説明

抗菌剤としてのプレウロムチリン(pleuromutilin)誘導体

式(I)の化合物(式中、RおよびR’は水素または重水素であり;R、RおよびRは水素または重水素であり;Rはアミノ酸の残基であり;XはSまたはN−ALKであり;式(II)はピペリジニルまたはテトラヒドロピリジニルであり;ALKは(C1〜4)アルキルであり;Rは、水素、ヒドロキシまたは(C2〜12)アシルオキシである)、および抗菌剤としてのその使用。
【化45】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬活性(例えば、抗菌活性)を有するプレウロムチリン化合物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0002】
1つの態様において、本発明は下記の式の化合物を提供する:
【0003】
【化7】

式中、
およびR’は水素または重水素であり、
、RおよびRは水素または重水素であり、
はアミノ酸の残基(例えば、バリル残基またはヒスチジニル残基)であり、
XはSまたはN−ALKであり、
【0004】
【化8】

はピペリジニルまたはテトラヒドロピリジニルであり、
ALKは(C1〜4)アルキル(例えば、メチル)あり、かつ
は、水素、ヒドロキシまたは(C2〜12)アシルオキシ(例えば、(C2〜6)アルキルカルボニルオキシ、例えば、−O−CO−CH)であり、
ただし、
【0005】
【化9】

がピペリジニルであり、かつ、XがSである場合、Rは水素以外である。
【0006】
別の態様において、本発明は、
、R’、R、RおよびRが水素であり、
がアミノ酸の残基(例えば、バリル残基またはヒスチジニル残基)であり、
XがSであり、
【0007】
【化10】

がピペリジニルまたはテトラヒドロピリジニルであり、かつ
がヒドロキシである
式Iの化合物を提供する。
【0008】
別の態様において、本発明は、
、R’、R、RおよびRが水素であり、
がアミノ酸の残基(例えば、バリルまたはヒスチジニル)であり、
XがN−ALKであり、
【0009】
【化11】

がピペリジニルであり、
ALKが(C1〜4)アルキル(例えば、メチル)であり、かつ
がヒドロキシである
式Iの化合物を提供する。
【0010】
別の態様において、本発明は、
・14−O−[4−ヒドロキシ−N−バリル−ピペリジン−3−イル]スルファニルアセチルムチリン、例えば、塩酸塩の形態にある14−O−[4−ヒドロキシ−N−(R)−バリル−ピペリジン−3−イル]スルファニルアセチルムチリンなど、
・14−O−[3−ヒドロキシ−N−バリル−ピペリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリン、例えば、塩酸塩の形態にある14−O−[3−ヒドロキシ−N−(R)−バリル−ピペリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリンなど、
・14−O−[3−ヒドロキシ−N−ヒスチジニル−ピペリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリン、例えば、二塩酸塩の形態にある14−O−[3−ヒドロキシ−N−(R)−ヒスチジニル−ピペリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリンなど、
・14−O−[3−ヒドロキシ−N−バリル−ピペリジン−4−イル]メチルアミノアセチルムチリン、例えば、二塩酸塩の形態にある14−O−[3−ヒドロキシ−N−(R)−バリル−ピペリジン−4−イル]メチルアミノアセチルムチリンなど、
・14−O−[4−ヒドロキシ−N−バリル−ピペリジン−3−イル]メチルアミノアセチルムチリン、例えば、二塩酸塩の形態にある14−O−[4−ヒドロキシ−N−(R)−バリル−ピペリジン−3−イル]メチルアミノアセチルムチリンなど、
・14−O−[N−バリル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−3−イル]スルファニルアセチルムチリン、例えば、14−O−[N−(R)−バリル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−3−イル]スルファニルアセチルムチリンなど、および
・14−O−[N−バリル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリン、例えば、14−O−[N−(R)−バリル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリンなど
からなる群から選択される式Iの化合物を提供する。
【0011】
式Iの化合物は、官能基(例えば、アミノ基)が保護されている式Iの化合物から保護基を分離することによって調製することができる。従って、そのような化合物は、式Iの化合物を製造する際の中間体として有用であり得るか、または薬学的に活性であり得る。
【0012】
別の態様において、本発明は下記の式の化合物を提供する:
【0013】
【化12】

式中、
およびR’は水素または重水素であり、
、RおよびRは水素または重水素であり、
は、保護基(例えば、BOC)、または、アミノ基が保護されているアミノ酸の残基(例えば、N−BOC保護のバリルまたはヒスチジニル)であり、
XはSまたはN−ALKであり、
【0014】
【化13】

はピペリジニルまたはテトラヒドロピリジニルであり、
ALKは(C1〜4)アルキル(例えば、メチル)であり、かつ
は、水素、ヒドロキシまたは(C2〜12)アシルオキシ(例えば、(C2〜6)アルキルカルボニルオキシ、例えば、−O−CO−CH)であり、
ただし、
【0015】
【化14】

がピペリジニルであり、かつ、XがSである場合、Rは水素以外である。
【0016】
本明細書中で使用されるBOCはtert.ブトキシカルボニルである。
【0017】
別の態様において、本発明は、
、R’、R、RおよびRが水素であり、
が、tert.ブトキシカルボニル、または、アミノ基がtert.ブトキシカルボニルによって保護されているアミノ酸の残基(例えば、N−BOC保護のバリルまたはヒスチジニル)であり、
XがSまたはN−ALKであり、
【0018】
【化15】

がピペリジニルまたはテトラヒドロピリジニルであり、
ALKが(C1〜4)アルキル(例えば、メチル)であり、かつ
が、水素、ヒドロキシまたはアセトキシであり、
ただし、
【0019】
【化16】

がピペリジニルであり、かつ、XがSである場合、Rが水素以外である
式IIの化合物を提供する。
【0020】
保護基には、所望される場合には、例えば、選択的に除去され得る保護基が含まれ、また、化学(例えば、(プレウロ)ムチリン化学)において通常的である保護基、好ましくは、BOCが含まれ、そのようなBOCは、例えば、エーテル性HClを用いた処理によって除去することができる。
【0021】
別の態様において、本発明は、
・14−O−[N−BOC−4−ヒドロキシ−ピペリジン−3−イル]スルファニルアセチルムチリン、
・14−O−[N−BOC−3−ヒドロキシ−ピペリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリン、
・14−O−[4−ヒドロキシ−N−BOC−ピペリジン−3−イル]メチルアミノアセチルムチリン、
・14−O−[3−ヒドロキシ−N−BOC−ピペリジン−4−イル]メチルアミノアセチルムチリン、
・14−O−[N−BOC−1,4,5,6−テトラヒドロピリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリン、例えば、14−O−[N−BOC−1,4,5,6−テトラヒドロピリジン−4(R)−イル]スルファニルアセチルムチリンおよび14−O−[N−BOC−1,4,5,6−テトラヒドロピリジン−4(S)−イル]スルファニルアセチルムチリンなど、
・14−O−[4−ヒドロキシ−N−(N−BOC−バリル)−ピペリジン−3−イル]スルファニルアセチルムチリン、例えば、塩酸塩の形態にある14−O−[4−ヒドロキシ−N−(N−BOC−(R)−バリル)−ピペリジン−3−イル]スルファニルアセチルムチリンなど、
・14−O−[3−ヒドロキシ−N−(N−BOC−バリル)−ピペリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリン、例えば、塩酸塩の形態にある14−O−[3−ヒドロキシ−N−(N−BOC−(R)−バリル)−ピペリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリンなど、
・14−O−[4−アセトキシ−N−(N−BOC−バリル)−ピペリジン−3−イル]スルファニルアセチルムチリン、例えば、塩酸塩の形態にある14−O−[4−アセトキシ−N−(N−BOC−(R)−バリル)−ピペリジン−3−イル]スルファニルアセチルムチリンなど、
・14−O−[3−アセトキシ−N−(N−BOC−バリル)−ピペリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリン、例えば、塩酸塩の形態にある14−O−[3−アセトキシ−N−(N−BOC−(R)−バリル)−ピペリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリンなど、
・14−O−[3−ヒドロキシ−N−(N−BOC−ヒスチジニル)−ピペリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリン、例えば、二塩酸塩の形態にある14−O−[3−ヒドロキシ−N−(N−BOC−(R)−ヒスチジニル)−ピペリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリンなど、
・14−O−[3−ヒドロキシ−N−(N−BOC)−バリル−ピペリジン−4−イル]メチルアミノアセチルムチリン、例えば、二塩酸塩の形態にある14−O−[3−ヒドロキシ−N−(N−BOC)−(R)−バリル−ピペリジン−4−イル]メチルアミノアセチルムチリンなど、
・14−O−[4−ヒドロキシ−N−(N−BOC)−バリル−ピペリジン−3−イル]メチルアミノアセチルムチリン、例えば、二塩酸塩の形態にある14−O−[4−ヒドロキシ−N−(N−BOC)−(R)−バリル−ピペリジン−3−イル]メチルアミノアセチルムチリンなど、
・14−O−[N−(N−BOC−バリル)−1,4,5,6−テトラヒドロピリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリン、例えば、14−O−[N−(N−BOC−(R)−バリル)−1,4,5,6−テトラヒドロピリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリンなど、
・14−O−[N−(N−BOC−バリル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−3−イル]スルファニルアセチルムチリン、例えば、14−O−[N−(N−BOC−(R)−バリル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−3−イル]スルファニルアセチルムチリンなど
からなる群から選択される式IIの化合物を提供する。
【0022】
式Iまたは式IIの化合物において、基Xは、ピペリジン環またはテトラヒドロピリジン環に、1位を除く任意の位置で、例えば、2位、3位、4位、5位または6位で、好ましくは3位または4位で結合することができる。式Iまたは式IIの化合物において、基l、Rまたは基Rはそれぞれ、ピペリジン環またはテトラヒドロピリジン環の、1位を除く任意の位置に、例えば、2位、3位、4位、5位または6位に、好ましくは3位または4位に存在することができる。Rは好ましくは、2位または6位に存在するとき、アルキルであり、例えば、(C1〜20)アルキルである。式Iまたは式IIの化合物の好ましい群において、基Xは3位または4位に存在し、Rまたは基Rはそれぞれ3位または4位に存在する。
【0023】
式Iまたは式IIの化合物において、個々の置換基は、好ましい置換基にすることができ、例えば、互いに独立して、定義された置換基にすることができる。
【0024】
本明細書中で使用される「(N−保護)アミノ酸の残基」は、式Iまたは式IIの化合物において、前記(保護)アミノ酸のカルボニル基が、下記の式の基:
【0025】
【化17】

の窒素に結合し、前記アミノ酸機能の−OH基が失われていること、すなわち、環のNがアミノ酸のカルボン酸基によってアシル化されていることを意味する。好ましくは、(N−保護)アミノ酸の残基は、(N−保護)α−アミノ酸(例えば、天然に存在するα−アミノ酸)の残基であり、例えば、(N−保護)バリルまたは(N−保護)ヒスチジニルであり、好ましくは(N−保護)−R−バリルである。
【0026】
本発明によって提供される化合物(例えば、式Iまたは式IIの化合物)は、以降、「本発明の化合物(または本発明による化合物)」として示される。本発明の化合物には、任意の形態の化合物、例えば、フリー形態、塩の形態、溶媒和物の形態、および、塩で、溶媒和物の形態にある化合物が含まれる。式IIの化合物は、式Iの化合物を調製する際の有用な中間体である。しかしながら、式IIの化合物もまた、例えば、式Iの化合物の医薬活性に類似する医薬活性を示す場合がある。
【0027】
別の態様において、本発明は、塩の形態にある式Iまたは式IIの化合物を提供する。
【0028】
そのような塩には、好ましくは、薬学的に許容し得る塩が含まれる。だが、薬学的に許容し得ない塩が、例えば、調製/単離/精製目的のために含まれる。
【0029】
本発明の化合物の塩には、酸付加塩が含まれる。酸付加塩には、式Iまたは式IIの化合物と、酸(例えば、水素フマル酸、フマル酸、ナフタリン−1,5−スルホン酸、塩酸、塩化重水素酸など;例えば、塩酸または塩化重水素酸、好ましくは塩酸)との塩が含まれる。本発明の化合物は、塩の形態にある対応する化合物に変換することができ、また、その逆も可能である。フリー形態または塩の形態で、溶媒和物の形態にある本発明の化合物は、非溶媒和形態でのフリー形態または塩の形態にある対応する化合物に変換することができ、また、その逆も可能である。
【0030】
本発明の化合物は、純粋な異性体またはその混合物の形態で、例えば、光学異性体、ジアステレオ異性体、シス/トランス配座異性体の形態で存在し得る。本発明の化合物は、例えば、不斉炭素原子を含む場合があり、従って、エナンチオマーまたはジアステレオ異性体およびその混合物(例えば、ラセミ化合物)の形態で存在し得る。任意の不斉炭素原子、例えば、RおよびXが結合している不斉炭素原子は、(R)立体配置または(S)立体配置または(R,S)立体配置で、好ましくは(R)立体配置または(S)立体配置で存在し得る。例えば、式Iまたは式IIの化合物において基Xを介してピペリジン環に結合している基は(R)立体配置であり得るか、または(S)立体配置であり得るか、またはその混合物の形態であり得る。例えば、アミノ酸残基(例えば、バリル残基またはヒスチジニル残基)のアミン基は、ピペリジン環の窒素原子をアシル化しているとき、(S)立体配置であり得るか、または(R)立体配置であり得るか、またはその混合物の形態であり得る。異性体混合物は、純粋な異性体を得るために、例えば、従来通りの方法に従って、適するように分離することができる。本発明は、本発明の化合物を任意の異性体形態および任意の異性体混合物で包含する。本発明はまた、互変異性体が存在し得る場合、式Iまたは式IIの互変異性体を包含する。好ましくは、本発明の化合物のムチリン環における立体配置は、自然界で産生されるムチリンの場合と同じである。
【0031】
異性体混合物は、純粋な異性体を得るために、例えば、従来通りの方法に従って、例えば、従来通りの方法と同様にして、適するように分離することができる。
【0032】
別の態様において、本発明は、下記の工程を含む、式Iまたは式IIの化合物を製造するための方法を提供する:
A)式Iまたは式IIの化合物を製造する場合で、
【0033】
【化18】

がピペリジニルであり、かつ、それ以外の残基が上記で定義された通りである場合、
a)下記の式の化合物:
【0034】
【化19】

または下記の式の化合物:
【0035】
【化20】

(式中、Protは保護基(例えば、BOC)であり、X’は−SHまたは−NH−ALKであり、R、RおよびALKは上記で定義された通りである)
を、22−O−トシル−プレウロムチリンおよびtert.But−OKと反応させて、式IIの化合物(式中、Rは保護基(例えば、BOC)であり、それ以外の残基は上記で定義された通りである)を得る工程、
b)工程a)で得られた化合物におけるピペリジン環の窒素基を、例えば、エーテル性HClの使用によって脱保護して、式Iの化合物(式中、Rは水素であり、それ以外の残基は上記で定義された通りである)を得る工程、
c)工程b)で得られた化合物を、アミノ保護(例えば、BOC保護)のアミノ酸(例えば、バリンまたはヒスチジン)と反応させて、式IIの化合物(式中、Rは保護アミノ酸の残基(例えば、保護バリンまたは保護ヒスチジン、好ましくはBOC保護のバリンまたはヒスチジン)であり、それ以外の残基は上記で定義された通りである)を得る工程、
d)工程c)で得られた化合物のアミノ酸残基のアミノ基を脱保護して、式Iの化合物(式中、Rはアミノ酸の残基(例えば、バリルまたはヒスチジニル)である)を、例えば、塩酸塩などの塩の形態で得る工程、
e)場合により、重水素を工程d)で得られた式Iの化合物に導入して、式Iの化合物(式中、R、RおよびRが重水素であり、R、R’およびRは上記で定義された通りである)を得る工程、
B)式Iまたは式IIの化合物を製造する場合で、
【0036】
【化21】

がテトラヒドロピリジニルである場合、
B1)テトラヒドロピリジニルが1,2,3,6−テトラヒドロピリジニルであるとき、
a)下記の式の化合物:
【0037】
【化22】

(式中、Prot’は保護基または保護アミノ酸の残基[例えば、保護アミノ酸の残基は上記で定義された通りである]のいずれかであり、Prot”は保護基(例えば、−CO−CH)である)
をDBUの存在下で反応させて、下記の式の化合物:
【0038】
【化23】

(式中、Prot’およびProt”は上記で定義された通りである)
を得る工程、
b)保護基Prot”を式Vの化合物から除去して、下記の式の化合物:
【0039】
【化24】

(式中、Prot’は上記で定義された通りである)
を得る工程、
c)式VIの化合物におけるヒドロキシ基をメシルクロリドと反応させ、得られたメシラートをチアプレウロムチリンまたはNH−アルキル−プレウロムチリンと反応させて、式IIの化合物(式中、
【0040】
【化25】

は1,2,3,6−テトラヒドロピリジニルであり、それ以外の残基は上記で定義された通りである)
を得る工程、および
d)Prot’が保護基であるならば、保護しているProt’を除去して、式Iの化合物(式中、
【0041】
【化26】

は1,2,3,6−テトラヒドロピリジニルであり、Rは水素であり、それ以外の残基は上記で定義された通りである)
を得る工程、または、Prot’が保護アミノ酸の残基であるならば、保護基を保護アミノ酸の残基から除去して、式Iの化合物(式中、
【0042】
【化27】

は1,2,3,6−テトラヒドロピリジニルであり、Rはアミノ酸の残基であり、それ以外の残基は上記で定義された通りである)
を得る工程、
B2)テトラヒドロピリジニルが1,4,5,6−テトラヒドロピリジニルであるとき、
a)下記の式の化合物:
【0043】
【化28】

(式中、X’およびProt’は上記で定義された通りである)
を、n−ブチルリチウムの存在下で22−O−トシルプレウロムチリンと反応させて、式IIの化合物(式中、
【0044】
【化29】

は1,4,5,6−テトラヒドロピリジニルであり、RはProt’[Prot’ は上記で定義された通りである]であり、それ以外の残基は上記で定義された通りである)
を得る工程、および
b)Prot’が保護基であるならば、保護しているProt’を除去して、式Iの化合物(式中、
【0045】
【化30】

は1,4,5,6−テトラヒドロピリジニルであり、Rは水素であり、それ以外の残基は上記で定義された通りである)
を得る工程、または、Prot’が保護アミノ酸の残基であるならば、保護基を保護アミノ酸の残基から除去して、式Iの化合物(式中、
【0046】
【化31】

は1,4,5,6−テトラヒドロピリジニルであり、Rはアミノ酸の残基であり、それ以外の残基は上記で定義された通りである)
を得る工程。
【0047】
本発明の別の好ましい態様において、式IIの化合物、および、結果として、例えば、本発明の工程b)から工程f)に従って、式Iの化合物(式中、
【0048】
【化32】

はピペリジニルであり、XはSであり、Rは水素である)
は、下記の式の化合物:
【0049】
【化33】

をチアプレウロムチリンおよびAlと反応させて、式IIの化合物(式中、Rは保護基(例えば、BOC)である)の混合物を得ることによって得ることができ、この場合、混合物の化合物の一方において、ヒドロキシ基がピペリジン環の3位に存在し、チアプレウロムチリンのイオウ基がピペリジン環の4位に存在し、混合物のもう一方の化合物において、ヒドロキシ基がピペリジン環の4位に存在し、チアプレウロムチリンのイオウ基がピペリジン環の3位に存在する。そのような位置異性体混合物は、
・式IIの純粋な化合物を得るために分離することができる(この場合、式IIのそのような純粋な化合物は、式Iの純粋な化合物を得るために本発明の工程b)から工程f)に従ってさらに処理することができる);または
・式IIの化合物の位置異性体混合物は本発明の工程b)から工程f)に従ってさらに処理して、式Iの化合物の対応する位置異性体の混合物にすることができ、そのような混合物は、式Iの純粋な化合物を得るために分離することができる。
【0050】
位置異性体の分離は、例えば、クロマトグラフィーによって、適するように行うことができる。
【0051】
本発明の工程A)c)において、アミノ酸が(R)形態で使用される場合(例えば、(R)−バリン、(R)−ヒスチジンが使用される場合)、ピペリジン環の窒素原子に結合している(保護)アミノ酸基のアミノ基が(R)配置である式Iまたは式IIの化合物が得られる。また、本発明の工程A)c)において、アミノ酸が(S)形態で使用される場合(例えば、(S)−バリン、(S)−ヒスチジンが使用される場合)、ピペリジン環の窒素原子に結合している(保護)アミノ酸基のアミノ基が(S)配置である式Iまたは式IIの化合物が得られる。
【0052】
製造法における保護基には、適切な保護基、例えば、有機化学(例えば、(プロイロ)ムチリン化学)において有用な保護基、例えば、従来通りの保護基(例えば、BOCまたは−CO−CHなど)が含まれる。
【0053】
式Iまたは式IIの化合物(例えば、塩の形態にある化合物)における水素原子の重水素原子による置換を適するように行うことができ、例えば、従来通りの方法に従って、例えば、または、本明細書中に記載される方法に従って、例えば、式Iまたは式IIの化合物を適切な溶媒(系)において塩化重水素酸(DCl)で処理し、式Iまたは式IIの化合物を、例えば、塩の形態(この場合、水素原子が、例えば、R、RおよびRの意味において、重水素原子によって置換されている)で単離することによって行うことができる。RおよびR’が重水素原子である式Iまたは式IIの化合物の製造は、例えば、従来通りの方法に従って、例えば、知られている化合物である下記の式の化合物:
【0054】
【化34】

(式中、ともに水素であるRおよびR’を有する炭素原子は、一緒になって二重結合を形成し、R、RおよびRは水素である)
を重水素で処理して、式IXの化合物(式中、RおよびR’が重水素であり、R、RおよびRは水素である)を得ること;式IXの化合物(式中、RおよびR’が重水素であり、R、RおよびRは水素である)を、例えば、従来通りの方法に従って、適するようにさらに反応して、式Iまたは式IIの化合物(式中、RおよびR’は重水素であり、R、RおよびRは水素である)を得ることによって行うことができる。Rは、重水素付加によって化学的に影響されない残基であり、例えば、−CO−CHOHである。
【0055】
式Iの化合物の調製における中間体には、式III、式III’、式IV、式V、式IV、式VII、式VIIIまたは式IXの化合物が含まれ、そのような中間体は知られているか、または、従来通りの方法に従って得ることができる。本明細書中に記載されている化合物はどれも、従来通りの方法または本明細書中に記載されるような方法に従って、例えば、従来通りの方法または本明細書中に記載されるような方法と同様にして製造することができる。
【0056】
本発明の化合物は、例えば、式Iの化合物を含めて、薬理学的な活性を示し、従って、医薬品として有用である。式IIの化合物は、式Iの化合物の調製における有用な中間体であり得るが、しかしながら、式IIの化合物もまた、例えば、式Iの化合物の薬理学的活性と類似する薬理学的活性を示す場合がある。
【0057】
例えば、本発明の活性な化合物(例えば、および式IIの化合物)は、抗菌活性(例えば、抗細菌活性)を、グラム陽性細菌およびグラム陰性細菌に対して、例えば、大腸菌などのグラム陰性細菌、ならびに、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、さらには化膿連鎖球菌(Streptococcus pyrogenes)および肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、各種マイコプラスマ、クラミジア、ヘリコバクター(Helicobacter)spec.、および、絶対嫌気性生物、例えば、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)などのグラム陽性細菌に対して、National Commitee for Clinical Laboratory Standards(NCCLS)(1997年12月、M7−A4、第17巻、第2号:「嫌気的に増殖する細菌に対する希釈抗菌剤感受性試験のための方法−第4版、承認された標準」)に従った寒天希釈試験または微量希釈試験におけるインビトロで、また、例えば、マウスにおける全身感染におけるインビボで示す。本発明の活性な化合物は、驚くほどの全般的な活性スペクトルを示す。
【0058】
別の態様において、本発明は、医薬品として、好ましくは、抗生物質などの抗菌剤として使用される、例えば、式Iの化合物または式IIの化合物を提供する。
【0059】
薬学的に使用される場合、本発明の化合物は、1つまたは複数(好ましくは1つ)の本発明の化合物、例えば、2つ以上の本発明の化合物の組合せを含む。
【0060】
さらなる態様において、本発明は、微生物疾患、例えば、細菌(例えば、黄色ブドウ球菌、化膿連鎖球菌、肺炎連鎖球菌、各種マイコプラスマ、クラミジア(例えば、トラコーマクラミジア(C.trachomatis)および肺炎クラミジア(C.pneumoniae))、ならびに絶対嫌気性生物から選択される細菌、例えば、ペニシリン耐性株または多剤耐性株を含む細菌(例えば、肺炎連鎖球菌のそのような耐性株);例えば、バンコマイシン耐性株を含む細菌(例えば、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)のそのような耐性株);および、例えば、メチシリン耐性株を含む細菌(例えば、黄色ブドウ球菌のそのような耐性株)、およびヘリコバクターspec.(例えば、H.pylori))によって媒介される疾患を処置するための医薬品(例えば、医薬組成物)を製造するための本発明の化合物(例えば、式Iの化合物、または、例えば、式IIの化合物)の使用を提供する。
【0061】
別の態様において、本発明は、微生物感染を処置するための医薬品を調製する際に使用される本発明の化合物または本発明の医薬組成物を提供する。
【0062】
さらなる態様において、本発明は、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物、または、例えば、式IIの化合物)の効果的な量を、例えば、医薬組成物の形態で、そのような処置を必要としている対象に投与することを含む、微生物疾患を処置する方法を提供する。
【0063】
処置には、処置および予防が含まれる。
【0064】
抗微生物処置の場合、適切な投薬量は、当然のことではあるが、例えば、用いられる本発明の化合物の化学的性質および薬物動態学的データ、個々の宿主、投与様式、ならびに処置されている対象の性質および重篤度に依存して変化する。しかしながら、一般には、大型哺乳動物(例えば、ヒト)において満足すべき結果を得るためには、適応される1日投薬量は、本発明の化合物が、例えば、1日に4回までの分割された用量で都合よく投与される約0.1gから3g(例えば、0.00125g/kgから0.0375g/kg)の範囲である。
【0065】
本発明の化合物は、任意の好都合な経路によって、例えば、経腸投与(これには、例えば、鼻腔投与、口内投与、直腸投与、経口投与が含まれる)、非経口投与(これには、例えば、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与が含まれる)、または局所的投与(これには、例えば、上表皮(epicutaneous)投与、鼻腔内投与、気管内投与が含まれる)によって、例えば、被覆または非被覆の錠剤、カプセル、注射用の溶液または懸濁物の形態で、例えば、アンプル剤、バイアル剤の形態で、クリーム、ゲル、ペースト、吸入器粉末剤、発泡剤、チンキ剤、リップスティック、滴剤、スプレー剤の形態で、あるいは、坐薬の形態で、例えば、マクロライド(例えば、クラリスロマイシンおよびアジスロマイシンなど)と類似する様式で投与することができる。
【0066】
本発明の化合物は、薬学的に許容し得る塩(例えば、酸付加塩または金属塩)の形態で投与することができ、あるいは、フリー形態で投与することができ、場合により、溶媒和物の形態で投与することができる。塩の形態にある本発明の化合物は、フリー形態にある本発明の化合物と、場合により、溶媒和物の形態にある本発明の化合物と同程度の活性を示す。
【0067】
本発明の化合物は、本発明による薬学的処置のために、単独で、または、1つもしくは複数の他の薬学的に活性な薬剤との組合せで使用することができる。そのような他の薬学的に活性な薬剤には、例えば、他の抗生物質が含まれる。組合せには、2つ以上の薬学的に活性な薬剤が同じ配合物に存在する定型の組合せ;別個の配合物における2つ以上の薬学的に活性な薬剤が、例えば、同時投与のための説明書とともに同じ包装物で販売されるキット;および、薬学的に活性な薬剤が別個にパッケージされ、しかし、同時投与または連続投与のための説明書が添えられていない自由な組合せが含まれる。
【0068】
別の態様において、本発明は、フリーの形態または薬学的に許容し得る塩の形態で、例えば、かつ/または溶媒和物の形態にある本発明の化合物(例えば、式Iの化合物、または、例えば、式IIの化合物)を、少なくとも1つの医薬用賦形剤(例えば、キャリアまたは希釈剤;これらには、例えば、充填剤(フイラー)、結合剤(バインダー)、崩壊剤、流動調整剤、滑剤、糖および甘味剤、香料、保存剤、安定化剤、湿潤化剤および/または乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調節するための塩、および/または緩衝剤が含まれる)と一緒に含む医薬組成物を提供する。
【0069】
別の態様において、本発明は、別の薬学的に活性な薬剤をさらに含む本発明による医薬組成物を提供する。
【0070】
そのような医薬組成物は、従来通りの方法に従って、例えば、従来通りの方法と同様にして、例えば、混合、造粒、被覆、溶解または凍結乾燥の様々なプロセスによって製造することができる。
【0071】
単位投薬形態物は、例えば、約0.5mgから約1500mg(例えば、1mgから約500mgなど、例えば、1mgから約100mg)を含有することができる。
【0072】
本発明の化合物はさらに、例えば、動物(例えば、家禽、ブタおよびウシなど)における微生物疾患(例えば、細菌疾患)の予防および処置において、および、人工授精および卵浸漬技術のための流体を希釈するために、獣医学的な薬剤(例えば、獣医学的に活性な化合物)として好適である。
【0073】
別の態様において、本発明は、獣医学的な薬剤として使用される、例えば、式Iの化合物または式IIの化合物を提供する。
【0074】
さらなる態様において、本発明は、獣医学的な薬剤として有用である獣医学的組成物を調製するための、例えば、式Iの化合物または式IIの化合物を提供する。
【0075】
別の態様において、本発明は、効果的な量の、例えば、式Iの化合物または式IIの化合物を、例えば、獣医学的組成物の形態で、そのような処置を必要としている対象に投与することを含む、微生物疾患(例えば、細菌疾患)を予防するための方法および処置する方法を提供する。
【0076】
本発明の活性な化合物が獣医学的な薬剤として使用される場合、投薬量は、当然のことではあるが、動物の大きさおよび年齢、ならびに所望される効果に依存して変化する。例えば、予防的処置のためには、比較的低い用量が、より長い期間にわたって、例えば、1週間から3週間にわたって投与される。好ましい投薬量は、飲料水では、0.0125g/mlから0.05g/mlであり、特に0.0125g/mlから0.025g/mlであり、食物では、20g/メートルトンから400g/メートルトンであり、好ましくは20g/メートルトンから200g/メートルトンである。本発明の活性な化合物を、飲料水で雌鶏に対して、食物でブタに対して、また、例えば、経口調製物もしくは非経口調製物の形態で経口投与もしくは非経口投与によりウシに対して、獣医学的な薬剤として投与することは好ましい。
【0077】
別の態様において、本発明は下記の式の化合物を提供する:
【0078】
【化35】

式中、
1P2およびR’1P2は水素または重水素であり、
2P2、R3P2およびR4P2は水素または重水素であり、かつ
5P2は水素またはアミノ酸の残基である。
【0079】
別の態様において、本発明は下記の式の化合物を提供する:
【0080】
【化36】

式中、
1P3およびR’1P3は水素または重水素であり、
2P3、R3P3およびR4P3は水素または重水素であり、かつ
5P3は水素またはアミノ酸の残基であり、
XはSまたはN−ALKであり、
点線の一方は結合であり、もう一方は結合ではなく、あるいは、点線の一方は、2位、3位、4位、5位または6位でピペリジン環に結合している基−OAcであり、もう一方の点線は結合ではなく、
ALKは(C1〜4)アルキル(例えば、メチル)であり、かつ
Acは水素または(C2〜12)アシル(例えば、基−CO−CH)であり、
ただし、XがSであり、点線の一方が基OAcであり、もう一方の点線が結合ではない場合、Acは水素以外である。
【0081】
下記の実施例において、温度はすべてが摂氏度(℃)であり、未補正である。
【0082】
下記の略号が使用される:
BOC tert.ブチルオキシカルボニル
DBU 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(1,5−5)
Diast. ジアステレオ異性体の混合物
EDC N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド
EE 酢酸エチル
EtOH エタノール
EX 例
HOBT ヒドロキシベンゾトリアゾール
RT 室温
THF テトラヒドロフラン
TBAF テトラブチルアンモニウムフルオリド
tert.But−OK tert.ブトキシドカリウム
H−NMRデータは、別途示されない場合、CDCl中で測定されている。
【0083】
バリルおよびN−BOC−バリルは下記の式の基である:
【0084】
【化37】

【0085】
ヒスチジニルおよびN−BOC−ヒスチジニルは下記の式の基である:
【0086】
【化38】

【0087】
N−BOC−3,4−エポキシ−ピペリジンは下記の式の化合物である:
【0088】
【化39】

【0089】
プレウロムチリンは下記の式の化合物である:
【0090】
【化40】

【0091】
下記の式の基:
【0092】
【化41】

は、基−CO−CHOHを失っている式プレウロムチリンの基である。
【0093】
チアプレウロムチリンは下記の式の化合物である:
【0094】
【化42】

【0095】
22−O−トシルプレウロムチリンは下記の式の化合物である:
【0096】
【化43】

(式中、Tosはトシル基である)。
【0097】
NH−アルキル−プレウロムチリンは下記の式の化合物である。
【実施例1】
【0098】
14−O−[N−BOC−4−ヒドロキシ−ピペリジン−3−イル]スルファニルアセチルムチリンおよび14−O−[N−BOC−3−ヒドロキシ−ピペリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリン
40gの(自然)活性化AlをTHFで湿らして、5mlのTHFにおける1.576gのチアプレウロムチリンで処理し、得られる混合物に、0.398gのN−BOC−3,4−エポキシ−ピペリジンを3mlのTHFに溶解して加える。得られる混合物からAlをろ過により除き、得られるろ液から溶媒をエバポレーションして除く。14−O−[N−BOC−4−ヒドロキシ−ピペリジン−3−イル]スルファニルアセチルムチリンおよび14−O−[N−BOC−3−ヒドロキシ−ピペリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリンの混合物を含むエバポレーション残渣をクロマトグラフィーに供する。14−O−[N−BOC−3−ヒドロキシ−ピペリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリンおよび14−O−[N−BOC−4−ヒドロキシ−ピペリジン−3−イル]スルファニルアセチルムチリンが得られる。14−O−[N−BOC−3−ヒドロキシ−ピペリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリンはまた、10mlのTHFにおける0.466gのN−BOC−3−ヒドロキシ−4−メルカプトピペリジンを20mlのTHFにおける0.224gのtert.But−OKと反応させ、得られた混合物に、1.064gの22−O−トシルプレウロムチリンを5mlのTHFに含む溶液を加え、得られる混合物に、RTで撹拌しながら1mlの2−ブタノンを滴下して加え、クロマトグラフィー精製に供することによって得られる。
【実施例2】
【0099】
14−O−[4−ヒドロキシ−N−(N−BOC−バリル−ピぺリジン−3−イル)スルファニルアセチルムチリン
1.5mmolの14−O−[4−ヒドロキシ−ピぺリジン−3−イル)スルファニルアセチルムチリンを5mlのCHClに溶解して、1.5mmolのHOBT、1mmolの(R)−BOC−バリンおよび1.5mmolのEDCで処理し、RTで撹拌する。得られる混合物から溶媒をエバポレーションし、得られるエバポレーション残渣をEEと混合し、得られる混合物を0.1NのHClおよび飽和NaHCO水溶液で抽出する。得られる有機相を乾燥し、溶媒をエバポレーションする。14−O−[4−ヒドロキシ−N−(N−BOC−(R)−バリル−ピぺリジン−3−イル)スルファニルアセチルムチリンが得られる。
【実施例3】
【0100】
14−O−[4−ヒドロキシ−N−(R)−バリル−ピぺリジン−3−イル)スルファニルアセチルムチリン
1mmolの14−O−[4−ヒドロキシ−N−(N−BOC−(R)−バリル−ピぺリジン−3−イル)スルファニルアセチルムチリンを含む5mlから8mlのCHClを1mlから2mlのエーテル性HClで処理し、得られる混合物をRTで撹拌する。塩酸塩の形態にある14−O−[4−ヒドロキシ−N−(R)−バリル−ピぺリジン−3−イル)スルファニルアセチルムチリンが沈殿し、ろ過によって単離される。
【実施例4】
【0101】
14−O−[N−(N−BOC−バリル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−3−イル]スルファニルアセチルムチリン
a)3−メシルオキシ−N−(N−BOC−(R)−バリル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン
0.894gのN−(N−BOC−(R)−バリル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−3−オールを10mlのCHClに溶解して、0.844gの4−ジメチルアミノピリジンおよび0.31gのメタンスルホン酸クロリド(メシルクロリド)で処理し、約24時間撹拌する。得られる混合物を0.1NのHClおよびCHClで処理し、得られる有機相をHOおよびNaHCO水溶液で洗浄する。溶媒をエバポレーションし、エバポレーション残渣を乾燥する。3−メシルオキシ−N−(N−BOC−(R)−バリル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジンが得られる。H−NMR(CDCl):6.1〜5.85(m、2H、HIV、H)、4.5(m、1H、NHCHCO)、3.7(s、3H、CHSO)、1.2〜0.9(m、6H、(CH)。
【0102】
b)14−O−[N−(N−BOC−(R)−バリル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−3−イル]スルファニルアセチルムチリン
0.235gのtert.But−OKを5mlのTHFに溶解して、10mlのTHFにおけるチアプレウロムチリンで処理し、得られる混合物に、0.789gの3−メシルオキシ−N−(N−BOC−(R)−バリル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジンを含む10mlのTHFを滴下して加える。得られる混合物を90℃に加熱し、RTで撹拌する。得られる混合物を希HCl水溶液で処理し、得られる有機相を洗浄して、溶媒をエバポレーションする。14−O−[N−(N−BOC−(R)−バリル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−3−イル]スルファニルアセチルムチリンが得られる。
【実施例5】
【0103】
14−O−[N−BOC−1,4,5,6−テトラヒドロピリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリン
40mlのTHFにおける2.72mlのジイソプロピルアミンを、12mlのn−ブチルリチウム(ヘキサンでの1.6M溶液)で−40℃で処理し、得られる混合物を撹拌して、−10℃に加温し、3.44gのN−BOC−1,2,5,6−テトラヒドロピリジンを20mlのTHFに含む溶液を滴下して加える。得られる混合物に、22−O−トシルプレウロムチリンを10mlのTHFに含む溶液および1mlの2−ブタノンを加え、得られる混合物をRTで撹拌する。14−O−[N−BOC−1,4,5,6−テトラヒドロピリジン−4(R)−イル]スルファニルアセチルムチリン(化合物A)および14−O−[N−BOC−1,4,5,6−テトラヒドロピリジン−4(S)−イル]スルファニルアセチルムチリン(化合物B)の混合物を含む得られる混合物をクロマトグラフィーに供する。純粋な化合物Aおよび純粋な化合物Bが得られる。
【実施例6】
【0104】
14−O−[N−(N−BOC−バリル]−1,4,5,6−テトラヒドロピリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリン
30mlのTHFにおける4.53mlのジイソプロピルアミンをn−ブチルリチウム(n−ヘキサンでの1.6M溶液)で−40℃で処理する。得られる混合物を撹拌して、−10℃に加温し、5.02gの3,4−エピチオ−N−(N−BOC−(R)−バリル)ピペリジンを30mlのTHFに含む溶液を加える。得られる混合物を−10℃で約3時間撹拌して、22−O−トシルプレウロムチリンを20mlのTHFに含む溶液および5mlの2−ブタノンを加え、得られる混合物をRTで撹拌する。得られる混合物を抽出処理およびクロマトグラフィーに供する。14−O−[N−(N−BOC−(R)−バリル]−1,4,5,6−テトラヒドロピリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリンが得られる。
【0105】
前記実施例に記載されるのと同様にして、しかし、適切な出発物質を使用して、下記の式の化合物が得られる:
【0106】
【化44】

(式中、X、REXおよびR1EXは下記の表に示される通りである)。
【0107】
化合物が塩の形態で得られる場合、このことは第6欄に示される。得られる化合物(場合により、塩の形態である)のH−NMRもまた表1に示される。
【0108】
【表1】




【0109】
出発物質の製造
例A− チアプレウロムチリン
a)イソチウロニウム塩の形態でのチアプレウロムチリン
106.4gの22−O−トシルプレウロムチリン、15.2gのチオウレアおよび250mlのアセトンの混合物を約1.5時間還流して、冷却し、得られる混合物から溶媒をエバポレーションして、エバポレーション残渣を真空乾燥する。イソチウロニウム塩の形態でのチアプレウロムチリンが得られる。H−NMR:9.82、8.42(2xb、2H、NH)、7.78、7.2(2xd、4H、芳香族Hトシル、J=15.8Hz)。
【0110】
a)チアプレウロムチリン
イソチウロニウム塩の形態でのチアプレウロムチリンの24.4gを40mlの無水EtOHに溶解して、70mlのHOで希釈し、90℃に加温する。得られる混合物を35mlのHOにおける7.6gの二硫化ナトリウムで処理し、得られる混合物に20mlのCHClを加える。得られる混合物を90℃に約1.5時間加熱して、冷却する。2つの相が形成され、相を分離する。得られる有機相を洗浄し、乾燥して、溶媒をエバポレーションする。エバポレーション残渣をシリカゲルでろ過する。チアプレウロムチリンが得られる。
【0111】
H−NMR:6.48(dd,1H,H19,J19,20cis=11Hz,J19,20trans=16.5Hz),5.75(d,1H,H14,J13,14=8.5Hz),5.38(dd,1H,H20,J20,20=1.5Hz),5.2(dd,1H,H20trans),3.38(dd,1H,H11,J11,OH=10.4Hz,J11,10=6.6Hz),ABX系:v=3.21,v=3.18,v=1.9(H22,J22,sH=8.2Hz,JAB=15.1Hz,JAX=8.2Hz),2.35(quint.1H,H10,J10,17=8.2Hz),2.28,2.2(2H,H2α,2β,J2α,2β=15.5Hz,J2α,1α=J2α,1β=5.5Hz),2.19(dd,1H,H13,J13,13=16Hz,J13,14=8.5Hz),2.12(b,1H,H),1.9(t,1H,SH,J22,sH=8.2Hz),1.79,176(2xq,1H,H8equ,J7,8equ=3.01Hz,J8,8=14.5Hz),1.67(m,2H,H,H),1.57,1.53(2xm,1H,H7ax),1.45(s,3H,(CH15),1.39,1.36(2xq,1H,H7q,J7,7=7.23Hz),1.33(d,1H,H13’),1.18(s,3H,(CH18),1.12(dd,1H,H8ax,J7,8ax=1.14Hz),0.89(d,3H,(CH17,J10,17=6.54Hz),0.74(d,3H,(CH16,J6,16=6.5Hz)。H−NMR(d−DMSO):2.85(s,1H,SH)。
【0112】
例B− N−BOC−3,4−エポキシ−ピペリジン
a)N−BOC−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン
1.66gの1,2,5,6−テトラヒドロピリジンを含む25mlのCHClに2.02gのN−メチルモルホリンを加え、得られる混合物を30mlのCHClにおける4.36gの(BOC)Oで処理し、得られる混合物を室温(RT)で約36時間撹拌する。N−BOC−1,2,5,6−テトラヒドロピリジンが得られる。H−NMR:5.82(m、1H、HIV)、5.64(m、1H、HIII)、3.86(b、2H、HII)、3.47(t、2H、HVI)、2.12(b、1H、H)、1.46(m、9H、(CH)。
【0113】
b)N−BOC−3,4−エポキシ−ピペリジン
3.29gのN−BOC−1,2,5,6−テトラヒドロピリジンを25mlのCHClに含む溶液に、50mlのCHClにおける6.2gのクロロ過安息香酸の懸濁物を加え、得られる混合物をRTで約12時間撹拌する。得られる混合物を飽和NaHCO水溶液および0.5mのNa水溶液で抽出する。得られる有機相を洗浄し、乾燥して、溶媒をエバポレーションする。N−BOC−3,4−エポキシ−ピペリジンが得られる。H−NMR:3.9,3.65,3.45,3.1(4xm,4H,HII,HVI),3.28,3.2(2xm,2H,HIII,HIV),2.05,1.9(2xm,2H,H),1.45(s,9H,(CH)。
【0114】
例C− N−(N−BOC−(R)−バリル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−3−オール
a)N−(N−BOC−(R)−バリル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン
50mlのCHClにおける1.245gのテトラヒドロピリジンを、1mmolのテトラヒドロピリジンあたり1.5mmolのHOBT、2.17gのN−BOC−(R)−バリン、および1mmolのテトラヒドロピリジンあたり1.5mmolのEDCで処理し、得られる混合物をRTで撹拌する。得られる混合物から溶媒をエバポレーションし、得られるエバポレーション残渣をEEと混合して、得られる混合物を0.1NのHClおよび飽和NaHCO水溶液で抽出する。得られる有機相を乾燥して、溶媒をエバポレーションする。N−(N−BOC−(R)−バリル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジンが得られる。
【0115】
b)3,4−エポキシ−N−(N−BOC−バリル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン
2.82gのN−(N−BOC−(R)−バリル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジンを75mlのCHClに含む溶液に、50mlのCHClにおける3.44gのm−クロロ過安息香酸をゆっくり加え、得られる混合物を一晩撹拌する。得られる混合物をNaHCO水溶液で抽出し、次いで0.5mのNa水溶液で抽出する。得られる相を分離し、有機相から溶媒を真空下でエバポレーションする。3,4−エポキシ−N−(N−BOC−(R)−バリル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジンが得られる。H−NMR:回転異性体:5.3(m,1H,NHCHCO),4.4(m,1H,NHCHCO),4.3,4.1,4.0(3dd,1H,HIII,J=15.6Hz),3.88,3.78,3.65(3xd,1H,HIV,J=15.6Hz),3.6,3.45,3.3(3xm,4H,HII,HVI),1.45(b,9H(CH),1.0−0.85(m,6H,CH(CH)。
【0116】
c)ブロモ−N−(N−BOC−バリル)ピペリジン−3−オール
10mlのCHClにおける0.5gのPhPBrを、10mlのCHClにおける0.289gの3,4−エポキシ−N−(N−BOC−(R)−バリル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジンで処理する。得られる混合物を氷/NaHCOの混合物に注ぎ、有機相を分離し、洗浄し、乾燥して、溶媒をエバポレーションする。4(R)−ブロモ−N−(N−BOC−(R)−バリル)ピペリジン−3(R)−オール(化合物A)および4(S)−ブロモ−N−(N−BOC−(R)−バリル)ピペリジン−3(S)−オール(化合物B)の混合物が得られ、クロマトグラフィーによって分離される。
【0117】
化合物A:H−NMR:回転異性体:5.2(m,1H,NHCHCO),4.3(t,1 H,NHCHCO,J=6.5Hz),4.25(m,1H,HIV),3.88(m,1H,HIII),2.4,1.85(2xm,2H,H),1.43(b,9H(CH),0.98,0.92(2xd,6H,CH(CH,J=7Hz)。
【0118】
化合物B:H−NMR:回転異性体:5.25(d,1H,NHCHCO,J=6.7Hz),4.45(m,1H,NHCHCO),4.15(m,1H,HIV),3.75(m,1H,HIII),2.55,2.3(2xm,2H,H),1.9(m,1H,CH(CH),1.42(b,9H(CH),0.9(m,6H,CH(CH)。
【0119】
d)3−アセトキシ−4−ブロモ−N−(N−BOC−バリル)ピペリジン
0.57gのブロモ−N−(N−BOC−バリル)ピペリジン−3−オールをピリジンに溶解して、0.4mlの無水酢酸で処理し、得られる混合物を撹拌する。3(R)−アセトキシ−4(R)−ブロモ−N−(N−BOC−(R)−バリル)ピペリジン(化合物A)および3(S)−アセトキシ−4(S)−ブロモ−N−(N−BOC−(R)−バリル)ピペリジン(化合物B)の混合物が得られ、クロマトグラフィーによって分離される。
【0120】
化合物A:H−NMR(d−DMSO,350K):6.4(b,1H,NHCHCO),4.73(dt,1H,NHCHCO,J=3.9Hz,J=7.7Hz),4.38(dt,1H,HIII,J=4.4Hz,J=8.8Hz),4.18(m,1H,NHCHCO),4.05,3.8,3.35(3m,4H,HII,HVI)2.3(s,3H,OCOCH),1.38(s,9H(CH),0.85(d,6H,CH(CH,J=7Hz)。
【0121】
化合物B:H−NMR(d−DMSO,350K):6.5(b,1H,NHCHCO),4.72(dt,1H,HIV,J=4.0Hz,J=7.7Hz),4.38(dt,1H,HIII,J=4.4Hz,J=8.6Hz),4.2(m,1H,NHCHCO),4.11,3.78,3.3(3m,4H,HII,HVI),2.3(s,3H,OCOCH),1.37(s,9H,(CH),0.85(d,6H,CH(CH,J=7Hz)。
【0122】
e)3−アセトキシ−N−(N−BOC−(R)−バリル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン
1.684gの3−アセトキシ−4−ブロモ−N−(N−BOC−バリル)ピペリジンを4mlのトルエンに溶解して、密閉チューブにおいて4mlのDBUで処理し、90℃に加熱する。得られる混合物をEEで処理し、HCl水溶液で抽出し、洗浄して、得られる有機相から溶媒をエバポレーションする。3−アセトキシ−N−(N−BOC−(R)−バリル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジンが得られる。
【0123】
H−NMR:回転異性体/Diast:5.95,5.85,5.25,5.15(4xm,2H,HIV,H),4.51,4.4(2xdd,1H,NHCHCO,J=5.2Hz,J=9Hz),4.45,4.15(2xd,1H,HVI,J=15.2Hz),3.4,3.2(2xdd,1H,HVI,J=3.5Hz),2.02,2.0,1.95(3xs,3H,OCOCH),1.35(s,9H,(CH),0.85(m,6H,CH(CH)。
【0124】
f)N−(N−BOC−(R)−バリル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−3−オール
0.254gの3−アセトキシ−N−(N−BOC−(R)−バリル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジンを5mlのEtOHに溶解して、氷冷下、2Nエタノール性NaOHで処理する。得られる混合物に、酢酸を、反応混合物を中和するために加えて、溶媒をエバポレーションする。得られるエバポレーション残渣をCHClと混合し、得られる混合物をNaCl溶液で洗浄し、有機相を乾燥して、溶媒をエバポレーションする。N−(N−BOC−(R)−バリル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−3−オールが得られる。H−NMR:5.9(m,2H,HIV,H),4.51,4.45(2xdd,1H,NHCHCO,J=5.2Hz,J=9.0Hz),1.4(b,9H,(CH),0.9(m,6H,CH(CH)。
【0125】
例D− メチルアミノアセチルムチリン
350mlのEtOHにおける13.33gの22−O−トシルプレウロムチリンを5mlのCHNH(EtOHでの33%溶液)で処理し、得られる混合物を約30時間還流して、得られる混合物から溶媒をエバポレーションする。エバポレーション残渣をEEで処理し、得られる混合物を0.1NのHClで抽出する。得られる水相をNaHCOで処理して、EEで抽出する。得られる有機相を乾燥して、溶媒をエバポレーションする。メチルアミノアセチルムチリンが得られる。H−NMR:AB系:v=3.32,v=3.22(2H,H22,J22NCH3=15Hz),2.42(s,3H,CHNH)。
【0126】
例E
N−BOC−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン
25mlのCHClにおける1.66gの1,2,5,6−テトラヒドロピリジンを2.02gのN−メチルモルホリンで処理する。得られる混合物に、4.36gの(BOC)Oを含む30mlのCHClを加えて、得られる混合物を、約36時間、反応のために放置する。得られる混合物を水性抽出に供し、有機相を乾燥して、エバポレーションする。N−BOC−1,2,5,6−テトラヒドロピリジンが得られる。H−NMR:5.82(m,1H,HIV),5.64(m,1H,HIII),3.86(b,2H,HII),3.47(t,2H,HVI),2.12(b,1H,H),1.46(m,9H,(CH)。
【0127】
例F
3,4−エピチオ−N(N−BOC−バリル)ピペリジン
2.91gのKSCNを含む3mlのHOを、10mlの無水EtOHにおける5.96gの3,4−エポキシ−N−(N−BOC−バリル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジンの混合物に加え、得られる混合物をRTで72時間撹拌する。得られる混合物を水性抽出に供し、得られる有機相の溶媒をエバポレーションし、エバポレーション残渣をクロマトグラフィーに供する。3,4−エピチオ−N(N−BOC−(R)−バリル)ピペリジンが得られる。融点:69.71℃。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式:
【化1】

式中、
およびR’は水素または重水素であり、
、RおよびRは水素または重水素であり、
はアミノ酸の残基であり、
XはSまたはN−ALKであり、
【化2】

はピペリジニルまたはテトラヒドロピリジニルであり、
ALKは(C1〜4)アルキルであり、かつ
は、水素、ヒドロキシまたは(C2〜12)アシルオキシであり、
ただし、
【化3】

がピペリジニルであり、かつ、XがSである場合、Rは水素以外である、
の化合物。
【請求項2】
14−O−[4−ヒドロキシ−N−バリル−ピペリジン−3−イル]スルファニルアセチルムチリン、
14−O−[3−ヒドロキシ−N−バリル−ピペリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリン、
14−O−[3−ヒドロキシ−N−ヒスチジニル−ピペリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリン、
14−O−[3−ヒドロキシ−N−バリル−ピペリジン−4−イル]メチルアミノアセチルムチリン、
14−O−[4−ヒドロキシ−N−バリル−ピペリジン−3−イル]メチルアミノアセチルムチリン、
14−O−[N−バリル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−3−イル]スルファニルアセチルムチリン、および
14−O−[N−バリル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリン
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
下記の式:
【化4】

式中、
およびR’は水素または重水素であり、
、RおよびRは水素または重水素であり、
は、保護基、または、アミノ基が保護されているアミノ酸の残基であり、
XはSまたはN−ALKであり、
【化5】

はピペリジニルまたはテトラヒドロピリジニルであり、
ALKは(C1〜4)アルキルであり、かつ
は、水素、ヒドロキシまたは(C2〜12)アシルオキシであり、
ただし、
【化6】

がピペリジニルであり、かつ、XがSである場合、Rは水素以外である、
の化合物。
【請求項4】
14−O−[N−BOC−4−ヒドロキシ−ピペリジン−3−イル]スルファニルアセチルムチリン、
14−O−[N−BOC−3−ヒドロキシ−ピペリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリン、
14−O−[4−ヒドロキシ−N−BOC−ピペリジン−3−イル]メチルアミノアセチルムチリン、
14−O−[3−ヒドロキシ−N−BOC−ピペリジン−4−イル]メチルアミノアセチルムチリン、
14−O−[N−BOC−1,4,5,6−テトラヒドロピリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリン、
14−O−[4−ヒドロキシ−N−(N−BOC−バリル)−ピペリジン−3−イル]スルファニルアセチルムチリン、
14−O−[3−ヒドロキシ−N−(N−BOC−バリル)−ピペリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリン、
14−O−[4−アセトキシ−N−(N−BOC−バリル)−ピペリジン−3−イル]スルファニルアセチルムチリン、
14−O−[3−アセトキシ−N−(N−BOC−バリル)−ピペリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリン、
14−O−[3−ヒドロキシ−N−(N−BOC−ヒスチジニル)−ピペリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリン、
14−O−[3−ヒドロキシ−N−(N−BOC)−バリル−ピペリジン−4−イル]メチルアミノアセチルムチリン、
14−O−[4−ヒドロキシ−N−(N−BOC)−バリル−ピペリジン−3−イル]メチルアミノアセチルムチリン、
14−O−[N−(N−BOC−バリル)−1,4,5,6−テトラヒドロピリジン−4−イル]スルファニルアセチルムチリン、
14−O−[N−(N−BOC−バリル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−3−イル]スルファニルアセチルムチリン
からなる群から選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
塩の形態である請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
医薬品として使用される請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一項に記載される化合物を少なくとも1つの医薬用賦形剤と一緒に含む医薬組成物。
【請求項8】
別の薬学的に活性な薬剤をさらに含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
微生物疾患を処置するための医薬品を調製する際に使用される、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物または請求項7もしくは8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
そのような処置を必要としている対象に、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物または請求項7もしくは8に記載の医薬組成物の有効量を投与することを含む、微生物疾患を処置する方法。

【公表番号】特表2006−502124(P2006−502124A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−523769(P2004−523769)
【出願日】平成15年7月23日(2003.7.23)
【国際出願番号】PCT/EP2003/008059
【国際公開番号】WO2004/011431
【国際公開日】平成16年2月5日(2004.2.5)
【出願人】(390032997)サンド・アクチエンゲゼルシヤフト (2)
【氏名又は名称原語表記】SANDOZ AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】