成膜装置、表示装置の製造装置及び表示装置の製造方法
【課題】安定して所望する膜厚の薄膜からなる表示素子を製造することが可能な表示装置の製造装置及び表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 表示素子を構成する薄膜を形成するための材料源を備えた蒸着源410と、待機位置501において蒸着源410と対向し蒸着レートを測定する計測機構420と、待機位置とは異なる処理位置502において処理対象基板SUBの主面を蒸着源410に対向した状態で走査する走査機構430と、計測機構420により測定された蒸着レートに基づき蒸着源410から材料源の飛散が開始されてからの時間の経過に伴う処理対象基板主面上での成膜厚の変化を補償するように走査機構430の走査速度を設定する速度設定機構440と、を備えたことを特徴とする。
【解決手段】 表示素子を構成する薄膜を形成するための材料源を備えた蒸着源410と、待機位置501において蒸着源410と対向し蒸着レートを測定する計測機構420と、待機位置とは異なる処理位置502において処理対象基板SUBの主面を蒸着源410に対向した状態で走査する走査機構430と、計測機構420により測定された蒸着レートに基づき蒸着源410から材料源の飛散が開始されてからの時間の経過に伴う処理対象基板主面上での成膜厚の変化を補償するように走査機構430の走査速度を設定する速度設定機構440と、を備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蒸着膜の製造装置及びその製造方法に係り、特に、表示装置を構成する自発光性の表示素子を製造するための製造装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、平面表示装置として、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置が注目されている。この有機EL表示装置は、自発光性素子であることから、視野角が広く、バックライトを必要とせず薄型化が可能であり、消費電力が抑えられ、且つ応答速度が速いといった特徴を有している。
【0003】
これらの特徴から、有機EL表示装置は、液晶表示装置に代わる、次世代平面表示装置の有力候補として注目を集めている。このような有機EL表示装置は、アレイ基板として第1電極(陽極)と第2電極(陰極)との間に発光機能を有する有機化合物を含む有機活性層を保持した有機EL素子をマトリックス状に配置することにより構成される。このような構成において、例えば、第1電極(陽極)及び有機活性層は、画素毎に配置されている。
【0004】
このような有機EL素子の製造工程において、金属材料からなる第1電極及び第2電極の他に、低分子系の有機化合物からなる有機活性層を形成する工程においては、蒸着源から飛散した材料源を蒸着する蒸着法を適用可能である。このような蒸着により薄膜を形成する工程においては、材料源の飛散範囲を制御板により規制することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−225058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような蒸着法を行う装置においては、形成される膜厚を制御するため、蒸着源より材料が飛散されている状態において、蒸着源に正対する位置に配置された膜厚モニタから得られた膜厚に基づいて蒸着速度を検出し、これにより基板に蒸着される膜厚を予測し、材料の飛散範囲を制御する。
【0006】
一方で、蒸着源から飛散した材料源の一部は、制御板の表面に付着する。処理時間すなわち蒸着源から材料源の飛散が開始されてからの時間の経過に伴い、制御板に付着する材料源の量が増加し、次第に材料源の飛散範囲が狭められる。蒸着源と膜厚モニタが正対する状態で測定される蒸着レートには飛散範囲の縮小に対応した情報が含まれないため、この蒸着レートに基づいて設定された条件で処理対象基板主面に成膜した際、所望する膜厚が得られないことがある。
【0007】
この発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、安定して所望する膜厚の薄膜を製造することが可能な成膜装置、このような所定膜厚の薄膜を有する表示素子を製造することが可能な表示装置の製造装置及び表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1様態による成膜装置は、
蒸着源と、
前記蒸着源からの材料源の飛散範囲を制御する制御板と
被成膜部材を、前記蒸着源から材料源が飛散する方向と交差する方向に所定速度で搬送する搬送手段と、
前記蒸着源と対向する位置に配置され、蒸着レートを測定する計測機構と、
前記蒸着源から材料源の飛散が開始されてから経過した経過時間を計測するタイマー部と、
前記蒸着レートの測定結果及び前記経過時間に基づき、前記被成膜部材の搬送速度を制御する速度設定機構と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
この発明の第2様態による表示装置の製造装置は、
基板の主面側にマトリクス状に配置された表示素子を備えた表示装置を製造する製造装置であって、
前記表示素子を構成する薄膜を形成するための材料源を備えた蒸着源と、
待機位置において前記蒸着源と対向し、蒸着レートを測定する計測機構と、
待機位置とは異なる処理位置において基板主面を前記蒸着源に対向した状態で走査する走査機構と、
前記計測機構により測定された蒸着レートに基づき、前記蒸着源から材料源の飛散が開始されてからの時間の経過に伴う基板主面上での成膜厚の変化を補償するように前記走査機構の走査速度を設定する速度設定機構と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明の第3様態による表示装置の製造方法は、
基板の主面側にマトリクス状に配置された表示素子を備えた表示装置を製造する製造方法であって、
待機位置において、前記表示素子を構成する薄膜を形成するための材料源を備えた蒸着源と対向し、蒸着レートを測定する工程と、
待機位置とは異なる処理位置において、基板主面を前記蒸着源に対向した状態で走査し、基板主面上に所定成膜厚の薄膜を形成する工程と、を備え、
前記薄膜形成工程における走査を開始する以前に、前記測定工程において測定した蒸着レートに基づき、前記蒸着源から材料源の飛散が開始されてからの時間の経過に伴う基板主面上での成膜厚の変化を補償するように走査速度を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、薄膜成膜の際、安定して所望する膜厚の薄膜を得ることができ、また、所定膜厚の薄膜を有する表示素子を製造することが可能な表示装置の製造装置及び表示装置の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の一実施の形態に係る成膜装置、表示装置の製造装置及びその製造方法について図面を参照して説明する。なお、この実施の形態では、表示装置として、自己発光型表示装置、例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置を例にして説明する。
【0013】
図1及び図2に示すように、有機EL表示装置1は、画像を表示する表示エリア102を有するアレイ基板100を備えている。アレイ基板100の表示エリア102は、マトリクス状に配置された複数の画素PX(R、G、B)によって構成されている。
【0014】
また、アレイ基板100は、画素PXの行方向(すなわち図1のY方向)に沿って配置された複数の走査線Ym(m=1、2、…)と、走査線Ymと略直交する方向(すなわち図1のX方向)に沿って配置された複数の信号線Xn(n=1、2、…)と、有機EL素子40の第1電極60側に電源を供給するための電源供給線Pと、を備えている。
【0015】
さらに、アレイ基板100は、表示エリア102の外周に沿った周辺エリア104に、走査線Ymのそれぞれに走査信号を供給する走査線駆動回路107と、信号線Xnのそれぞれに映像信号を供給する信号線駆動回路108と、を備えている。すべての走査線Ymは、走査線駆動回路107に接続されている。また、すべての信号線Xnは、信号線駆動回路108に接続されている。
【0016】
各画素PX(R、G、B)は、オン画素とオフ画素とを電気的に分離しかつオン画素への映像信号を保持する機能を有する画素スイッチ10と、画素スイッチ10を介して供給される映像信号に基づき表示素子へ所望の駆動電流を供給する駆動トランジスタ20と、駆動トランジスタ20のゲート−ソース間電位を所定期間保持する蓄積容量素子30とを備えている。これら画素スイッチ10及び駆動トランジスタ20は、例えば薄膜トランジスタにより構成され、ここではそれらの半導体層にポリシリコンを用いている。
【0017】
また、各画素PX(R、G、B)は、表示素子としての有機EL素子40(R、G、B)をそれぞれ備えている。すなわち、赤色画素PXRは、主に赤色波長に対応した光を出射する有機EL素子40Rを備えている。緑色画素PXGは、主に緑色波長に対応した光を出射する有機EL素子40Gを備えている。青色画素PXBは、主に青色波長に対応した光を出射する有機EL素子40Bを備えている。
【0018】
各種有機EL素子40(R、G、B)の構成は、基本的に同一である。すなわち、図2に示すように、アレイ基板100は、配線基板120の主面側に配置された複数の有機EL素子40を備えている。なお、配線基板120は、ガラス基板やプラスチックシートなどの絶縁性支持基板上に、画素スイッチ10、駆動トランジスタ20、蓄積容量素子30、走査線駆動回路107、信号線駆動回路108、各種配線(走査線、信号線、電源供給線等)などを備えて構成されたものとする。
【0019】
有機EL素子40は、マトリクス状に配置され画素PX毎に独立島状に形成された第1電極60と、第1電極60に対向して配置され全画素PXに共通に形成された第2電極66と、これら第1電極60と第2電極66との間に保持された光活性層(ここでは有機活性層)64と、によって構成されている。
【0020】
有機EL素子40を構成する第1電極60は、配線基板120表面の絶縁膜上に配置され、陽極として機能する。
【0021】
有機活性層62は、発光層を含んでいる。この有機活性層62は、発光層以外の層を含むことができ、例えば、各色共通に形成される正孔輸送層、及び各色画素に形成される発光層の2層構造で構成されても良いし、正孔注入層、ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、バッファ層などを含むこともでき、またこれらを機能的に複合した層を含んでもよい。有機活性層62においては、発光層が有機系材料であればよく、発光層以外の層は無機系材料でも有機系材料でも構わない。発光層は、赤、緑、または青に発光する発光機能を有する有機化合物によって形成される。
【0022】
第2電極66は、有機活性層64上に各有機EL素子40に共通に配置される。この第2電極66は、電子注入機能を有する金属材料によって形成され、陰極として機能する。
【0023】
また、アレイ基板100は、表示エリア102において、少なくとも隣接する色毎に画素PX(R、G、B)間を分離する隔壁70を備えている。隔壁70は、各画素を分離するよう形成することが望ましく、ここでは、隔壁70は、各第1電極60の周縁に沿って格子状に配置され、第1電極60を露出する隔壁の開口形状が矩形となるよう形成されている。この隔壁70は、樹脂材料によって形成される。
【0024】
このような構成のアレイ基板100は、有機EL素子40を備えた主面側が封止体200によって気密に封止されている。
【0025】
次に、上述したような構成の表示装置の製造方法について説明する。
【0026】
まず、図3Aに示すように、配線基板120上の表示エリア102において、画素毎に独立島状の第1電極60を形成する。すなわち、配線基板120の一主面側において陽極として機能する金属膜をパターン化し、第1電極60を形成する。この第1電極60については、一般的はフォトリソグラフィプロセスで形成しても良いし、画素に対応したパターン(すなわち各画素の第1電極の形状に対応した開口パターン)を有するマスク本体を介して金属材料源を蒸着するマスク蒸着法によって形成しても良い。
【0027】
続いて、図3Bに示すように、各画素を分離する隔壁70を形成する。すなわち、感光性樹脂材料例えばアクリルタイプのポジティブトーンのレジストを第1電極60上を含む配線基板120の一主面側全体に成膜した後にフォトリソグラフィプロセスなどでパターニングした後に、220℃で60分の焼成処理を行う。これにより、各画素を囲むような格子状の隔壁70を形成する。
【0028】
続いて、図3Cに示すように、各画素内における第1電極60上に有機活性層64を形成する。すなわち、発光層のほかにホールバッファ層などを含む有機活性層64として、低分子系材料を選択し、画素に対応したパターン(すなわち各画素の有機活性層に対応した開口パターン)APを有するマスク本体Mを介して有機系の材料源を蒸着するマスク蒸着法によって形成可能である。
【0029】
続いて、図3Dに示すように、有機活性層64上に複数の画素に共通の第2電極66を形成する。すなわち、第2電極66は、有機活性層64を配置した配線基板120の一主面側に陰極として機能する金属材料源を蒸着する蒸着法によって形成可能である。
【0030】
このような工程により、有機EL素子40が形成される。
【0031】
次に、上述したような有機EL素子40を構成する各薄膜を形成するための製造装置について説明する。
【0032】
製造装置400は、図4に示すように、蒸着源410と、計測機構420と、走査機構430と、速度設定機構440と、を備えている。また、この製造装置400は、内部に処理対象基板SUBすなわちその主面上に薄膜が形成される基板(被成膜部材)を配置可能に構成されている。
【0033】
蒸着源410は、有機EL素子40を構成する薄膜を形成するための材料源を備えている。材料源としては、例えば第1電極60、有機活性層64、第2電極66などを形成するための無機系あるいは有機系の材料である。この蒸着源410は、ルツボ内に備えた材料源を加熱する加熱機構などを備えており、材料源を飛散可能に構成されている。
【0034】
計測機構420は、装置内部における待機位置501において、蒸着源410と対向して配置されており、蒸着レートを測定する。すなわち、この計測機構420は、膜厚計を備えている。そして、計測機構420は、材料源を飛散した状態の蒸着源410と対向した状態で所定時間が経過した後に膜厚計から出力される膜厚に対応した信号に基づいて単位時間当たりに成膜される薄膜の膜厚すなわち蒸着レートを計測する。
【0035】
走査機構430は、装置内部における待機位置501とは異なる処理位置502において、処理対象基板SUBの主面を蒸着源410に対向した状態で走査する。すなわち、この走査機構430は、蒸着源410が処理対象基板SUBの主面の全体を走査するよう処理対象基板SUB及び蒸着源410の少なくとも一方を移動する機構を備えている。図4に示した例では、走査機構430は、処理位置502において固定的に配置された処理対象基板SUBに対して蒸着源410を処理対象基板SUBの主面全域にわたって走査するように構成されている。このとき、走査機構430は、図4においては、蒸着源410から材料源が飛散する方向と交差する方向に所定速度で処理対象基板SUBを搬送する。
【0036】
速度設定機構440は、計測機構420により測定された蒸着レートに基づき、蒸着源410から材料源の飛散が開始されてからの時間の経過に伴う処理対処基板SUBの主面上での成膜厚の変化を補償するように走査機構430の走査速度を設定する。
【0037】
すなわち、図4に示すように、製造装置400は、蒸着源410と処理対象基板SUBとの間に配置された制御板450を備えている。この制御板450は、蒸着源410から飛散する材料源の飛散範囲451を規制する。図4に示した例では、制御板450は、走査機構430により蒸着源410とともに移動する。図5に示すように、蒸着源410から飛散した材料源の一部(例えば飛散範囲451外に飛散しようとする材料源など)Sは、制御板450に付着しやすい。制御板450に材料源Sが一切付着していない場合には、所定の飛散範囲451Aが規定される。これに対して、処理時間すなわち蒸着源410から材料源の飛散が開始されてからの時間の経過に伴い、制御板450に付着する材料源Sの量が増加すると、当初の飛散範囲451Aより狭められた飛散範囲451Bが規定される。
【0038】
つまり、図6の点線で示すように、処理時間(h)の経過に伴い、制御板450への一部の材料源Sの付着量(mm)が次第に増大する。このため、材料源の飛散範囲が縮小してしまい、実質的に蒸着レートが低下する。これにより、一定の走査速度で薄膜を形成した場合、図6の実線で示すように、処理時間(h)の経過に伴い、処理対象基板SUBの主面に成膜される薄膜の成膜厚(オングストローム)が次第に減少する。図6に示した例では、材料源の制御板450への付着量及び薄膜の成膜厚は、処理時間の一次関数で与えられる。
【0039】
一方で、図7に示すように、処理対象基板SUBの主面上に所定成膜厚の薄膜を形成するための蒸着レート(オングストローム/s)と走査速度(mm/s)との間には、相関関係がある。図7に示した例では、制御板450に材料源Sが一切付着していない初期状態において、走査速度は、蒸着レートの一次関数で与えられる。このため、速度設定機構440は、初期状態では、計測部420で測定した蒸着レートに基づき走査機構430による走査速度を設定することにより、処理対象基板SUBの主面上に所定成膜厚の薄膜を形成することができる。
【0040】
しかしながら、処理時間の経過に伴い、計測機構420で測定される蒸着レートは不変(つまり走査速度も不変)であっても、図6に示したように、走査速度を一定としたときに処理対象基板SUBの主面上での成膜厚は次第に減少するため、所望する成膜厚の薄膜が得られない。
【0041】
そこで、速度設定機構440は、計測機構420により測定された蒸着レートに基づき処理対象基板SUB上に所定成膜厚の薄膜を形成するように設定した走査速度を、処理時間及び経過した処理時間の単位時間当たりの成膜厚の減少割合に基づいて補正する。これにより、材料源の飛散範囲451の大小にかかわらず、常に安定して所望する所定成膜厚の薄膜を蒸着により形成することが可能となる。
【0042】
なお、蒸着源410から材料減の飛散が開始されてから経過した経過時間すなわち処理時間は、タイマー部441により計測可能であるが、速度設定機構440に処理時間を計測する機能を持たせても良い。
【0043】
また、走査機構430の走査速度を一定としたときに蒸着源410から材料源の飛散が開始されてから経過した単位時間当たりの処理対象基板SUBの主面上での成膜厚の減少割合(例えば、図6の実線で示した関数の傾き)、及び、計測機構420により測定した蒸着レートに対して処理対象基板SUBの主面上に所定成膜厚の薄膜を形成するための走査機構430の走査速度を設定したテーブル(例えば、図7に示したような関係)は、記憶部442により記憶可能であるが、速度設定機構440にこれらの減少割合及びテーブルを記憶する機能を持たせても良い。
【0044】
次に、製造装置400における薄膜の製造方法についてより具体的に説明する。
【0045】
図8に示すように、まず、蒸着レートを測定する(ST1)。すなわち、蒸着源410において、ルツボ内の材料源を加熱し、材料源の飛散を開始する。そして、製造装置400の内部における待機位置501において、材料源を飛散している蒸着源410と計測機構420とを対向した状態で配置する。計測機構420は、タイマー部441により所定時間を計測したタイミングで膜厚計により成膜された膜厚を計測し、蒸着レートを算出する。
【0046】
続いて、速度設定機構440は、仮走査速度V1を設定する(ST2)。すなわち、速度設定機構440は、記憶部442に記憶されたテーブルを参照し、計測機構420により計測された蒸着レートに基づき対応する走査速度を仮走査速度V1として設定する。ここでは、例えば、蒸着レートが4.5オングストローム/sであり、図7に示したテーブルに基づき、仮走査速度V1を17mm/sと設定する。
【0047】
続いて、速度設定機構440は、実走査速度V2を設定する(ST3)。すなわち、速度設定機構440は、設定した仮走査速度V1、記憶部442に記憶された減少割合G、及び、タイマー部441により計測された処理時間Hに基づき、実走査速度V2を設定する。ここでは、実走査速度V2は処理時間Hの一次関数であるものとし、
V2=G*H+V1
で規定されるものとする。このとき、例えば、仮走査速度V1が17mm/sであり、減少割合Gが−0.31であるため、関数、
V2=−0.31*H+17
が与えられる(図9参照)。つまり、走査速度を処理時間当たり0.31%遅く設定することにより、所望の成膜厚を得ることができる。これにより、速度設定機構440は、処理時間Hに対応した実走査速度V2を算出する。
【0048】
続いて、処理対象基板SUBの主面上に所定成膜厚の薄膜を形成する(ST4)。すなわち、走査機構430は、速度設定機構440により設定された実走査速度V2で蒸着源410及び制御板450を移動し、処理位置502に配置された処理対象基板SUBの主面を走査する。これにより、処理対象基板SUBの主面上に所定成膜厚の薄膜が形成される。
【0049】
以上説明したように、この実施の形態によれば、処理時間にかかわらず、安定して所望する膜厚の薄膜を製造することが可能となる。したがって、このような薄膜からなる表示素子によれば、安定して良好な表示性能を達成することができる。
【0050】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、この発明の一実施の形態に係る有機EL表示装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2は、図1に示した有機EL表示装置の1画素分の構造を概略的に示す断面図である。
【図3A】図3Aは、有機EL表示装置を形成するための製造工程を説明するための図であり、第1電極を形成する工程を示す図である。
【図3B】図3Bは、有機EL表示装置を形成するための製造工程を説明するための図であり、隔壁を形成する工程を示す図である。
【図3C】図3Cは、有機EL表示装置を形成するための製造工程を説明するための図であり、有機活性層を形成する工程を示す図である。
【図3D】図3Dは、有機EL表示装置を形成するための製造工程を説明するための図であり、第2電極を形成する工程を示す図である。
【図4】図4は、薄膜を製造するための製造装置の構成例を概略的に示す図である。
【図5】図5は、制御板への材料源の付着に伴う飛散範囲の変化を説明するための図である。
【図6】図6は、処理時間に対する制御板への材料源の付着量の関係、及び、処理時間に対する薄膜の成膜厚の関係の一例を示す図である。
【図7】図7は、所定成膜厚の薄膜を形成するための蒸着レートに対する走査速度の関係の一例を示す図である。
【図8】図8は、図4に示した製造装置による薄膜の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図9】図9は、処理時間の経過に伴う仮走査速度から実走査速度を算出するための関数の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1…有機EL表示装置、10…画素スイッチ、20…駆動トランジスタ、30…蓄積容量素子、40…有機EL素子、60…第1電極、64…有機活性層、66…第2電極、70…隔壁、100…アレイ基板、120…配線基板、PX…画素、400…製造装置、410…蒸着源、420…計測機構、430…走査機構、440…速度設定機構、441…タイマー部、442…記憶部、450…制御板、SUB…処理対象基板
【技術分野】
【0001】
この発明は、蒸着膜の製造装置及びその製造方法に係り、特に、表示装置を構成する自発光性の表示素子を製造するための製造装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、平面表示装置として、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置が注目されている。この有機EL表示装置は、自発光性素子であることから、視野角が広く、バックライトを必要とせず薄型化が可能であり、消費電力が抑えられ、且つ応答速度が速いといった特徴を有している。
【0003】
これらの特徴から、有機EL表示装置は、液晶表示装置に代わる、次世代平面表示装置の有力候補として注目を集めている。このような有機EL表示装置は、アレイ基板として第1電極(陽極)と第2電極(陰極)との間に発光機能を有する有機化合物を含む有機活性層を保持した有機EL素子をマトリックス状に配置することにより構成される。このような構成において、例えば、第1電極(陽極)及び有機活性層は、画素毎に配置されている。
【0004】
このような有機EL素子の製造工程において、金属材料からなる第1電極及び第2電極の他に、低分子系の有機化合物からなる有機活性層を形成する工程においては、蒸着源から飛散した材料源を蒸着する蒸着法を適用可能である。このような蒸着により薄膜を形成する工程においては、材料源の飛散範囲を制御板により規制することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−225058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような蒸着法を行う装置においては、形成される膜厚を制御するため、蒸着源より材料が飛散されている状態において、蒸着源に正対する位置に配置された膜厚モニタから得られた膜厚に基づいて蒸着速度を検出し、これにより基板に蒸着される膜厚を予測し、材料の飛散範囲を制御する。
【0006】
一方で、蒸着源から飛散した材料源の一部は、制御板の表面に付着する。処理時間すなわち蒸着源から材料源の飛散が開始されてからの時間の経過に伴い、制御板に付着する材料源の量が増加し、次第に材料源の飛散範囲が狭められる。蒸着源と膜厚モニタが正対する状態で測定される蒸着レートには飛散範囲の縮小に対応した情報が含まれないため、この蒸着レートに基づいて設定された条件で処理対象基板主面に成膜した際、所望する膜厚が得られないことがある。
【0007】
この発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、安定して所望する膜厚の薄膜を製造することが可能な成膜装置、このような所定膜厚の薄膜を有する表示素子を製造することが可能な表示装置の製造装置及び表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1様態による成膜装置は、
蒸着源と、
前記蒸着源からの材料源の飛散範囲を制御する制御板と
被成膜部材を、前記蒸着源から材料源が飛散する方向と交差する方向に所定速度で搬送する搬送手段と、
前記蒸着源と対向する位置に配置され、蒸着レートを測定する計測機構と、
前記蒸着源から材料源の飛散が開始されてから経過した経過時間を計測するタイマー部と、
前記蒸着レートの測定結果及び前記経過時間に基づき、前記被成膜部材の搬送速度を制御する速度設定機構と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
この発明の第2様態による表示装置の製造装置は、
基板の主面側にマトリクス状に配置された表示素子を備えた表示装置を製造する製造装置であって、
前記表示素子を構成する薄膜を形成するための材料源を備えた蒸着源と、
待機位置において前記蒸着源と対向し、蒸着レートを測定する計測機構と、
待機位置とは異なる処理位置において基板主面を前記蒸着源に対向した状態で走査する走査機構と、
前記計測機構により測定された蒸着レートに基づき、前記蒸着源から材料源の飛散が開始されてからの時間の経過に伴う基板主面上での成膜厚の変化を補償するように前記走査機構の走査速度を設定する速度設定機構と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明の第3様態による表示装置の製造方法は、
基板の主面側にマトリクス状に配置された表示素子を備えた表示装置を製造する製造方法であって、
待機位置において、前記表示素子を構成する薄膜を形成するための材料源を備えた蒸着源と対向し、蒸着レートを測定する工程と、
待機位置とは異なる処理位置において、基板主面を前記蒸着源に対向した状態で走査し、基板主面上に所定成膜厚の薄膜を形成する工程と、を備え、
前記薄膜形成工程における走査を開始する以前に、前記測定工程において測定した蒸着レートに基づき、前記蒸着源から材料源の飛散が開始されてからの時間の経過に伴う基板主面上での成膜厚の変化を補償するように走査速度を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、薄膜成膜の際、安定して所望する膜厚の薄膜を得ることができ、また、所定膜厚の薄膜を有する表示素子を製造することが可能な表示装置の製造装置及び表示装置の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の一実施の形態に係る成膜装置、表示装置の製造装置及びその製造方法について図面を参照して説明する。なお、この実施の形態では、表示装置として、自己発光型表示装置、例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置を例にして説明する。
【0013】
図1及び図2に示すように、有機EL表示装置1は、画像を表示する表示エリア102を有するアレイ基板100を備えている。アレイ基板100の表示エリア102は、マトリクス状に配置された複数の画素PX(R、G、B)によって構成されている。
【0014】
また、アレイ基板100は、画素PXの行方向(すなわち図1のY方向)に沿って配置された複数の走査線Ym(m=1、2、…)と、走査線Ymと略直交する方向(すなわち図1のX方向)に沿って配置された複数の信号線Xn(n=1、2、…)と、有機EL素子40の第1電極60側に電源を供給するための電源供給線Pと、を備えている。
【0015】
さらに、アレイ基板100は、表示エリア102の外周に沿った周辺エリア104に、走査線Ymのそれぞれに走査信号を供給する走査線駆動回路107と、信号線Xnのそれぞれに映像信号を供給する信号線駆動回路108と、を備えている。すべての走査線Ymは、走査線駆動回路107に接続されている。また、すべての信号線Xnは、信号線駆動回路108に接続されている。
【0016】
各画素PX(R、G、B)は、オン画素とオフ画素とを電気的に分離しかつオン画素への映像信号を保持する機能を有する画素スイッチ10と、画素スイッチ10を介して供給される映像信号に基づき表示素子へ所望の駆動電流を供給する駆動トランジスタ20と、駆動トランジスタ20のゲート−ソース間電位を所定期間保持する蓄積容量素子30とを備えている。これら画素スイッチ10及び駆動トランジスタ20は、例えば薄膜トランジスタにより構成され、ここではそれらの半導体層にポリシリコンを用いている。
【0017】
また、各画素PX(R、G、B)は、表示素子としての有機EL素子40(R、G、B)をそれぞれ備えている。すなわち、赤色画素PXRは、主に赤色波長に対応した光を出射する有機EL素子40Rを備えている。緑色画素PXGは、主に緑色波長に対応した光を出射する有機EL素子40Gを備えている。青色画素PXBは、主に青色波長に対応した光を出射する有機EL素子40Bを備えている。
【0018】
各種有機EL素子40(R、G、B)の構成は、基本的に同一である。すなわち、図2に示すように、アレイ基板100は、配線基板120の主面側に配置された複数の有機EL素子40を備えている。なお、配線基板120は、ガラス基板やプラスチックシートなどの絶縁性支持基板上に、画素スイッチ10、駆動トランジスタ20、蓄積容量素子30、走査線駆動回路107、信号線駆動回路108、各種配線(走査線、信号線、電源供給線等)などを備えて構成されたものとする。
【0019】
有機EL素子40は、マトリクス状に配置され画素PX毎に独立島状に形成された第1電極60と、第1電極60に対向して配置され全画素PXに共通に形成された第2電極66と、これら第1電極60と第2電極66との間に保持された光活性層(ここでは有機活性層)64と、によって構成されている。
【0020】
有機EL素子40を構成する第1電極60は、配線基板120表面の絶縁膜上に配置され、陽極として機能する。
【0021】
有機活性層62は、発光層を含んでいる。この有機活性層62は、発光層以外の層を含むことができ、例えば、各色共通に形成される正孔輸送層、及び各色画素に形成される発光層の2層構造で構成されても良いし、正孔注入層、ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、バッファ層などを含むこともでき、またこれらを機能的に複合した層を含んでもよい。有機活性層62においては、発光層が有機系材料であればよく、発光層以外の層は無機系材料でも有機系材料でも構わない。発光層は、赤、緑、または青に発光する発光機能を有する有機化合物によって形成される。
【0022】
第2電極66は、有機活性層64上に各有機EL素子40に共通に配置される。この第2電極66は、電子注入機能を有する金属材料によって形成され、陰極として機能する。
【0023】
また、アレイ基板100は、表示エリア102において、少なくとも隣接する色毎に画素PX(R、G、B)間を分離する隔壁70を備えている。隔壁70は、各画素を分離するよう形成することが望ましく、ここでは、隔壁70は、各第1電極60の周縁に沿って格子状に配置され、第1電極60を露出する隔壁の開口形状が矩形となるよう形成されている。この隔壁70は、樹脂材料によって形成される。
【0024】
このような構成のアレイ基板100は、有機EL素子40を備えた主面側が封止体200によって気密に封止されている。
【0025】
次に、上述したような構成の表示装置の製造方法について説明する。
【0026】
まず、図3Aに示すように、配線基板120上の表示エリア102において、画素毎に独立島状の第1電極60を形成する。すなわち、配線基板120の一主面側において陽極として機能する金属膜をパターン化し、第1電極60を形成する。この第1電極60については、一般的はフォトリソグラフィプロセスで形成しても良いし、画素に対応したパターン(すなわち各画素の第1電極の形状に対応した開口パターン)を有するマスク本体を介して金属材料源を蒸着するマスク蒸着法によって形成しても良い。
【0027】
続いて、図3Bに示すように、各画素を分離する隔壁70を形成する。すなわち、感光性樹脂材料例えばアクリルタイプのポジティブトーンのレジストを第1電極60上を含む配線基板120の一主面側全体に成膜した後にフォトリソグラフィプロセスなどでパターニングした後に、220℃で60分の焼成処理を行う。これにより、各画素を囲むような格子状の隔壁70を形成する。
【0028】
続いて、図3Cに示すように、各画素内における第1電極60上に有機活性層64を形成する。すなわち、発光層のほかにホールバッファ層などを含む有機活性層64として、低分子系材料を選択し、画素に対応したパターン(すなわち各画素の有機活性層に対応した開口パターン)APを有するマスク本体Mを介して有機系の材料源を蒸着するマスク蒸着法によって形成可能である。
【0029】
続いて、図3Dに示すように、有機活性層64上に複数の画素に共通の第2電極66を形成する。すなわち、第2電極66は、有機活性層64を配置した配線基板120の一主面側に陰極として機能する金属材料源を蒸着する蒸着法によって形成可能である。
【0030】
このような工程により、有機EL素子40が形成される。
【0031】
次に、上述したような有機EL素子40を構成する各薄膜を形成するための製造装置について説明する。
【0032】
製造装置400は、図4に示すように、蒸着源410と、計測機構420と、走査機構430と、速度設定機構440と、を備えている。また、この製造装置400は、内部に処理対象基板SUBすなわちその主面上に薄膜が形成される基板(被成膜部材)を配置可能に構成されている。
【0033】
蒸着源410は、有機EL素子40を構成する薄膜を形成するための材料源を備えている。材料源としては、例えば第1電極60、有機活性層64、第2電極66などを形成するための無機系あるいは有機系の材料である。この蒸着源410は、ルツボ内に備えた材料源を加熱する加熱機構などを備えており、材料源を飛散可能に構成されている。
【0034】
計測機構420は、装置内部における待機位置501において、蒸着源410と対向して配置されており、蒸着レートを測定する。すなわち、この計測機構420は、膜厚計を備えている。そして、計測機構420は、材料源を飛散した状態の蒸着源410と対向した状態で所定時間が経過した後に膜厚計から出力される膜厚に対応した信号に基づいて単位時間当たりに成膜される薄膜の膜厚すなわち蒸着レートを計測する。
【0035】
走査機構430は、装置内部における待機位置501とは異なる処理位置502において、処理対象基板SUBの主面を蒸着源410に対向した状態で走査する。すなわち、この走査機構430は、蒸着源410が処理対象基板SUBの主面の全体を走査するよう処理対象基板SUB及び蒸着源410の少なくとも一方を移動する機構を備えている。図4に示した例では、走査機構430は、処理位置502において固定的に配置された処理対象基板SUBに対して蒸着源410を処理対象基板SUBの主面全域にわたって走査するように構成されている。このとき、走査機構430は、図4においては、蒸着源410から材料源が飛散する方向と交差する方向に所定速度で処理対象基板SUBを搬送する。
【0036】
速度設定機構440は、計測機構420により測定された蒸着レートに基づき、蒸着源410から材料源の飛散が開始されてからの時間の経過に伴う処理対処基板SUBの主面上での成膜厚の変化を補償するように走査機構430の走査速度を設定する。
【0037】
すなわち、図4に示すように、製造装置400は、蒸着源410と処理対象基板SUBとの間に配置された制御板450を備えている。この制御板450は、蒸着源410から飛散する材料源の飛散範囲451を規制する。図4に示した例では、制御板450は、走査機構430により蒸着源410とともに移動する。図5に示すように、蒸着源410から飛散した材料源の一部(例えば飛散範囲451外に飛散しようとする材料源など)Sは、制御板450に付着しやすい。制御板450に材料源Sが一切付着していない場合には、所定の飛散範囲451Aが規定される。これに対して、処理時間すなわち蒸着源410から材料源の飛散が開始されてからの時間の経過に伴い、制御板450に付着する材料源Sの量が増加すると、当初の飛散範囲451Aより狭められた飛散範囲451Bが規定される。
【0038】
つまり、図6の点線で示すように、処理時間(h)の経過に伴い、制御板450への一部の材料源Sの付着量(mm)が次第に増大する。このため、材料源の飛散範囲が縮小してしまい、実質的に蒸着レートが低下する。これにより、一定の走査速度で薄膜を形成した場合、図6の実線で示すように、処理時間(h)の経過に伴い、処理対象基板SUBの主面に成膜される薄膜の成膜厚(オングストローム)が次第に減少する。図6に示した例では、材料源の制御板450への付着量及び薄膜の成膜厚は、処理時間の一次関数で与えられる。
【0039】
一方で、図7に示すように、処理対象基板SUBの主面上に所定成膜厚の薄膜を形成するための蒸着レート(オングストローム/s)と走査速度(mm/s)との間には、相関関係がある。図7に示した例では、制御板450に材料源Sが一切付着していない初期状態において、走査速度は、蒸着レートの一次関数で与えられる。このため、速度設定機構440は、初期状態では、計測部420で測定した蒸着レートに基づき走査機構430による走査速度を設定することにより、処理対象基板SUBの主面上に所定成膜厚の薄膜を形成することができる。
【0040】
しかしながら、処理時間の経過に伴い、計測機構420で測定される蒸着レートは不変(つまり走査速度も不変)であっても、図6に示したように、走査速度を一定としたときに処理対象基板SUBの主面上での成膜厚は次第に減少するため、所望する成膜厚の薄膜が得られない。
【0041】
そこで、速度設定機構440は、計測機構420により測定された蒸着レートに基づき処理対象基板SUB上に所定成膜厚の薄膜を形成するように設定した走査速度を、処理時間及び経過した処理時間の単位時間当たりの成膜厚の減少割合に基づいて補正する。これにより、材料源の飛散範囲451の大小にかかわらず、常に安定して所望する所定成膜厚の薄膜を蒸着により形成することが可能となる。
【0042】
なお、蒸着源410から材料減の飛散が開始されてから経過した経過時間すなわち処理時間は、タイマー部441により計測可能であるが、速度設定機構440に処理時間を計測する機能を持たせても良い。
【0043】
また、走査機構430の走査速度を一定としたときに蒸着源410から材料源の飛散が開始されてから経過した単位時間当たりの処理対象基板SUBの主面上での成膜厚の減少割合(例えば、図6の実線で示した関数の傾き)、及び、計測機構420により測定した蒸着レートに対して処理対象基板SUBの主面上に所定成膜厚の薄膜を形成するための走査機構430の走査速度を設定したテーブル(例えば、図7に示したような関係)は、記憶部442により記憶可能であるが、速度設定機構440にこれらの減少割合及びテーブルを記憶する機能を持たせても良い。
【0044】
次に、製造装置400における薄膜の製造方法についてより具体的に説明する。
【0045】
図8に示すように、まず、蒸着レートを測定する(ST1)。すなわち、蒸着源410において、ルツボ内の材料源を加熱し、材料源の飛散を開始する。そして、製造装置400の内部における待機位置501において、材料源を飛散している蒸着源410と計測機構420とを対向した状態で配置する。計測機構420は、タイマー部441により所定時間を計測したタイミングで膜厚計により成膜された膜厚を計測し、蒸着レートを算出する。
【0046】
続いて、速度設定機構440は、仮走査速度V1を設定する(ST2)。すなわち、速度設定機構440は、記憶部442に記憶されたテーブルを参照し、計測機構420により計測された蒸着レートに基づき対応する走査速度を仮走査速度V1として設定する。ここでは、例えば、蒸着レートが4.5オングストローム/sであり、図7に示したテーブルに基づき、仮走査速度V1を17mm/sと設定する。
【0047】
続いて、速度設定機構440は、実走査速度V2を設定する(ST3)。すなわち、速度設定機構440は、設定した仮走査速度V1、記憶部442に記憶された減少割合G、及び、タイマー部441により計測された処理時間Hに基づき、実走査速度V2を設定する。ここでは、実走査速度V2は処理時間Hの一次関数であるものとし、
V2=G*H+V1
で規定されるものとする。このとき、例えば、仮走査速度V1が17mm/sであり、減少割合Gが−0.31であるため、関数、
V2=−0.31*H+17
が与えられる(図9参照)。つまり、走査速度を処理時間当たり0.31%遅く設定することにより、所望の成膜厚を得ることができる。これにより、速度設定機構440は、処理時間Hに対応した実走査速度V2を算出する。
【0048】
続いて、処理対象基板SUBの主面上に所定成膜厚の薄膜を形成する(ST4)。すなわち、走査機構430は、速度設定機構440により設定された実走査速度V2で蒸着源410及び制御板450を移動し、処理位置502に配置された処理対象基板SUBの主面を走査する。これにより、処理対象基板SUBの主面上に所定成膜厚の薄膜が形成される。
【0049】
以上説明したように、この実施の形態によれば、処理時間にかかわらず、安定して所望する膜厚の薄膜を製造することが可能となる。したがって、このような薄膜からなる表示素子によれば、安定して良好な表示性能を達成することができる。
【0050】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、この発明の一実施の形態に係る有機EL表示装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2は、図1に示した有機EL表示装置の1画素分の構造を概略的に示す断面図である。
【図3A】図3Aは、有機EL表示装置を形成するための製造工程を説明するための図であり、第1電極を形成する工程を示す図である。
【図3B】図3Bは、有機EL表示装置を形成するための製造工程を説明するための図であり、隔壁を形成する工程を示す図である。
【図3C】図3Cは、有機EL表示装置を形成するための製造工程を説明するための図であり、有機活性層を形成する工程を示す図である。
【図3D】図3Dは、有機EL表示装置を形成するための製造工程を説明するための図であり、第2電極を形成する工程を示す図である。
【図4】図4は、薄膜を製造するための製造装置の構成例を概略的に示す図である。
【図5】図5は、制御板への材料源の付着に伴う飛散範囲の変化を説明するための図である。
【図6】図6は、処理時間に対する制御板への材料源の付着量の関係、及び、処理時間に対する薄膜の成膜厚の関係の一例を示す図である。
【図7】図7は、所定成膜厚の薄膜を形成するための蒸着レートに対する走査速度の関係の一例を示す図である。
【図8】図8は、図4に示した製造装置による薄膜の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図9】図9は、処理時間の経過に伴う仮走査速度から実走査速度を算出するための関数の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1…有機EL表示装置、10…画素スイッチ、20…駆動トランジスタ、30…蓄積容量素子、40…有機EL素子、60…第1電極、64…有機活性層、66…第2電極、70…隔壁、100…アレイ基板、120…配線基板、PX…画素、400…製造装置、410…蒸着源、420…計測機構、430…走査機構、440…速度設定機構、441…タイマー部、442…記憶部、450…制御板、SUB…処理対象基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸着源と、
前記蒸着源からの材料源の飛散範囲を制御する制御板と
被成膜部材を、前記蒸着源から材料源が飛散する方向と交差する方向に所定速度で搬送する搬送手段と、
前記蒸着源と対向する位置に配置され、蒸着レートを測定する計測機構と、
前記蒸着源から材料源の飛散が開始されてから経過した経過時間を計測するタイマー部と、
前記蒸着レートの測定結果及び前記経過時間に基づき、前記被成膜部材の搬送速度を制御する速度設定機構と、
を備えたことを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
基板の主面側にマトリクス状に配置された表示素子を備えた表示装置を製造する製造装置であって、
前記表示素子を構成する薄膜を形成するための材料源を備えた蒸着源と、
待機位置において前記蒸着源と対向し、蒸着レートを測定する計測機構と、
待機位置とは異なる処理位置において基板主面を前記蒸着源に対向した状態で走査する走査機構と、
前記計測機構により測定された蒸着レートに基づき、前記蒸着源から材料源の飛散が開始されてからの時間の経過に伴う基板主面上での成膜厚の変化を補償するように前記走査機構の走査速度を設定する速度設定機構と、
を備えたことを特徴とする表示装置の製造装置。
【請求項3】
基板の主面側にマトリクス状に配置された表示素子を備えた表示装置を製造する製造装置であって、
前記表示素子を構成する薄膜を形成するための材料源を備えた蒸着源と、
待機位置において前記蒸着源と対向し、蒸着レートを測定する計測機構と、
待機位置とは異なる処理位置において基板主面を前記蒸着源に対向した状態で走査する走査機構と、
前記計測機構により測定した蒸着レートに基づき基板主面上に所定成膜厚の薄膜を形成するように前記走査機構の走査速度を設定した後に、前記蒸着源から材料源の飛散が開始されてから経過した時間及び経過した単位時間当たりの成膜厚の減少割合に基づいて、設定した走査速度を補正する速度設定機構と、
を備えたことを特徴とする表示装置の製造装置。
【請求項4】
基板の主面側にマトリクス状に配置された表示素子を備えた表示装置を製造する製造装置であって、
前記表示素子を構成する薄膜を形成するための材料源を備えた蒸着源と、
待機位置において前記蒸着源と対向し、蒸着レートを測定する計測機構と、
待機位置とは異なる処理位置において基板主面を前記蒸着源に対向した状態で走査する走査機構と、
前記走査機構の走査速度を一定としたときに前記蒸着源から材料源の飛散が開始されてから経過した単位時間当たりの基板主面上での成膜厚の減少割合、及び、前記計測機構により測定した蒸着レートに対して基板主面上に所定成膜厚の薄膜を形成するための前記走査機構の走査速度を設定したテーブルを記憶した記憶部と、
前記蒸着源から材料源の飛散が開始されてから経過した経過時間を計測するタイマー部と、
前記計測機構により測定した蒸着レート、前記記憶部に記憶された減少割合及びテーブル、及び、前記タイマー部により計測した経過時間に基づき、前記走査機構の走査速度を設定する速度設定機構と、
を備えたことを特徴とする表示装置の製造装置。
【請求項5】
前記走査機構は、蒸着源が基板主面の全体を走査するよう基板及び蒸着源の少なくとも一方を移動する機構を備えたことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の表示装置の製造装置。
【請求項6】
さらに、前記蒸着源から飛散する材料源の飛散範囲を規制する制御板を備えたことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の表示装置の製造装置。
【請求項7】
前記蒸着源は、各表示素子に独立島状に配置される第1電極、光活性層、及び、複数の表示素子に共通の第2電極のいずれかの薄膜を形成するための材料源を備えたことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の表示装置の製造装置。
【請求項8】
基板の主面側にマトリクス状に配置された表示素子を備えた表示装置を製造する製造方法であって、
待機位置において、前記表示素子を構成する薄膜を形成するための材料源を備えた蒸着源と対向し、蒸着レートを測定する工程と、
待機位置とは異なる処理位置において、基板主面を前記蒸着源に対向した状態で走査し、基板主面上に所定成膜厚の薄膜を形成する工程と、を備え、
前記薄膜形成工程における走査を開始する以前に、前記測定工程において測定した蒸着レートに基づき、前記蒸着源から材料源の飛散が開始されてからの時間の経過に伴う基板主面上での成膜厚の変化を補償するように走査速度を設定することを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項9】
基板の主面側にマトリクス状に配置された表示素子を備えた表示装置を製造する製造方法であって、
待機位置において、前記表示素子を構成する薄膜を形成するための材料源を備えた蒸着源と対向し、蒸着レートを測定する工程と、
待機位置とは異なる処理位置において、基板主面を前記蒸着源に対向した状態で走査し、基板主面上に所定成膜厚の薄膜を形成する工程と、を備え、
前記薄膜形成工程における走査を開始する以前に、前記測定工程において測定した蒸着レートに基づき基板主面上に所定成膜厚の薄膜を形成するように走査速度を設定した後に、前記蒸着源から材料源の飛散が開始されてから経過した時間及び経過した単位時間当たりの成膜厚の減少割合に基づいて、設定した走査速度を補正することを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項10】
基板の主面側にマトリクス状に配置された表示素子を備えた表示装置を製造する製造方法であって、
待機位置において、前記表示素子を構成する薄膜を形成するための材料源を備えた蒸着源と対向し、蒸着レートを測定する工程と、
待機位置とは異なる処理位置において、基板主面を前記蒸着源に対向した状態で走査し、基板主面上に所定成膜厚の薄膜を形成する工程と、を備え、
前記薄膜形成工程における走査を開始する以前に、前記測定工程により測定した蒸着レート、走査速度を一定としたときに前記蒸着源から材料源の飛散が開始されてから経過した単位時間当たりの基板主面上での成膜厚の減少割合、測定した蒸着レートに対して基板主面上に所定成膜厚の薄膜を形成するための走査速度を設定したテーブル、及び、前記蒸着源から材料源の飛散が開始されてから経過した経過時間に基づき、前記走査工程における走査速度を設定することを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項1】
蒸着源と、
前記蒸着源からの材料源の飛散範囲を制御する制御板と
被成膜部材を、前記蒸着源から材料源が飛散する方向と交差する方向に所定速度で搬送する搬送手段と、
前記蒸着源と対向する位置に配置され、蒸着レートを測定する計測機構と、
前記蒸着源から材料源の飛散が開始されてから経過した経過時間を計測するタイマー部と、
前記蒸着レートの測定結果及び前記経過時間に基づき、前記被成膜部材の搬送速度を制御する速度設定機構と、
を備えたことを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
基板の主面側にマトリクス状に配置された表示素子を備えた表示装置を製造する製造装置であって、
前記表示素子を構成する薄膜を形成するための材料源を備えた蒸着源と、
待機位置において前記蒸着源と対向し、蒸着レートを測定する計測機構と、
待機位置とは異なる処理位置において基板主面を前記蒸着源に対向した状態で走査する走査機構と、
前記計測機構により測定された蒸着レートに基づき、前記蒸着源から材料源の飛散が開始されてからの時間の経過に伴う基板主面上での成膜厚の変化を補償するように前記走査機構の走査速度を設定する速度設定機構と、
を備えたことを特徴とする表示装置の製造装置。
【請求項3】
基板の主面側にマトリクス状に配置された表示素子を備えた表示装置を製造する製造装置であって、
前記表示素子を構成する薄膜を形成するための材料源を備えた蒸着源と、
待機位置において前記蒸着源と対向し、蒸着レートを測定する計測機構と、
待機位置とは異なる処理位置において基板主面を前記蒸着源に対向した状態で走査する走査機構と、
前記計測機構により測定した蒸着レートに基づき基板主面上に所定成膜厚の薄膜を形成するように前記走査機構の走査速度を設定した後に、前記蒸着源から材料源の飛散が開始されてから経過した時間及び経過した単位時間当たりの成膜厚の減少割合に基づいて、設定した走査速度を補正する速度設定機構と、
を備えたことを特徴とする表示装置の製造装置。
【請求項4】
基板の主面側にマトリクス状に配置された表示素子を備えた表示装置を製造する製造装置であって、
前記表示素子を構成する薄膜を形成するための材料源を備えた蒸着源と、
待機位置において前記蒸着源と対向し、蒸着レートを測定する計測機構と、
待機位置とは異なる処理位置において基板主面を前記蒸着源に対向した状態で走査する走査機構と、
前記走査機構の走査速度を一定としたときに前記蒸着源から材料源の飛散が開始されてから経過した単位時間当たりの基板主面上での成膜厚の減少割合、及び、前記計測機構により測定した蒸着レートに対して基板主面上に所定成膜厚の薄膜を形成するための前記走査機構の走査速度を設定したテーブルを記憶した記憶部と、
前記蒸着源から材料源の飛散が開始されてから経過した経過時間を計測するタイマー部と、
前記計測機構により測定した蒸着レート、前記記憶部に記憶された減少割合及びテーブル、及び、前記タイマー部により計測した経過時間に基づき、前記走査機構の走査速度を設定する速度設定機構と、
を備えたことを特徴とする表示装置の製造装置。
【請求項5】
前記走査機構は、蒸着源が基板主面の全体を走査するよう基板及び蒸着源の少なくとも一方を移動する機構を備えたことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の表示装置の製造装置。
【請求項6】
さらに、前記蒸着源から飛散する材料源の飛散範囲を規制する制御板を備えたことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の表示装置の製造装置。
【請求項7】
前記蒸着源は、各表示素子に独立島状に配置される第1電極、光活性層、及び、複数の表示素子に共通の第2電極のいずれかの薄膜を形成するための材料源を備えたことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の表示装置の製造装置。
【請求項8】
基板の主面側にマトリクス状に配置された表示素子を備えた表示装置を製造する製造方法であって、
待機位置において、前記表示素子を構成する薄膜を形成するための材料源を備えた蒸着源と対向し、蒸着レートを測定する工程と、
待機位置とは異なる処理位置において、基板主面を前記蒸着源に対向した状態で走査し、基板主面上に所定成膜厚の薄膜を形成する工程と、を備え、
前記薄膜形成工程における走査を開始する以前に、前記測定工程において測定した蒸着レートに基づき、前記蒸着源から材料源の飛散が開始されてからの時間の経過に伴う基板主面上での成膜厚の変化を補償するように走査速度を設定することを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項9】
基板の主面側にマトリクス状に配置された表示素子を備えた表示装置を製造する製造方法であって、
待機位置において、前記表示素子を構成する薄膜を形成するための材料源を備えた蒸着源と対向し、蒸着レートを測定する工程と、
待機位置とは異なる処理位置において、基板主面を前記蒸着源に対向した状態で走査し、基板主面上に所定成膜厚の薄膜を形成する工程と、を備え、
前記薄膜形成工程における走査を開始する以前に、前記測定工程において測定した蒸着レートに基づき基板主面上に所定成膜厚の薄膜を形成するように走査速度を設定した後に、前記蒸着源から材料源の飛散が開始されてから経過した時間及び経過した単位時間当たりの成膜厚の減少割合に基づいて、設定した走査速度を補正することを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項10】
基板の主面側にマトリクス状に配置された表示素子を備えた表示装置を製造する製造方法であって、
待機位置において、前記表示素子を構成する薄膜を形成するための材料源を備えた蒸着源と対向し、蒸着レートを測定する工程と、
待機位置とは異なる処理位置において、基板主面を前記蒸着源に対向した状態で走査し、基板主面上に所定成膜厚の薄膜を形成する工程と、を備え、
前記薄膜形成工程における走査を開始する以前に、前記測定工程により測定した蒸着レート、走査速度を一定としたときに前記蒸着源から材料源の飛散が開始されてから経過した単位時間当たりの基板主面上での成膜厚の減少割合、測定した蒸着レートに対して基板主面上に所定成膜厚の薄膜を形成するための走査速度を設定したテーブル、及び、前記蒸着源から材料源の飛散が開始されてから経過した経過時間に基づき、前記走査工程における走査速度を設定することを特徴とする表示装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2006−193782(P2006−193782A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−6351(P2005−6351)
【出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】
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