投射レンズおよびそれを備えた画像表示装置
【課題】投射レンズの高解像度化、高輝度化、長焦点距離化をより一層向上しかつ小型化を可能にする。
【解決手段】緑,赤,青の各色レーザ光を投射する光路上に設けられた投射レンズ28を、投射側から第1,第2,第3,第4レンズL1,L2,L3,L4の4枚のレンズで構成し、第1および第2レンズの間に絞りSTOを設け、第1および第4レンズをプラスチックレンズにより、第2および第3レンズをガラスレンズにより構成する。レーザ光源装置から出射される光のエネルギ密度が高い位置に配置されるレンズをガラスレンズにして、大きな耐光性(特に青色レーザ光の耐光性)を確保することができる。また、最外部のレンズを自由な形状が可能なプラスチックレンズとすることにより、高解像度化かつ高輝度化し、さらに長焦点距離化をコンパクトな投射レンズで実現し得る。
【解決手段】緑,赤,青の各色レーザ光を投射する光路上に設けられた投射レンズ28を、投射側から第1,第2,第3,第4レンズL1,L2,L3,L4の4枚のレンズで構成し、第1および第2レンズの間に絞りSTOを設け、第1および第4レンズをプラスチックレンズにより、第2および第3レンズをガラスレンズにより構成する。レーザ光源装置から出射される光のエネルギ密度が高い位置に配置されるレンズをガラスレンズにして、大きな耐光性(特に青色レーザ光の耐光性)を確保することができる。また、最外部のレンズを自由な形状が可能なプラスチックレンズとすることにより、高解像度化かつ高輝度化し、さらに長焦点距離化をコンパクトな投射レンズで実現し得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型プロジェクタに適用可能な投射レンズおよびそれを備えた画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示装置の光源に半導体レーザを用いる技術が注目されている。この半導体レーザは、従来から画像表示装置に多用されてきた水銀ランプに比較して、色再現性がよい点、瞬時点灯が可能である点、長寿命である点、高効率で消費電力を低減することができる点、ならびに小型化が容易である点など、種々の利点を有している。
【0003】
このような半導体レーザを用いた画像表示装置の利点は、携帯型の電子機器に内蔵する場合に都合が良く、例えば半導体レーザを用いた画像表示装置を携帯電話端末に内蔵する技術が知られている(特許文献1参照)。このように画像表示装置を携帯型の電子機器に内蔵すると、必要に応じて画面をスクリーンに拡大表示することができることから、利便性を高めることができる。また、上記画像表示装置を、携帯型情報処理装置(いわゆるノートパソコン)に内蔵する小型プロジェクタとして用いることにより、ノートパソコンの利便性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−316393号公報
【特許文献2】特開2010−91883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したような小型プロジェクタでは、近年、さらなる高解像度化、高輝度化、長焦点距離化が要求されている。そのような要求に対しては、光学系の小型短小化が可能な投射レンズにより対応可能である。投射レンズの例として、投射側から順に、メニスカス形状の負の屈折率を有する第1レンズ成分と、両凸形状の正の屈折力を有する第2レンズ成分とを有し、第1レンズ成分及び第2レンズ成分のレンズ面が全て非球面からなるものがある(特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、上記特許文献2の構造を用いて投射レンズを設計すると、低解像度で輝度が低く、焦点距離が短い場合にしか対応できない。これは、主にレンズ枚数が少な過ぎることに起因する。レンズ枚数を多くすることにより、高解像度化、高輝度化、長焦点距離化の要求に対応し得るが、携帯型の電子機器に問題無く内蔵し得るように、レンズ長やプロジェクタ全体の厚みを抑えるために、レンズ枚数の増加は極力抑える必要がある。
【0007】
一方、半導体レーザを小型プロジェクタの光源として用いたものとしては、特許文献1のように、赤色、緑色、青色の各半導体レーザが用いられるものがある。このようなプロジェクタに用いられる投射レンズは、各半導体レーザから出射されるレーザ光に十分耐えられることが必要である。
【0008】
それに対して、上記特許文献2に開示されている投射レンズは、上記したように複雑な形状のため、ガラスレンズに比べて形成容易なプラスチックレンズにより構成されている。プラスチックレンズで構成されている投射レンズに関しては、耐光性に留意しなければならず、特に、青色の半導体レーザから出射されるレーザ光がプラスチックレンズに与えるダメージは、他の色のレーザ光よりも大きく、レンズが劣化すると透過率が低下してしまう。また、高輝度化に対応するためには、各半導体レーザの出力が増大されるため、耐光性をクリアするためのハードルはより一層高くなるという問題があった。
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、半導体レーザを光源に用いた小型プロジェクタにおける投射レンズの高解像度化、高輝度化、長焦点距離化をより一層向上しかつ小型化を可能にする投射レンズおよびそれを搭載した画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の投射レンズおよびそれを搭載した画像表示装置は、少なくとも3つ以上のレンズ成分を備えかつ光変調器側テレセントリックにされた投射レンズであって、前記投射レンズの共役点に面する両外側に配置された各外側レンズ成分はプラスチックレンズであり、前記投射レンズの絞り位置が各前記外側レンズ成分間にあり、前記投射レンズの前記外側レンズ成分以外のレンズ成分で少なくとも前記絞り位置に最も近いものがガラスレンズである構成とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光変調器からの変調出射光をスクリーンに投射するための少なくとも3つ以上のレンズ成分を備える投射レンズであって、少なくとも最外部にあるレンズ成分はプラスチックレンズにより構成され、その他の絞り位置に最も近いレンズ成分をガラスレンズにより構成することにより、レーザ光源装置から出射される光のエネルギ密度が高い位置に配置されるレンズ成分をガラスレンズにして、大きな耐光性(特に青色レーザ光の耐光性)を確保することができる。また、少なくとも最外部のレンズ成分のところでは、レーザ光源装置から出射される光のエネルギ密度が相対的に低いため、複雑な形状にすることが困難なガラスレンズではなく、複雑な形状に形成可能なプラスチックレンズを投射レンズの最外レンズ成分に用いることができ、高解像度化かつ高輝度化し、さらに長焦点距離化をコンパクトな投射レンズで実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による画像表示装置を携帯型情報処理装置に内蔵した例を示す斜視図。
【図2】光学エンジンユニットに内蔵される光学エンジン部の概略構成図。
【図3】緑色レーザ光源装置におけるレーザ光の状況を示す模式図。
【図4】投射レンズの各レンズ成分の構成図。
【図5】図4におけるレンズの各諸元を示す表。
【図6】像高,物体高を示す説明図。
【図7】球面収差を示す図。
【図8】非点収差を示す図。
【図9】歪曲収差を示す図。
【図10】色収差を示す図。
【図11】(a)は図4のP1、(b)は図4のP2、(c)は図4のP3、(d)は図4のP4のコマ収差を示す横収差図。
【図12】第2実施形態の投射レンズ28の各レンズ成分の構成図。
【図13】第2実施形態のレンズの各諸元を示す表。
【図14】第2実施形態の球面収差を示す図。
【図15】第2実施形態の非点収差を示す図。
【図16】第2実施形態の歪曲収差を示す図。
【図17】第2実施形態の色収差を示す図。
【図18】第2実施形態における(a)は図4のP1、(b)は図4のP2、(c)は図4のP3、(d)は図4のP4のコマ収差を示す横収差図。
【図19】第3実施形態の投射レンズ28の各レンズ成分の構成図。
【図20】第3実施形態のレンズの各諸元を示す表。
【図21】第3実施形態の球面収差を示す図。
【図22】第3実施形態の非点収差を示す図。
【図23】第3実施形態の歪曲収差を示す図。
【図24】第3実施形態の色収差を示す図。
【図25】第3実施形態における(a)は図4のP1、(b)は図4のP2、(c)は図4のP3、(d)は図4のP4のコマ収差を示す横収差図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、少なくとも3つ以上のレンズ成分を備えかつ光変調器側テレセントリックにされた投射レンズであって、前記投射レンズの共役点に面する両外側に配置された各外側レンズ成分はプラスチックレンズであり、前記投射レンズの絞り位置が各前記外側レンズ成分間にあり、前記投射レンズの前記外側レンズ成分以外のレンズ成分で少なくとも前記絞り位置に最も近いものがガラスレンズである構成とする。
【0014】
これによると、少なくとも3つ以上のレンズ成分を備える投射レンズの少なくとも最外部にあるレンズ成分はプラスチックレンズにより構成され、その他の絞り位置に最も近いレンズ成分をガラスレンズにより構成することにより、レーザ光源装置から出射される光のエネルギ密度が高い位置に配置されるレンズ成分をガラスレンズにして、大きな耐光性(特に青色レーザ光の耐光性)を確保することができる。また、少なくとも最外部のレンズ成分のところでは、レーザ光源装置から出射される光のエネルギ密度が相対的に低いため、複雑な形状にすることが困難なガラスレンズではなく、複雑な形状に形成可能なプラスチックレンズを投射レンズの最外レンズ成分に用いることができ、高解像度化かつ高輝度化し、さらに長焦点距離化をコンパクトな投射レンズで実現し得る。
【0015】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記外側レンズ成分の少なくとも一方のレンズ面が非球面である構成とする。
【0016】
これによると、外側レンズ成分をプラスチックレンズとすることができ、レンズ設計を容易にすることができるため、レンズ枚数を最小化することができる。
【0017】
また、第3の発明は、投射側から順に配置された第1レンズ成分、第2レンズ成分、第3レンズ成分、第4レンズ成分からなりかつ物体側テレセントリックにされた投射レンズであって、前記第1レンズ成分と前記第2レンズ成分との間に絞り位置を有し、前記第1レンズ成分は、そのレンズ面の中央部が前記投射側に突出した擬似的な凹メニスカス形状かつ負の屈折力を有するプラスチックレンズであり、前記第4レンズ成分は、擬似的な両凸形状かつ正の屈折力を有するプラスチックレンズであり、前記第2レンズ成分および前記第3レンズ成分がガラスレンズである構成とする。
【0018】
これによると、光のエネルギ密度が高くなる主光線が集光する絞り位置に近いレンズ成分をガラスレンズで構成することにより、大きな耐光性(特に青色レーザ光の耐光性)を確保すると共に、比較的エネルギ密度の小さな位置のレンズ成分をプラスチックレンズで構成して非球面等の複雑な形状に容易に対応し得るため、高解像度化、高輝度化、長焦点距離を可能にする投射レンズを4枚のレンズで構成することができる。
【0019】
また、第4の発明は、前記第3の発明において、前記第2レンズ成分と前記第3レンズ成分とは、互いに接合された複合レンズからなり、かつ全体として正の屈折力を有する構成とする。
【0020】
これによると、第1レンズ成分と第2レンズ成分との間にある絞り位置を第2レンズ成分に近づけることができ、第2レンズ成分及び第3レンズ成分はガラスレンズであることから光のエネルギ密度が高くなっても何等問題なく耐光性を確保し、プラスチックレンズにより構成される第1レンズ成分に対する光のエネルギ密度を低減し得る。
【0021】
また、第5の発明は、前記第4の発明において、前記第2レンズ成分は、両凸形状あるいは前記第1レンズ成分側が凹形状かつ前記第3レンズ成分側が凸形状の球面レンズであり、前記第3レンズ成分は、両凹形状あるいは前記第2レンズ側が凹形状かつ第4レンズ成分側が凸形状の球面レンズである構成とする。
【0022】
これによると、第2レンズ成分及び第3レンズ成分を互いに接合する場合に、それぞれがガラスレンズにより形成されることから、容易に第2レンズ成分の凸面と第3レンズ成分の凹面とを高精度に形成して接合状態にすることができる。
【0023】
また、第6の発明は、前記第3乃至5のいずれかの発明において、前記第2レンズ成分のアッベ数が第3レンズ成分のアッベ数より大きいとする。
【0024】
これによると、第2レンズ成分及び第3レンズ成分からなる複合レンズを同じ焦点距離で設計した場合に、色収差の出やすい凸レンズである第2レンズ成分のアッベ数を相対的に大きくすることにより、色収差を抑えることができる。
【0025】
また、第7の発明は、前記第1乃至6のいずれかの発明において、赤色、緑色および青色の各色レーザ光を出射する各レーザ光源装置と、レーザ光を変調する光変調器と、前記各レーザ光源装置から出射される前記各色レーザ光を同一光路にして前記光変調器に入射するための光学系とを有し、前記投射レンズは、前記光変調器で変調されて出射される変調出射光を外部に出射する光軸上に配置されている構成とする。
【0026】
これによると、レーザ光源装置から出射される光のエネルギ密度が高い位置に配置されるレンズ成分をガラスレンズにして、大きな耐光性(特に青色レーザ光の耐光性)を確保することができる。また、少なくとも最外部のレンズ成分のところでは、レーザ光源装置から出射される光のエネルギ密度が相対的に低いため、複雑な形状にすることが困難なガラスレンズではなく、複雑な形状に形成可能なプラスチックレンズを投射レンズの最外レンズ成分に用いることができ、その用に構成された投射レンズを用いて、高解像度化かつ高輝度化し、さらに長焦点距離化を可能としてコンパクト化が可能な画像表示装置を実現し得る。
【0027】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0028】
図1は、本発明による画像表示装置1を携帯型情報処理装置2に内蔵した例を示す斜視図である。携帯型情報処理装置(例えばノートパソコン)2は、CPUやメモリなどが実装された制御基板(図示せず)などが内蔵された本体部3と、液晶パネルを備えた表示部4とを有し、本体部3と表示部4とがヒンジ部5で連結され、本体部3と表示部4とを重ね合わせた折りたたみ状態として携帯性を高めるようにしている。
【0029】
本体部3の筐体8の上面8aには、キーボード6およびタッチパッド7が設けられている。また、本体部3の筐体8におけるキーボード6の裏面側には、光ディスク装置などの周辺機器が取り替え可能に収容される収容スペース、いわゆるドライブベイが形成されており、このドライブベイに画像表示装置1が取り付けられている。
【0030】
画像表示装置1は、筐体11と、筐体11に対して出し入れ可能に設けられた可動体12と、を有している。可動体12は、レーザ光による映像ImをスクリーンSに投写するための光学部品が収容された光学エンジンユニット(第1のユニット)13と、この光学エンジンユニット13内の光学部品を制御するための基板などが収容された制御ユニット(第2のユニット)14とで構成されている。
【0031】
図2は、光学エンジンユニット13に内蔵される光学エンジン部15の概略構成図である。この光学エンジン部15は、緑色レーザ光を出力する緑色レーザ光源装置22と、赤色レーザ光を出力する赤色レーザ光源装置23と、青色レーザ光を出力する青色レーザ光源装置24と、映像信号に応じて各レーザ光源装置22〜24からのレーザ光の変調を行う液晶反射型の光変調器25と、各レーザ光源装置22〜24からのレーザ光を反射させて光変調器25に照射させるとともに光変調器25から出射された変調レーザ光を透過させる偏光ビームスプリッタ26と、各レーザ光源装置22〜24から出射されるレーザ光を偏光ビームスプリッタ26に導くリレー光学系27と、偏光ビームスプリッタ26を透過した変調レーザ光による映像ImをスクリーンSに投射する投射レンズ(投射光学系)28と、を備えている。なお、各レーザ光源装置22〜24は半導体レーザを用いたものであってよい。
【0032】
この光学エンジン部15は、いわゆるフィールドシーケンシャル方式でカラー画像を表示するものであり、各レーザ光源装置22〜24から各色のレーザ光が時分割で順次出力され、各色のレーザ光による画像が視覚の残像効果によってカラー画像として認識される。
【0033】
リレー光学系27は、各レーザ光源装置22〜24から出射される各色のレーザ光を平行ビームに変換するコリメータレンズ31〜33と、コリメータレンズ31〜33を通過した各色のレーザ光を所要の方向に導く第1および第2のダイクロイックミラー34,35と、ダイクロイックミラー34,35により導かれたレーザ光を拡散させる拡散板36と、拡散板36を通過したレーザ光を収束レーザに変換するフィールドレンズ37と、を備えている。
【0034】
投射レンズ28からスクリーンSに向けてレーザ光が出射される側を前側とすると、青色レーザ光源装置24から青色レーザ光が後方に向けて出射され、この青色レーザ光の光軸に対して緑色レーザ光の光軸および赤色レーザ光の光軸が互いに直交するように、緑色レーザ光源装置22および赤色レーザ光源装置23から緑色レーザ光および赤色レーザ光が出射され、この青色レーザ光、赤色レーザ光、および緑色レーザ光が、2つのダイクロイックミラー34,35で同一の光路に導かれる。すなわち、青色レーザ光と緑色レーザ光が第1のダイクロイックミラー34で同一の光路に導かれ、青色レーザ光および緑色レーザ光と赤色レーザ光が第2のダイクロイックミラー35で同一の光路に導かれる。
【0035】
第1および第2のダイクロイックミラー34,35は、表面に所定の波長のレーザ光を透過および反射させるための膜が形成されたものであり、第1のダイクロイックミラー34は、青色レーザ光を透過するとともに緑色レーザ光を反射させる。第2のダイクロイックミラー35は、赤色レーザ光を透過するとともに青色レーザ光および緑色レーザ光を反射させる。
【0036】
これらの各光学部材は、筐体41に支持されている。この筐体41は、各レーザ光源装置22〜24で発生した熱を放熱する放熱体として機能し、アルミニウムや銅などの熱伝導性の高い材料で形成されている。
【0037】
緑色レーザ光源装置22は、側方に向けて突出した状態で筐体41に形成された取付部42に取り付けられている。この取付部42は、リレー光学系27の収容スペースの前方と側方にそれぞれ位置する前壁部43と側壁部44とが交わる角部から側壁部44に直交する向きに突出した状態で設けられている。赤色レーザ光源装置23は、ホルダ45に保持された状態で側壁部44の外面側に取り付けられている。青色レーザ光源装置24は、ホルダ46に保持された状態で前壁部43の外面側に取り付けられている。
【0038】
赤色レーザ光源装置23および青色レーザ光源装置24は、いわゆるCANパッケージで構成され、レーザ光を出力するレーザチップが、ステムに支持された状態で缶状の外装部の中心軸上に光軸が位置するように配置されたものであり、外装部の開口に設けられたガラス窓からレーザ光が出射される。この赤色レーザ光源装置23および青色レーザ光源装置24は、ホルダ45,46に開設された取付孔47,48に圧入するなどしてホルダ45,46に対して固定される。青色レーザ光源装置24および赤色レーザ光源装置23のレーザチップの発熱は、ホルダ45,46を介して筐体41に伝達されて放熱され、各ホルダ45,46は、アルミニウムや銅などの熱伝導率の高い材料で形成されている。
【0039】
緑色レーザ光源装置22は、励起用レーザ光を出力する半導体レーザ51と、半導体レーザ51から出力された励起用レーザ光を集光する集光レンズであるFAC(Fast-Axis Collimator)レンズ52およびロッドレンズ53と、励起用レーザ光により励起されて基本レーザ光(赤外レーザ光)を出力する固体レーザ素子54と、基本レーザ光の波長を変換して半波長レーザ光(緑色レーザ光)を出力する波長変換素子55と、固体レーザ素子54とともに共振器を構成する凹面ミラー56と、励起用レーザ光および基本波長レーザ光の漏洩を阻止するガラスカバー57と、各部を支持する基台58と、各部を覆うカバー体59と、を備えている。
【0040】
この緑色レーザ光源装置22は、基台58を筐体41の取付部42に取り付けて固定され、緑色レーザ光源装置22と筐体41の側壁部44との間に所要の幅(例えば0.5mm以下)の間隙が形成される。これにより、緑色レーザ光源装置22の熱が赤色レーザ光源装置23に伝わりにくくなり、赤色レーザ光源装置23の昇温を抑制して、温度特性の悪い赤色レーザ光源装置23を安定的に動作させることができる。また、赤色レーザ光源装置23の所要の光軸調整代(例えば0.3mm程度)を確保するため、緑色レーザ光源装置22と赤色レーザ光源装置23との間に所要の幅(例えば0.3mm以上)の間隙が設けられている。
【0041】
図3は、緑色レーザ光源装置22におけるレーザ光の状況を示す模式図である。半導体レーザ51のレーザチップ61は、波長808nmの励起用レーザ光を出力する。FACレンズ52は、レーザ光のファースト軸(光軸方向に対して直交し且つ図の紙面に沿う方向)の拡がりを低減する。ロッドレンズ53は、レーザ光のスロー軸(図の紙面に対して直交する方向)の拡がりを低減する。
【0042】
固体レーザ素子54は、いわゆる固体レーザ結晶であり、ロッドレンズ53を通過した波長808nmの励起用レーザ光により励起されて波長1064nmの基本波長レーザ光(赤外レーザ光)を出力する。この固体レーザ素子54は、Y(イットリウム)VO4(バナデート)からなる無機光学活性物質(結晶)にNd(ネオジウム)をドーピングしたものであり、より具体的には、母材であるYVO4のYに蛍光を発する元素であるNd+3に置換してドーピングしたものである。
【0043】
固体レーザ素子54におけるロッドレンズ53に対向する側には、波長808nmの励起用レーザ光に対する反射防止と、波長1064nmの基本波長レーザ光および波長532nmの半波長レーザ光に対する高反射の機能を有する膜62が形成されている。固体レーザ素子54における波長変換素子55に対向する側には、波長1064nmの基本波長レーザ光および波長532nmの半波長レーザ光に対する反射防止の機能を有する膜63が形成されている。
【0044】
波長変換素子55は、いわゆるSHG(Second Harmonics Generation)素子であり、固体レーザ素子54から出力される波長1064nmの基本波長レーザ光(赤外レーザ光)の波長を変換して波長532nmの半波長レーザ光(緑色レーザ光)を生成する。
【0045】
波長変換素子55における固体レーザ素子54に対向する側には、波長1064nmの基本波長レーザ光に対する反射防止と、波長532nmの半波長レーザ光に対する高反射の機能を有する膜64が形成されている。波長変換素子55における凹面ミラー56に対向する側には、波長1064nmの基本波長レーザ光および波長532nmの半波長レーザ光に対する反射防止の機能を有する膜65が形成されている。
【0046】
凹面ミラー56は、波長変換素子55に対向する側に凹面を有し、この凹面には、波長1064nmの基本波長レーザ光に対する高反射と、波長532nmの半波長レーザ光に対する反射防止の機能を有する膜66が形成されている。これにより、固体レーザ素子54の膜62と凹面ミラー56の膜66との間で、波長1064nmの基本波長レーザ光が共振して増幅される。
【0047】
波長変換素子55では、固体レーザ素子54から入射した波長1064nmの基本波長レーザ光の一部が波長532nmの半波長レーザ光に変換され、変換されずに波長変換素子55を通過した波長1064nmの基本波長レーザ光は、凹面ミラー56で反射されて波長変換素子55に再度入射し、波長532nmの半波長レーザ光に変換される。この波長532nmの半波長レーザ光は、波長変換素子55の膜64で反射されて波長変換素子55から出射される。
【0048】
ここで、固体レーザ素子54から波長変換素子55に入射して波長変換素子55で波長変換されて波長変換素子55から出射されるレーザ光のビームB1と、凹面ミラー56で一旦反射されて波長変換素子55に入射して膜64で反射されて波長変換素子55から出射されるレーザ光のビームB2とが互いに重なり合う状態では、波長532nmの半波長レーザ光と波長1064nmの基本波長レーザ光とが干渉を起こして出力が低下する。
【0049】
そこでここでは、波長変換素子55を光軸方向に対して傾斜させて、入射面および出射面での屈折作用により、レーザ光のビームB1、B2が互いに重なり合わないようにして、波長532nmの半波長レーザ光と波長1064nmの基本波長レーザ光との干渉を防ぐようにしており、これにより出力低下を避けることができる。
【0050】
なお、図2に示したガラスカバー57には、波長808nmの励起用レーザ光および波長1064nmの基本波長レーザ光が外部に漏洩することを防止するため、これらのレーザ光を透過しない膜が形成されている。
【0051】
また、可動体12を構成する光学エンジンユニット13および制御ユニット14の各筐体は、高さ方向の寸法が短い扁平な箱形状をなしている。光学エンジンユニット13および制御ユニット14の各筐体の両側縁には、筐体11内に設けられたガイドレールに沿ってスライドするスライダが設けられており(図示省略)、使用者による押し引き操作で、矢印Aで示すように、筐体11に対して可動体12が出し入れされる。そして、光学エンジンユニット13におけるヒンジ部73と相反する側の端部には出射窓74が設けられており、この出射窓74から光学エンジン部15の投射レンズ28(図2参照)を通過したレーザ光が出射される。
【0052】
次に、図4を参照して、本発明が適用された投射レンズ28の第1実施形態を示す各レンズ成分の具体的構成を説明する。なお、各レンズ成分は断面図で示されているが、見易さからハッチングを省略している。また、図4における右側の偏光ビームスプリッタ26から出射される変調出射光が、投射レンズ28を介して図の左側に配設されているスクリーンSに向けて投射される。
【0053】
投射レンズ28は、投射側(図4の左側)の第1共役点側から順に、第1レンズ(第1レンズ成分)L1,第2レンズ(第2レンズ成分)L2,第3レンズ(第3レンズ成分)L3,第4レンズ(第4レンズ成分)L4が同軸に配置されている。第1,第4レンズL1,L4は合成樹脂材で形成されたプラスチックレンズであり、第2,第3レンズL2,L3はガラス材質で形成されたガラスレンズである。なお、図示例では光変調器25からの変調出射光の光軸上に同軸に投射レンズ28が配置されているが、投射レンズ28の光軸上に反射鏡を配置しかつその側方に光変調器25を配置して、光変調器25からの変調出射光の向きを変えるようにしてもよい。その場合には、光変調器25から出射されかつ反射鏡により向きを換えられた変調出射光の光軸上に同軸に投射レンズ28が配置される。
【0054】
また、第1レンズL1は、その中央部が投射側に突出した擬似的な凹メニスカス形状に形成されかつ負の屈折力を有する。第2レンズL2は両凸形状の球面レンズであり、第3レンズL3は両凹形状の球面レンズである。第4レンズL4は、擬似的な両凸形状に形成されかつ正の屈折力を有する。
【0055】
図5に示す表1に、図4におけるレンズの各諸元を示す。表1のレンズデータを設定する条件としては、F値が2.8、焦点距離が7.3mm、光変調器25の像高が2.794mm、スクリーンS上の投影映像Imの物体高が385.064mm、第1レンズL1のスクリーンS側のレンズ面の中心とスクリーンSとの間の距離が1000mmとする。なお、像高は、図6に示されるように光変調器25の矩形の照射面の中心Pcから角部Peに向かう対角線上の像の高さHであり、上記数値はその最大値であり、物体高は同様にスクリーンS上の矩形の投影面(Im)の中心Pcから角部Peに向かう対角線上の像の高さHであり、上記数値はその最大値である。また、各色レーザ光の重みづけは、青色レーザ光と赤色レーザ光とを1として、それに対して緑色レーザ光を2としている。
【0056】
表1における面番号は図4に示されるf2〜f11に対応し、投射側からのレンズ面の順序(f1はスクリーンSに対応し、f12は光変調器25に対応)に対応し、STOは絞りを示す。なお、絞りSTOは主光線が集光する位置に設けられている。また、面形状はレンズ面が球面であるか非球面であるかを、rは各レンズ面の曲率半径を、dは各光学面f(n)から次の光学面f(n+1)までの光軸上の距離を(nは1〜10)、ndはd線(波長587.6nm)に対する屈折率を、νdはd線を基準とするアッベ数を、Dは開口直径を、Coは非球面レンズのconic数をそれぞれ示す。なお、長さの単位は特に断らない限り「mm」である。
【0057】
次に、非球面データを記す。非球面係数CEnの4次,6次,8次,10次,12次の各係数をそれぞれCE4,CE6,CE8,CE10,CE12で表す。
【0058】
面番号f2では、
CE4=−0.00019292138
CE6=1.7519259e−5
CE8=−2.633344e−7
CE10=−2.8972131e−8
CE12=1.0282375e−9
である。
【0059】
面番号f3では、
CE4=0.00048703321
CE6=−0.00021337964
CE8=9.3720993e−6
CE10=2.0665982e−6
CE12=−3.532074e−7
である。
【0060】
面番号f8では、
CE4=−0.0014457748
CE6=5.699218e−5
CE8=−9.9412743e−7
CE10=−4.3846295e−8
CE12=2.2483199e−9
である。
【0061】
面番号f9では、
CE4=−6.1165958e−5
CE6=7.5395918e−6
CE8=−6.155347e−8
CE10=−6.908151e−9
CE12=6.0456066e−10
である。
【0062】
この第1実施形態において、図4に示されるように、光軸Cを通る主光線と、最高画角の主光線が各レンズL1〜L4を通過する各ポイントとの距離R1〜R4を半径とする円の面積が、各レンズL1〜L4における照射範囲とすると、例えばW1のワット数のレーザ光が照射されたとして、各レンズL1〜L4のエネルギ密度E1〜E4は、nを1〜4として、En=W1/(π×Rn×Rn)となる。
【0063】
ここで、図4に示されるように各R1〜R4の大きさは、R4>R1>R3>R2である。したがって、第2レンズL2のエネルギ密度が最も高い。上記したように第2レンズL2はガラスレンズであり、エネルギ密度が高い位置に配置されているレンズ成分である第2レンズL2をガラスレンズとすることにより、第2レンズL2の大きな耐光性が確保される。
【0064】
近年のプロジェクタにおいて、より明るい画像を投射するという要求に対応して光源の光量を大きくした場合にそれに伴ってエネルギ密度(光パワー密度)が高くなり、絞りSTO付近で光照射面積が絞られることによりエネルギ密度が高くなるのに加えて、プロジェクタ光学系において光源の共役の位置に絞りSTOが位置し、レーザ光源装置22〜24からのレーザ光の光量が集中する部分が絞りSTOの位置に現れる。
【0065】
青色レーザ光の場合、ファーフィールドパターンとしてガウス分布により絞りSTO位置での中央部のエネルギ密度すなわち投射レンズ28での主光線部分のエネルギ密度が大きくなってしまう。このような場合、絞りSTOの付近にプラスチックレンズが配置されていると、そのレンズ中央部のエネルギ密度が大きくなってしまい、レンズの樹脂の光劣化を加速させることになる。光劣化により樹脂の黄変色などの透過率が低下あるいは樹脂自体が焦げ付きが生じると、レンズとしての機能が大きく低下してしまう。
【0066】
それに対して、絞りSTO付近から大きく離れた位置のレンズでは主光線が大きく広がるためレーザ光の光量分布が広げられ、より均一に近い光量分布となり、レンズに入射するエネルギ密度が小さくなるという利点がある。本発明では、そのような位置に各プラスチックレンズからなる第1,第4レンズL1,L4を配置しており、それら第1,第4レンズL1,L4の樹脂材の劣化が抑制される。なお、光源は半導体レーザに限るものではなく、LED(発光ダイオード)OLED(有機EL)など、光変調器25を照明させる機能を有する光源であればなんでもよい。
【0067】
また、樹脂材の劣化に大きく影響する青色レーザ光に対しては限られた樹脂材のみがレンズ材料として使用可能である。しかしながら、そのレンズ材料で加工したレンズでは屈折率およびアッベ数(分散)の組合せに制限が生じ、色収差を低減するためのレンズいわゆる色消しレンズを目的とするレンズを得ることができない。さらに、将来的に光源の光量を増大していく要求が考えられる。
【0068】
そのため、色消しレンズをガラスレンズで構成することは有効である。また、このガラスで構成された色消しレンズはプラスチックレンズのように光耐性を気にしないで使用できるため、投射レンズ28の絞りSTOに近い位置(エネルギ密度が大きい)に配置することが可能である。本発明では上記したように絞りSTOに近い位置にガラスレンズからなる第3レンズL3を配置しかつもう1枚のガラスレンズからなる第4レンズL4を用いて2枚組み構成の色消しレンズを設けている。
【0069】
次に、上記第1実施形態における投射レンズ28の各収差について説明する。
【0070】
先ず、図7に球面収差を示す。図において、縦軸が像高Hの位置を示し、横軸がずれの大きさであり、球面収差無しを0として、実線が青色レーザ光であり、二点鎖線が緑色レーザ光であり、破線が赤色レーザ光である。これら図の説明は他の同様の図でも同じであり、その説明を省略する。図7の球面収差は、各色の各波長における像高の関数として表している。
【0071】
図8は像面湾曲および非点収差を示す図である。図における左側の各曲線がサジタルデータ(図のSd)であり、右側の各曲線がタンジェンシャルデータTdであり、S−Tが非点収差となる。図では、像面から近軸像面までの距離を視野座標の関数として表している。
【0072】
また、図9は歪曲収差を示す図である。図では横軸に歪曲の大きさDyを百分率で表している。歪曲の大きさDyは、実際の主光線の高さをYcとし、基準光線の高さをYrとすると、次式となる。
Dy=100×(Yc−Yr)/Yr
【0073】
図10は倍率色収差を示す図である。図では、倍率色収差を視野の関数として表し、緑色レーザ光を基準(ずれが0)にした場合の青色,赤色レーザ光の各倍率色収差を示している。
【0074】
図11はコマ収差を示す横収差図である。図では、中心は主光線を表し、横軸が入射瞳座標(最大±20μm)、縦軸が各入射瞳座標における横収差の値を示す。横収差は、光線の収差を瞳関数として表わしている。また、図11の(a),(b),(c),(d)はそれぞれ図6の各ポイントP1(中心),P2(中心を通る縦軸上の像高最高位置),P3(中心を通る横軸上の像高最高位置),P4(角部)に対応している。なお、具体的には、P1を0mmとすると、各像高は、P2=1.44mm、P3=2.4mm、P4=2.794mmである。
【0075】
このようにして構成された投射レンズ28によれば、図7〜11に示されるように各収差が小さく、小型プロジェクタに何等問題なく適用し得る。
【0076】
なお、投射レンズ28を全てプラスチックレンズとすることにより、最小枚数のレンズ構成が可能となるが、上記したようにプラスチックレンズのような樹脂レンズでは屈折率とアッベ数のバリエーションが少ないという問題がある。さらに、青色レーザ光に対する耐光性を有する材質のものは少なく、採用するとレンズのコストが高騰化する。したがって、プラスチックレンズのみで小型プロジェクタの投射レンズを構成した場合には、高解像度化、高輝度化、かつ長焦点距離を実現実現することは困難である。また、長所点距離での収差低減には色収差低減が必要であり、少なすぎるレンズ枚数では十分な色収差を取ることが困難である。
【0077】
それに対して本願発明では、上記したように両外側の第1,第4レンズL1,L4をプラスチックレンズとし、それらに挟まれた中間の第2,第3レンズL2,L3をガラスレンズとしてプラスチックレンズの上記問題点を解消し、4枚のレンズ(L1〜L4)というほぼ最少となる少ないレンズ枚数で構成できた。
【0078】
また、ガラスレンズからなる第2,第3レンズL2,L3を、互いに隣接する各レンズ面(f6)の曲率を同一として互いに密着状態に接合された複合レンズとして構成し、かつ全体として正の屈折力としている。これにより、第1レンズL1と第2レンズL2との間に位置する絞りSTOの位置をガラスレンズからなる第2レンズL2に近づけることができ、プラスチックレンズからなる第1レンズL1に対するエネルギ密度をより一層低減し得る。
【0079】
また、プラスチックレンズのような樹脂レンズでは屈折率とアッベ数のバリエーションが少ないという問題があるが、それに対してもガラスレンズからなる第2,第3レンズL2,L3で対応している。また、絞りSTOに近い方の第2レンズL2のアッベ数が遠い方の第3レンズL3のアッベ数よりも大きくしている。これにより、上記と同様に絞りSTOの位置を第2レンズL2に近づける効果に加えて、異なるアッベ数の組合せにより色収差を好適に低減できる。
【0080】
そして、両外側の第1,第4レンズL1,L4をプラスチックレンズとしていることから、そのレンズ形状を容易に自由な形状にすることができる。投射側の第1レンズL1を非球面レンズにして広い視野を確保すると共に、相反する最外側の第4レンズL4も球面レンズとしてテレセントリックで長バックフォーカスを確保するように、第1および第4レンズL1,L4を容易に加工することができる。このようにして、上記したように4枚のレンズ(L1〜L4)というほぼ最少となる少ないレンズ枚数で構成することができる。
【0081】
また、このような投射レンズ28の構成により、光学エンジンユニット13の厚さをノートパソコン2の筐体内に収めることができるように6.9mm以内にすることができる。ノートパソコン2のドライブベイは一般的に9.5mmの高さであり、その9.5mmの高さのドライブベイ内に収めるためには、光学系の厚さを6.9mm以下にすることで対応し得る。上記したようにプラスチックレンズからなる第1,第4レンズL1,L4に非球面レンズを用いることにより、枚数を低減すると共に光軸方向長さを短くすることができ、例えば光変調器25が0.22インチのサイズのものであった場合でも十分対応できる。また、第1レンズL1の第1共役点側(投射側)の面から光変調器25までの距離である全光学長も40mm以下にすることができ、上記ノートパソコン2の筐体内に収めることに支障を来すことがない。
【0082】
また、樹脂材により構成される第1および第4レンズL1,L4のレンズ成分としては、シクロオレフィンポリマーまたはシクロオレフィンコポリマーにより構成されるとよい。これにより、プラスチックレンズからなる第1および第4レンズL1,L4のレンズ成分の耐光性(特に青色レーザ光の耐光性)をさらに高めることができる。
【0083】
投射レンズ28の各レンズ成分のレンズデータとしては上記実施形態に限られるものではなく、他の例としての第2実施形態を、図12〜18を参照して以下に述べる。なお、図12,13は図4,5にそれぞれ対応し、図14〜18は図7〜11にそれぞれ対応し、上記第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0084】
この第2実施形態では、図12に示されるように、第3レンズL3の投射側とは相反する側(光変調器25側)のレンズ面f7が凸状の球面レンズとして形成されている。また、図13に示す表2のレンズデータを設定する条件としては、F値が2.8、焦点距離が9.8mm、光変調器25の像高が3.556mm、スクリーンS上の投影映像の物体高が365.170mm、第1レンズL1のスクリーンS側のレンズ面の中心とスクリーンSとの間の距離が1000mmとする。なお、像高,物体高は図6で説明したものと同じであり、各色レーザ光の重み付けも上記第1実施形態と同じである。
【0085】
次に、上記第1実施形態と同じようにして非球面データを記す。
【0086】
面番号f2では、
CE4=−7.86074481e−5
CE6=5.0989131e−6
CE8=−1.1819951e−8
CE10=−3.448836e−9
CE12=1.8820266e−11
である。
【0087】
面番号f3では、
CE4=−0.00047448961
CE6=6.3768493e−5
CE8=9.0982912e−9
CE10=−8.28291e−7
CE12=3.8041695e−10
である。
【0088】
面番号f8では、
CE4=−0.00062894509
CE6=2.6315444e−5
CE8=−9.0014583e−7
CE10=1.5167082e−8
CE12=−1.2901779e−10
である。
【0089】
面番号f9では、
CE4=0.00019208273
CE6=−5.8501995e−7
CE8=1.2441806e−7
CE10=−5.0888151e−9
CE12=−1.6961643e−11
である。
【0090】
この第2実施形態においても、図14〜18に示されるように各収差は何等問題ない範囲に収まっている。なお、図18(a)の像高(P1)は0mmであり、(b)の像高(P2)は1.743mmであり、(c)の像高(P3)は3.099mmであり、(d)の像高(P4)は3.556mmである。
【0091】
また、第3実施形態を、図19〜25を参照して以下に述べる。なお、図19,20は図4,5にそれぞれ対応し、図21〜25は図7〜11にそれぞれ対応し、上記第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0092】
この第3実施形態では、図19に示されるように、第2実施形態に対して、第2レンズL2の投射側(スクリーンS側)のレンズ面f5が凹状の球面レンズとして形成されている。また、図20に示す表3のレンズデータを設定する条件としては、F値が2.8、焦点距離が9.8mm、光変調器25の像高が3.564mm、スクリーンS上の投影映像の物体高が369.13mm、第1レンズL1のスクリーンS側のレンズ面の中心とスクリーンSとの間の距離が1000mmとする。なお、像高,物体高は図6で説明したものと同じであり、各色レーザ光の重み付けも上記第1実施形態と同じである。
【0093】
次に、上記第1実施形態と同じようにして非球面データを記す。
【0094】
面番号f2では、
CE4=6.843509e−5
CE6=3.1766495e−6
CE8=7.2233378e−8
CE10=−7.3650241e−9
CE12=5.2732706e−10
である。
【0095】
面番号f3では、
CE4=0.00037286867
CE6=2.063769e−5
CE8=−5.3742222e−7
CE10=1.4666301e−8
CE12=−7.8445372e−10
である。
【0096】
面番号f8では、
CE4=−1.2843437e−5
CE6=1.8851824e−6
CE8=6.8991401e−8
CE10=3.1354425e−9
CE12=−1.5749645e−10
である。
【0097】
面番号f9では、
CE4=0.00089271739
CE6=−8.5790227e−6
CE8=2.2007841e−7
CE10=1.7873333e−9
CE12=−2.0959156e−10
である。
【0098】
この第3実施形態においても、図21〜25に示されるように各収差は何等問題ない範囲に収まっている。なお、図25(a)の像高(P1)は0mmであり、(b)の像高(P2)は1.743mmであり、(c)の像高(P3)は3.099mmであり、(d)の像高(P4)は3.556mmである。
【0099】
さらに、第1実施形態に対して、設計条件として、光変調器25のサイズを0.22インチから0.28インチとし、偏光ビームスプリッタ26の硝材を第1実施形態ではBSC7(日本光学硝子工業会指定のクラウンガラス)としているのに対してSF57HHT(SCHOTT製)とした。
【0100】
これにより、MTF(変調伝達関数)は、第1実施形態の83lp/mm(軸外40%、軸上50%)に対して、100lp/mm(軸外40%、軸上50%)となり、解像度が向上した。また、第1レンズL1の厚さ(光軸上の厚さ)が4.2mmから3.1mmと薄くすることができたため、レンズ製造時の冷却時間を短縮でき、製造コストを低減し得る。また、第4レンズL4のコバ厚は0.5mmから1mmとなり、プラスチックレンズの成形性を向上し得る。そして、投射レンズ28の全光学長が30mmから27mmになり、小型化を促進することができる。
【0101】
なお、上記各実施形態では、4枚のレンズ構成した例について示したが、本発明は3枚以上の構成であればよい。3枚とする場合には第2,第3レンズL2,L3を1枚のガラスレンズとすることで可能であり、解像度や輝度が上記各実施形態に比べて低下し、焦点距離も短くなるが、そのような仕様で対応可能な場合には適用可能である。
【0102】
以上、本発明を、その好適形態実施例について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施例により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明にかかる投射レンズおよびそれを備えた画像表示装置は、コンパクトな構成で、高解像度化かつ高輝度化し、さらに長焦点距離化を可能とし、小型プロジェクタ等として有用である。
【符号の説明】
【0104】
1 画像表示装置
25 光変調器
22 緑色レーザ光源装置
23 赤色レーザ光源装置
24 青色レーザ光源装置
28 投射レンズ
L1 第1レンズ(レンズ成分)
L2 第2レンズ(レンズ成分)
L3 第3レンズ(レンズ成分)
L3 第4レンズ(レンズ成分)
STO 絞り
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型プロジェクタに適用可能な投射レンズおよびそれを備えた画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示装置の光源に半導体レーザを用いる技術が注目されている。この半導体レーザは、従来から画像表示装置に多用されてきた水銀ランプに比較して、色再現性がよい点、瞬時点灯が可能である点、長寿命である点、高効率で消費電力を低減することができる点、ならびに小型化が容易である点など、種々の利点を有している。
【0003】
このような半導体レーザを用いた画像表示装置の利点は、携帯型の電子機器に内蔵する場合に都合が良く、例えば半導体レーザを用いた画像表示装置を携帯電話端末に内蔵する技術が知られている(特許文献1参照)。このように画像表示装置を携帯型の電子機器に内蔵すると、必要に応じて画面をスクリーンに拡大表示することができることから、利便性を高めることができる。また、上記画像表示装置を、携帯型情報処理装置(いわゆるノートパソコン)に内蔵する小型プロジェクタとして用いることにより、ノートパソコンの利便性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−316393号公報
【特許文献2】特開2010−91883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したような小型プロジェクタでは、近年、さらなる高解像度化、高輝度化、長焦点距離化が要求されている。そのような要求に対しては、光学系の小型短小化が可能な投射レンズにより対応可能である。投射レンズの例として、投射側から順に、メニスカス形状の負の屈折率を有する第1レンズ成分と、両凸形状の正の屈折力を有する第2レンズ成分とを有し、第1レンズ成分及び第2レンズ成分のレンズ面が全て非球面からなるものがある(特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、上記特許文献2の構造を用いて投射レンズを設計すると、低解像度で輝度が低く、焦点距離が短い場合にしか対応できない。これは、主にレンズ枚数が少な過ぎることに起因する。レンズ枚数を多くすることにより、高解像度化、高輝度化、長焦点距離化の要求に対応し得るが、携帯型の電子機器に問題無く内蔵し得るように、レンズ長やプロジェクタ全体の厚みを抑えるために、レンズ枚数の増加は極力抑える必要がある。
【0007】
一方、半導体レーザを小型プロジェクタの光源として用いたものとしては、特許文献1のように、赤色、緑色、青色の各半導体レーザが用いられるものがある。このようなプロジェクタに用いられる投射レンズは、各半導体レーザから出射されるレーザ光に十分耐えられることが必要である。
【0008】
それに対して、上記特許文献2に開示されている投射レンズは、上記したように複雑な形状のため、ガラスレンズに比べて形成容易なプラスチックレンズにより構成されている。プラスチックレンズで構成されている投射レンズに関しては、耐光性に留意しなければならず、特に、青色の半導体レーザから出射されるレーザ光がプラスチックレンズに与えるダメージは、他の色のレーザ光よりも大きく、レンズが劣化すると透過率が低下してしまう。また、高輝度化に対応するためには、各半導体レーザの出力が増大されるため、耐光性をクリアするためのハードルはより一層高くなるという問題があった。
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、半導体レーザを光源に用いた小型プロジェクタにおける投射レンズの高解像度化、高輝度化、長焦点距離化をより一層向上しかつ小型化を可能にする投射レンズおよびそれを搭載した画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の投射レンズおよびそれを搭載した画像表示装置は、少なくとも3つ以上のレンズ成分を備えかつ光変調器側テレセントリックにされた投射レンズであって、前記投射レンズの共役点に面する両外側に配置された各外側レンズ成分はプラスチックレンズであり、前記投射レンズの絞り位置が各前記外側レンズ成分間にあり、前記投射レンズの前記外側レンズ成分以外のレンズ成分で少なくとも前記絞り位置に最も近いものがガラスレンズである構成とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光変調器からの変調出射光をスクリーンに投射するための少なくとも3つ以上のレンズ成分を備える投射レンズであって、少なくとも最外部にあるレンズ成分はプラスチックレンズにより構成され、その他の絞り位置に最も近いレンズ成分をガラスレンズにより構成することにより、レーザ光源装置から出射される光のエネルギ密度が高い位置に配置されるレンズ成分をガラスレンズにして、大きな耐光性(特に青色レーザ光の耐光性)を確保することができる。また、少なくとも最外部のレンズ成分のところでは、レーザ光源装置から出射される光のエネルギ密度が相対的に低いため、複雑な形状にすることが困難なガラスレンズではなく、複雑な形状に形成可能なプラスチックレンズを投射レンズの最外レンズ成分に用いることができ、高解像度化かつ高輝度化し、さらに長焦点距離化をコンパクトな投射レンズで実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による画像表示装置を携帯型情報処理装置に内蔵した例を示す斜視図。
【図2】光学エンジンユニットに内蔵される光学エンジン部の概略構成図。
【図3】緑色レーザ光源装置におけるレーザ光の状況を示す模式図。
【図4】投射レンズの各レンズ成分の構成図。
【図5】図4におけるレンズの各諸元を示す表。
【図6】像高,物体高を示す説明図。
【図7】球面収差を示す図。
【図8】非点収差を示す図。
【図9】歪曲収差を示す図。
【図10】色収差を示す図。
【図11】(a)は図4のP1、(b)は図4のP2、(c)は図4のP3、(d)は図4のP4のコマ収差を示す横収差図。
【図12】第2実施形態の投射レンズ28の各レンズ成分の構成図。
【図13】第2実施形態のレンズの各諸元を示す表。
【図14】第2実施形態の球面収差を示す図。
【図15】第2実施形態の非点収差を示す図。
【図16】第2実施形態の歪曲収差を示す図。
【図17】第2実施形態の色収差を示す図。
【図18】第2実施形態における(a)は図4のP1、(b)は図4のP2、(c)は図4のP3、(d)は図4のP4のコマ収差を示す横収差図。
【図19】第3実施形態の投射レンズ28の各レンズ成分の構成図。
【図20】第3実施形態のレンズの各諸元を示す表。
【図21】第3実施形態の球面収差を示す図。
【図22】第3実施形態の非点収差を示す図。
【図23】第3実施形態の歪曲収差を示す図。
【図24】第3実施形態の色収差を示す図。
【図25】第3実施形態における(a)は図4のP1、(b)は図4のP2、(c)は図4のP3、(d)は図4のP4のコマ収差を示す横収差図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、少なくとも3つ以上のレンズ成分を備えかつ光変調器側テレセントリックにされた投射レンズであって、前記投射レンズの共役点に面する両外側に配置された各外側レンズ成分はプラスチックレンズであり、前記投射レンズの絞り位置が各前記外側レンズ成分間にあり、前記投射レンズの前記外側レンズ成分以外のレンズ成分で少なくとも前記絞り位置に最も近いものがガラスレンズである構成とする。
【0014】
これによると、少なくとも3つ以上のレンズ成分を備える投射レンズの少なくとも最外部にあるレンズ成分はプラスチックレンズにより構成され、その他の絞り位置に最も近いレンズ成分をガラスレンズにより構成することにより、レーザ光源装置から出射される光のエネルギ密度が高い位置に配置されるレンズ成分をガラスレンズにして、大きな耐光性(特に青色レーザ光の耐光性)を確保することができる。また、少なくとも最外部のレンズ成分のところでは、レーザ光源装置から出射される光のエネルギ密度が相対的に低いため、複雑な形状にすることが困難なガラスレンズではなく、複雑な形状に形成可能なプラスチックレンズを投射レンズの最外レンズ成分に用いることができ、高解像度化かつ高輝度化し、さらに長焦点距離化をコンパクトな投射レンズで実現し得る。
【0015】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記外側レンズ成分の少なくとも一方のレンズ面が非球面である構成とする。
【0016】
これによると、外側レンズ成分をプラスチックレンズとすることができ、レンズ設計を容易にすることができるため、レンズ枚数を最小化することができる。
【0017】
また、第3の発明は、投射側から順に配置された第1レンズ成分、第2レンズ成分、第3レンズ成分、第4レンズ成分からなりかつ物体側テレセントリックにされた投射レンズであって、前記第1レンズ成分と前記第2レンズ成分との間に絞り位置を有し、前記第1レンズ成分は、そのレンズ面の中央部が前記投射側に突出した擬似的な凹メニスカス形状かつ負の屈折力を有するプラスチックレンズであり、前記第4レンズ成分は、擬似的な両凸形状かつ正の屈折力を有するプラスチックレンズであり、前記第2レンズ成分および前記第3レンズ成分がガラスレンズである構成とする。
【0018】
これによると、光のエネルギ密度が高くなる主光線が集光する絞り位置に近いレンズ成分をガラスレンズで構成することにより、大きな耐光性(特に青色レーザ光の耐光性)を確保すると共に、比較的エネルギ密度の小さな位置のレンズ成分をプラスチックレンズで構成して非球面等の複雑な形状に容易に対応し得るため、高解像度化、高輝度化、長焦点距離を可能にする投射レンズを4枚のレンズで構成することができる。
【0019】
また、第4の発明は、前記第3の発明において、前記第2レンズ成分と前記第3レンズ成分とは、互いに接合された複合レンズからなり、かつ全体として正の屈折力を有する構成とする。
【0020】
これによると、第1レンズ成分と第2レンズ成分との間にある絞り位置を第2レンズ成分に近づけることができ、第2レンズ成分及び第3レンズ成分はガラスレンズであることから光のエネルギ密度が高くなっても何等問題なく耐光性を確保し、プラスチックレンズにより構成される第1レンズ成分に対する光のエネルギ密度を低減し得る。
【0021】
また、第5の発明は、前記第4の発明において、前記第2レンズ成分は、両凸形状あるいは前記第1レンズ成分側が凹形状かつ前記第3レンズ成分側が凸形状の球面レンズであり、前記第3レンズ成分は、両凹形状あるいは前記第2レンズ側が凹形状かつ第4レンズ成分側が凸形状の球面レンズである構成とする。
【0022】
これによると、第2レンズ成分及び第3レンズ成分を互いに接合する場合に、それぞれがガラスレンズにより形成されることから、容易に第2レンズ成分の凸面と第3レンズ成分の凹面とを高精度に形成して接合状態にすることができる。
【0023】
また、第6の発明は、前記第3乃至5のいずれかの発明において、前記第2レンズ成分のアッベ数が第3レンズ成分のアッベ数より大きいとする。
【0024】
これによると、第2レンズ成分及び第3レンズ成分からなる複合レンズを同じ焦点距離で設計した場合に、色収差の出やすい凸レンズである第2レンズ成分のアッベ数を相対的に大きくすることにより、色収差を抑えることができる。
【0025】
また、第7の発明は、前記第1乃至6のいずれかの発明において、赤色、緑色および青色の各色レーザ光を出射する各レーザ光源装置と、レーザ光を変調する光変調器と、前記各レーザ光源装置から出射される前記各色レーザ光を同一光路にして前記光変調器に入射するための光学系とを有し、前記投射レンズは、前記光変調器で変調されて出射される変調出射光を外部に出射する光軸上に配置されている構成とする。
【0026】
これによると、レーザ光源装置から出射される光のエネルギ密度が高い位置に配置されるレンズ成分をガラスレンズにして、大きな耐光性(特に青色レーザ光の耐光性)を確保することができる。また、少なくとも最外部のレンズ成分のところでは、レーザ光源装置から出射される光のエネルギ密度が相対的に低いため、複雑な形状にすることが困難なガラスレンズではなく、複雑な形状に形成可能なプラスチックレンズを投射レンズの最外レンズ成分に用いることができ、その用に構成された投射レンズを用いて、高解像度化かつ高輝度化し、さらに長焦点距離化を可能としてコンパクト化が可能な画像表示装置を実現し得る。
【0027】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0028】
図1は、本発明による画像表示装置1を携帯型情報処理装置2に内蔵した例を示す斜視図である。携帯型情報処理装置(例えばノートパソコン)2は、CPUやメモリなどが実装された制御基板(図示せず)などが内蔵された本体部3と、液晶パネルを備えた表示部4とを有し、本体部3と表示部4とがヒンジ部5で連結され、本体部3と表示部4とを重ね合わせた折りたたみ状態として携帯性を高めるようにしている。
【0029】
本体部3の筐体8の上面8aには、キーボード6およびタッチパッド7が設けられている。また、本体部3の筐体8におけるキーボード6の裏面側には、光ディスク装置などの周辺機器が取り替え可能に収容される収容スペース、いわゆるドライブベイが形成されており、このドライブベイに画像表示装置1が取り付けられている。
【0030】
画像表示装置1は、筐体11と、筐体11に対して出し入れ可能に設けられた可動体12と、を有している。可動体12は、レーザ光による映像ImをスクリーンSに投写するための光学部品が収容された光学エンジンユニット(第1のユニット)13と、この光学エンジンユニット13内の光学部品を制御するための基板などが収容された制御ユニット(第2のユニット)14とで構成されている。
【0031】
図2は、光学エンジンユニット13に内蔵される光学エンジン部15の概略構成図である。この光学エンジン部15は、緑色レーザ光を出力する緑色レーザ光源装置22と、赤色レーザ光を出力する赤色レーザ光源装置23と、青色レーザ光を出力する青色レーザ光源装置24と、映像信号に応じて各レーザ光源装置22〜24からのレーザ光の変調を行う液晶反射型の光変調器25と、各レーザ光源装置22〜24からのレーザ光を反射させて光変調器25に照射させるとともに光変調器25から出射された変調レーザ光を透過させる偏光ビームスプリッタ26と、各レーザ光源装置22〜24から出射されるレーザ光を偏光ビームスプリッタ26に導くリレー光学系27と、偏光ビームスプリッタ26を透過した変調レーザ光による映像ImをスクリーンSに投射する投射レンズ(投射光学系)28と、を備えている。なお、各レーザ光源装置22〜24は半導体レーザを用いたものであってよい。
【0032】
この光学エンジン部15は、いわゆるフィールドシーケンシャル方式でカラー画像を表示するものであり、各レーザ光源装置22〜24から各色のレーザ光が時分割で順次出力され、各色のレーザ光による画像が視覚の残像効果によってカラー画像として認識される。
【0033】
リレー光学系27は、各レーザ光源装置22〜24から出射される各色のレーザ光を平行ビームに変換するコリメータレンズ31〜33と、コリメータレンズ31〜33を通過した各色のレーザ光を所要の方向に導く第1および第2のダイクロイックミラー34,35と、ダイクロイックミラー34,35により導かれたレーザ光を拡散させる拡散板36と、拡散板36を通過したレーザ光を収束レーザに変換するフィールドレンズ37と、を備えている。
【0034】
投射レンズ28からスクリーンSに向けてレーザ光が出射される側を前側とすると、青色レーザ光源装置24から青色レーザ光が後方に向けて出射され、この青色レーザ光の光軸に対して緑色レーザ光の光軸および赤色レーザ光の光軸が互いに直交するように、緑色レーザ光源装置22および赤色レーザ光源装置23から緑色レーザ光および赤色レーザ光が出射され、この青色レーザ光、赤色レーザ光、および緑色レーザ光が、2つのダイクロイックミラー34,35で同一の光路に導かれる。すなわち、青色レーザ光と緑色レーザ光が第1のダイクロイックミラー34で同一の光路に導かれ、青色レーザ光および緑色レーザ光と赤色レーザ光が第2のダイクロイックミラー35で同一の光路に導かれる。
【0035】
第1および第2のダイクロイックミラー34,35は、表面に所定の波長のレーザ光を透過および反射させるための膜が形成されたものであり、第1のダイクロイックミラー34は、青色レーザ光を透過するとともに緑色レーザ光を反射させる。第2のダイクロイックミラー35は、赤色レーザ光を透過するとともに青色レーザ光および緑色レーザ光を反射させる。
【0036】
これらの各光学部材は、筐体41に支持されている。この筐体41は、各レーザ光源装置22〜24で発生した熱を放熱する放熱体として機能し、アルミニウムや銅などの熱伝導性の高い材料で形成されている。
【0037】
緑色レーザ光源装置22は、側方に向けて突出した状態で筐体41に形成された取付部42に取り付けられている。この取付部42は、リレー光学系27の収容スペースの前方と側方にそれぞれ位置する前壁部43と側壁部44とが交わる角部から側壁部44に直交する向きに突出した状態で設けられている。赤色レーザ光源装置23は、ホルダ45に保持された状態で側壁部44の外面側に取り付けられている。青色レーザ光源装置24は、ホルダ46に保持された状態で前壁部43の外面側に取り付けられている。
【0038】
赤色レーザ光源装置23および青色レーザ光源装置24は、いわゆるCANパッケージで構成され、レーザ光を出力するレーザチップが、ステムに支持された状態で缶状の外装部の中心軸上に光軸が位置するように配置されたものであり、外装部の開口に設けられたガラス窓からレーザ光が出射される。この赤色レーザ光源装置23および青色レーザ光源装置24は、ホルダ45,46に開設された取付孔47,48に圧入するなどしてホルダ45,46に対して固定される。青色レーザ光源装置24および赤色レーザ光源装置23のレーザチップの発熱は、ホルダ45,46を介して筐体41に伝達されて放熱され、各ホルダ45,46は、アルミニウムや銅などの熱伝導率の高い材料で形成されている。
【0039】
緑色レーザ光源装置22は、励起用レーザ光を出力する半導体レーザ51と、半導体レーザ51から出力された励起用レーザ光を集光する集光レンズであるFAC(Fast-Axis Collimator)レンズ52およびロッドレンズ53と、励起用レーザ光により励起されて基本レーザ光(赤外レーザ光)を出力する固体レーザ素子54と、基本レーザ光の波長を変換して半波長レーザ光(緑色レーザ光)を出力する波長変換素子55と、固体レーザ素子54とともに共振器を構成する凹面ミラー56と、励起用レーザ光および基本波長レーザ光の漏洩を阻止するガラスカバー57と、各部を支持する基台58と、各部を覆うカバー体59と、を備えている。
【0040】
この緑色レーザ光源装置22は、基台58を筐体41の取付部42に取り付けて固定され、緑色レーザ光源装置22と筐体41の側壁部44との間に所要の幅(例えば0.5mm以下)の間隙が形成される。これにより、緑色レーザ光源装置22の熱が赤色レーザ光源装置23に伝わりにくくなり、赤色レーザ光源装置23の昇温を抑制して、温度特性の悪い赤色レーザ光源装置23を安定的に動作させることができる。また、赤色レーザ光源装置23の所要の光軸調整代(例えば0.3mm程度)を確保するため、緑色レーザ光源装置22と赤色レーザ光源装置23との間に所要の幅(例えば0.3mm以上)の間隙が設けられている。
【0041】
図3は、緑色レーザ光源装置22におけるレーザ光の状況を示す模式図である。半導体レーザ51のレーザチップ61は、波長808nmの励起用レーザ光を出力する。FACレンズ52は、レーザ光のファースト軸(光軸方向に対して直交し且つ図の紙面に沿う方向)の拡がりを低減する。ロッドレンズ53は、レーザ光のスロー軸(図の紙面に対して直交する方向)の拡がりを低減する。
【0042】
固体レーザ素子54は、いわゆる固体レーザ結晶であり、ロッドレンズ53を通過した波長808nmの励起用レーザ光により励起されて波長1064nmの基本波長レーザ光(赤外レーザ光)を出力する。この固体レーザ素子54は、Y(イットリウム)VO4(バナデート)からなる無機光学活性物質(結晶)にNd(ネオジウム)をドーピングしたものであり、より具体的には、母材であるYVO4のYに蛍光を発する元素であるNd+3に置換してドーピングしたものである。
【0043】
固体レーザ素子54におけるロッドレンズ53に対向する側には、波長808nmの励起用レーザ光に対する反射防止と、波長1064nmの基本波長レーザ光および波長532nmの半波長レーザ光に対する高反射の機能を有する膜62が形成されている。固体レーザ素子54における波長変換素子55に対向する側には、波長1064nmの基本波長レーザ光および波長532nmの半波長レーザ光に対する反射防止の機能を有する膜63が形成されている。
【0044】
波長変換素子55は、いわゆるSHG(Second Harmonics Generation)素子であり、固体レーザ素子54から出力される波長1064nmの基本波長レーザ光(赤外レーザ光)の波長を変換して波長532nmの半波長レーザ光(緑色レーザ光)を生成する。
【0045】
波長変換素子55における固体レーザ素子54に対向する側には、波長1064nmの基本波長レーザ光に対する反射防止と、波長532nmの半波長レーザ光に対する高反射の機能を有する膜64が形成されている。波長変換素子55における凹面ミラー56に対向する側には、波長1064nmの基本波長レーザ光および波長532nmの半波長レーザ光に対する反射防止の機能を有する膜65が形成されている。
【0046】
凹面ミラー56は、波長変換素子55に対向する側に凹面を有し、この凹面には、波長1064nmの基本波長レーザ光に対する高反射と、波長532nmの半波長レーザ光に対する反射防止の機能を有する膜66が形成されている。これにより、固体レーザ素子54の膜62と凹面ミラー56の膜66との間で、波長1064nmの基本波長レーザ光が共振して増幅される。
【0047】
波長変換素子55では、固体レーザ素子54から入射した波長1064nmの基本波長レーザ光の一部が波長532nmの半波長レーザ光に変換され、変換されずに波長変換素子55を通過した波長1064nmの基本波長レーザ光は、凹面ミラー56で反射されて波長変換素子55に再度入射し、波長532nmの半波長レーザ光に変換される。この波長532nmの半波長レーザ光は、波長変換素子55の膜64で反射されて波長変換素子55から出射される。
【0048】
ここで、固体レーザ素子54から波長変換素子55に入射して波長変換素子55で波長変換されて波長変換素子55から出射されるレーザ光のビームB1と、凹面ミラー56で一旦反射されて波長変換素子55に入射して膜64で反射されて波長変換素子55から出射されるレーザ光のビームB2とが互いに重なり合う状態では、波長532nmの半波長レーザ光と波長1064nmの基本波長レーザ光とが干渉を起こして出力が低下する。
【0049】
そこでここでは、波長変換素子55を光軸方向に対して傾斜させて、入射面および出射面での屈折作用により、レーザ光のビームB1、B2が互いに重なり合わないようにして、波長532nmの半波長レーザ光と波長1064nmの基本波長レーザ光との干渉を防ぐようにしており、これにより出力低下を避けることができる。
【0050】
なお、図2に示したガラスカバー57には、波長808nmの励起用レーザ光および波長1064nmの基本波長レーザ光が外部に漏洩することを防止するため、これらのレーザ光を透過しない膜が形成されている。
【0051】
また、可動体12を構成する光学エンジンユニット13および制御ユニット14の各筐体は、高さ方向の寸法が短い扁平な箱形状をなしている。光学エンジンユニット13および制御ユニット14の各筐体の両側縁には、筐体11内に設けられたガイドレールに沿ってスライドするスライダが設けられており(図示省略)、使用者による押し引き操作で、矢印Aで示すように、筐体11に対して可動体12が出し入れされる。そして、光学エンジンユニット13におけるヒンジ部73と相反する側の端部には出射窓74が設けられており、この出射窓74から光学エンジン部15の投射レンズ28(図2参照)を通過したレーザ光が出射される。
【0052】
次に、図4を参照して、本発明が適用された投射レンズ28の第1実施形態を示す各レンズ成分の具体的構成を説明する。なお、各レンズ成分は断面図で示されているが、見易さからハッチングを省略している。また、図4における右側の偏光ビームスプリッタ26から出射される変調出射光が、投射レンズ28を介して図の左側に配設されているスクリーンSに向けて投射される。
【0053】
投射レンズ28は、投射側(図4の左側)の第1共役点側から順に、第1レンズ(第1レンズ成分)L1,第2レンズ(第2レンズ成分)L2,第3レンズ(第3レンズ成分)L3,第4レンズ(第4レンズ成分)L4が同軸に配置されている。第1,第4レンズL1,L4は合成樹脂材で形成されたプラスチックレンズであり、第2,第3レンズL2,L3はガラス材質で形成されたガラスレンズである。なお、図示例では光変調器25からの変調出射光の光軸上に同軸に投射レンズ28が配置されているが、投射レンズ28の光軸上に反射鏡を配置しかつその側方に光変調器25を配置して、光変調器25からの変調出射光の向きを変えるようにしてもよい。その場合には、光変調器25から出射されかつ反射鏡により向きを換えられた変調出射光の光軸上に同軸に投射レンズ28が配置される。
【0054】
また、第1レンズL1は、その中央部が投射側に突出した擬似的な凹メニスカス形状に形成されかつ負の屈折力を有する。第2レンズL2は両凸形状の球面レンズであり、第3レンズL3は両凹形状の球面レンズである。第4レンズL4は、擬似的な両凸形状に形成されかつ正の屈折力を有する。
【0055】
図5に示す表1に、図4におけるレンズの各諸元を示す。表1のレンズデータを設定する条件としては、F値が2.8、焦点距離が7.3mm、光変調器25の像高が2.794mm、スクリーンS上の投影映像Imの物体高が385.064mm、第1レンズL1のスクリーンS側のレンズ面の中心とスクリーンSとの間の距離が1000mmとする。なお、像高は、図6に示されるように光変調器25の矩形の照射面の中心Pcから角部Peに向かう対角線上の像の高さHであり、上記数値はその最大値であり、物体高は同様にスクリーンS上の矩形の投影面(Im)の中心Pcから角部Peに向かう対角線上の像の高さHであり、上記数値はその最大値である。また、各色レーザ光の重みづけは、青色レーザ光と赤色レーザ光とを1として、それに対して緑色レーザ光を2としている。
【0056】
表1における面番号は図4に示されるf2〜f11に対応し、投射側からのレンズ面の順序(f1はスクリーンSに対応し、f12は光変調器25に対応)に対応し、STOは絞りを示す。なお、絞りSTOは主光線が集光する位置に設けられている。また、面形状はレンズ面が球面であるか非球面であるかを、rは各レンズ面の曲率半径を、dは各光学面f(n)から次の光学面f(n+1)までの光軸上の距離を(nは1〜10)、ndはd線(波長587.6nm)に対する屈折率を、νdはd線を基準とするアッベ数を、Dは開口直径を、Coは非球面レンズのconic数をそれぞれ示す。なお、長さの単位は特に断らない限り「mm」である。
【0057】
次に、非球面データを記す。非球面係数CEnの4次,6次,8次,10次,12次の各係数をそれぞれCE4,CE6,CE8,CE10,CE12で表す。
【0058】
面番号f2では、
CE4=−0.00019292138
CE6=1.7519259e−5
CE8=−2.633344e−7
CE10=−2.8972131e−8
CE12=1.0282375e−9
である。
【0059】
面番号f3では、
CE4=0.00048703321
CE6=−0.00021337964
CE8=9.3720993e−6
CE10=2.0665982e−6
CE12=−3.532074e−7
である。
【0060】
面番号f8では、
CE4=−0.0014457748
CE6=5.699218e−5
CE8=−9.9412743e−7
CE10=−4.3846295e−8
CE12=2.2483199e−9
である。
【0061】
面番号f9では、
CE4=−6.1165958e−5
CE6=7.5395918e−6
CE8=−6.155347e−8
CE10=−6.908151e−9
CE12=6.0456066e−10
である。
【0062】
この第1実施形態において、図4に示されるように、光軸Cを通る主光線と、最高画角の主光線が各レンズL1〜L4を通過する各ポイントとの距離R1〜R4を半径とする円の面積が、各レンズL1〜L4における照射範囲とすると、例えばW1のワット数のレーザ光が照射されたとして、各レンズL1〜L4のエネルギ密度E1〜E4は、nを1〜4として、En=W1/(π×Rn×Rn)となる。
【0063】
ここで、図4に示されるように各R1〜R4の大きさは、R4>R1>R3>R2である。したがって、第2レンズL2のエネルギ密度が最も高い。上記したように第2レンズL2はガラスレンズであり、エネルギ密度が高い位置に配置されているレンズ成分である第2レンズL2をガラスレンズとすることにより、第2レンズL2の大きな耐光性が確保される。
【0064】
近年のプロジェクタにおいて、より明るい画像を投射するという要求に対応して光源の光量を大きくした場合にそれに伴ってエネルギ密度(光パワー密度)が高くなり、絞りSTO付近で光照射面積が絞られることによりエネルギ密度が高くなるのに加えて、プロジェクタ光学系において光源の共役の位置に絞りSTOが位置し、レーザ光源装置22〜24からのレーザ光の光量が集中する部分が絞りSTOの位置に現れる。
【0065】
青色レーザ光の場合、ファーフィールドパターンとしてガウス分布により絞りSTO位置での中央部のエネルギ密度すなわち投射レンズ28での主光線部分のエネルギ密度が大きくなってしまう。このような場合、絞りSTOの付近にプラスチックレンズが配置されていると、そのレンズ中央部のエネルギ密度が大きくなってしまい、レンズの樹脂の光劣化を加速させることになる。光劣化により樹脂の黄変色などの透過率が低下あるいは樹脂自体が焦げ付きが生じると、レンズとしての機能が大きく低下してしまう。
【0066】
それに対して、絞りSTO付近から大きく離れた位置のレンズでは主光線が大きく広がるためレーザ光の光量分布が広げられ、より均一に近い光量分布となり、レンズに入射するエネルギ密度が小さくなるという利点がある。本発明では、そのような位置に各プラスチックレンズからなる第1,第4レンズL1,L4を配置しており、それら第1,第4レンズL1,L4の樹脂材の劣化が抑制される。なお、光源は半導体レーザに限るものではなく、LED(発光ダイオード)OLED(有機EL)など、光変調器25を照明させる機能を有する光源であればなんでもよい。
【0067】
また、樹脂材の劣化に大きく影響する青色レーザ光に対しては限られた樹脂材のみがレンズ材料として使用可能である。しかしながら、そのレンズ材料で加工したレンズでは屈折率およびアッベ数(分散)の組合せに制限が生じ、色収差を低減するためのレンズいわゆる色消しレンズを目的とするレンズを得ることができない。さらに、将来的に光源の光量を増大していく要求が考えられる。
【0068】
そのため、色消しレンズをガラスレンズで構成することは有効である。また、このガラスで構成された色消しレンズはプラスチックレンズのように光耐性を気にしないで使用できるため、投射レンズ28の絞りSTOに近い位置(エネルギ密度が大きい)に配置することが可能である。本発明では上記したように絞りSTOに近い位置にガラスレンズからなる第3レンズL3を配置しかつもう1枚のガラスレンズからなる第4レンズL4を用いて2枚組み構成の色消しレンズを設けている。
【0069】
次に、上記第1実施形態における投射レンズ28の各収差について説明する。
【0070】
先ず、図7に球面収差を示す。図において、縦軸が像高Hの位置を示し、横軸がずれの大きさであり、球面収差無しを0として、実線が青色レーザ光であり、二点鎖線が緑色レーザ光であり、破線が赤色レーザ光である。これら図の説明は他の同様の図でも同じであり、その説明を省略する。図7の球面収差は、各色の各波長における像高の関数として表している。
【0071】
図8は像面湾曲および非点収差を示す図である。図における左側の各曲線がサジタルデータ(図のSd)であり、右側の各曲線がタンジェンシャルデータTdであり、S−Tが非点収差となる。図では、像面から近軸像面までの距離を視野座標の関数として表している。
【0072】
また、図9は歪曲収差を示す図である。図では横軸に歪曲の大きさDyを百分率で表している。歪曲の大きさDyは、実際の主光線の高さをYcとし、基準光線の高さをYrとすると、次式となる。
Dy=100×(Yc−Yr)/Yr
【0073】
図10は倍率色収差を示す図である。図では、倍率色収差を視野の関数として表し、緑色レーザ光を基準(ずれが0)にした場合の青色,赤色レーザ光の各倍率色収差を示している。
【0074】
図11はコマ収差を示す横収差図である。図では、中心は主光線を表し、横軸が入射瞳座標(最大±20μm)、縦軸が各入射瞳座標における横収差の値を示す。横収差は、光線の収差を瞳関数として表わしている。また、図11の(a),(b),(c),(d)はそれぞれ図6の各ポイントP1(中心),P2(中心を通る縦軸上の像高最高位置),P3(中心を通る横軸上の像高最高位置),P4(角部)に対応している。なお、具体的には、P1を0mmとすると、各像高は、P2=1.44mm、P3=2.4mm、P4=2.794mmである。
【0075】
このようにして構成された投射レンズ28によれば、図7〜11に示されるように各収差が小さく、小型プロジェクタに何等問題なく適用し得る。
【0076】
なお、投射レンズ28を全てプラスチックレンズとすることにより、最小枚数のレンズ構成が可能となるが、上記したようにプラスチックレンズのような樹脂レンズでは屈折率とアッベ数のバリエーションが少ないという問題がある。さらに、青色レーザ光に対する耐光性を有する材質のものは少なく、採用するとレンズのコストが高騰化する。したがって、プラスチックレンズのみで小型プロジェクタの投射レンズを構成した場合には、高解像度化、高輝度化、かつ長焦点距離を実現実現することは困難である。また、長所点距離での収差低減には色収差低減が必要であり、少なすぎるレンズ枚数では十分な色収差を取ることが困難である。
【0077】
それに対して本願発明では、上記したように両外側の第1,第4レンズL1,L4をプラスチックレンズとし、それらに挟まれた中間の第2,第3レンズL2,L3をガラスレンズとしてプラスチックレンズの上記問題点を解消し、4枚のレンズ(L1〜L4)というほぼ最少となる少ないレンズ枚数で構成できた。
【0078】
また、ガラスレンズからなる第2,第3レンズL2,L3を、互いに隣接する各レンズ面(f6)の曲率を同一として互いに密着状態に接合された複合レンズとして構成し、かつ全体として正の屈折力としている。これにより、第1レンズL1と第2レンズL2との間に位置する絞りSTOの位置をガラスレンズからなる第2レンズL2に近づけることができ、プラスチックレンズからなる第1レンズL1に対するエネルギ密度をより一層低減し得る。
【0079】
また、プラスチックレンズのような樹脂レンズでは屈折率とアッベ数のバリエーションが少ないという問題があるが、それに対してもガラスレンズからなる第2,第3レンズL2,L3で対応している。また、絞りSTOに近い方の第2レンズL2のアッベ数が遠い方の第3レンズL3のアッベ数よりも大きくしている。これにより、上記と同様に絞りSTOの位置を第2レンズL2に近づける効果に加えて、異なるアッベ数の組合せにより色収差を好適に低減できる。
【0080】
そして、両外側の第1,第4レンズL1,L4をプラスチックレンズとしていることから、そのレンズ形状を容易に自由な形状にすることができる。投射側の第1レンズL1を非球面レンズにして広い視野を確保すると共に、相反する最外側の第4レンズL4も球面レンズとしてテレセントリックで長バックフォーカスを確保するように、第1および第4レンズL1,L4を容易に加工することができる。このようにして、上記したように4枚のレンズ(L1〜L4)というほぼ最少となる少ないレンズ枚数で構成することができる。
【0081】
また、このような投射レンズ28の構成により、光学エンジンユニット13の厚さをノートパソコン2の筐体内に収めることができるように6.9mm以内にすることができる。ノートパソコン2のドライブベイは一般的に9.5mmの高さであり、その9.5mmの高さのドライブベイ内に収めるためには、光学系の厚さを6.9mm以下にすることで対応し得る。上記したようにプラスチックレンズからなる第1,第4レンズL1,L4に非球面レンズを用いることにより、枚数を低減すると共に光軸方向長さを短くすることができ、例えば光変調器25が0.22インチのサイズのものであった場合でも十分対応できる。また、第1レンズL1の第1共役点側(投射側)の面から光変調器25までの距離である全光学長も40mm以下にすることができ、上記ノートパソコン2の筐体内に収めることに支障を来すことがない。
【0082】
また、樹脂材により構成される第1および第4レンズL1,L4のレンズ成分としては、シクロオレフィンポリマーまたはシクロオレフィンコポリマーにより構成されるとよい。これにより、プラスチックレンズからなる第1および第4レンズL1,L4のレンズ成分の耐光性(特に青色レーザ光の耐光性)をさらに高めることができる。
【0083】
投射レンズ28の各レンズ成分のレンズデータとしては上記実施形態に限られるものではなく、他の例としての第2実施形態を、図12〜18を参照して以下に述べる。なお、図12,13は図4,5にそれぞれ対応し、図14〜18は図7〜11にそれぞれ対応し、上記第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0084】
この第2実施形態では、図12に示されるように、第3レンズL3の投射側とは相反する側(光変調器25側)のレンズ面f7が凸状の球面レンズとして形成されている。また、図13に示す表2のレンズデータを設定する条件としては、F値が2.8、焦点距離が9.8mm、光変調器25の像高が3.556mm、スクリーンS上の投影映像の物体高が365.170mm、第1レンズL1のスクリーンS側のレンズ面の中心とスクリーンSとの間の距離が1000mmとする。なお、像高,物体高は図6で説明したものと同じであり、各色レーザ光の重み付けも上記第1実施形態と同じである。
【0085】
次に、上記第1実施形態と同じようにして非球面データを記す。
【0086】
面番号f2では、
CE4=−7.86074481e−5
CE6=5.0989131e−6
CE8=−1.1819951e−8
CE10=−3.448836e−9
CE12=1.8820266e−11
である。
【0087】
面番号f3では、
CE4=−0.00047448961
CE6=6.3768493e−5
CE8=9.0982912e−9
CE10=−8.28291e−7
CE12=3.8041695e−10
である。
【0088】
面番号f8では、
CE4=−0.00062894509
CE6=2.6315444e−5
CE8=−9.0014583e−7
CE10=1.5167082e−8
CE12=−1.2901779e−10
である。
【0089】
面番号f9では、
CE4=0.00019208273
CE6=−5.8501995e−7
CE8=1.2441806e−7
CE10=−5.0888151e−9
CE12=−1.6961643e−11
である。
【0090】
この第2実施形態においても、図14〜18に示されるように各収差は何等問題ない範囲に収まっている。なお、図18(a)の像高(P1)は0mmであり、(b)の像高(P2)は1.743mmであり、(c)の像高(P3)は3.099mmであり、(d)の像高(P4)は3.556mmである。
【0091】
また、第3実施形態を、図19〜25を参照して以下に述べる。なお、図19,20は図4,5にそれぞれ対応し、図21〜25は図7〜11にそれぞれ対応し、上記第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0092】
この第3実施形態では、図19に示されるように、第2実施形態に対して、第2レンズL2の投射側(スクリーンS側)のレンズ面f5が凹状の球面レンズとして形成されている。また、図20に示す表3のレンズデータを設定する条件としては、F値が2.8、焦点距離が9.8mm、光変調器25の像高が3.564mm、スクリーンS上の投影映像の物体高が369.13mm、第1レンズL1のスクリーンS側のレンズ面の中心とスクリーンSとの間の距離が1000mmとする。なお、像高,物体高は図6で説明したものと同じであり、各色レーザ光の重み付けも上記第1実施形態と同じである。
【0093】
次に、上記第1実施形態と同じようにして非球面データを記す。
【0094】
面番号f2では、
CE4=6.843509e−5
CE6=3.1766495e−6
CE8=7.2233378e−8
CE10=−7.3650241e−9
CE12=5.2732706e−10
である。
【0095】
面番号f3では、
CE4=0.00037286867
CE6=2.063769e−5
CE8=−5.3742222e−7
CE10=1.4666301e−8
CE12=−7.8445372e−10
である。
【0096】
面番号f8では、
CE4=−1.2843437e−5
CE6=1.8851824e−6
CE8=6.8991401e−8
CE10=3.1354425e−9
CE12=−1.5749645e−10
である。
【0097】
面番号f9では、
CE4=0.00089271739
CE6=−8.5790227e−6
CE8=2.2007841e−7
CE10=1.7873333e−9
CE12=−2.0959156e−10
である。
【0098】
この第3実施形態においても、図21〜25に示されるように各収差は何等問題ない範囲に収まっている。なお、図25(a)の像高(P1)は0mmであり、(b)の像高(P2)は1.743mmであり、(c)の像高(P3)は3.099mmであり、(d)の像高(P4)は3.556mmである。
【0099】
さらに、第1実施形態に対して、設計条件として、光変調器25のサイズを0.22インチから0.28インチとし、偏光ビームスプリッタ26の硝材を第1実施形態ではBSC7(日本光学硝子工業会指定のクラウンガラス)としているのに対してSF57HHT(SCHOTT製)とした。
【0100】
これにより、MTF(変調伝達関数)は、第1実施形態の83lp/mm(軸外40%、軸上50%)に対して、100lp/mm(軸外40%、軸上50%)となり、解像度が向上した。また、第1レンズL1の厚さ(光軸上の厚さ)が4.2mmから3.1mmと薄くすることができたため、レンズ製造時の冷却時間を短縮でき、製造コストを低減し得る。また、第4レンズL4のコバ厚は0.5mmから1mmとなり、プラスチックレンズの成形性を向上し得る。そして、投射レンズ28の全光学長が30mmから27mmになり、小型化を促進することができる。
【0101】
なお、上記各実施形態では、4枚のレンズ構成した例について示したが、本発明は3枚以上の構成であればよい。3枚とする場合には第2,第3レンズL2,L3を1枚のガラスレンズとすることで可能であり、解像度や輝度が上記各実施形態に比べて低下し、焦点距離も短くなるが、そのような仕様で対応可能な場合には適用可能である。
【0102】
以上、本発明を、その好適形態実施例について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施例により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明にかかる投射レンズおよびそれを備えた画像表示装置は、コンパクトな構成で、高解像度化かつ高輝度化し、さらに長焦点距離化を可能とし、小型プロジェクタ等として有用である。
【符号の説明】
【0104】
1 画像表示装置
25 光変調器
22 緑色レーザ光源装置
23 赤色レーザ光源装置
24 青色レーザ光源装置
28 投射レンズ
L1 第1レンズ(レンズ成分)
L2 第2レンズ(レンズ成分)
L3 第3レンズ(レンズ成分)
L3 第4レンズ(レンズ成分)
STO 絞り
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3つ以上のレンズ成分を備えかつ光変調器側テレセントリックにされた投射レンズであって、
前記投射レンズの共役点に面する両外側に配置された各外側レンズ成分はプラスチックレンズであり、
前記投射レンズの絞り位置が各前記外側レンズ成分間にあり、
前記投射レンズの前記外側レンズ成分以外のレンズ成分で少なくとも前記絞り位置に最も近いものがガラスレンズであることを特徴とする投射レンズ。
【請求項2】
前記外側レンズ成分の少なくとも一方のレンズ面が非球面であることを特徴とする請求項1に記載の投射レンズ。
【請求項3】
投射側から順に配置された第1レンズ成分、第2レンズ成分、第3レンズ成分、第4レンズ成分からなりかつ物体側テレセントリックにされた投射レンズであって、
前記第1レンズ成分と前記第2レンズ成分との間に絞り位置を有し、
前記第1レンズ成分は、そのレンズ面の中央部が前記投射側に突出した擬似的な凹メニスカス形状かつ負の屈折力を有するプラスチックレンズであり、
前記第4レンズ成分は、擬似的な両凸形状かつ正の屈折力を有するプラスチックレンズであり、
前記第2レンズ成分および前記第3レンズ成分がガラスレンズであることを特徴とする投射レンズ。
【請求項4】
前記第2レンズ成分と前記第3レンズ成分とは、互いに接合された複合レンズからなり、かつ全体として正の屈折力を有することを特徴とする請求項3に記載の投射レンズ。
【請求項5】
前記第2レンズ成分は、両凸形状あるいは前記第1レンズ成分側が凹形状かつ前記第3レンズ成分側が凸形状の球面レンズであり、
前記第3レンズ成分は、両凹形状あるいは前記第2レンズ成分側が凹形状かつ前記第4レンズ成分側が凸形状の球面レンズであることを特徴とする請求項4に記載の投射レンズ。
【請求項6】
前記第2レンズ成分のアッベ数が第3レンズ成分のアッベ数より大きいことを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかに記載の投射レンズ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の投射レンズを備え、
赤色、緑色および青色の各色レーザ光を出射する各レーザ光源装置と、レーザ光を変調する光変調器と、前記各レーザ光源装置から出射される前記各色レーザ光を同一光路にして前記光変調器に入射するための光学系とを有し、
前記投射レンズは、前記光変調器で変調されて出射される変調出射光を外部に出射する光軸上に配置されていることを特徴とする投射レンズを備えた画像表示装置。
【請求項1】
少なくとも3つ以上のレンズ成分を備えかつ光変調器側テレセントリックにされた投射レンズであって、
前記投射レンズの共役点に面する両外側に配置された各外側レンズ成分はプラスチックレンズであり、
前記投射レンズの絞り位置が各前記外側レンズ成分間にあり、
前記投射レンズの前記外側レンズ成分以外のレンズ成分で少なくとも前記絞り位置に最も近いものがガラスレンズであることを特徴とする投射レンズ。
【請求項2】
前記外側レンズ成分の少なくとも一方のレンズ面が非球面であることを特徴とする請求項1に記載の投射レンズ。
【請求項3】
投射側から順に配置された第1レンズ成分、第2レンズ成分、第3レンズ成分、第4レンズ成分からなりかつ物体側テレセントリックにされた投射レンズであって、
前記第1レンズ成分と前記第2レンズ成分との間に絞り位置を有し、
前記第1レンズ成分は、そのレンズ面の中央部が前記投射側に突出した擬似的な凹メニスカス形状かつ負の屈折力を有するプラスチックレンズであり、
前記第4レンズ成分は、擬似的な両凸形状かつ正の屈折力を有するプラスチックレンズであり、
前記第2レンズ成分および前記第3レンズ成分がガラスレンズであることを特徴とする投射レンズ。
【請求項4】
前記第2レンズ成分と前記第3レンズ成分とは、互いに接合された複合レンズからなり、かつ全体として正の屈折力を有することを特徴とする請求項3に記載の投射レンズ。
【請求項5】
前記第2レンズ成分は、両凸形状あるいは前記第1レンズ成分側が凹形状かつ前記第3レンズ成分側が凸形状の球面レンズであり、
前記第3レンズ成分は、両凹形状あるいは前記第2レンズ成分側が凹形状かつ前記第4レンズ成分側が凸形状の球面レンズであることを特徴とする請求項4に記載の投射レンズ。
【請求項6】
前記第2レンズ成分のアッベ数が第3レンズ成分のアッベ数より大きいことを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかに記載の投射レンズ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の投射レンズを備え、
赤色、緑色および青色の各色レーザ光を出射する各レーザ光源装置と、レーザ光を変調する光変調器と、前記各レーザ光源装置から出射される前記各色レーザ光を同一光路にして前記光変調器に入射するための光学系とを有し、
前記投射レンズは、前記光変調器で変調されて出射される変調出射光を外部に出射する光軸上に配置されていることを特徴とする投射レンズを備えた画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2013−33152(P2013−33152A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169438(P2011−169438)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]