投写用ズームレンズおよび投写型表示装置
【課題】コンパクトな2群5枚構成タイプの投写用ズームレンズにおいて、特に球面収差を、より良好に補正する。
【解決手段】拡大側より順に、負の屈折力を有する第1群G1、正の屈折力を有する第2群G2、カバーガラス2およびDMD1を配設してなる。第1群G1は、拡大側に凸面を向けた負メニスカスの第1レンズL1のみからなり、第2群G2は、拡大側から順に、正の第2レンズL2、拡大側に凸面を向けた正メニスカスの第3レンズL3、負の第4レンズL4、および正の第5レンズL5を配列してなる。広角端から望遠端への変倍に際し、第1群G1は、拡大側から縮小側に向かって移動し、第2群G2は、縮小側から拡大側に向かって移動する。また、条件式(1)を満足する。−0.25<R3r/f45(1)、ここで、R3r:第3レンズL3の縮小側の面の曲率半径、f45:第4レンズL4と第5レンズL5の合成焦点距離
【解決手段】拡大側より順に、負の屈折力を有する第1群G1、正の屈折力を有する第2群G2、カバーガラス2およびDMD1を配設してなる。第1群G1は、拡大側に凸面を向けた負メニスカスの第1レンズL1のみからなり、第2群G2は、拡大側から順に、正の第2レンズL2、拡大側に凸面を向けた正メニスカスの第3レンズL3、負の第4レンズL4、および正の第5レンズL5を配列してなる。広角端から望遠端への変倍に際し、第1群G1は、拡大側から縮小側に向かって移動し、第2群G2は、縮小側から拡大側に向かって移動する。また、条件式(1)を満足する。−0.25<R3r/f45(1)、ここで、R3r:第3レンズL3の縮小側の面の曲率半径、f45:第4レンズL4と第5レンズL5の合成焦点距離
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投写型表示装置に搭載される投写用ズームレンズおよびその投写型表示装置に関し、特にライトバルブにDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を採用した投写型表示装置に好適に用いられるコンパクトな投写用ズームレンズおよびその投写型表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置に加え、DMD表示装置を用いた投影プロジェクタ装置(投写型表示装置)が利用されるようになってきている。DMDは、入力されたビデオ信号に応じ、10度以上程度の範囲で傾きを変えることができる高反射率の矩形状の微小な鏡を用いて、光源からの光の反射方向を制御し、所望の反射光のみをスクリーン上に集束させてその映像の投影を可能としている。これは、例えば基板上に数百万個以上の鏡を縦横に配列し、全て独立してデジタル制御することによりなされるもので、各鏡が各々映像中の1画素に対応することとなる。
【0003】
また、DMDは液晶表示装置と異なり、照射光を偏光する必要がないので光量の損失が少なく、階調表現の正確性という点でも優れている。それ故、このような利点を有するDMDを用いた投影プロジェクタ装置においては、DMDに応じて鮮明かつ高精度な画像を得ることができるように良好なレンズ特性を有する投写用ズームレンズが要求される。
【0004】
また、投影プロジェクタ装置においては、近年、特にコンパクト化が求められており、それに応じて投写用ズームレンズとしても、より簡易かつコンパクトな構成のものが求められている。
【0005】
簡易かつコンパクトで諸収差の補正を良好に行い得る2群5枚構成の投写用ズームレンズとしては、下記特許文献1記載のものが知られている。
【0006】
【特許文献1】特開2008−107798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1記載のものは、2群5枚と簡易かつコンパクトな構成とはされているものの、DMDを用いた投影プロジェクタ装置用の投写用ズームレンズとしては、球面収差を始めとする諸収差の補正の点で改善の余地があった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、簡易かつコンパクトな2群5枚構成タイプのものにおいて、特に球面収差を始めとする諸収差を、より良好に補正し得る投写用ズームレンズおよび投写型表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の投写用ズームレンズは、
拡大側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群とが配列されてなる投写用ズームレンズであって、
前記第1レンズ群は、1枚の、拡大側に凸面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第1レンズからなり、
前記第2レンズ群は、拡大側から順に、正レンズよりなる第2レンズ、拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第3レンズ、負レンズよりなる第4レンズ、および正レンズよりなる第5レンズの4枚から構成されてなり、
変倍に際し、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群が共に光軸方向に移動するように構成されてなり、
以下の条件式(1)を満足することを特徴とするものである。
―0.25< R3r/f45 (1)
ここで、
R3r:前記第3レンズの縮小側の面の曲率半径
f45:前記第4レンズと前記第5レンズの合成焦点距離
また、下記条件式(2)を満足することが好ましい。
0.75< R3f/D35 <1.00 (2)
ここで、
R3f:前記第3レンズの拡大側の面の曲率半径
D35:前記第3レンズの拡大側の面頂点から前記第5レンズの縮小側の面頂点までの距離
【0010】
また、下記条件式(3)を満足することが好ましい。
N5 >1.77 (3)
ここで、
N5:前記第5レンズのd線に対する屈折率
【0011】
また、前記第2レンズ群中において、前記第5レンズの屈折率が最も大きくなるように構成することが好ましい。
【0012】
また、下記条件式(4)を満足することが好ましい。
ν1 <50.0 (4)
ここで、
ν1:前記第1レンズのd線に対するアッベ数
【0013】
さらに、本発明に係る投写型表示装置は、光源と、ライトバルブと、該光源からの光束を該ライトバルブへ導く照明光学部と、本発明に係る投写用ズームレンズとを備え、前記光源からの光束を前記ライトバルブで光変調し、前記投写用ズームレンズによりスクリーンに投影することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の投写用ズームレンズによれば、拡大側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群を1枚のレンズにより構成するとともに、正の屈折力を有する第2レンズ群を4枚のレンズで構成し、変倍時には第1レンズ群と第2レンズ群が共に光軸方向に移動するように構成しており、簡易かつコンパクトな2群5枚構成のズームレンズとすることができる。
【0015】
また、負の屈折力を有する第1レンズ群をスクリーン側に配置することによりレトロフォーカスタイプとし、広角化を達成することができる。
【0016】
また、上記第2レンズ群を、拡大側から順に、正レンズよりなる第2レンズ、拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第3レンズ、負レンズよりなる第4レンズ、および正レンズよりなる第5レンズというように配設した上で、上記条件式(1)を満足することにより、上記拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズの縮小側の面に、軸上光束を垂直に近い角度で入射させることが可能となるようにしており、これにより球面収差の発生を大幅に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の具体的な実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示す実施形態(実施例1のものを代表させて示している)の投写用ズームレンズは、拡大側より順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1、正の屈折力を有する第2レンズ群G2、カバーガラス(フィルタ部)2およびDMD1を配設してなる。なお、図中Xは光軸を表している。
【0018】
ここで第1レンズ群G1は、拡大側に凸面を向けた1枚の負のメニスカスレンズからなる第1レンズL1のみからなり、第2レンズ群G2は、拡大側から順に、正レンズである第2レンズL2、拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第3レンズL3、負レンズである第4レンズL4、および正レンズである第5レンズL5の4枚を配列して構成されてなる。
【0019】
また、本実施形態の投写用ズームレンズは、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2を移動させることにより、ズーム機能を有する構成とされている。ここで、広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群G1は、拡大側から縮小側に向かって連続的に移動するように構成され、第2レンズ群G2は、縮小側から拡大側に向かって連続的に移動するように構成されている。
【0020】
ここで、上記第2レンズ群G2を構成する第2レンズL2は、多くの実施例において両凸レンズとされているが、それ以外の形状をなす正レンズとすることも可能である(実施例4のものは縮小側に凸面を向けた正のメニスカスレンズである)。
【0021】
また、上記第2レンズ群G2を構成する第4レンズL4は、各実施例において、両凹レンズとされているが、それ以外の形状をなす負レンズとすることも可能であり、さらに第5レンズL5は、各実施例において、両凸レンズとされているが、それ以外の形状をなす正レンズとすることも可能である。
【0022】
また、第2レンズ群G2中において、4つのレンズのうち第5レンズL5に、屈折率の最も大きい材料を使用することが、球面収差の抑制という点から好ましい。
【0023】
また、本実施形態の投写用ズームレンズは下記条件式(1)を満足しており、さらに好ましい態様においては、下記条件式(2)、(3)、(4)を満足している。
―0.25< R3r/f45 (1)
0.75< R3f/D35 <1.00 (2)
N5 >1.77 (3)
ν1 <50.0 (4)
ここで、
R3r:第3レンズL3の縮小側の面の曲率半径
f45:第4レンズL4と第5レンズL5の合成焦点距離
R3f:第3レンズL3の拡大側の面の曲率半径
D35:第3レンズL3の拡大側面頂点から第5レンズL5の縮小側面頂点までの距離
N5:第5レンズL5のd線に対する屈折率
ν1:第1レンズL1のd線に対するアッベ数
【0024】
次に、上述した条件式(1)〜(4)の技術的意義について説明する。
上記条件式(1)は、第4レンズL4と第5レンズL5の合成焦点距離f45に対する、第3レンズL3の縮小側の面の曲率半径R3rの比の値を規定するもので、この条件式(1)を満足することにより、第3レンズL3の縮小側の面に、軸上光束を垂直に近い角度で入射させることが可能となり、これにより球面収差の発生を大幅に抑制することができる。
【0025】
なお、このような作用効果は、上記条件式(1)に替えて下記条件式(1´)を満足することにより、より良好なものとすることができる。
−0.25<R3r/f45<0.25 (1´)
【0026】
また、このような作用効果は、上記条件式(1´)に替えて下記条件式(1´´)を満足することにより、さらに良好なものとすることができる。
−0.20<R3r/f45<0.20 (1´´)
【0027】
また、上記条件式(2)は、第3レンズL3の拡大側面頂点から第5レンズL5の縮小側面頂点までの距離D35に対する、第3レンズL3の拡大側の面の曲率半径R3fの比の値を規定するもので、この条件式(2)を満足することにより、第3レンズL3の拡大側の面から、軸外主光線を垂直に近い角度で出射させることが可能となり、これによりコマ収差と非点収差の発生を大幅に抑制することができる。
【0028】
なお、このような作用効果は、上記条件式(2)に替えて下記条件式(2´)を満足することにより、より良好なものとすることができる。
0.75<R3f/D35<0.95 (2´)
【0029】
なお、図13は、本実施形態の投写用ズームレンズにおいて、条件式(1)を満足することによる上記作用、および条件式(2)を満足することによる上記作用、をそれぞれ示すものである。すなわち、条件式(1)を満足することにより、軸上光束(実線により示される)が、第3レンズL3の縮小側の面L3Rに、垂直に近い角度で入射する様子が示されており、また、条件式(2)を満足することにより、軸外主光線(破線により示される)が、第3レンズL3の拡大側の面L3Fから、垂直に近い角度で出射する様子が示されている。
【0030】
また、上記条件式(3)は、第5レンズL5を構成する材料のd線に対する屈折率を規定するものであり、この条件式(3)を満足することにより、第5レンズL5のレンズ面の曲率を緩和することができ、球面収差の発生を抑制することができる。
【0031】
なお、このような作用効果は、上記条件式(3)に替えて下記条件式(3´)を満足することにより、より良好なものとすることができる。
N5 >1.80 (3´)
【0032】
また、上記条件式(4)は、第1レンズL1の材料のd線に対するアッベ数を規定するものであり、この条件式(4)を満足することにより、イメージサークル周辺部での、緑色光Gに対する青色光Bの倍率色収差が+側に出る傾向を抑えることができる。
【0033】
次に、本発明に係る投写型表示装置の実施形態について簡単に説明しておく。図14は本実施形態に係る投写型表示装置の概略構成図である。
【0034】
図14に示すように、光源101より出射された光束は、不図示のカラーホイールによって、3原色光(R、G、B)の各光に時系列的に選択変換され、照明光学系102によって光束の光軸と垂直な断面における光量分布の均一化を図られてDMD103に照射される。このDMD103においては、入射光の色の切り替わりに応じて、その色光用への変調切替が行われ、DMD103により適宜変調された投影光は、投写用ズームレンズ104に入射し、最終的にはスクリーン105に到達する。
【0035】
なお、図14に示す投写型表示装置は、本発明の1実施形態を示すものであって、種々の態様の変更が可能である。例えば、単板のDMDを設ける替わりに、各色光に応じた3枚のDMDによりRGB各色の変調を同時に行うようにしても良い。この場合投写用ズームレンズ104とDMD103との間に図示しない色分離/合成プリズムが配置される。
【0036】
なお、DMDに替えて他のライトバルブ(例えば、透過型液晶表示素子または反射型液晶表示素子)とすることも可能である。
【実施例】
【0037】
以下、具体的な実施例を用いて、本発明の投写用ズームレンズをさらに説明する。
【0038】
<実施例1>
実施例1に係る投写用ズームレンズの概略構成を図1に示す。この投写用ズームレンズは、拡大側より順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とを配設してなる。
【0039】
ここで、第1レンズ群G1は、拡大側に凸面を向けた1枚の負のメニスカスレンズからなる第1レンズL1のみからなり、第2レンズ群G2は、拡大側から順に、両凸レンズである第2レンズL2、拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第3レンズL3、両凹レンズからなる第4レンズL4、および両凸レンズからなる第5レンズL5を配列してなる。なお、第4レンズL4と第5レンズL5は、極めて近接して配設されてなる。
【0040】
また、広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群G1は、拡大側から縮小側に向かって連続的に移動するように構成され、第2レンズ群G2は、縮小側から拡大側に向かって連続的に移動するように構成されている。
【0041】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔(以下、これらを総称して軸上面間隔という)D(mm)、各レンズのd線における、屈折率Ndおよびアッベ数νdの値を表1に示す。なお、表中の数字は、拡大側からの順番を表すものである(以下の実施例ついても同じ)。また、表1の上段には、焦点距離f、バックフォーカスの距離Bf、FNo.、画角2ωの値が示されている。
【0042】
【表1】
【0043】
また、実施例1の投写用ズームレンズによれば、表7に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)、(3´)は満足されている。
【0044】
図7は実施例1の投写用ズームレンズの球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。なお、球面収差図には、460nm、550nm、620nmの各波長に対する収差が示されており、非点収差図には、サジタル像面およびタンジェンシャル像面に対する収差が示されている(図8〜12において同じ)。
【0045】
これらの収差図から明らかなように、実施例1の投写用ズームレンズによれば、各収差を極めて良好に補正することができる。
【0046】
<実施例2>
実施例2に係る投写用ズームレンズの概略構成を図2に示す。本実施例において、実施例1と重複する説明については省略する。
【0047】
実施例2に係る投写用ズームレンズのレンズ構成および作用効果は、実施例1のものと略同様である。
【0048】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの軸上面間隔D(mm)、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νの値を表2に示す。また、表2の上段には、焦点距離f、バックフォーカスの距離Bf、FNo.、画角2ωの値が示されている。
【0049】
【表2】
【0050】
また、実施例2の投写用ズームレンズによれば、表7に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)、(3´)は満足されている。
【0051】
図8は実施例2の投写用ズームレンズの球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。
【0052】
これらの収差図から明らかなように、実施例2の投写用ズームレンズによれば、各収差を極めて良好に補正することができる。
【0053】
<実施例3>
実施例3に係る投写用ズームレンズの概略構成を図3に示す。本実施例において、実施例1と重複する説明については省略する。
【0054】
実施例3に係る投写用ズームレンズのレンズ構成および作用効果は、実施例1のものと略同様である。
【0055】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの軸上面間隔D(mm)、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νの値を表3に示す。また、表3の上段には、焦点距離f、バックフォーカスの距離Bf、FNo.、画角2ωの値が示されている。
【0056】
【表3】
【0057】
また、実施例3の投写用ズームレンズによれば、表7に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)、(3´)は満足されている。
【0058】
図9は実施例3の投写用ズームレンズの球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。
【0059】
これらの収差図から明らかなように、実施例3の投写用ズームレンズによれば、各収差を極めて良好に補正することができる。
【0060】
<実施例4>
実施例4に係る投写用ズームレンズの概略構成を図4に示す。本実施例において、実施例1と重複する説明については省略する。
【0061】
実施例4に係る投写用ズームレンズのレンズ構成および作用効果は、実施例1のものと略同様であるが、第2レンズL2が、縮小側に凸面を向けた正のメニスカスレンズとされている点で上記実施例1のものと異なっている。
【0062】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの軸上面間隔D(mm)、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νの値を表4に示す。また、表4の上段には、焦点距離f、バックフォーカスの距離Bf、FNo.、画角2ωの値が示されている。
【0063】
【表4】
【0064】
また、実施例4の投写用ズームレンズによれば、表7に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)は満足されている。
【0065】
図10は実施例4の投写用ズームレンズの球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。
【0066】
これらの収差図から明らかなように、実施例4の投写用ズームレンズによれば、各収差を極めて良好に補正することができる。
【0067】
<実施例5>
実施例5に係る投写用ズームレンズの概略構成を図5に示す。本実施例において、実施例1と重複する説明については省略する。
【0068】
実施例5に係る投写用ズームレンズのレンズ構成および作用効果は、実施例1のものと略同様である。
【0069】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの軸上面間隔D(mm)、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νの値を表5に示す。また、表5の上段には、焦点距離f、バックフォーカスの距離Bf、FNo.、画角2ωの値が示されている。
【0070】
【表5】
【0071】
また、実施例5の投写用ズームレンズによれば、表7に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)、(3´)は満足されている。
【0072】
図11は実施例5の投写用ズームレンズの球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。
【0073】
これらの収差図から明らかなように、実施例5の投写用ズームレンズによれば、各収差を極めて良好に補正することができる。
【0074】
<実施例6>
実施例6に係る投写用ズームレンズの概略構成を図6に示す。本実施例において、実施例1と重複する説明については省略する。
【0075】
実施例6に係る投写用ズームレンズのレンズ構成および作用効果は、実施例1のものと略同様である。
【0076】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの軸上面間隔D(mm)、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νの値を表6に示す。また、表6の上段には、焦点距離f、バックフォーカスの距離Bf、FNo.、画角2ωの値が示されている。
【0077】
【表6】
【0078】
また、実施例6の投写用ズームレンズによれば、表7に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)、(3´)は満足されている。
【0079】
図12は実施例6の投写用ズームレンズの球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。
【0080】
これらの収差図から明らかなように、実施例6の投写用ズームレンズによれば、各収差を極めて良好に補正することができる。
【0081】
【表7】
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施例1に係る投写用ズームレンズの構成を示す概略図
【図2】本発明の実施例2に係る投写用ズームレンズの構成を示す概略図
【図3】本発明の実施例3に係る投写用ズームレンズの構成を示す概略図
【図4】本発明の実施例4に係る投写用ズームレンズの構成を示す概略図
【図5】本発明の実施例5に係る投写用ズームレンズの構成を示す概略図
【図6】本発明の実施例6に係る投写用ズームレンズの構成を示す概略図
【図7】実施例1の投写用ズームレンズの諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図
【図8】実施例2の投写用ズームレンズの諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図
【図9】実施例3の投写用ズームレンズの諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図
【図10】実施例4の投写用ズームレンズの諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図
【図11】実施例5の投写用ズームレンズの諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図
【図12】実施例6の投写用ズームレンズの諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図
【図13】本発明の実施形態に係る投写用ズームレンズにおいて、条件式(1)および条件式(2)を満足することによる作用を示す概念図
【図14】本発明の投写用ズームレンズを用いた投写型表示装置の概略構成図
【符号の説明】
【0083】
L1〜L5 レンズ
G1〜G2 レンズ群
X 光軸
1、103 DMD
2 カバーガラス(フィルタ部)
101 光源
102 照明光学系
104 投写用ズームレンズ
105 スクリーン
L3F 第3レンズL3の拡大側の面
L3R 第3レンズL3の縮小側の面
【技術分野】
【0001】
本発明は、投写型表示装置に搭載される投写用ズームレンズおよびその投写型表示装置に関し、特にライトバルブにDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を採用した投写型表示装置に好適に用いられるコンパクトな投写用ズームレンズおよびその投写型表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置に加え、DMD表示装置を用いた投影プロジェクタ装置(投写型表示装置)が利用されるようになってきている。DMDは、入力されたビデオ信号に応じ、10度以上程度の範囲で傾きを変えることができる高反射率の矩形状の微小な鏡を用いて、光源からの光の反射方向を制御し、所望の反射光のみをスクリーン上に集束させてその映像の投影を可能としている。これは、例えば基板上に数百万個以上の鏡を縦横に配列し、全て独立してデジタル制御することによりなされるもので、各鏡が各々映像中の1画素に対応することとなる。
【0003】
また、DMDは液晶表示装置と異なり、照射光を偏光する必要がないので光量の損失が少なく、階調表現の正確性という点でも優れている。それ故、このような利点を有するDMDを用いた投影プロジェクタ装置においては、DMDに応じて鮮明かつ高精度な画像を得ることができるように良好なレンズ特性を有する投写用ズームレンズが要求される。
【0004】
また、投影プロジェクタ装置においては、近年、特にコンパクト化が求められており、それに応じて投写用ズームレンズとしても、より簡易かつコンパクトな構成のものが求められている。
【0005】
簡易かつコンパクトで諸収差の補正を良好に行い得る2群5枚構成の投写用ズームレンズとしては、下記特許文献1記載のものが知られている。
【0006】
【特許文献1】特開2008−107798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1記載のものは、2群5枚と簡易かつコンパクトな構成とはされているものの、DMDを用いた投影プロジェクタ装置用の投写用ズームレンズとしては、球面収差を始めとする諸収差の補正の点で改善の余地があった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、簡易かつコンパクトな2群5枚構成タイプのものにおいて、特に球面収差を始めとする諸収差を、より良好に補正し得る投写用ズームレンズおよび投写型表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の投写用ズームレンズは、
拡大側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群とが配列されてなる投写用ズームレンズであって、
前記第1レンズ群は、1枚の、拡大側に凸面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第1レンズからなり、
前記第2レンズ群は、拡大側から順に、正レンズよりなる第2レンズ、拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第3レンズ、負レンズよりなる第4レンズ、および正レンズよりなる第5レンズの4枚から構成されてなり、
変倍に際し、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群が共に光軸方向に移動するように構成されてなり、
以下の条件式(1)を満足することを特徴とするものである。
―0.25< R3r/f45 (1)
ここで、
R3r:前記第3レンズの縮小側の面の曲率半径
f45:前記第4レンズと前記第5レンズの合成焦点距離
また、下記条件式(2)を満足することが好ましい。
0.75< R3f/D35 <1.00 (2)
ここで、
R3f:前記第3レンズの拡大側の面の曲率半径
D35:前記第3レンズの拡大側の面頂点から前記第5レンズの縮小側の面頂点までの距離
【0010】
また、下記条件式(3)を満足することが好ましい。
N5 >1.77 (3)
ここで、
N5:前記第5レンズのd線に対する屈折率
【0011】
また、前記第2レンズ群中において、前記第5レンズの屈折率が最も大きくなるように構成することが好ましい。
【0012】
また、下記条件式(4)を満足することが好ましい。
ν1 <50.0 (4)
ここで、
ν1:前記第1レンズのd線に対するアッベ数
【0013】
さらに、本発明に係る投写型表示装置は、光源と、ライトバルブと、該光源からの光束を該ライトバルブへ導く照明光学部と、本発明に係る投写用ズームレンズとを備え、前記光源からの光束を前記ライトバルブで光変調し、前記投写用ズームレンズによりスクリーンに投影することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の投写用ズームレンズによれば、拡大側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群を1枚のレンズにより構成するとともに、正の屈折力を有する第2レンズ群を4枚のレンズで構成し、変倍時には第1レンズ群と第2レンズ群が共に光軸方向に移動するように構成しており、簡易かつコンパクトな2群5枚構成のズームレンズとすることができる。
【0015】
また、負の屈折力を有する第1レンズ群をスクリーン側に配置することによりレトロフォーカスタイプとし、広角化を達成することができる。
【0016】
また、上記第2レンズ群を、拡大側から順に、正レンズよりなる第2レンズ、拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第3レンズ、負レンズよりなる第4レンズ、および正レンズよりなる第5レンズというように配設した上で、上記条件式(1)を満足することにより、上記拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズの縮小側の面に、軸上光束を垂直に近い角度で入射させることが可能となるようにしており、これにより球面収差の発生を大幅に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の具体的な実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示す実施形態(実施例1のものを代表させて示している)の投写用ズームレンズは、拡大側より順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1、正の屈折力を有する第2レンズ群G2、カバーガラス(フィルタ部)2およびDMD1を配設してなる。なお、図中Xは光軸を表している。
【0018】
ここで第1レンズ群G1は、拡大側に凸面を向けた1枚の負のメニスカスレンズからなる第1レンズL1のみからなり、第2レンズ群G2は、拡大側から順に、正レンズである第2レンズL2、拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第3レンズL3、負レンズである第4レンズL4、および正レンズである第5レンズL5の4枚を配列して構成されてなる。
【0019】
また、本実施形態の投写用ズームレンズは、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2を移動させることにより、ズーム機能を有する構成とされている。ここで、広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群G1は、拡大側から縮小側に向かって連続的に移動するように構成され、第2レンズ群G2は、縮小側から拡大側に向かって連続的に移動するように構成されている。
【0020】
ここで、上記第2レンズ群G2を構成する第2レンズL2は、多くの実施例において両凸レンズとされているが、それ以外の形状をなす正レンズとすることも可能である(実施例4のものは縮小側に凸面を向けた正のメニスカスレンズである)。
【0021】
また、上記第2レンズ群G2を構成する第4レンズL4は、各実施例において、両凹レンズとされているが、それ以外の形状をなす負レンズとすることも可能であり、さらに第5レンズL5は、各実施例において、両凸レンズとされているが、それ以外の形状をなす正レンズとすることも可能である。
【0022】
また、第2レンズ群G2中において、4つのレンズのうち第5レンズL5に、屈折率の最も大きい材料を使用することが、球面収差の抑制という点から好ましい。
【0023】
また、本実施形態の投写用ズームレンズは下記条件式(1)を満足しており、さらに好ましい態様においては、下記条件式(2)、(3)、(4)を満足している。
―0.25< R3r/f45 (1)
0.75< R3f/D35 <1.00 (2)
N5 >1.77 (3)
ν1 <50.0 (4)
ここで、
R3r:第3レンズL3の縮小側の面の曲率半径
f45:第4レンズL4と第5レンズL5の合成焦点距離
R3f:第3レンズL3の拡大側の面の曲率半径
D35:第3レンズL3の拡大側面頂点から第5レンズL5の縮小側面頂点までの距離
N5:第5レンズL5のd線に対する屈折率
ν1:第1レンズL1のd線に対するアッベ数
【0024】
次に、上述した条件式(1)〜(4)の技術的意義について説明する。
上記条件式(1)は、第4レンズL4と第5レンズL5の合成焦点距離f45に対する、第3レンズL3の縮小側の面の曲率半径R3rの比の値を規定するもので、この条件式(1)を満足することにより、第3レンズL3の縮小側の面に、軸上光束を垂直に近い角度で入射させることが可能となり、これにより球面収差の発生を大幅に抑制することができる。
【0025】
なお、このような作用効果は、上記条件式(1)に替えて下記条件式(1´)を満足することにより、より良好なものとすることができる。
−0.25<R3r/f45<0.25 (1´)
【0026】
また、このような作用効果は、上記条件式(1´)に替えて下記条件式(1´´)を満足することにより、さらに良好なものとすることができる。
−0.20<R3r/f45<0.20 (1´´)
【0027】
また、上記条件式(2)は、第3レンズL3の拡大側面頂点から第5レンズL5の縮小側面頂点までの距離D35に対する、第3レンズL3の拡大側の面の曲率半径R3fの比の値を規定するもので、この条件式(2)を満足することにより、第3レンズL3の拡大側の面から、軸外主光線を垂直に近い角度で出射させることが可能となり、これによりコマ収差と非点収差の発生を大幅に抑制することができる。
【0028】
なお、このような作用効果は、上記条件式(2)に替えて下記条件式(2´)を満足することにより、より良好なものとすることができる。
0.75<R3f/D35<0.95 (2´)
【0029】
なお、図13は、本実施形態の投写用ズームレンズにおいて、条件式(1)を満足することによる上記作用、および条件式(2)を満足することによる上記作用、をそれぞれ示すものである。すなわち、条件式(1)を満足することにより、軸上光束(実線により示される)が、第3レンズL3の縮小側の面L3Rに、垂直に近い角度で入射する様子が示されており、また、条件式(2)を満足することにより、軸外主光線(破線により示される)が、第3レンズL3の拡大側の面L3Fから、垂直に近い角度で出射する様子が示されている。
【0030】
また、上記条件式(3)は、第5レンズL5を構成する材料のd線に対する屈折率を規定するものであり、この条件式(3)を満足することにより、第5レンズL5のレンズ面の曲率を緩和することができ、球面収差の発生を抑制することができる。
【0031】
なお、このような作用効果は、上記条件式(3)に替えて下記条件式(3´)を満足することにより、より良好なものとすることができる。
N5 >1.80 (3´)
【0032】
また、上記条件式(4)は、第1レンズL1の材料のd線に対するアッベ数を規定するものであり、この条件式(4)を満足することにより、イメージサークル周辺部での、緑色光Gに対する青色光Bの倍率色収差が+側に出る傾向を抑えることができる。
【0033】
次に、本発明に係る投写型表示装置の実施形態について簡単に説明しておく。図14は本実施形態に係る投写型表示装置の概略構成図である。
【0034】
図14に示すように、光源101より出射された光束は、不図示のカラーホイールによって、3原色光(R、G、B)の各光に時系列的に選択変換され、照明光学系102によって光束の光軸と垂直な断面における光量分布の均一化を図られてDMD103に照射される。このDMD103においては、入射光の色の切り替わりに応じて、その色光用への変調切替が行われ、DMD103により適宜変調された投影光は、投写用ズームレンズ104に入射し、最終的にはスクリーン105に到達する。
【0035】
なお、図14に示す投写型表示装置は、本発明の1実施形態を示すものであって、種々の態様の変更が可能である。例えば、単板のDMDを設ける替わりに、各色光に応じた3枚のDMDによりRGB各色の変調を同時に行うようにしても良い。この場合投写用ズームレンズ104とDMD103との間に図示しない色分離/合成プリズムが配置される。
【0036】
なお、DMDに替えて他のライトバルブ(例えば、透過型液晶表示素子または反射型液晶表示素子)とすることも可能である。
【実施例】
【0037】
以下、具体的な実施例を用いて、本発明の投写用ズームレンズをさらに説明する。
【0038】
<実施例1>
実施例1に係る投写用ズームレンズの概略構成を図1に示す。この投写用ズームレンズは、拡大側より順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とを配設してなる。
【0039】
ここで、第1レンズ群G1は、拡大側に凸面を向けた1枚の負のメニスカスレンズからなる第1レンズL1のみからなり、第2レンズ群G2は、拡大側から順に、両凸レンズである第2レンズL2、拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第3レンズL3、両凹レンズからなる第4レンズL4、および両凸レンズからなる第5レンズL5を配列してなる。なお、第4レンズL4と第5レンズL5は、極めて近接して配設されてなる。
【0040】
また、広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群G1は、拡大側から縮小側に向かって連続的に移動するように構成され、第2レンズ群G2は、縮小側から拡大側に向かって連続的に移動するように構成されている。
【0041】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔(以下、これらを総称して軸上面間隔という)D(mm)、各レンズのd線における、屈折率Ndおよびアッベ数νdの値を表1に示す。なお、表中の数字は、拡大側からの順番を表すものである(以下の実施例ついても同じ)。また、表1の上段には、焦点距離f、バックフォーカスの距離Bf、FNo.、画角2ωの値が示されている。
【0042】
【表1】
【0043】
また、実施例1の投写用ズームレンズによれば、表7に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)、(3´)は満足されている。
【0044】
図7は実施例1の投写用ズームレンズの球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。なお、球面収差図には、460nm、550nm、620nmの各波長に対する収差が示されており、非点収差図には、サジタル像面およびタンジェンシャル像面に対する収差が示されている(図8〜12において同じ)。
【0045】
これらの収差図から明らかなように、実施例1の投写用ズームレンズによれば、各収差を極めて良好に補正することができる。
【0046】
<実施例2>
実施例2に係る投写用ズームレンズの概略構成を図2に示す。本実施例において、実施例1と重複する説明については省略する。
【0047】
実施例2に係る投写用ズームレンズのレンズ構成および作用効果は、実施例1のものと略同様である。
【0048】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの軸上面間隔D(mm)、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νの値を表2に示す。また、表2の上段には、焦点距離f、バックフォーカスの距離Bf、FNo.、画角2ωの値が示されている。
【0049】
【表2】
【0050】
また、実施例2の投写用ズームレンズによれば、表7に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)、(3´)は満足されている。
【0051】
図8は実施例2の投写用ズームレンズの球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。
【0052】
これらの収差図から明らかなように、実施例2の投写用ズームレンズによれば、各収差を極めて良好に補正することができる。
【0053】
<実施例3>
実施例3に係る投写用ズームレンズの概略構成を図3に示す。本実施例において、実施例1と重複する説明については省略する。
【0054】
実施例3に係る投写用ズームレンズのレンズ構成および作用効果は、実施例1のものと略同様である。
【0055】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの軸上面間隔D(mm)、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νの値を表3に示す。また、表3の上段には、焦点距離f、バックフォーカスの距離Bf、FNo.、画角2ωの値が示されている。
【0056】
【表3】
【0057】
また、実施例3の投写用ズームレンズによれば、表7に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)、(3´)は満足されている。
【0058】
図9は実施例3の投写用ズームレンズの球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。
【0059】
これらの収差図から明らかなように、実施例3の投写用ズームレンズによれば、各収差を極めて良好に補正することができる。
【0060】
<実施例4>
実施例4に係る投写用ズームレンズの概略構成を図4に示す。本実施例において、実施例1と重複する説明については省略する。
【0061】
実施例4に係る投写用ズームレンズのレンズ構成および作用効果は、実施例1のものと略同様であるが、第2レンズL2が、縮小側に凸面を向けた正のメニスカスレンズとされている点で上記実施例1のものと異なっている。
【0062】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの軸上面間隔D(mm)、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νの値を表4に示す。また、表4の上段には、焦点距離f、バックフォーカスの距離Bf、FNo.、画角2ωの値が示されている。
【0063】
【表4】
【0064】
また、実施例4の投写用ズームレンズによれば、表7に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)は満足されている。
【0065】
図10は実施例4の投写用ズームレンズの球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。
【0066】
これらの収差図から明らかなように、実施例4の投写用ズームレンズによれば、各収差を極めて良好に補正することができる。
【0067】
<実施例5>
実施例5に係る投写用ズームレンズの概略構成を図5に示す。本実施例において、実施例1と重複する説明については省略する。
【0068】
実施例5に係る投写用ズームレンズのレンズ構成および作用効果は、実施例1のものと略同様である。
【0069】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの軸上面間隔D(mm)、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νの値を表5に示す。また、表5の上段には、焦点距離f、バックフォーカスの距離Bf、FNo.、画角2ωの値が示されている。
【0070】
【表5】
【0071】
また、実施例5の投写用ズームレンズによれば、表7に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)、(3´)は満足されている。
【0072】
図11は実施例5の投写用ズームレンズの球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。
【0073】
これらの収差図から明らかなように、実施例5の投写用ズームレンズによれば、各収差を極めて良好に補正することができる。
【0074】
<実施例6>
実施例6に係る投写用ズームレンズの概略構成を図6に示す。本実施例において、実施例1と重複する説明については省略する。
【0075】
実施例6に係る投写用ズームレンズのレンズ構成および作用効果は、実施例1のものと略同様である。
【0076】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの軸上面間隔D(mm)、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νの値を表6に示す。また、表6の上段には、焦点距離f、バックフォーカスの距離Bf、FNo.、画角2ωの値が示されている。
【0077】
【表6】
【0078】
また、実施例6の投写用ズームレンズによれば、表7に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)、(3´)は満足されている。
【0079】
図12は実施例6の投写用ズームレンズの球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。
【0080】
これらの収差図から明らかなように、実施例6の投写用ズームレンズによれば、各収差を極めて良好に補正することができる。
【0081】
【表7】
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施例1に係る投写用ズームレンズの構成を示す概略図
【図2】本発明の実施例2に係る投写用ズームレンズの構成を示す概略図
【図3】本発明の実施例3に係る投写用ズームレンズの構成を示す概略図
【図4】本発明の実施例4に係る投写用ズームレンズの構成を示す概略図
【図5】本発明の実施例5に係る投写用ズームレンズの構成を示す概略図
【図6】本発明の実施例6に係る投写用ズームレンズの構成を示す概略図
【図7】実施例1の投写用ズームレンズの諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図
【図8】実施例2の投写用ズームレンズの諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図
【図9】実施例3の投写用ズームレンズの諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図
【図10】実施例4の投写用ズームレンズの諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図
【図11】実施例5の投写用ズームレンズの諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図
【図12】実施例6の投写用ズームレンズの諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図
【図13】本発明の実施形態に係る投写用ズームレンズにおいて、条件式(1)および条件式(2)を満足することによる作用を示す概念図
【図14】本発明の投写用ズームレンズを用いた投写型表示装置の概略構成図
【符号の説明】
【0083】
L1〜L5 レンズ
G1〜G2 レンズ群
X 光軸
1、103 DMD
2 カバーガラス(フィルタ部)
101 光源
102 照明光学系
104 投写用ズームレンズ
105 スクリーン
L3F 第3レンズL3の拡大側の面
L3R 第3レンズL3の縮小側の面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡大側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群とが配列されてなる投写用ズームレンズであって、
前記第1レンズ群は、1枚の、拡大側に凸面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第1レンズからなり、
前記第2レンズ群は、拡大側から順に、正レンズよりなる第2レンズ、拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第3レンズ、負レンズよりなる第4レンズ、および正レンズよりなる第5レンズの4枚から構成されてなり、
変倍に際し、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群が共に光軸方向に移動するように構成されてなり、
以下の条件式(1)を満足することを特徴とする投写用ズームレンズ。
―0.25< R3r/f45 (1)
ここで、
R3r:前記第3レンズの縮小側の面の曲率半径
f45:前記第4レンズと前記第5レンズの合成焦点距離
【請求項2】
下記条件式(2)を満足することを特徴とする請求項1記載の投写用ズームレンズ。
0.75< R3f/D35 <1.00 (2)
R3f:前記第3レンズの拡大側の面の曲率半径
D35:前記第3レンズの拡大側の面頂点から前記第5レンズの縮小側の面頂点までの距離
【請求項3】
下記条件式(3)を満足することを特徴とする請求項1または2記載の投写用ズームレンズ。
N5 >1.77 (3)
ここで、
N5:前記第5レンズのd線に対する屈折率
【請求項4】
前記第2レンズ群中において、前記第5レンズの屈折率が最も大きいことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の投写用ズームレンズ。
【請求項5】
下記条件式(4)を満足することを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項記載の投写用ズームレンズ。
ν1 <50.0 (4)
ここで、
ν1:前記第1レンズのd線に対するアッベ数
【請求項6】
光源と、ライトバルブと、該光源からの光束を該ライトバルブへ導く照明光学部と、請求項1〜5のうちいずれか1項記載の投写用ズームレンズとを備え、前記光源からの光束を前記ライトバルブで光変調し、前記投写用ズームレンズによりスクリーンに投写することを特徴とする投写型表示装置。
【請求項1】
拡大側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群とが配列されてなる投写用ズームレンズであって、
前記第1レンズ群は、1枚の、拡大側に凸面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第1レンズからなり、
前記第2レンズ群は、拡大側から順に、正レンズよりなる第2レンズ、拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第3レンズ、負レンズよりなる第4レンズ、および正レンズよりなる第5レンズの4枚から構成されてなり、
変倍に際し、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群が共に光軸方向に移動するように構成されてなり、
以下の条件式(1)を満足することを特徴とする投写用ズームレンズ。
―0.25< R3r/f45 (1)
ここで、
R3r:前記第3レンズの縮小側の面の曲率半径
f45:前記第4レンズと前記第5レンズの合成焦点距離
【請求項2】
下記条件式(2)を満足することを特徴とする請求項1記載の投写用ズームレンズ。
0.75< R3f/D35 <1.00 (2)
R3f:前記第3レンズの拡大側の面の曲率半径
D35:前記第3レンズの拡大側の面頂点から前記第5レンズの縮小側の面頂点までの距離
【請求項3】
下記条件式(3)を満足することを特徴とする請求項1または2記載の投写用ズームレンズ。
N5 >1.77 (3)
ここで、
N5:前記第5レンズのd線に対する屈折率
【請求項4】
前記第2レンズ群中において、前記第5レンズの屈折率が最も大きいことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の投写用ズームレンズ。
【請求項5】
下記条件式(4)を満足することを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項記載の投写用ズームレンズ。
ν1 <50.0 (4)
ここで、
ν1:前記第1レンズのd線に対するアッベ数
【請求項6】
光源と、ライトバルブと、該光源からの光束を該ライトバルブへ導く照明光学部と、請求項1〜5のうちいずれか1項記載の投写用ズームレンズとを備え、前記光源からの光束を前記ライトバルブで光変調し、前記投写用ズームレンズによりスクリーンに投写することを特徴とする投写型表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−113150(P2010−113150A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−285561(P2008−285561)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】
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