説明

抗生物質製剤、その使用法及び作成方法

抗生物質製剤は最低三つの剤形を含み、それらはそれぞれ異なる放出特徴を持ち、抗生物質製剤のCmaxは抗生物質の放出の開始後約12時間未満に得られる。一実施例において、一つの遅延放出剤形及び、二つあるいはそれ以上の遅延持続放出剤形であり、前記剤形のそれぞれは異なる放出特徴を持ち、それぞれは異なる時間にCmaxに達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2003年8月12日に出願された合衆国仮出願60/494454号の優先権を主張し、その開示は全体で引用例としてここに組み込まれている。
【0002】
本発明は、抗生物質製剤及び、その使用法と作成方法に関する。
【背景技術】
【0003】
各種の抗生物質が、細菌感染に対抗するために用いられており、また用いられようとしている。通常前記抗生物質は、結果としてコンプライアンスの低下をもたらす即効型(即時放出)剤形の反復投与により投与することができ、あるいはより多い投与量での制御された放出剤形(持続放出)として投与することができる。本発明は、改良された抗生物質製剤の提供を対象とする。
【発明の開示】
【0004】
(発明の簡単な要約)
本発明の一形態にしたがって、最低二つ、好ましくは最低三つの抗生物質剤形より成る抗生物質医薬品が提供される。前記剤形は、各剤形が異なる放出特徴を持つことができるように作成される。
【0005】
特に好ましい実施例において、最低二つ、好ましくは最低三つの剤形があり、そのそれぞれが異なる放出特徴を持ち、各剤形の放出特徴は、第一と第二の剤形がそれぞれ、内包する抗生物質の放出をほぼ同時に開始し、第三の剤形が内包する抗生物質の放出を、第二の剤形が内包する抗生物質の放出を開始した後に開始するものである。
【0006】
他の特に好ましい実施例において、最低二つ、好ましくは最低三つの剤形があり、そのそれぞれが異なる放出特徴を持ち、各剤形の放出特徴は、各剤形がそれぞれ、内包する抗生物質の放出を抗生物質製剤の投与後の異なる時間に開始するものである。
【0007】
したがって、本発明の一形態にしたがって、最低二つ、好ましくは最低三つの抗生物質剤形を内包した単独のあるいは単一の抗生物質製剤が提供され、そのそれぞれが異なる放出特徴を持ち、そのため前記剤形の最低二つに含まれる抗生物質が、異なる時間に放出される。
【0008】
通常、第二の剤形も第三の剤形も、内包する抗生物質の放出を、第一の剤形が内包する抗生物質の放出を開始する前に開始しない。
【0009】
より特に、一形態において、抗生物質製剤は最低三つの剤形を含み、第一の剤形は遅延放出剤形であり、第二の剤形は遅延放出持続放出剤形であり、第三の剤形は遅延放出持続放出剤形であり、第二の剤形は第一の剤形とほぼ同時かあるいは第一の剤形の後に(持続放出の開始は、第一の剤形からの放出の開始後所定時間遅れる)放出を開始し、第三の剤形は第一及び第二の剤形の両方から放出が開始された後に放出を開始する。
【0010】
本発明のさらなる一形態にしたがって、抗生物質製剤は最低四つの異なる剤形より成り、その最低三つは抗生物質性剤の投与後の異なる時間に内包する抗生物質の放出を開始する。
【0011】
抗生物質製剤は通常、異なる放出時間を持つ五つ以上の剤形を含まない。
【0012】
好ましい実施例にしたがって、抗生物質製剤は、投与された場合に、前記製剤から放出された全抗生物質の最大血清濃度が、第一の剤形からの抗生物質の放出の開始後12時間未満で、好ましくは11時間未満で達するといった全体的な放出特徴を持つ。一実施例において、抗生物質製剤から放出された全抗生物質の最大血清濃度は、第一の剤形からの抗生物質の放出の開始後4時間より早くには得られない。
【0013】
本発明の一つの好ましい実施例にしたがって、最低三つの剤形がある。最低三つの剤形の一つ目は、抗生物質の放出の開始が抗生物質性剤の投与後に遅延する遅延放出剤形である。最低三つの剤形の二つ目及び三つ目は、それぞれ遅延持続放出剤形である。さらに、第三の持続放出剤形からの抗生物質の放出の開始は、第二の剤形からの放出の開始の後まで遅れる。しかしながら、放出が開始された場合には、第二及び第三の剤形は持続放出剤形として抗生物質を放出する。それぞれの持続放出剤形の放出の開始の遅延は、例えば、抗生物質製剤のタイプに依存して、pH感受性あるいは非pH感受性腸溶性コーティングを用いることで達成することができ、それにより第二及び第三の剤形からの抗生物質の持続放出が遅延され、第二の剤形が第一の剤形からの抗生物質の放出の開始とほぼ同時か、開始後に放出を開始する。より特に、最低二つの剤形の第二の剤形から放出された抗生物質は、最低三つの剤形の第一の剤形から放出された抗生物質が血清中でCmax(血清中の最大血清濃度)に達した後にCmaxに達し、第三の剤形から放出された抗生物質は、第二の剤形から放出された抗生物質のCmaxの後に血清中でCmaxに達する。
【0014】
一実施例において、最低二つの剤形の第一及び第二の剤形は、ほぼ同時にそれぞれの抗生物質の遅延放出及び遅延持続放出を開始する。
【0015】
一実施例において、最低二つの剤形の第二の剤形からの、抗生物質の持続放出の開始は、第一の剤形から抗生物質の放出の開始後まで遅延される。
【0016】
三つあるいはそれ以上の剤形を含む全ての実施例において、第三の剤形からの抗生物質の持続放出の開始は、第二の剤形から抗生物質の持続放出が開始される後まで遅延される。
【0017】
一実施例において、最低二つの剤形の第二の剤形は、第一の剤形の最低一時間後に内包する抗生物質の放出を開始し、通常それらからの放出の開始は、最低三つの剤形の第一の剤形からの抗生物質の放出の開始後6時間以内に起こる。
【0018】
通常、第一の剤形は、抗生物質の放出の開始後約0.5から約2時間以内にそれらから放出された抗生物質についてCmaxをもたらし、最低三つの剤形の第二の剤形は、第一の剤形からの抗生物質の放出の開始後約4時間以内にそれらから放出された抗生物質についてCmaxをもたらす。通常、前記第二の剤形に対してのCmaxは、第一の剤形からの抗生物質の放出の開始後2時間より早くには得られない。しかしながら、本発明の範囲内において、より短期間にCmaxに達するようにすることは可能である。
【0019】
上記のとおり、抗生物質製剤は最低三つあるいは最低四つもしくはそれ以上の異なる剤形を含み得る。例えば、抗生物質製剤が第三の剤形を含む場合には、それらから放出された抗生物質は、第一及び第二の剤形のそれぞれから放出された抗生物質についてCmaxに達した後に、Cmaxに達する。好ましい実施例において、第三の剤形からの抗生物質の放出は、第一の剤形及び第二の剤形からの抗生物質の放出の開始後に始まる。一実施例において、第三の剤形からの抗生物質放出についてのCmaxは、第一の剤形からの抗生物質の放出の開始後8時間以内に得られる。
【0020】
他の実施例において、抗生物質製剤は最低四つの剤形を含み、その最低四つの剤形のそれぞれは異なる放出特徴を持ち、そのため最低四つの異なる剤形のそれぞれから放出された抗生物質が異なる時間にCmaxに達する。
【0021】
上記のとおり、好ましい実施例において、抗生物質がそれぞれ異なる放出特徴を持つ最低二つの異なる剤形を含むか、最低三つの異なる剤形を含むか、最低四つの異なる剤形を含むかに関係なく、抗生物質製剤から放出された抗生物質の全てについてのCmaxは、第一の剤形からの抗生物質の放出が開始された後12時間未満に得られ、より一般的には11時間未満に得られる。
【0022】
好ましい実施例において、抗生物質製剤は一日に一回の製剤であり、そのため前記抗生物質製剤の投与後は、その日の内にさらなる製剤が投与されることはない。すなわち、好ましい処方計画は、前記製剤が24時間の間に一度のみ投与されるというものである。したがって、本発明にしたがって、抗生物質製剤の全体的なCmaxが抗生物質の放出の開始後12時間未満に得られるという様式での異なる放出特徴と共に、全体的な抗生物質放出がもたらされるという様式で放出される抗生物質を持つ抗生物質製剤の単一投与がある。単一投与という用語は、24時間の間に投与される全抗生物質が同時に投与されることを意味し、基本的に同時に投与されるならば、それらは単一の錠剤あるいはカプセル、もしくは二つまたはそれ以上とすることができる。
【0023】
出願人は、それぞれ異なる放出特徴を持つ最低三つの抗生物質剤形より成る単一投与抗生物質製剤が、たった一つの放出特徴を持つ抗生物質剤形より成る単一投与抗生物質製剤についての改善であることを発見した。薬学的許容担体中の抗生物質の剤形のそれぞれは一つあるいはそれ以上の抗生物質を持ち、それぞれの剤形は、同じ抗生物質あるいは異なる抗生物質を持ち得る。
【0024】
ここで、ある剤形が他の剤形の後に放出を開始すると示された場合、前記専門用語が、前記剤形がそのような遅く開始される放出を行うように設計され、意図されていることを意味すると、理解されなければならない。しかしながら、前記設計及び意図にもかかわらず、抗生物質の“漏出”が起こり得ることがこの分野において知られている。前記“漏出は”、ここで用いられる“放出”ではない。
【0025】
最低四つの剤形が用いられる場合、最低四つの剤形の第四の剤形は、持続放出剤形あるいは遅延放出剤形であり得る。第四の剤形が持続放出剤形である場合、たとえ最低四つの剤形の第四の剤形が、他の剤形のそれぞれがCmaxに達した後に、Cmaxに達するとしても、前記第四の剤形からの抗生物質放出は、第二あるいは第三の剤形からの放出の前に、あるいは後に開始され得る。
【0026】
(発明の詳細な説明)
本発明の抗生物質製剤は、上記のように、種々の投与経路による投与用に作成することができる。例えば前記抗生物質製剤は、局所投与、眼あるいは耳への投与、直腸あるいは膣投与、点鼻薬として、吸入により、注入可能なものとして、あるいは経口投与に適した様式で作成され得る。好ましい実施例において、抗生物質製剤は、経口投与に適した様式で作成される。
【0027】
例えば、皮膚への塗布による等の局所投与用の抗生物質製剤の作成において、それぞれ抗生物質を含む最低二つの異なる剤形が、水中油型乳剤(エマルジョン)あるいは油中水型乳剤に前記剤形を含むことにより、局所投与用に作成され得る。このような作成において、遅延放出剤形は連続相中にあり、遅延持続放出剤形は不連続相中にある。作成はまた、上記のような三つの剤形の送達のための様式でもたらされ得る。例えば、遅延放出成分を含む連続相の油、第一の遅延持続放出剤形を含む油中に分散した水及び、第三の持続放出剤形を含む水中に分散した油からなるoil−in−water−in−oil乳剤が提供され得る。
【0028】
上記のように、異なる放出特徴を持つ抗生物質剤形を含む、傷当ての形状の抗生物質製剤を提供することもまた本発明の範囲内である。
【0029】
加えて、抗生物質製剤は、例えば乳濁液として眼あるいは耳もしくは鼻への使用用に作成され得る。例えば、剤形は疎水性ポリマーで塗装することができ、それにより剤形は前記乳濁液の油層にあり、また剤形は浸水性ポリマーで塗装することができ、それにより剤形は前記乳濁液の水層にある。
【0030】
さらに、異なる放出特徴を持つ最低三つの異なる剤形を伴う抗生物質製剤は、この分野において知られている直腸あるいは膣投与用に作成され得る。これは、クリームあるいは乳剤の形状を採り得るか、もしくは局所投与用に用いられるものと類似の他の可溶性剤形の形状を採り得る。
【0031】
さらなる実施例として、抗生物質製剤は、粒子をコーティングし、吸入用に粒子を微粉にすることにより、吸入治療への使用用に作成され得る。
【0032】
好ましい実施例において、抗生物質製剤は経口投与に適した様式で作成される。したがって例えば、経口投与用に、それぞれの剤形が小丸薬あるいは粒子として用いることができ、その小丸薬あるいは粒子は例えばカプセル中で、あるいは錠剤に組み込まれ、もしくは経口投与用の液体に懸濁されて単一医薬品を形成する。
【0033】
または、経口送達システムの作成において、製剤の剤形のそれぞれが錠剤として作成され、錠剤のそれぞれが単一抗生物質製剤を産生するためにカプセル中に組み込まれ得る。したがって例えば抗生物質製剤は、上記のように、遅延放出錠剤である錠剤の形状の第一の剤形を含み、またそれぞれが抗生物質の遅延持続放出を提供する二つあるいはそれ以上のさらなる錠剤を含み得る。それによりそれぞれの錠剤から放出された抗生物質のCmaxには異なる時間に達し、抗生物質製剤から放出された全抗生物質のCmaxは、抗生物質の最初の放出後12時間未満に得られ得る。
【0034】
異なる投与経路についての、異なる放出特徴を持つ最低三つの剤形を含む抗生物質製剤の作成は、ここでの教示からこの分野における通常の知識を有する者の範囲内であると思われる。この分野において知られているとおり、持続放出に関して、放出時間は塗膜中の抗生物質の濃度及び/または塗膜の厚さにより制御することができる。
【0035】
本発明にしたがって、各剤形は同じ抗生物質を含むが、各剤形は一つ以上の抗生物質を含むことができる。
【0036】
即時放出成分
即時放出成分が最初に作成され、その後本発明において用いられる遅延放出剤形を作成するために塗装される。
【0037】
即時放出部位は遅延放出剤形の作成に用いられ、抗生物質を放出するために投与後すぐに分散する成分の混合とすることができる。これは、他の三つの成分と混合されるか、あるいは圧縮される別個の小丸薬あるいは顆粒の形状をとることができる。
【0038】
即時放出成分用の抗生物質に添加される物質は、微結晶セルロース(microcrystalline cellulose)、コーンスターチ、アルファ化デンプン、ジャガイモデンプン、米デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、キトサン、ヒドロキシキトサン、ヒドロキシメチル化キトサン、交差結合(cross−linked)キトサン、交差結合ヒドロキシメチルキトサン、マルトデキストリン、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、マルトース、フルクトース、グルコース、果糖、スクロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、アクリン酸誘導体(カルボポール(Carbopol)、オイドラギット(Eudragit)、その他)、低分子量PEGs(PEG2000−10000)及び20000ダルトン以上の分子量を持つ高分子量PEGs(ポリオックス(Polyox))等のポリエチレングリコールであり得るがこれらに限定されない。
【0039】
1.0から60%(W/W)の範囲で存在するこれらの物質を持つことは、有用であろう。より好ましくは、これらの物質は3から40%の範囲で存在する。最も好ましくは、薬剤装填が高く保たれ、剤形サイズ全体が最小限となるように、これらの物質は5から20%の範囲で存在する。
【0040】
また、このシステムにおいて摂取あるいは投与後の薬剤の溶解あるいは成分の分解に役立つ他の成分を持つことは有用であろう。これらの成分は、ラウリル硫酸ナトリウム、モノグリセリン酸ナトリウム、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリン、モノ酪酸グリセリン、カプリロカプロイル マクロゴール−8−グリセリド(caprylocaproyl macrogol−8−glycerides)、界面活性剤のプルロニック系(Pluronic line)等の非イオン界面活性剤の一つ、あるいは界面活性特性を持つ他の物質、もしくは上記のものの任意の組合せ等の界面活性剤であり得る。前記物質はまた、クロスカルメロース ナトリウム、交差結合PVP、その他等のこの分野における通常の知識を有する者に知られた錠剤分解物質(disentegrant)あるいは超錠剤分解物質(superdisentegrant)であり得る。
【0041】
これらの物質は、0.05から15%(W/W)の割合で存在し得る。
【0042】
非pH感受性遅延放出成分
この組成物の成分は、即時放出ユニットと同じであるが、前記組成物に組み込まれるかあるいは、小丸薬または顆粒全体の塗膜としてのさらなるポリマーを伴う。非pH依存性ポリマーを用いて遅延放出に作用させるいくつかの方法が、この分野における通常の知識を有する者に知られている。これらは特に、水溶性あるいは侵食性バリアシステム、酵素分解バリアシステム、破裂可能(rupturable)コーティングシステム及び、充填カプセルシステムを含む。これらのシステムは文献に十分に開示されており(American Pharmaceutical Reviewの2001冬発行のBussemerとBodmeierによる“A Review of Pulsatile Drug Delivery”参照)、処方設計と製造方法は引用例としてここに組み込まれる。
【0043】
本発明のこの成分に適した放出の遅延を得るために用いることができる物質は、4000ダルトン以上の分子量を持つポリエチレングリコール(PEG)(カルボワックス(Carbowax)、ポリオックス)、白ろうあるいは蜜ろう等のワックス、パラフィン、アクリン酸誘導体(オイドラギットRS)、酢酸セルロース及び、エチルセルロースであり得るが、これらに限定されない。
【0044】
通常これらの物質は、この成分の0.5から25%(W/W)の範囲で存在し得る。好ましくは、前記物質は所望のin vivo遅延時間及びTmaxを提供するのに十分なだけの量で存在する。
【0045】
pH感受性(腸溶性)放出成分
この組成物の成分は、即時放出成分と同じであるが、前記組成物に組み込まれるかあるいは、小丸薬または顆粒全体の塗膜としてのさらなるポリマーを伴う。
【0046】
この目的に有用な物質の種類は、酢酸フタル酸セルロース、オイドラギットL、オイドラギットS、オイドラギットFE及び、セルロース誘導体の他のフタル酸塩であり得るが、これらに限定されない。
【0047】
これらの物質は、4から20%(W/W)あるいはそれ以上の濃度で存在し得る。好ましくは、前記物質は所望のin vivo遅延時間及びTmaxを提供するのに十分なだけの量で存在する。
【0048】
持続放出成分
この組成物の成分は、即時放出成分と同じであるが、前記組成物に組み込まれるかあるいは、小丸薬または顆粒全体の塗膜としてのさらなるポリマーを伴う。
【0049】
この目的に有用な物質の種類は、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、オイドラギットRS及び、オイドラギットRL、カルボポール、あるいは8000ダルトン以上の分子量を持つポリエチレングリコールであり得るが、これらに限定されない。
【0050】
これらの物質は、4から20%(W/W)の濃度で存在し得る。好ましくは、量は所望のin vivo放出特徴を提供するのに十分なだけのものである。
【0051】
持続放出剤形の放出の開始を遅延させたい場合、pH感受性あるいは非pH感受性塗膜等の適当な塗膜を、持続放出の開始を遅延させるために用いることができる。
【0052】
持続放出剤形用の非pH感受性塗膜(コーティング)
本発明のこの成分に適した放出の遅延を得るために用いることができる物質は、4000ダルトン以上の分子量を持つポリエチレングリコール(PEG)(カルボワックス、ポリオックス)、白ろうあるいは蜜ろう等のワックス、パラフィン、アクリン酸誘導体(オイドラギットRS)、酢酸セルロール及び、エチルセルロースであり得るが、これらに限定されない。
【0053】
通常これらの物質は、この成分の0.5から25%(W/W)の範囲で存在し得る。好ましくは、前記物質は所望のin vivo遅延時間及びTmaxを提供するのに十分なだけの量で存在する。
【0054】
持続放出剤形用のpH感受性塗膜
この目的に有用な物質の種類は、酢酸フタル酸セルロース、オイドラギットL、オイドラギットS、オイドラギットFS及び、セルロース誘導体の他のフタル酸塩であり得るが、これらに限定されない。
【0055】
これらの物質は、4から20%(W/W)あるいはそれ以上の濃度で存在し得る。好ましくは、前記物質は所望のin vivo遅延時間及びTmaxを提供するのに十分なだけの量で存在する。
【0056】
上記のとおり、本発明の抗生物質組成物を含むユニットは、カプセルに内包される別個の小丸薬あるいは粒子、もしくは錠剤に組み込まれた粒子、または液体懸濁液に懸濁された形状であり得る。
【0057】
本発明の抗生物質組成物は、例えば以下の投与経路:舌下、粘膜、経皮、非経口、その他のいずれかにより投与することができ、好ましくは経口的に投与される。前記組成物は、治療上有効な量の抗生物質を含み、その量は用いられる抗生物質、治療する疾患あるいは感染及び、前記組成物が一日に投与される回数により変化する。前記組成物は、細菌感染の治療に有効な量で、宿主に投与される。
【0058】
このシステムは特に、20時間未満の排出半減期を持つ抗生物質、より特には12時間未満の排出半減期を持つ抗生物質についての実用的な治療活性の拡張に有用であろう。また、特に2から10時間の半減期を持つそれらの薬剤に有用であろう。以下のものは約1から12時間の半減期を持つ抗生物質の例である:セファドロキシル、セファゾリン、セファレキシン、セファロチン、セファピリン、セファセラー(cephacelor)、セファプロジル、セファドリン、セファマンドール、セフォニシド、セフォラニド、セフロキシム、セフィキシム、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタキシジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフェピム、セフメタゾール、セフォテタン、セフォキシチン、ロラカルベフ、イミペネム、エリスロマイシン(及びエストレート、エチルコハク酸、グルセプト酸、ラクトビオン酸、ステアリン酸等のエリスロマイシン塩)、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、トロレアノマイシン、ペニシリンV、ペニシリン塩及び、その複合体、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、アモキシシリン、アモキシシリン及びクラブラン酸カリウム、アンピシリン、バカンピシリン、カルベニシリン インダニル ナトリウム(及びカルベニシリンの他の塩)、メズロシリン、ピペラシリン、ピペラシリン及びタキソバクタム、チカルシリン、チカルシリン及びクラブラン酸カリウム、クリンダマイシン、バンコマイシン、ノボビオシン、アミノサリチル酸、カプレオマイシン、サイクロセリン、エタンブトールHCl及び他の塩、エチオナミド、及びイソニアジド、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、スパルフロキサシン、スルファシチン、スルファメラジン、スルファメタジン、スルファメチキソール、スルファサラジン、スルフィソキサゾール、スルファピリジン、スルファジアジン、スルファメトキサゾール、スルファピリジン、メトロニダゾール、メテナミン、ホスホマイシン、ニトロフラントイン、トリメトプリム、クロファジミン、コトリアモキサゾール、ペンタミジン、及びトリメトレキサート。
【0059】
本発明はさらに、以下の実施例に関して開示されるが、しかしながら、本発明の範囲はこれらによって限定されない。本明細書中の全てのパーセンテージは、特別の定めのない限り、重量である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
(実施例)
I.即時放出成分
水あるいは他の溶媒の存在下で、あるいは乾燥混合において、プラネタリーミキサー、高剪断造粒機、流動床造粒機あるいは押出機等の適切な調合薬ミキサーあるいは造粒機で成分を混合することにより、前記組成物を作成する。水あるいは他の溶媒が用いられた場合、混合物を真空オーブンあるいは強制換気オーブン等の適切な調合薬乾燥機中で乾燥させる。生成物はふるいに掛けられ、あるいは粒状にされ、ロータリー式錠剤機等の適切な錠剤圧縮機を用いて圧縮されるか、あるいは適切な注入器を用いてカプセルあるいは小袋(サシェ)中に注入される。
【0061】
成分 濃度(% W/W)
実施例1:
アモキシシリン 65%(W/W)
微結晶セルロース 20
ポビドン 10
クロスカルメロース ナトリウム 5
実施例2:
アモキシシリン 55%(W/W)
微結晶セルロース 25
ポビドン 10
クロスカルメロース ナトリウム 10
実施例3:
アモキシシリン 65%(W/W)
微結晶セルロース 20
ヒドロキシプロピルセルロース 10
クロスカルメロース ナトリウム 5
実施例4:
アモキシシリン 75%(W/W)
ポリエチレングリコール4000 10
ポリエチレングリコール2000 10
ヒドロキシプロピルセルロース 5
実施例5:
アモキシシリン 75%(W/W)
ポリエチレングリコール8000 20
ポリビニルピロリドン 5
実施例6:
クラリスロマイシン 65%(W/W)
微結晶セルロース 20
ヒドロキシプロピルセルロース 10
クロスカルメロース ナトリウム 5
実施例7:
クラリスロマイシン 75%(W/W)
微結晶セルロース 15
ヒドロキシプロピルセルロース 5
クロスカルメロース ナトリウム 5
実施例8:
クラリスロマイシン 75%(W/W)
ポリエチレングリコール4000 10
ポリエチレングリコール2000 10
ヒドロキシプロピルセルロース 5
実施例9:
クラリスロマイシン 75%(W/W)
ポリエチレングリコール8000 20
ポリビニルピロリドン 5
実施例10:
シプロフロキサシン 65%(W/W)
微結晶セルロース 20
ヒドロキシプロピルセルロース 10
クロスカルメロース ナトリウム 5
実施例11:
シプロフロキサシン 75%(W/W)
微結晶セルロース 15
ヒドロキシプロピルセルロース 5
クロスカルメロース ナトリウム 5
実施例12:
シプロフロキサシン 75%(W/W)
ポリエチレングリコール4000 10
ポリエチレングリコール2000 10
ヒドロキシプロピルセルロース 5
実施例13:
シプロフロキサシン 75%(W/W)
ポリエチレングリコール8000 20
ポリビニルピロリドン 5
実施例14:
セフチブテン 75%(W/W)
ポリエチレングリコール4000 10
ポリエチレングリコール2000 10
ヒドロキシプロピルセルロース 5
実施例15:
セフチブテン 75%(W/W)
ポリエチレングリコール4000 20
ポリビニルピロリドン 5
【0062】
II.非pH感受性遅延放出成分
American Pharmaceutical Reviewの2001冬発行のBussemerとBodmeierによる“A Review of Pulsatile Drug Delivery”に開示された任意の方法が、開示されたpH非依存遅延放出成分を作成するために利用することができる。実施例16及び17は、浸透性と塗膜の厚さに依存して一定時間後にオイドラギット塗膜の浸透性の急激な増加をもたらすために、オイドラギットRSの層の下の有機酸層を利用し、そのために内核がオイドラギット膜を通して放出できる。実施例18は、外側の酢酸セルロース膜の浸透性、可塑性及び厚さにより決まる所定時間後に不溶性コーティング膜を破裂させる高い膨潤性のポリマーを持つ中心(core)を利用する。塗膜は、この分野における通常の知識を有する者に知られているように、流動床プロセッサーでのウルスターカラムコーティング等の方法により中心に塗布される。
【0063】
さらに、この成分は実施例19のように作成され得る。この実施例において、前記成分は、水あるいは他の溶媒の存在下で、あるいは熱溶解プロセスにおいて、プラネタリーミキサー、高剪断造粒機、流動床造粒機あるいは押出機等の適切な調合薬ミキサーあるいは造粒機で成分を混合することにより調製される。水あるいは他の溶媒が用いられた場合、混合物を真空オーブンあるいは強制換気オーブン等の適切な調合薬乾燥機中で乾燥させる。
【0064】
成分を冷却させた後、生成物はふるいに掛けられ、あるいは粒状にされ、ロータリー式錠剤機等の適切な錠剤圧縮機を用いて圧縮されるか、あるいは適切なエンカプスレータ(カプセル化装置)でカプセル中に注入される。
【0065】
成分 濃度(% W/W)
実施例16:
実施例4由来の中心 65%(W/W)
クエン酸 10
オイドラギットRSポリマー 20
タルク 4
TEC 1
実施例17:
実施例9由来の中心 75%(W/W)
クエン酸 10
オイドラギットRSポリマー 10
タルク 4
TEC 1
実施例18:
実施例1由来の中心 93%(W/W)
酢酸セルロース 6.75
PEG400 0.25
実施例19:
シプロフロキサシン 70%(W/W)
ポリオックス 20
ヒドロキシプロピルセルロース 5
クロスカルメロース ナトリウム 5
【0066】
III.腸溶性遅延放出成分
実施例20から27は、活性中心への腸溶性ポリマーの層形成によって腸溶性放出成分を作成するために、この分野における通常の知識を有する者に通常知られた塗膜コーティング技術を利用する。通常、以下のステップを含む。第一に、有機溶媒あるいは水性溶媒中でコーティング分散剤あるいは溶液を作成する。第二に、満足できる均一な塗膜を作成するのに適切な条件でコーティングを行う。これは、パン コーター(pan coater)あるいは流動床ウルスター カラム コーター(fluid bed wurster column coater)等の適当なコーティング装置で行われる。随意的に、必要であれば生成物はさらに保存することができる。
【0067】
マトリクス型腸溶性成分を作成するために、水あるいは他の溶媒の存在下で、あるいは熱溶解プロセスにおいて、プラネタリーミキサー、高剪断造粒機、流動床造粒機あるいは押出機等の適切な調合薬ミキサーあるいは造粒機で成分を混合することにより、実施例28から32の成分を作成する。水あるいは他の溶媒が用いられた場合、混合物を真空オーブンあるいは強制換気オーブン等の適切な調合薬乾燥機中で乾燥させる。生成物を冷却する。
【0068】
いずれかの方法により作成された生成物はふるいに掛けられ、あるいは粒状にされ、ロータリー式錠剤機等の適切な錠剤圧縮機を用いて圧縮されるか、あるいはMG2Futura等の適切なカプセル注入器を用いてカプセル中に注入される。
【0069】
成分 濃度(% W/W)
実施例20:
実施例1由来の中心 65%(W/W)
酢酸フタル酸セルロース 30
TEC 5
実施例21:
実施例5由来の中心 75%(W/W)
酢酸フタル酸セルロース 20
トリアセチン 5
実施例22:
実施例1由来の中心 65%(W/W)
オイドラギットL 25
タルク 8
TEC 2
実施例23:
実施例1由来の中心 65%(W/W)
オイドラギットFS 28
タルク 5
TEC 2
実施例24:
実施例1由来の中心 65%(W/W)
オイドラギットS 28
タルク 5
TEC 2
実施例25:
実施例7由来の中心 75%(W/W)
オイドラギットL 20
タルク 3.5
TEC 1.5
実施例26:
実施例11由来の中心 60%(W/W)
オイドラギットL 35
タルク 4
TEC 1
実施例27:
実施例15由来の中心 65%(W/W)
酢酸フタル酸セルロース 32.5
TEC 2.5
実施例28:
アモキシシリン 75%(W/W)
微結晶セルロース 5
フタル酸ヒドロキシプロピルセルロース 20
実施例29:
アモキシシリン 60%(W/W)
ラクトース 10
オイドラギットL30D 30
実施例30:
シプロフロキサシン 70%(W/W)
ポリエチレングリコール4000 10
酢酸フタル酸セルロース 20
実施例31:
クラリスロマイシン 60%(W/W)
ポリエチレングリコール2000 10
ラクトース 20
オイドラギットL30D 10
実施例32:
セフチブテン 70%(W/W)
微結晶セルロース 20
酢酸フタル酸セルロース 10
【0070】
IV.持続放出成分
実施例33から38は、活性中心への持続放出ポリマーの層形成によって持続放出成分を作成するために、この分野における通常の知識を有する者に通常知られた塗膜コーティング技術を利用する。通常、以下のステップを含む。第一に、有機溶媒あるいは水性溶媒中でコーティング分散剤あるいは溶液を作成する。第二に、満足できる均一な塗膜を作成するのに適切な条件でコーティングを行う。これは、パン コーターあるいは流動床ウルスター カラム コーター等の適当なコーティング装置で行われる。随意的に、必要であれば生成物はさらに保存することができる。保存研究は、持続放出膜と共に行うことが推奨される。
【0071】
マトリクス型持続放出成分を作成するために、水あるいは他の溶媒の存在下で、あるいは熱溶解プロセスにおいて、プラネタリーミキサー、高剪断造粒機、流動床造粒機あるいは押出機等の適切な調合薬ミキサーあるいは造粒機で成分を混合することにより、実施例39から42の成分を作成する。水あるいは他の溶媒が用いられた場合、混合物を真空オーブンあるいは強制換気オーブン等の適切な調合薬乾燥機中で乾燥させる。生成物を冷却する。
【0072】
いずれかの方法により作成された生成物はふるいに掛けられ、あるいは粒状にされ、ロータリー式錠剤機等の適切な錠剤圧縮機を用いて圧縮されるか、あるいはMG2Futura等の適切なカプセル注入器を用いてカプセル中に注入される。
【0073】
成分 濃度(% W/W)
実施例33:
実施例1由来の中心 75%(W/W)
エチルセルロース 20
HPC 5
実施例34:
実施例5由来の中心 80%(W/W)
オイドラギットRS 10
オイドラギットRL 5
タルク 3
TEC 2
実施例35:
実施例5由来の中心 90%(W/W)
エチルセルロース 9
トリアセチン 1
実施例36:
実施例7由来の中心 90%(W/W)
Surelease 10
実施例37:
実施例11由来の中心 85%(W/W)
コリコート(Kollicoat)SR 10
TBC 5
実施例38:
実施例15由来の中心 80%(W/W)
ポリエチレングリコール8000 5
オイドラギットRS30D 15
実施例39:
アモキシシリン 75%(W/W)
ヒドロキシエチルセルロース 10
ポリエチレングリコール4000 10
ヒドロキシプロピルセルロース 5
実施例40:
シプロフロキサシン 75%(W/W)
ラクトース 10
ポビドン(PVP) 10
ポリエチレングリコール2000 5
実施例41:
クラリスロマイシン 75%(W/W)
ポリエチレングリコール4000 10
ポビドン(PVP) 10
ヒドロキシプロピルセルロース 5
実施例42:
セフチブテン 75%(W/W)
ラクトース 15
ポリエチレングリコール4000 5
ポリビニルピロリドン 5
【0074】
V.持続放出の開始を遅延させるための塗膜を伴う持続放出剤形
本発明における抗生物質の持続放出の開始の遅延は、持続放出塗膜で即時放出成分ビーズをコーティングし、その後続いて塗布されたビーズに腸溶性塗膜あるいは非pH感受性遅延放出塗膜を塗布することにより、あるいはまた持続放出マトリクス成分ビーズが腸溶性塗膜あるいは非pH感受性遅延放出塗膜で塗装されることにより、得られる。
【0075】
塗膜は、消化管の所望の環境あるいは位置において治療物質を律動的に出す生成物を作成するために、持続放出塗装ビーズあるいは持続放出マトリクスビーズに塗布することができる。
【0076】
VA.以下の実施例は、結果的に本発明の持続放出成分となる、実施例のセクションI由来の即時放出ビーズに塗布するための持続放出塗膜物質の詳細な調製を開示する。
【0077】
実施例43.オイドラギットRS実施例−有機塗膜
【0078】
【表1】

【0079】
ステップ1.オイドラギットをアセトン中に溶解させる。
ステップ2.アセトンの入った別個の容器中でTECとタルクを混合する。
ステップ3.ステップ2の生成物をステップ1の生成物に添加し、吹き付け前に20分間混合する。
【0080】
実施例44.SureleaseTM実施例−水溶性塗膜
【0081】
【表2】

【0082】
ステップ1.sureleaseと水を、吹き付け前に30分間混合する。
【0083】
持続放出塗膜のビーズへの塗布方法:
塗布されるビーズで、ウルスターカラムを備えた流動床を満たす。4から20%の重量増加となるようにビーズを効率的に塗装するために、ビーズコーティングの分野における通常の知識を有する者に知られた速度及び温度で、塗膜をビーズに吹き付ける。最適な操作性と安定性のために、コーティング溶媒の特定のレベルまでビーズを乾燥させる。必要な場合には、持続放出塗膜のさらなる凝結のためにビーズを保存する。
【0084】
VB.以下は、第二、第三あるいはさらなる剤形のいずれかあるいは全ての作用の開始を随意的に遅延させるために用いることができる、pH感受性、あるいは腸溶性放出塗膜の例である。
【0085】
上述の持続放出塗膜で処理された即時放出成分あるいは持続マトリクス小丸薬に塗布される水溶性オイドラギットL30D−55分散剤の組成が、以下の実施例45にて提供される。
【0086】
実施例45.オイドラギット(登録商標)L30D−55水溶性コーティング分散剤
【0087】
【表3】

【0088】
オイドラギット(登録商標)L30D−55水溶性分散剤の調製方法
【0089】
ステップ1 クエン酸トリエチルとタルクを純水中で懸濁する。
ステップ2 TEC/タルク懸濁液を、続いてPowerGen700高剪断ミキサーを用いて均質化する。
ステップ3 TEC/タルク懸濁液を、攪拌しながらゆっくりとオイドラギット(登録商標)L30D−55水性(ラテックス)分散剤に添加する。
ステップ4 マトリクス小丸薬への塗布の前に、一時間コーティング分散剤を攪拌する。
【0090】
実施例46.オイドラギット(登録商標)S100水溶性コーティング分散剤の調製
分散剤作成
マトリクス小丸薬に塗布される水溶性オイドラギット(登録商標)S100分散剤の組成は以下に提供される:
【0091】
オイドラギット(登録商標)S100水溶性コーティング分散剤
【0092】
【表4】

【0093】
オイドラギット(登録商標)S100水溶性分散剤の調製方法
パートI:
(i)オイドラギット(登録商標)S100粉末を撹拌しながら純水に投与する。
(ii)水酸化アンモニウム溶液を撹拌しながら一滴ずつ分散剤中に添加する。
(iii)部分的に中和された分散剤を60分間撹拌する。
(iv)クエン酸トリエチルを撹拌しながら一滴ずつ分散剤に添加する。B部分の追加の前に約2時間撹拌する。
【0094】
パートII:
(i)タルクを所定量の水に分散させる。
(ii)PowerGen700D高剪断ミキサーを用いて分散剤を均質化する。
(iii)B部分を、軽く撹拌しながらゆっくりとA部分のポリマー分散剤に添加する。
【0095】
水溶性コーティング分散剤の使用のための塗布条件
以下の塗布条件が、マトリクス小丸薬をオイドラギット(登録商標)L30D−55及びオイドラギット(登録商標)S100水溶性塗膜コーティングのそれぞれで塗装するために用いられた。
【0096】
コーティング装置 STREA1TMテーブルトップ実験室流動床コーター
スプレーノズル直径 1.0mm
材料分量 300グラム
吸気温度 40から45℃
排気温度 30から33℃
噴霧空気圧 1.8バール
ポンプ速度 1分あたり2グラム
【0097】
(i)小丸薬に対して12%の塗膜重量増加となるように、マトリクス小丸薬をL30D−55分散剤で塗装する。
(ii)小丸薬に対して20%の塗膜重量増加となるように、マトリクス小丸薬をS100分散剤で塗装する。
【0098】
VC.以下の実施例は、第二、第三あるいはさらなる剤形のいずれかあるいは全ての作用の開始を随意的に遅延させるために用いる、非pH感受性コーティング物質の詳細な調製を開示する。
【0099】
実施例47.破裂可能塗膜
【0100】
【表5】

【0101】
ステップ1.酢酸セルロースをアセトン中に溶解させる。
ステップ2.ステップ1の生成物にTECを添加し、20分間混合する。
【0102】
持続放出塗膜のビーズへの塗布方法:
塗布されるビーズで、ウルスターカラムを備えた流動床を満たす。ビーズは、水蒸気に露出されると急速に膨張する成分を含有している必要がある。セクションIのクロスカルメロース ナトリウムを包含するビーズは、セクションIV由来の膨張可能な親水性ポリマーを持つビーズとして良い候補物質である。4から20%の重量増加となるようにビーズを効率的に塗装するために、ビーズコーティングの分野における通常の知識を有する者に知られた速度及び温度で、塗膜をビーズに吹き付ける。最適な操作性と安定性のために、コーティング溶媒の特定のレベルまでビーズを乾燥させる。
【0103】
破裂可能塗膜コーティングの使用のための塗布条件
以下の塗布条件が、破裂可能塗膜コーティングで実施例39由来のマトリクス小錠剤を塗装するために用いられた。2.5%の重量増加が、所望の遅延時間をもたらした。
【0104】
コーティング装置 1.3L panを用いたベクターLDCSコーティングシステム
スプレーノズル直径 0.8mm
材料分量 800グラム
吸気温度 40から45℃
排気温度 18から23℃
噴霧空気圧 25psi
ポンプ速度 1分あたり6グラム
【0105】
上記の腸溶性塗膜及び非pH感受性塗膜を、作用の開始の遅延する持続放出ビーズを提供するために、実施例33から42の持続放出マトリクスビーズあるいは、前もって持続放出塗膜で処理された即時放出成分ビーズに塗布することができる。さらに、腸溶性塗膜あるいは非pH感受性塗膜を、作用の開始の遅延をもたらすために、即時放出成分ビーズに直接塗布することができる。
【0106】
VI.最終組成物
個々の成分が全て作成された後で、最終剤形に組み立てられ、錠剤、カプセルあるいは小袋の形態をとり得る。好ましくは、最終剤形はカプセルあるいは錠剤の形態をとる。最も好ましくは、最終剤形は錠剤である。
【0107】
種々の剤形が、Cmaxが抗生物質の放出の開始後12時間未満に得られ、また製剤が一日に一回の範囲の抗感染症薬をもたらす割合で、最終剤形に組み合わせられる。好ましくは、第一、第二及び第三の剤形はそれぞれ、全剤形の20から70%、10から70%及び10から70%をもたらす。より好ましくは、第一、第二及び第三の剤形の割合はそれぞれ、全剤形の25から66%、15から60%及び15から60%の範囲である。最も好ましくは、第一、第二及び第三の剤形の割合はそれぞれ、33から60%、25から50%及び25から50%の範囲である。
【0108】
本発明は特に、抗生物質の一日二回の投与における改善と抗生物質の一日一回の投与における改善をもたらす抗生物質製剤を提供する点で有益である。
【0109】
上記示唆の観点から、本発明の多数の改良及び変形が可能であり、したがって請求の範囲の範囲内で、本発明は特に開示された以外に実施することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一日一回の抗生物質製剤であって、
第一、第二及び第三の抗生物質剤形を含み、
前記抗生物質剤形のそれぞれが、最低一つの抗生物質と薬学的許容担体を含み、
前記第一の抗生物質剤形が遅延放出剤形であり、前記第二及び第三の抗生物質剤形が遅延持続放出剤形であって、
ここで前記第二の剤形が、前記第一の剤形が抗生物質の放出を開始するのとほぼ同時に抗生物質の放出を開始するか、あるいは前記第二の剤形が、前記第一の剤形が抗生物質の放出を開始した後に抗生物質の放出を開始し、
またここで前記第三の剤形が、前記第二の剤形が抗生物質の放出を開始した後に抗生物質の放出を開始し、
前記抗生物質製剤から放出された全ての抗生物質のCmaxが、抗生物質の放出の開始から約12時間未満に得られ、前記一日一回の抗生物質製剤が、24時間分の最低一つの抗生物質の全投与量を包含することを特徴とする抗生物質製剤。
【請求項2】
請求項1に記載の抗生物質製剤において、前記第二の剤形が、前記第一の剤形が抗生物質の放出を開始するのとほぼ同時に抗生物質の放出を開始することを特徴とする抗生物質製剤。
【請求項3】
請求項1に記載の抗生物質製剤において、前記第二の剤形が、前記第一の剤形が抗生物質の放出を開始した後に抗生物質の放出を開始することを特徴とする抗生物質製剤。
【請求項4】
請求項1に記載の抗生物質製剤において、前記抗生物質製剤のCmaxが、抗生物質の放出の開始後4時間より早くには達しないことを特徴とする抗生物質製剤。
【請求項5】
請求項1に記載の抗生物質製剤において、前記第一の剤形から放出された抗生物質が、抗生物質の放出の開始後約0.5時間から約2時間の間にCmaxに達することを特徴とする抗生物質製剤。
【請求項6】
請求項1に記載の抗生物質製剤において、前記抗生物質製剤が、経口剤形であることを特徴とする抗生物質製剤。
【請求項7】
請求項1に記載の抗生物質製剤において、前記第二の剤形から放出された抗生物質が、前記第一の剤形から放出された抗生物質がCmaxに達した後に、Cmaxに達することを特徴とする抗生物質製剤。
【請求項8】
請求項1に記載の抗生物質製剤において、前記第三の剤形から放出された抗生物質が、前記第二の剤形から放出された抗生物質がCmaxに達した後に、Cmaxに達することを特徴とする抗生物質製剤。
【請求項9】
請求項1に記載の抗生物質製剤において、前記第一の剤形が抗生物質の投与量全体の約20から70%を包含し、前記第二の剤形が抗生物質の投与量全体の約10から70%を包含し、前記第三の剤形が抗生物質の投与量全体の約10から70%を包含することを特徴とする抗生物質製剤。
【請求項10】
請求項1に記載の抗生物質製剤において、前記第一の剤形が抗生物質の投与量全体の約25から66%を包含し、前記第二の剤形が抗生物質の投与量全体の約15から60%を包含し、前記第三の剤形が抗生物質の投与量全体の約15から60%を包含することを特徴とする抗生物質製剤。
【請求項11】
請求項1に記載の抗生物質製剤において、前記第一の剤形が抗生物質の投与量全体の約33から60%を包含し、前記第二の剤形が抗生物質の投与量全体の約25から50%を包含し、前記第三の剤形が抗生物質の投与量全体の約25から50%を包含することを特徴とする抗生物質製剤。
【請求項12】
請求項1に記載の抗生物質製剤において、さらに第四の抗生物質剤形を含み、
前記第四の抗生物質剤形が、持続あるいは遅延放出剤形であって、最低一つの抗生物質と薬学的許容担体を含み、
前記第四の抗生物質剤形から放出された前記最低一つの抗生物質が、前記第一、第二及び第三の剤形のそれぞれから放出された抗生物質についてCmaxが得られた後に、Cmaxに達することを特徴とする抗生物質製剤。
【請求項13】
請求項12に記載の抗生物質製剤において、前記抗生物質製剤のCmaxが、抗生物質の放出の開始後4時間より早くには達しないことを特徴とする抗生物質製剤。
【請求項14】
請求項12に記載の抗生物質製剤において、前記第一の剤形から放出された抗生物質が、抗生物質の放出の開始後約0.5時間から約2時間の間にCmaxに達することを特徴とする抗生物質製剤。
【請求項15】
請求項12に記載の抗生物質製剤において、前記第二の剤形から放出された抗生物質が、抗生物質の放出の開始後約4時間以内にCmaxに達することを特徴とする抗生物質製剤。
【請求項16】
請求項12に記載の抗生物質製剤において、前記抗生物質製剤が、経口剤形であることを特徴とする抗生物質製剤。
【請求項17】
請求項12に記載の抗生物質製剤において、前記第二の剤形から放出された抗生物質が、前記第一の剤形から放出された抗生物質がCmaxに達した後に、Cmaxに達することを特徴とする抗生物質製剤。
【請求項18】
請求項12に記載の抗生物質製剤において、前記第三の剤形から放出された抗生物質が、前記第二の剤形から放出された抗生物質がCmaxに達した後に、Cmaxに達することを特徴とする抗生物質製剤。
【請求項19】
宿主の細菌感染の処置方法であって、請求項1に記載の抗生物質製剤を宿主に一日一回投与することを含むことを特徴とする処置方法。
【請求項20】
宿主の細菌感染の処置方法であって、請求項2に記載の抗生物質製剤を宿主に一日一回投与することを含むことを特徴とする処置方法。
【請求項21】
宿主の細菌感染の処置方法であって、請求項3に記載の抗生物質製剤を宿主に一日一回投与することを含むことを特徴とする処置方法。
【請求項22】
宿主の細菌感染の処置方法であって、請求項4に記載の抗生物質製剤を宿主に一日一回投与することを含むことを特徴とする処置方法。
【請求項23】
宿主の細菌感染の処置方法であって、請求項5に記載の抗生物質製剤を宿主に一日一回投与することを含むことを特徴とする処置方法。
【請求項24】
宿主の細菌感染の処置方法であって、請求項6に記載の抗生物質製剤を宿主に一日一回投与することを含むことを特徴とする処置方法。
【請求項25】
宿主の細菌感染の処置方法であって、請求項7に記載の抗生物質製剤を宿主に一日一回投与することを含むことを特徴とする処置方法。
【請求項26】
宿主の細菌感染の処置方法であって、請求項8に記載の抗生物質製剤を宿主に一日一回投与することを含むことを特徴とする処置方法。
【請求項27】
宿主の細菌感染の処置方法であって、請求項9に記載の抗生物質製剤を宿主に一日一回投与することを含むことを特徴とする処置方法。
【請求項28】
宿主の細菌感染の処置方法であって、請求項10に記載の抗生物質製剤を宿主に一日一回投与することを含むことを特徴とする処置方法。
【請求項29】
宿主の細菌感染の処置方法であって、請求項11に記載の抗生物質製剤を宿主に一日一回投与することを含むことを特徴とする処置方法。
【請求項30】
宿主の細菌感染の処置方法であって、請求項12に記載の抗生物質製剤を宿主に一日一回投与することを含むことを特徴とする処置方法。
【請求項31】
宿主の細菌感染の処置方法であって、請求項13に記載の抗生物質製剤を宿主に一日一回投与することを含むことを特徴とする処置方法。
【請求項32】
宿主の細菌感染の処置方法であって、請求項14に記載の抗生物質製剤を宿主に一日一回投与することを含むことを特徴とする処置方法。
【請求項33】
宿主の細菌感染の処置方法であって、請求項15に記載の抗生物質製剤を宿主に一日一回投与することを含むことを特徴とする処置方法。
【請求項34】
宿主の細菌感染の処置方法であって、請求項16に記載の抗生物質製剤を宿主に一日一回投与することを含むことを特徴とする処置方法。
【請求項35】
宿主の細菌感染の処置方法であって、請求項17に記載の抗生物質製剤を宿主に一日一回投与することを含むことを特徴とする処置方法。
【請求項36】
宿主の細菌感染の処置方法であって、請求項18に記載の抗生物質製剤を宿主に一日一回投与することを含むことを特徴とする処置方法。

【公表番号】特表2007−502294(P2007−502294A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523372(P2006−523372)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/026175
【国際公開番号】WO2005/016278
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(503139061)アドバンシス ファーマスーティカル コーポレイション (13)
【Fターム(参考)】