説明

押圧検出機能を有する抵抗膜式タッチパネル

【課題】押下した画面の位置(X,Y座標)のみでなく、同時にZ方向(圧力)を検出することができ、視認性に優れ、安価な押圧検出機能を有する抵抗膜式タッチパネルを提供する。
【解決手段】透明板の上面に抵抗膜として第1の透明導電膜を形成すると共に第1の透明導電膜の第1方向の両端部に第1の位置検出用電極対を形成してなる第1部材と、可撓性透明フィルムの下面に抵抗膜である第2の透明導電膜を形成すると共に第2の透明導電膜の第1方向と直交する第2方向の両端部に第2の位置検出用電極対を形成してなる第2部材とを、前記第1及び第2の透明導電膜が所定ギャップを介して対向するように重ね合わせ、押下点を前記第1及び第2の位置検出用電極対の電位に基づいて検出する抵抗膜式の透明タッチパネル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面に加わった外力のうち、当該面に垂直な方向成分の圧力を測定する押圧検出機能を有する抵抗膜式タッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば液晶ディスプレイなどの画像表示装置の表示画面上にタッチパネルを重ねて取り付けて、タッチパネルへの押圧操作により表示画面に表示されたボタンなどの選択を行う画面入力装置がある。タッチパネルには、抵抗膜式(例えば、特許文献1参照)や光学式などがあり、このうち、抵抗膜式のタッチパネルは、構造が単純である、低コストであるなどの利点により広く普及している。
【0003】
抵抗膜式タッチパネルは、上下のパネルに形成された透明導電膜が接触した位置を抵抗値の変化として検出するもので、図6及び図7に示すように構成されている。この抵抗膜式タッチパネルは、対向配置された下側パネル50及び上側パネル60からなる。下側パネル50は、ガラス板51の上面のほぼ全面に抵抗膜となるITO等の透明導電膜52を形成し、図中X方向の両端に位置検出用電極53a,53bを形成してなる。また、上側パネル60は、可撓性のある透明樹脂フィルム61の下面のほぼ全面に抵抗膜となるITO等の透明導電膜62を形成し、図中Y方向の両端に位置検出用電極63a,63bを形成してなる。なお、下側パネル50と上側パネル60とは、図8に拡大断面図を示すように、透明絶縁体からなるドットスペーサ54を介して対向配置され、常時は額縁接着層70により上下の透明導電膜52,62が空気層によって全体的に離間した状態(以下、エアギャップという)となっている。
【0004】
下側パネル50の電極53aと上側パネル60の電極63bは、それぞれスイッチSW1,SW2を介して電源に接続され、下側パネル50の電極53bと上側パネル60の電極63aは、それぞれスイッチSW3,SW4を介して接地されている。
【0005】
この抵抗膜式タッチパネルの上側パネル60の点Pの位置が押されると、透明樹脂フィルム61が撓んで、上下の透明導電膜52,62が接触する。このとき、スイッチSW1,SW3をオン状態、スイッチSW2,SW4をオフ状態にすると、電極53a,53b間には、それぞれ電源電圧Vccと接地電圧とが与えられるので、電極63aからは、点PのX方向位置xに応じて電源電圧Vccを分圧した電圧が得られる。これがX座標検出信号として図示しない検出回路に出力される。同様に、スイッチSW2,SW4をオン状態、スイッチSW1,SW3をオフ状態にすると、電極63a,63b間には、それぞれ電源電圧Vccと接地電圧とが与えられるので、電極53bからは、点PのY方向位置yに応じて電源電圧Vccを分圧した電圧が得られる。これがY座標検出信号として図示しない検出回路に出力される。
【0006】
【特許文献1】特開2002−259057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、タッチパネルを有する電子機器、特に、携帯電話機やゲーム機などの携帯型電子機器においては、例えば決定ボタンに代わるものとして、タッチパネルに押圧検出機能を付加することが求められている。しかし、特許文献1の抵抗膜式タッチパネルでは、押下した位置(X,Y座標)のみを検出できるものであり、押下した圧力(Z方向)を検出することができなかった。
【0008】
また、特許文献1の抵抗膜式タッチパネルは、上下の透明導電膜間にエアギャップが全面的に存在するように構成されているため、空気層との境界で起こる光の反射が多く、画像表示装置の表示部の視認性が良くなかった。
【0009】
また、上下の透明導電膜に用いる材料としてITO(酸化インジウムスズ)などの透明性、導電性及び耐久性のよいものを必要としたが、抵抗膜式タッチパネルのほか、有機ELパネル、太陽電池、青色発光ダイオードなどとITOの需要が拡大しており、ITOの主成分であるIn(インジウム)が希少金属であることから、資源枯渇問題が深刻化してきた。In資源の埋蔵量からみて,このまま使い続けると2011年で枯渇するという予測もあり,危機感が高まっている。その結果としてInの価格も高騰が続いており、タッチパネルを安価で提供することが難しくなってきた。
【0010】
したがって、本発明の目的は、前記課題を解決することにあって、押下した画面の位置(X,Y座標)のみでなく、同時にZ方向(圧力)を検出することができ、視認性に優れ、安価な押圧検出機能を有する抵抗膜式タッチパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記技術的課題を解決するために、以下の構成の押圧検出機能を有する抵抗膜式タッチパネルを提供する。
【0012】
本発明の第1態様によれば、 透明板の上面に抵抗膜として第1の透明導電膜を形成すると共に第1の透明導電膜の第1方向の両端部に第1の位置検出用電極対を形成してなる第1部材と、
可撓性透明フィルムの下面に抵抗膜である第2の透明導電膜を形成すると共に第2の透明導電膜の第1方向と直交する第2方向の両端部に第2の位置検出用電極対を形成してなる第2部材とを、
前記第1及び第2の透明導電膜が所定ギャップを介して対向するように重ね合わせ、
押下点を前記第1及び第2の位置検出用電極対の電位に基づいて検出する抵抗膜式の透明タッチパネルにおいて、
前記第1部材と前記第2部材とが、前記第1及び第2の透明導電膜間に多数の貫通穴を均一に分散して設けた透明接着層にて貼り合わされており、
さらに当該各貫通穴内にそれぞれ配置され、前記第1部材と前記第2部材との対向面のうち少なくとも一方に形成された、加えられた押圧力により電気特性が変化する導電性の感圧インク部材を備えた、
ことを特徴とする押圧検出機能を有する抵抗膜式タッチパネルを提供する。
【0013】
本発明の第2態様によれば、前記感圧インク部材は、直径0.01mm〜1mmのドットであり、前記貫通穴及び当該貫通穴中の前記感圧インク部材は、ピッチ0.1mm〜10mmで配置されている、第1態様に記載の押圧検出機能を有する抵抗膜式タッチパネルを提供する。
【0014】
本発明の第3態様によれば、前記感圧インク部材は、前記第1部材上に配置されている、第1または第2態様のいずれか1つに記載の押圧検出機能を有する抵抗膜式タッチパネルを提供する。
【0015】
本発明の第4態様によれば、前記感圧インク部材は、前記第1部材と前記第2部材との対向面の両方に接触している、第1〜第3態様のいずれか1つに記載の押圧検出機能を有する抵抗膜式タッチパネルを提供する。
【0016】
本発明の第5態様によれば、前記貫通穴が、前記感圧インク部材よりも直径を0.05〜2mm大きく形成したものである、第1〜第4態様のいずれか1つに記載の押圧検出機能を有する抵抗膜式タッチパネルを提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる押圧検出機能を有する抵抗膜式タッチパネルによれば、押下点において前記第1及び第2の透明導電膜どうしを直接接触させて導通をとるのではなく、前記感圧インク部材を通じて導通をとった。すなわち、前記感圧インク部材に荷重が与えられることで前記感圧インク部材の抵抗値が下がり、導通がとれる。このとき、前記感圧インク部材の抵抗値がある閾値を越えた時点で入力と判断できるようにすれば、前記第1及び第2の透明導電膜どうしが直接接触しなくても押下した位置(X,Y座標)を検出できる。しかも、前記感圧インク部材の抵抗値が下がり具合によって同時にその位置におけるZ方向(圧力)を検出することもできる。
【0018】
また、前記第1部材と前記第2部材とが、前記第1及び第2の透明導電膜間に多数の貫通穴を均一に分散して設けた透明接着層にて貼り合わされているので、上下の透明導電膜間にエアギャップが前記貫通穴にしか存在しない。したがって、空気層との境界で起こる光の反射が少なく、画像表示装置の表示部の視認性が向上する。
【0019】
さらに、前記感圧インク部材に耐久性があるものを使えば、前記第1及び第2の透明導電膜に耐久性の必要のない安価な材料を使用することができ、安価なタッチパネルが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態にかかるタッチパネルの主構成部分の模式分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるタッチパネルの加飾構成部分の模式分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるタッチパネルの模式断面図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかるタッチパネルを搭載する携帯電話機の斜視図である。
【図5】図4のA1−A1断面図である。
【図6】従来のタッチパネルの概略構成を示す断面図である。
【図7】従来のタッチパネルの概略構成を示す分解斜視図である。
【図8】従来のタッチパネルの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の最良の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は本発明の一実施形態にかかるタッチパネルの主構成部分の模式分解斜視図であり、図2は本発明の一実施形態にかかるタッチパネルの加飾構成部分の模式分解斜視図である。さらに図3は本発明の一実施形態にかかるタッチパネルの模式断面図である。タッチパネル104は、対向配置された第1部材である下側パネル1及び第2部材である上側パネル2と、これら上側パネル2及び下側パネル1の端部に接続されて外部回路との電気的な接続のためのコネクタ部を形成するFPC3と、第1部材と第2部材とを貼り合わせる透明接着層4と、位置検出及び押圧力の強さを検出するための感圧インク部材5を備えている(図1、図3参照)。また、この本実施形態においては、上側パネル2の下側パネル1と対向させる面とは反対面にさらに、PSA(Pressure Sensitive Adhesive)8,9により、図2に示す加飾フィルム6及びハードコートフィルム7が順次貼着されて第2部材を構成している。
【0023】
前記下側パネル1は次のように構成されている。即ち、透明板11の上面には、抵抗膜(透明電極とも呼ばれる)となる透明導電膜12が形成されている。この透明導電膜12は、下側パネル1の周縁部を絶縁するため、全面に形成後に周縁部をエッチング除去したり、絶縁層で被覆したりしている。そしてX方向に対向する両端部には導電ペーストが下側パネル1の位置検出用電極(バスバーとも呼ばれる)15a,15bとして形成されており、さらにこれら電極15a,15bからFPC接続部まで延設される引き回し配線15c,15dとして形成されている。
【0024】
前記透明板11は、通常、透視性、剛性、及び加工性に優れた材料、例えば、ガラス板、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂板11Aなどで構成されている。あるいは図1に示すようにこれらの上面に透明樹脂フィルム11B、例えば、PETフィルム、PCフィルムなどをPSA10で貼り合わせてもよい。
【0025】
前記透明導電膜12の材料としては、酸化錫、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化カドミウム等の金属酸化物や導電性ポリマーの薄膜が挙げられる。前記感圧インク部材5に耐久性があるものを使えば、前記透明導電膜12に耐久性の必要のないこれらの安価な材料を使用することができる。
【0026】
前記透明導電膜12の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD法、ロールコーター法などを用いることができる。前記エッチングは、電極として残したい部分にフォトリソ法やスクリーン法などによりレジストを形成した後、塩酸などのエッチング液に浸漬することにより行うことができる。また、前記エッチングは、前記レジストの形成後、エッチング液を噴射してレジストが形成されていない部分の導電性被膜を除去し、その後、溶剤に浸漬することによりレジストを膨潤又は溶解させて除去することにより行うこともできる。また、前記エッチングは、レーザーにより行うこともできる。
【0027】
前記電極15a,15b及び前記引き回し配線15c,15dを形成する導電ペーストとしては、金、銀、銅、若しくはニッケルなどの金属、あるいはカーボンなどのペーストを用いることができる。これらの形成方法としては、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、若しくはフレキソ印刷などの印刷法、フォトレジスト法などが挙げられる
【0028】
一方、前記上側パネル2は次のように構成されている。即ち、可撓性のある透明樹脂フィルム21の下面には、抵抗膜(透明電極とも呼ばれる)となる透明導電膜22が形成されている。この透明導電膜22は、上側パネル2の周縁部を絶縁するため、全面に形成後に周縁部をエッチング除去したり、絶縁層で被覆したりしている。そしてY方向に対向する両端部には導電ペーストが上側パネル2の位置検出用電極(バスバーとも呼ばれる)25a,25bとして形成されており、さらにこれら電極25a,25bからFPC接続部まで延設される引き回し配線25c,25dとして形成されている。
【0029】
前記可撓性のある透明樹脂フィルム21は、例えば、PET、PCなどの樹脂で構成されている。
【0030】
前記透明導電膜22、前記電極25a,25b及び前記引き回し配線25c,25dを形成する導電ペーストについては、下側パネル1の説明と同様である。
【0031】
コネクタ部を形成する前記FPC3は、PET等からなる絶縁樹脂フィルム31の片面に導電パターンからなる端子32a,32b,32c,32dを形成したもので、これら端子32a,32b,32c,32dは、それぞれ引き回し配線15c,15d,25c,25dと、例えば導電性接着材等でそれぞれ接続されるようになっている。
【0032】
前記電極15b,25bからの端子32a,32cは、それぞれ図示しないスイッチSW1,SW2を介して電源Vccに接続されている。前記電極15a,25aからの端子32b,32dは図示しないスイッチSW3,SW4を介して接地されると共に、図示しない検出回路のX座標検出用及びY座標検出用の端子と接続されている。
【0033】
なお、以上の実施形態では、上側パネル2及び下側パネル1の間にFPC3の一端を挿入して接続するようにしたが、下側パネル1にスルーホールを設け、当該スルーホールを介して接続するようにしても良い。
【0034】
第1部材と第2部材とを貼り合わせる透明接着層4は、次のように構成されている。即ち、多数の貫通穴4aを均一に分散して設けたものであり、粘着性を有して第1部材と第2部材とを接着するとともに、透明導電膜12,22どうしの隙間を保持するための絶縁性部材である。したがって、本発明においてはドットスペーサを設ける必要はない。透明接着層4としては、例えば、芯材なしの両面粘着テープを打抜いたものを用いることができる。透明接着層4の厚みは、例えば、0.01〜2mmに設定されている。
【0035】
第1部材と第2部材とは、多数の貫通穴4aを有する透明接着層4にて貼り合わされているので、上下の透明導電膜12,22間にエアギャップが貫通穴4aにしか存在しない。したがって、空気層との境界で起こる光の反射が少なく、画像表示装置の表示部の視認性が向上する。
【0036】
各貫通穴4aは、各感圧インク部材5よりも直径を0.05〜2mm大きく形成するのがより好ましい。0.01mm以上大きくすることにより、透明接着層4の貼り合わせに位置ズレが生じたとしても透明接着層4と各感圧インク部材5とが重複しない。また、2mmを越えて大きくならないようにすることにより、各感圧インク部材5を介さずに透明導電膜12,22が通電することをより確実に防止することができ、なおかつ貫通穴4aが、目立たない。
【0037】
位置検出及び押圧力の強さを検出するための感圧インク部材5は、次のように構成されている。即ち、透明接着層4の各貫通穴4a内にそれぞれ配置され、加えられた押圧力により電気特性が変化するものである、感圧インク部材5を構成する組成物は、外力に応じて電気抵抗値などの電気特性が変化する素材で構成されている。前記組成物として、例えば、英国のPeratech社から商品名「QTC」で入手可能な量子トンネル現象複合材料を用いることができる。感圧インク部材5の形成方法としては、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、又はフレキソ印刷などの印刷法を用いることができる。
【0038】
各感圧インク部材5は、直径0.01mm〜1mmのドットとし、前記貫通穴及び当該貫通穴中の前記感圧インク部材は、ピッチ0.1mm〜10mmで配置するのが好ましい。ピッチが0.1mmに満たないと、背面に位置する画面の画像認識が難しくなる。また、ピッチが10mmを越えると検出精度が低くなる。
【0039】
前記感圧インク部材5は、前記第1部材と前記第2部材との対向面のうち少なくとも一方に形成されればよいが、より好ましくは、本実施形態のように前記第1部材である下側パネル1側である。なぜなら、上側パネル2は撓むことにより応力がかかりやすいからである。
【0040】
さらに、感圧インク部材5は、前記第1部材と前記第2部材との対向面の両方に接触しているのが、より好ましい。なぜなら、軽い入力荷重から検知可能であるからである。透明接着層4の各貫通穴4a内において前記第1部材と前記第2部材との間に空気層を残す場合、当該空気層の間隔は、上記理由から最大でも0.5mmとする。
【0041】
前記上側パネル2上の点Pの位置が押されると、透明樹脂フィルム21が撓んで点P付近で透明導電膜12,22間に挟まれた感圧インク部材5に外力が加わる。この外力の加えられた感圧インク部材5は抵抗値が変化し上下の透明導電膜12,22が感圧インク部材5を介して導通する。このとき、従来技術と同様にスイッチSW1,SW3をオン状態、スイッチSW2,SW4をオフ状態にすると、電極15a,15b間には、それぞれ電源電圧Vccと接地電圧とが与えられるので、電極25aからは、点PのX方向位置xに応じて電源電圧Vccを分圧した電圧が得られる。これがX座標検出信号として図示しない検出回路に出力される。同様に、スイッチSW2,SW4をオン状態、スイッチSW1,SW3をオフ状態にすると、電極25a,25b間には、それぞれ電源電圧Vccと接地電圧とが与えられるので、電極15bからは、点PのY方向位置yに応じて電源電圧Vccを分圧した電圧が得られる。これがY座標検出信号として図示しない検出回路に出力される。なお、前記感圧インク部材5の抵抗値がある閾値を越えた時点で入力と判断するようにする。そうしないと、迷い手やお手つきなどの誤入力が発生するという問題が生ずるからである。
【0042】
そして、押下した位置(X,Y座標)を検出した後、スイッチSW2,SW2をオン状態、スイッチSW1,SW4をオフ状態にして、電極25a,15b間に、それぞれ電源電圧Vccと接地電圧とを与える。点Pの位置が押された際に、点P付近での上下の透明導電膜12,22の導通に介在した感圧インク部材5は、加えられる外力が増大するのに応じて下部感圧インク部材5の電気抵抗値が小さくなるので、タッチパネルへのタッチ入力面への押圧力が大きくなると、上下の透明導電膜12,22間に流れる電流が増大する。この電流の変化を電圧値に変換して検出することによって、感圧インク部材5に加えられる外力を検出することができ、タッチパネルへのタッチ入力面への押圧力を検出することができる。
【0043】
ところで、本実施形態に示すタッチパネルは、例えば、電子機器、特に携帯電話機やゲーム機などの携帯型電子機器のディスプレイのタッチ入力デバイスとして好適に機能するものであるが、図4には本発明のタッチパネルが携帯電話機に搭載される例を示す。
【0044】
図4は本発明の一実施形態にかかるタッチパネルを搭載する携帯電話機の斜視図であり、図5は図4のA1−A1断面図である。
【0045】
図4に示すように、携帯電話機101は、前面に表示窓102Aが形成された合成樹脂製の筐体102と、液晶や有機ELなどの表示部103Aを有し、筐体102内に内蔵された画像表示装置103と、表示窓102Aに嵌め込まれたタッチパネル104と、筐体102の前面に配置された複数の入力キー105とを備えている。
【0046】
筐体102の表示窓102Aは、タッチパネル104の嵌め込みを許容するため、段差を有するように形成されている。表示窓102Aの底面には、画像表示装置103の表示部103Aが視認できるように開口部102aが形成されている。タッチパネル104は、開口部102aの周囲の枠状部分102b上に配置されて、開口部102aを塞ぐ(図5参照)。タッチパネル104の固定には両面テープ107などを用いることができる。
【0047】
なお、表示窓102Aの形状や大きさは、タッチパネル104の形状や大きさに応じて種々の変更が可能である。表示窓102Aの段差は、タッチパネル104の厚みなどに応じて種々の変更が可能である。表示窓102Aの開口部102aの形状や大きさは、表示部103Aの形状や大きさなどに応じて種々の変更が可能である。ここでは、表示窓102A、開口部102a、表示部103A、及びタッチパネル104の形状を矩形とし、表示窓102Aの段差を筐体102の表面とタッチパネル104の表面との高さが同じになるように設定している。
【0048】
本実施形態のタッチパネル104においては、前述したように上側パネル2の下側パネル1と対向させる面とは反対面にさらに、透明粘着剤により、加飾フィルム6及びハードコートフィルム7が順次貼着されて第2部材を構成している。したがって、図4に示すように、透明窓部分104Aと、透明窓部分104Aの周囲に配置された枠状の加飾領域104Bとを有している。タッチパネル104が携帯電話機の筐体102の表示窓102Aに配置された場合には、透明窓部分104Aから画像表示装置103の表示部103Aを視認することができる。
【0049】
図2に示す前記加飾フィルム6は、上側パネル2と同様の透明樹脂フィルムの周囲表面に枠状にインクを塗布することにより形成されている。タッチパネル104の加飾領域104Bは、前記インクを塗布した部分である加飾部6aにより形成され、加飾部6aが設けられていない部分(非加飾部)6bがタッチパネル104の透明窓部分104Aとなる。
【0050】
加飾部6aを構成するインクとしては、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキド樹脂などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料又は染料を着色剤として含有する着色インクを用いるとよい。また、加飾部6aは、塗布に代えて印刷により形成されてもよい。印刷により加飾部6aを形成する場合、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの通常の印刷法を利用することができる。
【0051】
また、前記ハードコートフィルム7は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂やポリイミドなどで構成されている。
【0052】
また、前記透明板11の貼り合わせ、前記上側パネル2と前記加飾フィルム6との貼り合わせ、及び加飾フィルム6と前記ハードコートフィルム7との貼り合わせには、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、又は、ビニル樹脂などからなる絶縁性のPSA8,9,10 を用いる。
【0053】
なお、上記実施形態では、図5に示すような構成のため加飾フィルム6を備えるようにしたが、ベゼルでタッチパネルの周縁部を覆い隠すような用い方をする場合、加飾フィルム6を備えなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、押下した画面の位置(X,Y座標)のみでなく、同時にZ方向(圧力)を検出することができるので、電子機器、特に携帯電話機やゲーム機などの携帯型電子機器に有用である。
【符号の説明】
【0055】
1 下側パネル
2 上側パネル
3 FPC
4 透明接着層(孔空き)
4a 貫通穴
5 感圧インク部材
6 加飾フィルム
6a 加飾部
6b 非加飾部
7 ハードコートフィルム
8,9,10 PSA
11 透明板
12 透明導電膜
15a,15b 位置検出用電極
15c,15d 引き回し配線
21 透明樹脂フィルム
22 透明導電膜
25a,25b 位置検出用電極
25c,25d 引き回し配線
50 下側パネル
51 ガラス板
52 透明導電膜
53a,53b 位置検出用電極
54 ドットスペーサ
60 上側パネル
61 透明樹脂フィルム
62 透明導電膜
63a,63b 位置検出用電極
70 額縁接着層
100 携帯電話機
102 筐体
102A 表示窓
103 画像表示装置
103A 表示部
104 タッチパネル
104A 透明窓部分
104B 加飾領域
105 入力キー
107 両面テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明板の上面に抵抗膜として第1の透明導電膜を形成すると共に第1の透明導電膜の第1方向の両端部に第1の位置検出用電極対を形成してなる第1部材と、
可撓性透明フィルムの下面に抵抗膜である第2の透明導電膜を形成すると共に第2の透明導電膜の第1方向と直交する第2方向の両端部に第2の位置検出用電極対を形成してなる第2部材とを、
前記第1及び第2の透明導電膜が所定ギャップを介して対向するように重ね合わせ、
押下点を前記第1及び第2の位置検出用電極対の電位に基づいて検出する抵抗膜式の透明タッチパネルにおいて、
前記第1部材と前記第2部材とが、前記第1及び第2の透明導電膜間に多数の貫通穴を均一に分散して設けた透明接着層にて貼り合わされており、
さらに当該各貫通穴内にそれぞれ配置され、前記第1部材と前記第2部材との対向面のうち少なくとも一方に形成された、加えられた押圧力により電気特性が変化する導電性の感圧インク部材を備えた、
ことを特徴とする押圧検出機能を有する抵抗膜式タッチパネル。
【請求項2】
前記感圧インク部材は、直径0.01mm〜1mmのドットであり、前記貫通穴及び当該貫通穴中の前記感圧インク部材は、ピッチ0.1mm〜10mmで配置されている、
請求項1に記載の押圧検出機能を有する抵抗膜式タッチパネル。
【請求項3】
前記感圧インク部材は、前記第1部材上に配置されている、
請求項1または請求項2のいずれか1つに記載の押圧検出機能を有する抵抗膜式タッチパネル。
【請求項4】
前記感圧インク部材は、前記第1部材と前記第2部材との対向面の両方に接触している、
請求項1〜3のいずれか1つに記載の押圧検出機能を有する抵抗膜式タッチパネル。
【請求項5】
前記貫通穴が、前記感圧インク部材よりも直径を0.05〜2mm大きく形成したものである、
請求項1〜4のいずれか1つに記載の押圧検出機能を有する抵抗膜式タッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−3103(P2011−3103A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147067(P2009−147067)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】