説明

抜蝕加工カーテン用布帛

【課題】微細な柄表現や布帛の抜蝕部分の強度低下を抑えた、グラデーションパターンによる抜蝕部を有する抜蝕加工カーテン布帛を提供する。
【解決手段】レギュラーポリエステル繊維とカチオン可染ポリエステル繊維とからなる布帛に抜蝕加工を施したものであって、グラデーションパターンによる抜蝕加工が行われている部分を有する抜蝕加工カーテン用布帛であって、抜蝕加工部分の割合が25〜75%で、抜蝕後の強度低下率が10〜25%であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラデーションパターンによる抜蝕部分を有する抜蝕加工カーテン用布帛及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から布帛の意匠性を向上させる手段の一つとして、耐薬品性の異なる繊維を混用して製布し、耐薬品性の劣る繊維を溶解除去して模様を付与する抜蝕加工がある。例えば、特許文献1には、耐酸性に比較的優れるポリエステル系繊維と、綿繊維のように酸に弱いセルロース繊維とを交織あるいは交編した編織物を酸で処理して、セルロース繊維を除去して編織物に透かし模様を付与し、意匠性を高めることが開示されている。また、特許文献2には、アルカリ溶解度の異なるポリエステル系繊維からなる編織物に透かし模様を付与するオパール加工などが開示されている。
しかし、これらの抜蝕加工は、スクリーン捺染やロータリー捺染法などにより抜蝕加工剤を付与する方法を用いて行われているため、その柄表現は、抜蝕加工剤で溶解される繊維がほとんど除去された抜蝕部と非抜蝕部からなる単純な柄構成になり、グラデーションパターンでの抜蝕などの微細な柄表現を行おうとするとムラになりやすい。さらに場合によっては透け感が強すぎる場合も発生する。また、抜蝕部分の強度低下が大きく、抜蝕面積の限定や用途が限定されるのが実状であった。
【特許文献1】特開2002−61070号公報
【特許文献2】特開平5−263375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記の現状を鑑みてなされたものであり、さらに詳しくは、微細な柄表現や布帛の抜蝕部分の強度低下を抑えた、グラデーションパターンによる抜蝕部を有する抜蝕加工カーテン布帛を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記の課題を解決するものであり、すなわち、
(1)レギュラーポリエステル繊維とカチオン可染ポリエステル繊維とからなる布帛に抜蝕加工を施したものであって、グラデーションパターンによる抜蝕加工が行われている部分を有する抜蝕加工カーテン用布帛である。
また、(2)抜蝕加工部分の割合が25〜75%で、抜蝕後の強度低下率が10〜25%である(1)記載の抜蝕加工カーテン用布帛である。
また、(3)抜蝕加工剤をインクジェット方式により付与してなる(1)記載の抜蝕加工カーテン用布帛である。
また、(4)抜蝕部分の可視光線透過率が50〜85%を特徴とする(1)及至(3)記
載の抜蝕加工カーテン用布帛である。
また、(5)抜蝕加工剤が炭酸グアニジン、苛性ソーダ、苛性カリの少なくとも1つを使用することを特徴とする(1)乃至(4)記載の抜蝕加工カーテン用布帛である。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、レギュラーポリエステル繊維とカチオン可染ポリエステル繊維とからなる布帛の抜蝕加工において、抜蝕がグラデーションパターンで行われるので、なめらかなコントラスト表現の変化が得られ、従来に比べて、抜蝕面積が大きくても、布帛の強度低下が少ない抜蝕加工布帛を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の布帛はレギュラーポリエステル繊維とカチオン可染ポリエステル繊維とからなり、カチオン可染ポリエステル繊維を抜蝕するものである。
本発明に用いる布帛において、経糸にはレギュラーポリエステル繊維を用いる。形態としてはモノフィラメントやマルチフィラメントのどちらも使用することができる。
また、使用するその単糸繊度は0.5〜100デシテックスが好ましい。単糸繊度が0.5デシテックス未満のものは加工中に脆化し布帛の強度を保持することが困難になるおそれがある。また単糸繊度が100デシテックスを超えると、糸の剛軟性(反発弾性)が強くロールカーテンとして使用した場合、巻き取り性に影響を及ぼすため好ましくない。特にカーテン布帛としての巻き取り性、強度、風合を考慮すると20〜50デシテックスの範囲がより好ましい。
また、トータル繊度としては、20〜200デシテックスが好ましい。トータル繊度が20デシテックス未満の場合、カーテンとしての強度を保持することが困難になる。また、トータル繊度が200デシテックスを超えるとカーテン用途としては布帛が厚すぎ、光の透過性を損ねてしまうおそれがある。さらに抜蝕後の透過性を考慮するとトータル繊度20〜100デシテックスが好ましい。
【0007】
また、緯糸には、芯部がレギュラーポリエステル糸、鞘部がカチオン可染ポリエステル糸で構成された複合糸を用いることが好ましい。形態としてはモノフィラメントやマルチフィラメントのどちらも使用することができる。例えば、合撚、カバリング、エアー交絡の糸加工により複合したものを挙げることができる。具体的には、エアー交絡によりカチオン可染ポリエステル糸をループ状にレギュラーポリエステル糸にからめたスラブ糸やタスラン加工糸、芯糸をレギュラーポリエステル糸、鞘糸にカチオン可染ポリエステル糸を用いて100〜500T/M程度カバリングしたものや合撚したものを用いることができるが、抜蝕時の糸の解れや加工安定性の点で合撚糸が好ましい。
ここで使用される芯部に用いられる糸の太さとしては、光の透過性を考慮すると単糸繊度0.5〜100デシテックスの糸が好ましい。糸の太さが0.5デシテックス未満では遮光性が十分得られないおそれがあり、糸の強度自体が弱く、カーテン用布帛としての強度を保てなくなるおそれがある。100デシテックスを超えると抜蝕の効果が十分に得られないおそれがあり、採光性の必要なカーテン用布帛としては適していない。
トータル繊度としては、20〜300デシテックスが好ましく、20デシテックス未満の場合、カーテン布帛としての強度が弱くなるおそれがある。また、300デシテックスを超えると糸の強度が強すぎるために加工時のシワ発生や目曲りが生じるおそれがある。
また、鞘部の糸としては、単糸繊度が0.2〜1.5デシテックスのものが好ましく、トータル繊度は20〜200デシテックスが好ましい。単糸繊度が0.2デシテックスより小さいと発色性が悪くなるおそれがあり、1.5デシテックスより太くなると繊維の溶解性が悪くなり、抜蝕ムラになるおそれがある。またトータル繊度が20デシテックス未満であると抜蝕後の糸の解れや品位が低下するおそれがあり、200デシテックスを越えると抜蝕加工剤の浸透が悪く抜蝕ムラになるおそれがある。
上記、芯糸、鞘糸で構成された複合糸のトータル繊度は、50〜350デシテックスが好ましく、50デシテックス未満では布帛の厚みが薄く、カーテン布帛としての強度が弱くなるおそれがある。350デシテックスを超えると布帛の厚みが厚く、風合も硬くなり、カーテン布帛としての品位を損ねる。
更に、芯鞘部の比率としては、芯部が10〜60重量%、鞘部が90〜40重量%である芯鞘構造糸であることが好ましい。芯部が10%未満では芯鞘構造の形成が困難になるおそれがあり、60%を越えると抜蝕の効果が十分に得られないおそれがある。
本発明においてレギュラーポリエステル繊維とはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの未変性ポリエステルである。また、カチオン可染ポリエステル繊維とは常圧或いは高圧でカチオン染料で染色されるポリエステルである。
【0008】
また、本発明の抜蝕布帛は全布帛に対する抜蝕部の占める割合は25〜75%が好ましい。抜蝕部の割合が25%未満であると抜触部分の意匠に制限が加わり、グラデーション表現が不十分になるおそれがある。例えば、布帛全体の抜蝕面積の割合が少ないために充分な採光を得ることができないおそれがある。また、75%より多いと布帛の強度が満足できないおそれがある。
更に、本発明の抜蝕後の強度低下率は25%未満が好ましい。強度低下率が、25%を超えると本来もっている布帛の風合い、コシ感が失われロールスクリーン特性、ここではロールの巻き取り性や成形性を損なうおそれがある。
【0009】
カチオン可染ポリエステル繊維を溶解する方法としては、アルカリを混合した抜蝕加工剤を従来の捺染方法スクリーンプリント、ロータリープリントに比べ、インクジェット方式により布帛にグラデーションパターンで印捺し、抜蝕することが好ましい。インクジェット方式で行うことで、極微細部な球状のドット形状で抜蝕加工剤を布帛に付与でき、カチオン可染ポリエステル糸を部分的に溶解処理することで微妙なコントラストを表現した抜蝕柄が可能になる。
抜蝕加工剤としては、炭酸グアニジン、苛性ソーダ、苛性カリなど公知のものを用いることができる。
インクジェットで印捺した後、熱処理を行い十分に反応させた後、中和、洗浄を繰り返し、所定の抜蝕柄を形成する。
【0010】
本発明でいう抜蝕加工のグラデーションパターンとは、抜蝕する部分と非抜蝕部分との形状の組合せにより形成され、抜蝕部の形状、大きさ、間隔、比率(割合)、色彩(色調)等を無段階風に状態を変化させるいわゆる段調を示す。段調の表現方法としては、形状の変化、例えば、形状が円であれば直径の長さの変化や、抜蝕部間の距離の変化であり、これらの組合せを駆使することで柄の立体感、リアル感、ぼかし感や滑らかな透け感等の多彩な表現が出来る。
例えば、図1の様に抜蝕する形状が円で直径20mmから直径3mmまでを17階調にすると言えば直径20mmと3mmとの間に15階調の中間径が存在し、これらの円の中心間の距離を段調的に変化させることで明るさ、色調は滑らかなに変化する。抜蝕形状、柄は直円、楕円等の円状や三角、四角、その他多角形または、その組合せなどあり形状、柄は限定されるものではない。
同一形状、柄で無くとも形状や柄の大きさによって抜蝕面積を段調変化させることでグラデーションも可能である。また、この抜蝕加工前もしくは後にインク付与すると明るさが変わることより色調も変化し更に多彩な表現が可能となる。
さらに、図2で示すように同径の円の場合でも、中心間の距離、ここでは、タテ方向とヨコ方向の距離をいい、距離を10mmから2mmまでの5階調にする場合、10mmと2mmの間に3階調の距離が存在し、円の量が密から疎になるように構成することでグラデーションパターンが可能になる。
【0011】
抜蝕部分の可視光線透過率は50〜85%であることが好ましい。可視光透過率が50%未満であると非抜蝕部とのコントラストが弱く、カーテン用途としての意匠性に乏しいものになる恐れがある。また、85%より多くなると透け感が強くなり、遮光性が損なわれ、カーテンの視界を遮る効果が損なわれるおそれがある。コントラストは抜蝕部と非抜蝕部の光の透過率比で表され、1.2〜1.9であることが好ましい。光の透過率比が1.2未満であると意匠性に乏しくなるおそれがあり、1.9より大きくなると透け感が強くなり過ぎ視界を遮る効果が損なわれるおそれがある。
上記の範囲であれば、カーテン布帛としての強度を保持しつつ、適度な透け感を有する布帛を提供することができる。
【実施例】
【0012】
以下、本発明の実施例を比較例と共にあげ、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「%」は、「重量%」をあらわす。
上記実施例および比較例で得られた捺染物の柄部について、以下の項目を評価した。結果を表に示す。
【0013】
(1)抜蝕面積率
抜蝕面積率(%)=抜蝕部の面積/(抜蝕部の面積+非抜蝕部の面積)×100
で算出した。
【0014】
(2)布帛の光の透過率
抜蝕部の、波長360〜740nmの光の透過率をマクベスCOLOREYE3000(GretagMacbeth社製)を用いて、10nm単位毎に測定し、各波長での測定値の平均値をもとめ透過率とした。
【0015】
(3)抜蝕部と非抜蝕部の光の透過率比
抜蝕部と非抜蝕部の透過率を(1)と同様に測定し、光の透過率比を算出した。
透過率比=抜蝕部の透過率/非抜蝕部の透過率
【0016】
(4)布帛の強度(引張り強度)
抜蝕部の引張り強度をJIS L1096 8.12 A法(ストリップ法)にてタテ方向に測定し、判定に用いた。
【0017】
(5)強度低下率
強度低下率(%)=(抜蝕前の布帛の引張り強度−抜蝕後の引張り強度)/抜蝕前の布帛の引張り強度×100
【0018】
[布帛Aの作製]
経糸に22デシテックスのレギュラーポリエステルモノフィラメント糸、緯糸の芯部に22デシテックスのレギュラーポリエステルモノフィラメント糸と鞘部に高圧カチオン可染型変性ポリエステル糸84デシテックス/72fの合撚糸(Z撚り280回転)で経糸密度116本/インチ、緯糸密度96本/インチの平織物からなる繊維布帛を用いた。
[インク受容層形成処理液]
【0019】
次に、下記処方1の組成物を混合し、ホモジナイザーを用いて1時間攪拌して得られた処理液を、固形分換算で2g/mになるようにパディング法で布帛Aに付与し、170℃で2分間乾燥してインク受理層を形成した。
【0020】
〔処方1〕
DKSファインガムHEL−1 2%
(第一工業製薬(株)製、エーテル化カルボキシメチルセルロース)
MSリキッド 5%
(明成化学工業(株)製、ニトロベンゼンスルホン酸塩、還元防止剤、有効成分30%)
水 93%
【0021】
[抜蝕性インクの調製]
下記処方2の組成物を混合し、スターラーを用いて1時間攪拌後、ADVANTEC高純度濾紙No.5A(東洋濾紙(株)製)にて減圧濾過後、真空脱気処理し、抜蝕性インクを得た。
[処方2]
炭酸グアニジン(抜蝕加工剤) 20%
尿素(溶解安定剤) 5%
ジエチレングリコール(乾燥防止剤) 5%
水 70%
【0022】
[繊維着色3原色インクセットの調製]
下記の組成物を混合し、ホモジナイザーを用いて1時間攪拌後、ADVANTEC高純度濾紙No.5A(東洋濾紙(株)製)にて減圧濾過後、真空脱気処理し、ポリエステル系繊維着色3原色インクセットを得た。
【0023】
(Blueインク)
Kiwalon Polyester Blue BGF 10%
(紀和化学工業(株)製、分散染料、C.I.Disperse Blue 73)
Disper TL 2%
(明成化学工業(株)製、アニオン系界面活性剤)
ジエチレングリコール 5%
水 83%
【0024】
(Redインク)
Kiwalon Polyester Red BFL 10%
(紀和化学工業(株)製、分散染料、C.I.Disperse Red 92)
Disper TL 2%
ジエチレングリコール 5%
水 83%
【0025】
(Yellowインク)
Kiwalon Polyester Yellow 6GF 10%
(紀和化学工業(株)製、分散染料、C.I.Disperse Yellow 114)
Disper TL 2%
ジエチレングリコール 5%
水 83%
【0026】
〔実施例1〕
布帛Aに、処方2で得られた抜蝕性インクと3原色インクセットをインクジェット方式で印捺し、抜蝕性インクによる抜蝕加工部、抜蝕性インクとインクセットによる抜蝕・着色加工部及びインクセットによるポリエステル系繊維の着色加工部を有する布帛Aを作成した。
【0027】
上記抜蝕加工部と抜蝕・着色加工部に円形の抜蝕部を設け、タテヨコに並ぶ円の中心間距離は一定にしたまま、布帛のタテ方向の直径が20mmから5mmに徐々に円形を小さくした7階調の抜蝕で抜蝕加工剤を含むインクを印捺し、布帛全体の25%面積にグラデーション表現した。
【0028】
インクジェット印捺条件は以下の通りである。着色部には、グラデーションと細線を含む柄を形成した。
【0029】
[インクジェット印捺条件]
印捺装置:オンデマンド方式シリアル走査型インクジェット印捺装置
ノズル径:50μm
駆動電圧:100V
周波数:5kHz
解像度:360dpi
各部位印捺量:
(1)抜蝕部
抜蝕性インク 40g/m
(2)抜蝕+色柄着色部
抜蝕性インク 40g/m
PET系繊維着色3原色インクセット 各色1〜15g/m
(3)PET系繊維色柄着色部
PET系繊維着色3原色インクセット 各色1〜15g/m
【0030】
布帛を乾燥した後、HTスチーマーを用いて175℃で10分間湿熱処理した。さらに、トライポールTK(第一工業製薬(株)製、ノニオン界面活性剤)を2g/L、ソーダ灰を2g/Lを含むソーピング浴にて、50℃で10分間処理して洗浄した後、水洗し、乾燥して捺染物を得た。評価結果を表1に示す。
【0031】
〔実施例2〕
布帛に対する抜蝕加工剤の印捺面積を50%に変更した以外は、実施例1と同様に加工し、捺染物を得た。評価結果を表1に示す。
グラデーションパターンの円直径を12階調に変更し、抜蝕加工剤の印捺面積を50%に増やした以外は、実施例1と同様に加工し捺印物を得た。評価結果を表1に示す。
【0032】
〔実施例3〕
布帛に対する抜蝕加工剤の印捺面積を75%に変更した以外は、実施例1と同様に加工し、捺染物を得た。評価結果を表1に示す。
グラデーションパターンの円直径を15階調に変更し、抜蝕加工剤の印捺面積を75%に増やした以外は、実施例1と同様に加工し捺印物を得た。評価結果を表1に示す。
【0033】
〔比較例1〕
インクセットのみを布帛Aにインクジェット方式で印捺し、他は実施例1と同様に加工し捺染物を得た。評価結果を表1に示す。
【0034】
〔比較例2〕
布帛Aに第4級アンモニウム塩を含む下記の処方3からなる捺染糊をスクリーンプリント機を用いてストライプ柄(巾2cmの帯状に)で布帛全体の50%にあたる割合で付着させ、温度110℃にて2分間乾燥させた。その後、103℃の過熱蒸気にて16分間蒸熱処理を行い、捺染糊に含まれる第4級アンモニウム塩を変性ポリエステルに吸収させた。次に、水処理を30℃の水にて10分間行い、更に60℃にて10分間の湯洗いを行うことにより、繊維布帛に付着している捺染糊と残留している第4級アンモニウム塩を完全に取り除いた。次に抜蝕処理として、温度90℃、濃度3度ボーメの水酸化ナトリウム水溶液中に35分間浸漬、攪拌処理を行った後取り出し、付着している水酸化ナトリウムを完全に除去するために、更に温度30℃の水にて10分間の水洗を3回行った。その後、マングルにて脱水し、乾燥機にて130℃で1分間乾燥した。
【0035】
その結果、得られた繊維布帛は、第4級アンモニウム塩が付着した部分のカチオン可染ポリエステル糸が完全に溶解除去され、布帛全体の50%ストライプ状に抜蝕されたオパール布帛を得た。評価結果を表1に示す。
【0036】
〔処方3〕
DXK−10N 30%
(一方社油脂工業(株) 第4級アンモニウム塩)
フジケミ HEC BL−20 40%
(富士化学(株)ヒドロキシエチルセルロース 有効成分15%)
尿素 20%
水 10%
【0037】
〔比較例3〕
布帛に対する抜蝕面積を75%に変更した以外は、比較例2と同様に加工し、捺染物を得た。評価結果を表1に示す。
【0038】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明のグラデーションパターンの同径の円の密度が密から疎に変化する場合を示す概略パターン図
【図2】本発明のグラデーションパターンの円の直径が段調的に小さくなる場合を示した概略パターン図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レギュラーポリエステル繊維とカチオン可染ポリエステル繊維とからなる布帛に抜蝕加工を施したものであって、グラデーションパターンによる抜蝕加工が行われている部分を有する抜蝕加工カーテン用布帛。
【請求項2】
抜蝕加工部分の割合が25〜75%で、抜蝕後の強度低下率が10〜25%である請求項1記載の抜蝕加工カーテン用布帛。
【請求項3】
抜蝕加工剤をインクジェット方式により付与してなる請求項1乃至2記載の抜蝕加工カーテン用布帛。
【請求項4】
抜蝕部分の可視光線透過率が50〜85%であることを特徴とする請求項1及至3記載の抜蝕加工カーテン用布帛。
【請求項5】
抜蝕加工剤が炭酸グアニジン、苛性ソーダ、苛性カリの少なくとも1つを使用することを特徴とする請求項1乃至4記載の抜蝕加工カーテン用布帛。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−38332(P2008−38332A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−185071(P2007−185071)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(000107907)セーレン株式会社 (462)
【Fターム(参考)】