説明

成形型

【課題】金型保持体及び金型の耐久性を向上することができる成形型を提供する。
【解決手段】上型ユニット12を構成する金型案内ブロック22の案内斜面22aに凹部22bを形成し、この凹部22bに対し低硬度板33をボルト34によって固定する。一方、前記金型案内ブロック22に取り付けられた位置規制板25の傾斜案内溝25a、平行案内溝25bに沿って案内移動されるローラ27によって金型26を昇降可能に装着する。下型ユニット11の上昇によって、前記両金型26が上方向に移動され、前記金型26に形成された被案内斜面26bが、金型案内ブロック22の案内斜面22aに摺動接触される際に前記低硬度板33のみが被案内斜面26bよりも先に摩耗するようにする。前記低硬度板33の摩耗量が所定値以上になったとき、前記ボルト34を外して低硬度板33を新しい低硬度板33と交換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ゴム製品を射出成形するために用いられる成形型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、射出成形型として、上下一対の金型を上下方向に移動させて型締めを行うものがある。この成形型は前記両金型の型合わせ面が互いに摺動しないので、型合わせ面の磨耗の問題は起きない。
【0003】
従来の射出成形型として、左右一対の案内斜面をテーパ状に形成した金型保持体と、前記両案内斜面に案内される被案内斜面が形成された左右一対の金型とを備えたものがある。この成形型は、前記両金型を型締め時に前記両案内斜面に沿って案内移動して、楔作用により互いに接近させて型締めするようになっている。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2004−122715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来の成形型は、前記両金型の型締め時に、両案内斜面に被案内斜面が摺動されて強固に押し付けられるので、案内斜面及び被案内斜面が磨耗し易く、金型保持体及び金型の耐久性が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点を解消して、金型保持体及び金型の耐久性を向上することができる成形型を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、左右一対の案内面のうち少なくとも一方の案内面を案内斜面とした金型保持体と、左右一対の被案内面のうち少なくとも一方の被案内面を被案内斜面とした左右一対の金型とを備え、前記両金型の型締め時に前記案内斜面に前記被案内斜面を摺動案内させて前記両金型に型締め力を付与するようにした成形型において、前記案内斜面及び被案内斜面の少なくともいずれか一方に対し、前記金型保持体又は金型と別体で形成され、かつ前記金型保持体及び金型の材料よりも硬度の低い材料よりなる低硬度部材を取り外し可能に取り付けたことを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、左右一対の案内面のうち少なくとも一方の案内面を案内斜面とした金型保持体と、左右一対の被案内面のうち少なくとも一方の被案内面を被案内斜面とした左右一対の金型とを備え、前記両金型の型締め時に前記案内斜面に前記被案内斜面を摺動案内させて前記両金型に型締め力を付与するようにした成形型において、前記案内斜面及び被案内斜面に対し、前記金型保持体及び金型と別体で形成され、かつ前記金型保持体及び金型の材料の硬度と同じ硬度の材料よりなる同硬度部材をそれぞれ取り外し可能に取り付けたことを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、左右一対の案内面のうち少なくとも一方の案内面を案内斜面とした金型保持体と、左右一対の被案内面のうち少なくとも一方の被案内面を被案内斜面とした左右一対の金型とを備え、前記両金型の型締め時に前記案内斜面に前記被案内斜面を摺動案内させて前記両金型に型締め力を付与するようにした成形型において、前記案内斜面及び被案内斜面に対し、前記金型保持体及び金型と別体で形成され、かつ前記金型保持体及び金型の材料の硬度よりも高い硬度の材料よりなる高硬度部材をそれぞれ取り外し可能に取り付けたことを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項において、前記金型保持体には左右一対の案内斜面が形成され、前記両金型には、左右一対の被案内斜面が形成されていることを要旨とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項において、前記案内斜面及び被案内斜面の少なくともいずれか一方に対し前記低硬度部材、同硬度部材又は高硬度部材を埋め込むための凹部が形成され、各部材はボルトにより凹部の底面に固定されていることを要旨とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5において、前記金型保持体には、前記両金型を型開き位置と、型締め位置との間で案内移動するための前後一対の案内溝が設けられ、両案内溝は、前記両金型が型締め方向に行くほど間隔が小さくなるようにテーパ状に形成された左右一対の傾斜案内溝と、両傾斜案内溝の型締め方向の両端部に接続され、かつ互いに平行に形成された左右一対の平行案内溝とにより構成されていることを要旨とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1、4、5又は6において、前記金型保持体及び金型はロックウェル硬度が30〜36HRCの鋼材により形成され、前記低硬度部材はロックウェル硬度が10〜16HRCの鋼材により形成されていることを要旨とする。
【0013】
(作用)
請求項1記載の発明は、両金型の型締め動作が繰り返し行われると、金型保持体の案内斜面に金型の被案内斜面が繰り返し摺動される。この摺動により前記低硬度部材が金型保持体又は金型よりも先に磨耗する。この低硬度部材の磨耗量が所定量になると、低硬度部材を新しいものと交換する。このため、金型保持体及び金型自体の磨耗が抑制される。
【0014】
請求項2又は3記載の発明は、両金型の型締め動作が繰り返し行われると、金型保持体の案内斜面に金型の被案内斜面が繰り返し摺動される。この摺動により前記両同硬度部材又は両高硬度部材が磨耗する。この両同硬度部材又は両高硬度部材の磨耗量が所定量になると、両同硬度部材又は両高硬度部材を新しいものと交換する。このため、金型保持体及び金型自体の磨耗が抑制される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、金型保持体及び金型自体の磨耗が抑制されるので、金型保持体及び金型の耐久性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した成形型の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1に示すように、この成形型は、下型ユニット11と、上型ユニット12とによって構成されている。前記下型ユニット11は、図示しない油圧シリンダ等の昇降機構によって、上下方向に昇降動作される昇降支持台13と、この昇降支持台13の上面に固定された取付台座14と、該取付台座14の上面に嵌入固定され、かつボルト16によって締め付け固定された中子15とによって構成されている。
【0017】
次に、前記上型ユニット12について説明する。所定位置に取り付け固定された固定支持台21の下面には、左右一対の金型案内ブロック22が図示しないボルトによって取り付けられている。前記金型案内ブロック22の下部には、左右一対の案内ピン23が下向きに指向するようにボルト24によって取り付けられている。前記案内ピン23によって、前記下型ユニット11の昇降支持台13が上方に移動されたとき、案内孔13aが前記案内ピン23に嵌入され、下型ユニット11が案内移動されるようになっている。
【0018】
前記両金型案内ブロック22の前後(図1の紙面直交方向)両側面には、位置規制板25(紙面裏側のみ図示する)がそれぞれ図示しないボルトによって接合固定され、前記両位置規制板25には、左右及び前後各一対の案内溝が形成されている。左右一対の前記案内溝は、前後方向から見て型締め方向(上方)に行くほど間隔が狭くなるテーパ状の傾斜案内溝25aと、該傾斜案内溝25aの上端部に接続され、かつ上下方向に互いに平行に形成された左右一対の平行案内溝25bとにより形成されている。
【0019】
前記両位置規制板25の案内溝25a,25bに装着される左右一対の金型26は、その前後両側面に前記案内溝25a,25bに案内移動されるローラ27がピン28によって連結されている。前記両金型26の対向面には半蛇腹状の成形面26aがそれぞれ形成されている。前記両金型26の上部には、成形部材29がボルト30によって取り付けられている。前記金型26と成形部材29を一体にしてもよい。前記固定支持台21の中央下面には前記中子15と接合される中子31が取り付けられている。
【0020】
前記左右一対の金型案内ブロック22の対向面には、平面状の案内斜面22aがそれぞれ形成され、両案内斜面22aは下端ほど間隔が大きくなるテーパ状に形成されている。又、両金型26の背面には前記案内斜面22aに案内される平面状の被案内斜面26bがそれぞれ形成され、両被案内斜面26bは下端ほど互いに離隔するテーパ状となっている。前記金型案内ブロック22の案内斜面22aと、金型26の被案内斜面26bとは、水平線に対する傾斜角が同じに設定されている。前記案内斜面22aには、凹部22bが形成され、この凹部22bには、低硬度部材としての低硬度板33が嵌合され、ボルト34によって低硬度板33が金型案内ブロック22に固定されている。前記金型案内ブロック22及び金型26はそれぞれ同じ硬度の鋼材により形成され、前記低硬度板33は前記鋼材よりも硬度が低い鋼材により形成されている。前記金型26の鋼材として、例えば大同特殊鋼(株)製のロックウェル硬度が33HRCの商品番号「PX5」や日立金属(株)製のロックウェル硬度が33HRCの商品番号「HPM2」が用いられている。前記低硬度板33の鋼材として、ロックウェル硬度が13HRCのJIS規格「S−55C」の鋼材が用いられている。この実施形態では、前記金型26と低硬度板33の硬度差を20HRCとしている。前記硬度差が15HRCより小さい場合には、金型26と低硬度板33が摺動したときに、低硬度板33が選択的に磨耗し難いので好ましくない。又、硬度差が大きくても効果上問題がない。しかし、硬度差が25HRC以上の場合には、低硬度板33の塑性変形を防止するためそのロックウェル硬度を10HRC以下にできないので、金型26の材料の選択が難しく、高価な鋼材の選択を強いられることとなりこの点から好ましくない。
【0021】
この実施形態では、前記固定支持台21、金型案内ブロック22及び位置規制板25によって金型26を左右方向及び前後方向から保持する金型保持体が構成されている。
次に、前記のように構成した成形型の動作について説明する。
【0022】
図1は、下型ユニット11が上型ユニット12から下方に離隔されるとともに、前記金型26のローラ27が傾斜案内溝25aの下端部に支持され、金型26が左右方向に離隔された型開き状態を示す。この状態において、図示しない昇降機構により下型ユニット11が上昇されると、前記取付台座14の上面が最初に金型26の下面に当接され、両金型26が上方に移動される。このとき、両金型26はローラ27が傾斜案内溝25aに沿って転動されるので、両金型26が互いに接近しながら上昇され、図2に示すように、ローラ27が傾斜案内溝25aの上端部に移動された状態で両金型26が型締め位置に移動される。
【0023】
その後、下型ユニット11の昇降支持台13が図2においてさらに上昇されると、前記両金型26が平行案内溝25bに沿って転動されるローラ27とともに上方向に案内移動される。そして、前記金型案内ブロック22の両案内斜面22aに対し金型26の両被案内斜面26bが接触された状態(図3参照)で、前記昇降支持台13によって金型26がさらに上方に移動されると、両案内斜面22aの楔作用により両金型26が互いに型締め位置に締め付け固定される。この図3に示す型締め完了状態で、前記中子15、金型26の成形面26a、固定支持台21及び中子31等によって、ゴム製品を射出成型するためのキャビティKが形成される。この状態で前記キャビティKの上部の左右両側と対応するように、前記固定支持台21及び成形部材29によって形成されたゴムの注入口(図示略)から図4に示すようにゴムが注入され、製品35が成形される。
【0024】
図4に示すように、製品35が成形された後、前記下型ユニット11を図5に示すように下方に移動すると、前記金型26が型開き状態に移動されるとともに、下型ユニット11の中子15に保持された製品35を手作業により中子15から取り外す。
【0025】
上記実施形態の成形型によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、前記金型案内ブロック22の案内斜面22aに対し、凹部22bを形成し、この凹部22bの内部に低硬度板33を嵌入して、ボルト34により金型案内ブロック22に低硬度板33を固定したので、該低硬度板33の表面に金型26の被案内斜面26bが摺動状態で押し付けられる。この低硬度板33に対する金型26の押圧動作によって、低硬度板33が金型26よりも硬度が低いので、低硬度板33の表面が先に摩耗される。このため、成形型が繰り返し使用されて、前記低硬度板33の摩耗量が所定値以上になると、ボルト34を取り外して、摩耗した低硬度板33を新しい低硬度板33と交換することができ、前記金型案内ブロック22全体又は金型26全体を交換する必要がなくなる。従って、金型案内ブロック22及び金型26の耐久性を向上することができる。
【0026】
(2)上記実施形態では、前記位置規制板25に形成された傾斜案内溝25aに案内されるローラ27によって、両金型26を型締め動作時に斜め上方に移動して互いに接近するようにした。このため、金型案内ブロック22の案内斜面22aに対する金型26の被案内斜面26bの摺動距離(時間)が少なくなり、前記低硬度板33の摩耗量が抑制され、低硬度板33の交換期間を長くすることができる。
【0027】
次に、この発明の別の実施形態を図6及び図7に基づいて順次説明する。
図6に示す成形型は、前記金型26の被案内斜面26bに凹部26cを形成し、この凹部26cに前記低硬度板33と同様の低硬度板36を嵌め込み、ボルト34によって、該低硬度板36を金型26に固定している。この成形型においては、型開き状態において、前記金型26が下方に移動された状態で、前記低硬度板36の交換作業を容易に行うことができる。
【0028】
図7に示す成形型は、前記金型案内ブロック22及び金型26に、前記低硬度板33,36をそれぞれ嵌め込み固定するとともに、前記低硬度板33及び低硬度板36のロックウェル硬度を前記金型案内ブロック22及び金型26のロックウェル硬度(33HRC)よりも低い同じ硬度(例えば13HRC)に設定している。
【0029】
この実施形態においては、両低硬度板33,36を交換することにより、金型案内ブロック22及び金型26の案内斜面22a及び被案内斜面26bの摩耗を極力軽減することができる。
【0030】
図示しないが、図7に示す成形型において、前記低硬度板33,36に代えて、前記金型案内ブロック22及び金型26のロックウェル硬度(例えば33HRC)よりも高いロックウェル硬度(例えば40HRC)の高硬度部材を高硬度板として使用してもよい。この場合には、高硬度板の取り換え頻度が低くなるという利点がある。
【0031】
図示しないが、図7に示す成形型において、前記低硬度板33,36に代えて、前記金型案内ブロック22及び金型26のロックウェル硬度(例えば33HRC)よりも高いロックウェル硬度が50HRC以上の焼き入れ焼き戻し鋼(例えば60HRC)の超高硬度部材を高硬度板として使用してもよい。仮に、50HRC以上の鋼材を金型案内ブロック22及び金型26全体に使用した場合には、鋼材の硬度が非常に高いので、それらの加工に長時間を要するという問題がある。しかし、この別の実施形態では、超硬度の部材の加工は平板にボルト穴を開けたシンプルな形状の前記超高硬度板のみであるため、その加工に要する時間が長くなることはない。又、焼き入れ焼き戻し鋼はロックウェル硬度が例えば60HRCと非常に高いので、摺動抵抗が低くなるために、超高硬度板の取り換え頻度が一層低くなるという利点もある。
【0032】
前記金型案内ブロック22及び金型26の硬度が例えば33HRC、38HRCというように異なる場合においては、それぞれの硬度よりも高い硬度が例えば40HRC、52HRCのものを二枚の高硬度板としてもよく、例えば52HRCの二枚の同じ高硬度板としてもよい。
【0033】
図7に示す成形型において、前述した金型案内ブロック22及び金型26にそれぞれ装着された両高硬度板の硬度を例えば52HRC、60HRCのように相違させてもよい。
図示しないが、図7に示す成形型において、前記低硬度板33,36に代えて、前記金型案内ブロック22及び金型26のロックウェル硬度(例えば33HRC)と同じロックウェル硬度(例えば33HRC)の同硬度部材を同硬度板として使用してもよい。前記金型案内ブロック22及び金型26の硬度が例えば33HRC、38HRCというように異なる場合においては、金型案内ブロック22に用いる同硬度板の硬度をブロック22と同じ硬度の33HRCとし、金型26に用いる同硬度板の硬度を金型26と同じ硬度の38HRCとしてもよい。
【0034】
上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記低硬度板33の材料として、例えば、JIS規格の「S−45C、S−50C」の鋼材を用いてもよい。又、高硬度板の材料として、日本高周波鋼業(株)製の商品番号「HPM1」、住友金属工業(株)製の商品番号「NAK55」、「NAK80」を用いてもよい。超高硬度部材として日本高周波鋼業(株)製の商品番号「HPM31」、大同特殊鋼(株)製の「PD613」を用いてもよい。
【0035】
・図示しないが、前記金型案内ブロック22の案内斜面22aに取り付けた前記低硬度板33を省略し、前記金型26の被案内斜面26bに形成した凹部に低硬度板33を取り付けるようにしてもよい。又、金型案内ブロック22の凹部と金型26の凹部とにそれぞれ低硬度板33を取り付けるようにしてもよい。
【0036】
・前記金型案内ブロック22及び金型26の少なくとも一方に形成した前記低硬度板33、同硬度板又は高硬度板を取り付けるための凹部22bを省略し、案内斜面22aの全域又は被案内斜面26bの全域に低硬度板33、同硬度板又は高硬度板を複数のボルト34により取り外し可能に取り付けるようにしてもよい。
【0037】
・前記両金型案内ブロック22の両案内斜面22aのうちいずれか一方を金型26の型締め方向と平行な案内面にするとともに、前記両金型26の被案内斜面26bを金型26の型締め方向と平行な被案内面にした成形型に具体化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明を具体化した成形型の一実施形態を示す型開き状態の縦断面図。
【図2】下型ユニットを中間高さまで上昇した状態を示す縦断面図。
【図3】成形型の型締め状態を示す縦断面図。
【図4】成形型のキャビティにゴムを注入して製品を成形した状態を示す縦断面図。
【図5】成形型の型開き状態を示す縦断面図。
【図6】この発明の別の実施形態を示す成形型の型締め状態の縦断面図。
【図7】この発明の別の実施形態を示す成形型の型締め状態の縦断面図。
【符号の説明】
【0039】
34…ボルト、22a…案内斜面、22b,26c…凹部、25a…傾斜案内溝、25b…平行案内溝、26…金型、26b…被案内斜面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の案内面のうち少なくとも一方の案内面を案内斜面とした金型保持体と、左右一対の被案内面のうち少なくとも一方の被案内面を被案内斜面とした左右一対の金型とを備え、前記両金型の型締め時に前記案内斜面に前記被案内斜面を摺動案内させて前記両金型に型締め力を付与するようにした成形型において、
前記案内斜面及び被案内斜面の少なくともいずれか一方に対し、前記金型保持体又は金型と別体で形成され、かつ前記金型保持体及び金型の材料よりも硬度の低い材料よりなる低硬度部材を取り外し可能に取り付けたことを特徴とする成形型。
【請求項2】
左右一対の案内面のうち少なくとも一方の案内面を案内斜面とした金型保持体と、左右一対の被案内面のうち少なくとも一方の被案内面を被案内斜面とした左右一対の金型とを備え、前記両金型の型締め時に前記案内斜面に前記被案内斜面を摺動案内させて前記両金型に型締め力を付与するようにした成形型において、
前記案内斜面及び被案内斜面に対し、前記金型保持体及び金型と別体で形成され、かつ前記金型保持体及び金型の材料の硬度と同じ硬度の材料よりなる同硬度部材をそれぞれ取り外し可能に取り付けたことを特徴とする成形型。
【請求項3】
左右一対の案内面のうち少なくとも一方の案内面を案内斜面とした金型保持体と、左右一対の被案内面のうち少なくとも一方の被案内面を被案内斜面とした左右一対の金型とを備え、前記両金型の型締め時に前記案内斜面に前記被案内斜面を摺動案内させて前記両金型に型締め力を付与するようにした成形型において、
前記案内斜面及び被案内斜面に対し、前記金型保持体及び金型と別体で形成され、かつ前記金型保持体及び金型の材料の硬度よりも高い硬度の材料よりなる高硬度部材をそれぞれ取り外し可能に取り付けたことを特徴とする成形型。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において、前記金型保持体には左右一対の案内斜面が形成され、前記両金型には、左右一対の被案内斜面が形成されていることを特徴とする成形型。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、前記案内斜面及び被案内斜面の少なくともいずれか一方に対し前記低硬度部材、同硬度部材又は高硬度部材を埋め込むための凹部が形成され、各部材はボルトにより凹部の底面に固定されていることを特徴とする成形型。
【請求項6】
請求項4又は5において、前記金型保持体には、前記両金型を型開き位置と、型締め位置との間で案内移動するための前後一対の案内溝が設けられ、両案内溝は、前記両金型が型締め方向に行くほど間隔が小さくなるようにテーパ状に形成された左右一対の傾斜案内溝と、両傾斜案内溝の型締め方向の両端部に接続され、かつ互いに平行に形成された左右一対の平行案内溝とにより構成されていることを特徴とする成形型。
【請求項7】
請求項1、4、5又は6において、前記金型保持体及び金型はロックウェル硬度が30〜36HRCの鋼材により形成され、前記低硬度部材はロックウェル硬度が10〜16HRCの鋼材により形成されていることを特徴とする成形型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−238544(P2008−238544A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−81374(P2007−81374)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】