説明

投光機

【課題】 消灯直後再点灯する際にかかる時間を短縮させる投光機を提供する。
【解決手段】
外部電力により点灯する第1および第2ランプ41,42を有する照明装置と、ランプを点灯させるための第1および第2ランプスイッチを備え、コンデンサ、放電ギャップ、一次側コイルと二次側コイルを有し電圧が一次側コイルに印加されたとき二次側コイルに該電圧より高い二次電圧をランプ41,42に印加するトランス、電気抵抗器を有する第1および第2再点灯ユニット54,55を備え、点灯後に高輝度点灯ランプの抵抗が電気抵抗器の抵抗より小さい場合、外部電力が二次側コイルを介しランプに供給され、点灯後にランプの抵抗が電気抵抗器の抵抗より大きい場合、外部電力が一次側コイルを介し第1および第2再点灯ユニット54,55に供給され、二次電圧がランプに印加されランプに電力が供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、夜間照明用に使用される投光機に関する。
【背景技術】
【0002】
道路等の新設、修復等の工事は、交通規制等のため夜間に行われることが多く、また、工事の性質上移動が伴うため、移動性のある夜間照明として台車を備えた投光機が用いられている。このように夜間での使用を可能にする投光機では、光源として水銀ランプ、高圧ナトリウムランプ等のHIDランプ(High Intensity Discharge Lamps)が用いられることが多く、特に金属蒸気中の放電によって発光するメタルハライドランプを備えた投光機(例えば、特許文献1)が周知となっている。このメタルハライドランプは、高輝度、省電力、長寿命であることがメリットとして挙げられている。
【0003】
上述したような、メタルハライドランプを使用した従来の投光機100の三面図を図9、また電気ブロック図を図10に示す。図に示すように、従来の投光機100は、第1および第2ランプ101,102、また、第1および第2ランプ101,102に安定電流を供給し、消費電力の低減が可能な第1および第2安定器103,104等で構成されており、上述した第1および第2ランプにHIDランプの一種であるメタルハライドランプが用いられる。
【0004】
【特許文献1】特開2006−4763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したようなメタルハライドランプを用いた投光機100は、長時間点灯させると、内部が非常に高温になるためランプの電気抵抗値が非常に高い状態になり、消灯後再点灯する際に非常に高い電圧を必要とする。このため、電源スイッチを再投入しランプの再点灯を試みても、すぐには点灯させることはできず、ライトを自然冷却させ温度および電気抵抗値が下がるまで15〜30分程度待った後でなければ点灯しないという問題があった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みたもので、消灯直後再点灯する際にかかる時間を短縮させる投光機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の投光機は、外部電源からの電力供給を受けて点灯する高輝度点灯ランプ(例えば、実施形態における第1ランプ41、第2ランプ42)を有する照明装置と、外部電源から前記高輝度点灯ランプへの通電をオン/オフするスイッチ(例えば、実施形態における第1および第2ランプスイッチ61,62)とを備えた投光機において、電力を蓄電する蓄電手段(例えば、実施形態におけるコンデンサ76)と、蓄電手段の端子間電圧が所定電圧に到達したときに放電を発生させる放電手段(例えば、実施形態における放電ギャップ72)と、一次側巻線(例えば、実施形態における一次側コイル74)と二次側巻線(例えば、実施形態における二次側コイル75)を有し、放電の結果得られる放電電圧が一次側巻線に印加されたとき、二次側巻線に放電電圧より高い二次電圧を発生させ、二次電圧を高輝度点灯ランプに印加する昇圧手段(例えば、実施形態におけるトランス71)と、蓄電手段、放電手段および一次側巻線と直列に接続される電気抵抗器(例えば、実施形態における抵抗73)とを備え、スイッチがオンされ外部電源から高輝度点灯ランプへの通電が開始されたときに高輝度点灯ランプの電気抵抗値が電気抵抗器の抵抗器より小さい場合には、外部電源から供給される電力が二次側巻線を介して高輝度ランプに供給され、スイッチがオンされ外部電源から高輝度点灯ランプへの通電が開始されたときに高輝度点灯ランプの電気抵抗値が電気抵抗器の抵抗値より大きい場合には、外部電源から供給される電力が蓄電手段に蓄電され、蓄電手段の端子間電圧が所定電圧に到達したときに放電手段により放電が発生し、放電により得られる放電電圧が一次側巻線に印加された結果、昇圧手段により二次電圧が発生し二次電圧が高輝度点灯ランプに印加された後、高輝度点灯ランプに電力が供給されるように構成される。
【0008】
また、高輝度点灯ランプに冷却空気を吹き付ける冷却手段が設けられることが好ましい。
【0009】
そして、照明装置を昇降自在に支持する昇降装置と、昇降装置が搭載されて移動可能な台車と、台車の上面に配設されて蓄電手段と放電手段と昇圧手段と電気抵抗器が収容される収容部材とを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
上記のような本発明に係る投光機によると、高輝度点灯ランプを消灯し再点灯する際には、外部電源が直接高輝度点灯ランプに供給されず、蓄電手段により蓄電され、蓄電された電圧が放電手段により放電され、放電による放電電圧が、昇圧手段により昇圧され、この昇圧された二次電圧が高輝度点灯ランプに印加されることで、高い電圧を高輝度点灯ランプに印加できるため、消灯した直後でも短時間で再点灯させることができる。
【0011】
また、高輝度点灯ランプに冷却空気を吹き付ける冷却手段が設けられていることにより、消灯直後再点灯する際に冷却空気が高輝度点灯ランプに吹き付けられることで、高温になっているランプを短時間で冷却できることが可能になり、従来再点灯に15〜30分程度必要としていたところ、消灯直後4〜8分程度で再点灯することができる。
【0012】
さらに、照明装置を昇降装置に支持させ、昇降装置を台車に搭載させ、台車の上面に蓄電手段と放電手段と昇圧手段と電気抵抗器を収容する収容部材を配設することで、投光機を容易に移動させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。本発明に係る投光機1を図1に示している。この投光機1は、移動自在の台車2と、台車2上に搭載され台車2に対して上方に伸縮可能な昇降装置3と、同じく台車上に搭載され昇降装置3に支持された照明装置4と、収容部材5と、スイッチボックス6等で構成されている。
【0014】
台車2は、左右一対の前輪21および後輪22、また、前後輪21,22の方向変換用の操向ハンドル23、後輪22を制動するブレーキ装置(図示せず)等が設けられている。そして、台車2上に、後に詳述する昇降装置3、収容部材5が搭載されている。また、後輪22の左右後部に伸縮自在なアウトリガ24が設けられており、作業を行うときには、図1に示すようにアウトリガ24を下方に張り出して台車2を支持できるようになっている。
【0015】
昇降装置3は、台車2上に立設固定された第1マスト31と、第1マスト31内に出入り自在に押嵌された第2マスト32と、第2マスト32内に出入り自在に押嵌された第3マスト33、投光機1をクレーン等で吊り上げるためのハンガー34等で構成され、この第3マスト33の上端部に設けられた取り付け棒(図示せず)の上部に照明装置4が取り付けられている。そして、第2マスト32および第3マスト33は、第1マスト31に配設されたウインチ35のハンドル36を回して図示しないワイヤーロープを巻き取ることにより、第3マスト33、第2マスト32の順に段階的に上昇し、ウインチ35のハンドル36を逆回転してワイヤーロープを繰り出すことにより、第2マスト32、第3マスト33の順に段階的に下降するようになっている。なお、ハンガー34は、収容部材5の上部に一端が固定された2本のチェーン37により支持されているため、ハンガー34のみが上方に揺動しないようになっている。これにより、ハンガー34に図示しないクレーンのフック等を引っ掛けることで、クレーン等による投光機1の吊り上げ、移送が可能になる。
【0016】
照明装置4は、第1および第2ランプ41,42と、第1および第2ランプ41,42を支持する第1および第2ステー43,44と、第1および第2ランプ41,42の内部後方から第1および第2送風ホース46,47を介して冷却空気を送風するファンボックス45、第1および第2ランプから外部に空気を排気する第1および第2フィルター48,49等から構成され、第1および第2ランプ41,42は、第3マスト33の取り付け棒(図示せず)の左右にそれぞれ水平に並んで取り付けられる。また、後述するスイッチボックス6の操作パネル60にある第1および第2ランプスイッチ61,62(図2参照)を操作することにより、点灯または消灯が可能となっている。
【0017】
また、第1および第2ランプ41,42に取り付けられる電球として、図示省略するが水銀とハロゲン化金属(メタルハライド)の混合蒸気中のアーク放電による発光を利用した高輝度、省電力、長寿命の1kWクラスのメタルハライドランプを使用している。
【0018】
そして、図3に示すように、第1ランプ41と第2ランプ42には、互いに独立して電力が供給されており、ランプそのもの、または後に詳述する安定器51,52、再点灯ユニット54,55の故障等により、第1ランプ41,42が同時に消灯してしまうことを防止している。これにより、一方の系(ランプそのもの、安定器、再点灯ユニット)が故障したとしても、他方の系にその故障の影響が及ばないため、照明装置4が完全に消灯してしまうことを防止することができる。
【0019】
また、ファンボックス45は、冷却ファン40を内蔵しており、図2および図3に示すように、第1または第2ランプスイッチ61,62のレバーを上方に押し上げオン操作したときに、冷却空気を第1および第2送風ホース46,47を介して第1および第2ランプの内部後方から送風し、送風された冷却空気によりランプが冷却されるとともに、空気がフィルター48,49から排気されるようになっている。このように、第1または第2ランプ41,42のいずれかを点灯させた直後から冷却空気を供給することで、点灯し続けて内部が高温になったランプを冷却できるようになっている。また、冷却ファン40は、第1および第2ランプ41,42両方を消灯してからも稼働し続け、消灯直後のランプを冷却できるようになっている。なお、消灯直後に図示しないタイマーが時間の計測を開始し、消灯時から10分後に冷却ファン40の稼働が停止するようになっている。
【0020】
スイッチボックス6は、昇降装置3にネジ等の固定手段により取り付けられており、昇降装置3に対して反対側の面に、操作パネル60が配設されている。図2に示すように、操作パネル60には、第1ランプ41および第2ランプ42を点灯または消灯させるための第1および第2ランプスイッチ61,62が設けられており、第1および第2ランプスイッチ61,62のレバーを上方に押し上げオン操作するとランプに外部電力が供給され点灯し、レバーを下げオフ操作するとランプに供給されなくなりランプが消灯する。
【0021】
収容部材5は、図4に示すように、板状のプレート部材50と、プレート部材50の上方を覆うカバー部材51で構成される。プレート部材50はネジ等の固定手段により台車2の上面に取り付けられ、カバー部材51はプレート部材50に対してプレート部材50の上方を覆うように取り付けられる。これにより、プレート部材50に配設された第1および第2安定器52,53と、第1および第2再点灯ユニット54,55とが収容部材5の内部に収容される。また、カバー部材51は、プレート部材50から容易に取り外すことが可能になっているため、第1および第2安定器52,53、または第1および第2再点灯ユニット54,55に容易にアクセスすることが可能になり、投光機1のメンテナンス性が向上する。
【0022】
また、図5に示すように、電源は電源プラグ56を通じて外部から供給され、前述した第1および第2安定器52,53、第1および第2再点灯ユニット54,55、ケーブル57を通じて第1および第2ランプ41,42、またファンボックス45に供給されるようになっている(詳細は後述する)。
【0023】
上述した第1安定器52は、いわゆるインバータ式安定器(電子安定器とも称される)であり、発光効率がよいインバータ式安定器を用いることで第1ランプ41の消費電力を低減させることが可能となっている。または、銅鉄式安定器を使用してもよい。そして、図3に示すように、第1ランプスイッチ61のレバーを上方に押し上げることで外部電源が供給されるようになっており、また、第1再点灯ユニット54と電気的に接続されているため、第1ランプスイッチ61のレバーを上方に押し上げオン操作を実行すると、第1安定器52は、外部から供給された電流を安定した電流値に変換した後に第1再点灯ユニット54に送るようになっている。なお、第2安定器53は、図3に示すように、第1安定器52とほぼ同様の構成となっている。
【0024】
また、第1再点灯ユニット54(第2再点灯ユニット55)は、図6に示すように、トランス71、放電を発生させるための空隙となっている放電ギャップ72、抵抗器73、放電ギャップ72と直列に接続されたコンデンサ76等で構成されており、トランス71は、鉄芯に導線を円筒状にN回巻き付けた1次側コイル74とN回巻き付けた2次側コイル75で構成されている。放電ギャップ72は、空隙の長さを調整することによって、放電電圧(GAP電圧)を調整することが可能になっている。
【0025】
また、第1再点灯ユニット54(第2再点灯ユニット55)に内蔵されている抵抗器73は、第1および第2ランプ41,42の温度が常温に近いときに、第1および第2ランプ41,42の抵抗値より十分大きい電気抵抗値を得る目的で使用される受動素子であり、第1および第2ランプ41,42の温度が常温に近いときは、1次側コイル74、放電ギャップ72、コンデンサ76には電流が流れず、第1および第2ランプ41,42にのみ電流が流れるようになっている。
【0026】
以上のように構成される投光機1において照明を行うには、まず、収容部材5のカバー部材51を閉じた状態にし、また、前輪21、後輪22、操作ハンドル23により、投光機1を所望の場所に移動させ、図1に示すように、昇降装置3のウインチ35のハンドル36を回して照明装置4を所望の高さまで上昇させる。その後、スイッチボックス6の操作パネル60にある第1ランプスイッチ61または第2ランプスイッチ62のレバーを上方に押し上げオン操作を実行すると、第1ランプ41または第2ランプ42を点灯させることができる。また、第1ランプスイッチ61または第2ランプスイッチ62のレバーを下げオフ操作を実行すると、第1ランプ41または第2ランプ42を消灯させることができる。
【0027】
以下で、上記のように第1ランプスイッチ61または第2ランプスイッチ62のレバーを上方に押し上げオン操作を実行し第1ランプ41または第2ランプ42を点灯させ、また第1ランプスイッチ61または第2ランプスイッチ62のレバーを下げオフ操作を実行し第1ランプ41または第2ランプ42を消灯させる操作を行ったときの電気の流れについて説明する。なお、図3に示すように、外部電源から第1ランプ41と、外部電源から第2ランプ42までの構成は同じであるため、以下では第1ランプ41を点灯または消灯するときについてのみ説明する。
【0028】
まず、長時間消灯され第1ランプ41の内部が常温に近くなっている状態から、第1ランプ41を点灯するときには、第1ランプスイッチ61のレバーを上方に押し上げオン操作を実行すると、図3に示すように、第1安定器52に電流が流れ、第1安定器52は、この電流を安定した電流値に変換した後に第1再点灯ユニット54に送る。そして第1再点灯ユニット54は、図6に示すように、そのまま2次側コイル75を介してその電流を第1ランプ41に送り、第1ランプ41が点灯する。なお、このときは上述したように、第1ランプ41の電気抵抗値より、抵抗器73の電気抵抗値の方が大きいため、1次側コイル74、放電ギャップ72、コンデンサ76には電気は流れない。また、第1ランプスイッチ61のレバーを下げオフ操作を実行すると、図6に示す経路で第1ランプ41に供給されていた電気が供給されなくなり、第1ランプ41は消灯する。
【0029】
このように、長時間消灯されランプ内部が常温に近い状態から第1ランプ41を点灯するときには、第1ランプ41の電気抵抗値が抵抗器73の電気抵抗値より低い状態になっているため、第1再点灯ユニット54の内部(1次側コイル74、放電ギャップ72、コンデンサ76)に電気が流れることはない。
【0030】
これに対して、長時間点灯させた後消灯しその直後に再点灯するときには、第1ランプスイッチ61のレバーを上方に押し上げオン操作を実行しても、第1ランプ41の内部の温度が非常に高い状態(320〜330℃程度)になっており第1ランプ41の電気抵抗値が非常に大きな値となっているため、第1安定器51からの交流電流は第1ランプ41に流すことはできない。しかし、このときは第1ランプ41の電気抵抗値より第1再点灯ユニット54の内部の抵抗器73の抵抗値の方が小さい値になっているため、第1安定器51からの交流電流は、第1再点灯ユニット54の内部の1次側コイル74、放電ギャップ72、コンデンサ76に流れ始める。よって、1次側コイル74に電圧が生じ、コンデンサ76にこの電圧が印加され始める。そして、コンデンサ76の端子電圧が上昇し、端子電圧が放電電圧(GAP電圧)を超過した時点で放電が生じ、電磁誘導により2次側コイル75に、巻き数に比例した二次電圧(放電電圧のN/N倍の電圧)が発生する。
【0031】
その後、図7に示すように、2次側コイル75から第1ランプ41に上記電圧が印加され、第1ランプ41が点灯する。また、図8に示すように、放電ギャップ72により放電が行われ、第1ランプ41が点灯した後は、コンデンサ76に蓄えられていた電圧が急激に減衰するとともに、通電により第1ランプ41の抵抗値が下がり、最終的には再点灯ユニットの内部の抵抗器73の抵抗値の方が大きくなるため、1次側コイル74、放電ギャップ72、コンデンサ76に電流が流れなくなる。
【0032】
なお、上述したトランス71の昇圧により2次側コイル75に発生させる二次電圧は、放電ギャップ72の空隙間距離、または、1次側コイル74もしくは2次側コイル75の巻き数を変えることで変更することが可能になっている。よって、理論的にはランプ消灯直後に点灯させるための非常に高い二次電圧を発生させることも可能であるが、あまりにも高い二次電圧を発生させると、ランプの損傷等の問題を引き起こす虞がある。このため、設定する二次電圧には上限を設ける必要があり、ランプの損傷等の問題が発生しない程度に高い値で二次電圧を設定すれば、消灯直後には再点灯できないものの、従来のようにランプが完全に冷えるのを待つことなく、短時間で再点灯させることができる。
【0033】
そして、冷却ファン40が、ランプ41,42両方を消灯してからも稼働し続け、消灯直後のランプを冷却できるようになっており、また、消灯直後にタイマーが時間の計測を開始し、消灯時から10分後に冷却ファン40の稼働が停止するようになっているため、
ランプ41,42の温度および電気抵抗値を低下させることができ、より効果的に再点灯させることができる。
【0034】
上記、再点灯ユニット54によるランプ41,42への二次電圧の印加と、ファンボックス45による冷却空気の送風により、従来の投光機の再点灯においては、15〜30分程度の時間がかかっていたところ、本発明に係る投光機においては、4〜8分程度で再点灯することが可能となっている。
【0035】
なお、上述の実施形態においては、全てのランプを消灯した後に冷却ファンが稼働し続ける時間を10分に設定した例について説明したが、10分に限られることなく、ランプ消灯後ファンが稼働し続ける時間を変更することが可能になっている。
【0036】
以上、本実施形態では、電源として電気プラグ56を用いて外部電源を取り入れる例について示したが、これに限られることなく、バッテリー等の蓄電機器を用いた構成であってもよい。
【0037】
さらに、上述の実施形態において、投光機1に構成される高輝度点灯ランプとしてメタルハライドランプを用いたが、これに限られるものではなく、高圧ナトリウムランプや水銀ランプ等の別の種類のHIDランプ(High Intensity Discharge Lamps)を用いた場合にも、本発明を適用することができる。さらに、HIDランプに限らず、再点灯に時間を要するランプを用いた場合に、本発明を適用することができる。
【0038】
また、本発明を適用する投光機として、上述の実施形態では従来型の投光機に適用した例について説明したが、これに限られることなく、空気の給排、または折り畳み機構等により膨張収縮可能なバルーン照明機等にも本発明を適用することができる。
【0039】
さらに、本発明を適用する投光機として、上述した実施形態では、台車の上に再点灯ユニットを載置し、また昇降装置の上端にランプを有する照明装置を備えた投光機について説明したが、これに限られることなく、例えば、図9に示すように、電信柱等、地面に埋められて固定されている柱状の構造物200に照明装置4を取り付け、安定器52,53および再点灯ユニット54,55を収容している収容部材5を地面に載置するような投光機にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る投光機の三面図である。
【図2】スイッチボックスの操作パネルを示す斜視図である。
【図3】上記投光機に構成される電気部品の回路ブロック図である。
【図4】収容部材の分解斜視図である。
【図5】照明装置の正面図と側面図である。
【図6】ランプを消灯してから長時間経過し常温に近い状態からランプを点灯させた際の、電流の流れを表す概略回路図である。
【図7】ランプを消灯した直後で非常に高温になっている状態からランプを点灯させた際の、再点灯ユニットにより変圧された電流の流れを表す概略回路図である。
【図8】ランプを消灯した直後非常に高温になっている状態からランプを点灯させた後、再点灯ユニットの内部に電流が流れなくなった状態を表す概略回路図である。
【図9】照明装置を地面に立設されているポールに取り付け、再点灯ユニットを地面に載置した投光機の三面図である。
【図10】従来の投光機の三面図である。
【図11】従来の投光機に構成される電気部品の回路ブロック図である。
【符号の説明】
【0041】
1 投光機
2 台車
3 昇降装置
4 照明装置
5 収容部材
6 スイッチボックス
41 第1ランプ
42 第2ランプ
45 ファンボックス
52 第1安定器
53 第2安定器
54 第1再点灯ユニット
55 第2再点灯ユニット
61 第1ランプスイッチ
62 第2ランプスイッチ
71 トランス
72 放電ギャップ
74 二次側コイル
75 一次側コイル
76 コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源からの電力供給を受けて点灯する高輝度点灯ランプを有する照明装置と、
外部電源から前記高輝度点灯ランプへの通電をオン/オフするスイッチとを備えた投光機において、
電力を蓄電する蓄電手段と、
前記蓄電手段の端子間電圧が所定電圧に到達したときに放電を発生させる放電手段と、
一次側巻線と二次側巻線を有し、前記放電の結果得られる放電電圧が前記一次側巻線に印加されたとき、前記二次側巻線に前記放電電圧より高い二次電圧を発生させ、前記二次電圧を前記高輝度点灯ランプに印加する昇圧手段と、
前記蓄電手段、前記放電手段および前記一次側巻線と直列に接続される電気抵抗器とを備え、
前記スイッチがオンされ外部電源から前記高輝度点灯ランプへの通電が開始されたときに前記高輝度点灯ランプの電気抵抗値が前記電気抵抗器の抵抗値より小さい場合には、前記外部電源から供給される電力が前記二次側巻線を介して前記高輝度ランプに供給され、
前記スイッチがオンされ外部電源から前記高輝度点灯ランプへの通電が開始されたときに前記高輝度点灯ランプの電気抵抗値が前記電気抵抗器の抵抗値より大きい場合には、前記外部電源から供給される電力が前記蓄電手段に蓄電され、前記蓄電手段の端子間電圧が所定電圧に到達したときに前記放電手段により放電が発生し、前記放電により得られる放電電圧が前記一次側巻線に印加された結果、前記昇圧手段により前記二次電圧が発生し前記二次電圧が前記高輝度点灯ランプに印加された後、前記高輝度点灯ランプに電力が供給されるように構成されたことを特徴とする投光機。
【請求項2】
前記高輝度点灯ランプに冷却空気を吹き付ける冷却手段が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の投光機。
【請求項3】
前記照明装置を昇降自在に支持する昇降装置と、
前記昇降装置が搭載されて移動可能な台車と、
前記台車の上面に配設されて前記蓄電手段と前記放電手段と前記昇圧手段と前記電気抵抗器が収容される収容部材とを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の投光機。
【請求項4】
前記照明装置が、地面に固定された柱状物に着脱自在に支持され、
前記蓄電手段と前記放電手段と前記昇圧手段と前記電気抵抗器が収容される収容部材が地面の前記柱状物に近接した位置に載置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の投光機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−49997(P2010−49997A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214512(P2008−214512)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(592219536)和光機械工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】