説明

抵抗器の実装方法

【課題】本発明は、実装用基板との接合強度を向上させることができる抵抗器の実装方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明の抵抗器の実装方法は、一対の電流用端子14を、その根元部14aが実装用基板15と平行になるようにするとともに、その先端部14bが前記実装用基板15と垂直になるように折り曲げ、前記電流用端子14を前記貫通孔16に挿入し、前記実装用基板15の裏面の第2の電極導体18と前記電流用端子14の先端部14bとを接続するとともに、一対の電圧測定用端子13を前記実装用基板15と平行になるように突出させ、その先端部13bを前記実装用基板15の上面の第1の電極導体17と接続し、さらに、前記電圧測定用端子13とこの電圧測定用端子13に対向する第2の電極導体18との間に位置する実装用基板15の内部に金属層20を設けるようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器の電流値を電圧値として検出するための低抵抗値の抵抗器の実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の抵抗器は、図3に示すように、金属板で構成した抵抗体1と、この抵抗体1の両端部に形成された一対の金属端子2とを備え、前記一対の金属端子2のそれぞれの先端部を分割して、電流用端子2aと電圧測定用端子2bを形成していた。そして、前記電流用端子2aと電圧測定用端子2bを実装用基板上の電極導体3にはんだ付けすることにより、抵抗器を実装用基板に実装していた。
【0003】
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−115802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の抵抗器においては、電流用端子2aと電圧測定用端子2bを実装用基板上の電極導体3に接合させているだけであったため、実装用基板との接合強度を向上させることができないという課題を有していた。
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、実装用基板との接合強度を向上させることができる抵抗器の実装方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
【0008】
本発明の請求項1に記載の発明は、金属板で構成した抵抗体と、この抵抗体の両端部に形成された一対の金属端子とを備え、前記一対の金属端子のそれぞれの先端部を電流用端子と電圧測定用端子とに分割した抵抗器を形成し、この抵抗器を、貫通孔を備えかつ上面および裏面にそれぞれ一対の第1、第2の電極導体を有する実装用基板に実装するようにした抵抗器の実装方法であって、前記一対の電流用端子を、その根元部が前記実装用基板と平行になるようにするとともに、その先端部が前記実装用基板と垂直になるように折り曲げ、前記電流用端子を前記貫通孔に挿入し、前記実装用基板の裏面の第2の電極導体と前記電流用端子の先端部とを接続するとともに、前記一対の電圧測定用端子を前記実装用基板と平行になるように突出させ、その先端部を前記実装用基板の上面の第1の電極導体と接続し、さらに、前記電圧測定用端子とこの電圧測定用端子に対向する第2の電極導体との間に位置する実装用基板の内部に金属層を設けるようにしたもので、この実装方法によれば、実装用基板の上面の第1の電極導体に電圧測定用端子の下面を接続するだけでなく、実装用基板の裏面の第2の電極導体にも電流用端子を接続しているため、表面実装と挿入実装の両方で実装用基板に実装でき、これにより、実装用基板との接合強度を向上させることができ、さらに、実装用基板の裏面の第2の電極導体に電流が流れることにより発生した電磁波が、電圧測定用端子に達してノイズが生じるのを、金属層によって防ぐことができるため、電圧を精度よく検出できるという作用効果が得られるものである。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明の抵抗器の実装方法は、一対の電流用端子を、その根元部が実装用基板と平行になるようにするとともに、その先端部が前記実装用基板と垂直になるように折り曲げ、前記電流用端子を貫通孔に挿入し、前記実装用基板の裏面の第2の電極導体と前記電流用端子の先端部とを接続するとともに、前記一対の電圧測定用端子を前記実装用基板と平行になるように突出させ、その先端部を前記実装用基板の上面の第1の電極導体と接続し、さらに、前記電圧測定用端子とこの電圧測定用端子に対向する第2の電極導体との間に位置する実装用基板の内部に金属層を設けるようにしているため、実装用基板の上面の第1の電極導体に電圧測定用端子の下面が接続されるだけでなく、実装用基板の裏面の第2の電極導体にも電流用端子が接続されることになり、これにより、表面実装と挿入実装の両方で実装用基板に実装できるため、実装用基板との接合強度を向上させることができるという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態における抵抗器の斜視図
【図2】同抵抗器を実装している状態を示す側断面図
【図3】従来の抵抗器の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態における抵抗器について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施の形態における抵抗器の斜視図、図2は同抵抗器を実装している状態を示す側断面図である。
【0013】
本発明の一実施の形態における抵抗器は、図1に示すように、金属板で構成した抵抗体11と、この抵抗体11の両端部に形成された一対の金属端子12とを備えている。また、前記一対の金属端子12はそれぞれの先端部を3つの脚部に分割し、これらのうち両端の脚部を電圧測定用端子13として使用するとともに、この両端の電圧測定用端子13間に挟まれた脚部を電流用端子14として使用するようにしている。そしてまた、電流用端子14として使用される脚部の幅は、電圧測定用端子13として使用される脚部の幅より広くなっている。なお、一対の金属端子12に形成される脚部は6本(6端子)ではなく、電圧測定用端子13と電流用端子14をそれぞれ1本ずつとした4本(4端子)としてもよい。また、前記電流用端子14は、その一部分で下方に折り曲げられている。
【0014】
上記構成において、前記抵抗体11は、その形状が直方体で、銅ニッケル、ニクロム、マンガニン等の金属板により構成されている。
【0015】
また、前記一対の金属端子12は、前記抵抗体11より電気伝導度が大きな金属、例えば金、銀、銅、アルミニウム等の金属により板状に構成され、かつ抵抗体11の両端部に形成されている。そして、この金属端子12は前記抵抗体11の下面に、レーザ溶接、超音波溶接、電気溶接、熱間接合、クラッド接合等の方法で接合され、これにより、金属端子12は抵抗体11の下面と電気的に接続される。なお、抵抗体11と一対の金属端子12は、別体の金属ではなく、一体物としてもよい。
【0016】
そしてまた、一対の金属端子12のそれぞれに形成された電圧測定用端子13、電流用端子14における根元部13a、14aは抵抗体11と平行で直線状に延びている。なお、前記電流用端子14の先端部14bは抵抗体11と垂直となるように下方に延びているが、電圧測定用端子13の先端部13bは抵抗体11と平行で直線状に延びている。
【0017】
さらに、抵抗体11の上面、および一対の金属端子12間における抵抗体11の下面には保護膜(図示せず)が形成され、かつ脚部には銅めっき、錫めっきからなるめっき層(図示せず)が形成されている。
【0018】
次に、本発明の一実施の形態における抵抗器を実装するための実装用基板と実装方法について説明する。
【0019】
図2に示すように、実装用基板15は、貫通孔16を備え、その上面に一対の第1の電極導体17を有し、その裏面に一対の第2の電極導体18を有している。
【0020】
ここで、第1の電極導体17、第2の電極導体18は、銅箔で形成された配線パターンである。また、実装用基板15の上面に形成された一対の第1の電極導体17は、貫通孔16の外側に設けられ、実装用基板15の裏面に形成された一対の第2の電極導体18は、貫通孔16の周囲と貫通孔16の外側に設けられている。なお、第1の電極導体17同士、第2の電極導体18同士は互いに接続されていない。
【0021】
上記のような実装用基板15に対して、抵抗体11と実装用基板15とが平行になるようにし、そして電流用端子14の下方に折り曲がった部分を貫通孔16に挿入する。
【0022】
このとき、電圧測定用端子13は下方に折り曲げずに、根元部13aと先端部13bを、ともに抵抗体11と平行で直線状に延びるようにし、電圧測定用端子13の先端部13bの下面と第1の電極導体17とを、はんだ付けによって接続する。さらに、電流用端子14の14b(実装用基板15と垂直な関係にある)のうち実装用基板15の裏面より下方に突出した部分と第2の電極導体18とを、はんだ付けによって接続する。
【0023】
そしてまた、電圧測定用端子13とこの電圧測定用端子13に対向する第2の電極導体18との間に位置する実装用基板15の内部には金属層20が設けられている。このとき、金属層20は実装用基板15の内部において実装用基板15と平行になるように層状に形成する。また、金属層20の材料としては、銅やアルミニウム等を使用する。
【0024】
上記したように本発明の一実施の形態においては、一対の電流用端子14を、その根元部14aが実装用基板15と平行になるようにするとともに、その先端部14bが実装用基板15と垂直になるように折り曲げ、前記電流用端子14を貫通孔16に挿入し、前記実装用基板15の裏面の第2の電極導体18と電流用端子14の先端部14bとを接続するとともに、一対の電圧測定用端子13を前記実装用基板15と平行になるように突出させ、その先端部13bを前記実装用基板15の上面の第1の電極導体17とを接続しているため、実装用基板15の上面の第1の電極導体17に電圧測定用端子13の下面が接続されるだけでなく、実装用基板15の裏面の第2の電極導体18にも電流用端子14が接続されることになり、これにより、表面実装と挿入実装の両方で実装用基板15に実装できるため、実装用基板15との接合強度を向上させることができるという効果が得られるものである。
【0025】
すなわち、使用時に実装用基板15や抵抗器が熱によって膨張、収縮したり、振動して加重が加わったりしても、上下方向と横方向の両方について強い接合方法となっている。
【0026】
また、電圧測定用端子13とこの電圧測定用端子13に対向する第2の電極導体18との間に位置する実装用基板15の内部に金属層20を形成しているため、実装用基板15の裏面の第2の電極導体18に電流が流れることにより発生した電磁波が、電圧測定用端子13に達してノイズが生じるのを、金属層20によって防ぐことができ、これにより、電圧を精度よく検出できるという効果が得られるものである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明に係る抵抗器は、実装用基板との接合強度を向上させることができるという効果を有するものであり、特に、各種電子機器の電流値を電圧値として検出するための低抵抗値の抵抗器等において有用となるものである。
【符号の説明】
【0028】
11 抵抗体
12 一対の金属端子
13 電圧測定用端子
13a 電圧測定用端子の根元部
13b 電圧測定用端子の先端部
14 電流用端子
14a 電流用端子の根元部
14b 電流用端子の先端部
15 実装用基板
16 貫通孔
17 第1の電極導体
18 第2の電極導体
20 金属層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板で構成した抵抗体と、この抵抗体の両端部に形成された一対の金属端子とを備え、前記一対の金属端子のそれぞれの先端部を電流用端子と電圧測定用端子とに分割した抵抗器を形成し、この抵抗器を、貫通孔を備えかつ上面および裏面にそれぞれ一対の第1、第2の電極導体を有する実装用基板に実装するようにした抵抗器の実装方法であって、前記一対の電流用端子を、その根元部が前記実装用基板と平行になるようにするとともに、その先端部が前記実装用基板と垂直になるように折り曲げ、前記電流用端子を前記貫通孔に挿入し、前記実装用基板の裏面の第2の電極導体と前記電流用端子の先端部とを接続するとともに、前記一対の電圧測定用端子を前記実装用基板と平行になるように突出させ、その先端部を前記実装用基板の上面の第1の電極導体と接続し、さらに、前記電圧測定用端子とこの電圧測定用端子に対向する第2の電極導体との間に位置する実装用基板の内部に金属層を設けるようにした抵抗器の実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−171461(P2011−171461A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33118(P2010−33118)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】