抗老化方法および組成物
抗老化の方法および組成物が開示されている。前記組成物は、抗酸化剤およびフリーラジカル失活性を有する、マイクロクラスター水である。前記方法は、フリーラジカルまたは酸化性物質損傷の恐れがある細胞またはその一部がマイクロ水に接触することを含む。本発明は、抗酸化剤、活力供給物質、回復作用物質、および送達物質を含む医薬化粧品であって、前記抗酸化剤はマイクロクラスター液を含み、前記活力供給物質は浸透圧調節物質を含む、医薬化粧品を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2004年12月13日出願の仮出願60/635,915号および2005年9月6日出願の60/596,170号の優先をそれぞれ主張し、2000年10月26日出願の出願09/698,537号の一部継続であり、1999年10月26日出願の仮出願60/161,546号の優先を主張する現在の特許6,521,248号となる2002年11月21日出願の出願10/301,416号の一部継続である2003年4月21日出願の出願10/420,280号の一部継続である。
【0002】
本願は、また、2005年4月22日出願の仮出願60/594,612号および2005年4月15日出願の仮出願60/594,540に関する。上記で特定される各出願は、全体として参照することにより組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
老化は、通常、発病および死亡につながる生理学的機能の低下を特徴とする不可避の生物学的過程である。老化過程は、人の一生涯にかけて徐々に起こる。この徐々に起こる過程において、生理学的機能の低下は、一般的な肉体的・精神的能力の低下として例示される。また、免疫システムの強さにおいて進行性の低下が見られ、老化した体では治癒力が低下する。
【0004】
老化には、フリーラジカルの生成による細胞死または細胞機能障害、酸化的損傷、およびミトコンドリア機能障害によるエネルギー枯渇が関与する。Harman(1988)は、老化または死を、代謝作用の間に起こる酸素の一電子還元から発生するフリーラジカルの障害作用と関連づけた。異なる動物種の自動酸化率と同種の平均寿命は反比例関係である(Cutler、1985; Sohal、1995)。ミトコンドリアは、呼吸鎖を通過する酸素ラジカルの主な供給源であり、また、活性酸素種(ROS)の影響を大きく受け、それらの機能に深刻なリスクをもたらす。ミトコンドリア機能障害は、電子伝達、酸化的リン酸化反応およびエネルギー生産に異常をきたす場合があり、細胞損傷や最終的には細胞死をもたらす。
【0005】
これらの低下傾向の的確な原因は明らかではないが、細胞膜、電子伝達、脳組織の一つ以上への損傷およびフリーラジカルや酸化性物質によるエネルギー関連の代謝経路に対する断裂は重大な原因となると提議されている。若い被検体と比較して、老いた被検体でミトコンドリアDNAの酸化障害の増加が見られる。この増加は、脳、筋肉、神経および横隔膜を含む多数の組織および細胞種類において見られる。重要なことは、これらの増加は、老化の連続に対して相対的である。
【0006】
ミトコンドリアDNAへの損傷は、エネルギー生産において遍在的に関与するため、格別重要である。同様に、ミトコンドリアは、最も重要な機能を有する遍在的細胞小器官である。脳のミトコンドリアDNAへの酸化的損傷は、老化に伴う神経変性病の発生率の増加に関連づけられている。筋性ミトコンドリアへの酸化的損傷は、倦怠感の増加に関連づけられている。酸素ラジカルの毒性も、一般的に、癌、心疾患および老化の主要な原因と提議されている。
【0007】
寿命は、過去6千万年にわたる人類の進化の範囲において著しく伸びている。一方、ヒトにおける年齢別癌発生率が大きく低下している。長寿化および年齢別癌発生率の低下における重要な要因は、フリーラジカルおよび酸化的損傷の他の原因に対する効果的なメカニズムの進化にあるかもしれないとされている。ラジカルおよび酸化剤失活組成物の血漿中濃度の増加が提議されている。大きな成果はないが、この関連で、尿酸、ビタミンA、EおよびCなどの組成物は広範囲に研究されている。ビタミンと共通する一つの性質として、水溶性の欠如が挙げられる。血液(水)に対する水溶性が欠如しているため、それらのビタミンの血漿中濃度は限られる。さらに、これらはすべて消化分解を行う性質を共有し、その上、血漿中濃度を上げるための作用を複雑にする。さらなる問題が、これらの抗酸化物質が酸化的損傷が問題となる細胞へ輸送される際に生じる。
【0008】
抗酸化剤またはフリーラジカル失活作用物質の重要な特性の一つとして、生物学的に破壊せずに、酸化剤またはフリーラジカルと化学的に反応する能力がある。生物学的に破壊する酸化性物質および関連するフリーラジカルの中には、超酸化物(O2−)、H2O2、水酸ラジカル(−OH)および一重項酸素(1O2)が含むものもある。所望の水溶性および細胞取り込み特性を有する抗酸化剤およびフリーラジカル失活組成物が必要とされる。本マイクロクラスター水は、これらおよび他の有利な性質を提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の開示
本発明のある態様は、細胞内液のフリーラジカルおよび酸化性物質を抑えるための方法および組成物に関する。
【0010】
本発明のもう一つ態様は、細胞外液のフリーラジカルおよび酸化性物質を抑えるための方法および組成物に関する。
【0011】
本発明のもう一つの態様は、組織間液のフリーラジカルおよび酸化性物質を抑えるための方法および組成物に関する。
【0012】
本発明のさらにもう一つの態様は、医薬化粧品の送達の方法および組成物に関する。
【0013】
本発明のさらなるもう一つの態様は、抗酸化剤およびフリーラジカル失活性を有するマイクロクラスター液に関する。
【0014】
マイクロクラスター水などの、本発明のマイクロクラスター液は、ポテンシャルエネルギーの増加、生物学的利用能の強化、経皮的移行および経皮的促進から成る群から選択される少なくとも一つの性質をさらに提供する。
【0015】
経皮的移行という用語は、真皮を通過あるいは渡って移動する能力を有することを意味する。一方、経皮的促進という用語は、しばしばその移行と同期する、他の物質が皮膚粘膜を渡る経皮的通過を促進する性質を意味する。
【0016】
医薬化粧品という用語は、栄養剤および/または医薬品の少なくとも一つを含む化粧品製剤を意味する。医薬化粧品は、例えば、二酸化チタン(身体用日焼け止め剤など)およびクレアチニンピルビン酸塩(細胞修復調合薬など)をマイクロクラスター水の賦形剤に取り込んでよい。この組成物は、調合薬を真皮の深いところへとさらに送達し易くするための浸透促進剤をさらに含んでよい。本マイクロクラスター水の抗酸化剤および抗フリーラジカル性は、通常、細胞の長寿化、DNAの突然変異率の低下、ミトコンドリア細胞膜の長寿化、細胞膜の長寿化など、予想外の結果をさらに提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
発明の詳細な説明
本発明の方法は、通常、局所、口径、経皮あるいは技術分野で周知の他の投与法で、ある量のマイクロクラスター液を被検体に投与することから成る。マイクロクラスター液は、早期老化に伴う酸化的組織の損傷に関与するROSおよび/またはフリーラジカルの一つ以上を調節すると考えられる。本発明は、通常、経皮促進剤とともに、さらに栄養医学的および医薬的薬剤をマイクロクラスター液に取り込むことから成る。マイクロクラスター液はクレアチン化合物と関連して、mtDNA突然変異生成の構造または機能要素および/または老化および皮膚への損傷の症状を防止、軽減または改善するに十分なクレアチンキナーゼ/クレアチンリン酸システムの一つ以上を調節すると考えられる。調節が可能なシステムの要素は、mtDNA変異の比率、細胞内pH、細胞間pH、ROS濃度、細胞の寿命、クレアチンキナーゼ酵素、クレアチンおよびクレアチンリン酸塩基質、およびクレアチンの輸送体を含む。「調節する」、「調節」または「調整の」という用語は、クレアチンキナーゼ/クレアチンリン酸システムの任意の要素の活性における任意の増減を含む。
【0018】
一つの実施例において、本発明は、損傷が治療されるよう、マイクロクラスター液のクレアチン化合物から成る有効な量の医薬化粧品を被検体に投与することによる、被検体(例えば、哺乳類、好ましくはヒト)の皮膚疾患の治療方法に関する。
【0019】
クレアチン化合物は、皮膚におけるエネルギー保存を高めることにより、また、酸化的損傷および細胞死に関与するメカニズムを抑止することによって、組織を保存することが予測される。マイクロクラスター液は、酸化的損傷および細胞死に関与する有害な酸化的メカニズムを抑止することによって、組織を独立して保存することが予測される。クレアチン化合物およびマイクロクラスター液の組み合わせによって、皮膚におけるエネルギー保存を高め、酸化的損傷および細胞死に関与する有害な酸化的メカニズムを抑止し、有効作用物質の強化された経皮浸透および移行によって、組織を保存することが予測される相助作用の組成物が提供される。特にこの目的に効果的な化合物は、以下で詳細に説明されているマイクロクラスター液、マイクロクラスター水、キレートミネラル、キレートビタミン、クレアチン、クレアチンリン酸塩、タウリン、浸透圧調節物質、エクトインおよびその類似体を含む。
【0020】
「クレアチン化合物」という用語は、クレアチン、クレアチンリン酸塩、およびクレアチンまたはクレアチンリン酸塩に構造上類似する化合物、およびクレアチニンピルビン酸塩などの塩類を含むクレアチンおよびクレアチンリン酸塩の類似体を含む。「クレアチン化合物」という用語は、クレアチン、クレアチンリン酸塩またはクレアチン類似体の活性を「類似する」化合物も含む。「類似する」という用語は、クレアチンとは構造上類似していないかもしれないが、クレアチン、クレアチンリン酸塩または構造上類似している化合物の治療的活性を類似する化合物を含むよう意図される。また、クレアチン化合物という用語は、「クレアチンキナーゼシステムの調節剤」、例えば、酵素の活性、またはクレアチンの輸送体の活性またはシステムと相互作用する他のタンパク質や酵素や脂質の能力を調節する化合物を含む。
【0021】
「治療」という用語は、治療されている疾患に関連するまたはそれによって生じる少なくとも一つの症状の減少または軽減を含む。例えば、治療は、疾患のいくつかの症状の減少あるいは疾患の完全な撲滅を含むことがある。
【0022】
「皮膚疾患の治療」という専門用語は、疾患の防止、障害過程の寛解および/または抑止の両方を含む。皮膚疾患の例として、これらに限定されないが、太陽の放射、ストレス、疲労および/またはフリーラジカルによる老化および損傷がある。見解にとらわれなければよいが、マイクロクラスター液は、本明細書に記載されるクレアチン化合物と関連して、皮膚および他の組織の損傷および老化の発生に対する治療効果と予防効果の両方を有すると考えられる。この専門用語は、障害過程(例えば、しわ)に伴う任意の症状の任意の寛解または抑止も含む。例えば、しわの治療には、例えば、哺乳類の皮膚、好ましくはヒトの皮膚などの皮膚におけるしわの形成過程の防止、遅延、抑止、または逆転を含んでもよい。
【0023】
本発明は、細胞、細胞組成物または組織に接触するフリーラジカルおよび他の酸化性物質によるフリーラジカルおよび酸化的損傷を減少させることに関する。本発明のマイクロクラスター水は、フリーラジカルおよび酸化剤失活性を有する。本マイクロクラスター水の細胞、細胞組成物または組織への接触により、細胞の長寿化、DNAの突然変異率の低下、ミトコンドリア効率の改善、ミトコンドリアDNA変異の低下、コラーゲンおよび線維芽細胞の成長の増加、しわや他の皮膚損傷の寛解が得られ、それにより抗老化がもたらされる。本発明の組成物の投与は、化粧品などによる局所適用による摂取、または治療を要する組織またはシステムに十分に接触する任意の他の方法を含む、いくつかの方法によって行われる。
【0024】
ヒトまたは動物に治療的、または化粧品としての作用物質(「有効作用物質」)を投与する従来の方法は、通常、生物学的、化学的および物理的障害によってある程度限られる。物理的障害の例として、作用物質が標的に到達するまでに存在する皮膚やさまざまな器官の膜がある。化学的障害には、pHのばらつき、脂質の二重層、および分解酵素がある。生物学的および化学的に有効な作用物質はこのような障害に特に弱い。
【0025】
多くの有効作用物質は局所的に適用可能であり、特に、アトピー性皮膚炎にかかった皮膚の部位に局所適用ができる化粧薬品にとって便利な投与法である。ただし、有効作用物質の局所適用の有効性は、a)経皮吸収および浸透、b)皮膚の標的部位に浸透した有効作用物質の生物学的利用能の2つの主要因子による。
【0026】
有効作用物質を効果的に局所適用させるには、作用物質は、角質層(最終分化角化細胞の層を含む皮膚の外層)から表皮の層へ浸透し、その後、効果を発揮するため、標的部位で分散し、生物学的に利用可能となる必要がある。この有効作用物質の経皮的移行は、経皮投与と称される。
【0027】
多くの化粧薬品は長期間に及んで日常的な適用を必要とし、そのため局所適用は、投与計画が比較的簡素で不便さを最小限に抑えて達成できるため、有利である。しかしながら、治療の有効性を最大にするには、できるだけ多い量の化粧薬品が皮膚に吸収される必要があり、作用物質がクリームまたはローションを塗ることによって局所的に適用される際、少なくともいくつかの有効作用物質は、擦り取られたり蒸発して失われることがよくある。発明者らは、マイクロクラスター水を組み合わせて有効作用物質のナノメーターサイズの粒子を発生させることによって、この擦り取りの問題を減少させ、有効作用物質の吸収を改善できることを見い出した。
【0028】
一例として、本発明の目的のため、化粧薬品は抗老化作用物質、抗しわ作用物質、抗酸化性物質、抗傷作用物質、植物エストロゲン、イソフラボン、クマリン、リップクリーム、フリーラジカル失活作用物質、および殺菌にきび抑制作用物質の一つ以上から選択されるのが好ましい。
【0029】
本明細書で使用されるように、「化粧薬品」という用語は、外観の清浄、変更、作用物質が適用される体の部位の保護および/または良い状態に保つことを目的として、動物の体(特にヒトの体)の外部または粘膜に接触するよう使用されるように意図した任意の化合物、化合物の混合物、またはそれらが由来の製剤を意味する。
【0030】
化粧薬品は、好ましくは、目に見える老化効果、しわ、ニキビ、染み、傷跡(ケロイド)、毛細血管破裂のうち一つ以上の効果を減少、低下または防止することができ、好ましくは、添加剤および組成物の両方が皮膚、髪、頭皮、爪、目または歯に適用するためのもので、液体石鹸、ローションおよび溶液などの液体組成物の形で皮膚を任意に清浄する組成物を含む。
【0031】
本明細書で使用されているように、本発明に記載される「医薬化粧品」という用語は、ビタミン、ミネラルおよび浸透圧調節物質からなる栄養医学的組成物の送達を促進するために選ばれた化粧薬品を意味する。
【0032】
本明細書で使用されているように、「ミネラル」という用語は、当技術分野で周知のように、通常はクラスの一部である無機化合物を意味する。代謝的に重要なミネラルの例として、例えば、Sb、AS、B、Br、Yb、Pd、Re、F、Ir、La、W、Cs、C、Pt、Tm、N、Ni、Ta、Tb、Fe、K、I、Co、Mo、V、Ag、Mg、Cr、Cu、Zn、Ca、Si、Sn、Ni、PおよびSを含む、多数の保険、健康および医療に関するテキストブックで十分に解説されている。キレートマトリックス送達システムは、本組成物の一環として、これらのミネラルの経皮送達を促進するために使用されるのが好ましい。当該キレートマトリックス送達システムは、参照することにより本明細書に組み込まれる、2000年8月7日出願のTarbetへの特許6,716,458号に記載されている。これらのミネラルをキレートマトリックスへ取り込むこと。
【0033】
本明細書で使用されているように、「浸透圧調節物質」という用語は、浸透ストレスに反応して、細胞/組織によって蓄積した有機溶質を意味する。一般的に、浸透圧調節物質は、折り畳みタンパク質の熱力学的安定性を増加させ、変性ストレスに対する保護をする。浸透圧調節物質の例として、これらに限定されないが、クレアチン、タウリン、エクトイン、それらの誘導体および類似の生物学的に適合した塩類がある。
【0034】
本発明の他の形態は、化粧薬品および/または栄養医学的作用物質の皮膚を通過しての浸透を強化する方法を提供し、その方法は、化粧薬品または栄養医学的作用物質、および皮膚浸透促進剤の少なくとも一つから成る組成物を皮膚に適用するステップを含む。この組成物の局所適用によって、有効作用物質が角質層へ送達され、表皮および真皮へも送達される。
【0035】
提議された見解にとらわれるわけではないが、本マイクロクラスター水は、再蒸留水と比較して、ポテンシャルエネルギーを増加させている。おそらくこのエネルギーの増加のためであるが、本発明のマイクロクラスター水はフリーラジカルを抑え、抗酸化剤として機能することが可能である。
【0036】
本明細書で使用されているように、「マイクロクラスター化された組成物」という用語は、マイクロクラスター水を構成する組成物を言及する。生物学的に影響を与える作用物質、体を治療するための作用物質の組成物、アジュバントまたは担体、あるいはその成分のいずれかを修飾する「マイクロクラスター化された」という形容詞は、その組成物にマイクロクラスター化された水、すなわち、マクロクラスター水に溶解した、混合した、または組み合わせた組成物を言及する。マイクロクラスター液は、参照することにより本明細書に組み込まれる米国特許6,521,248号に記載され請求される装置によって処理される、混和性または非混和性の任意の液体、混合物、あるいは液体の組み合わせである。
【0037】
水およびさまざまな生物学的構造および過程で修飾された水媒体の相互作用は、主に、すべての生態系において水が果たす唯一の役割によって決定される。水は、タンパク質と核酸が相互に作用する液状媒体と同様に、ほとんどの生物学的過程における主要成分である。生物学的反応のための主要媒体として知られているだけでなく、水には親水性および親脂性構造を決定し、安定させる役割もある。水の独特な能力によって、さまざまな過程の効能に影響を与えることができる。しかしながら、水の生物学的機能に関する多くの態様は未知のままである。水の生物学的活性は物理的/化学的パラメータの変化によると示唆する事実がある。水の生物学的活性をコントロールするメカニズムをより理解する際の重要な態様の一つは、細胞レベルでそれを研究することである。水は、細胞内pHおよび細胞膜の状態を含む内部調節システムに大いに関係する。したがって、マクロファージ反応および生存能力は、本分析において有用な指標である。
【0038】
クレアチンキナーゼ/クレアチンリン酸塩エネルギーシステムは、高い変動エネルギー必要量を有する組織で見られる、精巧なエネルギー生成システムの唯一の要素である。クレアチンエネルギーシステムの要素は、クレアチンキナーゼ酵素、クレアチンおよびクレアチンリン酸塩基質、およびクレアチンの輸送体を含む。このシステムに関連する機能のいくつかには、変動する高いエネルギー需要を有する細胞におけるエネルギーの効果的な生成、細胞の異なる部分へのエネルギー輸送、リン酸基転移活性、イオン輸送調節、およびシグナル変換通路への関与がある。
【0039】
本発明は、有害なUV照射、エネルギープールの貯蓄によるストレスおよび疲労から皮膚組織を保護し、スリーラジカル生成および酸化的ストレスから保護する方法に関する。これは、ある量のクレアチン化合物または化合物を、皮膚損傷または皮膚の老化を防止、減少または改善するに十分にエネルギーおよび老化に関与している生物学的通路の一つ以上を調節するマイクロクラスター液とともに投与することによって成し遂げられる。この目的に対して効果的な化合物は、マイクロクラスター水などのマイクロクラスター液、タウリンおよびエクトインなどの浸透圧調節物質、および異なる水和の天然化合物クレアチンまたは塩類およびその類似体およびその組み合わせを含む。化合物は、皮膚の表面に容易になじむように、クリーム、油、乳濁液などとともに混合可能である。あるいは、化合物は、摂取しやすいように補助としてまとめてもよい。
【0040】
本発明は、医薬的または化粧品として許容される担体、および抗酸化性物質(例えば、CoQ10)、ビタミンC、B5、B6、B9、E、エネルギー強化作用物質(例えば、クレアチン、キレートミネラル、ピルビン酸塩、ニコチンアミド)、浸透圧調節物質および老化の過程を遅くする皮膚軟化剤などの、有効な量の組織保存に作用する他の作用物質と組み合わせて、クレアチン化合物を含むマイクロクラスター液ベースの組成物も提供する。
【0041】
「調節する」、「調節」または「調整の」という用語は、影響を受けた生物学的通路またはシステムの任意の要素の活性における任意の増減を含む。
【0042】
クレアチン化合物と組み合わせてマイクロクラスター液は、皮膚におけるエネルギー保存を高めることにより、また、酸化的損傷および細胞死に関与するメカニズムを抑止することによって、組織を保存することが予測される。特にこの目的に対して効果的な化合物には、以下で詳細に説明されている、クレアチン,クレアチンリン酸塩,およびその類似体と組み合わせてマイクロクラスター水が含まれる。「クレアチン化合物」という用語は、クレアチン、クレアチンリン酸塩およびクレアチンまたはクレアチンリン酸塩に構造上類似している化合物、およびクレアチンおよびクレアチンリン酸塩の類似体を含む。「クレアチン化合物」という用語は、クレアチン、クレアチンリン酸塩またはクレアチン類似体の活性を「類似する」化合物も含む。「類似する」という用語は、クレアチンとは構造上類似していないかもしれないが、クレアチン、クレアチンリン酸塩または構造上類似している化合物の治療的活性を類似する化合物を含むよう意図されている。また、クレアチン化合物という用語は、「クレアチンキナーゼシステムの調節剤」、例えば、酵素の活性、またはクレアチンの輸送体の活性またはシステムと相互作用する他のタンパク質や酵素や脂質の能力を調節する化合物を含む。
【0043】
「治療」という用語は、治療されている疾患に関連する、またはそれによって生じる少なくとも一つの症状の減少または軽減を含む。例えば、治療は、疾患のいくつかの症状の減少あるいは疾患の完全な撲滅を含むことがある。
【0044】
「皮膚疾患の治療」という専門用語は、疾患の防止、障害過程の寛解および/または抑止の両方を含む。皮膚疾患の例として、これらに限定されないが、太陽の放射、ストレス、疲労および/またはフリーラジカルによる老化および損傷がある。見解にとらわれなければよいが、本明細書に記載されるクレアチン化合物と共同でマイクロクラスター液は、皮膚および他の組織の損傷および老化の発生に対する治療効果と予防効果の両方を有すると考えられる。この専門用語は、障害過程(例えば、しわ)に伴う任意の症状の任意の寛解または抑止も含む。例えば、しわの治療には、皮膚におけるしわの形成過程の防止、遅延、抑止、または逆転を含んでもよい。
【0045】
「局所投与」という用語は、皮膚に塗るまたはなじませるなどの送達の方法を含む。これは、皮膚に関与する任意の形の投与を含む。局所投与に適する組成物の例として、これらに限定されないが、軟膏、ローション、クリーム、化粧品製剤、および皮膚洗浄製剤がある。さらなる例として、エアロゾル、固形(固形石鹸など)およびジェルがある。
【0046】
「医薬的に許容される」という用語は、正当な損益比に比例する過度の毒性、不適合性、不安定性、刺激作用、アレルギー反応などがない、ヒトや下等動物の組織への接触を要する使用に適切な薬物、薬剤または不活性成分を含む。この用語は、化粧品として許容される成分も含む。
【0047】
「治療上、または化粧品として有効な量」という専門用語は、老化または皮膚への損傷の発症を防止する、または治療を受けている被検体の損傷の進行を著しく減少させるに十分な化合物の量を含むよう意図される。治療上、または化粧品として有効な量は、個人レベルで決まり、少なくとも一部分においては、治療される症状の重症度、および類似体が使用されている場合は特定の類似体の活性の考慮に基づく。さらに、有効な量の化合物は、治療を受けている被検体の年齢によって異なる。したがって、治療上、または化粧品として有効な量の化合物は、医療管理における単なる日常の実験によって、上記の当該要因を使用する当業者によって決定されることがある。
【0048】
本発明の外用医薬組成物は幅広い製品タイプとなる。これらには、溶液、ローション、クリーム、ビーチ用品、ジェル、スティック、噴霧剤、パッド、軟膏、ペースト剤、ムース、及び化粧品を含むが、これらに限られるものではない。これらの製品タイプには、溶液、乳液、ジェル、および固体を含む数種の担体システムがあるが、これらに限られるものではない。
【0049】
もし本発明の外用医薬組成物が、エアロゾルに製剤され、かつスプレーで皮膚に塗布される場合、推進薬が溶液組成物に加えられる。ここで有用で且つ完全な推進薬は以下の告知から得られる:Sagarin, Cosmetics Science and Technology, 2nd Edition, Vol. 2, pp. 443−465 (1972)。
【0050】
また本発明の外用医薬組成物は、ファンデーション等のメーク製品としても製剤される。
【0051】
また本発明の外用医薬組成物は、薬用パッドとしても製剤される。これらパッドの適当な例は米国特許Nos.4,891,227および4,891,228からThaman 他,1990年1月2日付で、その告知は本書に包含される。
【0052】
本発明の外用医薬組成物には、前記の組成物に加えて、現在外用組成物中にその技術レベルで使用されている多種類の油溶解物質および(または)水溶解物質が含まれる。各種の水溶解物質も本発明の組成物中に存在する。これらには湿潤剤、蛋白質およびポリペプチド、防腐剤およびアルカリ試剤が含まれる。更この外用組成物には、染料、色素、香水等の現行化粧アジュバントを包含できる。
【0053】
また本発明の外用医薬組成物には、安全且つ効果的な量の外皮浸透促進剤を含む。外皮浸透促進剤の適切な量は、組成物の約1%から5%である。本発明の他の有効な浸透促進剤として、CTFA(米国化粧品工業会)定義の非イオンポリマーがある。:ポリアクリラマイドおよびイソパラフィンおよびローレスー7で、Seppic Corporation製のSepigelである。ポリアクリルミドおよびイソパラフィン、およびラウリン−7で, Seppic Corporation製のSepigel である。さらに有用なものしては、Allied Colloids, Suffolk, Va.製のSalCare SC92として知られるポリクオタニウム32およびミネラルオイルがある。これはカチオンポリマーのクラスで、以下の特許に一般的に記載されている:米国特許No.4,628,078から1986年12月9日付、Gloverらによるもの、および米国特許No.4,599,379から1986年7月8日付、Flesherらによるもので、両者ともに本紙に参照のためここに包含する。
【0054】
この中にあって有用な浸透促進剤の例は、米国特許No. 4,537,776,Cooper,1985年8月27日付、米国特許No.4,552,872,Cooperら、1985年11月12日付、米国特許No.4,557,934,Cooper,1985年12月10日付、米国特許.No.4,130,667,Smith,1978年12月19日付、米国特許No.3,989,816,Rhaadhyaksha,1976年11月2日付、米国特許.No.4,017,641,DiGiulio,1977年4月12日付、および欧州特許申請0043738,Cooperら、1982年1月13日付、に告知されている。
【0055】
他の現存するスキンケア製品添加物も本発明の組成物に包含できる。例えば、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン、加水分解物、プライムローズオイル、ホホバ油、エピダマル成長ファクター、大豆サポニン,ムコ多糖、およびこれらの混合物が使用できる。
【0056】
各種のビタミンおよびミネラルも本発明の組成物に含ませることが可能である。例えばビタミンA、アスコルビン酸、ビタミンB,ビオチン、パントシン酸、ビタミンD,ビタミンEおよびこれらの混合物と誘導体が考えられる。
【0057】
更に考えられるのは、現発明の活性化合物と化粧品として使用可能な界面活性剤からなる皮膚清浄組成物である。「化粧品として使用可能な界面活性剤」とは、一つの界面活性剤であって有効的な皮膚洗浄だけでなく、過度な毒性、過敏性、アレルギー反応等が無く使用できるものをさす。さらにこの界面活性剤は、活性化合物に混合可能で、その際、たとえばしわ等の皮膚損傷を押える組成物の効力を、大幅に減少させるような相互作用があってはならない。
【0058】
本発明の皮膚洗浄組成物は、約0.1%から約20%、できれば約1%から約5%のクレアチン化合物(例えばクレアチン、シクロクレアチンや他のクレアチン化合物)、および約1%から約90%のマイクロクラスター液、および約0.1%から約10%の化粧品として使用可能な界面活性剤を含むことが望ましい。
【0059】
皮膚清浄組成物の物理的形態は決定的なものではない。その組成物は例えばトイレットバー、液、ペースト、ムースやパッドに製剤される。
【0060】
本発明の清浄組成物は、現在の技術レベルで皮膚清浄組成物に使用されている物質を選択的に包含できる。
【0061】
マイクロクラスター液およびクレアチン内臓の日焼け止め剤および日焼け防止剤も考慮できる。「日焼け止め剤」や「日焼け防止剤」の用語は、紫外線を遮断する組成物を含んでいる。日焼け止め剤の例には、酸化亜鉛および二酸化チタンが含まれる。
【0062】
太陽光はしわなど皮膚損傷の大きな原因のひとつである。したがってしわの手入れや防止のためには、マイクロクラスター液とクレアチンの組み合わせのUVAおよび(または)UVB日焼け防止剤が有益であろう。現在の発明の組成物中に日焼け防止剤を入れると、急性の紫外線損傷に対して直ちに防護を提供する。このように日焼け防止剤は、紫外線による更なる皮膚損傷を防止し、一方本発明による化合物が既存の皮膚損傷を和らげる。
【0063】
現存の多彩な日焼け防止物質は、活性化合物との組み合わせに適している。SegarinらはCosmetics Science and Technologyの第VIII章,189ページ以降に多くの適切な薬剤を告知している。特に適切な日焼け防止物質には,たとえば以下がふくまれる:p−アミノベンゾイック酸、その塩、およびその誘導体(エチル,イソブチル、グリセリルエステル、p−ジメチルアミノベンゾイック酸);アントラニル酸塩、(即ち,o−アミノベンゾエイト;メチル;メンチル、フェニル、ベンジル、フェニルエチル、リナリル、テルピニル、およびシクロヘキサニルエステル);サリシレート(アンピル、フェニル、ベンジル、メンチル、グリセリル、およびジプロピレングリコールエステル);ケイ皮酸誘導体(メチルおよびベンジルエステル、アルファーフェニルシナモンニトライル;ブチルシナモイルピルビン酸塩);ジハイドロキシシナミック酸誘導体(ウンベリフェロン、メチルウンベリフェロン、メチルアセテートーウンベリフェロン);トリハイドロキシシナモン酸誘導体(エスカルチン、メチルエスカルチン、ダフニチン,およびグルコシド、エスカリン、およびダフニン);ヒドロカーボン(ジフェニルブタジエン、スチルベン);ジベンザルアセトンおよびベンザルアセトン;ナフトールスルホン酸塩、(2−ナフトール−3のナトリウム塩、6−ジサルフォニック、および2−ナフトール−6、8−ジサルフォニック酸);ジヒドロキシーナフソニック酸;およびその塩;;o−and p−ヒドロキシバイフェニルジサルフォネーと;クマリン誘導体(7−ヒドロキシ、7−メチル、3−フェニル);ジアゾル(2−アセチル−3−ブロモインダゾル、フェニルベンゾクサゾル、メチルナフサクサゾル,各種アリールベンゾチアゾール);キニーネ塩(重硫酸塩、硫酸塩、塩化物、オレアート、およびタネイト);キノリン誘導体、(8−ヒドロキシキノリン塩、2−フェニルキノリン);ヒドロキシ又はメソキシー置換ベンゾフェノン;尿およびビロ尿酸;タンニン酸および誘導体(例えばヘキサエチルエーテル);(ブチルカーボトル)(6−プロピルピペロニル)エチル;ヒドロキノン;ベンゾフェノン(オキシベンゼン、スルスルイソベンゼン、ジオキシベンゾン、ベンゾレゾルシノール,2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、オクタベンゾン;4−イソプロピルジベンゾルメタン;ブチルメトキシジベンゾルメタン;エトクリレン;および 4−ジベンゾルメタン。
【0064】
本発明の組成物中の有用な日焼け防止剤は、マイクロクラスター液中に拡散し混合しているTiO2,ZnOのナノメーター粒子である。
【0065】
安全で効果的な量の日焼け防止剤を本発明の組成物として使用できる。この日焼け防止剤は活性化合物と共存できなければならない。通常この組成物は約1%から約20%,できれば約2%から約10%の日焼け防止剤を含むことができる。正確な量は選択した日焼け防止剤と要求する日焼け保護係数(SPF)による。
【0066】
これらの組成物の皮膚永続性を改善するため、特に水での洗顔やこすり落としへの抵抗力を増すため、本発明のいずれの組成物にも薬剤の添加が可能である。このような利益を供与する好ましい薬剤は、エチレンとアクリル酸の共重合体である。この共重合体を含む組成物については、米国特許No.4,663,157,Brock,1987年5月5日付に告知されており、本文中に参照として包含されている。
【0067】
本発明の他の実施例では、本発明のクレアチン化合物に随伴するマイクロクラスター液とともに、有効作用物質として抗炎症作用物質が含まれる。この抗炎症作用物質はUVA放射領域を強力に防護し(またある程度のUVB防護も供与するが)、これによりUV放射に起因する皮膚の損傷を防御し、一方、本発明のクレアチンに随伴するマイクロクラスター液は、既存の損傷を治療する。したがってこの組み合わせは更なる損傷に対して幅広く防御し、すでにある損傷の修復を容易とする。抗炎症作用物質の局所使用は、UV放射への皮膚露出に起因する光老化を減少する。(米国特許.No.4,847,071,Bissett,Bush,およびChatterjee,1989年7月11日付、を見よ。参照としてここに包含;および米国特許.No.4,847,069,BissettおよびChatterjee,1989年7月11日、参照としてここに包含。)
安全で効果的な量の抗炎症作用物質を本発明の組成物として添加できるが、この好ましい量は、組成物の約0.1%から約10%,さらに好ましい量は約0.5%から約5%である。組成物中に使用すべき抗炎症作用物質の正確な量は、このような薬剤の力価の変化は大きいので、使用した特定の抗炎症作用物質による。
【0068】
他の実施例のこの医薬化粧品は、安全で効果的な量の皮膚保護剤を含むことができる。この皮膚保護剤は、できれば組成物の約0.001% から 約2%,さらに好ましくは約0.01%から約1%である。有用な皮膚保護剤は連邦登録Vol.48,No.32に告知されており以下が含まれている:アラントイン、アルミニウム水酸化物ゲル、ビスマス亜硝酸塩,ホウ酸、カルカミン、ココアバター、コーンスターチ、ジメチコン,グリセリン、カオリン、生イーストセル誘導体、ワセリン,さめ肝臓油、ナトリウム水素炭化水素、硫黄、タンニン酸、白ワセリン、酢酸亜鉛、炭化亜鉛、および酸化亜鉛、およびこれらの混合物。
【0069】
本発明の製剤には、局所、経口、経鼻、経皮,頬側、舌下、直腸、膣、および・または非経口投与に適するものを含む。これらの医薬は便利な単位錠剤形態で供与され、また製薬の技術でよく知られる方法によって準備できる。
【0070】
これらの医薬や組成物調整の方法には、付属成分を含む医薬のすべてを随伴させる段階を含む。この付属成分の混合は、米国特許6,521,248に記載の装置を通じて、必要とするナノメーター粒子サイズ、および・又は疎水基の溶解が達成するまで処理される。
【0071】
この活性化合物に加えて、縣濁液には以下のような縣濁剤を含ませることができる:例として、エトキシル等量アルコール、ポリキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、ミクロクリスタリンセルローズ、アルミニウムメタ水酸化物、ベントナイト、寒天およびトラガカント、およびこれらの混合物がある。
【0072】
本発明による化合物の局所または経皮投与用の錠剤形状には、粉末、スプレー、軟膏、ペースト剤、クリーム、ローション、ジェル、溶液、貼付剤、吸入剤が含まれる。有効作用化合物は、無菌状態で製薬上許容される担体と、必要となる防腐剤,緩衝液,または推進剤を使用する。
【0073】
本発明の活性混合物に加えて、軟膏、ペースト剤、クリームおよびジェルには、以下のような付形剤を含んでよい:たとえば、動物および植物油脂、オイル、ワックス、パラフィン、スターチ、トラガカント、セルローズ誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび亜鉛酸化物、またはその混合物。
【0074】
経皮貼付剤は本発明の化合物の制御送達を身体に供与するという追加的利益をもたらす。このような剤形は、化合物を適切な媒体中に溶解、または放散することによって作られる。吸収促進剤も皮膚上の化合物の融剤を増加させるために使用できる。このような融剤の速度は、速度制御膜を供与したり、またはポリマーマトリックス中に有効作用化合物を放散させることによって制御できる。
【0075】
これらの組成物には、防腐剤,湿潤剤、乳化剤および放散剤等の補助剤が包含できる。微生物の行動の防止は、以下に示す各種の反バクテリア剤および抗真菌蛋白剤の含有によって保証される。例えばパラベン、クロロブタノール、フェノルソルビック酸等である。また砂糖、塩化ナトリウムト等の等張剤の組成物への包含が望ましい。さらに例えばアルミニウムモノスエアレート、およびジェラチン等の吸入を遅らせる薬剤の包含が、射出式製薬形態の吸入の長期化をもたらすこともある。
【0076】
さらに他の実施例では、皮膚疾患がフリーラヂカル、老化、太陽光線、ストレスや疲労に随伴する。他の実施例では、被検体はしわの影響を受けたり、皮膚疾患の危険にさらされる。
【0077】
「フリーラヂカルに随伴する」という用語は、直接または間接にフリーラヂカルの結果としての疾患や損傷を意味する。このフリーラヂカルは、例えば太陽光線(即ちUV光線)、または汚染によって開始される。
【0078】
「老化」の用語は、以下の過程を含む:この過程では、酸化による損傷、エネルギー枯渇、またはミトコンドリアル悪性機能があり、兆候、改善, 抑止 や消失がここに記載のクレアチンと随伴するマイクロクラスター液に影響される。老化の兆候は、しわ、皮膚の弾力の損失、皮膚の不均一な色素沈着を含むが、これに限定されるものではない。
【0079】
また本発明は、検体の皮膚の処置についての組成に特徴を有する。この組成物は、クレアチン、クレアチン燐酸塩、クレアチン化合物やその塩と結合している、効果的な量のマイクロクラスター液から構成される。できれば効果的な量とは、皮膚疾患の処置や防止に効果的ということである。その組成物は局所投与に適切なことが望ましい。この組成物はローション、クリーム、軟膏、ジェル、または固形物に製薬される。有益な一実施例では、組成物にも日焼け止め剤や日焼け防止剤(即ち亜鉛酸化物やチタン二酸化物)が含まれる。
【0080】
もうひとつの実施例では、この組成物が化粧用ファンデーションや、肌洗浄薬として製剤される。利点として、この組成物は浸透剤を含むことができる。本発明の組成物に組み込むことができる化合物の例には、ヒドロキシ酸、レチノール、アロエ、カミツレ、またはそれらの混合物がある。
【0081】
さらに他の実施例では、皮膚疾患はフリーラジカル、老化、太陽光線、ストレス、または疲労に随伴する。
更なる実施例では、本発明は適切な量の皮膚保存作用物質を検体に共に製剤することを予期するものである。皮膚保存作用物質の例には以下がある:例えばマイクロクラスター水、アスコロビック酸、ビタミン、コエンザイムQ10(CoQ10)およびその誘導体、システィン塩化水素、亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム等;アスコロビックパルミテート、ブチレートヒドロキシアニソル、ブチンヒドロキシアニソル(BHA),ブチレートヒドロキシトルエン(BHT),レシチン,プロピル没食子酸塩、アルファートコフェロール等の油溶解抗酸化剤;およびクエン酸,エチレンジアミノテトラ酢酸(EDTA),ソルビトール、酒石酸、リン酸,等の金属キレーティング剤。好ましい抗酸化剤には、CoQ10およびビタミンEが含まれる。他の皮膚保存作用物質の例には、エネルギー増強剤(例えばATP,ニコチンアミドやピルビネート),ビタミン(例えば.E,C,B5,B6,およびB9)およびビタミン前駆物質が含まれる。
【0082】
「エネルギー増強剤」には、ミトコンドリア機能の刺激剤,または細胞中の何れかでのATP生成も含む。例としては、ピルビン酸、ニコチンアミド、およびCoQ10が含まれる。
【0083】
老化酸化的ストレスおよびミトコンドリアル機能障害
すべての多細胞有機体のライフサイクルの共通の特徴は、生命の進歩的過程が一旦停止すると、各種の生理プロセスの効率が低下していくことである。データは機能能力の損失に続く老年期の細胞の死は、分子の酸化障害の蓄積によるとの仮説を支持している。(Harman1956;Stadtman1992;Ames他,1993;Sohal1995).この仮説によれば、酸素は潜在的に毒性の物質であり、その好気性微生物による使用も、当面の生存に必要ではあるが、長期の生存にとって障害となると言う事実に基づいている。分子酸素は超酸化物、過酸化水素、およびヒドロキシ基の前駆物質である。更なる反応に当たって、これらは、マクロ分子に大きな酸化損傷の原因となる反応酸素種を発生させる。過酸化脂質、DNA損傷およびタンパク質炭化は、荒廃的な幾らかの影響をもたらす。老化の過程では、酸化ストレスの量が増加し、これが反応酸素種の発生率の増加、抗酸化防御の減退、または損傷された分子の修復や除去効率の減退の結果となる。(Sohal他,1996年).老化では、ミトコンドリアからのROS(反応酸素種)の生成の増加があり、これが内部のミトコンドリア膜への損傷となる。積極的なフィードバック機構では、これがROSをさらに増大させる結果となる。ハエの中で,より長い生命が期待されるものでは、低率のミトコンドリア超酸化物、過酸化水素の発生、低率のタンパク質酸化損傷、低DNA酸化損傷、より高い作用のSODとカタラーゼ、グルタチオンの増加、多彩な細胞内還元体が示された。異なる種の最大ライフスパンの変化は、その代謝率(酸素消費率)、代謝ポテンシャル(ライフスパンを通じて体重のグラムあたりエネルギー消費の合計)および酸化ストレスの相違に大きく関連する。最高程度の酸化損傷は、長命のポストミトティク細胞から構成される脳、心臓および骨格筋肉等の組織で発生する。これらの組織も、酸化ストレスが示される幾らかの年齢関連の退化現象の対象である。(Davies1995年;Weindruch他,1993年).反応酸素種の生成を最小とする薬剤は保護的なものと予期される。
【0084】
クレアチンキナーゼ皮膚老化と皮膚損傷
クレアチン含有量とクレアチンキナーゼ系の効率は老化とともに減少する。老化といくらかの侵襲の結果は、酸化ストレスとエネルギー危惧 である。酸化損傷と関連する分子の生成率の最小化は、酸化損傷の減少とよく相関する。エネルギー発散効果と結合しているこのような最小化は、老化や侵襲への露出の間、組織への損傷を遅らせる。クレアチンキナーゼを通じて、ATP合成率を修正するクレアチンおよびクレアチン類似体は、エネルギー生成とミトコンドリア機能を保持し、またフリーラジカル生成に対して防護する。このような効果は、老化や皮膚損傷に係わる侵襲に対して積極的なインパクトとなり得る。
【0085】
理論にとらわれなければ、クレアチンキナーゼ作用の調節によって、エネルギー流が調節され、皮膚細胞機能、完全化および残存に影響するものと考えられる。活性化されたエネルギー状態は、酸化損傷を減少し、細胞が老化やUV放射等の老化やつぐ侵襲に耐えることを可能とする。
【0086】
クレアチンは、激しい活動(検討にはWyss and Kaddurah−Daouk 1999を見よ。)、および競技中に筋肉機能を高めるためアスリートによって使用される。いくらかの神経退化疾病の動物モデル中のクレアチンが神経防御成分を有することが示された。(Matthews 他,1988年;Kliveny 他1999年;Matthews 他, 1999年).
クレアチン類似体の摂取によって、リンクレアチン組織プールが、異なる運動および熱力学的成分をもつ合成ホスファゲンに置き換えられる結果を示している。これにより細胞間のエネルギー代謝に適切な変化を与える。これには高エネルギーリン酸塩の総滞留分の増加も含まれる。(Roberts,J.J.およびJ.B.Walker,Arch Biochem.Biophys 220(2):563−571(1983)を参照).リン酸クレアチンプールを低速作用の合成ホスファゲン、例えばクレチン類似体への置き換えは、長期存続のエネルギー源の供与によって神経論的障害に有利となる。一つの類似体であるシクロクレアチン(1−カルボキシメチル−2−アミノイミダゾルダイン)ストレスのある細胞エネルギー流を修正し、細胞作用の場でのATP利用を阻害する。
【0087】
同様にマイクロクラスター水の摂取は、細胞エネルギー代謝を改善することを示した。さらにマイクロクラスター水の局所投与は、MtDNA突然変異率を大きく削減する。
【0088】
スキンケアに有用なクレアチン化合物
本発明に有益なクレアチン化合物には、一つ以上のクレアチンキネーゼ・リン酸クレアチン系の構造上や機能上の組成物を調節する化合物が含まれる。本目的に有効な化合物には、クレアチン、クレアチンリン酸塩、およびその類似体、その作用を類似する化合物、上記に定義するこれらの化合物の塩が含まれる。模範的なクレアチン化合物を以下に記載する:
クレアチン(also known as N−(アミノイミノメチル)−N−メチルグリシン;メチルグリコサミン、またはN−メチル−グアニド酢酸)がよく知られる物質である。(The Merck Index, Eleventh Edition,No.2570(1989)を見よ。
【0089】
シクロクレアチンは、本質的にクレアチンの平面環状類似体である。シクロクレアチンは構造的にクレアチンに類似するが、この二つの化合物は、運動学的にも熱力学的にも識別可能である。シクロクレアチンはクレアチンキナーゼのビトロとビボの前進反応によって、効果的にリン酸エステル化される。Rowley,G.L.,J.Am.Chem.Soc.93:5542−5551 (1971);McLaughlin,A.C.他,J.Biol.Chem.247,4382−4388 (1972).
ホスホレート化合物のホスホシクロクレアチンは、ホスホクレアチンに構造的に類似するが、シクロクレアチンリン酸塩のリン−窒素(P−−N)結合は、ホスホクレアチンのものより安定している。LoPresti,P.およびM.Cohn,Biochem.Biophys.Acta998:317−320(1989);Annesley,T.M.およびJ.B.Walker,J.Biol.Chem.253;8120−8125,(1978);Annesley,T.M.およびJ.B.Walker,Biochem.Biophys.Res.Commun.74:185−190(1977).
グアニジン酢酸塩もクレアチンの他の類似体であり、その生体合成過程でのクレアチンの前駆物質である。グアニジン安息香酸は、構造的にクレアチンに関連する。またアミノ酸をクレアチンに共有的に付着させる化合物は、興味深いクレアチン化合物である。例としてはクレアチンーアスコルベート、およびクレアチンーピルベートがある。他のタイプの分子も共有的に付着させることができる。
【0090】
クレアチン類似体および他の試剤で、クレアチン生物合成酵素の作用やクレアチン輸送体の作用を妨害するものは、年齢関連の損傷の処置や防止の現方法で有用である。このようにこれらの化合物の効果は、機構によって直接または間接の作用となるが、これにはクレアチンの吸尽や生合成、クレアチンリン酸塩移動の機能、酵素作用、関連酵素の作用に影響したり、または反応の速度を変える反応の基盤や産物のレベルを変更するが、これに限るものではない。
【0091】
クレアチンキナーゼ・クレアチンリン酸塩系の構造または機能を、直接または間接的に調節する化合物は、皮膚等の組織への年齢関連の損傷を防護または処置するのに有用である。
【0092】
クレアチンの輸送体、またはクレアチンキナーゼと膜中の他のタンパク質や脂質分子との会合、基盤濃縮クレアチン、およびクレアチンリン酸塩も、皮膚等の組織への年齢関連の損傷を防護または処置するのに有用である。
【0093】
本発明にて有用な化合物は、基体,酵素作用調節剤、またはクレアチンキナーゼの基体類似体であり得る。さらにクレアチンキナーゼとともに活動する酵素の調節剤は、個別に、またはクレアチンキナーゼと結合して、または追加して設計し使用することが可能である。クレアチン化合物と他のサプリメントや薬品との組み合わせを提案する。
【0094】
クレアチンおよびクレアチンリン酸塩の生合成と代謝の通路を、エネルギー生成やクレアチンキナーゼを通じる高エネルギーリン移転を調節する可能性のある化合物の選択と設計で目標とすることができる。
【0095】
特定段階を目指す化合物は、クレアチンまたはその前駆物質との構造的類似体に依存できる。置換、鎖延長、および・または環化重合によってクレアチンとは異なる斬新なクレアチン類似体が設計可能である。多基体酵素の基体が共有的に連鎖可能であり、または異なる基体の部分を類似する類似体が設計可能である。水非溶解ホスホレート類似体も設計可能で、これはATP生成を支持しないでウレアチンリン酸塩を類似する。
【0096】
クレアチン、クレアチンリン酸塩、および多くのクレアチン類似体が市販されている。さらにクレアチンの類似は、従来技術によって合成が可能である。
【0097】
現在市販されているか、また合成されているクレアチン化合物には、以下の通り:例えばクレアチン、b−グアニジノプロピオニック酸、グアニジノ酢酸、クレアチンリン酸二ナトリウム塩、シクロクレアチン、ホモシクロクレアチン、ホスフィンクレアチン、ホモクレアチン、エチルクレアチン、シクロクレアチンリン酸ジリチュム塩、およびグアニジノ酢酸リン酸ジナトリュム塩、4グアニヂジノ安息香酸および誘導体、クレアチンーピルベート、クレアチンーアスコルベート等である。
【0098】
「投与」の用語は、発明による組成物の目的とする機能を許容する投与のルートを含むよう意図されている。
【実施例】
【0099】
非鉱化飲料水の多くは、多段階の浄水処理システムに伴ってフリーラジカル構成要素が生じるため、様々な潜在的変異効果を持つ。細胞遺伝学的手法は、水の潜在的変異効果を評価するアプローチである。このアプローチは、染色体異常の頻度、姉妹染色分体交換(SCE)、および細胞周期期間の判別に基づく。前記手法を使用して、米国市場でAQUA RXTMという商標名を持つマイクロクラスターリサーチ水の細胞遺伝学的効果を検査した。この水は、バイオハイドレーションリサーチラボ(Bio‐Hydration Research Lab、USA)により提供された。マイクロクラスター水は、固有の特性と総溶質(TDS)0.5ppm未満の純度を有するリサーチ水を提供する米国特許6,521,248に基づく多段階プロセスを通じて製造される。最終段階において、医薬品等級酸素を前記の水に加え、出荷用ペットボトルを加圧する。細胞培養液は、RPMI1640(Gibco)粉末を標準脱イオン水‐18Mohm(対照群)またはマイクロクラスター水に溶解して調整した。実験は、標準プロトコルに従って培養したヒトリンパ球を用いて行った。48時間の培養後、染色体異常の頻度を測定するため細胞を固定する。前記SCE頻度を測定する際には、48時間後に5‐BDU(10mg/ml)を細胞培養に加える。80時間培養した後、細胞を固定する。試料調整および染色は、当技術分野で周知の手順に従って行う。実験は、3ドナーそれぞれに対して2度行った。1200の中期有糸分裂を分析して、対照群およびマイクロクラスター水における染色体異常を測定する。
【0100】
実施例1. FALSマウスにおける3−ニトロチロシン/チロシン濃度に対する1%クレアチン補充の効果
酸化的損傷は酸化窒素生成の活性化およびタンパク質のニトロ化を生じるペルオキシ亜硝酸を伴う。前記タンパク質のニトロ化は、チロシンに対する3‐ニトロチロシンの比率を測定することによって判定できる。前記FALSマウスは、家族性ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者に見られるCu/Znスーパーオキシドジスムターゼの突然変異体を発現するトランスジェニック動物である。これらの動物は、段階的な運動ニューロンの喪失、筋力の低下といったALS症状を起こし、135日以内に死亡する。酸化的ストレスが運動ニューロンの死と関連している。3‐ニトロチロシンのレベルは、前記マウスの脊髄において著しく増加する(Ferrante 1997)。G93A変異を持つトランスジェニックマウスおよび同腹子対照群(各グループ8匹)に対し、70日齢時に1%クレアチンを補充した食餌または補充していない食餌を与え、120日齢時に絶命させて、上記のとおり3‐ニトロチロシンを測定した(Ferrante 1997)。クレアチン摂取は、トランスジェニックFALSマウスの下部脊髄において、高レベルの3ニトロチロシン/チロシンを有意に阻害した。
【0101】
実施例2. FALSマウスにおけるサリチル塩酸からその副生成物への変換率で測定される水酸化ラジカル生成に対する1%クレアチン補充の効果
インビボのフリーラジカル生成レベルは、マイクロダイアリシス技術を使用して測定できる(Matthewsら 1998)。ミトコンドリア毒素3‐ニトロプロピオン酸の投与によって、線条体におけるサリチル塩酸から2,3‐DHBAへの変換が著しく増加する。これはCu,ZnSODを過剰発現するマウスでは阻害される(Bogdanovら 1998)。そこで本明細書は、3‐ニトロプロピオン酸(3‐NP)の全身投与により、非補充食餌を与えられたG93Aトランスジェニックマウスにおいて、4‐HBAから3,4‐DHBAへの変換が著しく増加することを示す。1%クレアチンを補充した食餌を与えられたマウスでは、3‐NPの投与後に3,4DHBA/4HBAの著しい増加は見られなかった。これは、クレアチンが老化に伴う損傷に関与する水酸化ラジカルの生成を最小限にできることを示す。
【0102】
実施例3. クレアチンを与えた対照群マウスおよびシクロクレアチンを与えたマウスにおける、マロン酸の線条体内注射後の2,3DHBA、2,5DHBA、および3ニトロチロシン(酸化ストレス指標)の生成
サリチル酸塩水酸化ラジカルトラップ法を使用して、マロン酸注射後の線条体組織における水酸化ラジカルレベルを測定した。各グループ8匹のマウスに、通常の食餌、または1%クレアチンあるいは1%シクロクレアチンを補充した食餌を線条体内注射前の2週間与えた。線条体内注射の直前に、200mg/kgのサリチル酸塩をマウスの腹腔内に注射し、1時間後に絶命させた。次に、線条体を2mm厚に素早くスライスして、冷却した0.1M過塩素酸0.25mlに入れた。続いて試料を超音波で分解し、素早く冷凍した後、解凍して2度遠心分離機にかけた。16‐エレクトロード電気化学検出を用いて、一定分量の上清をHPLCにより分析した(Bealら、1990)。サリチル酸塩、2,3DHBAおよび2,5DHBA、チロシン、3‐ニトロチロシンを、それぞれ840、240、120、600および840mVにおける酸化によって、それぞれ20.5、9.4、6.3、10.5、18.2分の保管期間をもって電気化学的に測定した。サリチル酸塩の脳内濃度を変えるDHBA濃度を標準化するため、2,3DHBAおよび2,5DHBAのサリチル酸塩に対する比率としてデータが示された。同様に、3‐ニトロチロシンレベルをチロシンレベルに標準化した。また、3‐NPに誘起される3‐ニトロチロシンレベルの増加に対する2週間の1%クレアチン補充の効果についても検討した。雄のSprague‐Dawleyラットを投与量20mg/kgの3‐NPで腹腔内処置し、3時間後に絶命させた。各グループ10匹のラットを試験した。線条体をスライスし、冷却した0.1M過塩素酸に入れた。電気化学検出を用いて、3‐ニトロチロシンおよびチロシン濃度をHPLCにより測定した(Matthews 1998)。対応のないStudent検定または一方向ANOVA(分散分析)の後に、事後比較のためのFisher保護最小有意差検定を用いて統計比較を行った。
【0103】
これらの実施例は、クレアチンおよびシクロクレアチンがともに、ミトコンドリア毒性マロン酸を注射した後、サリチル酸塩の派生物である2,3DHBAおよび2,5DHBAレベルの増加を防ぐことができることを示している。これは、クレアチン構成要素が、酸化的ストレスおよびミトコンドリア機能不全に関与する水酸化ラジカルの生成を実際に防ぐことができることを裏付けている。さらにこれらの例は、クレアチンおよびシクロクレアチンが、前記ミトコンドリア毒性マロン酸に誘起されるタンパク質のニトロ化からの保護効果を持つことを示している。酸化窒素およびペルオキシ亜硝酸の生成は、一連の酸化的損傷の一部である。
【0104】
実施例4.
異常中期の頻度は、標準脱イオン水(2.50%)と比較して、マイクロクラスター水(0.92%)において効果的に低い(df=1;x2=8,96;P=0.0028)。細胞あたりの平均SCE数を評価するため、それぞれ300の有糸分裂中期を分析する。マイクロクラスター水をRPMI1640乾燥培地用の溶液として使用した場合、標準脱イオン水(4.01±0.145)よりもSCE数が低い(3.38±0.120)ことが示された(df=598;t=3,311;P=0,000985)。また染色体染色を行って第一、第二、第三有糸分裂の数を数えることにより、細胞周期期間を測定した。細胞培養における平均分裂数は、計算式(sigma・ni/2i‐1)/(sigma ni/2i‐1)を使用して特定した。ここで、iは有糸分裂番号、niはBDU存在下32時間後のi−有糸分裂の細胞数である。細胞周期期間は、32時間を平均分裂数で割って計算する。細胞周期期間は、両者ともに21.2時間であり、文献データと一致する。
【0105】
従って、標準脱イオン水と比較して、マイクロクラスター水は変異効果をもたらさない。得られたデータからマイクロクラスター水は安定効果を持つと考えられ、これにより、標準脱イオン水に比べて姉妹染色分体交換および染色体異常の頻度が低くなる。
【0106】
実施例5.
この例は、マウス腹腔マクロファージの細胞内pHに対するマイクロクラスター水の影響を検討するとともに、前記マイクロクラスター水に短期間および長期間暴露した場合の細胞膜状態を評価する。
【0107】
手順: 再蒸留水およびマイクロクラスター水で調整した標準ラボ培地において15分よび240分培養した後のマクロファージの細胞内pHを測定する。再蒸留水またはマイクロクラスター水のいずれかを用いて調整した標準ラボ培地において最初の15分間のpHi値の反応速度を検討し、15分および240分の培養後、マクロファージ集団の中で損傷細胞膜を持つ細胞数を推測する。
試薬:
フルオレセイン二酢酸(FscDA、Sigma)
臭化エチジウム(EthBr、Sigma)
ハンクス液
標準ラボ粉末培地(標準ラボ培地)
HEPES(Sigma)
再蒸留水(DDW)
マイクロクラスター水
Nigericin(Sigma)
マウス腹腔マクロファージ
マウスを用いてマクロファージ分離を行った。ハンクス液2ml(10mM HEPES,pH7.2)を腹腔に注射した。注射後、マクロファージで強化された液体を腹腔から集めた。EthBrおよびFSCDAを用いた二重染色法により、収集した細胞における細胞膜の完全性を管理した。ハンクス液を使用して、最終細胞濃度106細胞/mlの懸濁液を得た。少量の細胞懸濁液(20ml)をガラス製カバースリップに乗せ、湿室で45分間培養した後、ハンクス液で洗浄して前記ガラス表面に付着した細胞を除去した。細胞懸濁およびカバースリップに関する実験全体でこの方法を用いた。
【0108】
損傷膜を持つ細胞のカウント:
EthBr(5mg/ml)およびFSCDA(5mg/ml)を用いた二重染色法により、損傷細胞膜を持つ細胞を数えた。この方法は、EthBrが損傷膜を持つ細胞に入り、DNAと結合する能力に基づく。EthBrは、DNAと結合すると明るい赤色に蛍光する。FSCDAは培地から細胞に容易に浸透し、明るい緑色に蛍光するフルオレセインに構造転換する。そのため、無傷細胞はフルオレセインを蓄積し、損傷膜を持つ細胞から容易に区別される。この二重染色法の結果、染料を用いた5分間の培養中、無傷細胞は緑色、損傷膜を持つ細胞は赤色に蛍光する。
【0109】
細胞内pHの測定:
蛍光顕微分光法に基づき、LUMAMI3(LOMO、ロシア)型の蛍光顕微鏡を使用して、マクロファージ細胞内pHの測定を行った。この特殊な顕微鏡は、蛍光を励起および放出する修正システムを有する。蛍光励起は、青色(lmax=435nm)フォトダイオードを使用することにより行った。蛍光は、2つの異なる干渉フィルター(l=520nmおよびl=567nm)でそれぞれ同時に測定した。蛍光励起および同期放出は、内蔵マイクロコントローラー(LA‐70M4)を使用して測定した。マクロファージは、pH指示薬FSCDA染料(5mg/ml)を用いて15分間培養した。培養期間後、培地からフリー染料を洗い流した。顕微鏡下の測定は、浸水対物レンズ(x40)を使用して行った。pH較正曲線を使用して、細胞内pHの値を特定した。前記較正曲線は、マクロファージ細胞内pHiに基づいて、比率K=(I520/I570)(ここでI520、I570はそれぞれ520nmおよび570nmにおける蛍光強度)で表される。異なるpHi値を得るため、マクロファージを140мMKCl、1мMCaCl2、0.5мMMgCl2、および20 мMHEPES培地で培養した。細胞内pH値は、6.8−7.6の範囲で変化した。たった3分でOH−をH+に変換する能力を持つイオノフォア抗生物質Nigericine(Sigma)5mg/mlを追加することによって、細胞内pHを培地のpHに調整した。NigericineはK+に対して高い親和性を持つ。この特性により、以下の膜貫通平衡を安定化することができる。ここで、iおよびoにはそれぞれ内部および外部濃度を指定する。従って、細胞内pHは培地の細胞外pHに近づき、細胞内外で同じK+濃度となる。
培養培地:ハンクス液(10мM Hepes)pH7.2;
再蒸留水で調整した10мM Hepes、pH7.2の標準ラボ培地;
マイクロクラスター水で調整した10мM Hepes、pH7.2の標準ラボ培地;
シリーズ1.
細胞をEthBrおよびFSCDAを含む培地で15分間培養した。それらを細胞外培地において丁寧に洗浄した。細胞培地を再蒸留水またはマイクロクラスター水のいずれかで調整した標準ラボ培地と置き換えた。死細胞計数を生成し、顕微鏡下で30回以上観察した。また、両タイプの培地を置き換える実験を3回繰り返した。FSCDA染料を用いて、細胞を15分間培養した後、周囲の細胞培地内のフリー染料から洗い流した。細胞培地を、再蒸留水またはマイクロクラスター水のいずれかで調整した標準ラボ培地と交換した。細胞内pHの反応速度の測定は、少なくとも30回の顕微鏡観察で行い、合計3回繰り返した。
【0110】
シリーズ2.
細胞を再蒸留水またはマイクロクラスター水のいずれかで調整した標準ラボ細胞培地において230分間培養した。その結果、細胞内pHの場合、細胞はFSCDA染料で染色され、死細胞の場合、細胞はEthBrで染色された。定量化測定は上述のとおり、また当技術分野で周知のとおり行った。
【0111】
細胞内pH(delta pHi)は、マイクロクラスター水または再蒸留水を使用して調整した標準ラボ細胞培地において15分、190分、および230分間培養した後、マクロファージ内で変化する。マイクロクラスター水を使用して調整した細胞培地においてマクロファージを230分間培養した結果、pHiが0.43増加した。再蒸留水で調整した培地を使用した場合にも、マクロファージの細胞内pHの統計上著しい増加が見られた。
【0112】
pHの増加は、代謝酸化性物質が失活した結果である。水酸化ラジカルの失活によって水酸化物が形成され、pHが増加する。同様に、他のフリーラジカルおよび酸化性物質の失活によって、pHを高める化学種が生じる。重要なことには、これらフリーラジカルおよび酸化性物質の減少は、ミトコンドリアまたは他の生物学的要素との有害な相互作用を防ぐ。その結果、ミトコンドリアDNA、他のDNA、および細胞膜の突然変異が減少する。フリーラジカル、酸化性物質、およびそれらがもたらす損傷が減少することにより、健康および血液酸素レベルが向上し、効率的に酸素が使用される。また、ミトコンドリアの崩壊および破壊率が減少することで、エネルギーが増大し、それに伴って健康なミトコンドリア集団も増加する。
【0113】
一般に、マイクロクラスター水の血液濃度が増加すると、酸化的損傷が減少する。実際に本発明の水は、ミトコンドリアDNAに対する損傷を削減し、関連エネルギー論において効率性を向上させることによって抗老化効果を提供する。
【0114】
上記の実験結果から、薬用化粧品の構成要素と関連して、一連の酸化的ストレスからの保護における本マイクロクラスター水の重要性が確認された。老化のプロセスには、ミトコンドリアの機能不全および水酸化ラジカル、酸化窒素、およびペルオキシ亜硝酸などの分子生成による酸化的損傷が関与すると考えられている。当実験結果は、マイクロクラスター水が実際に老化プロセスに影響するため、抗老化として適切に表示されることを強く示唆している。
【0115】
本発明は、特定の手段、材料、および実施例を参照してここに記載されているが、本発明は本明細書に開示される事項に限定されることを意図しない。むしろ、本発明は添付の請求項の範囲において、機能的に相当する構造、方法、および使用すべてに及ぶものである。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】図1は、細胞とミトコンドリアへのクレアチン摂取を比較した棒グラフである。
【図2】図2は、ジェルおよびクレアチンと正常細胞のUVA誘発のmtDNA突然変異生成に対する反応を描いたグラフである。
【図3】図3は、慢性酸化的ストレスの周期の図である。
【図4】図4は、皮膚の老化に関する不完全なパワーハウスモデルの図である。
【図5】図5は、マイクロクラスター水(Penta)または実験用の水(a.d.)で作成された媒体で成長した細胞間での変異の数を比較したグラフである。
【図6】図6は、マイクロクラスター水(Penta)または実験用の水(a.d.)で作成された媒体で成長した細胞間で共通する欠失変異の数を比較した一連の棒グラフである。
【図7】図7は、マイクロクラスター水(Penta)または実験用の水(a.d.)で作成された媒体で成長した細胞間で共通する欠失変異の数を比較した一連の棒グラフである。
【図8】図8aおよび8bは、標準培養条件のもとでの細胞内pHへの変化に関する、再蒸留水(「DDW」)とマイクロクラスター水(Micro-cluster)の相違を示すグラフである。
【図9】図9は、標準培養条件のもとでのマクロファージにおける細胞内pHの変化を示す棒グラフである。
【図10】図10は、培養媒体がDDWまたはマイクロクラスター水から作成された標準培養条件のもとでの細胞膜への損傷の傾向における相違の棒グラフである。
【図11】図11は、UVに曝された皮膚と曝されていない皮膚で共通する、mtDNAにおける欠失変異の発生を比較した棒グラフである。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2004年12月13日出願の仮出願60/635,915号および2005年9月6日出願の60/596,170号の優先をそれぞれ主張し、2000年10月26日出願の出願09/698,537号の一部継続であり、1999年10月26日出願の仮出願60/161,546号の優先を主張する現在の特許6,521,248号となる2002年11月21日出願の出願10/301,416号の一部継続である2003年4月21日出願の出願10/420,280号の一部継続である。
【0002】
本願は、また、2005年4月22日出願の仮出願60/594,612号および2005年4月15日出願の仮出願60/594,540に関する。上記で特定される各出願は、全体として参照することにより組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
老化は、通常、発病および死亡につながる生理学的機能の低下を特徴とする不可避の生物学的過程である。老化過程は、人の一生涯にかけて徐々に起こる。この徐々に起こる過程において、生理学的機能の低下は、一般的な肉体的・精神的能力の低下として例示される。また、免疫システムの強さにおいて進行性の低下が見られ、老化した体では治癒力が低下する。
【0004】
老化には、フリーラジカルの生成による細胞死または細胞機能障害、酸化的損傷、およびミトコンドリア機能障害によるエネルギー枯渇が関与する。Harman(1988)は、老化または死を、代謝作用の間に起こる酸素の一電子還元から発生するフリーラジカルの障害作用と関連づけた。異なる動物種の自動酸化率と同種の平均寿命は反比例関係である(Cutler、1985; Sohal、1995)。ミトコンドリアは、呼吸鎖を通過する酸素ラジカルの主な供給源であり、また、活性酸素種(ROS)の影響を大きく受け、それらの機能に深刻なリスクをもたらす。ミトコンドリア機能障害は、電子伝達、酸化的リン酸化反応およびエネルギー生産に異常をきたす場合があり、細胞損傷や最終的には細胞死をもたらす。
【0005】
これらの低下傾向の的確な原因は明らかではないが、細胞膜、電子伝達、脳組織の一つ以上への損傷およびフリーラジカルや酸化性物質によるエネルギー関連の代謝経路に対する断裂は重大な原因となると提議されている。若い被検体と比較して、老いた被検体でミトコンドリアDNAの酸化障害の増加が見られる。この増加は、脳、筋肉、神経および横隔膜を含む多数の組織および細胞種類において見られる。重要なことは、これらの増加は、老化の連続に対して相対的である。
【0006】
ミトコンドリアDNAへの損傷は、エネルギー生産において遍在的に関与するため、格別重要である。同様に、ミトコンドリアは、最も重要な機能を有する遍在的細胞小器官である。脳のミトコンドリアDNAへの酸化的損傷は、老化に伴う神経変性病の発生率の増加に関連づけられている。筋性ミトコンドリアへの酸化的損傷は、倦怠感の増加に関連づけられている。酸素ラジカルの毒性も、一般的に、癌、心疾患および老化の主要な原因と提議されている。
【0007】
寿命は、過去6千万年にわたる人類の進化の範囲において著しく伸びている。一方、ヒトにおける年齢別癌発生率が大きく低下している。長寿化および年齢別癌発生率の低下における重要な要因は、フリーラジカルおよび酸化的損傷の他の原因に対する効果的なメカニズムの進化にあるかもしれないとされている。ラジカルおよび酸化剤失活組成物の血漿中濃度の増加が提議されている。大きな成果はないが、この関連で、尿酸、ビタミンA、EおよびCなどの組成物は広範囲に研究されている。ビタミンと共通する一つの性質として、水溶性の欠如が挙げられる。血液(水)に対する水溶性が欠如しているため、それらのビタミンの血漿中濃度は限られる。さらに、これらはすべて消化分解を行う性質を共有し、その上、血漿中濃度を上げるための作用を複雑にする。さらなる問題が、これらの抗酸化物質が酸化的損傷が問題となる細胞へ輸送される際に生じる。
【0008】
抗酸化剤またはフリーラジカル失活作用物質の重要な特性の一つとして、生物学的に破壊せずに、酸化剤またはフリーラジカルと化学的に反応する能力がある。生物学的に破壊する酸化性物質および関連するフリーラジカルの中には、超酸化物(O2−)、H2O2、水酸ラジカル(−OH)および一重項酸素(1O2)が含むものもある。所望の水溶性および細胞取り込み特性を有する抗酸化剤およびフリーラジカル失活組成物が必要とされる。本マイクロクラスター水は、これらおよび他の有利な性質を提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の開示
本発明のある態様は、細胞内液のフリーラジカルおよび酸化性物質を抑えるための方法および組成物に関する。
【0010】
本発明のもう一つ態様は、細胞外液のフリーラジカルおよび酸化性物質を抑えるための方法および組成物に関する。
【0011】
本発明のもう一つの態様は、組織間液のフリーラジカルおよび酸化性物質を抑えるための方法および組成物に関する。
【0012】
本発明のさらにもう一つの態様は、医薬化粧品の送達の方法および組成物に関する。
【0013】
本発明のさらなるもう一つの態様は、抗酸化剤およびフリーラジカル失活性を有するマイクロクラスター液に関する。
【0014】
マイクロクラスター水などの、本発明のマイクロクラスター液は、ポテンシャルエネルギーの増加、生物学的利用能の強化、経皮的移行および経皮的促進から成る群から選択される少なくとも一つの性質をさらに提供する。
【0015】
経皮的移行という用語は、真皮を通過あるいは渡って移動する能力を有することを意味する。一方、経皮的促進という用語は、しばしばその移行と同期する、他の物質が皮膚粘膜を渡る経皮的通過を促進する性質を意味する。
【0016】
医薬化粧品という用語は、栄養剤および/または医薬品の少なくとも一つを含む化粧品製剤を意味する。医薬化粧品は、例えば、二酸化チタン(身体用日焼け止め剤など)およびクレアチニンピルビン酸塩(細胞修復調合薬など)をマイクロクラスター水の賦形剤に取り込んでよい。この組成物は、調合薬を真皮の深いところへとさらに送達し易くするための浸透促進剤をさらに含んでよい。本マイクロクラスター水の抗酸化剤および抗フリーラジカル性は、通常、細胞の長寿化、DNAの突然変異率の低下、ミトコンドリア細胞膜の長寿化、細胞膜の長寿化など、予想外の結果をさらに提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
発明の詳細な説明
本発明の方法は、通常、局所、口径、経皮あるいは技術分野で周知の他の投与法で、ある量のマイクロクラスター液を被検体に投与することから成る。マイクロクラスター液は、早期老化に伴う酸化的組織の損傷に関与するROSおよび/またはフリーラジカルの一つ以上を調節すると考えられる。本発明は、通常、経皮促進剤とともに、さらに栄養医学的および医薬的薬剤をマイクロクラスター液に取り込むことから成る。マイクロクラスター液はクレアチン化合物と関連して、mtDNA突然変異生成の構造または機能要素および/または老化および皮膚への損傷の症状を防止、軽減または改善するに十分なクレアチンキナーゼ/クレアチンリン酸システムの一つ以上を調節すると考えられる。調節が可能なシステムの要素は、mtDNA変異の比率、細胞内pH、細胞間pH、ROS濃度、細胞の寿命、クレアチンキナーゼ酵素、クレアチンおよびクレアチンリン酸塩基質、およびクレアチンの輸送体を含む。「調節する」、「調節」または「調整の」という用語は、クレアチンキナーゼ/クレアチンリン酸システムの任意の要素の活性における任意の増減を含む。
【0018】
一つの実施例において、本発明は、損傷が治療されるよう、マイクロクラスター液のクレアチン化合物から成る有効な量の医薬化粧品を被検体に投与することによる、被検体(例えば、哺乳類、好ましくはヒト)の皮膚疾患の治療方法に関する。
【0019】
クレアチン化合物は、皮膚におけるエネルギー保存を高めることにより、また、酸化的損傷および細胞死に関与するメカニズムを抑止することによって、組織を保存することが予測される。マイクロクラスター液は、酸化的損傷および細胞死に関与する有害な酸化的メカニズムを抑止することによって、組織を独立して保存することが予測される。クレアチン化合物およびマイクロクラスター液の組み合わせによって、皮膚におけるエネルギー保存を高め、酸化的損傷および細胞死に関与する有害な酸化的メカニズムを抑止し、有効作用物質の強化された経皮浸透および移行によって、組織を保存することが予測される相助作用の組成物が提供される。特にこの目的に効果的な化合物は、以下で詳細に説明されているマイクロクラスター液、マイクロクラスター水、キレートミネラル、キレートビタミン、クレアチン、クレアチンリン酸塩、タウリン、浸透圧調節物質、エクトインおよびその類似体を含む。
【0020】
「クレアチン化合物」という用語は、クレアチン、クレアチンリン酸塩、およびクレアチンまたはクレアチンリン酸塩に構造上類似する化合物、およびクレアチニンピルビン酸塩などの塩類を含むクレアチンおよびクレアチンリン酸塩の類似体を含む。「クレアチン化合物」という用語は、クレアチン、クレアチンリン酸塩またはクレアチン類似体の活性を「類似する」化合物も含む。「類似する」という用語は、クレアチンとは構造上類似していないかもしれないが、クレアチン、クレアチンリン酸塩または構造上類似している化合物の治療的活性を類似する化合物を含むよう意図される。また、クレアチン化合物という用語は、「クレアチンキナーゼシステムの調節剤」、例えば、酵素の活性、またはクレアチンの輸送体の活性またはシステムと相互作用する他のタンパク質や酵素や脂質の能力を調節する化合物を含む。
【0021】
「治療」という用語は、治療されている疾患に関連するまたはそれによって生じる少なくとも一つの症状の減少または軽減を含む。例えば、治療は、疾患のいくつかの症状の減少あるいは疾患の完全な撲滅を含むことがある。
【0022】
「皮膚疾患の治療」という専門用語は、疾患の防止、障害過程の寛解および/または抑止の両方を含む。皮膚疾患の例として、これらに限定されないが、太陽の放射、ストレス、疲労および/またはフリーラジカルによる老化および損傷がある。見解にとらわれなければよいが、マイクロクラスター液は、本明細書に記載されるクレアチン化合物と関連して、皮膚および他の組織の損傷および老化の発生に対する治療効果と予防効果の両方を有すると考えられる。この専門用語は、障害過程(例えば、しわ)に伴う任意の症状の任意の寛解または抑止も含む。例えば、しわの治療には、例えば、哺乳類の皮膚、好ましくはヒトの皮膚などの皮膚におけるしわの形成過程の防止、遅延、抑止、または逆転を含んでもよい。
【0023】
本発明は、細胞、細胞組成物または組織に接触するフリーラジカルおよび他の酸化性物質によるフリーラジカルおよび酸化的損傷を減少させることに関する。本発明のマイクロクラスター水は、フリーラジカルおよび酸化剤失活性を有する。本マイクロクラスター水の細胞、細胞組成物または組織への接触により、細胞の長寿化、DNAの突然変異率の低下、ミトコンドリア効率の改善、ミトコンドリアDNA変異の低下、コラーゲンおよび線維芽細胞の成長の増加、しわや他の皮膚損傷の寛解が得られ、それにより抗老化がもたらされる。本発明の組成物の投与は、化粧品などによる局所適用による摂取、または治療を要する組織またはシステムに十分に接触する任意の他の方法を含む、いくつかの方法によって行われる。
【0024】
ヒトまたは動物に治療的、または化粧品としての作用物質(「有効作用物質」)を投与する従来の方法は、通常、生物学的、化学的および物理的障害によってある程度限られる。物理的障害の例として、作用物質が標的に到達するまでに存在する皮膚やさまざまな器官の膜がある。化学的障害には、pHのばらつき、脂質の二重層、および分解酵素がある。生物学的および化学的に有効な作用物質はこのような障害に特に弱い。
【0025】
多くの有効作用物質は局所的に適用可能であり、特に、アトピー性皮膚炎にかかった皮膚の部位に局所適用ができる化粧薬品にとって便利な投与法である。ただし、有効作用物質の局所適用の有効性は、a)経皮吸収および浸透、b)皮膚の標的部位に浸透した有効作用物質の生物学的利用能の2つの主要因子による。
【0026】
有効作用物質を効果的に局所適用させるには、作用物質は、角質層(最終分化角化細胞の層を含む皮膚の外層)から表皮の層へ浸透し、その後、効果を発揮するため、標的部位で分散し、生物学的に利用可能となる必要がある。この有効作用物質の経皮的移行は、経皮投与と称される。
【0027】
多くの化粧薬品は長期間に及んで日常的な適用を必要とし、そのため局所適用は、投与計画が比較的簡素で不便さを最小限に抑えて達成できるため、有利である。しかしながら、治療の有効性を最大にするには、できるだけ多い量の化粧薬品が皮膚に吸収される必要があり、作用物質がクリームまたはローションを塗ることによって局所的に適用される際、少なくともいくつかの有効作用物質は、擦り取られたり蒸発して失われることがよくある。発明者らは、マイクロクラスター水を組み合わせて有効作用物質のナノメーターサイズの粒子を発生させることによって、この擦り取りの問題を減少させ、有効作用物質の吸収を改善できることを見い出した。
【0028】
一例として、本発明の目的のため、化粧薬品は抗老化作用物質、抗しわ作用物質、抗酸化性物質、抗傷作用物質、植物エストロゲン、イソフラボン、クマリン、リップクリーム、フリーラジカル失活作用物質、および殺菌にきび抑制作用物質の一つ以上から選択されるのが好ましい。
【0029】
本明細書で使用されるように、「化粧薬品」という用語は、外観の清浄、変更、作用物質が適用される体の部位の保護および/または良い状態に保つことを目的として、動物の体(特にヒトの体)の外部または粘膜に接触するよう使用されるように意図した任意の化合物、化合物の混合物、またはそれらが由来の製剤を意味する。
【0030】
化粧薬品は、好ましくは、目に見える老化効果、しわ、ニキビ、染み、傷跡(ケロイド)、毛細血管破裂のうち一つ以上の効果を減少、低下または防止することができ、好ましくは、添加剤および組成物の両方が皮膚、髪、頭皮、爪、目または歯に適用するためのもので、液体石鹸、ローションおよび溶液などの液体組成物の形で皮膚を任意に清浄する組成物を含む。
【0031】
本明細書で使用されているように、本発明に記載される「医薬化粧品」という用語は、ビタミン、ミネラルおよび浸透圧調節物質からなる栄養医学的組成物の送達を促進するために選ばれた化粧薬品を意味する。
【0032】
本明細書で使用されているように、「ミネラル」という用語は、当技術分野で周知のように、通常はクラスの一部である無機化合物を意味する。代謝的に重要なミネラルの例として、例えば、Sb、AS、B、Br、Yb、Pd、Re、F、Ir、La、W、Cs、C、Pt、Tm、N、Ni、Ta、Tb、Fe、K、I、Co、Mo、V、Ag、Mg、Cr、Cu、Zn、Ca、Si、Sn、Ni、PおよびSを含む、多数の保険、健康および医療に関するテキストブックで十分に解説されている。キレートマトリックス送達システムは、本組成物の一環として、これらのミネラルの経皮送達を促進するために使用されるのが好ましい。当該キレートマトリックス送達システムは、参照することにより本明細書に組み込まれる、2000年8月7日出願のTarbetへの特許6,716,458号に記載されている。これらのミネラルをキレートマトリックスへ取り込むこと。
【0033】
本明細書で使用されているように、「浸透圧調節物質」という用語は、浸透ストレスに反応して、細胞/組織によって蓄積した有機溶質を意味する。一般的に、浸透圧調節物質は、折り畳みタンパク質の熱力学的安定性を増加させ、変性ストレスに対する保護をする。浸透圧調節物質の例として、これらに限定されないが、クレアチン、タウリン、エクトイン、それらの誘導体および類似の生物学的に適合した塩類がある。
【0034】
本発明の他の形態は、化粧薬品および/または栄養医学的作用物質の皮膚を通過しての浸透を強化する方法を提供し、その方法は、化粧薬品または栄養医学的作用物質、および皮膚浸透促進剤の少なくとも一つから成る組成物を皮膚に適用するステップを含む。この組成物の局所適用によって、有効作用物質が角質層へ送達され、表皮および真皮へも送達される。
【0035】
提議された見解にとらわれるわけではないが、本マイクロクラスター水は、再蒸留水と比較して、ポテンシャルエネルギーを増加させている。おそらくこのエネルギーの増加のためであるが、本発明のマイクロクラスター水はフリーラジカルを抑え、抗酸化剤として機能することが可能である。
【0036】
本明細書で使用されているように、「マイクロクラスター化された組成物」という用語は、マイクロクラスター水を構成する組成物を言及する。生物学的に影響を与える作用物質、体を治療するための作用物質の組成物、アジュバントまたは担体、あるいはその成分のいずれかを修飾する「マイクロクラスター化された」という形容詞は、その組成物にマイクロクラスター化された水、すなわち、マクロクラスター水に溶解した、混合した、または組み合わせた組成物を言及する。マイクロクラスター液は、参照することにより本明細書に組み込まれる米国特許6,521,248号に記載され請求される装置によって処理される、混和性または非混和性の任意の液体、混合物、あるいは液体の組み合わせである。
【0037】
水およびさまざまな生物学的構造および過程で修飾された水媒体の相互作用は、主に、すべての生態系において水が果たす唯一の役割によって決定される。水は、タンパク質と核酸が相互に作用する液状媒体と同様に、ほとんどの生物学的過程における主要成分である。生物学的反応のための主要媒体として知られているだけでなく、水には親水性および親脂性構造を決定し、安定させる役割もある。水の独特な能力によって、さまざまな過程の効能に影響を与えることができる。しかしながら、水の生物学的機能に関する多くの態様は未知のままである。水の生物学的活性は物理的/化学的パラメータの変化によると示唆する事実がある。水の生物学的活性をコントロールするメカニズムをより理解する際の重要な態様の一つは、細胞レベルでそれを研究することである。水は、細胞内pHおよび細胞膜の状態を含む内部調節システムに大いに関係する。したがって、マクロファージ反応および生存能力は、本分析において有用な指標である。
【0038】
クレアチンキナーゼ/クレアチンリン酸塩エネルギーシステムは、高い変動エネルギー必要量を有する組織で見られる、精巧なエネルギー生成システムの唯一の要素である。クレアチンエネルギーシステムの要素は、クレアチンキナーゼ酵素、クレアチンおよびクレアチンリン酸塩基質、およびクレアチンの輸送体を含む。このシステムに関連する機能のいくつかには、変動する高いエネルギー需要を有する細胞におけるエネルギーの効果的な生成、細胞の異なる部分へのエネルギー輸送、リン酸基転移活性、イオン輸送調節、およびシグナル変換通路への関与がある。
【0039】
本発明は、有害なUV照射、エネルギープールの貯蓄によるストレスおよび疲労から皮膚組織を保護し、スリーラジカル生成および酸化的ストレスから保護する方法に関する。これは、ある量のクレアチン化合物または化合物を、皮膚損傷または皮膚の老化を防止、減少または改善するに十分にエネルギーおよび老化に関与している生物学的通路の一つ以上を調節するマイクロクラスター液とともに投与することによって成し遂げられる。この目的に対して効果的な化合物は、マイクロクラスター水などのマイクロクラスター液、タウリンおよびエクトインなどの浸透圧調節物質、および異なる水和の天然化合物クレアチンまたは塩類およびその類似体およびその組み合わせを含む。化合物は、皮膚の表面に容易になじむように、クリーム、油、乳濁液などとともに混合可能である。あるいは、化合物は、摂取しやすいように補助としてまとめてもよい。
【0040】
本発明は、医薬的または化粧品として許容される担体、および抗酸化性物質(例えば、CoQ10)、ビタミンC、B5、B6、B9、E、エネルギー強化作用物質(例えば、クレアチン、キレートミネラル、ピルビン酸塩、ニコチンアミド)、浸透圧調節物質および老化の過程を遅くする皮膚軟化剤などの、有効な量の組織保存に作用する他の作用物質と組み合わせて、クレアチン化合物を含むマイクロクラスター液ベースの組成物も提供する。
【0041】
「調節する」、「調節」または「調整の」という用語は、影響を受けた生物学的通路またはシステムの任意の要素の活性における任意の増減を含む。
【0042】
クレアチン化合物と組み合わせてマイクロクラスター液は、皮膚におけるエネルギー保存を高めることにより、また、酸化的損傷および細胞死に関与するメカニズムを抑止することによって、組織を保存することが予測される。特にこの目的に対して効果的な化合物には、以下で詳細に説明されている、クレアチン,クレアチンリン酸塩,およびその類似体と組み合わせてマイクロクラスター水が含まれる。「クレアチン化合物」という用語は、クレアチン、クレアチンリン酸塩およびクレアチンまたはクレアチンリン酸塩に構造上類似している化合物、およびクレアチンおよびクレアチンリン酸塩の類似体を含む。「クレアチン化合物」という用語は、クレアチン、クレアチンリン酸塩またはクレアチン類似体の活性を「類似する」化合物も含む。「類似する」という用語は、クレアチンとは構造上類似していないかもしれないが、クレアチン、クレアチンリン酸塩または構造上類似している化合物の治療的活性を類似する化合物を含むよう意図されている。また、クレアチン化合物という用語は、「クレアチンキナーゼシステムの調節剤」、例えば、酵素の活性、またはクレアチンの輸送体の活性またはシステムと相互作用する他のタンパク質や酵素や脂質の能力を調節する化合物を含む。
【0043】
「治療」という用語は、治療されている疾患に関連する、またはそれによって生じる少なくとも一つの症状の減少または軽減を含む。例えば、治療は、疾患のいくつかの症状の減少あるいは疾患の完全な撲滅を含むことがある。
【0044】
「皮膚疾患の治療」という専門用語は、疾患の防止、障害過程の寛解および/または抑止の両方を含む。皮膚疾患の例として、これらに限定されないが、太陽の放射、ストレス、疲労および/またはフリーラジカルによる老化および損傷がある。見解にとらわれなければよいが、本明細書に記載されるクレアチン化合物と共同でマイクロクラスター液は、皮膚および他の組織の損傷および老化の発生に対する治療効果と予防効果の両方を有すると考えられる。この専門用語は、障害過程(例えば、しわ)に伴う任意の症状の任意の寛解または抑止も含む。例えば、しわの治療には、皮膚におけるしわの形成過程の防止、遅延、抑止、または逆転を含んでもよい。
【0045】
「局所投与」という用語は、皮膚に塗るまたはなじませるなどの送達の方法を含む。これは、皮膚に関与する任意の形の投与を含む。局所投与に適する組成物の例として、これらに限定されないが、軟膏、ローション、クリーム、化粧品製剤、および皮膚洗浄製剤がある。さらなる例として、エアロゾル、固形(固形石鹸など)およびジェルがある。
【0046】
「医薬的に許容される」という用語は、正当な損益比に比例する過度の毒性、不適合性、不安定性、刺激作用、アレルギー反応などがない、ヒトや下等動物の組織への接触を要する使用に適切な薬物、薬剤または不活性成分を含む。この用語は、化粧品として許容される成分も含む。
【0047】
「治療上、または化粧品として有効な量」という専門用語は、老化または皮膚への損傷の発症を防止する、または治療を受けている被検体の損傷の進行を著しく減少させるに十分な化合物の量を含むよう意図される。治療上、または化粧品として有効な量は、個人レベルで決まり、少なくとも一部分においては、治療される症状の重症度、および類似体が使用されている場合は特定の類似体の活性の考慮に基づく。さらに、有効な量の化合物は、治療を受けている被検体の年齢によって異なる。したがって、治療上、または化粧品として有効な量の化合物は、医療管理における単なる日常の実験によって、上記の当該要因を使用する当業者によって決定されることがある。
【0048】
本発明の外用医薬組成物は幅広い製品タイプとなる。これらには、溶液、ローション、クリーム、ビーチ用品、ジェル、スティック、噴霧剤、パッド、軟膏、ペースト剤、ムース、及び化粧品を含むが、これらに限られるものではない。これらの製品タイプには、溶液、乳液、ジェル、および固体を含む数種の担体システムがあるが、これらに限られるものではない。
【0049】
もし本発明の外用医薬組成物が、エアロゾルに製剤され、かつスプレーで皮膚に塗布される場合、推進薬が溶液組成物に加えられる。ここで有用で且つ完全な推進薬は以下の告知から得られる:Sagarin, Cosmetics Science and Technology, 2nd Edition, Vol. 2, pp. 443−465 (1972)。
【0050】
また本発明の外用医薬組成物は、ファンデーション等のメーク製品としても製剤される。
【0051】
また本発明の外用医薬組成物は、薬用パッドとしても製剤される。これらパッドの適当な例は米国特許Nos.4,891,227および4,891,228からThaman 他,1990年1月2日付で、その告知は本書に包含される。
【0052】
本発明の外用医薬組成物には、前記の組成物に加えて、現在外用組成物中にその技術レベルで使用されている多種類の油溶解物質および(または)水溶解物質が含まれる。各種の水溶解物質も本発明の組成物中に存在する。これらには湿潤剤、蛋白質およびポリペプチド、防腐剤およびアルカリ試剤が含まれる。更この外用組成物には、染料、色素、香水等の現行化粧アジュバントを包含できる。
【0053】
また本発明の外用医薬組成物には、安全且つ効果的な量の外皮浸透促進剤を含む。外皮浸透促進剤の適切な量は、組成物の約1%から5%である。本発明の他の有効な浸透促進剤として、CTFA(米国化粧品工業会)定義の非イオンポリマーがある。:ポリアクリラマイドおよびイソパラフィンおよびローレスー7で、Seppic Corporation製のSepigelである。ポリアクリルミドおよびイソパラフィン、およびラウリン−7で, Seppic Corporation製のSepigel である。さらに有用なものしては、Allied Colloids, Suffolk, Va.製のSalCare SC92として知られるポリクオタニウム32およびミネラルオイルがある。これはカチオンポリマーのクラスで、以下の特許に一般的に記載されている:米国特許No.4,628,078から1986年12月9日付、Gloverらによるもの、および米国特許No.4,599,379から1986年7月8日付、Flesherらによるもので、両者ともに本紙に参照のためここに包含する。
【0054】
この中にあって有用な浸透促進剤の例は、米国特許No. 4,537,776,Cooper,1985年8月27日付、米国特許No.4,552,872,Cooperら、1985年11月12日付、米国特許No.4,557,934,Cooper,1985年12月10日付、米国特許.No.4,130,667,Smith,1978年12月19日付、米国特許No.3,989,816,Rhaadhyaksha,1976年11月2日付、米国特許.No.4,017,641,DiGiulio,1977年4月12日付、および欧州特許申請0043738,Cooperら、1982年1月13日付、に告知されている。
【0055】
他の現存するスキンケア製品添加物も本発明の組成物に包含できる。例えば、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン、加水分解物、プライムローズオイル、ホホバ油、エピダマル成長ファクター、大豆サポニン,ムコ多糖、およびこれらの混合物が使用できる。
【0056】
各種のビタミンおよびミネラルも本発明の組成物に含ませることが可能である。例えばビタミンA、アスコルビン酸、ビタミンB,ビオチン、パントシン酸、ビタミンD,ビタミンEおよびこれらの混合物と誘導体が考えられる。
【0057】
更に考えられるのは、現発明の活性化合物と化粧品として使用可能な界面活性剤からなる皮膚清浄組成物である。「化粧品として使用可能な界面活性剤」とは、一つの界面活性剤であって有効的な皮膚洗浄だけでなく、過度な毒性、過敏性、アレルギー反応等が無く使用できるものをさす。さらにこの界面活性剤は、活性化合物に混合可能で、その際、たとえばしわ等の皮膚損傷を押える組成物の効力を、大幅に減少させるような相互作用があってはならない。
【0058】
本発明の皮膚洗浄組成物は、約0.1%から約20%、できれば約1%から約5%のクレアチン化合物(例えばクレアチン、シクロクレアチンや他のクレアチン化合物)、および約1%から約90%のマイクロクラスター液、および約0.1%から約10%の化粧品として使用可能な界面活性剤を含むことが望ましい。
【0059】
皮膚清浄組成物の物理的形態は決定的なものではない。その組成物は例えばトイレットバー、液、ペースト、ムースやパッドに製剤される。
【0060】
本発明の清浄組成物は、現在の技術レベルで皮膚清浄組成物に使用されている物質を選択的に包含できる。
【0061】
マイクロクラスター液およびクレアチン内臓の日焼け止め剤および日焼け防止剤も考慮できる。「日焼け止め剤」や「日焼け防止剤」の用語は、紫外線を遮断する組成物を含んでいる。日焼け止め剤の例には、酸化亜鉛および二酸化チタンが含まれる。
【0062】
太陽光はしわなど皮膚損傷の大きな原因のひとつである。したがってしわの手入れや防止のためには、マイクロクラスター液とクレアチンの組み合わせのUVAおよび(または)UVB日焼け防止剤が有益であろう。現在の発明の組成物中に日焼け防止剤を入れると、急性の紫外線損傷に対して直ちに防護を提供する。このように日焼け防止剤は、紫外線による更なる皮膚損傷を防止し、一方本発明による化合物が既存の皮膚損傷を和らげる。
【0063】
現存の多彩な日焼け防止物質は、活性化合物との組み合わせに適している。SegarinらはCosmetics Science and Technologyの第VIII章,189ページ以降に多くの適切な薬剤を告知している。特に適切な日焼け防止物質には,たとえば以下がふくまれる:p−アミノベンゾイック酸、その塩、およびその誘導体(エチル,イソブチル、グリセリルエステル、p−ジメチルアミノベンゾイック酸);アントラニル酸塩、(即ち,o−アミノベンゾエイト;メチル;メンチル、フェニル、ベンジル、フェニルエチル、リナリル、テルピニル、およびシクロヘキサニルエステル);サリシレート(アンピル、フェニル、ベンジル、メンチル、グリセリル、およびジプロピレングリコールエステル);ケイ皮酸誘導体(メチルおよびベンジルエステル、アルファーフェニルシナモンニトライル;ブチルシナモイルピルビン酸塩);ジハイドロキシシナミック酸誘導体(ウンベリフェロン、メチルウンベリフェロン、メチルアセテートーウンベリフェロン);トリハイドロキシシナモン酸誘導体(エスカルチン、メチルエスカルチン、ダフニチン,およびグルコシド、エスカリン、およびダフニン);ヒドロカーボン(ジフェニルブタジエン、スチルベン);ジベンザルアセトンおよびベンザルアセトン;ナフトールスルホン酸塩、(2−ナフトール−3のナトリウム塩、6−ジサルフォニック、および2−ナフトール−6、8−ジサルフォニック酸);ジヒドロキシーナフソニック酸;およびその塩;;o−and p−ヒドロキシバイフェニルジサルフォネーと;クマリン誘導体(7−ヒドロキシ、7−メチル、3−フェニル);ジアゾル(2−アセチル−3−ブロモインダゾル、フェニルベンゾクサゾル、メチルナフサクサゾル,各種アリールベンゾチアゾール);キニーネ塩(重硫酸塩、硫酸塩、塩化物、オレアート、およびタネイト);キノリン誘導体、(8−ヒドロキシキノリン塩、2−フェニルキノリン);ヒドロキシ又はメソキシー置換ベンゾフェノン;尿およびビロ尿酸;タンニン酸および誘導体(例えばヘキサエチルエーテル);(ブチルカーボトル)(6−プロピルピペロニル)エチル;ヒドロキノン;ベンゾフェノン(オキシベンゼン、スルスルイソベンゼン、ジオキシベンゾン、ベンゾレゾルシノール,2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、オクタベンゾン;4−イソプロピルジベンゾルメタン;ブチルメトキシジベンゾルメタン;エトクリレン;および 4−ジベンゾルメタン。
【0064】
本発明の組成物中の有用な日焼け防止剤は、マイクロクラスター液中に拡散し混合しているTiO2,ZnOのナノメーター粒子である。
【0065】
安全で効果的な量の日焼け防止剤を本発明の組成物として使用できる。この日焼け防止剤は活性化合物と共存できなければならない。通常この組成物は約1%から約20%,できれば約2%から約10%の日焼け防止剤を含むことができる。正確な量は選択した日焼け防止剤と要求する日焼け保護係数(SPF)による。
【0066】
これらの組成物の皮膚永続性を改善するため、特に水での洗顔やこすり落としへの抵抗力を増すため、本発明のいずれの組成物にも薬剤の添加が可能である。このような利益を供与する好ましい薬剤は、エチレンとアクリル酸の共重合体である。この共重合体を含む組成物については、米国特許No.4,663,157,Brock,1987年5月5日付に告知されており、本文中に参照として包含されている。
【0067】
本発明の他の実施例では、本発明のクレアチン化合物に随伴するマイクロクラスター液とともに、有効作用物質として抗炎症作用物質が含まれる。この抗炎症作用物質はUVA放射領域を強力に防護し(またある程度のUVB防護も供与するが)、これによりUV放射に起因する皮膚の損傷を防御し、一方、本発明のクレアチンに随伴するマイクロクラスター液は、既存の損傷を治療する。したがってこの組み合わせは更なる損傷に対して幅広く防御し、すでにある損傷の修復を容易とする。抗炎症作用物質の局所使用は、UV放射への皮膚露出に起因する光老化を減少する。(米国特許.No.4,847,071,Bissett,Bush,およびChatterjee,1989年7月11日付、を見よ。参照としてここに包含;および米国特許.No.4,847,069,BissettおよびChatterjee,1989年7月11日、参照としてここに包含。)
安全で効果的な量の抗炎症作用物質を本発明の組成物として添加できるが、この好ましい量は、組成物の約0.1%から約10%,さらに好ましい量は約0.5%から約5%である。組成物中に使用すべき抗炎症作用物質の正確な量は、このような薬剤の力価の変化は大きいので、使用した特定の抗炎症作用物質による。
【0068】
他の実施例のこの医薬化粧品は、安全で効果的な量の皮膚保護剤を含むことができる。この皮膚保護剤は、できれば組成物の約0.001% から 約2%,さらに好ましくは約0.01%から約1%である。有用な皮膚保護剤は連邦登録Vol.48,No.32に告知されており以下が含まれている:アラントイン、アルミニウム水酸化物ゲル、ビスマス亜硝酸塩,ホウ酸、カルカミン、ココアバター、コーンスターチ、ジメチコン,グリセリン、カオリン、生イーストセル誘導体、ワセリン,さめ肝臓油、ナトリウム水素炭化水素、硫黄、タンニン酸、白ワセリン、酢酸亜鉛、炭化亜鉛、および酸化亜鉛、およびこれらの混合物。
【0069】
本発明の製剤には、局所、経口、経鼻、経皮,頬側、舌下、直腸、膣、および・または非経口投与に適するものを含む。これらの医薬は便利な単位錠剤形態で供与され、また製薬の技術でよく知られる方法によって準備できる。
【0070】
これらの医薬や組成物調整の方法には、付属成分を含む医薬のすべてを随伴させる段階を含む。この付属成分の混合は、米国特許6,521,248に記載の装置を通じて、必要とするナノメーター粒子サイズ、および・又は疎水基の溶解が達成するまで処理される。
【0071】
この活性化合物に加えて、縣濁液には以下のような縣濁剤を含ませることができる:例として、エトキシル等量アルコール、ポリキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、ミクロクリスタリンセルローズ、アルミニウムメタ水酸化物、ベントナイト、寒天およびトラガカント、およびこれらの混合物がある。
【0072】
本発明による化合物の局所または経皮投与用の錠剤形状には、粉末、スプレー、軟膏、ペースト剤、クリーム、ローション、ジェル、溶液、貼付剤、吸入剤が含まれる。有効作用化合物は、無菌状態で製薬上許容される担体と、必要となる防腐剤,緩衝液,または推進剤を使用する。
【0073】
本発明の活性混合物に加えて、軟膏、ペースト剤、クリームおよびジェルには、以下のような付形剤を含んでよい:たとえば、動物および植物油脂、オイル、ワックス、パラフィン、スターチ、トラガカント、セルローズ誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび亜鉛酸化物、またはその混合物。
【0074】
経皮貼付剤は本発明の化合物の制御送達を身体に供与するという追加的利益をもたらす。このような剤形は、化合物を適切な媒体中に溶解、または放散することによって作られる。吸収促進剤も皮膚上の化合物の融剤を増加させるために使用できる。このような融剤の速度は、速度制御膜を供与したり、またはポリマーマトリックス中に有効作用化合物を放散させることによって制御できる。
【0075】
これらの組成物には、防腐剤,湿潤剤、乳化剤および放散剤等の補助剤が包含できる。微生物の行動の防止は、以下に示す各種の反バクテリア剤および抗真菌蛋白剤の含有によって保証される。例えばパラベン、クロロブタノール、フェノルソルビック酸等である。また砂糖、塩化ナトリウムト等の等張剤の組成物への包含が望ましい。さらに例えばアルミニウムモノスエアレート、およびジェラチン等の吸入を遅らせる薬剤の包含が、射出式製薬形態の吸入の長期化をもたらすこともある。
【0076】
さらに他の実施例では、皮膚疾患がフリーラヂカル、老化、太陽光線、ストレスや疲労に随伴する。他の実施例では、被検体はしわの影響を受けたり、皮膚疾患の危険にさらされる。
【0077】
「フリーラヂカルに随伴する」という用語は、直接または間接にフリーラヂカルの結果としての疾患や損傷を意味する。このフリーラヂカルは、例えば太陽光線(即ちUV光線)、または汚染によって開始される。
【0078】
「老化」の用語は、以下の過程を含む:この過程では、酸化による損傷、エネルギー枯渇、またはミトコンドリアル悪性機能があり、兆候、改善, 抑止 や消失がここに記載のクレアチンと随伴するマイクロクラスター液に影響される。老化の兆候は、しわ、皮膚の弾力の損失、皮膚の不均一な色素沈着を含むが、これに限定されるものではない。
【0079】
また本発明は、検体の皮膚の処置についての組成に特徴を有する。この組成物は、クレアチン、クレアチン燐酸塩、クレアチン化合物やその塩と結合している、効果的な量のマイクロクラスター液から構成される。できれば効果的な量とは、皮膚疾患の処置や防止に効果的ということである。その組成物は局所投与に適切なことが望ましい。この組成物はローション、クリーム、軟膏、ジェル、または固形物に製薬される。有益な一実施例では、組成物にも日焼け止め剤や日焼け防止剤(即ち亜鉛酸化物やチタン二酸化物)が含まれる。
【0080】
もうひとつの実施例では、この組成物が化粧用ファンデーションや、肌洗浄薬として製剤される。利点として、この組成物は浸透剤を含むことができる。本発明の組成物に組み込むことができる化合物の例には、ヒドロキシ酸、レチノール、アロエ、カミツレ、またはそれらの混合物がある。
【0081】
さらに他の実施例では、皮膚疾患はフリーラジカル、老化、太陽光線、ストレス、または疲労に随伴する。
更なる実施例では、本発明は適切な量の皮膚保存作用物質を検体に共に製剤することを予期するものである。皮膚保存作用物質の例には以下がある:例えばマイクロクラスター水、アスコロビック酸、ビタミン、コエンザイムQ10(CoQ10)およびその誘導体、システィン塩化水素、亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム等;アスコロビックパルミテート、ブチレートヒドロキシアニソル、ブチンヒドロキシアニソル(BHA),ブチレートヒドロキシトルエン(BHT),レシチン,プロピル没食子酸塩、アルファートコフェロール等の油溶解抗酸化剤;およびクエン酸,エチレンジアミノテトラ酢酸(EDTA),ソルビトール、酒石酸、リン酸,等の金属キレーティング剤。好ましい抗酸化剤には、CoQ10およびビタミンEが含まれる。他の皮膚保存作用物質の例には、エネルギー増強剤(例えばATP,ニコチンアミドやピルビネート),ビタミン(例えば.E,C,B5,B6,およびB9)およびビタミン前駆物質が含まれる。
【0082】
「エネルギー増強剤」には、ミトコンドリア機能の刺激剤,または細胞中の何れかでのATP生成も含む。例としては、ピルビン酸、ニコチンアミド、およびCoQ10が含まれる。
【0083】
老化酸化的ストレスおよびミトコンドリアル機能障害
すべての多細胞有機体のライフサイクルの共通の特徴は、生命の進歩的過程が一旦停止すると、各種の生理プロセスの効率が低下していくことである。データは機能能力の損失に続く老年期の細胞の死は、分子の酸化障害の蓄積によるとの仮説を支持している。(Harman1956;Stadtman1992;Ames他,1993;Sohal1995).この仮説によれば、酸素は潜在的に毒性の物質であり、その好気性微生物による使用も、当面の生存に必要ではあるが、長期の生存にとって障害となると言う事実に基づいている。分子酸素は超酸化物、過酸化水素、およびヒドロキシ基の前駆物質である。更なる反応に当たって、これらは、マクロ分子に大きな酸化損傷の原因となる反応酸素種を発生させる。過酸化脂質、DNA損傷およびタンパク質炭化は、荒廃的な幾らかの影響をもたらす。老化の過程では、酸化ストレスの量が増加し、これが反応酸素種の発生率の増加、抗酸化防御の減退、または損傷された分子の修復や除去効率の減退の結果となる。(Sohal他,1996年).老化では、ミトコンドリアからのROS(反応酸素種)の生成の増加があり、これが内部のミトコンドリア膜への損傷となる。積極的なフィードバック機構では、これがROSをさらに増大させる結果となる。ハエの中で,より長い生命が期待されるものでは、低率のミトコンドリア超酸化物、過酸化水素の発生、低率のタンパク質酸化損傷、低DNA酸化損傷、より高い作用のSODとカタラーゼ、グルタチオンの増加、多彩な細胞内還元体が示された。異なる種の最大ライフスパンの変化は、その代謝率(酸素消費率)、代謝ポテンシャル(ライフスパンを通じて体重のグラムあたりエネルギー消費の合計)および酸化ストレスの相違に大きく関連する。最高程度の酸化損傷は、長命のポストミトティク細胞から構成される脳、心臓および骨格筋肉等の組織で発生する。これらの組織も、酸化ストレスが示される幾らかの年齢関連の退化現象の対象である。(Davies1995年;Weindruch他,1993年).反応酸素種の生成を最小とする薬剤は保護的なものと予期される。
【0084】
クレアチンキナーゼ皮膚老化と皮膚損傷
クレアチン含有量とクレアチンキナーゼ系の効率は老化とともに減少する。老化といくらかの侵襲の結果は、酸化ストレスとエネルギー危惧 である。酸化損傷と関連する分子の生成率の最小化は、酸化損傷の減少とよく相関する。エネルギー発散効果と結合しているこのような最小化は、老化や侵襲への露出の間、組織への損傷を遅らせる。クレアチンキナーゼを通じて、ATP合成率を修正するクレアチンおよびクレアチン類似体は、エネルギー生成とミトコンドリア機能を保持し、またフリーラジカル生成に対して防護する。このような効果は、老化や皮膚損傷に係わる侵襲に対して積極的なインパクトとなり得る。
【0085】
理論にとらわれなければ、クレアチンキナーゼ作用の調節によって、エネルギー流が調節され、皮膚細胞機能、完全化および残存に影響するものと考えられる。活性化されたエネルギー状態は、酸化損傷を減少し、細胞が老化やUV放射等の老化やつぐ侵襲に耐えることを可能とする。
【0086】
クレアチンは、激しい活動(検討にはWyss and Kaddurah−Daouk 1999を見よ。)、および競技中に筋肉機能を高めるためアスリートによって使用される。いくらかの神経退化疾病の動物モデル中のクレアチンが神経防御成分を有することが示された。(Matthews 他,1988年;Kliveny 他1999年;Matthews 他, 1999年).
クレアチン類似体の摂取によって、リンクレアチン組織プールが、異なる運動および熱力学的成分をもつ合成ホスファゲンに置き換えられる結果を示している。これにより細胞間のエネルギー代謝に適切な変化を与える。これには高エネルギーリン酸塩の総滞留分の増加も含まれる。(Roberts,J.J.およびJ.B.Walker,Arch Biochem.Biophys 220(2):563−571(1983)を参照).リン酸クレアチンプールを低速作用の合成ホスファゲン、例えばクレチン類似体への置き換えは、長期存続のエネルギー源の供与によって神経論的障害に有利となる。一つの類似体であるシクロクレアチン(1−カルボキシメチル−2−アミノイミダゾルダイン)ストレスのある細胞エネルギー流を修正し、細胞作用の場でのATP利用を阻害する。
【0087】
同様にマイクロクラスター水の摂取は、細胞エネルギー代謝を改善することを示した。さらにマイクロクラスター水の局所投与は、MtDNA突然変異率を大きく削減する。
【0088】
スキンケアに有用なクレアチン化合物
本発明に有益なクレアチン化合物には、一つ以上のクレアチンキネーゼ・リン酸クレアチン系の構造上や機能上の組成物を調節する化合物が含まれる。本目的に有効な化合物には、クレアチン、クレアチンリン酸塩、およびその類似体、その作用を類似する化合物、上記に定義するこれらの化合物の塩が含まれる。模範的なクレアチン化合物を以下に記載する:
クレアチン(also known as N−(アミノイミノメチル)−N−メチルグリシン;メチルグリコサミン、またはN−メチル−グアニド酢酸)がよく知られる物質である。(The Merck Index, Eleventh Edition,No.2570(1989)を見よ。
【0089】
シクロクレアチンは、本質的にクレアチンの平面環状類似体である。シクロクレアチンは構造的にクレアチンに類似するが、この二つの化合物は、運動学的にも熱力学的にも識別可能である。シクロクレアチンはクレアチンキナーゼのビトロとビボの前進反応によって、効果的にリン酸エステル化される。Rowley,G.L.,J.Am.Chem.Soc.93:5542−5551 (1971);McLaughlin,A.C.他,J.Biol.Chem.247,4382−4388 (1972).
ホスホレート化合物のホスホシクロクレアチンは、ホスホクレアチンに構造的に類似するが、シクロクレアチンリン酸塩のリン−窒素(P−−N)結合は、ホスホクレアチンのものより安定している。LoPresti,P.およびM.Cohn,Biochem.Biophys.Acta998:317−320(1989);Annesley,T.M.およびJ.B.Walker,J.Biol.Chem.253;8120−8125,(1978);Annesley,T.M.およびJ.B.Walker,Biochem.Biophys.Res.Commun.74:185−190(1977).
グアニジン酢酸塩もクレアチンの他の類似体であり、その生体合成過程でのクレアチンの前駆物質である。グアニジン安息香酸は、構造的にクレアチンに関連する。またアミノ酸をクレアチンに共有的に付着させる化合物は、興味深いクレアチン化合物である。例としてはクレアチンーアスコルベート、およびクレアチンーピルベートがある。他のタイプの分子も共有的に付着させることができる。
【0090】
クレアチン類似体および他の試剤で、クレアチン生物合成酵素の作用やクレアチン輸送体の作用を妨害するものは、年齢関連の損傷の処置や防止の現方法で有用である。このようにこれらの化合物の効果は、機構によって直接または間接の作用となるが、これにはクレアチンの吸尽や生合成、クレアチンリン酸塩移動の機能、酵素作用、関連酵素の作用に影響したり、または反応の速度を変える反応の基盤や産物のレベルを変更するが、これに限るものではない。
【0091】
クレアチンキナーゼ・クレアチンリン酸塩系の構造または機能を、直接または間接的に調節する化合物は、皮膚等の組織への年齢関連の損傷を防護または処置するのに有用である。
【0092】
クレアチンの輸送体、またはクレアチンキナーゼと膜中の他のタンパク質や脂質分子との会合、基盤濃縮クレアチン、およびクレアチンリン酸塩も、皮膚等の組織への年齢関連の損傷を防護または処置するのに有用である。
【0093】
本発明にて有用な化合物は、基体,酵素作用調節剤、またはクレアチンキナーゼの基体類似体であり得る。さらにクレアチンキナーゼとともに活動する酵素の調節剤は、個別に、またはクレアチンキナーゼと結合して、または追加して設計し使用することが可能である。クレアチン化合物と他のサプリメントや薬品との組み合わせを提案する。
【0094】
クレアチンおよびクレアチンリン酸塩の生合成と代謝の通路を、エネルギー生成やクレアチンキナーゼを通じる高エネルギーリン移転を調節する可能性のある化合物の選択と設計で目標とすることができる。
【0095】
特定段階を目指す化合物は、クレアチンまたはその前駆物質との構造的類似体に依存できる。置換、鎖延長、および・または環化重合によってクレアチンとは異なる斬新なクレアチン類似体が設計可能である。多基体酵素の基体が共有的に連鎖可能であり、または異なる基体の部分を類似する類似体が設計可能である。水非溶解ホスホレート類似体も設計可能で、これはATP生成を支持しないでウレアチンリン酸塩を類似する。
【0096】
クレアチン、クレアチンリン酸塩、および多くのクレアチン類似体が市販されている。さらにクレアチンの類似は、従来技術によって合成が可能である。
【0097】
現在市販されているか、また合成されているクレアチン化合物には、以下の通り:例えばクレアチン、b−グアニジノプロピオニック酸、グアニジノ酢酸、クレアチンリン酸二ナトリウム塩、シクロクレアチン、ホモシクロクレアチン、ホスフィンクレアチン、ホモクレアチン、エチルクレアチン、シクロクレアチンリン酸ジリチュム塩、およびグアニジノ酢酸リン酸ジナトリュム塩、4グアニヂジノ安息香酸および誘導体、クレアチンーピルベート、クレアチンーアスコルベート等である。
【0098】
「投与」の用語は、発明による組成物の目的とする機能を許容する投与のルートを含むよう意図されている。
【実施例】
【0099】
非鉱化飲料水の多くは、多段階の浄水処理システムに伴ってフリーラジカル構成要素が生じるため、様々な潜在的変異効果を持つ。細胞遺伝学的手法は、水の潜在的変異効果を評価するアプローチである。このアプローチは、染色体異常の頻度、姉妹染色分体交換(SCE)、および細胞周期期間の判別に基づく。前記手法を使用して、米国市場でAQUA RXTMという商標名を持つマイクロクラスターリサーチ水の細胞遺伝学的効果を検査した。この水は、バイオハイドレーションリサーチラボ(Bio‐Hydration Research Lab、USA)により提供された。マイクロクラスター水は、固有の特性と総溶質(TDS)0.5ppm未満の純度を有するリサーチ水を提供する米国特許6,521,248に基づく多段階プロセスを通じて製造される。最終段階において、医薬品等級酸素を前記の水に加え、出荷用ペットボトルを加圧する。細胞培養液は、RPMI1640(Gibco)粉末を標準脱イオン水‐18Mohm(対照群)またはマイクロクラスター水に溶解して調整した。実験は、標準プロトコルに従って培養したヒトリンパ球を用いて行った。48時間の培養後、染色体異常の頻度を測定するため細胞を固定する。前記SCE頻度を測定する際には、48時間後に5‐BDU(10mg/ml)を細胞培養に加える。80時間培養した後、細胞を固定する。試料調整および染色は、当技術分野で周知の手順に従って行う。実験は、3ドナーそれぞれに対して2度行った。1200の中期有糸分裂を分析して、対照群およびマイクロクラスター水における染色体異常を測定する。
【0100】
実施例1. FALSマウスにおける3−ニトロチロシン/チロシン濃度に対する1%クレアチン補充の効果
酸化的損傷は酸化窒素生成の活性化およびタンパク質のニトロ化を生じるペルオキシ亜硝酸を伴う。前記タンパク質のニトロ化は、チロシンに対する3‐ニトロチロシンの比率を測定することによって判定できる。前記FALSマウスは、家族性ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者に見られるCu/Znスーパーオキシドジスムターゼの突然変異体を発現するトランスジェニック動物である。これらの動物は、段階的な運動ニューロンの喪失、筋力の低下といったALS症状を起こし、135日以内に死亡する。酸化的ストレスが運動ニューロンの死と関連している。3‐ニトロチロシンのレベルは、前記マウスの脊髄において著しく増加する(Ferrante 1997)。G93A変異を持つトランスジェニックマウスおよび同腹子対照群(各グループ8匹)に対し、70日齢時に1%クレアチンを補充した食餌または補充していない食餌を与え、120日齢時に絶命させて、上記のとおり3‐ニトロチロシンを測定した(Ferrante 1997)。クレアチン摂取は、トランスジェニックFALSマウスの下部脊髄において、高レベルの3ニトロチロシン/チロシンを有意に阻害した。
【0101】
実施例2. FALSマウスにおけるサリチル塩酸からその副生成物への変換率で測定される水酸化ラジカル生成に対する1%クレアチン補充の効果
インビボのフリーラジカル生成レベルは、マイクロダイアリシス技術を使用して測定できる(Matthewsら 1998)。ミトコンドリア毒素3‐ニトロプロピオン酸の投与によって、線条体におけるサリチル塩酸から2,3‐DHBAへの変換が著しく増加する。これはCu,ZnSODを過剰発現するマウスでは阻害される(Bogdanovら 1998)。そこで本明細書は、3‐ニトロプロピオン酸(3‐NP)の全身投与により、非補充食餌を与えられたG93Aトランスジェニックマウスにおいて、4‐HBAから3,4‐DHBAへの変換が著しく増加することを示す。1%クレアチンを補充した食餌を与えられたマウスでは、3‐NPの投与後に3,4DHBA/4HBAの著しい増加は見られなかった。これは、クレアチンが老化に伴う損傷に関与する水酸化ラジカルの生成を最小限にできることを示す。
【0102】
実施例3. クレアチンを与えた対照群マウスおよびシクロクレアチンを与えたマウスにおける、マロン酸の線条体内注射後の2,3DHBA、2,5DHBA、および3ニトロチロシン(酸化ストレス指標)の生成
サリチル酸塩水酸化ラジカルトラップ法を使用して、マロン酸注射後の線条体組織における水酸化ラジカルレベルを測定した。各グループ8匹のマウスに、通常の食餌、または1%クレアチンあるいは1%シクロクレアチンを補充した食餌を線条体内注射前の2週間与えた。線条体内注射の直前に、200mg/kgのサリチル酸塩をマウスの腹腔内に注射し、1時間後に絶命させた。次に、線条体を2mm厚に素早くスライスして、冷却した0.1M過塩素酸0.25mlに入れた。続いて試料を超音波で分解し、素早く冷凍した後、解凍して2度遠心分離機にかけた。16‐エレクトロード電気化学検出を用いて、一定分量の上清をHPLCにより分析した(Bealら、1990)。サリチル酸塩、2,3DHBAおよび2,5DHBA、チロシン、3‐ニトロチロシンを、それぞれ840、240、120、600および840mVにおける酸化によって、それぞれ20.5、9.4、6.3、10.5、18.2分の保管期間をもって電気化学的に測定した。サリチル酸塩の脳内濃度を変えるDHBA濃度を標準化するため、2,3DHBAおよび2,5DHBAのサリチル酸塩に対する比率としてデータが示された。同様に、3‐ニトロチロシンレベルをチロシンレベルに標準化した。また、3‐NPに誘起される3‐ニトロチロシンレベルの増加に対する2週間の1%クレアチン補充の効果についても検討した。雄のSprague‐Dawleyラットを投与量20mg/kgの3‐NPで腹腔内処置し、3時間後に絶命させた。各グループ10匹のラットを試験した。線条体をスライスし、冷却した0.1M過塩素酸に入れた。電気化学検出を用いて、3‐ニトロチロシンおよびチロシン濃度をHPLCにより測定した(Matthews 1998)。対応のないStudent検定または一方向ANOVA(分散分析)の後に、事後比較のためのFisher保護最小有意差検定を用いて統計比較を行った。
【0103】
これらの実施例は、クレアチンおよびシクロクレアチンがともに、ミトコンドリア毒性マロン酸を注射した後、サリチル酸塩の派生物である2,3DHBAおよび2,5DHBAレベルの増加を防ぐことができることを示している。これは、クレアチン構成要素が、酸化的ストレスおよびミトコンドリア機能不全に関与する水酸化ラジカルの生成を実際に防ぐことができることを裏付けている。さらにこれらの例は、クレアチンおよびシクロクレアチンが、前記ミトコンドリア毒性マロン酸に誘起されるタンパク質のニトロ化からの保護効果を持つことを示している。酸化窒素およびペルオキシ亜硝酸の生成は、一連の酸化的損傷の一部である。
【0104】
実施例4.
異常中期の頻度は、標準脱イオン水(2.50%)と比較して、マイクロクラスター水(0.92%)において効果的に低い(df=1;x2=8,96;P=0.0028)。細胞あたりの平均SCE数を評価するため、それぞれ300の有糸分裂中期を分析する。マイクロクラスター水をRPMI1640乾燥培地用の溶液として使用した場合、標準脱イオン水(4.01±0.145)よりもSCE数が低い(3.38±0.120)ことが示された(df=598;t=3,311;P=0,000985)。また染色体染色を行って第一、第二、第三有糸分裂の数を数えることにより、細胞周期期間を測定した。細胞培養における平均分裂数は、計算式(sigma・ni/2i‐1)/(sigma ni/2i‐1)を使用して特定した。ここで、iは有糸分裂番号、niはBDU存在下32時間後のi−有糸分裂の細胞数である。細胞周期期間は、32時間を平均分裂数で割って計算する。細胞周期期間は、両者ともに21.2時間であり、文献データと一致する。
【0105】
従って、標準脱イオン水と比較して、マイクロクラスター水は変異効果をもたらさない。得られたデータからマイクロクラスター水は安定効果を持つと考えられ、これにより、標準脱イオン水に比べて姉妹染色分体交換および染色体異常の頻度が低くなる。
【0106】
実施例5.
この例は、マウス腹腔マクロファージの細胞内pHに対するマイクロクラスター水の影響を検討するとともに、前記マイクロクラスター水に短期間および長期間暴露した場合の細胞膜状態を評価する。
【0107】
手順: 再蒸留水およびマイクロクラスター水で調整した標準ラボ培地において15分よび240分培養した後のマクロファージの細胞内pHを測定する。再蒸留水またはマイクロクラスター水のいずれかを用いて調整した標準ラボ培地において最初の15分間のpHi値の反応速度を検討し、15分および240分の培養後、マクロファージ集団の中で損傷細胞膜を持つ細胞数を推測する。
試薬:
フルオレセイン二酢酸(FscDA、Sigma)
臭化エチジウム(EthBr、Sigma)
ハンクス液
標準ラボ粉末培地(標準ラボ培地)
HEPES(Sigma)
再蒸留水(DDW)
マイクロクラスター水
Nigericin(Sigma)
マウス腹腔マクロファージ
マウスを用いてマクロファージ分離を行った。ハンクス液2ml(10mM HEPES,pH7.2)を腹腔に注射した。注射後、マクロファージで強化された液体を腹腔から集めた。EthBrおよびFSCDAを用いた二重染色法により、収集した細胞における細胞膜の完全性を管理した。ハンクス液を使用して、最終細胞濃度106細胞/mlの懸濁液を得た。少量の細胞懸濁液(20ml)をガラス製カバースリップに乗せ、湿室で45分間培養した後、ハンクス液で洗浄して前記ガラス表面に付着した細胞を除去した。細胞懸濁およびカバースリップに関する実験全体でこの方法を用いた。
【0108】
損傷膜を持つ細胞のカウント:
EthBr(5mg/ml)およびFSCDA(5mg/ml)を用いた二重染色法により、損傷細胞膜を持つ細胞を数えた。この方法は、EthBrが損傷膜を持つ細胞に入り、DNAと結合する能力に基づく。EthBrは、DNAと結合すると明るい赤色に蛍光する。FSCDAは培地から細胞に容易に浸透し、明るい緑色に蛍光するフルオレセインに構造転換する。そのため、無傷細胞はフルオレセインを蓄積し、損傷膜を持つ細胞から容易に区別される。この二重染色法の結果、染料を用いた5分間の培養中、無傷細胞は緑色、損傷膜を持つ細胞は赤色に蛍光する。
【0109】
細胞内pHの測定:
蛍光顕微分光法に基づき、LUMAMI3(LOMO、ロシア)型の蛍光顕微鏡を使用して、マクロファージ細胞内pHの測定を行った。この特殊な顕微鏡は、蛍光を励起および放出する修正システムを有する。蛍光励起は、青色(lmax=435nm)フォトダイオードを使用することにより行った。蛍光は、2つの異なる干渉フィルター(l=520nmおよびl=567nm)でそれぞれ同時に測定した。蛍光励起および同期放出は、内蔵マイクロコントローラー(LA‐70M4)を使用して測定した。マクロファージは、pH指示薬FSCDA染料(5mg/ml)を用いて15分間培養した。培養期間後、培地からフリー染料を洗い流した。顕微鏡下の測定は、浸水対物レンズ(x40)を使用して行った。pH較正曲線を使用して、細胞内pHの値を特定した。前記較正曲線は、マクロファージ細胞内pHiに基づいて、比率K=(I520/I570)(ここでI520、I570はそれぞれ520nmおよび570nmにおける蛍光強度)で表される。異なるpHi値を得るため、マクロファージを140мMKCl、1мMCaCl2、0.5мMMgCl2、および20 мMHEPES培地で培養した。細胞内pH値は、6.8−7.6の範囲で変化した。たった3分でOH−をH+に変換する能力を持つイオノフォア抗生物質Nigericine(Sigma)5mg/mlを追加することによって、細胞内pHを培地のpHに調整した。NigericineはK+に対して高い親和性を持つ。この特性により、以下の膜貫通平衡を安定化することができる。ここで、iおよびoにはそれぞれ内部および外部濃度を指定する。従って、細胞内pHは培地の細胞外pHに近づき、細胞内外で同じK+濃度となる。
培養培地:ハンクス液(10мM Hepes)pH7.2;
再蒸留水で調整した10мM Hepes、pH7.2の標準ラボ培地;
マイクロクラスター水で調整した10мM Hepes、pH7.2の標準ラボ培地;
シリーズ1.
細胞をEthBrおよびFSCDAを含む培地で15分間培養した。それらを細胞外培地において丁寧に洗浄した。細胞培地を再蒸留水またはマイクロクラスター水のいずれかで調整した標準ラボ培地と置き換えた。死細胞計数を生成し、顕微鏡下で30回以上観察した。また、両タイプの培地を置き換える実験を3回繰り返した。FSCDA染料を用いて、細胞を15分間培養した後、周囲の細胞培地内のフリー染料から洗い流した。細胞培地を、再蒸留水またはマイクロクラスター水のいずれかで調整した標準ラボ培地と交換した。細胞内pHの反応速度の測定は、少なくとも30回の顕微鏡観察で行い、合計3回繰り返した。
【0110】
シリーズ2.
細胞を再蒸留水またはマイクロクラスター水のいずれかで調整した標準ラボ細胞培地において230分間培養した。その結果、細胞内pHの場合、細胞はFSCDA染料で染色され、死細胞の場合、細胞はEthBrで染色された。定量化測定は上述のとおり、また当技術分野で周知のとおり行った。
【0111】
細胞内pH(delta pHi)は、マイクロクラスター水または再蒸留水を使用して調整した標準ラボ細胞培地において15分、190分、および230分間培養した後、マクロファージ内で変化する。マイクロクラスター水を使用して調整した細胞培地においてマクロファージを230分間培養した結果、pHiが0.43増加した。再蒸留水で調整した培地を使用した場合にも、マクロファージの細胞内pHの統計上著しい増加が見られた。
【0112】
pHの増加は、代謝酸化性物質が失活した結果である。水酸化ラジカルの失活によって水酸化物が形成され、pHが増加する。同様に、他のフリーラジカルおよび酸化性物質の失活によって、pHを高める化学種が生じる。重要なことには、これらフリーラジカルおよび酸化性物質の減少は、ミトコンドリアまたは他の生物学的要素との有害な相互作用を防ぐ。その結果、ミトコンドリアDNA、他のDNA、および細胞膜の突然変異が減少する。フリーラジカル、酸化性物質、およびそれらがもたらす損傷が減少することにより、健康および血液酸素レベルが向上し、効率的に酸素が使用される。また、ミトコンドリアの崩壊および破壊率が減少することで、エネルギーが増大し、それに伴って健康なミトコンドリア集団も増加する。
【0113】
一般に、マイクロクラスター水の血液濃度が増加すると、酸化的損傷が減少する。実際に本発明の水は、ミトコンドリアDNAに対する損傷を削減し、関連エネルギー論において効率性を向上させることによって抗老化効果を提供する。
【0114】
上記の実験結果から、薬用化粧品の構成要素と関連して、一連の酸化的ストレスからの保護における本マイクロクラスター水の重要性が確認された。老化のプロセスには、ミトコンドリアの機能不全および水酸化ラジカル、酸化窒素、およびペルオキシ亜硝酸などの分子生成による酸化的損傷が関与すると考えられている。当実験結果は、マイクロクラスター水が実際に老化プロセスに影響するため、抗老化として適切に表示されることを強く示唆している。
【0115】
本発明は、特定の手段、材料、および実施例を参照してここに記載されているが、本発明は本明細書に開示される事項に限定されることを意図しない。むしろ、本発明は添付の請求項の範囲において、機能的に相当する構造、方法、および使用すべてに及ぶものである。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】図1は、細胞とミトコンドリアへのクレアチン摂取を比較した棒グラフである。
【図2】図2は、ジェルおよびクレアチンと正常細胞のUVA誘発のmtDNA突然変異生成に対する反応を描いたグラフである。
【図3】図3は、慢性酸化的ストレスの周期の図である。
【図4】図4は、皮膚の老化に関する不完全なパワーハウスモデルの図である。
【図5】図5は、マイクロクラスター水(Penta)または実験用の水(a.d.)で作成された媒体で成長した細胞間での変異の数を比較したグラフである。
【図6】図6は、マイクロクラスター水(Penta)または実験用の水(a.d.)で作成された媒体で成長した細胞間で共通する欠失変異の数を比較した一連の棒グラフである。
【図7】図7は、マイクロクラスター水(Penta)または実験用の水(a.d.)で作成された媒体で成長した細胞間で共通する欠失変異の数を比較した一連の棒グラフである。
【図8】図8aおよび8bは、標準培養条件のもとでの細胞内pHへの変化に関する、再蒸留水(「DDW」)とマイクロクラスター水(Micro-cluster)の相違を示すグラフである。
【図9】図9は、標準培養条件のもとでのマクロファージにおける細胞内pHの変化を示す棒グラフである。
【図10】図10は、培養媒体がDDWまたはマイクロクラスター水から作成された標準培養条件のもとでの細胞膜への損傷の傾向における相違の棒グラフである。
【図11】図11は、UVに曝された皮膚と曝されていない皮膚で共通する、mtDNAにおける欠失変異の発生を比較した棒グラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗酸化剤、活力供給物質、回復作用物質、および送達物質を含む医薬化粧品であって、前記抗酸化剤はマイクロクラスター液を含み、前記活力供給物質は浸透圧調節物質を含む、医薬化粧品。
【請求項2】
前記回復作用物質はビタミンである、請求項1に記載の医薬化粧品。
【請求項3】
前記回復作用物質はキレートマトリックス中のミネラルである、請求項1に記載の医薬化粧品。
【請求項4】
前記送達物質は皮膚浸透促進剤である、請求項1に記載の医薬化粧品。
【請求項5】
前記浸透圧調節物質はクレアチン化合物である、請求項1に記載の医薬化粧品。
【請求項6】
日焼け防止物質をさらに含む、請求項1に記載の医薬化粧品。
【請求項7】
前記回復作用物質はコラーゲン増殖を促進する、請求項1に記載の医薬化粧品。
【請求項8】
前記抗酸化剤はフリーラジカル失活作用物質である、請求項1に記載の医薬化粧品。
【請求項9】
前記抗酸化剤はROS失活作用物質である、請求項1に記載の医薬化粧品。
【請求項10】
抗酸化剤、活力供給物質、回復作用物質、および送達物質を含む医薬化粧品の効果的な量の投与を含む、皮膚損傷治療方法であって、前記抗酸化剤はマイクロクラスター液を含み、前記活力供給物質は浸透圧調節物質を含む方法。
【請求項11】
皮膚損傷は、乾癬、老化、不均等な色素沈着、光誘起損傷、感染、脱毛、日焼け、乾燥、皺および身体的損傷を含む群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ミトコンドリアのエネルギー生成が促進される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
微粒子化した日焼け防止物質、およびマイクロクラスター液を含む組成物。
【請求項14】
前記微粒子化した日焼け防止物質は、TiO2、ZnOおよびそれらの混合物を含む群から選択される、無機日焼け防止物質であって、前記マイクロクラスター液は抗老化作用物質である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
浸透圧調節物質をさらに含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
前記抗老化作用物質は有機化合物であり、マイクロクラスター液はマイクロクラスター水である、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
前記有機化合物は、ヒドロキシ酸、フラーレン、コラーゲン、コラーゲン成長促進物質、およびクレアチンを含む群から選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
マイクロクラスター液を含む医薬化粧品。
【請求項19】
前記マイクロクラスター液はマイクロクラスター水である、請求項18に記載の医薬化粧品。
【請求項20】
前記マイクロクラスター水が抗老化である、請求項19に記載の医薬化粧品。
【請求項1】
抗酸化剤、活力供給物質、回復作用物質、および送達物質を含む医薬化粧品であって、前記抗酸化剤はマイクロクラスター液を含み、前記活力供給物質は浸透圧調節物質を含む、医薬化粧品。
【請求項2】
前記回復作用物質はビタミンである、請求項1に記載の医薬化粧品。
【請求項3】
前記回復作用物質はキレートマトリックス中のミネラルである、請求項1に記載の医薬化粧品。
【請求項4】
前記送達物質は皮膚浸透促進剤である、請求項1に記載の医薬化粧品。
【請求項5】
前記浸透圧調節物質はクレアチン化合物である、請求項1に記載の医薬化粧品。
【請求項6】
日焼け防止物質をさらに含む、請求項1に記載の医薬化粧品。
【請求項7】
前記回復作用物質はコラーゲン増殖を促進する、請求項1に記載の医薬化粧品。
【請求項8】
前記抗酸化剤はフリーラジカル失活作用物質である、請求項1に記載の医薬化粧品。
【請求項9】
前記抗酸化剤はROS失活作用物質である、請求項1に記載の医薬化粧品。
【請求項10】
抗酸化剤、活力供給物質、回復作用物質、および送達物質を含む医薬化粧品の効果的な量の投与を含む、皮膚損傷治療方法であって、前記抗酸化剤はマイクロクラスター液を含み、前記活力供給物質は浸透圧調節物質を含む方法。
【請求項11】
皮膚損傷は、乾癬、老化、不均等な色素沈着、光誘起損傷、感染、脱毛、日焼け、乾燥、皺および身体的損傷を含む群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ミトコンドリアのエネルギー生成が促進される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
微粒子化した日焼け防止物質、およびマイクロクラスター液を含む組成物。
【請求項14】
前記微粒子化した日焼け防止物質は、TiO2、ZnOおよびそれらの混合物を含む群から選択される、無機日焼け防止物質であって、前記マイクロクラスター液は抗老化作用物質である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
浸透圧調節物質をさらに含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
前記抗老化作用物質は有機化合物であり、マイクロクラスター液はマイクロクラスター水である、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
前記有機化合物は、ヒドロキシ酸、フラーレン、コラーゲン、コラーゲン成長促進物質、およびクレアチンを含む群から選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
マイクロクラスター液を含む医薬化粧品。
【請求項19】
前記マイクロクラスター液はマイクロクラスター水である、請求項18に記載の医薬化粧品。
【請求項20】
前記マイクロクラスター水が抗老化である、請求項19に記載の医薬化粧品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2008−523106(P2008−523106A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545732(P2007−545732)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/045271
【国際公開番号】WO2006/065920
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(505350145)アクアフォトニクス, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/045271
【国際公開番号】WO2006/065920
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(505350145)アクアフォトニクス, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
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