説明

手押し台車型ストレッチ包装装置

【課題】従来、被包装物が少量の場合や機械装置を設置する場所的な余裕がない環境下でのパレットストレッチ包装では手巻き包装が行われていたが、フィルムを常に強く引っ張った状態で被包装物の周囲を何度も回り、かつ被包装物の高さに応じてフィルムを巻く高さも変えなければならないため多大な労力と時間を要していた。
【解決手段】手押し台車にストレッチフィルム延伸装置を取り付け、ストレッチフィルムを予め延伸させた状態で手押し台車により被包装物に巻き付けて包装する。これにより手押し台車型であるが故に場所をとらず移動も簡単に行え、ストレッチ包装性能においても予めストレッチフィルム延伸装置で延伸されたストレッチフィルムを巻き付けるので、本装置を被包装物の周囲に軽く回転運転させるだけで確実なストレッチ包装が行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレット積みされた荷物の輸送・荷役・保管時の荷崩れを防止するため、被包装物の周囲をストレッチフィルムで巻き上げるパレットストレッチ包装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パレット上に載置された包装物に伸縮性のあるストレッチフィルムを延伸させた状態で巻くパレットストレッチ包装には、回転テーブル上で被包装物を回転させながら巻く方法(例えば、特許文献1参照)や、被包装物は動かさずストレッチフィルムを装着した包装装置そのものが被包装物の周囲を回る回転アーム式または自走式がよく知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】 特開平6−1306号公報
【非特許文献1】 「2005包装関連機器カタログ集」、日報出版、2004年、p.78
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、被包装物が少量の場合や機械装置を設置する場所的な余裕がない場合、人間の手でストレッチフィルムを持ち、被包装物の周囲を回ってストレッチ包装を行う場合が多々ある。この場合、ストレッチフィルムを常に強く引っ張った状態で被包装物の周囲を何度も回り、かつ被包装物の高さに応じてストレッチフィルムを巻く高さも変えなければならないため、かなりの労力となり作業時間もかかる。
【0005】
またこの場合、被包装物の高さが包装作業を行う人より高い場合に包装作業が困難となる。さらに包装毎または作業を行う人によって包装の仕上がりにバラツキが生じるという欠点もあった。
【0006】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、簡易な方法で設置場所をとらず、作業者の労力を軽減するとともに包装の均一な仕上がりを実現する事を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために手押し台車にストレッチフィルム延伸装置を取り付け、ストレッチフィルムを予め延伸させた状態で手押し台車により被包装物に巻き付けて包装しようとするものである。
【0008】
また、手押し台車にストレッチフィルム延伸装置を取り付けた上記の装置において、ストレッチフィルム及びストレッチフィルム延伸装置を上下方向に昇降できる構造とする事によって、被包装物の高さが高い場合にも対応できる。
【0009】
上記課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、ただ単に手押し台車にストレッチフィルムを取り付けただけの構造では、被包装物にストレッチフィルムを巻いていく際、被包装物に対してストレッチフィルムを常に強く引っ張った状態にしておく必要があるため、かなりの力で手押し台車を押さえながら包装作業する必要がある。
【0010】
これに対し、手押し台車に取り付けられたフィルム延伸装置を使用する事によって、予め延伸されたストレッチフィルムであるが故に被包装物に対し軽く巻き付けるだけで充分なストレッチ包装が可能となる。
【発明の効果】
【0011】
上述したように本発明の手押し台車型ストレッチ包装装置は、手押し台車型であるが故に場所をとらず移動も簡単に行え、ストレッチ包装性能においても予めストレッチフィルム延伸装置で延伸されたストレッチフィルムを巻き付けるので、本装置を被包装物の周囲に軽く回転運転させるだけで確実なストレッチ包装が行える。
【0012】
これはストレッチフィルムを予め延伸させる事によって被包装物にゆるく巻き付けた後、延ばされたフィルムが元に戻ろうとして収縮作用をするため、結果的にストレッチフィルムを強く巻き付けて包装したものと同等となる。ゆえに手押し台車にフィルム延伸装置を組み込む事により均一で確実なストレッチ包装が簡単な装置によって実現できるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図2に基づいて説明する。
【0014】
図1は、この発明の実施例を示すもので、手押し台車1にフィルム延伸装置3及びおもり5が上下に昇降するためのベースフレームとなる架柱4に取り付けられ、フィルム延伸装置3にはストレッチフィルム8が装着されている。フィルム延伸装置3とおもり5はチェーン7によって繋がれ、そのチェーン7はモーターによって駆動するスプロケット6に嵌っている。よってモーターによって駆動したスプロケット6が回転する事により、フィルム延伸装置3及びおもり5が上下に昇降するようになっている。なおモーター駆動のスイッチ2は手押し台車1のハンドル部に配置され、電源はバッテリー9によって供給される。またこのバッテリー9は後述するフィルム延伸装置3の駆動ローラーのモーター電源としても使用される。
【0015】
次に図2は図1のフィルム延伸装置3のA−A断面模式図であり、ストレッチフィルム8から繰り出されたフィルムはフリーローラー15を通り、ブレーキローラー12、フリーローラー16、駆動ローラー13、スイングローラー17、フリーローラー14を通って被包装物19に巻かれる。
【0016】
このとき、ブレーキローラー12には常にブレーキがかかっているため、駆動ローラー13がモーターによって駆動することによりブレーキローラー12との間でフィルムが延伸され、フィルム延伸加減はブレーキローラー12のブレーキ強度によってコントロールされる。スイングローラー17は図中矢印方向にバネ等で軽く引っ張られており、被包装物19にフィルムが巻かれる事により、スイングローラー17が矢印と反対方向に動き駆動ローラー13のモーターにスイッチが入り、延伸した状態のストレッチフィルムが次々と被包装物へと供給される。
【0017】
なお、フィルムを延伸させる別な方法として、ブレーキローラー12を駆動ローラーに変更し、駆動ローラー13に対する回転数を低く設定する事によりフィルムを延伸させる事もできる。つまりそれぞれの駆動ローラーの回転数の違いによりフィルムを延伸させるものである。以上のように、本実施形態によれば手押し台車にフィルム延伸装置を組み込む事により均一で確実なストレッチ包装が簡単な装置によって得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】 本発明の実施形態を示す手押し台車型ストレッチ包装装置の側面から見た外観模式図
【図2】 同フィルム延伸装置の図1におけるA−A断面模式図
【符号の説明】
【0019】
1 手押し台車
2 スイッチ
3 フィルム延伸装置
4 架柱
5 おもり
6 スプロケット
7 チェーン
8 ストレッチフィルム
9 バッテリー
12 ブレーキローラー
13 駆動ローラー
14 フリーローラー
15 フリーローラー
16 フリーローラー
17 スイングローラー
19 被包装物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手押し台車に上下方向に昇降する構造となる架柱を立設し、ストレッチフィルム延伸装置を取り付け、そこにストレッチフィルムを装着し、パレットに載置した被包装物の周囲を手押し回転運転させ、ストレッチフィルム延伸装置によって予め延伸されたストレッチフィルムによってストレッチ包装する事を特徴とした手押し台車型ストレッチ包装装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−335470(P2006−335470A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−187313(P2005−187313)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(597010606)成光産業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】