説明

抗炎症性、抗アレルギー性及び抗喘息性の活性を有するズダヤクシュ抽出物及びこれから単離されたチアレリン酸(tiarellicacid)を含有する組成物

本発明は、抗炎症性、抗アレルギー性及び抗喘息性の活性を有するズダヤクシュ(Tiarella Polyphylla)抽出物及びこれから単離されたチアレリン酸(tiarellic acid)を含む組成物に関する。ズダヤクシュ抽出物及びこれから単離されたチアレリン酸は、OVA誘導性喘息マウスのインビトロテストにおけるLTC放出の抑制効果、IgEレベル及びサイトカイン(IL−4、IL−5及びIL−13)産生の抑制効果、気道過敏性の抑制効果、並びに白血球浸潤の抑制効果を示す。したがって、本発明は、炎症性、アレルギー性及び喘息性の疾患を治療及び予防するための治療剤又は機能性健康食品として使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗炎症性、抗アレルギー性及び抗喘息性の活性を有するズダヤクシュ(Tiarella Polyphylla)抽出物及びこれから単離されたチアレリン酸(tiarellic acid)を含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
喘息(asthma)とは、気道に発生する複合症候群であって、例えば気道障害、急性又は慢性炎症、気道過敏性(airway hyper-responsiveness)(AHR)及び構造的リモデリング(Kumar R. K.の論文 Pharmacol. Ther., 91, pp 93-104, 2001)などの多様な疾患が現れる。
気道に発生するアレルギー性炎症は、喘息発達に重要な役割を果たすものと報告されており、アレルギー性喘息に苦しむ患者の数は、最近、世界人口の約10%まで増加した。その数は米国において1700万名に達し、アレルギー性喘息治療剤の米国市場の規模は現在まで約6400億米ドルであると報告されている。
【0003】
喘息は、2つの型、すなわち外因性喘息と内因性喘息に分けられる。主要抗原としてのイエホコリダニ(デルマトファゴイド類(Dermatophagoides))、花粉、動物の上皮、カビなどの抗原への曝露により引き起こされる外因性喘息は、該抗原に対する皮膚試験又は気管支誘発試験において陽性反応を示し、かつ一般的には若者において発生する。上気道感染、運動、情緒不安、寒冷気候及び湿度の変化などにより引き起こされる内因性喘息は、成人患者に起こる。
【0004】
病態生理学的な側面によると、喘息は、以下の過程によって起こる慢性的炎症として認識されている;T−helper2免疫細胞で再生産されるサイトカインによって炎症細胞が増殖、分化及び活性化され、気道又は気道周辺組織に移動する。好中球(neutrophil)や肥満細胞(mast cell)などの活性化された炎症細胞は、サイトカイン、ケモカイン、シグナル分子、接着分子及び成長因子などの多様な炎症媒介因子を放出し、気道中の構造細胞は喘息の多様な段階に関与する(Elias JA らの論文, J Clin Invest., 111, pp 291-7, 2003)。ノックアウトマウスモデルを用いた多数の研究及び臨床的研究において、喘息における決定的所見は、例えば免疫反応、好中球増加症(eosinophilia)、AHR及び構造的リモデリングなどの幾つかの特徴的パラメータに落とし込むことができた(Moffatt JD.の論文, Pharmacol Ther. 107, pp 343-57, 2005; Spina D らの論文, Trends Pharmacol Sci, 23, pp 311-5, 2002)。各々のパラメータは、互いに直接関連していないようであるが、IgE介在性免疫反応及び好中球増加症はアレルギー性喘息の気道における重要な症状であり(Bochner B.S. らの論文, Annu. Rev. Immunol., 12, pp 295-335, 1994; Bousquet H らの論文 N. Med. 323, pp 1033-9, 1990)、アレルギー過程で産生されたIL−4、IL−5、及びIL−13などのサイトカインもAHRの進行及び気道リモデリングに重要な役割を果たす(Riffo-Vasquez Y らの論文, Pharmacol. Ther., 94, pp 185-211, 2002)。実際、喘息は組織化された炎症の結果であり、その多くは喘息の気道に作用する特異的阻害剤に関連し、例えばヒスタミンH1拮抗剤、トロンボキサン拮抗剤、血小板活性化因子拮抗剤、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、窒素モノオキシゲナーゼ阻害剤、及びプロスタグランジン阻害剤が臨床試験に試みられたが、失敗した(Moffatt J.D.の論文, Pharmacol. Ther., 107, pp 343-57, 2005)。反面、サイトカイン合成及びサイトカイン介在性免疫細胞生存の広範囲な阻害によって炎症細胞の先駆レベルを基準にまで抑制するグルココルチコイドは、現在まで30年の期間にわたって喘息患者の症状を管理するのに用いられてきた(Baatjes A. J. らの論文, Pharmacol, Ther., 95, pp 63-72, 2002)。これらの報告は、喘息管理のための治療学的アプローチは、喘息過程の特定経路の強力な阻害剤の検索よりもむしろ、喘息的パラメータの均衡を回復することに焦点を合わせるべきであるということを示唆している。
【0005】
ズダヤクシュ(Tiarella Polyphylla)D.Don(ユキノシタ科(Saxifragaceae))は、韓国において、ズダヤクシュ属に属する単一種である。ズダヤクシュD.Donは中国の南西部に自生しているが、韓国においては鬱陵島の山頂でのみ自生している。以前に、コロソリン酸(corosolic acid)、トルメンチン酸(tormentic acid)などと共にチアレリン酸(tiarellic acid)が単離されており(Park らの論文, Arch Pharm Res., 25, pp 57-60, 2002)、及び他のグループは、紫外線を照射した線維芽細胞におけるMMP−1及び1型プロコラーゲンの発現における阻害的効果を報告した (Moon らの論文, J Ethnopharmacol., 98, pp 185-189, 2005)。
【0006】
しかしながら、引用により本明細書に組み込まれる上記文献の全てにおいて、ズダヤクシュ抽出物及びこれから単離されたチアレリン酸の抗炎症性、抗アレルギー性及び抗喘息性における抑制的効果については、報告又は開示されていない。
したがって、本発明者らは、ズダヤクシュ抽出物及びこれから単離されたチアレリン酸が、インビトロにおけるLTC放出に対するチアレリンの酸抑制効果、並びにIgEレベル及びサイトカイン(IL−4、IL−5及びIL−13)産生、気道過敏性、及び喘息の管理に寄与するものと予想されるOVA誘導型喘息マウスにおける白血球浸潤における抑制的効果を示すことを見出した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(技術的課題)
したがって、今日までに、毒性がなく、炎症性、アレルギー性及び喘息性の疾患を治療並びに予防するためのより有効な薬剤を発見する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(技術的解決)
したがって、本発明の目的は、炎症性、アレルギー性及び喘息性の疾患を治療及び予防するための活性成分としてズダヤクシュ粗抽出物又はズダヤクシュの有機溶媒可溶性抽出物を含有する組成物を提供することにある。
本明細書に記載の用語「粗抽出物」は、水、例えばメタノール、エタノールなどのC〜C低級アルコール、好ましくはメタノール及びその類似体、又はそれらの混合物などを用いて植物材料を抽出することにより製造される抽出物を含む。
本明細書に記載の用語「有機溶媒可溶性抽出物」は、上述した粗抽出物を、有機溶媒、例えばブタノール、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタン又はヘキサン、好ましくはブタノールで抽出することにより製造できる。
【0009】
本発明は、下記化学式1で表される、ズダヤクシュ粗抽出物又は有機溶媒可溶抽出物から単離されたチアレリン酸を含有する医薬組成物、又は炎症性、アレルギー性及び喘息性の疾患の予防及び治療のための有効量を活性成分とするその医薬として許容し得る塩を提供する。
【化1】

【0010】
本発明の別の態様に従って、炎症性、アレルギー性及び喘息性の疾患を治療又は予防するための薬剤の製造のためのズダヤクシュ粗抽出物又は有機溶媒可溶抽出物、若しくはそれから単離されたチアレリン酸の使用を提供する。
本発明の別の様態において、哺乳類における炎症性、アレルギー性及び喘息性の疾患を治療又は予防するための方法を提供する。該方法は、炎症性、アレルギー性及び喘息性の疾患に苦しむ哺乳類にズダヤクシュ粗抽出物又は有機溶媒可溶抽出物又はこれから単離されたチアレリン酸の治療学有効量を投与することを含む。
ズダヤクシュから単離された発明的抽出物及びそれから単離されたチアレリン酸は、以下の好適な実施態様によって製造できる。
【発明の効果】
【0011】
(有利な効果)
本発明は、炎症性、アレルギー性及び喘息性の疾患を治療及び予防するための有効量での活性成分としてズダヤクシュ抽出物又はそれから単離したチアレリン酸を含む、医薬組成物及び健康食品を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に記述する。
本発明に関して、例えば、乾燥させたズダヤクシュの植物体全体を小片に切り、該小片を、2〜20倍容量、好ましくは5〜10倍容量の極性溶媒、例えば水、C〜Cの低級アルコール例えばメタノール、エタノール、ブタノールなど、又はそれらの混合物、好ましくはメタノール、と共に混合し;及び、熱水を用いる還流抽出、冷水抽出、超音波抽出、又は従来型の抽出、好ましくは冷水抽出によって、20〜100℃、好ましくは20〜50℃にて、10〜48時間、好ましくは20〜30時間にわたり加熱し;残渣は濾過を濾過し、その後それらの極性溶媒可溶抽出物を収得するために該濾過物を乾燥させた。
上記ステップによって製造された上記粗抽出物を、水に懸濁した後、前記懸濁液を、約1〜100倍、好ましくは1〜5倍の体積の有機溶媒ブタノール、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタン又はヘキサン、好ましくはブタノールと混合し、本発明の有機溶媒可溶抽出物を収得する。
【0013】
前記有機溶媒可溶抽出物をさらに、シリカゲルで充填されたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(70〜230メッシュ、8.5×65cm)に供し、n−ヘキサン:酢酸エチル(酢酸エチル10〜20%、段階勾配)及びクロロホルム:メタノール(メタノール0〜100%、段階勾配)の混合溶媒で溶出して、9つの画分を得る。該画分のうち6番目の画分は、順相シリカゲルカラム(シリカゲル、230〜400メッシュ、6.0×60cm、クロロホルム−メタノール混合物、メタノール5〜50%段階勾配)を用いてさらに再びシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、本発明のチアレリン酸を収得する。NMR(H、13C、DEPT、HMQC、HMBC)、EI−MS、及び以前に報告された旋光度(optical rotation)によって構造が確認された(Park らの論文, Arch Pharm Res., 25, pp 57-60, 2002)。純度は、HPLCシステム(Shimadzu社 SCL-1OA搭載SPD-M 1OA vp PDA検出器, カラム; Phenomenex Synergi 4 um Fusion RP-80, 4.6x50 mm, 溶出: ACN/0.1% TFA含有DW, 4/1, v/v).)によって99.5%より高いと分析された。
【0014】
本発明の別の態様に従って、炎症性、アレルギー性及び喘息性の疾患のを予防及び治療するための活性成分として前述した製造方法によって単離されたズダヤクシュの粗抽出物及び有機溶媒可溶抽出物、又はチアレリン酸を含有する、医薬組成物を提供する。
本発明の別の態様に従って、炎症性、アレルギー性及び喘息性の疾患を治療及び予防する薬剤を生産するための前述した製造方法による、ズダヤクシュ粗抽出物及び有機溶媒可溶抽出物、又はチアレリン酸の使用を提供する。
本発明の別の態様に従って、炎症性、アレルギー性及び喘息性の疾患を治療又は予防するための方法も提供し、該方法は、前述した製造方法で製造されたズダヤクシュ粗抽出物及び有機溶媒可溶抽出物、又は単離されたチアレリン酸を含有する治療的有効量の投与を含む。
【0015】
化学式(I)で表される発明的化合物は、当業界に周知の従来法によって、医薬として許容し得る塩及び溶媒和物に変形できる。塩に関して、医薬として許容し得るその遊離酸によって形成されるその酸付加塩は、有用であり、かつ従来法で製造できる。例えば、酸溶液の過剰量に化合物を溶解させた後、該塩を、メタノール、エタノール、アセトン又はアセトニトリルなどの水混和性有機溶媒で沈殿させてその酸付加塩を調製し、さらに化合物と、水又はアルコール例えばグリコールモノメチルエーテルで希釈した酸との等量混合物を加熱し、その次に蒸発により乾燥させるか又は減圧下で濾過して、その乾燥塩形態を得ることができる。
【0016】
上記方法の遊離酸として、有機酸又は無機酸が使用できる。例えば、 有機酸としては、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、シュウ酸、安息香酸、乳酸、グリコール酸、グルコン酸、ガラクツロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グルクロン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、炭酸、バニリン酸、ヨウ化水素酸などを本明細書で使用することができ、無機酸としては、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸、酒石酸などを本明細書で使用することができる。
【0017】
さらに、塩基を用いることにより、発明的化合物の医薬として許容し得る金属塩を製造することができる。そのアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩は、従来法で製造できるが、例えば化合物を過剰量のアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物溶液中に溶解させた後、不溶性塩を濾過し、フィルターに残った物質を蒸発させ、その金属塩を収得する。本発明の金属塩としては、ナトリウム、カリウム又はカルシウム塩が医薬的に適し、また、これに対応する銀塩は、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を適切な銀塩(例えば硝酸銀)と反応させて調整することができる。
【0018】
前記化合物の医薬として許容し得る塩は、本明細書に特に示さない場合、該化合物に存在し得る全ての酸性又は塩基性の塩を含む。例えば、本発明の医薬として許容し得る塩は、例えばそのナトリウム、カルシウム及びカリウム塩などのヒドロキシル基の塩;及び例えば臭化水素塩、硫酸塩、水素硫酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、酢酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩(メシラート)、及びp−トルエンスルホン酸塩(トシレート)などのアミノ基の塩を含み、これらは当業界で知られている従来法によって製造できる。
炎症性、アレルギー性及び喘息性の疾患を予防及び治療するための発明的組成物は、前記抽出物又は該組成物の総重量に基づく重量の0.1〜50%の化合物を含んでよい。
【0019】
本発明による組成物は、医薬として許容し得るキャリア、アジュバント、又は 希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルギン酸塩、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシ安息香酸、プロピルヒドロキシ安息香酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱物油を含有する医薬組成物として提供できる。該製剤は、充填剤、抗アグルチナート化剤(anti-agglutinating agent)、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤、保存料などを追加的に含んでよい。本発明の組成物は、当業界で周知の任意の手順を使用することによる患者への該組成物の投与後、該活性成分が即時放出、持続放出又は遅延放出されるように製剤してもよい。
【0020】
例えば、本発明の組成物は、注射剤の生産に一般的に使用される、オイル、プロピレングリコール又は他の溶媒に溶解できる。キャリアの適切な例としては、生理食塩水、ポリエチレングリコール、エタノール、植物性オイル、ミリスチン酸イソプロピルなどを含むが、これらに限定されない。局所投与のために、本発明の抽出物は軟膏又はクリームの形で製造できる。
【0021】
本発明の組成物を含む医薬製剤は、経口剤形(粉末剤、錠剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤、液状薬、シロップ、エリキシル丸薬、粉末剤、サシェ(sachet)、顆粒剤)、又は局所用製剤(クリーム、軟膏、ローション、ゲル、バーム(balm)、パッチ(patch)、ペースト、スプレー溶液、エアロゾルなど)、又は注射用製剤(溶液、懸濁液、エマルジョン)などのいずれの形態でも製造できる。
医薬剤形における、本発明の組成物は、これらの医薬として許容し得る塩の形態で使用してもよく、単独で又は適切な集合形態で、並びに他の薬学的活性化合物との組み合わせで使用してもよい。
【0022】
本発明の抽出物又は化合物の好ましい投与量は、投与対象の状態及び体重、重症度、薬物形態、投与経路及び期間などによって異なるが、当業者により選択され得る。しかしながら、所望の効果を得るためには、一般的に、本発明の発明的抽出物は重量/日として0.0001〜100mg/kg、好ましくは0.001〜10mg/kgの範囲の量で投与することを推奨する。該用量を、1日に1回又は数回に分けて投与してもよい。
本発明の医薬組成物は、多様な経路を介して哺乳類(ラット、マウス、家畜又はヒトなど)などの対象動物に投与できる。投与の全ての様式が考慮されるが、投与は例えば経口、直腸を介して、又は静脈、筋肉、皮下、皮内、くも膜下、硬膜外、又は脳室内注射によって行われることが可能である。
【0023】
本発明の他の目的は、炎症性、アレルギー性及び喘息性の疾患の予防、及び緩和のための食品学的に許容される添加物と共に、ズダヤクシュ抽出物又はこれから単離された化合物を含む機能性健康食品を提供することにある。
機能性健康食品の開発のために、本発明の上記抽出物又は化合物を含む添加食品の例は、多様な食品、飲料、ガムである。ビタミン複合体、健康増進食品及びこれと類似のものは、粉末剤、顆粒剤、錠剤、チューイン錠剤、カプセル剤又は飲料などとして使用できる。
上述した組成物は、食品、添加剤又は飲料に添加できる。ここで、食品又は飲料中の上記抽出物又は化合物の量は、一般に、健康食品組成物の食品総重量の約0.01〜80重量/重量%、好ましくは0.01〜15重量/重量%の範囲であり、並びに健康飲料組成物100mL当りの割合で0.02〜5g、好ましくは0.3〜1gである。
【0024】
本発明の健康飲料組成物が上記抽出物又は化合物を重要構成成分として提示割合で含んでいる場合を条件として、他の液体成分の特別な制限はなく、ここで、他の構成成分は、通常の飲料のように様々な防臭剤(deodorant)又は天然炭水化物などを意味する。上述した天然炭水化物の例としては、例えばグルコース、果糖などの単糖類;例えばマルトース、スクロースなどの二糖類;例えばデキストリン、シクロテキストリンなどの通常の糖;及び例えばキシリトール、エリトリトール(erythritol)などの糖アルコール;などがある。上述したもの以外の防臭剤として、天然防臭剤(タウマチン(taumatin))、ステビア抽出物(例えば、レバウジオシド(levaudioside)A、グリシルヒジン(glycyrrhizin)など)及び合成防臭剤(例えばサッカリン、アスパルテームなど)を有用に使用することができる。前記天然炭水化物の量は、本飲料組成物100□当り一般に約1〜20g、好ましくは約5〜12gの範囲である。
【0025】
前述した組成物とは異なる構成成分は、多様な栄養成分、ビタミン、鉱物又は電解質、合成香料、着色剤及び増進剤(チーズ、チョコレートなどの場合)、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド粘着剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に用いられる炭化剤などがある。これらの構成成分とは異なる構成成分は、天然果物ジュースを製造するための果物ジュース、果物ジュース飲料及び野菜飲料であってよく、ここで、該構成成分は、独立に又は組み合わせて使用することができる。構成成分の割合は、あまり重要ではないが、一般的には100重量/重量%の本組成物当り0〜約20重量/重量%程度の範囲である。上述した抽出物を含む添加食品の例は、様々な食物、飲料、ガム、ビタミン複合体、健康増進食品及びこれと類似のものがある。
本発明の発明的抽出物は、毒性及び副作用がないので、安全に使用できる。
本発明は、以下の実施例にさらに具体的に説明される。しかし、いかなる場合においても、 本発明はこれらの実施例によって限定されないことは理解されるべきである。
【0026】
(本発明を実施するための最良の様式)
本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、本発明の組成物、使用及び製造において多様な改良及び変化を加え得ることは、当業者には自明なことである。
本発明は、以下の実施例によってさらに具体的に説明される。しかし、いかなる場合においても、本発明はこれらの実施例に限定されるものではないことは理解されるべきである。
(本発明の様式)
本発明は、以下の実施例によってさらに具体的に説明される。しかし、いかなる場合においても、本発明はこれらの実施例に限定されるものではないことは理解されるべきである。
【実施例】
【0027】
以下の参考例、実施例及び実験例は、その範囲を限定するものではなく、本発明をさらに詳しく説明することを意図する。
(実施例1)ズダヤクシュ粗抽出物の製造
2003年8月韓国、鬱陵島でズダヤクシュを収集し、その標本(PEB 3068)は、韓国、大田にあるKRIBB(Korea Reseach Institute of Bioscience and Biotechnology)の植物抽出物バンクに寄託された。
乾燥したズダヤクシュ1.1kgを粉末化し、5Lのメタノールと混合し、この混合物を室温で24時間攪拌し、3回にわたって冷浸抽出を行った。抽出物は、ろ紙で濾して残渣を除去した。ろ液を収集し、減圧下で回転蒸発装置によって55〜65℃で濃縮し、凍結乾燥機で乾燥させて、100.5gの乾燥したズダヤクシュ粗抽出物を収得した。
【0028】
(実施例2)ブタノール可溶性画分製造
蒸留水1Lを、実施例1で収得した粗抽出物100.5gに添加した。分液漏斗にて、該混合物にブタノール1Lを加えてはげしく混合し、ブタノール溶解層と水溶解層に分離した。
前記ブタノール溶解層を、回転蒸発装置で濃縮し、凍結乾燥機で乾燥させてブタノール可溶抽出物を得、最終的に、次の実験に試料として使用する、ブタノール可溶抽出物80.0g及び水可溶性抽出物を収得した。
【0029】
(実施例3)ズダヤクシュ抽出物からのチアレリン酸の製造
乾燥したズダヤクシュ3.29kgは、室温にて2回メタノール(10L)抽出し、352gの抽出物を得た。この抽出物を水1Lに懸濁し、同量のn−ヘキサンで分画した。n−ヘキサン可溶画分65.1gを、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(70〜230メッシュ、8.5×65cm)に供し、n−ヘキサン−酢酸エチル混合物(酢酸エチル10〜20%、段階勾配)、及びクロロホルム−メタノール混合物(メタノール0〜100%、段階勾配)で溶出させ、成功的に、9つの画分を得た(Fr.1〜Fr.9)。Fr.6の7.4g(クロロホルム−メタノール9/1〜7/3、v/v)を、順相シリカカラム(シリカゲル、230〜400メッシュ、6.0×6.0cm、クロロホルム−メタノール混合物、メタノール5〜50%段階勾配)を使用するカラムクロマトグラフィーに供し、400mgのチアレリン酸を収得した。構造は、前述したようにNMR(H、13C、DEPT、HMQC、HMBC)、EI−MS及び旋光度で確認し(Park らの論文, Arch Pharm Res., 25, pp 57-60, 2002)、99.5%より高いの純度であることが、HPLCシステム(Shimadzu社 SCL-1OA搭載SPD-M 1OA vp PDA検出器, カラム; Phenomenex Synergi 4 um Fusion RP-80, 4.6x50 mm, 溶出: ACN/0.1% TFA含有DW, 4/1, v/v).)によって分析された。
【0030】
チアレリン酸
針状 (MeOH);
mp 254-256℃ ;
[a]23D +94 (ピリジン, c 0.14);
IR (KBr, cm-1): 3491 (OH), 1689 (CO), 1645 (C=C), 1450, 1388, 1262, 1222, 1044; HRMS m/z 472.3552 (M+, 計算値 C30H48O4: 472.3553);
EIMS (rel. int.) m/z: 472 [M]+ (61), 454 [M-H2O]+ (34), 436 [M-2H2O]+ (62), 424 (42), 396 (26), 205 (75), 187 (71), 175 (87), 173 (100);
13C-NMR (150 MHz, ピリジン-d5): 13.0 (C-24), 17.4 (C-25), 17.5 (C-26), 18.7 (C-6), 18.8 (C-28), 19.4 (C-30), 21.3 (C-11), 25.8 (C-15), 26.7 (C-12), 27.9 (C-2), 30.1 (C-21), 37.7 (C-10), 38.2 (C-7), 38.3 (C-16), 39.2 (C-1), 39.6 (C-13), 40.4 (C-22), 40.8 (C-8), 42.9 (C-4), 43.0 (C-17), 48.1 (C-19), 49.2 (C-5), 51.4 (C-18), 51.6 (C-9), 60.4 (C-14), 68.2 (C-23), 73.6 (C-3), 110.2 (C-29), 150.9 (C-20), 178.3 (C-27).
1H-NMR (600 MHz, ピリジン-d5): 1.05, 1.71 (2H, m, 各々, H-1), 1.82, 1.91 (2H, m, 各々, H-2), 4.02 (1H, dd, J = 4.7, 11.6 Hz, H-3), 1.51 (1H, dd, J = 1.5, 12.0 Hz, H-5), 1.48, 1.65 (2H, m, 各々, H-6), 1.87, 2.06 (2H, m, 各々, H-7), 2.02 (1H, dd, J = 1.7, 12.7 Hz, H-9), 1.32, 1.64 (2H, m, 各々, H-11), 1.87, 2.60 (2H, m, 各々, H-12), 1.88 (1H, m, H-13), 1.67, 2.28 (2H, m, 各々, H-15), 1.70, 1.78 (2H, m, 各々, H-16), 1.81 (1H, m, H-18), 2.60 (1H, m, H-19), 1.36, 1.97 (2H, m, 各々, H-21), 1.16, 1.40 (2H, m, 各々, H-22), 3.57, 4.07 (2H, d, J=10.4, 各々, H-23), 1.04 (3H, s, H-24), 1.01 (3H, s, H-25), 1.21 (3H, s, H-26), 0.90 (1H, s, H-28). 4.76, 4.96 (2H, s, 各々, H-29), 1.86 (3H, d, J = 6.4 Hz, H-30).
【0031】
(実験例1)動物感作及び気道感作
マウス群(n=5〜6)で実験した;以下の処理を行った:
(1)リン酸−緩衝生理液(PBS;ipNeb)を用いたシャム感作(sham-sensitization)及び誘発;(2)OVA(卵白アルブミン:Sigma社 A5503;Sigma、St.Louis、MO)(ibNeb)を用いた感作及び誘発;(3)OVA(ip)を用いた感作、並びにOVA(Neb)及び試料(チアレリン酸又はジレウトン(zileuton)、po)を用いた誘発。手短にいうと、2mgの水酸化アルミニウムを用いて100μlのPBS緩衝液(pH 7.4)中に乳化させた20μgのOVAを、0日目及び11日目に腹膜注射することにより、マウスを感作させた。最初の感作後の19、20、21及び25日目に、超音波噴霧器(NE−U12;Omron社、Tokyo,Japan)を使用して20分間、OVA(PBS中1%)を用いて、気道でマウスを誘発させた。最後の誘発(27日目)の48時間後にマウスを犠牲にし、アレルギー性喘息の気道上におけるズダヤクシュ抽出物及びチアレリン酸の抑制効果を測定した。
【0032】
(実験例2)MTTアッセイ
ズダヤクシュの発明的抽出物及びそれから単離されたチアレリン酸の細胞毒性活性を調べるために、MTT((3-[4,5-ジメチルチアゾール-2-イル]-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド)アッセイ法を、次の手順で実施した(Wang Z らの論文, Biol., Pharm. Bull., 24, pp 159-162, 2001)。
前骨髄HL−60細胞(HL−18103、5×10細胞/mL)を、NGF欠乏条件の下で96ウェルプレートに播いた。24時間のインキュベーション後、細胞を、DMSO10μLとMTT溶液10μL(5/mL)に溶解された試料の混合物で処理し、同様の条件下で4時間インキュベートした。4時間後、MTTを除去し、DMSO100μLを各ウェルに滴下して、結晶を溶解させた。UV吸収を、マイクロプレートリーダー(BIO−RAD社、米国)で570nmにて測定し、細胞生存率を計算した。
表1に示すように、本発明の発明的抽出物又は化合物は、細胞毒性を示さないことを確認した。
【表1】

【0033】
(実験例3)骨髄由来肥満細胞(BMMC)の調整及び活性化
BMMCを、オスのBalb/cマウスから収得し、IL−3(Sigma社 I4144、2ng/mL)と共に10%牛胎仔血清を含有する50%富栄養培地(2mM L−グルタミン、25mM HEPESバッファ、2mg/mL重炭酸ナトリウム、100ユニット/mLペニシリンG、100μg/mLストレプトマイシン硫酸塩、0.25μg/mLアンフォテリシンB)(Murakami M らの論文, J. Bio. Chem., 39, pp 22653-22656, 1995)中で4週まで培養した。培養の3週後、トルイジンブルーを用いた染色方法により、調査した細胞において、98%よりも高頻度にBMMCが見出された。
【0034】
BMMCを1×10細胞/mLの細胞密度で富栄養培地に懸濁し、しかる後、37℃で30分間DMSO(最終DMSO濃度は0.5%より低い)に試料と共に又は試料なしで湿っぽい5%CO培養器にてインキュベートした。幹細胞因子(SCF、Sigma社、S9915、100ng/mL)で20分間刺激した後、上清液におけるLTC放出を、製造社の指示に従い、酵素免疫アッセイキット(Cayman Chemical社、Ann Arbor、MI、米国)で測定した。
全ての実験は3回反復で実施し、LTC放出の阻害は、対照群からLTC放出の減少百分率(%)を計算することにより測定した(Lee SH らの論文, Biol. Pharm. Bull., 27, pp786-788, 2004)。
【0035】
(実験例4)LTC放出におけるズダヤクシュ抽出物及びチアレリン酸の効果
実施例3で記述したように、システイニルロイコトリエン(cysteinyl leukotriene) 放出におけるズダヤクシュ抽出物及びチアレリン酸の阻害効果は、LTC−モノクローナル抗体ELISA法を使用するBMMBで測定した。
チアレリン酸のIC50は、5−リポキシゲナーゼ阻害剤として知られているジレウトン(zileuton)よりは低いが、著しかった(表2を参照されたい)。
【表2】

【0036】
(実験例5)気道過敏(AHR)におけるズダヤクシュ抽出物及びチアレリン酸の効果
最終エアロゾル誘発の24時間後、身体全体のプレチスモグフィー(plethysmography)(OCP3000;Allmedicus、韓国)(Hamelmann E らの論文, Am J Respir Crit Care Med., 156, pp 766-775, 1997)を用いてAHRを測定した。各々のマウスを、ブロメトリックプレチスモグラフィーチャンバ(bronmetric phlethysmographic chamber)に置き、エアロゾイル化PBSの後、エアゾロイル化メタコリン(12.5、25及び50mg/mL)の増加濃度で3分間誘発させた。気管支収縮(bronchoconstriction)を、各濃度で5分間さらに記録した。各試料の最も高いPenh値は、各々のメタコリン誘発中に得られ、対照群(PBS)の誘発に対応する基礎Penh値の百分率で表現した。
【0037】
表3に示すように、OVA処理群のPenh値は、メタコリン5〜20mg/mLの濃度でPBS対照群(P<0.05)の場合より著しく高かった。チアレリン酸+OVA誘発群におけるPenh値は、OVA処理群(P<0.05)と比較して顕著に減少していた。抗喘息薬として開発されたジレウトン(zileuton)の陽性対照群は、チアレリン酸よりは少ないが、AHRの減少を示した(図2を参照されたい)。
【表3】

【0038】
(実験例6)OVA−特異的IgEにおけるチアレリン酸の効果
最終誘発48時間後、マウスに対してペントバルビタール(pentobarbital)(Sigma社 P3761)を過量使用して致死させ、気管切開術を行った。氷冷PBS(0.5mL)を肺に流入した後、導管カニューレ挿入(tracheal cannulation)を介して3回吸入させることにより、気管支肺胞洗浄液(BALF)を収得した。BALFを遠心分離して、上清液を収集し、使用前に−70℃で貯蔵した。BALF内のIL−4、IL−5及びIL−13の量は、製造社の指示に従い、特異的マウスELISAキット(R&D systems社;Minneapolis、MN)で測定した。該アッセイの検出限界は250pg/mLであった。
【0039】
気管切開術の後、心臓穿刺(cardiac puncture)によって血漿を得た。マウスIgE抗体に対する補完的なキャプチャー(capture)及び検出抗体対は、BD OptEIA(Sandiego、CA)から購入し、IgE ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)を製造社の指示に従い実施した。血漿中の2倍数試料を1:100に希釈した。各試料における、IgEレベルを、450nmでの光学密度読み込みで測定し、OVA−特異的IgE濃度を、組み換えIgE(5〜2,000ng/mL)を使用した場合に作成した標準曲線から計算した。
表4に示すように、チアレリン酸処理マウスのIgEレベルは著しく減少し、かつジレウトンはチアレリン酸と同様の抑制効果を示した。
【0040】
【表4】

【0041】
(実験例7)サイトカインレベルにおけるズダヤクシュ抽出物及びチアレリン酸の効果
OVAで誘発した喘息マウスでのサイトカイン放出におけるズダヤクシュ抽出物及びチアレリン酸の効果を確認するために、最終誘発48時間後、BALF中のサイトカインレベル(IL−4、IL−5、及びIL−13)をELISA法で測定した。
表5に示すように、チアレリン酸処理群において、サイトカインは著しく抑制された;OVA誘導群よりも、IL−4、IL−5及びIL−13においてそれぞれ90.5±4.0%、54.6±23.0%、及び43.7±28.2%さらに減少した(P<0.05)。チアレリン酸よりはずっと少なかったが、ジレウトンも対照群より減少した活性が示された。これらの結果は、チアレリン酸が、喘息モデルのBALF中のIL−4、IL−5、及びIL−13の濃度を著しく減少させたことを示す。
【0042】
【表5】

【0043】
(実験例8)肺組織のOVA誘導性の炎症におけるズダヤクシュ抽出物及びチアレリン酸の効果
肺組織を10%中性バッファ化されたホルマリン溶液に24時間固定した。パラフィンに包埋した後、該組成をスライスして厚さ4μmの切片を作成し、H&E溶液(ヘマトキシリン;Sigma社 MHS−16及びエオシン、Sigma社 HT110−1−32)で染色した。その後、染色された組織をマウントし、ダコ−マウンティングメディウム(Dako-mounting medium)(Dakocytomation;Denmark Carpinteria CA)でカバースリップを覆った。気道における細胞浸潤の度合いは、2つの独立的調査(Myou S らの論文, J. Exp. Med., 198, pp1573-1582, 2003)によって実施されるダブルブラインドテスト(double-blind test)で点数化した。抹消細気管支(peri-bronchiole)及び抹消血管の炎症は、特定の基準すなわち、0〜3の点数によって評価した:0,細胞なし;1,若干の細胞;2,1〜5細胞層深のリング;3,5細胞層深よりも深いリング。白血球浸潤(leukocyte infiltration)におけるズダヤクシュ抽出物及びチアレリン酸の抑制効果を評価するために、炎症の度合いを、最終誘発48時間後に肺組織において定量的分析で点数化した(図2を参照されたい)。
図1に示すように、チアレリン酸は、OVA誘導マウスの肺組織炎症において最も強力な抑制効果を示し、次にズダヤクシュ抽出物及びジレウトンであった。肺組織のH&E染色において、OVA処理マウス内の白血球は、正常マウス由来の抹消細気管支及び抹消血管結合組織に大量浸潤した。ズダヤクシュ抽出物又はチアレリン酸処理されたマウスにおいて、好中球リッチ白血球の浸潤は、OVA処理マウスと比較して著しく弱化した。
【0044】
(実験例9)カラギナン(carageenan)誘導マウスの足部浮腫におけるズダヤクシュ抽出物及びチアレリン酸の効果
ICRマウスの浮腫形成において、上記実施例から調製したズダヤクシュ及びチアレリン酸の抑制活性は次のように決定された。
マウスは、各群当り6個体からなる3グループに分けた。すなわち、それぞれ、T1は陰性対照群として溶媒のみで処理されたグループ、T2はズダヤクシュ抽出物50mg/kgで処理されたグループ、T3はアスピリン50mg/kgで処理されたグループである。処理1時間後、1%カラギナン溶液をマウスの足首内に注入して浮腫を誘導し、Vernier’s caliperで足首の厚さを測定し、浮腫の度合いを測定した。測定された厚さを下記の数式1で計算した。
【数1】

【0045】
表6に示すように、浮腫は、処理後最大4時間目に最大値に至った。したがって、ズダヤクシュ抽出物及びチアレリン酸は、マウス足浮腫の強力な阻害効果を示したことが確認された。
【表6】

以下、製造方法及び賦形剤の種類について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。代表的な製造例は次の通りである。
【0046】
注射剤の製造
実施例1の乾燥粉末又はチアレリン酸 100mg
メタ重亜硫酸ナトリウム(Sodium metabisulfite)3.0mg
メチルパラベン 0.8mg
プロピルパラベン 0.1mg
注射用蒸留水 適量
注射剤の製造は、活性成分を溶解させ、約7.5にpHを調節した後、全成分を2mLのアンプルに充填し、通常の注射剤製造方法に従って滅菌することにより行われた。
【0047】
粉末剤の製造
実施例1の乾燥粉末又はチアレリン酸 500mg
トウモロコシ澱粉 100mg
乳糖 100mg
タルク 10mg
粉末剤の製造は、上記の成分を混合してシールパッケージに充填することにより実施した。
【0048】
錠剤の製造
実施例1の乾燥粉末又はチアレリン酸 200mg
トウモロコシ澱粉 100mg
乳糖 100mg
ステアリン酸マグネシウム 適量
錠剤の製造は、上記の成分を混合し、打錠することにより実施した。
【0049】
カプセル剤の製造
実施例1の乾燥粉末又はチアレリン酸 100mg
乳糖 50mg
トウモロコシ澱粉 50mg
タルク 2mg
ステアリン酸マグネシウム 適量
錠剤の製造は、上記の成分を混合し、通常のゼラチン製造方法によってゼラチンカプセルに充填することにより実施した。
【0050】
液剤の製造
実施例1の乾燥粉末又はチアレリン酸 1000mg
糖 20g
多糖類 20g
レモン香料(Lemon flavor) 20g
液剤の製造は、活性成分を溶解させた後、全成分を1000mLのアンプルに充填し、通常の液剤製造方法に従って滅菌することにより実施した。
【0051】
健康食品の製造
実施例1の乾燥粉末又はチアレリン酸 1000mg
ビタミン混合物 適量
ビタミンAアセテート 70mg
ビタミンE 1.0mg
ビタミンB 0.13mg
ビタミンB 0.15mg
ビタミンB 0.5mg
ビタミンB12 0.2mg
ビタミンC 10mg
ビオチン 10mg
ニコチン酸アミド 1.7mg
葉酸 50mg
パントテン酸カルシウム 0.5mg
無機質混合物 適量
硫酸第1鉄 1.75mg
酸化亜鉛 0.82mg
炭酸マグネシウム 25.3mg
リン酸一カリウム 15mg
リン酸二カルシウム 55mg
クエン酸カリウム 90mg
炭酸カルシウム 100mg
塩化マグネシウム 24.8mg
上記のビタミン及びミネラル混合物は様々に変化させることができる。このような多様性は本発明の領域及び思想から逸脱しているものとみなすべきではない。
【0052】
健康飲料の製造
実施例1の乾燥粉末又はチアレリン酸 1000mg
クエン酸 1000mg
オリゴ糖 100g
梅濃縮液 2g
タウリン 1g
精製水 900mL
健康飲料の製造は、活性成分を溶解させ、混合し、85℃で1時間攪拌し、ろ過して全ての構成成分を1000mLのアンプルに充填し、通常の健康飲料製造方法に従って滅菌することにより実施した。
上述した本発明は様々な方法で変化できることは明らかである。このような多様性は本発明の思想又は領域から逸脱しているとみなされるべきではなく、当業者に自明な全ての変形は請求の範囲の領域に含まれることを意図する。
【産業上の利用可能性】
【0053】
上述したように、本発明において、ズダヤクシュ抽出物及びこれから単離されたチアレリン酸は、インビトロにおけるLTC分泌に対するチアレリン酸の抑制効果を示し、IgEレベルの抑制効果及びサイトカイン(IL−4、IL−5及びIL−13)産生の抑制効果、気道過敏性の抑制効果、並びにOVA誘導性喘息マウスにおける白血球浸潤の抑制効果を示す。したがって、炎症性、アレルギー性及び喘息性の疾患の治療及び予防のための治療剤又は機能性健康食品として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
本発明の上記及び他の目的、特性及びその他の利点は、添付図面との関連で取り込まれる以下の詳細記載からより明確に理解されるであろう;
【図1】図1は、気管支肺胞の組織学的検査に使用された肺組織細胞におけるズダヤクシュ抽出物及びチアレリン酸の効果を示す(A:正常対照群マウス、B:PBS処理マウス、C:ズダヤクシュ抽出物処理マウス、D:チアレリン酸処理マウス)。
【図2】図2は、肺組織でのOVA誘導性炎症におけるズダヤクシュ抽出物及びチアレリン酸の抑制効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症性、アレルギー性及び喘息性の疾患を治療及び予防するための活性成分としてズダヤクシュの粗抽出物又は有機溶媒可溶抽出物を含む、医薬組成物。
【請求項2】
前記粗抽出物又は有機溶媒可溶抽出物が、水、低級アルコール、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタン、ヘキサン又はこれらの混合物よりなる群から選ばれた溶媒で抽出される、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
炎症性、アレルギー性及び喘息性の疾患を治療及び予防するための活性成分として、一般化学式(I)又はこれらの医薬として許容し得る塩で表されるチアレリン酸を含む、医薬組成物。
【化1】


【請求項4】
炎症性、アレルギー性及び喘息性の疾患を治療又は予防するために用いられる医薬の製造のための、請求項3記載のズダヤクシュの粗抽出物又は有機溶媒可溶抽出物若しくはチアレリン酸の使用。
【請求項5】
炎症性、アレルギー性及び喘息性の疾患に苦しんでいる哺乳類に、請求項3記載のズダヤクシュの粗抽出物又は有機溶媒可溶抽出物若しくはチアレリン酸の治療的有効量を投与する方法を含む、哺乳類の炎症性、アレルギー性及び喘息性の疾患の治療又は予防方法。
【請求項6】
炎症性、アレルギー性及び喘息性の疾患の予防及び改善のために、食品として許容し得る添加剤と共に、請求項3記載のズダヤクシュの粗抽出物又は有機溶媒可溶抽出物、若しくはチアレリン酸を含む、機能性健康食品。
【請求項7】
前記健康食品が、丸薬、粉末剤、顆粒剤、錠剤、チューイン錠剤、カプセル剤又は飲料タイプである、請求項6記載の機能性健康食品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−501787(P2009−501787A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522695(P2008−522695)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【国際出願番号】PCT/KR2006/002807
【国際公開番号】WO2007/011148
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(505093367)コリア リサーチ インスティチュート オブ バイオサイエンス アンド バイオテクノロジー (13)
【Fターム(参考)】