説明

折畳みカートンの開口成形装置

【課題】カートンを確実かつ良好に開口成形し得る折畳みカートンの開口成形装置を提供する。
【解決手段】マガジン12に集積した扁平に折畳まれたカートン10は、取出し手段16で1枚ずつ吸着保持して取出される。取出し手段16からカートン10を受取った開口手段22が底面パネル10bを吸着保持して下降することで、カートン10が開口される。開口されたカートン10は、搬送コンベヤ14の搬送面に底面パネル10bが載置される。搬送コンベヤ14の搬送面より上方に、複数のガイドローラ28a,28bを搬送方向に並設した逆折り手段24が水平往復動自在に配設される。開口手段22で底面パネル10bが吸着保持されたカートン10に対し、逆折り手段24が待機位置から搬送コンベヤ14の上流側に向けて移動することで、カートン10は逆折りされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、集積部から取出したカートンを扁平に折畳まれた状態から筒状に開口成形する折畳みカートンの開口成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
扁平に折畳まれたカートンをマガジンから1枚ずつ取出して筒状に開口し、その開口状態のカートンを保持して下流側に搬送する途上で、開口部からカートン内に物品を収容する小箱詰め機が知られている。扁平に折畳まれたカートンには折り罫が付与されているが、この折畳まれて扁平となったカートンを筒状に開口する際にはカートンを元の扁平な状態に戻そうとする復元力が作用して開口が良好に行なえない場合があり、そのような問題への対応として、折畳まれたカートンを開口した後に逆折りしてカートンの折り罫部のこしを除去するようにした装置が提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。
【特許文献1】実公昭62−4495号公報
【特許文献2】特公平5−24015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示の装置は、カートンホッパから取出した扁平状のカートンをコンベヤで後方から押送しつつ、該カートンの前方角部をストッパに当接することで一旦開口したカートンを、下流側に配設したレールの隙間を通過案内することで逆折りしている。カートンを開口するに際して、カートンをストッパに当接させる時には該カートンの上下のパネルは何れも保持されておらず、カートンがストッパに当接した際に上下何れかに内折れして開口しないおそれがある。また、ボール紙等の傷付き易い素材からなるカートンの場合は、逆折り状態のカートンがレール間の通路内を下流側に押送される際にレールと擦れて傷が付いてしまうといった問題も指摘される。
【0004】
特許文献2に開示の装置は、マガジンから吸着して取出した扁平状のカートンの後方角部をガイドに当接させて一旦開口したカートンを、上方の突起付きコンベヤで押送する際に下部ガイドとの隙間を通過することでカートンを逆折りしている。このように、逆折り前にカートンを開口する際には、カートンの天面パネルを吸着した状態でカートンの後方角部をガイドに当接して開口するので、ガイドに当接したカートンが開口されることなく折り曲がってしまったり、あるいはカートンが吸着部から離脱してしまうといった難点が指摘される。また、コンベヤ上に取出されたカートンの突起付きコンベヤでの逆折り時には、カートンの底面パネルが下部ガイドにこすれた状態で押送されるため、特許文献1と同様にカートンにこすれ傷が付いてしまうといった難点が指摘される。
【0005】
本発明は、従来の技術に内在する前記課題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、カートンを確実かつ良好に開口成形し得る折畳みカートンの開口成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明の折畳みカートンの開口成形装置は、
扁平に折畳まれたカートンの天面パネルを吸着保持して集積部から取出し、下方の起函部まで移送する取出し手段と、
前記起函部において取出し手段で吸着保持したカートンの底面パネルを吸着して受取り、カートンを開口する開口手段と、
前記起函部が上流側に配され、該起函部での前記カートンの開口時に前記底面パネルを載置し、カートンの搬送時に後端を当接支持する当接部材を備えた一対の無端ベルトからなる搬送コンベヤと、
前記無端ベルトの搬送面より上方に配設され、前記搬送コンベヤの搬送方向下流側から上流側に向けて移動し、前記起函部において開口されたカートンを上流側に向けて略扁平状に折畳む逆折り手段とを備えることを特徴とすることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明では、前記逆折り手段は、カートン折畳み時にカートンとの当接部が転がり接触する可動体を有することを要旨とする。
【0008】
請求項3に係る発明では、前記逆折り手段は、搬送方向上流側に向けて移動した後、逆折りされたカートンの搬送に伴いカートン上部を搬送方向下流側に向けて移動するよう水平往復移動可能に構成されることを要旨とする。
【0009】
請求項4に係る発明では、逆折り状態のカートンを正開口するまでの前記搬送コンベヤでの搬送経路には、前記天面パネルを除くフラップを上方から支持するガイド部材を備えることを要旨とする。
【0010】
請求項5に係る発明では、前記搬送コンベヤの下流側に接続され、開口されたカートンを支持して搬送する前後の支持部材の間隔を調節可能に構成したカートンコンベヤと、
前記搬送コンベヤからカートンコンベヤへ逆折り状態のカートンが受渡される正起函部において、前記支持部材で搬送方向前端が支持された逆折り状態のカートンに上流側から当接してカートンの後側面パネルを起立する起立手段とを備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、折畳まれているカートンの各パネルが内折れしてしまうことなく良好に開口したもとで確実に逆折りすることができる。また、カートンを略扁平状に逆折りしてカートンの復元力を低減し、下流側でカートンを封緘処理するまでの搬送過程で開口状態を良好に保持することができる。更に、集積部から取出したカートンを搬送コンベヤに受渡して開口する起函部で該カートンの逆折りを行なうので、コンベヤライン長を短くすることができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、逆折り手段によってカートンを逆折りする際に、ボール紙等の傷付き易い素材からなるカートンであっても傷を付けることがない。
請求項3の発明によれば、カートンを逆折りした逆折り手段がカートンの下流側への移動に伴って搬送方向下流側に移動することで、次のカートンを搬送コンベヤへ受渡すまでのサイクルタイムを短かくすることができる。
請求項4の発明によれば、逆折り後のカートンを傷付けることなく搬送することができる。
請求項5の発明によれば、搬送コンベヤとカートンコンベヤとを同一水平ラインに設置して逆折り状態のカートンを開口することができる。また、逆折りされたカートンの復元力は弱く、カートンコンベヤの支持部材で支持したカートンの開口状態を維持して確実に搬送することができる。更に、カートンの前端を支持する支持部材の位置を変更することで、機械的構成を変更することなく異なるサイズのカートンに容易に対応し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明に係る折畳みカートンの開口成形装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【実施例】
【0014】
実施例に係る開口成形装置の取扱い対象となるカートン10は、矩形状の天面パネル10a、底面パネル10bおよび一対の側面パネル10c,10dを連設することで胴部が構成されると共に、各パネル10a,10b,10c,10dにおける開口部側の両端部にはフラップ10eが折畳み可能に夫々形成されている(図2および図3参照)。なお、実施例における天面パネル10aおよび底面パネル10bとは、後述する搬送コンベヤ14で搬送される際の上下関係で指称している。
【0015】
図1は、実施例に係る折畳みカートンの開口成形装置の全体構成を示す概略図であって、扁平に折畳んだ前記カートン10を、その開口部側が側方を向く姿勢で立てた状態で整列集積するマガジン(集積部)12を備え、該マガジン12には、天面パネル10aを取出し口に臨ませた状態でカートン10が集積される。マガジン12における取出し口の外方に、該マガジン12からカートン10を1枚ずつ取出して、下方に配置された搬送コンベヤ14の起函部(後述)まで移送する取出し手段16が配設されている。この取出し手段16は、複数の吸着カップ18aを備えて、図示しない回動機構により所要の動作(図1の一点鎖線で示す軌跡を吸着カップ18aが移動する動作)が付与される取出部18を有し、各吸着カップ18aによりマガジン12からカートン10の天面パネル10aを吸着して1枚づつ取出すよう構成される。また、カートン10の天面パネル10aを吸着保持した吸着カップ18aは、前記搬送コンベヤ14上方に近接した受渡し位置において吸引孔が下向きとなって、カートン10の底面パネル10bが搬送コンベヤ14の搬送面に対向するように、前記回動機構により作動される取出部18の吸着カップ18aの移動軌跡が設定されている。
【0016】
前記取出し手段16の下方に位置する前記搬送コンベヤ14は、図2に示す如く、幅方向に離間する一対の無端ベルト20,20を備え、各無端ベルト20には、走行方向に所定間隔で当接部材20aが配設されている。そして、搬送コンベヤ14では、後述する開口手段22に吸着されたカートン10の底面パネル10bが無端ベルト20,20に載置されると共に後端を当接部材20a,20aで当接支持した状態で、該無端ベルト20,20の間欠走行によってカートン10を下流側に搬送するよう構成される。
【0017】
前記搬送コンベヤ14の上流側には起函部が設けられており、該起函部には一対の無端ベルト20,20間において吸着カップ22aの吸引孔を上向きに備えた開口手段22が昇降動自在に配設されている。開口手段22は、吸着カップ22aの上端が、搬送コンベヤ14の搬送面と略同一かまたは僅かに下方の待機位置と、前記取出し手段16で吸着保持したカートン10が前記起函部に到来した際に、該カートン10の底面パネル10bに当接して吸着可能な吸着位置との間を昇降動するよう、図示しない駆動手段により作動される(図3参照)。
【0018】
前記搬送コンベヤ14の起函部において、開口手段22とにより開口した前記カートン10を逆折りする逆折り手段24が配設されている。この逆折り手段24は、図2に示す如く、幅方向に離間する一対の側板26,26間に、自由回転する複数のガイドローラ(可動体)28a,28bがカートン搬送方向に向けて所定間隔毎に並設されている。また逆折り手段24は、図示しない駆動手段により前記起函部より下流側の待機位置から上流側に向けて移動し、ガイドローラ28a,28bによりカートン10を、その側面パネル10cと天面パネル10aとを前記搬送コンベヤ14の無端ベルト20,20に押付けて前記マガジン12での折畳み状態とは反対側に逆折りして略扁平状とするように水平に往復移動する(図1参照)。なお、最上流側のガイドローラ28aは、図3に示す如く、逆折り手段24の待機位置において他のガイドローラ28bより上方に位置するように側板26,26間に配設され、カートン10を逆折りする際に、開口状態のカートン10における搬送方向前側に位置する側面パネル10cの上部に当接して該側面パネル10cを確実に下向きに折り曲げるよう構成される。なお、以後の説明において、搬送方向前側に位置する側面パネル10cを前側面パネル、搬送方向後側に位置する側面パネル10dを後側面パネル、と夫々指称するものとする。
【0019】
前記逆折り手段24における最上流側のガイドローラ28aの下流側に並設されるガイドローラ28bの下端レベルは一致し、これら下流側のガイドローラ28bの下端と前記搬送コンベヤ14の無端ベルト20,20上面との離間間隔は、折畳みカートン10の厚みと略同一または僅かに大きく設定されており、当該逆折り手段24と搬送コンベヤ14とにより挟まれて逆折りされるカートン10は略扁平状に折り返される。また逆折り手段24は、サーボモータ等の駆動モータによって駆動されるようになっており、搬送方向上流側に向けて移動した後、搬送コンベヤ14によるカートン10の搬送に伴ってカートン10の搬送速度と対応する速度で搬送方向下流側へ向けて移動する。
【0020】
前記逆折り手段24の下流側には、逆折りされたカートン10を搬送コンベヤ14で下流側に搬送する際に、カートン10の夫々のパネル10a,10cから左右に延出するフラップ10e,10eの上面を支持可能な一対の第1のガイド部材30,30が、幅方向に離間して配設されている。カートン10は逆折りされた後に復元力により僅かに開口するので、第1のガイド部材30,30は、そのカートン10の膨らみに対応してカートン10の上面を軽接触で支持可能な高さに対応した位置に設定され、逆折り手段24の待機位置における最下流側のガイドローラ28bから後述するカートン10の正起函部までの間に延在するように設けられる。従って、逆折りされたカートン10は、その天面パネル10aの上面部位は開放状態となって、ガイド等の支持部材に擦れることなく前記搬送コンベヤ14で搬送される。このように、逆折りされたカートン10は、復元力によって大きく開口されることがないので、逆折り後に再開口される正起函部まで搬送されるカートン10については、搬送コンベヤ14の当接部材20aから離脱することがない程度に前記第1のガイド部材30,30によって軽接触で上方から支持される。従って、本実施例の如く、フラップ10e,10eを第1のガイド部材30,30で支持して案内した場合であっても、天面パネル10aの左右に延出するフラップ10e,10eが下方に向けて折り曲がってしまうことはない。
【0021】
前記搬送コンベヤ14の下流側にカートンコンベヤ32が接続されている。カートンコンベヤ32は、図2に示す如く、幅方向に離間する一対の第1無端ベルト34,34からなる第1ベルトコンベヤ36と、両第1無端ベルト34,34の外側に位置する一対の第2無端ベルト38,38からなる第2ベルトコンベヤ40とから構成される。各第1無端ベルト34には、走行方向に所定間隔離間して複数の第1の支持部材34aが配設され、各第2無端ベルト38には、走行方向に所定間隔で複数の第2の支持部材38aが配設されている。そして、前記搬送コンベヤ14から受渡されて後述する起立手段42で開口された開口状態のカートン10の前端を第1の支持部材34a,34aで支持すると共に、該カートン10の後端を第2の支持部材38a,38aで支持した状態(図2参照)で、第1および第2ベルトコンベヤ36,40の間欠走行に伴ってカートン10を下流側に搬送するよう構成される。
【0022】
前記第1ベルトコンベヤ36および第2ベルトコンベヤ40は、夫々別の駆動モータ(図示せず)により独立して循環走行するよう構成され、カートン10のサイズに応じて前後で対をなす第1の支持部材34aと第2の支持部材38aとの相互間隔を調節し得るようになっている。
【0023】
前記搬送コンベヤ14とカートンコンベヤ32との接続部に設定される正起函部には、搬送コンベヤ14からカートンコンベヤ32へ受渡される逆折り状態のカートン10に、その搬送方向上流側から当接して、該カートン10を正開口する起立手段42が設けられる。この起立手段42は、図4に示す如く、カートンコンベヤ32の搬送始端部において前記無端ベルト34,38が巻き掛けられたプーリと同軸上に回転可能に配設された起立部材46を備え、回転軸44を図示しないサーボモータ等からなる駆動モータで回転することにより、起立部材46がカートンコンベヤ32の搬送面の下方から上方に向けて回動することで、該起立部材46が逆折り状態のカートン10に当接して後側面パネル10dを、カートンコンベヤ32の搬送面に対して垂直姿勢となる位置まで起立させて開口する。なお、起立部材46は、後側面パネル10dを垂直姿勢とする起立位置まで回動した時点で一旦停止し、開口されたカートン10の前端を支持している第1の支持部材34aとにより該カートン10を前後から支持し、その後のカートンコンベヤ32の走行に伴って回動を再開し、第2の支持部材38aがカートン10の後部に至って両支持部材34a,38aで開口されたカートン10の前後を支持してカートンコンベヤ32の下流に向けて搬送した所定のタイミングで搬送面の下方まで回動するよう前記駆動モータが回転制御される。
【0024】
前記カートンコンベヤ32の上方には、図1に示す如く、開口されたカートン10の天面パネル10aの上面を支持可能な一対の第2のガイド部材48が幅方向に離間して配設されている。
【0025】
前記搬送コンベヤ14およびカートンコンベヤ32の側方には、図2に示す如く、物品50を所定間隔で搬送する物品供給コンベヤ52が平行に配置され、押込位置において該物品供給コンベヤ52の物品50は、前記カートンコンベヤ32で支持されたカートン10の開口部に向けて図示しない押込み手段によって押込まれる。また、カートンコンベヤ32における物品50の押込位置より下流側に、図示しないフラップ折込み手段や封緘手段等が配設され、物品50が収容されたカートン10は、カートンコンベヤ32で下流側に搬送される途上で各手段によってフラップ10e,10eの折込みや封緘処理がなされるようになっている。
【0026】
〔実施例の作用〕
次に、前述した実施例に係る折畳みカートンの開口成形装置の作用につき説明する。
【0027】
前記マガジン12に集積されて取出し口に臨む先頭のカートン10の天面パネル10aが前記取出し手段16の吸着カップ18aで吸着保持され、図1に示す如く、吸着カップ18aの吸引孔が下向きとなる姿勢に変化しつつ下方に移動することで、マガジン12から取出されたカートン10が下方の起函部に移送される。吸着カップ18aに吸着保持されて底面パネル10bが前記搬送コンベヤ14の搬送面に対向する受渡し位置に到来したカートン10に対し、前記起函部に配設された開口手段22の吸着カップ22aが待機位置から上昇し、該吸着カップ22aで底面パネル10bが吸着保持される。
【0028】
前記取出し手段16の吸着カップ18aからカートン10を受取った開口手段22の吸着カップ22aは、図3に示す如く、扁平状のカートン10における底面パネル10bを吸着保持した状態で下降する。取出し手段16の吸着カップ18aから開口手段22の吸着カップ22aにカートン10が受渡されるタイミングに対応して、取出し手段16の吸着カップ18aの負圧が解除される。
【0029】
前記開口手段22の吸着カップ22aが待機位置まで下降するのに伴って、カートン10の前側面パネル10cが、待機位置に臨む逆折り手段24の最上流側のガイドローラ28aに当接案内されて起こされ、起函部においてカートン10が筒状に開口される(図3参照)。前側面パネル10cがガイドローラ28aで押上げられて起立する際には、前側面パネル10cの表面をガイドローラ28aが転動するので、前側面パネル10cがガイドローラ28aに擦れて傷付くことなくカートン10が確実に開口される。
【0030】
前記開口手段22の吸着カップ22aが待機位置まで下降すると、該吸着カップ22aで吸着保持されているカートン10の底面パネル10bが、前記搬送コンベヤ14における両無端ベルト20,20の搬送面に載置される。搬送コンベヤ14の搬送面に載置されて保持した開口状態のカートン10に対して、前記逆折り手段24が待機位置から搬送コンベヤ14の上流側に向けて水平移動することで、カートン10の前側面パネル10cが逆折り手段24のガイドローラ28a,28bで押されて下向きに折り曲げられ、また、カートン10の天面パネル10aが逆折り手段24のガイドローラ28bで押されてカートン10が略扁平状になるように逆折りされる(図1の二点鎖線参照)。このとき、カートン10の底面パネル10bは吸着カップ22aで吸着保持されているから、底面パネル10bが位置ズレすることなく、カートン10は確実に逆折りされる。また、逆折り手段24は、天面パネル10aや前側面パネル10cの上方をガイドローラ28a,28bの転動により移動するので、カートン10の各パネル10a,10cが逆折り手段24に擦れて傷付くことはない。更に、カートン10が前記取出し手段16から開口手段22に受渡された位置の直下となる起函部において、該カートン10を逆折りすることができるから、コンベヤライン長を短かくしたコンパクトな装置とすることができる。
【0031】
前記逆折り手段24が搬送コンベヤ14の上流側に向けた移動端まで移動するタイミングに応じて、前記吸着カップ22aの負圧が解除されて底面パネル10bの吸着が終了し、前記搬送コンベヤ14が間欠走行するのに伴って逆折り状態のカートン10が、前記無端ベルト20,20の当接部材20a,20aで後端が当接支持されて下流側に搬送される。このとき、逆折り手段24も搬送コンベヤ14の下流側に向けて移動して前記待機位置に至ることで、搬送コンベヤ14への前記取出し手段16からの次のカートン10の受渡しを行なうことができ、サイクルタイムの短縮化を図ることができる。また、逆折りされたカートン10は、搬送コンベヤ14の無端ベルト20,20に載置されると共に後端が当接部材20a,20aで当接支持された状態で、該無端ベルト20,20の間欠走行によって搬送される。逆折りされたカートン10は、搬送コンベヤ14により搬送されて、該搬送コンベヤ14と逆折り手段24との間を通過する。逆折りされたカートン10は、無端ベルト20,20に載置されて所定間隔で確実に搬送され、また逆折り手段24の各ガイドローラ28a,28bもカートン10の移動に伴って転動するから、逆折り手段24によってカートン10が傷付くことはない。
【0032】
そして、逆折り姿勢のカートン10は、前記第1のガイド部材30,30で両フラップ10e,10eが支持された状態で、搬送コンベヤ14によって下流側に搬送される。このとき、カートン10は、逆折り手段24によって天面パネル10aが底面パネル10bに当接するまで逆折りされることで、元の形状に戻る復元力は弱くなっているから、フラップ10e,10eを第1のガイド部材30,30で支持した場合でも、カートン10は第1のガイド部材30,30と軽接触状態で案内され、この際にカートン10を傷付けることはなく、またフラップ10e,10eが下方に折れ曲がってしまうといったこともない。
【0033】
前記搬送コンベヤ14により搬送されるカートン10が正起函部に到来してカートンコンベヤ32へ受渡され、前記第1ベルトコンベヤ36の第1の支持部材34a,34aでカートン10の前端が支持されるタイミングで、前記起立手段42の起立部材46が搬送面の下方から起立位置まで回動することにより、該起立部材46が逆折り状態のカートン10に上流側から当接して後側面パネル10dが垂直姿勢となるまで起立し、該カートン10は筒状に開口する(図4参照)。この場合に、カートン10の前端は第1の支持部材34a,34aで支持されているから、該カートン10が位置ズレすることなく確実に開口される。また、カートン10の復元力は逆折りによって弱くなっているから、起立部材46で後側面パネル10dを起こすときに要する力は小さくて済み、該起立部材46によって後側面パネル10dが傷付くのは抑制される。しかも、正起函部に設けた起立手段42によって逆折り状態のカートン10を正開口するよう構成したから、搬送コンベヤ14とカートンコンベヤ32とを同一水平ラインで設置することができ、逆折り状態のカートン10を正開口するためにコンベヤ間に所要の高低差を設ける必要はない。
【0034】
前記起立手段42の起立部材46が起立位置で一旦停止し、該起立部材46と第1の支持部材34aとにより開口したカートン10を前後から支持した後のタイミングで、前記カートンコンベヤ32が間欠走行されることで、第2の支持部材38aがカートン10の後部に至って両支持部材34a,38aで開口されたカートン10の前後を支持して下流側に搬送する。また起立部材46は、一旦停止した後、カートンコンベヤ32の間欠走行に伴って回動を再開してカートン10の後部を支持しつつ回動し、両支持部材34a,38aで前後から支持されたカートン10が下流側に搬送されて起立部材46と干渉しない位置に到った所定のタイミングで搬送面の下方まで回動する。前述したように、カートン10の復元力は逆折りによって弱くなっているから、両支持部材34a,38aで支持されたカートン10は、復元力によって前後の側面パネル10c,10dが倒れるように変形することはなく、開口状態を維持して確実に搬送することができる。なお、カートン10のサイズ変更に際しては、カートンコンベヤ32の第1ベルトコンベヤ36と第2ベルトコンベヤ40とを夫々独立して走行駆動して第1の支持部材34aと第2の支持部材38aとの相互間隔を変更するだけで対応し得る。すなわち、無端ベルト自体を交換したり無端ベルトに対する支持部材の配設位置を変更する等の機械的構成を変えることなくカートン10のサイズ変更に対応し得る。また、起立手段42もカートンコンベヤ32とは別駆動であるので、カートン10のサイズ変更の際には、搬送面の下方から起立位置へ回動するタイミングを変更するだけで容易に対応し得る。
【0035】
前記カートンコンベヤ32によって搬送されるカートン10は、前記天面パネル10aが前記第2のガイド部材48,48で案内支持され、該カートン10が搬送中に変形するのは防止される。このとき、第2のガイド部材48,48に天面パネル10aが復元力によって強く押付けられることはなく、軽接触状態となるので天面パネル10aの傷付きは抑制される。
【0036】
(変更例)
本願は前述した実施例の構成に限定されるものではなく、その他の構成を適宜に採用することができる。
1.実施例では、取出し手段16に対して開口手段22を離間移動することでカートン10を開口する場合で説明したが、開口手段22を待機位置に固定配置し、この待機位置に臨む開口手段22の吸着カップ22aで底面パネル10bが吸着可能な位置まで取出し手段16でカートン10を移送し、その後に取出し手段16が上昇すると共に適時に吸着を解除することでカートン10を開口する構成を採用し得る。
2.実施例では、逆折り手段24の可動体として、搬送方向に並設した複数のガイドローラ28a,28bで構成した場合で説明したが、搬送方向に並設した各軸に対して短尺ローラを複数自由回転自在に配設したり、または自由走行し得る無端ベルトを用いることができ、逆折り手段24の可動体としては、カートン10に接触した状態で該カートン10の移動に伴って転がり接触するものであればよい。また可動体は、接触するカートン10の動きに応じて転がり接触するようモータ等の駆動手段により駆動されるものでもよい。
3.実施例では、逆折り手段24が、カートン10に接触した状態で該カートン10の移動に伴って転がり接触する可動体を備える構成としたが、傷付き難い素材からなるカートン10の場合は、カートン10との当接部が転がり接触しない構成を採用することが可能である。すなわち、カートン10の材質に応じて、カートン10との当接部が転がり接触する構成と転がり接触しない構成とを選択することができる。
4.実施例では、カートンコンベヤ32を、無端ベルト34,38に支持部材34a,38aを設けた構成で説明したが、ローラコンベヤやスラットコンベヤ等、カートン10が載置された搬送部材が転動したり移動することで、該カートン10を搬送部材と擦れることなく搬送できる各種構成を採用し得る。
5.実施例では、逆折り状態のカートン10を開口する起立手段42を、その回動支点をカートンコンベヤ32の搬送面より下方に設けて回動するよう構成した場合で説明したが、起立手段42の回動支点を搬送面より上方に設け、カートン10の通過を許容する待機位置から下方に向けて起立位置まで回動することでカートン10を開口する構成や、起立手段42の起立部材46を回動するのに代えて、カートン10の通過を許容する待機位置と起立位置との間を揺動する構成等、その他各種構成を採用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施例に係る折畳みカートンの開口成形装置の全体を示す概略側面図である。
【図2】実施例に係る開口成形装置における各コンベヤを示す概略平面図である。
【図3】実施例に係る逆折り手段を示す概略側面図である。
【図4】実施例に係る起立手段を示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0038】
10 カートン,10a 天面パネル,10b 底面パネル
10d 後側面パネル(側面パネル),12 マガジン(集積部),14 搬送コンベヤ
16 取出し手段,20 無端ベルト,20a 当接部材,23 開口手段
24 逆折り手段,28a,28b ガイドローラ(可動体),30 第1のガイド部材
32 カートンコンベヤ,34a 第1の支持部材,38a 第2の支持部材
42 起立手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平に折畳まれたカートン(10)の天面パネル(10a)を吸着保持して集積部(12)から取出し、下方の起函部まで移送する取出し手段(16)と、
前記起函部において取出し手段(16)で吸着保持したカートン(10)の底面パネル(10b)を吸着して受取り、カートン(10)を開口する開口手段(22)と、
前記起函部が上流側に配され、該起函部での前記カートン(10)の開口時に前記底面パネル(10b)を載置し、カートン(10)の搬送時に後端を当接支持する当接部材(20a)を備えた一対の無端ベルト(20,20)からなる搬送コンベヤ(14)と、
前記無端ベルト(20,20)の搬送面より上方に配設され、前記搬送コンベヤ(14)の搬送方向下流側から上流側に向けて移動し、前記起函部において開口されたカートン(10)を上流側に向けて略扁平状に折畳む逆折り手段(24)とを備える
ことを特徴とする折畳みカートンの開口成形装置。
【請求項2】
前記逆折り手段(24)は、カートン折畳み時にカートン(10)との当接部が転がり接触する可動体(28a,28b)を有する請求項1記載の折畳みカートンの開口成形装置。
【請求項3】
前記逆折り手段(24)は、搬送方向上流側に向けて移動した後、逆折りされたカートン(10)の搬送に伴いカートン(10)上部を搬送方向下流側に向けて移動するよう水平往復移動可能に構成される請求項1または2記載の折畳みカートンの開口成形装置。
【請求項4】
逆折り状態のカートン(10)を正開口するまでの前記搬送コンベヤ(14)での搬送経路には、前記天面パネル(10a)を除くフラップ(10e)を上方から支持するガイド部材(30)を備える請求項1〜3の何れか一項に記載の折畳みカートンの開口成形装置。
【請求項5】
前記搬送コンベヤ(14)の下流側に接続され、開口されたカートン(10)を支持して搬送する前後の支持部材(34a,38a)の間隔を調節可能に構成したカートンコンベヤ(32)と、
前記搬送コンベヤ(14)からカートンコンベヤ(32)へ逆折り状態のカートン(10)が受渡される正起函部において、前記支持部材(34a)で搬送方向前端が支持された逆折り状態のカートン(10)に上流側から当接してカートン(10)の後側面パネル(10d)を起立する起立手段(42)とを備える請求項1〜4の何れか一項に記載の折畳みカートンの開口成形装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−292488(P2009−292488A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−146118(P2008−146118)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】