説明

感光性転写材料、樹脂パターンの形成方法、樹脂パターン付き基板、表示素子及び表示装置

【課題】転写される感光性樹脂層の、被転写面の凹凸形状への追随性に優れ、樹脂パターンを形成する際、1回の現像工程でも均一性よく現像できる感光性転写材料を提供する。
【解決手段】厚み12μm以上40μm以下の仮支持体上に、110℃における溶融粘度が10000Pa・s以上30000Pa・s以下である感光性樹脂層を有する感光性転写材料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性転写材料、樹脂パターンの形成方法、樹脂パターン付き基板、表示素子及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶表示装置は、高画質画像を表示する表示装置として広く利用されている。液晶表示装置は、一般に、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の各色の着色画素及びブラックマトリクスを有するカラーフィルタ基板と、TFT基板と、の間に所定の配向により画像表示を可能とする液晶層が配置された構成となっている。ここで、カラーフィルタ基板とTFT基板との間には、液晶層の厚みを一定に保持するためのスペーサが設けられている。
【0003】
前記着色画素、ブラックマトリクス、及びスペーサは、感光性樹脂組成物を用いて作製することができる。ここで、感光性樹脂組成物を用いて作製されたスペーサは、「フォトスペーサ」と呼ばれている。
感光性樹脂組成物を用いて着色画素、ブラックマトリクス、フォトスペーサ等の樹脂パターン(「パターン構造物」ともいう)の形成を行なう場合、仮支持体上に感光性樹脂組成物を用いて形成された感光性樹脂層を有する感光性転写材料を用いることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
近年では、基板等の被転写材の被転写面(感光性樹脂層が転写される面)に存在する凹凸に伴なう転写不良を回避するために、即ち、転写される感光性樹脂層の、被転写面の凹凸形状への追随性を向上させるために、仮支持体と感光性樹脂層との間に、クッション性を有する熱可塑性樹脂層を設けた感光性転写材料の検討が行われている。
例えば、充分な転写性を付与する手段として、熱可塑性樹脂層及び感光性樹脂層の溶融粘度を制御する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、熱可塑性樹脂層及び感光性樹脂層の溶融粘度を制御に加え、さらに感光性転写材料のバック面の表面粗さを制御し、搬送ムラ起因する転写時の均一性を向上させる方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平11−174464号公報
【特許文献2】特開2006−267504号公報
【特許文献3】特開2008−9030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
熱可塑性樹脂層及び感光性樹脂層を有する上記の感光性転写材料を用いて基板上に樹脂パターンを形成する際には、熱可塑性樹脂層を除去するための現像工程と、感光性樹脂層の非硬化部を除去するための現像工程と、の少なくとも2回の現像工程を用いて現像処理が行われる。即ち、熱可塑性樹脂層を除去するための現像液と、感光性樹脂層の非硬化部を除去するための現像液と、の少なくとも2種類の現像液が必要とされる。
【0006】
一方、近年では、コスト削減(生産効率の向上)の観点より、樹脂パターン形成のための現像を、1回の現像工程で行う(即ち、1種類の現像液にて現像する)ことが望まれている。
しかし、熱可塑性樹脂層と感光性樹脂層とを1回の現像工程で現像すると現像液のシャワー圧力ムラ等に起因する現像ムラが発生する。
【0007】
また、上記特許文献1に記載されている感光性転写材料のように、熱可塑性樹脂層を有しない感光性転写材料を用いた場合には、1回の現像工程で現像すること自体は可能であるものの、転写時(ラミネート時)の熱により感光性樹脂層の溶融粘度が低くなりすぎる場合があり、その結果、転写される感光性樹脂層の非転写面の凹凸形状への追随性が低下する場合がある。具体的には、パターン構造物が設けられていない平坦面に転写された感光性樹脂層の厚みに対し、ブラックマトリクス等のパターン構造物上に転写された感光性樹脂層の厚みが薄くなりすぎる場合がある。
【0008】
本発明は上記に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、転写される感光性樹脂層の、被転写面の凹凸形状への追随性に優れ、樹脂パターンを形成する際、1回の現像工程でも均一性よく現像できる感光性転写材料を提供することを目的とする。
また、本発明は、転写される感光性樹脂層の被転写面の凹凸形状への追随性に優れ、1回の現像工程でも均一性よく現像でき、均一性に優れた樹脂パターンを形成できる樹脂パターンの形成方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、均一性に優れた樹脂パターンを有し、表示装置の作製に用いた際、表示ムラを抑制できる樹脂パターン付き基板を提供することを目的とする。
また、本発明は、表示ムラが抑制され表示品質に優れた表示素子及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 厚み12μm以上40μm以下の仮支持体上に、直接又は中間層のみを介して、110℃における溶融粘度が10000Pa・s以上30000Pa・s以下である感光性樹脂層を有する感光性転写材料である。
【0010】
<2> 前記感光性樹脂層が、充填剤を含有する<1>に記載の感光性転写材料である。
<3> 前記充填剤が、体質顔料又は顔料である<2>に記載の感光性転写材料である。
<4> 前記感光性樹脂層の層厚が1μm以上6μm以下である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の感光性転写材料である。
【0011】
<5> <1>〜<4>のいずれか1つに記載の感光性転写材料の前記感光性樹脂層を基板上に転写する転写工程と、転写された感光性樹脂層を露光する露光工程と、露光された感光性樹脂層を現像する現像工程と、を有する樹脂パターンの形成方法である。
【0012】
<6> 前記樹脂パターンが、フォトスペーサである<5>に記載の樹脂パターンの形成方法である。
<7> 前記樹脂パターンが、着色画素である<5>に記載の樹脂パターンの形成方法である。
【0013】
<8> <5>〜<7>のいずれか1つに記載の樹脂パターンの形成方法により形成された樹脂パターンを有する樹脂パターン付き基板である。
<9> <8>に記載の樹脂パターン付き基板を備えることを特徴とする表示素子である。
<10> <9>に記載の表示素子を備えることを特徴とする表示装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、転写される感光性樹脂層の、被転写面の凹凸形状への追随性に優れ、樹脂パターンを形成する際、1回の現像工程でも均一性よく現像できる感光性転写材料を提供することができる。
また、本発明によれば、転写される感光性樹脂層の被転写面の凹凸形状への追随性に優れ、1回の現像工程でも均一性よく現像でき、均一性のよい樹脂パターンを形成できる樹脂パターンの形成方法を提供することができる。
また、本発明によれば、均一性に優れた樹脂パターンを有し、表示装置の作製に用いた際、表示ムラを抑制できる樹脂パターン付き基板を提供することができる。
また、本発明によれば、表示ムラが抑制され表示品質に優れた表示素子及び表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
≪感光性転写材料≫
本発明の感光性転写材料は、厚み12μm以上40μm以下の仮支持体上に、直接又は中間層のみを介して、110℃における溶融粘度が10000Pa・s以上30000Pa・s以下である感光性樹脂層を有する。
感光性転写材料を上記本発明の構成とすることにより、転写される感光性樹脂層の被転写面の凹凸形状への追随性が向上するとともに、樹脂パターンを形成する際、1回の現像工程でも均一性よく現像できる。
更に、転写後に仮支持体を剥離した際、仮支持体上への中間層や感光性樹脂層の剥離残りが抑制され、転写性も向上する。また、樹脂パターンを形成する際の現像時、転写不良に起因するパターン抜けが抑制される。
【0016】
本発明において、「追随性」とは、転写された感光性樹脂層の表面の形状が、被転写面(下地)の凹凸形状を反映する度合いを表す。
具体的には、パターン構造物が設けられていない平坦面に転写された感光性樹脂層の厚みを厚みaとし、パターン構造物上に転写された感光性樹脂層の厚みを厚みbとしたとき、下記式1で表される追随性が100%に近い程、追随性に優れていることを示す。100%より小さくなるにつれ、追随性が低下(悪化)することを示す。
【0017】
追随性(%)=100×(b/a) … 式1
【0018】
また、前記1回の現像工程とは、1種類の現像液により現像する工程を指す。ここで、1種類の現像液成分の濃度を代えて複数種とした現像液の群や、現像液と現像後の残渣除去用洗浄液との組み合わせについては、本発明では1種類とする。
本発明の感光性転写材料は、熱可塑性樹脂層を設けることなく構成できるため、熱可塑性樹脂層を現像するための現像工程(例えば、トリエタノールアミン系現像液等)を設ける必要がなく、感光性樹脂層(及び、必要に応じ中間層)を現像するための1回の現像工程でも均一性よく現像できる。以降、「1回の現像工程でも均一性よく現像できる」状態を、単に「現像性に優れる」状態ともいう。
【0019】
なお、ここでいう、熱可塑性樹脂層とは、一般に、感光性転写材料の被転写面の凹凸形状への追随性を向上させる等の目的で、仮支持体と感光性樹脂層との間に設けられる層(クッション性を有する層である場合がある)を指す。熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂として、具体的には、ヴイカーVicat法(具体的にはアメリカ材料試験法エーエステーエムデーASTMD1235によるポリマー軟化点測定法)による軟化点が80℃以下である樹脂が挙げられ、より具体的には、エチレンとアクリル酸エステル共重合体とのケン化物、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体とのケン化物、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体とのケン化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、および(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等との(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のケン化物、等が挙げられる。熱可塑性樹脂層の例については、例えば、特開2008−9030号公報の段落番号0036〜0052に記載されている。
【0020】
<感光性樹脂層>
本発明の感光性転写材料は、後述する仮支持体上に、直接又は中間層のみを介して、110℃における溶融粘度が10000Pa・s以上30000Pa・s以下である感光性樹脂層を有する。
ここで、仮支持体上に直接感光性樹脂層を有する構成とは、仮支持体と感光性樹脂層とが接する構成を指す。また、仮支持体上に中間層のみを介して感光性樹脂層を有する構成とは、仮支持体と感光性樹脂層との間に中間層のみが介在する状態を指す。中間層については後述する。
【0021】
感光性樹脂層の110℃における溶融粘度が10000Pa・s未満であると、追随性が低下する。
また、感光性樹脂層の110℃における溶融粘度が30000Pa・sを超えると転写性が悪化する。
追随性及び転写性の観点からは、前記溶融粘度は、10000Pa・s以上25000Pa・s以下が好ましく、10000Pa・s以上20000Pa・s以下がより好ましく、10000Pa・s以上15000Pa・s以下が特に好ましい。
【0022】
前記感光性樹脂層の110℃における溶融粘度を10000Pa・s以上30000Pa・s以下とするには、該感光性樹脂層に含まれることがあるモノマーや充填剤(例えば、体質顔料や顔料等)の種類又は含有量、バインダー(高分子物質)の種類又は分子量などを調製することで達成することができる。
【0023】
本発明の感光性転写材料に設けられた感光性樹脂層の層厚は、転写性、及び形成される樹脂パターン(例えば、フォトスペーサ)の高さ均一性確保の観点から、1μm以上6μm以下であることが好ましい。1.5μm以上6μm以下であることがより好ましく、2μm以上5μm以下であることが特に好ましい。
【0024】
また、本発明における感光性樹脂層は、高分子物質、重合性モノマー、及び光重合開始剤を含むことが好ましい。更に、適宜、充填剤、着色剤、その他添加剤を含んでいてもよい。
以下、これらの各成分について説明する。
【0025】
(高分子物質)
高分子物質は、スペーサや着色画素等の積層体を形成した場合にバインダー成分としての機能を有するものであり、側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するポリマーやそれ自体重合性を有する、特開2003−131379の段落番号[0031]〜[0054]に記載の光により重合可能なアリル基を有する高分子樹脂が好ましい例として挙げられる。
【0026】
高分子物質は、目的に応じて適宜選択した単量体の単独重合体、複数の単量体からなる共重合体のいずれであってもよく、1種単独で用いる以外に、2種以上を併用するようにしてもよい。
側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するポリマーの例としては、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報及び特開昭59−71048号公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等を挙げることができる。また、側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体も挙げることができ、また、この他にも水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく用いることができる。また、特に好ましい例としては、シクロヘクシル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマー多元共重合体や、米国特許第4139391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートレと(メタ)アクリル酸との共重合体,ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体、またこれらの多元共重合体にグリシジルメタクリレートを付加させた多元共重合体を挙げることができる。
【0027】
高分子物質の単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ビニル化合物、アリル基含有(メタ)アクリレート、等が挙げられる。尚、本明細書中において、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを表す。
これら単量体は、1種単独で用いる以外に2種以上を併用してもよい。
【0028】
前記アルキル(メタ)アクリレート及びアリル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジルアクリレート、トリルアクリレート、ナフチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、等が好適に挙げられる。
【0029】
前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシイソブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、中でも特に、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシn−プロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシn−ブチル(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0030】
前記ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、等が好適に挙げられる。
【0031】
前記アリル基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、アリル(メタ)アクリレート、2−メチルアリルアクリレート、クロチルアクリレート、クロルアリルアクリレート、フェニルアリルアクリレート、シアノアリルアクリレート、等が挙げられ、中でもアリル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0032】
上記した高分子物質の中でも、アリル基含有(メタ)アクリレートをモノマーユニットとして少なくとも有する樹脂が好ましく、アリル基含有(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸及びアリル基非含有(メタ)アクリレートから選択されるモノマーとをモノマーユニットとして有する樹脂がより好ましい。
【0033】
前記高分子物質の好ましい具体例としては、(メタ)アクリル酸(M)とアリル(メタ)アクリレート(M)との二元共重合樹脂〔好適な共重合比[モル比]はM:M=2〜90:10〜98〕や、(メタ)アクリル酸(M)とアリル(メタ)アクリレート(M)とベンジル(メタ)アクリレート(M)との三元共重合樹脂〔好適な共重合比[モル比]はM:M:M=5〜40:20〜90:5〜70〕などが挙げられる。またフォトスペーサなど高架橋を要するものはこれらにグリシジルメタクリレートを付加させた多元共重合体が有効である。
【0034】
【化1】

【0035】
【化2】

【0036】
【化3】



【0037】
【化4】

【0038】
【化5】



【0039】
【化6】



【0040】
【化7】



【0041】
本発明における高分子物質は、モノマーの(共)重合反応の工程とエチレン性不飽和基を導入する工程の二段階の工程から合成することができる。
まず、(共)重合反応は種々のモノマーの(共)重合反応によって作られ、特に制限はなく公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、重合の活性種については、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合などを適宜選択することができる。これらの中でも合成が容易であり、低コストである点からラジカル重合であることが好ましい。また、重合方法についても特に制限はなく公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、バルク重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法などを適宜選択することができる。これらの中でも、溶液重合法であることがより望ましい。
【0042】
前記高分子物質の重量平均分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定値のポリスチレン換算値で5,000〜100,000が好ましく、8,000〜50,000がより好ましい。該重量平均分子量を5,000〜100,000の範囲内とすることで、膜強度を良化することができる。
【0043】
前記高分子物質の感光性樹脂層中における含有量としては、該層の全固形分に対して、15〜95質量%が好ましく、30〜85質量%がより好ましく、40〜75質量%が更に好ましい。
【0044】
(重合性モノマー)
重合性モノマーとしては、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、エステル化合物、アミド化合物、並びにその他の化合物が挙げられる。
【0045】
前記エステル化合物としては、例えば、単官能(メタ)アクリル酸エステル、多官能(メタ)アクリル酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、マレイン酸エステル、その他のエステル化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、これらの中でも、単官能(メタ)アクリル酸エステル、多官能(メタ)アクリル酸エステル等が好ましい。
【0046】
前記単官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチルモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0047】
前記多官能(メタ)アクリル酸エステルしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。中でも特に、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0048】
前記多官能(メタ)アクリル酸エステルの他の例としては、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報、特開昭51−37193号公報に記載のウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報、及び特公昭52−30490号公報に記載のポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類、特開昭60−258539号公報に記載の(メタ)アクリル酸エステルやウレタン(メタ)アクリレートやビニルエステル、などが挙げられる。
【0049】
前記「その他のエステル化合物」としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、日本接着協会誌Vol.20,No.7,第300〜308頁に記載の光硬化性モノマー及びオリゴマー、などが挙げられる。
【0050】
また、上記のアミド化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド(モノマー)などが挙げられ、具体的には、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、などが挙げられ、また、特開昭60−258539号公報に記載の(メタ)アクリル酸アミド、などが挙げられる。
【0051】
また、上記の「その他の化合物」としては、例えば、特開昭60−258539号公報に記載のアリル化合物、などが挙げられる。
【0052】
上記した重合性モノマーは、1種単独で用いる以外に、2種以上を併用するようにしてもよい。重合性モノマーの感光性樹脂層中における含有量としては、該層の全固形分に対して、10〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。
【0053】
感光性樹脂層の現像性の好ましい範囲を達成するために、感光性樹脂層中における、前記高分子物質(バインダー)の含有量P(質量%)と前記重合性モノマーの含有量M(質量%)との比〔M/P〕を調整する手段が好ましい。
感光性樹脂層の110℃における溶融粘度を10000Pa・s以上30000Pa・s以下に調整する観点からは、この比〔M/P〕を0.4以上1.2未満の範囲、好ましくは0.6以上1.0未満の範囲に調整することが好ましい。
【0054】
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、およそ300nm〜500nmの波長領域に約50以上の分子吸光係数を有する成分を少なくとも1種含有しているものが好ましく、例えば、特開平2−48664号公報、特開平1−152449号公報、及び特開平2−153353号公報に記載の芳香族ケトン類、ロフィン2量体、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、ポリハロゲン類、ハロゲン化炭化水素誘導体、ケトン化合物、ケトオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、などが挙げられる。
【0055】
上記の中でも、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体との組合せ、4−〔p−N,N’−ジ(エトキシカルボニルメチル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン〕、2,4−ビス−(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N’−ジエトキシカルボニルメチルアミノ)−3−ブロモフェニル]−s−トリアジンなどが好ましい。
【0056】
上記の光重合開始剤は、1種単独で用いる以外に、2種以上を併用するようにしてもよい。感光性樹脂層中における光重合開始剤の含有量としては、前記重合性モノマーの量に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
【0057】
(充填剤)
上記溶融粘度の好ましい範囲を達成する他の手段として、感光性樹脂層に充填剤を含有させる手段が挙げられる。該充填剤としては、体質顔料又は顔料を挙げることができる。 前記体質顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、特開2003−302639号公報[0035]〜[0041]に記載の体質顔料が好ましい。例えば、本発明における感光性樹脂層がフォトスペーサ用途である場合は、体質顔料として、後述する微粒子(例えば、コロイダルシリカ)を添加することが好ましい。
前記顔料としては着色顔料が挙げられ、前記着色顔料としては、特開2003−302639号公報[0043]に記載の顔料が挙げられる。
例えば、本発明における感光性樹脂層が着色画素用途である場合は、顔料として、後述する着色顔料を添加することが好ましい。
充填剤の含有量については特に限定はないが、前記感光性樹脂層の110℃における溶融粘度を10000Pa・s〜30000Pa・sに調製しやすくする観点からは、前記感光性樹脂層の全固形分中における前記充填剤の含有量が、30質量%を超えて40質量%未満であることがより好ましい。
上記観点から、前記感光性樹脂層中の充填剤の含有量と、前記感光性樹脂層における前記比〔M/P〕と、の組み合わせとしては、前記感光性樹脂層の全固形分中における前記充填剤の含有量が、30質量%を超えて40質量%未満であって、前記感光性樹脂層における前記比〔M/P〕が0.4以上1.2未満(より好ましくは0.6以上1.0未満)である組み合わせが特に好ましい。
【0058】
−着色剤−
本発明において、感光性転写材料を用いてカラーフィルタ(着色画素)を製造する場合、感光性樹脂層は着色剤を含むことが好ましい。
着色剤としては、公知のもの(染料、顔料)を添加することができる。該公知の着色剤のうち顔料を用いる場合には、感光性樹脂層中に均一に分散されていることが望ましく、そのため粒径が0.1μm以下、特には0.08μm以下であることが好ましい。また、好ましい顔料の種類、サイズ等については、例えば特開平11−149008号公報の記載から適宜選択することができる。
上記公知の染料ないし顔料としては、例えば、特開2005−17716号公報の段落番号(0038)から(0040)に記載の色材、特開2005−361447号公報の段落番号(0068)から(0072)に記載の顔料、および特開2005−17521号公報の段落番号(0080)から(0088)に記載の着色剤などが好適に挙げられる。
【0059】
特に、本発明における感光性樹脂層がテレビ用カラーフィルタの形成に用いられる場合、上記の着色剤の中でも、(i)R(レッド)の感光性樹脂層においてはC.I.ピグメント・レッド254が、(ii)G(グリーン)の感光性樹脂層においてはC.I.ピグメント・グリーン36が、(iii)B(ブルー)の感光性樹脂層においてはC.I.ピグメント・ブルー15:6が好適なものとして挙げられる。
【0060】
更に上記顔料は組み合わせて用いてもよい。
本発明において、併用して用いることが好ましい上記記載の顔料の組み合わせは、C.I.ピグメント・レッド254では、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド224、C.I.ピグメント・イエロー139、またはC.I.ピグメント・バイオレット23との組み合わせが挙げられ、C.I.ピグメント・グリーン36では、C.I.ピグメント・イエロー150、C.I.ピグメント・イエロー139、C.I.ピグメント・イエロー185、C.I.ピグメント・イエロー138、またはC.I.ピグメント・イエロー180との組み合わせが挙げられ、C.I.ピグメント・ブルー15:6では、C.I.ピグメント・バイオレット23、またはC.I.ピグメント・ブルー60との組み合わせが挙げられる。
【0061】
上記顔料は分散液として使用することが望ましい。この分散液は、前記顔料と顔料分散剤とを予め混合して得られる組成物を、後述する有機溶媒(またはビヒクル)に添加して分散させることによって調製することができる。前記ビヒクルとは、塗料が液体状態にある時に顔料を分散させている媒質の部分をいい、液状であって前記顔料と結合して塗膜を固める部分(バインダー)と、これを溶解希釈する成分(有機溶媒)とを含む。
前記顔料を分散させる際に使用する分散機としては、特に制限はなく、例えば、朝倉邦造著、「顔料の事典」、第一版、朝倉書店、2000年、438項頁に記載されているニーダー、ロールミル、アトライダー、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の公知の分散機が挙げられる。更に該文献の310項頁記載の機械的摩砕により、摩擦力を利用し微粉砕してもよい。
【0062】
−微粒子−
感光性樹脂層がスペーサ用途である場合は、体質顔料として、微粒子を添加することが好ましい。前記微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、特開2003−302639号公報[0035]〜[0041]に記載の体質顔料が好ましく、中でも良好な現像性、力学強度を有するフォトスペーサが得られるという観点からコロイダルシリカが好ましい。
【0063】
前記微粒子の平均粒子径は、高い力学強度を有するフォトスペーサが得られるという観点から、5〜50nmであることが好ましく、10〜40nmであることがより好ましく、15〜30nmであることが特に好ましい。
微粒子の平均粒子径の測定は、以下の方法によって行われる。微粒子の分散物をその分散媒で適宜希釈し、動的光散乱法粒子径測定器を用いて平均粒子径を測定する。
【0064】
また、前記微粒子の含有量は、高い力学強度を有するフォトスペーサが得られるという観点から、本発明における感光性樹脂層中の全固形分に対する質量比率が5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましく、15〜30質量%であることが特に好ましい。
【0065】
(その他の添加剤)
−溶媒−
本発明における感光性樹脂層においては、上記成分の他に、更に有機溶媒を用いてもよい。有機溶媒の例としては、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、メチルイソブチルケトン、乳酸エチル、乳酸メチル、カプロラクタム等を挙げることができる。
【0066】
−熱重合防止剤−
本発明における感光性樹脂層は、熱重合防止剤を含むことが好ましい。該熱重合防止剤の例としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンズイミダゾール、フェノチアジン等が挙げられる。
【0067】
−紫外線吸収剤−
本発明における感光性樹脂層には、必要に応じて紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤としては、特開平5−72724号公報記載の化合物の他、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系などが挙げられる。
具体的には、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−4’−ヒドロキシベンゾエート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2,2’−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ニッケルジブチルジチオカーバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピリジン)−セバケート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、サルチル酸フェニル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン縮合物、コハク酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリデニル)−エステル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、7−{[4−クロロ−6−(ジエチルアミノ)−5−トリアジン−2−イル]アミノ}−3−フェニルクマリン等が挙げられる。
【0068】
−界面活性剤−
本発明における感光性樹脂層は、界面活性剤を含有してもよい。
前記界面活性剤は、本発明の前記高分子物質や前記重合性モノマーと混ざり合うものであれば使用可能である。本発明に用いる好ましい界面活性剤としては、特開2003−337424号公報[0015]〜[0024]、特開2003−177522号公報[0012]〜[0017]、特開2003−177523号公報[0012]〜[0015]、特開2003−177521号公報[0010]〜[0013]、特開2003−177519号公報[0010]〜[0013]、特開2003−177520号公報[0012]〜[0015]、特開平11−133600号公報の[0034]〜[0035]、特開平6−16684号公報の発明として開示されている界面活性剤が好適なものとして挙げられる。より高い効果を得る為にはフッ素系界面活性剤、及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤、又は、シリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましく、フッ素系界面活性剤が最も好ましい。
【0069】
フッ素系界面活性剤を用いる場合、該界面活性剤分子中のフッ素含有置換基のフッ素原子数は1〜38が好ましく、5〜25がより好ましく、7〜20が最も好ましい。フッ素原子数が多すぎるとフッ素を含まない通常の溶媒に対する溶解性が落ちる点で好ましくない。フッ素原子数が少なすぎると、ムラの改善効果が得られない点で好ましくない。
【0070】
特に好ましい界面活性剤として、下記一般式(a)及び、一般式(b)で表されるモノマーを含み、且つ一般式(a)/一般式(b)の質量比が20/80〜60/40の共重合体を含有するものが挙げられる。
【0071】
【化8】

【0072】
一般式(a)及び一般式(b)中、R、R、及びRはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を示し、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示す。nは1〜18の整数、mは2〜14の整数を示す。p、qは0〜18の整数を示すが、p、qが同時に0になる場合は含まない。
【0073】
上記界面活性剤の具体例は特開2003−337424号公報の段落番号[0068]の表1に記載されている。
【0074】
また、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF−780−F、F−784−F、F171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、又は、シリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0075】
−その他の添加物−
上記感光性樹脂層や、後述する中間層には、露光光を遮断する能力のある物質を添加することが好ましい。
上記露光光を遮断する能力のある物質としては、有機色素などがその代表的な例である。例えば、インドレニン色素等のシアニン色素、アントラキノン系、アズレン系、フタロシアニン系等の色素、ジチオールニッケル錯体等の有機金属化合物等の色素を挙げることができる。感度の点からは、照射光波長における吸光係数の大きなシアニン色素、フタロシアニン系色素などがより好ましい。
尚、上記露光光を遮断する能力のある物質は、感光性樹脂層に含有させる場合の含有量としては、全固形分に対して0.5〜15質量%が好ましく、1〜12質量%がより好ましい。また、中間層に含有させる場合には、全固形分に対して0.2〜10質量%が好ましく、0.4〜8質量%がより好ましい。
【0076】
また、本発明における感光性樹脂層においては、上記添加剤の他に、特開平11−133600号公報に記載の「接着助剤」や、その他の添加剤等を含有させることができる。
【0077】
<中間層>
本発明の感光性転写材料は、仮支持体と前記感光性樹脂層との間に、中間層が少なくとも1層設けられていてもよい。
中間層としては、酸素を遮断する機能を有する酸素遮断層であることが好ましい。
中間層として酸素遮断層が配設されることにより、感光性樹脂層の感度を向上できる点で好ましい。
【0078】
酸素遮断層としては、水又はアルカリ水溶液に分散ないし溶解するものが好ましい。中間層の構成材料には、公知のものを使用でき、例えば、特開昭46−2121号公報及び特公昭56−40824号公報に記載のポリビニルエーテル/無水マレイン酸重合体、カルボキシアルキルセルロースの水溶性塩、水溶性セルロースエーテル類、カルボキシアルキル澱粉の水溶性塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド類、水溶性ポリアミド、ポリアクリル酸の水溶性塩、ゼラチン、エチレンオキサイド重合体、各種澱粉及びその類似物からなる群の水溶性塩、スチレン/マレイン酸の共重合体、マレイネート樹脂、などが挙げられる。
これらは、1種単独で用いる以外に2種以上を併用してもよい。
【0079】
上記の中でも、水溶性樹脂、すなわち水溶性の高分子材料を使用するのが好ましく、この中でも少なくともポリビニルアルコールを使用するのがより好ましく、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの併用が特に好ましい。
前記ポリビニルアルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、その鹸化度が80mol%以上のものが好ましい。
【0080】
前記ポリビニルピロリドンを使用する場合には、その含有量としては、酸素遮断層の固形分に対し、1〜75体積%が好ましく、1〜60体積%がより好ましく、10〜50体積%が特に好ましい。該含有量が、1体積%未満であると前記感光性樹脂性樹脂層との充分な密着性が得られないことがあり、75体積%を超えると酸素遮断能が低下することがある。
【0081】
本発明に係る酸素遮断層については、酸素透過率が小さいことが好ましい。酸素遮断層の酸素透過率が大きく能が低い場合には、後述の感光性樹脂層に対する露光時における光量をアップする必要が生じたり、露光時間を長くする必要が生ずることがあり、解像度も低下してしまうことがある。
【0082】
酸素遮断層(中間層)の層厚としては、0.1〜1.6μm程度が好ましく、0.5〜1μmがより好ましい。該厚みが、0.1μm未満であると酸素透過性が高過ぎてしまうことがあり、1.6μmを超えると現像時や酸素遮断層除去時に長時間を要することがあるため好ましくない。
酸素遮断層(中間層)の膜厚調整は、酸素遮断層(中間層)塗布液の濃度により、調整することができる。
【0083】
<仮支持体>
本発明における仮支持体には特に限定はないが、転写の支障とならない程度に前記感光性樹脂層又は前記中間層に対する剥離性を有するものが好ましく、化学的・熱的に安定で可撓性を有するものが好ましい。
【0084】
前記仮支持体の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ四フッ化エチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイドなどが挙げられる。
【0085】
また、本発明においては、仮支持体の厚みは12μm以上40μm以下であることが必要である。
仮支持体の厚みが12μm未満であると、樹脂パターンを形成する際の現像時、転写不良に起因するパターン抜けが発生する。
また、仮支持体の厚みが40μmを超えると、追随性及び転写性が悪化する。
追随性向上、転写性向上、及びパターン抜け抑制の観点からは、仮支持体の厚みは、12μm以上30以下であることが好ましく、15μm以上30以下であることがより好ましい。
【0086】
仮支持体には、感光性樹脂層や中間層との間に良好な剥離性を確保する観点から、グロー放電等の表面処理を行なわないことが好ましく、また、ゼラチン等の下塗層も設けないことが好ましい。
【0087】
仮支持体の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。これらは、1種単独で用いる以外に、2種以上を併用してもよい。
【0088】
仮支持体には、前記感光性樹脂層又は前記中間層との間に良好な剥離性を確保する観点から、グロー放電等の表面処理を行なわないことが好ましく、また、ゼラチン等の下塗層も設けないことが好ましい。
【0089】
前記仮支持体としては、その少なくとも一方の表面に導電性層が設けられているか、或いは仮支持体自体が導電性を有することが好ましい。仮支持体がこのように導電性を有する構成であると、該仮支持体を備えた感光性転写材料を被転写体上に密着させた後に仮支持体を剥離する場合に、該仮支持体や該被転写体等が帯電して周囲のゴミ等を引き寄せることがなく、その結果、該仮支持体を剥離した後においても感光性樹脂層上又は中間層上にゴミ等が付着せず、その後の露光過程で余分な未露光部ができることに伴なうピンホールの形成を効果的に防止することができる。仮支持体上の導電性層又は導電性を有する仮支持体の表面における表面電気抵抗としては、1013Ω以下が好ましい。
【0090】
前記導電性を有する仮支持体とするには、該仮支持体中に導電性物質を含有させればよい。導電性物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、金属酸化物、帯電防止剤などが挙げられる。
【0091】
前記金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化モリブデンなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、金属酸化物の形態としては、結晶微粒子、複合微粒子などが挙げられる。
【0092】
前記帯電防止剤としては、例えば、エレクトロストリッパーA(花王(株)製)、エレノンNo.19(第一工業製薬(株)製)等のアルキル燐酸塩系アニオン界面活性剤、アモーゲンK(第一工業製薬(株)製)等のベタイン系両性界面活性剤、ニッサンノニオンL(日本油脂(株)製)等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル系非イオン界面活性剤、エマルゲン106、同120、同147、同420、同220、同905、同910(花王(株)製)やニッサンノニオンE(日本油脂(株)製)等のポリオキシエチレンアルキルエーテル系非イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル系、多価アルコール脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレンアルキルアミン系等のその他の非イオン系界面活性剤が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0093】
前記導電性層としては、公知の導電性物質の中から適宜選択して使用することにより形成することができ、該導電性物質としては、例えば、ZnO、TiO、SnO、Al、In、SiO、MgO、BaO、MoOなどが湿度環境に影響されず安定した導電効果が得られる点で好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0094】
前記金属酸化物又は前記導電性物質の体積抵抗値としては、10Ω・cm以下が好ましく、10Ω・cm以下がより好ましい。
前記金属酸化物又は前記導電性物質の粒子径としては、0.01〜0.7μmが好ましく、0.02〜0.5μmがより好ましい。
【0095】
前記導電性層には、バインダーとして、例えば、ゼラチン、セルロースナイトレート、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル、塩化ビニリデン、塩化ビニル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、炭素数1〜4のアルキルアクリレート、ビニルピロリドン等を含むホモポリマー又はコポリマー、可溶性ポリエステル、ポリカーボネート、可溶性ポリアミド、などを使用することができる。
【0096】
<カバーフィルム>
感光性転写材料においては、カバーフィルムは、保管等の際に汚れや損傷等から前記感光性樹脂層を保護する機能を有し、上記の仮支持体と同一又は類似の材料で構成することができる。
カバーフィルムとしては、前記感光性樹脂層から容易に剥離可能なものであればよく、例えば、シリコーン紙、ポリオレフィンシート、ポリテトラフルオロエチレンシート等が好適に挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンシート又はフィルム、ポリプロピレンシート又はフィルムが好ましい。カバーフィルムの厚みとしては、5〜100μm程度が好ましく、10〜30μmがより好ましい。
【0097】
<感光性転写材料の作製方法>
本発明の感光性転写材料は、中間層を設けない場合には、仮支持体上に感光性樹脂層用塗布液を塗布し、乾燥することにより、感光性樹脂層を設けることにより作製できる。また、仮支持体と感光性樹脂層との間に中間層を設ける場合には、仮支持体上に中間層用塗布液を塗布し、乾燥することにより中間層を設け、その後、感光性樹脂層用塗布液を塗布し、乾燥することにより、感光性樹脂層を設けることにより作製できる。いずれの場合においても、感光性樹脂層上に更に前述のカバーフィルムを、圧着等により設けてもよい。
【0098】
尚、上記作製方法における塗布は、公知の塗布装置等によって行うことができるが、本発明においては、スリット状ノズルを用いた塗布装置(スリットコータ)によって行うことが好ましい。
【0099】
−スリット状ノズル−
上記感光性転写材料は、公知の塗布方法により塗布し乾燥することによって形成することができるが、本発明においては、液が吐出する部分にスリット状の穴を有するスリット状ノズルによって塗布することが好ましい。具体的には、特開2004−89851号公報、特開2004−17043号公報、特開2003−170098号公報、特開2003−164787号公報、特開2003−10767号公報、特開2002−79163号公報、特開2001−310147号公報等に記載のスリット状ノズル、およびスリットコーターが好適に用いられる。
【0100】
≪樹脂パターンの形成方法≫
本発明の樹脂パターンの形成方法は、前述の本発明の感光性転写材料の、少なくとも感光性樹脂層を基板上に転写する転写工程と、転写された感光性樹脂層を露光する露光工程と、露光された感光性樹脂層を現像する現像工程と、を有する。
本発明の樹脂パターンの形成方法は、前述の本発明の感光性転写材料を用いるため、転写される感光性樹脂層の被転写面の凹凸形状への追随性に優れ、1回の現像工程で均一性よく現像でき、均一性のよい樹脂パターンを形成できる。
ここで、現像における均一性や樹脂パターンの均一性は、形成された樹脂パターンの高さ(厚み)の面内均一性を測定することにより評価できる。
【0101】
本発明の樹脂パターンの形成方法で形成される樹脂パターンには特に制限はないが、例えば、液晶表示装置、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンス(有機EL、無機EL等)などの表示装置に用いる、カラーフィルタ(着色画素)、ブラックマトリクス、フォトスペーサ、液晶配向制御用突起等が挙げられる。
尚、カラーフィルタにおける着色画素の形成の場合には、基板上に樹脂層を形成し、露光して現像することを色の数だけ繰り返す方法などによって得ることができる。
本発明の樹脂パターンの形成方法は、転写される感光性樹脂層の被転写面の凹凸形状への追随性に優れるため、上記の中でも、フォトスペーサ又は着色画素の形成に好適である。
以下、本発明の樹脂パターンの形成方法について更に詳細に説明する。
【0102】
<基板>
本発明における基板としては、例えば、透明基板が用いられ、表面に酸化ケイ素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス板等の公知のガラス板、或いは、プラスチックフィルム等を挙げることができる。
また、上記基板は、予めカップリング処理を施しておくことにより、感光性転写材料との密着を良好にすることができる。
該カップリング処理としては、特開2000−39033号公報記載の方法が好適に用いられる。尚、特に限定されるわけではないが、基板の厚みとしては、700〜1200μmが一般的に好ましい。
また、本発明における基板としては、上記ガラス板上や上記プラスチックフィルム上に、薄膜トランジスタ(TFT)が配置されたTFT基板を用いることもできる。即ち、本発明の樹脂パターンの形成方法では、このようなTFT基板上に樹脂パターンを形成してもよい。例えば、本発明の樹脂パターンの形成方法を用いてTFT基板上にカラーフィルタ(着色画素)を形成することで、カラーフィルタ・オン・アレイ(COA)基板を作製することができる。
また、本発明における基板としては、既に他の樹脂パターンが形成されている基板を用いてもよい。例えば、既に他の樹脂パターンとしてカラーフィルタ(着色画素)が形成されているカラーフィルタ基板上に、本発明の樹脂パターンの形成方法を用いてフォトスペーサや配向制御用突起を形成してもよい。
【0103】
<転写工程>
本発明における転写工程は、前述の本発明の感光性転写材料の感光性樹脂層を(中間層が存在する場合には感光性樹脂層及び中間層を)、前記基板上に転写する工程である。
特に、本発明の感光性転写材料が、感光性樹脂層上に更にカバーフィルムを有する場合には、前記転写工程は、以下の工程を有することが好ましい。
即ち、前記転写工程は、カバーフィルムを有する場合の本発明の感光性転写材料に、前記カバーフィルム表面から仮支持体の一部に至るまでの深さの切り口を形成する切り口形成工程と、前記カバーフィルムと前記感光性樹脂層との間で剥離して、前記感光性転写材料から前記カバーフィルムを除去するカバーフィルム除去工程と、前記カバーフィルムが除去された感光性転写材料と基板とを、前記感光性樹脂層と、基板面と、が接するようにして貼り合わせて積層体を形成する積層体形成工程と、前記仮支持体と前記感光性樹脂層(又は存在する場合には中間層)との間で剥離して、前記積層体から前記仮支持体を除去する仮支持体除去工程と、を有することが好ましい。
また、前記好ましい転写工程において仮支持体除去工程を設けない形態としてもよい。この場合には、基板上に転写された感光性樹脂層(該感光性樹脂層の上には仮支持体が存在している)を、後述する露光工程で仮支持体を介して露光し、露光後に仮支持体を除去し、仮支持体の除去後、露光された感光性樹脂層を現像することが好ましい。
【0104】
(切り口形成工程)
本発明における切り口形成工程は、感光性転写材料に、前記カバーフィルム表面から仮支持体の一部に至るまでの深さの切り口を形成する工程である。
前記切り口は、特に限定されず、公知の感光性転写材料の製造装置に設けられたロータリーカッター等を用いることにより作製することができる。
前記仮支持体の一部に至るまでとは、仮支持体の一部が切り込まれるものの、切断されていない状況を意味する。
切り口形成工程では、カバーフィルム、感光性樹脂層、(存在する場合には中間層、)が切断され、更に、仮支持体の深さ方向に例えば約40μmまで切り込まれることが好ましい。
切り口の断面の形(切り口を、該切り口の長さ方向軸に直交する平面で切ったときの該切り口の形)は、V字型の溝のように設けることが好ましい。
切り口の平面の形(感光性転写材料の法線方向カバーフィルム側から見たときの切り口の形)は、カバーフィルムの除去すべき領域を離隔するように(例えば、後述する図2中、2条のハーフカットライン25のように)に設けることが好ましい。
前記切り口を設けることにより、カバーフィルム及び感光性樹脂層(及び存在する場合には中間層)を確実に切断することができる。
【0105】
(カバーフィルム除去工程)
本発明におけるカバーフィルム除去工程は、カバーフィルムと感光性樹脂層との間で剥離して、感光性転写材料からカバーフィルムを除去する工程である。
上記で切断されたカバーフィルム上に、前記製造装置の粘着層を有する粘着ローラ等を貼りつけて、カバーフィルムと感光性樹脂層との間で接着したカバーフィルムを剥離することにより、カバーフィルムを除去することができる。
上記切り口形成工程・カバーフィルム除去工程は、具体的に、特開2007−260865号公報、特開2007−084200号公報記載のカバーフィルム切断・除去工程の方法を用いるのが好ましい。
【0106】
(積層体形成工程)
本発明における積層体形成工程は、前記カバーフィルムが除去された感光性転写材料と基板とを、前記感光性樹脂層と、基板面と、が接するようにして貼り合わせて積層体を形成する工程である。
ここで、得られた積層体の構造の例としては、中間層を有しない感光性転写材料を用いた場合の例として、「仮支持体/感光性樹脂層/基板」の構造が挙げられる。中間層を有する感光性転写材料を用いた場合の例としては、「仮支持体/中間層/感光性樹脂層/基板」の構造が挙げられる。
【0107】
前記カバーフィルムが除去された感光性転写材料と基板との貼り合わせ(以下、「ラミネート」ともいう)は、例えば、加熱及び/又は加圧したローラー又は平板で、圧着又は加熱圧着することにより行うことができる。
具体的には、特開平7−110575号公報、特開平11−77942号公報、特開2000−334836号公報、特開2002−148794号公報に記載のラミネーターおよびラミネート方法が挙げられるが、低異物の観点で、特開平7−110575号公報に記載の方法を用いるのが好ましい。
【0108】
(仮支持体除去工程)
本発明における仮支持体除去工程は、前記仮支持体と前記感光性樹脂層(又は存在する場合には中間層)との間で剥離して、前記積層体から前記仮支持体を除去する工程である。
具体的には、基板面と前記感光性転写材料の感光性樹脂層とが接するようにラミネートして積層体を得た後(前記積層体形成工程)、仮支持体と前記感光性樹脂層(又は存在する場合には中間層)との界面で剥離して、該積層体から仮支持体を除去する工程である。
【0109】
前記仮支持体は、上記のカバーフィルム除去工程と同様に、前記製造装置の粘着層を有する粘着ローラ等を貼りつけて、仮支持体を、前記感光性樹脂層(又は存在する場合には中間層)との間で接着した仮支持体を剥離することにより除去することができる。
上記仮支持体の剥離は、具体的に、仮支持体を連続巻取式に剥離する連続剥離或いは枚葉式に分離された基板より突出する仮支持体の端部を把持して剥離することもできる。
上記仮支持体の剥離は、具体的に、連続剥離は特開2006−297879号公報、枚葉剥離は特開2007−320678号公報に記載の方法を用いるのが好ましい。
【0110】
<露光・現像工程>
本発明における樹脂パターンの形成方法は、転写工程で基板上に転写された感光性樹脂層を露光する露光工程と、露光された前記感光性樹脂層を現像する現像工程と、を有する。
【0111】
前記露光工程としては、基板上の感光性樹脂層(又は存在する場合には中間層)の上方に所定のマスクを配置し、その後該マスク、存在する場合には中間層等を介してマスク上方から露光する形態が好適である。
前記露光の光源としては、樹脂層を硬化しうる波長域の光(例えば、365nm、405nmなど)を照射できるものであれば適宜選定して用いることができる。
具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。露光量としては、通常5〜200mJ/cm程度であり、好ましくは10〜100mJ/cm程度である。
【0112】
前記現像工程としては、前記露光工程で露光された前記感光性樹脂層を現像液により現像する形態が好適である。これにより、基板上に樹脂パターンを得ることができる。
前記現像液としては、特に制約はなく、特開平5−72724号公報に記載のものなど、公知の現像液を使用することができる。
尚、現像液は樹脂層が溶解型の現像挙動をするものが好ましく、例えば、pKa=7〜13の化合物を0.05〜5mol/Lの濃度で含むものが好ましいが、更に水と混和性を有する有機溶剤を少量添加してもよい。
水と混和性を有する有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。該有機溶剤の濃度は0.1質量%〜30質量%が好ましい。
また、上記現像液には、更に公知の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は0.01質量%〜10質量%が好ましい。
【0113】
現像の方式としては、パドル現像、シャワー現像、シャワー&スピン現像、ディップ現像等、公知の方法を用いることができる。
ここで、上記シャワー現像について説明すると、露光後の樹脂層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、未硬化部分を除去することができる。また、現像の後に、洗浄剤などをシャワーにより吹き付け、ブラシなどで擦りながら、現像残渣を除去することが好ましい。
洗浄液としては公知のものを使用できるが、(燐酸塩・珪酸塩・ノニオン界面活性剤・消泡剤・安定剤含有、商品名「T−SD1(富士フイルム(株)製)」、或いは、炭酸ナトリウム・フェノキシオキシエチレン系界面活性剤含有、商品名「T−SD2(富士フイルム(株)製)」)が好ましい。
現像液の液温度は20℃〜40℃が好ましく、また、現像液のpHは8〜13が好ましい。
【0114】
<その他の工程他>
本発明の樹脂パターンの形成方法は、ポスト露光工程、ベーク工程等、上記以外のその他の工程を有していてもよい。
前記ポスト露光は現像後に行う露光である。例えば、該樹脂層(パターン構造物)の側から超高圧水銀灯で500mJ/cm2程度の露光量にて露光される。両面から実施してもよく、また100〜800mJ/cm2の範囲で選択してもよい。ポスト露光の実施により、その後のベークでの重合効果が高まる他、ポスト露光の量により、画素のベーク後の断面形状を調整することができる。
【0115】
現像後又はポスト露光後にベーク(ポストベーク)を行うことで、モノマー又はオリゴマーを反応させてより硬い膜とすることができる。
ベークの条件としては特に限定はないが、200〜240℃で30〜180分である条件が好適である。これらの温度と時間は、ベークにより黄ばみの発生が少なく、かつ、生産タクトを落さないよう、高めの温度で、かつ短めの時間に設定される。
【0116】
パターン露光、現像等のパターニング工程の具体例としては、特開2006−64921号公報の段落番号[0071]〜[0077]に記載の形成例や、特開2006−23696号公報の段落番号[0040]〜[0051]に記載の工程などが、本発明においても好適な例として挙げられる。
【0117】
本発明において、樹脂パターンとして、フォトスペーサを形成する場合、該フォトスペーサは、ブラックマトリクス及び着色パターン(着色画素)を含むカラーフィルタを形成した後に形成することができる。
前記ブラックマトリクス及び着色パターンとフォトスペーサとは、感光性樹脂組成物を塗布する塗布法と感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を有する転写材料を用いる転写法と、を任意に組合せて形成することが可能である。
前記ブラックマトリクス及び着色パターン並びに前記フォトスペーサはそれぞれ感光性樹脂組成物から形成でき、具体的には、例えば、基板に液体の前記感光性樹脂組成物を直接塗布することにより感光性樹脂層を形成した後に、露光・現像を行い、前記ブラックマトリクス及び着色パターンをパターン状に形成し、(更に必要に応じ、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明電極膜を形成し)、その後、別の液体の前記感光性樹脂組成物を前記基板とは異なる別の基板(仮支持体)上に塗布して感光性樹脂層を形成することにより作製された転写材料を用い、この転写材料を前記ブラックマトリクス及び着色パターンが形成された前記基板に密着させて感光性樹脂層を転写した後に、露光・現像を行うことによりフォトスペーサをパターン状に形成することができる。
このようにして、フォトスペーサが設けられたカラーフィルタを作製することができる。
【0118】
また、配向制御用突起もフォトスペーサと同様の方法により作製できる。
カラーフィルタにおける着色画素の形成の場合には、本発明の樹脂パターンの形成方法により、樹脂パターンである着色画素を形成し、この工程を色の数だけ繰り返す方法などによって得ることができる。
【0119】
≪樹脂パターン付き基板≫
本発明の樹脂パターン付き基板は、前述の本発明の樹脂パターンの形成方法によって形成された樹脂パターンを有する。
このため、表示装置に用いた際、樹脂パターンのばらつきに起因する表示ムラの発生が抑制される。
本発明の樹脂パターン付き基板は、着色パターン付き基板(カラーフィルタ)、フォトスペーサ付き基板、ブラックマトリクス付き基板、液晶配向制御用突起付き基板等の表示装置用基板(前述のCOA基板を含む)として、好適に用いることができる。
本発明の樹脂パターン付き基板は、樹脂パターン以外にも、ITO膜や配向膜(ポリイミド膜等)を有していてもよい。
【0120】
≪表示素子≫
本発明の表示素子は、前記本発明の樹脂パターン付き基板を備えて構成される。
本発明の表示素子は、樹脂パターンのばらつきに起因する表示ムラの発生が抑制され、表示品質に優れる。
表示素子の1つとして、少なくとも一方が光透過性の一対の支持体(本発明の表示装置用基板を含む。)間に液晶層と液晶駆動手段(単純マトリクス駆動方式及びアクティブマトリクス駆動方式を含む。)を少なくとも備えたものが挙げられる。
【0121】
この場合、本発明の樹脂パターン付き基板は、複数のRGB画素群を有し、該画素群を構成する各画素が互いにブラックマトリクスで離画されているカラーフィルタ基板として構成できる。このカラーフィルタ基板には、高さ均一で変形回復性に優れたフォトスペーサが設けられるため、該カラーフィルタ基板を備えた表示素子は、カラーフィルタ基板と対向基板との間にセルギャップムラ(セル厚変動)の発生が抑えられ、色ムラ等の表示ムラの発生を効果的に防止することができる。これにより、作製された表示素子は鮮やかな画像を表示できる。
【0122】
また、表示素子の別の態様として、少なくとも一方が光透過性の一対の支持体(本発明の表示装置用基板を含む。)間に液晶層と液晶駆動手段とを少なくとも備え、前記液晶駆動手段がアクティブ素子(例えばTFT)を有し、かつ一対の基板間が、高さが均一で変形回復性に優れたフォトスペーサにより所定幅に規制して構成されたものである。
この場合も、本発明の表示装置用基板は、複数のRGB画素群を有し、該画素群を構成する各画素が互いにブラックマトリクスで離画されたカラーフィルタ基板として構成されている。
【0123】
本発明において使用可能な液晶としては、ネマチック液晶、コレステリック液晶、スメクチック液晶、強誘電液晶が挙げられる。
また、前記カラーフィルタ基板の前記画素群は、互いに異なる色を呈する2色の画素からなるものでも、3色の画素、4色以上の画素からなるものであってもよい。例えば3色の場合、赤(R)、緑(G)及び青(B)の3つの色相で構成される。RGB3色の画素群を配置する場合には、モザイク型、トライアングル型等の配置が好ましく、4色以上の画素群を配置する場合にはどのような配置であってもよい。カラーフィルタ基板の作製は、例えば2色以上の画素群を形成した後既述のようにブラックマトリクスを形成してもよいし、逆にブラックマトリクスを形成した後に画素群を形成するようにしてもよい。RGB画素の形成については、基板上にRGBに着色された感光性樹脂組成物を直接塗布乾燥しフォトリソグラフィー法により画素を形成する方法と、支持体上に少なくともRGBの着色剤を含む感光性樹脂層を設けた感光性樹脂転写材料を用いて基板上に感光性樹脂層を転写しフォトリソグラフィー法により画素を形成する方法、RGBのインクを用いたインクジェット法などにより作製することができる。特開2004−347831号公報等を参考にすることができる。
【0124】
≪表示装置≫
本発明の表示装置は、本発明の表示素子を備えるものである。
このため、樹脂パターンのばらつきに起因する表示ムラの発生が抑制され、表示品質に優れる。
表示装置としては、液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの表示装置などが挙げられる。表示装置の定義や各表示装置の説明については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。
【0125】
表示装置の中でも液晶表示装置が好ましい。
液晶表示装置は、例えば、互いに向き合うように対向配置された一対の基板間をフォトスペーサで所定幅に規制し、規制された間隙に液晶材料を封入(封入部位を液晶層と称する。)して構成されており、液晶層の厚さ(セル厚)が所望の均一厚に保持されるようになっている。
【0126】
液晶表示装置における液晶表示モードとしては、STN型、TN型、GH型、ECB型、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、VA型、IPS型、OCB型、ASM型、その他種々のものが好適に挙げられる。中でも、本発明の液晶表示装置においては、最も効果的に本発明の効果を奏する観点から、液晶セルのセル厚の変動により表示ムラを起こし易い表示モードが望ましく、セル厚が2〜4μmであるVA型表示モード、IPS型表示モード、OCB型表示モードに構成されるのが好ましい。
【0127】
液晶表示装置の基本的な構成態様としては、(a)薄膜トランジスタ(TFT)等の駆動素子と画素電極(導電層)とが配列形成された駆動側基板と、対向電極(導電層)を備えた対向基板とをフォトスペーサを介在させて対向配置し、その間隙部に液晶材料を封入して構成したもの、(b)駆動基板と、対向電極(導電層)を備えた対向基板とをフォトスペーサを介在させて対向配置し、その間隙部に液晶材料を封入して構成したもの、等が挙げられ、本発明の液晶表示装置は、小型モバイル機器や大型ディスプレイ等、各種液晶表示機器に好適に適用することができる。
【0128】
液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男編集、側工業調査会、1994年発行)」に記載がある。液晶表示装置には、本発明の表示装置用基板を備える以外に特に制限はなく、例えば前記「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載された種々の方式の液晶表示装置に構成することができる。中でも特に、カラーTFT方式の液晶表示装置を構成するのに有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)、1996年発行)」に記載がある。
【0129】
本発明の液晶表示装置は、既述の本発明の樹脂パターン付き基板を備える以外は、電極基板、偏光フイルム、位相差フイルム、バックライト、視野角補償フイルム、反射防止フイルム、光拡散フイルム、防眩フイルムなどの様々な部材を用いて一般的に構成できる。これら部材については、例えば「’94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島健太郎、(株)シーエムシー、1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表良吉、(株)富士キメラ総研、2003等発行)」に記載されている。
【実施例】
【0130】
以下、本発明を実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、以下において「部」、「%」および「分子量」は、「質量部」、「質量%」および「重量平均分子量」を表す。
【0131】
〔実施例1〕
≪感光性転写材料(フォトスペーサ用感光性転写材料T1)の作製≫
二軸延伸し、240℃で10分間熱固定した後、コロナ放電処理を施した、幅1610mm、厚さ16μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを仮支持体として用い、その片面に、下記処方のバック面塗布液1を塗布し、130℃で2分乾燥し、厚さ0.08μmのバック面塗布層を形成した。
【0132】
<バック面塗布液1の処方>
・アクリル樹脂水分散液(ジュリマーET−410、数平均分子量9700、重量平均分子量17000、固形分濃度30%、日本純薬社製) … 30.9部
・カルボジイミド架橋剤水溶液(カルボジライトV−02−L2、固形分濃度40%;日清紡社製) … 6.4部
・SN38F:石原産業(株)製SnO微粒子(固形分17%) … 54.5部
・界面活性剤(ナローアクティHN−100、三洋化成工業社製) … 0.73部
・界面活性剤(サンデットBL、固形分濃度43%、三洋化成工業社製)
… 1.44部
・蒸留水 … 全量が1000部になるように添加
【0133】
次にバック面塗布層の上に下記処方のバック面保護層形成用塗布液1を塗布し、130℃で2分乾燥し、厚さ0.05μmのバック面保護層を形成した。
<バック面保護層形成用塗布液1の処方>
・ポリエチレンラテックス(ケミパールS120、固形分濃度27%、三井化学社製)
… 17.8部
・コロイダルシリカ(スノーテックスC、固形分濃度20%、日産化学社製)
… 11.8部
・エポキシ硬化剤(デナコールEX−614B、ナガセ化成社製)
… 1.7部
・界面活性剤(ナローアクティHN-100、三洋化成工業社製) … 0.52部
・界面活性剤(サンデットBL、固形分濃度43%、三洋化成工業社製)
… 0.59部
【0134】
次に、仮支持体のバック面塗布層形成面とは反対側の面の仮支持体上に下記処方の酸素遮断層用塗布液B1を塗布し乾燥させることにより、厚みが1.6μmである酸素遮断層(中間層)を形成した。
【0135】
<酸素遮断層用塗布液B1の処方>
・ポリビニルアルコール(PVA205(鹸化率=88%);(株)クラレ製)
… 2.1部
・ポリビニルピロリドン(PVP、K−30;アイエスピー・ジャパン(株)製)
… 0.95部
・メタノール … 44部
・蒸留水 … 53部
【0136】
更に、上記で形成した酸素遮断層上に、下記処方1からなるフォトスペーサ用感光性樹脂層用塗布液を塗布し、乾燥させて3.2μmの感光性樹脂層を形成した。
【0137】
〜フォトスペーサ用感光性樹脂層用塗布液の処方1〜
・1−メトキシ−2プロピルアセテート … 410部
・コロイダルシリカ分散物(日産化学工業製,MIBKst) … 257部
・ソルスパース20000 … 4.68部
・DPHA液(DPHA76部、1−メトキシ−2プロピルアセテート24部)
… 91.3部
・樹脂B(前記P−25の樹脂の45%溶液※) … 169部
※樹脂:1−メトキシ−2プロパノール:1−メトキシ−2プロピルアセテート=45部:40部:15部
・2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノ)−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン … 2.28部
・フッ素系界面活性剤(大日本インキ製メガファックF784F) … 1.26部
・ビクトリアピュアブルー−NAPS(保土谷化学工業製)の5%溶液※ …78.0部
※ビクトリアピュアブルー:MEK:メタノール=5部:70部:25部
【0138】
以上のようにして、「感光性樹脂層/酸素遮断層(中間層)/仮支持体」の積層構造に構成した後、感光性樹脂層表面に更に、ポリプロピレン製(厚み12μm)のカバーフィルムを圧着貼付した。
以上により、「カバーフィルム/感光性樹脂層/酸素遮断層(中間層)/仮支持体」の積層構造であるフォトスペーサ用感光性転写材料T1を得た。
【0139】
≪カラーフィルタ基板の作製≫
<濃色組成物の調製>
濃色組成物K1は、まず表1に記載の量のK顔料分散物1、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150RPM10分間攪拌し、次いで、表1に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー2、ハイドロキノンモノメチルエーテル、DPHA液、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、界面活性剤1をはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150RPM30分間攪拌することによって得られる。なお、表3に記載の量は質量部であり、詳しくは以下の組成となっている。
【0140】
(K顔料分散物1)
・カーボンブラック(デグッサ社製 Nipex35) … 13.1%
・分散剤(下記化合物1) … 0.65%
【0141】
【化9】



【0142】
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比のランダム共重合物、分子量3.7万) … 6.72%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート …79.53%
【0143】
(バインダー2)
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22モル比のランダム共重合物、分子量3.8万) … 27%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 73%
【0144】
(DPHA液)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重合禁止剤MEHQ 500ppm含有、日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA) … 76%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 24%
【0145】
(界面活性剤1)
・下記構造物1 … 30%
・メチルエチルケトン … 70%
【0146】
【化10】



【0147】
【表1】

【0148】
<ブラックマトリクス用転写材料の作製>
前述のフォトスペーサ用感光性転写材料の作製において、フォトスペーサ用感光性樹脂層用塗布液(処方1)を、上記で調製した濃色組成物K1に変更した以外はフォトスペーサ用感光性転写材料の作製と同様にして、カバーフィルム/濃色組成物K1層/中間層(酸素遮断層)/仮支持体の積層構造であるフォトスペーサ用感光性転写材料T1を作製した。
【0149】
<ブラックマトリクスの形成>
無アルカリガラス基板を、25℃に調整したガラス洗浄剤液をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有する回転ブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量%水溶液、商品名:KBM603、信越化学工業(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄した。この基板を基板予備加熱装置で105℃の基板温度で2分加熱した。
【0150】
(転写工程)
上記加熱後のガラス基板に対し、次に、上記の製法にて作製された感光性転写材料K1からカバーフィルムを除去し、除去後に露出した濃色組成物層の表面と、上記加熱後のガラス基板の表面と、が接するように重ね合わせてラミネートし、仮支持体/中間層/濃色組成物層/ガラス基板の積層構造を有する積層体を形成した。
次に、上記積層体から仮支持体を剥離した。
以上のカバーフィルム除去、積層体形成、及び仮支持体の剥離は、後述のフォトスペーサにおけるカバーフィルム除去、積層体形成、及び仮支持体の剥離と同様の方法により行った。詳細な方法については後述する。
【0151】
(露光工程)
仮支持体を剥離後、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日ハイテク電子エンジニアリング株式会社製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と該感光性樹脂層の間の距離を200μmに設定し、露光量70mJ/cm2でパターン露光した。
【0152】
(現像工程・ポストベーク工程他)
次に、炭酸Na系現像液(0.06モル/リットルの炭酸水素ナトリウム、同濃度の炭酸ナトリウム、1%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン性界面活性剤、消泡剤、安定剤含有、商品名:T−CD1、富士写真フイルム製)を用い、29℃30秒、コーン型ノズル圧力0.15MPaでシャワー現像し感光性樹脂層を現像し、ブラック(K)の画像を得た。
その後更に、該基板に対して該感光性樹脂層の側から超高圧水銀灯で500mJ/cm2の光でポスト露光後、220℃、15分熱処理(ポストベーク)し、高さ2.0μmのブラックマトリクスを得た。
【0153】
<ブラックマトリクスのプラズマ撥水化処理>
以上で得られたブラックマトリクスに対し、カソードカップリング方式平行平板型プラズマ処理装置を用いて、以下の条件にてプラズマ撥水化処理を施した。
〜プラズマ撥水化処理条件〜
使用ガス:CF
ガス流量:80sccm
圧力:40Pa
RFパワー:50W
処理時間:30sec
【0154】
<画素用着色インクの調製>
下記の成分のうち、先ず、顔料、高分子分散剤及び溶剤を混合し、3本ロールとビーズミルを用いて顔料分散液を得た。その顔料分散液をディソルバー等で十分攪拌しながら、その他の材料を少量ずつ添加し、赤色(R)画素用着色インク組成物を調製した。
【0155】
〜赤色画素用着色インクの組成〜
・顔料(C.I.ピグメントレッド254) … 5部
・高分子分散剤(AVECIA社製ソルスパース24000) … 1部
・バインダー(べンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比のランダム共重合物、分子量3.7万) … 3部
・第一エポキシ樹脂(ノボラック型エポキシ樹脂、油化シェル社製エピコート154)
… 2部
・第二エポキシ樹脂(ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル) … 5部
・硬化剤(トリメリット酸) … 4部
・溶剤:3−エトキシプロピオン酸エチル … 80部
【0156】
さらに、上記組成中のC.I.ピグメントレッド254に代えてC.I.ピグメントグリーン36を同量用いるほかは赤色画素部着色インク組成物の場合と同様にして緑色(G)画素用着色インク組成物を調製した。
さらに、上記組成中のC.I.ピグメントレッド254に代えてC.I.ピグメントブルー15:6を同量用いるほかは赤色画素用着色インク組成物の場合と同様にして青色(B)画素用着色インク組成物を調製した。
【0157】
<着色画素の形成>
次に上記記載のR、G、Bの画素用着色インクを用いて、上記で得られたカラーフィルタ基板のブラックマトリクスで区分された領域内(凸部が囲まれた凹部)に、インクジェット方式の記録装置を用いて所望の濃度になるまでインク組成物の吐出を行い、R、G、Bのパターンからなるカラーフィルタを作製した。画像着色後のカラーフィルタを230℃オーブン中で30分ベークすることでブラックマトリクス、各画素ともに完全に硬化させた。
【0158】
以上により、基板上の同じ面側に、R画素、G画素、及びB画素並びにブラックマトリクスを有するカラーフィルタ基板を得た。
こうして得られたカラーフィルタ基板の、R画素、G画素、及びB画素は、ブラックマトリクス間隙にぴったり収まり、にじみ、はみ出し、隣接画素との混色および白抜けなどの欠陥となる不良は見つからなかった。
【0159】
<透明電極の形成>
上記より得たカラーフィルタ基板のR画素、G画素、及びB画素並びにブラックマトリクス形成面側に、更に、ITO(IndiumTinOxide)膜(透明電極)をスパッタリングにより形成し、ITO膜付きカラーフィルタ基板を得た。
【0160】
≪フォトスペーサの形成≫
<転写工程>
上記で得られたITO膜付きカラーフィルタ基板を純水シャワー洗浄し、基板予備加熱装置で105℃の基板温度で2分加熱した。
次に、フォトスペーサ用感光性転写材料T1のカバーフィルムを剥離(除去)し、除去後に露出した感光性樹脂層の表面と、上記加熱後のITO膜付きカラーフィルタ基板のITO膜と、が接するようにして重ね合わせ、ラミネーター(株式会社日立インダストリイズ製(LamicII型))を用いて、線圧100N/cm、130℃の加圧加熱条件下、搬送速度2m/分で貼り合わせた(ラミネート)。このようにして、「仮支持体/中間層/感光性樹脂層/ITO膜付きカラーフィルタ基板」の積層構造を有する積層体を形成した。
その後、上記積層体から仮支持体を剥離し、除去した。
【0161】
ここで、上記カバーフィルムの除去、積層体形成、及び仮支持体の剥離の詳細な方法について、図1を参照して説明する。
感光性転写材料T1はフィルム原反11から送り出され、図1に示すハーフカット機構12により、カバーフィルムと、酸素遮断層と、感光性樹脂層と、仮支持体の一部とが図2に示すように切られる(ハーフカット)。図2に示すように、ハーフカットは、連続ラミネートした時の基板7の間隔よりやや広めの間隔を持った2条のハーフカットライン25を、一対とした刃物を用いて入れる。
【0162】
ハーフカットラインの入ったフィルムは図1に示すカバーフィルム剥離機構13により、基板7に貼り付けられる領域のカバーフィルムのみが剥離される。即ち、隣り合う基板間隔に相当する部分のみのカバーフィルムが残された状態でラミネートロール14まで送られ、被ラミネート面を下側にして、基板7(例えば、上記で105℃に加熱されたITO膜付きカラーフィルタ基板)にラミネートされる。
ITO膜付きカラーフィルタ基板は30〜40mmの間隔を置いて順次前工程から送られ、ラミネート後は図1に示すように一定の間隔を置いた積層体が冷却ゾーン16で、30℃以下まで冷却される。ここではクーラー等で冷やされた冷風が当てられる。その後、ロール18により搬送され、上ロール19と剥離ロール17で挟んで仮支持体を連続的に剥離して、感光性樹脂層が貼り付けられた基板7は次工程に移載される。剥離された仮支持体20は巻き取りロール21によって巻き取られる。
【0163】
<露光工程>
仮支持体を除去後、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日ハイテク電子エンジニアリング株式会社製)で、基板(酸素遮断層/感光性樹脂層/ITO膜付きカラーフィルタ基板の積層構造を有する積層体)と、マスク(画像パターンを有す石英露光マスク)と、を垂直に立てた状態で、露光マスク面と該酸素遮断層表面との間の距離を100μmに設定し、露光量150mJ/cm2でパターン露光した。
【0164】
<現像工程・ポストベーク工程>
上記パターン露光後、炭酸Na系現像液(0.38モル/リットルの炭酸水素ナトリウム、0.47モル/リットルの炭酸ナトリウム、5%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン界面活性剤、消泡剤、及び安定剤含有;商品名:T−CD1(富士フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液)を用いて27℃で50秒間、コーン型ノズル圧力0.15MPaでシャワー現像し、酸素遮断層全面と、感光性樹脂層の未露光部分と、を溶解除去した。
【0165】
次いで、230℃で30分ポストベークし、液晶表示装置用基板上に1辺26μm、平均高さ3.0μmの柱状の透明なフォトスペーサ(フォトスペーサドット)を形成した。フォトスペーサは、ブラックマトリクスの上方に位置するITO膜上に形成された。
以上により、フォトスペーサ付きカラーフィルタ基板を得た。
【0166】
≪液晶表示装置の作製≫
得られたフォトスペーサ付きカラーフィルタ基板のフォトスペーサ形成面側にポリイミドの配向膜を形成し、配向膜付きカラーフィルタ基板を得た。
【0167】
<液晶配向制御用突起の形成>
下記処方A1の液晶配向制御用突起用感光性樹脂層用塗布液を用い、上記感光性転写材料T1の作製と同様の方法より感光性転写材料A1を作製した。
次いで、上記フォトスペーサの作製における転写工程と同様の方法により、前記配向膜付きカラーフィルタ基板の配向膜上に、上記感光性転写材料A1の感光性樹脂層を転写し、液晶配向制御用突起用の感光性樹脂層を形成した。
【0168】
〜液晶配向制御用突起用感光性樹脂層用塗布液:処方A1〜
・ポジ型レジスト液(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製、FH−2413F) … 53.3部
・メチルエチルケトン … 46.7部
・フッ素系界面活性剤(大日本インキ製メガファックF780F) … 0.04部
【0169】
次に、フォトマスクが突起用感光性樹脂層の表面から100μmの距離となるようにプロキシミティー露光機を配置し、該フォトマスクを介して超高圧水銀灯により照射エネルギー150mJ/cmでプロキシミティー露光した。その後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を、シャワー式現像装置にて33℃で30秒間基板に噴霧しながら現像し、突起用感光性樹脂層の不要部(露光部)を現像除去した。すると、前記カラーフィルタ側基板のポリイミドの配向膜の上のR、G、Bの画素の上部に位置する部分に、所望の形状にパターニングされた感光性樹脂層よりなる突起が形成された。次いで、該突起が形成されたカラーフィルタ側基板を240℃下で50分ベークすることにより、カラーフィルタ側基板上に高さ1.5μm、縦断面形状が蒲鉾様の液晶配向制御用突起を形成することができた。
以上により、液晶配向制御用突起付きカラーフィルタ基板を得た。
【0170】
更に、前記より得られた液晶配向制御用突起付きカラーフィルタ基板に対して、駆動側基板及び液晶材料を組合せることによって液晶表示素子を作製した。即ち、駆動側基板として、TFTと画素電極(導電層)とが配列形成されたTFT基板を準備し、該TFT基板の画素電極等が設けられた側の表面と、前記より得た、カラーフィルタ基板の配向制御用突起が形成された側の表面とが対向するように配置し、前記で形成したフォトスペーサによる間隙を設けて固定した。この間隙に液晶材料を封入し、画像表示を担う液晶層を設けた。このようにして得た液晶セルの両面に、(株)サンリッツ製の偏光板HLC2−2518を貼り付けた。次いで、3波長冷陰極管光源(東芝ライテック(株)製FWL18EX−N)のバックライトを構成し、前記偏光板が設けられた液晶セルの背面となる側に配置し、液晶表示装置とした。
【0171】
〔実施例2〜4〕
実施例1において、フォトスペーサ用感光性樹脂層の厚み及びフォトスペーサの高さを表2に記載の厚み及び高さに変更した以外は実施例1と同様の方法でカラーフィルタ、フォトスペーサ、液晶配向制御用突起、液晶表示装置を作製した。
【0172】
〔実施例5及び6、比較例4及び5〕
実施例1において、フォトスペーサ用感光性樹脂層用塗布液の処方1の固形分中のシリカ含有率及び比〔M/P〕が、表2に記載の値になるように塗布液の処方を変更することにより、感光性樹脂層の110℃における溶融粘度を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様の方法でカラーフィルタ、フォトスペーサ、液晶配向制御用突起、液晶表示装置を作製した。
なお、比〔M/P〕は、高分子物質(前記P−25の樹脂)の含有量P(質量%)と重合性モノマー(DPHA)の含有量M(質量%)との比である。
【0173】
〔実施例7〜10、比較例2及び3〕
実施例1において、フォトスペーサ用感光性転写材料T1用の仮支持体の材質又は厚みを、表2に示す材質又は厚みになるように変更した以外は実施例1と同様の方法でカラーフィルタ、フォトスペーサ、液晶配向制御用突起、液晶表示装置を作製した。
【0174】
〔実施例11〜20〕
実施例1〜10のフォトスペーサ用感光性転写材料T1において酸素遮断層を設けず、フォトスペーサ形成時の露光量を420mJ/cmに変更した以外は実施例1〜10と同様の方法でカラーフィルタ、フォトスペーサ、液晶配向制御用突起、液晶表示装置を作製した。
【0175】
〔比較例1〕
実施例1のフォトスペーサ用感光性転写材料T1において、厚み75μmの仮支持体(PET)を用い、また酸素遮断層と仮支持体の間に下記処方A1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布し、100℃5分乾燥させ、乾燥層厚3μmの熱可塑性樹脂層設け、さらにフォトスペーサパターン形成時の現像時間を感光性樹脂層の未露光部分を完全に溶解除去できるまで時間を延長した以外は実施例1と同様の方法でカラーフィルタ、フォトスペーサ、液晶配向制御用突起、液晶表示装置を作製した。
【0176】
<熱可塑性樹脂層用塗布液の処方A1>
・アロマテックスFM601(三井化学(株)製:メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、モル比55/11.7/4.5/28.8、質量平均分子量90,000 ) … 8.47部
・アロセット7055((株)日本触媒製、スチレン/アクリル酸共重合体、モル比63/37、質量平均分子量8,000) … 24.6部
・2,2−ビス〔4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン
… 5.4部
・フッ素系界面活性剤 大日本インキ製メガファックF780F … 0.83部
・メタノール … 13.5部
・1−メトキシ−2−プロパノール … 3.47部
・メチルエチルケトン … 42.6部
【0177】
≪測定及び評価≫
上記実施例及び比較例における、フォトスペーサ用感光性樹脂組成物、フォトスペーサ用感光性転写材料、フォトスペーサ形成工程について、以下の測定及び評価を行った。測定及び評価の結果を表2に示す。
【0178】
<110℃における溶融粘度の測定>
上記感光性樹脂層用塗布液をガラス板に塗布し、風乾した後、45℃で4時間真空乾燥を行なった。ガラス板から剥がし試料とした。測定はJasco International Co.Ltd製の粘弾性測定装置DynAlyser DAS−100を用いて測定温度110℃、周波数1Hzで測定した。
【0179】
<膜厚測定>
膜厚は表面粗さ計P−10(TENCOR社製)を用いて測定した。
【0180】
<転写性>
上記に示すように作製した感光性転写材料のカバーフィルムを剥離し、これを、ITOをスパッタしたガラス板上に、ラミネーター(株式会社日立インダストリイズ製(LamicII型))を用いて、線圧100N/cm、130℃の加圧加熱条件下、搬送速度2m/分で貼り合わせた。その後、ポリエチレンテレフタレートフィルム製の仮支持体を剥離し、剥離したフィルム表面を観察し、以下の基準で評価した。C以上が実用レベルである。
〜評価基準〜
A:前面にわたり、完全に転写されており、転写性極めて良好。
B:フィルムのエッジのみ僅かに転写残りがあるだけで転写性良好。
C:フィルム全体に微かな転写残りがあり、転写性普通。
D:フィルムの所々に膜状の感光性樹脂の転写残りがあり、転写性悪い。
【0181】
<追随性>
感光性転写材料を基板に転写し、仮支持体を剥離した後、非表示部の画素などのないフラットな面に転写された感光性樹脂層の厚みaと、表示部内のブラックマトリクス上に転写された感光性樹脂層の厚みbと、を測定し、下式に基づき計算を行った。厚みは表面粗さ計P−10(TENCOR社製)を用いて測定した。
追随性(%)=100×(b/a)
追随性は数字が大きい方が好ましく、ブラックマトリクス幅変動を受けにくいことを示している。98%以上が極めて良好であり、95%以上で実用レベルである。
【0182】
<現像性>
得られたフォトスペーサ1000個の高さを三次元表面構造解析顕微鏡(メーカー:ZYGO Corporation、型式:New View 5022)で測定し、フォトスペーサの最大値もしくは最小値の平均値に対するバラツキが何%かを評価した。評価結果を表2に示す。C以上が実用レベルである。
〜評価基準〜
A:フォトスペーサ高さバラツキが±0.5%で極めて良好。
B:フォトスペーサ高さバラツキが±1.0%で良好。
C:フォトスペーサ高さバラツキが±1.5%で普通。
D:フォトスペーサ高さバラツキが±2.0%で悪い。
E:フォトスペーサ高さバラツキが±3.0%で極めて悪い。
【0183】
<フォトスペーサの抜け面積>
基板に縦100個、横100個の合計10000個のフォトスペーサを形成した。フォトスペーサ付き基板を用いて、フォトスペーサの抜け面積を評価した。
得られたフォトスペーサ10000個を顕微鏡で観察し、基板10中の抜けたフォトスペーサ(図3中,Bで示す)が9個以上左右で連続している抜け部分の面積(図3中、Cで示す。)を求めた。
フォトスペーサが抜けた部分の面積(%)は、抜けが認められたフォトスペーサ(図3中,Aで示す。)の数×単位フォトスペーサ当たりの支える表示部の基板面積を算出した。ただし、単位フォトスペーサ数における表示部の基板面積とは、画面表示部に相当する基板面積をフォトスペーサ数で割った値である。
表示部の基板面積を100%として、抜けの面積が何%かを評価した。フォトスペーサの抜けは、少ない方が好ましく、抜けが0.2%以下であると転写不良がなく極めて良好であり、1.0%以下で実用レベルである。
【0184】
【表2】

【0185】
〜表2の説明〜
・PET:ポリエチレンテレフタレート
・PPS:ポリフェニレンサルファイド
・比〔M/P〕は、高分子物質(前記P−25の樹脂)の含有量P(質量%)と重合性モノマー(DPHA)の含有量M(質量%)との比である。
【0186】
表2に示すように、実施例1〜20におけるフォトスペーサ用感光性転写材料及びフォトスペーサ形成工程は、追随性及び現像性に優れていた。即ち、転写される感光性樹脂層の、被転写面の凹凸形状への追随性に優れ、樹脂パターンを形成する際、1回の現像工程でも均一性よく現像できた。更に、これらの実施例では、スペーサ抜けが抑制されており、転写性も良好であった。
更に、これらの実施例における液晶表示装置は、フォトスペーサの高さばらつきに起因する表示ムラの発生が抑制され、表示品質に優れていた。
【0187】
以上の実施例では、樹脂パターンとしてフォトスペーサを形成したが、上記実施例と同様の方法により、凹凸面上に形成されるその他の樹脂パターン(例えば、着色画素)も形成できる。
この場合においても、上記実施例と同様に、転写される感光性樹脂層の、被転写面の凹凸形状への追随性に優れ、樹脂パターンを形成する際、1回の現像工程でも均一性よく現像できる。
そして、これらの樹脂パターンを備えた樹脂パターン付き基板を用い、樹脂パターンのばらつきに起因する表示ムラの発生が抑制され、表示品質に優れた表示装置(液晶表示装置)を作製できる。
【図面の簡単な説明】
【0188】
【図1】感光性転写材料を剥離、ラミネートする装置の要部を示す概念図である。
【図2】図1に示す装置のハーフカットラインを示す概略的平面図である。
【図3】フォトスペーサの残存率の算出方法を示すための説明図である。
【符号の説明】
【0189】
1 感光性転写材料
7 透明基板
10 基板
11 フィルム原反
12 ハーフカット機構
13 カバーフィルム剥離機構
14 ラミネートロール
16 冷却ゾーン
17 剥離ロール
19 上ロール
20 剥離された仮支持体
21 巻取りロール
25 ハーフカットライン
A フォトスペーサ
B フォトスペーサ抜け部分(非算出部分)
C フォトスペーサ抜け部分面積(算出部分面積)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み12μm以上40μm以下の仮支持体上に、直接又は中間層のみを介して、110℃における溶融粘度が10000Pa・s以上30000Pa・s以下である感光性樹脂層を有する感光性転写材料。
【請求項2】
前記感光性樹脂層が、充填剤を含有する請求項1に記載の感光性転写材料。
【請求項3】
前記充填剤が、体質顔料又は顔料である請求項2に記載の感光性転写材料。
【請求項4】
前記感光性樹脂層の層厚が1μm以上6μm以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の感光性転写材料の前記感光性樹脂層を基板上に転写する転写工程と、転写された感光性樹脂層を露光する露光工程と、露光された感光性樹脂層を現像する現像工程と、を有する樹脂パターンの形成方法。
【請求項6】
前記樹脂パターンが、フォトスペーサである請求項5に記載の樹脂パターンの形成方法。
【請求項7】
前記樹脂パターンが、着色画素である請求項5に記載の樹脂パターンの形成方法。
【請求項8】
請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載の樹脂パターンの形成方法により形成された樹脂パターンを有する樹脂パターン付き基板。
【請求項9】
請求項8に記載の樹脂パターン付き基板を備えることを特徴とする表示素子。
【請求項10】
請求項9に記載の表示素子を備えることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−72589(P2010−72589A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243106(P2008−243106)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】