説明

所望により放射性標識したイマチニブの製造のための方法および中間体

本発明はN−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミン(式(I)
【化1】


の化合物)の新規製造法、温血動物に化合物を投与した後に観察されるN−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンの代謝産物の新規製造法、ならびに当該方法に使用する中間体に関する。それらの製造のための新規出発物質および方法は、同様に本発明の対象である。本明細書に記載の方法は、アイソトープ標識を有する前記化合物を得るためにとりわけ適している。かくして得られる標識化合物は、N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンおよびその薬学的に許容される塩の代謝を臨床的および前臨床的研究において追跡および調査するためにとりわけ適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミン(式Iの化合物、イマチニブ)のメシル酸塩は商品名Glivec(登録商標)(Gleevec(登録商標))で市販されている。Glivec(登録商標)は慢性骨髄性白血病およびGIST(消化管間質腫瘍)の処置に適したチロシンキナーゼ阻害剤である。N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンは例えば、US 5,521,184に記載のとおりに製造することができる。N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンのモノメシル酸塩を、例えばWO 99/03854の実施例4および6に記載のとおりに、またはWO03/090720に記載のとおりに製造または製剤することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明はN−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミン(式Iの化合物、イマチニブ)の新規製造法、温血動物に化合物を投与した後に観察されるN−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンの代謝産物の新規製造法、ならびに当該方法に使用する中間体に関する。それらの製造のための新規出発物質および方法は、同様に本発明の対象である。本明細書に記載の方法は、アイソトープ標識を有する前記化合物を得るためにとりわけ適している。かくして得られる標識化合物は、N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンおよびその薬学的に許容される塩の代謝を臨床的および前臨床的研究において追跡および調査するためにとりわけ適している。
【0003】
本願明細書の記載に基づくと、当業者は具体的に記載されたもののN−オキシド、プロドラッグ誘導体、保護誘導体、個々のアイソマーおよびアイソマーの混合物ならびにそれらの薬学的に許容される塩に加えて、本明細書に記載の化合物のN−オキシド誘導体を製造することができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様において、式I
【化1】

〔式中、RおよびRは共に水素であり、C*はアイソトープの天然分布を有するか、または1個の炭素アイソトープ、例えば14Cの富化によって標識化されている炭素を示す〕
の化合物のメシル酸塩を、1−メチルピペラジンを式II
【化2】

〔式中、Halはハロゲン、好ましくはクロロを示し、他の基および記号は上記式Iの化合物についての定義のとおりの意味を有する〕
の化合物と反応させることによって製造する。
【0005】
式II〔式中、Halはハロゲン、好ましくはクロロを示し、他の基および記号は上記式Iの化合物についての定義のとおりの意味を有する〕の化合物を、第1に式III
【化3】

〔式中、R1は上記式Iの化合物についての定義のとおりの意味を有する〕
の塩酸付加塩をHNC*N
〔式中、C*はアイソトープの天然分布を有するか、または1個の炭素アイソトープ、例えば14Cの富化によって標識化されている炭素を示す〕
と反応させて式IV
【化4】

〔式中、基および記号は上記式Iの化合物についての定義のとおりの意味を有する〕
のグアニジニル置換ニトロフェニル誘導体を得ることができる。第2の工程において、式IVのグアニジニル置換ニトロフェニル誘導体をさらに、式V
【化5】

〔式中、基および記号は上記式Iの化合物についての定義のとおりの意味を有する〕
の対応するグアニジニル置換アミノフェニル誘導体に還元する。第3の工程において、かかる式Vのグアニジニル置換アミノフェニル誘導体を式VI
【化6】

〔式中、RおよびRは共にC1−4アルキルである〕
のピリジル誘導体と反応させることによって、式VII
【化7】

〔式中、基および記号は上記式Iの化合物についての定義のとおりの意味を有する〕
のピリジルピリミジンを得る。かかる式VIIのピリジルピリミジンを最後に4−ハロメチル−安息香酸と反応させて式IIのアミドを得る。
【0006】
式VII〔式中、基および記号は上記式Iの化合物についての定義のとおりの意味を有する〕のピリジルピリミジンを、下記経路によっても製造することができる。第1の工程において、式I〔基および記号は上記定義のとおりの意味を有する〕の化合物を窒素原子に結合した水素原子を保護基によって置換する試薬と反応させ、したがって式I
【化8】

〔式中、RおよびRは共に保護基であり、C*はアイソトープの天然分布を有するか、または1個の炭素アイソトープ、例えば14Cの富化によって標識化されている炭素を示す〕
の化合物を得る。第2の工程において、分子の安息香酸単位を加水分解によって除去し、式XII
【化9】

〔式中、RおよびRは共に保護基であり、C*はアイソトープの天然分布を有するか、または1個の炭素アイソトープ、例えば14Cの富化によって標識化されている炭素を示す〕
の遊離アミンを得て、その後保護基RおよびRを水素で置換し、すなわち保護基を除去して、式II〔式中、基および記号は上記式Iの化合物についての定義のとおりの意味を有する〕の化合物を得る。
【0007】
第2の態様において、式VIII
【化10】

〔式中、Rは水素またはC1−4アルキルであり、C*はアイソトープの天然分布を有するか、または1個の炭素アイソトープ、例えば14Cの富化によって標識化されている炭素を示す〕
の化合物を、式X
【化11】

〔式中、Rは保護基、例えばtert−ブトキシカルボニルまたはC1−4アルキルであり、C*はアイソトープの天然分布を有するか、または1個の炭素アイソトープ、例えば14Cの富化によって標識化されている炭素を示す〕
の化合物を式XI
【化12】

の化合物と反応させ、その後Rが保護基を形成する場合には保護基Rを分離することによって得ることができる。
【0008】
式X
【化13】

〔式中、基および記号は上記のとおりの意味を有する〕
の化合物を、式IX
【化14】

〔式中、Rは保護基、例えばtert−ブトキシカルボニルまたはC1−4アルキルである〕
の化合物を第1にt−ブチルリチウムと反応させて対応するリチオ誘導体を製造し、当該リチオ誘導体をC*O〔式中、C*はアイソトープの天然分布を有するか、または1個の炭素アイソトープ、例えば14Cの富化によって標識化されている炭素を示す〕と反応させて得ることができる。
【0009】
更なる局面において、本発明は式I〔式中、基および記号は上記のとおりの意味を有する〕の化合物の酸化による、式XIII
【化15】

〔式中、基および記号は上記式Iの化合物についての定義のとおりの意味を有する〕
の化合物の製造に関する。
【0010】
更なる局面において、本発明は式XVI
【化16】

〔Halはハロゲン、好ましくはクロロを意味し、他の基および記号は上記式Iの化合物についての定義のとおりの意味を有する〕
の化合物を1−メチルピペラジンと反応させることによる式XIV
【化17】

〔式中、基および記号は上記式Iの化合物についての定義のとおりの意味を有する〕
の化合物の製造に関する。
【0011】
出発物質、式XVI〔式中、Halはハロゲンを意味し、他の基および記号は上記式Iの化合物についての定義のとおりの意味を有する〕の化合物を、下記方法によって得ることができる。最初に、式VII〔式中、RおよびRは共に水素である〕の遊離アミンを2級アミノ基の存在下で1級アミンの1個の水素原子の選択的置換が起こる条件下で保護基を導入する試薬で反応させ、その後ピリジル窒素原子を例えばMCPBAで導入し、式XV
【化18】

〔式中、RおよびRは共に水素であり、PGは保護基を意味し、他の記号は上記式Iの化合物についての定義のとおりの意味を有する〕
のN−オキシドを得る。当該式XVのN−オキシドを第1に、保護基PGを除去する条件に供して遊離アミンを得て、その後4−ハロメチル安息香酸と反応させて式XVI〔Halはハロゲンを意味し、他の基および記号は上記式Iの化合物についての定義のとおりの意味を有する〕の化合物を得る。
【0012】
更なる態様において、本発明は式XVIII
【化19】

〔式中、基および記号は上記式Iの化合物についての定義のとおりの意味を有する〕
の化合物を、式II
【化20】

〔式中、Halはハロゲン、好ましくはクロロを意味し、他の基および記号は上記式Iの化合物についての定義のとおりの意味を有する〕
の化合物を式XVII
【化21】

のピペラジン誘導体と反応させることによって得る。
【0013】
最後に、本発明は式XX
【化22】

〔式中、C*はアイソトープの天然分布を有するか、または炭素アイソトープ、例えば13Cの富化によって標識化されている炭素を示し、N*はアイソトープの天然分布を有するか、あるいは窒素アイソトープ、例えば15Nの富化によって標識化されている窒素を示す〕
の化合物の製造法であって、式XXI
【化23】

〔式中、RおよびRは共にC1−4アルキルであり、他の記号は上記式XXの化合物についての定義のとおりの意味を有する〕
のピリジン誘導体を式XXII
【化24】

〔式中、RおよびRは共に水素であり、他の記号は上記式XXの化合物についての定義のとおりの意味を有する〕
のフェニルグアニジン誘導体と反応させることを含む方法に関する。
【0014】
式XXI〔式中、RおよびRは共にC1−4アルキルであり、他の記号は上記式XXの化合物についての定義のとおりの意味を有する〕のピリジン誘導体を、3−トリメチルスタニルピリジンで出発し、当該化合物を式XXIV
【化25】

〔式中、Halはハロを意味し、他の記号は上記式XXの化合物についての定義のとおりの意味を有する〕
のアセチルハライドと反応させ、式XXIII
【化26】

〔式中、記号は上記式XXの化合物についての定義のとおりの意味を有する〕
のアセチルピリジンを得ることによって製造することができる。かかる式XXIIIのアセチルピリジンをさらに、ジ−C1−4アルキルホルムアミドジ−C1−4アルキルアセタールと反応させて所望のピリジン誘導体形の式XXI〔式中、RおよびRは共にC1−4アルキルであり、他の記号は上記式XXの化合物についての定義のとおりの意味を有する〕を得る。
【0015】
式XXII〔式中、RおよびRは共に水素であり、他の記号は上記式XXの化合物についての定義のとおりの意味を有する〕アミノフェニルグアニジン誘導体を、式XXV
【化27】

〔式中、RおよびRは共に水素であり、他の記号は上記式XXの化合物についての定義のとおりの意味を有する〕
のチオウレア誘導体で出発し、かかる式XXVのチオウレア誘導体を、各アミノ基の1個の水素原子を保護基、例えばtert−ブチルオキシカルボニルと交換する試薬で反応させて、式XXV〔式中、RおよびRは共に保護基を意味する〕のチオウレア誘導体を得ることによって製造することができる。かかる式XXVの保護チオウレア誘導体を、2−メチル−5−ニトロアニリンと反応させて式XXVI
【化28】

〔式中、RおよびRは共に保護基を意味し、他の記号は上記式XXの化合物についての定義のとおりの意味を有する〕
のニトロフェニルグアニジン誘導体を得る。両方の保護基を分離し、ニトロ基を還元して最終的に式XXII〔式中、RおよびRは共に水素を意味し、他の記号は上記式XXの化合物についての定義のとおりの意味を有する〕のアミノフェニルグアニジン誘導体を得る。
【0016】
他の全ての出発物質は既知であるか、既知の方法によって製造することができるか、または商業的に入手可能であり;とりわけそれらは実施例に記載の方法を使用して製造することができる。
【0017】
本明細書に記載の全ての方法工程を既知の反応条件下で、好ましくは具体的に記載のもので、好ましくは使用する試薬に対して不活性であり、これらを溶解することができる溶媒または希釈剤なし、または通常は存在下で、触媒、縮合剤もしくは中和剤、イオン交換剤、例えばH+形態の典型的なカチオン交換剤なし、または存在下で、反応および/または反応物のタイプに依存して低温、常温または高温で、例えば−100℃〜約190℃、好ましくは約−80℃〜約150℃で、例えば−80〜−60℃で、室温で、−20〜40℃で、もしくは使用する溶媒の沸点で、大気圧下または圧力下が適当な場合には密封容器中で、そして/あるいは不活性雰囲気中で、例えばアルゴンまたは窒素下で、行うことができる。問題の反応に適当であると選択可能な溶媒には、例えば水、エステル、典型的には低級アルキル−低級アルカノエート、例えばジ酢酸エチル、エーテル、典型的には脂肪族エーテル、例えばジエチルエーテル、例えば環状エーテル、例えばテトラヒドロフラン、液体芳香族性炭化水素、典型的にはベンゼンまたはトルエン、アルコール、典型的にはメタノール、エタノールまたは1−もしくは2−プロパノール、ニトリル、典型的にはアセトニトリル、ハロゲン化炭化水素、典型的にはジクロロメタン、酸アミド、典型的にはジメチルホルムアミド、塩基、典型的にはヘテロ環式窒素塩基、例えばピリジン、カルボン酸、典型的には低級アルカンカルボン酸、例えば酢酸、カルボン酸無水物、典型的には低級アルカン酸無水物、例えば無水酢酸、環状、直鎖状または分枝鎖状炭化水素、典型的にはシクロヘキサン、ヘキサンもしくはイソペンタン、またはこれらの溶媒の混合物、例えば水溶液を、方法の記載に特に記載がない限り、含む。かかる溶媒の混合物は方法において例えばクロマトグラフィーまたは分配にも使用することができる。
【0018】
本発明の化合物を、遊離塩基形の化合物を薬学的に許容される無機または有機酸と反応させることによって、薬学的に許容される酸付加塩として製造することができる。あるいは、本発明の化合物の薬学的に許容される塩基付加塩を、遊離酸形の化合物を薬学的に許容される無機または有機塩基と反応させることによって製造することができる。あるいは、塩形の本発明の化合物を、出発物質または中間体の塩を使用して製造することができる。
【0019】
遊離酸または遊離塩基形の本発明の化合物を対応する塩基付加塩または酸付加塩からそれぞれ製造することができる。例えば、酸付加塩形の本発明の化合物を適当な塩基(例えば、水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウム等)で処理することによって対応する遊離塩基に変換することができる。塩基付加塩形の本発明の化合物を適当な酸(例えば塩酸等)で処理することによって対応する遊離酸に変換することができる。
【0020】
未酸化形の本発明の化合物を本発明の化合物のN−オキシドから還元剤(例えば、硫黄、硫黄ジオキシド、トリフェニルホスフィン、ホウ化水素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、3塩化リン、3臭化物等)で適当な不活性有機溶媒(例えば、アセトニトリル、エタノール、ジオキサン水溶液等)中で0〜80℃で処理することによって製造することができる。
【0021】
本発明の化合物のプロドラッグ誘導体を当業者に既知の方法によって製造することができる(例えば、さらに詳しくはSaulnier et al., (1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985参照)。例えば適当なプロドラッグを未誘導体化本発明の化合物を適当なカルバミル化剤(例えば、1,1−アシルオキシアルキルカルバノクロリデート、パラ−ニトロフェニルカルボネート等)で反応させることによって製造することができる。
【0022】
本発明の化合物の保護誘導体を当業者に既知の方法によって得ることができる。保護基の製造およびその除去について使用可能な技術の詳細な記載は、T. W. Greene, “Protecting Groups in Organic Chemistry”, 3rd edition, John Wiley and Sons, Inc., 1999に見出すことができる。
【0023】
本発明の化合物を溶媒和物(例えば水和物)として便宜に製造あるいは本発明の方法によって形成することができる。本発明の化合物の水和物をジオキシン、テトラヒドロフランまたはメタノールのような有機溶媒を使用して水/有機溶媒混合物から再結晶化することによって便宜に製造することができる。
【0024】
本発明の化合物を、化合物のラセミ混合物を光学的に活性な分割試薬と反応させることによってジアステレオマー化合物の対を形成し、ジアステレオマーを分割し、光学的に純粋なエナンチオマーを回収することによって、個々の立体異性体として製造することができる。エナンチオマーの分割を本発明の化合物の共有ジアステレオマー誘導体を使用して行うことができるが、解離性複合体が好ましい(例えば結晶性ジアステレオマー塩)。ジアステレオマーは異なる物理的特徴(例えば融点、沸点、溶解度、反応性等)を有し、これらの不一致の利点を生かして容易に分割することができる。ジアステレオマーをクロマトグラフィーによって、または好ましくは溶解度の差に基づく分割/分解技術によって分割することができる。光学的に純粋なエナンチオマーを、分割試薬と共に、ラセミ化を起こさないあらゆる実用的な方法によって回収する。ラセミ混合物から立体異性体を分割するために使用することができる技術のより詳細な説明は、Jean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, “Enantiomers, Racemates and Resolutions”, John Wiley And Sons, Inc., 1981に見出すことができる。
【0025】
上記化合物の合成の詳細な例を実施例に見出すことができる。好ましい態様において、上記化合物を実施例に定義の方法および工程にしたがって、またはそれと同様に製造する。
【実施例】
【0026】
実施例
本発明はこれに限定されないが、上記化合物の製造を説明する下記実施例によってさらに例示される。
【0027】
略語
DMAP ジメチルアミノピリジン
DMSO ジメチルスルホキシド
MCPBA m−クロロペル安息香酸
MeOH メタノール
NMR 核磁気共鳴
RT 室温
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
w/v 体積あたりの重量
【0028】
実施例1:4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル−[2−14C]ピリミジン−2−イルアミノ)−フェニル]−ベンズアミドメシレート
1−メチルピペラジン(3ml、27mmol)をエタノール(20ml)中4−クロロメチル−N−{4−メチル−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−3−イル)−[2−14C]ピリミジン−2−イルアミノ]−フェニル}−ベンズアミドの塩酸塩(工程1.5、335mg、0.71mmol)溶液に加え、得られた混合物を5時間45℃で攪拌する。懸濁液をRTに冷却し、水(4.4ml)および20%w/v水酸化ナトリウム(130μl)を加える。得られた懸濁液を30分間90℃で攪拌し、RTに冷却し、遠心分離し、水性溶媒を除去する。ベージュ色結晶をさらに2回水で洗浄し、高真空下で乾燥する。最終的に、固体をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーでジクロロメタン:MeOH 90:10および1%アンモニアで溶出して精製し、中間体を黄色油状物として得る。最終的に、得られた中間体をMeOH(4ml)に溶解し、メタンスルホン酸(21μl)を加え、得られた溶液を攪拌する。得られた生成物を不活性標準生成物でシード添加して溶液から結晶化して、比放射能1.73GBq/mmolの表題化合物を得る。
1H-NMR 400 MHz (DMSO-d6) δ: 2.21 (s, 3H); 2.3 (s, 3H); 2.8 (s, 3H); 2.85-3.1, m, 4H); 3.25-3.4 (m, 4H); 3.62 (br.s, 3H); 7.18 (d, J = 8Hz; 1H); 7.38-7.51 (m, 4H); 7.91 (d, 7.6 Hz, 1H); 8.5 (d, J = 1.4 Hz, 1H); 8.45 (d, J = 7.8, 1H); 8.49 (d, J = 5 Hz, 1H); 8.65 (dd, J = 1.5 and 4.6 Hz, 1H); 8.95 (s, 1H); 9.22 (d, J = 1.5 Hz, 1h); 9.29 (br.s, 1H), 10.12 (s, 1H); MS: (MH+, 496.4)
【0029】
工程1.1:[14C]シアンアミド
バリウム[14C]カルボネート(1.18g、6mmol、10.4GBq、1.79GBq/mmol)を石英ガラス円柱管に入れ、アンモニアガスの緩気流下で800℃に加熱する。3時間後、粗バリウム[14C]シアンアミド生成物をRTに冷却し、アンモニア気流を止める。粗バリウム[14C]シアンアミド(1.063g、6mmol)を水(10ml)に懸濁し、超音波で溶解する。2M硫酸(2.6ml)を攪拌しながらpH5.5まで注意深く滴下する。水を60℃で23Torrで除去する。残渣をドライアイス/アセトンで冷却し、残部の水を凍結乾燥して結晶固体生成物を得る。これをジエチルエーテルにとり、ろ過して未溶解残渣を除去する。エーテルを除去し、得られた残渣をt−ブタノールに溶解する。
【0030】
工程1.2:N−(2−メチル−5−ニトロ−フェニル)−[14C]グアニジン
t−ブタノール中2−メチル−4−ニトロアニリン(1.52g、19mmol)の攪拌溶液に40℃でジオキサン(5ml)中4M塩酸を加えて黄色懸濁液を得る。溶媒を除去し、乾燥残渣をt−ブタノール(5ml)中粗[14C]シアンアミド(工程1.2)溶液に加え、黄色懸濁液を得る。100℃に1時間加熱した後、溶液を得る。さらに5時間後、溶媒を45℃で除去し、残渣を3%w/v水酸化ナトリウム(10ml)で処理し、ジクロロメタン(3×30ml)で抽出する。有機相を合併し、蒸発し、シリカゲルクロマトグラフィーで75:25:0.5:0.5 ジクロロメタン:MeOH:水:酢酸で溶出して、表題生成物、6.07GBqを得る。
【0031】
工程1.3:N−(5−アミノ−2−メチル−フェニル)−[14C]グアニジン
10%Pd/C(125mg)を含むn−ブタノール(25ml)中N−(2−メチル−5−ニトロ−フェニル)[14C]グアニジン(工程1.2)(760mg、3.91mmol)の混合物を水素ガス1気圧下でRTで4.5時間攪拌する。混合物をHyflo(Celite)でろ過し、さらなるn−ブタノール(3×10ml)で洗浄し、合併し、n−ブタノールをロータリーエバポレーターで45℃で除去して、粗生成物を無色油状物として得る。放射性TLC(80:25:0.5:0.5 ジクロロメタン:MeOH:水:酢酸、シリカゲルF254)は、RF=0.34に位置する;全活性3.7GBq。
【0032】
工程1.4:4−メチル−N*3*−(4−ピリジン−3−イル−[2−14C]ピリミジン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジアミン
n−ブタノール(30ml)中粗N−(5−アミノ−2−メチル−フェニル)−[14C]グアニジン(工程1.4、476mg、2.89mmol)および3−ジメチルアミノ−1−ピリジン−3−イル−プロペノン(509mg、2.89mmol)の溶液を還流温度(130℃)で3.5時間加熱する。溶媒を除去し、フラッシュクロマトグラフィー(2:98 ペンタン:アセトンで溶出)で精製して、表題生成物を黄色泡状物として得る。放射性TLC(2:98 ペンタン:アセトン、シリカゲルF254)はRF=0.5に位置する。全活性、2.3GBq。
【0033】
工程1.5:4−クロロメチル−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル−[2−14C]ピリミジン−2−イルアミノ)−フェニル]−ベンズアミド
乾燥THF(20ml)中4−メチル−N*3*−(4−ピリジン−3−イル−[2−14C]ピリミジン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジアミン(工程1.4、655mg、2.36mmol)の溶液に、アルゴン下0℃で、THF(10ml)中4−(クロロメチル)−ベンゾイルクロライド(2.646g、14mmol)溶液を滴下し、対応する混合物をRTで16時間攪拌する。得られた懸濁液を遠心分離し、沈殿生成物をエーテルで洗浄し、再度遠心分離し、エーテルを除去し、固体を乾燥して表題化合物の塩酸塩を得る。
【0034】
実施例2:4−(ピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル−[2−14C]ピリミジン−2−イルアミノ)−フェニル]−ベンズアミドヒドロクロライド
4−{4−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル−ピリミジン−2−イルアミノ)−フェニル[14C]カルバモイル]−ベンジル}−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(工程2.3、200.5mg、0.536mmol、486.8MBq)にMeOH(20ml)中3M HClを加える。30分後、さらにMeOH中10mlの3M HClを加え、反応物をさらに60分間攪拌する。生成物をガラス漏斗で吸引して濾取し、最初に冷MeOH(5ml)、次いで酢酸エチル(100ml)で洗浄し、高真空下で乾燥させて表題化合物を橙色結晶として得る。
【0035】
工程2.1:4−(4−ブロモ−ベンジル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
MeOH(50ml)中N−boc−ピペラジン(4.94g、26.5mmol)、p−ブロモ−ベンジルブロマイド(5.52g、22mmol)およびKCO(6.4g、46mmol)の混合物を90分間RTで攪拌する。混合物をガラス漏斗でろ過し、溶媒を蒸発する。残渣をジクロロメタンにとり、ガラス漏斗で2回ろ過し、ジクロロメタンで洗浄する。ろ液を蒸発し、粗無色油状物をシリカゲルクロマトグラフィー(ジエチルエーテル/n−ヘキサン(10:90〜50:50)で溶出)に付して、表題生成物を白色固体として得る。
【0036】
工程2.2:4−(4−[14C]カルボキシ−ベンジル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
ヘキサン(0.97ml、1.46mmol)中t−ブチルリチウム 1.5M溶液を−78℃で無水THF(5ml)中4−(4−ブロモ−ベンジル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(工程2.1、285mg、0.8mmol)溶液に加え、混合物を−78℃で4分間攪拌する。得られたリチオ誘導体を−192℃に冷却し、濃硫酸をバリウム[14C]カルボネート(0.85eq、122mg、0.62mmol、1378MBq、Amersham Pharmacia Biotech)に加えて生成した[14C]二酸化炭素と反応させ、その後−78℃に温め、30分間攪拌する。反応をMeOH(1ml)で−78℃でクエンチし、RTに温める。溶媒を真空下で除去し、飽和塩化アンモニウムを加える。混合物を酢酸エチル(3×15ml)で抽出し、合併し、硫酸ナトリウムで乾燥する。ろ過し、溶媒を除去して粗白色固体を得る。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(第1にジエチルエーテルで、次に10%MeOH 90%ジエチルで溶出する)に付す。分画を合併し、ロータリーエバポレーターで、次いで高真空下で蒸発して、表題生成物を白色固体として得る。
【0037】
工程2.3:4−{4−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル−ピリミジン−2−イルアミノ)−フェニル[14C]カルバモイル]−ベンジル}−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
THF(5ml)中4−(4−[14C]カルボキシ−ベンジル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(工程2.2、171.5mg、0.536mmol、1114.26MBq)の攪拌溶液にRTでトリエチルアミン(332μl、2.4mmol)を滴下し、その後iso−ブチルクロロホルメート(78μl、1.0mmol)を滴下する。混合物をさらに3分間攪拌し、4−メチル−N−3−(4−ピリジン−3−イル−ピリミジン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジアミン(165mg、1.0mmol)を加える。18時間後、溶液を蒸発し、残渣をシリカのフラッシュクロマトグラフィー(第1に酢酸エチル、次いで10%MeOH/90%酢酸エチル、次いで35%MeOH/65%酢酸エチル)に付して、表題化合物を明黄色固体として単離する。
【0038】
実施例3:4−メチル−N*3*−(4−ピリジン−3−イル−[2−14C]ピリミジン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジアミン
(5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−メチル−フェニル)−(4−ピリジン−3−イル−[2−14C]ピリミジン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(工程3.2、86mg、0.18mmol)およびトリフルオロ酢酸(463mg、310μl、4.06mmol)の溶液を一晩RTで攪拌する。工程内分析(RTLC、シリカゲル、CHCl:MeOH 95:5)によって、出発物質は消失している。溶媒を真空下で除去し、粗物質を1N HCl水溶液とCHClで分配する。有機相を再抽出した後、酸性水分画を合併し、2N NaOH水溶液で塩基性にし、CHClで3回抽出する。有機相を塩水で洗浄した後、有機相をNaSOで乾燥し、溶媒を蒸発する。粗物質(48mg)をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl:MeOH 98.5:1.5)で精製して表題生成物を得る。比放射能1.934GBq/mmol。 MS: + cESI: 279.89 M+. 1H-NMR (500.1 MHz, d6-DMSO): 2.08 (s, 3H), 4.88 (s, 2H), 6.35 (dd, 1H, J = 2 Hz, J = 7.9 Hz), 6.8 (d, 1H, J = 1.7 Hz), 6.80 (d, 1H, 8.1 Hz), 7.37 (d, 1H, 5.3 Hz), 7.55 (dd, 1H, J = 4.8 Hz, J = 8 Hz), 8.41 (m, 1H), 8.47 (d, 1H, J = 5.2 Hz), 8.67 (s, 1H), 8.70 (dd, 1H, J = 1.5 Hz, J = 4.9 Hz), 9.25 (d, 1H, J = 1.9 Hz).
【0039】
工程3.1:(5−{tert−ブトキシカルボニル−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ベンゾイル]−アミノ}−2−メチル−フェニル)−(4−ピリジン−3−イル−[2−14C]ピリミジン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
4−ジメチルアミノピリジン(30mg、0.24mmol)をCHCl(2ml)中4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル−[2−14C]ピリミジン−2−イルアミノ)−フェニル]−ベンズアミド(実施例1、120mg、0.24mmol)およびジ−tert−ブチルジカルボネート(265mg、1.22mmol)の懸濁液に、アルゴン下でRTで加えた後、橙色溶液が形成され、これをRTで一晩攪拌する。溶媒を真空下で除去し、粗生成物をシリカでクロマトグラフィー(CHCl:MeOH 93:7で溶出する)に付す。分画を合併し、ロータリーエバポレーターで、次いで高真空下で蒸発して表題化合物を得る。
【0040】
工程3.2:(5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−メチル−フェニル)−(4−ピリジン−3−イル−[2−14C]ピリミジン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
THF(0.8ml)中(5−{tert−ブトキシカルボニル−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ベンゾイル]−アミノ}−2−メチル−フェニル)−(4−ピリジン−3−イル−[2−14C]ピリミジン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(工程3.1、153mg、0.22mmol)および2−ジエチルアミノエチルアミン(53mg、64μl、0.45mmol)の溶液を一晩RTで攪拌する。工程内分析(RTLC、シリカゲル、CHCl:MeOH 95:5)に従って、さらに2−ジエチルアミノエチルアミン(159mg、192μl、1.35mmol)をほぼ出発物質が検出されなくなるまで加える。溶媒を真空下で除去した後、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl:MeOH 98:2)で精製して表題化合物を得る。
【0041】
実施例4:4−(4−メチル−4−オキシ−ピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル−ピリミジン−2−イルアミノ)−フェニル]−ベンズアミド
無水ジクロロメタン(10ml)中4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル−[2−14C]ピリミジン−2−イルアミノ)−フェニル]−ベンズアミド(実施例1、414mg、43.4mCi、1605.8MBq)の溶液をMCPBA(260mg、1.5mmole)でRTで2時間処理する。形成した沈殿を濾取し、ろ液を蒸発し、粗生成物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン:MeOH 70:35で溶出)で精製して表題生成物を白色固体として得る。生成物をエタノール/酢酸エチルから結晶化する。
1H-NMR 400MHz (DMSO-d6) δ: 2.21 (s, 3H), 2.78-2.89 (m, 4H); 3.01 (s, 3H); 3.28-3.38 (m, 4H); 3.6 (s, 2H); 7.18 (d, J = 8.3 Hz, 1H); 7.38-7.51 (m, 5H); 7.89 (s, 1H); 7.91 (s, 1H); 8.03 (s, 1H); 8.45 (d, J = 7.9 Hz, 1H); 8.49 (d, J = 5.4 Hz, 1H); 8.66 (dd, J = 2, 4.2, 1H); 8.98 (s, 1H); 9.25 (d, J = 2; 1H); 10.2 (s, 1H); MS: (MH+ = 512)
【0042】
実施例5:N−{4−メチル−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−3−イル)−[2−14C]ピリミジン−2−イルアミノ]−フェニル}−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ベンズアミド
1−メチルピペラジン(2ml、18mmol)をエタノール(20ml)中4−クロロメチル−N−{4−メチル−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−3−イル)−[2−14C]ピリミジン−2−イルアミノ]−フェニル}−ベンズアミド(工程5.2、151mg、0.34mmole)溶液に加え、得られた混合物を1時間60℃で攪拌する。溶液を蒸発し、残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン:MeOH 90:10および1%アンモニアで溶出する)で精製して、黄色油状物を得る。油状物をジクロロメタン:MeOHから結晶化して、N−オキシド生成物を結晶固体として得る、175.3MBq。 1H-NMR 400 MHz (DMSO-d6) δ: 2.15 (s, 3H); 2.21 (s, 3H); 2.25-2.42 (m, 4H); 3.28-3.34 (m, 4H); 3.52 (s, 2H); 7.19 (d, J = 9.1 Hz; 1H); 7.38-7.42 (m, 3H); 7.45-7.52 (m, 2H); 7.88 (s, 1H); 7.89 (s, 1H); 7.99-8.2 (m, 2H); 8.28 (d, J = 6.8 Hz, 1H); 8.5 (d, J = 5.4 Hz, 1H); 8.8 (2, 1H); 9.2 (s, 1H), 10.1 (s, 1H).
【0043】
工程5.1:{4−メチル−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−3−イル)−[2−14C]ピリミジン−2−イルアミノ]−フェニル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
THF(10ml)中4−メチル−N−3−(4−ピリジン−3−イル−[2−14C]ピリミジン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジアミン(実施例3、286mg、1.03mmole、1890MBq)の懸濁液をジ−tert−ブチルジカルボネート(467mg、2.33mmole)および触媒量のDMAPで処理し、還流温度で2時間加熱する。溶媒を真空下で除去し、粗生成物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン:MeOH、95:5で溶出する)で精製して、保護生成物を黄色泡状物として得る。化合物をジクロロメタンに溶解し、−10℃に冷却し、MCPBA(285mg、1.65mmol)で処理し、0℃で4時間攪拌する。沈殿をろ過し、溶媒を蒸発し、粗生成物をさらにシリカのフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン:MeOH 95:5で溶出する)で精製して、表題生成物を黄色泡状物として得る。
【0044】
工程5.2:4−クロロメチル−N−{4−メチル−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−3−イル)−[2−14C]ピリミジン−2−イルアミノ]−フェニル}−ベンズアミド
塩酸(4ml、4N溶液)をTHF(10ml)中{4−メチル−3−[4−(1−オキシ−ピリジン−3−イル)−[2−14C]ピリミジン−2−イルアミノ]−フェニル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(工程5.1、187mg、0.48mmol)の懸濁液に加える。得られた混合物を70℃に1時間加熱する。冷却した混合物を蒸発して黄色固体を得て、これをシリカのフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン:MeOH 75:35で溶出する)で精製して黄色結晶を得る。結晶をTHF(10ml)中に懸濁し、水酸化アンモニウム25%水溶液(1滴)で処理し、得られた混合物を超音波処理に供する。懸濁液をろ過し、溶媒を蒸発して黄色泡状物を得る。この泡状物をTHF(10ml)に溶解し、THF(2ml)中4−(クロロメチル)−ベンゾイルクロライド(149mg、0.8mmol)溶液を滴下して処理し、対応する混合物をRTで2時間攪拌する。得られた懸濁液を遠心分離し、沈殿生成物をさらにエーテルで洗浄し、再度遠心分離し、エーテルを除去し、固体を乾燥して表題生成物を褐色結晶として得る。
【0045】
実施例6:4−(4−メチル−[2,2,3,3,5,5,6,6−D8]ピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル−ピリミジン−2−イルアミノ)−フェニル]−ベンズアミド
4−クロロメチル−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル−ピリミジン−2−イルアミノ)−フェニル]−ベンズアミド(3.57g、8.30mmol;実施例1によって、非標識化出発物質を使用して得ることができる)をジメチルホルムアミド(50ml)に溶解する。この溶液に炭酸カリウム(5.74g、41.5mmol)およびN−メチルピペラジン−2,2,3,3,5,5,6,6−d8(815mg、7.54mmol、Isotec, Inc. of Miamisburg, OH)を加える。混合物を45〜50℃に約12〜14時間加熱する。反応をTLCで、生成物のRfが約0.30となるDCM/EtOAc/MeOH/NHOH(25%)(60/10/10/2)からなる溶媒系を使用してモニターする。DMFを真空下で除去し、残渣を水で粉砕する。この水を洗浄するとひどくゴム状の物質が生成し、これを酢酸エチルに溶解し、水相を真空下で濃縮し、残渣を酢酸エチル中で溶解する。合併した物質をフラッシュクロマトグラフィー(上記と同じ溶媒系を使用する)で4回精製する。生成物をバイアルにとり、65℃(メタノールが還流する)の乾燥温度で、真空下(0.01mmHg)で乾燥する装置Abderhalden中に置く。 MS ES + 502.4 (100%) [M+H]+, 503.5 (40%), 504.5 (4%); 1H NMR (d6-DMSO) δ: 2.1 (3H, s), 2.4 (3H, s), 3.6 (2H, s), 7.2 (1H, d), 7.5 (3H, m), 7.8 (2H, d), 8.1 (1H, s), 8.5 (2H, m), 8.8 (1H, s), 9.0 (1H, s), 9.2 (1H, s), 10.1 (1H, s).
【0046】
実施例7:4−メチル−N−(4−ピリジン−3−イル−[1,3−15, 2,4,5−13]ピリミジン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジアミン
n−ブタノール中粗N−(5−アミノ−2−メチル−フェニル)−[13C,15]グアニジン(工程7.7、157mg、0.96mmol)および3−ジメチルアミノ−1−ピリジン−3−イル−[1,2−13]プロペノン(工程7.3,169mg、0.96mmol)の溶液を還流温度(130C)で、5時間加熱する。溶媒を除去し、フラッシュクロマトグラフィー(5:95 ペンタン:アセトンで溶出する)で精製して純粋な表題生成物を黄色固体として得る、1H-NMR 400MHz (CDCl3) δ:9.14 (1H, s, ArH), 8.73 (1H, d, J 4, ArH), 8.50 (1H, d octet, J 7,1.2, ArH), 8.37 (1H, m, ArH), 7.70 (1H, s, NH), 7.45 (1H, dd, J 8, 5), 7.17 (1H, dm, J 168, ArH), 7.03-6.99 (2H, m, ArH), 6.46 (1H, dd, J 8,1.2, ArH), 2.27 (3H, s, CH3): MS (c+ESI): 283.3 (100%) [M+H]+, 284.4 (15%).
【0047】
工程7.1:3−トリメチルスタニル−ピリジン
2首フラスコに3−ブロモピリジン(4g、25.3mmol)、次いでジエチルエーテル(40ml)を窒素下で入れる。溶液を−78℃に冷却し、その後ヘキサン(20ml、30.4mmol)中n−ブチルリチウム 1.5Mを加える。得られた黄色溶液を10分間攪拌し、その後ジエチルエーテル(2ml)中トリメチルチンクロライド(5.04g、25.3mmol)溶液を加える。得られた溶液を−78℃で20分間攪拌し、RTにゆっくり、1時間にわたって温める。溶液をヘキサン(50ml)と水(100ml)で分配し、振盪し、有機層を分離する。水相をヘキサン(50ml)でさらに2回抽出し、有機相を合併し、水(100ml)で洗浄する。ヘキサン相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、炉液を蒸発して粗油状物を得て、これをシリカゲルカラムに通して9:1 ヘキサン:酢酸エチルで溶出し、生成物の分画を回収する。分画を合併し、蒸発して明黄色油状物を得て、これをさらにKugelrohrオーブン中で蒸留して精製し、表題生成物を得てこれを無色油状物として50mbar、100℃で蒸留する。
【0048】
工程7.2:1−ピリジン−3−イル−[13]エタノン
30mlアンプルに3−トリメチルスタニルピリジン(工程7.1、1.83g、7.56mmol)、新鮮な蒸留[13]アセチルクロライド(0.67g、8.32mmol)、PdCl(PPh(0.3g、0.44mmol)および乾燥ベンゼン(20ml)を入れる。アンプルを密封し、油槽に95℃で一晩置く。アンプルを開き、内容物を取り出し、水(30ml)と酢酸エチル(30ml)で分配し、振盪する。有機相を分離し、水相を酢酸エチル(2×30ml)でさらに2回再抽出する。有機相を合併し、水(30ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を注意深く蒸発する。粗油状物をシリカゲルで、ヘキサン:酢酸エチルで溶出して精製し、注意深く凍結乾燥して表題生成物を得る。
【0049】
工程7.3:(E/Z)−3−ジメチルアミノ−1−ピリジン−3−イル−[1,2−13]プロペノン
密封アンプル中で1−ピリジン−3−イル−[13]エタノン(工程7.2、500mg、4.06mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(628mg、5.28mmol)を100℃に一晩加熱する。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで、9:1 ジクロロメタン:メタノールで溶出して精製し、表題生成物を黄色結晶として得る。
【0050】
工程7.4:[13C,15]チオウレア−N,N’−ジカルボン酸tert−ブチルエステル
乾燥THF(50ml)中水素化ナトリウム(鉱油中60%分散剤、1.18g、29.61mmol)の懸濁液に0℃アルゴン下で、Aldrich Chem. Co.から得た乾燥THF(82ml)中[13C,15]チオウレア(500mg、6.58mmol)溶液を滴下する。完全に加えた後、溶液を5分間攪拌し、その後ジ−tert−ブチルジカルボネート(3.16g、14.48mmol)を加え、対応する溶液を1時間攪拌する。NaHCO飽和溶液(13ml)を、その後水(230ml)を滴下する。生成物を酢酸エチル(3×150ml)で抽出し、有機相を合併し、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を蒸発して粗生成物を油状物として得る。
【0051】
工程7.5:N−(2−メチル−5−ニトロ−フェニル)−[13C,15]グアニジン−N,N’−酸tert−ブチルエステル
DMF中粗[13C,15]チオウレア−N,N’−ジカルボン酸tert−ブチルエステル(工程7.4、2.35g、6.58mmol)、2−メチル−5−ニトロアニリン(1.00g、6.58mmol)、トリエチルアミン(3.0ml、21.71mmol)の攪拌橙色溶液に0℃で、固体塩化水銀II(1.97g、7.24mmol)を加える。15分間RTで攪拌した後、酢酸エチル(50ml)を加え、混合物をHyflo(Celite)でろ過する。酢酸エチル溶液を水(50ml)および塩水(50ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。乾燥試薬を濾取し、炉液を蒸発して油状物を得て、これをシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(第1に100%ヘキサン、次いで90:10 ヘキサン:酢酸エチル、その後80:20 ヘキサン:酢酸エチル)で精製して表題化合物を得る。
【0052】
工程7.6:N−(2−メチル−5−ニトロ−フェニル)−[1513C]グアニジン
1:1 トリフルオロ酢酸(9ml):ジクロロメタン(9ml)中N−(2−メチル−5−ニトロ−フェニル)−[13C,15]グアニジン−N,N’−acid tert−ブチルエステル(工程7.5、445mg、1.13mmol)溶液をRTで1時間攪拌する。2M 水酸化ナトリウムを加え(50ml)、黄色溶液を酢酸エチル(3×30ml)で抽出し、合併し、水で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を蒸発して黄色油状物を得て、これを通常シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで、90:10:0.5:0.5 ジクロロメタン:メタノール:水:酢酸の混合物で溶出して精製して、表題生成物を得る。
【0053】
工程7.7:N−(5−アミノ−2−メチル−フェニル)−[1513C]グアニジン
10%Pd/C(12mg)を含むn−ブタノール(3ml)中N−(2−メチル−5−ニトロ−フェニル)[13C,15]グアニジン(工程7.6、121mg、0.62mmol)の混合物を1気圧の水素ガス下で、RTで16時間攪拌する。さらに12mgの10%Pd/Cを加え、混合物をさらに16時間攪拌する。混合物をHyflo(Celite)でろ過し、n−ブタノール(3×2ml)でさらに洗浄し、合併し、n−ブタノールをロータリーエバポレーターで除去して粗表題生成物を得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

〔式中、RおよびRは共に水素であり、C*は1個の炭素アイソトープ14Cの富化によって標識化されている炭素を示す〕
の化合物。
【請求項2】
式I
【化2】

〔式中、RおよびRは共に水素であり、C*はアイソトープの天然分布を有するか、または1個の炭素アイソトープの富化によって標識化されている炭素を示す〕
の化合物のメシル酸塩の製造法であって、1−メチルピペラジンを式II
【化3】

〔式中、Halはハロゲンを示し、他の基および記号は上記式Iの化合物についての定義のとおりの意味を有する〕
の化合物と反応させることによって製造する方法。
【請求項3】
式VIII
【化4】

〔式中、Rは水素またはC1−4アルキルであり、C*は炭素アイソトープ14Cの富化によって標識化されている炭素を示す〕
の化合物。
【請求項4】
式VIII
【化5】

〔式中、Rは水素またはC1−4アルキルであり、C*はアイソトープの天然分布を有するか、あるいは炭素アイソトープ14Cの富化によって標識化されている炭素を示す〕
の化合物の製造法であって、式X
【化6】

〔式中、Rは保護基またはC1−4アルキルであり、C*はアイソトープの天然分布を有するか、または1個の炭素アイソトープの富化によって標識化されている炭素を示す〕
の化合物を式XI
【化7】

の化合物と反応させ、その後Rが保護基を形成する場合には保護基Rを分離することによって得る方法。
【請求項5】
式XIII
【化8】

〔式中、RおよびRは共に水素であり、C*は炭素アイソトープ14Cの富化によって標識化されている炭素を示す〕
の化合物。
【請求項6】
式I
【化9】

〔式中、RおよびRは共に水素であり、C*はアイソトープの天然分布を有するか、または1個の炭素アイソトープの富化によって標識化されている炭素を示す〕
の化合物の酸化による、式XIII
【化10】

〔式中、RおよびRは共に水素であり、C*はアイソトープの天然分布を有するか、または1個の炭素アイソトープの富化によって標識化されている炭素を示す〕
の化合物の製造法。
【請求項7】
式XIV
【化11】

〔式中、RおよびRは共に水素であり、C*は炭素アイソトープ14Cの富化によって標識化されている炭素を示す〕
の化合物。
【請求項8】
式XVI
【化12】

〔式中、Halはハロゲンを意味し、RおよびRは共に水素であり、C*はアイソトープの天然分布を有するか、または1個の炭素アイソトープの富化によって標識化されている炭素を示す〕
の化合物を1−メチルピペラジンと反応させることによる、式XIV
【化13】

〔式中、RおよびRは共に水素であり、C*はアイソトープの天然分布を有するか、または1個の炭素アイソトープの富化によって標識化されている炭素を示す〕
の化合物の製造法。
【請求項9】
式XVIII
【化14】

〔式中、RおよびRは共に水素であり、C*は炭素アイソトープ14Cの富化によって標識化されている炭素を示す〕
の化合物。
【請求項10】
式II
【化15】

〔式中、Halはハロゲンを意味し、RおよびRは共に水素であり、C*はアイソトープの天然分布を有するか、または1個の炭素アイソトープの富化によって標識化されている炭素を示す〕
の化合物を式XVII
【化16】

のピペラジン誘導体と反応させることによる、式XVIII
【化17】

〔式中、RおよびRは共に水素であり、C*はアイソトープの天然分布を有するか、または1個の炭素アイソトープの富化によって標識化されている炭素を示す〕
の化合物の製造法。
【請求項11】
式XX
【化18】

〔式中、C*は炭素アイソトープ13Cの富化によって標識化されている炭素を示し、N*はアイソトープの天然分布を有するか、あるいは窒素アイソトープ15Nの富化によって標識化されている窒素を示す〕
の化合物。
【請求項12】
式XX
【化19】

〔式中、C*はアイソトープの天然分布を有するか、または1個の炭素アイソトープの富化によって標識化されている炭素を示し、N*はアイソトープの天然分布を有するか、または1個の窒素アイソトープ15Nの富化によって標識化されている窒素を示す〕
の化合物の製造法であって、式XXI
【化20】

〔式中、RおよびRは共にC1−4アルキルであり、C*はアイソトープの天然分布を有するか、または1個の炭素アイソトープの富化によって標識化されている炭素を示す〕
のピリジン誘導体を式XXII
【化21】

〔式中、RおよびRは共に水素であり、C*はアイソトープの天然分布を有するか、または1個の炭素アイソトープの富化によって標識化されている炭素を示し、N*はアイソトープの天然分布を有するか、または1個の窒素アイソトープ15Nの富化によって標識化されている窒素を示す〕
のフェニルグアニジン誘導体と反応させることを含む方法。
【請求項13】
式X
【化22】

〔式中、Rは保護基またはC1−4アルキルであり、C*はアイソトープの天然分布を有するか、または1個の炭素アイソトープの富化によって標識化されている炭素を示す〕
の化合物。

【公表番号】特表2009−501137(P2009−501137A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516217(P2008−516217)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/005676
【国際公開番号】WO2006/133904
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】