成形米飯食品包装用シート体及び包装付き成形米飯食品
【課題】 包装付き成形米飯食品に使用するシート体内のシート状食品が湿気ることを防止する。
【解決手段】 短手方向の分断手段11を有する表側フィルム10に、一対のフィルム片13、14により表側フィルムを覆うと共に表側フィルムの分断手段に位置する箇所にフィルム片同士の重なり部を設けた裏側フィルムを重ね合わせ、内部にシート状食品Nを収容するための袋部を構成するように表側フィルムと裏側フィルムをヒートシールにより融着した成形米飯食品を包装するためのシート体にして、裏側フィルムの一対のフィルム片の重なり部において、裏側フィルムの一方のフィルム片端に帯状片15を一端が開口して隙間Kを構成するようにヒートシールにより融着して上記の隙間に他方のフィルム片端を挿入し、隙間に挿入される側のフィルム片の挿入部分の表裏面、又は隙間を構成する側のフィルム片及び帯状片の隙間部分の面を非ヒートシール面16とする。
【解決手段】 短手方向の分断手段11を有する表側フィルム10に、一対のフィルム片13、14により表側フィルムを覆うと共に表側フィルムの分断手段に位置する箇所にフィルム片同士の重なり部を設けた裏側フィルムを重ね合わせ、内部にシート状食品Nを収容するための袋部を構成するように表側フィルムと裏側フィルムをヒートシールにより融着した成形米飯食品を包装するためのシート体にして、裏側フィルムの一対のフィルム片の重なり部において、裏側フィルムの一方のフィルム片端に帯状片15を一端が開口して隙間Kを構成するようにヒートシールにより融着して上記の隙間に他方のフィルム片端を挿入し、隙間に挿入される側のフィルム片の挿入部分の表裏面、又は隙間を構成する側のフィルム片及び帯状片の隙間部分の面を非ヒートシール面16とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、おにぎりなどの成形米飯食品を包装するシート体に関し、特に密閉性に意を払ったシート体及びこれを使用した包装付き成形米飯食品に関する。
【背景技術】
【0002】
おにぎりを包装するためのプラスチックフィルム製の包装材として、図9に示すように短手方向に2分割するためのカットテープ53からなる分断手段を有する長方形の表側フィルム60に、短手方向に2分割した一対のフィルム片61、62により表側フィルムを覆うと共に表側フィルムの分断手段に位置する箇所にフィルム片同士の重なり部を設けた裏側フィルムを重ね合わせ、内部に海苔Nなどのシート状食品を収容するための袋部を構成するように表側フィルムと裏側フィルムをヒートシール部50Sにおいて融着したシート体50が広く使用されている。
【0003】
前記の包装付き成形米飯食品においては、包装体を構成するシート体は内部に海苔などのシート状食品Nを収容するための袋部を有するものであるが、おにぎりRから蒸散する水分(蒸気)がシート体50のフィルム片61、62同士の重なり部から袋部内に侵入し、収容されているシート状食品Nを湿らせ、これが海苔である場合には海苔特有のぱりっとした食感を損なう問題があった。
【0004】
そこで、前記シート体において裏側フィルムの一対のフィルム片の重なり部において、裏側フィルムの一方のフィルム片62端に帯状片63を一端が開口して隙間K1を構成するように固着して上記の隙間に他方のフィルム片61端を挿入することにより、フィルム片同士の重なり部の気密性を向上させることを企図した発明が提案されている。
【0005】
一方、前記のシート体50を用いた包装付き成形米飯食品として、図9に示すようにおにぎりRを載せた状態でシート体を短手側の両端辺50A、50A同士が向き合うようにコ字状に折り曲げると共に、長手側の両端辺50B、50Bを成形米飯食品の側壁側に折り曲げて互いに接合することにより上方を開口した直方体に製袋し、更に開口において向き合ったシート体の短手側の両端辺50A、50A同士をヒートシール部HSにおいて融着したものが提案されている。
【特許文献1】実願平3−35063(実開平6−8264)のCD−ROM
【特許文献2】特許第3098226号公報
【特許文献3】特開2004−154064公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
気密性の向上を企図した前記の従来技術においては、フィルム片62と帯状片63により構成される隙間K1内に、他方のフィルム片61端が完全に挿入されることにより初めて完全な気密性が確保されることはいうまでもない。
【0007】
ところで、現実の製造工程においては帯状片63はヒートーシールによる融着によりフィルム片62に固着されるが、その融着は事前に帯状片63とフィルム片62間に他方のフィルム片61端を挿入した状態で行われる。即ち、図12の(A)に示すように帯状片63の他方のフィルム片61端が外れた位置にヒートシール部SSを配してヒートーシールローラR1の当接により融着を行う。この場合、加工精度に照らした場合、ヒートーシールローラR1を他方のフィルム片の先端61Eの直近まで近接して当接することは困難であり、誤って他方のフィルム片まで融着してしまうおそれがあるので、ヒートシール部SSは他方のフィルム片の先端からはるかに離れた位置に設けざるを得なかった。その結果、図10に示すように隙間K1内において他方のフィルム片の先端61Eから隙間の突き当たり部を構成するヒートーシール部SSの開始位置までに間隙SXが生じて気密性を損なう問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は前記の問題を解消するシート体を提供することを目的として創作されたものであり、短手方向に2分割するための分断手段を有する表側フィルムに、短手方向に2分割した一対のフィルム片により表側フィルムの全部又は一部を覆うと共に表側フィルムの分断手段に位置する箇所にフィルム片同士の重なり部を設けた裏側フィルムを重ね合わせ、内部にシート状食品を収容するための袋部を構成するように表側フィルムと裏側フィルムをヒートシールにより融着した成形米飯食品を包装するためのシート体にして、裏側フィルムの一対のフィルム片の重なり部において、裏側フィルムの一方のフィルム片端に帯状片を一端が開口して隙間を構成するようにヒートシールにより融着して上記の隙間に他方のフィルム片端を挿入したシート体において、隙間に挿入される側のフィルム片の挿入部分の表面又は表裏面、又は隙間を構成する側のフィルム片及び帯状片の隙間部分の面を非ヒートシール面としたことを特徴とする。
【0009】
又、この発明の包装付き成形米飯食品は前記シート体を用いて、成形米飯食品を載せた状態でシート体を短手側の両端辺同士が向き合うようにコ字状に折り曲げると共に、長手側の両端辺を成形米飯食品の側壁側に折り曲げて互いに接合することにより上方を開口した直方体に製袋し、更に開口において向き合ったシート体の短手側の両端辺同士をヒートシールにより融着することにより封止したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明のシート体によれば、裏側フィルムの一対のフィルム片の重なり部において、隙間に挿入される側のフィルム片の挿入部分の表面又は表裏面、又は隙間を構成する側のフィルム片及び帯状片の隙間部分の面を非ヒートシール面としたので、ヒートーシールによる融着によりフィルム片に帯状片63を溶着する際に他方のフィルム片の挿入部分は融着されない作用を生じる。よって、ヒートーシールローラを他方のフィルム片の先端の直近まで近接して当接した場合に他方のフィルム片が位置する箇所にヒートーシールローラが当接してもその部分は溶着されないので、他方のフィルム片の先端の直近にヒートーシール部を配することが可能となり、他方のフィルム片の先端から隙間の突き当たり部までの間隙を無くすことにより完全な気密性を確保することができる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1乃至図2はこの発明のシート体1の構成を示す図である。このシート体1は裏面をヒートシール層とした表側フィルム10と裏側フィルム13、14を、内部にシート状食品を収容するための袋部を構成するように重合した構成からなる。表側フィルム10は長方形からなり、短手方向に2分割するための帯状の切り取りによる分断手段を有する。この実施例においては分断手段として表側フィルム10の裏面に帯状のテープ11を積層し、上記テープ11の表面を非ヒートシール面としている。この実施例においては帯状のテープ11を従来のカットテープに比し幅広とすると共に適度の腰を有する素材により構成することにより、引き裂きにあたっての指先でのテープ端の探索を容易にしている。又、分断手段(帯状のテープ)の引き上げ開始時における引き裂きを容易にするために、表側フィルムの一端の分断手段の開始箇所の左右に一対の切り込み12、12を設けている。
【0012】
裏側フィルムは包装時におにぎりRに接する側のフィルムであり、表側フィルム10の全部又は一部を覆う形状に短手方向に2分割した一対のフィルム片13及び14により構成され、これらのフィルム片は表側フィルムの分断手段に位置する箇所において一部分が重なる重なり部Kを構成する。
【0013】
表側フィルム10と裏側フィルム13、14は、裏側フィルムのフィルム片同士の重なり部を除いた周縁にヒートシール部S1を設けて融着、重合されることにより内部にシート状食品Nを収容するための袋部を構成する。この実施例においてはシート状食品Nとして海苔を想定している。
【0014】
前記の裏側フィルムの一対のフィルム片13及び14の重なり部において、裏側フィルムの一方のフィルム片13端に帯状片15を一端が開口して隙間Kを構成するようにヒートシールにより融着する。この発明においては隙間Kに挿入される側のフィルム片14の挿入部分の表裏面、又は隙間を構成する側のフィルム片13及び帯状片15の隙間部分の面を非ヒートシール面とすることを特徴とするが、この実施例においては隙間Kに挿入される側のフィルム片14の挿入部分の表裏面自体を非ヒートシール面16としている。
【0015】
図3は前記の非ヒートシール面に関する異なる実施例を示す図であり、ここでは隙間Kに挿入される側のフィルム片14の挿入部分の表裏面に表面が非シートヒール性を有する帯状のテープ17、17を積層することにより、挿入部分の表裏面を非ヒートシール有としている。
【0016】
尚、以上の実施例においては隙間Kに挿入される側のフィルム片14の挿入部分の表裏面を共に非ヒートシール面としているが、実際には後記するヒートシールローラRの熱はフィルム片14の挿入部分の裏面まで溶融するに至らない場合が多いので、状況によっては非ヒートシール面とするのはフィルム片14の挿入部分の表面(帯状片15に接する側)のみでもよい。
【0017】
図12の(B)はこの実施例のシート体1の重なり部における、裏側フィルムの一方のフィルム片13と帯状片15の融着状態を示す概念図である。この実施例においては、ヒートシールローラRとして企図するヒートシール部Sより幅広のものを採用し、他方のフィルム片14端が位置する隙間K箇所まで当接させるが、上記箇所は非ヒートシール面としているのでヒートシールローラにより融着することなく、他方のフィルム片の先端14Eの直近にヒートーシール部Sを配することが可能となる。
【0018】
図4乃至図8はこの発明のシート体を用いた包装付き成形米飯食品の一例の製造過程を示す図であり、ここでは成形米飯食品として三角形状のおにぎりを例示している。図中符号1はシート体であり、ここにおにぎりRを当接した状態で折り目2B、2Bを境として包装体の正面部A、底襠部B、背面部Cを構成する領域がおにぎりの正面に密接するようにコ字状に折り曲げられ、その後、折り目2A、2Aを境として包装体の側襠部D、Dを構成する領域3、3がおにぎり側に折り曲げられる。又、その際に包装体の側襠部D、Dを構成する領域3、3と折り目2Aに挟まれる領域4が折り目2B、2B及び2C、2Cを境として折り畳まれて、領域3、3の裏面に重合される。
【0019】
以上の過程により上方を開口した直方体からなる包装体が得られ、側襠部D、Dを構成する領域3、3と、折り畳まれてその裏面に重合される領域4がヒートシール部S2において同時に融着されると共に、領域3、3同士もヒートシールされる(図6参照)。
【0020】
次に、側襠部D、Dを折り目5Aが包装体内方に突出するように内方に折り込みながら正面部Aと背面部Cを開口において近接させ(図7参照)、更に開口において向き合ったシート体1の短手側の両端辺同士をヒートシール部Sにおいて融着して封止することにより一連の包装は完了する(図8参照)。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明のシート体の分解斜視図。
【図2】同上、断面図。
【図3】この発明のシート体の異なる実施例の分解斜視図。
【図4】この発明の装付き成形米飯食品の製造過程を示す斜視図。
【図5】同上、製造過程を示す斜視図。
【図6】同上、製造過程を示す斜視図。
【図7】同上、製造過程を示す斜視図。
【図8】この発明の包装付き成形米飯食品の斜視図。
【図9】従来技術の成形米飯食品のシート体の分解斜視図。
【図10】従来技術の包装付き成形米飯食品の斜視図。
【図11】同上、断面図。
【図12】この発明と従来技術の作用の対比を図示した構成図。
【符号の説明】
【0022】
R 成形米飯食品
N シート状食品
S1 ヒートーシール部
S2 ヒートーシール部
1 シート体
10 表側フィルム
12 帯状のテープ
13 (裏側フィルムを構成する)フィルム片
14 (裏側フィルムを構成する)フィルム片
15 帯状片
16 非ヒートシール面
【技術分野】
【0001】
この発明は、おにぎりなどの成形米飯食品を包装するシート体に関し、特に密閉性に意を払ったシート体及びこれを使用した包装付き成形米飯食品に関する。
【背景技術】
【0002】
おにぎりを包装するためのプラスチックフィルム製の包装材として、図9に示すように短手方向に2分割するためのカットテープ53からなる分断手段を有する長方形の表側フィルム60に、短手方向に2分割した一対のフィルム片61、62により表側フィルムを覆うと共に表側フィルムの分断手段に位置する箇所にフィルム片同士の重なり部を設けた裏側フィルムを重ね合わせ、内部に海苔Nなどのシート状食品を収容するための袋部を構成するように表側フィルムと裏側フィルムをヒートシール部50Sにおいて融着したシート体50が広く使用されている。
【0003】
前記の包装付き成形米飯食品においては、包装体を構成するシート体は内部に海苔などのシート状食品Nを収容するための袋部を有するものであるが、おにぎりRから蒸散する水分(蒸気)がシート体50のフィルム片61、62同士の重なり部から袋部内に侵入し、収容されているシート状食品Nを湿らせ、これが海苔である場合には海苔特有のぱりっとした食感を損なう問題があった。
【0004】
そこで、前記シート体において裏側フィルムの一対のフィルム片の重なり部において、裏側フィルムの一方のフィルム片62端に帯状片63を一端が開口して隙間K1を構成するように固着して上記の隙間に他方のフィルム片61端を挿入することにより、フィルム片同士の重なり部の気密性を向上させることを企図した発明が提案されている。
【0005】
一方、前記のシート体50を用いた包装付き成形米飯食品として、図9に示すようにおにぎりRを載せた状態でシート体を短手側の両端辺50A、50A同士が向き合うようにコ字状に折り曲げると共に、長手側の両端辺50B、50Bを成形米飯食品の側壁側に折り曲げて互いに接合することにより上方を開口した直方体に製袋し、更に開口において向き合ったシート体の短手側の両端辺50A、50A同士をヒートシール部HSにおいて融着したものが提案されている。
【特許文献1】実願平3−35063(実開平6−8264)のCD−ROM
【特許文献2】特許第3098226号公報
【特許文献3】特開2004−154064公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
気密性の向上を企図した前記の従来技術においては、フィルム片62と帯状片63により構成される隙間K1内に、他方のフィルム片61端が完全に挿入されることにより初めて完全な気密性が確保されることはいうまでもない。
【0007】
ところで、現実の製造工程においては帯状片63はヒートーシールによる融着によりフィルム片62に固着されるが、その融着は事前に帯状片63とフィルム片62間に他方のフィルム片61端を挿入した状態で行われる。即ち、図12の(A)に示すように帯状片63の他方のフィルム片61端が外れた位置にヒートシール部SSを配してヒートーシールローラR1の当接により融着を行う。この場合、加工精度に照らした場合、ヒートーシールローラR1を他方のフィルム片の先端61Eの直近まで近接して当接することは困難であり、誤って他方のフィルム片まで融着してしまうおそれがあるので、ヒートシール部SSは他方のフィルム片の先端からはるかに離れた位置に設けざるを得なかった。その結果、図10に示すように隙間K1内において他方のフィルム片の先端61Eから隙間の突き当たり部を構成するヒートーシール部SSの開始位置までに間隙SXが生じて気密性を損なう問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は前記の問題を解消するシート体を提供することを目的として創作されたものであり、短手方向に2分割するための分断手段を有する表側フィルムに、短手方向に2分割した一対のフィルム片により表側フィルムの全部又は一部を覆うと共に表側フィルムの分断手段に位置する箇所にフィルム片同士の重なり部を設けた裏側フィルムを重ね合わせ、内部にシート状食品を収容するための袋部を構成するように表側フィルムと裏側フィルムをヒートシールにより融着した成形米飯食品を包装するためのシート体にして、裏側フィルムの一対のフィルム片の重なり部において、裏側フィルムの一方のフィルム片端に帯状片を一端が開口して隙間を構成するようにヒートシールにより融着して上記の隙間に他方のフィルム片端を挿入したシート体において、隙間に挿入される側のフィルム片の挿入部分の表面又は表裏面、又は隙間を構成する側のフィルム片及び帯状片の隙間部分の面を非ヒートシール面としたことを特徴とする。
【0009】
又、この発明の包装付き成形米飯食品は前記シート体を用いて、成形米飯食品を載せた状態でシート体を短手側の両端辺同士が向き合うようにコ字状に折り曲げると共に、長手側の両端辺を成形米飯食品の側壁側に折り曲げて互いに接合することにより上方を開口した直方体に製袋し、更に開口において向き合ったシート体の短手側の両端辺同士をヒートシールにより融着することにより封止したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明のシート体によれば、裏側フィルムの一対のフィルム片の重なり部において、隙間に挿入される側のフィルム片の挿入部分の表面又は表裏面、又は隙間を構成する側のフィルム片及び帯状片の隙間部分の面を非ヒートシール面としたので、ヒートーシールによる融着によりフィルム片に帯状片63を溶着する際に他方のフィルム片の挿入部分は融着されない作用を生じる。よって、ヒートーシールローラを他方のフィルム片の先端の直近まで近接して当接した場合に他方のフィルム片が位置する箇所にヒートーシールローラが当接してもその部分は溶着されないので、他方のフィルム片の先端の直近にヒートーシール部を配することが可能となり、他方のフィルム片の先端から隙間の突き当たり部までの間隙を無くすことにより完全な気密性を確保することができる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1乃至図2はこの発明のシート体1の構成を示す図である。このシート体1は裏面をヒートシール層とした表側フィルム10と裏側フィルム13、14を、内部にシート状食品を収容するための袋部を構成するように重合した構成からなる。表側フィルム10は長方形からなり、短手方向に2分割するための帯状の切り取りによる分断手段を有する。この実施例においては分断手段として表側フィルム10の裏面に帯状のテープ11を積層し、上記テープ11の表面を非ヒートシール面としている。この実施例においては帯状のテープ11を従来のカットテープに比し幅広とすると共に適度の腰を有する素材により構成することにより、引き裂きにあたっての指先でのテープ端の探索を容易にしている。又、分断手段(帯状のテープ)の引き上げ開始時における引き裂きを容易にするために、表側フィルムの一端の分断手段の開始箇所の左右に一対の切り込み12、12を設けている。
【0012】
裏側フィルムは包装時におにぎりRに接する側のフィルムであり、表側フィルム10の全部又は一部を覆う形状に短手方向に2分割した一対のフィルム片13及び14により構成され、これらのフィルム片は表側フィルムの分断手段に位置する箇所において一部分が重なる重なり部Kを構成する。
【0013】
表側フィルム10と裏側フィルム13、14は、裏側フィルムのフィルム片同士の重なり部を除いた周縁にヒートシール部S1を設けて融着、重合されることにより内部にシート状食品Nを収容するための袋部を構成する。この実施例においてはシート状食品Nとして海苔を想定している。
【0014】
前記の裏側フィルムの一対のフィルム片13及び14の重なり部において、裏側フィルムの一方のフィルム片13端に帯状片15を一端が開口して隙間Kを構成するようにヒートシールにより融着する。この発明においては隙間Kに挿入される側のフィルム片14の挿入部分の表裏面、又は隙間を構成する側のフィルム片13及び帯状片15の隙間部分の面を非ヒートシール面とすることを特徴とするが、この実施例においては隙間Kに挿入される側のフィルム片14の挿入部分の表裏面自体を非ヒートシール面16としている。
【0015】
図3は前記の非ヒートシール面に関する異なる実施例を示す図であり、ここでは隙間Kに挿入される側のフィルム片14の挿入部分の表裏面に表面が非シートヒール性を有する帯状のテープ17、17を積層することにより、挿入部分の表裏面を非ヒートシール有としている。
【0016】
尚、以上の実施例においては隙間Kに挿入される側のフィルム片14の挿入部分の表裏面を共に非ヒートシール面としているが、実際には後記するヒートシールローラRの熱はフィルム片14の挿入部分の裏面まで溶融するに至らない場合が多いので、状況によっては非ヒートシール面とするのはフィルム片14の挿入部分の表面(帯状片15に接する側)のみでもよい。
【0017】
図12の(B)はこの実施例のシート体1の重なり部における、裏側フィルムの一方のフィルム片13と帯状片15の融着状態を示す概念図である。この実施例においては、ヒートシールローラRとして企図するヒートシール部Sより幅広のものを採用し、他方のフィルム片14端が位置する隙間K箇所まで当接させるが、上記箇所は非ヒートシール面としているのでヒートシールローラにより融着することなく、他方のフィルム片の先端14Eの直近にヒートーシール部Sを配することが可能となる。
【0018】
図4乃至図8はこの発明のシート体を用いた包装付き成形米飯食品の一例の製造過程を示す図であり、ここでは成形米飯食品として三角形状のおにぎりを例示している。図中符号1はシート体であり、ここにおにぎりRを当接した状態で折り目2B、2Bを境として包装体の正面部A、底襠部B、背面部Cを構成する領域がおにぎりの正面に密接するようにコ字状に折り曲げられ、その後、折り目2A、2Aを境として包装体の側襠部D、Dを構成する領域3、3がおにぎり側に折り曲げられる。又、その際に包装体の側襠部D、Dを構成する領域3、3と折り目2Aに挟まれる領域4が折り目2B、2B及び2C、2Cを境として折り畳まれて、領域3、3の裏面に重合される。
【0019】
以上の過程により上方を開口した直方体からなる包装体が得られ、側襠部D、Dを構成する領域3、3と、折り畳まれてその裏面に重合される領域4がヒートシール部S2において同時に融着されると共に、領域3、3同士もヒートシールされる(図6参照)。
【0020】
次に、側襠部D、Dを折り目5Aが包装体内方に突出するように内方に折り込みながら正面部Aと背面部Cを開口において近接させ(図7参照)、更に開口において向き合ったシート体1の短手側の両端辺同士をヒートシール部Sにおいて融着して封止することにより一連の包装は完了する(図8参照)。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明のシート体の分解斜視図。
【図2】同上、断面図。
【図3】この発明のシート体の異なる実施例の分解斜視図。
【図4】この発明の装付き成形米飯食品の製造過程を示す斜視図。
【図5】同上、製造過程を示す斜視図。
【図6】同上、製造過程を示す斜視図。
【図7】同上、製造過程を示す斜視図。
【図8】この発明の包装付き成形米飯食品の斜視図。
【図9】従来技術の成形米飯食品のシート体の分解斜視図。
【図10】従来技術の包装付き成形米飯食品の斜視図。
【図11】同上、断面図。
【図12】この発明と従来技術の作用の対比を図示した構成図。
【符号の説明】
【0022】
R 成形米飯食品
N シート状食品
S1 ヒートーシール部
S2 ヒートーシール部
1 シート体
10 表側フィルム
12 帯状のテープ
13 (裏側フィルムを構成する)フィルム片
14 (裏側フィルムを構成する)フィルム片
15 帯状片
16 非ヒートシール面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
短手方向に2分割するための分断手段を有する表側フィルムに、短手方向に2分割した一対のフィルム片により表側フィルムの全部又は一部を覆うと共に表側フィルムの分断手段に位置する箇所にフィルム片同士の重なり部を設けた裏側フィルムを重ね合わせ、内部にシート状食品を収容するための袋部を構成するように表側フィルムと裏側フィルムをヒートシールにより融着した成形米飯食品を包装するためのシート体にして、裏側フィルムの一対のフィルム片の重なり部において、裏側フィルムの一方のフィルム片端に帯状片を一端が開口して隙間を構成するようにヒートシールにより融着して上記の隙間に他方のフィルム片端を挿入したシート体において、隙間に挿入される側のフィルム片の挿入部分の表面又は表裏面、又は隙間を構成する側のフィルム片及び帯状片の隙間部分の面を非ヒートシール面としたことを特徴とする成形米飯食品包装用シート体。
【請求項2】
隙間に挿入される側のフィルム片の挿入部分の表面又は表裏面に表面が非シートヒール性を有する帯状のテープを積層することにより、挿入部分の表裏面を非ヒートシール有する面とする手段とした請求項1記載の成形米飯食品包装用シート体。
【請求項3】
下記(1) の構成からなるシート体により製袋される包装体と、これに包装される成形米飯食品からなり、成形米飯食品を載せた状態でシート体を短手側の両端辺同士が向き合うようにコ字状に折り曲げると共に、長手側の両端辺を成形米飯食品の側壁側に折り曲げて互いに接合することにより上方を開口した直方体に製袋し、更に開口において向き合ったシート体の短手側の両端辺同士をヒートシールにより融着することにより封止したことを特徴とする包装付き成形米飯食品。
(1) 短手方向に2分割するための分断手段を有する表側フィルムに、短手方向に2分割した一対のフィルム片により表側フィルムの全部又は一部を覆うと共に表側フィルムの分断手段に位置する箇所にフィルム片同士の重なり部を設けた裏側フィルムを重ね合わせ、内部にシート状食品を収容するための袋部を構成するように表側フィルムと裏側フィルムをヒートシールにより融着したシート体にして、裏側フィルムの一対のフィルム片の重なり部において、裏側フィルムの一方のフィルム片端に帯状片を一端が開口して隙間を構成するようにヒートシールにより融着して上記の隙間に他方のフィルム片端を挿入したシート体において、隙間に挿入される側のフィルム片の挿入部分の表面又は表裏面、又は隙間を構成する側のフィルム片及び帯状片の隙間部分の面を非ヒートシール面としたシート体。
【請求項1】
短手方向に2分割するための分断手段を有する表側フィルムに、短手方向に2分割した一対のフィルム片により表側フィルムの全部又は一部を覆うと共に表側フィルムの分断手段に位置する箇所にフィルム片同士の重なり部を設けた裏側フィルムを重ね合わせ、内部にシート状食品を収容するための袋部を構成するように表側フィルムと裏側フィルムをヒートシールにより融着した成形米飯食品を包装するためのシート体にして、裏側フィルムの一対のフィルム片の重なり部において、裏側フィルムの一方のフィルム片端に帯状片を一端が開口して隙間を構成するようにヒートシールにより融着して上記の隙間に他方のフィルム片端を挿入したシート体において、隙間に挿入される側のフィルム片の挿入部分の表面又は表裏面、又は隙間を構成する側のフィルム片及び帯状片の隙間部分の面を非ヒートシール面としたことを特徴とする成形米飯食品包装用シート体。
【請求項2】
隙間に挿入される側のフィルム片の挿入部分の表面又は表裏面に表面が非シートヒール性を有する帯状のテープを積層することにより、挿入部分の表裏面を非ヒートシール有する面とする手段とした請求項1記載の成形米飯食品包装用シート体。
【請求項3】
下記(1) の構成からなるシート体により製袋される包装体と、これに包装される成形米飯食品からなり、成形米飯食品を載せた状態でシート体を短手側の両端辺同士が向き合うようにコ字状に折り曲げると共に、長手側の両端辺を成形米飯食品の側壁側に折り曲げて互いに接合することにより上方を開口した直方体に製袋し、更に開口において向き合ったシート体の短手側の両端辺同士をヒートシールにより融着することにより封止したことを特徴とする包装付き成形米飯食品。
(1) 短手方向に2分割するための分断手段を有する表側フィルムに、短手方向に2分割した一対のフィルム片により表側フィルムの全部又は一部を覆うと共に表側フィルムの分断手段に位置する箇所にフィルム片同士の重なり部を設けた裏側フィルムを重ね合わせ、内部にシート状食品を収容するための袋部を構成するように表側フィルムと裏側フィルムをヒートシールにより融着したシート体にして、裏側フィルムの一対のフィルム片の重なり部において、裏側フィルムの一方のフィルム片端に帯状片を一端が開口して隙間を構成するようにヒートシールにより融着して上記の隙間に他方のフィルム片端を挿入したシート体において、隙間に挿入される側のフィルム片の挿入部分の表面又は表裏面、又は隙間を構成する側のフィルム片及び帯状片の隙間部分の面を非ヒートシール面としたシート体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−21802(P2006−21802A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−202439(P2004−202439)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(502405022)三豊株式会社 (7)
【出願人】(598095101)株式会社カナオカ (20)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(502405022)三豊株式会社 (7)
【出願人】(598095101)株式会社カナオカ (20)
【Fターム(参考)】
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