説明

折畳み式携帯端末

【課題】簡単な構成で、片手操作しても反動で落下させることなく、鞄の中や落下時に誤って第1の筐体と第2の筐体とが開いてしまわないようにする。
【解決手段】ヒンジ部6に、第1の筐体3と第2の筐体5とを開く方向に付勢すると共に、これら第1の筐体3と第2の筐体5とを閉じたときに付勢力を蓄えた状態でロック可能な開操作補助用付勢機構9と、所定量以上押し込まれると、開操作補助用付勢機構9のロックを解除するロック解除用ボタン15とを設ける。第2の筐体5の左右側面に、いずれか一方のみを押し込んでも、ロック解除用ボタン15を所定量押し込まず、同時に押し込むことでロック解除用ボタン15を所定量以上押し込んでロックを解除し、第1の筐体3と第2の筐体5とを自動的に開く自動開きボタン20,21をそれぞれ配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折畳み式携帯端末に関し、特にその自動開閉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、折畳み式携帯電話機に代表される折畳み式携帯端末では、片手で下筐体を持ち、他方の手で上筐体を持ち上げてヒンジ部を中心に開くようになっており、両手を使って開くのが一般的であった。
【0003】
しかし、両手を使って開くのが面倒な場合があり、片手だけでワンタッチで開き操作を行いたいというニーズが増えていた。
【0004】
そこで、例えば特許文献1の電子機器のように、互いに開閉可能に連結される第1の部材と第2の部材からなり、第1の部材と第2の部材を互いに開閉可能に連結する連結手段として、第1の部材と第2の部材を所定の開成角度まで自動的に開く押釦付きのプッシュオープンタイプのヒンジと、このプッシュオープンタイプのヒンジと同軸に取り付けた所定の自動開成角度から強くフリクショントルクを発生させるフリクションタイプのヒンジとで構成し、ロック手段をいずれかのヒンジに設けたものが知られている。
【0005】
また、特許文献2の折畳み式携帯端末では、第1の部材と第2の部材の閉成時には、インナーカムの係止突部でアウターカムのカム部の凸部を係止ロックしており、押釦に対し押圧操作を行うことにより、スライドキーでインナーカムを押して該インナーカムの係止突部によるアウターカムのカム部の凸部に対する係止を解きアウターカムのカム部とスライダーカムのカム部によってケース体に回転トルクを発生させるが、第1の部材と第2の部材が閉じたままであると、押釦に対する押圧力を解くことによってインナーカムが第2弾性手段の弾力によって元位置に復帰し再びその係止突部でアウターカムのカム部の凸部を係止ロックするようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−161312号公報
【特許文献2】特開2004−183821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1及び2の折畳み式携帯端末では、いずれも片手で本体を持ってワンタッチオープンするために親指又は人差し指をヒンジの側面から露出する一方のボタンに当ててプッシュする。このとき、ボタンを小さな力で押せることから、携帯電話機を軽く保持したまま第1筐体が開かれることが多く、バネなどによる第1筐体を開く方向に付勢する力が強ければ、第1筐体が開ききったときに反動が生じ、携帯電話機を落下してしまうおそれがあった。
【0008】
また、上記特許文献1及び2では、ボタンが露出していることから、携帯電話機を閉じた状態で落下させてしまったときに、開き操作を行うボタンが誤って押されることがあり、意図せず携帯電話機が開いて表示部などに傷が付きやすいという問題もある。また、鞄の中で勝手に開き操作を行うボタンが押されて携帯電話機が開いてしまうこともある。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成で、片手操作しても反動で落下させることなく、鞄の中での携帯時や落下時に誤って第1の筐体と第2の筐体とが開いてしまわないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、この発明では、第2の筐体の両側面に設けたボタンを同時に押したときのみ第1の筐体と第2の筐体とを自動的に開くようにした。
【0011】
具体的には、第1の発明では、第1の筐体と、第2の筐体と、該第1の筐体と第2の筐体とを折り畳み開閉自在に連結するヒンジ部とを備えた折畳み式携帯端末を前提とし、
上記ヒンジ部は、
上記第1の筐体と第2の筐体とを開く方向に付勢すると共に、該第1の筐体と第2の筐体とを閉じたときに付勢力を蓄えた状態でロック可能な開操作補助用付勢機構と、
所定量以上押し込まれると、上記開操作補助用付勢機構のロックを解除するロック解除用ボタンとを備え、
上記第2の筐体の左右側面には、いずれか一方のみを押し込んでも、上記ロック解除用ボタンを所定量押し込まず、同時に押し込むことで上記ロック解除用ボタンを所定量以上押し込んでロックを解除し、上記第1の筐体と第2の筐体とを自動的に開く自動開きボタンがそれぞれ配置されている。
【0012】
上記の構成によると、第2の筐体の左右側面に設けた自動開きボタンの両方を同時に押し込まないと、ロック解除用ボタンを所定量以上押し込むことができないので、鞄の中に入れて持ち歩いているときに動いてしまったり、使用中に落下させたりして片方の自動開きボタンのみが押されても、第1の筐体と第2の筐体とが開かないので、表示部に傷が付いたり、不必要にバッテリーが消耗したりすることはない。そして、両方の自動開きボタンを2本の指でそれぞれ押すためには、第2の筐体でしっかり反力を取ることができるように第2の筐体を握っているので、開操作補助用付勢機構の付勢力が強くて第1の筐体が開ききったときに大きな反動が生じたとしても、折畳み式携帯端末を落とすことはない。
【0013】
第2の発明では、第1の発明において、
上記第2の筐体の左右側面に設けた自動開きボタンの左右内側端部は、それぞれ左右内側へ延び、
一端が上記ロック解除用ボタンを押圧可能な範囲まで延び、他端側に上記左右いずれか一方の自動開きボタンの左右内側端部が回動可能に連結され、中間部に他方の自動開きボタンの左右内側端部が回動可能に連結されたリンク部材を備え、
上記左右の自動開きボタンのいずれか一方のみを押し込んでも、上記リンク部材は、上記ロック解除用ボタンを所定量押し込むことはなく、
上記左右の自動開きボタンの両方を押し込むと、上記リンク部材は、上記ロック解除用ボタンを所定量以上押し込むように構成されている。
【0014】
上記の構成によると、リンク部材の一端をロック解除用ボタンの近傍に配置し、他端と中間部とを、左右の自動開きボタンの内側端部にそれぞれ連結するという極めて簡単且つ壊れにくい構成で、両方の自動開きボタンを押したときのみロック解除用ボタンを所定量以上押し込むことができる。
【0015】
第3の発明では、第2の発明において、
上記リンク部材の他端側には、上記ロック解除用ボタン側の自動開きボタンの左右内側端部が回動可能に連結され、中間部には、上記ロック解除用ボタンと反対側の自動開きボタンの左右内側端部が回動可能に連結されている。
【0016】
上記の構成によると、簡単な構成で、両方の自動開きボタンが押し込まれたときに、リンク部材の先端がロック解除葉ボタンの所定量を押し込むことができる。
【0017】
第4の発明では、第1乃至第3のいずれか1つの発明において、
上記左右の自動開きボタンの端部は、互いに圧縮コイルバネで付勢されている。
【0018】
上記の構成によると、この圧縮コイルバネの付勢力に抗して両方の自動開きボタンを押し込まないとロック解除用ボタンが作動しないので、圧縮コイルバネを設けるという簡単な構成で、落下等によってロック解除用ボタンが誤作動するのを防ぐことができる。
【0019】
第5の発明では、第1乃至第4のいずれか1つの発明において、
上記第1の筐体の表面には、表示部が設けられ、
上記第2の筐体の表面には、操作部が設けられている。
【0020】
上記の構成によると、待機時は傷が入りやすい表示部を内側にして第1の筐体を閉じておけば、誤って第1の筐体が開いて表示部に傷が付くことはなく、使用時には両方の自動開きボタンを同時に押し込むだけで開くので、使い勝手がよい。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、第2の筐体の左右側面に、同時に押し込んだときのみロック解除用ボタンを所定量以上押し込んでロックを解除し、第1の筐体と第2の筐体とを自動的に開く自動開きボタンをそれぞれ配置したことにより、簡単な構成で、片手で操作しても反動で落下させることなく、鞄の中で動いたときや落下時等に誤って第1の筐体と第2の筐体とが開いてしまわないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態にかかる折畳み式携帯電話機が開いた状態でヒンジ部の内部が見えるようにした正面図である。
【図2】折畳み式携帯電話機が開いた状態を示す斜視図である。
【図3】折畳み式携帯電話機が閉じた状態を示す斜視図である。
【図4】折畳み式携帯電話機が閉じた状態における開閉機構を第1の筐体側から見た斜視図である。
【図5】折畳み式携帯電話機が閉じた状態における開閉機構を第2の筐体側から見た斜視図である。
【図6】閉じた状態にある折畳み式携帯電話機の分解斜視図である。
【図7】折畳み式携帯電話機が閉じた状態における開閉機構を第1の筐体側から見た拡大斜視図である。
【図8】折畳み式携帯電話機が閉じた状態における開閉機構を第2の筐体側から見た拡大斜視図である。
【図9】両方の自動開きボタンを押したときのヒンジ部内部が見えるようにした正面図である。
【図10】自動開きボタンの動きを示す拡大正面図であり、(a)がボタンを押していない状態を示し、(b)がボタンを押した状態を示す。
【図11】リンク部材がロック解除用ボタンを押し込む様子を説明する図であり、(a)がリンク部材、ロック解除用ボタン及びその周辺を拡大して示す正面図であり、(b)がリンク部材の軌跡を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1〜図3に本発明の実施形態にかかる折畳み式携帯端末としての折畳み式携帯電話機1を示す。図1では、見やすくするために第1の筐体3及び第2の筐体5の内部の主要な部分を見えるようにしている。この折畳み式携帯電話機1は、表面に表示部2を備えた第1の筐体3と、表面に操作部4を備えた第2の筐体5とを備えている。なお、操作部4の詳細は図示していないが、複数の操作ボタンを有するものでもタッチパネルでもよい。これら第1の筐体3と第2の筐体5とは、ヒンジ部6で折り畳み開閉自在に連結されている。第1の筐体3と第2の筐体5とは、共に略矩形板形状を有し、第1の筐体3が第2の筐体5に対して閉じられた状態(図3参照)で略直方体となって携帯が容易となっている。なお、本実施形態では、説明の都合上、図1に示すように、第1の筐体3を第2の筐体5に対して開いて第2の筐体5を手に持った状態で、第1の筐体3側を上側、第2の筐体5側を下側としている。
【0025】
ヒンジ部6は、第1の筐体3のヒンジ部6側両角部(下側の左右角部)から水平方向へそれぞれ膨出する一対の円筒状の外側ボス部10を備えている。外側ボス部10は、例えば、第1の筐体3を構成する樹脂成形品を成形する際に同時に成形される。
【0026】
また、ヒンジ部6は、内側ボス部11を備え、この内側ボス部11は、第2の筐体5のヒンジ部6側端部(上側端部)に該ヒンジ部6の軸方向(左右方向)中央表面から第2の筐体5の厚さ方向へ膨出するように形成されている。この内側ボス部11は、一対の外側ボス部10間に配置されている。
【0027】
図1及び図4〜図6に示すように、ヒンジ部6は、折畳み式携帯電話機1の開閉操作を担う開閉機構7を備えている。開閉機構7の一部として、左側の外側ボス部10と内側ボス部11の左側には、左右に延びる水平ヒンジ軸8が収容されている。図7及び図8に拡大して示すように、この水平ヒンジ軸8内には、第1の筐体3と第2の筐体5とを開く方向に付勢すると共に、第1の筐体3と第2の筐体5とを閉じたときに付勢力を蓄えた状態でロック可能な公知の開操作補助用付勢機構9(詳細図示せず)が設けられている。この開操作補助用付勢機構9は、内部に弾性部材を備え、水平ヒンジ軸8の外軸8aと内軸8bとは、それぞれ、外側ボス部10と内側ボス部11とに回転不能に連結され、相対的に所定の方向に回転されたとき、すなわち、第1の筐体3が第2の筐体5に対して閉じられたときに、この弾性部材が付勢力を蓄えるようになっている。そして、水平ヒンジ軸8の右側端部からは、開操作補助用付勢機構9のロックを解除するためのロック解除用ボタン15が突出している。ロック解除用ボタン15の可動範囲は、例えば、0≦L1≦1.1mmとし、所定量(例えば、約0.5mm)以上押し込まれると、開操作補助用付勢機構9のロックを解除し、弾性部材が蓄えていた付勢力が開放され、外軸8aと内軸8bとが互いに相対的に回転し、その結果として第1の筐体3が第2の筐体5に対して自動的に開くようになっている。ロック解除用ボタン15の先端は、その押圧を容易にするために、例えば直方体状に形成されている。
【0028】
そして、本発明の特徴として、第2の筐体5の左右側面には、自動開きボタン20,21がそれぞれ配置されている。図7等に示すように、これら自動開きボタン20,21の左右内側端部20a,21aは、左右内側へ延びている。具体的には、左側自動開きボタン20の先端は、中間部分から下側のみが右方へ延長されて左内側端部20aが形成され、右側自動開きボタン21の先端は、中間部分から上側へ折り曲げられた後、左方へ延長されて右内側端部21aが形成されている。このため、左内側端部20aと右内側端部21aとは、上下方向にずれた位置に配置されている。そして、これら上下にずれた位置に配置された左内側端部20aと右内側端部21aとに長細い板状のリンク部材22が連結されている。
【0029】
このリンク部材22の一端(上端)は、ロック解除用ボタン15を押圧可能な範囲まで延び、円柱状のボタン押圧部22aが一体に形成されている。このボタン押圧部22aがロック解除用ボタン15の先端の直方体部分に当接して押し込むようになっている。一方、他端(下端)側には、左側自動開きボタン20の左内側端部20aが下側連結軸22bを中心に回動可能に連結されている。そして、ボタン押圧部22aと、下側連結軸22bとの間の中間部には、右側自動開きボタン21の右内側端部21aが上側連結軸22cを中心に回動可能に連結されている。詳細は後述するが、このように構成することで、左右の自動開きボタン20,21のいずれか一方のみを押し込んでも、ロック解除用ボタン15を所定量押し込まず、同時に押し込むことでロック解除用ボタン15を所定量以上押し込んでロックを解除し、第1の筐体3と第2の筐体5とを自動的に開くように構成されている。
【0030】
また、左右の自動開きボタン20,21の左右内側端部20a,21aは、互いに押し戻す方向に圧縮コイルバネ23で付勢されている。具体的には、左内側端部20aの上側は、裏面側に折り曲げられて左側バネ当接部20bが形成され、右内側端部21aの先端も、裏面側に折り曲げられて右側バネ当接部21bが形成されている。圧縮コイルバネ23は、これら左側バネ当接部20bと、右側バネ当接部21bとの間に配置されている。
【0031】
−折畳み式携帯電話機の開閉手順−
次に、本実施形態にかかる折畳み式携帯電話機1の開閉手順について説明する。
【0032】
まず、リンク部材22がロック解除用ボタン15を押圧する原理について図面を用いて例示的に説明する。
【0033】
本実施形態の折畳み式携帯電話機1は、図9に示すように、左右の自動開きボタン20,21の両方を同時に押圧しないと、第1の筐体3が第2の筐体5に対して開かないようになっている。
【0034】
図10(a)に示すように、左右の自動開きボタン20,21は、第2の筐体5の左右側面から一部のみ飛び出し、図10(b)に示すように、指で押圧すると、第2の筐体5の左右側面よりも奥側に約1mm引っ込む。つまり、指などの細いものでなければ、左右の自動開きボタン20,21は、奥まで押し込めないようになっている。
【0035】
図11に拡大して位置関係を示すように、左右の自動開きボタン20,21のいずれも押圧しないときには、図11(b)に示すように、リンク部材22は、上下に真っ直ぐに立った状態にある。このとき、ボタン押圧部22aとロック解除用ボタンとの隙間L2は、約1.7mmとする。上述したように、ロック解除用ボタン15の可動範囲L1は、0≦L1≦1.1mmであり、0.5mm以上押し込まれたときに開操作補助用付勢機構9のロックを解除する。つまり、リンク部材22のボタン押圧部22aは左側へ0.5mmと、L2=1.7mmとを合わせた2.2mm以上移動するように回動する必要がある。
【0036】
まず、図11(b)に破線で示すように、左側自動開きボタン20のみを右方向へx1=1mmだけ押し込むと、右側自動開きボタン21は押されていないので、上側連結軸22cの位置は変わらず、下側連結軸22bが押し込まれた分だけボタン押圧部22aが上側連結軸22cを中心に左側へx3=約0.9mmだけ回動する。ロック解除用ボタン15は、2.2mm以上押されないと、開操作補助用付勢機構9のロックを解除しないので、第1の筐体3は、第2の筐体5に対して開かない。
【0037】
次いで、右自動開きボタン21のみをx2=1mmだけ押し込むと、図11(b)に一点鎖線で示すように、左側自動開きボタン20は押されていないので、下側連結軸22bの位置は変わらず、上側連結軸22cが押し込まれた分だけボタン押圧部22aが下側連結軸22bを中心に左側へx4=約1.9mm移動するように回動する。ロック解除用ボタン15は、2.2mm以上押されないと、開操作補助用付勢機構9のロックを解除しないので、第1の筐体3は、第2の筐体5に対して開かない。
【0038】
そして、左右の自動開きボタン20,21を同時にx1=x2=1mm押し込むと、図11(b)に二点鎖線で示すように、下側連結軸22bが右側へ移動すると共に、上側連結軸22cが左側へ移動する。すると、ボタン押圧部22aは、左側へ大きくx5=約2.8mm移動するように回動する。ロック解除用ボタン15は、2.2mm以上押されるので、開操作補助用付勢機構9のロックを解除し、第1の筐体3が第2の筐体5に対して開く。
【0039】
このような原理により、図3及び図4に示すように、第1の筐体3を第2の筐体5に対して閉じたコンパクトな状態で鞄内等に携帯しているときには、片方の自動開きボタン20又は21が押されることはあっても、両方の自動開きボタン20,21が押されることはまずないので、意図せず第1の筐体3が第2の筐体5に対して開くことはない。また、閉じた状態で落下させても、片方の自動開きボタン20又は21が押されることはあっても、両方の自動開きボタン20,21が押されることはまずないので、意図せず第1の筐体3が第2の筐体5に対して開くことはない。また、圧縮コイルバネ23の付勢力に抗して両方の自動開きボタン20,21を押し込まないとロック解除用ボタン15が作動しないので、落下等によってロック解除用ボタン15が誤って押されるのをさらに効果的に防いでいる。このため、表示部2に傷が付いたり、不必要にバッテリーが消耗したりすることはない。
【0040】
そして、両方の自動開きボタン20,21を2本の指でそれぞれ押すためには、第2の筐体5でしっかり反力を取るように第2の筐体5を握ることになるので、開操作補助用付勢機構9の付勢力が強くて第1の筐体3が開ききったときに大きな反動が生じたとしても、折畳み式携帯電話機1を落とすことはない。
【0041】
なお、第1の筐体3と第2の筐体5とを閉じるときには、手で第1の筐体3を押さえながら、開操作補助用付勢機構9の付勢力に抗して他方の手等で支えた第2の筐体5に向かって第1の筐体3を回動させて閉じる。すると、開操作補助用付勢機構9に再び第1の筐体3を第2の筐体5に対して開こうとする付勢力が蓄えられる。
【0042】
このように、待機時は傷が入りやすい表示部2を内側にして第1の筐体3を閉じておけば、誤って第1の筐体3が開いて表示部2に傷が付くことはなく、使用時には両方の自動開きボタン20,21を同時に押すだけで開くので、使い勝手がよい。
【0043】
したがって、本実施形態にかかる折畳み式携帯電話機1によると、第2の筐体5の左右側面に、同時に押し込んだときのみロック解除用ボタン15を所定量以上押し込んでロックを解除し、第1の筐体3と第2の筐体5とを自動的に開く自動開きボタン20,21をそれぞれ配置したことにより、簡単な構成で、片手で操作しても反動で落下させることなく、鞄の中で動いたときや落下時等に誤って第1の筐体3と第2の筐体5とが開いてしまわないようにすることができる。
【0044】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0045】
すなわち、上記実施形態では、水平ヒンジ軸8を左側に配置したが、右側に配置してもよい。この場合には、開閉機構7を含めたヒンジ部6全体を左右逆に構成すればよい。
【0046】
また、上記実施形態では、折畳み式携帯端末は、折畳み式携帯電話機としたが、折畳み式のPHS、PDA、PC、モバイルツール、電子辞書、電卓、ゲーム機等であってもよい。
【0047】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0048】
1 折畳み式携帯電話機(折畳み式携帯端末)
2 表示部
3 第1の筐体
4 操作部
5 第2の筐体
6 ヒンジ部
9 開操作補助用付勢機構
15 ロック解除用ボタン
20,21 自動開きボタン
20a,21a 左右内側端部
22 リンク部材
22a ボタン押圧部(一端)
22b 下側連結軸(他端)
22c 上側連結軸(中間部)
23 圧縮コイルバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と、第2の筐体と、該第1の筐体と第2の筐体とを折り畳み開閉自在に連結するヒンジ部とを備えた折畳み式携帯端末において、
上記ヒンジ部は、
上記第1の筐体と第2の筐体とを開く方向に付勢すると共に、該第1の筐体と第2の筐体とを閉じたときに付勢力を蓄えた状態でロック可能な開操作補助用付勢機構と、
所定量以上押し込まれると、上記開操作補助用付勢機構のロックを解除するロック解除用ボタンとを備え、
上記第2の筐体の左右側面には、いずれか一方のみを押し込んでも、上記ロック解除用ボタンを所定量押し込まず、同時に押し込むことで上記ロック解除用ボタンを所定量以上押し込んでロックを解除し、上記第1の筐体と第2の筐体とを自動的に開く自動開きボタンがそれぞれ配置されている
ことを特徴とする折畳み式携帯端末。
【請求項2】
請求項1に記載の折畳み式携帯端末において、
上記第2の筐体の左右側面に設けた自動開きボタンの左右内側端部は、それぞれ左右内側へ延び、
一端が上記ロック解除用ボタンを押圧可能な範囲まで延び、他端側に上記左右いずれか一方の自動開きボタンの左右内側端部が回動可能に連結され、中間部に他方の自動開きボタンの左右内側端部が回動可能に連結されたリンク部材を備え、
上記左右の自動開きボタンのいずれか一方のみを押し込んでも、上記リンク部材は、上記ロック解除用ボタンを所定量押し込むことはなく、
上記左右の自動開きボタンの両方を押し込むと、上記リンク部材は、上記ロック解除用ボタンを所定量以上押し込むように構成されている
ことを特徴とする折畳み式携帯端末。
【請求項3】
請求項2に記載の折畳み式携帯端末において、
上記リンク部材の他端側には、上記ロック解除用ボタン側の自動開きボタンの左右内側端部が回動可能に連結され、中間部には、上記ロック解除用ボタンと反対側の自動開きボタンの左右内側端部が回動可能に連結されている
ことを特徴とする折畳み式携帯端末。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の折畳み式携帯端末において、
上記左右の自動開きボタンの端部は、互いに圧縮コイルバネで付勢されている
ことを特徴とする折畳み式携帯端末。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の折畳み式携帯端末において、
上記第1の筐体の表面には、表示部が設けられ、
上記第2の筐体の表面には、操作部が設けられている
ことを特徴とする折畳み式携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−10193(P2011−10193A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153728(P2009−153728)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】