説明

抗増殖剤として有用なベンゾイミダゾール誘導体

【課題】哺乳動物において癌などの異常細胞増殖の治療に有用な抗増殖剤の提供。
【解決手段】
本発明は、実質的に純粋な式(1)の化合物、ならびに薬学的に許容できるその塩、プロドラッグ、および溶媒和物に関し、式中、R、R、R、R、R、およびRは本明細書に定義したとおりである。本発明はまた、式(1)の化合物を含む医薬組成物、およびそのような医薬製剤を投与することによって哺乳動物において、癌などの異常細胞増殖を治療する方法に関する。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物において癌などの異常細胞増殖の治療に有用である新規なベンズイミダゾール誘導体に関する。本発明はまた、哺乳動物、特にヒトにおいて異常細胞増殖の治療にそのような化合物を使用する方法、およびそのような化合物を含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞は、そのDNAの一部が癌遺伝子(すなわち、活性化されると、悪性腫瘍細胞を形成する遺伝子)に変換することによって癌性となる可能性のあることが知られている。多くの癌遺伝子は、細胞の変換を引き起こすことのできる異常なチロシンキナーゼであるタンパク質をコードする。あるいは、正常な癌原遺伝子チロシンキナーゼの過剰発現も、増殖性障害をもたらす可能性があり、ときには悪性表現型をもたらすことがある。
【0003】
受容体チロシンキナーゼは、細胞膜を通過し、上皮増殖因子などの増殖因子の細胞外結合ドメイン、膜貫通ドメイン、およびタンパク質の特定のチロシン残基をリン酸化し、それによって細胞増殖に影響を及ぼすキナーゼとして機能する細胞内部分を有する酵素である。他の受容体チロシンキナーゼには、c−erbB−2、c−met、tie−2、PDGFr、FGFr、およびVEGFRが含まれる。そのようなキナーゼは、乳癌、結腸、直腸、または胃癌などの消化管癌、白血病、および卵巣癌、気管支癌、または膵臓癌などの一般的なヒトの癌において、しばしば異常に発現していることが知られている。脳、肺、扁平上皮細胞、膀胱、胃、乳房、頭部および頸部、食道、婦人科系、ならびに甲状腺の腫瘍などの多くのヒトの癌において、チロシンキナーゼ活性を有する上皮増殖因子受容体(EGFR)が突然変異および/または過剰発現していることも示されている。
【0004】
したがって、受容体チロシンキナーゼの阻害剤は、哺乳動物の癌細胞増殖の選択的阻害剤として有用であることが認識されている。たとえば、チロシンキナーゼ阻害剤であるエルブスタチンは、無胸腺ヌードマウスにおいて、上皮増殖因子受容体チロシンキナーゼ(EGFR)を発現する移植ヒト乳癌の増殖を選択的に減じるが、EGF受容体を発現しない他の癌の増殖には影響を与えない。したがって、ある種の受容体チロシンキナーゼ、特にPDGFrの選択的阻害剤である本発明の化合物は、哺乳動物において異常細胞増殖、特に癌の治療に有用である。
【0005】
スチレン誘導体などの他の様々な化合物も、チロシンキナーゼ阻害特性を有することが示されている。さらに近年、5つの欧州特許公報、すなわちEP0566226A1(1993年10月20日公開)、EP0602851A1(1994年6月22日公開)、EP0635507A1(1995年1月25日公開)、EP0635498A1(1995年1月25日公開)、およびEP0520722A1(1992年12月30日公開)が、それらのチロシンキナーゼ阻害特性に由来する抗癌特性を有する、ある種の二環式誘導体、特にキナゾリン誘導体を記載している。さらに、国際特許出願WO92/20642(1992年11月26日公開)は、異常細胞増殖の阻害に有用なチロシンキナーゼ阻害剤として、ある種のビス単環および二環式アリールおよびヘテロアリール化合物を記載している。国際特許出願WO96/16960(1996年6月6日公開)、WO96/09294(1996年3月6日公開)、WO97/30034(1997年8月21日公開)、WO98/02434(1998年1月22日公開)、WO98/02437(1998年1月22日公開)、およびWO98/02438(1998年1月22日公開)も、同じ目的に有用なチロシンキナーゼ阻害剤として、置換二環式複素芳香族誘導体を記載している。さらに、WO99/16755、J.Med.Chem.1998、41、5457〜5465、およびJ.Med.Chem.1999、42、2373〜2382も参照されたい。国際特許出願WO04/020431(2004年3月11日公開)およびWO01/40217(2001年6月7日公開)は、チロシンキナーゼ阻害剤として有用な二環式複素芳香族誘導体を開示している。WO04/020431およびWO01/40217に開示されているある種の化合物は、哺乳動物の生体内変換を用いて、または化学合成によって、請求の範囲に記載の化合物を調製するための本明細書に記載の化合物の前駆体として有用である。本特許出願に言及した特許、ならびに公開国際、欧州、および英国特許出願を含む特許出願、ならびに科学刊行物はそれぞれ、その全体を参照により本明細書の一部とする。
【特許文献1】欧州特許公報EP0566226A1
【特許文献2】欧州特許公報EP0602851A1
【特許文献3】欧州特許公報EP0635507A1
【特許文献4】欧州特許公報EP0635498A1
【特許文献5】欧州特許公報EP0520722A1
【特許文献6】国際特許出願WO92/20642
【特許文献7】国際特許出願WO96/16960
【特許文献8】国際特許出願WO96/09294
【特許文献9】国際特許出願WO97/30034
【特許文献10】国際特許出願WO98/02434
【特許文献11】国際特許出願WO98/02438
【特許文献12】国際特許出願WO99/16755
【非特許文献1】J.Med.Chem.1998、41、5457〜5465
【非特許文献2】J.Med.Chem.1999、42、2373〜2382
【特許文献13】国際特許出願WO04/020431
【特許文献14】国際特許出願WO01/40217
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、実質的に純粋な式1の化合物
【0007】
【化1】

(式中、Rは、H、ヒドロキシル、オキソ(=O)、およびグルクロニドからなる群から選択され、
各R、R、R、およびRは独立して、H、ヒドロキシル、およびグルクロニドから選択され
は、以下からなる群から選択され、
【0008】
【化2】

ただし、R、R、R、R、およびRが、同時にそれぞれ水素であるとき、Rは、
【0009】
【化3】

またはHであることができない)、または薬学的に許容できるその塩、プロドラッグ、水和物、もしくは溶媒和物に関する。
【0010】
本発明の他の実施形態は、式中、R、R、R、R、およびRは水素である式1のそれらの化合物を含む。
【0011】
本発明の他の実施形態は、式中、R、R、R、R、およびRは水素であり、Rは下記の式で表される
【0012】
【化4】

式1のそれらの化合物を含む。
【0013】
本発明の他の実施形態は、式中、R、R、R、R、およびRは水素であり、Rは下記の式で表される
【0014】
【化5】

式1のそれらの化合物を含む。
【0015】
本発明の他の実施形態は、式中、R、R、R、R、およびRは水素であり、Rは下記の式で表される
【0016】
【化6】

式1のそれらの化合物を含む。
【0017】
本発明の他の実施形態は、式中、R、R、R、およびRは水素であり、Rはヒドロキシルであるそれらの化合物を含む。
【0018】
本発明の他の実施形態は、式中、R、R、R、およびRは水素であり、Rはヒドロキシルであり、Rは下記の式で表される
【0019】
【化7】

それらの化合物を含む。
【0020】
本発明の他の実施形態は、式中、R、R、R、およびRは水素であり、Rはヒドロキシルである式1のそれらの化合物を含む。
【0021】
本発明の他の実施形態は、式中、R、R、R、およびRは水素であり、Rはヒドロキシルであり、Rは下記の式で表される
【0022】
【化8】

式1のそれらの化合物を含む。
【0023】
本発明の他の実施形態は、式中、R、R、R、およびRは水素であり、Rはグルクロニドである式1のそれらの化合物を含む。
【0024】
本発明の他の実施形態は、式中、R、R、R、およびRは水素であり、Rはグルクロニドであり、Rは下記である
【0025】
【化9】

式1のそれらの化合物を含む。
【0026】
好ましい化合物には、
2−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシメチル}−2−メチル−プロパン−1,3−ジオール;
3−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシ}−2−ヒドロキシメチル−2−メチル−プロピオン酸;
4−アミノ−1−{2−[5−(3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチル−プロポキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−2−オン;
4−アミノ−1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−2−オール;
8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−7−オール;
8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−6−オール;
8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−5−オール;
8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−4−オール;
8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−3−オール;
1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−1H−ベンゾイミダゾール−2−オール;
3−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−6−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−3H−ベンゾイミダゾール−4−オール;
3−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−6−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−3H−ベンゾイミダゾール−5−オール;
1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−1H−ベンゾイミダゾール−4−オール;
2−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−7−ヒドロキシ−キノリン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシメチル}−2−メチル−プロパン−1,3−ジオール;
2−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−6−ヒドロキシ−キノリン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシメチル}−2−メチル−プロパン−1,3−ジオール;
2−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−5−ヒドロキシ−キノリン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシメチル}−2−メチル−プロパン−1,3−ジオール;
2−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−キノリン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシメチル}−2−メチル−プロパン−1,3−ジオール;
2−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−3−ヒドロキシ−キノリン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシメチル}−2−メチル−プロパン−1,3−ジオール;
2−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−2−ヒドロキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシメチル}−2−メチル−プロパン−1,3−ジオール;
2−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−4−ヒドロキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシメチル}−2−メチル−プロパン−1,3−ジオール;
2−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−6−ヒドロキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシメチル}−2−メチル−プロパン−1,3−ジオール;
2−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−7−ヒドロキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシメチル}−2−メチル−プロパン−1,3−ジオール;
2−{1−[8−(4−アミノ−2−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシメチル}−2−メチル−プロパン−1,3−ジオール;
6−(3−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシ}−2−ヒドロキシメチル−2−メチル−プロポキシ)−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−カルボン酸;
6−(4−アミノ−1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−2−イルオキシ)−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−カルボン酸;
6−{8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−7−イルオキシ}−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−カルボン酸;
6−{8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−6−イルオキシ}−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−カルボン酸;
6−{8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−5−イルオキシ}−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−カルボン酸;
6−{8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−4−イルオキシ}−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−カルボン酸;
6−{8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−3−イルオキシ}−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−カルボン酸;
6−[1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルオキシ]−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−カルボン酸;
6−[1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−1H−ベンゾイミダゾール−4−イルオキシ]−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−カルボン酸;
6−[3−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−6−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−3H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシ]−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−カルボン酸;
6−[3−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−6−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−3H−ベンゾイミダゾール−4−イルオキシ]−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−カルボン酸;
ならびに薬学的に許容できる前述の化合物の塩、プロドラッグ、水和物、および溶媒和物からなる群から選択された実質的に純粋な化合物が含まれる。
【0027】
本発明の他の実施形態には、
1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−1−オキシ−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミン;
1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−3−オキシ−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミン;
1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−1−オキシ−ピペリジン−4−イルアミン;
1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−1−オキシ−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミン;
ならびに薬学的に許容できる前述の化合物の塩、プロドラッグ、水和物、および溶媒和物からなる群から選択された実質的に純粋な化合物が含まれる。
【0028】
好ましい一実施形態において、本発明の化合物は、前述のいずれかの化合物のベンゼンスルホン酸塩である。
【0029】
本発明はまた、治療有効量の式1の化合物、または薬学的に許容できるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、または水和物、および薬学的に許容できる担体を含む、哺乳動物において異常細胞増殖を治療するための医薬組成物に関する。一実施形態において、前記医薬組成物は、脳、肺、扁平上皮細胞、膀胱、胃、膵臓、乳房、頭部、頸部、腎臓(renal)、腎臓(kidney)、卵巣、前立腺、結腸直腸、食道、精巣、婦人科系、または甲状腺の癌などの癌を治療するためのものである。他の実施形態において、前記医薬組成物は、皮膚(たとえば、乾癬)、再狭窄、または前立腺(たとえば、良性前立腺肥大(BPH))の良性過形成などの非癌性過剰増殖性障害を治療するためのものである。
【0030】
本発明はまた、治療有効量の式1の化合物、または薬学的に許容できるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、または水和物、および薬学的に許容できる担体を含む、哺乳動物において膵炎、または腎臓疾患(増殖性糸球体腎炎、および糖尿病誘発性腎疾患を含む)を治療するための医薬組成物に関する。
【0031】
本発明はまた、治療有効量の式1の化合物、または薬学的に許容できるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、または水和物、および薬学的に許容できる担体を含む、哺乳動物において未分化胚芽細胞の着床を予防するための医薬組成物に関する。
【0032】
本発明はまた、治療有効量の式1の化合物、または薬学的に許容できるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、または水和物、および薬学的に許容できる担体を含む、哺乳動物において脈管形成、再狭窄、アテローム性動脈硬化、または血管新生に関連する疾患を治療するための医薬組成物に関する。一実施形態において、前記医薬組成物は、腫瘍血管新生、関節リウマチなどの慢性炎症性疾患、アテローム性動脈硬化症、ならびに乾癬、湿疹、および強皮症などの皮膚疾患、糖尿病、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、加齢性黄斑変性、血管腫、神経膠腫、黒色腫、カポジ肉腫、ならびに卵巣、乳房、肺、膵臓、前立腺、結腸、および類表皮癌からなる群から選択された疾患を治療するためのものである。
【0033】
本発明はまた、哺乳動物において異常細胞増殖を治療する方法であって、本明細書に記載の本発明の医薬組成物を前記哺乳動物に投与することを含む方法に関する。
【0034】
本発明の好ましい一実施形態において、異常細胞増殖は癌である。
【0035】
本発明の一実施形態において、癌は、肺癌、骨癌、膵臓癌、胃癌、皮膚癌、頭部または頸部癌、皮膚または眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、婦人科系癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、結腸癌、乳癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸部癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織の肉腫、尿道癌、陰茎癌、扁平上皮細胞癌、前立腺癌、慢性または急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓または尿管の癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸の腫瘍、脳腫瘍、下垂体腺腫、あるいは前述の1種または複数の癌の組合せから選択される。
【0036】
本発明の好ましい実施形態において、癌は、脳、扁平上皮細胞、膀胱、胃、膵臓、乳房、頭部、頸部、食道、前立腺、結腸直腸、肺、腎臓(renal)、腎臓(kidney)、卵巣、婦人科系、および甲状腺の癌からなる群から選択される。
【0037】
本発明の好ましい実施形態において、癌は、前立腺、乳房、肺、結腸、および卵巣の癌からなる群から選択される。
【0038】
本発明の他の好ましい実施形態において、癌は、前立腺、乳房、および肺の癌からなる群から選択される。
【0039】
より好ましい実施形態において、乳癌は、転移性乳癌である。
【0040】
より好ましい実施形態において、肺癌は、非小細胞肺癌である。
【0041】
本発明の他の実施形態において、異常細胞増殖は、非癌性である。
【0042】
本発明の一実施形態において、非癌性異常細胞増殖は、皮膚または前立腺の良性過形成である。
【0043】
本発明はまた、哺乳動物において脈管形成、再狭窄、アテローム性動脈硬化、または血管新生を治療する方法であって、本発明による医薬組成物を前記哺乳動物に投与することを含む方法に関する。
【0044】
本発明の好ましい一実施形態は、脈管形成または血管新生に関連する疾患を治療する方法である。
【0045】
本発明の一実施形態は、哺乳動物において過剰増殖性障害を治療する方法であって、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、挿入抗生物質、増殖因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答調節剤、抗ホルモン剤、血管新生阻害剤、および抗アンドロゲン剤からなる群から選択された抗腫瘍剤と組み合わせて、本発明による医薬組成物を前記哺乳動物に投与することを含む方法に関する。
【0046】
本発明はまた、哺乳動物において過剰増殖性障害を治療する方法であって、本発明による医薬組成物を前記哺乳動物に投与することを含む方法に関する。一実施形態において、前記方法は、脳、扁平上皮細胞、膀胱、胃、膵臓、乳房、頭部、頸部、食道、前立腺、結腸直腸、肺、腎臓(renal)、腎臓(kidney)、卵巣、精巣、婦人科系、および甲状腺の癌などの癌の治療に関する。他の実施形態において、前記方法は、皮膚(たとえば、乾癬)、再狭窄、または前立腺(たとえば、良性前立腺肥大(BPH))の良性過形成などの、非癌性過剰増殖性障害の治療に関する。
【0047】
本発明はまた、哺乳動物において過剰増殖性障害を治療する方法であって、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、挿入抗生物質、増殖因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答調節剤、抗ホルモン剤、血管新生阻害剤、および抗アンドロゲン剤からなる群から選択された治療有効量の抗腫瘍剤と組み合わせて、本発明による医薬組成物を前記哺乳動物に投与することを含む方法に関する。
【0048】
本発明はまた、哺乳動物において膵炎または腎臓疾患を治療する方法であって、本発明による医薬組成物を前記哺乳動物に投与することを含む方法に関する。
【0049】
本発明はまた、哺乳動物において未分化胚芽細胞の着床を予防する方法であって、本発明による医薬組成物を前記哺乳動物に投与することを含む方法に関する。
【0050】
本発明はまた、哺乳動物において脈管形成または血管新生に関連する疾患を治療する方法であって、本発明による医薬組成物を前記哺乳動物に投与することを含む方法に関する。一実施形態において、前記方法は、腫瘍血管新生、関節リウマチなどの慢性炎症性疾患、アテローム性動脈硬化症、ならびに乾癬、湿疹、および強皮症などの皮膚疾患、糖尿病、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、加齢性黄斑変性、血管腫、神経膠腫、黒色腫、カポジ肉腫、ならびに卵巣、乳房、肺、膵臓、前立腺、結腸、および類表皮癌からなる群から選択された疾患を治療するためのものである。
【0051】
本発明の方法に従って、式1の化合物、ならびに薬学的に許容できる前記化合物の塩、プロドラッグ、および水和物を含む医薬組成物で治療することのできる患者には、たとえば、乾癬、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、BPH、肺癌、骨癌、CMML、膵臓癌、皮膚癌、頭部または頸部癌、皮膚または眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、結腸癌、乳癌、精巣癌、婦人科系の腫瘍(たとえば、子宮肉腫、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸部癌、膣癌、または外陰癌)、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系の癌(たとえば、甲状腺癌、副甲状腺癌、または副腎癌)、軟組織の肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、慢性または急性白血病、小児期固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓または尿管の癌(たとえば、腎細胞癌、腎盂癌)、あるいは中枢神経系の新生物(たとえば、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸の腫瘍、脳幹神経膠腫、または下垂体腺腫)と診断された患者が含まれる。
【0052】
本発明はまた、薬学的に許容できる担体、および化学療法剤と組み合わせて、治療有効量の式1の化合物、または薬学的に許容できるその塩、水和物、溶媒和物、もしくはプロドラッグを含む、哺乳動物において異常細胞増殖を阻害するための医薬組成物に関し、その化合物、塩、水和物、溶媒和物、またはプロドラッグ、および化学療法剤の量は、その医薬組成物が異常細胞増殖を阻害するのに有効な量である。現在、多くの化学療法剤が当分野で知られている。一実施形態において、化学療法剤は、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、挿入抗生物質、増殖因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答調節剤、および抗ホルモン剤、たとえば抗アンドロゲン剤からなる群から選択される。
【0053】
本発明はさらに、哺乳動物において異常細胞増殖を阻害するか、または過剰増殖性障害を治療する方法であって、放射線療法と組み合わせて、本発明による医薬組成物をその哺乳動物に投与することを含む方法に関し、その化合物、塩、水和物、溶媒和物、またはプロドラッグの量は、その放射線療法と組み合わせて、その哺乳動物において異常細胞増殖を阻害、または過剰増殖性障害を治療するのに有効な量である。放射線療法を投与する技法は当分野で知られており、本明細書に記載の併用療法において、これらの技法を用いることができる。この併用療法における本発明の化合物の投与は、本明細書に記載のとおり決定することができる。
【0054】
式1の化合物は、異常細胞を殺す、および/またはその増殖を阻害するために、放射線による治療に対してそのような異常細胞をより感受性にすることができると考えられる。したがって、本発明はさらに、哺乳動物において放射線による治療に対して異常細胞を感作する方法であって、放射線による治療に対して異常細胞を感作するのに有効な量および期間で、本発明による医薬組成物をその哺乳動物に投与することを含む方法に関する。この方法において、化合物、塩、水和物、プロドラッグ、もしくは溶媒和物の量は、本明細書に記載のそのような化合物の有効量を確かめる手段によって決定することができる。
【0055】
本発明はまた、(1)式1の化合物、または薬学的に許容できるその塩、プロドラッグ、水和物、もしくは溶媒和物、あるいは同位体標識されたその誘導体、(2)薬学的に許容できる担体、および(3)抗血管新生剤、シグナル伝達阻害剤、および抗増殖剤から選択された1種または複数の物質を含む、哺乳動物において異常細胞増殖を阻害するための医薬組成物、ならびにそのような組成物を投与することによって、哺乳動物において異常細胞増殖を阻害する方法に関する。
【0056】
本発明はまた、患者が1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミンを投与されたかどうかを判定する方法であって、その患者から得た血漿、尿、胆汁、または便試料が、式1の化合物の存在を示すかどうか判定するステップを含む方法に関する。
【0057】
本発明はまた、a)治療有効量の式1の化合物、あるいはその塩、溶媒和物、水和物、またはプロドラッグ、および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物、ならびにb)異常細胞増殖を治療するために、その医薬組成物を使用する方法を記載した使用説明書を含む、異常細胞増殖を治療するためのキットに関する。
【0058】
MMP−2(マトリックスメタロプロテイナーゼ2)阻害剤、MMP−9(マトリックスメタロプロテイナーゼ9)阻害剤、およびCOX−II(シクロオキシゲナーゼII)阻害剤などの抗血管新生剤を、本明細書に記載の式1の化合物および医薬組成物と併せて用いることができる。有用なCOX−II阻害剤の例には、CELEBREX(商標)(アレコキシブ(alecoxib))、バルデコキシブ、およびロフェコキシブが含まれる。有用なマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の例は、WO96/33172(1996年10月24日公開)、WO96/27583(1996年3月7日公開)、欧州特許公報第0818442A2号(1998年1月14日公開)、欧州特許第1004578号(2004年2月25日付与)、WO98/07697(1998年2月26日公開)、WO98/03516(1998年1月29日公開)、WO98/34918(1998年8月13日公開)、WO98/34915(1998年8月13日公開)、WO98/33768(1998年8月6日公開)、WO98/30566(1998年7月16日公開)、欧州特許公報第606046号(1994年7月13日公開)、欧州特許公報第931788号(1999年7月28日公開)、WO90/05719(1990年5月31日公開)、WO99/52910(1999年10月21日公開)、WO99/52889(1999年10月21日公開)、WO99/29667(1999年6月17日公開)、WO99/07675(1999年2月18日公開)、欧州特許出願第99302232.1号(1999年3月25日出願)、英国特許出願第9912961.1号(1999年6月3日出願)、欧州特許公報第1081137号(2001年3月7日公開)、米国特許第5863949号(1999年1月26日発行)、米国特許第5861510号(1999年1月19日発行)、および欧州特許公報第780386号(1997年6月25日公開)に記載されている。好ましいMMP−2およびMMP−9阻害剤は、MMP−1阻害活性をほとんど持たないか、またはまったく持たないものである。より好ましいのは、他のマトリックスメタロプロテイナーゼ(すなわち、MMP−1、MMP−3、MMP−4、MMP−5、MMP−6、MMP−7、MMP−8、MMP−10、MMP−11、MMP−12、およびMMP−13)に対して、MMP−2および/またはMMP−9を選択的に阻害するものである。
【0059】
本発明に有用なMMP阻害剤のいくつかの特定の例は、AG−3340、RO32−3555、RS13−0830、および以下のリストに挙げる化合物
3−[[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニル]−(1−ヒドロキシカルバモイル−シクロペンチル)−アミノ]−プロピオン酸;
3−exo−3−[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−8−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド;
(2R,3R)1−[4−(2−クロロ−4−フルオロ−ベンジルオキシ)−ベンゼンスルホニル]−3−ヒドロキシ−3−メチル−ピペリジン−2−カルボン酸ヒドロキシアミド;
4−[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−テトラヒドロ−ピラン−4−カルボン酸ヒドロキシアミド;
3−[[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニル]−(1−ヒドロキシカルバモイル−シクロブチル)−アミノ]−プロピオン酸;
4−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−テトラヒドロ−ピラン−4−カルボン酸ヒドロキシアミド;
(R)3−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−テトラヒドロ−ピラン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド;
(2R,3R)1−[4−(4−フルオロ−2−メチル−ベンジルオキシ)−ベンゼンスルホニル]−3−ヒドロキシ−3−メチル−ピペリジン−2−カルボン酸ヒドロキシアミド;
3−[[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニル]−(1−ヒドロキシカルバモイル−1−メチル−エチル)−アミノ]−プロピオン酸;
3−[[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニル]−(4−ヒドロキシカルバモイル−テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミノ]−プロピオン酸;
3−exo−3−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−8−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド;
3−endo−3−[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−8−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド;および
(R)3−[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−テトラヒドロ−フラン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド;
ならびに薬学的に許容できる前記化合物の塩および溶媒和物である。
【0060】
他のCOX−II阻害剤および他のMMP阻害剤を含む他の抗血管新生剤も本発明に用いることができる。
【0061】
式1の化合物、および式1の化合物を含む本発明による医薬組成物は、EGFR抗体、EGF抗体、およびEGFR阻害剤である分子などの、EGFR(上皮増殖因子受容体)の応答を阻害することのできる薬剤;VEGF受容体、およびVEGFを阻害することのできる分子などのVEGF(血管内皮細胞増殖因子)阻害剤;ならびにerbB2受容体に結合する有機分子または抗体などのerbB2受容体阻害剤、たとえばHERCEPTIN(商標)(Genentech,Inc.、South San Francisco、California、USA)などのシグナル伝達阻害剤と共に用いることもできる。
【0062】
EGFR阻害剤は、たとえばWO95/19970(1995年7月27日公開)、WO98/14451(1998年4月9日公開)、WO98/02434(1998年1月22日公開)、および米国特許第5747498号(1998年5月5日発行)に記載されており、そのような物質は、本明細書に記載のとおり本発明に用いることができる。EGFR阻害剤には、これに限定されるものではないが、モノクローナル抗体C225、抗EGFR22Mab(ImClone Systems Incorporated、New York、New York、USA)、およびABX−EGF(Abgenix抗体)、化合物ZD−1839(AstraZeneca)、BIBX−1382(Boehringer Ingelheim)、MDX−447(Medarex Inc.、Annandale、New Jersey、USA)、およびOLX−103(Merck&Co.、Whitehouse Station、New Jersey、USA)、VRCTC−310(Ventech Research)、およびEGF融合毒素(Seragen Inc.、Hopkinton、Massachusettes)が含まれる。これらのEGFR阻害剤、および他のEGFR阻害剤も、本発明に用いることができる。
【0063】
VEGF阻害剤、たとえばSU−5416およびSU−6668(Sugen Inc.、South San Francisco、California、USA)も、本発明の化合物と組み合わせることができる。VEGF阻害剤は、たとえばWO99/24440(1999年5月20日公開)、WO99/62890(1999年12月9日公開)、WO95/21613(1995年8月17日公開)、WO99/61422(1999年12月2日公開)、米国特許第5834504号(1998年11月10日発行)、WO98/50356(1998年11月12日公開)、米国特許第5883113号(1999年3月16日発行)、米国特許第5886020号(1999年3月23日発行)、米国特許第5792783号(1998年8月11日発行)、WO99/10349(1999年3月4日公開)、WO97/32856(1997年9月12日公開)、WO97/22596(1997年6月26日公開)、WO98/54093(1998年12月3日公開)、WO98/02438(1998年1月22日公開)、WO99/16755(1999年4月8日公開)、およびWO98/02437(1998年1月22日公開)に記載されている。本発明で有用な特定のいくつかのVEGF阻害剤の他の例は、IM862(Cytran Inc.、Kirkland、Washington、USA);IMC−1C11 Imclone抗体、抗VEGFモノクローナル抗体(Genentech Inc.、South San Francisco、California);ならびにAngiozyme、Ribozyme(Boulder、Colorado)およびChiron(Emeryville、California)の合成リボザイムである。これらのVEGF阻害剤、および他のVEGF阻害剤も、本明細書に記載のとおり本発明に用いることができる。
【0064】
さらにGW−282974(Glaxo Wellcome plc)、およびモノクローナル抗体AR−209(Aronex Pharmaceuticals Inc.、The Woodlands、Texas、USA)、および2B−1(Chiron)などのerbB2受容体阻害剤も、本発明の化合物と組み合わせることができ、たとえばWO98/02434(1998年1月22日公開)、WO99/35146(1999年7月15日公開)、WO99/35132(1999年7月15日公開)、WO98/02437(1998年1月22日公開)、WO97/13760(1997年4月17日公開)、WO95/19970(1995年7月27日公開)、米国特許第5587458号(1996年12月24日発行)、および米国特許第5877305号(1999年3月2日発行)に示されているものである。本発明で有用なerbB2受容体阻害剤は、米国特許第6465449号(2002年10月15日発行)、および米国特許第6284764号(2001年9月4日発行)にも記載されている。前述のPCT出願および米国特許に記載のerbB2受容体阻害剤化合物および物質、ならびにerbB2受容体を阻害する他の化合物および物質は、本発明に従って本発明の化合物と共に用いることができる。
【0065】
本発明の化合物および医薬組成物は、異常細胞増殖または癌を治療するのに有用な他の薬剤と共に用いることもでき、それらの薬剤には、これに限定されるものではないが、抗腫瘍免疫応答を増強することのできる薬剤、たとえばCTLA4(細胞傷害性リンパ球抗原4)抗体、およびCTLA4を遮断することのできる他の薬剤;ならびに抗増殖剤、たとえばタンパク質ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、およびαvβ3阻害剤、たとえばαvβ3抗体ビタキシン、およびαvβ5阻害剤などが含まれる。本発明に用いることのできる特定のCTLA4抗体には、WO00/37504(2000年6月29日公開)に記載のもの、および当業者に知られている他のCTLA4抗体が含まれる。
【0066】
本発明の化合物および組成物はさらに、本明細書に挙げた疾患に伴う症状、ならびに異常細胞増殖に伴う症状を緩和する、姑息的ネオアジュバント/アジュバント療法において用いることもできる。そのような療法は、単独療法であることができ、あるいは化学療法および/または免疫療法と組み合わせることもできる。
【0067】
本発明はまた、式1の化合物を生成する条件および期間下で、1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミン、またはその塩と共に、肝細胞、好ましくは哺乳動物肝細胞、および/またはミクロソーム、S9、もしくはサイトゾルなどの肝臓細胞下分画をインキュベートし、得られた式1の化合物を単離することによって、式1の化合物を調製する方法に関する。
【0068】
式1の化合物は、in vivoで調製することもできる。たとえば、哺乳動物に1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミンを投与することができ、生体内変換によって、その哺乳動物で式1の化合物が生成される。
【0069】
本発明はまた、式1の化合物を調製する方法であって、その化合物を合成的に調製するステップを含む方法に関する。一実施形態において、式1の化合物は、1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミンを酸で処理することによって調製される。他の実施形態において、式1の化合物は、国際特許出願WO04/020431に開示の方法に従って調製される。
【0070】
本出願では、「異常細胞増殖」と「過剰増殖性障害」という用語は、同じ意味で用いられる。
【0071】
本明細書では他に指示のないかぎり、「異常細胞増殖」は、正常な調節機構から独立した(たとえば、接触阻止の喪失)細胞増殖を指す。これには、(1)突然変異チロシンキナーゼの発現、または受容体チロシンキナーゼの過剰発現によって増殖する腫瘍細胞(腫瘍)、(2)異常なチロシンキナーゼ活性化が起こる他の増殖性疾患の良性および悪性細胞、(4)受容体チロシンキナーゼによって増殖する任意の腫瘍、(5)異常なセリン/トレオニンキナーゼ活性化によって増殖する任意の腫瘍、ならびに(6)異常なセリン/トレオニンキナーゼ活性化が起こる他の増殖性疾患の良性および悪性細胞の異常増殖が含まれる。
【0072】
本明細書では他に指示のないかぎり、「治療する」という用語は、そのような用語が適用される障害または状態、あるいはそのような障害または状態の1つまたは複数の症状を逆転させる、緩和する、その進行を抑制する、または予防することを意味する。本明細書では他に指示のないかぎり、「治療」という用語は、治療する行為を指し、「治療する」は直前に定義されたとおりである。
【0073】
本明細書では他に指示のないかぎり、「オキソ」という用語は、二重結合した酸素結合(=O)を意味する。
【0074】
本明細書では他に指示のないかぎり、「ヒドロキシル」という用語は、ヒドロキシル(−OH)を意味する。
【0075】
本明細書では他に指示のないかぎり、「アルキル」という用語には、直鎖、分枝鎖、または環状部分(縮合および架橋二環およびスピロ環部分を含む)、あるいは前述の部分の組合せを有する飽和一価炭化水素基が含まれる。アルキル基が環状部分を有するためには、その基は少なくとも3個の炭素原子を持たなければならない。
【0076】
本明細書では他に指示のないかぎり、「薬学的に許容できる塩」という語句には、式1の化合物に存在することのできる酸性または塩基性基の塩が含まれる。本来塩基性である式1の化合物は、様々な無機酸および有機酸と多様な塩を形成することができる。そのような式1の塩基性化合物の薬学的に許容できる酸付加塩を調製するために用いることのできる酸は、非毒性酸付加塩、すなわち酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム塩、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシレート、エストレート、エシレート、エチルコハク酸塩、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化物、イソチオネート、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、粘液酸塩、ナプシレート、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモエート(エンボネート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオドード(triethiodode)、および吉草酸塩などの薬理学的に許容できるアニオンを含有する塩を形成するものである。本発明の単一化合物は、複数の酸性または塩基性部分を含むことができるため、本発明の化合物は、単一化合物中に1、2、または3つの塩を含むことができる。
【0077】
本来酸性である本発明の化合物は、薬理学的に許容できる様々なカチオンと塩基塩を形成することができる。そのような塩の例には、本発明の化合物のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、特にカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、およびカリウム塩が含まれる。
【0078】
本発明はその範囲内に、上記式1の化合物のプロドラッグを含む。一般的に、そのようなプロドラッグは、必要とされる式1の化合物にin vivoで容易に変換できる式1の化合物の機能性誘導体となる。適切なプロドラッグ誘導体を選択および調製する通常の手順は、たとえば「Design of Prodrugs」、H.Bundgaard編、Elsevier、1985に記載されている。
【0079】
プロドラッグは、活性薬剤を放出するために体内で変換を必要とし、親薬物分子より向上した送達特性を有する、生物学的に活性な物質(「親薬物」または「親分子」)の薬理学的に不活性な誘導体であることができる。in vivoでの変換は、たとえば、カルボン酸、リン酸、または硫酸エステルの化学的または酵素的加水分解、あるいは感受性官能基の還元または酸化などのある種の代謝過程の結果であってよい。
【0080】
本明細書では他に指示のないかぎり、「実質的に純粋」という語句は、その化合物が好ましくは少なくとも90%純粋、より好ましくは少なくとも95%純粋、もっとも好ましくは少なくとも99%純粋である、化合物の純度を指す。
【0081】
本発明の他の実施形態において、請求の範囲に記載の化合物は、精製および単離されている。
【0082】
本明細書では、以下の表記は、
【0083】
【化10】

結合点を指す。したがって、以下の構造は、
【0084】
【化11】

結合点がCH基の炭素原子であることを示す。
【0085】
本明細書では、「グルクロニド」という用語は、以下の構造と同じ意味である別の分子上の置換基を指す。
【0086】
【化12】

【0087】
本発明による化合物は、1つまたは複数の不斉中心を有し、したがってエナンチオマーおよびジアステレオマーの両方として存在することができる。そのような異性体、およびそれらの混合物はすべて、本発明の範囲に包含されることが理解される。
【0088】
式1の化合物は、互変異性体として存在することもできる。本発明は、そのようなすべての互変異性体、およびそれらの混合物の使用に関する。さらに、本発明は、化合物が種々のエナンチオマー、ジアステレオマー、または互変異性体の混合物として存在する、実質的に純粋な式1の化合物に関する。
【0089】
本発明はさらに、1つまたは複数の原子が、通常天然に見出される原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子で置換されていることを除いて、式1に挙げた化合物と同一である同位体標識化合物を含む。本発明の化合物に取り込むことのできる同位体の例には、それぞれH、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、および36Clなどの、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、および塩素の同位体が含まれる。前述の同位体および/または他の原子の他の同位体を含有する、本発明の化合物、そのプロドラッグ、および前記化合物または前記プロドラッグの薬学的に許容できる塩は、本発明の範囲内である。本発明のある種の同位体標識化合物、たとえばHおよび14Cなどの放射性同位体が取り込まれている化合物は、薬物および/または基質組織分布アッセイに有用である。トリチウム、すなわちH、および炭素14、すなわち14C同位体は、それらの調製の容易さと検出能のために特に好ましい。さらに、ジュウテリウム、すなわちHなどの重い同位体による置換は、より高い代謝安定性、たとえばin vivoでの半減期の増大、または必要用量の低減に由来するある種の治療上の利点を提供することができ、したがってある状況下では好ましい可能性がある。同位体で標識された本発明の式1の化合物、およびそのプロドラッグは、一般に以下のスキームおよび/または実施例および調製法に開示する手順を行い、非同位体標識試薬を容易に入手可能な同位体標識試薬に置き換えることによって調製できる。
【0090】
本発明はさらに、式1の化合物のプロドラッグを含有する医薬組成物、および式1の化合物のプロドラッグを投与することによって、増殖性障害または異常細胞増殖を治療する方法を包含する。遊離アミノ、アミド、ヒドロキシ、またはカルボン酸基を有する式1の化合物は、プロドラッグに変換することができる。プロドラッグには、アミノ酸残基、または2つ以上(たとえば2、3、4個)のアミノ酸残基のポリペプチド鎖が、アミドまたはエステル結合を介して、式1の化合物の遊離アミノ、ヒドロキシ、またはカルボン酸基と共有結合している化合物が含まれる。アミノ酸残基には、これに限定されるものではないが、一般に3文字の記号で示される20の天然アミノ酸が含まれ、さらに4−ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリシン、デモシン、イソデモシン、3−メチルヒスチジン、ノルバリン、ベータ−アラニン、ガンマ−アミノ酪酸、シトルリン、ホモシステイン、ホモセリン、オルニチン、およびメチオニンスルホンも含まれる。さらなる種類のプロドラッグも包含される。たとえば、遊離カルボキシル基は、アミドまたはアルキルエステルとして誘導体化することができる。遊離ヒドロキシ基は、Advanced Drug Delivery Reviews、1996、19、115に概説されているとおり、これに限定されるものではないが、ヘミサクシネート、リン酸エステル、ジメチルアミノアセテート、およびホスホリルオキシメチルオキシカルボニルを含む基を用いて誘導体化することができる。ヒドロキシおよびアミノ基のカルバメートプロドラッグも含まれ、ヒドロキシ基のカルボネートプロドラッグ、スルホン酸エステル、および硫酸エステルも同様である。ヒドロキシ基を(アシルオキシ)メチルおよび(アシルオキシ)エチルエーテルとして誘導体化することも包含され、ここでアシル基は、これに限定されるものではないが、エーテル、アミン、およびカルボン酸官能基を含む基で置換されていてもよいアルキルエステルであってよく、あるいはアシル基は、上記のとおりアミノ酸エステルである。この種のプロドラッグは、J.Med.Chem.1996、39、10に記載されている。遊離アミンは、アミド、スルホンアミド、またはホスホンアミドとして誘導体化することもできる。これらのプロドラッグ部分はすべて、これに限定されるものではないが、エーテル、アミン、およびカルボン酸官能基を含む基に組み入れることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0091】
本発明の化合物を調製するために参照することのできる一般的な合成法は、米国特許第5990146号(1999年11月23日発行)(Warner−Lambert Co.)、ならびにPCT公開出願WO99/16755(1999年4月8日公開)(Merck&Co.)、WO04/020431(2004年3月11日公開)(Pfizer,Inc.)、およびWO01/40217(2001年7月7日公開)(Pfizer,Inc.)に記載されている。
【0092】
本発明の化合物は、不斉炭素原子を有することができる。ジアステレオマー混合物は、当業者に知られている方法、たとえばクロマトグラフィーまたは分別結晶によって、それらの物理化学的相違に基づいて、それらの個々のジアステレオマーに分離することができる。エナンチオマーは、適切な光学活性化合物(たとえば、アルコール)との反応によって、エナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物に変換し、それらのジアステレオマーを分離し、個々のジアステレオマーを対応する純粋なエナンチオマーに変換(たとえば、加水分解)することによって分離することができる。ジアステレオマー混合物および純粋なエナンチオマーを含む、そのような異性体はすべて、本発明の一部とみなされる。
【0093】
式1の化合物は本来塩基性であり、様々な無機酸および有機酸と多様な異なる塩を形成することができる。そのような塩は動物への投与が薬学的に許容できなければならないが、実際には、最初に式1の化合物を反応混合物から薬学的に許容できない塩として単離し、次いで、アルカリ試薬で処理することによって、後者を遊離塩基化合物に単純に変換して戻し、その後、その遊離塩基を薬学的に許容できる酸付加塩に変換することが多くの場合望ましい。本発明の塩基化合物の酸付加塩は、水性溶媒、またはメタノールもしくはエタノールなどの適切な有機溶媒中、実質的に当量の選択された鉱酸または有機酸でその塩基化合物を処理することによって、容易に調製される。溶媒を慎重に蒸発させることによって、所望の固体塩が容易に得られる。所望の酸塩は、遊離塩基の有機溶媒溶液に適切な鉱酸または有機酸を添加することによって、その溶液から析出させることもできる。
【0094】
式1の化合物の活性は、以下の手順で求めることができる。
一般的なPGTキナーゼELISA法
以下の試薬とストック溶液を用いる:
アデノシン三リン酸(ATP) Sigma、カタログ番号A−2383
ウシ血清アルブミン(BSA) Sigma、カタログ番号A−3294
ダルベッコPBS(dPBS) Gibco−BRL、カタログ番号14190−136
MaxiSorpプレート Nunc、カタログ番号439454
MgCl Sigma、カタログ番号M−1028
ポリGlu−Tyr(PGT) Sigma、カタログ番号P−0275
TMBマイクロウェル基質 Kirkegaard&Perry、カタログ番号50−76−05
Tween20 Sigma、カタログ番号P−1379
HRP−PY54抗体 OSI Pharmaceuticals,Inc.
リン酸緩衝液(PB):50mM HEPES、pH7.3、125mM NaCl、24mM MgCl
洗浄緩衝液(WB):dPBS+0.1%Tween20(ポリオキシエチレンソルビタン)、および
ブロッキング緩衝液:3%BSA、dPBS中0.05%Tween20
【0095】
アッセイ手順
(a)プレートを被覆するために、dPBSに希釈した(種々の濃度)ポリGlu−Tyr(PGT)をウェル当たり100μl、Nunc MaxiSorpプレートに充填する。このプレートを37℃で一晩インキュベートする。次いで、上澄みのPGTを廃棄し、プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄する。
(b)次いで、PDGF酵素をPBで適切な濃度に希釈し、このストック溶液25μlを各ウェルに添加する。
(c)次いで、ATPをPBで適切な濃度(0.5nM〜2uM)に希釈する(20mMストックから)。ATP溶液25μlをアッセイプレートの各ウェルに添加して、リン酸化反応を開始する。室温で振とうしながら、約10分間、インキュベーションを続ける。
(d)反応混合物を吸引して、反応を停止する。その後、プレートをWBで4回洗浄する。
(e)HRP−PY54抗体をブロッキング緩衝液で適切な濃度に希釈する。次いで、この溶液50μlを各ウェルに添加し、その後、室温で25〜35分間インキュベートする。この抗体含有溶液を吸引除去し、プレートを再びWBで4回洗浄する。
(f)450nmで吸光度を測定して、反応進行度を求める。最初に、TMB溶液をウェル当たり50μl添加して発色させ、陽性シグナルのウェルが約0.6〜1.2OD450ユニットに達するまで、反応を継続する。次いで、0.09MのH2SO4をウェル当たり50μl添加して、発色を停止する。バックグラウンド対照は、PGTを含まないが、他の成分はすべて含むウェルである。前述のとおり、好ましいシグナルは、一般的に0.6〜1.2ODユニットの範囲であり、本質的にバックグラウンドはない。
【0096】
PDGF受容体を阻害する、本発明の化合物のin vitro活性は、以下の手順で求めることができる。
【0097】
チロシンキナーゼ活性の阻害は、外因性基質ポリGluTyr(PGT、Sigma(商標)、4:1)のリン酸化を阻害する化合物の能力を測定するアッセイにおいて、組換え酵素を用いて測定することができる。バキュロウイルス発現系を用いて、ヒトPDGFβ受容体の細胞質ドメイン(アミノ酸559〜1106)(Ishikawa,F.等、Nature 338:557〜562、1989)を、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質として、Sf9昆虫細胞に発現させる。次いで、グルタチオンアガロースアフィニティカラムを用いて、これらの細胞の溶解産物からそのタンパク質を精製する。
【0098】
PGT基質(ウェル当たりPGT0.625μg)で被覆した96ウェルプレートで、酵素アッセイを行う。試験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)で希釈し、次いで、アッセイのDMSO最終濃度が1.6%(v/v)となるようにPGTプレートに添加する。組換え酵素をリン酸緩衝液(50mM Hepes、pH7.3、125mM NaCl、24mM MgCl)で希釈する。ATPを最終濃度10μMとなるように添加して、反応を開始する。振とうしながら室温で10分間インキュベートした後、反応物を吸引し、プレートを洗浄緩衝液(PBS含有0.1%Tween20)で洗浄する。リン酸化PGTの量を、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)複合PY54抗体(Transduction Labs)と共にインキュベートし、TMBペルオキシダーゼ(TMBは3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンで発色し、450nmにおいてBioRad(商標)マイクロプレートリーダーで検出することによって定量する。試験化合物によるキナーゼ酵素活性の阻害は吸光度の低下として検出され、(このアッセイ環境下で)シグナルを50%阻害するのに必要とされる化合物の濃度を試験化合物のIC50値として記録する。
【0099】
ある細胞状況で存在する完全長タンパク質に関してPDGFRβチロシンキナーゼ活性を阻害する化合物の能力を測定するために、ヒトPDGFRβをトランスフェクトしたブタ大動脈内皮(PAE)細胞(Westermark,Bengt等、PNAS 87、128〜132頁、1990)を用いることができる。細胞を平板培養し、6〜8時間、10%FBS(ウシ胎児血清)を含む同じ培地(Ham F12)で96ウェル皿に付着させる。細胞を洗浄し、無血清培地を再度補充し、一晩インキュベートする。化合物を投与する直前に、細胞に無血清培地を再度補充する。DMSOに溶解した試験化合物を、培地に希釈する(DMSO最終濃度0.5%(v/v))。10分間のインキュベーションの最後、8分間のインキュベーションの間に、PDGF−BB(最終100ng/ml)を培地に添加する。細胞をHepes緩衝食塩水(HBSS)で洗浄し、HNTG緩衝液(20mM Hepes、pH7.5、150mM NaCl、0.2%Triton(商標)X−100、10%グリセロール+0.2mM PMSF(フッ化フェニルメチルスルホニル)、1μg/mlペプスタチン、1μg/mlロイペプチン、1μg/mlアプロトニン、2mMピロリン酸ナトリウム、2mMオルトバナジン酸ナトリウム)50μlで溶解し、その後、HG希釈緩衝液(20mM Hepes、pH7.5、10%グリセロール、0.2mM PMSF(フッ化フェニルメチルスルホニル)、1μg/mlペプスタチン、1μg/mlロイペプチン、1μg/mlアプロトニン、2mMピロリン酸ナトリウム、2mMオルトバナジン酸ナトリウム)50μlで希釈する。PDGFRβのリン酸化の進行度を、ELISAアッセイを用いて測定する。プロテインA被覆96ウェルプレートをSuperblock(Pierce)でブロックし、ウェル当たり0.5μgの抗PDGFRβ P20抗体(Santa Cruz、カタログ番号SC−339)で被覆する。
【0100】
非結合抗体があればそれをプレートから洗浄除去し、その後、細胞溶解産物を添加する。溶解産物(50μl)をPDGFRβ抗体と共に、室温で2時間インキュベートした後、上述のとおり、HRP複合PY−54抗体とTMBで発色させることによって、ホスホチロシンに結合したPDGFRβを定量する。PDGF−BB刺激対照と比較して、用いた条件下でPDGF−BB刺激自己リン酸化反応を50%阻害する化合物の能力を、試験化合物のIC50値として記録する。以下に挙げる実施例を含む本発明の化合物は、上述の手順を用いたとき、一般に1〜1000nMの範囲内のIC50値を有する。
【0101】
ヒト肝サイトゾルのインキュベーションを、市販され入手可能な凍結保存サイトゾル(Tissue Transformation Technologies、20mg/mlタンパク質、ロット番号HHC−0255)を用いて行う。ヒト肝サイトゾルをゆっくりと解凍し、最終タンパク質濃度3.1mg/mlとなるように100mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)で希釈し、37℃に加温する。メタノールに溶解した化合物ストックを添加して、インキュベーションを開始する。総メタノール濃度を1%以下に維持する。反応開始後、インキュベーションを静かに混合し、0分の試料アリコートを採取し、内部標準を含有する等容量のアセトニトリルでクエンチする。その後5、10、15、および30分の時点で採取し、同じ方法でクエンチする。試料を遠心分離し、分析物のピーク面積応答と内部標準のピーク面積応答の比を用いて、HPLC/MS/MSで上澄みを分析する。線形回帰をデータに適合させ、この線の勾配から半減期を算出する。適合データの半減期を用いて、残存率の算出を行う。対照のインキュベーションを含め、日中変動および非サイトゾル仲介性の損失をモニターする。
【0102】
本発明の化合物および医薬組成物の投与は、作用部位に化合物を送達できる任意の方法で行うことができる。これらの方法には、経口経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内、皮下、筋内、血管内、または注入を含む)、眼内、腹腔内、膀胱内、膣内、局所、および直腸投与が含まれる。
【0103】
有利には、本発明はまた、疾患を治療するために消費者によって使用されるキットを提供する。これらのキットは、a)治療有効量の本発明の化合物、および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物、ならびにb)特定の疾患を治療するために、その医薬組成物を使用する方法を記載した使用説明書を含む。
【0104】
本出願で用いられる「キット」には、分割ボトルまたは分割ホイル小包などの、個別の単位投与形態を含有するための容器が含まれる。この容器は、薬学的に許容できる材料で製造された、当分野で知られている任意の通常の形状または形態であることができ、たとえば、紙または段ボール箱、ガラスまたはプラスチックボトルまたはジャー、再封緘可能な袋(たとえば、異なる容器に入れ替える錠剤の「詰め替え品」を保持するためのもの)、あるいは治療計画に従ってパックから押し出すための個別の用量を含有するブリスターパックである。用いられる容器は、含まれる正確な投与形態によって決定することができ、たとえば、通常の段ボール箱は、一般的に液体懸濁剤を保持するためには用いられない。単一の投与形態を販売するために、単一の包装に複数の容器を併せて用いることも可能である。たとえば、錠剤はボトルに含有されていることができ、そのボトルはさらに箱に含有される。
【0105】
そのようなキットの例は、いわゆるブリスターパックである。ブリスターパックは包装業界でよく知られており、医薬単位投与形態(錠剤、カプセル剤など)の包装に広く用いられている。ブリスターパックは一般に、好ましくは透明なプラスチック材料のホイルで被覆された、比較的硬い材料のシートからなる。包装工程中、プラスチックホイルにくぼみが形成される。このくぼみは、包装される個々の錠剤またはカプセル剤の大きさおよび形状を有するか、または包装される複数の錠剤および/またはカプセル剤を収容する大きさおよび形状を有することもできる。次いで、それに応じてくぼみに錠剤またはカプセル剤を入れ、比較的硬い材料のシートを、そのプラスチックホイルのくぼみが形成された方向と反対のホイル面に密封させる。その結果として、錠剤またはカプセル剤は、プラスチックホイルとシートの間のくぼみに、所望どおり個々に密封されるか、またはまとめて密封される。好ましくは、シートの強度は、くぼみに手で圧力を加え、それによってそのくぼみの位置でシートに開口部が形成されることによって、錠剤またはカプセル剤をブリスターパックから取り出すことのできる強度である。その後、前記開口部から、錠剤またはカプセル剤を取り出すことができる。
【0106】
書面による記憶補助手段が提供されることが望ましい可能性があり、その書面による記憶補助手段は、医師、薬剤師、または対象者に対する情報および/または指示を含む種類のものであり、たとえば、錠剤またはカプセル剤に隣接する数字であって、それによって指定された錠剤またはカプセル剤が摂取されるべき投与計画の日にそれらの数字が対応する形態であるか、または同様の情報を含むカードである。そのような記憶補助手段の他の例は、カードに印刷されたカレンダーであり、たとえば次のように「第1週、月曜、火曜……」など、「第2週、月曜、火曜……」などである。記憶補助手段の他の変形例は容易に明らかとなるであろう。「日用量」は、所与の日に摂取される単一の錠剤またはカプセル剤であるか、あるいはいくつかの錠剤またはカプセル剤であることができる。
【0107】
キットの特定の他の実施形態は、1度に1日用量を分配するように設計されたディスペンサである。好ましくは、このディスペンサには、投与計画のコンプライアンスがさらに促進されるように、記憶補助手段が備えられている。そのような記憶補助手段の例は、メカニカルカウンタであり、これはすでに分配された日用量数を示す。そのような記憶補助手段の他の例は、たとえば最終日用量が摂取された日付を読み上げ、かつ/または次回の用量が摂取される時期を患者に知らせる液晶読み出し装置、または可聴式通知シグナルと一体化した電池式マイクロチップメモリである。
【0108】
キットのさらなる他の実施形態において、医薬組成物はさらに、本発明の化合物と組み合わせて用いることのできる追加化合物を含むことができるか、あるいはこのキットは、2種の医薬組成物を含むことができ、一方は本発明の化合物を含有し、他方は本発明の化合物と組み合わせて用いることのできる追加化合物を含有する。
【0109】
投与される活性化合物の量は、治療される対象、障害または状態の重症度、投与速度、化合物の性質、および処方医の裁量によって決定される。しかしながら、有効投与量は、単回または分割用量で、1日、体重1kg当たり約0.001から約100mg、好ましくは約1から約35mg/kg/日である。70kgのヒトの場合、これは約0.05から約7g/日、好ましくは約0.2から約2.5g/日に相当する。場合によって、上記範囲の下限より低い投与量レベルが充分である可能性があり、他の場合には、有害な副作用を引き起こすことなく、さらに多い用量が用いられる可能性もあるが、ただしそのような多い用量は、1日を通じて投与するために、最初にいくつかの小用量に分割される。
【0110】
活性化合物は、単独療法として適用することができ、あるいは1種または複数の他の抗腫瘍物質を含むことができ、たとえば、有糸分裂阻害剤、たとえばビンブラスチン;アルキル化剤、たとえばシスプラチン、カルボプラチン、およびシクロホスファミド;代謝拮抗剤、たとえば5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシド、およびヒドロキシ尿素、または、たとえばN−(5−[N−(3,4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソキナゾリン−6−イルメチル)−N−メチルアミノ]−2−テノイル)−L−グルタミン酸など、欧州特許出願第239362号に開示されている好ましい代謝拮抗剤の1種;増殖因子阻害剤;細胞周期阻害剤;挿入抗生物質、たとえばアドリアマイシン、およびブレオマイシン;酵素、たとえばインターフェロン;ならびに抗ホルモン剤、たとえばNolvadex(商標)(タモキシフェン)などの抗エストロゲン剤、または、たとえばCasodex(商標)(4’−シアノ−3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−3’−(トリフルオロメチル)プロピオンアニリド)などの抗アンドロゲン剤から選択されたものである。そのような併用処置は、処置の個々の成分を同時に、連続的に、または個別に投与することによって達成することができる。
【0111】
この医薬組成物は、たとえば、錠剤、カプセル剤、丸剤、粉剤、持続放出製剤、液剤、懸濁剤として経口投与に適した形態、無菌液剤、懸濁剤、またはエマルションとして非経口注射に適した形態、軟膏剤、またはクリームとして局所投与に適した形態、あるいは坐剤として直腸投与に適した形態であることができる。この医薬組成物は、正確な用量の単回投与に適した単位投与形態であることができる。この医薬組成物は、通常の医薬担体または賦形剤、および活性成分として本発明による化合物を含むことになる。さらに、他の薬剤または医薬品、担体、アジュバントなどを含むことができる。
【0112】
典型的な非経口投与形態には、無菌水溶液、たとえばプロピレングリコールまたはデキストロース水溶液中の活性化合物の溶液または懸濁液が含まれる。そのような投与形態は、所望であれば、適切に緩衝化することができる。
【0113】
適切な医薬担体には、不活性希釈剤または充填剤、水、および種々の有機溶媒が含まれる。この医薬組成物は、所望であれば、香味剤、結合剤、賦形剤などの追加成分を含有することができる。したがって経口投与の場合、クエン酸などの種々の賦形剤を含有する錠剤を、デンプン、アルギン酸、およびある種の複合ケイ酸塩などの種々の崩壊剤、ならびにスクロース、ゼラチン、およびアカシアなどの結合剤と共に用いることができる。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、およびタルクなどの潤滑剤もしばしば錠剤化に有用である。同様の種類の固体組成物も、軟および硬ゼラチンカプセルで用いることができる。そのために好ましい材料には、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。経口投与のために水性懸濁剤またはエリキシル剤が望ましいとき、含まれる活性化合物は、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、またはそれらの組合せなどの希釈剤と共に、種々の甘味剤または香味剤、着色料または染料、所望であれば、乳化剤または懸濁化剤と組み合わせることができる。
【0114】
特定量の活性化合物を含む様々な医薬組成物を調製する方法は、当業者に知られているか、または明らかとなるであろう。たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easter、Pa.第15版(1975)を参照されたい。
【0115】
以下に示す実施例および調製法は、本発明の化合物、およびそのような化合物を調製する方法を、さらに例示および例証するものである。本発明の範囲は以下の実施例および調製法の範囲によって少しも限定されるものではないことが理解される。以下の実施例において、単一のキラル中心を有する分子は、他に注記のないかぎり、ラセミ混合物として存在する。2つ以上のキラル中心を有する分子は、他に注記のないかぎり、ジアステレオマーのラセミ混合物として存在する。単一のエナンチオマー/ジアステレオマーは、当業者に知られている方法で得ることができる。
【実施例】
【0116】
選択したラット、イヌ、およびヒト試料における1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミンの代謝産物の同定
選択したラット、イヌ、およびヒト試料において、in vitroおよびin vivo技法を用いて、親化合物1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミンに関して代謝産物同定試験を行った。スキーム1では親化合物を「P」と表す。すべての種において、オキセタン環への水付加(M1)が、ミクロソームおよび肝細胞インキュベーションで1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミンの主要代謝産物であった。M1の形成は、ラットおよびヒトではNADPH依存性であったが、イヌではシトクロムP450に仲介されなかった。M1はさらに、イヌ肝サイトゾルインキュベーションの主要代謝産物であったが、その形成はアルデヒドオキシダーゼに阻害されない(データは示していない)。ミクロソームエポキシド加水分解酵素阻害剤試験のデータは、1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミンがミクロソームエポキシド加水分解酵素の基質ではないことを示している。オキセタン開環によって形成されたヒドロキシル部分の1つまたはピペリジン環での、その後のM1の酸化が、ヒト肝ミクロソームおよび肝細胞インキュベーションで観察された(M2)。ヒト肝サイトゾルインキュベーションでは、代謝産物は観察されなかった。ベンズイミダゾールまたはキノリン環系、あるいはピペリジン環の2位で起こる酸化によって、ラットおよびイヌ両方の肝ミクロソームインキュベーションで、モノ水酸化代謝産物(M3)が認められた。オキセタン開環代謝産物M1の二次代謝産物であるM4が、ベンズイミダゾールまたはキノリン環構造で起こる酸化によって、イヌ肝ミクロソームで観察された。イヌ肝細胞において、M1はグルクロン酸抱合によってさらに代謝され、M5を生じた。さらに、ラットおよびイヌ肝細胞において、M3はグルクロン酸抱合し、M6またはM7のいずれかを形成したと思われ、M3の位置異性体は、M6またはM7グルクロニドの前駆体であると考えられる。
【0117】
M1は、1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミン2.0mg/kgの静脈内投与後20分から1時間のイヌ血漿において、主要代謝産物であることがわかった。血漿試料中の分析物が低レベルであり、バックグラウンドノイズが比較的高いため、M1の形成を示すUVクロマトグラムを得ることはできなかった。血漿において他の代謝産物は検出されなかった。5.0mg/kgの経口投与後、M1、M2、ならびにグルクロニドM6およびM7に加えて、1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミンも、胆汁に排出されると考えられる。投与後2〜4時間の胆汁ではM8も観察された。この代謝産物は、試験したすべての種に関して、いずれのin vitroマトリックスでも観察されなかった。高レベルのマトリックス干渉のため、他の代謝産物は観察されなかった。
【0118】
【化13】

【0119】
材料および方法
ミクロソーム:1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミン(10μM)を、マウス、ラット、イヌ、サル、およびヒト肝ミクロソーム中でインキュベートし、分析のために採取した。1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミン(最終濃度10mM)を、37℃で、リン酸カリウム緩衝液(100mM、pH7.4)中、MgCl(10mM)およびNADPH(1mM)を含有するマウス(0.45mg/mlタンパク質)、ラット(0.1.28mg/mlタンパク質)、イヌ(0.1.18mg/mlタンパク質)、サル(0.42mg/mlタンパク質)、およびヒト肝ミクロソーム(1.56mg/mlタンパク質)でインキュベートした。各反応混合物の総容量は5mlであり、総濃度0.5mMのシトクロムP450を含有した。各混合物を10分間プレインキュベートし、その後、NADPHを添加して、反応を開始した。NADPH添加1時間後、2容量のアセトニトリルを反応混合物に添加して、反応を停止した。ミクロソームにおいてシトクロムP450に仲介されない代謝を評価するために、NADPHを含まない対照インキュベーションも行った。3000rpmで遠心分離して沈殿したタンパク質をペレットとし、上澄みを蒸発乾固することによって、分析用の試料を調製した。その乾燥ペレット試料を、50/50の10mMギ酸アンモニウム、pH3.0/アセトニトリル600μlに再構成し、10μlのアリコートを液体クロマトグラフィーおよび質量分析(LC/MS/MS)で分析した。陽性対照として、同じ条件下で、1−{2−[5−(2−メトキシ−エトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミンをイヌ肝ミクロソーム中でインキュベートした。
【0120】
肝細胞:1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミンを用いて、ラット、イヌ、およびヒト凍結保存肝細胞のインキュベーションを行った。ラット、イヌ、およびヒト凍結保存肝細胞をIn Vitro Technologies、Baltimore、Marylandから得て、1×106生存細胞/mlの最終細胞密度で、Fisher−Scientificから入手可能なWilliams E培地に懸濁した。これらの肝細胞懸濁液中、振とう水浴で4時間まで、37℃、最終濃度10mMで、1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミンをインキュベートした。基質の添加直後、および4時間後、各インキュベーション混合物から5mlのアリコートを取り出した。2容量のアセトニトリルと混合し、その後、遠心分離して沈殿したタンパク質をペレットにすることによって、分析用の試料を調製した。ペレット試料は、分析前に蒸発乾固した。乾燥試料を、50/50の10mMギ酸アンモニウム、pH3.0/アセトニトリル300μlに再構成し、10μlのアリコートをLC/MS/MSで分析した。陽性対照として、同じ条件下で、1−{2−[5−(2−メトキシ−エトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミンをイヌ肝細胞中でインキュベートした。
【0121】
サイトゾル:1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミン(10μM)をインキュベートし、分析用に調製した。Tissue Transformation Technologies Inc.、Edison、New Jersey(ロットHHC−0255、〜20mg/ml)の凍結保存ヒト肝サイトゾル、およびイヌ肝サイトゾル(〜35mg/ml)を、インキュベーション直前に氷上で溶解した。サイトゾルを100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)で10倍に希釈し、その後、最終インキュベーション容量2mlで、1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミン(最終濃度10mM)を添加した。試料を37℃の水浴で1時間インキュベートし、2容量のアセトニトリルでクエンチした。試料をボルテックスし、続いて3000rpmで遠心分離した。3000rpmで遠心分離して沈殿したタンパク質をペレットとし、上澄みを蒸発乾固して、分析用の試料を調製した。それらの試料を、50/50の10mMギ酸アンモニウム、pH3.0/アセトニトリル300μlに再構成した。再構成した10μlのアリコートをLC/MS/MSで分析した。陽性対照として、同じ条件下で、1−{2−[5−(2−メトキシ−エトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミンを、ヒトおよびイヌ肝サイトゾル中でインキュベートした。
【0122】
イヌ血漿および胆汁:1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミンを静脈内投与(2.0mg/kg)した後、ビーグル犬からイヌ血漿を採取した。各時点でそれぞれのイヌから採取した血漿試料200μlをプールした。プールした血漿試料に3容量のアセトニトリルを添加して、タンパク質を沈殿させた。遠心分離後、上澄みを回収し、窒素下、37℃で乾燥し、50/50の10mMギ酸アンモニウム、pH3.0/アセトニトリル150μlに再構成した。20μlのアリコートをLC/MS/MSで分析した。
【0123】
イヌ胆汁:1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミンを経口投与(5.0mg/kg)した後、ビーグル犬から胆汁を採取した。5000rpmで5分間遠心分離し、沈殿したタンパク質および胆汁酸塩を取り出した後、様々なビーグル犬の2〜4時間の時点でのアリコート(20μl)をLC/MS/MS分析に供した。
【0124】
M1の合成的生成:1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミンの1mg/ml溶液を、0.25N HClで調製し、室温で一晩放置した。この反応混合物を、10mMギ酸アンモニウム緩衝液、pH3.0で1:100に希釈した。100μlの試料をLC/MS/MSで分析し、M1の生成を確認した。
【0125】
試料分析
高速液体クロマトグラフィー
すべての試料において、1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミンおよびその代謝産物の分離は、Zorbax SB−C18逆相カラム(5μm、4.6×150mm)、流速1.0ml/分で行った。移動相は、10mMギ酸アンモニウム、pH3.0(A)、およびアセトニトリル(B)からなった。試料注入後、カラムをB10%で5分間洗浄し、その後、20分かけてB10%から50%の直線勾配で代謝産物を分解した。続く注入との間には、B90%で5分間洗浄し、その後、7分間再びB10%に平衡させた。
【0126】
質量分析
すべての試料は、インライン紫外検出(Shimadzu、λ=254nm)を用い、ポジティブイオンモードで操作するFinnigan TSQ7000質量分析計で分析した。イオンスプレー電圧およびキャピラリー温度は、それぞれ4.5kV、350℃に維持した。プロダクトイオンスペクトルをCID35Vで得た。ソースCID10Vでプロダクトイオンスキャンを行うことによって、さらなるフラグメンテーションを得た。176のニュートラルロススキャン(グルクロニド検出)は、CID30Vで行った。
【0127】
試料混合物の分子イオン(Q1)スキャンによって、最初に代謝産物を同定した。可能性のある代謝産物は、代謝産物分子イオンをフラグメンテーションし、得られたフラグメンテーションパターンを1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミンのプロダクトマススペクトルと比較することによって特徴を明らかにした。
【0128】
代謝産物の同定
1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミン(親薬物):
1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミンの企図される代謝経路をスキーム1に示す。親薬物は、HPLCで約28.8分の保持時間を有し、m/z444にプロトン化分子イオン(M+H)を示した。
【0129】
【化14】

【0130】
MSスペクトルには、m/z427、373、および301の主要フラグメント、ならびにm/z342および289の非主要フラグメントが含まれた。m/z427のイオンは、NH2の損失に由来した。m/z373および301の特徴的なイオンは、それぞれピペリジニル環、およびオキセタニル基の開裂に由来した。ソースCID10Vによって生じたCIDスペクトルは、m/z273、261、および155に追加のフラグメントを示した。
【0131】
2−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシメチル}−2−メチル−プロパン−1,3−ジオール(代謝産物M1):M1は、ミクロソームおよび肝細胞インキュベーションにおいて、親化合物の主要代謝産物である。M1の形成は、ラットおよびヒトではNADPH依存性であり、イヌではP450に仲介されなかった。M1はイヌ肝サイトゾルインキュベーションの主要代謝産物でもあった。M1は、約16.6分のHPLC保持時間を有する。M1は、m/z462にプロトン化分子イオン(M+H)を有し、m/z445(427+18)、391(373+18)、および289に主要フラグメントイオン、ならびにm/z373、343、および301に非主要フラグメントイオンを示した。ソースCIDによって生じたCIDスペクトルは、m/z261および155に追加のフラグメントイオンを示した。分子イオンは親の分子イオンより18amu大きく、この代謝物質がオキセタン環への水付加に由来することを実証した。この代謝産物の保持時間およびプロダクトイオンスペクトルを、酸生成標準の保持時間およびプロダクトイオンスペクトルと比較することによって、この代謝物質の構造を確認した。M1の生成に加えて、親化合物にHClを添加したとき、クロロヒドリン生成物(オキセタン環へのHClの付加)が得られた。
【0132】
【化15】

【0133】
3−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシ}−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピオン酸;4−アミノ−1−{2−[5−(3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチル−プロポキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−2−オン(代謝産物M2):M2は、ヒト肝ミクロソームおよび肝細胞インキュベーションで観察された。ヒト肝サイトゾルインキュベーションでは、代謝産物は観察されなかった。M2は、約16.9分のHPLC保持時間を有する。M2は、m/z476にプロトン化分子イオン(M+H)を有し、m/z459(427+32)、405(373+32)、および357に主要フラグメントイオン、ならびにm/z343および289に非主要フラグメントイオンを示した。ソースCIDによって生じたCIDスペクトルは、m/z301、260、および169(155+14)に追加のフラグメントイオンを示した。分子イオンは親化合物の分子イオンより32amu大きく、ピペリジン窒素に隣接するメチレン基でM1がさらに酸化、またはヒドロキシル基の1つでさらに酸化して、3−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシ}−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピオン酸の可能な2つの異性体の1つが生成されたことを示唆した。
【0134】
【化16】

【0135】
代謝産物M3:代謝産物M3は、ベンズイミダゾールまたはキノリン環系、あるいはピペリジン環の2位で起こる酸化によって、ラットおよびイヌ両方の肝ミクロソームインキュベーションで認められた。M3は、約15.8分のHPLC保持時間を有する。M3のプロダクトイオンマススペクトルm/z460(M+H)は、m/z443(427+16)、389(373+16)、および317(301+16)にフラグメントイオンを示した。分子イオンは、親化合物Pの分子イオンより16amu大きく、環の水酸化、たとえば4−アミノ−1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−2−オール、またはN−オキシド形成、たとえば1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−1−オキシ−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミンを示唆した。質量分析の限界のため、環系の酸化部位の正確な位置は決定できなかった。
【0136】
【化17】

【0137】
代謝産物M4:イヌ肝ミクロソームで認められたオキセタン開環代謝産物M1の二次代謝産物M4は、約11.8分のHPLC保持時間を有する。M4のプロダクトイオンマススペクトルm/z478(M+H)は、m/z461(427+34)、407(373+34)、359、および317(301+16)にフラグメントイオンを示した。分子イオンは、親化合物の分子イオンより34amu大きく、ベンズイミダゾールまたはキノリン環系でのM1のさらなる酸化、たとえば2−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−6−ヒドロキシ−キノリン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシメチル}−2−メチル−プロパン−1,3−ジオール、またはピペリジン窒素に隣接するメチレンでのM1のさらなる酸化、すなわち2−{1−[8−(4−アミノ−2−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシメチル}−2−メチル−プロパン−1,3−ジオールを例証した。質量分析の限界のため、酸化部位のさらなる解明は得られなかった。
【0138】
【化18】

【0139】
6−(3−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシ}−2−ヒドロキシメチル−2−メチル−プロポキシ)−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−カルボン酸(代謝産物M5):イヌ肝細胞で認められたM5は、約14.2分のHPLC保持時間を有する。M5のプロダクトイオンマススペクトルm/z638(M+H)は、m/z462、445、および391にフラグメントイオンを示した。分子イオンは、M1の分子イオンより176amu大きく、2つのプロパンジオールの1つで、M1がグルクロン酸抱合したことを実証した。
【0140】
【化19】

【0141】
代謝産物M6:M6は、ラットおよびイヌ肝細胞で認められたグルクロニドである。M6は、約5.2分の保持時間を有する。M6のプロダクトイオンマススペクトルm/z636(M+H)は、m/z580、564、472、460、および389にフラグメントイオンを示した。分子イオンは、M3の分子イオンより176amu大きく、M3のグルクロン酸抱合を示唆した。
【0142】
【化20】

【0143】
代謝産物M7:M7は、ラットおよびイヌ肝細胞で認められたグルクロニドである。M7は、4.0分のHPLC保持時間を有する。M7のプロダクトイオンマススペクトルm/z636(M+H)は、m/z565、460、442、および389にフラグメントイオンを示した。分子イオンは、M3の分子イオンより176amu大きく、M3のグルクロン酸抱合を示唆した。この代謝産物は、クロマトグラフィーでM6と区別することができ、一部のマトリクスではM3の複数の異性体が形成される可能性のあることを示唆した。
【0144】
【化21】

【0145】
1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−オール 代謝産物M8:M8は、親化合物Pの投与後2〜4時間のイヌ胆汁で認められた。M8は、試験したすべての種に関して、いずれのin vitroマトリクスでも観察されなかった。M8は、約15.5分のHPLC保持時間を有する。プロダクトイオンマススペクトルm/z360(M+H)は、m/z343および289にフラグメントイオンを示した。分子イオンは、親化合物の分子イオンより58amu小さく、親化合物P側鎖のO−脱アルカリを実証した。この代謝産物の保持時間およびプロダクトイオンスペクトルを、合成1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−オールの保持時間およびプロダクトイオンスペクトルと比較することによって、この代謝物質の構造を確認した。
【0146】
【化22】

【0147】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に純粋な式1の化合物
【化1】

(式中、Rは、H、ヒドロキシル、オキソ(=O)、およびグルクロニドからなる群から選択され、
各R、R、R、およびRは独立して、H、ヒドロキシル、およびグルクロニドから選択され
は、以下からなる群から選択され、
【化2】

ただし、R、R、R、R、およびRが、同時に水素であるとき、Rは、
【化3】

またはHであることができない)、
または薬学的に許容できるその塩、プロドラッグ、水和物、もしくは溶媒和物。
【請求項2】
R、R、R、R、およびRが、水素である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、下記の式で表される請求項2に記載の化合物。
【化4】

【請求項4】
が、下記の式で表される請求項2に記載の化合物。
【化5】

【請求項5】
が、下記の式で表される請求項2に記載の化合物。
【化6】

【請求項6】
R、R、R、およびRが、水素であり、Rが、ヒドロキシルである請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が、下記の式で表される請求項6に記載の化合物。
【化7】

【請求項8】
R、R、R、およびRが、水素であり、Rが、ヒドロキシルである請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
が、下記の式で表される請求項8に記載の化合物。
【化8】

【請求項10】
R、R、R、およびRが、水素であり、Rが、グルクロニドである請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
が、下記の式で表される請求項10に記載の化合物。
【化9】

【請求項12】
2−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシメチル}−2−メチル−プロパン−1,3−ジオール;
3−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシ}−2−ヒドロキシメチル−2−メチル−プロピオン酸;
4−アミノ−1−{2−[5−(3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチル−プロポキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−2−オン;
4−アミノ−1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−2−オール;
8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−7−オール;
8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−6−オール;
8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−5−オール;
8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−4−オール;
8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−3−オール;
1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−1H−ベンゾイミダゾール−2−オール;
3−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−6−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−3H−ベンゾイミダゾール−4−オール;
3−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−6−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−3H−ベンゾイミダゾール−5−オール;
1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−1H−ベンゾイミダゾール−4−オール;
2−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−7−ヒドロキシ−キノリン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシメチル}−2−メチル−プロパン−1,3−ジオール;
2−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−6−ヒドロキシ−キノリン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシメチル}−2−メチル−プロパン−1,3−ジオール;
2−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−5−ヒドロキシ−キノリン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシメチル}−2−メチル−プロパン−1,3−ジオール;
2−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−キノリン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシメチル}−2−メチル−プロパン−1,3−ジオール;
2−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−3−ヒドロキシ−キノリン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシメチル}−2−メチル−プロパン−1,3−ジオール;
2−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−2−ヒドロキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシメチル}−2−メチル−プロパン−1,3−ジオール;
2−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−4−ヒドロキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシメチル}−2−メチル−プロパン−1,3−ジオール;
2−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−6−ヒドロキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシメチル}−2−メチル−プロパン−1,3−ジオール;
2−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−7−ヒドロキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシメチル}−2−メチル−プロパン−1,3−ジオール;
2−{1−[8−(4−アミノ−2−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシメチル}−2−メチル−プロパン−1,3−ジオール;
6−(3−{1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシ}−2−ヒドロキシメチル−2−メチル−プロポキシ)−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−カルボン酸;
6−(4−アミノ−1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−2−イルオキシ)−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−カルボン酸;
6−{8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−7−イルオキシ}−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−カルボン酸;
6−{8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−6−イルオキシ}−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−カルボン酸;
6−{8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−5−イルオキシ}−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−カルボン酸;
6−{8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−4−イルオキシ}−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−カルボン酸;
6−{8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−3−イルオキシ}−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−カルボン酸;
6−[1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルオキシ]−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−カルボン酸;
6−[1−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−1H−ベンゾイミダゾール−4−イルオキシ]−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−カルボン酸;
6−[3−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−6−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−3H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシ]−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−カルボン酸;
6−[3−[8−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キノリン−2−イル]−6−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−3H−ベンゾイミダゾール−4−イルオキシ]−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−カルボン酸;
1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−1−オキシ−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミン;
1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−3−オキシ−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミン;
1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−1−オキシ−ピペリジン−4−イルアミン;
1−{2−[5−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−1−オキシ−ベンゾイミダゾール−1−イル]−キノリン−8−イル}−ピペリジン−4−イルアミン;
ならびに薬学的に許容できる前述の化合物の塩、プロドラッグ、水和物、および溶媒和物からなる群から選択された実質的に純粋な化合物。
【請求項13】
治療有効量の式1の化合物
【化10】

(式中、Rは、H、ヒドロキシル、オキソ(=O)、およびグルクロニドからなる群から選択され、
各R、R、R、およびRは独立して、H、ヒドロキシル、およびグルクロニドから選択され
は、以下からなる群から選択され、
【化11】

ただし、R、R、R、R、およびRが、同時に水素であるとき、Rは、
【化12】

またはHであることができない)
または薬学的に許容できるその塩、プロドラッグ、水和物、もしくは溶媒和物、および薬学的に許容できる担体を含む、哺乳動物において異常細胞増殖を治療するための医薬組成物。
【請求項14】
哺乳動物において、肺癌、骨癌、膵臓癌、胃癌、皮膚癌、頭部または頸部癌、皮膚または眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、婦人科系癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、結腸癌、乳癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸部癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織の肉腫、尿道癌、陰茎癌、扁平上皮細胞癌、前立腺癌、慢性または急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓または尿管の癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸の腫瘍、脳腫瘍、下垂体腺腫、および前述の1種または複数の癌の組合せを治療する方法であって、請求項13に記載の医薬組成物を前記哺乳動物に投与することを含む方法。
【請求項15】
哺乳動物において過剰増殖性障害を治療する方法であって、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、挿入抗生物質、増殖因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答調節剤、抗ホルモン剤、血管新生阻害剤、および抗アンドロゲン剤からなる群から選択された抗腫瘍剤と組み合わせて、請求項13に記載の医薬組成物を前記哺乳動物に投与することを含む方法。

【公表番号】特表2008−515872(P2008−515872A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535268(P2007−535268)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【国際出願番号】PCT/IB2005/003034
【国際公開番号】WO2006/038111
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】