説明

折り畳み自転車

【課題】容易に折り畳み可能で、折り畳んだ時に各部品の突起、汚れ易い部品を、備え付けのケースに収納し、キャリーバッグの様に見えるようにする。
【解決手段】トップチューブとシートチューブ及びハンドルを支持するステムに、180度折り返す箇所を設ける事で折り畳んだ時、シートチューブの上部・シートピラー・サドル・ハンドルが、下向きに畳まれる折り畳み自転車であり、折り返す箇所より、下側のシートチューブ部分に固定したアームで支持し、チェーンホイールからの動力を、シートチューブ最下部のピボットと回転軸を同軸にするスプロケットで一旦受け、同軸で直進状態の前輪を後方から見て左右に二分する中心線に位置するギアで、後輪側へ動力を伝える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車に持ち込む事を目的とした、折り畳み自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に有る折り畳み自転車は、軽量・コンパクトを優先し、折り畳んだ時の形状は優先順位が低い様で、軽量・コンパクトに折り畳めても、手間の掛かる折り畳み作業や、折り畳み後の各部品の突起、汚れ易い部品の露出等、列車内に持ち込むには他の乗客に気兼ねする覚悟が必要で、列車通勤等の使用は難しいものがあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする問題点は、折り畳み動作の複雑さと、列車内に持ち込む場合の折り畳時の突起の有る形状と、汚れ易い部品の露出。
カバーを掛ける方法も有るが、その作業に手間が掛かる事と、カバーでは列車内が混雑している場合、突起物を防ぎきれない事。
折り畳み時の運搬で、通常のキャリーバックの様な車輪では、騒音や振動が大きいため、折り畳み時にも自転車の車輪を利用する事。
普段、自転車に乗らない人にも乗ってもらえる様、走行時のフラ付を抑える事。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前輪に小径タイヤを持ち、後輪はDVD程の極小タイヤを左右に持ち、車体フレームと後輪の一部分以外を、備え付けのケースに収納した時、キャリーバッグの様に見える折り畳み自転車。
キャリーバッグを列車内に持ち込む事は、日常の事で他の乗客に気兼ねする必要は無くなる。
【0005】
折り畳むために、フレームは9ヵ所のピボットを持ち、これらのピボットの回転軸の方向は全て、直進時の車輪の回転軸と同方向に配置し、ヘッドチューブとシートチューブはピボットを取る場所がチューブの右側と左側に別れ、片側にダウンチューブ、もう片方にトップチューブを、横から見て交差する配置とする。
まず、下端の片側にピボットを持ち、下端とは反対側でチューブの幅一本分車体後方にオフセットした場所にブラケットを設け、そこに上端のピボットを取ったヘッドチューブのキャスター角を選択。
ヘッドチューブ下端と同側に、上端のピボットを持ち、ヘッドチューブ上端と同側に下端のピボットを持つシートチューブを、ヘッドチューブの角度より、シートチューブ上端のピボット付近で、チューブの幅一本分立たせる。この意味は、平行の場合、折り畳んだ時駆動系のギアと干渉してしまう事と、開いた時平行以上に開いてしまい都合が悪いためで、このシートチューブとヘッドチューブは上方から見て一直線に配置する。
両端にピボットを持ち、中央より下側の位置で、平行にチューブの幅一本分下げられた形状のダウンチューブで、ヘッドチューブ上端のピボットとシートチューブ下端のピボットを結び、両端にピボットを持つトップチューブで、ヘッドチューブ下端のピボットとシートチューブ上端のピボットを結ぶ。
トップチューブとダウンチューブはクロスするので、そのクロスする部分にもピボットを設けトップチューブとダウンチューブを結ぶ。
また、シートチューブとトップチューブに180度折り返す箇所を設けるが、シートチューブの場合、折り畳んだ時、トップチューブとダウンチューブのクロスするピボットの中心を支点に、トップチューブが畳まれ、ダウンチューブの上部のラインと同一線上に位置する。この時のトップチューブとシートチューブを繋ぐピボットの中心が一致する場所を計算し、シートチューブが180度折り返す、二箇所のピボットを設けシートチューブを上下二つに分離する。
トップチューブの場合、折り畳んだ時、ヘッドチューブ上部とダウンチューブを繋ぐピボットの中心を支点に、ヘッドチューブよりチューブ一本分後方に畳まれる。この時のトップチューブとダウンチューブを繋ぐピボットの中心が一致する場所を計算し、トップチューブが180度折り返す、二箇所のピボットを設けトップチューブを前後二つに分離し、シートをハンドル方向ではなく後輪方向へ折り畳む。
このシートチューブとトップチューブの180度折り返す箇所に、ロック機構を設けるが、180度折り返す箇所のチューブの内側に、シートピラーと同径のチューブをばねの力で押し込むタイプとし、ロック解除はワイヤーでチューブを引き抜く方式とする。
【0006】
同じ長さの二本のロッドを後方から見て上下平行に置き、それぞれのロッドの中央と両端に、車体前後方向に中心線を持つピボットを設け、中央のピボット付近を車体後方に平行を保ったまま湾曲させる。
この二本の湾曲した平行ロッドの、中央のピボットをチューブで上下に繋ぎ、それを前方に折り曲げ延長しダウンチューブと固定する。
車体フレームと繋がった上下二本の湾曲した平行ロッドの両端のピボットを、それぞれチューブで上下に繋ぎ後方に折り曲げた物が、左右のチェーンステーになる。
この平行な二本のロッドは車体がバンクした時、後輪の両輪は地面に接地しながら、左右のチェーンステー及び車輪は、車体のバンク角と同じ傾きをするためのもので、湾曲させる意味は、駆動で用いるチェーンと、その駆動を受けるギア等を支えるチューブとの干渉を避けるため。
【0007】
前項の平行な上下二本のロッドの上下を繋ぐ、スプリングとダンパーを持つ。その場所は、後に通すシャフトと干渉せずストロークを出来るだけ大きく取れる場所で、後方から見て上側のロッドの左側の湾曲した部分と、下側のロッドの左端を、同様に後方から見て上側の右側の湾曲した部分と下側のロッドの右端を、それぞれスプリングとダンパーで繋ぐ。
この意味は、走行時の車体のフラ付きを抑える事と停車時の自立。
【0008】
ペダルのクランクアームは、シートチューブに設けた四つのピボットの内、最下部と、最下部から二番目のピボットの間に固定した左右のアームで支える事で、折り畳み時にシートチューブ最下部のピボットを支点に回転し、前輪との干渉を避ける。
このため、左右のアームはフロントフォークと同じ幅かそれ以上にし、支点となるシートチューブ最下部のピボットと同軸にチェーンホイールからチェーンで動力を受けるスプロケットを設ける。
【0009】
ペダルからの動力を受け、左右の後輪を駆動しながら、車体のバンクに対応するため、バンク時、車体と後輪を支える上下に平行なロッド以後とは、別々の動きをするが、車体がバンクしても唯一位置関係の変化が無い、上下に平行なロッドの、中央のピボットの回転の中心を、上下に結ぶ線上から動力を受け、左右の後輪を駆動する。
シートチューブ最下部のギアと同軸のギアを、後方から見て、上下に平行なロッドの、中央のピボットの回転の中心を上下に結ぶ線上に設ける。同じ線上の後方にその駆動を受けるギアを設け、内側のドラムで固定し、ドラムはドラムの外径と内径を同じくするベアリングを介してダウンチューブに固定する。
ドラムの外周のギアから受けた動力を左右の後輪へ伝えるため、ドラムの回転の中心にシャフトを通し左右に伝えるが、シャフトとドラムの接続は、12時・3時・6時・9時の場所に放射方向の回転軸のピボットを持つリングを用いて、12時と6時の場所はドラムと、3時と9時の場所はシャフトと結び、12時と6時のピボットの回転軸は、直立時後方から見て、上下に平行なロッドの、中央のピボットの回転の中心を上下に結ぶ線上に設ける。
同じリングとドラムを左右に設け、12時と6時の場所はドラムと、3時と9時の場所はシャフトと結び、12時と6時のピボットの回転軸は、直立時後方から見て、上下に平行なロッドの、左右それぞれのピボットの回転の中心を上下に結ぶ線上に設け、ドラムは後輪用チェーンホイールとベアリングを介してチェーンステーに固定する。
【0010】
変速機を用いる場合、通常の多段ギアにチェーンを移動させて変速するのではなく、二輪車や四輪車に用いられている、二軸式変速機とする事で、変速時のチェーンの脱落を防ぐ。
ギアボックスをペダルのクランクアーム支持部に固定し、一軸目をクランクアームの回転軸と同軸とし、二軸目をその後方下側に置く。
二軸目からの出力をギアボックス外側のダウンチューブとは反対側に設けたギアで行うが、このままでは回転が逆周りなため、ギアボックスからの出力ギアにもう一枚のギアをあて、シートチューブ最下部のピボットと同軸のスプロケットとの、位置を合わせるための小径のチェーンホイールも設け、短いシャフトで繋ぎチェーンで駆動する。
【0011】
左右の後輪はそれぞれコグとベアリングを介して左右のチェーンステーに取り付け、後輪外側にコグと同軸のスプロケットを設ける。
チェーンステーと結ぶ左右の後輪の位置は、直立時後方から見て、上下に平行な二本のロッドの、左右それぞれのピボットの回転の中心を上下に結ぶ線の外側では、バンク時にコーナー外側の車輪が上がりコーナー内側の車輪が下がるため、結果バンク角が浅くなる。それを補うため、上下に平行な二本のロッドとシャフトが、より大きく傾斜する事になり、不必要にドラムや中央のベアリングの径を大きく取る事になり、望ましくない。
逆に、内側ではバンク時にコーナー外側の車輪が下がりコーナー内側の車輪が上がるため、結果バンク角が深くなる。それを補うため、上下に平行な二本のロッドとシャフトの傾斜が小さくなる。
この事により、後輪は車輪を後方から見て左右に二分する中心線と、上下に平行な二本のロッドの、左右それぞれのピボットの回転の中心を上下に結ぶ線と同軸上に置くか、それより内側に置く様にチェーンステーを配置し、チェーンで結ぶチェーンホイールとスプロケットは、直立時上側から見て同一線上の位置に置く。
【0012】
シートピラーは、シートチューブの上端でシートピラーのサドル側が、若干前方にオフセットされた形状にし、その境目でシートピラーを分離、上側と下側が重なる中心で回転する様にする。上下のチューブの境目は平らに塞ぎ、間にベアリングのボールの様な物を挟み、サドルの位置決めをする。
サドルを回転させた時、シートピラー下側は回転しようとする軸がずれているため回転できず、シートピラー上側が回転する事になり、サドルを180度反転させた時初めて、シートピラーが一直線となり、シートピラーをシートチューブへ押し込む事ができる。
また、シートチューブの180度折り返す上の部分の内側下部に、ばねで支持されたシートピラーと同径の短いチューブを置き、これにワイヤーを繋げる。サドルを下げた時シートピラーが下がる事で、短いチューブが下がりワイヤーが引かれ、ハンドルのステム部分や、シートチューブとトップチューブの折り返す部分のロックが外れ、決して走行時に外れることは無い設定で、折り畳み動作の簡素化を図る。
【0013】
折り畳んだ時のバッグの様に見えるケースは、シートチューブ後方に取り付け、後から見て中央から左右に開閉する。サドルを回転させた時ロックが外れ、ばねにより開く様にし、折り畳み動作の簡素化を図る。
このケースはシートチューブに取り付ける事で、折り畳む時シートチューブは上下及び前後に向きを変えるので、ケースの開放部も折り畳み時は、前方になり、前輪とペダルの駆動部分、チェーンやサドルをケースに収納する事ができる。
【0014】
ハンドルは、ステム部のチューブ幅一本分前方にオフセットした場所に、180度折り返す部分を設け、その部分には車体前方に回転し下向きに折り畳まれる様ばねを設ける。
ロック機構は、折り返した時干渉しない程度間隔を開け、ステムの上側に設け、シートチューブ同様、ステムに開けた穴にばねの力でチューブを押し込むタイプとし、ロック解除もワイヤーでチューブを引き抜く方式とする。
ロック機構の両脇に固定した左右のアームは、折り畳んだ時フロントフォークと干渉しない様、上部で湾曲させその先端にハンドルのグリップ部分を取り付ける。
【0015】
ヘッドチューブ上方で、ダウンチューブのピボットとは反対側に、折り畳み時の運搬用にグリップを設ける。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップチューブとシートチューブ及びハンドルを支持するステムに、180度折り返す箇所を設ける事で折り畳んだ時、シートチューブの上部・シートピラー・サドル・ハンドルが、下向きに畳まれる折り畳み自転車。
【請求項2】
ペダルのクランクアームを、シートチューブの180度折り返す箇所より、下側のシートチューブ部分に固定したアームで支持し、チェーンホイールからの動力を、シートチューブ最下部のピボットと回転軸を同軸にするスプロケットで一旦受け、同軸で直進状態の前輪を後方から見て左右に二分する中心線に位置するギアで、後輪側へ動力を伝える折り畳み自転車。
【請求項3】
ペダルのクランクアームの支持部に固定したギアボックスと、クランクアームと同軸の一軸目のシャフトと、その後方下側に二軸目を持った、変速用ギアを常時噛み合わせる二軸式変速機で変速を行い、後輪を駆動する自転車。
【請求項4】
凹の字の、両端の縦棒と底辺の横棒を外した形状をした、同じロッドを二本用いて、車体と左右の後輪を結ぶが、凹んだ部分の中央を車体後方、両端の部分を車体前方左右の位置に置き、二本のロッドを上下平行に置く。
二本のロッドの中央と両端の六ヶ所に、車体前後方向の回転軸を持つピボットを設け、中央のピボットの回転軸を、直進状態の前輪を後方から見て、左右に二分する中心線の位置に置き、それをチューブで上下に繋ぎ、チューブを前方へ折り曲げた部分で車体フレームと固定。
両端のピボットを上下に繋ぎ、そのチューブを後方へ折り曲げた部分で左右の後輪を支持する自転車、及び、自動二輪車。
【請求項5】
上下に平行な二本のロッドを上下に繋ぐ、スプリングとダンパーを持つ自転車、及び、自動二輪車。
【請求項6】
左右の後輪を支持するステーと車体フレームに、車輪と回転軸の向きを同じにするベアリングで支持された左・中央・右の各ドラムを持つ。
左右のドラムは、ドラムと後輪を支持するステーの間に後輪に動力を伝えるギアを持ち、中央のドラムは外周にペダルからの動力を受けるギアを、直進状態の前輪を後方から見て左右に二分する中心線の位置に持ち、ドラムを支持するベアリングの内径はドラムの外径と同じくする。
各ドラムの回転軸は同一線上にし、その回転軸にシャフトを通し、各ドラムとシャフトをユニバーサルジョイントで結ぶリングを持つ自転車、及び、自動二輪車。
【請求項7】
直立状態で、左のドラムとシャフトを結ぶリングのユニバーサルジョイントの回転軸が、平行な上下二本のロッドの左側のピボットの回転の中心点を上下に結んだ線と同一線上であり、尚且つ、左後輪を後方から見て左右に二分する中心線と同一線上、或いは右側にある。
右側も同様で、直立状態で、右のドラムとシャフトを結ぶリングのユニバーサルジョイントの回転軸が、平行な上下二本のロッドの右側のピボットの回転の中心点を上下に結んだ線と同一線上であり、尚且つ、右後輪を後方から見て左右に二分する中心線と同一線上、或いは左側にある。
また、直立状態で、中央のドラムとシャフトを結ぶリングのユニバーサルジョイントの回転軸が、前輪を後方から見て左右に二分する中心線と、同一線上にあり尚且つ、平行な上下二本のロッドの中央のピボットの回転の中心点を、上下に結んだ線とも同一線上にある自転車、及び、自動二輪車。
【請求項8】
シートチューブの後方にキャリーバッグ風のケースを持ち、折り畳み時に、ハンドル・前輪・チェーンホイール・ペダル・シャフト・チェーンステー・シートチューブ・サドル・各チェーンを格納する折り畳み自転車。
【請求項9】
シートチューブを中心にサドルを回転させた時、キャリーバッグ風のケースのロックが、はずれると同時に後方から見て縦に二分する様、ばねの力でケースが開き、サドルを前後180度反転させた時、シートピラーをシートチューブへ押し込む事ができ、シートピラーが押し込まれる事でワイヤーが引かれ、車体フレームのロックが外れる機構を持つ折り畳み自転車。

【公開番号】特開2010−284978(P2010−284978A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−127674(P2008−127674)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【出願人】(505169950)
【Fターム(参考)】