説明

手振れ表示機能を備えたカメラ、レンズユニット及びそれらを作動させるプログラム

【課題】カメラの振れの原因を認識しやすく、また、容易にカメラの振れに対する対策を立てることができる手振れ表示機能を備えたカメラを提供する。
【解決手段】本発明は、手振れ表示機能を備えたカメラ(1)であって、撮像用レンズ(6)が収容されたレンズ鏡筒(2)と、このレンズ鏡筒が取り付けられたカメラ本体(4)と、レンズ鏡筒又はカメラ本体の振れを検出する振れ検出センサ(20)と、この振れ検出センサの検出信号に基づいて、撮像時の手振れの度合いを点数として計算する手振れ計算部(22a)と、この手振れ計算部により計算された点数を表示する点数表示部(24)と、を有し、手振れ計算部は、1回の撮像について、複数の撮像工程に区分して点数を計算することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ、レンズユニット及びプログラムに関し、特に、手振れ表示機能を備えたカメラ、レンズユニット及びそれらを作動させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開平6−202217号公報(特許文献1)には、手振れ表示機能付きカメラが記載されている。この手振れ表示機能付きカメラにおいては、振れ検出手段、シャッタ速度決定手段、焦点距離検出手段の出力に基づいて、実際のプリント時に発生する振れ量を計算し、これに基づいて振れ量をファインダに表示している。
【0003】
また、特開2005−283965号公報(特許文献2)には、ブレ表示装置が記載されている。このブレ表示装置においては、ブレ量の推移が、時系列で表示部に表示されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−202217号公報
【特許文献2】特開2005−283965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開平6−202217号公報記載の手振れ表示機能付きカメラでは、当該撮影条件で撮影を行った場合、撮像された画像がブレるか否かを撮影者が認識することができる。しかしながら、この手振れ表示機能付きカメラでは、単に撮影結果が予測されるだけであるので、撮影者が撮影時における自己の癖を認識したり、撮影者が自己の撮影技術の向上に役立てるのが難しいという問題がある。
【0006】
一方、特開2005−283965号公報記載のブレ表示装置では、ブレ量の推移が時系列で表示されるので、撮影者は、自己の撮影時におけるブレの状況を、より詳細に認識することができる。しかしながら、このブレ表示装置では、単にブレ量の時系列波形が表示されるだけであるので、撮影者がこれに基づいて、なぜ撮影時にカメラがブレたのか、如何にしてブレ量を減少させることができるかを認識するのが難しいという問題がある。
【0007】
従って、本発明は、カメラの振れの原因を認識しやすく、また、容易にカメラの振れに対する対策を立てることができる手振れ表示機能を備えたカメラ、レンズユニット及びそれらを作動させるプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は、手振れ表示機能を備えたカメラであって、撮像用レンズが収容されたレンズ鏡筒と、このレンズ鏡筒が取り付けられたカメラ本体と、レンズ鏡筒又はカメラ本体の振れを検出する振れ検出センサと、この振れ検出センサの検出信号に基づいて、撮像時の手振れの度合いを点数として計算する手振れ計算部と、この手振れ計算部により計算された点数を表示する点数表示部と、を有し、手振れ計算部は、1回の撮像について、複数の撮像工程に区分して点数を計算することを特徴としている。
【0009】
このように構成された本発明においては、振れ検出センサがレンズ鏡筒又はカメラ本体の振れを検出する。手振れ計算部は、振れ検出センサの検出信号に基づいて、撮像時の手振れの度合いを、1回の撮像について複数の撮像工程に区分して点数として計算する。点数表示部は、手振れ計算部により計算された点数を表示する。
【0010】
このように構成された本発明によれば、撮像時の手振れの度合いを表す点数が複数の撮像工程に区分して計算されるので、カメラの振れの原因を認識しやすく、或いは、容易にカメラの振れに対する対策を立てることができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、手振れ計算部は、複数回の撮像について、各撮像工程ごとの平均点を計算する。
このように構成された本発明によれば、手振れ計算部は、複数回の撮像の平均点も計算できるので、撮像者の手振れの傾向を認識することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、撮像工程は、シャッタレリーズ、ミラーアップ、シャッター先幕ダウン、シャッター後幕ダウン、及びミラーダウンのうちの少なくとも1つによって区切られている。
【0013】
このように構成された本発明によれば、シャッタレリーズ、ミラーアップ、シャッター先幕ダウン、シャッター後幕ダウン、及びミラーダウンのうちの何れかの動作の後に手振れが生じているかを認識することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、さらに、撮像条件を検出する撮像条件検出部を有し、手振れ計算部は、撮像条件検出部の検出結果及び振れ検出センサの検出信号に基づいて、撮像された画像への影響を計算し、点数表示部は、画像への影響度を点数と共に表示する。
【0015】
このように構成された本発明によれば、手振れ自体の度合いの他に、撮像条件が加味されるので、撮像された画像に対する手振れの影響度合いを撮影者が認識することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、点数表示部は、複数の撮像工程の点数を一覧表にして表示する。
このように構成された本発明によれば、複数の撮像工程の点数を一覧表で表示されるので、複数の撮像工程のうちのどの工程において手振れが発生しているかを、一見して認識することができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、さらに、表示切替スイッチを有し、複数の撮像工程の点数は、表示切替スイッチを操作するごとに、点数表示部に順次表示される。
このように構成された本発明によれば、複数の撮像工程の点数が点数表示部に順次表示されるので、少ない表示面積に大きな文字で点数を表示することができる。
【0018】
また、本発明は、手振れ表示機能を備えたレンズユニットであって、撮像用レンズが収容されたレンズ鏡筒と、このレンズ鏡筒の振れを検出する振れ検出センサと、この振れ検出センサの検出信号に基づいて、撮像時の手振れの度合いを点数として計算する手振れ計算部と、この手振れ計算部により計算された点数を表示する点数表示部と、を有し、手振れ計算部は、1回の撮像について、複数の撮像工程に区分して点数を計算することを特徴としている。
【0019】
このように構成された本発明によれば、手振れ表示機能を備えていないカメラ本体と組み合わせた場合でも、撮影者は手振れの度合いを表す点数を認識することができる。
【0020】
また、本発明は、カメラ本体又はレンズユニットに内蔵されたコンピュータに、カメラ本体又はレンズユニットの振れを検出する振れ検出センサから検出信号を入力する手順と、1回の撮像について入力された検出信号に基づいて、撮像時の手振れの度合いを表す点数を、複数の撮像工程に区分して計算する手順と、計算された点数を、点数表示部に表示させる手順と、を実行させることを特徴とするプログラムである。
【0021】
また、本発明は、手振れ表示機能を備えたカメラ本体であって、レンズユニットを取り付けるレンズマウント部と、カメラ本体の振れを検出する振れ検出センサと、この振れ検出センサの検出信号に基づいて、撮像時の手振れの度合いを点数として計算する手振れ計算部と、この手振れ計算部により計算された点数を表示する点数表示部と、を有し、手振れ計算部は、1回の撮像について、複数の撮像工程に区分して点数を計算することを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明の手振れ表示機能を備えたカメラ、レンズユニット及びそれらを作動させるプログラムによれば、カメラの振れの原因を認識しやすく、また、容易にカメラの振れに対する対策を立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態によるカメラの断面図である。
【図2】手振れ表示機能を実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】ジャイロによる検出信号に基づいて求められた振れ量のデータの一例を時系列で示すグラフである。
【図4】ファインダによる点数表示の一例を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態によるレンズユニットの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、添付図面を参照して、本発明の第1実施形態によるカメラを説明する。
図1は本発明の第1実施形態によるカメラの断面図である。
図1に示すように、本発明の実施形態のカメラ1は、レンズ鏡筒2と、カメラ本体4と、を有する。レンズ鏡筒2は、カメラ本体4に取り付けられ、入射した光を撮像素子Eに結像させるように構成されている。また、レンズ鏡筒2は、複数の撮像用レンズ6と、像振れ補正用レンズ8を所定の平面内で移動させるアクチュエータ10と、を有する。円筒形のレンズ鏡筒2には、内部に複数の撮像用レンズ6が収容されており、一部の撮像用レンズ6を移動させることによりピント調整を可能としている。
【0025】
カメラ本体4は、反射ミラー12と、スクリーン14と、ペンタプリズム16と、フォーカルプレーンシャッター18と、を有する。さらに、カメラ本体4には、カメラ本体4の振動を検出する振れ検出センサであるジャイロ20と、このジャイロ20によって検出された振れに基づいてアクチュエータ10を制御する制御部22と、を有する。また、制御部22には、ジャイロ20の検出信号に基づいて、撮像時の手振れの度合いを点数として計算する手振れ計算部22aと、シャッタースピード、焦点距離、撮像素子EのISO感度等の撮像条件を検出する撮像条件検出部22bが内蔵されている。さらに、カメラ本体4には、手振れ計算部22aにより計算された点数を表示する点数表示部24が備えられている。具体的には、制御部22及びこれに内蔵された手振れ計算部22a、撮像条件検出部22bは、マイクロプロセッサ、メモリ、及びこれらを作動させるプログラム等によって構成されている。
【0026】
本発明の第1実施形態のカメラ1は、ジャイロ20によって振動を検出し、検出された振動に基づいてアクチュエータ10を作動させて像振れ補正用レンズ8を移動させ、カメラ本体4内の撮像素子Eに合焦される画像を安定化させている。本実施形態においては、ジャイロ34として、圧電振動ジャイロを使用している。また、制御部22に内蔵された手振れ計算部22aは、1回の撮像について、複数の撮像工程に区分して点数を計算する。計算された点数は、点数表示部24により表示され、撮像者にカメラ本体4のファインダ4aを介して撮影者に認識されるようになっている。
【0027】
アクチュエータ10は、移動枠10aを、レンズ鏡筒2に固定された固定枠10bに対して撮像素子Eに平行な平面内で移動させ、これにより移動枠10aに取り付けられた像振れ補正用レンズ8を移動させ、カメラ本体4が振動しても撮像素子Eに結像される像が乱れることがないように駆動される。
また、移動枠10aは、3つのスチールボール10c(図1に1つのみ図示)により固定枠10bに対して移動可能に支持されており、3つのリニアモータ10d(図1に1つのみ図示)により、任意の位置に並進移動される。
【0028】
カメラ本体4に内蔵された反射ミラー12は、撮像用レンズ6を透過した光を反射させ、上方に配置されたスクリーン14上に合焦させるように構成されている。反射ミラー12は、撮像素子Eの露光中は図1に想像線で示す位置に跳ね上げられ(ミラーアップ)、露光完了後、再び実線に示す位置に戻される(ミラーダウン)ように構成されている。
【0029】
スクリーン14は、反射ミラー12の上方に配置され、反射ミラー12によって反射された光が合焦されるように構成されている。また、スクリーン14には、点数表示部24が設けられており、この点数表示部24によって示された点数がファインダ4a内に表示され、撮影者が認識できるようになっている。
ペンタプリズム16は、スクリーン14に形成された像を2回反射させ、正立像をファインダ4aに表示させるように構成されている。
【0030】
フォーカルプレーンシャッター18は、カメラ本体4内に撮像素子Eを覆うように配置されている。フォーカルプレーンシャッター18は、カメラ本体4のシャッターレリーズボタン(図示せず)が押されると、そのシャッター先幕及びシャッター後幕が移動され、撮像素子Eが所定時間露光されるように構成されている。
【0031】
次に、図1を参照して、本発明の第1実施形態によるカメラ1の手ブレ防止機能を説明する。まず、カメラ1の手ブレ防止機能の起動スイッチ(図示せず)をONにすることにより、レンズ鏡筒2に備えられたアクチュエータ10が作動される。レンズ鏡筒2に取り付けられたジャイロ20は、振動を時々刻々検出し、検出信号を制御部22に出力する。なお、ジャイロ20はカメラ本体4のピッチング方向の角速度の信号、及びヨーイング方向の角速度の信号を出力するように構成されている。
【0032】
制御部22は、入力された角速度信号を時間で積分して、ピッチング角度及びヨーイング角度を算出し、像振れ補正用レンズ8を移動させるべきレンズ位置指令信号を生成する。レンズ位置指令信号はアクチュエータ10に入力され、像振れ補正用レンズ8は、レンズ位置指令信号で指令された位置に時々刻々移動される。これにより、カメラ本体4の撮像素子E上に合焦される像が安定化される。
【0033】
次に、図2乃至図4を新たに参照して、本発明の第1実施形態によるカメラ1の手振れ表示機能を説明する。図2は、手振れ表示機能を実行する処理の流れを示すフローチャートである。図3は、ジャイロ20による検出信号に基づいて求められた振れ量のデータの一例を時系列で示すグラフである。図4は、ファインダ4aによる点数表示の一例を示す図である。
【0034】
まず、図2のステップS1においては、カメラ本体4のシャッターレリーズボタン(図示せず)が押されたか否かが判断される。シャッターレリーズボタンが押された場合にはステップS2に処理が進み、押されていない場合にはステップS1の処理が繰り返される。次に、ステップS2においては、ジャイロ20により検出されるピッチング方向及びヨーイング方向の振れ角速度の取り込みが開始される。取り込まれた振れ角速度は、制御部22内で演算され、手振れ量であるピッチング角度及びヨーイング角度が算出される。
なお、本実施形態においては、振れ角速度は、所定のサンプリングタイム毎に時々刻々取り込まれメモリ(図示せず)に記憶される。
【0035】
次に、ステップS3においては、反射ミラー12が、図1の想像線で示す位置に跳ね上げられる。さらに、ステップS4においては、フォーカルプレーンシャッター18のシャッター先幕が下降し、シャッターが開放される。次いで、ステップS5においては、シャッターの開放により、撮像素子Eが所定時間露光される。
【0036】
次に、ステップS6においては、シャッター後幕が下降し露光が完了する。さらに、ステップS7においては、反射ミラー12が、図1の実線で示す位置に復帰される。なお、ジャイロ20により検出された振れ角速度の取り込みは、ステップS2の後、所定のサンプリングタイム毎に行われ、ステップS7のミラーダウンが完了するまで継続し、振れ角速度はメモリ(図示せず)に記憶される。
【0037】
次に、ステップS8においては、最新の撮影における撮像条件が、撮像条件検出部22bから手振れ計算部22aに入力される。本実施形態においては、撮像条件として、シャッタースピード、焦点距離、撮像素子EのISO感度が、手振れ計算部22aに入力される。
【0038】
次に、ステップS9においては、手振れ計算部22aは、メモリ(図示せず)に記憶された角速度データに基づいて、振れ量である振れ角度を計算する。
図3は、計算された振れ角度の一例を時系列で表示したグラフである。図3の時刻t0においてシャッターボタンがレリーズされ、時刻t1においてミラーアップが開始される。さらに、時刻t2においてシャッター先幕がダウンし、時刻t3においてシャッター後幕がダウンする。次いで、時刻t4においてミラーダウンする。このように、本実施形態においては、1回の撮像が4つの撮像工程に区分され、これらの撮像工程は、シャッタレリーズ、ミラーアップ、シャッター先幕ダウン、シャッター後幕ダウン、及びミラーダウンによって夫々区切られている。
【0039】
手振れ計算部22aは、振れ量の標準偏差を撮像工程毎に計算し、標準偏差に基づいて、撮像工程毎の点数を計算する。具体的には、計算された振れ量Xiに基づいて、振れ量の標準偏差δを、

により計算する。ここで、

である。
【0040】
手振れ計算部22aは、時刻t0〜t1のサンプリング点、時刻t1〜t2のサンプリング点、時刻t2〜t3のサンプリング点、及び時刻t3〜t4のサンプリング点に区分して、各区分毎に標準偏差δを計算する。
さらに、手振れ計算部22aは、区分毎に計算された標準偏差δに基づいて、

により、撮像工程毎の点数を計算する。ここで、δ20は、予め設定された所定の定数であり、周波数20Hzでカメラ1を加振したときの振れ量の標準偏差に基づいて定められている。これにより、得点は標準偏差δが0の場合には100点、標準偏差δ=δ20の場合には0点と計算される。
【0041】
次に、ステップS10においては、手振れ計算部22aは、露光中における振れ量、及びステップS8において取り込まれた撮像条件に基づいて、手振れの撮像画像に対する影響度を計算する。即ち、手振れ計算部22aは、時刻t2〜t3における標準偏差δと撮像条件に基づいて撮像画像に対する影響度を計算する。振れ量の撮像画像に対する影響度は撮影条件によって変化し、例えば、焦点距離の長いレンズで撮影を行った場合には、標準偏差δの値が同じであっても影響度は大きくなり、撮像された画像の振れが大きくなる。また、露光時間が長い場合にも影響度は大きく、撮像された画像の振れも大きくなる。
【0042】
ステップS11においては、ステップS10において計算された撮像工程毎の点数が、点数表示部24に表示される。これにより、ファインダ4aには、図4に一例を示す像が形成される。図4の左下に表示された「59」、「48」、「62」、「66」の数値は、夫々時刻t0〜t1、時刻t1〜t2、時刻t2〜t3、及び時刻t3〜t4に対応した手振れの度合いを表す点数である。また、ステップS10において計算された手振れの撮像画像への影響度が所定の閾値よりも小さい場合には点数は白色で表示され、影響度が所定の閾値よりも大きい場合には点数は赤色で表示される。
【0043】
点数を参照した撮影者は、まず、表示された点数の色により、直近の撮像で手振れが起こっていたか否かを認識することができる。これにより、撮影者は撮影をし直す必要があるか否かを判断することができる。さらに、撮影者は、表示された点数により、何時手振れが生じたか、及び手振れが生じた原因を知ることができる。
【0044】
例えば、時刻t0〜t1における得点である最も左側に表示された点数が低い場合には、撮影者のシャッターレリーズ操作によりカメラ1が振れたということがわかる。この場合には、撮影者のシャッターボタンの押し方に問題がある可能性がある。
【0045】
また、時刻t1〜t2における得点である左から2番目に表示された点数が低い場合には、ミラーアップに起因してカメラ1が振れたということがわかり、時刻t2〜t3における得点である左から3番目に表示された点数が低い場合には、シャッター先幕のダウンに起因してカメラ1が振れたということがわかる。このような場合には、カメラの保持方法に問題があるということがわかる。或いは、カメラにカウンターウエイトを設ける等の対策を講じることもできる。
【0046】
さらに、時刻t3〜t4における得点である最も右側に表示された点数が低い場合には、カメラ1は振れていたが、露光終了後の振れであるため、撮像された画像には影響していないということがわかる。
【0047】
また、手振れ計算部22aによって計算された各撮像工程の点数をメモリ(図示せず)に記憶しておき、過去の複数回の撮像について、各撮像工程毎の平均点を計算できるように、手振れ計算部22aを構成しても良い。このように構成することにより、1回の撮像における手振ればかりでなく、その撮影者固有の手振れの癖等を傾向として把握することが可能になり、撮影者の撮影技術の向上に役立てることができる。
【0048】
本発明の第1実施形態によるカメラによれば、撮像時の手振れの度合いを表す点数が4つの撮像工程に区分して計算されるので、撮影者は、カメラの振れの原因を認識しやすく、或いは、容易にカメラの振れに対する対策を立てることができる。
【0049】
また、本実施形態のカメラによれば、撮像工程が、シャッタレリーズ、ミラーアップ、シャッター先幕ダウン、シャッター後幕ダウン、及びミラーダウンによって区切られているので、これらの中のどの動作の後に手振れが発生しているかを容易に認識することができる。
【0050】
さらに、本実施形態のカメラによれば、手振れの撮像画像への影響度が、点数が表示される色によって示されるので、撮影者は、手振れ自体の大きさばかりでなく、撮像された画像のブレについても認識することができる。
【0051】
また、本実施形態のカメラによれば、4つの撮像工程の点数が一覧表で表示されるので、撮影者は、複数の撮像工程のうちのどの工程において手振れが発生しているかを一見して認識することができる。
【0052】
また、上述した第1実施形態においては、撮像工程毎の点数が並べて一覧表として表示されていたが、変形例として、表示を切り替えることにより各点数が表示されるように構成することもできる。即ち、カメラに表示切替スイッチ(図示せず)を設けておき、この表示切替スイッチを押す毎に、時刻t0〜t1、時刻t1〜t2、時刻t2〜t3、及び時刻t3〜t4の点数が順次表示されるように構成することができる。本変形例によれば、少ない表示面積に大きな文字で点数を表示することができる。
【0053】
さらに、上述した第1実施形態においては、点数表示部はスクリーンに設けられ、撮影者はファインダーを介して点数を視認していたが、変形例として、点数表示部は、カメラ本体の液晶表示部等、カメラの任意の箇所に設けることができる。
【0054】
また、上述した第1実施形態においては、ジャイロ、制御部、手振れ計算部、撮像条件検出部、及び点数表示部は何れもカメラ本体に内蔵されていたが、これらの構成は、カメラ本体及びレンズ鏡筒の何れの部分に内蔵されていても良い。
【0055】
次に、図5を参照して、本発明の第2実施形態によるレンズユニットを説明する。図5は、本実施形態のレンズユニットの上面図である。本実施形態のレンズユニットは、カメラ本体に取り付けて撮像に使用されるように構成されている。
【0056】
上述した第1実施形態においては、ジャイロ、制御部、手振れ計算部、撮像条件検出部、及び点数表示部が何れもカメラ本体に内蔵されており、点数はファインダー内に表示されていたが、本実施形態においては、これらの構成がレンズユニット内に内蔵されており、点数はレンズユニットに設けられた点数表示部に表示される。
【0057】
図5に示すように、本実施形態のレンズユニット100は、レンズ鏡筒102を有し、このレンズ鏡筒102には、撮像用レンズ、ジャイロ、制御部、手振れ計算部、及び撮像条件検出部(以上、図示せず)が内蔵されている。また、レンズ鏡筒102の側面には、点数表示部104が設けられている。点数表示部104は、液晶パネルにより構成され、撮像時の手振れの度合いを表す点数が表示されるようになっている。手振れの検出から点数を計算する作用については、上述した実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0058】
本発明の第2実施形態のレンズユニットによれば、手振れ表示機能を備えていないカメラ本体と組み合わせた場合でも、撮影者は手振れの度合いを表す点数を認識することができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態では、本発明をデジタルカメラに適用していたが、本発明は、フィルムカメラに適用することもできる。また、本発明を、レンズユニットをレンズマウント部に取り付けて使用するカメラ本体に適用することもできる。
【符号の説明】
【0060】
1 本発明の第1実施形態によるカメラ
2 レンズ鏡筒
4 カメラ本体
4a ファインダ
6 撮像用レンズ
8 像振れ補正用レンズ
10 アクチュエータ
10a 移動枠
10b 固定枠
10c スチールボール
10d リニアモータ
12 反射ミラー
14 スクリーン
16 ペンタプリズム
18 フォーカルプレーンシャッター
20 ジャイロ(振れ検出センサ)
22 制御部
22a 手振れ計算部
22b 撮像条件検出部
24 点数表示部
100 本発明の第2実施形態のレンズユニット
102 レンズ鏡筒
104 点数表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手振れ表示機能を備えたカメラであって、
撮像用レンズが収容されたレンズ鏡筒と、
このレンズ鏡筒が取り付けられたカメラ本体と、
上記レンズ鏡筒又は上記カメラ本体の振れを検出する振れ検出センサと、
この振れ検出センサの検出信号に基づいて、撮像時の手振れの度合いを点数として計算する手振れ計算部と、
この手振れ計算部により計算された点数を表示する点数表示部と、を有し、
上記手振れ計算部は、1回の撮像について、複数の撮像工程に区分して点数を計算することを特徴とするカメラ。
【請求項2】
上記手振れ計算部は、複数回の撮像について、各撮像工程ごとの平均点を計算する請求項1記載のカメラ。
【請求項3】
上記撮像工程は、シャッタレリーズ、ミラーアップ、シャッター先幕ダウン、シャッター後幕ダウン、及びミラーダウンのうちの少なくとも1つによって区切られている請求項1又は2記載のカメラ。
【請求項4】
さらに、撮像条件を検出する撮像条件検出部を有し、上記手振れ計算部は、上記撮像条件検出部の検出結果及び上記振れ検出センサの検出信号に基づいて、撮像された画像への影響を計算し、上記点数表示部は、画像への影響度を点数と共に表示する請求項1乃至3の何れか1項に記載のカメラ。
【請求項5】
上記点数表示部は、上記複数の撮像工程の点数を一覧表にして表示する請求項1乃至4の何れか1項に記載のカメラ。
【請求項6】
さらに、表示切替スイッチを有し、上記複数の撮像工程の点数は、上記表示切替スイッチを操作するごとに、上記点数表示部に順次表示される請求項1乃至4の何れか1項に記載のカメラ。
【請求項7】
手振れ表示機能を備えたレンズユニットであって、
撮像用レンズが収容されたレンズ鏡筒と、
このレンズ鏡筒の振れを検出する振れ検出センサと、
この振れ検出センサの検出信号に基づいて、撮像時の手振れの度合いを点数として計算する手振れ計算部と、
この手振れ計算部により計算された点数を表示する点数表示部と、を有し、
上記手振れ計算部は、1回の撮像について、複数の撮像工程に区分して点数を計算することを特徴とするレンズユニット。
【請求項8】
カメラ本体又はレンズユニットに内蔵されたコンピュータに、
上記カメラ本体又は上記レンズユニットの振れを検出する振れ検出センサから検出信号を入力する手順と、
1回の撮像について入力された上記検出信号に基づいて、撮像時の手振れの度合いを表す点数を、複数の撮像工程に区分して計算する手順と、
計算された点数を、点数表示部に表示させる手順と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
手振れ表示機能を備えたカメラ本体であって、
レンズユニットを取り付けるレンズマウント部と、
上記カメラ本体の振れを検出する振れ検出センサと、
この振れ検出センサの検出信号に基づいて、撮像時の手振れの度合いを点数として計算する手振れ計算部と、
この手振れ計算部により計算された点数を表示する点数表示部と、を有し、
上記手振れ計算部は、1回の撮像について、複数の撮像工程に区分して点数を計算することを特徴とするカメラ本体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−123394(P2011−123394A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282537(P2009−282537)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000133227)株式会社タムロン (355)
【Fターム(参考)】