムとからなる、実施例1〜5及び比較例1の感光性エレメントを得た。
【0181】
[積層基板]
ガラスエポキシ材と、その両面に形成された銅箔(厚さ35μm)とからなる銅張積層板(日立化成工業(株)製、製品名MCL−E−67)の銅表面を、#600相当のブラシを持つ研磨機(三啓(株)製)を用いて研磨し、水洗後、空気流で乾燥させた。この銅張積層板(以下、「基板」という。)を加熱して80℃に昇温させた後、実施例1〜5及び比較例1の感光性エレメントを、基板の両側の銅表面にラミネート(積層)した。ラミネートは、保護フィルムを除去しながら、各感光性エレメントの感光性樹脂層が基板の各銅表面に密着するようにして、温度120℃且つ圧力4kgf/cm2の条件下で行った。このようにして、基板の両側の銅表面に、感光性樹脂層及びポリエチレンテレフタレートフィルムが積層された積層基板を得た。
【0182】
(感度の評価)
得られた積層基板を放冷し、23℃になった時点で、積層基板の表面のポリエチレンテレフタレートフィルムに、ステップタブレットを有するフォトツールを密着させた。ステップタブレットとしては、濃度領域が0.00〜2.00、濃度ステップが0.05、タブレットの大きさが20mm×187mm、各ステップの大きさが3mm×12mmである41段ステップタブレットを用いた。このようなステップタブレットを有するフォトツール及びポリエチレンテレフタレートフィルムを介して、感光性樹脂層に対して露光(描画)を行った。露光は、(株)オーク製作所製「EXM1201」(商品名)を用いて行った。
【0183】
露光後、積層基板からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、感光性樹脂層を露出させた。露出した感光性樹脂層に対し、1質量%炭酸ナトリウム水溶液を30℃にて60秒間スプレー(現像処理)することにより、未露光部分を除去した。このようにして、積層基板の銅表面に、感光性樹脂組成物の硬化物からなる硬化膜を形成した。得られた硬化膜のステップタブレットの段数を測定し、残存ステップ段数が12段となるときの露光量(mJ/cm2)を求めることにより、実施例1〜5及び比較例1の感光性樹脂組成物及び感光性エレメントの感度(光感度)を評価した。上記露光量の値が小さいほど、感度が良好であることを意味する。結果を表4に示す。
【0184】
(解像度及び密着性の評価)
ライン幅(L)/スペース幅(S)が5/5〜30/30(単位:μm)である描画パターンを用いて、上記積層基板の感光性樹脂層に対して露光(描画)を行った。露光は、41段ステップタブレットの現像後の段数が12段となるエネルギー量で行った。露光後、上記感度の評価と同様の現像処理を行った。
【0185】
スペース部分(未露光部分)がきれいに除去され、且つライン部分(露光部分)が蛇行や欠けを生じることなく形成された場合に用いた描画パターンのライン幅又はスペース幅の最小値により、解像度及び密着性を評価した。この最小値が小さいほど解像度及び密着性が良好であることを意味する。結果を表4に示す。
【0186】
(レジスト形状の評価)
上記解像度及び密着性の評価において、得られたレジスト形状(レジストパターンの断面形状)を日立走査型電子顕微鏡S−500Aを用いて観察した。結果を表4に示す。レジスト形状が台形又は逆台形である場合や、レジストの裾引きがある場合には、その後のエッチング処理又はめっき処理により形成された回路に短絡や断線が生じやすくなる傾向がある。従って、レジスト形状は矩形(長方形)で、且つレジストの裾引きがないことが望ましい。
【0187】
(剥離特性の評価)
各感光性エレメントを上記銅張積層板(基板)上に積層し、以下に示す条件で露光及び現像を行うことにより、基板上に硬化膜が形成された試験片(40mm×50mm)を作製した。
<露光条件>
露光機:(株)オーク製作所製「EXM1201」(商品名)
露光量:60〜70mJ/cm2
サイズ:40mm×50mm
<現像条件>
現像液:1質量% Na2CO3
液温 :30℃
スプレー式
【0188】
この試験片を室温で一昼夜放置した後、50℃の3質量%水酸化ナトリウム水溶液(剥離液)に浸漬(ディップ)し、撹拌子により撹拌した。撹拌開始から、硬化膜が基板から完全に剥離除去されるまでの時間(剥離時間)及び剥離片のサイズにより剥離特性を評価した。剥離時間が短いほど、また、剥離片サイズが小さいほど、剥離特性が良好であることを意味する。なお、剥離片サイズは、シート状のものをL、30mm〜40mm角のものをM、30mm角以下のものをSとする。結果を表4に示す。
【0189】
【表4】

【0190】
表4に示す結果から明らかなように、実施例1〜5の感光性樹脂組成物は、(B)成分として(B−1)を含有しない比較例1の感光性樹脂組成物よりも、感度、解像度及び密着性、レジスト形状並びに硬化後の剥離特性がいずれも良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0191】
本発明の感光性樹脂組成物は、プリント配線板のレジストパターンを形成する材料として適用される。特に、上記感光性樹脂組成物は、感度、解像度、密着性、レジスト形状及び硬化後の剥離特性がいずれも良好であるため、高密度パッケージ基板等の高密度化した配線を有するプリント配線板のレジストパターン形成にも、好適に用いられる。
【符号の説明】
【0192】
1…感光性エレメント、2…支持フィルム、3…感光性樹脂層、4…保護フィルム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)バインダーポリマー、(B)光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物であって、(B)光重合性化合物が、下記一般式(1)で表される化合物を含む感光性樹脂組成物。
【化1】


[上記一般式(1)中、R1はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Xはそれぞれ独立に2価の有機基を示し、Yはそれぞれ独立に1価の有機基を示し、mは0〜4の整数を示し、nは0〜10の整数を示す。]
【請求項2】
上記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物を含む、請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【化2】


[上記一般式(2)中、R1はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Xはそれぞれ独立に2価の有機基を示し、R2はそれぞれ独立に水素原子、フェニル基、又は炭素原子数1〜10のアルキル基若しくはシクロアルキル基を示し、nは0〜10の整数を示す。]
【請求項3】
前記(C)光重合開始剤が、ヘキサアリールビイミダゾール誘導体を含む、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
(D)増感色素を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
(E)アミン系化合物を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
支持フィルムと、該支持フィルム上に形成された請求項1〜5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成される感光性樹脂層と、を備える、感光性エレメント。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成される感光性樹脂層を基板上に積層する積層工程と、
前記感光性樹脂層の所定部分に活性光線を照射して前記所定部分を露光させ、硬化させる露光工程と、
前記感光性樹脂層の前記所定部分以外の部分を前記基板上から除去することにより、前記基板上に、前記感光性樹脂組成物の硬化物からなるレジストパターンを形成する現像工程と、を有するレジストパターンの形成方法。
【請求項8】
前記露光工程において、所定のパターンのレーザー光線を前記感光性樹脂層に直接照射することにより、前記所定部分を露光させ硬化させる、請求項7に記載のレジストパターンの形成方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の方法によりレジストパターンが形成された基板をエッチング又はめっきすることを含む、プリント配線板の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−34005(P2011−34005A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182820(P2009−182820)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】