扁平形非水電解質二次電池
【課題】過充電時のガス発生による破裂を回避しつつ、充放電サイクル寿命を向上させることが可能な扁平形非水電解質二次電池を提供する。
【解決手段】主面が円形の密閉容器内に収納され、正極5及び負極6がセパレータ7を介して扁平形状に捲回された電極群4と、前記密閉容器内に公称容量1mAh当り3.5mg以上で収容された非水電解質とを具備し、前記正極5は、正極集電体5a及び前記正極集電体5aに担持された正極活物質含有層5bを含有すると共に、巻き始め部の少なくとも一方の面が正極活物質含有層無担持の集電体表出面であり、前記負極6は、負極集電体6a及び前記負極集電体6aに担持された負極活物質含有層6bを含有すると共に、巻き始め部の少なくとも一方の面が負極活物質含有層無担持の集電体表出面であり、前記正極5の前記巻き始め部8の前記集電体表出面と前記負極6の前記巻き始め部9の前記集電体表出面とが1〜6層の前記セパレータ7を介して対向していることを特徴とする。
【解決手段】主面が円形の密閉容器内に収納され、正極5及び負極6がセパレータ7を介して扁平形状に捲回された電極群4と、前記密閉容器内に公称容量1mAh当り3.5mg以上で収容された非水電解質とを具備し、前記正極5は、正極集電体5a及び前記正極集電体5aに担持された正極活物質含有層5bを含有すると共に、巻き始め部の少なくとも一方の面が正極活物質含有層無担持の集電体表出面であり、前記負極6は、負極集電体6a及び前記負極集電体6aに担持された負極活物質含有層6bを含有すると共に、巻き始め部の少なくとも一方の面が負極活物質含有層無担持の集電体表出面であり、前記正極5の前記巻き始め部8の前記集電体表出面と前記負極6の前記巻き始め部9の前記集電体表出面とが1〜6層の前記セパレータ7を介して対向していることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平形非水電解質二次電池に係わるものである。
【背景技術】
【0002】
正極活物質にMnO2やV2O2などの金属酸化物、あるいはフッ化黒鉛などの無機化合物、あるいはポリアニリンやポリアセン構造体などの有機化合物を用い、負極に金属リチウム、あるいはリチウム合金、あるいはポリアセン構造体などの有機化合物、あるいはリチウムを吸蔵、放出可能な炭素質材料、あるいはチタン酸リチウムやリチウム含有珪素酸化物の様な酸化物を用い、非水電解質にプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジメトキシエタン、γ−ブチルラクトンなどの非水溶媒にLiClO4、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2などの支持塩を溶解したものを用いたコイン形やボタン形の扁平形非水電解質二次電池は既に商品化されており、放電電流が数〜数十μA程度の軽負荷で放電が行われるSRAMやRTCのバックアップ用電源や電池交換不要腕時計の主電源といった用途に適用されている。
【0003】
これら従来の扁平形非水電解質二次電池は構造が簡便であるため、小型化が可能であり、量産性、長期信頼性及び安全性に優れているが、その反面、電極面積が制限されるために中〜重負荷放電には適していない。そのため、小型情報端末や携帯機器の主電源として採用することはできなかった。
【0004】
これに対して、電池形状は変更せずに、電極面積を大きくすることで、重負荷放電が可能な扁平形非水電解質二次電池が開発、提供されている(例えば、特許文献1,2)。
【0005】
この特許文献1,2では、扁平形非水電解質二次電池の扁平面に垂直な方向の断面を見た場合、正極と負極がセパレータを介して対向している正負極対向面が少なくとも3面存在する電極群を使用して電極群内の正負極対向面積の総和を大きくすることで重負荷特性を著しく向上させている。また、特許文献1,2では、正負極対抗面積の大きな電極群を小型のケースに収納するために、金属薄膜からなる集電体に正極活物質を塗着した正極板と、金属薄膜からなる負極集電板に負極活物質を塗着した負極板とをセパレータを介して捲回や積層することにより電極群とし、液状の非水電解質を含浸させて、この電極群を内包するように金属製の正極ケース及び金属製の負極ケースとをガスケットを介してカシメ固定する封口が行われている。
【0006】
このような捲回電極群を用いた扁平形非水電解質二次電池においては、充放電により正極及び負極が膨張収縮を繰り返すことで非水電解質の分布に斑が生じやすく、これを抑えるために非水電解質の添加量を増加させることが検討されている。
【0007】
非水電解質を効率良く電極群に含浸させる方法として、特許文献3には、30〜50℃に非水電解質を加温する方法が記載されている。また、特許文献4には、正極とセパレータの対向面間または負極とセパレータの対向面間にスペーサとして網状片を挿入することによって、非水電解質保持量を増加させることが開示されている。
【0008】
特許文献3のように非水電解質を加熱すると、非水電解質の粘性が低下して電極群内への含浸が促されるものの、非水電解質に含まれる低沸点溶媒が揮発して非水電解質の組成が変化してしまう恐れがある。一方、特許文献4のように正極または負極とセパレータとの間にスペーサが挿入されると、正極と負極の極間距離が大きくなるため、重負荷放電特性の低下を招く。
【0009】
さらに、非水電解質保持量の増加は、充放電サイクル寿命の向上に好ましい反面、過充電時のガス発生量の増加を招くため、内圧上昇時に外部にガスを放出させる安全弁機構が設けられていない扁平形非水電解質二次電池においては、破裂に至る危険性を引き上げるという問題点もあった。
【特許文献1】特開2001−68160号公報
【特許文献2】特開2001−68143号公報
【特許文献3】特開平10−284121号公報
【特許文献4】特開2002−110216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、過充電時のガス発生による破裂を回避しつつ、充放電サイクル寿命を向上させることが可能な扁平形非水電解質二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る第1の扁平形非水電解質二次電池は、主面が円形の密閉容器と、
前記密閉容器内に収納され、正極及び負極がセパレータを介して扁平形状に捲回された電極群と、
前記密閉容器内に公称容量1mAh当り3.5mg以上で収容された非水電解質とを具備し、
前記正極は、正極集電体及び前記正極集電体に担持された正極活物質含有層を含有すると共に、巻き始め部の少なくとも一方の面が正極活物質含有層無担持の集電体表出面であり、
前記負極は、負極集電体及び前記負極集電体に担持された負極活物質含有層を含有すると共に、巻き始め部の少なくとも一方の面が負極活物質含有層無担持の集電体表出面であり、
前記正極の前記巻き始め部の前記集電体表出面と前記負極の前記巻き始め部の前記集電体表出面とが1〜6層の前記セパレータを介して対向していることを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係る第2の扁平形非水電解質二次電池は、主面が円形の密閉容器と、
前記密閉容器内に収納され、正極及び負極がセパレータを介して扁平形状に捲回された電極群と、
前記密閉容器内に公称容量1mAh当り3.5mg以上で収容された非水電解質とを具備し、
前記負極は、負極集電体及び前記負極集電体に担持された負極活物質含有層を含有すると共に、巻き始め部の少なくとも一方の面が負極活物質含有層無担持の集電体表出面であり、
前記負極の前記巻き始め部は、前記集電体表出面を内側にして1〜6層の前記セパレータを囲むように捲回されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、過充電時のガス発生による破裂が回避され、かつ充放電サイクル寿命が向上された扁平形非水電解質二次電池を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
主面が円形の密閉容器に、正極及び負極がセパレータを介して扁平形状に捲回された電極群を収納した扁平形非水電解質二次電池においては、容器の外形(円形)と電極群の外形(方形)が異なるために、容器内のデッドスペース(dead space)が比較的多く、電極群に必要とされる非水電解質量を含浸させるために必要量よりも過剰な量を注入する必要がある。
【0015】
非水電解質量を増加させた扁平形非水電解質二次電池において、過充電時のガス発生量が多くなるのは、以下に説明するような原因によるものと考えられる。
【0016】
上記のような扁平形非水電解質二次電池において、電極群に必要な非水電解質量を確保するために注入した過剰な非水電解質は容器内のデッドスペースに存在するようになる。一方、過充電時には、非水電解質の酸化分解によって正極において多量の非水電解質が失われるため、毛管現象に似た現象によって遊離非水電解質が正極に補充される。デッドスペースに存在する非水電解質は電極群の捲回端面に露出しているセパレータを伝って電極群内部に浸透し、これが酸化分解反応を助長し、ガス発生量が多くなったものと推測される。
【0017】
本発明のように、正極と負極の巻き始め部に活物質含有層が形成されていない集電体表出面を設け、この集電体表出面同士を1〜6層のセパレータを介して対向させることによって、このセパレータを、非水電解質量を公称容量1mAh当り3.5mg以上にした際の余剰分を保持するためのリザーバとして機能させることができ、遊離非水電解質を少なくすることができる。このリザーバ箇所には活物質が存在しないことから、過充電に陥っても非水電解質の酸化分解が起こらない。さらに、リザーバセパレータに保持された非水電解質は、過充電反応の進行に伴い、周囲の正極に拡散するが、負極や他のセパレータを介しての半径方向への拡散であるため、徐々に進行し、酸化分解の助長を回避することができる。これにより、過充電時のガス発生による破裂を回避しつつ、充放電サイクル寿命を向上させることが可能となる。
【0018】
また、負極の巻き始め部に活物質含有層が形成されていない集電体表出面を設け、この集電体表出面を内側にした状態で負極の巻き始め部で1〜6層のセパレータを囲んでも、このセパレータを、非水電解質量を公称容量1mAh当り3.5mg以上にした際の余剰分を保持するためのリザーバとして機能させることができる。このリザーバ箇所には活物質が存在しないことから、過充電に陥っても非水電解質の酸化分解が起こらない。さらに、リザーバセパレータと接しているのが負極のみであるため、過充電時の正極への非水電解質の拡散をさらに遅くすることができ、酸化分解による非水電解質の消費をさらに少なくすることができる。従って、過充電時のガス発生量がより一層低減されるばかりか、充放電サイクル寿命のさらなる改善を図ることができる。
【0019】
リザーバセパレータの層数は十分な効果を得るために2層以上にすることがより好ましく、また、セパレータ層数が多すぎると高エネルギー密度を得られない恐れがあることから、2層以上、4層以下にすることがさらに好ましい。
【0020】
以下、正極、負極、セパレータ及び非水電解質について説明する。
【0021】
正極活物質については特に限定されるものではないが、例えば、MnO2、V2O5、Nb2O5、LiTi2O4、Li4Ti5O12、LiFe2O4、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウムなどの金属酸化物、あるいはフッ化黒鉛、FeS2などの無機化合物、あるいはポリアニリンやポリアセン構造体などの有機化合物などが挙げられる。ただし、この中で作動電位が高く、サイクル特性に優れるという点でコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウムやそれらの混合物やそれらの元素の一部を他の金属元素で置換したリチウム含有酸化物がより好ましく、長期間に渡り使用されることもある扁平形非水電解質二次電池においては高容量で電解液や水分との反応性が低く化学的に安定であるという点でコバルト酸リチウムがさらに好ましい。
【0022】
正極集電体としては、例えば、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔などの金属箔を使用することができる。
【0023】
負極活物質については、限定されるものではないが、例えば、金属リチウム、あるいはLi−Al、Li−In、Li−Sn、Li−Si、Li−Ge、Li−Bi、Li−Pbなどのリチウム合金、あるいはポリアセン構造体などの有機化合物、あるいはリチウムを吸蔵放出可能な炭素質材料、あるいはNb2O5、LiTi2O4、Li4Ti5O12やLi含有珪素酸化物の様な酸化物などが挙げられる。中でも、サイクル特性に優れ、作動電位が低く、高容量であるという点でLiを吸蔵、放出可能な炭素質材料が好ましく、特に放電末期においても電池作動電圧の低下が少ない点で天然黒鉛や人造黒鉛、膨張黒鉛、メソフェーズピッチ焼成体、メソフェーズピッチ繊維焼成体などのd002の面間隔が0.338nm以下の黒鉛構造が発達した炭素質材料がより好ましい。
【0024】
負極集電体としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔などの金属箔を使用することができる。
【0025】
次に、電極については正負極とも薄い電極の作製が行ない易い点で集電体にスラリー状の合剤を塗布、乾燥したものがよく、さらにそれを圧延したものも用いることもできる。
【0026】
また、集電体の片面のみに活物質含有層が形成されたものを電極として使用することが可能であるが、容積効率の点から、リザーバセパレータと接する巻き始め部と通電部となる部分を除いて集電体の両面に活物質含有層が形成されていることが望ましい。通電部は、例えば、最初から活物質含有層を形成させないことでも、一旦、両面に活物質含有層を形成した後に該当部分のみ活物質含有層を除去することで形成してもよい。
【0027】
セパレータとしては、例えば、多孔質フィルム、もしくは不織布を用いることができる。多孔質シートは、例えば、ポリオレフィンおよびセルロースから選ばれる少なくとも1種類の材料からなることが好ましい。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンをあげることができる。
【0028】
セパレータの厚さは、12μm以上、30μm以下にすることが望ましい。
【0029】
非水電解質としては、液状もしくはゲル状のものを使用することができる。液状非水電解質は、例えば、非水溶媒にリチウム塩を溶解させることにより調製される。
【0030】
非水溶媒としては、特に限定されるものでないが、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジエトキシエタン(DEE)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeTHF)、1,3−ジオキソラン、1,3−ジメトキシプロパン等を挙げることができる。非水溶媒の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。
【0031】
リチウム塩としては、特に限定されるものでないが、例えば、過塩素酸リチウム(LiClO4)、四フッ化硼酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、四塩化アルミニウムリチウム等のリチウム塩を挙げることができる。電解質の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。電解質の非水溶媒に対する溶解量は、0.5〜1.5モル/Lの範囲内にすることが望ましい。
【0032】
非水電解質の保持量は、充放電サイクル寿命を向上させる観点から公称容量1mAh当り3.5mg以上にするが、公称容量1mAh当り6mgを超える程多くしても十分な効果を期待できないばかりか、過充電時の破裂を防止できない恐れがある。よって、非水電解質の保持量は公称容量1mAh当り3.5mg以上、5.5mg以下にすることが好ましい。
【0033】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図8を参照して説明する。
【0034】
密閉容器はアウター缶1と封口缶2から構成されている。有底円筒状をなすアウター缶1は、一方極(例えば正極)端子を兼ねている。アウター缶1は、その開口端がカシメ加工により内方に折り曲げられている。一方、有底円筒状をなす封口缶2は、他方極(例えば負極)端子を兼ねている。封口缶2は、その開口端が外側に向ってU字状に折り返されている。封口缶2は、その折り返し部2aがアウター缶1の開口端の折り曲げ部に挿入され、折り返し部2aとアウター缶1の内壁との間に配置された絶縁ガスケット3を介してアウター缶1にカシメ固定されている。
【0035】
電極群4は、正極5と負極6をその間にセパレータ7を介して扁平形状に捲回された構造を有する。電極群4の外形は、ほぼ方形である。ここで、方形(四角形)としては、矩形、正方形などが挙げられる。
【0036】
図2に示すように、正極5は、正極集電体5aと、この正極集電体5aに担持された正極活物質含有層5bとを含むものである。正極5の巻き始め部8は、両面が活物質含有層が担持されていない集電体表出面である。正極5は、巻き始め部8と対向する箇所と通電部となる巻き終わり部(図示しない)の片面が集電体表出面であるために片面担持であるが、基本的には正極集電体5aの両面に正極活物質含有層5bが形成されている。一方、負極6は、負極集電体6aと、この負極集電体6aに担持された負極活物質含有層6bとを含むものである。負極6の巻き始め部9は、両面が活物質含有層無担持の集電体表出面である。負極6は、巻き始め部9と対向する箇所と通電部となる巻き終わり部(図示しない)の片面が集電体表出面であるために片面担持であるが、基本的には負極集電体6aの両面に負極活物質含有層6bが形成されている。
【0037】
扁平形状の2本の巻き芯10a,10bの間にセパレータ7を配置し、巻き芯10aとセパレータ7とで正極5の巻き始め部8を挟むと共に、巻き芯10bとセパレータ7との間に負極6の巻き始め部9を挟む。巻き芯10a,10bを図2に矢印で示す方向に捲回すると、図3に示すようになる。すなわち、正極5の巻き始め部8の集電体表出面と、負極6の巻き始め部9の集電体表出面との間に1層セパレータ7が介在された構成になる。
【0038】
さらに捲回を行うと、図1に示す電極群4が得られる。電極群4の一方の最外層は、正極集電体5aである。また、電極群4の他方の最外層は、負極集電体6aである。なお、電極群4の巻き終わり端部は、巻き止めテープ(図示しない)で固定されている。
【0039】
このような電極群4は、アウター缶1と封口缶2で形成された液密な空間内に収納されている。また、電極群4は、正極集電体5aが最外層である面がアウター缶1の底部内面と接し、かつ負極集電体6aが最外層である面が封口缶2の底部内面と接している。
【0040】
なお、最外層の正極集電体5aとアウター缶1の底部内面との間にこれらの導通を良好にする目的で例えば金属製多孔質板からなる正極導電層(図示しない)を配置することが可能である。また、最外層の負極集電体6aと封口缶2の底部内面との間にもこれらの導通を良好にする目的で例えば金属製多孔質板からなる負極導電層(図示しない)を配置することが可能である。
【0041】
セパレータ7の積層数を3層にする場合には、例えば図4に示すような構成にすることができる。正極5としては、巻き始め部8の片面と通電部となる巻き終わり部(図示しない)の片面が集電体表出面となっている以外は、正極集電体5aの両面に正極活物質含有層5bが形成されている。一方、負極6としては、巻き始め部9の片面と通電部となる巻き終わり部(図示しない)の片面が集電体表出面となっている以外は、負極集電体6aの両面に負極活物質含有層6bが形成されている。巻き芯10a,10bの間にセパレータ7を挟み、一方の端部を巻き芯10aに引き回し、かつ他方の端部を巻き芯10bに引き回し、巻き芯10a,10bの周囲にセパレータ7をS字状に配置する。巻き芯10a,10bを矢印の方向に回転させた後、巻き芯10a上に重ねられた2層のセパレータ7の間に負極6の巻き始め部9をその集電体表出面がセパレータ7を介して巻き芯10aと対向するように挿入する。同時に、巻き芯10b上に重ねられた2層のセパレータ7の間に正極5の巻き始め部8をその集電体表出面がセパレータ7を介して巻き芯10bと対向するように挿入する。これらをさらに捲回すると、正極5の巻き始め部8の集電体表出面と負極6の巻き始め部9の集電体表出面が3層のセパレータ7を介して対向した電極群が得られる。
【0042】
セパレータ7の積層数を5層にする場合には、例えば図5に示すような構成にすることができる。まず、前述した図4で説明したのと同様にして巻き芯10a,10bの周囲にセパレータ7をS字状に配置した後、巻き芯10a,10bを図5に矢印で示す方向に捲回する。次いで、巻き芯10a上に重ねられた3層のセパレータ7における二層目と三層目のセパレータ7の間に負極6の巻き始め部9をその集電体表出面が二層目のセパレータ7と対向するように挿入する。同時に、巻き芯10b上に重ねられた3層のセパレータ7における二層目と三層目のセパレータ7の間に正極5の巻き始め部8をその集電体表出面が二層目のセパレータ7と対向するように挿入する。これらをさらに捲回すると、正極5の巻き始め部8の集電体表出面と負極6の巻き始め部9の集電体表出面が5層のセパレータ7を介して対向した電極群が得られる。
【0043】
次いで、負極6の巻き始め部9の集電体表出面でセパレータ7を囲む構成の電極群について説明する。まず、セパレータ7の積層数が2層の場合を図6、図7を参照して説明する。正極5としては、通電部となる巻き終わり部(図示しない)の片面が集電体表出面であること以外は、活物質含有層5b両面担持のものである。負極6の巻き始め部9は、片面が活物質含有層無担持の集電体表出面である。負極6は、この巻き始め部9と通電部となる巻き終わり部(図示しない)の片面が集電体表出面であるために片面担持であるが、基本的には負極集電体6aの両面に負極活物質含有層6bが形成されている。
【0044】
巻き芯10aと巻き芯10bの間にセパレータ7を挟んだ後、一方の端部を巻き芯10aに引き回し、かつ他方の端部を巻き芯10bに引き回し、図6に示すように巻き芯10a,10bの周囲にセパレータ7をS字状に配置する。巻き芯10bとセパレータ7の間に、負極6の巻き始め部9をその集電体表出面6aが巻き芯10bと対向するように配置する。巻き芯10a,10bを矢印方向に180°捲回した後、図7に示すように正極5の巻き始め部をセパレータ7の間に挿入し、負極6の巻き始め部9とセパレータ7を介して対向させる。これらをさらに捲回することにより、負極6の巻き始め部9が集電体表出面6aを内側にして2層のセパレータ7を囲む構成を有する電極群が得られる。
【0045】
セパレータ7の積層数を4層にする場合は、例えば、図8に示す構成にすることができる。正極5としては、セパレータの積層数が2層の場合で説明したのと同様な構成のものを使用することができる。一方、負極6としては、巻き始め部の片面と巻き終わり部(図示しない)の片面が集電体表出面で片面担持となっている以外は、負極集電体6aの両面に負極活物質含有層6bが形成されているものを使用することができる。まず、前述した図6で説明したのと同様にして巻き芯10a,10bの周囲にセパレータ7をS字状に配置した後、セパレータ7を2枚とも同一方向に引き出し、これらS字状セパレータの周囲のうちの約半周分を囲む。そして、その周囲を負極6の巻き始め部で集電体表出面を内側にして囲む。2枚のセパレータ7の間に正極5の巻き始め部を挿入し、図8に矢印で示す方向に捲回すると、負極6の巻き始め部が集電体表出面6aを内側にして4層のセパレータ7を囲む構成を有する電極群が得られる。
【0046】
セパレータ7の積層数を6層にする場合は、例えば、図9に示す構成にすることができる。正極5及び負極6としては、セパレータの積層数が4層の場合で説明したのと同様な構成のものを使用することができる。
【0047】
まず、前述した図6で説明したのと同様にして巻き芯10a,10bの周囲にセパレータ7をS字状に配置した後、セパレータ7を2枚とも同一方向に引き出し、これらS字状セパレータの周囲を1周分囲む。そして、2枚のセパレータ7の間に負極6の巻き始め部をその集電体表出面を内側にして挿入し、さらに、この負極6の活物質含有層6bと接するセパレータ7とさらに外側に位置するセパレータ7との間に正極5の巻き始め部を挿入し、図9に矢印で示す方向に捲回すると、負極6の巻き始め部が集電体表出面6aを内側にして6層のセパレータ7を囲む構成を有する電極群が得られる。
【0048】
[実施例]
以下、本発明の実施例を前述した図面を参照して詳細に説明する。
(実施例1)
<正極の作製>
LiCoO2100質量部に対し導電剤としてアセチレンブラック5質量部と黒鉛粉末5質量部を加え、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを5質量部加え、N−メチルピロリドンで希釈、混合し、スラリー状の正極合剤を得た。次に、正極集電体である厚さ0.02mmのアルミニウム箔の両面に正極合剤をドクターブレード法により塗工、乾燥を施すことにより正極活物質含有層を形成した。以後、正極活物質含有層の塗膜厚さが両面で0.15mmとなるまで塗工、乾燥を繰り返し、両面塗工正極を作製した。
【0049】
次に、この正極の片面の端から正極ケースであるアウター缶に接する部分の正極活物質含有層を除去し、アルミニウム層を表出させ、通電部とした。また、通電部と反対側の端から巻き始め部とこれと対向する部分の正極活物質含有層を除去し、アルミニウム層を表出させ、幅12mm、長さ120mm、厚さ0.15mmの長さに切り出した正極を作製した。
【0050】
<負極の作製>
黒鉛化メソフェーズピッチ炭素繊維粉末100質量部に結着剤としてスチレンブタジエンゴム(SBR)とカルボキシメチルセルロース(CMC)をそれぞれ2.5質量部添加し、イオン交換水で希釈、混合し、スラリー状の負極合剤を得た。得られた負極合剤を負極集電体である厚さ0.02mmの銅箔に負極活物質含有層の厚さが0.15mmとなるように正極の場合と同様に塗工、乾燥を繰り返し、両面塗工された負極を作製した。
【0051】
次に、この負極の片面の端から負極ケースとしての封口缶に接する部分の負極活物質含有層を除去し、銅層を表出させ、通電部とした。この通電部の反対側に位置する端から正極の巻き始め部と対向する部分の負極活物質含有層を除去し、銅層を表出させ、幅13mm、長さ130mm、厚さ0.15mmの長さに切り出した負極を作製した。
【0052】
<電池の組立て>
得られた正極と負極と厚さ30μmのポリエチレン微多孔膜からなるセパレータとを用いて前述した図2,3で説明したのと同様にし、正極5の巻き始め部8の集電体表出面と負極6の巻き始め部9の集電体表出面との間に1層セパレータ7が介在された構成の電極群を作製した。
【0053】
得られた電極群から巻き芯10a,10bを引き抜いた後、圧縮処理を施し、さらに85℃で12h乾燥した。
【0054】
続いて、絶縁ガスケット3を一体化した負極ケース2の底部内面に電極群の最外層の負極集電体6aを接触させ、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートを体積比1:1の割合で混合した溶媒に支持塩としてLiPF6を1mol/Lの割合で溶解せしめた液状の非水電解質を負極ケース2内に公称容量1mAh当り5mg注液し、さらに電極群の最外層の正極集電体5aが正極ケース1の底部内面と接するように正極ケース1を嵌合し、上下反転後、正極ケース1にカシメ加工を施し、前述した図1に示す構造を有し、直径24mm、厚さ3.2mmである扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0055】
なお、公称容量とは、設計された放電容量の0.2CmAに相当する電流値で放電した放電容量である。
【0056】
(実施例2)
前述した図4で説明したのと同様にして、正極5の巻き始め部8の集電体表出面と負極6の巻き始め部9の集電体表出面との間に3層セパレータ7が介在された構成の電極群を作製すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0057】
(実施例3)
前述した図5で説明したのと同様にして、正極5の巻き始め部8の集電体表出面と負極6の巻き始め部9の集電体表出面との間に5層セパレータ7が介在された構成の電極群を作製すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0058】
(実施例4)
前述した図6、7で説明したのと同様にして、負極6の巻き始め部が集電体表出面を内側にして2層のセパレータ7を囲む構成を有する電極群を作製すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0059】
(実施例5)
前述した図8で説明したのと同様にして、負極6の巻き始め部が集電体表出面を内側にして4層のセパレータ7を囲む構成を有する電極群を作製すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0060】
(実施例6)
前述した図9で説明したのと同様にして、負極6の巻き始め部が集電体表出面を内側にして6層のセパレータ7を囲む構成を有する電極群を作製すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0061】
(比較例1)
正負極の巻き始め部の活物質含有層を残し、図10に示すように、正極5の巻き始め部の正極活物質含有層5bと負極6の巻き始め部の負極活物質含有層6bの間に1層のセパレータ7が介在された電極群を作製すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0062】
(比較例2)
正負極の巻き始め部の活物質含有層を残し、図11に示すように、正極5の巻き始め部の正極活物質含有層5bと負極6の巻き始め部の負極活物質含有層6bの間に3層のセパレータ7が介在された電極群を作製すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0063】
(比較例3)
正負極の巻き始め部の活物質含有層を残し、正極5の巻き始め部の正極活物質含有層5bと負極6の巻き始め部の負極活物質含有層6bの間に5層のセパレータ7が介在された電極群を作製すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0064】
(比較例4)
正負極の巻き始め部の活物質含有層を残し、図12に示すように、負極6の巻き始め部が負極活物質含有層6aを内側にして2層のセパレータ7を囲む構成を有する電極群を作製すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0065】
(比較例5)
正負極の巻き始め部の活物質含有層を残し、負極6の巻き始め部が負極活物質含有層6aを内側にして4層のセパレータ7を囲む構成を有する電極群を作製すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0066】
(比較例6)
正負極の巻き始め部の活物質含有層を残し、負極6の巻き始め部が負極活物質含有層6aを内側にして6層のセパレータ7を囲む構成を有する電極群を作製すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0067】
(比較例7)
正極5の巻き始め部の正極活物質含有層5bと負極6の巻き始め部の負極活物質含有層6bの間に7層のセパレータ7が介在された電極群を作製すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0068】
(比較例8)
負極6の巻き始め部が負極活物質含有層6aを内側にして8層のセパレータ7を囲む構成を有する電極群を作製すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0069】
得られた実施例1〜6及び比較例1〜8の電池を各50個ずつ用意した。
【0070】
実施例1〜6及び比較例1〜8の電極群に関して、予め電極群重量を測定していた各々の電極群5個を形状を保持したまま非水電解質に浸漬し、浸透しきれなかった余剰の非水電解質を拭き取った後、重量測定を行った。浸漬前の電極群重量に対する浸漬後の電極群重量を百分率で表し、その結果を保液率として下記表1に示す。
【0071】
なお、比較例7,8の電池においては、電池作製後の電池厚さが3.2mmを上回ってしまい設計通りの寸法とすることができなかった。これは、電極群中心部に非水電解質を保持する部分が多くなりすぎていたために、注液後の電極群が膨潤してしまったことで、電池厚さが大きくなってしまったと考えられる。
【0072】
実施例1〜6及び比較例1〜6で作製した電池は、20℃雰囲気下で2日間静置し、その後5mA、4.2Vの定電流定電圧で24時間充電を実施した。更に、3日間静置後、20℃雰囲気下、10mAの定電流で閉回路電圧が3.0Vになるまで放電を実施した。
【0073】
そして、各々10個の電池において、上記充電条件及び放電条件により、充放電を繰り返し500回行った。その時の1回目の放電容量に対する500回目の放電容量の比率を表1に示す。
【0074】
更に、各々10個の電池において、10mA、12V印加を50時間続ける過充電試験を行なった。その時の電池破裂の有無を確認した。その結果を表1に示す。
【表1】
【0075】
表1に示すように、実施例1〜6の電池では、電極群中に非水電解質が十分に保持されている為、充放電サイクルを繰り返した時の放電容量維持率を80%以上維持することができており、良好な電池特性であった。これは、電極反応に関与しない部分に非水電解質を保持していることで、充放電に伴う正極または負極の膨張収縮による非水電解質の移動が起きた場合でも、電極群中心部のセパレータ中に保持された非水電解質が移動できる為、電池特性の低下を防止することができたと考えられる。
【0076】
また、実施例1〜6の電池における過充電試験では、電池破裂はなく安全性に関しても問題なかった。これは、電極群中に保持している余剰分の非水電解質が分解反応を起こす正負極活物質含有層に接触していない為、保持されている余剰分の非水電解質は分解されず、さらに、捲回中心から放射状に徐々に非水電解質が拡散してゆくため、過充電時のガス発生速度が緩やかになり、電池を破裂させることはなかったと考えられる。
【0077】
また、負極の巻き始め部の集電体表出面でセパレータを囲む構成の実施例4〜6の二次電池は、実施例1〜3に比較して充放電サイクル維持率が高くなる傾向が見られている。
【0078】
一方、比較例1〜3においては、電極群中に保持されている非水電解質が正負極活物質含有層に接触しており、実施例1〜6に比べて充放電反応に対して余剰分となる非水電解質が正負極活物質含有層に対して少ないため、充放電サイクルを行った場合、その放電容量維持率は実施例1〜6と比較して低くなった。また、比較例1〜3の電池における過充電試験では、余剰分となる非水電解質が、正負極活物質含有層に接触しているため、余剰分の非水電解質が分解されることで、電池内圧を上昇させ、電池の破裂を起こしたと考えられる。
【0079】
また、比較例4〜6では、捲回中心部の負極活物質含有層が、正極活物質含有層に対向していない為、過剰の負極活物質含有層が存在することになり、正極からの充電によるリチウム引き抜き反応が過剰に生じ、放電容量維持率は実施例1〜6に比べて低下した。また、比較例4〜6の電池における過充電試験では、充放電反応に対して余剰分となる非水電解質が負極活物質含有層に接触しているため、余剰分の非水電解質が分解されることで、電池内圧を上昇させ、電池の破裂を起こしたと考えられる。
【0080】
なお、本発明の実施例は、非水電解質に非水溶媒を用いた扁平形非水電解質二次電池を用いて説明したが、本発明は、非水電解質にポリマー電解質を用いたポリマー二次電池についても適用可能であり、電池形状については正極ケースの加締め加工により封口する扁平形非水電解質二次電池をもとに説明したが、正負極電極を入れ替えて、加締め加工により封口することも可能である。さらに、電極群形状についても、長方形である必要はなく、小判形や多角形などの特殊形状を有する扁平形非水電解質二次電池においても同様の効果が得られる。
【0081】
以上説明したとおり、本発明によれば、電池特性を低下させること無く、電池安全性を向上する事ができる。よって、その工業的価値は非常に大きなものである。
【0082】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係る扁平形非水電解質二次電池の一実施形態を示す断面図。
【図2】実施例1の扁平形非水電解質二次電池の電極群作製工程における巻き始めの状態を模式的に示した断面図。
【図3】実施例1の扁平形非水電解質二次電池の電極群作製工程における捲回一周目の状態を模式的に示した断面図。
【図4】実施例2の扁平形非水電解質二次電池の電極群作製工程を模式的に示した断面図。
【図5】実施例3の扁平形非水電解質二次電池の電極群作製工程を模式的に示した断面図。
【図6】実施例4の扁平形非水電解質二次電池の電極群作製工程における巻き始めの状態を模式的に示した断面図。
【図7】実施例4の扁平形非水電解質二次電池の電極群作製工程における捲回二周目の状態を模式的に示した断面図。
【図8】実施例5の扁平形非水電解質二次電池の電極群作製工程を模式的に示した断面図。
【図9】実施例6の扁平形非水電解質二次電池の電極群作製工程を模式的に示した断面図。
【図10】比較例1の扁平形非水電解質二次電池の電極群作製工程を模式的に示した断面図。
【図11】比較例2の扁平形非水電解質二次電池の電極群作製工程を模式的に示した断面図。
【図12】比較例4の扁平形非水電解質二次電池の電極群作製工程を模式的に示した断面図。
【符号の説明】
【0084】
1…アウター缶、2…封口缶、2a…折り返し部、3…絶縁ガスケット、4…電極群、5…正極、5a…正極集電体、5b…正極活物質含有層、6…負極、6a…負極集電体、6b…負極活物質含有層、7…セパレータ、8…正極巻き始め部、9…負極巻き始め部、10a,10b…巻き芯。
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平形非水電解質二次電池に係わるものである。
【背景技術】
【0002】
正極活物質にMnO2やV2O2などの金属酸化物、あるいはフッ化黒鉛などの無機化合物、あるいはポリアニリンやポリアセン構造体などの有機化合物を用い、負極に金属リチウム、あるいはリチウム合金、あるいはポリアセン構造体などの有機化合物、あるいはリチウムを吸蔵、放出可能な炭素質材料、あるいはチタン酸リチウムやリチウム含有珪素酸化物の様な酸化物を用い、非水電解質にプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジメトキシエタン、γ−ブチルラクトンなどの非水溶媒にLiClO4、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2などの支持塩を溶解したものを用いたコイン形やボタン形の扁平形非水電解質二次電池は既に商品化されており、放電電流が数〜数十μA程度の軽負荷で放電が行われるSRAMやRTCのバックアップ用電源や電池交換不要腕時計の主電源といった用途に適用されている。
【0003】
これら従来の扁平形非水電解質二次電池は構造が簡便であるため、小型化が可能であり、量産性、長期信頼性及び安全性に優れているが、その反面、電極面積が制限されるために中〜重負荷放電には適していない。そのため、小型情報端末や携帯機器の主電源として採用することはできなかった。
【0004】
これに対して、電池形状は変更せずに、電極面積を大きくすることで、重負荷放電が可能な扁平形非水電解質二次電池が開発、提供されている(例えば、特許文献1,2)。
【0005】
この特許文献1,2では、扁平形非水電解質二次電池の扁平面に垂直な方向の断面を見た場合、正極と負極がセパレータを介して対向している正負極対向面が少なくとも3面存在する電極群を使用して電極群内の正負極対向面積の総和を大きくすることで重負荷特性を著しく向上させている。また、特許文献1,2では、正負極対抗面積の大きな電極群を小型のケースに収納するために、金属薄膜からなる集電体に正極活物質を塗着した正極板と、金属薄膜からなる負極集電板に負極活物質を塗着した負極板とをセパレータを介して捲回や積層することにより電極群とし、液状の非水電解質を含浸させて、この電極群を内包するように金属製の正極ケース及び金属製の負極ケースとをガスケットを介してカシメ固定する封口が行われている。
【0006】
このような捲回電極群を用いた扁平形非水電解質二次電池においては、充放電により正極及び負極が膨張収縮を繰り返すことで非水電解質の分布に斑が生じやすく、これを抑えるために非水電解質の添加量を増加させることが検討されている。
【0007】
非水電解質を効率良く電極群に含浸させる方法として、特許文献3には、30〜50℃に非水電解質を加温する方法が記載されている。また、特許文献4には、正極とセパレータの対向面間または負極とセパレータの対向面間にスペーサとして網状片を挿入することによって、非水電解質保持量を増加させることが開示されている。
【0008】
特許文献3のように非水電解質を加熱すると、非水電解質の粘性が低下して電極群内への含浸が促されるものの、非水電解質に含まれる低沸点溶媒が揮発して非水電解質の組成が変化してしまう恐れがある。一方、特許文献4のように正極または負極とセパレータとの間にスペーサが挿入されると、正極と負極の極間距離が大きくなるため、重負荷放電特性の低下を招く。
【0009】
さらに、非水電解質保持量の増加は、充放電サイクル寿命の向上に好ましい反面、過充電時のガス発生量の増加を招くため、内圧上昇時に外部にガスを放出させる安全弁機構が設けられていない扁平形非水電解質二次電池においては、破裂に至る危険性を引き上げるという問題点もあった。
【特許文献1】特開2001−68160号公報
【特許文献2】特開2001−68143号公報
【特許文献3】特開平10−284121号公報
【特許文献4】特開2002−110216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、過充電時のガス発生による破裂を回避しつつ、充放電サイクル寿命を向上させることが可能な扁平形非水電解質二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る第1の扁平形非水電解質二次電池は、主面が円形の密閉容器と、
前記密閉容器内に収納され、正極及び負極がセパレータを介して扁平形状に捲回された電極群と、
前記密閉容器内に公称容量1mAh当り3.5mg以上で収容された非水電解質とを具備し、
前記正極は、正極集電体及び前記正極集電体に担持された正極活物質含有層を含有すると共に、巻き始め部の少なくとも一方の面が正極活物質含有層無担持の集電体表出面であり、
前記負極は、負極集電体及び前記負極集電体に担持された負極活物質含有層を含有すると共に、巻き始め部の少なくとも一方の面が負極活物質含有層無担持の集電体表出面であり、
前記正極の前記巻き始め部の前記集電体表出面と前記負極の前記巻き始め部の前記集電体表出面とが1〜6層の前記セパレータを介して対向していることを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係る第2の扁平形非水電解質二次電池は、主面が円形の密閉容器と、
前記密閉容器内に収納され、正極及び負極がセパレータを介して扁平形状に捲回された電極群と、
前記密閉容器内に公称容量1mAh当り3.5mg以上で収容された非水電解質とを具備し、
前記負極は、負極集電体及び前記負極集電体に担持された負極活物質含有層を含有すると共に、巻き始め部の少なくとも一方の面が負極活物質含有層無担持の集電体表出面であり、
前記負極の前記巻き始め部は、前記集電体表出面を内側にして1〜6層の前記セパレータを囲むように捲回されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、過充電時のガス発生による破裂が回避され、かつ充放電サイクル寿命が向上された扁平形非水電解質二次電池を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
主面が円形の密閉容器に、正極及び負極がセパレータを介して扁平形状に捲回された電極群を収納した扁平形非水電解質二次電池においては、容器の外形(円形)と電極群の外形(方形)が異なるために、容器内のデッドスペース(dead space)が比較的多く、電極群に必要とされる非水電解質量を含浸させるために必要量よりも過剰な量を注入する必要がある。
【0015】
非水電解質量を増加させた扁平形非水電解質二次電池において、過充電時のガス発生量が多くなるのは、以下に説明するような原因によるものと考えられる。
【0016】
上記のような扁平形非水電解質二次電池において、電極群に必要な非水電解質量を確保するために注入した過剰な非水電解質は容器内のデッドスペースに存在するようになる。一方、過充電時には、非水電解質の酸化分解によって正極において多量の非水電解質が失われるため、毛管現象に似た現象によって遊離非水電解質が正極に補充される。デッドスペースに存在する非水電解質は電極群の捲回端面に露出しているセパレータを伝って電極群内部に浸透し、これが酸化分解反応を助長し、ガス発生量が多くなったものと推測される。
【0017】
本発明のように、正極と負極の巻き始め部に活物質含有層が形成されていない集電体表出面を設け、この集電体表出面同士を1〜6層のセパレータを介して対向させることによって、このセパレータを、非水電解質量を公称容量1mAh当り3.5mg以上にした際の余剰分を保持するためのリザーバとして機能させることができ、遊離非水電解質を少なくすることができる。このリザーバ箇所には活物質が存在しないことから、過充電に陥っても非水電解質の酸化分解が起こらない。さらに、リザーバセパレータに保持された非水電解質は、過充電反応の進行に伴い、周囲の正極に拡散するが、負極や他のセパレータを介しての半径方向への拡散であるため、徐々に進行し、酸化分解の助長を回避することができる。これにより、過充電時のガス発生による破裂を回避しつつ、充放電サイクル寿命を向上させることが可能となる。
【0018】
また、負極の巻き始め部に活物質含有層が形成されていない集電体表出面を設け、この集電体表出面を内側にした状態で負極の巻き始め部で1〜6層のセパレータを囲んでも、このセパレータを、非水電解質量を公称容量1mAh当り3.5mg以上にした際の余剰分を保持するためのリザーバとして機能させることができる。このリザーバ箇所には活物質が存在しないことから、過充電に陥っても非水電解質の酸化分解が起こらない。さらに、リザーバセパレータと接しているのが負極のみであるため、過充電時の正極への非水電解質の拡散をさらに遅くすることができ、酸化分解による非水電解質の消費をさらに少なくすることができる。従って、過充電時のガス発生量がより一層低減されるばかりか、充放電サイクル寿命のさらなる改善を図ることができる。
【0019】
リザーバセパレータの層数は十分な効果を得るために2層以上にすることがより好ましく、また、セパレータ層数が多すぎると高エネルギー密度を得られない恐れがあることから、2層以上、4層以下にすることがさらに好ましい。
【0020】
以下、正極、負極、セパレータ及び非水電解質について説明する。
【0021】
正極活物質については特に限定されるものではないが、例えば、MnO2、V2O5、Nb2O5、LiTi2O4、Li4Ti5O12、LiFe2O4、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウムなどの金属酸化物、あるいはフッ化黒鉛、FeS2などの無機化合物、あるいはポリアニリンやポリアセン構造体などの有機化合物などが挙げられる。ただし、この中で作動電位が高く、サイクル特性に優れるという点でコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウムやそれらの混合物やそれらの元素の一部を他の金属元素で置換したリチウム含有酸化物がより好ましく、長期間に渡り使用されることもある扁平形非水電解質二次電池においては高容量で電解液や水分との反応性が低く化学的に安定であるという点でコバルト酸リチウムがさらに好ましい。
【0022】
正極集電体としては、例えば、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔などの金属箔を使用することができる。
【0023】
負極活物質については、限定されるものではないが、例えば、金属リチウム、あるいはLi−Al、Li−In、Li−Sn、Li−Si、Li−Ge、Li−Bi、Li−Pbなどのリチウム合金、あるいはポリアセン構造体などの有機化合物、あるいはリチウムを吸蔵放出可能な炭素質材料、あるいはNb2O5、LiTi2O4、Li4Ti5O12やLi含有珪素酸化物の様な酸化物などが挙げられる。中でも、サイクル特性に優れ、作動電位が低く、高容量であるという点でLiを吸蔵、放出可能な炭素質材料が好ましく、特に放電末期においても電池作動電圧の低下が少ない点で天然黒鉛や人造黒鉛、膨張黒鉛、メソフェーズピッチ焼成体、メソフェーズピッチ繊維焼成体などのd002の面間隔が0.338nm以下の黒鉛構造が発達した炭素質材料がより好ましい。
【0024】
負極集電体としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔などの金属箔を使用することができる。
【0025】
次に、電極については正負極とも薄い電極の作製が行ない易い点で集電体にスラリー状の合剤を塗布、乾燥したものがよく、さらにそれを圧延したものも用いることもできる。
【0026】
また、集電体の片面のみに活物質含有層が形成されたものを電極として使用することが可能であるが、容積効率の点から、リザーバセパレータと接する巻き始め部と通電部となる部分を除いて集電体の両面に活物質含有層が形成されていることが望ましい。通電部は、例えば、最初から活物質含有層を形成させないことでも、一旦、両面に活物質含有層を形成した後に該当部分のみ活物質含有層を除去することで形成してもよい。
【0027】
セパレータとしては、例えば、多孔質フィルム、もしくは不織布を用いることができる。多孔質シートは、例えば、ポリオレフィンおよびセルロースから選ばれる少なくとも1種類の材料からなることが好ましい。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンをあげることができる。
【0028】
セパレータの厚さは、12μm以上、30μm以下にすることが望ましい。
【0029】
非水電解質としては、液状もしくはゲル状のものを使用することができる。液状非水電解質は、例えば、非水溶媒にリチウム塩を溶解させることにより調製される。
【0030】
非水溶媒としては、特に限定されるものでないが、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジエトキシエタン(DEE)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeTHF)、1,3−ジオキソラン、1,3−ジメトキシプロパン等を挙げることができる。非水溶媒の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。
【0031】
リチウム塩としては、特に限定されるものでないが、例えば、過塩素酸リチウム(LiClO4)、四フッ化硼酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、四塩化アルミニウムリチウム等のリチウム塩を挙げることができる。電解質の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。電解質の非水溶媒に対する溶解量は、0.5〜1.5モル/Lの範囲内にすることが望ましい。
【0032】
非水電解質の保持量は、充放電サイクル寿命を向上させる観点から公称容量1mAh当り3.5mg以上にするが、公称容量1mAh当り6mgを超える程多くしても十分な効果を期待できないばかりか、過充電時の破裂を防止できない恐れがある。よって、非水電解質の保持量は公称容量1mAh当り3.5mg以上、5.5mg以下にすることが好ましい。
【0033】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図8を参照して説明する。
【0034】
密閉容器はアウター缶1と封口缶2から構成されている。有底円筒状をなすアウター缶1は、一方極(例えば正極)端子を兼ねている。アウター缶1は、その開口端がカシメ加工により内方に折り曲げられている。一方、有底円筒状をなす封口缶2は、他方極(例えば負極)端子を兼ねている。封口缶2は、その開口端が外側に向ってU字状に折り返されている。封口缶2は、その折り返し部2aがアウター缶1の開口端の折り曲げ部に挿入され、折り返し部2aとアウター缶1の内壁との間に配置された絶縁ガスケット3を介してアウター缶1にカシメ固定されている。
【0035】
電極群4は、正極5と負極6をその間にセパレータ7を介して扁平形状に捲回された構造を有する。電極群4の外形は、ほぼ方形である。ここで、方形(四角形)としては、矩形、正方形などが挙げられる。
【0036】
図2に示すように、正極5は、正極集電体5aと、この正極集電体5aに担持された正極活物質含有層5bとを含むものである。正極5の巻き始め部8は、両面が活物質含有層が担持されていない集電体表出面である。正極5は、巻き始め部8と対向する箇所と通電部となる巻き終わり部(図示しない)の片面が集電体表出面であるために片面担持であるが、基本的には正極集電体5aの両面に正極活物質含有層5bが形成されている。一方、負極6は、負極集電体6aと、この負極集電体6aに担持された負極活物質含有層6bとを含むものである。負極6の巻き始め部9は、両面が活物質含有層無担持の集電体表出面である。負極6は、巻き始め部9と対向する箇所と通電部となる巻き終わり部(図示しない)の片面が集電体表出面であるために片面担持であるが、基本的には負極集電体6aの両面に負極活物質含有層6bが形成されている。
【0037】
扁平形状の2本の巻き芯10a,10bの間にセパレータ7を配置し、巻き芯10aとセパレータ7とで正極5の巻き始め部8を挟むと共に、巻き芯10bとセパレータ7との間に負極6の巻き始め部9を挟む。巻き芯10a,10bを図2に矢印で示す方向に捲回すると、図3に示すようになる。すなわち、正極5の巻き始め部8の集電体表出面と、負極6の巻き始め部9の集電体表出面との間に1層セパレータ7が介在された構成になる。
【0038】
さらに捲回を行うと、図1に示す電極群4が得られる。電極群4の一方の最外層は、正極集電体5aである。また、電極群4の他方の最外層は、負極集電体6aである。なお、電極群4の巻き終わり端部は、巻き止めテープ(図示しない)で固定されている。
【0039】
このような電極群4は、アウター缶1と封口缶2で形成された液密な空間内に収納されている。また、電極群4は、正極集電体5aが最外層である面がアウター缶1の底部内面と接し、かつ負極集電体6aが最外層である面が封口缶2の底部内面と接している。
【0040】
なお、最外層の正極集電体5aとアウター缶1の底部内面との間にこれらの導通を良好にする目的で例えば金属製多孔質板からなる正極導電層(図示しない)を配置することが可能である。また、最外層の負極集電体6aと封口缶2の底部内面との間にもこれらの導通を良好にする目的で例えば金属製多孔質板からなる負極導電層(図示しない)を配置することが可能である。
【0041】
セパレータ7の積層数を3層にする場合には、例えば図4に示すような構成にすることができる。正極5としては、巻き始め部8の片面と通電部となる巻き終わり部(図示しない)の片面が集電体表出面となっている以外は、正極集電体5aの両面に正極活物質含有層5bが形成されている。一方、負極6としては、巻き始め部9の片面と通電部となる巻き終わり部(図示しない)の片面が集電体表出面となっている以外は、負極集電体6aの両面に負極活物質含有層6bが形成されている。巻き芯10a,10bの間にセパレータ7を挟み、一方の端部を巻き芯10aに引き回し、かつ他方の端部を巻き芯10bに引き回し、巻き芯10a,10bの周囲にセパレータ7をS字状に配置する。巻き芯10a,10bを矢印の方向に回転させた後、巻き芯10a上に重ねられた2層のセパレータ7の間に負極6の巻き始め部9をその集電体表出面がセパレータ7を介して巻き芯10aと対向するように挿入する。同時に、巻き芯10b上に重ねられた2層のセパレータ7の間に正極5の巻き始め部8をその集電体表出面がセパレータ7を介して巻き芯10bと対向するように挿入する。これらをさらに捲回すると、正極5の巻き始め部8の集電体表出面と負極6の巻き始め部9の集電体表出面が3層のセパレータ7を介して対向した電極群が得られる。
【0042】
セパレータ7の積層数を5層にする場合には、例えば図5に示すような構成にすることができる。まず、前述した図4で説明したのと同様にして巻き芯10a,10bの周囲にセパレータ7をS字状に配置した後、巻き芯10a,10bを図5に矢印で示す方向に捲回する。次いで、巻き芯10a上に重ねられた3層のセパレータ7における二層目と三層目のセパレータ7の間に負極6の巻き始め部9をその集電体表出面が二層目のセパレータ7と対向するように挿入する。同時に、巻き芯10b上に重ねられた3層のセパレータ7における二層目と三層目のセパレータ7の間に正極5の巻き始め部8をその集電体表出面が二層目のセパレータ7と対向するように挿入する。これらをさらに捲回すると、正極5の巻き始め部8の集電体表出面と負極6の巻き始め部9の集電体表出面が5層のセパレータ7を介して対向した電極群が得られる。
【0043】
次いで、負極6の巻き始め部9の集電体表出面でセパレータ7を囲む構成の電極群について説明する。まず、セパレータ7の積層数が2層の場合を図6、図7を参照して説明する。正極5としては、通電部となる巻き終わり部(図示しない)の片面が集電体表出面であること以外は、活物質含有層5b両面担持のものである。負極6の巻き始め部9は、片面が活物質含有層無担持の集電体表出面である。負極6は、この巻き始め部9と通電部となる巻き終わり部(図示しない)の片面が集電体表出面であるために片面担持であるが、基本的には負極集電体6aの両面に負極活物質含有層6bが形成されている。
【0044】
巻き芯10aと巻き芯10bの間にセパレータ7を挟んだ後、一方の端部を巻き芯10aに引き回し、かつ他方の端部を巻き芯10bに引き回し、図6に示すように巻き芯10a,10bの周囲にセパレータ7をS字状に配置する。巻き芯10bとセパレータ7の間に、負極6の巻き始め部9をその集電体表出面6aが巻き芯10bと対向するように配置する。巻き芯10a,10bを矢印方向に180°捲回した後、図7に示すように正極5の巻き始め部をセパレータ7の間に挿入し、負極6の巻き始め部9とセパレータ7を介して対向させる。これらをさらに捲回することにより、負極6の巻き始め部9が集電体表出面6aを内側にして2層のセパレータ7を囲む構成を有する電極群が得られる。
【0045】
セパレータ7の積層数を4層にする場合は、例えば、図8に示す構成にすることができる。正極5としては、セパレータの積層数が2層の場合で説明したのと同様な構成のものを使用することができる。一方、負極6としては、巻き始め部の片面と巻き終わり部(図示しない)の片面が集電体表出面で片面担持となっている以外は、負極集電体6aの両面に負極活物質含有層6bが形成されているものを使用することができる。まず、前述した図6で説明したのと同様にして巻き芯10a,10bの周囲にセパレータ7をS字状に配置した後、セパレータ7を2枚とも同一方向に引き出し、これらS字状セパレータの周囲のうちの約半周分を囲む。そして、その周囲を負極6の巻き始め部で集電体表出面を内側にして囲む。2枚のセパレータ7の間に正極5の巻き始め部を挿入し、図8に矢印で示す方向に捲回すると、負極6の巻き始め部が集電体表出面6aを内側にして4層のセパレータ7を囲む構成を有する電極群が得られる。
【0046】
セパレータ7の積層数を6層にする場合は、例えば、図9に示す構成にすることができる。正極5及び負極6としては、セパレータの積層数が4層の場合で説明したのと同様な構成のものを使用することができる。
【0047】
まず、前述した図6で説明したのと同様にして巻き芯10a,10bの周囲にセパレータ7をS字状に配置した後、セパレータ7を2枚とも同一方向に引き出し、これらS字状セパレータの周囲を1周分囲む。そして、2枚のセパレータ7の間に負極6の巻き始め部をその集電体表出面を内側にして挿入し、さらに、この負極6の活物質含有層6bと接するセパレータ7とさらに外側に位置するセパレータ7との間に正極5の巻き始め部を挿入し、図9に矢印で示す方向に捲回すると、負極6の巻き始め部が集電体表出面6aを内側にして6層のセパレータ7を囲む構成を有する電極群が得られる。
【0048】
[実施例]
以下、本発明の実施例を前述した図面を参照して詳細に説明する。
(実施例1)
<正極の作製>
LiCoO2100質量部に対し導電剤としてアセチレンブラック5質量部と黒鉛粉末5質量部を加え、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを5質量部加え、N−メチルピロリドンで希釈、混合し、スラリー状の正極合剤を得た。次に、正極集電体である厚さ0.02mmのアルミニウム箔の両面に正極合剤をドクターブレード法により塗工、乾燥を施すことにより正極活物質含有層を形成した。以後、正極活物質含有層の塗膜厚さが両面で0.15mmとなるまで塗工、乾燥を繰り返し、両面塗工正極を作製した。
【0049】
次に、この正極の片面の端から正極ケースであるアウター缶に接する部分の正極活物質含有層を除去し、アルミニウム層を表出させ、通電部とした。また、通電部と反対側の端から巻き始め部とこれと対向する部分の正極活物質含有層を除去し、アルミニウム層を表出させ、幅12mm、長さ120mm、厚さ0.15mmの長さに切り出した正極を作製した。
【0050】
<負極の作製>
黒鉛化メソフェーズピッチ炭素繊維粉末100質量部に結着剤としてスチレンブタジエンゴム(SBR)とカルボキシメチルセルロース(CMC)をそれぞれ2.5質量部添加し、イオン交換水で希釈、混合し、スラリー状の負極合剤を得た。得られた負極合剤を負極集電体である厚さ0.02mmの銅箔に負極活物質含有層の厚さが0.15mmとなるように正極の場合と同様に塗工、乾燥を繰り返し、両面塗工された負極を作製した。
【0051】
次に、この負極の片面の端から負極ケースとしての封口缶に接する部分の負極活物質含有層を除去し、銅層を表出させ、通電部とした。この通電部の反対側に位置する端から正極の巻き始め部と対向する部分の負極活物質含有層を除去し、銅層を表出させ、幅13mm、長さ130mm、厚さ0.15mmの長さに切り出した負極を作製した。
【0052】
<電池の組立て>
得られた正極と負極と厚さ30μmのポリエチレン微多孔膜からなるセパレータとを用いて前述した図2,3で説明したのと同様にし、正極5の巻き始め部8の集電体表出面と負極6の巻き始め部9の集電体表出面との間に1層セパレータ7が介在された構成の電極群を作製した。
【0053】
得られた電極群から巻き芯10a,10bを引き抜いた後、圧縮処理を施し、さらに85℃で12h乾燥した。
【0054】
続いて、絶縁ガスケット3を一体化した負極ケース2の底部内面に電極群の最外層の負極集電体6aを接触させ、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートを体積比1:1の割合で混合した溶媒に支持塩としてLiPF6を1mol/Lの割合で溶解せしめた液状の非水電解質を負極ケース2内に公称容量1mAh当り5mg注液し、さらに電極群の最外層の正極集電体5aが正極ケース1の底部内面と接するように正極ケース1を嵌合し、上下反転後、正極ケース1にカシメ加工を施し、前述した図1に示す構造を有し、直径24mm、厚さ3.2mmである扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0055】
なお、公称容量とは、設計された放電容量の0.2CmAに相当する電流値で放電した放電容量である。
【0056】
(実施例2)
前述した図4で説明したのと同様にして、正極5の巻き始め部8の集電体表出面と負極6の巻き始め部9の集電体表出面との間に3層セパレータ7が介在された構成の電極群を作製すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0057】
(実施例3)
前述した図5で説明したのと同様にして、正極5の巻き始め部8の集電体表出面と負極6の巻き始め部9の集電体表出面との間に5層セパレータ7が介在された構成の電極群を作製すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0058】
(実施例4)
前述した図6、7で説明したのと同様にして、負極6の巻き始め部が集電体表出面を内側にして2層のセパレータ7を囲む構成を有する電極群を作製すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0059】
(実施例5)
前述した図8で説明したのと同様にして、負極6の巻き始め部が集電体表出面を内側にして4層のセパレータ7を囲む構成を有する電極群を作製すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0060】
(実施例6)
前述した図9で説明したのと同様にして、負極6の巻き始め部が集電体表出面を内側にして6層のセパレータ7を囲む構成を有する電極群を作製すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0061】
(比較例1)
正負極の巻き始め部の活物質含有層を残し、図10に示すように、正極5の巻き始め部の正極活物質含有層5bと負極6の巻き始め部の負極活物質含有層6bの間に1層のセパレータ7が介在された電極群を作製すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0062】
(比較例2)
正負極の巻き始め部の活物質含有層を残し、図11に示すように、正極5の巻き始め部の正極活物質含有層5bと負極6の巻き始め部の負極活物質含有層6bの間に3層のセパレータ7が介在された電極群を作製すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0063】
(比較例3)
正負極の巻き始め部の活物質含有層を残し、正極5の巻き始め部の正極活物質含有層5bと負極6の巻き始め部の負極活物質含有層6bの間に5層のセパレータ7が介在された電極群を作製すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0064】
(比較例4)
正負極の巻き始め部の活物質含有層を残し、図12に示すように、負極6の巻き始め部が負極活物質含有層6aを内側にして2層のセパレータ7を囲む構成を有する電極群を作製すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0065】
(比較例5)
正負極の巻き始め部の活物質含有層を残し、負極6の巻き始め部が負極活物質含有層6aを内側にして4層のセパレータ7を囲む構成を有する電極群を作製すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0066】
(比較例6)
正負極の巻き始め部の活物質含有層を残し、負極6の巻き始め部が負極活物質含有層6aを内側にして6層のセパレータ7を囲む構成を有する電極群を作製すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0067】
(比較例7)
正極5の巻き始め部の正極活物質含有層5bと負極6の巻き始め部の負極活物質含有層6bの間に7層のセパレータ7が介在された電極群を作製すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0068】
(比較例8)
負極6の巻き始め部が負極活物質含有層6aを内側にして8層のセパレータ7を囲む構成を有する電極群を作製すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして扁平形非水電解質二次電池を製造した。
【0069】
得られた実施例1〜6及び比較例1〜8の電池を各50個ずつ用意した。
【0070】
実施例1〜6及び比較例1〜8の電極群に関して、予め電極群重量を測定していた各々の電極群5個を形状を保持したまま非水電解質に浸漬し、浸透しきれなかった余剰の非水電解質を拭き取った後、重量測定を行った。浸漬前の電極群重量に対する浸漬後の電極群重量を百分率で表し、その結果を保液率として下記表1に示す。
【0071】
なお、比較例7,8の電池においては、電池作製後の電池厚さが3.2mmを上回ってしまい設計通りの寸法とすることができなかった。これは、電極群中心部に非水電解質を保持する部分が多くなりすぎていたために、注液後の電極群が膨潤してしまったことで、電池厚さが大きくなってしまったと考えられる。
【0072】
実施例1〜6及び比較例1〜6で作製した電池は、20℃雰囲気下で2日間静置し、その後5mA、4.2Vの定電流定電圧で24時間充電を実施した。更に、3日間静置後、20℃雰囲気下、10mAの定電流で閉回路電圧が3.0Vになるまで放電を実施した。
【0073】
そして、各々10個の電池において、上記充電条件及び放電条件により、充放電を繰り返し500回行った。その時の1回目の放電容量に対する500回目の放電容量の比率を表1に示す。
【0074】
更に、各々10個の電池において、10mA、12V印加を50時間続ける過充電試験を行なった。その時の電池破裂の有無を確認した。その結果を表1に示す。
【表1】
【0075】
表1に示すように、実施例1〜6の電池では、電極群中に非水電解質が十分に保持されている為、充放電サイクルを繰り返した時の放電容量維持率を80%以上維持することができており、良好な電池特性であった。これは、電極反応に関与しない部分に非水電解質を保持していることで、充放電に伴う正極または負極の膨張収縮による非水電解質の移動が起きた場合でも、電極群中心部のセパレータ中に保持された非水電解質が移動できる為、電池特性の低下を防止することができたと考えられる。
【0076】
また、実施例1〜6の電池における過充電試験では、電池破裂はなく安全性に関しても問題なかった。これは、電極群中に保持している余剰分の非水電解質が分解反応を起こす正負極活物質含有層に接触していない為、保持されている余剰分の非水電解質は分解されず、さらに、捲回中心から放射状に徐々に非水電解質が拡散してゆくため、過充電時のガス発生速度が緩やかになり、電池を破裂させることはなかったと考えられる。
【0077】
また、負極の巻き始め部の集電体表出面でセパレータを囲む構成の実施例4〜6の二次電池は、実施例1〜3に比較して充放電サイクル維持率が高くなる傾向が見られている。
【0078】
一方、比較例1〜3においては、電極群中に保持されている非水電解質が正負極活物質含有層に接触しており、実施例1〜6に比べて充放電反応に対して余剰分となる非水電解質が正負極活物質含有層に対して少ないため、充放電サイクルを行った場合、その放電容量維持率は実施例1〜6と比較して低くなった。また、比較例1〜3の電池における過充電試験では、余剰分となる非水電解質が、正負極活物質含有層に接触しているため、余剰分の非水電解質が分解されることで、電池内圧を上昇させ、電池の破裂を起こしたと考えられる。
【0079】
また、比較例4〜6では、捲回中心部の負極活物質含有層が、正極活物質含有層に対向していない為、過剰の負極活物質含有層が存在することになり、正極からの充電によるリチウム引き抜き反応が過剰に生じ、放電容量維持率は実施例1〜6に比べて低下した。また、比較例4〜6の電池における過充電試験では、充放電反応に対して余剰分となる非水電解質が負極活物質含有層に接触しているため、余剰分の非水電解質が分解されることで、電池内圧を上昇させ、電池の破裂を起こしたと考えられる。
【0080】
なお、本発明の実施例は、非水電解質に非水溶媒を用いた扁平形非水電解質二次電池を用いて説明したが、本発明は、非水電解質にポリマー電解質を用いたポリマー二次電池についても適用可能であり、電池形状については正極ケースの加締め加工により封口する扁平形非水電解質二次電池をもとに説明したが、正負極電極を入れ替えて、加締め加工により封口することも可能である。さらに、電極群形状についても、長方形である必要はなく、小判形や多角形などの特殊形状を有する扁平形非水電解質二次電池においても同様の効果が得られる。
【0081】
以上説明したとおり、本発明によれば、電池特性を低下させること無く、電池安全性を向上する事ができる。よって、その工業的価値は非常に大きなものである。
【0082】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係る扁平形非水電解質二次電池の一実施形態を示す断面図。
【図2】実施例1の扁平形非水電解質二次電池の電極群作製工程における巻き始めの状態を模式的に示した断面図。
【図3】実施例1の扁平形非水電解質二次電池の電極群作製工程における捲回一周目の状態を模式的に示した断面図。
【図4】実施例2の扁平形非水電解質二次電池の電極群作製工程を模式的に示した断面図。
【図5】実施例3の扁平形非水電解質二次電池の電極群作製工程を模式的に示した断面図。
【図6】実施例4の扁平形非水電解質二次電池の電極群作製工程における巻き始めの状態を模式的に示した断面図。
【図7】実施例4の扁平形非水電解質二次電池の電極群作製工程における捲回二周目の状態を模式的に示した断面図。
【図8】実施例5の扁平形非水電解質二次電池の電極群作製工程を模式的に示した断面図。
【図9】実施例6の扁平形非水電解質二次電池の電極群作製工程を模式的に示した断面図。
【図10】比較例1の扁平形非水電解質二次電池の電極群作製工程を模式的に示した断面図。
【図11】比較例2の扁平形非水電解質二次電池の電極群作製工程を模式的に示した断面図。
【図12】比較例4の扁平形非水電解質二次電池の電極群作製工程を模式的に示した断面図。
【符号の説明】
【0084】
1…アウター缶、2…封口缶、2a…折り返し部、3…絶縁ガスケット、4…電極群、5…正極、5a…正極集電体、5b…正極活物質含有層、6…負極、6a…負極集電体、6b…負極活物質含有層、7…セパレータ、8…正極巻き始め部、9…負極巻き始め部、10a,10b…巻き芯。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面が円形の密閉容器と、
前記密閉容器内に収納され、正極及び負極がセパレータを介して扁平形状に捲回された電極群と、
前記密閉容器内に公称容量1mAh当り3.5mg以上で収容された非水電解質とを具備し、
前記正極は、正極集電体及び前記正極集電体に担持された正極活物質含有層を含有すると共に、巻き始め部の少なくとも一方の面が正極活物質含有層無担持の集電体表出面であり、
前記負極は、負極集電体及び前記負極集電体に担持された負極活物質含有層を含有すると共に、巻き始め部の少なくとも一方の面が負極活物質含有層無担持の集電体表出面であり、
前記正極の前記巻き始め部の前記集電体表出面と前記負極の前記巻き始め部の前記集電体表出面とが1〜6層の前記セパレータを介して対向していることを特徴とする扁平形非水電解質二次電池。
【請求項2】
主面が円形の密閉容器と、
前記密閉容器内に収納され、正極及び負極がセパレータを介して扁平形状に捲回された電極群と、
前記密閉容器内に公称容量1mAh当り3.5mg以上で収容された非水電解質とを具備し、
前記負極は、負極集電体及び前記負極集電体に担持された負極活物質含有層を含有すると共に、巻き始め部の少なくとも一方の面が負極活物質含有層無担持の集電体表出面であり、
前記負極の前記巻き始め部は、前記集電体表出面を内側にして1〜6層の前記セパレータを囲むように捲回されていることを特徴とする扁平形非水電解質二次電池。
【請求項1】
主面が円形の密閉容器と、
前記密閉容器内に収納され、正極及び負極がセパレータを介して扁平形状に捲回された電極群と、
前記密閉容器内に公称容量1mAh当り3.5mg以上で収容された非水電解質とを具備し、
前記正極は、正極集電体及び前記正極集電体に担持された正極活物質含有層を含有すると共に、巻き始め部の少なくとも一方の面が正極活物質含有層無担持の集電体表出面であり、
前記負極は、負極集電体及び前記負極集電体に担持された負極活物質含有層を含有すると共に、巻き始め部の少なくとも一方の面が負極活物質含有層無担持の集電体表出面であり、
前記正極の前記巻き始め部の前記集電体表出面と前記負極の前記巻き始め部の前記集電体表出面とが1〜6層の前記セパレータを介して対向していることを特徴とする扁平形非水電解質二次電池。
【請求項2】
主面が円形の密閉容器と、
前記密閉容器内に収納され、正極及び負極がセパレータを介して扁平形状に捲回された電極群と、
前記密閉容器内に公称容量1mAh当り3.5mg以上で収容された非水電解質とを具備し、
前記負極は、負極集電体及び前記負極集電体に担持された負極活物質含有層を含有すると共に、巻き始め部の少なくとも一方の面が負極活物質含有層無担持の集電体表出面であり、
前記負極の前記巻き始め部は、前記集電体表出面を内側にして1〜6層の前記セパレータを囲むように捲回されていることを特徴とする扁平形非水電解質二次電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−79960(P2006−79960A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−263433(P2004−263433)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000003539)東芝電池株式会社 (109)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000003539)東芝電池株式会社 (109)
【Fターム(参考)】
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