説明

抗酸化マクロモノマーおよび抗酸化ポリマー、ならびにその製造方法および使用方法

抗酸化物を含むマクロモノマーを重合させることを含む、抗酸化ポリマーの調製方法が記載される。マクロモノマーの一部分として抗酸化物を有することによって、すでに形成されたポリマーに抗酸化物を配位結合させることよりも効率的に、高密度の抗酸化物を有するポリマーが調製される。重合の方法はまた、種々の抗酸化物を含む種々のマクロモノマーが用いられ得る共重合を包含する。あるいは、他のマクロモノマーまたはモノマーは、共重合体の意図される用途および所望の特性に応じて、抗酸化物を含まなくてもよい。抗酸化物を含むマクロモノマーは、同じであり得るか、または異なり得る、1つより多くの抗酸化物を含み得る。一態様において、マクロモノマーは、抗酸化物で置換されている、ベンゼンまたはオレフィン系である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2004年7月23日に出願された米国出願第60/590,575号、および2004年7月23日に出願された米国出願第60/590,646号の利益を主張する。上記出願の全教示は、参照によって本明細書中に援用される。
【0002】
(発明の背景)
プラスチック、食物、エラストマー、燃料、油、ガソリンおよび潤滑剤、繊維などのほとんどの有機物質は、熱的酸化過程による分解を受けやすい。有害、反応性、かつ不安定のフリーラジカルが酸化過程の間に形成され、近くの物質の安定な分子(ポリマー鎖または小分子)を攻撃し、その電子を「奪う」。「攻撃された」分子はその電子を失い、それ自体が反応性フリーラジカル(free reactive radical)となり、連鎖反応のカスケードを開始する。酸化過程の結果としてのその分子構造の劣化は、その貯蔵寿命、物理的性質、および化学的性質に影響し得る。これらの酸化反応は、高温でさらに促進される。抗酸化物分子は、有害かつ反応性のフリーラジカルのかかる破壊的効果から物質を保護するために通常加えられる。これらの抗酸化物は、その電子の1つを供与して「反応性」フリーラジカルを安定化し、かくして電子を「奪う」機構を停止させることにより、これらの反応性フリーラジカルの効力をなくす。
【0003】
多くの今日の商業的および工業的用途において、(a)高い抗酸化性を有し、(b)高温で活性でありかつ熱的に安定な、抗酸化物を有することが望ましい。これらの2つの所望される性質を有する新しい抗酸化物を設計することは、次の理由のために、今日、不可欠である。いくつかの物質に、特に加工食品に加えられる合成抗酸化物の量は、制限されており、食品医薬品局(Food and Drug Administration(FDA))規制(例えば21 CFR 110、115、185、515、および615、21 CFR 182.1660、3169、および3173、ならびに21 CFR 184.1660)に従うことが必要とされる。BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)およびBHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)などのいくつかの抗酸化物は、ある濃度を超えると発癌性があることが推測されているため、大抵の場合、使用量は食物の脂肪または油部分の0.02重量%に制限されている。物質が少量の合成抗酸化物で保護されるように、高い抗酸化活性を有する新しい抗酸化物を設計することが望ましい。他の用途の場合、熱的に安定な抗酸化物が高温で物質を保護するために必要とされる。例えば多くのポリオレフィンおよび熱可塑性物質は高温で加工される。かかる高温では、いくつかの今日使用されている抗酸化物自体は、かかる高温で分解する傾向がある。新しい抗酸化物が高温物質用途で使用され得るように、抗酸化物が高温で安定であり、活性である必要性がある。
【0004】
(発明の概要)
本発明は、抗酸化物(antioxidant)を含むマクロモノマーを重合させることを含む、抗酸化ポリマーの調製方法に関する。マクロモノマーの一部分として抗酸化物を有することによって、すでに形成されたポリマーに抗酸化物を配位結合させることよりも効率的に、高密度の抗酸化物を有するポリマーが調製される。本発明の重合の方法はまた、種々の抗酸化物を含む種々のマクロモノマーが用いられ得る共重合の方法を包含する。あるいは、他のマクロモノマーまたはモノマーは、コポリマーの意図される用途および所望の特性に応じて、抗酸化物を含まなくてもよい。抗酸化物を含むマクロモノマーは、同じであり得るか、または異なり得る、1つより多くの抗酸化物を含み得る。重合は、当業者に公知の種々の触媒を用いて行い得る。選択される触媒は、一部は、重合させるマクロモノマーの性質による。一態様において、マクロモノマーは、抗酸化物で置換されている、ベンゼンまたはオレフィンに基づく。
【0005】
本発明のこれらの態様、他の態様、ならびにその特徴および特性は、後に続く明細書、図面、および特許請求の範囲から明らかであろう。
【0006】
(発明の詳細な説明)
定義
便宜上、本発明のさらなる説明の前に、明細書、実施例、および添付された特許請求の範囲の中で用いられる特定の用語をここに集める。これらの定義は、残りの開示内容に照らして読まれ、当業者による通りに、理解されるべきである。別段の定義のない限り、本明細書中で用いられるすべての技術的および科学的用語は、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0007】
冠詞「a」および「an」は、1つ、または1つより多くの(すなわち少なくとも1つの)冠詞の文法上の目的語をいうために、本明細書中で用いられる。例として、「要素(an element)」は、1つの要素、または1つより多くの要素を意味する。
【0008】
用語「含む(comprise)」および「含む(comprising)」は、包括的な、開放的意味で用いられ、さらなる要素が含まれ得ることを意味する。
【0009】
用語「含む(including)」は、「含むが限定されない」ことを意味するために、本明細書中で用いられる。「含む」および「含むが限定されない」は同義に用いられる。
【0010】
用語「抗酸化物(antioxidant)」は、当該技術分野において認識されており(art-recognized)、酸化の効果、および付随して起こる性質の劣化を減少させるために物質に加えられる、任意の種々の化合物をいう。抗酸化物を利用する物質の限定されない例としては、塗料、プラスチック、ガソリン、ゴム、および食品が挙げられる。
【0011】
用語「酸化」は、当該技術分野において認識されており、1つ以上の電子が化学種から除去され、したがってその原子価(酸化状態)を増大させる、任意の反応をいう。
【0012】
用語「ラジカル(radical)」は、当該技術分野において認識されており、1つ以上の不対電子を有する、電気的に中性またはイオン性の基をいう。
【0013】
用語「物質(substance)」は、巨視的な量で生じる、一般に均質の任意の物理的実在物を意味するために、本明細書中で用いられる。
【0014】
用語「ポリマー」は、当該技術分野において認識されており、繰り返しモノマー単位を含む、巨大分子をいう。
【0015】
用語「モノマー」は、当該技術分野において認識されており、他の類似の、または似ていない分子と長鎖状で結合し、ポリマーを生成させ得る化合物をいう。用語「マクロモノマー(macromonomer)」および「モノマー」は、機能的に同じであると考えられる。
【0016】
用語「ホモポリマー(homopolyer)」は、当該技術分野において認識されており、単一の繰り返しモノマーによって誘導されるポリマーをいう。
【0017】
用語「コポリマー」は、当該技術分野において認識されており、異なる順序であり得る2つ以上の化学的に異なる繰り返し単位からなるポリマー鎖から構成されるポリマーをいう。
【0018】
語句「かさ高いアルキル基」は、ベンゼン環などの基に対するαまたはβ分枝アルキル基を意味するために、本明細書中で用いられる。かさ高いアルキル基は、t-ブチル基におけるように、ベンゼン環に対してαで2回分枝し得る(すなわちα-第三級炭素を形成する)。かさ高いアルキル基の他の限定されない例としては、イソプロピル、2-ブチル、3-ペンチル、1,1-ジメチルプロピル(dimethlypropyl)、1-エチル-1-メチルプロピル、および1,1-ジエチルプロピルが挙げられる。
【0019】
用語「酵素」は、当該技術分野において認識されており、それ自体が恒久的に改変されることも破壊されることもなく、反応を触媒するタンパク質をいう。
【0020】
用語「酵素模倣体(enzyme mimetic)」は、当該技術分野において認識されており、酵素の活性を模倣する任意の物質をいう。
【0021】
用語「触媒」は、当該技術分野において認識されており、それ自体が消費されることも(ore)本質的に改変されることもなく、化学反応の速度に影響を及ぼす任意の物質をいう。
【0022】
用語「合成(synthetic)」は、当該技術分野において認識されており、インビトロの化学合成または酵素による合成による生成をいう。
【0023】
用語「使用説明用資料(instructional material)」または「使用説明書」としては、本明細書中に記載される主題の組成物の処理方法についての有用性、または主題の組成物をつくるか、もしくは使用する方法を伝達するために用いられ得る、刊行物、記録物(recording)、図表、または任意の他の表現媒体が挙げられる。例えば、使用説明用資料は、組成物を含む容器に貼付され得るか、もしくは組成物を含む容器とともに発送され得るか、または組成物を有するキットに含まれ得る。あるいは、使用説明用資料および組成物が、受領者によって協力的に用いられることを意図して、使用説明用資料は容器とは別に発送され得る。
【0024】
用語「数平均分子量」すなわち「Mn」、「重量平均分子量」、「Z平均分子量」、および「粘度平均分子量」は、当該技術分野において認識されている。用語「分子量」すなわち例示的な分子量が本明細書中で記載される場合、分子量の基準(measure)は、文脈から明らかであり、および/またはすべての適用し得る基準を含む。
【0025】
「小分子(Small molecule)」は、当該技術分野において認識されている用語である。ある態様において、この用語は約2000 amu未満、または約1000 amu未満、およびさらに約500 amu未満の分子量を有する分子をいう。
【0026】
用語「脂肪族」は、当該技術分野において認識されている用語であり、線状、分枝、および環状アルカン、アルケン、またはアルキンを含む。ある態様において、本発明における脂肪族基は線状であるか、または枝分かれしており、1個〜約20個の炭素原子を有する。
【0027】
用語「アルキル」は、当該技術分野において認識されており、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を含む、飽和脂肪族基を含む。ある態様において、直鎖または分枝鎖アルキルは、その主鎖中に約30個以下の炭素原子(例えば直鎖についてC1〜C30、分枝鎖についてC3〜C30)、およびあるいは約20個以下の炭素原子を有する。同様に、シクロアルキルは、その環構造の中に約3個〜約10個の炭素原子、およびあるいはその環構造の中に約5個、6個、または7個の炭素原子を有する。用語「アルキル」はまた、ハロ置換アルキルを含むように定義される。
【0028】
用語「アラルキル」は、当該技術分野において認識されており、アリール基(例えば、芳香族基、または複素環式芳香族基)で置換されたアルキル基を含む。
【0029】
用語「アルケニル」および「アルキニル」は、当該技術分野において認識されており、上記のアルキルに対して、長さおよび可能な置換に関して類似する不飽和脂肪族基を含むが、それぞれ少なくとも1つの二重結合、または三重結合を含む。
【0030】
炭素の数が別段特定されない限り、「低級アルキル」は、上に定義したようなアルキル基をいうが、その主鎖構造中に1個〜10個の炭素、あるいは1個〜約6個の炭素原子を有する。同様に、「低級アルケニル」、および「低級アルキニル」は同様の鎖長を有する。
【0031】
用語「ヘテロ原子」は、当該技術分野において認識されており、炭素または水素以外の任意の元素の原子を含む。例示的なヘテロ原子としては、ホウ素、窒素、酸素、リン、硫黄、およびセレン、ならびにあるいは酸素、窒素、または硫黄が挙げられる。
【0032】
用語「アリール」は当該技術分野において認識されており、例えばベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジンなどの、0個〜4個のヘテロ原子を含み得る五員環、六員環および七員環の単環式(single-ring)芳香族基を含む。環構造中にヘテロ原子を有するそれらのアリール基はまた、「アリール複素環」、「ヘテロアリール」、または「複素環式芳香族」と称され得る。芳香環は、例えばハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホナート、ホスフィナート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族部分または複素環式芳香族部分、-CF3、-CNなどの上に記載したような置換基で、1つ以上の環位置で置換され得る。用語「アリール」はまた、2つ以上の炭素が2つの隣接する環に共通である2つ以上の環式環(cyclic rings)(該環は「縮合環」である)を有する多環式環系を含み、ここで少なくとも1つの環が芳香族であり、例えば他の環式環はシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、および/またはヘテロシクリルであり得る。
【0033】
用語オルト、メタ、およびパラは、当該技術分野において認識されており、それぞれ1,2-、1,3-、および1,4-二置換ベンゼンに適用される。例えば、名称1,2-ジメチルベンゼン、およびオルト-ジメチルベンゼンは同義である。
【0034】
用語「ヘテロシクリル」および「複素環式基」は、当該技術分野において認識されており、三員環から約七員環などの三員環構造から約十員環構造を含み、その環構造は1個〜4個のヘテロ原子を含む。複素環はまた多環類(polycycles)であり得る。ヘテロシクリル基としては、例えばチオフェン、チアントレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチイン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン類、アゼチジノン類およびピロリジノン類などのラクタム類、スルタム類、スルトン類などが挙げられる。複素環は、例えばハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホナート、ホスフィナート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族部分または複素環式芳香族部分、-CF3、-CNなどのような上に記載したような置換基で、1つ以上の位置で置換され得る。
【0035】
用語「ポリシクリル(polycyclyl)」および「多環基(polycyclic group)」は、当該技術分野において認識されており、2つ以上の炭素が2つの隣接する環に共通である2つ以上の環(例えばシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、および/またはヘテロシクリル)を有する構造を含み、例えば該環は「縮合環」である。非隣接原子によって結合されている、例えば3つ以上の原子が両方の環に共通である、環は、「架橋」環と称される。多環(polycycle)の各々の環は、例えばハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホナート、ホスフィナート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族部分または複素環式芳香族部分、-CF3、-CNなどのような上に記載したような置換基で、置換され得る。
【0036】
用語「炭素環」は、当該技術分野において認識されており、環の各原子が炭素である、芳香環または非芳香環を含む。次の(flowing)当該技術分野において認識されている用語は、次の意味を有する。「ニトロ」は-NO2を意味し、用語「ハロゲン」は-F、-Cl、-Br、または-Iを示し、用語「スルフヒドリル」は-SHを意味し、用語「ヒドロキシル」は-OHを意味し、および用語「スルホニル」は-SO2-を意味する。
【0037】
用語「アミン」および「アミノ」は、当該技術分野において認識されており、非置換アミンおよび置換アミンの双方、例えば一般式:


(式中R50、R51、およびR52はそれぞれ独立して水素、アルキル、アルケニル、-(CH2m-R61を表すか、またはR50およびR51は、これらが結合しているN原子と一緒になって環構造中に4個〜8個の原子を有する複素環を完成させ;R61はアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環または多環を表し;ならびにmは0または1〜8の範囲の整数である)
によって表され得る部分を含む。ある態様において、R50またはR51の1つだけがカルボニルであり得、例えばR50、R51、および窒素は一緒になってイミドを形成しない。他の態様において、R50およびR51(ならびに任意にR52)は、それぞれ独立して水素、アルキル、アルケニル、または-(CH2m-R61を表す。したがって、用語「アルキルアミン」は、アミン基に結合した置換または非置換アルキルを有する上に定義したようなアミン基を含み、すなわちR50およびR51の少なくとも1つはアルキル基である。
【0038】
用語「アシルアミノ」は、当該技術分野において認識されており、一般式:


(式中、R50は上に定義された通りであり、R54は水素、アルキル、アルケニル、または-(CH2m-R61を表し、ここでmおよびR61は上に定義された通りである)
によって表され得る部分を含む。
【0039】
用語「アミド」は、アミノ置換カルボニルとして当該技術分野において認識されており、一般式:


(式中、R50およびR51は上に定義された通りである)
によって表され得る部分を含む。本発明におけるアミドのある態様は、不安定であり得るイミドを含まない。
【0040】
用語「アルキルチオ」は、当該技術分野において認識されており、アルキル基に結合した硫黄ラジカルを有する、上に定義されたようなアルキル基を含む。ある態様において、「アルキルチオ」部分は、-S-アルキル、-S-アルケニル、-S-アルキニル、および-S-(CH2m-R61の1つによって表され、ここでmおよびR61は上に定義されている。代表的なアルキルチオ基としては、メチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。
【0041】
用語「カルボニル」は、当該技術分野において認識されており、一般式:


(式中、X50は結合であるか、または酸素もしくは硫黄を表し、R55は水素、アルキル、アルケニル、-(CH2m-R61、または薬学的に許容され得る塩を表し、R56は水素、アルキル、アルケニル、または-(CH2m-R61を表し、ここでmおよびR61は上に定義されている)
によって表され得るような部分を含む。X50が酸素であり、R55またはR56が水素でない場合、式は「エステル」を表す。X50が酸素であり、R55が上に定義された通りである場合、該部分は本明細書中でカルボキシル基と称され、特にR55が水素である場合、式は「カルボン酸」を表す。X50が酸素であり、R56が水素である場合、式は「ホルメート(formate)」を表す。一般に、上式の酸素原子が硫黄で置換されている場合、式は「チオカルボニル」基を表す。X50が硫黄であり、R55またはR56が水素でない場合、式は「チオエステル」を表す。X50が硫黄であり、R55が水素である場合、式は「チオカルボン酸」を表す。X50が硫黄であり、R56が水素である場合、式は「チオホルメート」を表す。一方、X50が結合であり、R55が水素ではない場合、上式は「ケトン」基を表す。X50が結合であり、R55が水素である場合、上式は「アルデヒド」基を表す。
【0042】
用語「アルコキシル」または「アルコキシ」は、当該技術分野において認識されており、アルキル基に結合した酸素ラジカルを有する、上に定義されたようなアルキル基を含む。代表的なアルコキシル基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、tert-ブトキシなどが挙げられる。「エーテル」は、酸素によって共有結合された2つの炭化水素である。したがって、アルキルをエーテルにするアルキルの置換基は、-O-アルキル、-O-アルケニル、-O-アルキニル、-O-(CH2m-R61の1つによって表され得るようなアルコキシであるか、または該アルコキシに類似しており、ここでmおよびR61は上に記載されている。
【0043】
用語「スルホナート」は、当該技術分野において認識されており、R57が電子対、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールである、一般式:


によって表され得る部分を含む。
【0044】
用語「スルファート(sulfate)」は、当該技術分野において認識されており、R57が上に定義された通りである一般式:


によって表され得る部分を含む。
【0045】
用語「スルホンアミド(sulfonamido)」は、当該技術分野において認識されており、R50およびR56が上に定義された通りである一般式:


によって表され得る部分を含む。
【0046】
用語「スルファモイル」は、当該技術分野において認識されており、R50およびR51が上に定義された通りである一般式:


によって表され得る部分を含む。
【0047】
用語「スルホニル」は、当該技術分野において認識されており、R58が次のもの:水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールの1つである一般式:


によって表され得る部分を含む。
【0048】
用語「スルホキシド」は、当該技術分野において認識されており、R58が上に定義されている一般式:


によって表され得る部分を含む。
【0049】
用語「ホスホルアミダイト(phosphoramidite)」は、当該技術分野において認識されており、Q51、R50、R51およびR59が上に定義された通りである一般式:


によって表される部分を含む。
【0050】
用語「ホスホンアミダイト(phosphonamidite)」は、当該技術分野において認識されており、Q51、R50、R51およびR59が上に定義された通りであり、R60が低級アルキルまたはアリールを表す一般式:


によって表される部分を含む。
【0051】
類似の置換が、アルケニル基およびアルキニル基に対してなされ、例えばアミノアルケニル、アミノアルキニル、アミドアルケニル、アミドアルキニル、イミノアルケニル、イミノアルキニル、チオアルケニル、チオアルキニル、カルボニル置換アルケニル、またはカルボニル置換アルキニルを生じ得る。
【0052】
各表現、例えばアルキル、m、nなどの定義は、該表現が任意の構造において一度よりも多く現れる場合、明確にまたは文脈によって別段示されない限り、同じ構造において、他の場合の定義とは独立しているものとする。
【0053】
用語「セレノアルキル」は、当該技術分野において認識されており、アルキル基に結合している置換セレノ基を有するアルキル基を含む。アルキルにおいて置換され得る例示的な「セレノエーテル」は、-Se-アルキル、-Se-アルケニル、-Se-アルキニル、および-Se-(CH2m-R61の1つから選択され、mおよびR61は上に定義されている。
【0054】
用語トリフリル、トシル、メシル、およびノナフリル(nonaflyl)は、当該技術分野において認識されており、それぞれトリフルオロメタンスルホニル基、p-トルエンスルホニル基、メタンスルホニル基、およびノナフルオロブタンスルホニル基を指す。用語トリフラート、トシラート、メシラート、およびノナフラート(nonaflate)は、当該技術分野において認識されており、それぞれトリフルオロメタンスルホナートエステル、p-トルエンスルホナートエステル、メタンスルホナートエステル、およびノナフルオロブタンスルホナートエステル官能基、ならびに前記基を含む分子を指す。
【0055】
略語Me、Et、Ph、Tf、Nf、Ts、およびMsは、当該技術分野において認識されており、それぞれメチル、エチル、フェニル、トリフルオロメタンスルホニル、ノナフルオロブタンスルホニル、p-トルエンスルホニル、およびメタンスルホニルを表す。当業者の有機化学者によって利用される略号のより包括的な一覧表は、Journal of Organic Chemistryの各巻の第一刷(first issue)に載っており、この一覧表は「標準的な略号の一覧表(Standard List of Abbreviations)」と題される表に典型的には示されている。
【0056】
本発明のあるモノマーサブユニットは、特定の幾何学的形態または立体異性形態で存在し得る。さらに、本発明のポリマーおよび他の組成(composition)もまた、光学活性であり得る。本発明は、本発明の範囲に入るような、シスおよびトランス異性体、R-エナンチオマーおよびS-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、それらのラセミ混合物、ならびにそれらの他の混合物を含む、すべてのかかる化合物を想定する。さらなる不斉炭素原子がアルキル基などの置換基において存在し得る。すべてのかかる異性体、ならびにその混合物は、本発明に含まれるものとする。
【0057】
例えば、本発明の化合物の特定のエナンチオマーが望まれる場合、該エナンチオマーは不斉合成か、またはキラル補助基を用いる誘導によって調製してもよく、ここで生じるジアステレオマー混合物は分離され、補助基は切断され、純粋な所望のエナンチオマーを与える。あるいは、該分子がアミノなどの塩基性官能基、またはカルボキシルなどの酸性官能基を含有する場合、適切な光学活性の酸または塩基でジアステレオマーの塩が形成され、その後かくして形成されたジアステレオマーを当該技術分野で周知の分別晶出、またはクロマトグラフィーの手段によって分割し、その後純粋なエナンチオマーを回収する。
【0058】
「置換」または「で置換された」は、かかる置換が置換された原子および置換基の許容される原子価に従い、かつ置換が例えば転位、環化、脱離、または他の反応によるような変換を自然に受けない安定な化合物をもたらすものとする暗黙的条件を含むことを理解されたい。
【0059】
用語「置換された(substituted)」はまた、有機化合物のすべての許容される置換基を含むことを意図する。広範の局面において、許容される置換基としては、非環式および環式、分枝および非分枝、炭素環式および複素環式、芳香族、ならびに非芳香族の有機化合物の置換基が挙げられる。例示的な置換基としては、例えば本明細書中で上に記載された置換基が挙げられる。許容される置換基は、適切な有機化合物について、1つ以上であり得、同じであり得るか、または異なり得る。本発明の目的に関して、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基を有し得、および/またはヘテロ原子の原子価を満足させる、本明細書中に記載される有機化合物の任意の許容される置換基を有し得る。本発明は、有機化合物の許容される置換基によって、なんらの方法によっても限定されないものとする。
【0060】
本発明の目的に関して、化学元素は、CAS版、Handbook of Chemistry and Physics, 第67版, 1986〜87, 表紙裏の元素の周期表(Periodic Table of the Elements)に従って特定される。用語「炭化水素」は、当該技術分野において認識されて(art recognized)おり、少なくとも1つの水素原子および少なくとも1つの炭素原子を有するすべての許容される化合物を含む。例えば、許容される炭化水素としては、置換であり得るか、または非置換であり得る、非環式および環式、分枝および非分枝、炭素環式および複素環式、芳香族、ならびに非芳香族の有機化合物が挙げられる。
【0061】
語句「保護基」は、当該技術分野において認識されており、望ましくない化学変換から潜在的に反応性の官能基を保護する一時的な置換基を含む。かかる保護基の例としては、カルボン酸のエステル、アルコールのシリルエーテル、ならびにそれぞれアルデヒドおよびケトンのアセタールおよびケタールが挙げられる。保護基化学反応の分野が概説されている。Greene ら, Protective Groups in Organic Synthesis 第2版, Wiley, New York, (1991)。
【0062】
語句「ヒドロキシル保護基」は、当該技術分野において認識されており、合成手順の際の望ましくない反応からヒドロキシル基を保護することが意図される基を含み、例えば当該技術分野で公知のベンジル基、または他の適切なエステル基もしくはエーテル基が挙げられる。
【0063】
用語「電子吸引性基」は、当該技術分野で認識されており、隣接原子から価電子を引き付ける、すなわち置換基が隣接原子に対して電気的に陰性である、置換基の傾向を示す。電子吸引能力の水準の定量化はHammettのシグマ(σ)定数によって与えられる。この周知の定数は、多くの参照文献、例えばMarch, Advanced Organic Chemistry 251〜59, McGraw Hill Book Company, New York, (1977)に記載されている。Hammettの定数の値は一般に電子供与性基については負であり(NH2についてはσ(P)=-0.66)、電子吸引性基については正であり(ニトロ基についてはσ(P)=0.78)、σ(P)はパラ置換を示す。例示的な電子吸引性基としては、ニトロ、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、塩化物(chloride)などが挙げられる。例示的な電子供与性基としては、アミノ、メトキシなどが挙げられる。
【0064】
上に記載されるポリマー、サブユニット、および他の組成の想定される同等物としては、他の点で(otherwise)これらに相当し、かつ同一のこれらの一般的性質(例えば生体適合性)を有する、かかる物質を含み、その意図される目的を達成するためのかかる分子の効力に悪影響を及ぼさない、置換基の1つ以上の単純な変化がなされる。一般に、本発明の方法は、容易に入手し得る出発物質、試薬、および常套の合成手順を用いて、例えば以下に記載されるような一般的反応スキームで、またはその変形したものによって、例示される方法であり得る。かかる反応において、それ自体で公知であるが、本明細書で言及されていない変異体を利用することもまた可能である。
【0065】
重合方法
マクロモノマーの重合は天然もしくは合成酵素で触媒されるか、または過酸化水素の存在下にて、置換ベンゼン化合物の重合が可能な酵素模倣体で触媒され得、酵素または酵素模倣体は典型的に活性部位にてヘム基または関連基を有する。この反応の触媒を可能とする酵素の1つの一般的種類は、通例ペルオキシダーゼといわれる。ホースラディッシュペルオキシダーゼ、ダイズペルオキシダーゼ、Coprinus cinereusペルオキシダーゼ、およびArthromyces ramosusペルオキシダーゼは容易に入手可能なペルオキシダーゼである。該反応の触媒を可能とする他の酵素としては、ラッカーゼ、チロシナーゼ、およびリパーゼが挙げられる。好適な酵素は、過酸化物(たとえば過酸化水素または有機過酸化物)が存在する場合、2つのアリール(例えばフェノール)基間の炭素-炭素結合および/または炭素-酸素-炭素結合の形成を触媒し得る。ペルオキシダーゼのサブユニットまたは他の部分は許容可能であるが、ただし酵素の活性部位はそれでもやはり機能的である。
【0066】
酵素模倣体は典型的に酵素の一部と一致するので、親(parent)酵素と同様の反応を実行し得るが、一般に親酵素よりも小さい。また酵素模倣体は、より幅広い様々な条件(例えば、種々のpH範囲および/または水性、部分的に水性および非水性溶媒)の下で機能的である等、親酵素よりも丈夫に設計され得、一般に分解または不活性化をいっそう受けにくい。好適な酵素模倣体としては、ヘマチン、チロシナーゼ型(tyro sinase-model)複合体および金属サレン(例えばFe-サレン)錯体が挙げられる。特に、より幅広い様々な条件の下で可溶性となるように官能化され得るヘマチンは、2001年11月27日に出願された米国出願第09/994,998号に開示され、その内容は参照によって本明細書中に援用される。
【0067】
上記された酵素および酵素模倣体は固体上で固定され得る。さらに酵素および酵素模倣体は、溶液または懸濁液中に分散され得る。
【0068】
本明細書中に記載されるマクロモノマーはまた、非酵素的化学方法でも重合され得る。例えば、重合は塩化鉄またはメタロセン等の金属化合物で触媒され得る。また重合は、N,N-アゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutyromtrile)(AIBN)、アセチルアセトンおよび過酸化物(例えばtert-ブチルヒドロキシド、ベンジルペルオキシド)等の陽イオン、陰イオンまたはフリーラジカル開始剤でも触媒され得る。本発明の重合は幅広い様々な条件の下で実行され得る。pHは大抵約pH1.0〜約pH12.0であり、典型的に約pH6.0〜約pH11.0である。温度は一般に約0℃より上であり、例えば約0℃〜約45℃または約15℃〜約30℃(例えば室温)などである。溶媒は(好ましくは緩衝剤で処理された)水性溶媒、有機溶媒またはその組み合わせであり得る。有機溶媒は、例えばエタノール、メタノール、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド(dimethylfonnamide)(DMF)、ジオキサン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびテトラヒドロフラン(THF)等、典型的に極性溶媒である。マクロモノマーまたはコマクロモノマー(comacromonomer)の濃度は典型的に0.001M以上である。また、緩衝剤の濃度も典型的に0.001M以上である。
【0069】
好ましくは酵素または酵素模倣体は、抗酸化マクロモノマーまたはコマクロモノマーの添加後、溶液に添加される。次いで、抗酸化マクロモノマーまたはコマクロモノマー(cocacromonomer)の量とおよそ化学量論的となる量が添加されるまで、例えば酵素または酵素模倣体を不活性化しないような過酸化物が反応混合物に増加的に添加される。
【0070】
酵素もしくは酵素模倣体または化学開始剤が、鎖の伸長に必要なフェノール系のフリーラジカルの形成の原因であるが、ポリマー鎖を形成するためのラジカルのカップリングは、フェノキシラジカルおよび溶媒化学作用により調節される。フェノキシラジカルのカップリングに関するさらなる詳細が「Enzymatic catalysis in monophasic organic solvents」,Dordick, J.S., Enzyme Microb. Technol. 11:194-211(1989)の中に見出され得、その内容は本明細書中に参照によって援用される。置換ベンゼンモノマー間のカップリングは、典型的にヒドロキシル基に対してオルトおよび/またはパラで起こる。カップリングはヒドロキシル基に対してメタでほとんど起こらない。
【0071】
重合は、好ましくは置換ベンゼンの繰り返し単位間のC-C結合の形成(すなわちベンゼン環は鎖でお互い直接結合する)をもたらす。好ましいポリマーは少なくとも約99%のC-C結合、少なくとも約98%のC-C結合、少なくとも約95%のC-C結合、少なくとも約90%のC-C結合、少なくとも約80%のC-C結合、少なくとも約70%のC-C結合、少なくとも約60%のC-C結合、または少なくとも約50%のC-C結合を含み得る。特に好ましいポリマーは約100%のC-C結合を含む。
【0072】
一部分において、本発明は抗酸化部分を含むマクロモノマーの重合を含む抗酸化ポリマーの調製方法に関する。さらなる態様において、重合はペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ(tyosinase)、リパーゼ、ヘマチン、金属サレン錯体、メタロセン、陽イオン開始剤、陰イオン開始剤、ラジカル開始剤、または金属ハロゲン化物からなる群より選択される触媒で実行される。さらなる態様において、触媒はホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)である。さらなる態様において、触媒はFe-サレン錯体である。さらなる態様において、触媒はAIBNである。
【0073】
一部分において、本発明は抗酸化部分を含むマクロモノマーの重合を含む抗酸化ポリマーの調製方法に関し、該マクロモノマーは抗酸化部分で置換されたベンゼン環を含む。別の態様において、マクロモノマーは抗酸化部分で置換されたアルケンである。
【0074】
一部分において、本発明は抗酸化部分を含むマクロモノマーの重合を含む抗酸化ポリマーの調製方法に関し、該抗酸化部分はヒドロキシ置換ベンゼン環を含む。さらなる態様において、ベンゼン環は少なくとも1つのかさ高いアルキル基で置換される。さらなる態様において、かさ高いアルキル基はt-ブチル基である。さらなる態様において、t-ブチル基はヒドロキシ基に隣接する。さらなる態様において、ベンゼン環はヒドロキシ基に隣接する2つのt-ブチル基で置換される。
【0075】
一部分において、本発明は触媒を式I:



(式中、各々は独立に存在し、
nおよびmは0〜18(両端を含む)の整数である;
Zは-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-NH-、-CH=N-、-N=CH-、-C(O)-、-O-、-S-、-S-S-、-S=N-、-N=S-、-C(S)O-、-OC(S)-、-OP(O)(OR4)O-、-OP(OR4)O-、-C(O)OC(O)-、または結合である;
RはH、C1〜6アルキル、-OH、-NH2、-SH、アリール、エステルまたは

であり、式中、-OH基に隣接する少なくとも1つのRは、かさ高いアルキル基である;
R1はH、C1〜6アルキル、アリール、アラルキル、-OH、-NH2、-SH、またはエステルであり、ここで-OH基に隣接する少なくとも1つのR1は、かさ高いアルキル基である;
R4はH、C1〜6アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルである;ならびに
Mは

である;
式中R2はH、C1〜6アルキル、-OH、-NH2、-SH、アリール、エステルまたは

であり、少なくとも1つのR2は-OHである;および
R3はH、C1〜6アルキル、アリール、アラルキル、-OH、-NH2、-SH、またはエステルである)
を有するマクロモノマーと反応させることを含む抗酸化ポリマーの調製方法に関する。
【0076】
さらなる態様において、本発明は触媒を式Iおよび付随の定義のマクロモノマーと反応させることを含む抗酸化ポリマーの調製方法に関し、該触媒はペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、リパーゼ、ヘマチン、金属サレン錯体、メタロセン、陽イオン開始剤、陰イオン開始剤、ラジカル開始剤、または金属ハロゲン化物からなる群より選択される。別の態様において、該触媒はホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)である。別の態様において、該触媒はFe-サレン錯体である。別の態様において、該触媒はAIBNである。
【0077】
別の態様において、本発明は式Iおよび付随の定義のマクロモノマーを重合させることを含む抗酸化ポリマーの調製方法に関し、Zは-OC(O)-である。別の態様において、Zは-C(O)O-である。別の態様において、Zは-C(O)NH-である。別の態様において、Zは-NHC(O)-である。別の態様において、Zは-NH-である。別の態様において、Zは-CH=N-である。別の態様において、Zは-N=CH-である。別の態様において、Zは-C(O)-である。別の態様において、Zは-O-である。別の態様において、Zは-C(O)OC(O)-である。別の態様において、Zは-S-である。別の態様において、Zは-S-S-である。別の態様において、Zは-N=S-である。別の態様において、Zは-S=N-である。別の態様において、Zは-C(S)O-である。別の態様において、Zは-OC(S)である。別の態様において、Zは-OP(O)(OR4)O-である。別の態様において、Zは-OP(OR4)O-である。別の態様において、Zは結合である。
【0078】
別の態様において、本発明は式Iおよび付随の定義のマクロモノマーを重合させることを含む抗酸化ポリマーの調製方法に関し、-OHに隣接する両方のR基はかさ高いアルキル基である。さらなる態様において、両方のR基はt-ブチルである。
【0079】
別の態様において、本発明は式Iおよび付随の定義のマクロモノマーを重合させることを含む抗酸化ポリマーの調製方法に関し、Mは

である。
【0080】
別の態様において、本発明は式Iおよび付随の定義のマクロモノマーを重合させることを含む抗酸化ポリマーの調製方法に関し、Mは

である。
【0081】
別の態様において、本発明は式Iおよび付随の定義のマクロモノマーを重合させることを含む抗酸化ポリマーの調製方法に関し、少なくとも1つのRは

である。
【0082】
別の態様において、本発明は式Iおよび付随の定義のマクロモノマーを重合させることを含む抗酸化ポリマーの調製方法に関し、nは0である。
【0083】
別の態様において、本発明は式Iおよび付随の定義のマクロモノマーを重合させることを含む抗酸化ポリマーの調製方法に関し、mは1である。
【0084】
別の態様において、本発明は式Iおよび付随の定義のマクロモノマーを重合させることを含む抗酸化ポリマーの調製方法に関し、nは0であり、mは1である。
【0085】
別の態様において、本発明は式Iおよび付随の定義のマクロモノマーを重合させることを含む抗酸化ポリマーの調製方法に関し、nは0、mは1、およびZは-C(O)O-である。
【0086】
別の態様において、本発明は式Iおよび付随の定義のマクロモノマーを重合させることを含む抗酸化ポリマーの調製方法に関し、nは0、mは1、Zは-C(O)O-、およびOHに隣接する2つのR基はt-ブチルである。
【0087】
別の態様において、本発明は式Iおよび付随の定義のマクロモノマーを重合させることを含む抗酸化ポリマーの調製方法に関し、nは0、mは1、Zは-C(O)O-、OHに隣接する2つのR基はt-ブチル、およびMは

である。
【0088】
別の態様において、本発明は式Iおよび付随の定義のマクロモノマーを重合させることを含む抗酸化ポリマーの調製方法に関し、nは0、mは1、Zは-C(O)O-、OHに隣接する2つのR基はt-ブチル、Mは

、およびパラ位置のR2はOHである。
【0089】
別の態様において、本発明は式Iおよび付随の定義のマクロモノマーを重合させることを含む抗酸化ポリマーの調製方法に関し、nは0、mは1、Zは-C(O)O-、OHに隣接する2つのR基はt-ブチル、Mは

、パラ位置のR2はOH、および1つの隣接するR2はOHである。
【0090】
別の態様において、本発明は式Iおよび付随の定義のマクロモノマーを重合させることを含む抗酸化ポリマーの調製方法に関し、nは0、mは1、Zは-C(O)O-、OHに隣接する2つのR基はt-ブチル、Mは

、パラ位置のR2はOH、および2つの隣接R2はOHである。
【0091】
さらなる態様において、本発明は式Iおよび付随の定義のマクロモノマーを重合させることを含む抗酸化ポリマーの調製方法に関し、nは0、mは1、Zは-C(O)O-、OHに隣接する2つのR基はt-ブチル、およびMは

である。
【0092】
さらなる態様において、本発明は式Iおよび付随の定義のマクロモノマーを重合させることを含む抗酸化ポリマーの調製方法に関し、nは0、mは1、Zは-C(O)O-、OHに隣接する2つのR基はt-ブチル、Mは

、およびR3はHである。
【0093】
上記された抗酸化マクロモノマーの重合は、1)生体触媒としてのホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)か、または2)ヘマチンもしくはFe-サレンのような生体模倣体型触媒のいずれかを用いて酵素により合成した。
【0094】
1)HRPを用いるマクロモノマー抗酸化物の酵素的重合
酵素的重合の典型的なスキームをスキーム1に示す。


【0095】
置換ヒンダードフェノールを含有するマクロモノマーの場合、酵素により合成されたポリマー鎖は、主鎖中にC-CおよびC-O-C結合の双方を含有し得る。これらのポリマー物質が、フェノールの繰り返し単位間のC-C結合による電子の部分的非局在化の結果として、開始モノマー抗酸化物と色で異なり得る可能性が存在する。ポリマー抗酸化物の色が、C-C結合および電子の非局在化から生じるそれ固有の性質のためである場合、ポリマー抗酸化物の形成においてアクリレート官能化(functionalized)フェノールのマクロモノマーを用いることによって、かかる色の問題を回避することが可能である。
【0096】
マクロモノマー抗酸化化合物6を、開始剤α,α’-アゾビズ(イソブチロニトリル)(isobtyronitrile)(AIBN)を用いて重合させ、ポリマーのマクロモノマー抗酸化物を得た。重合反応をTHF溶液中で行った。該ポリマーの構造を高分解能NMR(図2b)で確認した。オレフィンのプロトンに対応する信号の消失は、重合反応を示した。
【0097】
2)Fe-サレンを用いるマクロモノマー抗酸化物の生体模倣的重合
生体模倣的重合の典型的なスキームをスキーム2に示す。


【0098】
ポリオレフィンにおけるポリマーのマクロモノマー抗酸化物の能力
ASTM D3895法を用いてポリオレフィンにおける抗酸化物の能力を評価した。これは、酸素雰囲気下での上昇温度における加速劣化試験である。ASTM D3895およびDIN EN728法において、示差走査熱量測定(DSC)器を用いて抗酸化物を含むポリマー材料の発熱反応による分解を検出する。典型的な実験条件は以下のとおりであった:試料を窒素雰囲気中200℃に達するまで20℃/分で加熱した。この温度にて、該試料を窒素雰囲気中一定の200℃で3分間維持した。この3分間の終わりに、気体を酸素へと変更した(流速20ml/分)。該試料を、それが分解し始めるまで、200℃にて維持し続けた。DSC曲線(図3参照)に示されるように、これは発熱流の急激な増加により示される。
【0099】
等温酸化誘導時間(OIT)を用いて、ポリオレフィンのポリマー抗酸化物の能力を比較する。ポリプロピレン試料を、抗酸化物の200重量ppmと混合することによって押し出して小ペレットにした。図3はこれらの材料に対するOITプロットを示す。ポリマーのマクロモノマー抗酸化物の能力は、イルガノックス(Irgonox) 1010と比較して約385%優れている。
【0100】
これらの抗酸化物の能力はまた、0.5%レベルの抗酸化物を含むポリプロピレン試料に対してOIT値を比較することによっても試験された。PPを含むポリマーのマクロモノマー抗酸化物およびIrganox 1010のOIT値は、それぞれ8分および33.2分である。これらの結果を表1に要約する。
【0101】
【表1】

【0102】
ポリマーのマクロモノマー抗酸化物の物理的特性
ある特定の態様において、主題の組成(compositions)のポリマーのマクロモノマー抗酸化物は、例えば任意のマクロモノマーの式で示される繰り返し成分を含むが、約2000ダルトン以下から約1,000,000ダルトン以上の範囲、すなわちあるいは約10,000、20,000、30,000、40,000もしくは50,000ダルトン、より詳細には少なくとも約100,000ダルトン、およびさらにより具体的には少なくとも約250,000ダルトンもしくはさらに少なくとも500,000ダルトンの分子量を有する。数平均分子量(Mn)もまた広範囲に変化し得るが、一般に約1,000〜約200,000ダルトンか、またはさらに約1,000〜約100,000ダルトンか、またはさらに約1,000〜約50,000ダルトンの範囲となる。1つの態様において、Mnは約8,000〜45,000ダルトン間で変化する。主題のポリマーの所定の試料中に、広い範囲の分子量が存在し得る。例えば、試料中の分子は2、5、10、20、50、100倍かそれ以上だけ異なる分子量、すなわち2、5、10、20、50、100倍かそれ以上だけ平均分子量と異なる分子量を有し得る。食物または食用品(例えばヒトの食用に適する製品)に対し、分子量は有利に、例えば1000amuより大きい等、十分大きく選択されるので、抗酸化ポリマーが胃腸管で吸収され得ない。ポリマー材料と混合された抗酸化ポリマーに対し、ポリマー材料による抗酸化ポリマーの拡散速度がポリマー材料の予測された寿命と比較して緩慢であるように、分子量が有利に選択される。
【0103】
分子量を測定するための1つの方法は、例えば混床(mixed bed)カラム、CH2Cl2溶媒、光散乱検出器、およびオフラインdn/dcのゲル透過クロマトグラフィー(「GPC」)によるものである。他の方法は当該分野において公知である。
【0104】
ある特定の態様において、ポリマーの固有粘度は、40℃のクロロホルム中約0.01〜約2.0dL/g、あるいは約0.01〜約1.0dL/g、および時折約0.01〜約0.5dL/gまで一般に変化する。
【0105】
主題のポリマーのガラス転移温度(Tg)は幅広く変化し、ポリマー成分の分枝の程度等の様々な要因等に依存し得る。本発明のポリマーのマクロモノマー抗酸化物が硬直した固体である場合、Tgは大抵約-10℃〜約80℃、特に約0〜50℃、およびさらにより詳しくは約25℃〜約35℃の範囲内である。他の態様において、Tgは十分低いので本発明の組成物を周囲温度にて流動可能に維持し得る。したがって、本発明に用いられるポリマーのマクロモノマー抗酸化物のガラス転移温度は、通常約0〜約37℃か、あるいは約0〜約25℃である。
【0106】
本発明の抗酸化ポリマーは、ホモポリマーかコポリマーのいずれかであり得る。コポリマーは好ましくは2つ以上、または3つ以上の異なる反復モノマー単位を含有し、その各々は様々なまたは同一の抗酸化特性(抗酸化活性を有さないモノマーを含む)を有する。コポリマーにおける繰り返し単位の同一性は、全体としてポリマーの抗酸化特性を改変するために選択され得、それにより調節可能な特性を有するポリマーを提供する。コポリマーにおける第二、第三および/またはさらなる繰り返し単位は、合成または天然の抗酸化物のいずれかであり得る。1つの実施例において、本発明の組成物は1つ以上のホモポリマーおよび1つ以上のコポリマーを(例えば混合して)含む。好ましくは、ホモポリマーおよびコポリマーの双方は、C-CまたはC-O-C結合で直接結合された2つ以上の置換ベンゼン繰り返し単位を含む。好ましくは、コポリマーの少なくとも50%、例えば少なくとも70%など、例えば少なくとも80%、しかし好ましくは約100%の繰り返し単位が、C-CまたはC-O-C結合で直接結合された置換ベンゼン繰り返し単位である。
【0107】
本発明の抗酸化ポリマーは、典型的に水性溶媒に不溶性である。非水性溶媒(例えば油)における抗酸化ポリマーの溶解度は、ポリマーの分子量に依存し、したがって高分子量ポリマーは典型的に非水性溶媒において溶解度に乏しい。本発明の抗酸化ポリマーが特定の溶媒または基質に不溶性であるとき、該溶媒または基質とよく混合されているのが好ましい。
【0108】
本発明の抗酸化ポリマーは分枝状または直線状であり得るが、好ましくは直線状である。
【0109】
マクロモノマー抗酸化物の合成
本発明のマクロモノマー抗酸化物は、いくつかの異なる方法および出発物質で調製され得る。以下はマクロモノマー抗酸化物の形成への合成経路:1)エステル化、2)アミド化(amidification)、3)ケトン形成、4)アルキル化、および5)無水物形成、である。
【0110】
1)エステル化
この取り組みにおいて、抗酸化特性を有する2分子以上を用いて、エステル化処理により高分子抗酸化分子を形成する。好適な抗酸化酸性型分子および/または抗酸化アルコール型分子がカップリングし、以下の方法:a)化学経路、b)酵素経路、およびc)化学酵素経路の1つによってエステル結合を形成する。
【0111】
a)化学経路
スキーム3は、トリエチルアミンのような塩基の存在下で酸塩化物および抗酸化アルコールの化学カップリング、その後の脱アセチル化が続いて本発明のマクロモノマーの形成を記載する。
【0112】

【0113】
1H NMR特性を図1a〜1cに示す。エステル結合の形成は、アルコールにおける4.6 ppmからアセチル化エステル生成物における5.35 ppmへのベンジルプロトンのシフトおよび生成物における 10 ppmでの4-アセトキシ安息香酸の酸性プロトン消失から明白にわかる(図1a)。図1b における2.3 ppmにおけるアセトキシピークの消失は、最終生成物の脱アセチル化の表示である。
【0114】
あるいは、マクロモノマー化合物1およびそのアナログは、トルエン中4-ヒドロキシ安息香酸および3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジルアルコールの混合物を、無水パラ-トルエンスルホン(sulponic)酸の存在下で還流することにより調製され得る。Journal of Natural Products, 2003, Vol. 66, No. 5。
【0115】
化合物1およびそのアナログの形成のための別の可能な化学合成アプローチは、スキーム4に示すような2相系の下、常温で臭素酸ナトリウムおよび亜硫酸水素ナトリウムを用いた、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-トルエン(toulene)(BHT)による4-ヒドロキシ-安息香酸のエステル化である。Tetrahedron (2003), 59, 5549-5554。
【0116】
スキーム4. 臭素酸ナトリウムおよび亜硫酸水素ナトリウムカップリング

【0117】
化合物1のアナログは、3,4-ジヒドロキシ安息香酸および3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸(没食子酸)で始めて上記の方法により調製され得、それぞれ、以下に化合物2および3として示し、または4-ヒドロキシ-ベンジルアルコールおよび3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-プロピオニルクロリドをカップリングさせることにより化合物4が得られる。

【0118】
b) 酵素的経路
生体触媒としてリパーゼを用い、バルクまたは溶液媒体のいずれかにおけるマクロモノマー抗酸化性分子の合成の一般的なスキームをスキーム5に示す。
【0119】
スキーム5. マクロモノマー抗酸化物の酵素的経路

【0120】
以下のスキームは、酵素的経路による4-ヒドロキシフェニル酢酸-3,5-ジ-tertブチル 4-ヒドロキシベンジルアルコールエステルの合成を示す。
【0121】
スキーム6. 4-ヒドロキシフェニル酢酸 -3, 5-ジ-tert ブチル 4-ヒドロキシベンジルの合成

【0122】
また、この手順を、トルエン溶媒をジメトキシポリエチレングリコールに置き換えて繰返した。
【0123】
エステル交換アプローチもまた、スキーム7に示すような酵素的経路により可能である。
【0124】
スキーム7. エステル交換を含む酵素的合成

【0125】
本発明のマクロモノマー抗酸化物はまた、スキーム8に示すように、アクリレート部分を含み得る。
【0126】
スキーム8. メタクリルマクロモノマー抗酸化物の酵素的経路

【0127】
c) 化学的酵素的(chemoenzymatic)経路
スキーム9は、マクロモノマー抗酸化物化合物1の形成の化学的酵素的経路を表す。
【0128】
スキーム9. 化合物1の化学的酵素的調製

【0129】
同様に、ビニルエステルは、反応を生成物の方にシフトさせることにより、カップリングを有効に促進する。
【0130】
2) アミド化(amidification)
アミド化法によるマクロモノマー抗酸化物合成の一般的なスキームを、化学的経路についてスキーム10に、酵素的経路についてスキーム11に示す。
【0131】
スキーム10. 化学的アミド化によるマクロモノマー抗酸化物合成

【0132】
スキーム11. 酵素的アミド化によるマクロモノマー抗酸化物合成

【0133】
3) ケトン形成
この合成経路下では、抗酸化マクロモノマーを合成するために、フリーデルクラフツ(Friedel-Craft)アシル化反応を用いる。
【0134】
例えば、2,6-ジ-tertブチルフェノールは、4-ヒドロキシ-ベンゾイルクロリドにより、三塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素または塩化亜鉛などのルイス酸の存在下でアシル化し、スキーム12に示すように化合物10が生成される。
【0135】
スキーム12. フリーデルクラフツアシル化

【0136】
この反応は、3,4 ジヒドロキシベンゾイルクロリドおよび3,4,5トリヒドロキシベンゾイルクロリドにアシル化剤として等しく適用可能である。
【0137】
レゾルシノールは、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-プロピオニルクロリド、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアセチルクロリドまたは3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンゾイルクロリドなどにより、三塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、塩化亜鉛などのルイス酸の存在下でアシル化され、スキーム13に示すように、抗酸化マクロモノマー(化合物11)が形成され得る。
【0138】
スキーム13. レゾルシノールのアシル化

【0139】
同様にして、ピロガロール(pyragallol)もまた、三塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、塩化亜鉛などのルイス酸の存在下で、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシプロピオニルクロリド、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアセチルクロリド、または3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾイルクロリドなどによりアシル化され、スキーム14に示すように、抗酸化性モノマー(化合物12)が形成され得る。
【0140】
スキーム14. ピロガロールのアシル化

【0141】
4) アルキル化
水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)および水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)などの広範囲の還元剤を用い、化合物10、11、および12中のカルボニル基を還元して、それぞれ、以下に示す化合物13、14、および15の新しい組のマクロモノマー抗酸化物を形成することが可能である。

【0142】
5) 無水物形成
無水物マクロモノマー構造の形成においてトリエチルアミンを塩基として用いるこの方法の一般的なスキームをスキーム15に示す。
【0143】
スキーム15. マクロモノマー抗酸化物の無水物合成経路

【0144】
用途
本発明の抗酸化ポリマーは、種々の用途に用いられ得る。本発明の抗酸化ポリマーは、フリーラジカル媒介性酸化が、油類、食物類(例えば、肉製品、乳製品、シリアル、飲料、クラッカー、ポテトフレーク、ベーカリー製品およびミックス、デザートミックス、ナッツ類、キャンディ類など)、ならびに脂肪または酸化を受けやすい他の化合物を含む他の製品(例えば、チューインガム、香味剤、イーストなど)などの食用製品を含む組成物の品質の劣化をもたらす多種多様な組成物中に存在させ得る。
【0145】
抗酸化ポリマーはまた、プラスチックおよび他のポリマー、エラストマー(例えば、天然または合成ゴム)、石油製品 (例えば、鉱物油、化石燃料、例えば、ガソリン、灯油、ディーセル油、暖房用油、プロパン、ジェット燃料)、接着剤、潤滑剤、塗料、顔料または他の着色商品、石鹸および化粧品(例えば、クリーム、ローション、ヘア製品) 中に存在させ得る。石鹸および化粧品は、特に、高割合の1種類以上の本発明の抗酸化ポリマーの添加の恩恵を被る。石鹸および化粧品は、抗酸化ポリマーの重量基準で、例えば、約1%〜約20% (例えば、約5%〜約15%)を含有し得る。
【0146】
抗酸化ポリマーは、さびおよび腐食抑制剤として金属をコーティングするために使用され得る。
【0147】
抗酸化ポリマーは、さらに、抗酸化性ビタミン類(ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE)および医薬用製品 (すなわち、医薬的に活性な薬剤を含有するもの)を分解から保護し得る。抗酸化ポリマーの添加は、ビタミンまたは医薬的に活性な薬剤が液体組成物中に存在するとき、特に有利であるが、抗酸化ポリマーはまた、固体組成物において有益性を有することが期待される。
【0148】
食料製品では、抗酸化ポリマーは酸敗を防止する。プラスチックでは、抗酸化ポリマーは、プラスチックが脆性になることおよび亀裂を防止する。
【0149】
本発明の抗酸化ポリマーは油に添加され、その貯蔵寿命および特性が延長され得る。これらの油は、植物性ショートニングまたはマーガリンとして調合され得る。油は、一般的に、植物供給源に由来し、綿実油、亜麻仁油、オリーブ油、ヤシ油、コーン油、ピーナッツ油、大豆油、ヒマシ油、ココナッツ油、サフラワー油、ヒマワリ油、キャノーラ(菜種)油およびゴマ油が挙げられる。これらの油は、1種類以上の不飽和脂肪酸、例えば、カプロレイン(caproleic)酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、エライジン酸、ブラシジン酸、エルカ酸、ネルボン(nervomc)酸、リノール酸、エレオステリン(eleosteric)酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、およびアラキドン酸、またはその部分水素化もしくは水素転移された(trans-hydrogenated)変形体を含有する。本発明の抗酸化ポリマーはまた、これらの脂肪酸の1種類以上を含有する食品または他の消耗製品に有利に添加される。
【0150】
多くの材料および包装材料などの該材料内に含まれる物質の貯蔵寿命は、本発明の抗酸化ポリマーの存在によって増強される。包装材料への抗酸化ポリマーの添加は、包装内部に含まれる製品に対してさらなる保護を提供すると考えられる。また、多くの包装材料自体、特に、ポリマーの性質は、用途とは無関係に(すなわち、包装における使用に限定されない)抗酸化物の存在によって増強される。包装材料の一般的な例としては、紙、厚紙ならびに種々のプラスチックおよびポリマーが挙げられる。包装材料は、抗酸化ポリマーで(例えば、抗酸化ポリマーを噴霧することにより、もしくは薄膜コーティングとして塗布することにより)コーティングされ得、抗酸化ポリマー (特に、ポリマーについて) とブレンドもしくは混合され得、または、別の場合では、内部に存在する抗酸化ポリマーを有し得る。一例では、ポリマー加工中でのその分解を最小限にするため、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリスチレンなどの熱可塑性ポリマーを、抗酸化ポリマーの存在下で溶融させる。また、抗酸化ポリマーをポリマー系材料と共押し出しし得る。
【0151】
本発明に含まれる包装材料の一例は、一般的に「スマートパッケージング(smart packaging)」と呼ばれる。スマートパッケージングは、例えば、パッケージングを介したガス交換を制御するように設計される。スマートパッケージングの例は、米国特許第5,911,937号、5,320,889号および4,977,004号に記載されており、その内容は、その全体が本明細書中に援用される。従来の型のスマートパッケージングの1つは、典型的には、防湿性(moisture-resistant)ポリマーまたはポリエチレンテレフタレート、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(エチレン)またはポリ(プロピレン)などのポリマーブレンド(polymer blend)の1種類以上の層の間に挟まれたナイロンまたはポリ(エチレン-コ-ビニルアルコール)などの酸素バリアの層を含む。防湿性ポリマーの層は、同じか異なるかのいずれかであり得る。本発明において、本明細書に記載の抗酸化ポリマーの1種類以上が、さらなる層として添加され得るか、または包装材料の1つの層とブレンドされ得る。
【0152】
包装材料として特に適した組成物の一例としては、ポリエチレンおよびポリマー1、典型的には、2つのポリマーが一緒にブレンドされたものが挙げられる。組成物中のポリマー1の割合は、典型的には、約10 ppm〜約100 ppmなどの約1 ppm〜約1,000 ppmである。組成物は、例えば、フィルムまたはペレットの形態であり得る。組成物はまた、化合物1〜15などのマクロモノマー系抗酸化物を含み得る。マクロモノマー系抗酸化物が存在する場合、濃度は、典型的には、約1 ppm〜約1,000 ppmである。
【0153】
抗酸化ポリマーおよび他の抗酸化物もしくはポリマーの混合物を有する概念は、一般的に、本明細書に記載の1種類以上の抗酸化ポリマーならびに1種類以上の合成および/または天然モノマー系および/またはオリゴマー系抗酸化物および/または保存剤の組合せに適用され得る。かかる組成物は、短期および長期両方の抗酸化的活性を有することが期待される。組成物中のマクロモノマーおよび/またはオリゴマーに対するポリマーの比は、組成物が、所望の組の特性を有するように選択され得る。例えば、マクロモノマーおよび/またはオリゴマーに対するポリマーの比は、約1:10〜約10:1などの約1:100〜約100:1であり得る。典型的には、かかる組成物中の抗酸化ポリマーの絶対濃度は、約0.1 ppm〜約10,000 ppmの範囲である。
【実施例】
【0154】
実施例1
酸塩化物および抗酸化物アルコールの化学的カップリング。塩化チオニルを、クロロホルム中の4-アセトキシ安息香酸の懸濁液に滴下し、反応混合物を還流した。反応混合物を4時間還流した後、クロロホルムおよび過剰の塩化チオニルを真空下で蒸留した。白色の酸塩化物生成物を真空下で2時間乾燥させ、次いで、乾燥ジクロロメタン中に溶解した。乾燥ジクロロメタン中トリエチルアミンおよび3,5ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジルアルコールの溶液をこれに滴下し、黄色の透明な溶液を得、窒素雰囲気中、室温でさらに5時間、反応混合物を攪拌した。次いで、飽和重炭酸ナトリウム水溶液を添加し、反応混合物をさらに30分攪拌した。有機層を分離し、トリエチルアミン-塩酸塩を水で洗浄除去し、生成物を乾燥させ、真空下で脱水し、後にカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル-石油エーテル)に供し、所望のエステルを得た。
【0155】
次いで、上記のエステル生成物を2%HCl-MeOH溶液に溶解し、脱アセチル化を起こすために室温で攪拌した。5時間後、反応混合物を大量の氷冷水中に注入し、溶液を酢酸エチルで抽出し、生成物を脱水し、次いで乾燥させた。出発材料4-アセトキシ安息香酸および3,5-ジ-tertブチル4-ヒドロキシベンジルアルコールおよびカップリングした生成物の1H NMRスペクトルを、それぞれ図1a〜1cに示す。
【0156】
実施例2
抗酸化マクロモノマー、4-ヒドロキシフェニル酢酸-3,5-ジ-tertブチル4-ヒドロキシベンジルアルコールエステルの酵素的合成。トルエン中3,5ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジルアルコールおよび4-ヒドロキシ-フェニル-酢酸の懸濁液に、モレキュラーシーブスの存在下、Candida AntarcticaリパーゼB (novozyme 435)を添加した。反応混合物を60℃で20時間攪拌した。反応の終了後、マクロモノマー(化合物5)を、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル 石油エーテル)を用いて精製した。この化合物の分子構造は、高分解能プロトンNMRによって構造VIIであると確認された。
【0157】
実施例3
エステル交換を含む抗酸化マクロモノマー、4-ヒドロキシフェニル酢酸-3,5-ジ-tertブチル4-ヒドロキシベンジルアルコールエステルの酵素的合成。トルエン中3,5ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジルアルコールおよび4-ヒドロキシ-フェニル-酢酸メチルエステルの懸濁液に、Candida AntarcticaリパーゼB(novozyme 435)を添加した。エステル交換の結果として生じるメタノールをトラップするためにモレキュラーシーブスを添加した。反応混合物を60℃で20時間攪拌した。マクロモノマー化合物(化合物5)をカラムクロマトグラフィーを用いて分離した。化合物の形成は高分解能プロトンNMRを用いて確認した。
【0158】
実施例4
アクリレート系抗酸化的ビニルマクロモノマー。マクロモノマー抗酸化物をリパーゼ (Novozyme 435)を用いて調製し、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルアルコールをメタクリル酸のビニルエステルモノマーにカップリングさせた。酵素的反応を、トルエン中で40℃で8時間行なった。反応生成物を分離し、マクロモノマー生成物の構造を高分解能プロトンNMRによって確認した。
【0159】
実施例5
化学的酵素的カップリング。4-ヒドロキシ2,2,2-トリフルオロエチルベンゾエートを、微量の硫酸をトリフルオロエタノールおよび4-ヒドロキシ-安息香酸の混合物に添加することによって合成した。トリフルオロ-エステルは、反応を生成物エステルにシフトさせることによりカップリングを有効に促進する。3,5ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジルアルコールでのこの化合物のリパーゼ触媒型エステル交換により、構造IIの化合物が得られる(K. Faber, Biotransformations in Organic Synthesis, Springer, New York, 2000, 347ページ)。
【0160】
実施例6
マクロモノマー抗酸化物のHRP酵素的重合。マクロモノマー(化合物1、0.5ミリモル)をMeOH:pH=7(10ml)リン酸塩バッファーに溶解し、5 mgのHRP酵素をこれに添加した。反応混合物に5%過酸化水素溶液を、3時間の期間にわたって徐々に増やしながら添加した。添加終了後、反応混合物をさらに24時間攪拌した。反応終了後、メタノールおよび水を除去し、生成物を水で洗浄し、乾燥させた。ポリマーを、高分解能プロトンNMRを用いて特徴付けし、分子量は、参照ポリスチレン標準でゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて3500であると推定された。
【0161】
実施例7
マクロモノマー抗酸化物のFe-サレン(Fe-salen)生体模倣的(biomimetic)重合。化合物1 (4g)をTHF (20ml)に溶解し、80 mgのFe-サレンを添加した。反応混合物に25%過酸化水素溶液を、1時間の期間にわたって徐々に増やしながら添加した。添加終了後、反応混合物をさらに24時間攪拌した。反応終了後、THFを除去し、生成物を水で洗浄し、乾燥させた。
【0162】
参考文献の援用
本明細書に引用したすべての特許および公報は、参照により本明細書に援用される。
【0163】
均等物
当業者は、単なる日常的な実験手法を用いて、本明細書に記載した本発明の具体的な態様に対する多くの均等物を認識し、確認することができる。かかる均等物は、以下の特許請求の範囲に包含されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1A】図1Aはa)4-アセトキシ安息香酸の1H NMRスペクトルを示す。
【図1B】図1Bはb)3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルアルコールの1H NMRスペクトルを示す。
【図1C】図1Cはc)4-アセトキシ安息香酸、および3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルアルコールから形成されたマクロモノマー(化合物1)の1H NMRスペクトルを示す。
【図1D】図1Dはd)アセチル化モノマー(化合物1)の脱アセチル化から形成されたマクロモノマーの1H NMRスペクトルを示す。
【図1E】図1Eはe)マクロモノマー6の1H NMRスペクトルを示す。
【図2A】図2Aはa)アセチル化モノマー(化合物1)の脱アセチル化から形成されたポリ(マクロモノマー化合物1)の1H NMRスペクトルを示す。
【図2B】図2Bはb)ポリ(マクロモノマー化合物6)の1H NMRスペクトルを示す。
【図3】図3は、200 ppmの高分子マクロモノマー抗酸化物(ポリマー1)を含有するポリプロピレン試料(線(trace)2)、およびイルガノックス(Irganox) 1010(線1)の酸化誘導時間(oxidative induction time)(OIT)(分)の比較を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗酸化性部分を含むマクロモノマーを重合させる工程を含む抗酸化ポリマーの作製方法。
【請求項2】
重合が、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ(tyosinase)、リパーゼ、ヘマチン、金属-サレン錯体、メタロセン、カチオン系開始剤、アニオン系開始剤、ラジカル開始剤、または金属ハロゲン化物からなる群より選択される触媒を用いて行なわれる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
触媒がホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
触媒がFe-サレン錯体である、請求項2記載の方法。
【請求項5】
触媒がAIBNである、請求項2記載の方法。
【請求項6】
マクロモノマーが、抗酸化性部分で置換されたベンゼン環を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
マクロモノマーが、抗酸化性部分で置換されたベンゼン環を含み、該抗酸化性部分がヒドロキシ置換ベンゼン環を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
マクロモノマーが、抗酸化性部分で置換されたアルケンである、請求項1記載の方法。
【請求項9】
マクロモノマーが、抗酸化性部分で置換されたアルケンであり、該抗酸化性部分がヒドロキシ置換ベンゼン環を含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
抗酸化性部分がヒドロキシ置換ベンゼン環を含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
抗酸化性部分がヒドロキシ置換ベンゼン環を含み、ベンゼン環が、少なくとも1つのかさ高いアルキル基でさらに置換されている、請求項1記載の方法。
【請求項12】
抗酸化性部分がヒドロキシ置換ベンゼン環を含み、ベンゼン環が少なくとも1つのt-ブチル基でさらに置換されている、請求項1記載の方法。
【請求項13】
抗酸化性部分がヒドロキシ置換ベンゼン環を含み、ベンゼン環がヒドロキシ基に隣接する少なくとも1つのt-ブチル基でさらに置換されている、請求項1記載の方法。
【請求項14】
抗酸化性部分がヒドロキシ置換ベンゼン環を含み、ベンゼン環が、ヒドロキシ基に隣接する2つのt-ブチル基でさらに置換されている、請求項1記載の方法。
【請求項15】
式I:

式中、各存在について、独立して、
nおよびmは0〜18(両端を含む)の整数である;
Zは、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-NH-、-CH=N-、-N=CH-、-C(O)-、-O-、-S-、-S-S-、-S=N-、-N=S-、-C(S)O-、-OC(S)-、-OP(O)(OR4)O-、-OP(OR4)O-、-C(O)OC(O)-、または結合である;
Rは、H、C1〜6アルキル、-OH、-NH2、-SH、アリール、エステル、または


(式中、-OH基に隣接する少なくとも1つのRはかさ高いアルキル基である)である;
R1は、H、C1〜6アルキル、アリール、アラルキル、-OH、-NH2、-SH、またはエステルであり、ここで、-OH基に隣接する少なくとも1つのR1はかさ高いアルキル基である;
R4は、H、C1〜6アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルである;ならびに
Mは、


であり、
式中、
R2は、H、C1〜6アルキル、-OH、-NH2、-SH、アリール、エステル、または


であり、ここで、少なくとも1つのR2は-OHである;および
R3はH、C1〜6アルキル、アリール、アラルキル、-OH、-NH2、-SH、またはエステルである、
を有するマクロモノマーを重合させる工程を含む、抗酸化ポリマーの調製方法。
【請求項16】
重合が、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、リパーゼ、ヘマチン、金属-サレン錯体、メタロセン、カチオン系開始剤、アニオン系開始剤、ラジカル開始剤、および金属ハロゲン化物からなる群より選択される触媒を用いて行なわれる、請求項15記載の方法。
【請求項17】
触媒がホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
触媒がFe-サレン錯体である、請求項16記載の方法。
【請求項19】
触媒がAIBNである、請求項16記載の方法。
【請求項20】
Zが-OC(O)-である、請求項15記載の方法。
【請求項21】
Zが-C(O)O-である、請求項15記載の方法。
【請求項22】
Zが-C(O)NH-である、請求項15記載の方法。
【請求項23】
Zが-NHC(O)-である、請求項15記載の方法。
【請求項24】
Zが-NH-である、請求項15記載の方法。
【請求項25】
Zが-CH=N-である、請求項15記載の方法。
【請求項26】
Zが-N=CH-である、請求項15記載の方法。
【請求項27】
Zが-C(O)-である、請求項15記載の方法。
【請求項28】
Zが-O-である、請求項15記載の方法。
【請求項29】
Zが-C(O)OC(O)-である、請求項15記載の方法。
【請求項30】
Zが-S-である、請求項15記載の方法。
【請求項31】
Zが-S-S-である、請求項15記載の方法。
【請求項32】
Zが-S=N-である、請求項15記載の方法。
【請求項33】
Zが-N=S-である、請求項15記載の方法。
【請求項34】
Zが-C(S)O-である、請求項15記載の方法。
【請求項35】
Zが-OC(S)-である、請求項15記載の方法。
【請求項36】
Zが-OP(O)(OR4)O-である、請求項15記載の方法。
【請求項37】
Zが-OP(OR4)O-である、請求項15記載の方法。
【請求項38】
Zが結合である、請求項15記載の方法。
【請求項39】
-OH基に隣接する両方のR基がかさ高いアルキル基である、請求項15記載の方法。
【請求項40】
-OH基に隣接する両方のR基がt-ブチルである、請求項15記載の方法。
【請求項41】
Mが


である、請求項15記載の方法。
【請求項42】
Mが


である、請求項15記載の方法。
【請求項43】
少なくとも1つのRが、


である、請求項15記載の方法。
【請求項44】
nが0である、請求項15記載の方法。
【請求項45】
mが1である、請求項15記載の方法。
【請求項46】
nが0であり、mが1である、請求項15記載の方法。
【請求項47】
nが0であり、mが1であり、Zが-C(O)O-である、請求項15記載の方法。
【請求項48】
nが0であり、mが1であり、Zが-C(O)O-であり、OHに隣接する2つのR基がt-ブチルである、請求項15記載の方法。
【請求項49】
nが0であり、mが1であり、Zが-C(O)O-であり、OHに隣接する2つのR基がt-ブチルであり、Mが


である、請求項15記載の方法。
【請求項50】
nが0であり、mが1であり、Zが-C(O)O-であり、OHに隣接する2つのR基がt-ブチルであり、Mが


であり、パラ位のR2はOHである、請求項15記載の方法。
【請求項51】
nが0であり、mが1であり、Zが-C(O)O-であり、OHに隣接する2つのR基がt-ブチルであり、Mが


であり、パラ位のR2がOHであり、1つの隣接R2がOHである、請求項15記載の方法。
【請求項52】
nが0であり、mが1であり、Zが-C(O)O-であり、OHに隣接する2つのR基がt-ブチルであり、Mが


であり、パラ位のR2がOHであり、パラOHに隣接する2つのR2がOHである、請求項15記載の方法。
【請求項53】
nが0であり、mが1であり、Zが-C(O)O-であり、OHに隣接する2つのR基がt-ブチルであり、Mが


である、請求項15記載の方法。
【請求項54】
nが0であり、mが1であり、Zが-C(O)O-であり、OHに隣接する2つのR基がt-ブチルであり、Mが


であり、R3がHである、請求項15記載の方法。
【請求項55】
式I:


式中、各存在について、独立して、
nおよびmは0〜18(両端を含む)の整数である;
Zは、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-NH-、-CH=N-、-N=CH-、-C(O)-、-O-、-S-、-S-S-、-S=N-、-N=S-、-C(S)O-、-OC(S)-、-OP(O)(OR4)O-、-OP(OR4)O-、-C(O)OC(O)-、または結合である;
Rは、H、C1〜6アルキル、-OH、-NH2、-SH、アリール、エステル、または


(式中、-OH基に隣接する少なくとも1つのRはかさ高いアルキル基である)である;
R1は、H、C1〜6アルキル、アリール、アラルキル、-OH、-NH2、-SH、またはエステルであり、ここで、-OH基に隣接する少なくとも1つのR1はかさ高いアルキル基である;
R4は、H、C1〜6アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルである;ならびに
Mは、


であり、
式中、
R2は、H、C1〜6アルキル、-OH、-NH2、-SH、アリール、エステル、または


であり、ここで、少なくとも1つのR2は-OHである;および
R3はH、C1〜6アルキル、アリール、アラルキル、-OH、-NH2、-SH、またはエステルである、
を有するマクロモノマーおよび少なくとも1種類の他の異なるモノマーを重合させる工程を含む、抗酸化ポリマーの調製方法。
【請求項56】
重合が、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、リパーゼ、ヘマチン、金属-サレン錯体、メタロセン、カチオン系開始剤、アニオン系開始剤、ラジカル開始剤、および金属ハロゲン化物からなる群より選択される触媒を用いて行なわれる、請求項55記載の方法。
【請求項57】
触媒がホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)である、請求項55記載の方法。
【請求項58】
触媒がFe-サレン錯体である、請求項55記載の方法。
【請求項59】
触媒がAIBNである、請求項55記載の方法。
【請求項60】
少なくとも1種類の他の異なるモノマーが抗酸化性部分を含む、請求項55記載の方法。
【請求項61】
抗酸化ポリマーがランダムコポリマーである、請求項55記載の方法。
【請求項62】
抗酸化ポリマーがブロックコポリマーである、請求項55記載の方法。
【請求項63】
抗酸化ポリマーが、当量の抗酸化性モノマーよりも、ppmで測定したとき、少なくとも100、150、200、250、300、350、385、または400%大きいバルク抗酸化特性を有する、請求項55記載の方法。


【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−507276(P2008−507276A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522638(P2007−522638)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/025513
【国際公開番号】WO2006/014605
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(507020037)ポルノクス コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】