説明

感放射線性樹脂組成物

【課題】 感度、解像性といった基本特性だけでなく、DOF性能も満足する感放射線性樹脂組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】 (A)炭素数6〜25の脂環式炭化水素骨格を有し、該脂環式炭化水素骨格にカルボニル基を2つ以上有する化合物、および(B)酸解離性基で保護されたアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の樹脂であって、該酸解離性基が解離した時にアルカリ可溶性となる樹脂を含有することを特徴とする、感放射線樹脂組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、その他のフォトリソグラフィー工程に使用される感放射線性樹脂組成物に関するものである。より具体的には、KrFエキシマレーザー・ArFエキシマレーザー等の波長250nm以下の遠紫外線や電子線を露光光源とするフォトリソグラフィー工程に好適に用いることができる、化学増幅型の感放射線性樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化学増幅型の感放射線性樹脂組成物は、KrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザーに代表される遠紫外線や電子線の照射により露光部に酸を生成させ、この酸を触媒とする化学反応により、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度に差を生じさせ、基板上にレジストパターンを形成させる組成物である。
【0003】
例えば、より短波長で微細加工が可能になるArFエキシマレーザーを光源とするリソグラフィー材料としては、193nm領域に大きな吸収を有しない脂環式炭化水素を骨格中に有する重合体、特に、その構造単位中にラクトン骨格を有する重合体を構成成分とする樹脂組成物が用いられている。
【0004】
【特許文献1】特開平5−232706号公報
【特許文献2】特開平5−249683号公報
【特許文献3】特開平5−158239号公報
【特許文献4】特開2001−166476号公報
【特許文献5】特開2001−215689号公報
【0005】
しかしながら、レジストパターンの微細化が線幅90nm以下のレベルまで進展している現在にあっては、単に解像性の向上、LWRの低減といった基本特性の向上のみならず、他の性能も要求されるようになってきている。例えば、現在、レジストパターンの微細化技術の一つとして、液浸露光の実用化が進められており、この液浸露光にも対応可能なレジスト材料が求められている。具体的には、露光時の焦点がずれた場合の影響の受けにくさの指標である焦点深度(Depth of Focus:DOF)が高い等の要求特性を満足させる材料の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、感度、解像性といった基本特性だけでなく、DOF性能も満足する感放射線性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、(A)炭素数6〜25の脂環式炭化水素骨格を有し、該脂環式炭化水素骨格にカルボニル基を2つ以上有する化合物(以下、「化合物(A)」ともいう)、および(B)酸解離性基で保護されたアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の樹脂であって、該酸解離性基が解離した時にアルカリ可溶性となる樹脂(以下、「樹脂(B)」ともいう)を含有することを特徴とする。
【0008】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、化合物(A)が、デヒドロコール酸誘導体であることが好ましい。
【0009】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、化合物(A)が、下記式(1)で示される化合物であることが好ましい。
【0010】
【化1】

【0011】
(式(1)中、Rは、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜20の1価の炭化水素基、−R−X−Rで示される基(ただし、Rは置換されていてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基、Xは−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−NH−、−S−または−SO−で示される2価の基、Rは置換されていてもよい炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す。)または置換されていてもよい、炭素数3〜20の脂環構造を有する炭化水素基の脂環構造を構成する炭素の少なくとも1つが上記Xで示される基で置き換えられた構造(以下、「特定ヘテロ環構造」ともいう)を有する1価の基を示す。)
【0012】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、(B)樹脂が、下記式(2)で表される構造単位を有することが好ましい。
【0013】
【化2】

【0014】
(式(2)中、Rは水素原子またはメチル基を示し、R、RおよびRは相互に独立に、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数4〜20の脂環式炭化水素基を示すか、または、Rは炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数4〜20の脂環式炭化水素基を示し、RおよびRが相互に結合して、両者が結合している炭素原子と共に、炭素数4〜20の脂環式炭化水素基を形成する。)
【0015】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、さらに(C)感放射線性酸発生剤(以下、「酸発生剤(C)」ともいう)を含有することが好ましい。
【0016】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、さらに(D)酸拡散制御剤(以下、「酸拡散制御剤(D)」ともいう)を含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、感度、解像性に優れることに加え、DOF性能も満足する化学増幅型レジストの材料であるという効果を奏するものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
<化合物(A)>
本発明における化合物(A)は、炭素数6〜25の脂環式炭化水素骨格を有し、該脂環式炭化水素骨格にカルボニル基を2つ以上有する化合物である。
【0019】
化合物(A)は、嵩高い脂環式炭化水素骨格を有することで、レジスト膜中で、溶解阻止剤として働き、リソグラフィー性能を向上させる。また化合物(A)はカルボニル基を2つ以上有していることで樹脂との相溶性が向上し、レジスト膜中の均一分散性が向上する。この効果は、従来の溶解阻止剤と比べて顕著なものである。
【0020】
化合物(A)における炭素数6〜25の脂環式炭化水素骨格としては、ステロイド骨格などの複合環骨格;アダマンタン骨格などの架橋環骨格が好ましく、中でもステロイド骨格が好ましい。化合物(A)の中でも、脂環式炭化水素骨格にカルボニル基を2つ有するデヒドロコール酸誘導体が好ましく、中でも上記式(1)で示される化合物が特に好ましく用いられる。
【0021】
上記式(1)のRおよびRで示される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の炭素数1〜20の1価の直鎖状または分岐状の炭化水素基;シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基等の炭素数3〜20の脂環構造を有する1価の炭化水素基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等の炭素数7〜20のアラルキル基等を挙げることができる。Rで示される炭素数1〜20の2価の炭化水素基としては、上記1価の炭化水素基から水素原子を1つ除いた基を挙げることができる。
【0022】
また、Xで示される2価の基としては、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−NH−、−S−または−SO−で示される2価の基が挙げられ、中でも−COO−、−OCO−が特に好ましい。
【0023】
さらに、Rで示される特定ヘテロ環構造を有する1価の基としては、特定ヘテロ環構造の好ましい例として、ブチロラクトン、バレロラクトン、シクロヘキサンラクトン、ノルボルナンラクトンなどのラクトン構造;下記式(a−1)などで表される環状カーボネート構造;下記式(b−1)〜(b−4)などで表される環状エーテル構造;下記式(c−1)〜(c−4)などで表される環状スルフィド構造;下記式(d−1)で表される構造などが挙げられる。
【0024】
【化3】

【0025】
なお、R、R、Rは置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、シリル基、ハロゲン原子、チエニル基等で置換されていてもよい。
【0026】
化合物(A)の好ましい具体例としては、デヒドロコール酸および下記式(A−1)〜(A−3)に示されるデヒドロコール酸エステルなどを挙げることができる。
【0027】
【化4】

【0028】
デヒドロコール酸エステルは、例えば、デヒドロコール酸ナトリウムと有機ハロゲン化合物との反応またはデヒドロコール酸とアルコールの縮合反応により得られる。
【0029】
化合物(A)は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。化合物(A)の配合量は、樹脂(B)100質量部に対して、通常、0.5〜30質量部、好ましくは1〜15質量部である。0.5質量部未満では、添加による改良効果が見られず、一方30質量部を超えると、レジストの解像度が低下する傾向がある。
【0030】
<樹脂(B)>
本発明における樹脂は、酸解離性基で保護されたアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の樹脂であって、該酸解離性基が解離した時にアルカリ可溶性となる樹脂である。ここでいう「アルカリ不溶性またはアルカリ難溶性」とは、本発明の感放射線性樹脂組成物から形成されたレジスト被膜からレジストパターンを形成する際に採用されるアルカリ現像条件下で、当該レジスト被膜の代わりに樹脂(B)のみを用いた被膜を現像した場合に、当該被膜の初期膜厚の50%以上が現像後に残存する性質を意味する。
【0031】
樹脂(B)は、酸解離性基を有する単位として上記式(2)で表される構造単位(2)を有することが好ましい。
【0032】
上記式(2)においてR、RおよびRで表される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等が挙げられ、炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基、またはRおよびRが相互に結合して、両者が結合している炭素原子と共に形成する炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基等が挙げられる。
【0033】
上記式(2)における−CRで表される基としては、下記式で表される基が好ましいものとして挙げられる。
【0034】
【化5】

【0035】
(上記式中、Qは炭素数1〜4のアルキル基を示し、mは1〜6の整数を示す。)
【0036】
構造単位(2)としては、下記式(2−1)〜(2−18)で示される構造単位が好ましく、下記式(2−3)、(2−4)、(2−9)、(2−12)が特に好ましい。これらは一種単独でも、二種以上が含まれていてもよい。
【0037】
【化6】

【0038】
(式中、Rの定義は上記式(2)と同じである。)
【0039】
樹脂(B)において、構造単位(2)の含有割合は、樹脂(B)を構成する全構造単位に対して、5〜80モル%であることが好ましく、10〜80モル%であることが更に好ましく、20〜70%であることが特に好ましい。構造単位(2)の含有割合が80モル%を超えると、レジスト膜の密着性が低下し、パターン倒れやパターン剥れを起こすおそれがある。
【0040】
樹脂(B)は、下記一般式で表されるラクトン骨格または環状カーボネート骨格を有する構造単位(以下、「構造単位(3)」ともいう)を1種以上含有することが好ましい。
【0041】
【化7】

【0042】
(上記式中、RおよびR’は相互に独立に水素原子またはメチル基を示し、R”は水素原子またはメトキシ基を示し、Aは単結合またはメチレン基を示し、Bはメチレン基または酸素原子を示し、aおよびbは0または1である。)
【0043】
構造単位(3)としては、下記式で示される構造単位が特に好ましい。
【0044】
【化8】

【0045】
(上記式中、Rは相互に独立に水素原子またはメチル基を示す。)
【0046】
樹脂(B)において、構造単位(3)の含有割合は、樹脂(B)を構成する全構造単位に対して、構造単位(3)の総量が、0〜70モル%であることが好ましく、10〜60モル%であることが更に好ましい。このような含有率とすることによって、レジストとしての現像性、欠陥性、低LWR、低PEB温度依存性等を向上させることができる。一方、70モル%を超えると、レジストとしての解像性やLWRが低下するおそれがある。
【0047】
また、樹脂(B)は下記式で表される官能基を有する構造単位を含有してもよい。
【0048】
【化9】

【0049】
(上記式中、Rは相互に独立に水素原子またはメチル基を示す。)
【0050】
さらに、樹脂(B)は、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、ラウリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−ビシクロ[2.2.1]ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸−ビシクロ[4.4.0]デカニルエステル、(メタ)アクリル酸−ビシクロ[2.2.2]オクチルエステル、(メタ)アクリル酸−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルエステル、(メタ)アクリル酸−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカニルエステル等のアルキル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の炭化水素エステルを含有してもよい。
【0051】
また、樹脂(B)は、放射線の照射により酸を発生する、感放射線性酸発生作用を有する構造単位を有するものであってもよい。具体的には、感放射線性酸発生作用を有するスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホンイミド等の構造を末端に有する(メタ)アクリル酸エステルを共重合させた構造であってもよい。このような構造を有する樹脂(B)を用いる場合、本発明の組成物は、酸発生剤(C)を含まないものであってもよい。
【0052】
樹脂(B)は、ラジカル重合等の常法に従って合成することができる。例えば、(1)単量体およびラジカル開始剤を含有する溶液を、反応溶媒または単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法;(2)単量体を含有する溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒または単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法;(3)各々の単量体を含有する、複数種の溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒または単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法;等の方法で合成することが好ましい。
【0053】
なお、単量体溶液に対して、単量体溶液を滴下して反応させる場合、滴下される単量体溶液中の単量体量は、重合に用いられる単量体総量に対して30モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることが更に好ましく、70モル%以上であることが特に好ましい。
【0054】
これらの方法における反応温度は開始剤種によって適宜決定すればよい。通常、30〜180℃であり、40〜160℃が好ましく、50〜140℃が更に好ましい。滴下時間は、反応温度、開始剤の種類、反応させる単量体等の条件によって異なるが、通常、30分〜8時間であり、45分〜6時間が好ましく、1〜5時間が更に好ましい。また、滴下時間を含む全反応時間も、滴下時間と同様に条件により異なるが、通常、30分〜8時間であり、45分〜7時間が好ましく、1〜6時間が更に好ましい。
【0055】
前記重合に使用されるラジカル開始剤としては、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等を挙げることができる。これらの開始剤は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0056】
重合溶媒としては、重合を阻害する溶媒(重合禁止効果を有するニトロベンゼン、連鎖移動効果を有するメルカプト化合物等)以外の溶媒であって、その単量体を溶解可能な溶媒であれば使用することができる。例えば、アルコール類、エーテル類、ケトン類、アミド類、エステル・ラクトン類、ニトリル類およびその混合溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0057】
重合反応により得られた樹脂は、再沈殿法により回収することが好ましい。即ち、重合反応終了後、重合液を再沈溶媒に投入することにより、目的の樹脂を粉体として回収する。再沈溶媒としては、前記重合溶媒として例示した溶媒を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。再沈殿法の他に、分液操作により、単量体、オリゴマー等の低分子成分を除去して、樹脂を回収することもできる。即ち、重合反応終了後、重合溶液を適宜濃縮して、例えば、メタノール/ヘプタン等の2液に分離する溶媒系を選択して加え、樹脂溶液から低分子成分を除去し適宜必要な溶媒系(プロピレングリコールモノメチルエーテル等)に置換し、目的の樹脂を溶液として回収する。
【0058】
樹脂(B)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」と記す。)は、特に限定されないが、1,000〜100,000であることが好ましく、1,000〜30,000であることが更に好ましく、1,000〜20,000であることが特に好ましい。樹脂(B)のMwが1,000未満であると、レジストとしたときの耐熱性が低下する傾向がある。一方、樹脂(B)のMwが100,000を超えると、レジストとしたときの現像性が低下する傾向がある。
【0059】
また、樹脂(B)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」と記す。)に対するMwの比(Mw/Mn)は、通常、1.0〜5.0であり、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることが更に好ましい。
【0060】
本発明の樹脂組成物においては、樹脂(B)を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0061】
<酸発生剤(C)>
本発明の感放射線性樹脂組成物を構成する酸発生剤(C)としては、スルホニウム塩やヨードニウム塩等のオニウム塩、有機ハロゲン化合物、ジスルホン類やジアゾメタンスルホン類等のスルホン化合物を挙げることができる。
【0062】
酸発生剤(C)の具体的な好ましい例としては、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート等のトリフェニルスルホニウム塩化合物;
【0063】
4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート等の4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム塩化合物;
【0064】
4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート等の4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム塩化合物;
【0065】
ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート等のジフェニルヨードニウム塩化合物;
【0066】
ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホネート等のビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩化合物;
【0067】
1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等の1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩化合物;
【0068】
1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等の1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩化合物;
【0069】
1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等の1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム塩化合物;
【0070】
N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等のビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド類化合物等を挙げることができる。
【0071】
酸発生剤(C)は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。酸発生剤(C)の配合量は、レジストとしての感度および現像性を確保する観点から、樹脂(B)100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましく、0.1〜20質量部であることがさらに好ましい。この場合、酸発生剤の配合量が0.1質量部未満では、感度および現像性が低下する傾向があり、一方30質量部をこえると、放射線に対する透明性が低下して、矩形のレジストパターンが得られ難くなる傾向がある。
【0072】
<酸拡散制御剤(D)>
本発明の感放射線性樹脂組成物には、露光により発生する酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御し、非露光領域での好ましくない化学反応を抑制する作用を有する酸拡散制御剤を配合することが好ましい。このような酸拡散制御剤を配合することにより、感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性を向上させることができるとともに、解像度をさらに向上させ、また露光から現像処理までの引き置き時間(PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、その結果、プロセス安定性に極めて優れた感放射線性樹脂組成物を得ることができる。
【0073】
このような酸拡散制御剤としては、WO2009/051088の[0176]〜[0187]段落に記載のものを挙げることができる。
【0074】
含窒素化合物(α)としては、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン等のジアルキルアミン類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン等のトリアルキルアミン類;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、1−ナフチルアミン等の芳香族アミン類等を挙げることができる。
【0075】
含窒素化合物(β)としては、例えば、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン等を挙げることができる。含窒素化合物(γ)としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、N−(2−ジメチルアミノエチル)アクリルアミドの重合体等を挙げることができる。
【0076】
前記アミド基含有化合物としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
【0077】
前記ウレア化合物としては、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等を挙げることができる。
【0078】
前記含窒素複素環式化合物としては、例えば、イミダゾール、ベンズイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類のほか、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、1−ピペリジンエタノール、2−ピペリジンエタノール、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等を挙げることができる。
【0079】
また、前記含窒素有機化合物として、酸解離性基を有する化合物を用いることもできる。前記酸解離性基を有する含窒素有機化合物としては、例えば、N―(t−ブトキシカルボニル)ピペリジン、N―(t−ブトキシカルボニル)イミダゾール、N―(t−ブトキシカルボニル)ベンズイミダゾール、N―(t−ブトキシカルボニル)−2−フェニルベンズイミダゾール、N―(t−ブトキシカルボニル)ジ−n−オクチルアミン、N―(t−ブトキシカルボニル)ジエタノールアミン、N―(t−ブトキシカルボニル)ジシクロヘキシルアミン、N―(t−ブトキシカルボニル)ジフェニルアミン、teRt−ブチル−4−ヒドロキシ−1−ピペリジンカルボキシレート等を挙げることができる。
【0080】
これらの含窒素有機化合物のうち、含窒素化合物(α)、含窒素化合物(β) 、含窒
素複素環式化合物、酸解離性基を有する含窒素有機化合物等が好ましい。
【0081】
また、酸拡散制御剤としては、下記式(D1−0)で表される化合物を用いることもできる。
【0082】
・・・(D1−0)
(但し、前記一般式(D1−0)中、Xは、下記一般式(D1−1)又は(D1−2)で表されるカチオンである。Zは、OH、一般式(D1−3)RD1−COOで表されるアニオン、又は、一般式(D1−4)RD1−SOで表されるアニオンである(但し、前記一般式(D1−3)及び(D1−4)中、RD1は、置換されていてもよいアルキル基、脂環式炭化水素基又はアリール基である))
【0083】
【化10】

【0084】
(一般式(D1−1)中、RD2〜RD4は、相互に独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、水酸基、又はハロゲン原子であり、前記一般式(1−2)中、RD5及びRD6は、相互に独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、水酸基、又はハロゲン原子である。)
【0085】
上記化合物は、露光により分解して酸拡散制御性を失う酸拡散制御剤(以下、「光分解性酸拡散制御剤」ともいう。)として用いられるものである。この化合物を含有することによって、露光部では酸が拡散し、未露光部では酸の拡散が制御されることにより露光部と未露光部のコントラストが優れる(即ち、露光部と未露光部の境界部分が明確になる)ため、特に本発明の感放射線性樹脂組成物のLWR、MEEFの改善に有効である。
【0086】
[1−1−1]X
一般式(D1−0)中のXは、上述したように一般式(D1−1)又は(D1−2)で表されるカチオンである。そして、一般式(D1−1)中のRD2〜RD4は、相互に独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、水酸基、又はハロゲン原子であり、これらの中でも、上記化合物の、現像液に対する溶解性を低下させる効果があるため、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子であることが好ましい。また、一般式(D1−2)中のRD5及びRD6は、相互に独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、水酸基、又はハロゲン原子であり、これらの中でも、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子であることが好ましい。
【0087】
[1−1−2]Z
一般式(D1−0)中のZは、OH、一般式(D1−3)RD1−COOで表されるアニオン、又は、一般式(D1−4)RD1−SOで表されるアニオンである。但し、一般式(D1−3)及び(D1−4)中のRD1は、置換されていてもよいアルキル基、脂環式炭化水素基又はアリール基であり、これらの中でも、上記化合物の、現像液に対する溶解性を低下させる効果があるため、脂環式炭化水素基又はアリール基であることが好ましい。
【0088】
置換されていてもよいアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等の炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシル基;シアノ基;シアノメチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、4−シアノブチル基等の炭素数2〜5のシアノアルキル基等の置換基を一種以上有する基などを挙げることができる。これらの中でも、ヒドロキシメチル基、シアノ基、シアノメチル基が好ましい。
【0089】
置換されていてもよい脂環式炭化水素基としては、例えば、ヒドロキシシクロペンタン、ヒドロキシシクロヘキサン、シクロヘキサノン等のシクロアルカン骨格;1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン(カンファー)等の有橋脂環骨格等の脂環式炭化水素由来の1価の基などを挙げることができる。これらの中でも、1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン由来の基が好ましい。
【0090】
置換されていてもよいアリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルシクロヘキシル基などを挙げることができ、これらの化合物を、ヒドロキシル基、シアノ基などで置換したものなどを挙げることができる。これらの中でも、フェニル基、ベンジル基、フェニルシクロヘキシル基が好ましい。
【0091】
なお、一般式(D1−0)中のZは、下記式(1a)で表されるアニオン(即ち、RD1がフェニル基である、一般式(D1−3)で表されるアニオン)又は下記式(1b)で表されるアニオン(即ち、RD1が1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン由来の基である、一般式(D1−4)で表されるアニオン)であることが好ましい。
【0092】
【化11】

【0093】
上記光分解性酸拡散制御剤は、一般式(D1−0)で表されるものであり、具体的には、上記条件を満たすスルホニウム塩化合物又はヨードニウム塩化合物である。
【0094】
上記スルホニウム塩化合物としては、例えば、トリフェニルスルホニウムハイドロオキサイド、トリフェニルスルホニウムアセテート、トリフェニルスルホニウムサリチレート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムハイドロオキサイド、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムアセテート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムサリチレート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、4−t−ブトキシフェニル・ジフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート等を挙げることができる。なお、これらのスルホニウム塩化合物は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0095】
また、上記ヨードニウム塩化合物としては、例えば、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムハイドロオキサイド、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムアセテート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムハイドロオキサイド、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムアセテート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムサリチレート、4−t−ブチルフェニル−4−ヒドロキシフェニルヨードニウムハイドロオキサイド、4−t−ブチルフェニル−4−ヒドロキシフェニルヨードニウムアセテート、4−t−ブチルフェニル−4−ヒドロキシフェニルヨードニウムサリチレート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート等を挙げることができる。なお、これらのヨードニウム塩化合物は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0096】
前記酸拡散制御剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0097】
酸拡散制御剤の配合量は、前記(B)重合体100質量部に対して、好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは0.001〜10質量部、特に好ましくは0.005〜5質量部である。この場合、酸拡散制御剤の配合量を0.001質量部以上とすることにより、プロセス条件によるパターン形状や寸法忠実度の低下を抑制でき、また15質量部以下とすることにより、レジストとしての感度やアルカリ現像性をさらに向上させることができる。
【0098】
<溶剤>
本発明の感放射線性樹脂組成物は、通常、溶剤を含有する。用いられる溶剤は、少なくとも化合物(A)、樹脂(B)および酸発生剤(C)、所望により添加剤(E)を溶解可能な溶剤であれば、特に限定されるものではない。
例えば、アルコール類、エーテル類、ケトン類、アミド類、エステル・ラクトン類、ニトリル類およびその混合溶媒等を使用することができる。
【0099】
これらの中でも、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、特に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いることが好ましい。他には、ケトン類、2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類、3−アルコキシプロピオン酸アルキル類、γ−ブチロラクトン等が好ましい。これらの溶剤は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0100】
<その他の成分>
本発明の感放射線性樹脂組成物には、必要に応じて、フッ素含有樹脂、脂環式骨格含有化合物、界面活性剤、増感剤等の各種の添加剤(E)を配合することができる。各添加剤の配合量は、その目的に応じて適宜決定することができる。
【0101】
フッ素含有樹脂は、特に液浸露光においてレジスト膜表面に撥水性を発現させる作用を示す。そして、レジスト膜から液浸液への成分の溶出を抑制したり、高速スキャンにより液浸露光を行ったとしても液滴を残すことなく、結果としてウォーターマーク欠陥等の液浸由来欠陥を抑制する効果がある成分である。
【0102】
フッ素含有樹脂の構造は特に限定されるものでなく、(1)それ自身は現像液に不溶で、酸の作用によりアルカリ可溶性となるフッ素含有樹脂、(2)それ自身が現像液に可溶であり、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大するフッ素含有樹脂、(3)それ自身は現像液に不溶で、アルカリの作用によりアルカリ可溶性となるフッ素含有樹脂、(4)それ自身が現像液に可溶であり、アルカリの作用によりアルカリ可溶性が増大するフッ素含有樹脂等を挙げることができる。
【0103】
「フッ素含有樹脂」としては、構造単位(4)およびフッ素含有構造単位から選択される少なくとも一種の構造単位を有する重合体からなる樹脂を挙げることができ、更に、構造単位(1)〜(3),(5)および(6)の群から選択される少なくとも一種の構造単位を更に有する重合体が好ましい。
【0104】
「フッ素含有構造単位」としては、例えば、トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0105】
フッ素含有樹脂としては、例えば、上記フッ素含有構造単位と、樹脂(B)を構成する構造単位として上述した酸解離性基を有する構造単位(3)とを有する共重合体等が好ましい。これらのフッ素含有樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0106】
脂環式骨格含有化合物は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を更に改善する作用を示す成分である。
【0107】
脂環式骨格含有化合物としては、例えば、1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンタノン、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル等のアダマンタン誘導体類;デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル等のデオキシコール酸エステル類;リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル等のリトコール酸エステル類;アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル等のアルキルカルボン酸エステル類;
3−〔2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル〕テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、2−ヒドロキシ−9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン等を挙げることができる。これらの脂環式骨格含有化合物は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0108】
界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する作用を示す成分である。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤の他、以下商品名で、KP341(信越化学工業社製)、ポリフローNo.75、同No.95(共栄社化学社製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(トーケムプロダクツ社製)、メガファックスF171、同F173(大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子社製)等を挙げることができる。これらの界面活性剤は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0109】
増感剤は、放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを酸発生剤(C)に伝達し、それにより酸の生成量を増加する作用を示すものであり、感放射線性樹脂組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を有する。
【0110】
増感剤としては、カルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等を挙げることができる。これらの増感剤は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0111】
添加剤(E)としては、染料、顔料、接着助剤等を用いることもできる。例えば、染料或いは顔料を用いることによって、露光部の潜像を可視化させて、露光時のハレーションの影響を緩和できる。また、接着助剤を配合することによって、基板との接着性を改善することができる。他の添加剤としては、アルカリ可溶性樹脂、酸解離性の保護基を有する低分子のアルカリ溶解性制御剤、ハレーション防止剤、保存安定化剤、消泡剤等を挙げることができる。
【0112】
なお、添加剤(E)は、以上説明した各種添加剤1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0113】
<フォトレジストパターンの形成方法>
本発明の感放射線性樹脂組成物は、化学増幅型レジストとして有用である。化学増幅型レジストにおいては、露光により酸発生剤から発生した酸の作用によって、樹脂成分、主に、重合体(A)中の酸解離性基が解離して、カルボキシル基を生じる。その結果、レジストの露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が高くなり、この露光部がアルカリ現像液によって溶解、除去され、ポジ型のフォトレジストパターンが得られる。
【0114】
(フォトレジストパターンの形成方法)
フォトレジストパターン形成方法は、例えば、以下に示すようにしてフォトレジストパターンを形成することが一般的である。(1)感放射線性樹脂組成物を用いて、基板上にフォトレジスト膜を形成した後(工程(1))、(2)形成されたフォトレジスト膜に(必要に応じて液浸媒体を介し)、所定のパターンを有するマスクを通して放射線を照射して露光し(工程(2))、基板(露光されたフォトレジスト膜)を加熱し(工程(3))、次いで(4)現像すれば(工程(4))、フォトレジストパターンを形成することができる。
【0115】
工程(1)では、感放射線性樹脂組成物、またはこれを溶剤に溶解させて得られた組成物溶液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、基板(シリコンウエハー、二酸化シリコン、反射防止膜で被覆されたウエハー等)上に塗布することにより、フォトレジスト膜を形成する。具体的には、得られるレジスト膜が所定の膜厚となるように樹脂組成物溶液を塗布した後、プレベーク(PB)することにより塗膜中の溶剤を揮発させ、レジスト膜を形成する。
【0116】
工程(2)では、工程(1)で形成されたフォトレジスト膜に(場合によっては、水等の液浸媒体を介して)、放射線を照射し、露光させる。なお、この際には、所定のパターンを有するマスクを通して放射線を照射する。放射線としては、目的とするパターンの線幅に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等から適宜選択して照射する。ArFエキシマレーザー(波長193nm)、KrFエキシマレーザー(波長248nm)に代表される遠紫外線が好ましく、なかでも、ArFエキシマレーザーが好ましい。
【0117】
工程(3)は、ポストエクスポージャーベーク(PEB)と呼ばれ、工程(2)でフォトレジスト膜の露光された部分において、酸発生剤から発生した酸が重合体を脱保護する工程である。露光された部分(露光部)と露光されていない部分(未露光部)のアルカリ現像液に対する溶解性に差が生じる。PEBは、通常50℃から180℃の範囲で適宜選択して実施される。
【0118】
工程(4)では、露光されたフォトレジスト膜を、現像液で現像することにより、所定のフォトレジストパターンを形成する。現像後は、水で洗浄し、乾燥することが一般的である。現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ水溶液が好ましい。
【0119】
また、液浸露光を行う場合は、工程(2)の前に、液浸液とレジスト膜との直接の接触を保護するために、液浸液不溶性の液浸用保護膜をレジスト膜上に設けてもよい。液浸用保護膜としては、工程(4)の前に溶剤により剥離する、溶剤剥離型保護膜(例えば、特開2006−227632号公報参照)、工程(4)の現像と同時に剥離する、現像液剥離型保護膜(例えば、WO2005−069076号公報、WO2006−035790号公報参照)のいずれを用いてもよい。但し、スループットの観点からは、現像液剥離型液浸用保護膜を用いることが好ましい。
【実施例】
【0120】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、各種物性値の測定方法、及び諸特性の評価方法を以下に示す。
【0121】
[重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)]:
東ソー社製のGPCカラム(商品名「G2000HXL」2本、商品名「G3000HXL」1本、商品名「G4000HXL」1本)を使用し、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。また、分散度(Mw/Mn)は、Mw及びMnの測定結果より算出した。
【0122】
13C−NMR分析]:
日本電子社製の商品名「JNM−EX400」を使用し、測定溶媒として重クロロホルムを使用して分析を行った。
【0123】
[化合物(A)の合成]
(合成例1:化合物(A−1))
窒素置換した乾燥容器にデヒドロコール酸ナトリウム4.00g(9.42mmol)、ブロモ酢酸ターシャリーブチル1.83g(9.43mmol)、DMF100mlを加え室温で6時間撹拌した。反応終了後、反応液を塩化アンモニウム水溶液に注ぎ、生成物を酢酸エチルで抽出した。濃縮後再結晶にて化合物(A−1)を得た。
【0124】
(スペクトルデータ)
13C−NMR(100MHz)
212.90(1)、209.03(2)、208.67(3)、173.30(4)、166.92(5)、82.27(6)、61.02(7)、56.86(8)、51.71(9)、48.95(10)、46.79(11)、45.60(12)、45.49(13)、44.93(14)、42.74(15)、38.59(16)、36.43(17)、35.96(18)、35.37(19)、35.23(20)、31.05(21)、30.27(22)、27.98(23)、27.54(24)、25.09(25)、21.86(26)、18.58(27)、11.78(28)
【0125】
(合成例2:化合物(A−2))
窒素置換した乾燥容器にデヒドロコール酸ナトリウム4.00g(9.42mmol)、α−ブロモ―γ―ブチロラクトン1.55g(9.42mmol)、DMF100mlを加え室温で6時間撹拌した。反応終了後、合成例1と同様に精製し化合物(A−2)を得た。
【0126】
(スペクトルデータ)
13C−NMR(100MHz)
212.96(1)、209.09(2)、208.71(3)、172.90(4)、172.77(5)、67.37(6)、64.97(7)、56.84(8)、51.72(9)、48.93(10)、46.77(11)、45.55(12)、45.49(13)、44.92(14)、42.72(15)、38.57(16)、36.42(17)、35.95(18)、35.34(19)、35.26(20)、31.12(21)、30.21(22)、28.83(23)、27.60(24)、25.07(25)、21.83(26)、18.54(27)、11.77(28)
【0127】
(合成例3:化合物(A−3))
窒素置換した乾燥容器にデヒドロコール酸3.79g(9.42mmol)をメタノール100mlに溶解させ、パラトルエンスルホン酸一水和物を触媒量加え6時間加熱還流した。反応終了後、酢酸エチルで希釈し、炭酸水素ナトリウム水溶液、純水で洗浄して化合物(A−3)を得た。
【0128】
(スペクトルデータ)
13C−NMR(100MHz)
212.94(1)、209.07(2)、208.70(3)、172.88(4)、56.83(5)、51.71(6)、51.50(7)48.92(8)、46.75(9)、45.53(10)、45.46(11)、44.91(12)、42.70(13)、38.55(14)、36.40(15)、35.93(16)、35.32(17)、35.24(18)、31.10(19)、30.19(20)、27.58(21)、25.05(22)、21.81(23)、18.52(24)、11.76(25)
【0129】
(比較合成例:化合物(A−4))
窒素置換した乾燥容器にリトコール酸ナトリウム4.00g(10.04mmol)、ブロモ酢酸ターシャリーブチル1.96g(10.04mmol)、DMF100mlを加え室温で6時間撹拌した。反応終了後、合成例1と同様に精製し化合物(A−4)を得た。
【0130】
化合物(A−1)〜(A−4)の構造を下記に記す。
【0131】
【化12】

【0132】
[樹脂(B)の合成]
樹脂(B−1)は、各合成例において、下記式に示す化合物(B−1)〜(B−4)を原料モノマーとして用いて合成した。
【0133】
【化13】

【0134】
(合成例5:樹脂(B−1))
化合物(M−1)26.42g(30mol%)、化合物(M−2)30.83g(30mol%)、化合物(M−3)19.49g(20mol%)、及び化合物(M−4)23.27g(20mol%)を200gの2−ブタノンに溶解し、AIBN4.31g(5mol%)を添加して単量体溶液を調製した。100gの2−ブタノンを入れた1000mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、撹拌しながら80℃に加熱し、調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。2000gのメタノール中に冷却した重合溶液を投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末を400gのメタノールで2回洗浄した後、ろ別し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(樹脂(B−1))を得た(68g、収率68%)。得られた樹脂(B−1)のMwは6,800であり、Mw/Mnは1.54であった。また、13C−NMR分析の結果、化合物(M−1)由来の繰り返し単位:化合物(M−2)由来の繰り返し単位:化合物(M−3)由来の繰り返し単位:化合物(M−4)由来の繰り返し単位の含有比率が28.5:26.4:22.5:22.6(mol%)の共重合体であった。
(合成例5:樹脂(B−2))
化合物(M−4)38.74g(40mol%)、及び化合物(M−5)61.26g(60mol%)を200gの2−ブタノンに溶解し、AIBN3.58g(5mol%)を添加して単量体溶液を調製した。100gの2−ブタノンを入れた1000mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、撹拌しながら80℃に加熱し、調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。2000gのメタノール中に冷却した重合溶液を投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末を400gのメタノールで2回洗浄した後、ろ別し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(樹脂(B−2))を得た(72g、収率72%)。得られた樹脂(B−1)のMwは6,700であり、Mw/Mnは1.54であった。また、13C−NMR分析の結果、化合物(M−4)由来の繰り返し単位:化合物(M−5)由来の繰り返し単位の含有比率が41.5:58.5(mol%)の共重合体であった。
【0135】
(酸発生剤(C))下記式で示す酸発生剤を用いた。
【0136】
【化14】

【0137】
(酸拡散制御剤(D))下記式に示す酸拡散制御剤を用いた。
【0138】
【化15】

【0139】
(溶剤(E))
以下、実施例及び比較例で用いた溶剤(E)を示す。
【0140】
(E−1):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(E−2):シクロヘキサノン
(E−3):γ−ブチロラクトン
【0141】
(実施例1)
化合物(A−1)4質量部、樹脂(B−1)100質量部、酸発生剤12質量部、酸拡散制御剤1質量部および溶剤(E−1)1630質量部、(E−2)700質量部、(E−3)30質量部を混合し、得られた混合溶液を孔径0.20μmのフィルターでろ過して感放射線性樹脂組成物を調製した。この感放射線性樹脂組成物を組成物(J−1)とした。
【0142】
(実施例2〜6、比較例1〜4)
化合物(A)と樹脂(B)とを表1に示す配合処方にしたこと以外は、実施例1と同様にして各感放射線性樹脂組成物の組成物(J−2)〜(J−10)を調製した。
【0143】
【表1】

【0144】
[評価方法]
得られた実施例1〜6及び比較例1〜4の感放射線性樹脂組成物について、ArFエキシマレーザーを光源として、感度、DOFについて評価を行った。
【0145】
まず、下層反射防止膜(「ARC66」、日産化学社製)を形成した12インチシリコンウェハ上に、感放射線性樹脂組成物によって、膜厚120nmの被膜を形成し、100度で60秒間ソフトベーク(SB)を行った。さらに液浸上層膜(「TCX112」、JSR製)を塗布し90度で60秒間ベーク(TC Bake)を行った。次に、この被膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(「NSR S610C」、NIKON社製)を用い、NA=1.2、ratio=0.783、Dipoleの条件により、短軸=70nmHole140nmPitch、長軸=210nmHole252nmPitchのパターン形成用のマスクパターン(条件1)、及び、短軸=70nmHole400nmPitch、長軸=140nmHole1190nmPitchのパターン形成用のマスクパターン(条件2)を介して露光した。露光後、各感放射線性樹脂組成物について、表2に示す条件でポストベーク(PEB)を行った。その後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。このとき、条件1においてX軸部分の直径が70nmの楕円ホールを形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量(mJ/cm)を感度とした。
【0146】
最適露光量において、条件1、条件2において解像されるパターン寸法が、マスクの設計寸法の±10%以内となる場合のフォーカスの振れ幅をDOF(nm)として、各々評価した。なお、測長には走査型電子顕微鏡(「CG−4000」、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。評価の結果を表2に示す。
【0147】
【表2】

【0148】
表2に示されたように、本感放射線性樹脂組成物を用いれば、良好なDOFを実現でき、十分にプロセスマージンを有する感度でパターン形成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)炭素数6〜25の脂環式炭化水素骨格を有し、該脂環式炭化水素骨格にカルボニル基を2つ以上有する化合物、および(B)酸解離性基で保護されたアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の樹脂であって、該酸解離性基が解離した時にアルカリ可溶性となる樹脂を含有することを特徴とする、感放射線樹脂組成物。
【請求項2】
(A)化合物が、デヒドロコール酸誘導体である、請求項1に記載の感放射線樹脂組成物。
【請求項3】
(A)化合物が、下記式(1)で示される化合物である、請求項1乃至2に記載の感放射線樹脂組成物。
【化1】

(式(1)中、Rは、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜20の1価の炭化水素基、−R−X−Rで示される基(ただし、Rは置換されていてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基、Xは−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−NH−、−S−または−SO−で示される2価の基、Rは置換されていてもよい炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す。)または置換されていてもよい、炭素数3〜20の脂環構造を有する炭化水素基の脂環構造を構成する炭素の少なくとも1つが上記Xで示される基で置き換えられた構造を有する1価の基を示す。)
【請求項4】
(B)樹脂が、下記式(2)で表される構造単位を有する請求項1乃至3に記載の感放射線性樹脂組成物。
【化2】

(式(2)中、Rは水素原子またはメチル基を示し、R、RおよびRは相互に独立に、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数4〜20の脂環式炭化水素基を示すか、または、Rは炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数4〜20の脂環式炭化水素基を示し、RおよびRが相互に結合して、両者が結合している炭素原子と共に、炭素数4〜20の脂環式炭化水素基を形成する。)
【請求項5】
さらに(C)感放射線性酸発生剤を含有する、請求項1乃至4に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項6】
さらに(D)酸拡散制御剤を含有する、請求項1乃至5に記載の感放射線性樹脂組成物。

【公開番号】特開2012−78505(P2012−78505A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222675(P2010−222675)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】