説明

抗炎症性活性を有する9A−アザライド

抗炎症活性を有するマクロライド、特に抗炎症活性を有する3位のクラジノースを欠く9a‐アザライドが記載され、その薬剤的に許容できる塩、及び活性成分としてそれらを含む薬剤組成物が記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗炎症性活性を有するマクロライド化合物に関し、特に、3位において、抗炎症性活性を有する、クラジノースを欠く9A−アザライド、薬剤的に許容可能なその塩、及び活性成分としてそれらを含む薬剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの抗生物質、抗菌性活性に加えて、抗炎症性活性を有することが知られている。[Clin. Immunother.,(1996)、6、454-464]。
【0003】
アジスロマイシン(The Merck Index, XIII Edition, No. 917, p.159)は、上部及び下部呼吸器経路、オドント口腔病感染、皮膚又は軟組織の感染、及び非淋菌性尿道炎(クラミジアトラコーマによって引き起される)、の感染の治療ぶいうて広く使用されるアザライドと一般に呼ばれる抗マイクロライドの分類の代表例である。
【0004】
従来のマイクロライドと比較して、アザライドは、広範な作用領域、よりよい組織浸透性、単一のディリー投与で十分であるなどの半減期を有する。
【0005】
最近、科学界の関心は、マクロライド抗生物質の抗炎症性活性及び免疫調製特性に向けられてきている(Journal of Antimicrobial Chemotherapy, (1998), 41, Suppl. B, 37-46)。
【0006】
これらの活性は、臨床的な研究、並びに生体内及び生体外の試験の両方において十分に実証されている。
【0007】
例えば、マイクロライドは、汎細気管支炎(panbronchiolitis)[Thorax, (1997), 52, 915-918],気管支喘息[Chest,(1991),99,670-673]、慢性閉塞性肺疾患(COPD)(CHEST 2001、120、730-733)、などの炎症性疾患の治療において有益であることが、証明されており、特に、アジスロマイシンは、嚢胞性線維症の患者における肺機能を改善する際に有効であることが見出された[The Lancet, (1998), 351, 420]。
【0008】
マクロライドの試験管内での活性は、例えば、好中球[The Journal of Immunology, 1997, 159, 3395-4005]、及びT-リンパ球[Life Sciences, 1992, 51, PL 231-236]などの免疫系のいくつかの細胞の代謝機能を調節する際、及び、
例えばインターロイキン8(IL−8)[Am. J. Respir, Crit. Care Med., (1997), 156, 266-271]又はインターロイキン5(IL−5)[patent application EP 0775 489 and EP 0771 564, in the name of Taisho Pharmaceutical Co., Ltd] などの炎症の仲介を調節する際に有効であることが見出されている。
【0009】
特に、好中球は、炎症応答の非常に早い段階で感染部位又は組織外傷部で補充された最初の細胞株を構成する。
【0010】
炎症組織の好中球の非生理的な蓄積、それらの活性化、プロテアーゼの次の放出、酸素の反応代謝の生産における増加は、大部分の場合において、病理的条件へ悪化させる炎症応答のいくつかの形態を特徴付ける。
【0011】
それゆえ、たとえ好中球が免疫防御及び炎症プロセスにおいて本質的であっても、それらは、多くの臨床的炎症状態、及び虚血性再潅流を通じて外傷から誘導される病理学において関連することが知られている(Inflammation and Fever; Viera Stvrtinova, Jan Jakubovsky and lvan Hulin; Academic Electronic Press, 1995)。
【0012】
この同じ文献は、それらの起源及び/又はそれらの展開での好中球の変化した機能の影響が証明された病理学を説明する。すなわち、これらは、アテローム性動脈硬化(症)、虚血性再潅流、関節リュウマチ、脈管炎、自己免疫源の糸球体腎炎、及びARDS(成人呼吸窮迫症候群)などの臨床的肺炎症を含む。
【0013】
COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、結果として生じるメタロプロテイナーゼ放出、及び酸素ラジカルの生産における増加を伴う活性化好中球の多量の存在によって引き起される肺組織の炎症、及び進行性破壊によって特徴付けられる臨床経路である。(Am. J. Respir. Crit. Care Med., 1996, 153, 530-534)(Chest, 2000, 117(2 Suppl.), 10S-14S)
【0014】
喘息に対するマクロライドの投与は、分泌過多、及び気管支過敏症における減少によって伴われ、貧細胞、特に好中球との抗酸化及び抗炎症相互作用を生じ、この相互作用は、気管支喘息の病原に伴う多くの生活性脂質が、それらの膜不安定化、プロ炎症活性への影響を妨げるであろう(炎症、Vol.20、No.6, 1996)。
【0015】
Plivaの名で特許出願HR20010301の記載において、既知の抗生物質であるアジスロマイシンの抗炎症性活性の良好な記載がある。
【0016】
これは、文献(J.Antimicrob. Chemother., 2000, 46, 19-26)ですでに報告したように、試験管内におけるヒト好中球におけるアポトーシスを誘発するアザライドの能力の確証を含み、その抗炎症活性は、従来のマクロライド(14員を有するラクトン環)で記載した株におけるものであるという確証を提供し、アジスロマイシンの投与が、ヒト好中球の脱顆粒を促進し、刺激された好中球における酸素の反作用種の精製を阻害し、さらに、強力な好中球‐特異的活性及び化学浸透因子であるインターロイキン8の放出を阻害した。
【0017】
従来の抗炎症性薬剤、例えば、コルチコステロイド、が非効率的であると証明する病理学におけるマクロライドの顕著な治療的効能は、抗炎症薬剤のこの新規潜在的クラスにおいてかなり関心があることが分かる。
【0018】
しかしながら、従来のマクロライドが、強い抗細菌活性を有するという事実は、病原微生物に誘発されない炎症プロセスの臨床的治療への幅広く使用することができるということを意味していない。なぜなら、これは、耐性株の迅速な展開を引き起す可能性があったからである。
【0019】
したがって、抗炎症活性を示すと同時に、抗生物質特性がないマイクロライド構造を有する新規物質が望まれる。
【0020】
抗炎症性活性を有するマクロライド誘導体のいくつかのクラスが文献に記載されている。
【0021】
例えば、Taishoの名で既に引用したヨーロッパ特許出願は、IL-5合成の有力な阻害剤として、3、9、11及び12位で修飾されたエリスロマイシン誘導体を請求する。
【0022】
ザンボングループの名で特許出願WO 00/42055号は、抗生物質活性を有しないが、抗炎症性活性を有する3‘-デスジメチルアミノ-9-オキシム マイクロライドを開示する。
【0023】
クラジノース、及びデソサミンを欠くアジスロマイシン誘導体は、式、
【0024】


(式中、R1は、水素原子、低級アルキル、又は低級アルカノイル;R2、R、及びRは、同一か互いに異なり、水素原子、又は低級アルカノイルを示し、それらは、米国特許4,886,792号(Sour Pliva)において抗炎症材として記載されており、さらに同じ特許は、R2がデソサミンであり、R、及びRが、水素原子であり、R1が既に述べた意味を有する前述の化合物の合成における中間体を請求している。
【0025】
哺乳類グリコプロテインmdr−Pの阻害を通じてインターロイキン1の放出を減少させることによって作用する抗炎症剤としてのエリスロマイシンの使用が、スミス-クラインビーチャム製薬(株)の名で特許出願WO 92/16226号において請求されている。
【0026】
非感染性炎症病理学の治療用にアジスロマイシンの使用が、Plivaの名で既に引用した特許出願HR20010301号において請求されている。
【0027】
そのほか、証明された抗菌薬活性を有する物質を用いた緊急治療以外の治療は、かなり望ましくない。なぜなら、既に述べたように、これは、耐性株の急速な展開を引き起し、その結果、有効な抗生物質治療を阻止するからである。今回、我々は、驚くべきことに、9a‐アザライドから3位のクラジノースを除去することによって、有効な抗炎症活性を有するが、抗生物質活性を実質的に欠く化合物が得られることを見出した。
【0028】
したがって、本発明は、式、


(式中、式中、Rが、水素原子、又はメチル基であり;R1は、水素原子、N,Nジ(C1-C3)アルキルアミノ基、N,N-ジ(C1-C3)アルキルアミノ-N-オキサイド基、N-(C1-C)アシル-N-(C1-C)アルキルアミノ基、又はR2と共に3‘及び4’で炭素原子間の結合を形成し;
R2は、水素原子か、R1と共に3‘及び4’で炭素原子間の結合を形成し;
Rは、直鎖又は分岐C1-C5アルキル、又は、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、直鎖若しくは分岐C1−C5 アルキル、C1-C4アルコキシ基、C1-C4アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基又はシアノ基から選択される1又は2つの置換基で選択的に置換されたベンジル、または、式

-(CH2−X−(CH2−Y−(CH2−A

の鎖(式中、Aは、水素原子、フェニル、又は窒素、水素及び硫黄から選択される1〜3つの原子を有する5若しくは6員環へテロアリール環であり、
Xは、O、S、SO、SO及びNRであり、Rは、水素原子、直鎖又は分岐C1-C3アルキル、C1−C3アルコキシカルボニル基又はベンジルオキシカルボニル基であり、Yは、C6H4基、又は窒素原子、酸素及び硫黄から選択される1〜3つの原子を有する5若しくは6員環へテロアリール環であるか、O、S、SO、SO、又はNR(但し、Rは、上述で与えられた意味を有する。)であり、rは、1〜3の整数、mは、1〜6の整数、nは、0〜2の整数である。さらに、R3へ結合する窒素原子が、N酸化型で表現される。)の化合物、
並びに、Rが水素原子であり、R1がジメチルアミノ基であるとき、RがC1-Cアルキル基ではないことを条件として、薬剤的に許容できるその塩であることを特徴とする化合物に関する。
【0029】
Rが水素原子であり、R1がジメチルアミノ基であり、Rが低級アルキル基である式Iの化合物は、Sour Plivaの名で米国特許第4,886,792号(カラム3、式Vの化合物)における合成中間体として記載されている。
【0030】
式Iの化合物は、抗生物質活性を欠く抗炎症性マクロライドであり、それゆえ、炎症性病理の治療及び予防に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
「直鎖又は分岐C−Cアルキル」の語は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、及びイソペンチルから選択される基を意味する。
【0032】
「窒素、酸素、及び硫黄から選択される1〜3つのヘテロ原子を含有する5又は6員環へテロアリール環」の語は、例えば、ピロール、チオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、
オキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアゾール及びチアジアゾールなどのヘテロサイクル環を意味する。
【0033】
一部又は完全なその飽和型でのヘテロアリール環の置換、及びA及びYなどの意味において認識される芳香族(フェニル又はヘテロアリール)環上の置換基の存在は、本発明の範囲内にある化合物を生じさせることは当業者にとって明白である。
【0034】
式Iの好ましい化合物は、R、R、及びRが既に与えられた意味を有し、R1が、水素原子、N-メチル-N-(C1−C3)アルキルアミノ基、N−メチル-(C1−C3)アルキルアミノ-N-オキサイド基、N-(C1-C4)-アシル-N-メチルアミノ基であるか、又はR1はRと共に3‘及び4’の炭素原子間で結合を形成するものである。
【0035】
このグループにおいて、より好ましくは、R1が、水素原子、N,N-ジメチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ-N-オキサイド基、N-アセチル-N-メチルアミノ基であるか、又はR1はRと共に3‘及び4’の炭素原子間で結合を形成する化合物である。
【0036】
式Iの化合物の中で、R、R、及びRが既に与えられた意味を有し、 Rは、直鎖又は分岐(C1-C3)アルキル、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、直鎖若しくは分岐(C1−C3)アルキル、及びシアノから選択される1又は2つの置換基で選択的に置換されたベンジル、または、式、

-(CH2−X−(CH2−Y−(CH2−A

の鎖(式中、Aは、水素原子、フェニル、又は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜3つのヘテロ原子を有する5又は6員環へテロアリール環であり、
Xは、OまたはNR6であり、R6は、水素原子又は直鎖又は分岐C1−C3アルキルであり、
Yは、nが0のとき、C6H4基、又は窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜3つのヘテロ原子を有する5又は6員環へテロアリール環であり、nが0以外のとき、OまたはNR6であり、R6が、水素原子又は直鎖若しくは分岐C1−Cアルキルであり、
rが1又は2の整数、
mが1〜6の整数、
nが0〜2の整数である。さらに、Rが結合する窒素原子が、Nオキサイド型で表すことができる。)であるものが好ましい。
【0037】
式Iの化合物のグループの範囲内で、Rが、メチル、ベンジル又は式、

-(CH2−X−(CH2−Y−(CH2−A

の鎖(式中、Aは、水素原子、フェニル、又はピロール、チオフェン、フラン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピリミジン、トリアゾール及びチアジアゾールから選択される5若しくは6員環へテロアリール環であり、
XがO又はNR6であり、R6が水素原子であり、
Yが、nが0のとき、C6H4基又は、ピロール、チオフェン、フラン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピリミジン、トリアゾール及びチアジアゾールから選択される5若しくは6員環へテロアリール環であるか、nが1のとき、NR6であり、R6が水素原子であり、
rが1〜3の整数であり、
mが1と2から選択される整数であり、
nが0と1から選択される整数である。さらに、Rが結合する窒素原子は、N-オキサイド型で表現される。)であるものが好ましい。
【0038】
このグループに属する更に好ましいものは、 Rが、メチル、ベンジル又は式、

-(CH2−X−(CH2−Y−(CH2−A

の鎖(式中、Aは、水素原子、フェニル、又はチオフェン、フラン、イミダゾール、チアゾール、ピリジン、及びトリアゾールから選択される5若しくは6員環へテロアリール環であり、
XがNR6であり、R6が水素原子であり、
Yが、nが0のとき、C6H4基又は、チオフェン、フラン、チアゾール、ピリジン、及びトリアゾールから選択されるへテロアリール環であるか、nが1のとき、NR6であり、R6が水素原子である。さらに、R3が結合する窒素原子は、N-オキサイド型で表現されることができる。)である式Iの化合物である。
【0039】
さらに、式Iの化合物は、R及びR2が前述した意味を有し、Rが、水素原子、N-メチル-N-(C1−C3)アルキルアミノ基、N−メチル-N-(C1−C3)アルキルアミノ-N-オキサイド基、N-(C1-C4)アシル-N-メチルアミノ基、又は、RがR2と共に3‘及び4’の炭素原子間で結合を形成し、
同時にRが、直鎖又は分岐(C1-C3)アルキルか、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、直鎖若しくは分岐(C1-C3)アルキル、及びシアノから選択される1又は2つの置換基で選択的に置換されたベンジル、又は式、

-(CH2−X−(CH2−Y−(CH2−A

の鎖(式中、Aは、水素原子、フェニル、又は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜3つのヘテロ原子を有する5又は6員環へテロアリール環であり、
Xは、OまたはNR6であり、R6は、水素原子又は直鎖又は分岐C1−C3アルキルであり、
Yは、nが0のとき、C6H4基、又は窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜3つのヘテロ原子を有する5又は6員環へテロアリール環であり、nが0以外のとき、OまたはNR6であり、R6が、水素原子又は直鎖若しくは分岐C1−Cアルキルであり、
rが1〜3の整数、
mが1及び2から選択される整数、
nが0〜2の整数である。)であり、さらにRが結合する窒素原子は、N酸化型で存在することができるものが好ましい。
【0040】
式1の化合物のグループの範囲内で、Rが、メチル、ベンジル又は式、
-(CH2−X−(CH2−Y−(CH2−A

の鎖(式中、Aは、水素原子、フェニル、又はピロール、チオフェン、フラン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピリミジン、トリアゾール及びチアジアゾールから選択される5又は6員環へテロアリール環であり、
XがO又はNR6であり、R6が水素原子であり、
Yが、nが0のとき、C6H4基又は、ピロール、チオフェン、フラン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピリミジン、トリアゾール及びチアジアゾールから選択される5又は6員環へテロアリール環であるか、nが1のとき、NR6であり、R6が水素原子であり、
rが1〜3の整数であり、
mが1及び2から選択される整数であり、
nが0又は1の整数である。)であり、さらにRが結合する窒素原子は、N酸化型で存在することができるものが好ましい。
【0041】
このグループに属するものとして、さらに、好ましいものは、Rが、水素原子、メチル、ベンジル又は式、
-(CH2−X−(CH2−Y−(CH2−A
の鎖(式中、Aは、水素原子、フェニル、又はチオフェン、フラン、イミダゾール、チアゾール、ピリジン、及びトリアゾールから選択されるへテロアリール環であり、
XがO又はNR6であり、R6が水素原子であり、
Yが、nが0のとき、C6H4基又は、チオフェン、フラン、イミダゾール、チアゾール、ピリジン、及びトリアゾールから選択されるへテロアリール環であるか、nが1のとき、NR6であり、R6が水素原子であり、rが3であり、
mが1及び2から選択される整数であり、nが0及び1の整数である。)であり、さらにRが結合する窒素原子は、N酸化型で存在することができる式Iの化合物である。
【0042】
この最後に述べたグループに属する更に好ましいものは、R1は、水素原子、N,Nジメチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ-N-オキサイド基、N-アセチル-N-メチルアミノ基であるか、又は、R1は、R2とともに3‘及び4’で炭素原子間で結合を形成する式Iの化合物である。
【0043】
式Iの化合物の薬剤的に許容できる塩の例は、塩化水素、ほう化水素、ヨウ化水素、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、琥珀酸、及びグルタル酸などの有機又は無機酸との塩である。
【0044】
本発明の化合物の具体例は、R、及びRが式Iに与えられた意味を有し、Rが、Rと共に3‘及び4’の炭素原子間で結合を形成するか、Rが、水素原子、N,N-ジメチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ-N-オキサイド基、又はN-アセチル-N-メチルアミノ基、及び同時に、Rが、メチル、ベンジル、3−[(チアゾール-2-イル-メチル)-アミノ]-プロピル、3-[(チオフェン-2-イル-メチル)-アミノ]-プロピル、3-[(フラン-2-イル-メチル)-アミノ]-プロピル、3-[(チオフェン-2-イル-メチル)-アミノ]-プロピル、3-[(フラン-2-イル-メチル)-アミノ-プロピル、3-[(イミダゾール-2-イル-メチル)-アミノ]-プロピル、3-(ベンジルアミノ)-プロピル、3-[2-[(チアゾール-2-イル-メチル)-アミノ]-エチルアミノ]-プロピル、3-[6(ベンジルアミノ)-ヘキシルアミノ]-プロピル基、であり、さらにR3が、結合する窒素原子は、N酸化型で存在することができる。
【0045】
本発明の式Iの化合物は、3位のL-クラジノース分子が、式、
【0046】


(式中、R、R、R、及びRは式Iの化合物に与えられた意味を有する。)の化合物から除去されることを含む以下の合成経路に従って、調製される。
【0047】
クラジノース分子の除去は、好ましくは、無機酸、例えば、硫酸、塩化水素、またはプロトン性有機溶媒、例えば、水、メタノール又はエタノールなどの存在下で触媒酸加水分解反応を経て行われる。
【0048】
式IIの化合物は、ベックマン転位、アミンの還元、その後後者の官能基付与によって、エリスロマイシンAオキシムから得られ、3‘でのジメチルアミノ基のレベルでの合成中間体は、いずれもN-酸化、完全な除去、脱メチル化、及びその後の官能基付与(アルキル化、及びアシル化)を含む。
【0049】
置換基Rがメチルの式Iの化合物の合成に対しては、合成スキームが同様であるが、6-O-メチルエリスロマイシンAオキシム、又は興味のアザライドは、既知の技術に従って、メチル化される。
【0050】
当業者にとって、構造的修飾がなされるべき位置に存在するいずれかの官能基との相互作用を避けるために、行うべき合成修飾において優先的取り扱いを選択することはより便利であり適当であろうことは、明白である。
【0051】
例えば、3‘位でのジメチルアミノ基上のいずれの転移も、マクロライド環の拡張を誘導する手順に従うか、行なわれ、前記合成の最終段階を構成することができる。
【0052】
更なる実施例として、クラジノースの除去についていえば、これは、その後マクロライド環の拡張を導く反応に影響し、3‘位での如何なる構造的修飾に従うか、行なわれることが可能である。
【0053】
一般に、しかしながら、クラジノースが、いくつかの他の中間工程又は合成プロセスの最終段階で除去されることを妨げる相互作用は存在しない。
【0054】
これら手続上の選択は、興味の産物の合成プロセスを最適化することも目的とする技術要求によってそれぞれの場合に指示される。
【0055】
マクロライド上の上述した構造的修飾を行う方法は、更に明確に以下で述べる。
【0056】
Z又はE配置を有するエリスロマイシンAのオキシムは既知であり、それらは市販された化合物であり、例えば、Pliva 等の名でUS特許3478014号に引用されたもの、又は文献 (J.C.Gasc et al.; The Journal of Antibiotics; 44, 313-330, 1991) に記述されたものによって、調製することができる。
【0057】
9-デオキソ-9a-アザ-9a-ホモエリスロマイシンAの合成は、従来技術、例えば、ベックマン転位、エリスロマイシンAオキシムのアミンの還元によって行なわれ(米国特許第4,328,334号 Pliva Pharm. &Chem. Works)(Djokic S. et al., J. Chem. Soc. Perkinn Trans., 1986, 1881)、式、
【0058】


(式中、Rは、式Iに与えられた意味を有する。)の化合物が与えられる。
【0059】
このようにして得られたアザラクトンの置換は、活性化されたオレフィンへの添加反応を経て行なわれ、相当する9a-アミノ-ヒドロキシ、又はメルカプト-アルキル誘導体を得てその後、従来の合成技術にしたがってヘテロ原子で官能基を付与するか、又は置換可能なN-アルキル誘導体を得て、還元アルキル化反応は、還元剤の存在下、アルデヒドとの反応を経て使用される。
【0060】
両方の方法は、式、
【0061】


(式中、R及びRは、式Iに与えられた意味を有する。)の化合物を導く。
【0062】
ホルミル酸存在下のホルミルアルデヒドとのEschweiler-Ckark反応による9aアミノ基のメチル化は、ベルギー特許892,357号(Pliva Pharm.&Chem. Works)。に記載されている。
【0063】
米国特許第4,464,527号(Phizer Inc.)は、9-デオキシ-9a-アザ-9a-穂もエリスロマイシンAのN-エチル及びN-(n-プロピル)誘導体を得るためのプロセスを記載する。
【0064】
相当するN-オキサイドの転化は、既知の方法に従って、有機溶媒の存在下、例えば、過酸化水素又はメタクロロ過安息香酸などの過酸処理によって行われる(米国特許第3928387号、Hoffmann-La Roche Inc., already cited)(J. Am. Chem. Soc. 1954, 76, 3121).
【0065】
ジメチルアミノ基の除去は、既知の方法に従って、酸化、熱分解、もし必要であれば、式IVのアジスロマイシンの9a-誘導体の還元によって行なわれる。
【0066】
置換基R3上に存在するいずれの官能基との相互作用をさけるために、ジメチルアミノ基の除去を式、
【0067】


(式中、Rは既に述べた意味を有する。)の中間体から開始して行なわれることが好ましいであろうことは当業者に明白であろう。
【0068】
酸化は、式、


(式中、Rは、既に述べた意味を有する。)
のNオキサイド化合物を、熱分解、次いでもし必要であれば還元によって、与え、それらは、式VIIa及びVIIb
【0069】

【0070】


(式中、Rは既に述べた意味を有する。)の化合物をそれぞれ与えられ、それらは、対応する式IIの化合物(式中、R、R及びRは、すでに述べた意味を有し、Rは、水素原子か、ベックマン転化、9位でのオキシムのアミンへの還元、及び次いで、以前に述べたようにこのようにして得られた9a-アザライドの官能基付与によってR2とともに3‘及び4’で炭素原子間で結合を形成する。
【0071】
3‘位のジメチルアミノ基のモノ脱メチル化は、従来技術を使用して、過剰の塩基、例えば、アルカリ性炭化水素、及び不活性溶媒の存在下、クロロギ酸ベンジルでの処理、次いで、Plivaの名で米国特許第5,250,518号に述べたように2’及び3‘位でのベンジルオキシカルボニル基の除去によって行うころができ、このようにして得られた第2級アミンのアシル化又はアルキル化の次の反応は、従来の合成技術にしたがって行なわれる。
【0072】
さらに、R1=R2=Hの式Iの化合物は、R1、及びR2がともに結合を形成する式Iの相当する化合物の還元によって調製することができる。
【0073】
その実施態様において、上述した方法は、基質として、Rがメチル、R1がジメチルアミノ基、R2が水素原子であり、Rがメチル(アジスロマイシン)であり式IIの化合物を考えて、3‘位のジメチルアミノ基上の合成中間体を形成し、以前に述べた従来技術に従ってL-クラジノースを除去することからなる。
【0074】
上述したように、本発明に関する式Iの化合物は、抗炎症活性を与えるが、抗生物質活性を欠く。
【0075】
式Iの化合物の薬剤活性は、例えば、抗炎症活性及び抗生物質活性の両方を有するエリスロマイシン及びアジスロマイシンなどの既知のマクロライドとの比較において、皮膚反応、及び肺炎症のモデルにおいて評価される。
【0076】
抗炎症活性を、マウス耳におけるPMA(phorbol myristate acetate)-誘発水腫の阻害、及びラット肺におけるLPS(E.coli lipopolysaccharide)-誘発累積好中球の減少の両方を経て評価された。
【0077】
総ての実験において、本発明の化合物は、抗炎症剤として高い活性が見いだされ、抗炎症活性は、比較化合物のものと比較して同等若しくはより大きかった。
【0078】
さらに、本発明の化合物は、行われた試験によって証明されたように、抗菌活性を示さず、それゆえ、望ましくない耐性現象が生じることなしに、炎症プロセスの臨床的治療に使用することができる。
【0079】
したがって、抗炎症活性を与え、抗菌活性を欠く式Iの化合物は、急性及び臨床的治療の両方、及び炎症疾患の予防、特に、例えば、関節リウマチ、脈管炎、糸球体腎炎、再潅流虚血障害、アテローム性動脈硬化、敗血(症)性ショック、ARDS、COPD,及び喘息からの障害などの好中球の損傷した細胞機能に関連する病気に使用することができることは明白である。
【0080】
治療的に有効的な量は、患者の年齢、及び一般的生理学状態、投与の経路、使用される薬剤配合物に依存するであろう。治療上の投与量は、一般的に、約10〜2000mg/日であり、好ましくは、約30〜1500mg/日である。
【0081】
上述した疾患の治療及び/又は予防の治療に使用するための本発明の化合物は、好ましくは、経口、直腸、舌下腺、非経口、局所的、経皮的及び吸入投与に適する薬剤的形態において使用することができるであろう。
【0082】
さらに、本発明は、許容可能な担体と共に、式Iの治療的に有効的な量の化合物、又はその塩を含む薬剤配合物に関する。本発明の薬剤配合物は、例えば、使用するために準備されたか、又はフリーズドライ製品の希釈によって調製されたドロップ、シロップ、溶液、注射剤など、経口及び/又は非経口投与用に適する液体とすることができるが、例えば、タブレット、カプセル、顆粒、パウダー、ペレット、ペッサリー、座薬、クレーム、ポマード、ゲル、または軟膏などの固体、または溶液、懸濁液、エマルジョン、または吸入、又は経皮的な投与に適する他の形態が好ましい。
【0083】
配合物のタイプに依存して、これらの配合物は、式Iの1又はそれ以上の化合物の治療的に有効な量の他に、薬剤的用途用の固体又は液体賦形剤又は希釈剤及び、例えば、濃縮剤、凝縮剤、滑剤、錠剤分解物質、香味料、着色料などの薬剤配合物の調製に通常使用される可能な他の添加物を含むであろう。
【0084】
本発明の薬剤配合物は、通常の技術に従って生産することができる。
【0085】
以下の例は、本発明をよりよく説明することを目的として与えられる。
【0086】
実施例に先行する表は、合成中間体及び式Iの化合物の化学構造、分析特性を与える。
【0087】











実施例1
中間体1の調製
メタクロロ過安息香酸(0.90g、4.1mmol)をクロロホルム中(30ml)でアジスロマイシン(3g、4mmol)へごく一部を加え、混合物を室温で4時間攪拌した。有機相をCH2Cl2で希釈し、10 %のK2CO3、5%のNaHCO3、20%のNaClで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、真空下で溶媒から蒸発させた。原料をBiotageクロマトグラフィー(シリカ 40Mカートリッジ、CH2Cl2/MeOH/NH3 93/7/0.7抽出)によって精製し、白固体として中間体1(2.4g、収率78%)、副産物として中間体2(223mg、収率8%)を与えた。
[M+]+766
【0088】
実施例2
中間体1の調製(第2合成経路)
タングステンナトリウム(0.14g、0.44mmol)をH2O(0.5ml)へ溶解し、滴下し、H2O中のH2O2の溶液を、メタノール中(350ml)のアジスロマイシンの溶液に加えた。反応混合物を、室温で16時間攪拌し、水(350ml)で希釈し、メタノールを真空下で蒸発させた。水溶液をクエン酸(5%水溶液)(0.5L)を希釈し、CH2Cl2(2×250ml)で洗浄し、pH=9が得られるまで、conc.NH3を加えた後、CH2Cl2(3×0.4L)で抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、真空下で蒸発させて、白固体として中間体1(28.1g、収率82%)を与えた。
[M+1]+766
【0089】
実施例3
化合物1の調製
conc.HCl(8ml)をメタノール(800ml)の中間体1の溶液へ滴下して加えて、反応混合物を3時間攪拌した。Conc.NH3で中和した後、溶液を溶媒から蒸発させた。原料産物を1NHClで溶解し、CH2Cl2(3×100ml)で洗浄し、K2CO3をアルカリpHが得られるまで水相へ加えた。酢酸エチル(4×100ml)での抽出は、有機相を与え、硫酸ナトリウムでの脱水後、白固体1として化合物1(225mg、収率90%)を与えた。
[M+1]+607
【0090】
実施例4
中間体2の調整
中間体1の合成中に中間体2が副産物として得られた。その収率は、過剰な酸化剤を使用して最大にした。
[M+1]+782
HPLC-MS:Zorbax SB-C18カラム、2.1×50mm、3.5mm;カラム温度45℃;移動相A 0.1%のH2O中のホルミル酸、B アセトニトリル中のホルミル酸、Bの0分5%、8分95%勾配、流速1ml/分、注入量2μl、サンプル濃度0.5-1mg/ml、検出器、電気スプレイイオン化源を備えた質量スペクトロメーター、プラスイオン化、リテンション時間2.75分、全操作時間8分+再平衡化2分。
【0091】
実施例5
化合物2の調製
化合物1の合成で述べた手順に従って、化合物2を中間体2(220mg、0.28mmol)から調製した。Variant Mega Bond Elutクロマトグラフィー(シリカ 10g カートリッジ、CH2Cl2からCH2Cl2/MeOH/NH3 85/15/1.5の抽出)による精製は、化合物2(106mg、収率60%)を与えた。
[M+1]+623
【0092】
実施例6
中間体3の調製
DMF(35ml)中の中間体1(2.5g、3.26mmol)の異成分溶液を窒素雰囲気の存在下懸濁用に40分間攪拌した。溶液を室温へ冷却し、DMFから蒸発させて、水及び酢酸エチルで希釈後、有機相を抽出し、水相を酢酸エチルで洗浄した。混合した有機溶液を20%NaCl溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、溶媒から室温で蒸発させた。Biotage クロマトグラフィーによる精製(シリカ 40M カートリッジ、CH2Cl2/MeOH/NH3 90/3/0.3の抽出)による精製は、中間体3(1.1g、収率45%)を与えた。
[M+1]+705
【0093】
化合物3の精製
化合物1の合成で述べた手順に従って、化合物3を中間体3(237mg、0.336mmol)から調製した。Variant Mega Bond Elutクロマトグラフィー(シリカ 20g カートリッジ、CH2Cl2からCH2Cl2/MeOH/NH3 95/5/0.5の抽出)による精製は、化合物3(110mg、収率60%)を与えた。
[M+1]+546
【0094】
実施例8
中間体4の調製
中間体4は、文献(Djokic S. et al., J. Chem. Soc. Perkin Trans., 1986, 1881)に述べた手順にしたがって、ザンボングループの名で国際特許出願WO 00/42055実施例6に述べたようなエリスロマイシンAオキシムの酸化、熱分解、及び還元によって得られた3‘-デスジメチルアミノ-エリスロマイシンAオキシム(3g、4.25mmol)から調製した。中間体4(2.8g、収率95%)を白固体として得た。
[M+1]+692
HPLC-MS:Zorbax SB-C18カラム、2.1×50mm、3.5mm;カラム温度45℃;移動相A 0.1%のH2O中のホルミル酸、B アセトニトリル中のホルミル酸、Bの0分5%、8分95%勾配、流速1ml/分、注入量2μl、サンプル濃度0.5-1mg/ml、検出器、電気スプレイイオン化源を備えた質量スペクトロメーター、プラスイオン化、リテンション時間4.99分、全操作時間8分+再平衡化2分。
【0095】
実施例9
中間体5の調製
中間体4(2g、2.89mmol)、ホルミル酸(0.22ml、5.78mmol)クロロホルム中(25ml)のホルムアルデヒドの溶液を4時間還流下においた。冷却水溶液を20%のNaCl溶液及び濃縮NH3で希釈し、有機相を抽出し、水相を酢酸エチルで洗浄した。混合した有機溶液を硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、真空下で蒸発させて固体を得た(2.2g)。Biotage クロマトグラフィーによる精製(シリカ 40M カートリッジ、CH2Cl2/MeOH/NH3 98/2/0.2の抽出)による精製は、中間体5(1.57g、収率77%)を結晶固体として与えた。
[M+1]+707
【0096】
実施例10
化合物4の調製
化合物1の合成で説明した手順にしたがって化合物4を中間体5(200mg、0.28mmol)から調製した。Biotage クロマトグラフィーによる精製(シリカ 40M カートリッジ、CH2Cl2/MeOH/NH3 90/3/0.3の抽出)による精製は、中間体3(1.1g、収率45%)を与えた。
[M+1]+549
【0097】
実施例11
中間体7の調製
Plivaの名で米国特許第5,250,518号公報に記載された手順にしたがって、アジスロマイシンから得られた中間体6(0.5g、0.68mmol)、及びCH2Cl2(15ml)及びTHF(15ml)の溶液へ0℃で滴下し、室温で16時間攪拌した。反応混合物を溶媒から蒸発させて、CH2Cl2で希釈し、20%のNaCl溶液で洗浄して、固体原料産物を与えた。Biotage クロマトグラフィーによる精製(シリカ 40S カートリッジ、CH2Cl2/MeOH/NH3 97/3/0.3の抽出)による精製は、中間体7(460mg、収率87%)を与えた。
[M+1]+778
【0098】
実施例12
化合物5の調製
化合物5を化合物1の合成において説明した手順にしたがって、中間体7(370mg、0.48mmol)から調製した。Biotage クロマトグラフィーによる精製(シリカ 12M カートリッジ、CH2Cl2/MeOH/NH3 98/2/0.2の抽出)による精製は、化合物5(260mg、収率85%)を与えた。
[M+1]+620
【0099】
実施例13
2-(チアゾール-2-イル-アミノ)-エタノール(中間体8)
エタノール中の3Aモレキュラーシーブ(1g)及び2-チアゾール カルボアルデヒド(1g、8.84mmol)を窒素雰囲気下、エタノール(40ml)中の2-アミノエタノール(570mg、9,33mmol)の溶液へ加えた。反応混合物を3時間攪拌して、セライト ダイアフラムを通じてろ過し、モレキュラーシーブを除去し、酢酸(1ml)及びPd/C 10%(0.7g)を加えて、その後、30分のp.s.i下2時間放置した。セライト ダイアフラムを通じてのろ過及び真空下での蒸発は、固体の原料製品を与え、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2/MeOH/NH3 90/8/0.8の抽出)による精製は、中間体8(1g、収率70%)を与えた。
[M+1]+159
CDCl:7.69及び7.25(2m、2H、Th);4.14(s、2H、ChTh);3.66(m2、2H、CH2O;2.85(m2、2H、CHN);2.3(Broad s、2H、NH+OH)。
【0100】
実施例14
(2-ヒドロキシ-エチル)-チアゾイル-2-イル-カルバミン酸(中間体9)のフルオレン-9-イル-メチルエステルの調製(中間体9)
H2O中(20ml)のNaHCO3(960mg、11.4mmol)の溶液及びジオキサン(10ml)中の9H-フルオレン-9-イル-メチルオキシカルボニルクロロホルメート(1.57g、6mmol)を滴下して加え、同時にジオキサン(20ml)中の中間体8(900mg、5.7mmol)の溶液へ加えた。反応混合物を2時間攪拌し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。混合した有機相をクエン酸(5%水溶液)で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、真空下で蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル/ペトローリアム エーテル 4/1)による精製は、中間体9を与えた(1.92g、収率88%)。
[M+1] +381
CDCl:9.2及び9.6(2s、1H、CHO);7.2-7.8(m2、10H、Th+Fmoc);4.0-4.9(m、7H、3CH2+CH)。
実施例16
中間体12の調製
文献(Djokic S. et al., J. Chem. Soc. Perkin Trans., 1986, 1881)で記載されたエリスロマイシンAオキシムから得られた中間体11(16g、21.7mmol)のアクリロニトリル(160ml)中の混合物を7時間還流し、過剰のアセトニトリルから真空下で蒸発させて固体原料製品を与えた。フラッシュクロマトグラフィーによる精製(シリカ、CHCl2/MeOH/NH 90/5/0.5)は、中間体12(6.9g、収率41%)を与えた。
【0101】
実施例17
中間体13の調製
Rh(Al2O3 で5%、1g)を中間体12(5g、6.3mmol)及びエタノール中のNHの溶液(1.5M、60ml)の混合物へ加えた。3回の水素化後、反応混合物を、35p.s.iの水素雰囲気下で6時間攪拌した。セライト ダイアフラムを通じてのろ過、真空下の蒸発、フラッシュクロマトグラフィー (シリカ、CHCl2/MeOH/NH 90/5/0.5) による精製は、中間体13(3.6g、収率57%)を与えた。
【0102】
実施例18
中間体14の調製
中間体14は、化合物1の合成で説明した手順に従って、中間体13(2.15g、2.71mmol)から調製した。Biotage クロマトグラフィーによる精製(シリカ 40S カートリッジ、CH2Cl2/MeOH/NH3 85/15/1.5の抽出)による精製は、中間体14(1.6g、収率92%)を与えた。
[M+1]2+/2 318
HPLC-MS:Zorbax SB-C18カラム、2.1×50mm、3.5mm;カラム温度45℃;移動相A 0.1%のH2O中のホルミル酸、B アセトニトリル中のホルミル酸、Bの0分5%、8分95%勾配、流速1ml/分、注入量2μl、サンプル濃度0.5-1mg/ml、検出器、電気スプレイイオン化源を備えた質量スペクトロメーター、プラスイオン化、リテンション時間0.21分、全操作時間8分+再平衡化2分。
【0103】
実施例19
化合物6の調製
3Aモレキュラー(1g)及びチアゾール-2-カルボキシアルデヒド(65mg、0.552mmol)をエタノール(1ml)中の中間体14(350mg、0.552mmol)の溶液へ順次加えた。溶液を3時間攪拌し、セライト ダイアフラムを通じてろ過し、モレキュラーシーブを除去し、Pd/C 10%(35mg)を加えた。3回の水素化サイクル後、反応混合物を、20p.s.iの水素雰囲気下2時間攪拌した。セライト ダイアフラムを通じてのろ過、真空下の蒸発は、Biotageクロマトグラフィー (シリカ 12M、カートリッジ、CHCl2/MeOH/NH 90/6/0.6) による精製された固体原料製品は、化合物6(54mg、収率13%)を与えた。
[M+1]+732
【0104】
実施例20
化合物7の調製
3Aモレキュラー(1g)及びチアゾール-2-フルアルデヒド(61mg、0.63mmol)をエタノール(8ml)中の中間体14(0.4g、0.63mmol)の溶液へ順次加えた。反応混合物を6時間攪拌し、セライト ダイアフラムを通じてろ過し、NaBH4(29mg、0.75mmol)を加え、攪拌をさらに16時間続けた。酢酸を添加し、2時間攪拌後、溶液を濃縮NH3で中和し、蒸発させた。原料混合物をCHCl2で希釈して、無機塩からろ過した後、Biotageクロマトグラフィー (シリカ 12M、カートリッジ、CHCl2/MeOH/NH抽出 95/5/0.5) による精製し、化合物7(24mg、収率6%)を与えた。
[M+1]2+/2 358
【0105】
実施例21
化合物8の調製
化合物8を、2−フルアルデヒドの代わりにイミダゾール-4-カルボキシアルデヒド(54mg、0.552mmol)を用いたが、化合物7で記載した手順に従って、中間体14(0.35g、0.5552mmol)を調製した。原料混合物を、CHCl2で希釈して、無機塩からろ過し、Biotageクロマトグラフィー (シリカ 12M、カートリッジ、CHCl2/MeOH/NH抽出 90/7/0.7) によって精製し、化合物8(24mg、収率7%)を与えた。
[M+1]2+/2 358
【0106】
実施例22
化合物9の調製
化合物9を2-フルアルデヒドの代わりに、2-チオフェン-カルボキシアルデヒド(64mg、0.552mmol)を使用したが、化合物7で説明した手順にしたがって、中間体14(0.35g、0.552mmol)を調製した。原料産物をVarian Mega Bond Eliot クロマトグラフィー(シリカ 20gカートリッジ、CHCl2/MeOH/NH抽出 90/10/1) によって精製し、化合物9(22mg、収率6%)を与えた。
[M+1]2+/2 366
【0107】
ジクロロエタン(20ml)中の中間体14(0.845g、1.33mmol)の溶液をアルゴン雰囲気下に放置し、順次以下のもの、すなわち、3Aモレキュラーシーブ(3g)、酢酸(0.152ml、2.66mmol)、ジクロロエタン(10ml)中の中間体10の溶液(0.56g、1.4mmol)及びテトラメチル-アンモニウム-トリアセトキシボロン水素化物(0.596g、2.26mmol)を加えた。反応混合物を16時間攪拌し、セライト ダイアフラムを通じてろ過し、真空下で蒸発させた。Biotageクロマトグラフィー (シリカ 40M、カートリッジ、CHCl2/MeOH/NH抽出 90/6/0.6) による精製は、中間体15(390mg、収率30%)を与えた。
[M+1]2+ /2 499
HPLC-MS:Zorbax SB-C18カラム、2.1×50mm、3.5mm;カラム温度45℃;移動相A 0.1%のH2O中のホルミル酸、B アセトニトリル中の0.1%ホルミル酸、Bの0分5%、8分95%勾配、流速1ml/分、注入量2μl、サンプル濃度0.5-1mg/ml、検出器、電気スプレイイオン化源を備えた質量スペクトロメーター、プラスイオン化、リテンション時間3.15分、全操作時間8分+再平衡化2分。
【0108】
実施例24
化合物10の調製
ピペリジン(1m2l)を、DMF(5ml)の中間体(390mg、0.39mmol)の溶液へ滴下して加えて、反応混合物を1時間攪拌した。飽和NaClで希釈した後、化合物を酢酸エチルで抽出し、相当する有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、蒸発させた。Varian Mega Bond Eliot クロマトグラフィー(シリカ 20gカートリッジ、CHCl2/MeOH/NH抽出 90/10/1) による精製は、化合物10(249mg、収率82%)を与えた。
[M+1]2+/2 388
【0109】
実施例25
中間体16の調製
化合物6で説明した手順にしたがって、中間体13(0.6g、0.75mmol)及びベンズアルデヒド(77ml、0.75mmol)から調製した。フラッシュクロマトグラフィー (シリカ、CHCl2/MeOH/NH抽出 90/10/1) による精製は、中間体16(0.27g、収率41%)を与えた。
[M+1]+ 882
実施例26
化合物11の調製
化合物1の合成で説明した手順に従って、中間体16(65mg、0.072mmol)から化合物11を調製した。フラッシュクロマトグラフィー (シリカ、CHCl2/MeOH/NH抽出 90/10/1) による精製は、化合物11(47mg、収率90%)を与えた。
[M+1]+ 725
【0110】
実施例27
中間体17の調製
化合物6の合成で説明した手順に従って、中間体17を中間体13(3.28g、4.15mmol)及びベンジル(6-オキソーヘキシル)-カルバメート(1.03g、4.15mmol)から調製した。フラッシュクロマトグラフィー (シリカ、CHCl2/MeOH/NH抽出 90/10/1) による精製は、中間体17(320mg、収率60%)を与えた。
[M+1]+ 1026
【0111】
実施例28
中間体18の調製
中間体18を、触媒としてRhの代わりにPd/C 10%(0.2g)を使用して中間体13の合成で説明した手順にしたがって、中間体17(2.2g、2.15mmol)を調製した。フラッシュクロマトグラフィー (シリカ、CHCl2/MeOH/NH抽出 88/12/1.2) による精製は、中間体18(1.8g、収率91%)を与えた。
[M+1]+ 892
【0112】
実施例29
中間体19の調製
中間体19を、化合物1の合成で説明した手順にしたがって、中間体18(400mg、0.1mmol)から調製した。フラッシュクロマトグラフィー (シリカ、CHCl2/MeOH/NH抽出 88/12/1.2) による精製は、中間体19(320mg、収率973%)を与えた。
[M+1]+ 982
【0113】
実施例30
化合物12の調製
化合物12を、化合物1の合成で説明した手順にしたがって、中間体19(97mg、0.099mmol)から調製した。フラッシュクロマトグラフィー (シリカ、CHCl2/MeOH/NH抽出 90/10/1) による精製は、化合物12(43mg、収率80%)を与えた。
[M+1]+ 824
【0114】
実施例31
中間体20の調製
中間体20を、中間体12の合成で説明した手順にしたがって、中間体4(2.7g、3.9mmol)から調製した。フラッシュクロマトグラフィー (シリカ、CHCl2/MeOH/NH抽出 95/5/0.5) による精製は、中間体20(2.5g、収率86%)を与えた。
[M+1]+ 746
【0115】
実施例32
中間体21の調製
メタノール(30ml、1.7M溶液)中のNH3及びRh(Al2O3で5%、0.48g)を,
メタノール(30 ml)中の中間体20(2.4g、3.2mmol)の溶液へ加えて、反攻混合物を35p.s.iの水素雰囲気下3時間攪拌した。セライト ダイアフラムを通じてのろ過、真空下での蒸発、フラッシュ クロマトグラフィー (シリカ、CHCl2/MeOH/NH抽出 90/10/1) による精製は、中間体21(1.8g、収率75%)を与えた。
[M+1]+ 750
【0116】
実施例33
中間体22の調製
中間体22を、中間体15の合成で説明した手順にしたがって、中間体21(633mg、0.85mmol)から調製した。フラッシュクロマトグラフィー (シリカ、CHCl2/MeOH/NH抽出 95/5/0.5) による精製は、中間体21(1.8g、収率75%)を与えた。
[M+1]+ 1112
HPLC-MS:Zorbax SB-C18カラム、2.1×50mm、3.5mm;カラム温度45℃;移動相A 0.1%のH2O中のホルミル酸、B アセトニトリル中の0.1%ホルミル酸、Bの0分5%、8分95%勾配、流速1ml/分、注入量2μl、サンプル濃度0.5-1mg/ml、検出器、電気スプレイイオン化源を備えた質量スペクトロメーター、プラスイオン化、リテンション時間4.18分、全操作時間8分+再平衡化2分。
【0117】
実施例34
中間体23の調製
中間体23を、化合物10の合成で説明した手順にしたがって、中間体22(190mg、0.17mmol)から調製した。重力クロマトグラフィー (シリカ、CHCl2/MeOH/NH抽出 90/10/1) による精製は、中間体23(200mg、収率60%)を与えた。
[M+1]+ 890
【0118】
実施例35
化合物13の調製
化合物13を、化合物1の合成で説明した手順にしたがって、中間体23(90mg、0.1mmol)から調製した。Biotageクロマトグラフィー (シリカ、CHCl2/MeOH/NH抽出 95/5/0.5) による精製は、化合物13(45mg、収率61%)を与えた。
[M+1]+ 732
【0119】
実施例36
中間体24の調製
中間体24を、化合物6の合成で説明した手順にしたがって、中間体21(0.5g、0.67mmol)及び2-チアゾールカルボキシアルデヒド(76mg、0.67mmol)から調製した。原料産物を重力クロマトグラフィー (シリカ、CHCl2/MeOH/NH抽出 90/10/0) により精製し、中間体24(250mg、収率44%)を与えた。
[M+1]+ 848
【0120】
実施例37
化合物14の調製
化合物14を、化合物1の合成で説明した手順にしたがって、中間体24(150mg、0.67mmol)から調製した。フラッシュクロマトグラフィー (シリカ、CHCl2/MeOH/NH抽出 90/9/0.9) による精製は、化合物14(100mg、収率48%)を与えた。
[M+1]+ 689
【0121】
生体内での薬剤活性
A)急性接触性皮膚炎
・動物
5-6 CD1マウス(18-24g)のグループを使用した。
・化合物の投与
総てのマクロライド誘導体を、ベンジルアルコール10%、アセトン40%、及びイソプロパノール50%を含むである担体、トランス相移送系(TPDS)に溶解した。
【0122】
TPDSに溶解した15μlの化合物(500μg)を、片方の耳の内部表面へ局所的に適用し、30分後、アセトンに溶解した0.01%濃度のテトラデカノイルホルボールアセテート(TPA)を同じ領域へ適用した。
【0123】
6時間後、動物をCO2 の吸引によって忌避した。
・結果の評価
2つの方法を耳の浮腫を評価するのに使用した。
a)耳の耳介の確定した部分の定量、
b)精密スプリング測径器を使用する耳厚の測定
未処理の耳の重さ又は厚さを、処理した反対側の耳のものから差し引くことによって、測定浮腫の程度を計算した。
浮腫の鎮静度合いを決定するために、TPA+マクロライドで処理したグループと、TPAのみで処理したものと相対的な違い(重さ又は厚さ)を比較した。
【0124】
マクロライドの活性をZunic et al.(1998): MDL(Lysyl)GDPの修正した方法を使用して測定し、非トキシル ムラミールジペプチド誘導体は、活性化されたマクロファージによるサイトカイン生成物を阻害し、ホルボールエステル-及びオキサゾロン誘導炎症からマウスを保護した(J.Invest. Dermatol., 111(1), 77-82)。
【0125】
エリスロマイシン及びアジスロマイシンに関連するデータは、500μg/耳の単一投与の治療を意味する。
【0126】
総てのクラスを代表して式1のいくつかの化合物から得られた結果を、以下の表に示す。
【0127】

【0128】
B)ラットにおけるLPS誘導肺炎症
・投与
トランス口経によって、気管内的に0.4mg/kgのLPSをラットへ単一投与した。気管支注入をハロセン麻酔下で行いLPS/生理食塩水溶液の口経投与後20時間、動物をウレタン過剰投与によって忌避した。
・洗浄
肺を、それぞれヘパリン10 IU/mlを有する5mlの生理食塩水で洗浄した。細胞懸濁液を、低速遠心分離によって濃縮し、細胞ペレットを懸濁した。
・細胞カウント及び分別
全細胞カウントを血球計算板を使用して得た。May-Grunwald-Giemsaで染色したサイトスピン製剤から得た(Tamaoki J. Tagaya E., Yamawaki I., Sakai N, Nagai A., Konno K., 1995. Effect of erythromycin on endotoxin-induesd microvascular leakage in the rat trachea and lungs. Am. J. Respir. Crit. Care Med., 151, 1582-8). LPSへの露出前1時間口経的に投与された単一投与として100、40及び10μmol/kg で口経的に試験化合物をラットへ供給した。
【0129】
ED/50値は、気管支洗浄液中の好中球カウントで50%減少を引き起す投与量である。
【0130】
エリスロマイシンに対する結果は、130μmolを有する単一投与での口経治療に関する。
【0131】
化合物1に対して得られた結果を以下の表に示す。
【0132】
【表1】


同様の結果が、実施例で述べた式Iの他の化合物で得られた。
【0133】
実施例40
試験管内での薬剤活性:
抗生物質活性
【0134】
試験用の調製
総ての化合物を12.8mg/mlの濃度で濃縮した溶液100XとしてDMSO中に溶解した。濃縮した溶液を、インキュベーション媒体中で1:100に希釈し、128μg/ml(DMSO 1%最終濃度)とした。MICを評価するために、100X濃縮した溶液の連続的な希釈1:2をDMSOで調整し、インキュベーション媒体で1:100へ希釈した。
【0135】
・実験方法
128μg/mlでのMIC値又は抗生物質活性を化合物用に評価した。
MIC値を“Manual of Clinical Microbiology, 7版(1999)、American Society for Microbiology”で説明した技術によって液体培地で決定した。
以下の細菌株を使用した。
ストレプトコッカス ニゥモニエ ATCC 49619
スタヒロコッカス アウレウス ATCC 29213 or ATCC 6538
エンテロコッカス フェカーリス ATCC 29212
ストレプトコッカス ピオゲネス ATCC 19615
【0136】
・結果の評価
結果をMIC(μg/ml)として表し、裸眼で可視可能な成長を完全に阻害する試験物質の最も低い濃度として評価した。
【0137】
実施例における総ての化合物を試験し、それらのいくつかから得られた結果、式Iの化合物の全クラスの代表例を以下の表に示した。
【0138】

【0139】
表に与えられた結果は、本発明の式Iの化合物が、抗生物質活性を実質的に欠くことを明確に示している。
【誤訳訂正書】
【提出日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0100
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0100】
実施例14
(2-ヒドロキシ-エチル)-チアゾイル-2-イル-カルバミン酸(中間体9)のフルオレン-9-イル-メチルエステルの調製(中間体9)
H2O中(20ml)のNaHCO3(960mg、11.4mmol)の溶液及びジオキサン(10ml)中の9H-フルオレン-9-イル-メチルオキシカルボニルクロロホルメート(1.57g、6mmol)を滴下して加え、同時にジオキサン(20ml)中の中間体8(900mg、5.7mmol)の溶液へ加えた。反応混合物を2時間攪拌し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。混合した有機相をクエン酸(5%水溶液)で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、真空下で蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル/ペトローリアム エーテル 4/1)による精製は、中間体9を与えた(1.92g、収率88%)。
[M+1] +381
CDCl:7.2‐7.8(m2、10H、Th+Fmoc);4.95及び5.17(2m、1H 、CH);4.68(m、2H、CHTh);4.58(m、2H、CH2-Fmoc);3.4-3.8(m、5H、CH2CHOH)。
実施例15
(2−オキソ−エチル)−チアゾール−2−イル−カルバミン酸の9H−フルオレン−9−イル−メチルエステルの調製(中間体10)
TEMPO(3mg、0.019mmol)、H2O中(1ml)のKBr(19mg、0.157mmol)の溶液、及びH2O中の次亜塩素酸ナトリウム及び、NaHCO3(120mg、1.4mmol)の溶液を、CH2Cl2中の中間体9(0.6g、1.57mmol)の溶液へ滴下して順次加えた。反応混合物を2時間加え、酢酸エチル及び飽和NaClで希釈し、有機相を分離し、酢酸エチル(3×20ml)で洗浄した。混合した有機相を飽和NaClで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過紙、真空下で蒸発させて、油として中間体10を与えた(560mg、収率93%)。
[M+1] +379
CDCl:9.2及び9.6(2s、1H、CHO);7.2-7.8(m2、10H、Th+Fmoc);4.0-4.9(m、7H、3CH2+CH)。

実施例16
中間体12の調製
文献(Djokic S. et al., J. Chem. Soc. Perkin Trans., 1986, 1881)で記載されたエリスロマイシンAオキシムから得られた中間体11(16g、21.7mmol)のアクリロニトリル(160ml)中の混合物を7時間還流し、過剰のアセトニトリルから真空下で蒸発させて固体原料製品を与えた。フラッシュクロマトグラフィーによる精製(シリカ、CHCl2/MeOH/NH 90/5/0.5)は、中間体12(6.9g、収率41%)を与えた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式、


(式中、Rが、水素原子、又はメチル基であり;R1は、水素原子、N,Nジ(C1-C3)アルキルアミノ基、N,N-ジ(C1-C3)アルキルアミノ-N-オキサイド基、N-(C1-C)アシル-N-(C1-C)アルキルアミノ基、又はR2と共に3‘及び4’で炭素原子間の結合を形成し;
R2は、水素原子か、R1と共に3‘及び4’で炭素原子間の結合を形成し;
Rは、直鎖又は分岐C1-C5アルキル、又は、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、直鎖若しくは分岐C1−C5 アルキル、C1-C4アルコキシ基、C1-C4アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基又はシアノ基から選択される1又は2つの置換基で選択的に置換されたベンジル、または、式

-(CH2−X−(CH2−Y−(CH2−A

の鎖(式中、Aは、水素原子、フェニル、又は窒素、水素及び硫黄から選択される1〜3つの原子を有する5若しくは6員環へテロアリール環であり、
Xは、O、S、SO、SO及びNRであり、Rは、水素原子、直鎖又は分岐C1-C3アルキル、C1−C3アルコキシカルボニル基又はベンジルオキシカルボニル基であり、Yは、C6H4基、又は窒素原子、酸素及び硫黄から選択される1〜3つの原子を有する5若しくは6員環へテロアリール環であるか、O、S、SO、SO、又はNR(但し、Rは、上述で与えられた意味を有する。)であり、rは、1〜3の整数、mは、1〜6の整数、nは、0〜2の整数である。さらに、R3へ結合する窒素原子が、N酸化型で表現される。)の化合物、
並びに、Rが水素原子であり、R1がジメチルアミノ基であるとき、RがC1-Cアルキル基ではないことを条件として、薬剤的に許容できるその塩であることを特徴とする化合物。
【請求項2】
R1が、水素原子、N-メチル-N-(C1−C3)-アルキルアミノ基、N-メチル-N-(C1−C3)アルキルアミノ-N-オキサイド基、N-(C1-C4)アシル-N-メチルアミノ基、又はR1はRと共に3‘及び4’で炭素原子間で結合を形成することを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R1が、水素原子、N,N-ジメチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ-N-オキサイド基、N-アセチル-N-メチルアミノ基であるか、
RがR2と共に3‘及び4’で炭素原子間の結合を形成することを特徴とする請求項2記載の化合物。
【請求項4】
Rは、直鎖又は分岐(C1-C3)アルキル、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、直鎖若しくは分岐(C1−C3)アルキル、及びシアノから選択される1又は2つの置換基で選択的に置換されたベンジル、または、式、

-(CH2−X−(CH2−Y−(CH2−A

の鎖(式中、Aは、水素原子、フェニル、又は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜3つのヘテロ原子を有する5又は6員環へテロアリール環であり、
Xは、OまたはNR6であり、R6は、水素原子又は直鎖又は分岐C1−C3アルキルであり、
Yは、nが0のとき、C6H4基、又は窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜3つのヘテロ原子を有する5又は6員環へテロアリール環であり、nが0以外のとき、OまたはNR6であり、R6が、水素原子又は直鎖若しくは分岐C1−Cアルキルであり、
rが1又は2の整数、
mが1〜6の整数、
nが0〜2の整数である。さらに、Rが結合する窒素原子が、Nオキサイド型で表すことができる。)であることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項5】
Rが、メチル、ベンジル又は式、

-(CH2−X−(CH2−Y−(CH2−A

の鎖(式中、Aは、水素原子、フェニル、又はピロール、チオフェン、フラン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピリミジン、トリアゾール及びチアジアゾールから選択される5若しくは6員環へテロアリール環であり、
XがO又はNR6であり、R6が水素原子であり、
Yが、nが0のとき、C6H4基又は、ピロール、チオフェン、フラン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピリミジン、トリアゾール及びチアジアゾールから選択される5若しくは6員環へテロアリール環であるか、nが1のとき、NR6であり、R6が水素原子であり、
rが1〜3の整数であり、
mが1と2から選択される整数であり、
nが0と1から選択される整数である。さらに、R3が結合する窒素原子は、N-オキサイド型で表現される。)であることを特徴とする請求項4記載の化合物。
【請求項6】
Rが、メチル、ベンジル又は式、

-(CH2−X−(CH2−Y−(CH2−A

の鎖(式中、Aは、水素原子、フェニル、又はチオフェン、フラン、イミダゾール、チアゾール、ピリジン、及びトリアゾールから選択される5若しくは6員環へテロアリール環であり、
XがNR6であり、R6が水素原子であり、
Yが、nが0のとき、C6H4基又は、チオフェン、フラン、チアゾール、ピリジン、及びトリアゾールから選択されるへテロアリール環であるか、nが1のとき、NR6であり、R6が水素原子である。さらに、R3が結合する窒素原子は、N-オキサイド型で表現されることができる。)であることを特徴とする請求項5記載の化合物。
【請求項7】
Rが、水素原子、N-メチル-N-(C1−C3)アルキルアミノ基、N−メチル-N-(C1−C3)アルキルアミノ-N-オキサイド基、N-(C1-C4)アシル-N-メチルアミノ基、又は、RがR2と共に3‘及び4’の炭素原子間で結合を形成し、
同時にRが、直鎖又は分岐(C1-C3)アルキルか、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、直鎖若しくは分岐(C1-C3)アルキル、及びシアノから選択される1又は2つの置換基で選択的に置換されたベンジル、又は式、

-(CH2−X−(CH2−Y−(CH2−A

の鎖(式中、Aは、水素原子、フェニル、又は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜3つのヘテロ原子を有する5又は6員環へテロアリール環であり、
Xは、OまたはNR6であり、R6は、水素原子又は直鎖又は分岐C1−C3アルキルであり、
Yは、nが0のとき、C6H4基、又は窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜3つのヘテロ原子を有する5又は6員環へテロアリール環であり、nが0以外のとき、OまたはNR6であり、R6が、水素原子又は直鎖若しくは分岐C1−Cアルキルであり、
rが1〜3の整数、
mが1及び2から選択される整数、
nが0〜2の整数である。)であり、さらにRが結合する窒素原子は、N酸化型で存在することができることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項8】
Rが、メチル、ベンジル又は式、
-(CH2−X−(CH2−Y−(CH2−A

の鎖(式中、Aは、水素原子、フェニル、又はピロール、チオフェン、フラン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピリミジン、トリアゾール及びチアジアゾールから選択される5又は6員環へテロアリール環であり、
XがO又はNR6であり、R6が水素原子であり、
Yが、nが0のとき、C6H4基又は、ピロール、チオフェン、フラン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピリミジン、トリアゾール及びチアジアゾールから選択される5又は6員環へテロアリール環であるか、nが1のとき、NR6であり、R6が水素原子であり、
rが1〜3の整数であり、
mが1及び2から選択される整数であり、
nが0又は1の整数である。)であり、さらにRが結合する窒素原子は、N酸化型で存在することができることを特徴とする請求項7記載の化合物。
【請求項9】
Rが、水素原子、メチル、ベンジル又は式、
-(CH2−X−(CH2−Y−(CH2−A
の鎖(式中、Aは、水素原子、フェニル、又はチオフェン、フラン、イミダゾール、チアゾール、ピリジン、及びトリアゾールから選択されるへテロアリール環であり、
XがO又はNR6であり、R6が水素原子であり、
Yが、nが0のとき、C6H4基又は、チオフェン、フラン、イミダゾール、チアゾール、ピリジン、及びトリアゾールから選択されるへテロアリール環であるか、nが1のとき、NR6であり、R6が水素原子であり、rが3であり、
mが1及び2から選択される整数であり、nが0及び1の整数である。)であり、さらにRが結合する窒素原子は、N酸化型で存在することができることを特徴とする請求項8記載の化合物。
【請求項10】
R1は、水素原子、N,Nジメチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ-N-オキサイド基、N-アセチル-N-メチルアミノ基であるか、又は、R1は、R2とともに3‘及び4’で炭素原子間で結合を形成することを特徴とする請求項9記載の化合物。
【請求項11】
3位のL-クラジノース分子が、式、


(式中、R、R、R、及びRは請求項1に定義されたものである。)のアジスロマイシン誘導体から加水分解反応を経て除去されることからなる請求項1記載の化合物の調製方法。
【請求項12】
式IIにおいて、置換基Rが、メチル基である請求項11記載の方法。
【請求項13】
クラジノースの除去を無機酸及びプロトン性有機溶媒の存在下で触媒酸加水分解反応を経て行われることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項14】
薬剤的に許容できる担体と共に混合した治療的に有効的な量の請求項1記載の化合物を含有する薬剤組成物。
【請求項15】
炎症性疾患を治療するのに使用することができる請求項14記載の薬剤組成物。
【請求項16】
呼吸器(系)疾患の治療に使用することができる請求項14記載の薬剤組成物。

【公表番号】特表2006−513157(P2006−513157A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−547618(P2004−547618)
【出願日】平成15年10月28日(2003.10.28)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012071
【国際公開番号】WO2004/039821
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(591180705)ザンボン グループ ソシエタ ペル アチオニ (1)
【氏名又は名称原語表記】ZAMBON GROUP SOCIETA PER AZIONI
【Fターム(参考)】