説明

感光性着色樹脂組成物、これを用いたカラーフィルター及び該カラーフィルターを備えた表示装置

【課題】顔料の微粒子化や高濃度化にも対応でき、優れたレベリング性を有し、かつ着色膜の形成の後、次の着色膜の形成に支障をきたさない感光性着色樹脂組成物、これを用いたカラーフィルター及び該カラーフィルターを備えた表示装置を提供すること。
【解決手段】(A)顔料、(B)顔料分散剤、(C)光開始剤、(D)アルカリ可溶性樹脂、(E)多官能(メタ)アクリルモノマー及び/又はオリゴマー、(F)繰り返し構造単位として炭素数2〜4のアルキレンオキサイドユニットとジアルキルシロキサンユニットを有する共重合体、及び(G)有機溶剤を含む感光性着色樹脂組成物であって、(F)共重合体におけるアルキレンオキサイドユニットが少なくともエチレンオキサイドを含有し、ジアルキルシロキサンユニットの含有比率が12〜70モル%であり、アルキレンオキサイドユニットの含有比率が30〜88モル%である感光性着色樹脂組成物、該感光性着色樹脂組成物を用いて形成された着色層を有するカラーフィルター、並びに該カラーフィルターを備えた表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性着色樹脂組成物、これを用いたカラーフィルター及び該カラーフィルターを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ等に代表される薄型画像表示装置、いわゆるフラットパネルディスプレイが、ブラウン管型ディスプレイよりも薄く奥行き方向に場所をとらないことを特徴として数多く上市された。その市場価格は生産技術の進化と共に年々価格が手ごろになり、さらに需要が拡大され、生産量も年々増加している。特にカラー液晶テレビはその生産と需要のサイクルが上手く回り、ブラウン管型ディスプレイにほぼ完全に置き換わる存在までに到達した。カラー液晶ディスプレイの場合は、バックライトを光源とし、電気的に液晶を駆動させることで光量を制御し、その光がカラーフィルターを通過することで色表現を行っている。よって液晶テレビの色表現にはカラーフィルターは無くてはならず、またディスプレイの性能を左右する大きな役目を担っている。
カラーフィルターは、通常、透明基板上に画素間の境界部を遮光するために格子状等、所定の形状にパターニングされたブラックマトリックス(以下「BM」と表記することがある。)によって区切られた各画素に複数の色(通常は赤(R)、緑(G)及び青(B)の3原色)を所定順序に配列した着色層により構成される。
【0003】
BMの役割は各着色レジストの混色防止、コントラストの向上、及び光漏れの防止等であり、BMに要求される性能としては、高遮光性、塗膜の現像性及び硬化性、塗膜強度、塗膜表面の平滑性などが求められる。
従来、BMはクロムのスパッタリング等の方法により形成されていたが、環境への配慮等から、例えばカーボンブラックやチタンブラック等の遮光性黒色顔料を光重合性材料に混合した感光性着色樹脂組成物(レジスト組成物、以下「樹脂BM」と表記することがある。)を硬化させて形成させる方法に変わりつつある。
ところで、BMの遮光性能を示す指標として、一般的には光学濃度(以下「OD値」と表記する。)が用いられており、単位膜あたりのOD値が大きいほど遮光性が高いことを示す。一般的には、膜厚が1.2〜1.4μmであって、OD値が4.0程度のものが実用的に用いられているが、より薄く、かつより黒い樹脂BMが求められている。
【0004】
また、着色層についても樹脂BMと同様に、赤(R)、緑(G)及び青(B)の3原色を基本とする着色顔料を光重合性材料にそれぞれ混合した感光性着色樹脂組成物(レジスト組成物)により構成され、良好な色の再現性、良好なコントラスト、耐熱性、耐久性、塗膜の現像性及び硬化性、塗膜強度、塗膜表面の平滑性などが求められる。
【0005】
色再現性、コントラスト等の改良の為には、顔料の微細化及び顔料の高濃度化が必要であるものの、これによって顔料の比表面積が増大するため、顔料に対し処方する分散剤量を増やすことが必要となる。従って、相対的に着色レジスト中の光架橋成分が減少するために、レジスト性能の確保が困難である。
さらにそのような材料の制約の中で、近年では、カラーフィルターの多品種化、生産量の増大、及び生産コストの削減などを目的に生産速度を上げ、且つ歩留まりを上げることの両立が求められている。生産速度を上げる具体的な課題として、各感光性着色樹脂組成物を塗布した際に、短い時間でムラなく均一に塗布することが挙げられる。
【0006】
ところで、感光性着色樹脂組成物等を塗布する方法としては、スピンコート法及びダイコート法が広く用いられている。
スピンコート法は、透明基板を一定の回転数で回転させながら、該基板の中心部に感光性着色樹脂組成物等を滴下し、遠心力によって塗布液を延ばす方法である。この方法は、比較的小さいサイズの基板に薄膜を形成するのに適しているが、回転による遠心力を利用するため、基板の回転中心部分及び周辺部分の塗膜の厚さが中間部分に対して厚くなる傾向があり、また感光性着色樹脂組成物等の有効利用率が低いという欠点がある。
一方、ダイコート法はスリットを移動させながらスリットから塗布液を吐出させて、塗布する方法である。この方法は、比較的大きいサイズの基板に薄膜を形成するのに適しており、また感光性着色樹脂組成物等の有効利用率が高いメリットがあるが、スリットの進行方向に対して垂直方向にスジ状のムラが生じやすいという欠点がある。
その他、スピンコートにおける感光性着色樹脂組成物の利用効率を向上させるために開発されたスリット&スピンコート法も存在するが、感光性着色樹脂組成物の塗布量が少ない分、回転中心から遠心方向にできる放射ムラが発生しやすく、またスピンコート法と同様に膜厚ムラが発生する。
【0007】
上記のような塗布方法に対して、塗布方法を改良することで塗膜ムラを改善する試みがなされてきた。例えば、スピンコート法において、塗布液上に該塗布液の広がる方向と同じ方向の気流を強制的に形成させて塗膜厚ムラを抑制する方法(特許文献1参照)や、塗布液の供給とスピンコートの回転数を多段階に制御することで塗膜厚ムラを抑制する方法(特許文献2参照)である。
しかしながら、制御の複雑化、基板の大型化、作業効率などの観点から、各種塗布方法を用途等に応じて使い分ける必要性があり、生産プロセスに上手く適合し、且つレベリング性の高い感光性着色樹脂組成物が求められている。
【0008】
このようなニーズから、レベリング性の高い種々の感光性着色樹脂組成物が提案されている。例えば、感光性着色樹脂組成物中に、界面活性剤としてフェニル基を有し分子量が3×103〜4×103のシリコン系界面活性剤を含有することを特徴とするカラーフィルター用重合性組成物や(特許文献3参照)、感光性着色樹脂組成物中に、表面調整剤としてポリアルキレンオキサイドを有するジメチルポリシロキサンを含有する着色組成物(特許文献4参照)が提案されている。
また、感光性着色樹脂組成物中の有機溶剤に着目し、特定の誘電率、電動度及び粘度を有する有機溶剤を用いる着色組成物や(特許文献5参照)、特定の沸点及び蒸気圧を有するエステル類、エーテル類又はケトン類を有機溶剤として用いるカラーフィルター用感放射線性組成物(特許文献6参照)などが提案されている。
【0009】
製膜時の欠陥やムラをなくすために、上記特許文献3及び4に提案されるような、表面張力を下げる目的で、いわゆるレベリング剤を処方することは今日では常套手段である。レベリング剤は、塗布直前まではレジスト組成物中で均一に存在しているが、塗布直後から塗膜の表面にレベリング剤が浮き出ることで、表面張力を低下させ、平滑な膜を形成することが知られている。
しかしながら、カラーフィルターをフォトリソ法で作成するためには、通常4色(BM用の黒、赤、緑、及び青)のパターンを基板上に順番に製膜する必要がある。すなわち、ある色のパターンを基板上に塗布した後、他の着色レジスト組成物を塗布する必要がある。このような工程において、前工程において用いられたレベリング剤は、次工程のレジスト組成物の塗布工程において、該レジスト組成物に対してはじき等の不具合を生じさせる。その対策として該レジスト組成物を洗浄することが考えられるが、ウェットプロセスまたはドライプロセスでの洗浄工程を必要としたのでは、生産プロセス全体としては決して好ましくない。上記特許文献3及び4に開示されるようなレベリング剤では、そのような観点での検討がなされていない。
さらに特許文献3に開示されるシリコン系界面活性剤は、フェニル基を必須とし、塗布面端部にツノ形状の厚膜部が形成されない点について効果を奏するが、上記はじきの問題は解決し得ない。
【0010】
また特許文献4には、表面調整剤としてポリアルキレンオキサイドを有するジメチルポリシロキサンの開示があるが(特許文献4、請求項2)、具体的な構造についての開示はなく、また上記はじきの問題に関しては、開示も示唆する記載もない。
【0011】
また、上記特許文献5及び6においても同様であり、着色レジストの重ね塗り時に発生する課題に対しては開示も示唆もない。
なお、特許文献5に関しては、誘電率と電導度がムラに対してどのように関与するのかが不明瞭である。
また、特許文献6に関しては、溶剤の沸点や蒸発速度によって特定されているが、昨今の微細化、高顔料濃度化された着色レジストおいて、溶剤のわずかな違いが着色レジストの分散安定性を悪くさせ、また塗膜乾燥時のムラ原因となりうる。
【0012】
【特許文献1】特開平11−151462号公報
【特許文献2】特開2000−157922号公報
【特許文献3】特開2004−29261号公報
【特許文献4】特開2007−186683号公報
【特許文献5】特開2007−161866号公報
【特許文献6】特開平6−3521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、このような状況下になされたものであり、顔料の微粒子化や高濃度化にも対応でき、優れたレベリング性を有し、かつ着色膜の形成の後、次の着色膜の形成に支障をきたさない(以下「リコート性」と記載する。)感光性着色樹脂組成物、これを用いたカラーフィルター及び該カラーフィルターを備えた表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、感光性着色樹脂組成物中に、特定のポリマーを含有させることで前記課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、(A)顔料、(B)顔料分散剤、(C)光開始剤、(D)アルカリ可溶性樹脂、(E)多官能(メタ)アクリルモノマー及び/又はオリゴマー、(F)繰り返し構造単位として炭素数2〜4のアルキレンオキサイドユニットとジアルキルシロキサンユニットを有する共重合体、及び(G)有機溶剤を含む感光性着色樹脂組成物であって、(F)共重合体におけるアルキレンオキサイドユニットが少なくともエチレンオキサイドを含有し、ジアルキルシロキサンユニットの含有比率が12〜70モル%であり、アルキレンオキサイドユニットの含有比率が30〜88モル%である感光性着色樹脂組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、微粒子の顔料を高濃度で含有し、優れたレベリング性を有し、かつリコート性に優れる感光性着色樹脂組成物、これを用いたカラーフィルター及び該カラーフィルターを備えた表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の感光性樹脂組成物は(A)顔料、(B)顔料分散剤、(C)光開始剤、(D)アルカリ可溶性樹脂、(E)多官能(メタ)アクリルモノマー及び/又はオリゴマー、(F)繰り返し構造単位として炭素数2〜4のアルキレンオキサイドユニットとジアルキルシロキサンユニットを有する共重合体、及び(G)有機溶剤を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明の感光性樹脂組成物において、(A)成分として用いられる顔料は、カラーフィルターなどの着色層を形成した際に所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、種々の有機顔料又は無機顔料を、単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0018】
上記有機顔料としては、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物を挙げることができる。
このような化合物としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー11、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー53、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー99、C.I.ピグメントイエロー108、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー167、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー199、等のイエロー系ピグメント;C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド105、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド155、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド270、C.I.ピグメントレッド177等のレッド系ピグメント;C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ71等のオレンジ系ピグメント;C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー22、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントブルー80等のブルー系ピグメント;C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット39等のバイオレット系ピグメント;及び、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37、C.I.ピグメントグリーン58等のグリーン系ピグメント等のカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
【0019】
また、無機顔料としては、酸化ケイ素、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。
【0020】
本発明に用いられる顔料の平均粒径としては、カラーフィルター等の着色層とした場合に、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、用いる顔料の種類によっても異なるが、10〜200nmの範囲内であることが好ましく、10〜100nmの範囲内であることがより好ましい。当該顔料の平均粒径が上記範囲であることにより、本発明の感光性樹脂組成物を用いて製造された液晶表示装置を高コントラストで、かつ高品質なものとし、さらに低コストで生産することができる。
なお、上記平均粒径は、レーザ散乱法により測定した値である。具体的には、顔料粒子を溶媒中に分散し、その分散溶媒にレーザ光線を当てて得られた散乱光を捕捉し、演算することにより、平均粒径を測定する。
【0021】
本発明の感光性樹脂組成物において、(A)成分として用いる顔料の含有量は、カラーフィルター等の着色層とした場合に、所望の発色が可能であればよく、特に限定されず、用いる顔料の種類によっても異なるが、感光性樹脂組成物中の当該顔料以外の固形分に対して、20〜100質量%の範囲内であることが好ましく、30〜80質量%の範囲内であることがより好ましい。当該顔料の含有量が上記範囲であることにより、所望の発色が可能な着色層が形成可能な感光性樹脂組成物とすることができ、さらに上記感光性樹脂組成物中において、均一に分散することができる。
なお、上記固形分は、上述した溶媒以外のもの全てであり、溶媒中に溶解している多官能性モノマー等も含む。
【0022】
(B)顔料分散剤としては、カラーフィルター用のレジスト組成物に用いられるものであれば、特に制限はないが、高分子分散剤として知られているものが、顔料の分散性が高く、安定性が高いことから好ましい。
高分子分散剤は、立体反発によって分散性を維持する長鎖部と顔料表面に吸着する吸着部を有する。長鎖部を構成する樹脂としては、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエチレンイミン系などが用いられ、吸着部を構成する極性基としては、アミノ基、アミド基、イミド基、各種酸基が挙げられる。
このような高分子分散剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0023】
本発明の感光性樹脂組成物において、(C)成分として用いられる光開始剤としては特に制限はなく、従来知られている各種光開始剤の中から、適宜選択して用いることができる。例えばベンゾフェノン、ミヒラーケトン、4,4´−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4´−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントレン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル類、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メチルフェニル)イミダゾール2量体、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチルオキサジアゾール化合物、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−S−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン等のハロメチル−S−トリアジン系化合物、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン、1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ベンジル、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4´−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)、4−ベンゾイル−メチルジフェニルサルファイド、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパノンなどが挙げられる。これらの光開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
本発明の感光性樹脂組成物において、(C)成分として用いられる光開始剤の含有量は、後述する(E)成分の多官能性モノマー100質量部に対して、通常0.01〜100質量部程度、好ましくは5〜60質量部である。この含有量が上記範囲より少ないと十分に重合反応を生じさせることができないため、着色層の硬度を十分なものとすることができない場合があり、一方上記範囲より多いと、感光性樹脂組成物の固形分中の顔料等の含有量が相対的に少なくなり、十分な着色濃度が得られない場合がある。
【0025】
本発明の感光性樹脂組成物において、(D)成分として用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、ネガ型レジストに一般的に用いられるものを用いることができ、アルカリ水溶液に可溶性を有するものであればよく、特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、γ−メチルスチレン、N−ビニル−2−ピロリドン、グリシジル(メタ)アクリレートなどの中から選ばれる1種以上と、(メタ)アクリル酸、アクリル酸の二量体(例えば、東亞合成化学(株)製M−5600)、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの無水物の中から選ばれる1種以上とからなるコポリマーも例示できる。また、上記のコポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加させたポリマー等も例示できるが、これらに限定されるものではない。
これらの中で、コポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加等することにより、エチレン性不飽和結合を有するポリマー等は、露光時に、後述する多官能性モノマーと重合することが可能となり、着色層がより安定なものとなる点で、特に好適である。
【0026】
本発明の感光性樹脂組成物において、(D)成分として用いられるアルカリ可溶性樹脂は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、その含有量としては、感光性樹脂組成物に含まれる顔料100質量部に対して、通常、10〜1000質量部の範囲内、好ましくは20〜500質量部の範囲内である。アルカリ可溶性樹脂の含有量が少な過ぎると、充分なアルカリ現像性が得られない場合があり、また、アルカリ可溶性樹脂の含有量が多すぎると顔料の割合が相対的に低くなって、充分な着色濃度が得られない場合がある。
【0027】
本発明の感光性樹脂組成物において、(E)成分として用いられる多官能性モノマー及び/又はオリゴマーは、後述する光開始剤によって重合可能なものであればよく、特に限定されず、通常、エチレン性不飽和二重結合を2つ以上有する化合物が用いられ、特にアクリロイル基またはメタクリロイル基を2つ以上有する、多官能(メタ)アクリレート及び/又はこれらのオリゴマーであることが好ましい。
【0028】
このような多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、長鎖脂肪族ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、アクリル化イソシアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、リン酸ジ(メタ)アクリレート、亜鉛ジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0029】
また、三官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、エステルトリ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、エステルヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0030】
これらの多官能(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明の感光性樹脂組成物に優れた光硬化性(高感度)が要求される場合には、多官能性モノマーが、重合可能な二重結合を3つ(三官能)以上有するものであるものが好ましく、例えばジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートやジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが好適に用いられる。
【0031】
本発明の感光性樹脂組成物において、(E)成分として用いられる上記多官能性モノマーの含有量は、特に制限はないが、(D)成分のアルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、通常5〜500質量部程度、好ましくは20〜300質量部の範囲である。多官能性モノマーの含有量が上記範囲より少ないと十分に光硬化が進まず、露光部分が溶出する場合があり、また、多官能性モノマーの含有量が上記範囲より多いとアルカリ現像性が低下するおそれがある。
【0032】
本発明の感光性樹脂組成物において、(F)成分として用いられる、繰り返し構造単位として炭素数2〜4のアルキレンオキサイドユニットとジアルキルシロキサンユニットを有する共重合体は、感光性樹脂組成物にレベリング性を付与するものである(以下、レベリング性を付与する物質を「レベリング剤」と表記することがある。)。
(F)成分の共重合体は、アルキレンオキサイドユニットが少なくともエチレンオキサイドを含有し、ジアルキルシロキサンユニットの含有比率が12〜70モル%であり、かつアルキレンオキサイドユニットの含有比率が30〜88モル%であることを必須とする。ジアルキルシロキサンユニットの含有比率が12モル%未満であると、十分なレベリング性が得られない。一方、アルキレンオキサイドユニットがエチレンオキサイドを含有せず、またアルキレンオキサイドユニットの含有比率が30モル%未満であると、感光性着色樹脂組成物を塗布した後にムラが発生する。
なお、上記含有比率は1H−NMR測定により得られるプロトンの強度比から求めることができる。
【0033】
また、(F)成分の共重合体は、アルキレンオキサイドユニットとしてエチレンオキサイドユニットを含有するが、特にエチレンオキサイド単独重合体であるか又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体であることが好ましい。
一方、ジアルキルシロキサンユニットとしては、ジメチルシロキサンユニットであることが好ましい。
【0034】
また、(F)成分の共重合体としては、ジアルキルシロキサンユニットを主鎖とし、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドユニットを側鎖とするグラフト共重合体であることが好ましく、特に、下記一般式(I)で表される構造を有することが好ましい。
【0035】
【化1】

【0036】
式(I)中、有機基は、上述の炭素数2〜4のアルキレンオキサイドユニットを示し、m及びnは上述のジアルキルシロキサンユニットの含有比率及びアルキレンオキサイドユニットの含有比率の範囲を満足する値である。
【0037】
本発明の感光性樹脂組成物において、(F)成分として用いられる上記共重合体の含有量は、特に制限はないが、(G)有機溶剤を除く不揮発成分基準で、0.001〜5質量%の範囲であることが好ましい。0.001質量%以上であると本発明の効果を十分に奏し、高いレベリング性を与えることができる。一方、5質量%以下であると、他の成分の含有量を確保できるために、十分な顔料濃度、塗膜の硬化性等を得ることができる。
【0038】
本発明の感光性樹脂組成物において、(G)成分として用いられる有機溶剤としては、該レジスト組成物中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶剤であればよく、特に限定されない。具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系;メトキシアルコール、エトキシアルコール、メトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノールなどのエーテルアルコール系;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸3−メトキシブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系;アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系;メトキシエチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテート、メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテートなどのエーテルアルコールアセテート系;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性アミド系;γ−ブチロラクトンなどのラクトン系;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系;n−ヘプタン、n−ヘキサン、n−オクタンなどの飽和炭化水素系などの有機溶剤が挙げられる。
【0039】
これらの中では、メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテート、メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテートなどのエーテルアルコールアセテート系;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系;酢酸3−メトキシブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系等を好適に用いることができる。
中でも、本発明に用いられる有機溶剤としては、MBA(酢酸3−メトキシブチル)、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、DMDG(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)又はこれらを混合したものが、顔料分散剤の溶解性や塗布適性の点から好ましい。
【0040】
本発明の感光性樹脂組成物における(G)成分である有機溶剤の含有量は、該感光性樹脂組成物の各構成を均一に溶解または分散することができればよく、特に限定されない。本発明においては、感光性樹脂組成物の有機溶剤を除いた成分が、5〜40質量%の範囲が好ましく、10〜30質量%の範囲がより好ましい。上記範囲であることにより、塗布に適した粘度とすることができる。
【0041】
本発明の感光性樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じ各種添加剤、例えば重合停止剤、連鎖移動剤、可塑剤、消泡剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、密着促進剤等などが挙げられる。
【0042】
本発明の感光性樹脂組成物の調製方法としては、前述した(A)顔料、(B)顔料分散剤、(C)光開始剤、(D)アルカリ可溶性樹脂、(E)多官能(メタ)アクリルモノマー及び/又はオリゴマー、(F)繰り返し構造単位として炭素数2〜4のアルキレンオキサイドユニットとジアルキルシロキサンユニットを有する共重合体、及び所望により用いられる各種添加成分を(G)有機溶剤中に均一に溶解又は分散させ得る方法であればよく、特に制限はされず、公知の混合手段を用いて混合することにより、調製することができる。
【0043】
次に、本発明のカラーフィルターについて説明する。
本発明のカラーフィルターは、前述した本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成された着色層を有することを特徴とする。
このような本発明のカラーフィルターについて、図を参照しながら説明する。図1及び図2はそれぞれ、本発明のカラーフィルターの一例を示す概略断面図である。本発明のカラーフィルター10は、透明基板1と、ブラックマトリックス(BM)などの遮光部2と、着色層3(R、G、B)とを有しており、図1に示す例では、BMで囲まれた部分に各R、G及びBが一色ずつ分けて配されており、一方、図2に示す例では、BMで囲まれた部分にR、G及びBが塗り分けられている。
本発明のカラーフィルターは、前述した本発明の感光性樹脂組成物を用いて着色層を形成することにより、レベリング性が良好であって表面の平滑性に優れ、高い生産性を有している。
【0044】
本発明のカラーフィルターに用いられる着色層は、前述した本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成されたものであればよく、特に限定されないが、通常、後述する透明基板上の遮光部の開口部に形成され、該感光性樹脂組成物に含まれる顔料の種類によって、赤(R)、緑(G)及び(B)など3色以上の着色パターンから構成される。
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の厚みは、塗布方法、感光性樹脂組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1〜5μmの範囲であることが好ましい。
【0045】
当該着色層は、例えば下記の方法により形成することができる。
まず、前述した本発明の感光性樹脂組成物を、スリットコート法、スピンコート法、スリット&スピンコート法などの塗布手段を用いて後述する透明基板上に塗布して、ウェット塗膜を形成させる。
次いで、ホットプレートやオーブン、減圧乾燥機などを用いて、該ウェット塗膜を乾燥させたのち、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、アルカリ可溶性樹脂および多官能性モノマー等を光重合反応させて、感光性樹脂組成物の塗膜とする。露光に使用される光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜調整される。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱条件は、使用する感光性樹脂組成物中の各成分の配合割合や、塗膜の厚み等によって適宜選択される。
【0046】
次に、現像液を用いて現像処理し、未露光部分を溶解、除去することにより、所望のパターンで塗膜が形成される。現像液としては、通常、水や水溶性溶媒にアルカリを溶解させた溶液が用いられる。このアルカリ溶液には、界面活性剤などを適量添加してもよい。また、現像方法は一般的な方法を採用することができる。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、感光性樹脂組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。なお、現像処理後に、塗膜を十分に硬化させるために加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては特に限定はなく、塗膜の用途に応じて適宜選択される。
【0047】
本発明のカラーフィルターにおける遮光部は、後述する透明基板上にパターン状に形成されるものであって、一般的なカラーフィルターに遮光部として用いられるものと同様とすることができる。
当該遮光部のパターン形状としては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、マトリクス状等の形状が挙げられる。この遮光部としては、例えば、黒色顔料をバインダ樹脂中に分散または溶解させたものや、クロム、酸化クロム等の金属薄膜等が挙げられる。この金属薄膜は、CrOx膜(xは任意の数)およびCr膜が2層積層されたものであってもよく、また、より反射率を低減させたCrOx膜(xは任意の数)、CrNy膜(yは任意の数)およびCr膜が3層積層されたものであってもよい。
当該遮光部が黒色着色剤をバインダ樹脂中に分散または溶解させたものである場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、遮光部用感光性樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法等を挙げることができる。
【0048】
上記の場合であって、遮光部の形成方法として印刷法やインクジェット法を用いる場合、バインダ樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
【0049】
また、上記の場合であって、遮光部の形成方法としてフォトリソグラフィー法を用いる場合、バインダ樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が用いられる。この場合、黒色着色剤および感光性樹脂を含有する遮光部用感光性樹脂組成物には、光重合開始剤を添加してもよく、さらには必要に応じて増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を添加してもよい。本発明においては、上記遮光部用感光性樹脂組成物として、顔料としてカーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料を有した本発明の感光性樹脂組成物を用いてもよい。
【0050】
一方、遮光部が金属薄膜である場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、フォトリソグラフィー法、マスクを用いた蒸着法、印刷法等を挙げることができる。
【0051】
遮光部の膜厚としては、金属薄膜の場合は0.2〜0.4μm程度で設定され、黒色着色剤をバインダ樹脂中に分散または溶解させたものである場合は0.5〜2μm程度で設定される。
【0052】
(透明基板)
本発明のカラーフィルターに用いられる透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルターに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルターの用途に応じて、例えば100μm〜1mm程度のものを使用することができる。
なお、本発明のカラーフィルターは、上記透明基板、遮光部および着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、さらには配向膜や柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
【0053】
次に、本発明の液晶表示装置について説明する。
本発明の液晶表示装置は、前述した本発明のカラーフィルターを有することを特徴とする。本発明の液晶表示装置は、一般的にカラーフィルターが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができ、例えば、カラーフィルターと、TFTアレイ基板等を有する対向基板と、上記カラーフィルターと上記対向基板との間に形成された液晶層とを有するものが挙げられる。
【0054】
本発明の液晶表示装置の駆動方式としては、特に限定はなく一般的に液晶表示装置に用いられている駆動方式を採用することができる。このような駆動方式としては、例えば、TN方式、IPS方式、OCB方式、および、MVA方式等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの方式であっても好適に用いることができる。
また、対向基板としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができる。
さらに、液晶層を構成する液晶としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、およびこれらの混合物を用いることができる。
【0055】
液晶層の形成方法としては、一般に液晶セルの作製方法として用いられる方法を使用することができ、例えば、真空注入方式や液晶滴下方式等が挙げられる。
真空注入方式では、例えば、あらかじめカラーフィルターおよび対向基板を用いて液晶セルを作製し、液晶を加温することにより等方性液体とし、キャピラリー効果を利用して液晶セルに液晶を等方性液体の状態で注入し、接着剤で封鎖することにより液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
また液晶滴下方式では、例えば、カラーフィルターの周縁にシール剤を塗布し、このカラーフィルターを液晶が等方相になる温度まで加熱し、ディスペンサー等を用いて液晶を等方性液体の状態で滴下し、カラーフィルターおよび対向基板を減圧下で重ね合わせ、シール剤を介して接着させることにより、液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
【実施例】
【0056】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
1.レベリング性
ガラス基板(NHテクノガラス(株)製「NA35」)を100×100mmに切断し、これをアルカリ水溶液で洗浄した後、純水でリンスし100℃で乾燥させた。このガラス基板に実施例及び比較例のレジストサンプルをガラス基板中央に1mL滴下し600rpmでスピンコートした。スピンコート後すぐに到達圧力2.67kPa(20torr)まで減圧乾燥し、その後90℃のホットプレートでコンタクトベークした。ベーク後の基板に対して、Naランプによるムラ観察を行い、目視でムラが観察された場合を×とし、観察されない場合を○とした。
【0057】
2.ムラの評価
図3に示すような評価基板を用いて評価した。該評価基板は、200×200mmのガラス基板(NHテクノガラス(株)製「NA35」)に樹脂BMのフレームパターン(膜厚1.0μm)を形成し、次いで着色レジスト(Redレジスト、膜厚3.2μm)がパターニングされた基板である。この評価基板をアルカリ水溶液で洗浄し、純水でリンスした後、100℃で乾燥させた。この評価基板に実施例及び比較例のレジストサンプルを、該評価基板中央に2mL滴下し、600rpmでスピンコートした。スピンコート後すぐに到達圧力2.67kPa(20torr)まで減圧乾燥し、その後90℃のホットプレートでコンタクトベークした。ベーク後の基板に対して、Naランプによる放射ムラ観察を行い、放射ムラが観察された場合を×、放射ムラが軽減されたが観察されるレベルを△、観察されない場合を○とした。
なお、放射ムラとは、図4に示すように、スピンコートの回転中心からカラーフィルター基板の外周方向に引いた直線に対して、回転方向に角度を変えたところにすじ状に見られるムラをいう。
【0058】
3.リコート性
ガラス基板(NHテクノガラス(株)製「NA35」)を100×100mmに切断し、これをアルカリ水溶液で洗浄した後、純水でリンスし100℃で乾燥させた。このガラス基板に実施例及び比較例のレジストサンプルをガラス基板中央に1mL滴下し600rpmでスピンコートした。スピンコート後すぐに到達圧力2.67kPa(20torr)まで減圧乾燥し、その後90℃のホットプレートでコンタクトベークした。得られた塗布基板を露光量80mJ/cm2でフォトマスクを介したパターニング露光を行い、これをアルカリ水溶液により現像し、純水にてリンスを行った後、230℃で30分間熱処理した。
このようにして得られた実施例及び比較例のパターニング基板をアルカリ水溶液で洗浄し、純水でリンスした後、100℃で乾燥させ、これにRedレジスト及びGreenレジストを基板中央に1mL滴下し、600rpmでスピンコートした。スピンコート後すぐに到達圧力2.67kPa(20torr)まで減圧乾燥し、その後90℃のホットプレートでコンタクトベークした。
ベーク後の基板を目視または顕微鏡観察し、Blueレジストとの界面でハジキが確認されたものを×とし、程度の軽いハジキの場合を△、観察されない場合を○とした。
【0059】
実施例1
(1)顔料分散液の調製
ガラス容器に、(B)顔料分散剤であるDisperbyk161(ビックケミー・ジャパン(株)製)20質量部と、(G)有機溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下「PGMEA」と表記する。)65質量部を加えて溶液を得た。これに、(A)顔料として、リオノールブルーES(東洋インキ(株)製)13質量部、リオノゲンバイオレットRL(東洋インキ(株)製)2質量部を加え、0.3mmφのジルコニアビーズを用いてサンドミルにて分散し、顔料分散液を得た(以下「B分散液」と表記する)。
【0060】
(2)バインダーポリマー((D)アルカリ可溶性樹脂)の調製
ベンジルメタクリレート30質量部、スチレン38質量部、メタクリル酸18質量部、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製パーブチルO)10質量部の混合液を、PGMEA150質量部を入れた重合槽中に、窒素気流下100℃で、3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間加熱することにより重合体溶液を得た。この重合体溶液の重量平均分子量をGPCにより測定したところ、ポリスチレン換算で8,000であった(以下、重量平均分子量の測定はGPCによる)。
次に、得られた重合体溶液に、グリシジルメタクリレート14質量部、トリエチルアミン0.2質量部、P−メトキシフェノール0.05質量部を添加し、110℃で10時間加熱することにより、主鎖メタクリル酸のカルボン酸基とグリシジルメタクリレートのエポキシ基との反応を行った。反応中は、グリシジルメタクリレートの重合を防ぐため、反応溶液内に空気をバブリングさせた。反応は溶液の酸価測定により追跡した。得られた反応溶液は固形分38%、酸価75mgKOH/g、重量平均分子量はポリスチレン換算で10,000であった。(以下「ポリマーA溶液」と表記する。)。
【0061】
(3)ブルーレジスト(感光性着色樹脂組成物)の調製
B分散液36質量部、ポリマーA溶液10質量部、(E)成分であるKAYARAD DPHA(日本化薬(株)製)6質量部、(C)光開始剤であるIRGACURE907(チバスペシャリティケミカルズ社製)4質量部、及びKAYACURE DETX−S(日本化薬(株)製)1質量部、(G)成分としてPGMEA43質量部を配合し溶解させた(以下、「Bレジスト」と表記する。)。
Bレジスト100質量部に対し、レベリング剤として、(F)成分であるKF−6011(信越化学工業(株)製)を、固形分で0.2質量部になるように配合し、ブルーレジスト(感光性着色樹脂組成物)を得た。なお、KF−6011は、主鎖がジメチルシロキサンユニット(以下「DMS」と表記する。)であり、該主鎖の含有比率が21モル%、側鎖がエチレンオキサイドユニット(以下「EO」と表記する。)であり、該側鎖の含有比率が79モル%である。レベリング剤配合後メンブレンフィルターによりろ過し、上記方法にて評価した。
【0062】
実施例2
実施例1において、レベリング剤の種類を、KF−615A(信越化学工業(株)製)に代えたこと以外は実施例1と同様の方法でブルーレジスト(感光性着色樹脂組成物)を調製し、実施例1と同様の方法で評価した。なお、KF−615Aは、主鎖がDMSであり、該主鎖の含有比率が13モル%、側鎖はEO及びプロピレンオキサイドユニット(以下「PO」と表記する。)の共重合ユニットであり、該側鎖の含有比率は、EOが21モル%、POが66モル%である。
【0063】
比較例1〜5
実施例1において、レベリング剤として、第1表に記載されるものを使用したこと以外は実施例1と同様にブルーレジスト(感光性着色樹脂組成物)を調製した。実施例1と同様に上記方法にて評価した。結果を第1表に示す。
【0064】
【表1】

【0065】
*1 KF−6011;主鎖がジメチルシロキサン(DMS)ユニット、側鎖がエチレンオキサイド(EO)ユニットのグラフト共重合体(信越化学工業(株)製)
*2 KF−615A;主鎖がジメチルシロキサン(DMS)ユニット、側鎖がエチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイ(PO)の共重合ユニットのグラフト共重合体(信越化学工業(株)製)
*3 KF−6702;主鎖がジメチルシロキサン(DMS)ユニット、側鎖がプロピレンオキサイ(PO)のグラフト共重合体(信越化学工業(株)製)
*4 KF−6016;主鎖がジメチルシロキサン(DMS)ユニット、側鎖がエチレンオキサイド(EO)ユニットのグラフト共重合体(信越化学工業(株)製)
*5 F−114A;主鎖がジメチルシロキサン(DMS)ユニット、側鎖がエチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイ(PO)の共重合ユニットのグラフト共重合体(信越化学工業(株)製)
*6 F470;パーフルオロアルキル基含有オリゴマー(大日本インキ化学工業(株))
*7 F475;パーフルオロアルキル基含有オリゴマー(大日本インキ化学工業(株))
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の感光性着色樹脂組成物は、微粒子の顔料を高濃度で含有し、優れたレベリング性を有し、かつリコート性に優れる。従って、この感光性着色樹脂組成物はカラーフィルターの着色層を形成するために好適に用いられる。また、本発明の感光性着色樹脂組成物を遮光性黒色顔料に適用することで、高性能のブラックマトリックスを高い生産性で製造することができる。
また、本発明の感光性着色樹脂組成物を着色層及びブラックマトリックスに用いることで、高い生産性でカラーフィルターを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明のカラーフィルターの一例を示す概略図である。
【図2】本発明のカラーフィルターの他の一例を示す概略図である。
【図3】放射ムラ評価用基板を示す模式図である。
【図4】放射ムラの発生場所を示す模式図である。
【符号の説明】
【0068】
1:透明基板
2:遮光部
3:着色層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)顔料、(B)顔料分散剤、(C)光開始剤、(D)アルカリ可溶性樹脂、(E)多官能(メタ)アクリルモノマー及び/又はオリゴマー、(F)繰り返し構造単位として炭素数2〜4のアルキレンオキサイドユニットとジアルキルシロキサンユニットを有する共重合体、及び(G)有機溶剤を含む感光性着色樹脂組成物であって、(F)共重合体におけるアルキレンオキサイドユニットが少なくともエチレンオキサイドを含有し、ジアルキルシロキサンユニットの含有比率が12〜70モル%であり、アルキレンオキサイドユニットの含有比率が30〜88モル%である感光性着色樹脂組成物。
【請求項2】
前記アルキレンオキサイドユニットがエチレンオキサイド単独重合体であるか又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体である請求項1に記載の感光性着色樹脂組成物。
【請求項3】
前記ジアルキルシロキサンユニットがジメチルシロキサンユニットである請求項1又は2に記載の感光性着色樹脂組成物。
【請求項4】
(F)成分が、ジアルキルシロキサンユニットを主鎖とし、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドユニットを側鎖とするグラフト共重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の感光性着色樹脂組成物。
【請求項5】
前記(F)共重合体の含有量が(G)有機溶剤を除く不揮発成分基準で、0.001〜5質量%である請求項1〜4のいずれかに記載の感光性着色樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の感光性着色樹脂組成物を用いて形成された着色層を有するカラーフィルター。
【請求項7】
請求項6に記載のカラーフィルターを備えた表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−265268(P2009−265268A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112909(P2008−112909)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(000183923)ザ・インクテック株式会社 (268)
【Fターム(参考)】