抗新形成性のココア抽出物の製造および使用方法
【課題】ココア抽出物を提供する。
【解決手段】以下の工程を含む方法によって調製される、ココアプロシアニジンオリゴマーを含有するココア抽出物:
発酵していないまたは部分発酵したココア豆を粉末に粉砕し;
前記粉末を脱脂し;
溶媒抽出技術によって前記粉末からココアプロシアニジンオリゴマーを抽出し;さらに
得られたココア抽出物を精製する。
【解決手段】以下の工程を含む方法によって調製される、ココアプロシアニジンオリゴマーを含有するココア抽出物:
発酵していないまたは部分発酵したココア豆を粉末に粉砕し;
前記粉末を脱脂し;
溶媒抽出技術によって前記粉末からココアプロシアニジンオリゴマーを抽出し;さらに
得られたココア抽出物を精製する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリフェノール、好ましくはプロシアニジンにより質的に向上されたポリフェノール等のココア抽出物に関する。本発明はまた、そのような抽出物の調製方法、並びにそれらの、例えば抗新形成剤および抗酸化剤等としての使用に関する。
【0002】
文献が、クレームの前の、明細書の終りの参考文献の部分に示されている各々の文献の完全な引用とともに、この開示で引用されている。これらの文献は、本発明の分野に関係するものであり;そして、ここに引用されている各々の文献は、ここにおいて参考文献として取り込まれている。
【背景技術】
【0003】
ポリフェノールは、多様な植物中で生産される信じられないほど多様化した化合物の群であり(非特許文献1)、そのうちのいくつかは食物連鎖に組み込まれている。いくつかの場合において、それらは人間の制限食のために重要な化合物のクラスを代表している。いくつかのポリフェノールは非栄養性であると考えられているが、これらの化合物への関心は、それらの潜在的な健康への有利な効果によるものである。例えば、ケルセチン(フラボノイドの1つ)は、実験動物での研究において抗ガン原性活性を有することが示された(非特許文献2および3)。(+)−カテキンおよび(−)−エピカテキン(フラバン−3−オール)は、白血病ウイルス逆転写酵素活性を阻害する(非特許文献4)。ノボタニン(Nobotanin)(加水分解可能なオリゴマー性タンニン)もまた、抗腫瘍性活性を有することが示されている(非特許文献5)。日本の茶を生産している地域においては胃ガンの死亡率が顕著に低いということを静力学的な報告が示している。エピガロカテキン没食子酸は緑茶中の薬理学的活性物質であると報告されている(非特許文献5)。エラグ酸もまた抗ガン原性活性を多様な動物細胞腫瘍モデルで有することが示された(非特許文献6)。最近、プロアントシアニジンオリゴマーの抗変異剤としての利用がキッコーマンコーポレーションによって特許にされた。勿論、食品中のフェノール性化合物の範囲およびその実験動物モデルにおける腫瘍発展の調節は、最近の、202nd National Meeting of The American Chemical Societyで発表された(Ho et al.,1992;Huang et al.,1992)。
【0004】
しかしながら、これらの報告のうち、ココア抽出物、そのような抽出物の調製方法、またはココア抽出物の抗新形成剤としての利用を教示または示唆するものはなかった。
【0005】
発酵されていないココア豆はかなりのレベルのポリフェノールを含有するので、本発明者等は、同様な活性および利用が、ココア内の化合物等のココア抽出物に関してもあり得、そのような化合物をココアから抽出し、抽出物の活性を検索することにより明らかにすることが可能であると考えた。National Cancer Instituteは、その大型天然生成物選択プログラムの一部として、多様なTheobromaおよびHerrania種を、抗ガン活性に関して検索した。いくつかのココア組織の抽出物において低レベルの活性が報告されたが、その研究は追求されなかった。このように、抗新形成または抗ガン分野において、ココアおよびその抽出物は有用であるとは考えられていなかった;即ち、抗新形成または抗ガン分野の教示は、当業者をココアおよびその抽出物をガン治療として用いることから遠ざけていた。数多くのココアポリフェノールの味覚開発への貢献を研究するための分析的手順が開発されているので(非特許文献7)、本発明者等は抗ガン検索のための試料を調製するために、抗新形成または抗ガン分野の知識とは違う、アナログ法を応用することを決めた。驚くべきことに、この分野の知識、例えばNational Cancer Instituteの検索、に反して、本発明者等はプロシアニジンを含むココアポリフェノール抽出物は、抗ガンまたは抗新形成剤として重要な用途を有していることを発見した。付加的には、発明者等はプロシアニジンを含むココア抽出物が抗酸化剤としての用途を有していることを示した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Ferreira, D. et al., Diversity of Structure and Function in Oligomeric Flavanoids, Tetrahedron, 48:10, 1743-1803 (1992)
【非特許文献2】Deschner, E. E, et al, Quercetin and Rutin as Inhibitors of Azoxymethanol-Induced Colonic Neoplasia, Carcinogenesis, 7, 1193-1196 (1991)
【非特許文献3】Kato, R., et al, Inhibition of 12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate Induced Tumor Promotion and Ornithine Decarboxylase Activity by Quercitin: Possible Involvement of Lipoxygenase Inhibition, Carcinogenesis, 4, 1301-1305 (1983)
【非特許文献4】Chu, S.-C., et al., Inhibitory Effects of Flavonoids on Maloney Murine Leukemia Virus Reverse Transcriptase Activity, J. of Natural Products, 55:2, 179-183 (1992)
【非特許文献5】Okuda, T., Molecular Structures and Pharmacological Activities of Polyphenols-Oligomeric Hydrolyzable Tannins and Others-Presented at the XVIth International Conference of the Group Polyphenols, Lisbon, Portugal, July 13-16, 1992
【非特許文献6】Boukharta, M., et al, Efficacy of Ellagitannins and Ellagic Acid as Cancer Chemopreventive Agents-Presented at the XVIth International Conference of the Group Polyphenols, Lisbon, Portugal, July 13-16, 1992
【非特許文献7】Clapperton, J., et al, Polyphenols and Cocoa Flavor-Presented at the XVIth International Conference of the Group Polyphenols, Lisbon, Portugal, July 13-16, 1992
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ココア抽出物を製造するための方法を提供することが本発明の目的である。
【0008】
ココア抽出物を提供することが本発明の別の目的である。
【0009】
抗酸化組成物を提供することが本発明の別の目的である。
【0010】
DNAトポイソメラーゼII酵素活性の阻害を示すことが本発明の別の目的である。
【0011】
腫瘍またはガンを治療するための方法を提供することが本発明のまた別の目的である。
【0012】
抗腫瘍、抗ガン、または抗新形成組成物を提供することが提供することが本発明のさらに別の目的である。
【0013】
抗腫瘍、抗ガン、または抗新形成組成物を製造するための方法を提供することが本発明の更なる目的である。
【0014】
そして、腫瘍またはガン治療において用いられるキットを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
驚くべきことに、ココア抽出物が抗腫瘍、抗ガン、または抗新形成活性を有すること;または、抗酸化組成物であること、またはDNAトポイソメラーゼII酵素活性を阻害することが発見された。従って、本発明は実質的に純粋なココア抽出物を提供する。抽出物は好ましくは、ココアプロシアニジン(群)で質的に向上されたポリフェノール(群)等で、(−)エピカテキン、プロシアニジンB−2、2から12、好ましくは2から5、または4から12のプロシアニジンオリゴマー、プロシアニジンB−5、プロシアニジンA−2およびプロシアニジンC−1から成る群から選択される少なくとも1つのココアプロシアニジンのポリフェノール群等のポリフェノール(群)を含んでいる。本発明はまた、抗腫瘍、抗ガン、または抗新形成または抗酸化またはDNAトポイソメラーゼII阻害剤組成物であって、実質的に純粋な、プロシアニジン(群)により質的に向上されたポリフェノール(群)等のココア抽出物または合成ポリフェノール(群)、および適当な担体から成るものを提供する。抽出物は好ましくはココアプロシアニジン(群)を含んでいる。ココア抽出物は好ましくは、ココア豆を粉末に還元し、粉末を脱脂し、そして粉末から活性化合物(群)を抽出することから成る工程によって得られる。
【0016】
本発明はまた、実質的に純粋なココア抽出物もしくは合成ココアポリフェノール(群)またはプロシアニジン(群)、および、好適な担体から成る抗新形成性組成物を患者に有効量投与することから成る、抗腫瘍、抗ガン、または抗新形成剤または抗酸化またはDNAトポイソメラーゼII阻害剤で治療の必要のある患者を治療する方法を包括する。ココア抽出物は、ココアプロシアニジン(群)であってもよい;そして、好ましくは、ココア豆を粉末に還元し、粉末を脱脂し、そして粉末から活性化合物を抽出することから成る工程によって得られる。
【0017】
付加的には、本発明は、実質的に純粋なココア抽出物もしくは合成ココアポリフェノール(群)またはプロシアニジン(群)、および、抽出物または合成ポリフェノール(群)またはプロシアニジン(群)との混合物に好適な担体から成る抗新形成性組成物を患者に有効量投与することから成る、抗腫瘍、抗ガン、または抗新形成剤または抗酸化またはDNAトポイソメラーゼII阻害剤で治療の必要のある患者を治療するためのキットを提供する。
【0018】
これらのおよび他の目的および態様が開示されているか、または以下の詳細な説明から明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、粗ココアプロシアニジンの画分からの代表的なゲル濾過クロマトグラムを示す。
【図2A】図2Aは、発酵されていないココアから抽出されたココアプロシアニジンの分離(溶出特性)を示している代表的な逆相クロマトグラムを示している。
【図2B】図2Bは、発酵されていないココアから抽出されたココアプロシアニジンの分離(溶出特性)を示している代表的な順相クロマトグラムを示している。
【図3】図3は、いくつかの代表的なプロシアニジンの構造を示している。
【図4A】抗ガンおよび抗新形成活性に関する検索に用いた5つの画分の、代表的なHPLCクロマトグラムを示す。
【図4B】抗ガンおよび抗新形成活性に関する検索に用いた5つの画分の、代表的なHPLCクロマトグラムを示す。
【図4C】抗ガンおよび抗新形成活性に関する検索に用いた5つの画分の、代表的なHPLCクロマトグラムを示す。
【図4D】抗ガンおよび抗新形成活性に関する検索に用いた5つの画分の、代表的なHPLCクロマトグラムを示す。
【図4E】抗ガンおよび抗新形成活性に関する検索に用いた5つの画分の、代表的なHPLCクロマトグラムを示す。
【図5】図5は、ココア抽出物とガン細胞ACHNとの間の、投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);M&M2 F4/92
【図6A】図6Aは、ココア抽出物とガン細胞PC−3との間の、投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);M&MA+E U12P1。
【図6B】図6Bは、ココア抽出物とガン細胞PC−3との間の、投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);M&MB+E Y192P1。
【図6C】図6Cは、ココア抽出物とガン細胞PC−3との間の、投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);M&MC+E U12P2。
【図6D】図6Dは、ココア抽出物とガン細胞PC−3との間の、投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);M&MD+E U12P2。
【図7A】図7Aは、ココアプロシアニジン画分AとPC−3細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1A 0212P3。
【図7B】図7Bは、ココアプロシアニジン画分BとPC−3細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1B 0162P1。
【図7C】図7Cは、ココアプロシアニジン画分CとPC−3細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 C 0122P3。
【図7D】図7Dは、ココアプロシアニジン画分DとPC−3細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 D 0122P3。
【図7E】図7Eまでは、ココアプロシアニジン画分EとPC−3細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 E 0292P8。
【図7F】図7Fは、ココアプロシアニジン画分A+BとPC−3細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 A/B 0292P6。
【図7G】図7Gは、ココアプロシアニジン画分A+EとPC−3細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 A/E 0292P6。
【図7H】図7Hは、ココアプロシアニジン画分A+DとPC−3細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 A/D 0292P6。
【図8A】図8Aは、ココアプロシアニジン画分AとKB鼻咽頭/Hela細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1A 092K3。
【図8B】図8Bは、ココアプロシアニジン画分BとKB鼻咽頭/Hela細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 B 0212K5。
【図8C】図8Cは、ココアプロシアニジン画分CとKB鼻咽頭/Hela細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 C 016K3。
【図8D】図8Dは、ココアプロシアニジン画分DとKB鼻咽頭/Hela細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 D 0212K5。
【図8E】図8Eは、ココアプロシアニジン画分EとKB鼻咽頭/Hela細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 E 0292K5。
【図8F】図8Fは、ココアプロシアニジン画分A+BとKB鼻咽頭/Hela細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 A/B 0292K3。
【図8G】図8Gは、ココアプロシアニジン画分B+EとKB鼻咽頭/Hela細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 B/E 0292K4。
【図8H】図8Hは、ココアプロシアニジン画分D+EとKB鼻咽頭/Hela細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 D/E 0292K5。
【図9A】図9Aは、ココアプロシアニジン画分AとHCT−116細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml)。
【図9B】図9Bは、ココアプロシアニジン画分BとHCT−116細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml)。
【図9C】図9Bは、ココアプロシアニジン画分CとHCT−116細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1C 0192H5。
【図9D】図9Dは、ココアプロシアニジン画分DとHCT−116細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);D 0192H5。
【図9E】図9Eは、ココアプロシアニジン画分EとHCT−116細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);E 0192H5。
【図9F】図9Fは、ココアプロシアニジン画分B+DとHCT−116細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 B&D 0262H2。
【図9G】図9Gは、ココアプロシアニジン画分A+EとHCT−116細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);A/E 0262H3。
【図9H】図9Hは、ココアプロシアニジン画分D+EとHCT−116細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 D&E 0262H1。
【図10A】図10Aは、ココアプロシアニジン画分AとACHN腎臓細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 A 092A5。
【図10B】図10Bは、ココアプロシアニジン画分BとACHN腎臓細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 B 092A5。
【図10C】図10Cは、ココアプロシアニジン画分CとACHN腎臓細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 C 0192A7。
【図10D】図10Dは、ココアプロシアニジン画分DとACHN腎臓細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 D 0192A7。
【図10E】図10Eは、ココアプロシアニジン画分EとACHN腎臓細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);M&M1 E 0192A7。
【図10F】図10Fは、ココアプロシアニジン画分B+DとACHN腎臓細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 B&D 0302A6。
【図10G】図10Gは、ココアプロシアニジン画分C+DとACHN腎臓細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 C&D 0302A6。
【図10H】図10Hは、ココアプロシアニジン画分A+EとACHN腎臓細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 A&E 0262A6。
【図11A】図11Aは、ココアプロシアニジン画分AとA−549肺細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 A 019258。
【図11B】図11Bは、ココアプロシアニジン画分BとA−549肺細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 B 09256。
【図11C】図11Cは、ココアプロシアニジン画分CとA−549肺細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 C 019259。
【図11D】図11Dは、ココアプロシアニジン画分DとA−549肺細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 D 019258。
【図11E】図11Eは、ココアプロシアニジン画分EとA−549肺細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 E 019258。
【図11F】図11Fは、ココアプロシアニジン画分A+EとA−549肺細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);A/E 026254。
【図11G】図11Gは、ココアプロシアニジン画分B+EとA−549肺細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 B&E 030255。
【図11H】図11Hは、ココアプロシアニジン画分C+EとA−549肺細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 C&E N6255。
【図12A】図12Aは、ココアプロシアニジン画分AとSK−5メラノーマ細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 A 0212S4。
【図12B】図12Bは、ココアプロシアニジン画分BとSK−5メラノーマ細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 B 0212S4。
【図12C】図12Cは、ココアプロシアニジン画分CとSK−5メラノーマ細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 C 0212S4。
【図12D】図12Dは、ココアプロシアニジン画分DとSK−5メラノーマ細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 D 0212S4。
【図12E】図12Eは、ココアプロシアニジン画分EとSK−5メラノーマ細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 E N32S1。
【図12F】図12Fは、ココアプロシアニジン画分B+CとSK−5メラノーマ細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 B&C N32S2。
【図12G】図12Gは、ココアプロシアニジン画分C+EとSK−5メラノーマ細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 C&D N32S3。
【図12H】図12Hは、ココアプロシアニジン画分D+EとSK−5メラノーマ細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 D&E N32S3。
【図13A】図13Aは、ココアプロシアニジン画分AとMCF−7胸部細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 A N22M4。
【図13B】図13Bは、ココアプロシアニジン画分BとMCF−7胸部細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 B N22M4。
【図13C】図13Cは、ココアプロシアニジン画分CとMCF−7胸部細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 C N22M4。
【図13D】図13Dは、ココアプロシアニジン画分DとMCF−7胸部細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 D N22M3。
【図13E】図13Eは、ココアプロシアニジン画分EとMCF−7胸部細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 E 0302M2。
【図13F】図13Fは、ココアプロシアニジン画分B+CとMCF−7胸部細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 B/C 0302M4。
【図13G】図13Gは、ココアプロシアニジン画分C+EとMCF−7胸部細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 C&E N22M3。
【図13H】図13Hは、ココアプロシアニジン画分D+EとMCF−7胸部細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 D&E N22M3。
【図14】図14は、ココアプロシアニジン(特に画分D)とCCRF−CEM T細胞白血病細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(細胞/mlvs増殖日数、白丸は対照、黒丸は125μg画分D、白逆三角形は250μg画分D、黒逆三角形は500μg画分D)。
【図15A】図15Aは、画分D+Eで処理されたMCF−7 p168胸部ガン細胞に対するXTTおよびクリスタルバイオレット細胞毒性アッセイの比較を示している(白丸はXTT、黒丸はクリスタルバイオレット)。
【図15B】図15Bは、UIT−1ココア遺伝子型から得られた多様なレベルの粗ポリフェノールで処理されたMDA MB231胸部細胞系統から得られた典型的な投与量反応曲線を示している(吸収度(540nm)vs日数;白丸は対照、黒丸はビヒクル、白逆三角形は250μg/ml、黒逆三角形は100μg/ml、白四角は10μg/ml;吸光度2.0はプレートリーダーの限界であり、必ずしも細胞数をあらわすものではない)。
【図15C】図15Cは、UIT−1ココア遺伝子型から得られた多様なレベルの粗ポリフェノールで処理されたPC−3前立腺ガン細胞系統から得られた典型的な投与量反応曲線を示している(吸収度(540nm)vs日数;白丸は対照、黒丸はビヒクル、白逆三角形は250μg/ml、黒逆三角形は100μg/ml、白四角は10μg/ml)。
【図15D】図15Dは、UIT−1ココア遺伝子型から得られた多様なレベルの粗ポリフェノールで処理されたMCF−7 p168胸部ガン細胞系統から得られた典型的な投与量反応曲線を示している(吸収度(540nm)vs日数;白丸は対照、黒丸はビヒクル、白逆三角形は250μg/ml、黒逆三角形は100μg/ml、白四角は10μg/ml、黒四角は1μg/ml;吸光度2.0はプレートリーダーの限界であり、必ずしも細胞数をあらわすものではない)。
【図15E】図15Eは、UIT−1ココア遺伝子型から得られた多様なレベルの粗ポリフェノールで処理されたHela子宮ガン細胞系統から得られた典型的な投与量反応曲線を示している(吸収度(540nm)vs日数;白丸は対照、黒丸はビヒクル、白逆三角形は250μg/ml、黒逆三角形は100μg/ml、白四角は10μg/ml;吸光度2.0はプレートリーダーの限界であり、必ずしも細胞数をあらわすものではない)。
【図15F】図15Fは、異なったココアポリフェノール画分で処理されたHela子宮ガン細胞系統に対する細胞毒性効果を示す(吸収度(540nm)vs日数;白丸は100μg/mlの画分A−E、黒丸は100μg/mlの画分A−C、白逆三角形は100μg/mlの画分D&E;吸光度2.0はプレートリーダーの限界であり、必ずしも細胞数をあらわすものではない)。
【図15G】図15Gは、100μl/mlでの、異なったココアポリフェノール画分で処理されたSKBR−3胸部ガン細胞系統に対する細胞毒性効果を示す(吸収度(540nm)vs日数;白丸は画分A−E、黒丸は画分A−C、白逆三角形は画分D&E。
【図15H】図15Hは、ココアプロシアニジン画分D+EとHela細胞との間の典型的な投与量反応曲線を示している(吸収度(540nm)vs日数;白丸は対照、黒丸は100μg/ml、白逆三角形は75μg/ml、黒逆三角形は50μg/ml、白四角は25μg/ml、黒四角は10μg/ml;吸光度2.0はプレートリーダーの限界であり、必ずしも細胞数をあらわすものではない)。
【図15I】図15Iは、ココアプロシアニジン画分D+EとSKBR−3細胞系統との間の典型的な投与量反応曲線を示している(吸収度(540nm)vs日数;白丸は対照、黒丸は100μg/ml、白逆三角形は75μg/ml、黒逆三角形は50μg/ml、白四角は25μg/ml、黒四角は10μg/ml)。
【図15J】図15Jは、軟寒天クローニングアッセイを用いた、ココアプロシアニジン画分D+EとHelaガン細胞との間の典型的な投与量反応関係を示している(棒グラフ;コロニー数vs対照、1、10、50、および100μg/ml)。
【図15K】図15Kは、異なるココア遺伝子型から得られた粗ポリフェノール抽出物で処理された場合のHela細胞の増殖阻害を示している(%対照vs濃度μg/ml;白丸はC−1、黒丸はC−2、白逆三角形はC−3、黒逆三角形はC−4、白四角はC−5、黒四角はC−6、白三角形はC−7、黒三角形はC−8;C−1=UF−12:園芸種=Criolloおよび記述はUF−12(ブラジル)ココアポリフェノール粗抽出物(脱カフェイン化/脱テオブロミン化);C−2=NA−33:園芸種=Forasteroおよび記述はNA−33(ブラジル)ココアポリフェノール粗抽出物(脱カフェイン化/脱テオブロミン化);C−3=EEG−48:園芸種=Forasteroおよび記述はEEG−48(ブラジル)ココアポリフェノール粗抽出物(脱カフェイン化/脱テオブロミン化);C−4=不明:園芸種=Forasteroおよび記述は不明(W.アフリカ)ココアポリフェノール粗抽出物(脱カフェイン化/脱テオブロミン化);C−5=UF−613:園芸種=Trinitarioおよび記述はUF−613(ブラジル)ココアポリフェノール粗抽出物(脱カフェイン化/脱テオブロミン化);C−6=ICS−100:園芸種=Trinitarioおよび記述はICS−100(ブラジル)ココアポリフェノール粗抽出物(脱カフェイン化/脱テオブロミン化);C−7=ICS−139:園芸種=Trinitarioおよび記述はICS−139(ブラジル)ココアポリフェノール粗抽出物(脱カフェイン化/脱テオブロミン化);C−8=UIT−1:園芸種=Trinitarioおよび記述はUIT−1(マレーシア)ココアポリフェノール粗抽出物(脱カフェイン化/脱テオブロミン化)。
【図15L】図15Lは、発酵されたココア豆および乾燥されたココア豆から得られた粗ポリフェノール抽出物で処理された場合のHela細胞の増殖の阻害を示す(完全な発酵段階および太陽での乾燥;%対照vs濃度μg/ml;白丸は0日画分、黒丸は1日画分、白逆三角形は2日画分、黒逆三角形は3日画分、白四角は4日画分、黒四角は9日画分)。
【図15M】図15Mは、酵素的に酸化されたココアプロシアニジンのHela細胞に対する影響を示す(ポリフェノールオキシダーゼ処理されたココアポリフェノールに対する投与量反応;%対照vs濃度μg/ml;黒四角は粗UIT−1(カフェインおよびテオブロミンとともに)、白丸は粗UIT−1(カフェインおよびテオブロミン無し)および黒丸は粗UIT−1(ポリフェノールオキシダーゼ分解された)。
【図15N】図15Nは、組み合わされたココアプロシアニジン画分DおよびEの、代表的な半調製逆相HPLC分離を示す。
【図15O】図15Oは、粗ココアポリフェノール抽出物の、代表的な半調製順相HPLC分離を示す。
【図16】図16は、ココアプロシアニジン抽出物および画分のランシマット(Rancimat)酸化曲線を、合成抗酸化剤BHAおよびBHTと比較して示している(任意の単位vs時間;破線およびクロス(+)はBHAおよびBHT;*はD−E;xは粗試料;白四角はA−C;および白ひし形は対照)。
【図17】図17は、キネトプラストDNAのトポイソメラーゼII触媒鎖分解の、ココアプロシアニジン画分による阻害を示している典型的なアガロースゲルである。(レーン1は、0.5μgのマーカー(M)モノマー長キネトプラストDNA環を含む;レーン2および20は、トポイソメラーゼIIとともに4%DMSO存在下であって、何れのココアプロシアニジンの不在下で保温されたキネトプラストDNAを含む。(対照−C);レーン3および4は、0.5および5.0μg/mlのココアプロシアニジン画分Aの存在下でトポイソメラーゼIIとともに保温されたキネトプラストDNAを含む;レーン5および6は、0.5および5.0μg/mlのココアプロシアニジン画分Bの存在下でトポイソメラーゼIIとともに保温されたキネトプラストDNAを含む;レーン7、8、9、13、14、および15は、0.05、0.5および5.0μg/mlのココアプロシアニジン画分Dの存在下でトポイソメラーゼIIとともに保温されたキネトプラストDNAの複製である;レーン10、11、12、16、17、および18は、0.05、0.5および5.0μg/mlのココアプロシアニジン画分Eの存在下でトポイソメラーゼIIとともに保温されたキネトプラストDNAの複製である;レーン19は、5.0μg/mlのココアプロシアニジン画分Eの存在下でトポイソメラーゼIIとともに保温されたキネトプラストDNAの複製である。
【図18】図18はココアプロシアニジン画分Dの、DNA修復能を有する、およびそれを欠失している細胞系統に対する投与量反応関係を示している(部分的生存vsμg/ml;左側はxrs−6DNA欠損修復細胞系統、MM−1 D D282X1;右側はBR1DNA修復可能細胞系統MM−1 D D282B1)。
【図19】図19は、ココアプロシアニジン画分D+Eで処理された場合の、アドリアマイシン耐性MCF−7細胞に対する投与量反応曲線を、MCF−7 p168親細胞系統と比較して示している(%対照vs濃度μg/ml;白丸はMCF−7 p168;黒丸はMCF−7 ADR)。
【図20】図20は、順相半調製HPLCにより調製された12の画分の、100μg/mlおよび25μg/mlのレベルで処理された場合の、Hela細胞に対する投与量反応効果を示している(棒グラフ、%対照vs対照および画分1−12)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上で議論したとおり、今、驚くべきことに、ココア抽出物が抗ガン、抗腫瘍、または抗新形成活性、抗酸化活性を示し、そしてDNAトポイソメラーゼII酵素を阻害することが発見された。抽出物は、一般的に、ココア豆を粉末に還元し、粉末を脱脂し、活性な化合物(群)を脱脂された粉末から抽出することにより調製される。粉末はココア豆およびパルプを凍結乾燥し、ココア豆およびパルプを脱パルプ化し、凍結乾燥されたココア豆を脱穀し、脱穀された豆を粉砕することによって調製されてもよい。活性な化合物(群)の抽出は溶媒抽出技術で可能である。抽出物は精製できる;例えば、ゲル濾過クロマトグラフィーによるかまたは調製的高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)技術によるか、またはこれらの技術の組合せによる。活性を有する抽出物は、何れかの特定の理論に必ず拘束されることを望まないが、プロシアニジン等のココアポリフェノール(群)であると同定された。これらのココアプロシアニジンは、重要な抗ガン、抗腫瘍、または抗新形成活性;抗酸化活性;を有し、そしてDNAトポイソメラーゼII酵素を阻害する。
【0021】
本発明のココアポリフェノールまたはプロシアニジンを含む抗ガン、抗腫瘍または抗新形成、または抗酸化またはDNAトポイソメラーゼII酵素阻害組成物は、薬学的分野の当業者によく知られた標準的な技術に従って調製可能である。そのような組成物は、そのような投与を要する患者に対して、医学分野の当業者に良く知られた技術により、年齢、性別、体重および特定の患者の状態、および投与経路等を考慮して、投与することができる。この組成物は、他の抗新形成、抗腫瘍または抗ガン剤または抗酸化剤またはDNAトポイソメラーゼII阻害剤および/または、抗新形成、抗腫瘍または抗ガン剤または抗酸化剤またはDNAトポイソメラーゼII阻害剤の副作用を減少または軽減する薬剤とともに、またはそれと連続的に、再び年齢、性別、体重および特定の患者の状態、および投与経路等を考慮して、投与することができる。
【0022】
本発明の組成物の例には、カプセル、錠剤、丸薬、およびその様なもの、並びに咀嚼可能な固体配合物であって、本発明が食用給源なのでそれにふさわしいもの(ココアまたはチョコレート味の固体組成物等);経口、経鼻孔、経肛門、経膣等の開口部用の液体調製物、懸濁物、シロップまたは内用液等の投与;および、非経口、皮下、皮内、筋内または滅菌懸濁物またはエマルジョン等の静脈内投与(注入可能投与等)が含まれる。しかしながら、組成物中の活性な成分は、血液流中に投与された場合に、血液タンパク質の沈殿により凝集を生じ得るようなタンパク質複合体であるかも知れない;そして、当業者はこのことを考慮すべきである。このような組成物においては、活性ココア抽出物は、好適な担体、希釈液または滅菌水、生理食塩水、グルコースまたはその様なもの等の賦形剤との混合物であってもよい。本発明の活性ココア抽出物は、例えば等圧水性食塩水バッファー中等の再配合のための、凍結乾燥の形状で提供されることもできる。
【0023】
さらに、本発明は、活性ココア抽出物が提供されているキットを包括する。キットは、適当な担体、希釈液または賦形剤を含む独立したコンテナを有していてもよい。キットはまた、付加的な抗ガン、抗腫瘍または抗新形成剤、または抗酸化剤、またはDNAトポイソメラーゼII酵素阻害剤および/または、共にまたは続けて投与するための、抗新形成、抗腫瘍または抗ガン剤または抗酸化剤またはDNAトポイソメラーゼII酵素阻害剤の副作用を減少または軽減する薬剤を含んでいてもよい。付加的な薬剤(群)は別個のコンテナ(群)中、または活性ココア抽出物との混合物として提供されてもよい。付加的には、キットは、内容物の混合または混合および/または投与のための指示書を含んでもよい。
【0024】
さらには、本発明は、好ましくはココアプロシアニジンを含むココア抽出物に関して記載されているが、この開示から熟練した有機化学者は、活性化合物を得るための合成経路を理解し想像するであろう。従って、本発明は、合成ココアポリフェノールまたはプロシアニジンまたはその派生体であって、グリコシド、没食子酸、エステル等およびその様なものを腹部がこれに限定されないものをも包括する。
【0025】
以下の限定的ではない例は説明のみのために提供されており、本発明の限定と考えられるべきではなく、本発明の精神またはその範囲から離れることなく、多くの明白な変化が可能である。
【実施例】
【0026】
実施例1: ココア給源および調製方法
3種類の認識されたココアの園芸種を代表するいくつかのTheobroma cacao遺伝子型(Enriquez、1967;Engel、1981)を、世界の3つの主要なココア生産起源より得た。この研究に用いられたこれらの遺伝子型のリストを表1に示す。収穫されたココアさやを開き、パルプを有する豆を凍結乾燥用に取り除いた。パルプを凍結乾燥された塊から手作業で除去し、豆を以下のように分析した。発酵されていない、凍結乾燥されたココア豆を最初に手作業で脱穀し、TEKMAR Millで細かい粉末塊へと粉砕した。その結果生じた塊を、続いて、再蒸留ヘキサンを溶媒として用いたSoxhlet抽出で一晩脱脂した。残存溶媒を脱脂された塊から常温で真空により取り除いた。
【表1】
【0027】
実施例2: プロシアニジン抽出の手順
A.方法1
プロシアニジンは、脱脂され、発酵されていない、凍結乾燥された実施例1のココア豆から、JalalおよびCollin(1977)によって記述された方法の改変型を用いて抽出した。プロシアニジンは、50gの脱脂されたココア塊のバッチから、400mlの70%アセトン/脱塩水で2回、続いて400mlの70%メタノール/脱塩水により抽出した。抽出物を貯蔵し、溶媒を45℃で部分的に真空に保たれたロータリーエバポレーターにより蒸留して除去した。その結果生じた水相を、脱塩水で1lに希釈し、400ml CHCl3 で2回抽出した。この溶媒相は廃棄した。水相を続いて、500ml酢酸エチルで4回抽出した。生じたエマルジョンの何れをも、Sorvall RC28S遠心機での、2000g、30分間の10℃での遠心により破壊した。統合された酢酸エチル抽出物に、100−200mlの脱塩水を添加した。溶媒を45℃で部分的に真空に保たれたロータリーエバポレーターにより蒸留して除去した。その結果生じた水相を液体窒素中で凍結し、続いてLABCONCO凍結乾燥システム上で凍結乾燥した。異なったココア遺伝子型より得られた粗プロシアニジンの収量を表2にリストした。
【表2】
【0028】
B.方法2
別の選択としては、プロシアニジンは、脱脂された、発酵されていない、実施例1の凍結乾燥ココア豆から70%水性アセトンにより抽出される。10gの脱脂原料を100mlの溶媒で5−10分間スラリー化した。スラリーを4℃で3000gで15分間遠心し、上清をグラスウールに通した。濾過したものを部分的な真空の下で蒸留し、その結果生じた水相を液体窒素中で凍結し、続いてLABCONCO凍結乾燥システム上で凍結乾燥した。粗プロシアニジンの収量は15−20%の範囲にあった。
【0029】
何れかの特定の理論に拘束されることを望むものではないが、粗収量における違いは、異なった遺伝子型、地理的起源、園芸的種および調製方法によって生じた変化を反映していると信じられている。
【0030】
実施例3: ココアプロシアニジンの部分精製
A.ゲル濾過クロマトグラフィー
実施例2により得られたプロシアニジンをセファデックスLH−20(28 x 2.5cm)での液体クロマトグラフィーにより部分的に精製した。分離を、脱塩水からメタノールへの段階グラジエントにより支援した。初期グラジエント組成物は脱塩水中の15%メタノールで開始され、30分毎に脱塩水中の25%メタノール、脱塩水中の35%メタノール、脱塩水中の70%メタノール、そして最終的には100%メタノールと段階的に続いて行った。キサンチンアルカロイド(カフェインおよびテオブロミン)の溶出に続く溶出物は単一の画分として集められた。この画分は、キサンチンアルカロイドを含有していない副画分であって、MM2AからMM2Eと命名された5つの副画分を得るために提出されたものを得た。各々の副画分から、溶媒を45℃でロータリーエバポレーターを部分真空下で用いて除去した。その結果生じた水相を液体窒素中で凍結させ、LABCONCO凍結乾燥システムで一晩凍結乾燥した。画分をしめす代表的なゲル濾過クロマトグラフィーを図1に示す。この方法により、およそ100mgの材料が副画分化された。
【0031】
図1:粗プロシアニジンのセファデックスLH−20上でのゲル濾過クロマトグラフ
クロマトグラフ条件: カラム;28 x 2.5cm セファデックスLH−20、移動相:メタノール/水段階グラジエント、15:85、25:75、35:65、70:30、100:0、1/2時間間隔で段階化した、流速;1.5ml/分、検出器;UV@λ1=254nmおよびλ2=365nm、チャート速度0.5mm/分、カラム充填;120mg。
【0032】
B.半調製的高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)
方法1:逆相分離
実施例2および/または3Aのプロシアニジンは半調製的HPLCによって部分精製された。多様な波長の検出器を備えたヒューレットパッカード1050HPLC、1ml注入ループを有するRheodyne7010注入バルブを、ファルマシアFRAC−100フラクションコレクターと共に組み立てた。分離は、Phenomenex 10μ ODS Ultracarb(60 x 10mm)ガードカラムと連結されたPhenomenex Ultracarb 10μ ODSカラム(250 x 22.5mm)上でもたらされた。移動相組成物は、A=水;B=以下の直線的グラジエント条件で用いられたメタノール;[時間、%A];(0、85)、(60、50)、(90、0)、および(110、0)、流速5ml/分。
【0033】
画分D+E中に存在するプロシアニジンの分離のための代表的な半調製的HPLCトレースを図15Nに示す。個々のピークおよび選択クロマトグラフ領域を、時間を決めた間隔または手作業でフラクションコレクターによって、更なる精製およびそれに続く評価のために収集した。注入充填量は、物質25−100mgの範囲にあった。
【0034】
方法2.順相分離
実施例2および/または3Aで得られたプロシアニジン抽出物を、半調製的HPLCにより部分精製した。ヒューレットパッカード1050HPLCシステム、254nmでのミリポアウォーターモデル480LC検出器セットを、ピークモードにセットしたファルマシアFrac−100フラクションコレクターとともに組み立てた。分離は、Supelco 5μ Supelguard LC−Si ガードカラム(20 x 4.6mm)と連結されたSupelco 5μ Supelcosil LC−Siカラム(250 x 10mm)上でもたらされた。プロシアニジンは以下の条件下での直線的グラジエントで溶出した:(時間、%A、%B);(0、82、14)、(30、67.6、28.4)、(60、46、50)、(65、10、86)、(70、10、86)続いて10分間再び平衡化した。移動相組成物はA=ジクロロメタン;B=メタノール;およびC=酢酸:水(1:1)。流速3ml/分を用いた。成分を254nmのUVで検出し、Kipp & Zonan BD41記録器で記録した。注入量は、0.25mlの70%水性アセトン中に溶解された10mgのプロシアニジンの、100−250μlの範囲であった。代表的な半調製的HPLCトレースを図15 Oに示す。個々のピークまたは選択されたクロマトグラフ領域を、時間を決めた間隔で、または手作業でフラクションコレクターにより、更なる精製およびそれに続く評価のために収集した。
【0035】
HPLC条件: 250 x 10mm Supelco Supelcosil LC−Si(5μm)半調製的カラム
20 x 4.6mm Supelco Supelcosil LC−Si(5μm)ガードカラム
検出器: Waters LC 分光光度計 モデル480@254nm
流速: 3ml/分
カラム温度: 室温
注入: 250μlの70%水性アセトン抽出物:
【0036】
得られた画分は以下のとおり:
【0037】
実施例4: プロシアニジン抽出物の分析的HPLC分析
方法1: 逆相分離
実施例3により得られたプロシアニジン抽出物を、0.45μフィルターで濾過し、ダイオード配列検出器をおよびHPモデル1046Aプログラム可能蛍光検出器備えたヒューレットパッカード10903次HPLCシステムにより分析した。分離は、45℃で、ヒューレットパッカード 5μ Hypersil ODSカラム(200 x 2.1mm)上でもたらされた。フラバノールおよびプロシアニジンを、60%のBからAへの直線的グラジエントにより溶出し、続いてカラムをBで流速0.3ml/分で洗浄した。移動相組成物は、B=メタノール中の0.5%酢酸で、A=脱塩水中の0.5%酢酸である。AおよびB移動相の酢酸レベルは2%まで増加してもよい。化合物は蛍光によって検出され、λex=276nm、でλem=316nmであった。(+)−カテキンおよび(−)−エピカテキンの濃度は標準参照溶液と関連して決定された。プロシアニジンレベルを(−)−エピカテキンに対する反応因子を用いて評価した。多様な成分の分離を示す代表的なHPLCクロマトグラムは、1つのココア遺伝子型について図2Aに示した。同様のHPLC特性が他のココア遺伝子型についても見られた。
【0038】
HPLC条件: カラム: 200 x 2.1mm ヒューレットパッカード Hypersil ODS(5μ)
ガードカラム:20 x 2.1mmヒューレットパッカード Hypersil ODS(5μ)
検出器: ダイオード配列@280nm 蛍光λex=276nm;λem=316nm
流速: 0.3ml/分
カラム温度: 45℃
【0039】
方法2: 順相分離
実施例2および/または3により得られたプロシアニジン抽出物を、0.45μフィルターで濾過し、ダイオード配列検出器をおよびHPモデル1046Aプログラム可能蛍光検出器備えたヒューレットパッカード1090シリーズII HPLCシステムにより分析した。分離は、37℃で、Supelco Superguard LC−Si 5μ ガードカラム(20 x 4.6mm)と連結された5μ Phenomenex Lichrospher Silica 100カラム(250 x 3.2mm)によりもたらされた。プロシアニジンは以下の条件での直線状グラジエントにより溶出した:(時間、A%、B%);(0、82、14)、(30、67.6、28.4)、(60、46、50)、(65、10、86)、(70、10、86)、続いて8分間再び平衡化した。移動相組成物は、A=ジクロロメタン、B=メタノール、およびC=容量比で1:1の酢酸:水であった。流速は0.5mlであった。成分を、蛍光によりλex=276nmおよびλem=316nmで、または280nmのUVにより検出した。多様な成分の分離を示す代表的なHPLCクロマトグラムは、1つのココア遺伝子型について図2Bに示した。同様のHPLC特性が他のココア遺伝子型についても見られた。
【0040】
HPLC条件: 250 x 3.2mm Phenomenex Lichrospher Silica 100カラム(5μ) 20 x 4.6mm Supelco Supelguard LC−Si(5μ) ガードカラム
検出器: フォトダイオード配列@280nm
蛍光λex=276nm;λem=316nm
流速: 0.5ml/分
カラム温度: 37℃
【0041】
実施例5: プロシアニジンの同定
プロシアニジンを、セファデックスLH−20(28 x 2.5cm)カラム上での液体クロマトグラフィーで精製し、続いて、10μ μBondapak C18(100 x 8mm)カラムを用いた半調製的HPLCまたは5μ Supelcosil LC−Si(250 x 10mm)カラムを用いた半調製的HPLCを行った。
【0042】
特に精製された単離物は、高速原子衝撃質量分析器(FAB−MS)により、VG ZAB−T高解像度MSシステム上で、液体2次イオン質量分析器(LSIMS)技術を陽および陰イオンモードで用いて分析した。セシウムイオン銃をイオン化源として30kVで用い、「Magic Bullet Matrix」(1:1 ジチオスレイトール/ジチオエリスリトール)をプロトンドナーとして用いた。
【0043】
これらの画分のLSIMSによる分析的調査により、表3に示されている多くのフラバン−3−オールオリゴマーの存在が明らかとなった。
【表3】
【0044】
主要な質量断片イオンは、陽および陰イオンの両方のプロシアニジンのFAB−MS分析について以前に報告された結果と一致していた(Self et al.,1986およびPorter et al.,1991)。m/z 577(M+H)+に相当するイオンおよびそのm/z 599(M+Na)+でのナトリウム内転は、単離物中に二重結合したプロシアニジンダイマーが存在することを示唆していた。より高度なオリゴマーは、それらのプロトン化分子イオン(M+Na)+よりも、より多くのナトリウム内転(M+Na)+を形成しがちであることに注意すると興味深い。プロシアニジン異性体B−2、B−5およびC−1は、試験的にRevilla et al.(1991)、Self et al.(1986)およびPorter et al.(1991)によって報告された結果に基づいて同定した。オクタマーおよびデカマーの両方までのプロシアニジンを、部分精製画分中にFAB−MSによって確認した。付加的に、ドデカマーまでのプロシアニジンの証拠が、順相HPLC分析から観察された(図2Bを参照)。何れの特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、ドデカマーは抽出および精製計画に用いられた溶媒中での溶解性の限界であると信じられている。表4は、キサンチンアルカロイドを含まない単離物中に見られたプロシアニジンの、逆相HPLC分析に基づいた相対濃度を列挙している。表5は、順相HPLC分析に基づいたプロシアニジンの相対濃度を列挙している。
【表4】
【表5】
【0045】
図3は、いくつかのプロシアニジン構造を示し、図4A−4Eは、以下の抗ガンまたは抗新形成活性のスクリーニングで用いられた5つの画分の、代表的なHPLCクロマトグラムを示している。図4A−4EのためのHPLC条件は以下のとおりである:
HPLC条件: HPモデル1046Aプログラム可能蛍光検出器を備えたヒューレットパッカード10903次HPLCシステム。
【0046】
カラム: ヒューレットパッカード 5μ Hypersil ODSカラム(200 x 2.1mm) 60%のBからAへの直線的グラジエント、流速0.3ml/分 B=メタノール中の0.5%酢酸、A=脱塩水中の0.5%酢酸、λex=280nm、λem=316nm。
【0047】
図15 Oは、抗ガンまたは抗新形成活性のスクリーニングで用いられた付加的な12の画分の、代表的な半調製的HPLCクロマトグラムを示している(HPLC条件は上記と同じ)。
【0048】
実施例6 ココア抽出物の抗ガン、抗腫瘍、または抗新形成活性
元々はMosmann(1983)により開発された、MTT(3−[4、5−ジメチルチアゾール−2−イル]−2、5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)−マイクロタイタープレートテトラゾリウム細胞毒性アッセイを、実施例5の試験試料の探索に用いた。試験試料、標準試料(cisplatinおよびchlorambucil)およびMTT試薬を100%DMSO(ジメチルスルホキシド)に濃度10mg/mlで溶解させた。連続的希釈物をストック溶液から調製した。試験試料の場合、希釈は0.01から100μgの範囲で0.5%DMSO中に調製された。
【0049】
全てのヒト腫瘍細胞系統をアメリカンタイプカルチャーコレクションから入手した。細胞を、10%胎児ウシ血清、100単位/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンおよび240単位/mlのナイスタチンを含むアルファMEM中で単層として増殖させた。細胞は加湿、5%CO2 雰囲気中で37℃で培養した。
【0050】
トリプシン化の後で、細胞を計数し50 x 105 細胞/mlの濃度に調製した(ガン細胞系統によって異なっていた)。200μlの細胞懸濁液をウェルに4列の96ウェルマイクロタイタープレートに注入した。細胞が4時間取付可能にされた後、2μlのDMSO含有試験試料溶液を、四重に用意したウェルに添加した。初期投与量反応を見つける実験で、試験試料希釈の規模の桁を用いたものを、試験する投与量の範囲を決定するために行った。ウェルの540nmでの吸光を続いてBIO RAD MP450プレートリーダー上で測定した。四重に用意された、試験試料で処理されたウェルの吸光度の平均を対照と比較し、その結果を対照の吸光度のパーセンテージ±標準偏差で表した。MTTの紫のホルマザン生成物への還元は、ウェル中で生きている細胞数と直線的に関連している。このように、還元生成物の吸光度を測定することにより、所定の試験試料投与量における細胞生存のパーセントの定量を行うことができる。対照ウェルは終濃度で1%のDMSOを含んでいた。
【0051】
試料の内の2つは、最初にこの手順により試験した。試料MM1はココアプロシアニジンの非常に粗な単離物を代表し、かなりの量のカフェインとテオブロミンを含有していた。試料MM2はゲル濾過クロマトグラフィーによって部分精製されたココアプロシアニジン単離物を代表していた。MM2中にはカフェインとテオブロミンは存在しなかった。両方の試料は、以下のガン細胞系統について前述の手順を用いて活性を検索した。
【0052】
HCT116結腸ガン
ACHN腎臓アデノカルシノーマ
SK−5メラノーマ
A498腎臓アデノカルシノーマ
MCF−7胸部ガン
PC−3前立腺ガン
CAPAN−2膵臓ガン
調べられたガン細胞系統の何れにおいても、MM1に関しては活性は僅かに見られるかまたは全く見られなかった。MM2は、HCT−116、PC−3、およびACHNガン細胞系統に対して活性を有することが判明した。しかしながら、MM1およびMM2の両方は、MMTと、生存細胞数の減少を反映する吸光度の減少を弱めるように干渉することが判明した。この干渉はまた大きな誤差の障害にも貢献しているが、それは、プレートの周辺にそったウェルの内部で化学反応がより迅速に進行するように見えるためである。これらの効果の典型例を、図5に示した。試験材料の高い濃度において、示された高い生存レベルと比較して生存の大きな減少を見ることが期待できる。しかしながら、顕微鏡観察によって、MMT干渉効果にもかかわらず、細胞毒性効果が生じていることが判明した。例えば、MM2のACHN細胞系統に対する効果の、0.5μl/mlのIC50値が、この方式において得られた。
【0053】
これらの予備的な結果から、本発明者等の見解では、MTTの干渉を排除するためにアッセイ手法の補正が必要であった。これは以下のようにして実現した。加湿、5%CO2 雰囲気において37℃で18時間プレートを保温した後、培地を注意深く吸引し、新鮮アルファ−MEM培地で置換した。この培地をアッセイの3日目にウェルから再び吸引し、新たに調製した100μlのMcCoy培地で置換した。PBS(リン酸緩衝食塩水)中の5mg/mlのMTTストック溶液を11μl、続いて各々のプレートのウェルに添加した。加湿、5%CO2 雰囲気において37℃で4時間保温した後、イソプロパノール中の0.04N HClを100μl、プレートの全てのウェルに添加し、続いて混合し、何れかの生存細胞により生成されたホルマザンを可溶化させた。付加的には、活性を有している特定の成分を決定するために、プロシアニジンを副画分化することが決定された
前述の副画分化の手順を更なる検索のための試料調製のために用いた。図1に示した範囲および図4A−4Eの成分(群)の配分を代表する5つの画分を調製した。試料は、これらの分析的特徴およびカフェインおよびテオブロミンの不在を表示するため、MM2AからMM2Eとコード化した。
【0054】
各々の画分を、独立にHCT−116、PC−3およびACHNガン細胞系統について検索した。その結果は、活性は何れかの特定の画分に集中してはいないことを示していた。この型の結果は異常ではないと考えられたが、それは「活性な」天然生産物単離物中の成分は相乗効果的に振る舞うことがありえるからである。ココアプロシアニジン単離物(MM2)の場合は、20以上の検出可能な成分が単離物に含まれている。独立した成分(群)に活性が関連しているというよりは、異なった画分中に存在する成分の組合せに活性が関連している可能性があることが考えられた。
【0055】
これらの結果に基づき、画分を組み合わせて同じガン細胞系統についてアッセイを繰り返すことを決定した。いくつかの画分の組合せがPC−3ガン細胞系統に対して細胞毒性を生じさせた。特に、MM2AおよびMM2Eの組合せに対するそれぞれ40μg/mlの、およびMM2CおよびMM2Eの組合せに対するそれぞれ20μg/mlのIC50値が得られた。活性はHCT−116およびACHN細胞系統に対しても報告されたが、前回のように、MTT指示薬の干渉により精密な観察は不可能だった。複数回の実験をくり返しHCT−116およびACHN系統上で行い、データを改善した。しかしながら、これらの結果は細菌汚染および試験試料材料の疲弊により明確なものではない。図6A−6Dはココア抽出物とPC−3ガン細胞との間の投与量反応関係を示すものである。
【0056】
しかしながら、このデータから、ココア抽出物、特にココアポリフェノールまたはプロシアニジン、は、重要な抗腫瘍、抗ガン、抗新形成活性を、特にヒトPC−3(前立腺)、HCT−116(結腸)、およびACHN(腎臓)ガン細胞系統に関して有することは明白である。加えて、これらの結果は特定のプロシアニジン画分がPC−3細胞系統に対して関与していることを示唆している。
【0057】
実施例7: ココア抽出物(プロシアニジン)の抗ガン、抗腫瘍または抗新形成活性
上記の発見を確認し、さらに組合せ画分を研究するために、別の包括的なスクリーニングを行った。
【0058】
全ての調製された材料および手順は、試験投与量毎に四重であった標準を、試験投与量毎に八重または十二重に増加させた点を除いて、上記の報告と同一であった。この研究のために、個々の5個のココアプロシアニジン画分、およびその組合せを、以下のガン細胞系統について検索した。
【0059】
PC−3前立腺
KB鼻咽頭/Hela
HCT−116結腸
ACHN腎臓
MCF−7胸部
SK−5メラノーマ
A−549肺
CCRF−CEM T細胞白血病
個々のスクリーニングは、異なった投与量レベル(0.01−100μg/ml)の画分A、B、C、D、およびE(図4A−4Eおよびその検討、前出を参照されたい)を各々の細胞系統についてアッセイすることから成る。組合せのスクリーニングは、同じ投与量レベルの画分A+B、A+C、A+D、A+E、B+C、B+D、B+E、C+D、C+E、およびD+Eを、各々の細胞系統について組み合わせることから成る。これらのアッセイからの結果は、独立して検討し、続いて全体をまとめた。
【0060】
A.PC−3前立腺細胞系統
図7A−7Hは、ココアプロシアニジン画分とPC−3細胞系統との間の、典型的な投与量反応関係を示している。図7Dおよび7Eは、画分DおよびEが、75μg/mlのIC50値で活性を有していたことを示している。他のプロシアニジン画分の組合せの投与量反応曲線から得られたIC50値は、画分DまたはEが存在する場合には、60−80μg/mlの範囲にあった。個々のIC50値は表6に列挙した。
【0061】
B.KB鼻咽頭/Hela細胞系統
図8A−8Hは、ココアプロシアニジン画分とKB鼻咽頭/Hela細胞系統との間の、典型的な投与量反応関係を示している。図8Dおよび8Eは、画分DおよびEが、75μg/mlのIC50値で活性を有していたことを示している。図8F−8Hは、画分の組合せの研究から得られた代表的な結果を示している。この場合は、プロシアニジン画分の組合せA+Bは効果を有していなかったが、一方で画分の組合せB+EおよびD+Eは、60μg/mlのIC50値で活性であった。他のプロシアニジン画分の組合せの投与量反応曲線から得られたIC50値は、画分DまたはEが存在する場合には、60−80μg/mlの範囲にあった。個々のIC50値は表6に列挙した。これらの結果は、PC−3細胞系統について得られたものと本質的に同じである。
【0062】
C.HCT−116結腸細胞系統
図9A−9Hは、ココアプロシアニジン画分とHCT−116結腸細胞系統との間の、典型的な投与量反応関係を示している。図9Dおよび9Eは、画分Eが、約400μg/mlのIC50値で活性を有していたことを示している。この値は実在の曲線を外挿して得た。画分Dについての投与量反応曲線の勾配もまた活性を示していることに注意されたい。しかしながら、ID50値はこのプロットからは得られなかったが、それは曲線の勾配が、信頼できる値を得るためにはあまりにも浅いものであったためである。図9F−9Hは、画分の組合せの研究から得られた代表的な結果を示している。この場合は、プロシアニジン画分の組合せB+Dは認識できる効果を有していなかったが、一方で画分の組合せA+EおよびD+Eは、それぞれ500μg/ml、85μg/mlのIC50値で活性であった。他の画分の組合せの投与量反応曲線から得られたIC50値は、画分Eが存在する場合には平均で約250μg/mlであった。外挿されたIC50値を表6に列挙した。
【0063】
D.ACHN腎臓細胞系統
図10A−10Hは、ココアプロシアニジン画分とACHN腎臓細胞系統との間の、典型的な投与量反応関係を示している。図10Aから10Eは、独立の画分はこの細胞系統については活性を有していないことを示している。図10F−10Hは、画分の組合せの研究から得られた代表的な結果を示している。この場合は、プロシアニジン画分の組合せB+Cは活性ではなかったが、一方で画分の組合せA+Eは、500μg/mlのIC50値で活性であるという結果であった。C+Dの組合せと同様の投与量反応曲線は不活性と考えられたが、それはそれらの勾配があまりに浅かったからである。その他の画分についての外挿されたIC50値を表6に列挙した
E.A−549肺細胞系統
図11A−11Hは、ココアプロシアニジン画分とA−549肺細胞系統との間の、典型的な投与量反応関係を示している。独立の画分または画分の組合せからは、アッセイした投与量においては活性は検出されなかった。しかしながら、プロシアニジン画分はなおもこの細胞系統に関して用途を有するかも知れない。
【0064】
F.SK−5メラノーマ細胞系統
図12A−12Hは、ココアプロシアニジン画分とSK−5メラノーマ細胞系統との間の、典型的な投与量反応関係を示している。独立の画分または画分の組合せからは、アッセイした投与量においては活性は検出されなかった。しかしながら、プロシアニジン画分はなおもこの細胞系統に関して用途を有するかも知れない。
【0065】
G.MCF−7胸部細胞系統
図13A−13Hは、ココアプロシアニジン画分とMCF−7胸部細胞系統との間の、典型的な投与量反応関係を示している。独立の画分または画分の組合せからは、アッセイした投与量においては活性は検出されなかった。しかしながら、プロシアニジン画分はなおもこの細胞系統に関して用途を有するかも知れない。
【0066】
H.CCRF−CEM T細胞 白血病系統
CCRF−CEM T細胞 白血病系統に対する、本来の典型的な投与量反応曲線を得た。しかしながら、顕微鏡での細胞数の計数vs異なった画分濃度での時間は、500μgの画分A、BおよびDが4日間の期間にわたる80%の増殖の減少をもたらしたことを示している。代表的な投与量反応関係を図14に示す。
【0067】
I.まとめ
これらのアッセイから得られたIC50値は、CCRF−CEM T細胞白血病を除く全ての細胞系統について、表6に集められて列挙されている。CCRF−CEM T細胞白血病は意図的に表からはずされたが、それは異なったアッセイの手順を用いたためである。これらの結果の全体的なまとめは、最も高い活性は画分DおよびEに関連するものであることを示している。これらの画分はPC−3(前立腺)およびKB(鼻咽頭/Hela)細胞系統に対してもっとも活性であった。これらの画分はまた、HCT−116(結腸)およびACHN(腎臓)細胞系統に対しても活性であったが、しかし、非常に高い投与量においてのみであった。MCF−7(胸部)、SK−5(メラノーマ)、およびA−549(肺)細胞系統に対しては活性は検出されなかった。しかしながら、プロシアニジン画分はそれでもこれらの細胞系統に関して用途を有しているかもしれない。CCRF−CEM(T細胞白血病)細胞系統に対しても活性が見られた。画分DおよびEは組成物として最も複雑であることに注意すべきである。しかしながら、このデータから、ココア抽出物、特にココアプロシアニジン、は、重要な抗腫瘍、抗ガンまたは抗新形成活性を有していることは明白である。
【表6】
【0068】
実施例8 ココア抽出物(プロシアニジン)の抗ガン、抗腫瘍、または抗新形成活性
いくつかの付加的な生体外アッセイの手順を、実施例6および7で示された結果を補完し、拡張するために用いた。
【0069】
方法A.クリスタルバイオレット染色アッセイ
全てのヒト腫瘍細胞系統をアメリカンタイプカルチャーコレクションから得た。細胞を、10%ウシ胎児血清を含む抗生物質を含まないIMEM中で単層として増殖させた。細胞を加湿、5%CO2 雰囲気中で37℃で維持した。
【0070】
トリプシン化の後、細胞を計数し、濃度を100μlあたり1000−2000細胞に調節した。細胞拡散を、96ウェルマイクロタイタープレート中に細胞をプレートする(ウェルあたり1000−2000細胞)ことにより決定した。ウェルあたり100μlの細胞を添加した後、細胞を24時間取付可能とした。24時間の期間の終りには、多様なココア画分を異なった濃度で、投与量反応結果を得るために添加した。ココア画分を2倍の濃度で培地中に溶解させ、各々の溶液の100μgを、三重に用意したウェルに添加した。連続した日に、プレートを50μlのクリスタルバイオレット(125mlのメタノール、375mlの水に溶解された2.5gのクリスタルバイオレット)で15分間染色した。染色液を除き、プレートを穏やかに冷水に浸し、過剰の染色を除去した。洗浄をさらに2回くり返し、プレートを乾燥させた。残存している染色は100μlの0.1Mクエン酸ナトリウム/50%エタノールを各々のウェルに添加することにより可溶化した。可溶化の後、細胞の数をELISAプレートリーダー上で540nmで定量化した(参照フィルターは410nm)。ELISAリーダーからの結果は、y軸に吸光度、x軸に日数としてグラフ化した。
【0071】
方法B.軟寒天クローニングアッセイ
Nawata et al.(1981)によって記述された方法に従って、細胞を軟寒天中にクローン化した。単一の細胞懸濁液を、0.8%寒天を含む培地中に様々な濃度のココア抽出物と共に生成した。懸濁液は1.0%寒天を含有する培地でコートされた35mmのディッシュに分配した。10日間の保温の後、直径60μm以上のコロニーの数を、Omicron 3600イメージ分析システム上で計数した。この結果は、y軸上にコロニーの数、そしてココア画分の濃度をx軸上にプロットした。
【0072】
方法C.XTTマイクロカルチャー テトラゾリウムアッセイ
Scudiero et al.(1988)によって記載されたXTTアッセイの手順を、多様なココア画分の検索のために用いた。XTTアッセイは、以下の変更を除いては、実質的には記載されたMTTを用いた手順(実施例6)と同じである。XTT((2、3−ビス(2−メトキシ−4−ニトロ−5−スルホフェニル)−5−[(フェニルアミノ)カルボニル]−2H−テトラゾリウムヒドロキシド)を、1mg/mlで血清を含まない培地で調製し、37℃で前加熱した。PMSを5mM PBSで調製した。XTTおよびPMSは共に混合した;10μlのPMSを1mlあたりのXTT、および50μlのPMS−XTTを各々のウェルに添加した。37℃で4時間の保温の後、プレートを30分間、機械式振とう機で混合し、450−600nmの吸光度を測定した。結果を、吸光度をy軸に、増殖日数または濃度をx軸にプロットした。
【0073】
方法AおよびCについては、結果はまた、パーセント対照をy軸に、増殖日数または濃度をx軸にしてプロットした。
【0074】
XTTおよびクリスタルバイオレットアッセイ手順比較を、ココア画分D&E(実施例3B)を胸部ガン細胞系統MCF−7 p168に対して行い、どのアッセイが最も敏感であるか決定した。図15Aに示されたとおり、両方のアッセイは、濃度>75μg/mlでは同じ投与量反応効果をしめした。この値より小さい濃度では、クリスタルバイオレットはXTTアッセイの結果よりも高い標準偏差を示した。しかしながら、クリスタルバイオレットアッセイはより容易に用いることが出来るので、全てのこの後のアッセイは、特に断らないかぎり、この手順により行った。
【0075】
クリスタルバイオレットアッセイの結果は示されているが(図15B−15E)、粗ポリフェノール抽出物(実施例2)の、胸部ガン細胞系統MDA MB231、前立腺ガン細胞系統PC−3、胸部ガン細胞系統MCF−7 p163、および子宮ガン細胞系統Helaそれぞれに対する効果を表している。全ての場合において、250μg/mlの投与量は完全に全てのガン細胞の増殖を、5−7日の期間にわたって阻害した。Hela細胞系統はこの抽出物に対して最も感受性であるように見えたが、それは100μg/mlの投与量でもまた生育を阻害したからである。実施例3B由来のココア抽出物はまた、Helaおよび他の胸部ガン細胞系統SKBR−3に対してアッセイした。結果(図15Fおよび図15G)は、画分D&Eが最も高い活性を有していることを示している。図15Hおよび15Iに示されているとおり、約40μg/mlのD&EのIC50値が両方のガン細胞系統に対して得られた。
【0076】
ココア画分D&Eはまた、試験化合物(群)の固定独立増殖を阻害する能力を決定するための軟寒天クローニングアッセイにおいてもまた試験された。図15Jに示されているとおり、100μg/mlの濃度でHela細胞のコロニー形成を完全に阻害した。
【0077】
3種類のココア園芸種を代表している、8種類の異なったココア遺伝子型から得られた粗フェノール抽出物についてもまた、Hela細胞に対してアッセイした。図15Kに示されているように、全ての多様なココアは同様の投与量反応効果を示した。UIT−1種はHela細胞に関して最も高い活性を示した。これらの結果は、全てのココア遺伝子型が、地理的起源、園芸種および遺伝子型とは独立に、少なくとも1つのヒトガン細胞系統に対して活性を誘導するポリフェノール画分を有していることを示している。
【0078】
別の一連のアッセイを、1トンスケールの、ブラジルココア豆の伝統的な5日間の発酵で、その後4日間の太陽乾燥段階を行ったものから、毎日の基本として調製された粗ポリフェノール抽出物について行った。図15Lに示された結果は、これらの初期処理工程の明白な影響を示しておらず、ポリフェノールの成分のわずかな変化を示唆していた。しかしながら、ポリフェノールオキシダーゼ(PPO)が発酵工程の間にポリフェノールを酸化することが知られている(Lehrian and Patterson、1983)。酵素的に酸化されたポリフェノールが活性にどのような効果を有するかを決定するために、別の実験を行った。粗PPOを、細かく粉砕された、発酵されていない、凍結乾燥され、脱脂されたブラジルココア豆を、1gの粉末に対して10mlのアセトンで抽出することにより調製した。スラリーを3000rpmで15分間遠心した。これを3回くり返し、上清をその度に廃棄し、ブフナー漏斗を通して注いだ4回目の抽出を行った。アセトン粉末は空気乾燥され、続いてMcLord and Kilara(1983)によって記述された手順に従ってアッセイした。粗ポリフェノール溶液(100mg/10mlクエン酸−リン酸バッファー、0.02M、pH5.5)に、100mgのアセトン粉末(4000μ/mgタンパク質)を添加し、スラリー中を泡立たせた空気流とともに30分間撹拌した。この試料を、5000gで15分間遠心し、上清を3回20ml酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル抽出物を統合し、部分的真空下で蒸留し乾燥させ、5mlの水を添加し、続いて凍結乾燥を行った。物質を続いてHela細胞に対してアッセイし、投与量反応を酵素的に処理されていない粗ポリフェノール抽出物と比較した。結果(図15M)は、酵素的に酸化された抽出物の投与量反応曲線は顕著に変化していることを示し、酸化された生成物はそれらの天然型よりも阻害的であることを示した。
【0079】
実施例9: プロシアニジンを含むココア抽出物の抗酸化剤活性
文献中の証拠は、天然に生成される抗酸化剤(ビタミンC、E、およびB−カロテン)の消費と、ガンを含む病気の低減された発生率との関係を示唆している(Designing Foods、1993;Caragay、1992)。これらの抗酸化剤は、いくつかの腫瘍成長の型に関与している、特定の酸化的でフリーラジカル工程に影響すると一般に考えられている。付加的には、抗ガン原性であることが示されているいくつかの植物ポリフェノール性化合物は、実質的な抗酸化剤活性もまた有している(Ho et al.,1992;Huang et al.,1992)。
【0080】
プロシアニジンを含むココア抽出物が抗酸化剤活性を有するか否かを決定するために、標準的なRancimat法を用いた。実施例1、2および3に記載された手順を、ココア抽出物を調製するために用い、抽出物をさらに2つのゲル濾過由来の画分を生成させるために操作した。これらの2つの画分は実際には画分AからCを統合したもの、およびDとE(図1を参照)であり、それらの抗酸化剤特性を、合成抗酸化剤BHAおよびBHTと比較した。
【0081】
ローストされていないピーナツから、皮を除去してピーナツ油をプレスした。各々の試験化合物は、各々試験化合物を、100ppm程度と20ppm程度の2つのレベルで(実際のレベルは表7中に示されている)油中に添加した。50μlのメタノール可溶化抗酸化剤を、各々の試料に抗酸化剤の分散を補助するために添加した。抗酸化剤を含まない50μlのメタノールを有する対照試料を調製した。
【0082】
試料を、酸化安定性に関して、100℃で20cc/分の空気でのRancimat安定性試験を用いて二重に評価した。実験的変数は活性酸素法(AOM)またはSwift安定性試験(Van Oosten et al.,1981)について用いられたものと対応させて選択した。典型的なRancimatトレースは図16に示されている。結果を表8に、100megの過酸化物レベルに達するために必要な時間として報告する。
【表7】
【表8】
【0083】
これらの結果は、試験された全ての添加物について、ピーナツ油の増加した酸化安定性を示した。酸化安定性の最も高い増加は、ココアの酢酸エチル粗抽出物を添加した試料によって実現された。これらの結果は、プロシアニジンを含むココア抽出物は、同じ量の合成BHAまたはBHTと同等かまたはそれ以上の抗酸化的潜在性を有することを示している。従って、本発明は、例えば抗酸化剤および/または食品添加物等の公知のBHAまたはBHTの用途においてBHAまたはBHTに代わって用いられ得る。そして、この点に関して、本発明は食品の給源由来であることにも注意すべきである。これらの得られた結果から、当業者は、そのような「BHAまたはBHT」の用途における本発明の好適な量、例えば食品への添加量を、実験によらずに容易に決定できる。
【0084】
実施例10: トポイソメラーゼII阻害の研究
DNAトポイソメラーゼIおよびIIは、DNA鎖の開裂および再結合を触媒し、それによりDNAの位相的状態を制御している酵素である(Wang,1985)。細胞内のトポイソメラーゼの機能の研究に加え、最も重要な発見の1つは、トポイソメラーゼIIが、介在物質(m−AMSA、Adriamycin(登録商標)およびエリプチシン(ellipticine)並びに非介在エピポドフィロトキシン(epipodophyllotoxins)を含む数多くの診療において重要な抗腫瘍化合物に対する主要な細胞内標的として同定されたことである(Yamashita et al.,1990)。いくつかの証拠の系統が、いくつかの抗腫瘍薬が、変性剤へさらすとDNAの分解という結果となるDNA−トポイソメラーゼII複合体(分解複合体)を安定化するという共通の特性を有することを示している(Muller et al.,1989)。抗腫瘍薬による分解複合体形成は、細胞死につながりうる巨大DNA反転をもたらすことが提唱されている。
【0085】
この魅力的なモデルに従えば、特定のDNAトポイソメラーゼII分解複合体の新規な誘導剤が、抗ガン、抗腫瘍、抗新形成剤として有用である。細胞毒性化合物を、標的DNAの活性により同定する試みにおいて、ココアプロシアニジンを、いくつかのDNA損傷感受性細胞系統に対する促進された細胞毒性活性およびリンパ腫から得られたヒトトポイソメラーゼIIでの酵素アッセイに関して検索した。
【0086】
A.キネトプラストDNAのトポイソメラーゼIIによる鎖分解(decatenation)
Muller et al.(1989)に記載されている、キネトプラストDNAのトポイソメラーゼIIの鎖分解の生体外での阻害を以下のように行った。トポイソメラーゼII活性を含む核抽出物を、ヒトリンパ腫からMiller et al.(1981)およびDanks et al.(1988)の方法を変更して抽出した。精製酵素の1単位は0.25μmolのキネトプラストDNAを34℃で30分間に鎖分解する(decatenate)ために十分なものである。キネトプラストDNAは、トリパノソーマ類Crithidia fasciculataから得た。各々の反応は、19.5μlH2 O、2.5μl 10xバッファー(1xバッファーは、50mM トリス−HCl、pH 8.0、120mM KCl、10mM MgCl2 、0.5mM ATP、0.5mMジチオスレイトールおよび30μg BSA/mlを含む)、1μlキネトプラストDNA(0.2μg)、および、1μlの、様々な濃度での、DMSO含有ココアプロシアニジン試験画分を含む0.5mlマイクロ遠心チューブ中で行った。この組合せを、完全に混合し氷上に保存した。1単位のトポイソメラーゼを、34℃で30分間ウォーターバス中で保温する直前に添加した。
【0087】
保温に続いて、鎖分解アッセイは5μl停止バッファー(5%サルコシル、0.0025%ブロモフェニルブルー、25%グリセロール)の添加により停止させ、氷上に静置した。DNAを、エチジウムブロミド(0.5μg/ml)を含むTAEバッファー中の1%アガロースゲル上で電気泳動させた。波長310nmでの紫外線発光により、DNAを可視化した。ポラロイドランドカメラを用いてゲルを撮影した。
【0088】
図17は、これらの実験の結果を示している。完全に鎖形成されたキネトプラストDNAは1%アガロースゲル中で移動しない。キネトプラストDNAのトポイソメラーゼIIによる鎖分解は、ゲル中で移動するモノマーDNA(モノマーサークル、I型およびII型)を生じさせる。ココアプロシアニジンの添加による酵素の阻害は、増加する濃度の関数としてのモノマーバンドの増加的な消失から明らかである。これらの結果に基づいて、ココアプロシアニジン画分A、B、D、およびEは、0.5から5.0μg/mlの範囲にある濃度でトポイソメラーゼIIの阻害を示した。これらの阻害剤濃度は、ミトキサントロン(mitoxanthrone)およびm−AMSA(4’−(9−アクリジニルアミノ)メタンスルホン−m−アニシジド)について得られたものと非常に類似したものであった。
【0089】
B.薬剤感受性細胞系統
ココアプロシアニジンを、いくつかのDNA損傷感受性細胞系統に対して検索した。これらの細胞系統の1つは、P.Jeggoによって開発されたxrs−6DNA二本鎖修復変異体である(Kemp et al.,1984)。xrs−6細胞系統のDNA修復欠損は、それら自身を、X照射、DNA二本鎖形成を直接破壊するブレオマイシン等の化合物、およびトポイソメラーゼIIを阻害し、それにより間接的に二本鎖を破壊するWarters et al.(1991)によって提唱された化合物に対して特に感受性であるものとする。修復欠損系統に対しての細胞毒性を、DNA修復能力の高いCHO系統、BR1に対する細胞毒性と比較した。修復欠損(xrs−6)系統に対しての促進された細胞毒性を、DNA分解二本鎖破壊の形成に対する証拠として解した。
【0090】
DNA修復可能CHO系統、BR1は、Barrows et al.(1987)によって開発され、O6 −アルキルグアニン−DNA−アルキルトランスフェラーゼを、通常のCHO DNA修復酵素に加えて発現する。CHO二本鎖破壊修復欠損系統は、P.Jeggo博士およびその共同研究者(Jeggo et al.,1989)からの寛大なる贈り物である。これらの両方の系統をアルファ−MEM含有血清および抗生物質中で実施例6に記載のとおりに単層として増殖させた。細胞は加湿5%CO2 雰囲気下で維持した。ココアプロシアニジン処理の前に、単層として増殖させた細胞をトリプシン処理により引き離した。実施例6に記載されているMTTアッセイの手順を用いたアッセイを行った。
【0091】
その結果は(図18)、xrs−6に対する促進された細胞毒性はみられないことを示し、ココアプロシアニジンは分解二本鎖破壊形成とは異なった方式でトポイソメラーゼIIを阻害したことを示唆していた。即ち、ココアプロシアニジンは、トポイソメラーゼIIと、それがDNAと相互作用し非分解型複合体を形成する前に相互作用する。
【0092】
非分解型複合体形成化合物は比較的新しい発見である。アントラサイクリン(anthracycline)、ポドフィリンアルカロイド(podophyllin alkaloid)、アントラセネジオン(anthracenedion)、アクリジンおよびエリプチシン(ellipticine)の同類は、全て臨床用の抗ガン、抗腫瘍または抗新形成のための使用が是認されており、それらは分解型複合体を形成する(Liu、1989)。いくつかの新しいクラスの、分解型複合体を形成するようには見えないトポイソメラーゼII阻害剤が近年同定されてきた。これらには、アモナフィド(amonafide)(Hsiang et al.,1989)、ディスタマイシン(distamycin)(Fesen et al.,1989)、フラバノイド(flavanoid)(Yamashita et al.,1990)、サイントピン(saintopin)(Yamashita et al.,1991)、メンブラノン(membranone)(Drake et al.,1989)、テルペノイド(terpenoid)(Kawada et al.,1991)、アントラピラゾール(anthrapyrazole)(Fry et al.,1985)、ジオキソピペラジン(Tanabe et al.,1991)およびマリンアクリジン−デルシチン(marine acridine−dercitin)(Burres et al.,1989)が含まれる。
【0093】
ココアプロシアニジンは、分解性複合体が形成される前にトポイソメラーゼIIを不活性化するので、それらは単独で、または公知で機構的に決定されているトポイソメラーゼIIインヒビターと組み合わせて、化学治療法的価値を有する。付加的には、ココアプロシアニジンはまた、新規クラスのトポイソメラーゼIIインヒビターであるように見え(Kashiwada et al.,1993)、そしてそれ故に他の公知のインヒビターよりも細胞に対して毒性が少なく、それによりそれらの化学治療法における用途を拡大している。
【0094】
膜結合糖タンパク質(gp170)を発現し複数の薬剤耐性を付与するヒト胸部ガン細胞系統MCF−7(ADR)、およびその親系統MCF−7 p168を、ココア画分DおよびEの効果をアッセイするために用いた。図19に示されるように、親系統は増加されたレベルでの画分DおよびEで阻害されたが、一方でアドリアマイシン(Adriamycin;ADR)耐性の系統は高い投与量では影響は少なかった。これらの結果は、ココア画分DおよびEは複数の薬物耐性細胞系統に効果を有することを示している。
【0095】
実施例11: プロシアニジンの合成
プロシアニジンの合成を、Delcour et al.(1983)によって開発された手順に従って、変更を加えて行った。(+)−カテキンをジヒドロケルセチンとともに還元的条件下で濃縮することに加え、(−)−エピカテキンもまた、発酵されていないココア豆中に天然にもたらされる(−)−エピカテキンの高濃度を反映させるために用いた。合成生成物を単離し、精製し、分析し、実施例3、4および5に記載されている手順により同定した。このやり方により、ビフラバノイド、トリフラバノイドおよびテトラフラバノイドを調製し、分析用標準試料として、上記の方式でココア抽出物に関して用いた。
【0096】
実施例12: 順相半調製画分のアッセイ
ポリフェノール抽出物は組成物として複雑であるので、更なる精製、投与量反応アッセイ、および包括的な構造の同定のために、どの成分がガン細胞に対して活性であるのかを決定する必要があった。順相半調製HPLC分離(実施例3B)をココアプロシアニジンをオリゴマーの大きさに基づいて分離するために用いた。元々の抽出物に加え、12の画分を調整し(図2Bおよび15 O)、100μg/mlおよび25μg/mlの投与量でHela細胞に対して、どのオリゴマーが最大の活性を有しているかを決定するためにアッセイした。図20に示されているように、画分4−11は(ペンタマーからドデカマー)は、約25μg/mlのIC50値を示した。これらの結果は、これらの特定のオリゴマーが、Hela細胞に対する最大の活性を有していることを示した。付加的には、ココア画分DおよびEの順相HPLC分析により、この画分がこれらのオリゴマーを豊富に有することが示された。
【0097】
上記から、本発明の、抽出物およびココアポリフェノール、並びに組成物、方法およびキットは用途を有していることは明らかである。この見地から、本発明は、食料品由来であり、生体外で示された活性は、少なくともいくつかの活性は生体内で、特に上記の投与量を考慮して示され得るといえる。
【0098】
付加的には、これまでの記述は、抽出物およびココアポリフェノール、ならびに組成物、方法およびキットは、BHTおよびBHAに類似した抗酸化剤活性を、酸化安定性と同様に有していることを示している。このように、本発明は、例えば抗酸化食品添加物等の抗酸化剤等の公知のBHA、BHTの用途においてBHTまたはBHAに代わって用いられることができる。本発明はまた、トポイソメラーゼ阻害剤として、現在そのために知られている用途において用いられることができる。従って、本発明によって想像できる組成物および方法が数多く存在する:例えば、抗酸化剤または保存用組成物、トポイソメラーゼ阻害組成物、食品または何れかの所望の品の、酸化等からの保存方法、およびトポイソメラーゼ阻害のための方法であって、抽出物および/またはココアポリフェノールを含有するもの、または、食品、品物またはトポイソメラーゼをそれぞれの組成物即ち抽出物および/またはココアポリフェノール(群)と接触させることから成るものの何れか、等である。
【0099】
このように詳細に、好ましい本発明の態様を記述してきたが、添付の請求の範囲により定義された本発明は、上記の記述中に示された特定の詳細に限定されるものではなく、本発明の範囲および精神から離れるものではない数多くのその変化体があり得ることは理解されるべきである。
【0100】
他の実施態様
1.ココアポリフェノール(群)を含む実質的に純粋なココア抽出物。
2.ココア豆を粉末に還元すること、
粉末を脱脂すること、および
粉末からココアポリフェノール(群)を抽出および精製すること、
から成る工程により調製される実施態様1記載の抽出物。
3.前記ココア豆を粉末に還元する工程が、
豆およびパルプを凍結乾燥すること、
凍結乾燥された塊を脱パルプ化すること、
凍結乾燥されたココア豆を脱穀すること、および
脱穀された豆を粉砕すること、
から成ることを特徴とする実施態様2記載の抽出物。
4.前記工程が、ゲル濾過クロマトグラフィーおよび/または調製用高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により抽出物を精製することをさらに含むことを特徴とする実施態様2または3記載の抽出物。
5.(−)−エピカテキン、プロシアニジンB−2、4から12のプロシアニジンオリゴマー、プロシアニジンB−5、プロシアニジンA−2およびプロシアニジンC−1から成る群から選択された少なくとも1つのココアプロシアニジンのポリフェノール(群)を含有することを特徴とする実施態様4記載の抽出物。
6.実質的に純粋なココア抽出物もしくは合成ココアポリフェノール(群)および好適な担体から成る抗新形成性組成物。
7.ココアプロシアニジン(群)を含む実質的に純粋なココア抽出物を含むことを特徴とする実施態様6記載の抗新形成性組成物。
8.前記ココアプロシアニジン(群)が、
ココア豆を粉末に還元すること、
粉末を脱脂すること、および
粉末からココアポリフェノール(群)を抽出すること、
から成る工程により調製される実施態様7記載の抗新形成性組成物。
9.前記ココア豆を粉末に還元する工程が、
豆およびパルプを凍結乾燥すること、
凍結乾燥された塊を脱パルプ化すること、
凍結乾燥されたココア豆を脱穀すること、および
脱穀された豆を粉砕すること、
から成ることを特徴とする実施態様8記載の抗新形成性組成物。
10.前記工程が、ゲル濾過クロマトグラフィーおよび/または調製用高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により抽出物を精製することをさらに含むことを特徴とする実施態様8または9記載の抗新形成性組成物。
11.(−)−エピカテキン、プロシアニジンB−2、4から12のプロシアニジンオリゴマー、プロシアニジンB−5、プロシアニジンA−2およびプロシアニジンC−1から成る群から選択された少なくとも1つのココアプロシアニジンのポリフェノール群を含有することを特徴とする実施態様10記載の抗新形成性組成物。
12.有効量の実質的に純粋なココア抽出物もしくは合成ココアポリフェノール(群)および好適な担体から成る抗新形成性組成物を患者に投与することから成る、抗新形成剤で治療の必要のある患者を治療する方法。
13.前記抗新形成剤が、ココアプロシアニジン(群)を含む実質的に純粋なココア抽出物を含むことを特徴とする実施態様12記載の方法。
14.前記ココアポリシアニジン(群)が、
ココア豆を粉末に還元すること、
粉末を脱脂すること、および
粉末からココアポリフェノール(群)を抽出すること、
から成る工程により調製されることを特徴とする実施態様13記載の方法。
15.前記ココア豆を粉末に還元する工程が、
豆およびパルプを凍結乾燥すること、
凍結乾燥された塊を脱パルプ化すること、
凍結乾燥されたココア豆を脱穀すること、および
脱穀された豆を粉砕すること、
から成ることを特徴とする実施態様14記載の方法。
16.前記工程が、ゲル濾過クロマトグラフィーおよび/または調製用高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により抽出物を精製することをさらに含むことを特徴とする実施態様14または15記載の抗新形成性組成物。
17.前記抽出物が、(−)−エピカテキン、プロシアニジンB−2、4から12のプロシアニジンオリゴマー、プロシアニジンB−5、プロシアニジンA−2およびプロシアニジンC−1から成る群から選択された少なくとも1つのココアプロシアニジンのポリフェノール(群)を含有することを特徴とする実施態様16記載の抗新形成性組成物。
18.実質的に純粋なココア抽出物もしくは合成ココアポリフェノール(群)および好適な担体から成る、抗新形成剤で治療の必要のある患者を治療するためのキット。
19.前記抗新形成剤が、ココアプロシアニジン(群)を含む実質的に純粋なココア抽出物を含み;前記キットが原料の混合および/または患者への投与のための指示書を含むことを特徴とする実施態様18記載のキット。
20.実質的に純粋なココア抽出物または合成ココアポリフェノール(群)を含むことを特徴とする凍結乾燥された抗新形成性組成物。
21.前記組成物が実質的に純粋なココア抽出物を含むことを特徴とする実施態様20記載の凍結乾燥された抗新形成性組成物。
22.実施態様1記載の実質的に純粋なココア抽出物または合成ココアポリフェノール(群)を含む抗酸化性または保存性組成物。
23.実施態様1記載の実質的に純粋なココア抽出物または合成ココアポリフェノール(群)を含むトポイソメラーゼ阻害性組成物。
24.品物を実施態様22記載の組成物と接触させることから成る、所望の品物を保存または酸化から防護するための方法。
25.前記品物が食品であることを特徴とする実施態様24記載の方法。
26.実施態様23記載の組成物とトポイソメラーゼを接触させることから成るトポイソメラーゼを阻害するための方法。
【参考文献】
【0101】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリフェノール、好ましくはプロシアニジンにより質的に向上されたポリフェノール等のココア抽出物に関する。本発明はまた、そのような抽出物の調製方法、並びにそれらの、例えば抗新形成剤および抗酸化剤等としての使用に関する。
【0002】
文献が、クレームの前の、明細書の終りの参考文献の部分に示されている各々の文献の完全な引用とともに、この開示で引用されている。これらの文献は、本発明の分野に関係するものであり;そして、ここに引用されている各々の文献は、ここにおいて参考文献として取り込まれている。
【背景技術】
【0003】
ポリフェノールは、多様な植物中で生産される信じられないほど多様化した化合物の群であり(非特許文献1)、そのうちのいくつかは食物連鎖に組み込まれている。いくつかの場合において、それらは人間の制限食のために重要な化合物のクラスを代表している。いくつかのポリフェノールは非栄養性であると考えられているが、これらの化合物への関心は、それらの潜在的な健康への有利な効果によるものである。例えば、ケルセチン(フラボノイドの1つ)は、実験動物での研究において抗ガン原性活性を有することが示された(非特許文献2および3)。(+)−カテキンおよび(−)−エピカテキン(フラバン−3−オール)は、白血病ウイルス逆転写酵素活性を阻害する(非特許文献4)。ノボタニン(Nobotanin)(加水分解可能なオリゴマー性タンニン)もまた、抗腫瘍性活性を有することが示されている(非特許文献5)。日本の茶を生産している地域においては胃ガンの死亡率が顕著に低いということを静力学的な報告が示している。エピガロカテキン没食子酸は緑茶中の薬理学的活性物質であると報告されている(非特許文献5)。エラグ酸もまた抗ガン原性活性を多様な動物細胞腫瘍モデルで有することが示された(非特許文献6)。最近、プロアントシアニジンオリゴマーの抗変異剤としての利用がキッコーマンコーポレーションによって特許にされた。勿論、食品中のフェノール性化合物の範囲およびその実験動物モデルにおける腫瘍発展の調節は、最近の、202nd National Meeting of The American Chemical Societyで発表された(Ho et al.,1992;Huang et al.,1992)。
【0004】
しかしながら、これらの報告のうち、ココア抽出物、そのような抽出物の調製方法、またはココア抽出物の抗新形成剤としての利用を教示または示唆するものはなかった。
【0005】
発酵されていないココア豆はかなりのレベルのポリフェノールを含有するので、本発明者等は、同様な活性および利用が、ココア内の化合物等のココア抽出物に関してもあり得、そのような化合物をココアから抽出し、抽出物の活性を検索することにより明らかにすることが可能であると考えた。National Cancer Instituteは、その大型天然生成物選択プログラムの一部として、多様なTheobromaおよびHerrania種を、抗ガン活性に関して検索した。いくつかのココア組織の抽出物において低レベルの活性が報告されたが、その研究は追求されなかった。このように、抗新形成または抗ガン分野において、ココアおよびその抽出物は有用であるとは考えられていなかった;即ち、抗新形成または抗ガン分野の教示は、当業者をココアおよびその抽出物をガン治療として用いることから遠ざけていた。数多くのココアポリフェノールの味覚開発への貢献を研究するための分析的手順が開発されているので(非特許文献7)、本発明者等は抗ガン検索のための試料を調製するために、抗新形成または抗ガン分野の知識とは違う、アナログ法を応用することを決めた。驚くべきことに、この分野の知識、例えばNational Cancer Instituteの検索、に反して、本発明者等はプロシアニジンを含むココアポリフェノール抽出物は、抗ガンまたは抗新形成剤として重要な用途を有していることを発見した。付加的には、発明者等はプロシアニジンを含むココア抽出物が抗酸化剤としての用途を有していることを示した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Ferreira, D. et al., Diversity of Structure and Function in Oligomeric Flavanoids, Tetrahedron, 48:10, 1743-1803 (1992)
【非特許文献2】Deschner, E. E, et al, Quercetin and Rutin as Inhibitors of Azoxymethanol-Induced Colonic Neoplasia, Carcinogenesis, 7, 1193-1196 (1991)
【非特許文献3】Kato, R., et al, Inhibition of 12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate Induced Tumor Promotion and Ornithine Decarboxylase Activity by Quercitin: Possible Involvement of Lipoxygenase Inhibition, Carcinogenesis, 4, 1301-1305 (1983)
【非特許文献4】Chu, S.-C., et al., Inhibitory Effects of Flavonoids on Maloney Murine Leukemia Virus Reverse Transcriptase Activity, J. of Natural Products, 55:2, 179-183 (1992)
【非特許文献5】Okuda, T., Molecular Structures and Pharmacological Activities of Polyphenols-Oligomeric Hydrolyzable Tannins and Others-Presented at the XVIth International Conference of the Group Polyphenols, Lisbon, Portugal, July 13-16, 1992
【非特許文献6】Boukharta, M., et al, Efficacy of Ellagitannins and Ellagic Acid as Cancer Chemopreventive Agents-Presented at the XVIth International Conference of the Group Polyphenols, Lisbon, Portugal, July 13-16, 1992
【非特許文献7】Clapperton, J., et al, Polyphenols and Cocoa Flavor-Presented at the XVIth International Conference of the Group Polyphenols, Lisbon, Portugal, July 13-16, 1992
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ココア抽出物を製造するための方法を提供することが本発明の目的である。
【0008】
ココア抽出物を提供することが本発明の別の目的である。
【0009】
抗酸化組成物を提供することが本発明の別の目的である。
【0010】
DNAトポイソメラーゼII酵素活性の阻害を示すことが本発明の別の目的である。
【0011】
腫瘍またはガンを治療するための方法を提供することが本発明のまた別の目的である。
【0012】
抗腫瘍、抗ガン、または抗新形成組成物を提供することが提供することが本発明のさらに別の目的である。
【0013】
抗腫瘍、抗ガン、または抗新形成組成物を製造するための方法を提供することが本発明の更なる目的である。
【0014】
そして、腫瘍またはガン治療において用いられるキットを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
驚くべきことに、ココア抽出物が抗腫瘍、抗ガン、または抗新形成活性を有すること;または、抗酸化組成物であること、またはDNAトポイソメラーゼII酵素活性を阻害することが発見された。従って、本発明は実質的に純粋なココア抽出物を提供する。抽出物は好ましくは、ココアプロシアニジン(群)で質的に向上されたポリフェノール(群)等で、(−)エピカテキン、プロシアニジンB−2、2から12、好ましくは2から5、または4から12のプロシアニジンオリゴマー、プロシアニジンB−5、プロシアニジンA−2およびプロシアニジンC−1から成る群から選択される少なくとも1つのココアプロシアニジンのポリフェノール群等のポリフェノール(群)を含んでいる。本発明はまた、抗腫瘍、抗ガン、または抗新形成または抗酸化またはDNAトポイソメラーゼII阻害剤組成物であって、実質的に純粋な、プロシアニジン(群)により質的に向上されたポリフェノール(群)等のココア抽出物または合成ポリフェノール(群)、および適当な担体から成るものを提供する。抽出物は好ましくはココアプロシアニジン(群)を含んでいる。ココア抽出物は好ましくは、ココア豆を粉末に還元し、粉末を脱脂し、そして粉末から活性化合物(群)を抽出することから成る工程によって得られる。
【0016】
本発明はまた、実質的に純粋なココア抽出物もしくは合成ココアポリフェノール(群)またはプロシアニジン(群)、および、好適な担体から成る抗新形成性組成物を患者に有効量投与することから成る、抗腫瘍、抗ガン、または抗新形成剤または抗酸化またはDNAトポイソメラーゼII阻害剤で治療の必要のある患者を治療する方法を包括する。ココア抽出物は、ココアプロシアニジン(群)であってもよい;そして、好ましくは、ココア豆を粉末に還元し、粉末を脱脂し、そして粉末から活性化合物を抽出することから成る工程によって得られる。
【0017】
付加的には、本発明は、実質的に純粋なココア抽出物もしくは合成ココアポリフェノール(群)またはプロシアニジン(群)、および、抽出物または合成ポリフェノール(群)またはプロシアニジン(群)との混合物に好適な担体から成る抗新形成性組成物を患者に有効量投与することから成る、抗腫瘍、抗ガン、または抗新形成剤または抗酸化またはDNAトポイソメラーゼII阻害剤で治療の必要のある患者を治療するためのキットを提供する。
【0018】
これらのおよび他の目的および態様が開示されているか、または以下の詳細な説明から明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、粗ココアプロシアニジンの画分からの代表的なゲル濾過クロマトグラムを示す。
【図2A】図2Aは、発酵されていないココアから抽出されたココアプロシアニジンの分離(溶出特性)を示している代表的な逆相クロマトグラムを示している。
【図2B】図2Bは、発酵されていないココアから抽出されたココアプロシアニジンの分離(溶出特性)を示している代表的な順相クロマトグラムを示している。
【図3】図3は、いくつかの代表的なプロシアニジンの構造を示している。
【図4A】抗ガンおよび抗新形成活性に関する検索に用いた5つの画分の、代表的なHPLCクロマトグラムを示す。
【図4B】抗ガンおよび抗新形成活性に関する検索に用いた5つの画分の、代表的なHPLCクロマトグラムを示す。
【図4C】抗ガンおよび抗新形成活性に関する検索に用いた5つの画分の、代表的なHPLCクロマトグラムを示す。
【図4D】抗ガンおよび抗新形成活性に関する検索に用いた5つの画分の、代表的なHPLCクロマトグラムを示す。
【図4E】抗ガンおよび抗新形成活性に関する検索に用いた5つの画分の、代表的なHPLCクロマトグラムを示す。
【図5】図5は、ココア抽出物とガン細胞ACHNとの間の、投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);M&M2 F4/92
【図6A】図6Aは、ココア抽出物とガン細胞PC−3との間の、投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);M&MA+E U12P1。
【図6B】図6Bは、ココア抽出物とガン細胞PC−3との間の、投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);M&MB+E Y192P1。
【図6C】図6Cは、ココア抽出物とガン細胞PC−3との間の、投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);M&MC+E U12P2。
【図6D】図6Dは、ココア抽出物とガン細胞PC−3との間の、投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);M&MD+E U12P2。
【図7A】図7Aは、ココアプロシアニジン画分AとPC−3細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1A 0212P3。
【図7B】図7Bは、ココアプロシアニジン画分BとPC−3細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1B 0162P1。
【図7C】図7Cは、ココアプロシアニジン画分CとPC−3細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 C 0122P3。
【図7D】図7Dは、ココアプロシアニジン画分DとPC−3細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 D 0122P3。
【図7E】図7Eまでは、ココアプロシアニジン画分EとPC−3細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 E 0292P8。
【図7F】図7Fは、ココアプロシアニジン画分A+BとPC−3細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 A/B 0292P6。
【図7G】図7Gは、ココアプロシアニジン画分A+EとPC−3細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 A/E 0292P6。
【図7H】図7Hは、ココアプロシアニジン画分A+DとPC−3細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 A/D 0292P6。
【図8A】図8Aは、ココアプロシアニジン画分AとKB鼻咽頭/Hela細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1A 092K3。
【図8B】図8Bは、ココアプロシアニジン画分BとKB鼻咽頭/Hela細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 B 0212K5。
【図8C】図8Cは、ココアプロシアニジン画分CとKB鼻咽頭/Hela細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 C 016K3。
【図8D】図8Dは、ココアプロシアニジン画分DとKB鼻咽頭/Hela細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 D 0212K5。
【図8E】図8Eは、ココアプロシアニジン画分EとKB鼻咽頭/Hela細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 E 0292K5。
【図8F】図8Fは、ココアプロシアニジン画分A+BとKB鼻咽頭/Hela細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 A/B 0292K3。
【図8G】図8Gは、ココアプロシアニジン画分B+EとKB鼻咽頭/Hela細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 B/E 0292K4。
【図8H】図8Hは、ココアプロシアニジン画分D+EとKB鼻咽頭/Hela細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 D/E 0292K5。
【図9A】図9Aは、ココアプロシアニジン画分AとHCT−116細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml)。
【図9B】図9Bは、ココアプロシアニジン画分BとHCT−116細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml)。
【図9C】図9Bは、ココアプロシアニジン画分CとHCT−116細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1C 0192H5。
【図9D】図9Dは、ココアプロシアニジン画分DとHCT−116細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);D 0192H5。
【図9E】図9Eは、ココアプロシアニジン画分EとHCT−116細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);E 0192H5。
【図9F】図9Fは、ココアプロシアニジン画分B+DとHCT−116細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 B&D 0262H2。
【図9G】図9Gは、ココアプロシアニジン画分A+EとHCT−116細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);A/E 0262H3。
【図9H】図9Hは、ココアプロシアニジン画分D+EとHCT−116細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 D&E 0262H1。
【図10A】図10Aは、ココアプロシアニジン画分AとACHN腎臓細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 A 092A5。
【図10B】図10Bは、ココアプロシアニジン画分BとACHN腎臓細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 B 092A5。
【図10C】図10Cは、ココアプロシアニジン画分CとACHN腎臓細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 C 0192A7。
【図10D】図10Dは、ココアプロシアニジン画分DとACHN腎臓細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 D 0192A7。
【図10E】図10Eは、ココアプロシアニジン画分EとACHN腎臓細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);M&M1 E 0192A7。
【図10F】図10Fは、ココアプロシアニジン画分B+DとACHN腎臓細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 B&D 0302A6。
【図10G】図10Gは、ココアプロシアニジン画分C+DとACHN腎臓細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 C&D 0302A6。
【図10H】図10Hは、ココアプロシアニジン画分A+EとACHN腎臓細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 A&E 0262A6。
【図11A】図11Aは、ココアプロシアニジン画分AとA−549肺細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 A 019258。
【図11B】図11Bは、ココアプロシアニジン画分BとA−549肺細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 B 09256。
【図11C】図11Cは、ココアプロシアニジン画分CとA−549肺細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 C 019259。
【図11D】図11Dは、ココアプロシアニジン画分DとA−549肺細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 D 019258。
【図11E】図11Eは、ココアプロシアニジン画分EとA−549肺細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 E 019258。
【図11F】図11Fは、ココアプロシアニジン画分A+EとA−549肺細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);A/E 026254。
【図11G】図11Gは、ココアプロシアニジン画分B+EとA−549肺細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 B&E 030255。
【図11H】図11Hは、ココアプロシアニジン画分C+EとA−549肺細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 C&E N6255。
【図12A】図12Aは、ココアプロシアニジン画分AとSK−5メラノーマ細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 A 0212S4。
【図12B】図12Bは、ココアプロシアニジン画分BとSK−5メラノーマ細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 B 0212S4。
【図12C】図12Cは、ココアプロシアニジン画分CとSK−5メラノーマ細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 C 0212S4。
【図12D】図12Dは、ココアプロシアニジン画分DとSK−5メラノーマ細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 D 0212S4。
【図12E】図12Eは、ココアプロシアニジン画分EとSK−5メラノーマ細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 E N32S1。
【図12F】図12Fは、ココアプロシアニジン画分B+CとSK−5メラノーマ細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 B&C N32S2。
【図12G】図12Gは、ココアプロシアニジン画分C+EとSK−5メラノーマ細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 C&D N32S3。
【図12H】図12Hは、ココアプロシアニジン画分D+EとSK−5メラノーマ細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 D&E N32S3。
【図13A】図13Aは、ココアプロシアニジン画分AとMCF−7胸部細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 A N22M4。
【図13B】図13Bは、ココアプロシアニジン画分BとMCF−7胸部細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 B N22M4。
【図13C】図13Cは、ココアプロシアニジン画分CとMCF−7胸部細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 C N22M4。
【図13D】図13Dは、ココアプロシアニジン画分DとMCF−7胸部細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 D N22M3。
【図13E】図13Eは、ココアプロシアニジン画分EとMCF−7胸部細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 E 0302M2。
【図13F】図13Fは、ココアプロシアニジン画分B+CとMCF−7胸部細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 B/C 0302M4。
【図13G】図13Gは、ココアプロシアニジン画分C+EとMCF−7胸部細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 C&E N22M3。
【図13H】図13Hは、ココアプロシアニジン画分D+EとMCF−7胸部細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(部分的生存vs量、μg/ml);MM−1 D&E N22M3。
【図14】図14は、ココアプロシアニジン(特に画分D)とCCRF−CEM T細胞白血病細胞系統との間の、典型的な投与量−反応の関係を示す(細胞/mlvs増殖日数、白丸は対照、黒丸は125μg画分D、白逆三角形は250μg画分D、黒逆三角形は500μg画分D)。
【図15A】図15Aは、画分D+Eで処理されたMCF−7 p168胸部ガン細胞に対するXTTおよびクリスタルバイオレット細胞毒性アッセイの比較を示している(白丸はXTT、黒丸はクリスタルバイオレット)。
【図15B】図15Bは、UIT−1ココア遺伝子型から得られた多様なレベルの粗ポリフェノールで処理されたMDA MB231胸部細胞系統から得られた典型的な投与量反応曲線を示している(吸収度(540nm)vs日数;白丸は対照、黒丸はビヒクル、白逆三角形は250μg/ml、黒逆三角形は100μg/ml、白四角は10μg/ml;吸光度2.0はプレートリーダーの限界であり、必ずしも細胞数をあらわすものではない)。
【図15C】図15Cは、UIT−1ココア遺伝子型から得られた多様なレベルの粗ポリフェノールで処理されたPC−3前立腺ガン細胞系統から得られた典型的な投与量反応曲線を示している(吸収度(540nm)vs日数;白丸は対照、黒丸はビヒクル、白逆三角形は250μg/ml、黒逆三角形は100μg/ml、白四角は10μg/ml)。
【図15D】図15Dは、UIT−1ココア遺伝子型から得られた多様なレベルの粗ポリフェノールで処理されたMCF−7 p168胸部ガン細胞系統から得られた典型的な投与量反応曲線を示している(吸収度(540nm)vs日数;白丸は対照、黒丸はビヒクル、白逆三角形は250μg/ml、黒逆三角形は100μg/ml、白四角は10μg/ml、黒四角は1μg/ml;吸光度2.0はプレートリーダーの限界であり、必ずしも細胞数をあらわすものではない)。
【図15E】図15Eは、UIT−1ココア遺伝子型から得られた多様なレベルの粗ポリフェノールで処理されたHela子宮ガン細胞系統から得られた典型的な投与量反応曲線を示している(吸収度(540nm)vs日数;白丸は対照、黒丸はビヒクル、白逆三角形は250μg/ml、黒逆三角形は100μg/ml、白四角は10μg/ml;吸光度2.0はプレートリーダーの限界であり、必ずしも細胞数をあらわすものではない)。
【図15F】図15Fは、異なったココアポリフェノール画分で処理されたHela子宮ガン細胞系統に対する細胞毒性効果を示す(吸収度(540nm)vs日数;白丸は100μg/mlの画分A−E、黒丸は100μg/mlの画分A−C、白逆三角形は100μg/mlの画分D&E;吸光度2.0はプレートリーダーの限界であり、必ずしも細胞数をあらわすものではない)。
【図15G】図15Gは、100μl/mlでの、異なったココアポリフェノール画分で処理されたSKBR−3胸部ガン細胞系統に対する細胞毒性効果を示す(吸収度(540nm)vs日数;白丸は画分A−E、黒丸は画分A−C、白逆三角形は画分D&E。
【図15H】図15Hは、ココアプロシアニジン画分D+EとHela細胞との間の典型的な投与量反応曲線を示している(吸収度(540nm)vs日数;白丸は対照、黒丸は100μg/ml、白逆三角形は75μg/ml、黒逆三角形は50μg/ml、白四角は25μg/ml、黒四角は10μg/ml;吸光度2.0はプレートリーダーの限界であり、必ずしも細胞数をあらわすものではない)。
【図15I】図15Iは、ココアプロシアニジン画分D+EとSKBR−3細胞系統との間の典型的な投与量反応曲線を示している(吸収度(540nm)vs日数;白丸は対照、黒丸は100μg/ml、白逆三角形は75μg/ml、黒逆三角形は50μg/ml、白四角は25μg/ml、黒四角は10μg/ml)。
【図15J】図15Jは、軟寒天クローニングアッセイを用いた、ココアプロシアニジン画分D+EとHelaガン細胞との間の典型的な投与量反応関係を示している(棒グラフ;コロニー数vs対照、1、10、50、および100μg/ml)。
【図15K】図15Kは、異なるココア遺伝子型から得られた粗ポリフェノール抽出物で処理された場合のHela細胞の増殖阻害を示している(%対照vs濃度μg/ml;白丸はC−1、黒丸はC−2、白逆三角形はC−3、黒逆三角形はC−4、白四角はC−5、黒四角はC−6、白三角形はC−7、黒三角形はC−8;C−1=UF−12:園芸種=Criolloおよび記述はUF−12(ブラジル)ココアポリフェノール粗抽出物(脱カフェイン化/脱テオブロミン化);C−2=NA−33:園芸種=Forasteroおよび記述はNA−33(ブラジル)ココアポリフェノール粗抽出物(脱カフェイン化/脱テオブロミン化);C−3=EEG−48:園芸種=Forasteroおよび記述はEEG−48(ブラジル)ココアポリフェノール粗抽出物(脱カフェイン化/脱テオブロミン化);C−4=不明:園芸種=Forasteroおよび記述は不明(W.アフリカ)ココアポリフェノール粗抽出物(脱カフェイン化/脱テオブロミン化);C−5=UF−613:園芸種=Trinitarioおよび記述はUF−613(ブラジル)ココアポリフェノール粗抽出物(脱カフェイン化/脱テオブロミン化);C−6=ICS−100:園芸種=Trinitarioおよび記述はICS−100(ブラジル)ココアポリフェノール粗抽出物(脱カフェイン化/脱テオブロミン化);C−7=ICS−139:園芸種=Trinitarioおよび記述はICS−139(ブラジル)ココアポリフェノール粗抽出物(脱カフェイン化/脱テオブロミン化);C−8=UIT−1:園芸種=Trinitarioおよび記述はUIT−1(マレーシア)ココアポリフェノール粗抽出物(脱カフェイン化/脱テオブロミン化)。
【図15L】図15Lは、発酵されたココア豆および乾燥されたココア豆から得られた粗ポリフェノール抽出物で処理された場合のHela細胞の増殖の阻害を示す(完全な発酵段階および太陽での乾燥;%対照vs濃度μg/ml;白丸は0日画分、黒丸は1日画分、白逆三角形は2日画分、黒逆三角形は3日画分、白四角は4日画分、黒四角は9日画分)。
【図15M】図15Mは、酵素的に酸化されたココアプロシアニジンのHela細胞に対する影響を示す(ポリフェノールオキシダーゼ処理されたココアポリフェノールに対する投与量反応;%対照vs濃度μg/ml;黒四角は粗UIT−1(カフェインおよびテオブロミンとともに)、白丸は粗UIT−1(カフェインおよびテオブロミン無し)および黒丸は粗UIT−1(ポリフェノールオキシダーゼ分解された)。
【図15N】図15Nは、組み合わされたココアプロシアニジン画分DおよびEの、代表的な半調製逆相HPLC分離を示す。
【図15O】図15Oは、粗ココアポリフェノール抽出物の、代表的な半調製順相HPLC分離を示す。
【図16】図16は、ココアプロシアニジン抽出物および画分のランシマット(Rancimat)酸化曲線を、合成抗酸化剤BHAおよびBHTと比較して示している(任意の単位vs時間;破線およびクロス(+)はBHAおよびBHT;*はD−E;xは粗試料;白四角はA−C;および白ひし形は対照)。
【図17】図17は、キネトプラストDNAのトポイソメラーゼII触媒鎖分解の、ココアプロシアニジン画分による阻害を示している典型的なアガロースゲルである。(レーン1は、0.5μgのマーカー(M)モノマー長キネトプラストDNA環を含む;レーン2および20は、トポイソメラーゼIIとともに4%DMSO存在下であって、何れのココアプロシアニジンの不在下で保温されたキネトプラストDNAを含む。(対照−C);レーン3および4は、0.5および5.0μg/mlのココアプロシアニジン画分Aの存在下でトポイソメラーゼIIとともに保温されたキネトプラストDNAを含む;レーン5および6は、0.5および5.0μg/mlのココアプロシアニジン画分Bの存在下でトポイソメラーゼIIとともに保温されたキネトプラストDNAを含む;レーン7、8、9、13、14、および15は、0.05、0.5および5.0μg/mlのココアプロシアニジン画分Dの存在下でトポイソメラーゼIIとともに保温されたキネトプラストDNAの複製である;レーン10、11、12、16、17、および18は、0.05、0.5および5.0μg/mlのココアプロシアニジン画分Eの存在下でトポイソメラーゼIIとともに保温されたキネトプラストDNAの複製である;レーン19は、5.0μg/mlのココアプロシアニジン画分Eの存在下でトポイソメラーゼIIとともに保温されたキネトプラストDNAの複製である。
【図18】図18はココアプロシアニジン画分Dの、DNA修復能を有する、およびそれを欠失している細胞系統に対する投与量反応関係を示している(部分的生存vsμg/ml;左側はxrs−6DNA欠損修復細胞系統、MM−1 D D282X1;右側はBR1DNA修復可能細胞系統MM−1 D D282B1)。
【図19】図19は、ココアプロシアニジン画分D+Eで処理された場合の、アドリアマイシン耐性MCF−7細胞に対する投与量反応曲線を、MCF−7 p168親細胞系統と比較して示している(%対照vs濃度μg/ml;白丸はMCF−7 p168;黒丸はMCF−7 ADR)。
【図20】図20は、順相半調製HPLCにより調製された12の画分の、100μg/mlおよび25μg/mlのレベルで処理された場合の、Hela細胞に対する投与量反応効果を示している(棒グラフ、%対照vs対照および画分1−12)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上で議論したとおり、今、驚くべきことに、ココア抽出物が抗ガン、抗腫瘍、または抗新形成活性、抗酸化活性を示し、そしてDNAトポイソメラーゼII酵素を阻害することが発見された。抽出物は、一般的に、ココア豆を粉末に還元し、粉末を脱脂し、活性な化合物(群)を脱脂された粉末から抽出することにより調製される。粉末はココア豆およびパルプを凍結乾燥し、ココア豆およびパルプを脱パルプ化し、凍結乾燥されたココア豆を脱穀し、脱穀された豆を粉砕することによって調製されてもよい。活性な化合物(群)の抽出は溶媒抽出技術で可能である。抽出物は精製できる;例えば、ゲル濾過クロマトグラフィーによるかまたは調製的高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)技術によるか、またはこれらの技術の組合せによる。活性を有する抽出物は、何れかの特定の理論に必ず拘束されることを望まないが、プロシアニジン等のココアポリフェノール(群)であると同定された。これらのココアプロシアニジンは、重要な抗ガン、抗腫瘍、または抗新形成活性;抗酸化活性;を有し、そしてDNAトポイソメラーゼII酵素を阻害する。
【0021】
本発明のココアポリフェノールまたはプロシアニジンを含む抗ガン、抗腫瘍または抗新形成、または抗酸化またはDNAトポイソメラーゼII酵素阻害組成物は、薬学的分野の当業者によく知られた標準的な技術に従って調製可能である。そのような組成物は、そのような投与を要する患者に対して、医学分野の当業者に良く知られた技術により、年齢、性別、体重および特定の患者の状態、および投与経路等を考慮して、投与することができる。この組成物は、他の抗新形成、抗腫瘍または抗ガン剤または抗酸化剤またはDNAトポイソメラーゼII阻害剤および/または、抗新形成、抗腫瘍または抗ガン剤または抗酸化剤またはDNAトポイソメラーゼII阻害剤の副作用を減少または軽減する薬剤とともに、またはそれと連続的に、再び年齢、性別、体重および特定の患者の状態、および投与経路等を考慮して、投与することができる。
【0022】
本発明の組成物の例には、カプセル、錠剤、丸薬、およびその様なもの、並びに咀嚼可能な固体配合物であって、本発明が食用給源なのでそれにふさわしいもの(ココアまたはチョコレート味の固体組成物等);経口、経鼻孔、経肛門、経膣等の開口部用の液体調製物、懸濁物、シロップまたは内用液等の投与;および、非経口、皮下、皮内、筋内または滅菌懸濁物またはエマルジョン等の静脈内投与(注入可能投与等)が含まれる。しかしながら、組成物中の活性な成分は、血液流中に投与された場合に、血液タンパク質の沈殿により凝集を生じ得るようなタンパク質複合体であるかも知れない;そして、当業者はこのことを考慮すべきである。このような組成物においては、活性ココア抽出物は、好適な担体、希釈液または滅菌水、生理食塩水、グルコースまたはその様なもの等の賦形剤との混合物であってもよい。本発明の活性ココア抽出物は、例えば等圧水性食塩水バッファー中等の再配合のための、凍結乾燥の形状で提供されることもできる。
【0023】
さらに、本発明は、活性ココア抽出物が提供されているキットを包括する。キットは、適当な担体、希釈液または賦形剤を含む独立したコンテナを有していてもよい。キットはまた、付加的な抗ガン、抗腫瘍または抗新形成剤、または抗酸化剤、またはDNAトポイソメラーゼII酵素阻害剤および/または、共にまたは続けて投与するための、抗新形成、抗腫瘍または抗ガン剤または抗酸化剤またはDNAトポイソメラーゼII酵素阻害剤の副作用を減少または軽減する薬剤を含んでいてもよい。付加的な薬剤(群)は別個のコンテナ(群)中、または活性ココア抽出物との混合物として提供されてもよい。付加的には、キットは、内容物の混合または混合および/または投与のための指示書を含んでもよい。
【0024】
さらには、本発明は、好ましくはココアプロシアニジンを含むココア抽出物に関して記載されているが、この開示から熟練した有機化学者は、活性化合物を得るための合成経路を理解し想像するであろう。従って、本発明は、合成ココアポリフェノールまたはプロシアニジンまたはその派生体であって、グリコシド、没食子酸、エステル等およびその様なものを腹部がこれに限定されないものをも包括する。
【0025】
以下の限定的ではない例は説明のみのために提供されており、本発明の限定と考えられるべきではなく、本発明の精神またはその範囲から離れることなく、多くの明白な変化が可能である。
【実施例】
【0026】
実施例1: ココア給源および調製方法
3種類の認識されたココアの園芸種を代表するいくつかのTheobroma cacao遺伝子型(Enriquez、1967;Engel、1981)を、世界の3つの主要なココア生産起源より得た。この研究に用いられたこれらの遺伝子型のリストを表1に示す。収穫されたココアさやを開き、パルプを有する豆を凍結乾燥用に取り除いた。パルプを凍結乾燥された塊から手作業で除去し、豆を以下のように分析した。発酵されていない、凍結乾燥されたココア豆を最初に手作業で脱穀し、TEKMAR Millで細かい粉末塊へと粉砕した。その結果生じた塊を、続いて、再蒸留ヘキサンを溶媒として用いたSoxhlet抽出で一晩脱脂した。残存溶媒を脱脂された塊から常温で真空により取り除いた。
【表1】
【0027】
実施例2: プロシアニジン抽出の手順
A.方法1
プロシアニジンは、脱脂され、発酵されていない、凍結乾燥された実施例1のココア豆から、JalalおよびCollin(1977)によって記述された方法の改変型を用いて抽出した。プロシアニジンは、50gの脱脂されたココア塊のバッチから、400mlの70%アセトン/脱塩水で2回、続いて400mlの70%メタノール/脱塩水により抽出した。抽出物を貯蔵し、溶媒を45℃で部分的に真空に保たれたロータリーエバポレーターにより蒸留して除去した。その結果生じた水相を、脱塩水で1lに希釈し、400ml CHCl3 で2回抽出した。この溶媒相は廃棄した。水相を続いて、500ml酢酸エチルで4回抽出した。生じたエマルジョンの何れをも、Sorvall RC28S遠心機での、2000g、30分間の10℃での遠心により破壊した。統合された酢酸エチル抽出物に、100−200mlの脱塩水を添加した。溶媒を45℃で部分的に真空に保たれたロータリーエバポレーターにより蒸留して除去した。その結果生じた水相を液体窒素中で凍結し、続いてLABCONCO凍結乾燥システム上で凍結乾燥した。異なったココア遺伝子型より得られた粗プロシアニジンの収量を表2にリストした。
【表2】
【0028】
B.方法2
別の選択としては、プロシアニジンは、脱脂された、発酵されていない、実施例1の凍結乾燥ココア豆から70%水性アセトンにより抽出される。10gの脱脂原料を100mlの溶媒で5−10分間スラリー化した。スラリーを4℃で3000gで15分間遠心し、上清をグラスウールに通した。濾過したものを部分的な真空の下で蒸留し、その結果生じた水相を液体窒素中で凍結し、続いてLABCONCO凍結乾燥システム上で凍結乾燥した。粗プロシアニジンの収量は15−20%の範囲にあった。
【0029】
何れかの特定の理論に拘束されることを望むものではないが、粗収量における違いは、異なった遺伝子型、地理的起源、園芸的種および調製方法によって生じた変化を反映していると信じられている。
【0030】
実施例3: ココアプロシアニジンの部分精製
A.ゲル濾過クロマトグラフィー
実施例2により得られたプロシアニジンをセファデックスLH−20(28 x 2.5cm)での液体クロマトグラフィーにより部分的に精製した。分離を、脱塩水からメタノールへの段階グラジエントにより支援した。初期グラジエント組成物は脱塩水中の15%メタノールで開始され、30分毎に脱塩水中の25%メタノール、脱塩水中の35%メタノール、脱塩水中の70%メタノール、そして最終的には100%メタノールと段階的に続いて行った。キサンチンアルカロイド(カフェインおよびテオブロミン)の溶出に続く溶出物は単一の画分として集められた。この画分は、キサンチンアルカロイドを含有していない副画分であって、MM2AからMM2Eと命名された5つの副画分を得るために提出されたものを得た。各々の副画分から、溶媒を45℃でロータリーエバポレーターを部分真空下で用いて除去した。その結果生じた水相を液体窒素中で凍結させ、LABCONCO凍結乾燥システムで一晩凍結乾燥した。画分をしめす代表的なゲル濾過クロマトグラフィーを図1に示す。この方法により、およそ100mgの材料が副画分化された。
【0031】
図1:粗プロシアニジンのセファデックスLH−20上でのゲル濾過クロマトグラフ
クロマトグラフ条件: カラム;28 x 2.5cm セファデックスLH−20、移動相:メタノール/水段階グラジエント、15:85、25:75、35:65、70:30、100:0、1/2時間間隔で段階化した、流速;1.5ml/分、検出器;UV@λ1=254nmおよびλ2=365nm、チャート速度0.5mm/分、カラム充填;120mg。
【0032】
B.半調製的高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)
方法1:逆相分離
実施例2および/または3Aのプロシアニジンは半調製的HPLCによって部分精製された。多様な波長の検出器を備えたヒューレットパッカード1050HPLC、1ml注入ループを有するRheodyne7010注入バルブを、ファルマシアFRAC−100フラクションコレクターと共に組み立てた。分離は、Phenomenex 10μ ODS Ultracarb(60 x 10mm)ガードカラムと連結されたPhenomenex Ultracarb 10μ ODSカラム(250 x 22.5mm)上でもたらされた。移動相組成物は、A=水;B=以下の直線的グラジエント条件で用いられたメタノール;[時間、%A];(0、85)、(60、50)、(90、0)、および(110、0)、流速5ml/分。
【0033】
画分D+E中に存在するプロシアニジンの分離のための代表的な半調製的HPLCトレースを図15Nに示す。個々のピークおよび選択クロマトグラフ領域を、時間を決めた間隔または手作業でフラクションコレクターによって、更なる精製およびそれに続く評価のために収集した。注入充填量は、物質25−100mgの範囲にあった。
【0034】
方法2.順相分離
実施例2および/または3Aで得られたプロシアニジン抽出物を、半調製的HPLCにより部分精製した。ヒューレットパッカード1050HPLCシステム、254nmでのミリポアウォーターモデル480LC検出器セットを、ピークモードにセットしたファルマシアFrac−100フラクションコレクターとともに組み立てた。分離は、Supelco 5μ Supelguard LC−Si ガードカラム(20 x 4.6mm)と連結されたSupelco 5μ Supelcosil LC−Siカラム(250 x 10mm)上でもたらされた。プロシアニジンは以下の条件下での直線的グラジエントで溶出した:(時間、%A、%B);(0、82、14)、(30、67.6、28.4)、(60、46、50)、(65、10、86)、(70、10、86)続いて10分間再び平衡化した。移動相組成物はA=ジクロロメタン;B=メタノール;およびC=酢酸:水(1:1)。流速3ml/分を用いた。成分を254nmのUVで検出し、Kipp & Zonan BD41記録器で記録した。注入量は、0.25mlの70%水性アセトン中に溶解された10mgのプロシアニジンの、100−250μlの範囲であった。代表的な半調製的HPLCトレースを図15 Oに示す。個々のピークまたは選択されたクロマトグラフ領域を、時間を決めた間隔で、または手作業でフラクションコレクターにより、更なる精製およびそれに続く評価のために収集した。
【0035】
HPLC条件: 250 x 10mm Supelco Supelcosil LC−Si(5μm)半調製的カラム
20 x 4.6mm Supelco Supelcosil LC−Si(5μm)ガードカラム
検出器: Waters LC 分光光度計 モデル480@254nm
流速: 3ml/分
カラム温度: 室温
注入: 250μlの70%水性アセトン抽出物:
【0036】
得られた画分は以下のとおり:
【0037】
実施例4: プロシアニジン抽出物の分析的HPLC分析
方法1: 逆相分離
実施例3により得られたプロシアニジン抽出物を、0.45μフィルターで濾過し、ダイオード配列検出器をおよびHPモデル1046Aプログラム可能蛍光検出器備えたヒューレットパッカード10903次HPLCシステムにより分析した。分離は、45℃で、ヒューレットパッカード 5μ Hypersil ODSカラム(200 x 2.1mm)上でもたらされた。フラバノールおよびプロシアニジンを、60%のBからAへの直線的グラジエントにより溶出し、続いてカラムをBで流速0.3ml/分で洗浄した。移動相組成物は、B=メタノール中の0.5%酢酸で、A=脱塩水中の0.5%酢酸である。AおよびB移動相の酢酸レベルは2%まで増加してもよい。化合物は蛍光によって検出され、λex=276nm、でλem=316nmであった。(+)−カテキンおよび(−)−エピカテキンの濃度は標準参照溶液と関連して決定された。プロシアニジンレベルを(−)−エピカテキンに対する反応因子を用いて評価した。多様な成分の分離を示す代表的なHPLCクロマトグラムは、1つのココア遺伝子型について図2Aに示した。同様のHPLC特性が他のココア遺伝子型についても見られた。
【0038】
HPLC条件: カラム: 200 x 2.1mm ヒューレットパッカード Hypersil ODS(5μ)
ガードカラム:20 x 2.1mmヒューレットパッカード Hypersil ODS(5μ)
検出器: ダイオード配列@280nm 蛍光λex=276nm;λem=316nm
流速: 0.3ml/分
カラム温度: 45℃
【0039】
方法2: 順相分離
実施例2および/または3により得られたプロシアニジン抽出物を、0.45μフィルターで濾過し、ダイオード配列検出器をおよびHPモデル1046Aプログラム可能蛍光検出器備えたヒューレットパッカード1090シリーズII HPLCシステムにより分析した。分離は、37℃で、Supelco Superguard LC−Si 5μ ガードカラム(20 x 4.6mm)と連結された5μ Phenomenex Lichrospher Silica 100カラム(250 x 3.2mm)によりもたらされた。プロシアニジンは以下の条件での直線状グラジエントにより溶出した:(時間、A%、B%);(0、82、14)、(30、67.6、28.4)、(60、46、50)、(65、10、86)、(70、10、86)、続いて8分間再び平衡化した。移動相組成物は、A=ジクロロメタン、B=メタノール、およびC=容量比で1:1の酢酸:水であった。流速は0.5mlであった。成分を、蛍光によりλex=276nmおよびλem=316nmで、または280nmのUVにより検出した。多様な成分の分離を示す代表的なHPLCクロマトグラムは、1つのココア遺伝子型について図2Bに示した。同様のHPLC特性が他のココア遺伝子型についても見られた。
【0040】
HPLC条件: 250 x 3.2mm Phenomenex Lichrospher Silica 100カラム(5μ) 20 x 4.6mm Supelco Supelguard LC−Si(5μ) ガードカラム
検出器: フォトダイオード配列@280nm
蛍光λex=276nm;λem=316nm
流速: 0.5ml/分
カラム温度: 37℃
【0041】
実施例5: プロシアニジンの同定
プロシアニジンを、セファデックスLH−20(28 x 2.5cm)カラム上での液体クロマトグラフィーで精製し、続いて、10μ μBondapak C18(100 x 8mm)カラムを用いた半調製的HPLCまたは5μ Supelcosil LC−Si(250 x 10mm)カラムを用いた半調製的HPLCを行った。
【0042】
特に精製された単離物は、高速原子衝撃質量分析器(FAB−MS)により、VG ZAB−T高解像度MSシステム上で、液体2次イオン質量分析器(LSIMS)技術を陽および陰イオンモードで用いて分析した。セシウムイオン銃をイオン化源として30kVで用い、「Magic Bullet Matrix」(1:1 ジチオスレイトール/ジチオエリスリトール)をプロトンドナーとして用いた。
【0043】
これらの画分のLSIMSによる分析的調査により、表3に示されている多くのフラバン−3−オールオリゴマーの存在が明らかとなった。
【表3】
【0044】
主要な質量断片イオンは、陽および陰イオンの両方のプロシアニジンのFAB−MS分析について以前に報告された結果と一致していた(Self et al.,1986およびPorter et al.,1991)。m/z 577(M+H)+に相当するイオンおよびそのm/z 599(M+Na)+でのナトリウム内転は、単離物中に二重結合したプロシアニジンダイマーが存在することを示唆していた。より高度なオリゴマーは、それらのプロトン化分子イオン(M+Na)+よりも、より多くのナトリウム内転(M+Na)+を形成しがちであることに注意すると興味深い。プロシアニジン異性体B−2、B−5およびC−1は、試験的にRevilla et al.(1991)、Self et al.(1986)およびPorter et al.(1991)によって報告された結果に基づいて同定した。オクタマーおよびデカマーの両方までのプロシアニジンを、部分精製画分中にFAB−MSによって確認した。付加的に、ドデカマーまでのプロシアニジンの証拠が、順相HPLC分析から観察された(図2Bを参照)。何れの特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、ドデカマーは抽出および精製計画に用いられた溶媒中での溶解性の限界であると信じられている。表4は、キサンチンアルカロイドを含まない単離物中に見られたプロシアニジンの、逆相HPLC分析に基づいた相対濃度を列挙している。表5は、順相HPLC分析に基づいたプロシアニジンの相対濃度を列挙している。
【表4】
【表5】
【0045】
図3は、いくつかのプロシアニジン構造を示し、図4A−4Eは、以下の抗ガンまたは抗新形成活性のスクリーニングで用いられた5つの画分の、代表的なHPLCクロマトグラムを示している。図4A−4EのためのHPLC条件は以下のとおりである:
HPLC条件: HPモデル1046Aプログラム可能蛍光検出器を備えたヒューレットパッカード10903次HPLCシステム。
【0046】
カラム: ヒューレットパッカード 5μ Hypersil ODSカラム(200 x 2.1mm) 60%のBからAへの直線的グラジエント、流速0.3ml/分 B=メタノール中の0.5%酢酸、A=脱塩水中の0.5%酢酸、λex=280nm、λem=316nm。
【0047】
図15 Oは、抗ガンまたは抗新形成活性のスクリーニングで用いられた付加的な12の画分の、代表的な半調製的HPLCクロマトグラムを示している(HPLC条件は上記と同じ)。
【0048】
実施例6 ココア抽出物の抗ガン、抗腫瘍、または抗新形成活性
元々はMosmann(1983)により開発された、MTT(3−[4、5−ジメチルチアゾール−2−イル]−2、5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)−マイクロタイタープレートテトラゾリウム細胞毒性アッセイを、実施例5の試験試料の探索に用いた。試験試料、標準試料(cisplatinおよびchlorambucil)およびMTT試薬を100%DMSO(ジメチルスルホキシド)に濃度10mg/mlで溶解させた。連続的希釈物をストック溶液から調製した。試験試料の場合、希釈は0.01から100μgの範囲で0.5%DMSO中に調製された。
【0049】
全てのヒト腫瘍細胞系統をアメリカンタイプカルチャーコレクションから入手した。細胞を、10%胎児ウシ血清、100単位/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンおよび240単位/mlのナイスタチンを含むアルファMEM中で単層として増殖させた。細胞は加湿、5%CO2 雰囲気中で37℃で培養した。
【0050】
トリプシン化の後で、細胞を計数し50 x 105 細胞/mlの濃度に調製した(ガン細胞系統によって異なっていた)。200μlの細胞懸濁液をウェルに4列の96ウェルマイクロタイタープレートに注入した。細胞が4時間取付可能にされた後、2μlのDMSO含有試験試料溶液を、四重に用意したウェルに添加した。初期投与量反応を見つける実験で、試験試料希釈の規模の桁を用いたものを、試験する投与量の範囲を決定するために行った。ウェルの540nmでの吸光を続いてBIO RAD MP450プレートリーダー上で測定した。四重に用意された、試験試料で処理されたウェルの吸光度の平均を対照と比較し、その結果を対照の吸光度のパーセンテージ±標準偏差で表した。MTTの紫のホルマザン生成物への還元は、ウェル中で生きている細胞数と直線的に関連している。このように、還元生成物の吸光度を測定することにより、所定の試験試料投与量における細胞生存のパーセントの定量を行うことができる。対照ウェルは終濃度で1%のDMSOを含んでいた。
【0051】
試料の内の2つは、最初にこの手順により試験した。試料MM1はココアプロシアニジンの非常に粗な単離物を代表し、かなりの量のカフェインとテオブロミンを含有していた。試料MM2はゲル濾過クロマトグラフィーによって部分精製されたココアプロシアニジン単離物を代表していた。MM2中にはカフェインとテオブロミンは存在しなかった。両方の試料は、以下のガン細胞系統について前述の手順を用いて活性を検索した。
【0052】
HCT116結腸ガン
ACHN腎臓アデノカルシノーマ
SK−5メラノーマ
A498腎臓アデノカルシノーマ
MCF−7胸部ガン
PC−3前立腺ガン
CAPAN−2膵臓ガン
調べられたガン細胞系統の何れにおいても、MM1に関しては活性は僅かに見られるかまたは全く見られなかった。MM2は、HCT−116、PC−3、およびACHNガン細胞系統に対して活性を有することが判明した。しかしながら、MM1およびMM2の両方は、MMTと、生存細胞数の減少を反映する吸光度の減少を弱めるように干渉することが判明した。この干渉はまた大きな誤差の障害にも貢献しているが、それは、プレートの周辺にそったウェルの内部で化学反応がより迅速に進行するように見えるためである。これらの効果の典型例を、図5に示した。試験材料の高い濃度において、示された高い生存レベルと比較して生存の大きな減少を見ることが期待できる。しかしながら、顕微鏡観察によって、MMT干渉効果にもかかわらず、細胞毒性効果が生じていることが判明した。例えば、MM2のACHN細胞系統に対する効果の、0.5μl/mlのIC50値が、この方式において得られた。
【0053】
これらの予備的な結果から、本発明者等の見解では、MTTの干渉を排除するためにアッセイ手法の補正が必要であった。これは以下のようにして実現した。加湿、5%CO2 雰囲気において37℃で18時間プレートを保温した後、培地を注意深く吸引し、新鮮アルファ−MEM培地で置換した。この培地をアッセイの3日目にウェルから再び吸引し、新たに調製した100μlのMcCoy培地で置換した。PBS(リン酸緩衝食塩水)中の5mg/mlのMTTストック溶液を11μl、続いて各々のプレートのウェルに添加した。加湿、5%CO2 雰囲気において37℃で4時間保温した後、イソプロパノール中の0.04N HClを100μl、プレートの全てのウェルに添加し、続いて混合し、何れかの生存細胞により生成されたホルマザンを可溶化させた。付加的には、活性を有している特定の成分を決定するために、プロシアニジンを副画分化することが決定された
前述の副画分化の手順を更なる検索のための試料調製のために用いた。図1に示した範囲および図4A−4Eの成分(群)の配分を代表する5つの画分を調製した。試料は、これらの分析的特徴およびカフェインおよびテオブロミンの不在を表示するため、MM2AからMM2Eとコード化した。
【0054】
各々の画分を、独立にHCT−116、PC−3およびACHNガン細胞系統について検索した。その結果は、活性は何れかの特定の画分に集中してはいないことを示していた。この型の結果は異常ではないと考えられたが、それは「活性な」天然生産物単離物中の成分は相乗効果的に振る舞うことがありえるからである。ココアプロシアニジン単離物(MM2)の場合は、20以上の検出可能な成分が単離物に含まれている。独立した成分(群)に活性が関連しているというよりは、異なった画分中に存在する成分の組合せに活性が関連している可能性があることが考えられた。
【0055】
これらの結果に基づき、画分を組み合わせて同じガン細胞系統についてアッセイを繰り返すことを決定した。いくつかの画分の組合せがPC−3ガン細胞系統に対して細胞毒性を生じさせた。特に、MM2AおよびMM2Eの組合せに対するそれぞれ40μg/mlの、およびMM2CおよびMM2Eの組合せに対するそれぞれ20μg/mlのIC50値が得られた。活性はHCT−116およびACHN細胞系統に対しても報告されたが、前回のように、MTT指示薬の干渉により精密な観察は不可能だった。複数回の実験をくり返しHCT−116およびACHN系統上で行い、データを改善した。しかしながら、これらの結果は細菌汚染および試験試料材料の疲弊により明確なものではない。図6A−6Dはココア抽出物とPC−3ガン細胞との間の投与量反応関係を示すものである。
【0056】
しかしながら、このデータから、ココア抽出物、特にココアポリフェノールまたはプロシアニジン、は、重要な抗腫瘍、抗ガン、抗新形成活性を、特にヒトPC−3(前立腺)、HCT−116(結腸)、およびACHN(腎臓)ガン細胞系統に関して有することは明白である。加えて、これらの結果は特定のプロシアニジン画分がPC−3細胞系統に対して関与していることを示唆している。
【0057】
実施例7: ココア抽出物(プロシアニジン)の抗ガン、抗腫瘍または抗新形成活性
上記の発見を確認し、さらに組合せ画分を研究するために、別の包括的なスクリーニングを行った。
【0058】
全ての調製された材料および手順は、試験投与量毎に四重であった標準を、試験投与量毎に八重または十二重に増加させた点を除いて、上記の報告と同一であった。この研究のために、個々の5個のココアプロシアニジン画分、およびその組合せを、以下のガン細胞系統について検索した。
【0059】
PC−3前立腺
KB鼻咽頭/Hela
HCT−116結腸
ACHN腎臓
MCF−7胸部
SK−5メラノーマ
A−549肺
CCRF−CEM T細胞白血病
個々のスクリーニングは、異なった投与量レベル(0.01−100μg/ml)の画分A、B、C、D、およびE(図4A−4Eおよびその検討、前出を参照されたい)を各々の細胞系統についてアッセイすることから成る。組合せのスクリーニングは、同じ投与量レベルの画分A+B、A+C、A+D、A+E、B+C、B+D、B+E、C+D、C+E、およびD+Eを、各々の細胞系統について組み合わせることから成る。これらのアッセイからの結果は、独立して検討し、続いて全体をまとめた。
【0060】
A.PC−3前立腺細胞系統
図7A−7Hは、ココアプロシアニジン画分とPC−3細胞系統との間の、典型的な投与量反応関係を示している。図7Dおよび7Eは、画分DおよびEが、75μg/mlのIC50値で活性を有していたことを示している。他のプロシアニジン画分の組合せの投与量反応曲線から得られたIC50値は、画分DまたはEが存在する場合には、60−80μg/mlの範囲にあった。個々のIC50値は表6に列挙した。
【0061】
B.KB鼻咽頭/Hela細胞系統
図8A−8Hは、ココアプロシアニジン画分とKB鼻咽頭/Hela細胞系統との間の、典型的な投与量反応関係を示している。図8Dおよび8Eは、画分DおよびEが、75μg/mlのIC50値で活性を有していたことを示している。図8F−8Hは、画分の組合せの研究から得られた代表的な結果を示している。この場合は、プロシアニジン画分の組合せA+Bは効果を有していなかったが、一方で画分の組合せB+EおよびD+Eは、60μg/mlのIC50値で活性であった。他のプロシアニジン画分の組合せの投与量反応曲線から得られたIC50値は、画分DまたはEが存在する場合には、60−80μg/mlの範囲にあった。個々のIC50値は表6に列挙した。これらの結果は、PC−3細胞系統について得られたものと本質的に同じである。
【0062】
C.HCT−116結腸細胞系統
図9A−9Hは、ココアプロシアニジン画分とHCT−116結腸細胞系統との間の、典型的な投与量反応関係を示している。図9Dおよび9Eは、画分Eが、約400μg/mlのIC50値で活性を有していたことを示している。この値は実在の曲線を外挿して得た。画分Dについての投与量反応曲線の勾配もまた活性を示していることに注意されたい。しかしながら、ID50値はこのプロットからは得られなかったが、それは曲線の勾配が、信頼できる値を得るためにはあまりにも浅いものであったためである。図9F−9Hは、画分の組合せの研究から得られた代表的な結果を示している。この場合は、プロシアニジン画分の組合せB+Dは認識できる効果を有していなかったが、一方で画分の組合せA+EおよびD+Eは、それぞれ500μg/ml、85μg/mlのIC50値で活性であった。他の画分の組合せの投与量反応曲線から得られたIC50値は、画分Eが存在する場合には平均で約250μg/mlであった。外挿されたIC50値を表6に列挙した。
【0063】
D.ACHN腎臓細胞系統
図10A−10Hは、ココアプロシアニジン画分とACHN腎臓細胞系統との間の、典型的な投与量反応関係を示している。図10Aから10Eは、独立の画分はこの細胞系統については活性を有していないことを示している。図10F−10Hは、画分の組合せの研究から得られた代表的な結果を示している。この場合は、プロシアニジン画分の組合せB+Cは活性ではなかったが、一方で画分の組合せA+Eは、500μg/mlのIC50値で活性であるという結果であった。C+Dの組合せと同様の投与量反応曲線は不活性と考えられたが、それはそれらの勾配があまりに浅かったからである。その他の画分についての外挿されたIC50値を表6に列挙した
E.A−549肺細胞系統
図11A−11Hは、ココアプロシアニジン画分とA−549肺細胞系統との間の、典型的な投与量反応関係を示している。独立の画分または画分の組合せからは、アッセイした投与量においては活性は検出されなかった。しかしながら、プロシアニジン画分はなおもこの細胞系統に関して用途を有するかも知れない。
【0064】
F.SK−5メラノーマ細胞系統
図12A−12Hは、ココアプロシアニジン画分とSK−5メラノーマ細胞系統との間の、典型的な投与量反応関係を示している。独立の画分または画分の組合せからは、アッセイした投与量においては活性は検出されなかった。しかしながら、プロシアニジン画分はなおもこの細胞系統に関して用途を有するかも知れない。
【0065】
G.MCF−7胸部細胞系統
図13A−13Hは、ココアプロシアニジン画分とMCF−7胸部細胞系統との間の、典型的な投与量反応関係を示している。独立の画分または画分の組合せからは、アッセイした投与量においては活性は検出されなかった。しかしながら、プロシアニジン画分はなおもこの細胞系統に関して用途を有するかも知れない。
【0066】
H.CCRF−CEM T細胞 白血病系統
CCRF−CEM T細胞 白血病系統に対する、本来の典型的な投与量反応曲線を得た。しかしながら、顕微鏡での細胞数の計数vs異なった画分濃度での時間は、500μgの画分A、BおよびDが4日間の期間にわたる80%の増殖の減少をもたらしたことを示している。代表的な投与量反応関係を図14に示す。
【0067】
I.まとめ
これらのアッセイから得られたIC50値は、CCRF−CEM T細胞白血病を除く全ての細胞系統について、表6に集められて列挙されている。CCRF−CEM T細胞白血病は意図的に表からはずされたが、それは異なったアッセイの手順を用いたためである。これらの結果の全体的なまとめは、最も高い活性は画分DおよびEに関連するものであることを示している。これらの画分はPC−3(前立腺)およびKB(鼻咽頭/Hela)細胞系統に対してもっとも活性であった。これらの画分はまた、HCT−116(結腸)およびACHN(腎臓)細胞系統に対しても活性であったが、しかし、非常に高い投与量においてのみであった。MCF−7(胸部)、SK−5(メラノーマ)、およびA−549(肺)細胞系統に対しては活性は検出されなかった。しかしながら、プロシアニジン画分はそれでもこれらの細胞系統に関して用途を有しているかもしれない。CCRF−CEM(T細胞白血病)細胞系統に対しても活性が見られた。画分DおよびEは組成物として最も複雑であることに注意すべきである。しかしながら、このデータから、ココア抽出物、特にココアプロシアニジン、は、重要な抗腫瘍、抗ガンまたは抗新形成活性を有していることは明白である。
【表6】
【0068】
実施例8 ココア抽出物(プロシアニジン)の抗ガン、抗腫瘍、または抗新形成活性
いくつかの付加的な生体外アッセイの手順を、実施例6および7で示された結果を補完し、拡張するために用いた。
【0069】
方法A.クリスタルバイオレット染色アッセイ
全てのヒト腫瘍細胞系統をアメリカンタイプカルチャーコレクションから得た。細胞を、10%ウシ胎児血清を含む抗生物質を含まないIMEM中で単層として増殖させた。細胞を加湿、5%CO2 雰囲気中で37℃で維持した。
【0070】
トリプシン化の後、細胞を計数し、濃度を100μlあたり1000−2000細胞に調節した。細胞拡散を、96ウェルマイクロタイタープレート中に細胞をプレートする(ウェルあたり1000−2000細胞)ことにより決定した。ウェルあたり100μlの細胞を添加した後、細胞を24時間取付可能とした。24時間の期間の終りには、多様なココア画分を異なった濃度で、投与量反応結果を得るために添加した。ココア画分を2倍の濃度で培地中に溶解させ、各々の溶液の100μgを、三重に用意したウェルに添加した。連続した日に、プレートを50μlのクリスタルバイオレット(125mlのメタノール、375mlの水に溶解された2.5gのクリスタルバイオレット)で15分間染色した。染色液を除き、プレートを穏やかに冷水に浸し、過剰の染色を除去した。洗浄をさらに2回くり返し、プレートを乾燥させた。残存している染色は100μlの0.1Mクエン酸ナトリウム/50%エタノールを各々のウェルに添加することにより可溶化した。可溶化の後、細胞の数をELISAプレートリーダー上で540nmで定量化した(参照フィルターは410nm)。ELISAリーダーからの結果は、y軸に吸光度、x軸に日数としてグラフ化した。
【0071】
方法B.軟寒天クローニングアッセイ
Nawata et al.(1981)によって記述された方法に従って、細胞を軟寒天中にクローン化した。単一の細胞懸濁液を、0.8%寒天を含む培地中に様々な濃度のココア抽出物と共に生成した。懸濁液は1.0%寒天を含有する培地でコートされた35mmのディッシュに分配した。10日間の保温の後、直径60μm以上のコロニーの数を、Omicron 3600イメージ分析システム上で計数した。この結果は、y軸上にコロニーの数、そしてココア画分の濃度をx軸上にプロットした。
【0072】
方法C.XTTマイクロカルチャー テトラゾリウムアッセイ
Scudiero et al.(1988)によって記載されたXTTアッセイの手順を、多様なココア画分の検索のために用いた。XTTアッセイは、以下の変更を除いては、実質的には記載されたMTTを用いた手順(実施例6)と同じである。XTT((2、3−ビス(2−メトキシ−4−ニトロ−5−スルホフェニル)−5−[(フェニルアミノ)カルボニル]−2H−テトラゾリウムヒドロキシド)を、1mg/mlで血清を含まない培地で調製し、37℃で前加熱した。PMSを5mM PBSで調製した。XTTおよびPMSは共に混合した;10μlのPMSを1mlあたりのXTT、および50μlのPMS−XTTを各々のウェルに添加した。37℃で4時間の保温の後、プレートを30分間、機械式振とう機で混合し、450−600nmの吸光度を測定した。結果を、吸光度をy軸に、増殖日数または濃度をx軸にプロットした。
【0073】
方法AおよびCについては、結果はまた、パーセント対照をy軸に、増殖日数または濃度をx軸にしてプロットした。
【0074】
XTTおよびクリスタルバイオレットアッセイ手順比較を、ココア画分D&E(実施例3B)を胸部ガン細胞系統MCF−7 p168に対して行い、どのアッセイが最も敏感であるか決定した。図15Aに示されたとおり、両方のアッセイは、濃度>75μg/mlでは同じ投与量反応効果をしめした。この値より小さい濃度では、クリスタルバイオレットはXTTアッセイの結果よりも高い標準偏差を示した。しかしながら、クリスタルバイオレットアッセイはより容易に用いることが出来るので、全てのこの後のアッセイは、特に断らないかぎり、この手順により行った。
【0075】
クリスタルバイオレットアッセイの結果は示されているが(図15B−15E)、粗ポリフェノール抽出物(実施例2)の、胸部ガン細胞系統MDA MB231、前立腺ガン細胞系統PC−3、胸部ガン細胞系統MCF−7 p163、および子宮ガン細胞系統Helaそれぞれに対する効果を表している。全ての場合において、250μg/mlの投与量は完全に全てのガン細胞の増殖を、5−7日の期間にわたって阻害した。Hela細胞系統はこの抽出物に対して最も感受性であるように見えたが、それは100μg/mlの投与量でもまた生育を阻害したからである。実施例3B由来のココア抽出物はまた、Helaおよび他の胸部ガン細胞系統SKBR−3に対してアッセイした。結果(図15Fおよび図15G)は、画分D&Eが最も高い活性を有していることを示している。図15Hおよび15Iに示されているとおり、約40μg/mlのD&EのIC50値が両方のガン細胞系統に対して得られた。
【0076】
ココア画分D&Eはまた、試験化合物(群)の固定独立増殖を阻害する能力を決定するための軟寒天クローニングアッセイにおいてもまた試験された。図15Jに示されているとおり、100μg/mlの濃度でHela細胞のコロニー形成を完全に阻害した。
【0077】
3種類のココア園芸種を代表している、8種類の異なったココア遺伝子型から得られた粗フェノール抽出物についてもまた、Hela細胞に対してアッセイした。図15Kに示されているように、全ての多様なココアは同様の投与量反応効果を示した。UIT−1種はHela細胞に関して最も高い活性を示した。これらの結果は、全てのココア遺伝子型が、地理的起源、園芸種および遺伝子型とは独立に、少なくとも1つのヒトガン細胞系統に対して活性を誘導するポリフェノール画分を有していることを示している。
【0078】
別の一連のアッセイを、1トンスケールの、ブラジルココア豆の伝統的な5日間の発酵で、その後4日間の太陽乾燥段階を行ったものから、毎日の基本として調製された粗ポリフェノール抽出物について行った。図15Lに示された結果は、これらの初期処理工程の明白な影響を示しておらず、ポリフェノールの成分のわずかな変化を示唆していた。しかしながら、ポリフェノールオキシダーゼ(PPO)が発酵工程の間にポリフェノールを酸化することが知られている(Lehrian and Patterson、1983)。酵素的に酸化されたポリフェノールが活性にどのような効果を有するかを決定するために、別の実験を行った。粗PPOを、細かく粉砕された、発酵されていない、凍結乾燥され、脱脂されたブラジルココア豆を、1gの粉末に対して10mlのアセトンで抽出することにより調製した。スラリーを3000rpmで15分間遠心した。これを3回くり返し、上清をその度に廃棄し、ブフナー漏斗を通して注いだ4回目の抽出を行った。アセトン粉末は空気乾燥され、続いてMcLord and Kilara(1983)によって記述された手順に従ってアッセイした。粗ポリフェノール溶液(100mg/10mlクエン酸−リン酸バッファー、0.02M、pH5.5)に、100mgのアセトン粉末(4000μ/mgタンパク質)を添加し、スラリー中を泡立たせた空気流とともに30分間撹拌した。この試料を、5000gで15分間遠心し、上清を3回20ml酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル抽出物を統合し、部分的真空下で蒸留し乾燥させ、5mlの水を添加し、続いて凍結乾燥を行った。物質を続いてHela細胞に対してアッセイし、投与量反応を酵素的に処理されていない粗ポリフェノール抽出物と比較した。結果(図15M)は、酵素的に酸化された抽出物の投与量反応曲線は顕著に変化していることを示し、酸化された生成物はそれらの天然型よりも阻害的であることを示した。
【0079】
実施例9: プロシアニジンを含むココア抽出物の抗酸化剤活性
文献中の証拠は、天然に生成される抗酸化剤(ビタミンC、E、およびB−カロテン)の消費と、ガンを含む病気の低減された発生率との関係を示唆している(Designing Foods、1993;Caragay、1992)。これらの抗酸化剤は、いくつかの腫瘍成長の型に関与している、特定の酸化的でフリーラジカル工程に影響すると一般に考えられている。付加的には、抗ガン原性であることが示されているいくつかの植物ポリフェノール性化合物は、実質的な抗酸化剤活性もまた有している(Ho et al.,1992;Huang et al.,1992)。
【0080】
プロシアニジンを含むココア抽出物が抗酸化剤活性を有するか否かを決定するために、標準的なRancimat法を用いた。実施例1、2および3に記載された手順を、ココア抽出物を調製するために用い、抽出物をさらに2つのゲル濾過由来の画分を生成させるために操作した。これらの2つの画分は実際には画分AからCを統合したもの、およびDとE(図1を参照)であり、それらの抗酸化剤特性を、合成抗酸化剤BHAおよびBHTと比較した。
【0081】
ローストされていないピーナツから、皮を除去してピーナツ油をプレスした。各々の試験化合物は、各々試験化合物を、100ppm程度と20ppm程度の2つのレベルで(実際のレベルは表7中に示されている)油中に添加した。50μlのメタノール可溶化抗酸化剤を、各々の試料に抗酸化剤の分散を補助するために添加した。抗酸化剤を含まない50μlのメタノールを有する対照試料を調製した。
【0082】
試料を、酸化安定性に関して、100℃で20cc/分の空気でのRancimat安定性試験を用いて二重に評価した。実験的変数は活性酸素法(AOM)またはSwift安定性試験(Van Oosten et al.,1981)について用いられたものと対応させて選択した。典型的なRancimatトレースは図16に示されている。結果を表8に、100megの過酸化物レベルに達するために必要な時間として報告する。
【表7】
【表8】
【0083】
これらの結果は、試験された全ての添加物について、ピーナツ油の増加した酸化安定性を示した。酸化安定性の最も高い増加は、ココアの酢酸エチル粗抽出物を添加した試料によって実現された。これらの結果は、プロシアニジンを含むココア抽出物は、同じ量の合成BHAまたはBHTと同等かまたはそれ以上の抗酸化的潜在性を有することを示している。従って、本発明は、例えば抗酸化剤および/または食品添加物等の公知のBHAまたはBHTの用途においてBHAまたはBHTに代わって用いられ得る。そして、この点に関して、本発明は食品の給源由来であることにも注意すべきである。これらの得られた結果から、当業者は、そのような「BHAまたはBHT」の用途における本発明の好適な量、例えば食品への添加量を、実験によらずに容易に決定できる。
【0084】
実施例10: トポイソメラーゼII阻害の研究
DNAトポイソメラーゼIおよびIIは、DNA鎖の開裂および再結合を触媒し、それによりDNAの位相的状態を制御している酵素である(Wang,1985)。細胞内のトポイソメラーゼの機能の研究に加え、最も重要な発見の1つは、トポイソメラーゼIIが、介在物質(m−AMSA、Adriamycin(登録商標)およびエリプチシン(ellipticine)並びに非介在エピポドフィロトキシン(epipodophyllotoxins)を含む数多くの診療において重要な抗腫瘍化合物に対する主要な細胞内標的として同定されたことである(Yamashita et al.,1990)。いくつかの証拠の系統が、いくつかの抗腫瘍薬が、変性剤へさらすとDNAの分解という結果となるDNA−トポイソメラーゼII複合体(分解複合体)を安定化するという共通の特性を有することを示している(Muller et al.,1989)。抗腫瘍薬による分解複合体形成は、細胞死につながりうる巨大DNA反転をもたらすことが提唱されている。
【0085】
この魅力的なモデルに従えば、特定のDNAトポイソメラーゼII分解複合体の新規な誘導剤が、抗ガン、抗腫瘍、抗新形成剤として有用である。細胞毒性化合物を、標的DNAの活性により同定する試みにおいて、ココアプロシアニジンを、いくつかのDNA損傷感受性細胞系統に対する促進された細胞毒性活性およびリンパ腫から得られたヒトトポイソメラーゼIIでの酵素アッセイに関して検索した。
【0086】
A.キネトプラストDNAのトポイソメラーゼIIによる鎖分解(decatenation)
Muller et al.(1989)に記載されている、キネトプラストDNAのトポイソメラーゼIIの鎖分解の生体外での阻害を以下のように行った。トポイソメラーゼII活性を含む核抽出物を、ヒトリンパ腫からMiller et al.(1981)およびDanks et al.(1988)の方法を変更して抽出した。精製酵素の1単位は0.25μmolのキネトプラストDNAを34℃で30分間に鎖分解する(decatenate)ために十分なものである。キネトプラストDNAは、トリパノソーマ類Crithidia fasciculataから得た。各々の反応は、19.5μlH2 O、2.5μl 10xバッファー(1xバッファーは、50mM トリス−HCl、pH 8.0、120mM KCl、10mM MgCl2 、0.5mM ATP、0.5mMジチオスレイトールおよび30μg BSA/mlを含む)、1μlキネトプラストDNA(0.2μg)、および、1μlの、様々な濃度での、DMSO含有ココアプロシアニジン試験画分を含む0.5mlマイクロ遠心チューブ中で行った。この組合せを、完全に混合し氷上に保存した。1単位のトポイソメラーゼを、34℃で30分間ウォーターバス中で保温する直前に添加した。
【0087】
保温に続いて、鎖分解アッセイは5μl停止バッファー(5%サルコシル、0.0025%ブロモフェニルブルー、25%グリセロール)の添加により停止させ、氷上に静置した。DNAを、エチジウムブロミド(0.5μg/ml)を含むTAEバッファー中の1%アガロースゲル上で電気泳動させた。波長310nmでの紫外線発光により、DNAを可視化した。ポラロイドランドカメラを用いてゲルを撮影した。
【0088】
図17は、これらの実験の結果を示している。完全に鎖形成されたキネトプラストDNAは1%アガロースゲル中で移動しない。キネトプラストDNAのトポイソメラーゼIIによる鎖分解は、ゲル中で移動するモノマーDNA(モノマーサークル、I型およびII型)を生じさせる。ココアプロシアニジンの添加による酵素の阻害は、増加する濃度の関数としてのモノマーバンドの増加的な消失から明らかである。これらの結果に基づいて、ココアプロシアニジン画分A、B、D、およびEは、0.5から5.0μg/mlの範囲にある濃度でトポイソメラーゼIIの阻害を示した。これらの阻害剤濃度は、ミトキサントロン(mitoxanthrone)およびm−AMSA(4’−(9−アクリジニルアミノ)メタンスルホン−m−アニシジド)について得られたものと非常に類似したものであった。
【0089】
B.薬剤感受性細胞系統
ココアプロシアニジンを、いくつかのDNA損傷感受性細胞系統に対して検索した。これらの細胞系統の1つは、P.Jeggoによって開発されたxrs−6DNA二本鎖修復変異体である(Kemp et al.,1984)。xrs−6細胞系統のDNA修復欠損は、それら自身を、X照射、DNA二本鎖形成を直接破壊するブレオマイシン等の化合物、およびトポイソメラーゼIIを阻害し、それにより間接的に二本鎖を破壊するWarters et al.(1991)によって提唱された化合物に対して特に感受性であるものとする。修復欠損系統に対しての細胞毒性を、DNA修復能力の高いCHO系統、BR1に対する細胞毒性と比較した。修復欠損(xrs−6)系統に対しての促進された細胞毒性を、DNA分解二本鎖破壊の形成に対する証拠として解した。
【0090】
DNA修復可能CHO系統、BR1は、Barrows et al.(1987)によって開発され、O6 −アルキルグアニン−DNA−アルキルトランスフェラーゼを、通常のCHO DNA修復酵素に加えて発現する。CHO二本鎖破壊修復欠損系統は、P.Jeggo博士およびその共同研究者(Jeggo et al.,1989)からの寛大なる贈り物である。これらの両方の系統をアルファ−MEM含有血清および抗生物質中で実施例6に記載のとおりに単層として増殖させた。細胞は加湿5%CO2 雰囲気下で維持した。ココアプロシアニジン処理の前に、単層として増殖させた細胞をトリプシン処理により引き離した。実施例6に記載されているMTTアッセイの手順を用いたアッセイを行った。
【0091】
その結果は(図18)、xrs−6に対する促進された細胞毒性はみられないことを示し、ココアプロシアニジンは分解二本鎖破壊形成とは異なった方式でトポイソメラーゼIIを阻害したことを示唆していた。即ち、ココアプロシアニジンは、トポイソメラーゼIIと、それがDNAと相互作用し非分解型複合体を形成する前に相互作用する。
【0092】
非分解型複合体形成化合物は比較的新しい発見である。アントラサイクリン(anthracycline)、ポドフィリンアルカロイド(podophyllin alkaloid)、アントラセネジオン(anthracenedion)、アクリジンおよびエリプチシン(ellipticine)の同類は、全て臨床用の抗ガン、抗腫瘍または抗新形成のための使用が是認されており、それらは分解型複合体を形成する(Liu、1989)。いくつかの新しいクラスの、分解型複合体を形成するようには見えないトポイソメラーゼII阻害剤が近年同定されてきた。これらには、アモナフィド(amonafide)(Hsiang et al.,1989)、ディスタマイシン(distamycin)(Fesen et al.,1989)、フラバノイド(flavanoid)(Yamashita et al.,1990)、サイントピン(saintopin)(Yamashita et al.,1991)、メンブラノン(membranone)(Drake et al.,1989)、テルペノイド(terpenoid)(Kawada et al.,1991)、アントラピラゾール(anthrapyrazole)(Fry et al.,1985)、ジオキソピペラジン(Tanabe et al.,1991)およびマリンアクリジン−デルシチン(marine acridine−dercitin)(Burres et al.,1989)が含まれる。
【0093】
ココアプロシアニジンは、分解性複合体が形成される前にトポイソメラーゼIIを不活性化するので、それらは単独で、または公知で機構的に決定されているトポイソメラーゼIIインヒビターと組み合わせて、化学治療法的価値を有する。付加的には、ココアプロシアニジンはまた、新規クラスのトポイソメラーゼIIインヒビターであるように見え(Kashiwada et al.,1993)、そしてそれ故に他の公知のインヒビターよりも細胞に対して毒性が少なく、それによりそれらの化学治療法における用途を拡大している。
【0094】
膜結合糖タンパク質(gp170)を発現し複数の薬剤耐性を付与するヒト胸部ガン細胞系統MCF−7(ADR)、およびその親系統MCF−7 p168を、ココア画分DおよびEの効果をアッセイするために用いた。図19に示されるように、親系統は増加されたレベルでの画分DおよびEで阻害されたが、一方でアドリアマイシン(Adriamycin;ADR)耐性の系統は高い投与量では影響は少なかった。これらの結果は、ココア画分DおよびEは複数の薬物耐性細胞系統に効果を有することを示している。
【0095】
実施例11: プロシアニジンの合成
プロシアニジンの合成を、Delcour et al.(1983)によって開発された手順に従って、変更を加えて行った。(+)−カテキンをジヒドロケルセチンとともに還元的条件下で濃縮することに加え、(−)−エピカテキンもまた、発酵されていないココア豆中に天然にもたらされる(−)−エピカテキンの高濃度を反映させるために用いた。合成生成物を単離し、精製し、分析し、実施例3、4および5に記載されている手順により同定した。このやり方により、ビフラバノイド、トリフラバノイドおよびテトラフラバノイドを調製し、分析用標準試料として、上記の方式でココア抽出物に関して用いた。
【0096】
実施例12: 順相半調製画分のアッセイ
ポリフェノール抽出物は組成物として複雑であるので、更なる精製、投与量反応アッセイ、および包括的な構造の同定のために、どの成分がガン細胞に対して活性であるのかを決定する必要があった。順相半調製HPLC分離(実施例3B)をココアプロシアニジンをオリゴマーの大きさに基づいて分離するために用いた。元々の抽出物に加え、12の画分を調整し(図2Bおよび15 O)、100μg/mlおよび25μg/mlの投与量でHela細胞に対して、どのオリゴマーが最大の活性を有しているかを決定するためにアッセイした。図20に示されているように、画分4−11は(ペンタマーからドデカマー)は、約25μg/mlのIC50値を示した。これらの結果は、これらの特定のオリゴマーが、Hela細胞に対する最大の活性を有していることを示した。付加的には、ココア画分DおよびEの順相HPLC分析により、この画分がこれらのオリゴマーを豊富に有することが示された。
【0097】
上記から、本発明の、抽出物およびココアポリフェノール、並びに組成物、方法およびキットは用途を有していることは明らかである。この見地から、本発明は、食料品由来であり、生体外で示された活性は、少なくともいくつかの活性は生体内で、特に上記の投与量を考慮して示され得るといえる。
【0098】
付加的には、これまでの記述は、抽出物およびココアポリフェノール、ならびに組成物、方法およびキットは、BHTおよびBHAに類似した抗酸化剤活性を、酸化安定性と同様に有していることを示している。このように、本発明は、例えば抗酸化食品添加物等の抗酸化剤等の公知のBHA、BHTの用途においてBHTまたはBHAに代わって用いられることができる。本発明はまた、トポイソメラーゼ阻害剤として、現在そのために知られている用途において用いられることができる。従って、本発明によって想像できる組成物および方法が数多く存在する:例えば、抗酸化剤または保存用組成物、トポイソメラーゼ阻害組成物、食品または何れかの所望の品の、酸化等からの保存方法、およびトポイソメラーゼ阻害のための方法であって、抽出物および/またはココアポリフェノールを含有するもの、または、食品、品物またはトポイソメラーゼをそれぞれの組成物即ち抽出物および/またはココアポリフェノール(群)と接触させることから成るものの何れか、等である。
【0099】
このように詳細に、好ましい本発明の態様を記述してきたが、添付の請求の範囲により定義された本発明は、上記の記述中に示された特定の詳細に限定されるものではなく、本発明の範囲および精神から離れるものではない数多くのその変化体があり得ることは理解されるべきである。
【0100】
他の実施態様
1.ココアポリフェノール(群)を含む実質的に純粋なココア抽出物。
2.ココア豆を粉末に還元すること、
粉末を脱脂すること、および
粉末からココアポリフェノール(群)を抽出および精製すること、
から成る工程により調製される実施態様1記載の抽出物。
3.前記ココア豆を粉末に還元する工程が、
豆およびパルプを凍結乾燥すること、
凍結乾燥された塊を脱パルプ化すること、
凍結乾燥されたココア豆を脱穀すること、および
脱穀された豆を粉砕すること、
から成ることを特徴とする実施態様2記載の抽出物。
4.前記工程が、ゲル濾過クロマトグラフィーおよび/または調製用高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により抽出物を精製することをさらに含むことを特徴とする実施態様2または3記載の抽出物。
5.(−)−エピカテキン、プロシアニジンB−2、4から12のプロシアニジンオリゴマー、プロシアニジンB−5、プロシアニジンA−2およびプロシアニジンC−1から成る群から選択された少なくとも1つのココアプロシアニジンのポリフェノール(群)を含有することを特徴とする実施態様4記載の抽出物。
6.実質的に純粋なココア抽出物もしくは合成ココアポリフェノール(群)および好適な担体から成る抗新形成性組成物。
7.ココアプロシアニジン(群)を含む実質的に純粋なココア抽出物を含むことを特徴とする実施態様6記載の抗新形成性組成物。
8.前記ココアプロシアニジン(群)が、
ココア豆を粉末に還元すること、
粉末を脱脂すること、および
粉末からココアポリフェノール(群)を抽出すること、
から成る工程により調製される実施態様7記載の抗新形成性組成物。
9.前記ココア豆を粉末に還元する工程が、
豆およびパルプを凍結乾燥すること、
凍結乾燥された塊を脱パルプ化すること、
凍結乾燥されたココア豆を脱穀すること、および
脱穀された豆を粉砕すること、
から成ることを特徴とする実施態様8記載の抗新形成性組成物。
10.前記工程が、ゲル濾過クロマトグラフィーおよび/または調製用高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により抽出物を精製することをさらに含むことを特徴とする実施態様8または9記載の抗新形成性組成物。
11.(−)−エピカテキン、プロシアニジンB−2、4から12のプロシアニジンオリゴマー、プロシアニジンB−5、プロシアニジンA−2およびプロシアニジンC−1から成る群から選択された少なくとも1つのココアプロシアニジンのポリフェノール群を含有することを特徴とする実施態様10記載の抗新形成性組成物。
12.有効量の実質的に純粋なココア抽出物もしくは合成ココアポリフェノール(群)および好適な担体から成る抗新形成性組成物を患者に投与することから成る、抗新形成剤で治療の必要のある患者を治療する方法。
13.前記抗新形成剤が、ココアプロシアニジン(群)を含む実質的に純粋なココア抽出物を含むことを特徴とする実施態様12記載の方法。
14.前記ココアポリシアニジン(群)が、
ココア豆を粉末に還元すること、
粉末を脱脂すること、および
粉末からココアポリフェノール(群)を抽出すること、
から成る工程により調製されることを特徴とする実施態様13記載の方法。
15.前記ココア豆を粉末に還元する工程が、
豆およびパルプを凍結乾燥すること、
凍結乾燥された塊を脱パルプ化すること、
凍結乾燥されたココア豆を脱穀すること、および
脱穀された豆を粉砕すること、
から成ることを特徴とする実施態様14記載の方法。
16.前記工程が、ゲル濾過クロマトグラフィーおよび/または調製用高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により抽出物を精製することをさらに含むことを特徴とする実施態様14または15記載の抗新形成性組成物。
17.前記抽出物が、(−)−エピカテキン、プロシアニジンB−2、4から12のプロシアニジンオリゴマー、プロシアニジンB−5、プロシアニジンA−2およびプロシアニジンC−1から成る群から選択された少なくとも1つのココアプロシアニジンのポリフェノール(群)を含有することを特徴とする実施態様16記載の抗新形成性組成物。
18.実質的に純粋なココア抽出物もしくは合成ココアポリフェノール(群)および好適な担体から成る、抗新形成剤で治療の必要のある患者を治療するためのキット。
19.前記抗新形成剤が、ココアプロシアニジン(群)を含む実質的に純粋なココア抽出物を含み;前記キットが原料の混合および/または患者への投与のための指示書を含むことを特徴とする実施態様18記載のキット。
20.実質的に純粋なココア抽出物または合成ココアポリフェノール(群)を含むことを特徴とする凍結乾燥された抗新形成性組成物。
21.前記組成物が実質的に純粋なココア抽出物を含むことを特徴とする実施態様20記載の凍結乾燥された抗新形成性組成物。
22.実施態様1記載の実質的に純粋なココア抽出物または合成ココアポリフェノール(群)を含む抗酸化性または保存性組成物。
23.実施態様1記載の実質的に純粋なココア抽出物または合成ココアポリフェノール(群)を含むトポイソメラーゼ阻害性組成物。
24.品物を実施態様22記載の組成物と接触させることから成る、所望の品物を保存または酸化から防護するための方法。
25.前記品物が食品であることを特徴とする実施態様24記載の方法。
26.実施態様23記載の組成物とトポイソメラーゼを接触させることから成るトポイソメラーゼを阻害するための方法。
【参考文献】
【0101】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む方法によって調製される、ココアプロシアニジンオリゴマーを含有するココア抽出物:
発酵していないまたは部分発酵したココア豆を粉末に粉砕し;
前記粉末を脱脂し;
溶媒抽出技術によって前記粉末からココアプロシアニジンオリゴマーを抽出し;さらに
得られたココア抽出物を精製する。
【請求項2】
前記調製方法が、ゲルろ過クロマトグラフィーおよび/または高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって抽出物を精製することを含む、請求項1記載のココア抽出物。
【請求項3】
ココアプロシアニジン2量体、3量体、4量体、5量体、6量体、7量体、8量体、9量体、10量体、11量体、12量体のそれぞれを少なくとも1つ含有する請求項1記載のココア抽出物。
【請求項4】
以下の工程を含む方法によって調製され、かつキサンチンアルカロイドを含まない、ココアプロシアニジンオリゴマーを含有するココア抽出物:
ココア豆を粉末に粉砕し;
前記粉末を脱脂し;
溶媒抽出技術によって前記粉末からココアプロシアニジンオリゴマーを抽出し;さらに
前記抽出物からキサンチンアルカロイドを除去して、キサンチンアルカロイドを含まない副画分を得る。
【請求項5】
前記ココア豆を粉末に粉砕する工程が、
豆およびパルプを凍結乾燥し、
凍結乾燥した塊を脱パルプ化し、
凍結乾燥したココア豆を脱穀し、さらに
前記脱穀した豆を粉砕することを含む、請求項1から4いずれか1項記載のココア抽出物。
【請求項6】
凍結乾燥形態であることを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載のココア抽出物。
【請求項7】
5量体から12量体のココアプロシアニジンオリゴマーを含むココアポリフェノールを含有するココア抽出物。
【請求項8】
2量体から12量体のココアプロシアニジンオリゴマーを含有する粗ココア抽出物である請求項7記載のココア抽出物。
【請求項9】
以下の工程を含む方法によって調製されることを特徴とする請求項7記載のココア抽出物:
ココア豆を粉末に粉砕し、
粉末を脱脂し、
粉末からココアポリフェノールを抽出し、さらに
得られた抽出物を精製する。
【請求項10】
前記ココア豆を粉末に粉砕する工程が、
豆およびパルプを凍結乾燥し、
凍結乾燥された塊を脱パルプ化し、
凍結乾燥されたココア豆を脱穀し、さらに
脱穀された豆を粉砕することを含む、請求項9記載のココア抽出物。
【請求項11】
前記調製方法が、ゲル濾過クロマトグラフィーおよび/または高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により抽出物を精製することを含む、請求項9または10記載のココア抽出物。
【請求項12】
前記ココア豆が未発酵のものである請求項9から11いずれか1項記載のココア抽出物。
【請求項13】
少なくとも1つの4量体から12量体のココアプロシアニジンオリゴマーを含有するココア抽出物、および担体を含む、経口投与用の液体調製物。
【請求項14】
請求項1記載のココア抽出物、および担体を含む、経口投与用の液体調製物。
【請求項15】
懸濁物、シロップまたは内用液であることを特徴とする請求13または14記載の液体調製物。
【請求項16】
少なくとも1つの4量体から12量体のココアプロシアニジンオリゴマーを含有するココア抽出物を用いることを含む、請求項13記載の液体調製物を作成する方法。
【請求項17】
少なくとも1つの5量体から12量体のココアプロシアニジンオリゴマーを含むココアポリフェノールを含有するココア抽出物を用いることを含む、請求項13記載の液体調製物を作成する方法。
【請求項18】
請求項7記載のココア抽出物を含む、抗酸化または保存組成物。
【請求項1】
以下の工程を含む方法によって調製される、ココアプロシアニジンオリゴマーを含有するココア抽出物:
発酵していないまたは部分発酵したココア豆を粉末に粉砕し;
前記粉末を脱脂し;
溶媒抽出技術によって前記粉末からココアプロシアニジンオリゴマーを抽出し;さらに
得られたココア抽出物を精製する。
【請求項2】
前記調製方法が、ゲルろ過クロマトグラフィーおよび/または高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって抽出物を精製することを含む、請求項1記載のココア抽出物。
【請求項3】
ココアプロシアニジン2量体、3量体、4量体、5量体、6量体、7量体、8量体、9量体、10量体、11量体、12量体のそれぞれを少なくとも1つ含有する請求項1記載のココア抽出物。
【請求項4】
以下の工程を含む方法によって調製され、かつキサンチンアルカロイドを含まない、ココアプロシアニジンオリゴマーを含有するココア抽出物:
ココア豆を粉末に粉砕し;
前記粉末を脱脂し;
溶媒抽出技術によって前記粉末からココアプロシアニジンオリゴマーを抽出し;さらに
前記抽出物からキサンチンアルカロイドを除去して、キサンチンアルカロイドを含まない副画分を得る。
【請求項5】
前記ココア豆を粉末に粉砕する工程が、
豆およびパルプを凍結乾燥し、
凍結乾燥した塊を脱パルプ化し、
凍結乾燥したココア豆を脱穀し、さらに
前記脱穀した豆を粉砕することを含む、請求項1から4いずれか1項記載のココア抽出物。
【請求項6】
凍結乾燥形態であることを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載のココア抽出物。
【請求項7】
5量体から12量体のココアプロシアニジンオリゴマーを含むココアポリフェノールを含有するココア抽出物。
【請求項8】
2量体から12量体のココアプロシアニジンオリゴマーを含有する粗ココア抽出物である請求項7記載のココア抽出物。
【請求項9】
以下の工程を含む方法によって調製されることを特徴とする請求項7記載のココア抽出物:
ココア豆を粉末に粉砕し、
粉末を脱脂し、
粉末からココアポリフェノールを抽出し、さらに
得られた抽出物を精製する。
【請求項10】
前記ココア豆を粉末に粉砕する工程が、
豆およびパルプを凍結乾燥し、
凍結乾燥された塊を脱パルプ化し、
凍結乾燥されたココア豆を脱穀し、さらに
脱穀された豆を粉砕することを含む、請求項9記載のココア抽出物。
【請求項11】
前記調製方法が、ゲル濾過クロマトグラフィーおよび/または高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により抽出物を精製することを含む、請求項9または10記載のココア抽出物。
【請求項12】
前記ココア豆が未発酵のものである請求項9から11いずれか1項記載のココア抽出物。
【請求項13】
少なくとも1つの4量体から12量体のココアプロシアニジンオリゴマーを含有するココア抽出物、および担体を含む、経口投与用の液体調製物。
【請求項14】
請求項1記載のココア抽出物、および担体を含む、経口投与用の液体調製物。
【請求項15】
懸濁物、シロップまたは内用液であることを特徴とする請求13または14記載の液体調製物。
【請求項16】
少なくとも1つの4量体から12量体のココアプロシアニジンオリゴマーを含有するココア抽出物を用いることを含む、請求項13記載の液体調製物を作成する方法。
【請求項17】
少なくとも1つの5量体から12量体のココアプロシアニジンオリゴマーを含むココアポリフェノールを含有するココア抽出物を用いることを含む、請求項13記載の液体調製物を作成する方法。
【請求項18】
請求項7記載のココア抽出物を含む、抗酸化または保存組成物。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図7H】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図8H】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9G】
【図9H】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図10G】
【図10H】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【図11G】
【図11H】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【図12F】
【図12G】
【図12H】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図13E】
【図13F】
【図13G】
【図13H】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図15E】
【図15F】
【図15G】
【図15H】
【図15I】
【図15J】
【図15K】
【図15L】
【図15M】
【図15N】
【図15O】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図7H】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図8H】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9G】
【図9H】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図10G】
【図10H】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【図11G】
【図11H】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【図12F】
【図12G】
【図12H】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図13E】
【図13F】
【図13G】
【図13H】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図15E】
【図15F】
【図15G】
【図15H】
【図15I】
【図15J】
【図15K】
【図15L】
【図15M】
【図15N】
【図15O】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2009−286796(P2009−286796A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203541(P2009−203541)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【分割の表示】特願平8−512152の分割
【原出願日】平成7年10月3日(1995.10.3)
【出願人】(509248154)マーズ インコーポレーテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】MARS, INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【分割の表示】特願平8−512152の分割
【原出願日】平成7年10月3日(1995.10.3)
【出願人】(509248154)マーズ インコーポレーテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】MARS, INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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