説明

抗ウイルス性を有する置換されたジヒドロキナゾリン類

本発明は、式(I)の置換されたジヒドロキナゾリン類、それらの製造方法、並びに疾病を処置および/または予防するために使用される薬品を製造するための、特にサイトメガロウイルスに対する、特に抗ウイルス剤としての、それらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換されたジヒドロキナゾリン類およびそれらの製造方法並びに疾患の処置および/または予防用の、特にサイトメガロウイルスに対する特に抗ウイルス剤としての使用のための、薬品を製造するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ジヒドロキナゾリン類の合成は非特許文献1および非特許文献2に記載されている。
【非特許文献1】Saito T.,et al.著、Tetrahedron Lett.,1996,37,209−212
【非特許文献2】Wang F.,et al.著、Tetrahedron Lett.,1997,38,8651−8654
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
抗ウイルス活性および種々の構造を有する剤が市販されているが、耐性が生ずる可能性が常にある。有効な療法のための新規な薬剤が従って望ましい。
【0004】
従って、本発明の1つの目的は、ヒトおよび動物におけるウイルス性感染疾患の処置のための同じもしくは改良された抗ウイルス効果を有する新規化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明で記載する置換されたジヒドロキナゾリン類が抗ウイルス効果を有することが、驚くべきことに、見出された。
【0006】
本発明は、式
【0007】
【化1】

【0008】
[式中、
Arは1〜3個の置換基により置換されていてもよいアリールを表わし、ここで置換基は互いに独立してアルキル、アルコキシ、ホルミル、カルボキシル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、トリフルオロメチル、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アミノカルボニルおよびニトロよりなる群から選択され、
ここでアルキルは1〜3個の置換基により置換されていてもよく、ここで置換基は互いに独立してハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ヒドロキシルおよびアリールよりなる群から選択され、
或いはアリール基上の置換基のうちの2個はそれらが結合される炭素原子と一緒になって1,3−ジオキソラン、シクロペンタン環またはシクロヘキサン環を形成し、そして存在する任意の第三の置換基は独立して上記群から選択され、
は水素、アミノ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、アルキルチオ、シアノ、ハロゲン、ニトロまたはトリフルオロメチルを表わし、
は水素、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、シアノ、ハロゲン、ニトロまたはトリフルオロメチルを表わし、
はアミノ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、アルキルチオ、シアノ、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチル、アルキルスルホニルまたはアルキルアミノスルホニルを表わし、
或いは
基R、RおよびRのうちの1つは水素、アルキル、アルコキシ、シアノ、ハロゲン、ニトロまたはトリフルオロメチルを表わし、そして他の2つはそれらが結合される炭素原子と一緒になって1,3−ジオキソラン、シクロペンタン環またはシクロヘキサン環を形成し、
は水素またはアルキルを表わし、
は水素またはアルキルを表わし、
或いは
基RおよびRはピペラジン環内の互いに直接向かい合う炭素原子に結合されそして場合により1もしくは2個のメチル基により置換されていてもよいメチレン架橋を形成し、Rはアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ホルミル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、トリフルオロメチル、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシルまたはニトロを表わし、
は水素、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ホルミル、カルボキシル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、トリフルオロメチル、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシルまたはニトロを表わし、
そして
は水素、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ホルミル、カルボキシル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、トリフルオロメチル、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシルまたはニトロを表わす]
の化合物、並びにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物を提供する。
【0009】
本発明に従う化合物は、式(I)の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、式(I)により包括される以下の化合物が既に塩、溶媒和物および塩の溶媒和物であるのではない限り、以下で態様として挙げる化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0010】
本発明に従う化合物は、それらの構造により、立体異性体形態(エナンチオマー類、ジアステレオマー類)で存在しうる。従って、本発明はエナンチオマー類またはジアステレオマー類およびそれらの各々の混合物に関する。立体異性的に純粋な構成成分は既知の方法でエナンチオマー類および/またはジアステレオマー類のそのような混合物から単離することができる。
【0011】
本発明に従う化合物が互変異性体形態で存在しうる場合には、本発明は全てのそのような互変異性体形態を包含する。
【0012】
本発明の目的のために好ましい塩は本発明に従う化合物の生理学的に許容可能な塩である。しかしながら、本発明はそれ自体では製薬学的用途には適さないが例えば本発明に従う化合物を単離または精製するために使用できる塩も包含する。
【0013】
本発明に従う化合物の生理学的に許容可能な塩は、鉱酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、燐酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩を包含する。
【0014】
本発明に従う化合物の生理学的に許容可能な塩は、通常の塩基の塩、例えば、例示としてそして好ましくは、アルカリ金属塩(例えばナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウムおよびマグネシウム塩)並びにアンモニアまたは炭素数1〜16の有機アミンから誘導されるアンモニウム塩、例えば、例示としてそして好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、アルギニン、リシン、エチレンジアミンおよびN−メチルピペリジンを包含する。
【0015】
溶媒和物は、本発明の目的のためには、溶媒分子との配位により錯体を固体または液体状態で生成する本発明に従う化合物の形態をさす。水和物は水との配位が起きる溶媒和物の特殊な形態である。
【0016】
本発明の目的のためには、断らない限り、置換基は以下の意味を有する:
アルキル自体、並びにアルコキシ、アルキルアミノ、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノスルホニルおよびアルコキシカルボニルにおける「アルク」および「アルキル」は、一般的に炭素数1〜6の、好ましくは1〜4の、特に好ましくは1〜3の、直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基、例示としてそして好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、n−ペンチルおよびn−ヘキシル、である。
【0017】
アルコキシは、例示としてそして好ましくは、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシおよびn−ヘキソキシである。
【0018】
アルキルアミノは、1もしくは2個のアルキル置換基(互いに独立して選択される)を有するアルキルアミノ基、例示としてそして好ましくは、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、tert−ブチルアミノ、n−ペンチルアミノ、n−ヘキシルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−n−ペンチルアミノ、N−イソプロピル−N−n−プロピルアミノ、N−tert−ブチル−N−メチルアミノ、N−エチル−N−n−ペンチルアミノおよびN−n−ヘキシル−N−メチルアミノ、である。C−C−アルキルアミノは、例えば、炭素数1〜3のモノアルキルアミノ基または各場合ともアルキル置換基当りの炭素数が1〜3のジアルキルアミノ基である。
【0019】
アルキルスルホニルは、例示としてそして好ましくは、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、tert−ブチルスルホニル、n−ペンチルスルホニルおよびn−ヘキシルスルホニルである。
【0020】
アルキルアミノスルホニルは、1もしくは2個のアルキル置換基(互いに独立して選択される)を有するアルキルアミノスルホニル基、例示としてそして好ましくは、メチルアミノスルホニル、エチルアミノスルホニル、n−プロピルアミノスルホニル、イソプロピルアミノスルホニル、tert−ブチルアミノスルホニル、n−ペンチルアミノスルホニ
ル、n−ヘキシル−アミノスルホニル、N,N−ジメチルアミノスルホニル、N,N−ジエチルアミノスルホニル、N−エチル−N−メチルアミノスルホニル、N−メチル−N−n−プロピルアミノスルホニル、N−イソプロピル−N−n−プロピル−アミノスルホニル、N−tert−ブチル−N−メチルアミノスルホニル、N−エチル−N−n−ペンチルアミノスルホニルおよびN−n−ヘキシル−N−メチルアミノスルホニル、である。C−C−アルキルアミノスルホニルは、例えば、炭素数1〜3のモノアルキルアミノスルホニル基または各場合ともアルキル置換基当りの炭素数が1〜3のジアルキルアミノスルホニル基である。
【0021】
アルキルカルボニルは、例示としてそして好ましくは、アセチルおよびプロパノイルである。
【0022】
アルコキシカルボニルは、例示としてそして好ましくは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、n−ペントキシカルボニルおよびn−ヘキソキシカルボニルである。
【0023】
アリールは一般的に炭素数6〜14の単ないし三環式の芳香族炭素環式基、例示としてそして好ましくは、フェニル、ナフチルおよびフェナンスレニルである。
【0024】
ハロゲンは弗素、塩素、臭素およびヨウ素、好ましくは弗素および塩素である。
【0025】
炭素原子上の記号は、化合物がこの炭素原子における立体配置に関してエナンチオマー的に純粋な形態で存在することを意味し、それは本発明の目的のためには90%より多いエナンチオマー過剰(>90%ee)を意味すると理解すべきである。
【0026】
Arが1〜3個の置換基により置換されていてもよいフェニルを表わし、ここで置換基が互いに独立してC−C−アルキル、C−C−アルコキシ、カルボキシル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、トリフルオロメチル、弗素、塩素、臭素、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、C−C−アルキルアミノおよびニトロよりなる群から選択され、
或いはフェニル基上の置換基のうちの2個がそれらが結合される炭素原子と一緒になって1,3−ジオキソランを形成し、そして存在する任意の第三の置換基は独立して上記群から選択され、
が水素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、弗素または塩素を表わし、
が水素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、弗素または塩素を表わし、
がC−C−アルキル、シアノ、弗素、塩素、ニトロ、トリフルオロメチルまたはC−C−アルキルスルホニルを表わし、
或いは
基R、RおよびRのうちの1つが水素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、シアノ、ハロゲン、ニトロまたはトリフルオロメチルを表わし、そして他の2つがそれらが結合される炭素原子と一緒になってシクロペンタン環またはシクロヘキサン環を形成し、
が水素またはメチルを表わし、
が水素を表わし、
がC−C−アルキル、C−C−アルコキシ、カルボキシル、アミノカルボニル、トリフルオロメチル、弗素、塩素、シアノ、ヒドロキシルまたはニトロを表わし、
が水素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、弗素、塩素、シアノまたはヒドロキシルを表わし、
そして
が水素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、弗素、塩素、シアノまたはヒドロキシルを表わす
式(I)の化合物が好ましい。
【0027】
これらの中で、
Arが1もしくは2個の置換基により置換されていてもよいフェニルを表わし、ここで置換基が互いに独立してメチル、メトキシ、弗素および塩素よりなる群から選択され、
が水素、メチル、メトキシ、メチルチオ、弗素または塩素を表わし、
が水素を表わし、
がメチル、イソプロピル、tert−ブチル、シアノ、弗素、塩素、ニトロまたはトリフルオロメチルを表わし、
が水素を表わし、
が水素を表わし、
がアミノカルボニル、弗素、塩素、シアノまたはヒドロキシルを表わし、
が水素を表わし、
そして
が水素、弗素または塩素を表わす
式(I)の化合物が特に好ましい。
【0028】
これらの中で、また、
Arが1もしくは2個の置換基により置換されていてもよいフェニルを表わし、ここで置換基が互いに独立してメチル、メトキシ、弗素および塩素よりなる群から選択され、
が水素、メチル、メトキシ、メチルチオ、弗素または塩素を表わし、
が水素を表わし、
がメチル、tert−ブチル、シアノ、弗素、塩素、ニトロまたはトリフルオロメチルを表わし、
が水素を表わし、
が水素を表わし、
がアミノカルボニル、弗素、塩素、シアノまたはヒドロキシルを表わし、
が水素を表わし、
そして
が水素、弗素または塩素を表わす
式(I)の化合物が特に好ましい。
【0029】
これらの中で、
Arが1もしくは2個の置換基により置換されていてもよいフェニルを表わし、ここで置換基が互いに独立してメチル、メトキシ、弗素および塩素よりなる群から選択され、
が水素またはメトキシを表わし、
が水素を表わし、
がメチル、tert−ブチル、塩素またはトリフルオロメチルを表わし、
が水素を表わし、
が水素を表わし、
がアミノカルボニルまたは弗素を表わし、
が水素を表わし、
そして
が水素または弗素を表わす
式(I)の化合物が非常に特に好ましい。
【0030】
が水素、メチル、メトキシまたは弗素を表わす式(I)の化合物も好ましい。
【0031】
これらの中で、Rがメトキシを表わす式(I)の化合物が特に好ましい。
【0032】
また、Rがフェニル環にフェニル環の結合点に対してオルト位置を介して結合される式(I)の化合物も好ましい。本発明の目的のためには、R、RおよびRにより置換されたフェニル環の結合点は式(I)に従いジヒドロキナゾリンの2個の窒素原子の1個に結合されているフェニル環の炭素原子を意味すると理解すべきである。
【0033】
がメトキシを表わし且つRがフェニル環にフェニル環の結合点に対してオルト位置を介して結合される式(I)の化合物が特に好ましい。
【0034】
が水素を表わす式(I)の化合物も好ましい。
【0035】
がトリフルオロメチル、塩素、メチル、イソプロピルまたはtert−ブチルを表わす式(I)の化合物も好ましい。
【0036】
これらの中で、Rがトリフルオロメチル、塩素またはメチルを表わす式(I)の化合物が特に好ましい。
【0037】
これらの中で、Rがトリフルオロメチルを表わす式(I)の化合物が非常に特に好ましい。
【0038】
また、Rがフェニル環にフェニル環の結合点に対してオルト位置を介して結合されそしてRがフェニル環にフェニル環の結合点に対してメタ位置を介して結合され、その位置がRのものと向かい合う式(I)の化合物も好ましい。
【0039】
がフェニル環にフェニル環の結合点に対してオルト位置を介して結合され、Rがトリフルオロメチル、塩素またはメチルを表わし且つRがフェニル環にフェニル環の結合点に対してメタ位置を介して結合され、その位置がRのものと向かい合う式(I)の化合物が特に好ましい。
【0040】
これらの中で、Rがフェニル環にフェニル環の結合点に対してオルト位置を介して結合され、Rがトリフルオロメチルを表わし且つRがフェニル環にフェニル環の結合点に対してメタ位置を介して結合され、その位置がRのものと向かい合う式(I)の化合物が特に好ましい。
【0041】
およびRが水素を表わす式(I)の化合物もまた好ましい。
【0042】
が弗素を表わす式(I)の化合物もまた好ましい。
【0043】
が弗素を表わしそしてRが式
【0044】
【化2】

【0045】
に記載されている通りにジヒドロキナゾリンの芳香族基に結合されている式(I)の化合物が特に好ましい。
【0046】
が水素を表わす式(I)の化合物もまた好ましい。
【0047】
これらの中で、Rが水素、メチルまたは弗素を表わす式(I)の化合物が特に好ましい。
【0048】
これらの中で、Rが水素を表わす式(I)の化合物が非常に特に好ましい。
【0049】
Arが1もしくは2個の置換基により置換されていてもよいフェニルを表わし、ここで置換基が互いに独立してメチル、メトキシ、弗素および塩素よりなる群から選択される式(I)の化合物も好ましい。
【0050】
基の各々の組み合わせまたは好ましい組み合わせの中で示されている特定の基の定義は、各場合に示される基の組み合わせとは独立して、他の組み合わせの基の定義によっても置換される。
【0051】
上記の好ましい範囲の2つもしくはそれ以上の組み合わせが非常に特に好ましい。
【0052】
本発明はさらに、式
【0053】
【化3】

【0054】
[式中、
Ar、R、R、R、R、R、R、RおよびRは以上で定義された通りであり、
そして
はアルキル、好ましくはメチルまたはエチルまたはtert−ブチルを表わす]
の化合物を塩基または酸と反応させることを含んでなる式(I)の化合物の製造方法を提供する。
【0055】
メチルおよびエチルの場合、反応は一般的には塩基を用いて不活性溶媒中で、好ましくは室温から溶媒の還流温度までの温度範囲内で、大気圧において行われる。
【0056】
適する塩基は、例えば、適宜水溶液状の、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化リチウムもしくは水酸化カリウム、またはアルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸セシウム、炭酸ナトリウムもしくは炭酸カリウムであり、水中の水酸化ナトリウムが好ましい。
【0057】
不活性溶媒は、例えば、エーテル類、例えば1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルもしくはジエチレングリコールジメチルエーテル、アルコール類、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノール、または溶媒の混合物であり、ジオキサンまたはテトラヒドロフランが好ましい。
【0058】
tert−ブチルの場合、反応は一般的には酸を用いて不活性溶媒中で、好ましくは0℃〜40℃の温度範囲内で、大気圧において行われる。
【0059】
ここで、適する酸はジオキサン中の塩化水素、酢酸中の臭化水素または塩化メチレン中のトリフルオロ酢酸である。
【0060】
式(II)の化合物は既知であるか、または式
【0061】
【化4】

【0062】
[式中、
、R、RおよびRは以上で定義された通りである]
の化合物を二段階反応で最初に式
【0063】
【化5】

【0064】
[式中、
、RおよびRは以上で定義された通りである]
の化合物と、そして次に式
【0065】
【化6】

【0066】
[式中、
Ar、RおよびRは以上で定義された通りである]
の化合物と反応させることにより製造することができる。
【0067】
反応の二段階は一般的には不活性溶媒中で、好ましくは室温から100℃の温度範囲内で、大気圧において行われる。第二段階では、適宜、シリカゲルを反応混合物に加える。反応は好ましくは第一および第二段階の間に処理をして行われる。
【0068】
適する不活性溶媒は、例えば、ハロゲン化された炭化水素類、例えば塩化メチレン、トリクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタンもしくはトリクロロエチレン、エーテル類、例えばジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルもしくはジエチレングリコールジメチルエーテル、炭化水素類、例えばベンゼン、キシレン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサンもしくは鉱油画分、または他の溶媒、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリルもしくは酢酸エチル、または溶媒の混合物であり、塩化メチレンが好ましい。
【0069】
式(IV)の化合物は既知であるか、または既知の方法により対応する出発物質から合成することができる。
【0070】
式(V)の化合物は既知であるか、または既知の方法により対応する出発物質から、例えば以下の合成スキームに従うブッフワルド−ハルトウィッグ(Buchwald−Hartwig)反応(C.G.Frost,P.Mendonca,J.Chem.Soc.,Perkin Trans I,1998,2615−2623)により合成することができる。
ブッフワルド−ハルトウィッグ反応:
【0071】
【化7】

【0072】
この目的のために必要な出発物質は既知であるか、または既知の方法により対応する出発物質から合成することができる。
【0073】
式(III)の化合物は既知であるか、または式
【0074】
【化8】

【0075】
[式中、
、R、RおよびRは以上で定義された通りである]
の化合物をトリフェニルホスフィンおよび四塩化炭素と反応させることにより製造できる。
【0076】
反応は一般的には不活性溶媒中で、塩基の存在下で、好ましくは室温から50℃の温度範囲内で、大気圧において行われる。
【0077】
適する不活性溶媒は、例えば、エーテル類、例えばジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルもしくはジエチレングリコールジメチルエーテル、炭化水素類、例えばベンゼン、キシレン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサンもしくは鉱油画分、または他の溶媒、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリルもしくはピリジンであり、アセトニトリルが好ましい。
【0078】
適する塩基は、例えば、アルカリ金属およびアルカリ土類金属炭酸塩、例えば炭酸セシウム、炭酸ナトリウムもしくは炭酸カリウム、またはアミン類、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリンもしくはピリジンであり、トリエチルアミンが好ましい。
【0079】
式(VI)の化合物は既知であるか、または既知の方法により対応する出発物質から、例えば以下の合成スキームに従うヘック(Heck)反応もしくはウィッティッヒ−ホルナー(Wittig−Horner)反応により、合成することができる。
ヘック反応:
【0080】
【化9】

【0081】
ウィッティッヒ−ホルナー反応:
【0082】
【化10】

【0083】
この目的のために必要な出発物質は既知であるか、または既知の方法により対応する出発物質から合成することができる。
【0084】
本発明に従う化合物の製造を以下の合成スキームにより説明することができる。
合成スキーム:
【0085】
【化11】

【0086】
本発明に従う一般式(I)の化合物は、これまで予期できなかった驚異的な効果域を示す。それらはヘルペスウイルス科(Herpes viridae)(ヘルペスウイルス)の群の典型例に対して、特にサイトメガロウイルス(CMV)に対して、特にヒトサイトメガロウイルス(HCMV)に対して、抗ウイルス効果を示す。
【0087】
例として挙げられうる適応症(indication)の領域は以下のものである:
1)エイズ患者におけるHCMV感染症(網膜炎、肺炎、胃腸感染症)の処置および予防。
2)しばしば生命を脅かすHCMV肺炎または脳炎、並びに胃腸および全身的HCMV感染症をもたらす骨髄および器官移植におけるサイトメガロウイルス性感染症の処置および予防。
3)新生児および幼児におけるHCMV感染症の処置および予防。
4)妊娠女性におけるHCMV感染症の処置および予防。
5)癌および癌療法に伴う免疫抑制された患者におけるHCMVの処置。
6)HCMV−介在性腫瘍進行を減ずる目的のHCMV−陽性癌患者の処置(J.Cinatl,et al.,FEMS Microbiology Reviews 2004,28,59−77参照)。
【0088】
本発明は、疾患、特にウイルス、特に上記ウイルス、による感染症、およびこれらの感染症により引き起こされる感染性疾患の処置および/または予防のための本発明に従う化合物の使用もさらに提供する。以下で、ウイルス性感染症とはウイルスによる感染症およびこれらの感染症により引き起こされる感染性疾患の両者を包含すると理解すべきである。
【0089】
本発明はまた、障害、特に上記障害、の処置および/または予防のための本発明に従う化合物の使用も提供する。
【0090】
本発明はまた、障害、特に上記障害、の処置および/または予防用の薬品を製造するための本発明に従う化合物の使用も提供する。
【0091】
本発明に従う化合物は好ましくは、ヘルペスウイルス科の群の典型例、特にサイトメガロウイルス、特にヒトサイトメガロウイルスによる感染症の処置および/または予防に適する薬品を製造するために使用される。
【0092】
本発明はまた、抗ウイルス有効量の本発明に従う化合物を使用する障害、特に上記障害、の処置および/または予防方法も提供する。
【0093】
本発明はまた、特に上記障害の処置および/または予防のための、少なくとも1種の本発明に従う化合物および少なくとも1種もしくはそれ以上の他の活性化合物を含んでなる薬品も提供する。組み合わせに適する活性化合物は、例示としてそして好ましくは、抗ウイルス活性化合物、例えばガンシクロヴィル(gancyclovir)またはアシクロヴィル(acyclovir)である。
【0094】
本発明に従う化合物は全身的におよび/または局部的に作用しうる。この目的のためには、それらは適当な方法で、例えば、経口的、非経口的、肺、鼻、舌下、舌、頬、直腸、皮膚、経皮、結膜もしくは耳方式で、または移植片もしくはステントとして投与することができる。
【0095】
これらの投与方式用に、本発明に従う化合物を適切な投与形態で投与することが可能である。
【0096】
本発明に従う化合物を急速におよび/または修飾形態で分配しそして本発明に従う化合物を結晶および/または非晶質および/または溶解された形態で含んでなる既知の投与形態、例えば、錠剤(未コーティングもしくはコーティング錠剤、例えば腸溶皮コーティン
グまたはゆっくり溶解するかもしくは不溶性でありそして本発明に従う化合物の放出を調節するコーティングが付与された錠剤)、口腔内で急速に崩壊する錠剤、および/またはフィルム/ウエファー、フィルム/凍結乾燥剤、カプセル剤(例えばハート(Hart)もしくは軟質ゼラチンカプセル剤)、糖−コーティング錠剤、粒剤、ペレット剤、粉剤、乳剤、懸濁剤、アエロゾル剤または液剤が経口投与に適する。
【0097】
非経口投与は吸着段階を避けて(例えば静脈内、動脈内、脊髄内もしくは肺内)または吸収を含んで(例えば筋肉内、皮下、皮内、経皮もしくは腹腔内)行うことができる。非経口投与に適する投与形態は、とりわけ、液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤または殺菌性粉剤の形態での、注射および注入用調剤である。
【0098】
他の投与方式に適する例は、例えば、吸入用の医薬品形態(とりわけ粉末吸入剤、ネブライザー)、鼻用の滴下剤/液剤/噴霧剤;舌に、舌下にもしくは頬に投与される錠剤、フィルム/ウエファーまたはカプセル剤、坐薬、目もしくは耳用の調剤、膣カプセル剤、水性懸濁剤(ローション、シェービング混合物)、親油性坐薬、軟膏剤、クリーム剤、経皮治療システム、乳剤、ペースト剤、泡剤、散布粉剤、移植片またはステントである。
【0099】
本発明に従う化合物は上記の投与形態にすることができる。これは既知の方法で不活性な無毒の製薬学的に許容可能な助剤の混合で行うことができる。これらの助剤は、とりわけ、担体(例えば微結晶性セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば液体ポリエチレングリコール類)、乳化剤および分散化剤または湿潤剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ポリオキシソルビタン)、結合剤(例えばポリビニルピロリドン)、合成および天然重合体(例えばアルブミン)、安定剤(例えば酸化防止剤、例えばアスコルビン酸)、着色剤(例えば無機顔料、例えば酸化鉄)並びに香味−および/または臭気遮蔽剤を包含する。
【0100】
本発明はさらに、少なくとも1種の本発明に従う化合物を一般には1種もしくはそれ以上の不活性な無毒の製薬学的に許容可能な助剤と一緒に含んでなる薬品、並びに上記目的のためのそれらの使用も提供する。
【0101】
一般的に、有効な結果を得るには、静脈投与量に関しては約0.001〜10mg/kg、好ましくは約0.01〜5mg/kgの体重を投与することが有利であると証明されており、そして経口投与に関する薬用量は約0.01〜25mg/kg、好ましくは約0.1〜10mg/kgの体重である。
【0102】
それにもかかわらず、特に体重、投与方式、活性化合物に対する個別応答、調合方式および投与を行う時間または間隔の関数として、適宜上記量から逸脱することが必要となることがある。それ故、ある場合には上記の最少量より少ない量で行うことで充分であるが、他の場合には上記の上限を越えなければならない。比較的大量投与の場合にはこれらを1日当り複数の個別薬用量に分割することが推奨される。
【0103】
他の指示、すなわち部数または重量部、がない限り、以下の試験および実施例中の百分率データは重量百分率である。液体/液体溶液の溶媒比、希釈比および濃度データは各場合とも容量基準である。
【実施例】
【0104】
A.実施例
略語:
BINAP 2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル
CDCl3 重水素化されたクロロホルム
DCI 直接化学的イオン化(MS中)
DCM ジクロロメタン
DIEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMSO ジメチルスルホキシド
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
EA 酢酸エチル
EI 電子衝撃イオン化(MS中)
ESI 電子噴霧イオン化(MS中)
h 時
HPLC 高圧高性能液体クロマトグラフィー
LC−MS 液体−クロマトグラフィー−結合された質量分光法
LDA リチウムジイソプロピルアミド
min 分
m.p. 融点
MS 質量分光法
MTBE メチルtert−ブチルエーテル
NMR 核磁気共鳴分光法
Pd−C 炭素上パラジウム
RP−HPLC 逆相HPLC
RT 室温
保持時間(HPLC中)
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
一般的なLC−MSおよびHPLC方法:
方法1(分析HPLC):カラム:クロマシル(Kromasil)C18 60mm×2mm;温度:30℃;流速:0.75ml/min;移動相A:0.005M HClO、移動相B:アセトニトリル;勾配:→0.5min 98%A,→4.5min 10%A,→6.5min 10%A。
方法2(分取HPLC):カラム:クロマシルC18、250mm×30mm;流速:50ml/min;操業当りの時間:38min ;検出:210nm;移動相A:水、移動相B:アセトニトリル;勾配:10%B(3min)→90%B(31min )→90%B(34min )→10%B(34.01min)。
方法3(LC−MS):カラム:クロマシルC120 ODS−4 HE、50mm×2.0mm、3μm;移動相A:1lの水+1mlの50%強度蟻酸、移動相B:1lのアセトニトリル+1mlの50%強度蟻酸;勾配:0.0min 100%A→0.2min 100%A→2.9min 30%A→3.1min 10%A→4.5min 10%A;炉:55℃;流速:0.8ml/min ;UV検出:208−400nm。
方法4(分取HPLC、エナンチオマー類の分離、カルボン酸):カラム:セレクターであるポリ(N−メタクリロイル−L−ロイシン−1−メンチルアミド)を基にしたパッキング・キラル・シリカゲル・セレクターKBD8361(420mm×100mm);温度:23℃;移動相:メチルtert−ブチルエーテル;流速:100ml/min;化合物をメチルtert−ブチルエーテル/酢酸エチル(9:1)中に溶解させる。
方法5(分取HPLC):カラム:クロマシルC18、250mm×30mm;流速:50ml/min;操業当りの時間:38min ;検出:210nm;移動相A:0.1%蟻酸を含む水、移動相B:アセトニトリル;勾配:10%B(3min)→90%B(31min )→90%B(34min )→10%B(34.01min)。
方法6(分析HPLC):装置:DAD検出を含むHP1100;カラム:クロマシルRP−18、60mm×2mm、3.5μm;移動相A:5mlのHClO/lの水、移動相B:アセトニトリル;勾配:0min 2%B、0.5min 2%B、4.5min
90%B、9min 90%B;流速:0.75ml/min ;温度:30℃;検出:
UV210nm。
方法7(LC−MS):装置:HPLCアギレント(Agilent)シリーズ1100を有するマイクロマス・プラットフォーム(Micromass Platform)LCZ;カラム:グロム−シル(Grom−SIL)120 ODS−4HE、50mm×2.0mm、3μm;移動相A:1lの水+1mlの50%強度蟻酸、移動相B:1lのアセトニトリル+1mlの50%強度蟻酸;勾配:0.0min 100%A→0.2min 100%A→2.9min 30%A→3.1min 10%A→4.5min 10%A;炉:55℃;流速:0.8ml/min ;UV検出:210nm。
方法8(LC−MS):装置:マイクロマス・プラットフォームLCZ、HP1100;カラム:シンメトリー(Symmetry)C18、50mm×2.1mm、3.5μm;移動相A:アセトニトリル+0.1%蟻酸、移動相B:水+0.1%蟻酸;勾配:0.0min 10%A→4.0min 90%A→6.0min 90%A;炉:40℃;流速:0.5ml/min ;UV検出:208−400nm。
方法9(LC−MS):MS装置:マイクロマスZQ;HPLC器具:ウォーターズ・アライアンス(Waters Alliance)2795;カラム:メルク・クロモリス・スピード(Merck Chromolith Speed)ROD RP−18e 50mm×4.6mm、3.5μm;移動相A:水+500μlの50%強度蟻酸/l、移動相B:アセトニトリル+500μlの50%強度蟻酸/l;勾配:0.0min 10%B→3.0min 95%B→4.0min 95%B;炉:35℃;流速:0.0min 1.0ml/min→3.0min 3.0ml/min→4.0min 3.0ml/min;UV検出:210nm。
方法10(LC−MS):MS装置:マイクロマスZQ;HPLC器具:HP1100シリーズ;カラム:グロム−シル120 ODS−4HE 50mm×2mm、3.0μm;移動相A:水+500μlの50%強度蟻酸/l、移動相B:アセトニトリル+500μlの50%強度蟻酸/l;勾配:0.0min 0%B→2.9min 70%B→3.1min 90%B→4.5min 90%B;炉:50℃;流速:0.8ml/min;UV検出:210nm。
方法11(分取HPLC、エナンチオマー類の分離):カラム:セレクターであるポリ(N−メタクリロイル−L−ロイシン−1−メンチルアミド)を基にしたパッキング・キラル・シリカゲル・セレクターKBD8361(250mm×20mm);温度:23℃;移動相:メチルtert−ブチルエーテル+5%酢酸エチル;流速:25ml/min。方法12(分取HPLC、エナンチオマー類の分離):カラム:セレクターであるポリ(N−メタクリロイル−L−ロイシン−ジシクロプロピルメチルアミド)を基にしたパッキング・キラル・シリカゲル・セレクターKBD5326(250mm×20mm);温度:23℃;移動相:メチルtert−ブチルエーテル+5%酢酸エチル;流速:25ml/min。
方法13(分取HPLC、エナンチオマー類の分離):カラム:セレクターであるポリ(N−メタクリロイル−L−ロイシン−1−メンチルアミド)を基にしたパッキング・キラル・シリカゲル・セレクターKBD8361(250mm×20mm);温度:23℃;移動相:メチルtert−ブチルエーテル;流速:25ml/min。
方法14(分取HPLC、エナンチオマー類の分離、エステル類):カラム:セレクターであるポリ(N−メタクリロイル−L−ロイシン−1−メンチルアミド)を基にしたパッキング・キラル・シリカゲル・セレクターKBD8361(420mm×100mm);温度:23℃;移動相:イソヘキサン/酢酸エチル 85/15 v/v;流速:100ml/min;化合物をイソヘキサン/酢酸エチル(85:15)中に溶解させる。
方法15(分取HPLC、エナンチオマー類の分離、エステル類):カラム:セレクターであるポリ(N−メタクリロイル−L−ロイシン−1−メンチルアミド)を基にしたパッキング・キラル・シリカゲル・セレクターKBD8361(420mm×100mm);温度:23℃;移動相:メチルtert−ブチルエーテル;流速:100ml/min;化合物をメチルtert−ブチルエーテル中に溶解させる。
方法16(LC−MS):装置:HPLCアギレントシリーズ1100を有するマイクロマス・プラットフォームLCZ;カラム:グロム−シル120 ODS−4HE、50mm×2.0mm、3μm;移動相A:1lの水+1mlの50%強度蟻酸、移動相B:1lのアセトニトリル+1mlの50%強度蟻酸;勾配:0.0min 100%A→0.2min 100%A→2.9min 30%A→3.1min 10%A→4.5min 10%A;炉:55℃;流速:0.8ml/min ;UV検出:208−400nm。
方法17(LC−MS):MS装置:マイクロマスZQ;HPLC装置:ウォーターズ・アライアンス2790;カラム:グロム−シル120 ODS−4HE 50mm×2mm、3.0μm;移動相A:水+500μlの50%強度蟻酸/l、移動相B:アセトニトリル+500μlの50%強度蟻酸/l;勾配:0.0min 0%B→0.2min 0%B→2.9min 70%B→3.1min 90%B→4.5min 90%B;炉:45℃;流速:0.8ml/min ;UV検出:210nm。
出発物質
一般工程[A]:2−ハロ−置換されたアニリン類からのヘックカップリングによる置換された2−アミノ珪皮酸誘導体の合成
一首フラスコ中に、1.0当量のアリールハライドを最初に1.6当量のアクリル酸メチルまたはアクリル酸tert−ブチル、2.0当量のトリエチルアミン、0.03当量の酢酸パラジウム(II)およびアセトニトリル中の0.03当量のトリ−o−トリホスフィン(約1M溶液)と一緒に充填する。混合物を還流下で48時間にわたり撹拌する。反応が終了した後に(反応はTLCにより監視される)、溶媒を除去する。残渣をシリカゲル上でシクロヘキサン/酢酸エチル=8:2v/vを用いてクロマトグラフィーにより精製する。
実施例1A
(2E)−3−[2−アミノ−3−フルオロフェニル]プロペン酸メチル
【0105】
【化12】

【0106】
42.00g(221.04ミリモル)の2−ブロモ−6−フルオロアニリンで出発して、一般工程[A]が29.66g(理論値の68%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.14min
MS(ESI−pos):m/z=196(M+H)
実施例2A
2−アミノ−3−[(1E)−3−メトキシ−3−オキソ−1−プロペニル]安息香酸メチル
【0107】
【化13】

【0108】
2.00g(8.69ミリモル)の2−アミノ−3−ブロモ安息香酸メチルで出発して、一般工程[A]が1.29g(理論値の60%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.42min
MS(ESI−pos):m/z=236(M+H)
実施例3A
(2E)−3−(2−アミノ−3,5−ジフルオロフェニル)−2−プロペン酸メチル
【0109】
【化14】

【0110】
3.00g(14.42ミリモル)の2−ブロモ−4,6−ジフルオロアニリンで出発して、一般工程[A]が1.41g(理論値の45%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.23min
MS(ESI−pos):m/z=214(M+H)
実施例4A
4−アミノ−3−[(1E)−3−メトキシ−3−オキソ−1−プロペニル]安息香酸メチル
【0111】
【化15】

【0112】
25.00g(90.23ミリモル)の4−アミノ−3−ヨード安息香酸メチルで出発
して、一般工程[A]が24.31g(理論値の92%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.71min
MS(ESI−pos):m/z=278(M+H)
実施例5A
(2E)−3−[2−アミノ−5−シアノフェニル]−2−プロペン酸メチル
【0113】
【化16】

【0114】
1.90g(9.64ミリモル)の3−ブロモ−4−アミノベンゾニトリルで出発して、一般工程[A]が1.28g(理論値の50%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=2.85min
MS(DCI−pos):m/z=220(M+NH
一般工程[B]:2−ハロ−置換されたベンズアルデヒド類からのウィッティッヒ−ホルナー反応による置換された2−ニトロ珪皮酸誘導体の合成
100mlの一首フラスコ中で、27.5ミリモルのジエチルホスホノ酢酸メチル、25.0ミリモルのベンズアルデヒドおよび27.5ミリモルの水酸化リチウムをテトラヒドロフラン中に懸濁させる。反応が終了した後に(反応はTLCにより監視される)、反応混合物を同容量の水と混合する。水相を酢酸エチルで3回抽出する。一緒にした有機相を飽和塩化水素溶液で洗浄しそして硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして溶媒を除去する。生成物を高真空下でRTにおいて、さらなる精製なしに、乾燥する。生成物が非常に不純である場合には、適宜それをシリカゲル上でシクロヘキサン/酢酸エチル=8:2v/vを用いてカラムクロマトグラフィーにより精製する。
実施例6A
(2E)−3−(3−メトキシ−2−ニトロフェニル)−2−プロペン酸メチル
【0115】
【化17】

【0116】
2.00g(11.04ミリモル)の3−メトキシ−2−ニトロベンズアルデヒドで出発して、一般工程[B]が2.46g(理論値の92%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.37min
MS(ESI−pos):m/z=238(M+H)
実施例7A
(2E)−3−(5−フルオロ−2−ニトロフェニル)−2−プロペン酸メチル
【0117】
【化18】

【0118】
20.0g(118.3ミリモル)の5−フルオロ−2−ニトロベンズアルデヒドで出発して、一般工程[B]が7.25g(理論値の27%)の生成物を与える。
MS(DCI):m/z=243(M+NH
一般工程[C]:ベンジルハライドからの2−ニトロベンズアルデヒドの製造
10.0ミリモルのベンジルハライド、4.1gの分子ふるい4Åおよび20.0ミリモルのN−メチルモルホリンN−オキシドを45mlのアセトニトリル中に懸濁させる。反応が完了するまで(反応はTLCにより監視される)、混合物をRTにおいて撹拌する。反応が終了した後に、分子ふるいを濾別し、溶媒を除去し、そして残渣を再び酢酸エチル中に加える。この溶液を最初に1N塩酸でそして次に飽和塩化水素溶液で洗浄する。有機相を分離しそして硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして溶媒を再び除去する。分析は、粗製生成物が充分純粋でありそしてその後に直接反応させうることを示す。
実施例8A
2−フルオロ−6−ニトロベンズアルデヒド
【0119】
【化19】

【0120】
2.00g(8.55ミリモル)の3−フルオロ−6−ニトロベンズブロミドで出発して、一般工程[C]が1.09g(理論値の75%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=3.58min
一般工程[D]:2−ニトロ珪皮酸誘導体のニトロ基の還元
アルゴン下で、250mlの二首フラスコ中で25ミリモルのニトロ化合物および125ミリモルの塩化錫(II)二水和物を最初に60mlの無水エタノール中に充填する。この懸濁液を還流下で30分間にわたり撹拌し、そして透明溶液が生成する。溶液を次に室温に冷却しそして引き続き氷水上に注ぐ。固体炭酸水素ナトリウムまたは飽和炭酸ナトリウム溶液のいずれかを用いて、pHをpH=7−8に調節する。60mlの酢酸エチルを次に加え、そして沈殿した錫塩を珪藻土(約1cm厚さの層)を通して濾別する。有機相を分離しそして水相を酢酸エチルで再抽出する。有機相を一緒にし、飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄しそして硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして溶媒をその元の容量の約半分に濃縮する。ニトロ化合物の重量の1%に相当する活性炭を次に加え、そして混合物を還流下で30分間にわたり加熱する(溶液の色が変化する)。活性炭を濾別しそして溶媒を除去する。
【0121】
得られた残渣は油であり、それはRTにおいて高真空下で乾燥すると結晶を生成する。さらなる精製なしに、生成物は次の段階のために直接使用される。
実施例9A
3−[2−アミノ−6−フルオロフェニル]プロペン酸メチル
【0122】
【化20】

【0123】
7.25g(32.2ミリモル)の実施例7Aからのニトロ化合物で出発して、一般工程[D]が5.0g(理論値の58%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=3.33min
一般工程[E]:置換されたアニリン類のアッペル(Appel)反応によるイミノホスホラン類の合成
50mlの一首フラスコ中で、10.0ミリモルの2−アミノ珪皮酸エステルのアミン、20.0ミリモルのトリフェニルホスフィン、100.0ミリモルの四塩化炭素および100.0ミリモルのトリエチルアミンを20mlのアセトニトリル中に溶解させる。混合物を室温において2時間にわたり撹拌する。反応が終了した後に(反応はTLCまたは分析HPLCにより監視される)、溶媒を減圧下で除去しそして残渣をシリカゲル上でシクロヘキサン/酢酸エチル=7:3を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製する。実施例10A
(2E)−3−{3−フルオロ−2−[(トリフェニルホスホラニリデン)アミノ]フェニル}プロペン酸メチル
【0124】
【化21】

【0125】
29.3g(150.1ミリモル)の実施例1からのアミン化合物で出発して、一般工程[E]が55.0g(理論値の80%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.46min
MS(ESI−pos):m/z=456(M+H)
実施例11A
(2E)−3−{5−フルオロ−2−[(トリフェニルホスホラニリデン)アミノ]フェニル}プロペン酸メチル
【0126】
【化22】

【0127】
50.0g(256.2ミリモル)の実施例9Aからのアミン化合物で出発して、一般工程[E]が89.6g(理論値の77%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.36min
MS(ESI−pos):m/z=456(M+H)
実施例12A
(2E)−3−{5−シアノ−2−[(トリフェニルホスホラニリデン)アミノ]フェニル}プロペン酸メチル
【0128】
【化23】

【0129】
1.24g(4.60ミリモル)の実施例5Aからのアミン化合物で出発して、一般工程[E]が2.12g(理論値の92%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.42min
MS(ESI−pos):m/z=463(M+H)
一般工程[F]:ブッフワルド−ハルトウィッグ反応によるフェニルピペラジン類の合成
反応を準備するために、反応フラスコを高真空下で加熱することにより充分に乾燥しそしてアルゴンで換気する。無水トルエン中の1.0当量のブロモアリール化合物および6.0当量のピペラジンを最初にフラスコ中に充填する(ブロモ化合物の0.2−0.3M溶液)。0.01当量のトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムおよび0.03当量のBINAPを次に加える。反応混合物を還流下で16時間にわたり撹拌する。混合物を次に水で1回抽出し、有機相を1N塩酸で2回抽出しそして水相を1N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH8に調節しそしてジクロロメタンで3回抽出する。一緒にした有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥しそして濾過し、溶媒を減圧下で除去しそして生成物を高真空下で一晩にわたり乾燥する。
実施例13A
N−(4−フルオロ−3−メチルフェニル)ピペラジン
【0130】
【化24】

【0131】
5.0g(26.5ミリモル)の4−フルオロ−3−メチル−1−ブロモべンゼンで出発して、一般工程[F]が4.52g(理論値の83%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=3.54min
MS(ESI−pos):m/z=195(M+H)
実施例14A
N−(4−フルオロフェニル)−3−メチルピペラジン
【0132】
【化25】

【0133】
1.0g(5.71ミリモル)の4−フルオロ−3−メチル−1−ブロモべンゼンで出発して、一般工程[F]が0.57g(理論値の49%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=3.37min
MS(ESI−pos):m/z=195(M+H)
実施例15A
1−(3−フルオロフェニル)ピペラジン
【0134】
【化26】

【0135】
1g(5.71ミリモル)の3−フルオロブロモベンゼンおよび2.95g(34.29ミリモル)のピペラジンを20mlのトルエン中に溶解させ、そして0.77g(8ミリモル)のナトリウムtert−ブトキシドを加える。0.11g(0.17ミリモル)のBINAPおよび0.05g(0.06ミリモル)のトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムの存在下で、混合物を次に還流下で一晩にわたり撹拌する。冷却後に、酢
酸エチルを加えそして混合物を水で洗浄する。混合物を次に1N塩酸で抽出し、そして水相を酢酸エチルで洗浄する。pHを8−9に調節しそして混合物を次にジクロロメタンで抽出する。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥しそして溶媒を除去して、目標化合物を与える。
収量:0.8g(理論値の78%)
HPLC(方法1):R=3.4min
MS(ESI−pos):m/z=181(M+H)
実施例16A
1−(3,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン
【0136】
【化27】

【0137】
100mlのトルエン中に、5g(25.91ミリモル)の3,4−ジフルオロブロモベンゼン、13.39g(155.45ミリモル)のピペラジン、3.49g(36.27ミリモル)のナトリウムtert−ブトキシド、0.24g(0.26ミリモル)のトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムおよび0.48g(0.78ミリモル)のBINAPを還流下で一晩にわたり撹拌する。酢酸エチルを加え、混合物を次に水で洗浄しそして有機相を1N塩酸で抽出する。水相を次に酢酸エチルで洗浄しそして引き続きpH8に調節する。ジクロロメタンを用いて、生成物を水相から抽出する。抽出物を次に硫酸マグネシウム上で乾燥し、溶媒を除去し、そして目標化合物を減圧下で乾燥する。
収量:3.85g(理論値の75%)
HPLC(方法1):R=3.4min
MS(DCI):m/z=199(M+H)
実施例17A
2−イソシアナト−1−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン
【0138】
【化28】

【0139】
3g(15.69ミリモル)の2−メトキシ−5−トリフルオロメチルアニリンを100mlのジクロロメタン中に溶解させ、そして6.73g(31.39ミリモル)の1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレンを加える。0−5℃において、50mlのジクロロメタン中に溶解させた2.24g(11.3ミリモル)のクロロ蟻酸トリクロロメチルを滴下し、そして混合物を0℃において30分間にわたりそして次に室温において60分間にわたり撹拌する。0℃において、混合物を1N塩酸、氷水および炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄する。硫酸マグネシウム上での乾燥および蒸留による溶媒の除去が生成物を与える。イソシアネートは次にさらなる精製なしにその後の反応用に使用される。
収量:3.00g(理論値の88%)
実施例18A
(2E)−3−{3−フルオロ−2−[({[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]イミノ}メチレン)アミノ]フェニル}−2−プロペン酸メチル
【0140】
【化29】

【0141】
5.0g(10.98ミリモル)の(2E)−3−{3−フルオロ−2−[(トリフェニルホスホラニリデン)アミノ]フェニル}−2−プロペン酸メチル(実施例10A)を最初に50mlのジクロロメタン中に充填し、そして混合物を2.5g(11.53ミリモル)の2−イソシアナト−1−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン(実施例17A)と共に室温において一晩にわたり撹拌する。溶媒を蒸留により除去しそして生成物を次にシリカゲル上でのクロマトグラフィー(イソヘキサン/ジクロロメタン 2:1;1:1)により精製しそしてイソヘキサンから再結晶化させる。
収量:2.69g(理論値の62%)
HPLC(方法1):R=5.6min
MS(ESI−pos):m/z=395(M+H)
一般工程[G]:ジヒドロキナゾリン誘導体を与えるためのイミノホスホランとイソシアネートとの反応およびその後のアミンとの反応
1.0当量のイミノホスホランを20mlのジクロロメタン(0.1−0.2M溶液)中に溶解させる。1.05当量の置換されたイソシアネートを次に加え、そして混合物をRTにおいて反応が終了するまで撹拌する。反応はTLCによりまたは分析HPLCにより監視される。
【0142】
1.0当量のアミンおよびスパチュラ先端量のシリカゲルを次にカルボジイミドおよびジクロロメタンの生じた溶液に加え、そして混合物を室温において反応が完了するまで撹拌する。反応が終了した後に(反応はTLCまたはHPLCにより監視される)、混合物を濃縮しそしてRP相上での分取HPLCにより精製する。
【0143】
ある場合には、NMRは種々の割合の環化されなかった反応生成物の存在を示す。これらの場合には、環化されたおよび環化されなかった生成物の混合物をジオキサンの中に加え、スパチュラ先端量のシリカゲルを加え、そして混合物を還流下で30分間ないし16時間にわたり撹拌する。シリカゲルを濾別しそして溶液を次の反応用に使用する。
【0144】
エナンチオマー的に純粋な化合物を製造することを意図する場合には、クロマトグラフィー分離がこの段階で行われる。
実施例19A
{8−フルオロ−2−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチ

【0145】
【化30】

【0146】
92.5mg(0.2ミリモル)の実施例10Aからのイミノホスホランで出発して、一般工程[G]が50mg(理論値の45%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.81min
実施例20A
{8−フルオロ−2−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチル
【0147】
【化31】

【0148】
この化合物は3.84gの実施例19Aのエナンチオマー類の分離後にエナンチオマーAとして得られる(715mg、理論値の14%)。
HPLC(方法1):R=4.81min
MS(ESI−pos):m/z=544.9(M+H)
実施例21A
{6−フルオロ−2−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチル
【0149】
【化32】

【0150】
100mg(0.28ミリモル)の実施例11Aからのイミノホスホランで出発して、一般工程[G]が58mg(理論値の39%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.80min
実施例22A
{6−フルオロ−2−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチル
【0151】
【化33】

【0152】
この化合物は832mgの実施例21Aのエナンチオマー類の分離後にエナンチオマーAとして得られる(368mg、理論値の17%)。
HPLC(方法1):R=4.77min
MS(ESI−pos):m/z=544.9(M+H)
実施例23A
{8−フルオロ−2−[4−(3−メチルフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチル
【0153】
【化34】

【0154】
93mg(0.2ミリモル)の実施例10Aからのイミノホスホランで出発して、一般工程[G]が43mg(理論値の39%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.80min
MS(ESI−pos):m/z=541.0(M+H)
実施例24A
{8−フルオロ−2−[4−(3−メチルフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチル
【0155】
【化35】

【0156】
この化合物は3.31gの実施例23Aのエナンチオマー類の分離後にエナンチオマーAとして得られる(1.18g、理論値の22%)。
HPLC(方法1):R=4.80min
MS(ESI−pos):m/z=541.0(M+H)
実施例25A
{8−フルオロ−2−[4−(3−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチル
【0157】
【化36】

【0158】
93mg(0.2ミリモル)の実施例10Aからのイミノホスホランで出発して、一般工程[G]が51mg(理論値の45%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.62min
MS(ESI−pos):m/z=556.7(M+H)
実施例26A
{8−フルオロ−2−[4−(3−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチル
【0159】
【化37】

【0160】
この化合物は5.11gの実施例25Aのエナンチオマー類の分離後にエナンチオマーAとして得られる(0.49g、理論値の9%)。
HPLC(方法1):R=4.71min
MS(ESI−pos):m/z=556.8(M+H)
実施例27A
{8−フルオロ−2−[4−(4−フルオロ−3−メチルフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[6−メトキシ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチル
【0161】
【化38】

【0162】
1.0g(2.2ミリモル)の実施例10Aからのイミノホスホラン、500mg(2.31ミリモル)の2−イソシアナト−1−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン(実施例17A)および427mg(2.2ミリモル)の実施例13Aからのフェニルピペラジンで出発して、シリカゲル(シクロヘキサン/酢酸エチル 2:1(v/v))を通す濾過後に1.03g(理論値の79%)の粗製生成物が得られる。この生成物をさらなる精製なしにさらに反応させる。
LC−MS(方法3):R=2.55min、2.66min
MS(ESI−pos):m/z=589.3(M+H)
実施例28A
{8−フルオロ−2−[4−(4−フルオロ−3−メチルフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[6−メトキシ−3−メチルフェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチル
【0163】
【化39】

【0164】
0.60g(1.76ミリモル)の実施例10Aからのイミノホスホラン、376mg(2.31ミリモル)の2−メトキシ−5−メチルフェニルイソシアネートおよび342mg(1.76ミリモル)の実施例13Aからのフェニルピペラジンで出発して、分取HPLCによる精製後に183mg(理論値の16%)の生成物が得られる。
HPLC(方法1):R=4.77min
MS(ESI−pos):m/z=535.2(M+H)
実施例29A
{8−フルオロ−2−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[6
−メトキシ−3−クロロフェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチル
【0165】
【化40】

【0166】
1.0g(2.2ミリモル)の実施例10Aからのイミノホスホラン、423mg(2.31ミリモル)の2−メトキシ−5−クロロフェニルイソシアネートおよび396mg(2.2ミリモル)の4−フルオロフェニルピペラジンで出発して、分取HPLCによる精製後に621mg(理論値の52%)の生成物が得られる。
HPLC(方法1):R=4.75min
MS(ESI−pos):m/z=541.2(M+H)
実施例30A
{8−フルオロ−2−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチル
【0167】
【化41】

【0168】
550mg(1.39ミリモル)の(2E)−3−{3−フルオロ−2−[({[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]イミノ}メチレン)アミノ]フェニル}−2−プロペン酸メチル(実施例18A)および251mg(1.39ミリモル)の1−(4−フルオロフェニル)ピペラジンをスパジュラ先端量のシリカゲルの存在下で15mlのジクロロメタン中で1時間にわたり撹拌する。還流下での90時間の撹拌後に、生成物をシリカゲル上でのクロマトグラフィー(ジクロロメタン、ジクロロメタン/酢酸エチル 10:1)により精製する。
収量:769mg(理論値の96%)
HPLC(方法1):R=4.8min
MS(ESI−pos):m/z=575(M+H)
実施例31A
{8−フルオロ−2−[4−(3−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチル
【0169】
【化42】

【0170】
700mg(1.78ミリモル)の(2E)−3−{3−フルオロ−2−[({[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]イミノ}メチレン)アミノ]フェニル}−2−プロペン酸メチル(実施例18A)、341mg(1.78ミリモル)の1−(3−メトキシフェニル)ピペラジンおよびスパジュラ先端量のシリカゲルを20mlのジクロロメタン中で室温において1時間にわたりそして次に還流下で35時間にわたり撹拌する。シリカゲル上でのクロマトグラフィー(ジクロロメタン、ジクロロメタン/酢酸エチル 10:1)後に、目標化合物が得られる。
収量:1012mg(理論値の97%)
HPLC(方法6):R=4.8min
MS(ESI−pos):m/z=587(M+H)
実施例32A
{8−フルオロ−2−[4−(3,4−ジフルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチル
【0171】
【化43】

【0172】
700mg(1.78ミリモル)の(2E)−3−{3−フルオロ−2−[({[2−
メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]イミノ}メチレン)アミノ]フェニル}−2−プロペン酸メチル(実施例18A)、352mg(1.78ミリモル)の1−(3,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン(実施例16A)およびスパジュラ先端量のシリカゲルを20mlのジクロロメタン中で室温において1時間にわたりそして次に還流下で20時間にわたり撹拌する。シリカゲル上でのクロマトグラフィー(ジクロロメタン、ジクロロメタン/酢酸エチル 10:1)後に、目標化合物が次に得られる。
収量:1027mg(理論値の97%)
HPLC(方法1):R=4.8min
MS(ESI−pos):m/z=593(M+H)
実施例33A
{8−フルオロ−2−[4−(3−メチルフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチル
【0173】
【化44】

【0174】
11.5g(29.16ミリモル)の(2E)−3−{3−フルオロ−2−[({[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]イミノ}メチレン)アミノ]フェニル}−2−プロペン酸メチル(実施例18A)、5.14g(29.16ミリモル)の1−(3−メチルフェニル)ピペラジンおよびスパジュラ先端量のシリカゲルを300mlのジクロロメタン中で室温において1時間にわたりそして次に還流下で20時間にわたり撹拌する。シリカゲル上でのクロマトグラフィー(ジクロロメタン、ジクロロメタン/酢酸エチル 10:1、5:1)後に、目標化合物が得られる。
収量:15.8g(理論値の95%)
HPLC(方法1):R=4.8min
MS(ESI−pos):m/z=571(M+H)
実施例34A
{8−フルオロ−2−[4−(3−フルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチル
【0175】
【化45】

【0176】
100mg(0.25ミリモル)の(2E)−3−{3−フルオロ−2−[({[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]イミノ}メチレン)アミノ]フェニル}−2−プロペン酸メチル(実施例18A)、45.7mg(0.25ミリモル)の1−(3−フルオロフェニル)ピペラジン(実施例15A)およびスパジュラ先端量のシリカゲルを15mlのジクロロメタン中で室温において1時間にわたりそして次に還流下で20時間にわたり撹拌する。シリカゲル上でのクロマトグラフィー(ジクロロメタン、ジクロロメタン/酢酸エチル 10:1)後に、目標化合物が得られる。
収量:139.2mg(理論値の96%)
HPLC(方法1):R=4.8min
MS(ESI−pos):m/z=575(M+H)
実施例35A
{8−フルオロ−2−[4−(3−クロロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチル
【0177】
【化46】

【0178】
93mg(0.2ミリモル)の実施例10Aからのイミノホスホランで出発して、一般工程[G]が51mg(理論値の45%)の生成物を与える。
LC−MS(方法3):R=4.78min
MS(ESI−pos):m/z=561(M+H)
実施例36A
{8−フルオロ−2−[4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−ピペラジニル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチル
【0179】
【化47】

【0180】
4.19g(9.2ミリモル)の実施例10Aからのイミノホスホランで出発して、一般工程[G]が3.67g(理論値の70%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.67min
MS(ESI−pos):m/z=571(M+H)
実施例37A
4−アミノ−3−[(1E)−3−tert−ブトキシ−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]安息香酸メチル
【0181】
【化48】

【0182】
25.0g(90.2ミリモル)の4−アミノ−3−ヨード安息香酸メチルで出発して、一般工程[A]が24.3g(理論値の88%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.71min
MS(DCI−pos):m/z=295(M+NH
実施例38A
(2E)−3−(4−シアノ−2−ニトロフェニル)−2−プロペン酸メチル
【0183】
【化49】

【0184】
3.00g(17.0ミリモル)の4−シアノ−2−ニトロベンズアルデヒドで出発して、一般工程[B]およびメタノールからの再結晶化が2.51g(理論値の63%)の
生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.06min
MS(ESI−pos):m/z=233(M+H)
実施例39A
3−[2−アミノ−7−シアノフェニル]プロペン酸メチル
【0185】
【化50】

【0186】
1.0g(4.31ミリモル)の実施例38Aからのニトロ化合物で出発して、一般工程[D](活性炭上での沸騰なし)が793mg(理論値の89%)の生成物を与える。HPLC(方法1):R=3.99min
実施例40A
(2E)−3−{6−シアノ−2−[(トリフェニルホスホラニリデン)アミノ]フェニル}プロペン酸メチル
【0187】
【化51】

【0188】
0.75g(3.71ミリモル)の実施例39Aからのアミン化合物で出発して、一般工程[E]が1.09g(理論値の62%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.30min
MS(ESI−pos):m/z=463(M+H)
実施例41A
3−[(1E)−3−tert−ブトキシ−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]−4−[(トリフェニルホスホラニリデン)アミノ]−安息香酸メチル
【0189】
【化52】

【0190】
19.0g(68.5ミリモル)の実施例37Aからのアミン化合物で出発して、一般工程[E]が31.4g(理論値の85%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.69min
MS(ESI−pos):m/z=538(M+H)
実施例42A
{8−フルオロ−2−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチル
【0191】
【化53】

【0192】
この化合物は、実施例30Aからのラセミ体を方法15に従うクロマトグラフィーによりエナンチオマー類に分離することにより、得られる。231gのラセミ体で出発して、120gの目標生成物が得られ、それをさらに直接反応させる。
MS(ESI−pos):m/z=575(M+H)
実施例43A
{8−フルオロ−2−[4−(3−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチル
【0193】
【化54】

【0194】
化合物は、実施例31Aからのラセミ体を方法15に従うクロマトグラフィーによりエナンチオマー類に分離することにより、得られる。231gのラセミ体で出発して、111g(理論値の48%)の目標生成物が得られる。
MS(ESI−pos):m/z=587(M+H)
実施例44A
{6−シアノ−2−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチル
【0195】
【化55】

【0196】
400mg(0.6ミリモル)の実施例12Aからのイミノホスホランで出発して、一般工程[G]が166mg(理論値の48%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.65min
MS(ESI−pos):m/z=552(M+H)
実施例45A
{7−シアノ−2−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチル
【0197】
【化56】

【0198】
1.0g(2.16ミリモル)の実施例40Aからのイミノホスホランで出発して、一般工程[G]が1,07g(理論値の98%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.72min
MS(ESI−pos):m/z=552(M+H)
実施例46A
4−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−2−[4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロキナゾリン−6−カルボン酸メチル
【0199】
【化57】

【0200】
4.2g(9.3ミリモル)の実施例41Aからのイミノホスホランで出発して、一般工程[G]が3.9g(理論値の51%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=5.03min
MS(ESI−pos):m/z=627(M+H)
実施例47A
{8−フルオロ−2−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチル
【0201】
【化58】

【0202】
この化合物は3.5gの実施例46Aのエナンチオマー類の分離後にエナンチオマーAとして得られる(1.4mg、理論値の20%)。
HPLC(方法1):R=4.91min
MS(ESI−pos):m/z=627(M+H)
実施例48A
4−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−2−[4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロキナゾリン−6−カルボン酸
【0203】
【化59】

【0204】
1.3g(2.0ミリモル)の実施例47Aからのカルボン酸メチルを12mlのジオキサン中に溶解させ、2.4mlの水酸化ナトリウムの1N水溶液を加えそして混合物を60℃において5時間にわたり撹拌する。pHを塩酸の1N水溶液を用いてpH=4に調節し、そして反応混合物を濃縮しそして分取HPLCにより精製する。これが580mg(理論値の48%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.85min
MS(ESI−pos):m/z=613(M+H)
実施例49A
{6−(アミノカルボニル)−2−[4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−イル}酢酸tert−ブチル
【0205】
【化60】

【0206】
560mg(0.9ミリモル)の実施例48Aからのカルボン酸、2.6ミリモルの塩化アルミニウム、1.1ミリモルの1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール水和物および1.1ミリモルのN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミドをDMF中に懸濁させる。2.6ミリモルのN,N−ジイソプロピルアミンを加え、そして混合物を室温において16時間にわたり撹拌する。20mlの酢酸エチルを反応混合物に加え、それを次に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄する。一緒にした水相をpH=8に調節しそして酢酸エチルで抽出する。一緒にした有機相を最後に飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥しそして濃縮する。これが548mg(理論値の97%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.73min
MS(ESI−pos):m/z=612(M+H)
表1の実施例50A〜112Aを対応する出発物質から一般工程[A]〜[G]を用いて製造することができる。
【0207】
【表1】

【0208】
【表2】

【0209】
【表3】

【0210】
【表4】

【0211】
【表5】

【0212】
【表6】

【0213】
【表7】

【0214】
【表8】

【0215】
【表9】

【0216】
【表10】

【0217】
【表11】

【0218】
作業実施例
一般工程[H]:キナゾリル酢酸エステル類の加水分解
1.0当量のキナゾリルエステルをジオキサン中に溶解させ、そして5.0当量の1N水酸化ナトリウム水溶液を加える。混合物を80℃において16時間にわたり撹拌し、そして反応が終了した後に(反応は分析HPLCにより監視される)、混合物を濃縮する。残渣を水中に加えそして1N塩酸を用いてpH5に調節する。生じた沈殿を濾別し、少量の水およびジエチルエーテルで洗浄しそして室温において高真空下で乾燥する。或いは、沈殿をエクトレルート(Extrelute)カートリッジを通して濾別し、次に酢酸エチうで洗浄し、その後に濾液を濃縮することもできる。生成物の純度が充分高くない場合には、生成物をRP相上で(方法2もしくは方法5)またはシクロヘキサン/酢酸エチルの混合物を用いるシリカゲル上で分取HPLCにより精製する。
実施例1
{8−フルオロ−2−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸
【0219】
【化61】

【0220】
37mg(0.07ミリモル)の実施例19Aからのメチルエステルで出発して、一般工程[H]が29mg(理論値の80%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.49min
MS(ESI−pos):m/z=530.7(M+H)
H NMR(400MHz,CDCN):δ[ppm]=7.59(s,1H);7.45(t,1H);7.37(t,2H);7.02−6.95(m,3H);6.93−6.85(m,4H);5.24(dd,1H);2.98(d,4H);2.91(d,4H);2.73(dd,1H);2.54(dd,1H)。
実施例2
{8−フルオロ−2−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸
【0221】
【化62】

【0222】
695mg(1.27ミリモル)の実施例20Aからのメチルエステルで出発して、一般工程[H]が488mg(理論値の64%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.59min
MS(ESI−pos):m/z=530.8(M+H)
H NMR(400MHz,CDCN):δ[ppm]=7.60(s,1H);7.47−7.40(m,3H);7.03−6.86(m,7H);5.26−5.23(m,1H);3.60−3.52(m,4H);2.99−2.90(m,4H);2.75(dd,1H);2.56(dd,1H)。
実施例3
{8−フルオロ−2−[4−(3−メチルフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[3−
(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸
【0223】
【化63】

【0224】
34mg(0.06ミリモル)の実施例23Aからのメチルエステルで出発して、一般工程[H]が30mg(理論値の90%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.56min
MS(ESI−pos):m/z=526.9(M+H)
H NMR(200MHz,DMSO−d):δ[ppm]=7.64(s,1H);7.53(t,1H);7.44−7.34(m,2H);7.11−6.90(m,3H);6.72−6.59(m,4H);5.33−5.25(m,1H);3.52(d,4H);3.02(d,4H);2.69−2.55(m,2H,DMSO信号により部分的に不明瞭にされる);2.23(s,3H)。
実施例4
{8−フルオロ−2−[4−(3−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸
【0225】
【化64】

【0226】
36mg(0.07ミリモル)の実施例25Aからのメチルエステルで出発して、一般工程[H]およびクロマトグラフィー(方法2)が28mg(理論値の77%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.46min
MS(ESI−pos):m/z=542.9(M+H)
H NMR(200MHz,DMSO−d):δ[ppm]=7.67(s,1H);7.54(t,1H);7.45−7.38(m,2H);7.14−6.94(m,3H);6.51−6.35(m,4H);5.35−5.25(m,1H);3.69
(s,3H);3.50(d,4H);3.06(d,4H);2.58−2.52(m,2H)。
実施例5
{8−フルオロ−2−[4−(3−クロロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸
【0227】
【化65】

【0228】
38mg(0.07ミリモル)の実施例35Aからのメチルエステルで出発して、一般工程[H]が25mg(理論値の66%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.64min
MS(ESI−pos):m/z=546.9(M+H)
H NMR(200MHz,DMSO−d):δ[ppm]=7.66(s,1H);7.52(t,1H);7.38(dd,2H);7.20(t,1H);7.10−6.78(m,6H);5.33−5.26(m,1H);3.51(d,4H);3.11(d,4H);2.61−2.55(m,2H)。
実施例6
{8−フルオロ−2−[4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−ピペラジニル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸
【0229】
【化66】

【0230】
173mg(0.30ミリモル)の実施例36Aからのメチルエステルで出発して、一般工程[H]が79mg(理論値の46%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.44min
MS(ESI−pos):m/z=557.2(M+H)
H NMR(300MHz,CDCl):δ[ppm]=7.47(s,1H);7.42−7.34(m,3H);7.03−6.89(m,2H);6.79(d,1H);6.64(d,1H);6.41(d,1H);6.22(dd,1H);5.87(s,2H);5.20−5.15(m,1H);3.59(s,3H);2.94−2.85(m,5H);2.59(dd,1H)。
実施例7
{6−フルオロ−2−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸
【0231】
【化67】

【0232】
42mg(0.08ミリモル)の実施例21Aからのメチルエステルで出発して、一般工程[H]が34mg(理論値の76%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.63min
MS(ESI−pos):m/z=530.9(M+H)
実施例8
{6−フルオロ−2−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸塩酸塩
【0233】
【化68】

【0234】
350mg(0.64ミリモル)の実施例22Aからのメチルエステルで出発して、一般工程[H]が284mg(理論値の83%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.53min
MS(ESI−pos):m/z=530.8(M+H−HCl)
H NMR(400MHz,CDCN):δ[ppm]=7.62(s,1H);7.51−7.48(m,1H);7.43−7.41(d,1H);7.26−7.23(m,1H);7.04−6.95(m,2H);6.91−6.85(m,3H);5.23(dd,1H);3.55(s,3H);3.02−2.99(m,1H);2.94(s,4H);2.80(dd,1H)。
実施例9
{8−フルオロ−2−[4−(3−メチルフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸塩酸塩
【0235】
【化69】

【0236】
1.10g(1.93ミリモル)の実施例24Aからのメチルエステルで出発して、一般工程[H]が1.04g(理論値の91%)の生成物を与える。方法4によるエナンチオマー類の分離後に、生成物がエナンチオマーAとして得られる。
HPLC(方法1):R=4.68min
MS(ESI−pos):m/z=526.9(M+H−HCl)
H NMR(400MHz,CDCN):δ[ppm]=7.61(s,1H);7.49−7.38(m,3H);7.10−6.89(m,4H);6.71−6.65(m,3H);5.26(dd,1H);3.60−3.52(m,4H);3.03−2.95(m,4H);2.76(dd,1H);2.57(dd,1H);2.25(s,3H)。
実施例10
{8−フルオロ−2−[4−(3−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸塩酸塩
【0237】
【化70】

【0238】
437mg(0.79ミリモル)の実施例26Aからのメチルエステルで出発して、一般工程[H]が344mg(理論値の72%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.48min
MS(ESI−pos):m/z=543.0(M+H−HCl)
H NMR(400MHz,CDCN):δ[ppm]=7.61(s,1H);7.49−7.38(m,3H);7.14−6.89(m,4H);6.47−6.39(m,3H);5.26(dd,1H);3.72(s,1H);3.60−3.54(m,4H);3.07−3.00(m,4H);2.77(dd,1H);2.57(dd,1H)。
実施例11
{8−フルオロ−2−[4−(4−フルオロ−3−メチルフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[6−メトキシ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸塩酸塩
【0239】
【化71】

【0240】
1.03g(1.75ミリモル)の実施例27Aからの粗製生成物で出発して、一般工程[H]および方法5に従うクロマトグラフィー、その後のメタノール/1N塩酸中への生成物の溶解および溶媒の再蒸発が283mg(理論値の22%)の塩酸塩を与える。
HPLC(方法1):R=4.58min
MS(ESI−pos):m/z=575.2(M+H−HCl)
H NMR(400MHz,CDCN):δ[ppm]=8.17(s,0.66H);7.69(d,1H);7.55−7.30(m,1H);7.27−7.24(m,2H);7.16(d,0.6H);7.09−7.04(m,2H);5.33−5.27,5.12−5.06(2x m,1H);4.08−3.35(m,4H);3.69(s,3H);3.30−3.22(m,1H);2.80−2.76(m,1H);2.25(s,3H)。
実施例12
{8−フルオロ−2−[4−(4−フルオロ−3−メチルフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[6−メトキシ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸塩酸塩
【0241】
【化72】

【0242】
エナンチオマー類の分離前に、268mgの実施例11からの塩酸塩をジクロロメタン中に加え、そして有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で2回抽出する。一緒にした水相をジクロロメタンで1回抽出し、一緒にした有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥しそして濾過しそして溶媒を減圧下で除去する。これが204mg(理論値の86%)の遊離塩基を与える。この物質を用いて、エナンチオマー類の分離(方法4)、分取HPLCによる再精製(方法5)並びにその後のメタノール/1N塩酸中への生成物の溶解および溶媒の再蒸発が80mg(理論値の78%)のエナンチオマーAを与える。
HPLC(方法6):R=4.66min
MS(ESI−pos):m/z=575.2(M+H−HCl)
H NMR(400MHz,CDCN):δ[ppm]=8.17(s,0.66H);7.69(d,1H);7.45−7.30(m,1H);7.24(d,2H);7.15(d,0.7H);7.08−7.01(m,2H);5.32−5.27,5.11−5.07(2x m,1H);4.06−3.50(m,4H);3.68(s,3H);3.33−3.24(m,1H);2.77−2.72(m,1H);2.24,2.23(2x s,3H)。
実施例13
{8−フルオロ−2−[4−(4−フルオロ−3−メチルフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[6−メトキシ−3−メチルフェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸塩酸塩
【0243】
【化73】

【0244】
183mg(0.34ミリモル)の実施例28Aからの粗製生成物で出発して、一般工程[H]および方法5に従うクロマトグラフィー、その後のメタノール/1N塩酸中への
生成物の溶解および溶媒の再蒸発が135mg(理論値の67%)の塩酸塩を与える。
HPLC(方法1):R=4.67min
MS(ESI−pos):m/z=521.2(M+H−HCl)
H NMR(400MHz,CDCN):δ[ppm]=7.69−7.42(m,4H);7.25−7.06(m,5H);6.93−6.78(m,1H);5.24−5.21,5.06−5.03(2x m,1H);4.00−3.35(m,8H);3.21−3.08(m,1H);3.01−2.77(m,1H);2.34,2.20(2x s,3H);2.26(s,3H)。
実施例14
{8−フルオロ−2−[4−(3−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸
【0245】
【化74】

【0246】
室温において、179.6mg(4.49ミリモル)の水酸化ナトリウムを40mlのジオキサン中の878mg(1.5ミリモル)の{8−フルオロ−2−[4−(3−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチル(実施例31A)に加え、そして混合物を50℃において2時間にわたり撹拌する。pHを次に4−5に調節する。生成物を濾別し、水で洗浄しそして減圧下で乾燥する。
収量:801mg(理論値の93%)
HPLC(方法1):R=4.5min
MS(ESI−pos):m/z=573(M+H)
実施例15
{8−フルオロ−2−[4−(3−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸
【0247】
【化75】

【0248】
500mgのラセミ体(実施例14)のエナンチオマー類の分離(方法11)後に、粗製生成物をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製しそして次に1N水酸化ナトリウム水溶液中に溶解させそしてジエチルエーテルで抽出する。1N塩酸を用いる酸性化後に、生成物を濾別しそして減圧下で乾燥する。
収量:105mg(理論値の21%)
MS(ESI−pos):m/z=573(M+H)
H NMR(300MHz,DMSO−d):δ[ppm]=2.4−2.5(m,1H);2.7−3.1(m,5H);3.3−3.6(m,4H);3.7(s,3H);3.7−3.9(s,3H);4.8−5.05(s,1H);6.3−6.4(m,2H);6.4−6.5(m,1H);6.8−7.65(m,6H);12.5(s,1H)。
【0249】
或いは、実施例43Aからのエナンチオマー的に純粋なエステルを一般工程[H]に従い反応させることにより目標生成物が得られる。111g(0.19モル)のエステルで出発して、69g(理論値の63%)の目標生成物が得られる。
実施例16
{8−フルオロ−2−[4−(3,4−ジフルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸
【0250】
【化76】

【0251】
40mlのジオキサン中で、881mg(1.49ミリモル)の{8−フルオロ−2−[4−(3,4−ジフルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチル(実施例32A)および178mg(4.46ミリモル)の水酸化ナトリウムを50℃
において2時間にわたり撹拌する。1N塩酸を用いる酸性化後に、生成物を吸引濾別し、水で洗浄しそして減圧下で乾燥する。
収量:775mg(理論値の90%)
HPLC(方法1):R=4.5min
MS(ESI−pos):m/z=579(M+H)
実施例17
{8−フルオロ−2−[4−(3,4−ジフルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸
【0252】
【化77】

【0253】
500mg(0.86ミリモル)のラセミ体(実施例16)のエナンチオマー類の分離(方法12)後に、粗製生成物をシリカゲル上でのクロマトグラフィー(ジクロロメタン、ジクロロメタン/メタノール 20:1、10:1)により精製し、1N水酸化ナトリウム水溶液の中に溶解させそしてジエチルエーテルで抽出する。1N塩酸を用いて水相をpH4−5に調節し、そして生成物を濾別し、水で洗浄しそして減圧下で乾燥する。
収量:86mg(理論値の17%)
MS(ESI−pos):m/z=579(M+H)
H NMR(300MHz,DMSO−d):δ[ppm]=2.6−3.1(m,6H);3.25−3.6(m,4H);3.75(s,3H);4.85(s,1H);6.6−6.7(m,1H);6.7−7.7(m,9H);12.5(s,1H)。
実施例18
{8−フルオロ−2−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸
【0254】
【化78】

【0255】
800mlのジオキサン中で、15g(26.11ミリモル)の{8−フルオロ−2−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチル(実施例30A)および3.13g(78.32ミリモル)の水酸化ナトリウムを50℃において4時間にわたり撹拌する。溶媒の蒸留除去後に、残渣を500mlの水中に溶解させそして酸性化しそして沈殿を吸引濾別する。生成物を水で洗浄しそして減圧下で乾燥する。
収量:14,5mg(理論値の99%)
HPLC(方法1):R=4.5min
MS(ESI−pos):m/z=561(M+H)
実施例19
{8−フルオロ−2−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸
【0256】
【化79】

【0257】
14.2g(25.33ミリモル)のラセミ体(実施例18)を分離する(方法13)。粗製生成物を250mlの0.5N水酸化ナトリウム溶液の中に溶解させ、そして次にジエチルエーテルを用いる抽出により精製する。塩酸を用いる水相の酸性化後に、生成物を濾別し、水で洗浄しそして減圧下で乾燥する。
収量:5.85mg(理論値の41%)
MS(ESI−pos):m/z=561(M+H)
HPLC(方法1):R=4.5min
H NMR(400MHz,DMSO−d):δ[ppm]=2.6−3.0(m,6H);3.3−3.6(m,4H);3.6−4.0(s,3H);4.8−5.2
(s,1H);6.7−7.75(m,10H);12.2−12.8(s,1H)。
【0258】
或いは、実施例42Aからのエナンチオマー的に純粋なエステルを一般工程[H]に従い反応させることにより目標生成物が得られる。120g(0.21モル)のエステルで出発して、96g(理論値の81%)の目標生成物が得られる。
実施例20
{8−フルオロ−2−[4−(3−メチルフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸
【0259】
【化80】

【0260】
40lのジオキサン中で、892mg(1.56ミリモル)の{8−フルオロ−2−[4−(3−メチルフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチル(実施例33A)および187.6mg(4.69ミリモル)の水酸化ナトリウムを50℃において2時間にわたり撹拌する。溶媒の除去後に、残渣を水中に加えそして1N塩酸を用いてpH4−5に調節する。生成物を濾別しそして次に水で洗浄しそして減圧下で乾燥する。収量:788mg(理論値の91%)
MS(ESI−pos):m/z=557(M+H)
HPLC(方法6):R=4.5min
実施例21
{8−フルオロ−2−[4−(3−メチルフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸
【0261】
【化81】

【0262】
エナンチオマー類の分離(方法13)を500mg(0.9ミリモル)のラセミ体(実施例20)を用いて行う。粗製生成物を次に1N水酸化ナトリウム水溶液中に溶解させ、溶液をジエチルエーテルで抽出しそして水相を1N塩酸を用いてpH4−5に調節する。生成物を吸引濾別し、水で洗浄しそして減圧下で乾燥する。
収量:104mg(理論値の21%)
MS(ESI−pos):m/z=557(M+H)
H NMR(400MHz,DMSO−d):δ[ppm]=2.2(s,3H);2.35−2.5(m,1H);2.6−3.1(m,5H);3.3−3.6(m,4H);3.8(s,3H);4.9(s,1H);6.5−6.7(m,3H);6.8−7.7(m,7H);12.6(s,1H)。
実施例22
{8−フルオロ−2−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[6−メトキシ−3−クロロフェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸塩酸塩
【0263】
【化82】

【0264】
621mg(1.15ミリモル)の実施例29Aからのエステルで出発して、一般工程[H]並びにHPLC(方法5)による精製およびメタノール/1N塩酸を用いる共蒸発が330mg(理論値の51%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.58min
MS(ESI−pos):m/z=527.0(M+H−HCl)
実施例23
{8−フルオロ−2−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[6−メトキシ−3−クロロフェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸塩酸塩
【0265】
【化83】

【0266】
320mg(0.06ミリモル)の実施例22からのラセミ体で出発して、エナンチオマー類のクロマトグラフィー分離(方法4)並びにその後のメタノール/1N塩酸中への生成物の融解および溶媒の再蒸発が174mg(理論値の50%)の塩酸塩を与える。
HPLC(方法1):R=4.51min
MS(ESI−pos):m/z=527.1(M+H−HCl)
H NMR(400MHz,CDCN):δ[ppm]=7.29(dd,1H);7.19−7.11(m,2H);7.01−6.94(m,4H);6.87−6.83(m,2H);5.08(t,1H);3.67(s,3H);3.56(s,4H);3.03−2.92(m,5H);2.72(dd,1H)。
実施例24
{8−フルオロ−2−[4−(3−フルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸
【0267】
【化84】

【0268】
15mlのジオキサン中に、117mg(0.2ミリモル)の{8−フルオロ−2−[4−(3−フルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸メチル(実施例34A)を0.61mlの1N水酸化ナトリウム水溶液と混合し、そして混合物を50℃において3時間にわたり撹拌する。溶媒の除去後に、残渣を水中に加えそして混合物を1N塩酸を用いてpH3−4に調節する。沈殿を吸引濾別し、水で洗浄しそして減圧下で濃縮する。
収量:76mg(理論値の67%)
HPLC(方法1):R=4.6min
MS(ESI−pos):m/z=561(M+H)
実施例25
{8−フルオロ−2−[4−(3−フルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸
【0269】
【化85】

【0270】
52mg(0.09ミリモル)のラセミ体(実施例24)をエナンチオマー類に分離する(方法13)。粗製生成物を次にシリカゲル上でのクロマトグラフィー(酢酸、ジクロロメタン/メタノール 10:1)により精製しそして減圧下で乾燥する。
収量:12.3mg(理論値の24%)
LC−MS(方法7):R=2.50min
MS(ESI−pos):m/z=561(M+H)
H NMR(400MHz,DMSO−d):δ[ppm]=2.35−2.5(m,1H);2.7−3.1(m,5H);3.3−3.6(m,4H);3.8(s,3H);4.8−4.9(m,1H);6.45−6.6(m,1H);6.6−6.7(m,2H);6.8−6.9(m,2H);6.98−7.1(m,1H);7.1−7.6(m,4H);12.4(s,1H)。
【0271】
表2の実施例26〜34および36〜89を対応する出発物質から一般工程[A]〜[H]を用いて製造することができ、そして実施例35は以下で表2に記載されている通りにして製造することができる。
【0272】
【表12】

【0273】
【表13】

【0274】
【表14】

【0275】
【表15】

【0276】
【表16】

【0277】
【表17】

【0278】
【表18】

【0279】
【表19】

【0280】
【表20】

【0281】
【表21】

【0282】
【表22】

【0283】
実施例35
{2−[4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル]−8−ヒドロキシ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−イル}酢酸
【0284】
【化86】

【0285】
80mg(0.14ミリモル)のメチルエステル(実施例89)を2mlのジクロロメタン中に溶解させそして0.41ミリモルの三臭化ホウ素のジクロロメタン中1M溶液を0℃において加える。混合物を室温において16時間にわたり撹拌し、さらに0.82ミリモルの三臭化ホウ素溶液を加え、引き続き24時間後にさらに1.23ミリモルを加える。反応混合物を室温において24時間にわたり撹拌しそして次に氷上に注ぎ、そして5mlの1N塩酸水溶液を加える。混合物を25mlの酢酸エチルで抽出する。有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮しそして分取HPLCにより精製する。これが50mg(理論値の63%)の生成物を与える。
HPLC(方法1):R=4.47min
MS(ESI−pos):m/z=529(M+H−HCl)
実施例90
{7−ヒドロキシカルボニル−2−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペラジニル]−3−[5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−4−キナゾリニル}酢酸
【0286】
【化87】

【0287】
100mg(0.16ミリモル)の実施例45Aからのエステルを半濃縮塩酸の中に懸濁させ、そして反応混合物を90℃において42時間にわたり撹拌する。冷却後に、混合物を20%強度水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH=4に調節しそして生成した沈殿を濾別し、水で洗浄しそして減圧下で乾燥する。
収量:64mg(理論値の66%)
HPLC(方法1):R=4.38min
MS(ESI−pos):m/z=557(M+H)
実施例91
{6−(アミノカルボニル)−2−[4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イ
ル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−イル}酢酸塩酸塩
【0288】
【化88】

【0289】
500mg(0.8ミリモル)の実施例49Aからのtert−ブチルエステルを8mlの塩化水素のジオキサン中4M溶液と共に懸濁させ、そして反応混合物を室温において16時間にわたり撹拌する。懸濁液を濃縮しそして減圧下で乾燥する。
収量:564mg(理論値の99%)
HPLC(方法1):R=4.25mim
MS(ESI−pos):m/z=556(M+H−HCl)
H NMR(300MHz,DMSO−d):δ[ppm]=12.94(brs,1H);8.11(s,1H);8.03−7.95(m,2H);7.92−7.65(m,4H);7.09−6.91(m,4H);5.50(dd,1H);4.38−4.12(m,4H);3.17−3.06(m,5H);2.81(dd,1H)。
B.生理学的活性の評価
本発明の化合物のインビトロ効果を以下の検定で示すことができる。
抗−HCMV(抗−ヒトサイトメガロウイルス)細胞変性試験
試験化合物はジメチルスルホキシド(DMSO)中50ミリモル(mM)溶液状で使用される。ガンシクロヴィル(Ganciclovir)(R)、フォスカルネット(Foscarnet)(R)およびシドフォヴィル(Cidofovir)(R)が対照化合物として使用される。二重測定用に列2A−H中の98μl部分の細胞培養培地への各場合とも2μlの50、5、0.5および0.05mMのDMSO貯蔵溶液の添加後に、96−ウエル板の列11まで50μl部分の培地を用いて希釈を行う。列1および12中のウエルは各々50μlの培地を含有する。150μlの1×10個の細胞(ヒト包皮線維芽細胞)[NHDF])をウエルの各々にピペットで加え(列1=細胞対照)、そして列2−12にはHCMV−感染したおよび未感染のNHDF細胞の混合物(M.O.I.=0.001−0.002)、すなわち1000の未感染細胞当り1−2個の感染細胞、を加える。列12(物質なし)はウイルス対照として作用する。最終的試験濃度は250−0.0005μMである。板を37℃/5%COにおいて6日間にわたり、すなわち全ての細胞がウイルス対照の中で感染されるまで(100%細胞変性効果[CPE])、インキュベートする。ウエルを次に固定しそしてホルマリンおよびギムザ染料の混合物により染色し(30分間)、二重蒸留水で洗浄しそして乾燥炉の中で50℃において乾燥する。板を次にオーバーヘッド顕微鏡(テクノマラ(Technomara)からのプラーク・マルチプライアー(Plaque Multiplier))を用いて視覚的に評価する。
【0290】
以下のデータが試験板から得られうる:
CC50(NHDF)=未処理の細胞対照との比較により細胞に対する可視的な細胞増殖抑制効果が証明されない物質濃度、μM;
EC50(HCMV)=CPE(細胞変性効果)を未処理の細胞対照と比べて50%抑制する物質濃度、μM;
SI(選択指数)=CC50(NHDF)/EC50(HCMV)。
【0291】
本発明の化合物の効果に関する代表的なインビトロデータを表Aに示す:
【0292】
【表1】

【0293】
HCMV感染症の処置に関する本発明の化合物の適合性を以下の動物モデルで示すことができる:
HCMV異種移植片ゲルフォーム(Gelfoam)(R)モデル
動物:
生後3−4週の免疫不全マウス(16−18g)であるフォックス・チェース(Fox
Chase)SCIDまたはフォックス・チェースSCID−NODもしくはSCIDベージュを商業的飼育業者(米国、ジャクソンのタコニック(Taconic)M+B)から購入する。動物を隔離装置中で殺菌条件下で(寝具および飼料を包含する)飼育する。
ウイルス成長:
ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)であるデービス(Davis)またはAD169菌株をインビトロでヒト胚包皮線維芽細胞(NHDF細胞)上で成長させる。NHDF細胞を0.01−0.03の感染多重度(M.O.I.)で感染させた後に、ウイルス−感染細胞を5−10日後に回収しそして最少必須培地(MEM)である10%DMSOを有する10%胎牛血清(FCS)の存在下で−40℃において貯蔵する。ウイルス−感染細胞の順次10倍希釈後に、ニュートラル・レッド(Neutral Red)を用いるウイルス染色後に力価を融合性NHDF細胞の24−ウエル板上で測定する。
スポンジの製造、移植、処置および評価
寸法が1×1×1cmのコラーゲンスポンジ(ゲルフォーム(Gelfoam)(R);ピーセル・アンド・ローリー(Peasel & Lorey)から、注文番号407534;K.T.Chong et al.,Abstracts of 39th Interscience Conference on Antimicrobial Agents and Chemotherapy,1999,p.439)を最初に燐酸塩−緩衝食塩水(PBS)で湿らせ、捕獲された気泡を脱気により除去し、そして次にMEM+10%FCSの中に貯蔵する。1×10個のウイルス−感染NHDF細胞(H
CMV DavisまたはHCMV AD169による感染 M.O.I.=0.01)を感染後3時間に分離しそして20μlのMEM、10%のFCSの小滴中で湿ったスポンジに加える。16時間後に、感染させたスポンジを5ng/μlの基礎的線維芽成長因子(bFGF)を有する25μlのPBS/0.1% BSA/1mM DTTと共にインキュベートする。移植用に、免疫不全マウスをアベルチン(Avertin)、すなわちケタミン/キシラジン/アゼプロマジン混合物、を用いて麻酔をかけ、背中の毛をシェーバーを用いて除去し、表皮を1−2cm開き、応力のかからない湿ったスポンジを背中の皮膚の下に移植する。手術外傷を組織接着剤を用いて閉じる。移植から6時間後に、マウスを最初に処置することができる(手術日に、1回の処置がある)。その後の8日間の期間にわたり、マウスを物質で経口的に1日3回(7.00時および14.00時および19.00時)、1日2回(8.00時および18.00時)または1日1回(14.00時)処置する。1日薬用量は例えば3または10または30または60または100mg/kgの体重であり、投与される容量は10ml/kgの体重である。物質は2%DMSOを含む0.5%強度チロース(Tylose)懸濁液または0.5%強度チロース懸濁液の形態に調合される。移植から9日後および最終物質投与から16時間後に、動物を無痛殺害しそしてスポンジを除去する。ウイルス−感染細胞をスポンジからコラゲナーゼ消化により放出させ(330U/1.5ml)そしてMEM、10%胎牛血清、10%DMSOの存在下で−140℃において貯蔵する。ニュートラル・レッドによるウイルス染色後に融合性NHDF細胞の24−ウエル板上で力価を測定することにより、ウイルス−感染細胞の順次10倍希釈後に評価を行う。偽薬−処置対照と比較した物質処置後の感染細胞または感染性ウイルス粒子(感染性中心検定)の数を測定する。
CYP抑制検定
CYP3A4の機構に基づく(不可逆的)抑制を試験するために、種々の濃度の試験物質をヒト肝臓ミクロソーム(2mg/mlのミクロソーム蛋白質)と共にpH7.4の燐酸カリウム緩衝液の中でNADPH−生成系統(NADP+、6−燐酸グルコース、6−燐酸グルコースデヒドロゲナーゼ)を添加して37℃においてインキュベートする。種々の時点で、2個のアリコートをインキュベーションから採取する。
【0294】
第一のアリコートを新しいインキュベーション溶液(燐酸塩緩衝液、NADPH−発生系統および10μMのミダゾラム(Midazolam))の中で37℃においてさらに10min にわたり1:50でインキュベートする。次に氷上のアセトニトリルを用いてインキュベーションを停止させ、蛋白質を遠心器の中で15000gにおいてペレット化し、そして上澄み液を標準的HPLC/MS方法を用いて1’−ヒドロキシイミダゾラムの生成に関して分析する。
【0295】
第二のアリコートを氷上のアセトニトリルを用いて停止させ、そして残りの試験物質に関してHPLC/UV/MSを用いて分析する。
【0296】
2組の分析データを不可逆的−抑制−典型パラメーター(Kinact、Kおよび分配比r)に関して測定し、そしてこれらのデータを用いて試験物質を評価する(A.Madan,et al.,in A.D.Rodrigues(ed.)“Drug−Drug Interaction”in “Drugs and the Pharmaceutical Science”,Vol.116,ISBN 0−8247−0283.2,Marcel Dekker Inc.,New York,2002)。
C.製薬学的組成物の例示態様
本発明の化合物を以下の方法で製薬学的調合物に転化させることができる:
錠剤:
組成:
100mgの実施例1の化合物、50mgのラクトース(一水和物)、50mgのコーンスターチ(天然)、10mgのポリビニルピロリドン(PVP25)(ドイツ、ルドウ
ィグシャフェンのBASFから)および2mgのステアリン酸マグネシウム。
【0297】
錠剤重量 212mg。直径 8mm、曲率半径 12mm。
製造:
活性成分、ラクトースおよびスターチの混合物をPVPの水中5%強度溶液(m/m)と共に粒状化する。顆粒を次に乾燥しそしてステアリン酸マグネシウムと5分間にわたり混合する。この混合物を従来の錠剤プレス(錠剤の型式に関しては上記参照)を用いて圧縮する。圧縮用に使用される圧縮力に関する指針は15kNである。
経口的に投与できる懸濁剤:
組成:
1000mgの実施例1の化合物、1000mgのエタノール(96%)、400mgのロージゲル(Rhodigel)(米国、ペンシルバニア州のFMCからのキサンタンゴム)および99gの水。
【0298】
10mlの経口懸濁剤は100mgの本発明の化合物の単一薬用量に相当する。
製造:
ロージゲルをエタノール中に懸濁させ、そして活性成分を懸濁液に加える。水を撹拌しながら加える。混合物を約6時間にわたり、ロージゲルの膨潤が完了するまで、撹拌する。
静脈内に投与できる懸濁剤:
組成:
10−500mgの実施例1の化合物、15gのポリエチレングリコール400および250gの注射用の水。
製造:
実施例1の化合物をポリエチレングリコール400と一緒に水中に撹拌しながら溶解させる。溶液を濾過(孔直径 0.22μm)により殺菌しそして無菌条件下で熱−殺菌された注入瓶の中に分配させる。後者を注入栓および調整された蓋を用いて閉じる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

[式中、
Arは1〜3個の置換基により置換されていてもよいアリールを表わし、ここで置換基は互いに独立してアルキル、アルコキシ、ホルミル、カルボキシル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、トリフルオロメチル、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アミノカルボニルおよびニトロよりなる群から選択され、
ここでアルキルは1〜3個の置換基により置換されていてもよく、ここで置換基は互いに独立してハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ヒドロキシルおよびアリールよりなる群から選択され、
或いはアリール基上の置換基のうちの2個はそれらが結合される炭素原子と一緒になって1,3−ジオキソラン、シクロペンタン環またはシクロヘキサン環を形成し、そして存在する任意の第三の置換基は独立して上記群から選択され、
は水素、アミノ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、アルキルチオ、シアノ、ハロゲン、ニトロまたはトリフルオロメチルを表わし、
は水素、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、シアノ、ハロゲン、ニトロまたはトリフルオロメチルを表わし、
はアミノ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、アルキルチオ、シアノ、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチル、アルキルスルホニルまたはアルキルアミノスルホニルを表わし、
或いは
基R、RおよびRのうちの1つは水素、アルキル、アルコキシ、シアノ、ハロゲン、ニトロまたはトリフルオロメチルを表わし、そして他の2つはそれらが結合される炭素原子と一緒になって1,3−ジオキソラン、シクロペンタン環またはシクロヘキサン環を形成し、
は水素またはアルキルを表わし、
は水素またはアルキルを表わし、
或いは
基RおよびRはピペラジン環内の互いに直接向かい合う炭素原子に結合されそして場合により1もしくは2個のメチル基により置換されていてもよいメチレン架橋を形成し、Rはアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ホルミル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、トリフルオロメチル、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシルまたはニトロを表わし、
は水素、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ホルミル、カルボキシル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、トリフルオロメチル、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシルまたはニトロを表わし、
そして
は水素、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ホルミル、カルボキシル、アルキル
カルボニル、アルコキシカルボニル、トリフルオロメチル、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシルまたはニトロを表わす]
の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項2】
Arが1〜3個の置換基により置換されていてもよいフェニルを表わし、ここで置換基が互いに独立してC−C−アルキル、C−C−アルコキシ、カルボキシル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、トリフルオロメチル、弗素、塩素、臭素、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、C−C−アルキルアミノおよびニトロよりなる群から選択され、
或いはフェニル基上の置換基のうち2個がそれらが結合される炭素原子と一緒になって1,3−ジオキソランを形成し、そして存在する任意の第三の置換基は独立して上記群から選択され、
が水素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、弗素または塩素を表わし、
が水素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、弗素または塩素を表わし、
がC−C−アルキル、シアノ、弗素、塩素、ニトロ、トリフルオロメチルまたはC−C−アルキルスルホニルを表わし、
或いは
基R、RおよびRのうち1つが水素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、シアノ、ハロゲン、ニトロまたはトリフルオロメチルを表わし、そして他の2つがそれらが結合される炭素原子と一緒になってシクロペンタン環またはシクロヘキサン環を形成し、
が水素またはメチルを表わし、
が水素を表わし、
がC−C−アルキル、C−C−アルコキシ、カルボキシル、アミノカルボニル、トリフルオロメチル、弗素、塩素、シアノ、ヒドロキシルまたはニトロを表わし、
が水素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、弗素、塩素、シアノまたはヒドロキシルを表わし、
そして
が水素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、弗素、塩素、シアノまたはヒドロキシルを表わす
ことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Arが1もしくは2個の置換基により置換されていてもよいフェニルを表わし、ここで置換基が互いに独立してメチル、メトキシ、弗素および塩素よりなる群から選択され、
が水素、メチル、メトキシ、メチルチオ、弗素または塩素を表わし、
が水素を表わし、
がメチル、イソプロピル、tert−ブチル、シアノ、弗素、塩素、ニトロまたはトリフルオロメチルを表わし、
が水素を表わし、
が水素を表わし、
がアミノカルボニル、弗素、塩素、シアノまたはヒドロキシルを表わし、
が水素を表わし、
そして
が水素、弗素または塩素を表わす
ことを特徴とする請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
が水素、メチル、メトキシまたは弗素を表わすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
がメトキシを表わすことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
がフェニル環にフェニル環の結合点に対してオルト位置を介して結合されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
が水素を表わすことを特徴とする請求項1、2および4〜6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
がトリフルオロメチル、塩素、メチル、イソプロピルまたはtert−ブチルを表わすことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
がトリフルオロメチル、塩素またはメチルを表わすことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
がフェニル環にフェニル環の結合点に対してオルト位置を介して結合されそしてRがフェニル環にフェニル環の結合点に対してメタ位置を介して結合され、その位置がRの位置と向かい合うことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
およびRが水素を表わすことを特徴とする請求項1、2および4〜10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
が弗素を表わすことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
が水素を表わすことを特徴とする請求項1、2および4〜12のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
が水素、メチルまたは弗素を表わすことを特徴とする請求項1、2および4〜13のいずれかに記載の化合物。
【請求項15】
Arが1もしくは2個の置換基により置換されていてもよいフェニルを表わし、ここで置換基が互いに独立してメチル、メトキシ、弗素および塩素よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1、2および4〜14のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】

【化2】

[式中、
Ar、R、R、R、R、R、R、RおよびRは請求項1に定義された通りであり、
そして
はアルキル、好ましくはメチルまたはエチルまたはtert−ブチルを表わす]
の化合物を塩基または酸と反応させることを特徴とする、請求項1に記載の式(I)の化合物の製造方法。
【請求項17】
疾患の処置および/または予防のための請求項1〜15のいずれかに記載の化合物。
【請求項18】
請求項1〜15のいずれかに記載の化合物を不活性な無毒の製薬学的に許容可能な助剤と組み合わせて含んでなる薬品。
【請求項19】
ウイルス性疾患の処置および/または予防用の薬品を製造するための請求項1〜15のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項20】
ウイルス性感染症がヒトサイトメガロウイルス(HCMV)またはヘルペスウイルス科(Herpes viridae)の群の別の典型例による感染症であることを特徴とする請求項19に記載の使用。
【請求項21】
ウイルス性感染症の処置および/または予防のための請求項18に記載の薬品。
【請求項22】
抗ウイルス的に有効な量の少なくとも1種の請求項1〜15のいずれかに記載の化合物、請求項18に記載の薬品または請求項19もしくは20に従い得られる薬品を投与することにより人間および動物におけるウイルス性疾患を抑制する方法。

【公表番号】特表2006−525249(P2006−525249A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505178(P2006−505178)
【出願日】平成16年4月17日(2004.4.17)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004103
【国際公開番号】WO2004/096778
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(503412148)バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト (206)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare AG
【Fターム(参考)】