説明

抗癌剤耐性を克服する薬剤及びそのスクリーニング方法

【課題】耐性を有する癌において,抗癌剤に対する耐性を克服する耐性克服剤を提供する。
【解決手段】本発明は,ARを阻害する化合物を有効成分とする抗癌剤耐性の克服剤,抗癌剤耐性克服剤を製造するためのARを阻害する化合物の使用,ARを阻害する化合物と抗癌活性を有する化合物とを含む医薬組成物,AR阻害活性を有する化合物を抗癌剤耐性克服の評価系で評価し,有効性の高い化合物を選択することを特徴とする,抗癌剤耐性の克服剤のスクリーニング方法,及び,AR阻害剤と抗癌剤とを組み合わせて患者に投与することを特徴とする耐性癌の治療方法である。ARを阻害する化合物としては,フィダレスタットが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は医薬品の分野に属するもので,アルドースレダクターゼ阻害剤を抗癌剤耐性の克服に使用することに関連する発明である。
【0002】
【従来の技術】
近年の日本において,癌は日本人の死因の1/4を占める最も社会的な影響の大きい疾病の一つとなっている。現在,癌の治療法としては,外科的療法,放射線療法,化学療法などが実施されているが,これらの方法だけで十分な治療効果を得るには至っていない。しかも,癌の化学療法においては,癌細胞が,使用されている薬剤に対して抵抗性を示すこと,すなわち薬剤耐性の発現が重大な問題となっている。
【0003】
薬剤耐性の主要な原因のひとつとして,P−糖蛋白質が挙げられる。P−糖蛋白質は細胞膜に存在する蛋白で,薬剤を細胞外に排出するポンプとして作用し,細胞内の薬物濃度を低下させる働きを持つ。一部の癌細胞は,このP−糖蛋白質をコードするMDR1遺伝子が高発現し,細胞膜状のP−糖蛋白質量が増加していることが知られている。このような癌細胞では,細胞内の薬物濃度が低下して有効濃度以下となってしまうため,薬剤に対し耐性を生じるに至る。また,P−糖蛋白質は基質特異性が低く,MDR1が高発現した癌細胞においては,それまで使用していた薬剤のみならず,その他の薬剤に対しても同時に耐性を獲得し,化学療法が事実上不可能となることも少なくない。このような現象を多剤耐性という。多剤耐性により癌細胞が抵抗性を生じる薬剤としては,塩酸ドキソルビシン,アクチノマイシンD,硫酸ビンブラスチン,硫酸ビンクリスチン,コルヒチン,塩酸ダウノルビシンなどの化学構造や作用機序の異なる薬剤が挙げられる(薬剤耐性の分子機構,鶴尾隆編,pp10-19,1994年,羊土社)。これらは,化学療法上よく用いられる代表的な薬剤であることからも,多剤耐性の問題の深刻さが理解できる。
【0004】
近年,肝臓癌を発症している患者の29%にアルドースレダクターゼ(以降ARと記す)が発現しており,54%にAR類似タンパク質が発現していることが報告された(Cao D, et al, J Biol Chem 1998, 273, pp11429-11435)。また,肝癌細胞であるHepG2に浸透圧負荷をかけることにより強制的にARを過剰発現させると,抗癌剤であるダウノルビシンで2時間処理したときの細胞毒性が減弱し,AR阻害剤(以降ARIと記す)を加えることで細胞毒性が有意に増加することも報告された(Lee KWY, et al. Anti-Cancer Drugs 2001, 12, pp129-132)。しかし,この試験は非常に激しい高浸透圧下で実施しているため,正常な状態とはかなり異なっており,また短時間での抗癌剤の細胞毒性を評価しているのみであるため,抗癌剤耐性の克服に対する効果は不明である。
【0005】
一方,子宮癌細胞であるヒーラ細胞を,抗癌剤である塩酸ドキソルビシンとシスプラチンとをARIとともに1〜2日間処理したときの細胞死数が,ARI共存下では多かったことが報告されている(Anti-Cancer Drugs 2002, 13 pp859-868)。しかし,この報告ではARIを使用しているが,使用細胞のAR発現について確認していないため,ARを阻害した結果による効果であるかどうかの証明はされていない。また,ここでは,抗癌剤の効果が増強されたことを示しているのみで,使用している細胞の抗癌剤耐性の有無については記載されておらず,抗癌剤耐性を克服する効果については不明である。
【0006】
上記の薬剤耐性における課題を解決するために,P−糖蛋白質の機能を阻害する物質の探索・開発が試みられている。例えば,これまでに塩酸ベラパミルなどのカルシウム拮抗薬,シクロスポリンAなどの免疫抑制剤がP−糖蛋白質の機能を阻害することが報告されている(薬剤耐性の分子機構,鶴尾隆編,pp32-39,1994年,羊土社)。しかし,これらを薬剤耐性克服の目的で投与した場合,それらが本来持つ作用であるカルシウム拮抗作用,免疫抑制作用が強力な副作用として現れ,実際の投与には適していない。またシクロスポリン誘導剤やキノリン誘導体なども開発が進められているが,毒性の問題などから臨床での適用には至っていないのが現状である。
【0007】
ところで,フィダレスタットは,本出願人会社によって発見されたARIであり,糖尿病神経障害に対する作用,糖尿病性単純網膜症に対する作用,糖尿病角膜症に対する作用が認められ,長期間にわたる使用安全性が高いことから,現在経口用医薬品としての臨床治験中にある。[EP-B-264586,U.S.4985573(特公平 3-72227号),特開平 7-242547号,特開平 8-231549号等]
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
薬剤耐性の問題は,癌の治療にあたって解決すべき重要な課題であり,抗癌剤耐性を回復せしめる薬剤を開発することは,治療法のないこれらの疾病に対して治療手段を提供するという意味で意義深い。従って,本発明は耐性を有する癌において,その抗癌剤に対する耐性の克服剤を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは,抗癌剤耐性を示す癌細胞においてARが高発現しており,ARを阻害する化合物が,癌細胞の抗癌剤耐性を克服することを見出し,本発明を完成させた。即ち,本発明は,ARを阻害する化合物を有効成分とする抗癌剤耐性の克服剤に関するものである。
【0010】
本発明はまた,抗癌剤耐性克服剤を製造するためのARを阻害する化合物の使用,ARを阻害する化合物と抗癌活性を有する化合物とを含む医薬組成物,AR阻害活性を有する化合物を抗癌剤耐性克服の評価系で評価し,有効性の高い化合物を選択することを特徴とする,抗癌剤耐性の克服剤のスクリーニング方法,及び,ARIと抗癌剤とを組み合わせて患者に投与することを特徴とする耐性癌の治療方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に,本発明を更に詳細に説明する。本発明は,抗癌剤耐性を示す癌細胞においてARが高発現しており,ARを阻害する化合物が,抗癌剤に対する耐性を獲得した癌細胞の抗癌剤耐性を克服するという知見に基づくものである。即ち,本発明の1形態は,ARを阻害する化合物を有効成分とする抗癌剤耐性の克服剤であり,別の1形態は,抗癌剤耐性克服剤を製造するためのARを阻害する化合物の使用と表現される。
【0012】
ARを阻害する化合物としては,フィダレスタット(fidarestat),エパルレスタット(epalrestat),トルレスタット(tolrestat),ポナルレスタット(ponalrestat),ゾポルレスタット(zopolrestat),ゼナラスタット(zenarestat),イミレスタット(imirestat),ミナルレスタット(minalrestat),ソルビニル(sorbinil),メトソルビニル(methosorbinil),ADN−138(8’-chloro-2’,3’-dihydrospiro[pyrrolidine-3,6’(5’H)-pyrrolo[1,2,3-de][1,4]benzoxazine]-2,5,5’-trione),AS−3201((R)-(-)-2-(4-bromo-2-fluorobenzyl)-1,2,3,4-tetrahydropyrrolo[1,2-a]pyrazine-4-spiro-3’-pyrrolidine-1,2’,3,5’-tetrone),ZD5522(N-[3,5-dimethyl-4-[(nitromethyl)sulfonyl]phenyl]-2-methylbenzeneacetamide)), SPR−210(3,4-dihydro-3-oxo-4-[(4,5,7-trifluoro-2-benzothiazolyl)methyl]-2H-1,4-benzothiazine-2-acetic acid), 3,4-Dihydro-2,8-diisopropyl-3-yhioxo-2H-1,4-benzoxazine-4-acetic acid,6-Fluoro-2-methyl-spiro-[chroman-4,4’-imidazolidine]-2’,5’-dione, 6-Chloro-2-methyl-spiro-[chroman-4,4’-imidazolidine]-2’,5’-dione, dl-Spiro-(2-fluorofluoren-9,4’-imidazolidine)-2’,5’-dione, Spiro-[2,7-difluorofluoren-9,4’-imidazolidine]-2’,5’-dione,d-cis-6’-Chloro-2’,3’-2’-methyl-spiro-[imidazolidine-4,4’-4’H-pyrano[2,3-b]pyridine]-dione, Spiro[imidazolidine-4,5’(6’H)-quinoline]-2,5-dione-3’-chloro-7’,8’-dihydro-7’-methyl-(5’-cis),又はこれらの塩が挙げられる。また,これらのプロドラッグであってもよい。中でも,その長期に渡る安全性が確認されているフィダレスタット,即ち,(2S,4S)-6-フルオロ-2’,5’-ジオキソスピロ[クロマン-4,4’-イミダゾリン]-2-カルボキサミドが好ましい。
【0013】
抗癌剤耐性の克服における抗癌剤としては,特に限定されるものではないが,塩酸ドキソルビシン,塩酸ダウノルビシン,ピラルビシン,硫酸ビンブラスチン,硫酸ビンクリスチン,アクチノマイシンD,コルヒチン,コルセミド,ピューロマイシン,エメチン,アンスラサイクリン,パクリタキセル及びマイトマイシンC等を例示することができる。ARIは,ARにより何らかの代謝を受けて失活する抗癌剤に対して有効性を示すことが推測される。中でも,塩酸ドキソルビシン,塩酸ダウノルビシン,ピラルビシン,アンスラサイクリン等に対する耐性の克服に対して,ARIは特に有効に作用する。また,ARIは,前述の抗癌剤の1つ又は1以上,もしくは,多数に対する耐性を獲得した癌細胞に対して,その耐性克服に有効である。即ち,多剤耐性の克服に,特に有効性が高い。
【0014】
尚,対象となる癌は,抗癌剤耐性を示す癌であれば,特に限定されるものではないが,抗癌剤投与によって耐性を示すようになった癌のみならず,本来的に抗癌剤耐性を示す癌であってもよく,また,多剤耐性の癌であってもよい。ARの高発現を伴う抗癌剤耐性癌が好適な対象となる。中でも,抗癌剤耐性の乳癌,肝臓癌などの耐性克服に,ARIは特に有効である。耐性癌患者において,ARIが耐性克服剤として本当に有効かどうかは,癌組織を採取して,そのAR発現を調べることにより,確認することができる。AR発現が耐性を持たない癌より高い場合は,ARIが耐性克服剤として有効であると判断することができる。即ち,本発明は,抗癌剤耐性となった癌患者の癌細胞におけるAR発現の有無を確認し,AR発現が認められた耐性癌患者に,抗癌剤とともにARIを投与することを特徴とする,耐性癌の治療方法をも提供するものである。
【0015】
本発明による耐性克服剤は,通常の技術により,例えば錠剤,カプセル剤,散剤,顆粒剤,液剤,シロップ剤として経口的に,あるいは点眼剤,注射剤,坐剤として非経口的に投与することができる。投与量は,症状,年齢,投与法,剤形,更には化合物等により異なるが,フィダレスタットであれば,通常は成人に対し,0.1-100mg/dayを1日あたり1回または数回に分けて連日投与するのが好ましい。尚,抗癌剤の種類,癌の種類及びその症状あるいは投与方法などにより,その投与量は変化することが一般的であり,上記範囲外で投与することができる。本発明による耐性克服剤は,抗癌剤と同時に投与するのが一般的である。そのため,本発明による耐性克服剤は,抗癌剤と共に製剤中に配合することもできる。即ち,ARIと抗癌活性を有する化合物とを含む医薬組成物とすることもできる。
【0016】
本発明を別の観点で捉えると,ARの阻害活性に基づいて,抗癌剤耐性を克服する化合物をスクリーニングする方法ということができる。本方法は,被検化合物のAR阻害活性を評価する工程と,得られたAR阻害活性を有する化合物を抗癌剤耐性克服の評価系で評価する工程とからなり,最終的に,抗癌剤耐性克服の評価系で有効性の高い化合物を抗癌剤耐性を克服する化合物として選択するスクリーニング方法である。尚,被検化合物のAR阻害活性を評価する工程を省略して,既存のARIを使用することもできる。ここで,AR阻害活性の評価系は,当業者の知るところであるが,ARにグルコースあるいはグリセルアルデヒド,またはARが基質として認識できる化合物を基質としNADPHを補酵素として用いて,反応時のNADPHの減少量を指標に求められる活性の測定方法が一般的である。また,抗癌剤耐性の評価系も,当業者の知るところであるが,耐性癌細胞に抗癌剤と被検化合物(ここではARI)を共存させて培養し,細胞生存率あるいは細胞増殖率または細胞障害活性を指標にして,抗癌剤単独との作用を比較するスクリーニング方法である。ここでは特に,AR高発現を伴う耐性癌細胞を使用するのが最適である。
【0017】
【実施例】
以下に,実施例をあげて,本発明をさらに具体的に説明する。但し,本発明は,これら実施例に限定されるものではない。
【0018】
[実施例1]
ヒト乳ガン細胞であるMCF7/WTとその多剤耐性化した細胞であるMCF7/ADRを用いて,細胞内AR活性を測定し比較した。培養したそれぞれの細胞は,培地を除去し,トリプシン処理にて細胞を回収した後,遠心し上清を除去した。続いて,冷やしたリン酸緩衝生理食塩液を用いて遠心,上清除去を3回繰り返した。続いて,0.5mMエチレンジアミン四酢酸及び7mMメルカプトエタノールを含有する20mMリン酸カリウム緩衝液pH7.5の緩衝系を加えて,細胞超音波破壊機を用いて細胞を破壊し,遠心分離した上清を測定検体とし,グリセルアルデヒドを基質とした時のNADPH消費に伴う吸光度変化をもとに,単位時間あたりのNADPH消費量をAR活性として測定した。また,細胞抽出液中のタンパク質濃度から,タンパク量あたりのAR様活性として算出した。その結果を表1に示す。ただし,このときMCF7/WTの細胞抽出液では,ARIであるフィダレスタットを2000nmol/L添加してもNADPH消費は抑制されず,この活性はARによるものではないことが確認された。一方,MCF7/ADRの細胞抽出液においては,その約80%が,ARIであるフィダレスタットの60nmol/L添加により抑制されており,ARによる活性であることが確認された。この結果より,MCF7/WTのAR発現が非常に低いのに比べて,MCF7/ADRは非常にARが多く発現していることが示された。
【0019】
【表1】

【0020】
[実施例2]
ヒト乳ガン細胞であるMCF7/WTとその多剤耐性化した細胞であるMCF7/ADRを用いて,ARmRNAの発現量をRT−PCR法にて測定し比較した。MCF7/WT及びMCF7/ADRを6穴プレートに培養し,total RNAを抽出・精製し,total RNAの1μg相当量を逆転写した後,リアルタイムPCR法によって,ARmRNA発現量を測定した。また,同じ逆転写サンプルについて,G3PDHのmRNAについても,発現量を測定した。得られたG3PDHの発現量でARの発現量を補正した。ただし,G3PDH 10コピーあたりの比として算出した。この結果より,MCF7/ADRのAR発現量は,MCF7/WTに比較して,著明に発現量が増加していることが確認された。
【0021】
【表2】

【0022】
[実施例3]
ヒト乳ガン細胞であるMCF7/WTとその多剤耐性化した細胞であるMCF7/ADRを用い,5%FBSを含むRPMI1640培地で4,000個/穴で96穴プレートにまき,37℃,二酸化炭素5%含有大気中で24時間培養した。次に培地を除いて,抗癌剤として塩酸ダウノルビシンを最終濃度2×10〜2×10−4M含む培地と,フィダレスタットを10μM含む培地とをそれぞれ100μL/穴で添加し,さらに37℃,二酸化炭素5%含有大気中で3〜4日間培養した。あらかじめ,450nm−690nmのバックグラウンドを測定しておき,WST−1試薬10μLを加えて,1時間,37℃,二酸化炭素5%含有大気中で培養し,450nm−690nmの吸光度を測定した。反応後の測定値から反応前の測定値を差し引いた値をもとに,塩酸ダウノルビシンのIC50値を算出した。この結果を図1,2及び表3に示す。尚,IC50値は,阻害率50%付近の2〜3点から算出した。図1,2及び表2により明らかなように,フィダレスタットは,多剤耐性を持たないMCF7/WT細胞に対する塩酸ダウノルビシンのIC50値には影響を及ぼさなかったが,多剤耐性化したMCF7/ADR細胞においては,塩酸ダウノルビシンのIC50値を下げ,耐性を克服する作用を示した。
【0023】
【表3】

【0024】
【発明の効果】
本発明は,従来の抗癌剤耐性克服剤とは全く異なる新しい耐性克服剤を提供するものであり,耐性癌や多剤耐性癌の治療に新たな方法を提供する意味できわめて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 MCF7/WTを用いたフィダレスタット添加時,非添加時の抗癌剤による増殖阻害率を示す図である。
【図2】 MCF7/ADRを用いたフィダレスタット添加時,非添加時の抗癌剤による増殖阻害率を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルドースレダクターゼを阻害する化合物を有効成分とする抗癌剤耐性の克服剤。
【請求項2】
アルドースレダクターゼを阻害する化合物が、フィダレスタット(fidarestat),エパルレスタット(epalrestat),トルレスタット(tolrestat),ポナルレスタット(ponalrestat),ゾポルレスタット(zopolrestat),ゼナラスタット(zenarestat),イミレスタット(imirestat),ミナルレスタット(minalrestat),ソルビニル(sorbinil),メトソルビニル(methosorbinil),ADN−138(8’-chloro-2’,3’-dihydrospiro[pyrrolidine-3,6’(5’H)-pyrrolo[1,2,3-de][1,4]benzoxazine]-2,5,5’-trione),AS−3201((R)-(-)-2-(4-bromo-2-fluorobenzyl)-1,2,3,4-tetrahydropyrrolo[1,2-a]pyrazine-4-spiro-3’-pyrrolidine-1,2’,3,5’-tetrone),ZD5522(N-[3,5-dimethyl-4-[(nitromethyl)sulfonyl]phenyl]-2-methylbenzeneacetamide)),SPR−210(3,4-dihydro-3-oxo-4-[(4,5,7-trifluoro-2-benzothiazolyl)methyl]-2H-1,4-benzothiazine-2-acetic acid), 3,4-Dihydro-2,8-diisopropyl-3-yhioxo-2H-1,4-benzoxazine-4-acetic acid,6-Fluoro-2-methyl-spiro-[chroman-4,4’-imidazolidine]-2’,5’-dione, 6-Chloro-2-methyl-spiro-[chroman-4,4’-imidazolidine]-2’,5’-dione, dl-Spiro-(2-fluorofluoren-9,4’-imidazolidine)-2’,5’-dione, Spiro-[2,7-difluorofluoren-9,4’-imidazolidine]-2’,5’-dione,d-cis-6’-Chloro-2’,3’-2’-methyl-spiro-[imidazolidine-4,4’-4’H-pyrano[2,3-b]pyridine]-dione, Spiro[imidazolidine-4,5’(6’H)-quinoline]-2,5-dione-3’-chloro-7’,8’-dihydro-7’-methyl-(5’-cis),及びこれらの塩,並びにこれらのプロドラッグからなる群から選択される1以上の化合物である、請求項1に記載の抗癌剤耐性の克服剤。
【請求項3】
アルドースレダクターゼを阻害する化合物がフィダレスタットである,請求項2に記載の抗癌剤耐性の克服剤。
【請求項4】
抗癌剤耐性が,塩酸ドキソルビシン,塩酸ダウノルビシン,ピラルビシン,硫酸ビンブラスチン,硫酸ビンクリスチン,アクチノマイシンD,コルヒチン,ピューロマイシン,エメチン,アンスラサイクリン,コルセミド,パクリタキセル及びマイトマイシンCからなる群から選択される1以上の抗癌剤に対する抗癌剤耐性である,請求項1〜3のいずれかに記載の抗癌剤耐性の克服剤。
【請求項5】
抗癌剤耐性が塩酸ダウノルビシンに対する抗癌剤耐性である,請求項4に記載の抗癌剤耐性の克服剤。
【請求項6】
抗癌剤耐性克服剤を製造するための,アルドースレダクターゼを阻害する化合物の使用。
【請求項7】
アルドースレダクターゼを阻害する化合物が、フィダレスタット(fidarestat),エパルレスタット(epalrestat),トルレスタット(tolrestat),ポナルレスタット(ponalrestat),ゾポルレスタット(zopolrestat),ゼナラスタット(zenarestat),イミレスタット(imirestat),ミナルレスタット(minalrestat),ソルビニル(sorbinil),メトソルビニル(methosorbinil),ADN−138(8’-chloro-2’,3’-dihydrospiro[pyrrolidine-3,6’(5’H)-pyrrolo[1,2,3-de][1,4]benzoxazine]-2,5,5’-trione),AS−3201((R)-(-)-2-(4-bromo-2-fluorobenzyl)-1,2,3,4-tetrahydropyrrolo[1,2-a]pyrazine-4-spiro-3’-pyrrolidine-1,2’,3,5’-tetrone),ZD5522(N-[3,5-dimethyl-4-[(nitromethyl)sulfonyl]phenyl]-2-methylbenzeneacetamide)),SPR−210(3,4-dihydro-3-oxo-4-[(4,5,7-trifluoro-2-benzothiazolyl)methyl]-2H-1,4-benzothiazine-2-acetic acid), 3,4-Dihydro-2,8-diisopropyl-3-yhioxo-2H-1,4-benzoxazine-4-acetic acid,6-Fluoro-2-methyl-spiro-[chroman-4,4’-imidazolidine]-2’,5’-dione, 6-Chloro-2-methyl-spiro-[chroman-4,4’-imidazolidine]-2’,5’-dione, dl-Spiro-(2-fluorofluoren-9,4’-imidazolidine)-2’,5’-dione, Spiro-[2,7-difluorofluoren-9,4’-imidazolidine]-2’,5’-dione,d-cis-6’-Chloro-2’,3’-2’-methyl-spiro-[imidazolidine-4,4’-4’H-pyrano[2,3-b]pyridine]-dione, Spiro[imidazolidine-4,5’(6’H)-quinoline]-2,5-dione-3’-chloro-7’,8’-dihydro-7’-methyl-(5’-cis)及びこれらの塩,並びにこれらのプロドラッグからなる群から選択される1以上の化合物である、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
アルドースレダクターゼを阻害する化合物がフィダレスタットである,請求項7に記載の使用。
【請求項9】
アルドースレダクターゼを阻害する化合物と抗癌活性を有する化合物とを含む,医薬組成物。
【請求項10】
アルドースレダクターゼを阻害する化合物が,フィダレスタット(fidarestat),エパルレスタット(epalrestat),トルレスタット(tolrestat),ポナルレスタット(ponalrestat),ゾポルレスタット(zopolrestat),ゼナラスタット(zenarestat),イミレスタット(imirestat),ミナルレスタット(minalrestat),ソルビニル(sorbinil),メトソルビニル(methosorbinil),ADN−138(8’-chloro-2’,3’-dihydrospiro[pyrrolidine-3,6’(5’H)-pyrrolo[1,2,3-de][1,4]benzoxazine]-2,5,5’-trione),AS−3201((R)-(-)-2-(4-bromo-2-fluorobenzyl)-1,2,3,4-tetrahydropyrrolo[1,2-a]pyrazine-4-spiro-3’-pyrrolidine-1,2’,3,5’-tetrone),ZD5522(N-[3,5-dimethyl-4-[(nitromethyl)sulfonyl]phenyl]-2-methylbenzeneacetamide)),SPR−210(3,4-dihydro-3-oxo-4-[(4,5,7-trifluoro-2-benzothiazolyl)methyl]-2H-1,4-benzothiazine-2-acetic acid), 3,4-Dihydro-2,8-diisopropyl-3-yhioxo-2H-1,4-benzoxazine-4-acetic acid,6-Fluoro-2-methyl-spiro-[chroman-4,4’-imidazolidine]-2’,5’-dione, 6-Chloro-2-methyl-spiro-[chroman-4,4’-imidazolidine]-2’,5’-dione, dl-Spiro-(2-fluorofluoren-9,4’-imidazolidine)-2’,5’-dione, Spiro-[2,7-difluorofluoren-9,4’-imidazolidine]-2’,5’-dione,d-cis-6’-Chloro-2’,3’-2’-methyl-spiro-[imidazolidine-4,4’-4’H-pyrano[2,3-b]pyridine]-dione, Spiro[imidazolidine-4,5’(6’H)-quinoline]-2,5-dione-3’-chloro-7’,8’-dihydro-7’-methyl-(5’-cis),及びこれらの塩,並びにこれらのプロドラッグからなる群から選択される1以上の化合物である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
アルドースレダクターゼを阻害する化合物がフィダレスタットである,請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
抗癌剤が,塩酸ドキソルビシン,塩酸ダウノルビシン,ピラルビシン,硫酸ビンブラスチン,硫酸ビンクリスチン,アクチノマイシンD,コルヒチン,ピューロマイシン,エメチン,アンスラサイクリン,コルセミド,パクリタキセル及びマイトマイシンCからなる群から選択される1以上の抗癌剤である,請求項9〜11のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項13】
アルドースレダクターゼ阻害活性を有する化合物を抗癌剤耐性克服の評価系で評価し,有効性の高い化合物を選択することを特徴とする,抗癌剤耐性の克服剤のスクリーニング方法。
【請求項14】
アルドースレダクターゼ阻害活性を有する化合物を,被検化合物のアルドースレダクターゼ阻害活性を評価する評価系で選択することを特徴とする,請求項13に記載の,抗癌剤耐性の克服剤のスクリーニング方法。
【請求項15】
アルドースレダクターゼ阻害剤と抗癌剤とを組み合わせて患者に投与することを特徴とする,耐性癌の治療方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−15924(P2007−15924A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−167318(P2003−167318)
【出願日】平成15年6月12日(2003.6.12)
【出願人】(000144577)株式会社三和化学研究所 (29)
【Fターム(参考)】