説明

感光性樹脂組成物、感光性エレメント、レジストパターンの製造方法、プリント配線板の製造方法、及びプリント配線

【課題】直接描画法で露光した場合に、高感度、優れたテント信頼性及び良好な剥離性を有する感光性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の感光性樹脂組成物は、(A)バインダーポリマー、(B)光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有し、前記(C)光重合開始剤が、下記一般式(I)で表される化合物を含む。上記一般式(I)中、Rは、炭素数3〜20のシクロアルキル基を含む有機基を示し、R及びRは、各々独立にアルキル基又はアリール基を示し、Rは、アルキル基を示す。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、感光性エレメント、レジストパターンの製造方法、プリント配線板の製造方法、及びプリント配線に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント配線板の製造分野において、エッチング処理やめっき処理等に用いられるレジスト材料としては、感光性樹脂組成物およびそれに支持体と保護フィルムを用いて得られる感光性エレメントが広く用いられている。
【0003】
プリント配線板は、上記感光性エレメントを回路形成用基板上にラミネートして、パターン状に露光した後、未露光部を現像液で除去し、レジストパターンを形成し、それをマスクとしてエッチング処理またはめっき処理を施して、回路を形成させた後、硬化部分を基板上から剥離除去する方法によって製造されている。
【0004】
上記露光においては、従来、パターンを有するマスクフィルムを通して活性光線を照射するマスク露光法が用いられている。活性光線の光源としては、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射する光源が用いられている。
【0005】
近年、上記マスク露光法に代わるものとして、マスクフィルムを用いずに、デジタルデータを用いて活性光線を画像状に直接照射する直接描画法が実用化されている。直接描画法に用いられる光源としては、安全性や取扱い性等の面から、YAGレーザー、半導体レーザー等が使用され、最近では、長寿命で高出力な窒化ガリウム系青色レーザー等を使用した技術が提案されている。
【0006】
さらに、プリント配線板における高精細化、高密度化に伴い、従来よりも微細パターンが形成可能なDLP(Digital Light Processing)露光法と呼ばれる直接描画法が取り入れられている。一般的に、DLP露光法では青紫色半導体レーザーを光源とした波長390〜430nmの活性光線が使用される。また、主に汎用のプリント配線板において少量多品種に対応可能な、YAGレーザーを光源とした波長355nmのポリゴンマルチビームを使用した露光法も用いられている。
【0007】
生産性向上の観点からは、露光時間を短縮する必要がある。しかし、直接描画法における露光工程では、光源にレーザー等の単色光を用いるほか、基板を走査しながら光線を照射するため、従来のフォトマスクを介した露光方法と比べて多くの露光時間を要する傾向がある。
【0008】
露光時間を短縮する手法として、感光性樹脂組成物を高感度化する方法がある。しかしながら、単に感光性樹脂組成物を高感度化するだけでは、基板上に形成するレジストパターンの表面硬化が進み、レジスト底部での光吸収が妨げられ、底部硬化性が低下する場合がある。上述した底部硬化性の低下により、基板上に形成するレジスト形状が逆台形となったり、密着性や解像度を低下させたりすることがある。また、現像工程においても、底部硬化性が充分でないために、レジスト本来が持つ現像液耐性が低下する場合がある。
【0009】
また、上記現像液としては、環境性及び安全性の見地から、炭酸ナトリウム水溶液や炭酸水素ナトリウム水溶液等のアルカリ現像液が主流となっている。感光性樹脂層の未露光部分は、これら現像液による現像や水洗のスプレー圧により、基板から除去される。したがって、感光性樹脂組成物には、露光後、現像や水洗のスプレー圧によって破損しない、優れたテント信頼性(テンティング性)を有することが求められる。しかしながら、上述のように底部硬化性が充分でない場合、テント信頼性が低下する傾向にある。
【0010】
さらに、感光性樹脂組成物には、硬化後の剥離特性に優れることが要求される。レジストの剥離特性が悪いと、剥離時間が長くなり剥離工程の生産効率が低下する。また、高密度パッケージ基板においては、細線めっき後の剥離工程でめっきライン間に剥離残りが生じ、生産歩留まりが低下する。
【0011】
上記状況の下、これまでに数々の感光性樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第3406526号明細書
【特許文献2】特開2010−217287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上述したように、高感度を保ったまま、テント信頼性、剥離性といった諸特性を満足させることは困難であった。例えば、特許文献1の感光性樹脂組成物は、解像度、密着性及びイメージング性の点では良好であるものの、感度の点では充分ではなく、直接描画法を用いる場合に多くの露光時間を要する。また、特許文献2の感光性樹脂組成物は、直接描画法において高感度且つ良好なレジスト形状、剥離性に優れているが、テント信頼性に関しては改良の余地があった。
【0014】
そこで、本発明は、直接描画法で露光した場合に、特に、高感度、優れたテント信頼性及び良好な剥離性を有する感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、上記感光性樹脂組成物を用いた感光性エレメント、レジストパターンの製造方法、プリント配線板の製造方法、及びプリント配線を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、光重合開始剤として特定の化学構造を有する化合物を用いることにより、直接描画法で露光した場合に、高感度、優れたテント信頼性、更には良好な剥離性を有する感光性樹脂組成物を提供することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明は、(A)バインダーポリマー、(B)光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有し、前記(C)光重合開始剤が、下記一般式(I)で表される化合物を含む感光性樹脂組成物である。前記(C)光重合開始剤として下記一般式(I)で表される化合物を用いることにより、本発明の感光性樹脂組成物は、直接描画法で露光した場合に、高感度、良好な剥離性及び優れたテント信頼性を有するものとなる。
【0017】
【化1】

【0018】
式中、Rは、炭素数3〜20のシクロアルキル基を含む有機基を示し、R及びRは、各々独立にアルキル基又はアリール基を示し、Rは、アルキル基を示す。
【0019】
本発明の感光性樹脂組成物は、前記(B)光重合性化合物が、単官能光重合性化合物を含むことが好ましく、前記単官能光重合性化合物が、下記一般式(II)で表される化合物を含むことが、剥離性の観点からより好ましい。
【化2】

【0020】
式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜10の炭化水素基を示し、mは0〜20の整数を示す。
【0021】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、上記(B)光重合性化合物が、下記一般式(III)で表される化合物を含むことが好ましい。
【0022】
【化3】

【0023】
式中、R及びRは各々独立に、水素原子又はメチル基を示し、nは0〜50の整数を示す。
【0024】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、前記一般式(I)で表される化合物の含有量が、前記(A)バインダーポリマー及び(B)光重合性化合物の総量100質量部に対して、0.01〜0.5質量部を含むことが、高感度化、更にはテント優位性の観点から好ましい。
【0025】
また、本発明は、支持フィルムと、該支持フィルム上に形成された上記感光性樹脂組成物を用いて形成される感光性樹脂層と、を備える、感光性エレメントに関する。
【0026】
また、本発明は、上記感光性樹脂組成物を用いて形成される感光性樹脂層を基板上に積層する積層工程と、上記感光性樹脂層に、直接描画法により活性光線を画像状に照射し、露光部を硬化させる露光工程と、上記感光性樹脂層の未露光部分を基板上から除去することにより、基板上に、感光性樹脂組成物の硬化物で構成されるレジストパターンを形成する現像工程と、を有するレジストパターンの製造方法に関する。
【0027】
また、本発明は、上記方法によりレジストパターンが形成された基板をエッチング処理又はめっき処理することを含む、プリント配線板の製造方法に関する。
【0028】
また、本発明は、上記方法により製造されるプリント配線板に関する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、優れた感度を有し、直接描画法で露光した場合に、良好な剥離性及び優れたテント信頼性を有する感光性樹脂組成物を提供することが可能となる。また、上記感光性樹脂組成物を用いた感光性エレメント、レジストパターンの製造方法及びプリント配線板の製造方法を提供することにより、高精細な回路パターンを有するプリント配線板を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の感光性エレメントの一実施形態を示す端面図である。
【図2】テント信頼性の評価に用いる穴破れ数測定用基板の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0032】
本明細書における「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸」及びそれに対応する「メタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリロイル基」とは「アクリロイル基」及びそれに対応する「メタクリロイル基」を意味する。
【0033】
また本発明において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
さらに本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
【0034】
<感光性樹脂組成物>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(A)バインダーポリマー(以下、「(A)成分」ともいう。)、(B)光重合性化合物(以下、「(B)成分」ともいう。)及び(C)光重合開始剤(以下、「(C)成分」ともいう。)を含有し、上記(C)成分が下記一般式(I)で表される化合物を含有する感光性樹脂組成物である。
【0035】
〔(C)成分:光重合開始剤〕
(C)成分である光重合開始剤は、下記一般式(I)で表される化合物を含む。
【0036】
【化4】

【0037】
上記一般式(I)中、Rは、炭素数3〜20のシクロアルキル基を含む有機基を示し、R及びRは、各々独立にアルキル基又はアリール基を示し、Rは、アルキル基を示す。
【0038】
感度及びテント信頼性がより向上することから、Rは炭素数3〜10のシクロアルキル基を含む有機基であることが好ましく、炭素数5〜8のシクロアルキル基を含む有機基であることがより好ましい。
【0039】
で表される炭素数3〜20のシクロアルキル基を含む有機基は、2価の炭化水素基を介してシクロアルキル基を有するものであってもよく、該2価の炭化水素基としては、アルキレン基が好ましく、炭素数2〜5のアルキレン基がさらに好ましく、エチレン基が更に好ましい。
【0040】
で表される炭素数3〜20のシクロアルキル基を含む有機基は、シクロアルキルアルキレン基であることが好ましく、シクロペンチルエチレン基であることが更に好ましい。
【0041】
上記一般式(I)中、感度がより向上することから、Rはアルキル基又はアリール基であり、アルキル基であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが更に好ましい。
【0042】
上記一般式(I)中、感度がより向上することから、Rはアルキル基又はアリール基であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましく、エチル基であることが更に好ましい。
【0043】
上記一般式(I)中、感度がより向上することから、Rはアルキル基であり、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
【0044】
上記一般式(I)中、Rの置換位置は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよく、オルト位であることが、感度向上の観点から好ましい。
【0045】
上記一般式(I)で表される化合物としては、Rはシクロアルキルエチレン基、Rはメチル基、Rはエチル基、Rはメチル基である化合物(例えば、常州強力(株)、サンプル名TR−PBG−304)が挙げられる。
【0046】
上記一般式(I)で表される化合物の含有量は、感度及びテント優位性の見地から、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して0.01〜0.5質量部であることが好ましく、0.01〜0.4質量部であることがより好ましく、0.05〜0.35質量部であることが更に好ましく、0.05〜0.3質量部であることが更に好ましい。この含有量が0.01質量部以上では、充分な感度が得られ、0.5質量部以下では、レジスト形状が逆台形となることが抑制され、充分な密着性及び解像度が得られる。
【0047】
上記一般式(I)で表される化合物に加えて、その他の(C)成分(光重合開始剤)を含んでもよい。
上記一般式(I)で表される化合物以外の(C)成分(光重合開始剤)としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、及び2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3ーベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1ークロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンタラキノン、2−メチル1,4−ナフトキノン、及び2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、及びベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、及びエチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、及び9,10−ジペントキシアントラセン等の置換アントラセン類;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、及び2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;クマリン系化合物、オキサゾール系化合物、ピラゾリン系化合物が挙げられる。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。これらは、単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0048】
(C)成分の総含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましく、0.2〜5質量部であることが特に好ましい。(C)成分の含有量がこの範囲であると、感光性樹脂組成物の感度及び内部の光硬化性がより良好となる。
【0049】
〔(A)成分:バインダーポリマー〕
(A)成分であるバインダーポリマーとしては、アルカリ水溶液に可溶で皮膜形成可能なものであれば特に制限はなく、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、及びフェノール系樹脂が挙げられる。中でも、アルカリ現像性の見地からは、アクリル系樹脂が好ましい。これらは単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0050】
(A)成分は、例えば、重合性単量体(モノマー)をラジカル重合させることにより製造することができる。上記重合性単量体としては、例えば、スチレン;α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のα−位又は芳香族環において置換されている重合可能なスチレン誘導体;ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド;アクリロニトリル;ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエーテル類;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸誘導体;マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸誘導体;フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸等の有機酸誘導体が挙げられる。これらは単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0051】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、下記一般式(IV)で表される化合物が挙げられる。
【0052】
C=C(R)−COOR10 (IV)
【0053】
上記一般式(IV)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、R10は炭素数1〜12のアルキル基を示す。
【0054】
上記一般式(IV)中のR10で示される炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基及びこれらの構造異性体が挙げられる。
【0055】
上記一般式(IV)で表される化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸プロピルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ノニルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル、(メタ)アクリル酸ウンデシルエステル、(メタ)アクリル酸ドデシルエステルが挙げられる。これらは単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】
また、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、上記一般式(IV)で表される化合物において、アルキル基が水酸基、エポキシ基、又はハロゲン基等で置換された化合物も挙げられる。
【0057】
(A)成分は、アルカリ現像性の見地から、カルボキシル基を含むことが好ましい。カルボキシル基を含む(A)成分は、例えば、カルボキシル基を有する重合性単量体と、その他の重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。上記カルボキシル基を有する重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸が好ましく、中でもメタクリル酸がより好ましい。
【0058】
(A)成分のカルボキシル基含有量(使用する全重合性単量体に対するカルボキシル基を有する重合性単量体の割合)は、アルカリ現像性と現像液耐性のバランスの見地から、(A)成分の全質量を基準として12〜50質量%であることが好ましい。アルカリ現像性に優れる点では、15〜35質量%が好ましく、15〜30質量%がより好ましい。
【0059】
(A)成分は、密着性及び剥離特性の見地から、スチレン又はスチレン誘導体を重合性単量体として含むことが好ましい。上記スチレン又はスチレン誘導体を共重合成分とした場合のその含有量(使用する全重合性単量体に対するスチレン又はスチレン誘導体の割合)は、密着性及び剥離特性を共に良好にする見地から、(A)成分の全質量を基準として0.1〜40質量%含むことが好ましく、1〜30質量%含むことがより好ましく、3〜27質量%含むことが更に好ましい。この含有量が0.1質量%以上では、密着性が向上する傾向があり、40質量%以下では、剥離片が大きくなることを抑制し、剥離時間が長くなることを抑制できる。
【0060】
これらの(A)成分(バインダーポリマー)は、単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。二種類以上を組み合わせて用いる場合のバインダーポリマーとしては、例えば、異なる共重合成分からなる二種類以上のバインダーポリマー、異なる重量平均分子量の二種類以上のバインダーポリマー、異なる分散度の二種類以上のバインダーポリマー等が挙げられる。
【0061】
(A)成分の重量平均分子量は、耐現像液性及びアルカリ現像性のバランスの見地から、20,000〜100,000であることが好ましく、30,000〜70,000であることがより好ましく、40,000〜65,000であることがさらに好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定され、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により換算された値であり、測定条件は実施例と同一である。
【0062】
(A)成分であるバインダーポリマーの酸価は、120〜200mgKOH/gであることが好ましく、150〜170mgKOH/gであることがより好ましい。
【0063】
(A)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して30〜80質量部とすることが好ましく、40〜75質量部とすることがより好ましく、50〜70質量部とすることがより好ましい。(A)成分の含有量がこの範囲であると、感光性樹脂組成物の塗膜性及び光硬化物の強度がより良好となる。
【0064】
〔(B)成分:光重合性化合物〕
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(B)成分である光重合性化合物を含む。上記(B)成分である光重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する重合性化合物を含み、単官能光重合性化合物を含むことが剥離性及びテント信頼性に優れる点から好ましい。
【0065】
また、本実施形態の感光性樹脂組成物は、前記単官能光重合性化合物として、下記一般式(II)で表される化合物を含むことが好ましい。これにより、本実施形態の感光性樹脂組成物は、直接描画法により露光した場合に、優れた剥離性を有するものとなる。
【0066】
【化5】

【0067】
式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜10の炭化水素基を示し、mは0〜20の整数を示す。
【0068】
上記一般式(II)中、Rは水素原子であることが好ましい。
【0069】
上記一般式(II)中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、アリール基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましく、炭素数5〜10のアルキル基であることが更に好ましい。具体的にはペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基が挙げられ、ノニル基であることが好ましい。
【0070】
上記一般式(II)で表される化合物において、密着性がより向上することから、mは1〜20の整数であることが好ましく、2〜10の整数であることがより好ましく、3〜5の整数であることが更に好ましい。
【0071】
上記一般式(II)で表される化合物において、Rは水素原子、Rはノニル基、mは3〜5の整数であることが好ましい。
【0072】
上記一般式(II)で表される化合物としては、ノニルフェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシオクタエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0073】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、(B)成分が、下記一般式(III)で表される化合物を含むことが好ましい。これにより、本実施形態の感光性樹脂組成物は、直接描画法により露光した場合に、優れたテント信頼性を有するものとなる。ここで、「テント信頼性」とは、露光後、現像や水洗のスプレー圧によって破損しない性質(テンティング性)を意味し、テント信頼性の評価は、図2に示す穴破れ数測定用基板を用いて異形テント破れ率(%)を測定することにより行われる。
【0074】
【化6】

【0075】
式中、R及びRは、各々独立に、水素原子又はメチル基を示し、nは0〜50の整数を示す。
【0076】
上記一般式(III)で表される化合物としては、二(メタ)アクリル酸無水物(n=0)及び(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート(n=1〜50)が挙げられる。(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレートは、(ポリ)エチレングリコールに、(メタ)アクリル酸を反応させることにより得られる。商業的に入手可能な上記一般式(III)で表される化合物としては、9G、14G、23G(いずれも、新中村化学工業(株)製、商品名)等のポリエチレングリコールジメタクリレートが挙げられる。
【0077】
上記一般式(III)で表される化合物の含有量は、感度及び解像度のバランスに優れる点で、(B)成分の全質量を基準として1〜30質量%であることが好ましい。
【0078】
本実施形態の感光性樹脂組成物は、上記一般式(II)及び(III)で表される化合物以外の(B)成分を含むことができる。これらの(B)成分としては、エチレン性不飽和結合を有し、光架橋可能なものであれば特に制限はないが、例えば、以下の化合物(B1)〜(B5)が挙げられる。これらは単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
(B1)ビスフェノールA系ジ(メタ)アクリレート化合物
(B2)多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物
(上記一般式(III)で表される化合物を除く)
(B3)グリシジル基含有化合物にα、β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物
(B4)ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー
【0079】
中でも、感度及び解像度に優れる点で、(B)成分は、ビスフェノールA系ジ(メタ)アクリレート化合物(B1)を含むことが好ましい。(B1)としては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、及び2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンが挙げられる。
【0080】
(B)成分がビスフェノールA系ジ(メタ)アクリレート化合物(B1)を含む場合、ビスフェノールA系ジ(メタ)アクリレート化合物(B1)の含有量は、(B)成分の全質量を基準として20〜80質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましい。
【0081】
上記多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物(B2)としては、例えば、オキシプロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(オキシエチレン基の繰り返し総数が1〜5のもの)、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO,PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。ここで、「EO変性」とは、(ポリ)オキシエチレン鎖のブロック構造を有する化合物(ポリオキシエチレン化された化合物)であることを意味し、「PO変性」とは、(ポリ)オキシプロピレン鎖のブロック構造を有する化合物(ポリオキシプロピレン化された化合物)であることを意味し、「EO・PO変性」とは、(ポリ)オキシエチレン鎖及び(ポリ)オキシプロピレン鎖のブロック構造を有する化合物(ポリオキシエチレン化及びポリオキシプロピレン化された化合物)であることを意味する。これらは単独で、又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0082】
上記ウレタンモノマー(B4)としては、例えば、β位に水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーとイソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、新中村化学工業(株)製、商品名UA−11等が挙げられる。また、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、新中村化学工業(株)製、商品名UA−13等が挙げられる。また、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレートとしては、例えば、新中村化学工業(株)製、商品名UA−21等が挙げられる。UA−21を用いる場合にはテント信頼性をより向上させる点で、(B)成分の全質量を基準として5〜25質量%であることが好ましく、7〜15質量%であることがより好ましい。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0083】
(B)成分(光重合性化合物)の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して20〜70質量部とすることが好ましい。感度及び解像度を向上する点で、(B)成分の含有量は20質量部以上が好ましく、25質量部以上がより好ましく、30質量部以上が更に好ましい。フィルム性を付与する点及び硬化後のレジスト形状に優れる点で、(B)成分の含有量は70質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましく、55質量部以下が更に好ましく、50質量部以下が更に好ましい。
【0084】
〔その他の成分〕
さらに、本実施形態の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、マラカイトグリーン、ビクトリアピュアブルー、ブリリアントグリーン、メチルバイオレット等の染料;ロイコクリスタルバイオレット、ジフェニルアミン、ベンジルアミン、トリフェニルアミン、ジエチルアニリン、o−クロロアニリン、トリブロモメチルスルホン等の光発色剤;熱発色防止剤;p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤;顔料;充填剤;消泡剤;難燃剤;密着性付与剤;レベリング剤;剥離促進剤;酸化防止剤;香料;イメージング剤;熱架橋剤などを(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して各々0.01〜20質量部程度含有することができる。これらは、単独で又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0085】
本実施形態の感光性樹脂組成物を有機溶剤に溶解して、固形分30〜60質量%程度の溶液(塗布液)として用いることができる。有機溶剤としては、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル、又はこれらの混合溶剤が挙げられる。
【0086】
上記塗布液を、後述する支持フィルム、金属板などの表面上に塗布し、乾燥させることにより、本実施形態の感光性樹脂組成物を用いて形成される感光性樹脂層を形成することができる。金属板としては、銅、銅系合金、ニッケル、クロム、鉄、ステンレス等の鉄系合金、好ましくは銅、銅系合金、鉄系合金などが挙げられる。
【0087】
感光性樹脂層の厚みは、その用途により異なるが、乾燥後の厚みで1〜100μm程度であることが好ましい。感光性樹脂層の金属板とは反対側の表面を、保護フィルムで被覆してもよい。保護フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体フィルムなどが挙げられる。
【0088】
<感光性エレメント>
本発明の感光性エレメントは、支持フィルムと、該支持フィルム上に形成された前記感光性樹脂組成物を用いて形成される感光性樹脂層と、を有し、必要に応じて設けられる保護フィルム等のその他の層を有して構成される。
【0089】
図1に、本発明の感光性エレメントの一実施形態を示す。上記感光性樹脂組成物の溶液を、支持フィルム2上に塗布し、乾燥させることにより、支持フィルム2上に感光性樹脂層4を形成することができる。次いで、感光性樹脂層4の支持フィルム2とは反対側の表面を保護フィルム6で被覆することにより、支持フィルム2と、該支持フィルム2上に積層された感光性樹脂層4と、該感光性樹脂層4上に積層された保護フィルム6とを備える本実施形態の感光性エレメント10が得られる。なお、保護フィルム6は必ずしも備えなくてもよい。
【0090】
支持フィルム2としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを用いることができる。
支持フィルム2(重合体フィルム)の厚みは、1μm〜100μmであることが好ましく、1〜50μmであることがより好ましく、1μm〜30μmであることが更に好ましい。支持体の厚みが1μm以上であることで、支持フィルムを剥離する際に支持フィルムが破れることを抑制できる。また100μm以下であることで解像度の低下が抑制される。
【0091】
保護フィルム6としては、感光性樹脂層4に対する接着力が、支持フィルム2の感光性樹脂層4に対する接着力よりも小さいものが好ましく、また、低フィッシュアイのフィルムが好ましい。ここで、「フィッシュアイ」とは、材料を熱溶融し、混練、押し出し、2軸延伸、キャスティング法等によりフィルムを製造する際に、材料の異物、未溶解物、酸化劣化物等がフィルム中に取り込まれたものを意味する。すなわち、「低フィッシュアイ」とは、フィルム中の上記異物等が少ないことを意味する。
【0092】
具体的に、保護フィルム6としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを用いることができる。市販のものとしては、王子製紙社製アルファンMA−410、E−200C、信越フィルム社製等のポリプロピレンフィルム、帝人社製PS−25等のPSシリーズなどのポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられる。なお、保護フィルム6は支持フィルム2と同一のものでもよい。
【0093】
保護フィルム6の厚みは1μm〜100μmであることが好ましく、1μm〜50μmであることがより好ましく、1μm〜30μmであることが更に好ましい。保護フィルムの厚みが1μm以上であることで、保護フィルムを剥がしながら、感光性樹脂層及び支持フィルムを基板上にラミネートする際、保護フィルムが破れることを抑制できる。100μm以下であると廉価性に優れる。
【0094】
本実施形態の感光性エレメントは、例えば以下のようにして製造することができる。少なくとも(A)成分:バインダーポリマーと、(B)成分:重合性化合物と、(C)光重合開始剤と、を前記有機溶剤に溶解した塗布液を準備する工程と、前記塗布液を支持体上に塗布して塗布層を形成する工程と、前記塗布層を乾燥して感光性樹脂層を形成する工程と、を含む製造方法で製造することができる。
【0095】
前記塗布液の支持フィルム2上への塗布は、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ等の公知の方法により行うことができる。
【0096】
前記塗布層の乾燥は、塗布層から有機溶剤の少なくとも一部を除去することができれば特に制限はない。例えば、70℃〜150℃にて、5分〜30分間程度行うことが好ましい。乾燥後、感光性樹脂層中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止する観点から、2質量%以下とすることが好ましい。
【0097】
感光性エレメント10における感光性樹脂層4の厚みは、用途により適宜選択することができ、乾燥後の厚みで1μm〜200μmであることが好ましく、5μm〜100μmであることがより好ましく、10μm〜50μmであることが更に好ましい。この厚みが1μm以上であることで、工業的な塗工が容易になり、200μm以下の場合には、感度及びレジスト底部の光硬化性が充分に得られる傾向がある。
【0098】
感光性エレメント10は、更にクッション層、接着層、光吸収層、ガスバリア層等の中間層等を有していてもよい。
【0099】
得られた感光性エレメント10の形態は特に制限されない。例えば、シート状であってもよく、又は巻芯にロール状に巻き取った形状であってもよい。ロール状に巻き取る場合、支持フィルム2が外側になるように巻き取ることが好ましい。巻芯としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等のプラスチックなどが挙げられる。このようにして得られたロール状の感光性エレメントロールの端面には、端面保護の見地から端面セパレータを設置することが好ましく、耐エッジフュージョンの見地から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。梱包方法としては、透湿性の小さいブラックシートに包んで包装することが好ましい。
感光性エレメント10は、例えば、後述するレジストパターンの製造方法に好適に用いることができる。
【0100】
<レジストパターンの製造方法>
上記感光性樹脂組成物を用いて、レジストパターンを形成することができる。本実施形態のレジストパターンの製造方法は、(i)上記感光性樹脂組成物を用いて形成される感光性樹脂層を基板上に積層する積層工程と、(ii)上記感光性樹脂層に、直接描画法により活性光線を画像状に照射し、露光部を硬化させる露光工程と、(iii)感光性樹脂層の未露光部分を基板上から除去することにより、基板上に、感光性樹脂組成物の硬化物で構成されるレジストパターンを形成する現像工程と、を有する。
【0101】
(i)積層工程
まず、感光性樹脂組成物を用いて形成される感光性樹脂層を基板上に積層する。基板としては、絶縁層と該絶縁層上に形成された導体層とを備えた基板(回路形成用基板)を用いることができる。
【0102】
感光性樹脂層の基板上への積層は、例えば、前記感光性エレメント10が保護フィルム6を有している場合には、保護フィルム6を除去した後、感光性エレメント10の感光性樹脂層4を加熱しながら上記基板に圧着することにより行われる。これにより、基板と感光性樹脂層4と支持フィルム2とをこの順に備える積層体が得られる。
【0103】
この積層作業は、密着性及び追従性の見地から、減圧下で行うことが好ましい。圧着の際の感光性樹脂層及び/又は基板の加熱は、70℃〜130℃の温度で行うことが好ましい。また圧着は、0.1〜1.0MPa程度(1〜10kgf/cm程度)の圧力で行うことが好ましい。これらの条件は必要に応じて適宜選択される。なお、感光性樹脂層を70℃〜130℃に加熱すれば、予め基板を予熱処理することは必要ではないが、積層性をさらに向上させるために、基板の予熱処理を行うこともできる。
【0104】
(ii)露光工程
次に、直接描画法により露光を行う。すなわち、マスクフィルムを用いずに、デジタルデータに基づき、感光性樹脂層4にレーザー光線等の活性光線を画像状に照射することにより、所望のパターンを直接感光性樹脂層に描画する。この際、感光性樹脂層4上に存在する支持フィルム2が活性光線に対して透過性である場合には、支持フィルム2を通して活性光線を照射することができる。支持フィルム2が遮光性である場合には、支持フィルム2を除去した後に感光性樹脂層に活性光線を照射する。
【0105】
直接描画法としては、レーザー直接描画露光法やDLP(Digital Light Processing)露光法が挙げられる。活性光線の光源としては、YAGレーザー、半導体レーザー、窒化ガリウム系青紫色レーザー等が好ましい。カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射するものや、写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射するものを用いてもよい。本発明における光源は特に制限はないが、355nm付近の波長を有するレーザーを光源に用いることが、本発明の効果をより一層高める点で好ましい。
【0106】
(iii)現像工程
さらに、感光性樹脂層4の未露光部分を基板上から除去することにより、基板上に、感光性樹脂組成物の硬化物で構成されるレジストパターンを形成する。感光性樹脂層4上に支持フィルム2が存在している場合には、支持フィルム2を除去してから、未露光部分の除去(現像)を行う。現像方法には、ウェット現像とドライ現像とがあり、ウェット現像が広く用いられている。
【0107】
ウェット現像による場合、感光性樹脂組成物に対応した現像液を用いて、公知の現像方法により現像する。現像方法としては、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング、スクラッピング、揺動浸漬等を用いた方法が挙げられ、解像度向上の観点からは、高圧スプレー方式が最も適している。これら二種以上の方法を組み合わせて現像を行ってもよい。
【0108】
現像液の構成は前記感光性樹脂組成物の構成に応じて適宜選択される。例えば、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤系現像液等が挙げられる。
【0109】
アルカリ性水溶液は、現像液として用いられる場合、安全且つ安定であり、操作性が良好である。アルカリ性水溶液の塩基としては、リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等の水酸化アルカリ;リチウム、ナトリウム、カリウム又はアンモニウムの炭酸塩又は重炭酸塩等の炭酸アルカリ;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩;ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩などが用いられる。
【0110】
アルカリ性水溶液としては、0.1〜5質量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%水酸化ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%四ホウ酸ナトリウムの希薄溶液等が好ましい。アルカリ性水溶液のpHは9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光性樹脂層のアルカリ現像性に合わせて調節される。アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。
【0111】
水系現像液は、例えば、水又はアルカリ性水溶液と1種以上の有機溶剤とからなる現像液である。ここで、アルカリ性水溶液の塩基としては、先に述べた物質以外に、例えば、ホウ砂やメタケイ酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ジアミノプロパノール−2、モルホリン等が挙げられる。水系現像液のpHは、現像が充分に行われる範囲でできるだけ小さくすることが好ましく、pH8〜12とすることが好ましく、pH9〜10とすることがより好ましい。
【0112】
水系現像液に用いる有機溶剤としては、アセトン、酢酸エチル、炭素原子数1〜4のアルコキシ基をもつアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。水系現像液における有機溶剤の濃度は、通常、2〜90質量%とすることが好ましく、その温度は、アルカリ現像性に合わせて調整することができる。水系現像液中には、界面活性剤、消泡剤等を少量混入することもできる。
【0113】
有機溶剤系現像液としては、1,1,1−トリクロロエタン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトン等の有機溶剤が挙げられる。これらの有機溶剤には、引火防止のため、1〜20質量%の範囲で水を添加することが好ましい。
【0114】
未露光部分を除去した後、必要に応じて60〜250℃程度の加熱又は0.2〜10J/cm程度の露光を行うことにより、レジストパターンを更に硬化してもよい。
【0115】
<プリント配線板の製造方法>
上記方法によりレジストパターンが形成された基板をエッチング処理又はめっき処理することにより、プリント配線板を製造することができる。基板のエッチング処理又はめっき処理は、形成されたレジストパターンをマスクとして、基板の導体層等に対して行われる。
【0116】
エッチング処理を行う場合のエッチング液としては、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液、過酸化水素エッチング液が挙げられ、これらの中では、エッチファクタが良好な点から塩化第二鉄溶液を用いることが好ましい。
【0117】
めっき処理を行う場合のめっき方法としては、硫酸銅めっき、ピロリン酸銅めっき等の銅めっき、ハイスローはんだめっき等のはんだめっき、ワット浴(硫酸ニッケル−塩化ニッケル)めっき、スルファミン酸ニッケル等のニッケルめっき、ハード金メッキ、ソフト金メッキ等の金メッキなどが挙げられる。
【0118】
エッチング処理又はめっき処理終了後、レジストパターンは、例えば、現像に用いたアルカリ性水溶液より更に強アルカリ性の水溶液により剥離することができる。この強アルカリ性の水溶液としては、例えば、1〜10質量%水酸化ナトリウム水溶液、1〜10質量%水酸化カリウム水溶液等が用いられる。なかでも、1〜10質量%水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液を用いることが好ましく、1〜5質量%水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液を用いることがより好ましい。
【0119】
レジストパターンの剥離方式としては、浸漬方式、スプレー方式等が挙げられ、これらは単独で用いても併用してもよい。また、レジストパターンが形成されたプリント配線板は、単層プリント配線板のみならず、多層プリント配線板でもよく、小径スルーホールを有していてもよい。
【実施例】
【0120】
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0121】
[(A)成分:バインダーポリマー]
(溶液aの調製)
表1に示す重合性単量体(共重合単量体、モノマー)の混合液に、ラジカル反応開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル2.0gを溶解して、「溶液a」を調製した。
また、メチルセロソルブ60g及びトルエン40gの配合液(質量比6:4)100gに、アゾビスイソブチロニトリル1.0gを溶解して、「溶液b」を調製した。
【0122】
【表1】

【0123】
(ラジカル重合反応)
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロート及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、有機溶剤であるメチルセロソルブ240g及びトルエン160gの混合液(質量比3:2)400gを投入した。フラスコ内に窒素ガスを吹き込みながら、上記混合液を撹拌しつつ加熱して80℃まで昇温させた。
【0124】
フラスコ内の上記混合液に、上記溶液aを4時間かけて滴下した後、フラスコ内の溶液を撹拌しながら80℃にて2時間保温した。次いで、フラスコ内の溶液に、上記溶液bを10分間かけて滴下した後、フラスコ内の溶液を撹拌しながら80℃にて3時間保温した。さらに、フラスコ内の溶液を30分間かけて90℃まで昇温させ、90℃にて2時間保温した後冷却することにより、(A)成分であるバインダーポリマーの溶液を得た。
【0125】
このバインダーポリマー溶液にアセトンを加えて、不揮発成分(固形分)が50質量%になるように調製した。バインダーポリマーの重量平均分子量は55000であった。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することにより導出した。GPCの条件は、以下に示すとおりである。
【0126】
−GPC条件−
ポンプ:日立 L−6000型((株)日立製作所製)
カラム:以下の計3本
Gelpack GL−R420
Gelpack GL−R430
Gelpack GL−R440
(以上、日立化成工業(株)製、商品名)
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:25℃
流量:2.05mL/分
検出器:日立 L−3300型RI((株)日立製作所製)
【0127】
[感光性樹脂組成物の溶液]
得られたバインダーポリマー((A)成分)の溶液に、(B)成分、(C)成分、添加剤及び溶剤を下記表に示す配合量(g)で配合することにより、実施例1〜6及び比較例1〜3の感光性樹脂組成物の溶液を調製した。なお、表2に示す(A)成分の配合量は、不揮発成分の質量(固形分量)である。また表中、「D−58」は固形分量で58gであることを意味する。
【0128】
【表2】


数値は各成分の固形分配合量(単位:g)
【0129】
表2に示す材料は以下の通りである。
*1:上記作製したメタクリル酸/メタクリル酸メチル/スチレン(25/50/25(質量比))の共重合体、重量平均分子量55000、酸価163mgKOH/g、50質量%メチルソルブ/トルエン=6/4(質量比)溶液
【0130】
*2:ビスフェノールAポリオキシエチレンジメタクリレート(日立化成工業株式会社製、製品名)
*3:ノニルフェノキシテトラエチレングリコールアクリレート(オキシエチレン基総数の平均値が4)(日立化成工業株式会社製、製品名)
*4:ポリエチレングリコール#400ジメタクリレート(新中村化学工業(株)製、製品名、オキシエチレン基総数の平均値が9)
【0131】
*5:下記式(IV)で表される化合物(サンプル名、常州強力(株)製)
【化7】

【0132】
*6:下記式(V)で表される化合物(サンプル名(常州強力(株)製))
【化8】

【0133】
*7:下記式(VI)で表される化合物(サンプル名(常州強力(株)製))
【化9】

【0134】
*8:エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(0−アセチルオキシム)(BASFジャパン株式会社)
*9:2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール
【0135】
LCV:ロイコクリスタルバイオレット
MKG:マラカイトグリーン
TLS:トルエン
MAL:メタノール
ACS:アセトン
【0136】
(感光性エレメントの作製)
実施例1〜6及び比較例1〜3の感光性樹脂組成物の溶液を、それぞれ厚さ16μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人(株)製、商品名「G2−16」)上に均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥器で10分間乾燥して、乾燥後の膜厚が38μmである感光性樹脂層を形成した。この感光性樹脂層上に保護フィルム(タマポリ(株)製、商品名「NF−13」)をロール加圧にて積層することにより、ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持フィルム)と、その上に形成された各感光性樹脂層と、その上に形成された保護フィルムとからなる、実施例1〜6及び比較例1〜3の感光性エレメントを得た。
【0137】
(積層基板)
ガラスエポキシ材と、その両面に形成された銅箔(厚さ35μm)とからなる1.6mm厚の銅張積層板(日立化成工業(株)製、商品名「MCL−E−67」)の銅表面を、#600相当のブラシを持つ研磨機(三啓(株)製)を用いて研磨し、水洗後、空気流で乾燥させた。この銅張積層板(以下、「基板」という。)を加熱して80℃に昇温させた後、実施例1〜6又は比較例1〜3の感光性エレメントを、基板の両側の銅表面にラミネート(積層)した。ラミネートは、110℃のヒートロールを用いて、保護フィルムを除去しながら、各感光性エレメントの感光性樹脂層が基板の各銅表面に密着するようにして、1.5m/分の速度で行った。
【0138】
[評価試験1:実施例1〜6及び比較例1〜3]
(感度)
得られた積層基板を放冷し、23℃になった時点で、積層基板の表面のポリエチレンテレフタレートフィルム(支持フィルム)に、ステップタブレットを有するフォトツールを密着させた。ステップタブレットとしては、濃度領域が0.00〜2.00、濃度ステップが0.05、タブレットの大きさが20mm×187mm、各ステップの大きさが3mm×12mmである41段ステップタブレットを用いた。このようなステップタブレットを有するフォトツール及びポリエチレンテレフタレートフィルムを介して、感光性樹脂層に対して露光を行った。露光は、半導体励起固体レーザーを光源とする露光機(日本オルボテック(株)製、商品名「Paragon−9000m」)を用いて、20mJ/cmの露光量で行った。
【0139】
露光後、積層基板からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、感光性樹脂層を露出させた。露出した感光性樹脂層に対し、1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液を30℃にて50秒間スプレー(現像処理)することにより、未露光部分を除去した。このようにして、積層基板の銅表面に、感光性樹脂組成物の硬化物からなる硬化膜を形成した。得られた硬化膜のステップタブレットの段数を測定することにより、実施例1〜6及び比較例1〜3の感光性樹脂組成物及び感光性エレメントの感度(光感度)を評価した。このステップタブレットの段数が高いほど、感度が高いことを意味する。結果を表3に示す。
【0140】
(テント信頼性)
図2に示すように、上記銅張積層板(日立化成工業(株)製商品名MCL−E−67)に、直径4〜6mmの穴径で、それぞれ3つの独立した丸穴41及び3つの丸穴が連結し、かつ丸穴の間隔が徐々に短くなる3連穴42を型抜き機により作製した。丸穴41及び3連穴42を作製した際に生じたバリを#600相当のブラシをもつ研磨機(三啓(株)製)を使用して取り除き、これを穴破れ数測定用基板40とした。
得られた穴破れ数測定用基板40を80℃に加温し、上記で得られた感光性樹脂組成物積層体から保護フィルムを剥がして、感光性樹脂層がその銅表面に対向するように、実施例1〜6又は比較例1〜3の感光性エレメントを120℃、0.4MPaの条件でラミネートした。
【0141】
ラミネート後、穴破れ数測定用基板40を冷却し、穴破れ数測定用基板40の温度が23℃になった時点で、ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持フィルム)面に対して、上記レーザーを光源とする露光機を用いて、日立41段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が17.0となるエネルギー量で露光を行った(直接描画法)。
【0142】
露光後、室温で15分間放置し、続いて穴破れ数測定用基板40からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、30℃で1質量%炭酸ナトリウム水溶液を50秒間スプレーすることにより現像した。現像後、3連穴の穴破れ数を測定し、異形テント破れ率を算出して、テント信頼性(%)を評価した。この数値が小さいほど、テント信頼性が高いことを意味する。結果を表3に示す。
【0143】
(剥離性)
60mm×45mmのパターンを、上記レーザーを光源とする露光機を用いて、直接描画法により、上記積層基板の感光性樹脂層に描画した。露光は、日立41段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が17.0となるエネルギー量で行った。露光後、上記感度の評価と同様の現像処理を行い、基板上に60mm×45mmの硬化膜が形成された試験片を得た。
【0144】
この試験片を室温で一昼夜放置した後、50℃の3質量%水酸化ナトリウム水溶液(剥離液)に浸漬(ディップ)し、撹拌子により撹拌した。撹拌開始から、硬化膜が基板から完全に剥離除去されるまでの時間(剥離時間(秒))を測定することにより、剥離性を評価した。剥離時間が短いほど、剥離性が良好であることを意味する。結果を表3に示す。
【0145】
以上の結果を纏めて、表3に示した。
【0146】
【表3】

【0147】
本発明の感光性樹脂組成物を用いた実施例1〜6は、いずれにおいても比較例1〜3と比較し、高感度であった。なかでも実施例3においては感度、テント信頼性又剥離性において良好な結果が得られた。また、実施例3と実施例5の剥離性を比較すると、光重合化合物であるFA−314Aを添加することで、より良好な剥離性が得られることがわかる。比較例に関しては、直接描画露光法に対する光感度が不充分であり、テント信頼性についても実施例と比較して劣っていた。
【符号の説明】
【0148】
2 支持フィルム
4 感光性樹脂層
6 保護フィルム
10 感光性エレメント
40 穴破れ数測定用基板
41 丸穴
42 3連穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)バインダーポリマー、(B)光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有し、前記(C)光重合開始剤が、下記一般式(I)で表される化合物を含む、感光性樹脂組成物。
【化1】


〔上記一般式(I)中、Rは、炭素数3〜20のシクロアルキル基を含む有機基を示し、R及びRは、各々独立にアルキル基又はアリール基を示し、Rは、アルキル基を示す。〕
【請求項2】
前記(B)光重合性化合物が、単官能光重合性化合物を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記単官能光重合性化合物が、下記一般式(II)で表される化合物を含む、請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
【化2】


〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜10の炭化水素基を示し、mは0〜20の整数を示す。〕
【請求項4】
前記(B)光重合性化合物が、下記一般式(III)で表される化合物を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【化3】


〔式中、R及びRは各々独立に、水素原子又はメチル基を示し、nは0〜50の整数を示す。〕
【請求項5】
前記一般式(I)で表される化合物の含有量が、前記(A)バインダーポリマー及び(B)光重合性化合物の総量100質量部に対して、0.01〜0.5質量部である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
支持フィルムと、該支持フィルム上に形成された請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成される感光性樹脂層と、を備える、感光性エレメント。
【請求項7】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成される感光性樹脂層を基板上に積層する積層工程と、
前記感光性樹脂層に、直接描画法により活性光線を画像状に照射し、露光部を硬化させる露光工程と、
前記感光性樹脂層の未露光部分を前記基板上から除去することにより、前記基板上に、前記感光性樹脂組成物の硬化物で構成されるレジストパターンを形成する現像工程と、を有するレジストパターンの製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法によりレジストパターンが形成された基板をエッチング処理又はめっき処理することを含む、プリント配線板の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法により製造される、プリント配線板。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−220794(P2012−220794A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87757(P2011−87757)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】