説明

成分混合装置

【課題】複数成分押出推進装置の構成コストを可能な限り低減し、それにもかかわらず低い混合性を有する成分でも極めて好適な混合結果を保証する。
【解決手段】混合装置として動作し混合される成分、特にゴム合成物あるいはTPEの成分を側方から給入可能である押出機(12)を備えてなり、前記押出機(12)の出力側に容量測定式に動作する推進機(14)、特にギアポンプが接続され、前記給入される成分が同様に特にギアポンプから形成されるとともにその回転数あるいは推進速度が前記容量測定式に動作する推進機(14)の推進速度から独立して調節可能である容量測定式の下位推進機を通過する押出推進装置であり、混合物のn個の成分を生成するためにn−1個の容量測定式の下位推進機を使用するとともに特に成分nは計量せずに給入し、押出機(12)の回転数が容量測定式に動作する推進機(14)の推進速度および容積流から独立して調節可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は請求項1前段に記載の押出推進装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の推進装置は複数の成分からなる押出される混合物を生成するために使用される。押出される材料を形成する成分の混合は多様な混合品質で実施され、その際いくつかの特定の成分が良好な均等性で混合される一方その他の成分は混合し難いものであり得ることが知られている。
【0003】
その種の混合の問題は適切な配量要求をも伴うが、それに対処するために多数の異なった構造が知られている。例えば、混合し難い成分を予め混合することが知られている。さらに、混合される各成分に対して、押出スクリューとそれに接続された容量推進機とからなるそれぞれ独立した推進装置を設けることも提案されている。この解決方式は、実質的な混合装置への成分の射出を正確に配量して実施することができるため、極めて正確な配量を達成し得るという利点を有する。
【0004】
他方、上記のような解決方式は多数の押出スクリューと大抵ギアポンプとして形成される容量推進機を伴うことが必須である。従ってこの種の解決方式は比較的高コストで、また各下位推進機を別々に管理する必要があるため、保守に労力を要する。
【0005】
1つあるいは複数の成分を1つの主推進機、または1つあるいは複数の下位推進機を介して給入可能である解決方式が独国特許出願公開第102005050619号A1明細書(特許文献1)によって知られている。この解決方式によれば、2つの成分から混合物を生成するために合計3つの容量推進機が必要である。
【0006】
必要とされるコストにかかわらず、この種の解決方式においては少なくとも2つの成分が互いに混合し難いものである混合物の混合品質はさらに改善の余地がある。
【0007】
混合品質を改善するためにいわゆるトランスファ混合領域を設けるか、または例えばピン押出し領域を設けることが知られており、それに関しては例えば独国特許出願公開第102005048846.3号A1明細書(特許文献2)を参照することができる。トランスファ混合領域内において押出スクリューの進行中に押出される材料の通流断面が半径方向外側の押出機ケーシング領域内に向かって変位し、それに続いて半径方向内側の押出スクリューに向かって変位する。
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第102005050619号A1明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102005048846.3号A1明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って本発明の目的は、請求項1前段に記載の複数成分押出推進装置の構成コストを可能な限り低減し、それにもかかわらず低い混合性を有する成分でも極めて好適な混合結果を保証することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題は本発明に従って請求項1によって解決される。従属請求項には好適な追加構成が示されている。
【0011】
本発明によれば、下位推進機の個別の容積流の計算のための基礎として出力容積流を使用する。出力容積流は以下の数式によって示される:
ges=V+V+・・・+Vn−1+V
【0012】
同様に成分nの容積流Vは以下の式で示される:
=Vges−(V+V+・・・+Vn−1
【0013】
本発明によれば、容量測定式に動作する推進機の推進速度に依存しない押出機の回転数あるいは推進速度の調節によって安定的に高い混合品質を達成することができることが極めて好適である。
【0014】
意外なことに、前記の処置によって相互に混合し難い成分を混合する必要がある場合に生じる問題にも対処することができ;容量測定式に動作する推進機の推進速度に対して押出機の推進速度を顕著に高くすることによって良好な混合が達成される。推進速度は例えば、押出機の出力圧力が容量測定式に動作する推進機の公称入力圧力の数倍の高さになるように調節することができる。より詳細な検証をさらに実施する必要はあるものの、圧力差によって遷移領域内において集中的な高圧後混合が行われ、それが適宜に選択された構成によって難解な混合に際しても所要の混合効果を確立することが推定される。
【0015】
あまり難しくない混合成分においては、過剰なエネルギーを消費しないようにするために押出機の推進速度を通常の値に低減し得ることが理解される。
【0016】
独立した調節のためには、個々の下位推進機が適宜に調節されなければならないことが条件となる。このことは、特に多数であるn個の成分のために多数の下位推進機が設けられる場合に比較的高コストとなる。他方、混合比を正確に維持するために押出機推進速度に適応する下位推進機の調節が必要となる。意外なことに、n−1個の容量測定式下位推進機しか使用しなくても混合比を維持することができる。成分nは例えば紐状体あるいは顆粒の形態で給入することができ、その際給入装置は任意の適宜な方式で構成することができる。それにもかかわらず意外なことに、必要な個別推進速度を適宜に計算すれば、例え押出機の回転数を高めたとしても所要の混合比が得られる。
【0017】
本発明によれば、いずれの場合も押出機の末端側に容量測定式に動作する推進機を備えることが極めて好適である。それによって総合推進速度が正確に定義され、その際この容量測定式の推進機の精密な制御によってシステムの弾力性による推進変動も補償することができる。
【0018】
本発明によれば、成分nを計量しないで給入することが好適である。計量しての給入も否定はされないが、例えば紐状体あるいは顆粒を給入する場合、本発明に従ってシステム弾力性を補償し、高い温度のため材料の損傷を誘発し得る押出機の入力側の過度に高い圧力を容易に防止することができる。通常ここでは、その給入がそれほど難解なく後の混合特性のためにその混合比中で比較的に重要でない成分が給入される。
【0019】
この点に関して、成分nを押出機の入力側に給入することが好適である。それによって、第1の下位推進機の給入部の領域において比較的問題のない成分nが既に押出スクリュー内に存在し、従ってその位置で混合が行われることも保証される。
【0020】
成分1、すなわち第1の下位推進機を介して供給される成分を最も混合が難しいものであるように選択することが好適である。それによって、押出機の行程を介して混合が極めて良好になることが保証される。そのため成分n−1は大幅に下流側で給入され、その際成分n−1として混合が最も容易な成分を選択することが好適である。
【0021】
複数スクリュー式押出機を使用することによって、給入可能性を顕著に拡大し混合される成分に対してさらに良好に適応することも達成される。
【0022】
本発明は熱可塑性エラストマの使用にも良好に適している。橋かけ結合のために比較的長い押出スクリューを使用することができる。ゴム成分は混合物全体に対して例えば20ないし40%の比率で別個に生成することができ、その際下位推進機を介して例えば充填材を付加することができる。2つの独立した押出スクリューによるエラストマ/熱可塑性樹脂の分割は相互間の材料損傷を可能な限り防止する効果ももたらし、そのためフェノール樹脂の代わりに過酸化物を使用することができ、それによって橋かけ結合を改善することができる。
【0023】
別の好適な実施形態によれば、容量測定式推進機の下流側にストレーナフィルタを設ける。このストレーナフィルタは交換可能なものとすることが好適であり、ある領域、すなわち既知の方式によれば通常押出ノズルの上流側において拡大された通流断面が形成される。それによって品質をさらに改善することができ、その際任意のその他のフィルタを同様に使用し得ることが理解される。拡大された推進断面を有する流路拡大の領域はさらに一種のバッファおよび材料安定化ゾーンとして作用する。
【0024】
混合する材料は任意に選択および前処理することが可能である。例えば、基礎混合成分とプリ−バッチ、ならびに必要に応じてその他の成分を混合することができ、その際内部あるいは外部混合装置を追加的に使用することができる。
【0025】
容量測定式推進機としては2つの互いに噛合するギアを有する一般的なギア推進機が考えられるが、遊星ポンプまたはその他の任意の容量測定式推進装置も可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明のその他の詳細、特徴、ならびに種々の利点は添付図面を参照しながら以下に記述する本発明の一実施例に係る押出推進装置の説明によって理解される。
【0027】
図に示された押出推進装置10は押出機12を備え、それが押出推進装置の中心要素を形成している。前記の押出機は押出し可能な混合物を押出しおよび推進するために設定されており、それにはゴム混合物ならびに例えばTPEが含まれる。押出機は容積流を射出するように設定され、ここではそれをVgesとして示す。そのため、押出機12の出力側にギアポンプとして形成された容量測定式推進機14を設ける。このギアポンプ14の駆動は押出機12の駆動から独立している。
【0028】
押出機12の出力側にはさらに圧力センサ16が設けられ、それがそこに生じている圧力を測定しそれに応じて押出機12の駆動速度を調整する。
【0029】
押出機12の側方には多様な給入部が設けられている。第1の給入部18上には給入装置20が取り付けられ、それを介して特定の成分または押出しする混合物の特定の成分が給入される。そこで成分nは容積流Vをもって給入され、その際側方からの給入によって既知の方式で一定の前混合を押出機の押出スクリューを介して既に実施可能である。
【0030】
給入部18の下流側には多数のその他の給入部22,24,26が設けられており、その上に下位推進機28,30,32が接続されていて、それらが成分1,2からn−1までを押出機12に給入する。その給入はそれぞれV,V・・・Vn−1として示される予め設定された容積流で実施される。
【0031】
所要の混合比に応じて設定されるこの下位容積流の比率から、給入装置20の給入容量VがV=Vges−(V+V+・・・+Vn−1)で得られる。
【0032】
混合される成分に応じて押出機12の回転速度を、特に本発明に従って推進装置14の推進速度に依存せずに高くあるいは低く設定することができる。最小限の速度は容量測定式推進装置14の装填のために常に必要な推進量に相当する。この推進速度は圧力pges,minに相当する。しかしながら、圧力センサ16によって測定されるとともに押出機12の回転速度によって調節可能である出力圧力は、その圧力よりも著しく高く、例えば2倍、3倍、あるいは4倍まで上昇可能である。本発明によればそれによって、混合される材料が同等な特性を示す場合に極めて好適な混合が達成可能である。
【0033】
本発明の概念を逸脱することなく多様な変更が可能であることが理解される。例えば追加的な圧力センサによって作用圧力を測定し場合によって調整することができる。さらに、給入部26と圧力センサ16の間に任意の特別混合要素を挿入することができ、すなわち例えばトランスファ混合領域あるいはピン押出し領域を挿入することができる。また、押出機12の温度設定も広範囲で要求に適応させることができる。例えば250バールの極めて高い押出機12の末端圧力設計の場合、逆流原理によって極めて強力な冷却を出力側に達成することが効果的であり得る。
【0034】
容積流Vgesの決定のために、推進機14の下流における例えばメートル重量計(metering scale)を使用した重量測定を実施する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る押出推進装置を示した概略図である。
【符号の説明】
【0036】
10 押出推進装置
12 押出機
14 推進機
16 圧力センサ
18 給入部
20 給入装置
22,24,26 給入部
28,30,32 下位推進機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合装置として動作し混合される成分、特にゴム合成物あるいはTPEの成分を側方から給入可能である押出機を備えてなり、前記押出機の出力側に容量測定式に動作する推進機、特にギアポンプが接続され、前記給入される成分が同様に特にギアポンプから形成されるとともにその回転数あるいは推進速度が前記容量測定式に動作する推進機(14)の推進速度から独立して調節可能である容量測定式の下位推進機を通過する押出推進装置であり、混合物のn個の成分を生成するためにn−1個の容量測定式の下位推進機を使用するとともに特に成分nは計量せずに給入し、押出機(12)の回転数が容量測定式に動作する推進機(14)の推進速度および容積流から独立して調節可能であることを特徴とする押出推進装置。
【請求項2】
成分nのための給入装置(20)がホッパとして形成され、成分nは紐状体あるいは顆粒の形態で収容されることを特徴とする請求項1記載の押出推進装置。
【請求項3】
成分nのための給入装置(20)は成分1ないしn−1の給入部(18)の上流に配置することを特徴とする請求項1または2記載の押出推進装置。
【請求項4】
押出機(12)の出力側に少なくとも1つの圧力センサ(16)を設け、それが押出機(12)の回転数を調節する制御装置に接続されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の押出推進装置。
【請求項5】
少なくとも1つの圧力センサ(16)によって押出機(12)の推進速度が常に容量測定式に動作する推進機(14)の完全な装填のために必要とされる圧力pges,minよりも大きくなるように前記押出機(12)の推進速度を制御することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の押出推進装置。
【請求項6】
押出機(12)の出力圧力が容量測定式に動作する推進機(14)の完全な装填のために必要な最低圧力に相当する圧力pges,minよりも少なくとも10%、特に20ないし30%大きくなるように前記押出機(12)の推進速度を選択することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の押出推進装置。
【請求項7】
押出機(12)は容量測定式に動作する推進機(14)の公称入力圧力より数倍、特に2ないし6倍大きいものである出力圧力をもって前記容量測定式の推進機(14)に混合物を給入することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の押出推進装置。
【請求項8】
押出機(12)の出力圧力を100バール超、特に150ないし250バールに高め、容量測定式に動作する推進機(14)の公称入力圧力よりも顕著に高いものとすることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の押出推進装置。
【請求項9】
容量測定式に動作する推進機(14)は20ないし60バール、特に40バールの公称入力圧力を有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の押出推進装置。
【請求項10】
容量測定式に動作する推進機(14)が遊星ポンプとして形成され、60ないし100バール、特に約80バールの公称入力圧力を有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の押出推進装置。
【請求項11】
押出機(12)はスクリュー式押出機であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の押出推進装置。
【請求項12】
押出機(12)は複数スクリュー式押出機であり、複数の下位推進機がスクリューの延長にわたって好適には均等に配置されることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の押出推進装置。
【請求項13】
押出機(12)に流路の障害を形成する少なくとも1つの絞り領域が形成され、その際少なくとも1つの絞り領域が最後の下位推進機の給入部(18)の下流に配置されることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の押出推進装置。
【請求項14】
最後の下位推進機の給入部(18)の下流に設置されトランスファ混合領域および/またはピン押出し領域として形成される少なくとも1つの混合領域を押出機(12)が備えることを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の押出推進装置。
【請求項15】
容量測定式に動作する推進機(14)はギアポンプ、特に遊星ポンプとして形成されることを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載の押出推進装置。
【請求項16】
少なくとも1つの下位推進機がギアポンプ、特に遊星ポンプを備えることを特徴とする請求項1ないし15のいずれかに記載の押出推進装置。
【請求項17】
少なくとも1つの下位推進機の上流に下位押出機が配置されることを特徴とする請求項1ないし16のいずれかに記載の押出推進装置。
【請求項18】
容量測定式の推進機(14)に特に交換可能であるストレーナフィルタが後置接続され、容量測定式の推進機(14)と押出ノズルの間の拡大された通流断面の領域内に配置されることを特徴とする請求項1ないし17のいずれかに記載の押出推進装置。
【請求項19】
n個の成分が基礎混合物とプリバッチ(pre−batch)とからなり、前記プリバッチは独立した混合器、特に内部混合器内で予混合されることを特徴とする請求項1ないし18のいずれかに記載の押出推進装置。
【請求項20】
混合物は熱可塑性エラストマから生成され、その成分が少なくとも1つの下位推進機、特に2スクリュー式押出機によって給入されることを特徴とする請求項1ないし19のいずれかに記載の押出推進装置。

【図1】
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【公開番号】特開2009−73194(P2009−73194A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244996(P2008−244996)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(507241469)ブイエムアイ−エイゼット エクストルージョン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (7)
【Fターム(参考)】