所在管理システム
【課題】置場に設置された複数のICタグを検出してしまった場合においても、管理対象部品と置場とを的確に関連付けることにある。
【解決手段】管理対象部品Aに取り付けられた物品ICタグ10と、管理対象部品Aを保管する置場1,2に設置された場所ICタグ10と、物品ICタグ10及び場所ICタグ10を読み取るICタグリーダ12とからなり、置場1,2を巡回する際にICタグリーダ12により複数の場所ICタグ10が読み取られた場合には、物品ICタグ10に関する受信強度と受信経過時間とのグラフと、場所ICタグ10に関する受信強度と受信経過時間とのグラフとの重なり面積の大きい方の場所ICタグ10が設置された置場1又は2に管理対象部品Aは保管されていると判断するので、複数の場所ICタグ10を検出してしまった場合においても、管理対象部品Aと置場1又は2とを的確に関連付けることができる。
【解決手段】管理対象部品Aに取り付けられた物品ICタグ10と、管理対象部品Aを保管する置場1,2に設置された場所ICタグ10と、物品ICタグ10及び場所ICタグ10を読み取るICタグリーダ12とからなり、置場1,2を巡回する際にICタグリーダ12により複数の場所ICタグ10が読み取られた場合には、物品ICタグ10に関する受信強度と受信経過時間とのグラフと、場所ICタグ10に関する受信強度と受信経過時間とのグラフとの重なり面積の大きい方の場所ICタグ10が設置された置場1又は2に管理対象部品Aは保管されていると判断するので、複数の場所ICタグ10を検出してしまった場合においても、管理対象部品Aと置場1又は2とを的確に関連付けることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所在管理システムに関する。詳しくは、工場や倉庫などにおけるICタグを用いた、在庫・部品・仕掛品などの所在の管理に適用されるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫などにおいて、在庫・部品・仕掛品などが各置き場のどこに置いてあるのか、その把握に時間がかかる。
部品がライン上を整斉と流れていく工程であれば、各置場にある部品を容易に推測できるが、加工外注との間で部品の出入りが多く発生する場合や、部品の加工優先順位がよく変わる場合、各置場に何があるのかの把握が困難となるからである。
【0003】
このような問題に対して、ICタグ(RFID)を用いた置場管理の手法がある。
例えば、特許文献1では、物品に貼った物品タグと、場所に貼った場所ICタグの組合せにより、物品情報の登録に利用したり、紛失物品の捜索時に大まかな位置を特定することを可能としている。
【0004】
即ち、特許文献1では、図10(a)に示すように、管理対象物品100とそれに取り付けられた物品RFIDタグ300、物品を保管する場所に取り付けられた場所RFIDタグ200(図11参照)の情報を、携帯可能なRFID読み取り・通信装置800を介して情報管理データベース900に登録している。そのため、図10(b)に示すように、管理対象部品100を探索する際には、RFID読み取り・通信装置800を介して情報管理データベース900から情報を引き出し、読み取り・通信装置画面例850に表示させる。
【0005】
そして、図11(a)に示すように、RFID読み取り・通信装置800を移動させて、RFID読み取り・通信装置800が通信可能なRFID情報を収集するが、物品RFIDタグ300が通信可能範囲外のときには通信不可能となり、また、図11(b)に示すように、場所RFIDタグ200が通信可能範囲内のときには通信可能になる。
【0006】
しかし、特許文献1により物品の管理を実行するには、図10(a)に示すように物品RFIDタグ300と場所RFIDタグ200とを関連づけて登録する作業が必要になり、工場内の部品のように、物品の移動が多く発生する場合、物品と場所の関連付け登録作業が莫大になるという問題がある。
【0007】
また、特許文献2では、搬送手段であるハンドパレットトラックにICタグリーダを含む所在管理システムを搭載することで、作業者が搬送対象物を搬送した場合における該搬送対象物の所在の管理を行うことを可能としている。
【0008】
即ち、特許文献2は、図12に示すように、ハンドパレットトラックTに、搬送対象物に付された非接触型ICタグを読み取るためのアンテナ(ICタグリーダ)102、各種の情報を表示するための表示部106を備えた所在管理システム101を搭載したものである。ICタグリーダ101は、搬送対象物が格納される格納場所に配置された非接触型ICタグをも読み取ることができ、両者の非接触型ICタグを同時に読み取ることにより、搬送対象物と格納場所とを対応付けることが可能である。
【0009】
しかし、特許文献2では、搬送対象物を格納場所に格納しようとした際に、格納場所に配置された複数のICタグを検出してしまった場合の対処は検討されていないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−71193
【特許文献2】特開2007−99415
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、置場に設置された複数のICタグを検出してしまった場合においても、管理対象部品と置場とを的確に関連付けることができる所在管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する本発明の所在管理システムは、管理対象部品に取り付けられた物品ICタグと、前記管理対象部品を保管する置場に設置された場所ICタグと、前記物品ICタグ及び場所ICタグを読み取るICタグリーダとからなり、前記置場を巡回する際に前記ICタグリーダにより前記物品ICタグ及び場所ICタグが同時又は近い時間に読み取られた場合には、前記物品ICタグが取り付けられた前記管理対象部品は前記場所ICタグが設置された前記置場に保管されていると判断する所在管理システムにおいて、前記ICタグリーダにより複数の前記場所ICタグが読み取られた場合には、前記物品ICタグに関する受信強度と受信経過時間とのグラフと、前記場所ICタグに関する受信強度と受信経過時間とのグラフとの重なり面積の大きい方の前記場所ICタグが設置された前記置場に前記管理対象部品は保管されていると判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、巡回時にICタグリーダにより複数の場所ICタグが読み取られた場合には、物品ICタグに関する受信強度と受信経過時間とのグラフと、場所ICタグに関する受信強度と受信経過時間とのグラフとの重なり面積の大きい方の場所ICタグが設置された置場に管理対象部品は保管されていると判断するので、複数の場所ICタグを検出してしまった場合においても、管理対象部品と置場とを的確に関連付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】置場の配置を示す平面図及び受信強度−受信経過時間の関係を示すグラフである。
【図2】置場の配置を示す平面図及び受信強度−受信経過時間の関係を示すグラフである。
【図3】図3(a)はアクティブ型ICタグの正面図、図3(b)はアクティブ型ICタグの裏面図である。
【図4】図4(a)は、作業者がICタグリーダを袋中に入れて持ち運ぶ様子を示す説明図、図4(b)は袋から取り出されたICタグリーダの概略図である。
【図5】図5(a)は部品単位が収容されるボックスの斜視図、図5(b)はボックスに付される管理帳票の正面図である。
【図6】ICタグの裏面図である。
【図7】2種類のバーコードが付された管理帳票の部分正面図である。
【図8】部品が保管されている場所及び保管されている部品を関連付けて示す工場の見取り図である。
【図9】部品A、置場(位置)1,2における受信強度と受信した時間を三次元的に示す棒グラフである。
【図10】図10(a)は管理対象物の情報を登録する手順を示す説明図、図10(b)は検索するために登録した情報を引き出す手順を示す説明図である。
【図11】図11(a)は通信可能範囲内に管理対象部品が見つからない場合を示す説明図、図11(b)は通信可能範囲内に管理対象品が見つかった場合を示す説明図である。
【図12】図12は所在管理システムが搭載されたパレットトラックの概略図ある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の対象である管理対象部品(以下、単に部品と略称する)は、工場や倉庫において所在の管理が必要なものを言い、在庫・部品・仕掛品などを含むものである。
【0016】
また、本発明で使用するICタグとは、小型の情報チップの1つであり、電子タグ、無線タグ、無線ICタグ、RFタグ、電子荷札、電子値札、RFID(Radio frequency identification)等の別名がある。
【0017】
ICタグは、シールラベル、タグ、コイン、キー、カプセルなど様々な形状のものに膨大な記憶容量を持つICチップと小型のアンテナを埋め込んだものであり、ICチップに記憶された情報を電波によって直接触れずにICタグリーダで読み取ることが可能である。
【0018】
また、ICタグの種類としては、バッテリを持たず、ICタグリーダの電波から電力を得て電波を飛ばすパッシブ型と、バッテリを持ちバッテリ駆動により電波を飛ばすアクティブタイプ型とに分けられる。
【0019】
以下の実施例は、一例として、ガスタービンや蒸気タービンの翼列の所在管理に適用したものであるが、本発明としてはこれに限られるものではない。
【実施例1】
【0020】
本発明の第1の実施例に係る所在管理システムを図1及び図2を参照して説明する。本実施例は、同時若しくは近い時間に読取られた部品ICタグと場所ICタグを関連付けるものである。
【0021】
即ち、本実施例は、部品ICタグと場所ICタグを関連付ける際、複数の場所ICタグが読取られた場合には、計測された受信強度−受信経過時間グラフを利用して判断するものである。
図1及び図2は、複数の置場を示す平面図及びそれらの置場に沿って巡回する際のリーダ・アンテナに受信された受信強度−受信経過時間のグラフである。受信強度は距離に応じて変化する理想的な状態とする。
【0022】
リーダ・アンテナは、携帯可能なICタグリーダに付随するアンテナであり、置場1,2に設置された場所ICタグからの信号を受信すると共に、置場1又は2に保管される商品Aに取り付けられた部品ICタグからの信号をも受信する。
ICタグは、後述する通り、例えば、図3(a)(b)に示すものが使用できる。
ICタグリーダは、後述する通り、例えば、図4(a)(b)に示すものが使用できる。
【0023】
本実施例においては、作業者がICタグリーダを持って各置場を巡回して、部品ICタグと場所ICタグを読取り、部品と置場の関連付けを行うものとする。
図1に示すように、置場1及び置場2が隣接して配置され、置場1及び置場2のほぼ中心に場所ICタグを設置する一方、置場2の置場1寄りの位置に部品Aを保管したとする。
【0024】
リーダ・アンテナで受信される受信強度は、リーダ・アンテナとICタグとの距離に応じて変化するので、例えば、図1中に矢印で示すように、置場1及び置場2の側方において、置場1から置場2へ向けて一定速度で、リーダ・アンテナを持って巡回したとすると、先ず、置場1に近づくに従い、置場1に設置された場所ICタグの受信強度が徐々に高くなり、置場1の真横でピークを迎え、そして、置場1から離れるに従い徐々に低下する。
【0025】
同時に、置場2に保管された部品Aの部品ICタグからの受信強度が徐々に高まり、部品Aの真横でピークを迎えると共に、置場2の場所ICタグからの受信強度が徐々に高まり、置場2の真横でピークを迎え、置場2から離れるに従いそれぞれ徐々に低下する。
つまり、リーダ・アンテナは、置場1及び置場2の場所ICタグからの電波と、部品Aの部品ICタグからの電波との合計3つの電波を受信するため、部品Aが置場1又は置場2の何れかに保管されているかを判断する必要がある。
【0026】
ここで、図1に示すように、場所ICタグからの電波と部品ICタグからの電波を同時には受信しない。言い換えると、部品Aの部品ICタグから受信強度のピークは、置場1及び置場2の場所ICタグからの受信強度のピークの何れかとは完全には一致しない。
ところが、図1に示すように、受信強度と受信経過時間とのグラフを見れば明らかな通り、部品Aの部品ICタグに関する受信強度と受信経過時間のグラフと置場2に関する受信強度と受信経過時間のグラフとの重なり面積は、部品Aの部品ICタグに関する受信強度と受信経過時間のグラフと置場1に関する受信強度と受信経過時間のグラフとの重なり面積に比較して大きい。
【0027】
そのため、本実施例では、受信強度と受信経過時間の重なり面積が大きい置場2に部品Aが保管されていると判断するものである。
つまり、図1では、置場2の置場1寄りの位置に部品Aを保管したため、リーダ・アンテナは、部品Aの部品ICタグと置場2の場所ICタグからの信号を同時に受信しないが、受信強度−受信経過時間のグラフから、部品Aが置場2に保管されていると判断するのである。
【0028】
一方、図2に示すように、部品Aを置場2の中心位置に保管した場合は、図1と異なり、リーダ・アンテナは、部品Aの部品ICタグと置場2の場所ICタグからの信号を同時に受信する。つまり、部品Aの部品ICタグから受信強度は、置場2の場所ICタグからの受信強度と完全には一致する。
従って、図2に示すように、部品Aの部品ICタグと置場2の場所ICタグからの信号を同時に受信した場合には、部品Aが置場2に保管されていると判断する。
【0029】
このように説明した通り、本実施例の所在管理システムは、置場1,2を巡回する際にICタグリーダにより複数の場所ICタグが読み取られた場合には、物品ICタグに関する受信強度と受信経過時間とのグラフと、場所ICタグ10に関する受信強度と受信経過時間とのグラフとの重なり面積の大きい方の場所ICタグが設置された置場2に部品Aは保管されていると判断するので、複数の場所ICタグを検出してしまった場合においても、部品Aと置場1又は2とを的確に関連付けることができ、部品と置場の関連付け登録作業の時間を大幅に削減できる。
【実施例2】
【0030】
本発明の第2の実施例に係る所在管理システムについて説明する。本実施例は、同時若しくは近い時間に読取られた部品ICタグと場所ICタグを関連付けるものである。
即ち、本実施例は、場所ICタグを受信した前後の時間に受信した部品ICタグの部品と置場とを関連付けるものである。
本実施例においては、予め、場所ICタグ及び部品ICタグの情報を登録しておく。
【0031】
【表1】
【0032】
表1に部品ICタグ情報を示す。部品ICタグ情報とは、ICタグID、タグ種類、部品名称からなるものである。
表1においては、ICタグIDがRFID0003831のICタグは、部品ICタグとして、部品1に取り付けられていることを示している。同様に、ICタグIDがRFID0003738,RFID0003794,RFID0003173のICタグが、部品ICタグとして、部品2,3,4にそれぞれ取り付けられていることを示している。
【0033】
【表2】
【0034】
表2に場所ICタグ情報を示す。場所ICタグ情報とは、ICタグID、タグ種類、置場名称からなるものである。
表2においては、ICタグIDがRFID0003985のICタグは、場所ICタグとして、置場Aに設置されていることを示している。同様に、ICタグIDがRFID0003987,RFID0003986のICタグは、場所ICタグとして、置場B,Cに設置されていることを示している。
表1及び表2に示される場所ICタグ情報及び部品ICタグ情報が登録されていることを前提として、作業者がICタグリーダを持って各置場を巡回する。
【0035】
【表3】
【0036】
表3にタグリーダを持って各置場を巡回したICタグ受信結果を示す。ICタグ受信結果は、受信日時、ICタグID、タグ種類、受信強度からなる。
表3に示すように、部品ICタグ(ICタグID=RFID0003831)、部品ICタグ(ICタグID=RFID0003738)、場所ICタグ(ICタグID=RFID0003986)、部品ICタグ(ICタグID=RFID0003794)、部品ICタグ(ICタグID=RFID0003173)の順で5箇所の受信があったことが判る。
表1及び表2に示される場所ICタグ情報及び部品ICタグ情報及び表3に示されるICタグ受信結果に基づいて、場所ICタグを受信した前後の時間に受信した部品ICタグの部品と置場とを関連付ける。
【0037】
【表4】
【0038】
表4に部品と置場の関連付け結果を示す。関連付け結果は、部品ICタグID、部品名称、置場名称、置場タグIDからなる。
本実施例では、場所ICタグ(ICタグID=RFID0003986)を受信した前後2箇所の受信日時に受信した部品ICタグの部品1(ICタグID=RFID0003831)、部品2(ICタグID=RFID0003738)、部品3(ICタグID=RFID0003794)及び部品4(ICタグID=RFID0003173)と、置場Cを関連付けるものである。
つまり、表4に示す通り、部品1、部品2、部品3及び部品4は、何れも、置場Cにあると登録するものである。
【0039】
上記実施例では、場所ICタグを受信した前後2箇所の受信日時に受信した部品ICタグの4個の部品と置場を関連付けたが、これに限るものではなく、場所ICタグを受信した前後1箇所の受信日時に受信した部品ICタグの2個の部品と置場を関連付けても良い。
このように説明した通り、本実施例の所在管理システムは、ICタグリーダを持って各置場を巡回して、部品ICタグと場所ICタグを読取り、場所ICタグを受信した前後の時間に受信した部品ICタグの部品と置場とを関連付けるので、部品と置場の関連付け登録作業の時間を大幅に削減できる。
【実施例3】
【0040】
本発明の第3の実施例に係る所在管理システムについて説明する。本実施例は、登録されているが読めなかったICタグについて、そのリストを作成・表示するものである。リストには、前回巡回時に登録された置場を記憶しておき表示する。
本実施例においては、予め、場所ICタグ及び部品ICタグの情報を登録しておく。
【0041】
【表5】
【0042】
表5に部品ICタグ情報を示す。部品ICタグ情報とは、ICタグID、タグ種類、部品名称からなるものである。
表5においては、ICタグIDがRFID0003831のICタグは、部品ICタグとして、部品1に取り付けられていることを示している。同様に、ICタグIDがRFID0003738,RFID0003794,RFID0003173のICタグが、部品ICタグとして、部品2,3,4にそれぞれ取り付けられていることを示している。
【0043】
【表6】
表6に場所ICタグ情報を示す。場所ICタグ情報とは、ICタグID、タグ種類、置場名称からなるものである。
表6においては、ICタグIDがRFID0003985のICタグは、場所ICタグとして、置場Aに設置されていることを示している。同様に、ICタグIDがRFID0003987,RFID0003986のICタグは、場所ICタグとして、置場B,Cに設置されていることを示している。
表5及び表6に示される場所ICタグ情報及び部品ICタグ情報が登録されていることを前提として、作業者がICタグリーダを持って各置場を巡回する。
【0044】
【表7】
【0045】
表7にタグリーダを持って各置場を巡回したICタグ受信結果を示す。ICタグ受信結果は、受信日時、ICタグID、タグ種類、受信強度からなる。
表7に示すように、部品ICタグ(ICタグID=RFID0003794)、場所ICタグ(ICタグID=RFID0003985)、部品ICタグ(ICタグID=RFID0003173)の順で3箇所の受信があったことが判る。
表5及び表6に示される場所ICタグ情報及び部品ICタグ情報及び表7に示されるICタグ受信結果に基づいて、前回置場を含めて、場所ICタグを受信した前後の時間に受信した部品ICタグの部品と置場とを関連付ける。
【0046】
【表8】
【0047】
表8に部品と置場の関連付け結果を示す。関連付け結果は、部品ICタグID、部品名称、置場名称、置場タグID、前回置場からなる。
表8に示す通り、部品3,4については、正常に受信されたため、何れも、置場Cに在ることが判る。一方、部品1,2については、電波遮蔽等の影響により、部品1,2を示す部品ICタグ(ICタグID=RFID0003831,ICタグID=RFID0003738)は受信されなかった。
【0048】
本実施例では、表8に示すように、前回の置場を記録しておくことで、現在の置場を推測することを可能である。例えば、「部品1,2については、受信はなかったが、前回の置場Cにまだあるのではないか?」との推定が可能となる。
このように説明した通り、本実施例の所在管理システムは、ICタグリーダを持って各置場を巡回して、部品ICタグと場所ICタグを読取り、場所ICタグを受信した前後の時間に受信した部品ICタグの部品と置場とを関連付ける際、前回置場の情報を含めるので、ICタグを読み落とした部品についても、置場の推測が可能になる。
【実施例4】
【0049】
本発明の第4の実施例に係る所在管理システムについて説明する。本実施例は、各部品について、所在情報に加え、次作業の情報を生産管理システムから取得して登録・表示するものである。
本実施例においては、予め、場所ICタグ及び部品ICタグの情報を登録しておく。
【0050】
【表9】
【0051】
表9に部品ICタグ情報を示す。部品ICタグ情報とは、ICタグID、タグ種類、部品名称からなるものである。
表9においては、ICタグIDがRFID0003831のICタグは、部品ICタグとして、部品1に取り付けられていることを示している。同様に、ICタグIDがRFID0003738,RFID0003794,RFID0003173のICタグが、部品ICタグとして、部品2,3,4にそれぞれ取り付けられていることを示している。
【0052】
【表10】
【0053】
表10に場所ICタグ情報を示す。場所ICタグ情報とは、ICタグID、タグ種類、置場名称からなる。
表10においては、ICタグIDがRFID0003985のICタグは、場所ICタグとして、置場Aに設置されていることを示している。同様に、ICタグIDがRFID0003987,RFID0003986のICタグは、場所ICタグとして、置場B,Cに設置されていることを示している。
表9及び表10に示される場所ICタグ情報及び部品ICタグ情報が登録されていることを前提として、作業者がICタグリーダを持って各置場を巡回する。
【0054】
【表11】
【0055】
表11にタグリーダを持って各置場を巡回したICタグ受信結果を示す。ICタグ受信結果は、受信日時、ICタグID、タグ種類、受信強度からなる。
表11に示すように、部品ICタグ(ICタグID=RFID0003831)、部品ICタグ(ICタグID=RFID0003738)、場所ICタグ(ICタグID=RFID0003987)、部品ICタグ(ICタグID=RFID0003794)、部品ICタグ(ICタグID=RFID0003173)の順で5箇所の受信があったことが判る。
【0056】
【表12】
【0057】
表12に生産管理システム(データベース)の部品情報を示す。表12に示すように、生産管理システムには、部品ICタグID、部品名称、次作業が登録されている。
表12に示される通り、ICタグIDがRFID0003831のICタグが取り付けられる部品1の次作業は「切削」であり、同様に、ICタグIDがRFID0003738,RFID0003794,RFID0003173のICタグが取り付けられる部品2,3,4の次作業は「切削」、「塗装」、「検査」である。
表9及び表10に示される場所ICタグ情報及び部品ICタグ情報、表11に示されるICタグ受信結果及び表12示される生産管理システムの部品情報に基づいて、次作業を含めて、場所ICタグを受信した前後の時間に受信した部品ICタグの部品と置場とを関連付ける。
【0058】
【表13】
【0059】
表13に部品と置場の関連付け結果を示す。関連付け結果は、部品ICタグID、部品名称、置場名称、置場タグID、次作業からなる。次作業のデータは、表12示す生産管理システムの情報から取得した。
本実施例では、表13中に次作業も含まれているため、所在情報に基づいて部品探索する際に、次作業の情報からも推測して捜すことができる。
例えば、「タグリーダを持って各置場を巡回した時点では確かに部品4は置場Bにあったが、現状では部品4は置場Bに見当たらない。表13に示されるように、部品4の次作業は『検査』だから、検査エリアにあるのではないか?」との推測が可能となる。
【0060】
このように説明した通り、本実施例の所在管理システムは、ICタグリーダを持って各置場を巡回して、部品ICタグと場所ICタグを読取り、場所ICタグを受信した前後の時間に受信した部品ICタグの部品と置場とを関連付ける際、次作業の情報を含めるので、所在情報に基づいて部品捜索する際に、次作業の情報からも推測して探すことができる。
【実施例5】
【0061】
本発明の第5の実施例に係る所在管理システムを図3及び図4を参照して説明する。本実施例は、工場内でのICタグ受信のための巡回を可能とさせる装置に関する。
図3(a)は、アクティブ型ICタグの正面図であり、図3(b)は、その裏面図である。図4(a)は、作業者BがICタグリーダを袋中に入れて持ち運ぶ様子を示す説明図、図4(b)は、袋中から出されたICタグリーダの概略図である。
【0062】
図3に示すアクティブ型ICタグ10は、バッテリ(電池寿命1年)を内蔵しており、バッテリ駆動により自ら電波を遠くに飛ばすことが出き、通信距離が長いという利点がある。アクティブ型ICタグ10としては、金属環境下において少なくとも2mの交信距離をもつICタグを用いるのが望ましい。
アクティブ型ICタグ10は、図3(b)に示すように、ビニール袋15でカバーして保護されると共に、裏面にタグIDのバーコード11が付されている。
【0063】
図4に示すように、作業員Bは据置型ICタグリーダ(ICタグスキャナ)12を袋の中に入れて持ち運ぶ。ICタグリーダ12は、ノートパソコン13に接続されると共にリーダアンテナ14を備え、携帯可能なバッテリーを使用している。
ノートパソコン13は、ICタグが受信されているときには画面が赤く光るように設定されている。これにより、正常に受信されていることを確認しながら巡回することが可能となる。
【0064】
本実施例では、バッテリを内蔵したアクティブ型ICタグを使用するので、長い交信距離を確保することにより、読み落しを防ぎ読取精度を上げるという効果を奏する。
【実施例6】
【0065】
本発明の第6の実施例に係る所在管理システムを図5〜図7を参照して説明する。本実施例は、部品ICタグを、部品そのものに付けずに、部品と共に移動する帳票類に付けるものである。
【0066】
図5(a)に示すように、部品単位(翼列)20が収容されるボックス21には、1枚の管理帳票22が付されている。管理帳票22は、部品情報表と、作業指示票と、作業完了実績記録(実績は現場のコンピュータからデータベースにも登録している)を兼ねる帳票である。
図5(b)に示すように、管理帳票22のファイルにはICタグ23が貼り付けられている。
【0067】
また、帳票類には部品を識別できるバーコードを記するのが望ましい。本実施例では、図5(b)に示すように、管理帳票22には管理帳票のIDを示すバーコード24が付されている。
更に、図6に示すように、ICタグ23の裏面にも、ICタグIDを示すバーコード25が付されている。
従って、図7に示すように、管理帳票22のバーコード24及び管理帳票22に貼り付けられたバーコード25の両者をバーコードリーダで読み、生産管理システムから部品情報を取得し、関連づけて登録することができる。
登録する画面では、ICタグIDと管理帳票のIDの桁数の違いや、ICタグIDの冒頭4桁を固定するなどの、ICタグIDのルールと管理帳票のIDのルールの違いにより、ICタグIDが読込まれたか管理帳票のIDが読込まれたかを自動的に識別して、両者を関連づけて登録することができる。
【0068】
【表14】
【0069】
表14に部品ICタグ情報を示す。部品ICタグ情報とは、ICタグID、タグ種類、部品名称からなるものである。
表14においては、ICタグIDがRFID0003831のICタグは、部品ICタグとして、部品1に取り付けられていることを示している。同様に、ICタグIDがRFID0003738のICタグが、部品2に取り付けられ、ICタグIDがRFID0003794のICタグが、部品3に取り付けられていることを示している。
【0070】
【表15】
【0071】
表15に生産管理システムの部品情報を示す。表15に示すように、生産管理システムには、管理帳票のIDと部品番号が登録されている。
即ち、管理帳票のIDが90Eの管理帳票は部品1に、管理帳票のIDが01Eの管理帳票は部品2に、管理帳票のIDが03Eの管理帳票は部品3に、管理帳票のIDが24Eの管理帳票は部品4にそれぞれ付されていることが登録されている。
【0072】
【表16】
【0073】
表16に、ICタグと部品との関連付け登録(いわゆる、紐付け)を行った結果を示す。
表14では、部品4に関する部品ICタグ情報は存在していないが、生産管理システムからの部品情報を取得することにより、ICタグIDがRFID0003173で管理帳票のIDが24Eであれば、RFID0003173のICタグが部品4に付されているが分かる。
【0074】
上述した通り、ICタグを利用して部品の所在管理を行う際には、部品とICタグの関係を予め登録しておかなければならないが、本実施例では、帳票類を利用するため、その登録作業を短時間で容易に行うことが可能となる。
【0075】
本実施例では、帳票類を利用するため、外注品管理帳票置場(外注加工などの理由により、工場以外の場所にある部品の、管理帳票置場)を設置し、工場以外の場所にある部品の管理帳票を、全て外注品管理帳票置場に置いておき、部品置場と同じようにICタグを利用して所在管理することで、部品が工場以外の場所にあるということの管理を行うことが可能となる。
【実施例7】
【0076】
本発明の第7の実施例を図8に示す。本実施例は、工場の見取り図上に、部品が保管されている場所(置場)と保管されている部品の関連付け結果を表示するものである。
関連付け結果は、1日1回、作業者がICタグリーダを持って巡回した結果を随時更新するものとし、地図中の置場部分に、その置場にある部品の数を表示する。
【0077】
例えば、図8に示すように、工場内のイントラネットでアクセス可能なウェブサーバー内にWebシステムとして工場の見取り図を実装し、クライアントであるパソコンから表示できるようにするのである。その工場の見取り図中の置場の場所には、置場にある翼列数を示すのである。
例えば、図中、四角で示される置場(ハーフトーンで示す)には、置場に保管されている翼列数(セット数)が示される。そして、置場をクリックすると、その場所にある部品と部品情報の一覧を表示する。例えば、オーダの番号、アイテムの番号、注文主、図面名称、管理帳票のID、巡回日時を表示する。
例えば、図中、工場の見取り図の欄外の、四角で示される外注品管理帳票置場(ハーフトーンで示す)は、外注加工などの理由により、一時的に工場以外の場所にある翼列数(セット数)が、表示される。そして、外注品管理帳票置場をクリックすると、一時的に工場以外の場所にある部品と部品情報の一覧を表示する。例えば、オーダの番号、アイテムの番号、注文主、図面名称、管理帳票のID、巡回日時を表示する。
【0078】
本実施例によれば、以下の効果を奏する。
(i)工場全体の状況と物の動きを把握することができる
(ii)関係者が誰でもすぐに、工場のものの状況を把握することができる。
(iii)置き場にあるものを一覧で確認できる。
【実施例8】
【0079】
本発明の第8の実施例に係る所在管理システムを図9を参照して説明する。本実施例は、部品と置場が1対1に関連付け出来ない場合において、実施例1などの手法によって、部品と置場の関連づけの尤もらしさの順位を求めるものである。
【0080】
図9は、部品A、置場(位置)1,2における受信強度と受信した時間を三次元的に示す棒グラフである。データ干渉のため、データに一部抜けがある。
図9に示すように、距離の近い置場1,2がある場合など、1つの部品Aが2つの置場1,2に関連付けられてしまうことがある。
【0081】
即ち、図9中では、部品Aの受信強度が最大強度となる時間と、置場1,2の受信強度がそれぞれ最大強度となる時間は一致しない(部品Aの受信強度が最大強度61となるのが9時15分37秒であり、置場1,2の受信強度がそれぞれ最大強度79、強度58となるのが9時15分38秒、9時15分50秒である)。
また、図9中に示すように、受信強度の分散が置場1,2で異なるものの、部品Aの受信強度の分布とほぼ一致する。
そのため、部品Aと置場1又は2とが1対1に関連付けできず、部品Aが2つの置場1,2に関連付けられてしまうことがある。
【0082】
このように、部品と置場が1対1に関連付け出来ない場合において、本実施例は、実施例1などの手法によって、部品と置場の関連づけの尤もらしさの順位を求めるものである。
【0083】
【表17】
【0084】
表17は、順位付けの方法として、実施例1を用いた結果を示すものである(横軸を時間、縦軸を受信強度とした、部品と置場のグラフの重なり面積)。
表17に示すように、部品1,2,4については、0以外の数値がある置場は1箇所であるため、部品1,2,4については、部品と置場が1対1に定まる。しかし、部品3については、置場Bの数値が162、置場Dの数値が65、置場Hの数値が2779であるため、部品と置場が1対1に定まらない。
【0085】
【表18】
【0086】
表18は、表17に示す実施例1により部品と置場のグラフの重なり面積を順位付けした結果を示すものである。
表18に示す通り、部品3については、第1位が置場H、第2位が置場B、第3位が置場Dと順位付けされるため、置場Hが最もありそうな置場であり、続いて、置場B、置場Dの順である。
本実施例においては、部品と置場が1対1に関連付け出来ない場合において、実施例1などの手法によって、部品と置場の関連づけの尤もらしさの順位を求めるので、部品を捜索する際に、ターゲットを絞って捜索することができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、在庫・部品・仕掛品などの所在の管理に広く利用可能なものである。特に、物量が多く、しばしば移動が発生するが、1日1回程度の所在確認で十分な工場において有効であり、他の方法に比べ非常に容易に、所在管理が可能となる。
【符号の説明】
【0088】
1,2 置場
10 アクティブ型ICタグ
11 タグIDのバーコード
12 据置型ICタグリーダ
13 ノートパソコン
14 リーダアンテナ
20 部品単位
21 ボックス
22 管理帳票
23 ICタグ
24 管理帳票のIDを示すバーコード
25 ICタグIDを示すバーコード
A 部品
B 作業員
【技術分野】
【0001】
本発明は、所在管理システムに関する。詳しくは、工場や倉庫などにおけるICタグを用いた、在庫・部品・仕掛品などの所在の管理に適用されるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫などにおいて、在庫・部品・仕掛品などが各置き場のどこに置いてあるのか、その把握に時間がかかる。
部品がライン上を整斉と流れていく工程であれば、各置場にある部品を容易に推測できるが、加工外注との間で部品の出入りが多く発生する場合や、部品の加工優先順位がよく変わる場合、各置場に何があるのかの把握が困難となるからである。
【0003】
このような問題に対して、ICタグ(RFID)を用いた置場管理の手法がある。
例えば、特許文献1では、物品に貼った物品タグと、場所に貼った場所ICタグの組合せにより、物品情報の登録に利用したり、紛失物品の捜索時に大まかな位置を特定することを可能としている。
【0004】
即ち、特許文献1では、図10(a)に示すように、管理対象物品100とそれに取り付けられた物品RFIDタグ300、物品を保管する場所に取り付けられた場所RFIDタグ200(図11参照)の情報を、携帯可能なRFID読み取り・通信装置800を介して情報管理データベース900に登録している。そのため、図10(b)に示すように、管理対象部品100を探索する際には、RFID読み取り・通信装置800を介して情報管理データベース900から情報を引き出し、読み取り・通信装置画面例850に表示させる。
【0005】
そして、図11(a)に示すように、RFID読み取り・通信装置800を移動させて、RFID読み取り・通信装置800が通信可能なRFID情報を収集するが、物品RFIDタグ300が通信可能範囲外のときには通信不可能となり、また、図11(b)に示すように、場所RFIDタグ200が通信可能範囲内のときには通信可能になる。
【0006】
しかし、特許文献1により物品の管理を実行するには、図10(a)に示すように物品RFIDタグ300と場所RFIDタグ200とを関連づけて登録する作業が必要になり、工場内の部品のように、物品の移動が多く発生する場合、物品と場所の関連付け登録作業が莫大になるという問題がある。
【0007】
また、特許文献2では、搬送手段であるハンドパレットトラックにICタグリーダを含む所在管理システムを搭載することで、作業者が搬送対象物を搬送した場合における該搬送対象物の所在の管理を行うことを可能としている。
【0008】
即ち、特許文献2は、図12に示すように、ハンドパレットトラックTに、搬送対象物に付された非接触型ICタグを読み取るためのアンテナ(ICタグリーダ)102、各種の情報を表示するための表示部106を備えた所在管理システム101を搭載したものである。ICタグリーダ101は、搬送対象物が格納される格納場所に配置された非接触型ICタグをも読み取ることができ、両者の非接触型ICタグを同時に読み取ることにより、搬送対象物と格納場所とを対応付けることが可能である。
【0009】
しかし、特許文献2では、搬送対象物を格納場所に格納しようとした際に、格納場所に配置された複数のICタグを検出してしまった場合の対処は検討されていないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−71193
【特許文献2】特開2007−99415
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、置場に設置された複数のICタグを検出してしまった場合においても、管理対象部品と置場とを的確に関連付けることができる所在管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する本発明の所在管理システムは、管理対象部品に取り付けられた物品ICタグと、前記管理対象部品を保管する置場に設置された場所ICタグと、前記物品ICタグ及び場所ICタグを読み取るICタグリーダとからなり、前記置場を巡回する際に前記ICタグリーダにより前記物品ICタグ及び場所ICタグが同時又は近い時間に読み取られた場合には、前記物品ICタグが取り付けられた前記管理対象部品は前記場所ICタグが設置された前記置場に保管されていると判断する所在管理システムにおいて、前記ICタグリーダにより複数の前記場所ICタグが読み取られた場合には、前記物品ICタグに関する受信強度と受信経過時間とのグラフと、前記場所ICタグに関する受信強度と受信経過時間とのグラフとの重なり面積の大きい方の前記場所ICタグが設置された前記置場に前記管理対象部品は保管されていると判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、巡回時にICタグリーダにより複数の場所ICタグが読み取られた場合には、物品ICタグに関する受信強度と受信経過時間とのグラフと、場所ICタグに関する受信強度と受信経過時間とのグラフとの重なり面積の大きい方の場所ICタグが設置された置場に管理対象部品は保管されていると判断するので、複数の場所ICタグを検出してしまった場合においても、管理対象部品と置場とを的確に関連付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】置場の配置を示す平面図及び受信強度−受信経過時間の関係を示すグラフである。
【図2】置場の配置を示す平面図及び受信強度−受信経過時間の関係を示すグラフである。
【図3】図3(a)はアクティブ型ICタグの正面図、図3(b)はアクティブ型ICタグの裏面図である。
【図4】図4(a)は、作業者がICタグリーダを袋中に入れて持ち運ぶ様子を示す説明図、図4(b)は袋から取り出されたICタグリーダの概略図である。
【図5】図5(a)は部品単位が収容されるボックスの斜視図、図5(b)はボックスに付される管理帳票の正面図である。
【図6】ICタグの裏面図である。
【図7】2種類のバーコードが付された管理帳票の部分正面図である。
【図8】部品が保管されている場所及び保管されている部品を関連付けて示す工場の見取り図である。
【図9】部品A、置場(位置)1,2における受信強度と受信した時間を三次元的に示す棒グラフである。
【図10】図10(a)は管理対象物の情報を登録する手順を示す説明図、図10(b)は検索するために登録した情報を引き出す手順を示す説明図である。
【図11】図11(a)は通信可能範囲内に管理対象部品が見つからない場合を示す説明図、図11(b)は通信可能範囲内に管理対象品が見つかった場合を示す説明図である。
【図12】図12は所在管理システムが搭載されたパレットトラックの概略図ある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の対象である管理対象部品(以下、単に部品と略称する)は、工場や倉庫において所在の管理が必要なものを言い、在庫・部品・仕掛品などを含むものである。
【0016】
また、本発明で使用するICタグとは、小型の情報チップの1つであり、電子タグ、無線タグ、無線ICタグ、RFタグ、電子荷札、電子値札、RFID(Radio frequency identification)等の別名がある。
【0017】
ICタグは、シールラベル、タグ、コイン、キー、カプセルなど様々な形状のものに膨大な記憶容量を持つICチップと小型のアンテナを埋め込んだものであり、ICチップに記憶された情報を電波によって直接触れずにICタグリーダで読み取ることが可能である。
【0018】
また、ICタグの種類としては、バッテリを持たず、ICタグリーダの電波から電力を得て電波を飛ばすパッシブ型と、バッテリを持ちバッテリ駆動により電波を飛ばすアクティブタイプ型とに分けられる。
【0019】
以下の実施例は、一例として、ガスタービンや蒸気タービンの翼列の所在管理に適用したものであるが、本発明としてはこれに限られるものではない。
【実施例1】
【0020】
本発明の第1の実施例に係る所在管理システムを図1及び図2を参照して説明する。本実施例は、同時若しくは近い時間に読取られた部品ICタグと場所ICタグを関連付けるものである。
【0021】
即ち、本実施例は、部品ICタグと場所ICタグを関連付ける際、複数の場所ICタグが読取られた場合には、計測された受信強度−受信経過時間グラフを利用して判断するものである。
図1及び図2は、複数の置場を示す平面図及びそれらの置場に沿って巡回する際のリーダ・アンテナに受信された受信強度−受信経過時間のグラフである。受信強度は距離に応じて変化する理想的な状態とする。
【0022】
リーダ・アンテナは、携帯可能なICタグリーダに付随するアンテナであり、置場1,2に設置された場所ICタグからの信号を受信すると共に、置場1又は2に保管される商品Aに取り付けられた部品ICタグからの信号をも受信する。
ICタグは、後述する通り、例えば、図3(a)(b)に示すものが使用できる。
ICタグリーダは、後述する通り、例えば、図4(a)(b)に示すものが使用できる。
【0023】
本実施例においては、作業者がICタグリーダを持って各置場を巡回して、部品ICタグと場所ICタグを読取り、部品と置場の関連付けを行うものとする。
図1に示すように、置場1及び置場2が隣接して配置され、置場1及び置場2のほぼ中心に場所ICタグを設置する一方、置場2の置場1寄りの位置に部品Aを保管したとする。
【0024】
リーダ・アンテナで受信される受信強度は、リーダ・アンテナとICタグとの距離に応じて変化するので、例えば、図1中に矢印で示すように、置場1及び置場2の側方において、置場1から置場2へ向けて一定速度で、リーダ・アンテナを持って巡回したとすると、先ず、置場1に近づくに従い、置場1に設置された場所ICタグの受信強度が徐々に高くなり、置場1の真横でピークを迎え、そして、置場1から離れるに従い徐々に低下する。
【0025】
同時に、置場2に保管された部品Aの部品ICタグからの受信強度が徐々に高まり、部品Aの真横でピークを迎えると共に、置場2の場所ICタグからの受信強度が徐々に高まり、置場2の真横でピークを迎え、置場2から離れるに従いそれぞれ徐々に低下する。
つまり、リーダ・アンテナは、置場1及び置場2の場所ICタグからの電波と、部品Aの部品ICタグからの電波との合計3つの電波を受信するため、部品Aが置場1又は置場2の何れかに保管されているかを判断する必要がある。
【0026】
ここで、図1に示すように、場所ICタグからの電波と部品ICタグからの電波を同時には受信しない。言い換えると、部品Aの部品ICタグから受信強度のピークは、置場1及び置場2の場所ICタグからの受信強度のピークの何れかとは完全には一致しない。
ところが、図1に示すように、受信強度と受信経過時間とのグラフを見れば明らかな通り、部品Aの部品ICタグに関する受信強度と受信経過時間のグラフと置場2に関する受信強度と受信経過時間のグラフとの重なり面積は、部品Aの部品ICタグに関する受信強度と受信経過時間のグラフと置場1に関する受信強度と受信経過時間のグラフとの重なり面積に比較して大きい。
【0027】
そのため、本実施例では、受信強度と受信経過時間の重なり面積が大きい置場2に部品Aが保管されていると判断するものである。
つまり、図1では、置場2の置場1寄りの位置に部品Aを保管したため、リーダ・アンテナは、部品Aの部品ICタグと置場2の場所ICタグからの信号を同時に受信しないが、受信強度−受信経過時間のグラフから、部品Aが置場2に保管されていると判断するのである。
【0028】
一方、図2に示すように、部品Aを置場2の中心位置に保管した場合は、図1と異なり、リーダ・アンテナは、部品Aの部品ICタグと置場2の場所ICタグからの信号を同時に受信する。つまり、部品Aの部品ICタグから受信強度は、置場2の場所ICタグからの受信強度と完全には一致する。
従って、図2に示すように、部品Aの部品ICタグと置場2の場所ICタグからの信号を同時に受信した場合には、部品Aが置場2に保管されていると判断する。
【0029】
このように説明した通り、本実施例の所在管理システムは、置場1,2を巡回する際にICタグリーダにより複数の場所ICタグが読み取られた場合には、物品ICタグに関する受信強度と受信経過時間とのグラフと、場所ICタグ10に関する受信強度と受信経過時間とのグラフとの重なり面積の大きい方の場所ICタグが設置された置場2に部品Aは保管されていると判断するので、複数の場所ICタグを検出してしまった場合においても、部品Aと置場1又は2とを的確に関連付けることができ、部品と置場の関連付け登録作業の時間を大幅に削減できる。
【実施例2】
【0030】
本発明の第2の実施例に係る所在管理システムについて説明する。本実施例は、同時若しくは近い時間に読取られた部品ICタグと場所ICタグを関連付けるものである。
即ち、本実施例は、場所ICタグを受信した前後の時間に受信した部品ICタグの部品と置場とを関連付けるものである。
本実施例においては、予め、場所ICタグ及び部品ICタグの情報を登録しておく。
【0031】
【表1】
【0032】
表1に部品ICタグ情報を示す。部品ICタグ情報とは、ICタグID、タグ種類、部品名称からなるものである。
表1においては、ICタグIDがRFID0003831のICタグは、部品ICタグとして、部品1に取り付けられていることを示している。同様に、ICタグIDがRFID0003738,RFID0003794,RFID0003173のICタグが、部品ICタグとして、部品2,3,4にそれぞれ取り付けられていることを示している。
【0033】
【表2】
【0034】
表2に場所ICタグ情報を示す。場所ICタグ情報とは、ICタグID、タグ種類、置場名称からなるものである。
表2においては、ICタグIDがRFID0003985のICタグは、場所ICタグとして、置場Aに設置されていることを示している。同様に、ICタグIDがRFID0003987,RFID0003986のICタグは、場所ICタグとして、置場B,Cに設置されていることを示している。
表1及び表2に示される場所ICタグ情報及び部品ICタグ情報が登録されていることを前提として、作業者がICタグリーダを持って各置場を巡回する。
【0035】
【表3】
【0036】
表3にタグリーダを持って各置場を巡回したICタグ受信結果を示す。ICタグ受信結果は、受信日時、ICタグID、タグ種類、受信強度からなる。
表3に示すように、部品ICタグ(ICタグID=RFID0003831)、部品ICタグ(ICタグID=RFID0003738)、場所ICタグ(ICタグID=RFID0003986)、部品ICタグ(ICタグID=RFID0003794)、部品ICタグ(ICタグID=RFID0003173)の順で5箇所の受信があったことが判る。
表1及び表2に示される場所ICタグ情報及び部品ICタグ情報及び表3に示されるICタグ受信結果に基づいて、場所ICタグを受信した前後の時間に受信した部品ICタグの部品と置場とを関連付ける。
【0037】
【表4】
【0038】
表4に部品と置場の関連付け結果を示す。関連付け結果は、部品ICタグID、部品名称、置場名称、置場タグIDからなる。
本実施例では、場所ICタグ(ICタグID=RFID0003986)を受信した前後2箇所の受信日時に受信した部品ICタグの部品1(ICタグID=RFID0003831)、部品2(ICタグID=RFID0003738)、部品3(ICタグID=RFID0003794)及び部品4(ICタグID=RFID0003173)と、置場Cを関連付けるものである。
つまり、表4に示す通り、部品1、部品2、部品3及び部品4は、何れも、置場Cにあると登録するものである。
【0039】
上記実施例では、場所ICタグを受信した前後2箇所の受信日時に受信した部品ICタグの4個の部品と置場を関連付けたが、これに限るものではなく、場所ICタグを受信した前後1箇所の受信日時に受信した部品ICタグの2個の部品と置場を関連付けても良い。
このように説明した通り、本実施例の所在管理システムは、ICタグリーダを持って各置場を巡回して、部品ICタグと場所ICタグを読取り、場所ICタグを受信した前後の時間に受信した部品ICタグの部品と置場とを関連付けるので、部品と置場の関連付け登録作業の時間を大幅に削減できる。
【実施例3】
【0040】
本発明の第3の実施例に係る所在管理システムについて説明する。本実施例は、登録されているが読めなかったICタグについて、そのリストを作成・表示するものである。リストには、前回巡回時に登録された置場を記憶しておき表示する。
本実施例においては、予め、場所ICタグ及び部品ICタグの情報を登録しておく。
【0041】
【表5】
【0042】
表5に部品ICタグ情報を示す。部品ICタグ情報とは、ICタグID、タグ種類、部品名称からなるものである。
表5においては、ICタグIDがRFID0003831のICタグは、部品ICタグとして、部品1に取り付けられていることを示している。同様に、ICタグIDがRFID0003738,RFID0003794,RFID0003173のICタグが、部品ICタグとして、部品2,3,4にそれぞれ取り付けられていることを示している。
【0043】
【表6】
表6に場所ICタグ情報を示す。場所ICタグ情報とは、ICタグID、タグ種類、置場名称からなるものである。
表6においては、ICタグIDがRFID0003985のICタグは、場所ICタグとして、置場Aに設置されていることを示している。同様に、ICタグIDがRFID0003987,RFID0003986のICタグは、場所ICタグとして、置場B,Cに設置されていることを示している。
表5及び表6に示される場所ICタグ情報及び部品ICタグ情報が登録されていることを前提として、作業者がICタグリーダを持って各置場を巡回する。
【0044】
【表7】
【0045】
表7にタグリーダを持って各置場を巡回したICタグ受信結果を示す。ICタグ受信結果は、受信日時、ICタグID、タグ種類、受信強度からなる。
表7に示すように、部品ICタグ(ICタグID=RFID0003794)、場所ICタグ(ICタグID=RFID0003985)、部品ICタグ(ICタグID=RFID0003173)の順で3箇所の受信があったことが判る。
表5及び表6に示される場所ICタグ情報及び部品ICタグ情報及び表7に示されるICタグ受信結果に基づいて、前回置場を含めて、場所ICタグを受信した前後の時間に受信した部品ICタグの部品と置場とを関連付ける。
【0046】
【表8】
【0047】
表8に部品と置場の関連付け結果を示す。関連付け結果は、部品ICタグID、部品名称、置場名称、置場タグID、前回置場からなる。
表8に示す通り、部品3,4については、正常に受信されたため、何れも、置場Cに在ることが判る。一方、部品1,2については、電波遮蔽等の影響により、部品1,2を示す部品ICタグ(ICタグID=RFID0003831,ICタグID=RFID0003738)は受信されなかった。
【0048】
本実施例では、表8に示すように、前回の置場を記録しておくことで、現在の置場を推測することを可能である。例えば、「部品1,2については、受信はなかったが、前回の置場Cにまだあるのではないか?」との推定が可能となる。
このように説明した通り、本実施例の所在管理システムは、ICタグリーダを持って各置場を巡回して、部品ICタグと場所ICタグを読取り、場所ICタグを受信した前後の時間に受信した部品ICタグの部品と置場とを関連付ける際、前回置場の情報を含めるので、ICタグを読み落とした部品についても、置場の推測が可能になる。
【実施例4】
【0049】
本発明の第4の実施例に係る所在管理システムについて説明する。本実施例は、各部品について、所在情報に加え、次作業の情報を生産管理システムから取得して登録・表示するものである。
本実施例においては、予め、場所ICタグ及び部品ICタグの情報を登録しておく。
【0050】
【表9】
【0051】
表9に部品ICタグ情報を示す。部品ICタグ情報とは、ICタグID、タグ種類、部品名称からなるものである。
表9においては、ICタグIDがRFID0003831のICタグは、部品ICタグとして、部品1に取り付けられていることを示している。同様に、ICタグIDがRFID0003738,RFID0003794,RFID0003173のICタグが、部品ICタグとして、部品2,3,4にそれぞれ取り付けられていることを示している。
【0052】
【表10】
【0053】
表10に場所ICタグ情報を示す。場所ICタグ情報とは、ICタグID、タグ種類、置場名称からなる。
表10においては、ICタグIDがRFID0003985のICタグは、場所ICタグとして、置場Aに設置されていることを示している。同様に、ICタグIDがRFID0003987,RFID0003986のICタグは、場所ICタグとして、置場B,Cに設置されていることを示している。
表9及び表10に示される場所ICタグ情報及び部品ICタグ情報が登録されていることを前提として、作業者がICタグリーダを持って各置場を巡回する。
【0054】
【表11】
【0055】
表11にタグリーダを持って各置場を巡回したICタグ受信結果を示す。ICタグ受信結果は、受信日時、ICタグID、タグ種類、受信強度からなる。
表11に示すように、部品ICタグ(ICタグID=RFID0003831)、部品ICタグ(ICタグID=RFID0003738)、場所ICタグ(ICタグID=RFID0003987)、部品ICタグ(ICタグID=RFID0003794)、部品ICタグ(ICタグID=RFID0003173)の順で5箇所の受信があったことが判る。
【0056】
【表12】
【0057】
表12に生産管理システム(データベース)の部品情報を示す。表12に示すように、生産管理システムには、部品ICタグID、部品名称、次作業が登録されている。
表12に示される通り、ICタグIDがRFID0003831のICタグが取り付けられる部品1の次作業は「切削」であり、同様に、ICタグIDがRFID0003738,RFID0003794,RFID0003173のICタグが取り付けられる部品2,3,4の次作業は「切削」、「塗装」、「検査」である。
表9及び表10に示される場所ICタグ情報及び部品ICタグ情報、表11に示されるICタグ受信結果及び表12示される生産管理システムの部品情報に基づいて、次作業を含めて、場所ICタグを受信した前後の時間に受信した部品ICタグの部品と置場とを関連付ける。
【0058】
【表13】
【0059】
表13に部品と置場の関連付け結果を示す。関連付け結果は、部品ICタグID、部品名称、置場名称、置場タグID、次作業からなる。次作業のデータは、表12示す生産管理システムの情報から取得した。
本実施例では、表13中に次作業も含まれているため、所在情報に基づいて部品探索する際に、次作業の情報からも推測して捜すことができる。
例えば、「タグリーダを持って各置場を巡回した時点では確かに部品4は置場Bにあったが、現状では部品4は置場Bに見当たらない。表13に示されるように、部品4の次作業は『検査』だから、検査エリアにあるのではないか?」との推測が可能となる。
【0060】
このように説明した通り、本実施例の所在管理システムは、ICタグリーダを持って各置場を巡回して、部品ICタグと場所ICタグを読取り、場所ICタグを受信した前後の時間に受信した部品ICタグの部品と置場とを関連付ける際、次作業の情報を含めるので、所在情報に基づいて部品捜索する際に、次作業の情報からも推測して探すことができる。
【実施例5】
【0061】
本発明の第5の実施例に係る所在管理システムを図3及び図4を参照して説明する。本実施例は、工場内でのICタグ受信のための巡回を可能とさせる装置に関する。
図3(a)は、アクティブ型ICタグの正面図であり、図3(b)は、その裏面図である。図4(a)は、作業者BがICタグリーダを袋中に入れて持ち運ぶ様子を示す説明図、図4(b)は、袋中から出されたICタグリーダの概略図である。
【0062】
図3に示すアクティブ型ICタグ10は、バッテリ(電池寿命1年)を内蔵しており、バッテリ駆動により自ら電波を遠くに飛ばすことが出き、通信距離が長いという利点がある。アクティブ型ICタグ10としては、金属環境下において少なくとも2mの交信距離をもつICタグを用いるのが望ましい。
アクティブ型ICタグ10は、図3(b)に示すように、ビニール袋15でカバーして保護されると共に、裏面にタグIDのバーコード11が付されている。
【0063】
図4に示すように、作業員Bは据置型ICタグリーダ(ICタグスキャナ)12を袋の中に入れて持ち運ぶ。ICタグリーダ12は、ノートパソコン13に接続されると共にリーダアンテナ14を備え、携帯可能なバッテリーを使用している。
ノートパソコン13は、ICタグが受信されているときには画面が赤く光るように設定されている。これにより、正常に受信されていることを確認しながら巡回することが可能となる。
【0064】
本実施例では、バッテリを内蔵したアクティブ型ICタグを使用するので、長い交信距離を確保することにより、読み落しを防ぎ読取精度を上げるという効果を奏する。
【実施例6】
【0065】
本発明の第6の実施例に係る所在管理システムを図5〜図7を参照して説明する。本実施例は、部品ICタグを、部品そのものに付けずに、部品と共に移動する帳票類に付けるものである。
【0066】
図5(a)に示すように、部品単位(翼列)20が収容されるボックス21には、1枚の管理帳票22が付されている。管理帳票22は、部品情報表と、作業指示票と、作業完了実績記録(実績は現場のコンピュータからデータベースにも登録している)を兼ねる帳票である。
図5(b)に示すように、管理帳票22のファイルにはICタグ23が貼り付けられている。
【0067】
また、帳票類には部品を識別できるバーコードを記するのが望ましい。本実施例では、図5(b)に示すように、管理帳票22には管理帳票のIDを示すバーコード24が付されている。
更に、図6に示すように、ICタグ23の裏面にも、ICタグIDを示すバーコード25が付されている。
従って、図7に示すように、管理帳票22のバーコード24及び管理帳票22に貼り付けられたバーコード25の両者をバーコードリーダで読み、生産管理システムから部品情報を取得し、関連づけて登録することができる。
登録する画面では、ICタグIDと管理帳票のIDの桁数の違いや、ICタグIDの冒頭4桁を固定するなどの、ICタグIDのルールと管理帳票のIDのルールの違いにより、ICタグIDが読込まれたか管理帳票のIDが読込まれたかを自動的に識別して、両者を関連づけて登録することができる。
【0068】
【表14】
【0069】
表14に部品ICタグ情報を示す。部品ICタグ情報とは、ICタグID、タグ種類、部品名称からなるものである。
表14においては、ICタグIDがRFID0003831のICタグは、部品ICタグとして、部品1に取り付けられていることを示している。同様に、ICタグIDがRFID0003738のICタグが、部品2に取り付けられ、ICタグIDがRFID0003794のICタグが、部品3に取り付けられていることを示している。
【0070】
【表15】
【0071】
表15に生産管理システムの部品情報を示す。表15に示すように、生産管理システムには、管理帳票のIDと部品番号が登録されている。
即ち、管理帳票のIDが90Eの管理帳票は部品1に、管理帳票のIDが01Eの管理帳票は部品2に、管理帳票のIDが03Eの管理帳票は部品3に、管理帳票のIDが24Eの管理帳票は部品4にそれぞれ付されていることが登録されている。
【0072】
【表16】
【0073】
表16に、ICタグと部品との関連付け登録(いわゆる、紐付け)を行った結果を示す。
表14では、部品4に関する部品ICタグ情報は存在していないが、生産管理システムからの部品情報を取得することにより、ICタグIDがRFID0003173で管理帳票のIDが24Eであれば、RFID0003173のICタグが部品4に付されているが分かる。
【0074】
上述した通り、ICタグを利用して部品の所在管理を行う際には、部品とICタグの関係を予め登録しておかなければならないが、本実施例では、帳票類を利用するため、その登録作業を短時間で容易に行うことが可能となる。
【0075】
本実施例では、帳票類を利用するため、外注品管理帳票置場(外注加工などの理由により、工場以外の場所にある部品の、管理帳票置場)を設置し、工場以外の場所にある部品の管理帳票を、全て外注品管理帳票置場に置いておき、部品置場と同じようにICタグを利用して所在管理することで、部品が工場以外の場所にあるということの管理を行うことが可能となる。
【実施例7】
【0076】
本発明の第7の実施例を図8に示す。本実施例は、工場の見取り図上に、部品が保管されている場所(置場)と保管されている部品の関連付け結果を表示するものである。
関連付け結果は、1日1回、作業者がICタグリーダを持って巡回した結果を随時更新するものとし、地図中の置場部分に、その置場にある部品の数を表示する。
【0077】
例えば、図8に示すように、工場内のイントラネットでアクセス可能なウェブサーバー内にWebシステムとして工場の見取り図を実装し、クライアントであるパソコンから表示できるようにするのである。その工場の見取り図中の置場の場所には、置場にある翼列数を示すのである。
例えば、図中、四角で示される置場(ハーフトーンで示す)には、置場に保管されている翼列数(セット数)が示される。そして、置場をクリックすると、その場所にある部品と部品情報の一覧を表示する。例えば、オーダの番号、アイテムの番号、注文主、図面名称、管理帳票のID、巡回日時を表示する。
例えば、図中、工場の見取り図の欄外の、四角で示される外注品管理帳票置場(ハーフトーンで示す)は、外注加工などの理由により、一時的に工場以外の場所にある翼列数(セット数)が、表示される。そして、外注品管理帳票置場をクリックすると、一時的に工場以外の場所にある部品と部品情報の一覧を表示する。例えば、オーダの番号、アイテムの番号、注文主、図面名称、管理帳票のID、巡回日時を表示する。
【0078】
本実施例によれば、以下の効果を奏する。
(i)工場全体の状況と物の動きを把握することができる
(ii)関係者が誰でもすぐに、工場のものの状況を把握することができる。
(iii)置き場にあるものを一覧で確認できる。
【実施例8】
【0079】
本発明の第8の実施例に係る所在管理システムを図9を参照して説明する。本実施例は、部品と置場が1対1に関連付け出来ない場合において、実施例1などの手法によって、部品と置場の関連づけの尤もらしさの順位を求めるものである。
【0080】
図9は、部品A、置場(位置)1,2における受信強度と受信した時間を三次元的に示す棒グラフである。データ干渉のため、データに一部抜けがある。
図9に示すように、距離の近い置場1,2がある場合など、1つの部品Aが2つの置場1,2に関連付けられてしまうことがある。
【0081】
即ち、図9中では、部品Aの受信強度が最大強度となる時間と、置場1,2の受信強度がそれぞれ最大強度となる時間は一致しない(部品Aの受信強度が最大強度61となるのが9時15分37秒であり、置場1,2の受信強度がそれぞれ最大強度79、強度58となるのが9時15分38秒、9時15分50秒である)。
また、図9中に示すように、受信強度の分散が置場1,2で異なるものの、部品Aの受信強度の分布とほぼ一致する。
そのため、部品Aと置場1又は2とが1対1に関連付けできず、部品Aが2つの置場1,2に関連付けられてしまうことがある。
【0082】
このように、部品と置場が1対1に関連付け出来ない場合において、本実施例は、実施例1などの手法によって、部品と置場の関連づけの尤もらしさの順位を求めるものである。
【0083】
【表17】
【0084】
表17は、順位付けの方法として、実施例1を用いた結果を示すものである(横軸を時間、縦軸を受信強度とした、部品と置場のグラフの重なり面積)。
表17に示すように、部品1,2,4については、0以外の数値がある置場は1箇所であるため、部品1,2,4については、部品と置場が1対1に定まる。しかし、部品3については、置場Bの数値が162、置場Dの数値が65、置場Hの数値が2779であるため、部品と置場が1対1に定まらない。
【0085】
【表18】
【0086】
表18は、表17に示す実施例1により部品と置場のグラフの重なり面積を順位付けした結果を示すものである。
表18に示す通り、部品3については、第1位が置場H、第2位が置場B、第3位が置場Dと順位付けされるため、置場Hが最もありそうな置場であり、続いて、置場B、置場Dの順である。
本実施例においては、部品と置場が1対1に関連付け出来ない場合において、実施例1などの手法によって、部品と置場の関連づけの尤もらしさの順位を求めるので、部品を捜索する際に、ターゲットを絞って捜索することができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、在庫・部品・仕掛品などの所在の管理に広く利用可能なものである。特に、物量が多く、しばしば移動が発生するが、1日1回程度の所在確認で十分な工場において有効であり、他の方法に比べ非常に容易に、所在管理が可能となる。
【符号の説明】
【0088】
1,2 置場
10 アクティブ型ICタグ
11 タグIDのバーコード
12 据置型ICタグリーダ
13 ノートパソコン
14 リーダアンテナ
20 部品単位
21 ボックス
22 管理帳票
23 ICタグ
24 管理帳票のIDを示すバーコード
25 ICタグIDを示すバーコード
A 部品
B 作業員
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象部品に取り付けられた物品ICタグと、
前記管理対象部品を保管する置場に設置された場所ICタグと、
前記物品ICタグ及び場所ICタグを読み取るICタグリーダとからなり、
前記置場を巡回する際に前記ICタグリーダにより前記物品ICタグ及び場所ICタグが同時又は近い時間に読み取られた場合には、前記物品ICタグが取り付けられた前記管理対象部品は前記場所ICタグが設置された前記置場に保管されていると判断する所在管理システムにおいて、
前記ICタグリーダにより複数の前記場所ICタグが読み取られた場合には、前記物品ICタグに関する受信強度と受信経過時間とのグラフと、前記場所ICタグに関する受信強度と受信経過時間とのグラフとの重なり面積の大きい方の前記場所ICタグが設置された前記置場に前記管理対象部品は保管されていると判断することを特徴とする所在管理システム。
【請求項1】
管理対象部品に取り付けられた物品ICタグと、
前記管理対象部品を保管する置場に設置された場所ICタグと、
前記物品ICタグ及び場所ICタグを読み取るICタグリーダとからなり、
前記置場を巡回する際に前記ICタグリーダにより前記物品ICタグ及び場所ICタグが同時又は近い時間に読み取られた場合には、前記物品ICタグが取り付けられた前記管理対象部品は前記場所ICタグが設置された前記置場に保管されていると判断する所在管理システムにおいて、
前記ICタグリーダにより複数の前記場所ICタグが読み取られた場合には、前記物品ICタグに関する受信強度と受信経過時間とのグラフと、前記場所ICタグに関する受信強度と受信経過時間とのグラフとの重なり面積の大きい方の前記場所ICタグが設置された前記置場に前記管理対象部品は保管されていると判断することを特徴とする所在管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−215305(P2010−215305A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61090(P2009−61090)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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