説明

抑うつ障害のための治療

メラトニンアゴニストを投与するステップを含む、抑うつ症を治療する方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の相互参照]
【0002】
本願は、本明細書に組み込まれる、2006年5月22日に出願された、同時係属の米国特許仮出願第60/747,861号明細書の利益を主張する。
[発明の背景]
[発明の分野]
【0003】
本発明は、抑うつ病のための薬物療法の分野におけるものである。
【0004】
[関連技術]
抑うつ障害は、米国単独でほぼ2000万人の成人に影響を及ぼす。未治療のままにしておくと、抑うつ障害により、情緒的並びに身体的に衰弱する恐れがある。
【0005】
抑うつ障害は多数の症状を含み、これは、「Depression」という表題で、米国国立精神衛生研究所(NIMH)によって出版された小冊子中に、以下の通り列挙されている。
【0006】
「持続性の悲しい、不安な、又は「むなしい」気分
絶望、悲観の感情
罪悪、無価値、無力の感情
性交を含めた、かつて楽しんだ趣味及び活動における興味又は喜びの喪失
活動力減退、疲労、「活力が衰えた」状態
集中、記憶、決断の困難
不眠、早朝覚醒、又は寝坊
食欲及び/若しくは体重の喪失、又は過食並びに体重増加
死又は自殺の考え;自殺企図
不穏状態、被刺激性
治療に反応しない、持続性の身体的症状、例えば、頭痛、消化障害、及び慢性疼痛」
【0007】
NIMHの小冊子によれば、抑うつ病の3つの最も一般的なタイプは、以下のようなものである。
【0008】
「大うつ病は、働く、勉強する、眠る、食べる、及びかつての愉快な活動を楽しむ能力を妨害する症状(症状リストを参照されたい)の組合せによって顕在化する。抑うつ症のそのような不能化エピソードは、一度だけ起こる場合もあるが、より一般的には、生涯で数回起こる。
【0009】
重症度の低いタイプの抑うつ症である、情緒異常は、十分に機能すること、又は良い気分であることを、不能にはしないが妨げる、長期の慢性症状を伴う。情緒異常を有する多くの人は、その生涯のある時に、大うつ病エピソードも経験する。
【0010】
別のタイプの抑うつ症は双極性障害であり、躁うつ病とも呼ばれる。他の形態の抑うつ障害よりまったく蔓延していないが、双極性障害は、重篤な高揚状態(躁病)と元気のない状態(抑うつ症)という、周期的な気分変化を特徴とする。時折、気分の転換は劇的で急速であるが、ほとんどの場合、これは漸進的である。うつ状態の周期にある場合、個体は、抑うつ障害の任意の又はすべての症状を有し得る。躁状態の周期にある場合、個体は、過活動的、談話心迫(overtalkative)となり、非常に大きな活動力を有する場合がある。躁病は、重大な問題及び困惑を引き起こす形で、思考、判断、及び社会的行動に影響することが多い。例えば、躁病相の個体は、賢明でないビジネス決定から非現実的な耽溺まで及ぶ可能性のある、有頂天で、大掛かりな計画に満ちた感覚を覚える場合がある。未治療のままにしておくと、躁病は、精神病状態に悪化する恐れがある。」
【0011】
[発明の概要]
本発明の方法は、大うつ病、強迫性障害、パニック障害、社会不安障害、社会恐怖症、外傷後ストレス障害、月経前不快気分障害、産後抑うつ症、大うつ病、情緒異常、難治療性(treatment−resistant)大うつ病、難治療性双極性障害、及び全般性不安障害、又はその1つ若しくは複数の症状の治療又は予防を含む。
【0012】
[詳細な説明]
イロペリドン(1−[4−[3−[4−(6−フルオロ−1,2−ベンゾイソオキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]プロポキシ]−3−メトキシフェニル]エタノン)は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,364,866号明細書に開示されている。イロペリドンの代謝産物、例えばP88(P−88−8891とも呼ばれる)は、本発明において有用である。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第03020707号パンフレットを参照されたい。場合によっては、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2006039663号パンフレット及び国際公開第2003054226号パンフレットに開示されているように、ある特定の遺伝子型を有する患者に優先的にイロペリドンを使用することが有利となり得る。
【0013】
イロペリドン代謝産物として、4−[3−[4−(6−フルオロ−1,2−ベンゾイソオキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]プロポキシ]−3−メトキシ−α−メチルベンゼンメタノール、1−[4−[3−[4−(6−フルオロ−1,2−ベンゾイソオキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]プロポキシ]−3−ヒドロキシフェニル]エタノン、1−[4−[3−[4−(6−フルオロ−l,2−ベンゾイソオキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]プロポキシ]−3−メトキシフェニル]−2−ヒドロキシエタノン、4−[3−[4−(6−フルオロ−l,2−ベンゾイソオキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]プロポキシ]−3−ヒドロキシ−α−メチルベンゼンメタノール、4−[3−[4−(6−フルオロ−l,2−ベンゾイソオキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]プロポキシル−2−ヒドロキシ−5−メトキシ−α−メチルベンゼンメタノール、1−[4−[3−[4−(6−フルオロ−1,2−ベンゾイソオキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]プロポキシ]−2−ヒドロキシ−5−メトキシフェニル]エタノン、及び1−[4−[3−[4−(6−フルオロ−1,2−ベンゾイソオキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]プロポキシ]−2,5−ジヒドロキシフェニル]エタノンが挙げられる。
【0014】
参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5364866号明細書、国際公開第93/09276号パンフレット及び国際公開第95/11680号パンフレットを参照されたい。
【0015】
好ましい代謝産物であるP88は、1−[4−[3−[4−(6−フルオロ−1,2−ベンゾイソオキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]プロポキシ]−3−メトキシフェニル]エタノールである。
【0016】
イロペリドンは、広範囲にわたるモノアミン受容体に対して中程度から高度の親和性を有し、選択されたドーパミン作動性、セロトニン作動性、及びアドレナリン作動性受容体でアンタゴニストとして作用する。これは、5−HT2A、Nea1、Nea2c、D、D及び5−HT1A受容体に対して高い(Kd<10nM)親和性、並びに5HT1Aを含めた、他のドーパミン作動性、アドレナリン作動性、及びセロトニン作動性受容体に対して中程度の(Kd10〜100nM)親和性を有する。
【0017】
有効量のイロペリドン又はその活性代謝産物は、いくつかの経路によって対象動物(一般的にヒトであるが、他の動物、例えば、家畜、ペット及び競走動物も治療することができる)に投与することができる。有効量は、治療過程の間に、抑うつ障害又はその症状に対して予防性又は寛解性効果を有することになる量である。例えば、有効量は、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリンなどの選択的セロトニン再取り込み阻害剤と同じ程度に、抑うつ障害の症状の発生又は再発を予防する量である。
【0018】
有効量は、定量的には、例えば、患者、治療される障害又は症状の重症度、及び投与経路に応じて変動し得る。そのような用量は、慣例的な研究によって求めることができる。一般に、全身投与、例えば経口投与については、投薬に関する基準点は、ヒトにおける精神病又はその症状を治療するのに使用される、イロペリドン又はその活性代謝産物の用量であり、即ち、経口投与する場合、約2mgから約24mg、好ましくは約16mgから約24mgのイロペリドン、又は約0.5gから約24mg、好ましくは約12mgから約16mgのP88である。
【0019】
実際に投与するイロペリドン又はその活性代謝産物の量を含めた投薬プロトコルは、例えば、治療される状態、選択される投与経路、年齢、体重、及び個々の患者の応答、及び患者の症状の重症度を含めた、関連する状況を踏まえて医師によって決定されることになることが理解されよう。患者は、起こり得る有害事象について、当然モニターされるべきである。
【0020】
治療的又は予防的使用のために、イロペリドン又はその活性代謝産物は、標準的な従来の技法を使用して、固体又は液体の医薬として許容可能な担体、並びに場合により、医薬として許容可能なアジュバント及び賦形剤とともに、その(又は1つの)必須活性成分として少なくとも1種のそのような化合物を含む医薬組成物として通常投与することになる。
【0021】
本発明を実行することにおいて有用な医薬組成物には、経口、非経口(皮下、筋肉内、皮内及び静脈内を含めて)、経皮、気管支、又は経鼻投与用の適当な剤形が含まれる。したがって、固体担体が使用される場合、調製物は、錠剤にする、粉末若しくはペレット形態で硬ゼラチンカプセル中に入れる、又はトローチ若しくはロゼンジの形態とすることができる。固体担体は、従来の賦形剤、例えば、結合剤、増量剤、打錠滑沢剤(tableting lubricant)、崩壊剤、湿潤剤などを含有することができる。錠剤は、必要に応じて、従来の技法によってフィルムコートすることができる。液体担体が使用される場合、調製物は、シロップ、エマルジョン、軟ゼラチンカプセル、注射用滅菌ビヒクル、水性若しくは非水性液体懸濁液の形態とすることができ、又は使用前に水若しくは他の適当なビヒクルを用いて再構成するための乾燥製品とすることができる。液体調製物は、従来の添加剤、例えば、懸濁剤、乳化剤、湿潤剤、非水性ビヒクル(食用油を含めて)、保存剤、並びに香味剤及び/又は着色剤などを含有することができる。非経口投与については、ビヒクルは通常、少なくとも大部分、滅菌水を含むことになるが、生理食塩水、グルコース溶液などを利用することができる。注射用懸濁液も使用することができ、この場合、従来の懸濁剤を使用することができる。従来の保存剤、緩衝剤なども非経口剤形に加えることができる。医薬組成物は、適切な量のイロペリドン又はその活性代謝産物を含有する所望の調製物に適切な従来の技法によって調製することができる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、Pa.、17版、1985年を参照されたい。
【0022】
本発明で使用するための医薬組成物を製造することにおいて、活性成分(複数も)は、通常、担体と混合される、又は担体によって希釈される、又はカプセル、サシェ、紙、若しくは他の容器の形態とすることのできる担体内に封入されることになる。担体が希釈剤として機能する場合、これは、活性成分のためのビヒクル、賦形剤、又は媒体として作用する、固体、半固体、又は液体材料とすることができる。したがって、組成物は、錠剤、ピル、粉末、ロゼンジ、サシェ、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁液、エマルジョン、溶液、シロップ、エアロゾル(固体として、又は液体媒体中)、例えば、最大10重量%の活性化合物を含有する軟膏、軟及び硬ゼラチンカプセル、坐剤、滅菌注射溶液及び滅菌包装粉末(packaged powder)の形態とすることができる。
【0023】
適当な担体及び希釈剤のいくつかの例として、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチル−及びプロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱油が挙げられる。製剤は、滑沢剤、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、保存剤、甘味剤、又は香味剤をさらに含むことができる。本発明の組成物は、患者に投与した後、活性成分の急速放出、徐放、又は遅延放出を提供するように製剤化することができる。
【0024】
組成物は、各投与量が、好ましくは約1mgから約24mgの活性成分を含む、単位剤形で製剤化されることが好ましい。用語「単位剤形」は、ヒト対象及び他の哺乳動物のための単位投与量として適した物理的に別個の単位を指し、各単位は、所要の医薬担体とともに、治療期間にわたって所望の予防的又は治療的効果を生じるように計算された、所定量の活性物質を含有する。したがって、例えば、抑うつ障害を患っている成人患者に、それぞれ1〜24mgのイロペリドンを有する1〜4個の錠剤を、毎日1回、2回又は3回服用するよう処方することができ、約1から約12週間以内に、その患者の状態が改善することを期待してもよいであろう。
【0025】
イロペリドン及びその活性代謝産物は、制御放出形態、例えば、遅延放出、徐放、又はパルス放出として製剤化することもできる。イロペリドン及びその活性代謝産物の制御放出形態は、例えば、2005年12月14日に出願された、米国仮特許出願第60/750,229号明細書に開示されており、この特許文献は参照により組み込まれている。
【0026】
例えば、本発明の制御放出製剤は、(i)イロペリドン又はP88が、標準的な溶解アッセイ(例えば、周囲条件下で、(1)pH4.5、(2)pH6.8又は(3)0.1NのHClでの水性溶媒)において、1時間当たり約3%と約15%の間、より好ましくは1時間当たり約4%と約13%の間、及び最も好ましくは1時間当たり約5%と約7%の間の速度で溶解し、それによって約16時間と約24時間の間の期間にわたって、イロペリドン又はその活性代謝産物の緩徐で実質的に一定の投与量を提供するものが含まれる。別の実施形態では、イロペリドン又はその活性代謝産物は、パルスプロファイルで放出されることによって、例えば、投与後直ちに薬物の約25%、並びに投与からおおよそ2時間、4時間、及び6時間後に薬物の約25%が放出され、又は投与後直ちに薬物の約50%、並びに投与からおおよそ2時間及び4時間後に薬物の約25%が放出され、又は投与後直ちに薬物の約50%、並びに投与からおおよそ4時間及び6時間後に薬物の約25%が放出される。
【0027】
イロペリドン及び/又はその誘導体を投与する様々な製剤及び方法が記載されてきた。例えば、PCT公開第WO2004/006886A2号パンフレットには、イロペリドン結晶を含む注射用デポー製剤が記載され、イロペリドン及びポリグリコリドポリラクチドグルコース星型ポリマーのマイクロカプセル化したデポー製剤が、米国特許出願公開20030091645号明細書に記載されており、とりわけイロペリドン又はイロペリドン誘導体の濃度の増加に関連する、心電図QT(QTc)間隔補正の延長を排除する、又は最小限にすることに向けられた、イロペリドンの投与のための方法が、2004年9月30日に出願された、米国特許仮出願第60/614798号明細書に記載されており、これらの特許文献のすべてが参照により本明細書に組み込まれている。
【0028】
本発明は、他の薬剤、例えば、他の中枢神経系(CNS)薬剤、例えばそれだけに限らないが、以下の薬物カテゴリーにある薬剤と組み合わせた、イロペリドン又はその活性代謝産物の投与を包含する。
【0029】
− メラトニンアゴニスト
− 選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)
○ 5−HT1Aアンタゴニスト
○ 5−HTlA/β−アドレナリン受容体アンタゴニスト
○ 5−HT1Bアンタゴニスト
○ 5−HT2Cアンタゴニスト
・ 選択的及び非選択的
○ 5−HT2Cアゴニスト
○ 5−HTアゴニスト
○ α−2アドレナリンアンタゴニスト
− セロトニン及びノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)
− モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)
− 三環系抗うつ剤(TCA)
− トリプルモノアミンアップデート遮断剤(triple monoamine update blocker)
− ベンゾジアゼピン
− NMDA受容体アンタゴニスト
− ピロリノン
− ベンゾサイアジアザイド
− ベンゾイルピペリジン(benzoylpiperidne)
− ビアリールプロピルスルホンアミド(biarylopropylsulfonamide)
− 代謝調節型グルタミン酸受容体(mGluR)
− GABAアンタゴニスト
− NK1アンタゴニスト
− NK2アンタゴニスト
− CRF1アンタゴニスト
− アルギニンバソプレッシンV1bアンタゴニスト
− MCH受容体アンタゴニスト
− NGFアンタゴニスト
− BDNFアンタゴニスト
− NT−3アンタゴニスト
− NT−4アンタゴニスト
− CREBアンタゴニスト
【0030】
そのような薬剤の非限定的な例としては、以下のものがある。
【0031】
メラトニン性アゴニスト:メラトニン、アゴメラチン、(1R−Trans)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパン−アミド,及びN−[1−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル]−N−エチル尿素]、ラメルテオン、2−フェニルメラトニン、8−M−PDOT、2−ヨードメラトニン、6−クロロメラトニン
セロトニン再取り込み阻害剤:パロキセチン、フルオキセチン、セルトラリン、ベンラファキシン(venlaxafine)、シタロプラム、エスシタロプラム(escitalopram)、フルボキサミン、トラゾドン(trazadone)、ネファゾドン、ミルナシプラン、デシプラミン、デュロキセチン、YM992
SSRI/5−HT1Aアンタゴニスト:WAY−100635、ピンドロール
SSRI/5−HT1Bアンタゴニスト:SB−224289
SSRI/5−HT2Cアンタゴニスト
選択的:SB242084、RS102221
非選択的:ケタンセリン、イリンダロン
SSRI/5−HT2Cアゴニスト:Org37684、Ro60−0175、WAY−161503、YM348、WAY−629、WAY−163909
SSRI/5−HT6アゴニスト:LY586713、WAY−466、WAY−1811187
α−2アドレナリンアンタゴニスト:ミルタザピン(レメロン)
トリプルモノアミンアップデート遮断剤:DOV21,947
NMDA受容体アンタゴニスト:MK−801、メマンチン、ケタミン、フェルバメート、グリシン、D−セリン、D−シクロセリン、L−グルタメート、イフェンプロジル(L−glutamatelfenprodil)
ピロリジオン(pyrrolidione):ピラセタム、アニラセタム
三環系:アミトリプチリン、クロミプラミン、デシプラミン、ドチエピン、ドキセピン、イミプラミン、ロフェプラミン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、トリミプラミン、イプリンドール、オピプラモール
四環系:マプロチリン、ミアンセリン、ミルタザピン、アモキサピン、トラゾドン、ネファゾドン
セロトニン再取込みエンハンサー:チアネプチン、
モノアミンオキシダーゼ阻害剤:ハルマリン、ニアラミド、セレギリン、イソカルボキサジド、イプロニアジド、イプロクロジド、モクロベミド、フェネルジン、トロキサトン、トラニルシプロミン
ドーパミン再取り込み阻害剤:ブプロピオン、アミネプチン、メチルフェニデート、フェンメトラジン、バノキセリン
ノルエピネフリン再取り込み阻害剤:アトモキセチン、レボキセチン、ビロキサジン、マプロチリン、ブプロピオン、レボキセチン
セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤:デシプラミン、デュロキセチン、ミルナシプラン、ネファゾドン、ベンラファキシン
ベンゾサイアジアザイド:シクロチアジド
ベンゾイルピペリジン:CX516、CX546
ビアリールプロピルスルホンアミド:LY392098、LY404187、LY451646
代謝調節型グルタミン酸受容体(mGluR):2−メチル−6−(フェニルエチニル)−ピリジン(MPEP)、3−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]−ピリジン(MTEP)、JNJ16259685、CPCOOEt、MGS0039、LY341495、LY354740、ACPT−1/L−SOP(L−セリン−O−ホスフェート)、HomoAMPA、N−フェニル(pheynl)−7−(ヒドロキシイミノ)シクロプロパ[b]クロメン−1a−カルボキサミド
GABAアンタゴニスト:CGP36742、CGP56433、CGP56999
NK1アンタゴニスト:GW823296、GW679769、GW597599(ベスチピタント)、R673、CP−122,721、L−759274、GR205171、L733060
NK2アンタゴニスト:SR48968
CRF1アンタゴニスト:DMP696、DMP904、GW876008、AAG561、TS−041、CP−154,526(アンタラルミン(antalarmin))、SSR125543、R278995/CRA0450、R121919
アルギニンバソプレッシンV1bアンタゴニスト:SSR149415
MCH受容体アンタゴニスト:T−226296
【0032】
患者によっては、抗うつ剤治療を、リチウム又はトリヨードチロニンを用いて増強することが有用であると報告されている。
【0033】
したがって、別の例示的な実施形態では、本発明は、1つ又は複数の医薬投与量単位の抗精神病薬及び1つ又は複数の医薬投与量単位の抗うつ剤を含むキットであって、抗精神病薬の投与量単位及び抗うつ剤の単位のいずれか又は両方はそれぞれ、抗うつ剤又は抗精神病薬、及び場合によっては、1種又は複数種の追加の医薬的活性成分も含むことができるキットを含む。別の実施形態では、本発明は、抗精神病薬及び他の1種又は複数種の他の薬剤を、それぞれの有効量が、適切な時間に適切な量で患者の血流中に維持されるように、異なる時間間隔で投与するステップを含む。そのようなキットは、例えば、1種又は複数種の他の薬剤よりも、異なる時間間隔で服用される抗精神病薬の投与を促進することができるであろう。関係する実施形態では、キットは、1種の薬剤単独の医薬投与量単位及び両方の薬剤を含む他の医薬投与量単位を含む。このようにして、例えば、抗精神病薬は、昼間に単独で服用し、夜に1種又は複数種の他の薬剤とともに服用することができるであろう。
【0034】
そのような組合せで使用される場合、各薬剤の用量は、いずれの単独の有効量とほぼ同じ、又はこの有効量より少ないことが予期される。例えば、各医薬的活性成分は、各成分が単独で投与する用量の約20%から約80%である用量で投与することができる。
【0035】
2種(又はそれ以上)の薬剤は、おおよそ同時に、即ち相伴って(例えば、互いに約0から約5分以内、好ましくは約1分おき以内)投与することができ、又はそれらは、異なる時間に投与することができる。例えば、一態様では、本発明は、抗精神病薬及び1種又は複数種の他の薬剤の両方を含む医薬組成物である。この実施形態は例えば、一緒に混合されているか、又はピル若しくはカプセルの別個の部分中に各活性医薬成分を有する、両方の活性医薬成分を有するピル又はカプセルを含む。
【0036】
例えば、組成物は、各投与量が両方の活性成分を含有する、単位剤形として製剤化することができる。用語「単位剤形」は、ヒト対象及び他の哺乳動物のための単位投与量として適した物理的に別個の単位を指し、各単位は、所要の医薬担体とともに、治療期間にわたって所望の予防的又は治療的効果を生じるように計算された、所定量の活性物質を含有する。したがって、例えば、抑うつ障害を患っている成人患者に、1〜4個の錠剤を、毎日1回、2回又は3回服用するよう処方することができ、約1から約12週間以内に、その患者の状態が改善することを期待してもよいであろう。
【0037】
本発明の単位剤形は、イロペリドン又はその活性代謝産物を、唯一の活性医薬成分として含んでいても、別の薬剤、例えば、別の抗精神病薬若しくは抗うつ剤と組み合わせて含んでいても、制御放出形態、例えば遅延放出、徐放、又はパルス放出として製剤化することもできる。そのような形態で、組合せの場合、イロペリドン又はその活性代謝産物は、1種又は複数種の他の薬剤と同じ又は異なる速度及び時間で放出することができる。
【0038】
本発明を、上記に概説した特定の実施形態とともに説明してきたが、多くの代替案、改変及び変形が当業者に明らかとなり、さもなければ包含されることが意図されることは明白である。したがって、上記に説明した本発明の実施形態は、例示的であって限定するものではないことが意図される。添付の特許請求の範囲に定義された、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができる。本明細書で引用したすべての特許、特許出願、科学論文、及び公表された文書は、その開示の実体に関して、その全体が本明細書によって組み込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物における、大うつ病、強迫性障害、パニック障害、社会不安障害、社会恐怖症、外傷後ストレス障害、月経前不快気分障害、産後抑うつ症、大うつ病、情緒異常、難治療性大うつ病、難治療性双極性障害、及び全般性不安障害、又はその症状のうちの1つ又は複数を治療するための方法であって、有効量のイロペリドン又はその活性代謝産物を前記動物に体内投与するステップを含む方法。
【請求項2】
前記障害が、強迫性障害、パニック障害、社会不安障害、社会恐怖症、外傷後ストレス障害、月経前不快気分障害、情緒異常、及び全般性不安障害、又は任意のその組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記症状が、持続性の悲しい、不安な、又はむなしい気分;絶望の感情;悲観;罪悪、無価値、若しくは無力の感情;性交を含めた、かつて楽しんだ趣味及び活動における興味若しくは喜びの喪失;活動力減退、疲労、又は活力が衰えた状態;集中、記憶、若しくは決断の困難;不眠、早朝覚醒、又は寝坊;食欲及び/若しくは体重の喪失、又は過食並びに体重増加;死若しくは自殺の考え;自殺企図;不穏状態、被刺激性;治療に反応しない、持続性の身体的症状、例えば、頭痛、消化障害、及び慢性疼痛;又は前記の任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第2の抗精神病薬を投与するステップをさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
抗うつ剤と組み合わせたイロペリドン又はその活性代謝産物を投与するステップをさらに含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記抗うつ剤が、メラトニンアゴニスト、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、5−HTIAアンタゴニスト、5−HTlA/β−アドレナリン受容体アンタゴニスト、5−HT1Bアンタゴニスト、選択的及び非選択的5−HT2Cアンタゴニスト、5−HT2Cアゴニスト、5−HTアゴニスト、α−2アドレナリンアンタゴニスト、セロトニン及びノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、三環系抗うつ剤(TCA)、トリプルモノアミンアップデート遮断剤、ベンゾジアゼピン、NMDA受容体アンタゴニスト、ピロリノン、ベンゾサイアジアザイド、ベンゾイルピペリジン、ビアリールプロピルスルホンアミド、代謝調節型グルタミン酸受容体(mGluR)、GABAアンタゴニスト、NK1アンタゴニスト、NK2アンタゴニスト、CRF1アンタゴニスト、アルギニンバソプレッシンV1bアンタゴニスト、MCH受容体アンタゴニスト、NGFアンタゴニスト、BDNFアンタゴニスト、NT−3アンタゴニスト、NT−4アンタゴニスト、CREBアンタゴニスト、及び任意の1つ又は複数の列記したクラスの抗うつ剤の組合せからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記抗うつ剤が、メラトニン、(1R−Trans)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミド、N−[1−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル]−N−エチル尿素]、アゴメラチン(バルドキサン)、ラメルテオン、2−フェニルメラトニン、8−M−PDOT、2−ヨードメラトニン、6−クロロメラトニン、フルオキセチン(プロザック)、パロキセチン(パキシル)、YM992、セルトラリン(ゾロフト)、ベンラファキシン(エフェキソール)、ブプロピオン(ウェルブトリン)、レボキセチン(エドロナックス)、WAY−100635、ピンドロール、SB−224289、SB242084、RS102221、ケタンセリン、イリンダロン、Org37684、Ro60−0175、WAY−161503、YM348、WAY−629、WAY−163909、LY586713、WAY−466、WAY−1811187、ミルタザピン(レメロン)、DOV21,947、MK−801、メマンチン、ケタミン、フェルバメート、グリシン、D−セリン、D−シクロセリン、L−グルタメート、イフェンプロジル、ピラセタム、アニラセタム、シクロチアジド、CX516、CX546、LY392098、LY404187、LY451646、2−メチル−6−(フェニルエチニル)−ピリジン(MPEP)、3−[(2−メチル−l,3−チアゾール−4−イル)エチニル]−ピリジン(MTEP)、JNJ16259685、CPCOOEt、MGS0039、LY341495、LY354740、ACPT−1/L−SOP(L−セリン−O−ホスフェート)、HomoAMPA、N−フェニル−7−(ヒドロキシイミノ)シクロプロパ[b]クロメン−la−カルボキサミド、CGP36742、CGP56433、CGP56999、GW823296、GW679769、GW597599(ベスチピタント)、R673、CP−122,721、L−759274、GR205171、L733060、SR48968、DMP696、DMP904、GW876008、AAG561、TS−041、CP−154,526(アンタラルミン)、SSR125543、R278995/CRA0450、R121919、SSR149415、T−226296、及び任意のその活性代謝産物を含めた、任意の1つ又は複数の列記した抗うつ剤の組合せからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記抗精神病薬及び前記抗うつ剤が、非経口、静脈内、筋肉内、口腔、ロゼンジ、経皮、及び経粘膜から選択される、同じ又は異なる経路によって投与する、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
抑うつ障害の治療のための医薬組成物であって、別の抗精神病薬又は別の抗うつ剤又はその両方と組み合わせて、イロペリドン又はその活性代謝産物を含む医薬組成物。
【請求項10】
単回投与として投与する場合、又は多回投与で投与する場合に有効である量で、イロペリドン又はその活性代謝産物及び1種又は複数種の他の薬剤を含む単位剤形である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
1つ又は複数の医薬投与量単位の抗精神病薬及び1つ又は複数の医薬投与量単位の抗うつ剤を含むキットであって、前記抗精神病薬の投与量単位及び前記抗うつ剤の単位のいずれか又は両方はそれぞれ、抗うつ剤又は抗精神病薬、及び場合によっては、1種又は複数種の追加の医薬的活性成分も含むことができるキット。
【請求項12】
大うつ病、強迫性障害、パニック障害、社会不安障害、社会恐怖症、外傷後ストレス障害、月経前不快気分障害、産後抑うつ症、大うつ病、情緒異常、難治療性大うつ病、難治療性双極性障害、及び全般性不安障害のうちの1つ又は複数を治療するためのイロペリドンの使用。
【請求項13】
前記障害が、強迫性障害、パニック障害、社会不安障害、社会恐怖症、外傷後ストレス障害、月経前不快気分障害、情緒異常、及び全般性不安障害からなる群から選択される、請求項12に記載のイロペリドンの使用。
【請求項14】
抑うつ障害、強迫性障害、パニック障害、社会不安障害、社会恐怖症、外傷後ストレス障害、月経前不快気分障害、産後抑うつ症、及び全般性不安障害のうちの1つ又は複数を治療するための薬物の製造のためのイロペリドンの使用。
【請求項15】
前記薬物が抗うつ剤をさらに含む、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記抗うつ剤が、メラトニンアゴニスト、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、5−HT1Aアンタゴニスト、5−HT1A/β−アドレナリン受容体アンタゴニスト、5−NT1Bアンタゴニスト、選択的及び非選択的5−HT2Cアンタゴニスト、5−HT2Cアゴニスト、5−HTアゴニスト、α−2アドレナリンアンタゴニスト、セロトニン及びノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、三環系抗うつ剤(TCA)、トリプルモノアミンアップデート遮断剤、ベンゾジアゼピン、NMDA受容体アンタゴニスト、ピロリノン、ベンゾサイアジアザイド、ベンゾイルピペリジン、ビアリールプロピルスルホンアミド、代謝調節型グルタミン酸受容体(mGluR)、GABAアンタゴニスト、NK1アンタゴニスト、NK2アンタゴニスト、CRF1アンタゴニスト、アルギニンバソプレッシンV1bアンタゴニスト、MCH受容体アンタゴニスト、NGFアンタゴニスト、BDNFアンタゴニスト、NT−3アンタゴニスト、NT−4アンタゴニスト、CREBアンタゴニスト、及び任意の1つ又は複数の列記したクラスの抗うつ剤の組合せからなる群から選択される、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記抗うつ剤が、メラトニン、(1R−Trans)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミド、N−[1−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル]−N−エチル尿素]、アゴメラチン(バルドキサン)、ラメルテオン、2−フェニルメラトニン、8−M−PDOT、2−ヨードメラトニン、6−クロロメラトニン、フルオキセチン(プロザック)、パロキセチン(パキシル)、YM992、セルトラリン(ゾロフト)、ベンラファキシン(エフェキソール)、ブプロピオン(ウェルブトリン)、レボキセチン(エドロナックス)、WAY−100635、ピンドロール、SB−224289、SB242084、RS102221、ケタンセリン、イリンダロン、Org37684、Ro60−0175、WAY−161503、YM348、WAY−629、WAY−163909、LY586713、WAY−466、WAY−1811187、ミルタザピン(レメロン)、DOV21,947、MK−801、メマンチン、ケタミン、フェルバメート、グリシン、D−セリン、D−シクロセリン、L−グルタメート、イフェンプロジル、ピラセタム、アニラセタム、シクロチアジド、CX516、CX546、LY392098、LY404187、LY451646、2−メチル−6−(フェニルエチニル)−ピリジン(MPEP)、3−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]−ピリジン(MTEP)、JNJ16259685、CPCOOEt、MGS0039、LY341495、LY354740、ACPT−1/L−SOP(L−セリン−O−ホスフェート)、HomoAMPA、N−フェニル−7−(ヒドロキシイミノ)シクロプロパ[b]クロメン−1a−カルボキサミド、CGP36742、CGP56433、CGP56999、GW823296、GW679769、GW597599(ベスチピタント)、R673、CP−122,721、L−759274、GR205171、L733060、SR48968、DMP696、DMP904、GW876008、AAG561、TS−041、CP−154,526(アンタラルミン)、SSR125543、R278995/CRA0450、R121919、SSR149415、T−226296、及び任意のその活性代謝産物を含めた、任意の1つ又は複数の列記した抗うつ剤の組合せからなる群から選択される、請求項16に記載の使用。

【公表番号】特表2009−538331(P2009−538331A)
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512244(P2009−512244)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/069373
【国際公開番号】WO2007/137227
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(507021702)ヴァンダ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (20)
【Fターム(参考)】