説明

折り畳み積層体の品質検査装置及びそれを備えた搬送設備

【課題】折り畳み積層体の不良の有無をより正確に判断する折り畳み積層体の品質検査装置及びそれを備えた搬送設備を提供する。
【解決手段】複数枚のシートを折り畳みながら積み重ねるように形成した折り畳み積層体1に対して、上方から撮像し撮像データを生成する撮像装置3と、撮像装置で生成された撮像データに基づき折り畳み積層体不良の有無を判定する画像処理装置と、を備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み積層体の品質検査装置及びそれを備えた搬送設備に関し、詳しくは折り畳み積層体における最上位のシートの折り返し部分の浮き上がりやめくれの有無、折り畳み積層体の90°反転(側面の折り返し部が上側に向く)の有無、最上位のシートへの紙粉、油、虫等の異物の付着の有無等を検査する品質検査装置及びそれを備えた搬送設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ティッシュペーパー、ペーパータオル等の複数枚のシートを折り畳みながら積み重ねるように形成した折り畳み積層体(バンドル)は、袋や箱等の取出し口より1枚ずつ取出し可能で、かつ取出した後に、次のものの一部が取出し口より引き出されるように、一部が重合するようにして順次折り重ねられている。これら折り畳み積層体は、インターフォルダにより製造され、そして、(折り畳み積層体の)幅方向に所定の間隔をおいてカット(スリット)され、その後、搬送され、箱詰め等の処理を経てティッシュペーパー等の製品となる。
ここで、折り畳み積層体が箱詰めされる際に、何らかの異常で、折り返し部分が上面になって(折り畳み積層体の90°反転)、収納体に箱詰めされてしまう場合がある(縦詰め)。また、折り畳み積層体の最上位のシートが浮き上がりやめくれた状態で収納体内に箱詰めされると、シートの取出しができないという問題もある。さらに、シートに紙粉、油、虫等の異物が付着することにより、シートの取出しの際に、異物が飛散して周りを汚す虞もある。
そこで、従来より、このような異常な箱詰めをされた製品を検出する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術は、折り畳み積層体を収納体に押し込む前に、光学式センサーである反射式光電スイッチでシートの凹凸等を検知し、正常・異常の判断を行なうものである。
【特許文献1】特開平5−178317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、製造技術の進歩により、センサー感度を良くしなければ、上記のようなシートの凹凸を検知することが難しくなっている。一方、センサー感度を良くしても、若干の凹凸があるが正常な状態の折り畳み積層体を異常としてしまう場合がある。また、紙粉、油、虫等の異物の発見は、肉眼では難しい。
そこで、本発明の主たる課題は、折り畳み積層体の不良の有無をより正確に判断する折り畳み積層体の品質検査装置及びそれを備えた搬送設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明は、次のとおりである。
<請求項1記載の発明>
請求項1記載の発明は、複数枚のシートを折り畳みながら積み重ねるように形成した折り畳み積層体に対して、上方から撮像し撮像データを生成する撮像装置と、撮像装置で生成された撮像データに基づき折り畳み積層体不良の有無を判定する画像処理装置と、を備えた、ことを特徴とする折り畳み積層体の品質検査装置である。
【0005】
<請求項2記載の発明>
請求項2記載の発明は、前記画像処理装置は、検査対象部分を折り畳み積層体の上面とした撮像データに基づき、画素の座標位置と明暗の濃度数値のデータを算出する算出手段と、これらデータと予め設定した基準データとのズレが所定範囲内であるか否かに基づき、折り畳み積層体不良の有無を判定する判定手段と、備えた構成である、請求項1記載の折り畳み積層体の品質検査装置である。
【0006】
(作用効果)
複数枚のシートを折り畳みながら積み重ねるように形成した折り畳み積層体に対して、上方から撮像し撮像データを生成する撮像装置と、撮像装置で生成された撮像データに基づき折り畳み積層体不良の有無を判定する画像処理装置と、を備えることにより、従来のものよりもより正確に折り畳み積層体不良の有無を判断することができる。
具体的に、画像処理装置を、検査対象部分を折り畳み積層体の上面とした撮像データに基づき、画素の座標位置と明暗の濃度数値のデータを算出する算出手段と、これらデータと予め設定した基準データとのズレが所定範囲内であるか否かに基づき、折り畳み積層体不良の有無を判定する判定手段と、備えた構成により、より正確に折り畳み積層体不良の有無を判断することができる。
【0007】
<請求項3記載の発明>
請求項3記載の発明は、前記請求項1又は2記載の折り畳み積層体の品質検査装置を備え、不良と判断された折り畳み積層体を収納体への箱詰め後又は箱詰め前にラインから排出されるように構成した、折り畳み積層体搬送設備である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、折り畳み積層体の不良の有無をより正確に判断することができる等の利点がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図に沿って本発明の実施の形態の一例を説明する。
折り畳み積層体1は、例えば、ティッシュペーパー、ペーパータオル等のバンドルのように、複数枚の紙や繊維等からなるシートをジグザグ状又はZ字状に折り畳み、隣接するシートの側端部相互が掛け合わされ、製品使用時において、最上位のシートを引き取ると次のシートが引き出されるようになるように積み重ねて形成したものである。
【0010】
この折り畳み積層体1は、インターフォルダにより製造され、そして、(折り畳み積層体の)幅方向に所定の間隔をおいてカット(スリット)され、その後、箱詰め工程に向けバケット(コンベア)2A等のコンベア2により搬送される。ただし、コンベアは特にバケットコンベアに限られるものではない。
【0011】
折り畳み積層体1の品質検査は、インターフォルダにより製造され、かつまだ箱詰めされていない状態での搬送中に行なわれるものである。検査内容は、図2(2)に示すような折り畳み積層体1における最上位又はその近傍も含めたシートの折り返し部分の浮き上がりやめくれの有無、図2(3)に示すような折り畳み積層体の90°反転(側面の折り返し部が上側に向く)の有無、図2(4)に示すような最上位のシートへの紙粉、油、虫等の異物の付着の有無等である。
【0012】
本発明に係る折り畳み積層体1の品質検査装置は、図1に示すように、折り畳み積層体1の上面を撮像する撮像装置3と、撮像装置3で生成された撮像データを画像処理し、折り畳み積層体不良の有無を判定する画像処理装置(図示せず)と、を備えている。
【0013】
撮像装置3としては、CCD方式の白黒カメラ又はカラーカメラのいずれかを用いることができるが、判定精度はカラー検出の方がよいためカラーカメラを用いることが好適である。この撮像装置3で生成される撮像データは静止画である。
【0014】
撮像装置3は、コンベア2の上方に設けられており、かつ垂直下方にレンズを向けて折り畳み積層体1の上方を撮像対象とするように配設されている。そして、検査対象部分は折り畳み積層体1の上面であり、通常であれば、最上位のシートを検査対象とする。また、折り畳み積層体1の最上位のシートのめくれや表面の凹凸を明確に認識しやすくするために、撮像装置3に隣接して、折り畳み積層体1の上面に光を照射する光源を設けることが望ましく、さらに、折り畳み積層体1の上面に対して斜め方向から光を照射することが好適である。
【0015】
折り畳み積層体1の品質検査装置の検査開始トリガとして、図1に示すように、光電センサー4が、コンベア2の進行方向に対して撮像装置3と略同一の任意の位置に設けられており、バスケット2Aがこの光電センサー4を通過することにより、撮像装置3により折り畳み積層体1が撮像される。
【0016】
撮像装置3で生成される撮像データは、画像処理のために画像処理装置、例えば所定の画像処理プログラムに従って作動するコンピュータに送信され、折り畳み積層体不良の有無が判定される。
【0017】
取得した撮像データは、後の処理を容易にするために、予め濃度やコントラスト等を調整することができる。撮像装置において、絞りやゲインを調節できる場合には、これらを調節し良好な撮像データが得られるようにするのが好ましい。
【0018】
撮像装置3で捕らえた画像は、2次元座標に多数配置された画素(電荷素子)ごとに分割される。そして、コンピュータの算出手段により、各画素が検知した明暗の濃度が数値化され、画素の座標位置とともに画像処理装置のメモリユニットに検査画像データ(数値データ)として記憶される。この数値データは、X−Y座標における座標位置と明暗の濃度数値のデータである。各画素は、その位置がX−Y座標系の座標(x,y)で表され、画素がとらえた画像の特性は、数値化された明暗の濃度で表現される。
【0019】
以下に、この折り畳み積層体不良の検査例について詳説する。
まず、折り畳み積層体の上面の基準となる検査見本の撮像データを画像処理装置に入力し、画像処理装置のメモリユニットに基準データを記憶させる。折り畳み積層体1の上面の基準となるのは、図2(1)に示すような、上方から見て、最上位のシートの端縁が上面の略中央にあるときであり、この基準データが個々の検査対象の折り畳み積層体不良の有無を判定する基準となる。
次に、検査対象の個々の折り畳み積層体は、コンベア搬送中に、撮像装置3により撮像され、その撮像データは検査画像データとして記憶される。
そして、コンピュータの判定手段により、基準データと個々の検査画像データとを比較して相違点が抽出され、折り畳み積層体不良の有無が判定される。不良と判断されるのは、例えば:
第1に、図2(2)に示すような、最上位又はその近傍も含めたシートの折り返し部分の浮き上がりやめくれがある場合である。これは、最上位又はその近傍も含めたシートの端縁が上面の略中央にあるときは、最上位のシート全面が白色で検出されるが、浮き上がりやめくれがある場合には影ができ、黒色で検出されるため、不良と判断される。
第2に、図2(3)に示すような、折り畳み積層体が90°反転していた場合である。通常、側面の折り返し部が上側に向くことにより凹凸が出来るため、その部分が影となり画像に黒色の筋が多数映し出され、不良と判断される。
第3に、図2(4)に示すような、最上位のシートに紙粉、油、虫等の異物が付着していた場合である。異物とシートとの間に影ができ、画像に黒く映し出され不良と判断される。もしくは、異物が白以外の色であった場合、画像に黒く映し出され不良と判断される。異物と認定する範囲は、任意に設定できるが、φ2.0mm以上の異物が1個以上認識されたとき、不良と判断するのが好ましい。
上記のように、許容されうる基準値を外れた場合に、折り畳み積層体不良と判断されるものである。不良と判断された折り畳み積層体は、箱詰め後又は箱詰め前にラインから作業員による手動又は自動排出手段により排出される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】折り畳み積層体の品質検査装置を説明するための概略図である。
【図2】折り畳み積層体の良・不良のサンプル例を説明するための概略図である。
【符号の説明】
【0021】
1…折り畳み積層体、2…コンベア、2A…バスケット(コンベア)、3…撮像装置、4…光電センサー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のシートを折り畳みながら積み重ねるように形成した折り畳み積層体に対して、上方から撮像し撮像データを生成する撮像装置と、
撮像装置で生成された撮像データに基づき折り畳み積層体不良の有無を判定する画像処理装置と、を備えた、
ことを特徴とする折り畳み積層体の品質検査装置。
【請求項2】
前記画像処理装置は、検査対象部分を折り畳み積層体の上面とした撮像データに基づき、画素の座標位置と明暗の濃度数値のデータを算出する算出手段と、
これらデータと予め設定した基準データとのズレが所定範囲内であるか否かに基づき、折り畳み積層体不良の有無を判定する判定手段と、備えた構成である、請求項1記載の折り畳み積層体の品質検査装置。
【請求項3】
前記請求項1又は2記載の折り畳み積層体の品質検査装置を備え、不良と判断された折り畳み積層体を収納体への箱詰め後又は箱詰め前にラインから排出されるように構成した、折り畳み積層体搬送設備。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−76261(P2008−76261A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−256594(P2006−256594)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】